生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_頭皮臭モデル組成物
出願番号:2014029244
年次:2015
IPC分類:C11B 9/00,A61K 8/00,A61Q 5/00,A61Q 13/00


特許情報キャッシュ

寺嶋 有史 庄司 健 橋本 有紀子 JP 2015151531 公開特許公報(A) 20150824 2014029244 20140219 頭皮臭モデル組成物 株式会社 資生堂 000001959 岩橋 祐司 100092901 寺嶋 有史 庄司 健 橋本 有紀子 5648138 20150107 C11B 9/00 20060101AFI20150728BHJP A61K 8/00 20060101ALN20150728BHJP A61Q 5/00 20060101ALN20150728BHJP A61Q 13/00 20060101ALN20150728BHJP JPC11B9/00 XC11B9/00 RC11B9/00 HA61K8/00A61Q5/00A61Q13/00 2 OL 11 4C083 4H059 4C083CC31 4C083KK01 4H059BA26 4H059BA36 4H059BA64 4H059EA36 4H059EA40 本発明は頭皮臭モデル組成物に関し、特に実際の頭皮臭により近く、頭皮臭のマスキングまたは抑制効果を評価するために用いられる頭皮臭モデル組成物に関する。 ヒトの身体から発生される匂い(身体臭)には、体臭、口臭、腋臭、足臭、頭皮臭等が挙げられ、これらは一般に不快臭として周囲に印象付けられることから、身体臭をマスキングしたり、消臭・抑制する化粧料などが、開発されてきている。 このため、マスキングや消臭効果等を簡易に評価するための身体臭モデルが求められてきている。例えば、脂肪酸やアルデヒド等を含む擬似体臭組成物(特許文献1)等が知られている。 また、頭皮臭を抑制する化粧料などについても、近年注目されている。それらを評価するための頭皮臭モデル組成物としては、例えば、スクワレン、コレステロール又はその誘導体、炭素数2〜24の脂肪酸を含む評価用モデル頭皮臭組成物(特許文献2)等が知られている。しかし、頭皮臭モデル組成物の頭皮臭らしさには、改善の余地があった。特開2004−263102号公報特開2001−220593号公報 本発明は前記従来技術の課題に鑑み行われたものであり、実際の頭皮臭により近い頭皮臭モデル組成物を提供することを目的とする。 本発明者らが前述の問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、従来身体臭成分として知られていなかったC10および/またはC11のγ−ラクトンを配合することで、実際の頭皮の臭いにより近い頭皮臭モデル組成物を得ることができた。これを用いることで頭皮臭のマスキングまたは抑制効果を的確に評価でき、当該効果を有する物質を効率よくスクリーニングできることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明にかかる頭皮臭モデル組成物は、(a)〜(c)を含むことを特徴とする。(a)C10および/またはC11のγ−ラクトン(b)保留剤(c)低級脂肪酸 前記頭皮臭モデル組成物において、さらに(d)ジメチルジスルフィド、(e)C9以下のγ−ラクトンから選択される1種または2種以上を含むことが好適である。 本発明にかかる評価・試験用キットは、頭皮臭モデル組成物を頭髪化粧料の香料選択試験に用いるためのキットである。 本発明によれば、より実際の頭皮臭に近く、頭皮臭のマスキングまたは抑制効果を的確に評価できる頭皮臭モデル組成物を提供する。 本発明にかかる頭皮臭モデル組成物は、(a)C10および/またはC11のγ−ラクトン、(b)保留剤、(c)低級脂肪酸を含む。 以下、各成分について詳述する。((a)C10および/またはC11のγ−ラクトン) C10、C11のγ−ラクトンは、それぞれ、下記式(1)で示されるγ−デカラクトン、下記式(2)で示されるγ−ウンデカラクトンである。 これらの成分はいずれも、フルーティ系の香りの香料として知られているが、ヒト由来の体臭に含まれることは知られていない。 本発明における(a)成分の配合量は、頭皮臭モデル組成物全量に対し0.001〜1質量%が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。0.001質量%未満だと頭皮臭らしさを認識できない場合があり、1質量%を超えると、他成分の配合量が少なくなるため好ましくない。((b)保留剤) 保留剤は、グリセライド、高級脂肪酸から選択される1種または2種以上であることが好ましい。保留剤を配合することで、頭皮臭の持続性に優れた頭皮臭モデル組成物を得ることができる。 グリセライドは、炭素数2〜24の直鎖または分岐の飽和または不飽和脂肪酸のグリセライドが好ましい。例えば、オクタン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸等の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和脂肪酸のグリセライドが好ましい。モノ−、ジ−、トリ−脂肪酸グリセライドのいずれも含まれるが、トリグリセライドが好ましい。 本発明において、高級脂肪酸は、炭素数14〜18の脂肪酸のことである。高級脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸等の直鎖または分岐の飽和または不飽和脂肪酸が挙げられる。 本発明における(b)成分の配合量は、頭皮臭モデル組成物全量に対し5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。5質量%未満だと頭皮臭の持続性に劣る場合があり、60質量%を超えると、他成分の配合量が少なくなるため好ましくない。((c)低級脂肪酸) 本発明において、低級脂肪酸は、炭素数2〜7の脂肪酸のことである。低級脂肪酸としては、例えば、酢酸、プロパン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、2−メチルブタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸等の直鎖または分岐の飽和または不飽和脂肪酸が挙げられる。 (c)成分の配合量は、頭皮臭モデル組成物全量に対し0.001〜10質量%が好ましく、1質量%以下がより好ましい。0.001質量%未満だと頭皮臭らしさを認識できない場合があり、10質量%を超えると、他成分の配合量が少なくなるため好ましくない。((d)ジメチルジスルフィド) 本発明の頭皮臭モデル組成物には、(d)ジメチルジスルフィドを配合することが好ましい。 (d)成分の配合量は、頭皮臭モデル組成物全量に対し0.001〜1質量%が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。0.001質量%未満だと頭皮臭らしさを認識できない場合があり、1質量%を超えると、他成分の配合量が少なくなるため好ましくない。((e)C9以下のγ−ラクトン) 本発明の頭皮臭モデル組成物には、(e)C9以下のγ−ラクトンを配合することが好ましい。C9以下のγ−ラクトンとしては、C8のγ−ラクトン(γ−オクタラクトン)、C9のγ−ラクトン(γ−ノナラクトン)等が挙げられる。 (e)成分の配合量は、頭皮臭モデル組成物全量に対し0.001〜1質量%が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。0.001質量%未満だと頭皮臭らしさを認識できない場合があり、1質量%を超えると、他成分の配合量が少なくなるため好ましくない。 本発明の頭皮臭モデル組成物は、上記成分の他に、本発明の目的を損なわない範囲で他の成分、例えば溶剤、脂肪酸エステル、コレステロール誘導体、アルデヒド、スクワラン、スクワレン等を適宜配合することができる。 溶剤としては、例えばエタノール、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、3−メトキシ−3−メチルブタノール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、流動パラフィン等が挙げられる。 溶剤の配合量は、特に限定されないが、1〜95質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましい。 脂肪酸エステルとしては、例えばラウリル酸ヘキサニルエステル、ラウリル酸ヘプタニルエステル、ラウリルオクタニルエステル、ラウリルノナニルエステル、パルミチン酸ヘキサニルエステル、パルミチン酸ヘプタニルエステル、パルミチン酸オクタニルエステル、パルミチン酸ノナニルエステル、パルミトレイン酸ヘキサニルエステルなどが挙げられる。 コレステロール誘導体としては、例えばウンデカン酸コレステロールエステル、ドデカン酸コレステロールエステル、トリデカン酸コレステロールエステル、テトラデカン酸コレステロールエステル、ペンタデカン酸コレステロールエステル、パルミチン酸コレステロールエステル、パルミトレイン酸コレステロールエステル等の炭素数11〜16の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和脂肪酸のコレステロールエステル等が挙げられる。 アルデヒドとしては、例えばアセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、2−ブタナール、4−ヘプテナール、2,4−オクタジエナール、2−ノネナール、2,4−ノナジエナール、2,6−ノナジエナール、2,4−デカジエナール、ウンデカナール、2,4−ウンデカジエナール、ドデカナール、ベンズアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フルフラール、ヘリオトロピンジエチルアセタール、2,4−ノナジエナール、2−ノネナール、2,6−オクタジエナール、2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−アセトアルデヒド、4−メチル−2−ペンタナール、p−メトキシシンナムアルデヒド、アセトアルデヒドエチル−3−ヘキセニルアセタール、2−ヒドロキシ−4−メチルベンズアルデヒド、2−メチル−2−オクテナール等が挙げられる。 本発明の頭皮臭モデル組成物は、実際の頭皮臭に近いことから、頭皮臭のマスキングまたは抑制効果を的確に評価でき、例えば頭皮臭に対してその臭いのマスキング作用または抑制作用を有する物質を効率よく簡便にスクリーニングすることができる。 したがって、本発明の頭皮臭モデル組成物は、臭いのマスキング剤、消臭剤、抑制剤、配合した頭髪化粧料等の開発(香料選択)に有用である。 本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で示す。 本発明者らは、頭皮臭モデル組成物に、さまざまな炭素数のγ−ラクトンを添加してみた。そして、香りを下記評価方法(1)により評価した。結果を表1に示す。評価(1):頭皮臭らしさ 頭皮臭モデル組成物として、試験例1または試験例2(各50μl)を含んだろ紙を、500mlの容器に入れ、開口部をアルミホイルで囲みこみ、約30分経過後、10名の専門パネルに嗅いでもらった。そして、頭皮臭らしさについて、下記基準に基づいて5段階官能評価(スコア)した。そのスコア平均値により評価した。(スコア)5点:明らかに頭皮臭であると感じる。4点:頭皮臭として認知できる。3点:頭皮臭として少し認知できる。2点:頭皮臭とはやや認知し難い。1点:頭皮臭とは感じられない。 表1によると、C10およびC11のγ−ラクトンを添加すると、添加しない場合に比べて、より頭皮臭らしさを実現できることがわかった。 したがって、本発明に用いる頭皮臭モデル組成物は、C10および/またはC11のγ−ラクトンを含むことが必要である。 本発明者らは、試験例1の頭皮臭モデル組成物を用いて、フルーティ系、シトラス系、ハーブ系、フローラル系、ムスク系の5種類の香料組成物のマスキング効果およびハーモナージュ効果を評価した。 結果は、フルーティ系、シトラス系、ハーブ系がいずれの効果も高く、ムスク系がいずれの効果も低かった。 なお、この結果は、実際の頭皮に各香料組成物を含む頭髪化粧料を塗布した際の傾向と同じであった。 次に、本発明者らは、頭部の臭気を採取し、成分分析した。臭気採取方法および成分分析方法は以下の通りである。結果を表2に示す。(臭気採取・成分分析方法) 40代の男性の被験者に、無賦香シャンプーおよびリンスで洗髪してもらい、18時間後にAおよびBの方法で採取した。A:頭部の皮脂および頭皮臭を、頭皮に負担のない範囲で、ろ紙に直接採取した。そして、GC−MS分析法を用いて成分分析した。B:頭部の一部分にガラス器具をあてがい、ヘッドスペースを30分間SPME抽出し、上記Aと同様にGC−MS分析法により成分分析した。 これまで、C10およびC11のγ−ラクトンは、いずれもフルーティ系の香気として知られているが、頭皮臭成分としてのみならず、体臭成分として検出されたことはなかった。 しかし、表2によると、本発明の必須成分であるC10およびC11のγ−ラクトンは、頭部臭気として、成分分析方法Aにより検出され、成分分析方法Bでも微量検出された。 次に、本発明者らは、頭皮臭特有成分の発生メカニズムの検討を行った。 体臭は、汗や皮脂等が皮膚常在菌(例えばブドウ球菌等)により分解されて発生する。このため、頭皮臭は、頭に多く存在するマラセチア菌(皮脂を栄養源とするフケ原因菌)により分解されて発生すると考えられる。 そこで、培地に人工皮脂および、ブドウ球菌またはマラセチア菌を培養した際の生成物を確認した。結果を表3に示す。 表3より、培地に人工皮脂およびマラセチア菌を培養した際、C8〜11のγ−ラクトン、イソ吉草酸、ヘキサノールが生成することがわかる。 一方、培地に人工皮脂およびブドウ球菌を培養しても、C8〜11のγ−ラクトン、イソ吉草酸、ヘキサノールは生成しなかった。 したがって、従来C10及びC11のγ―ラクトンは身体臭に含まれていることは知られていなかったが、人工皮脂のマラセチア菌による分解により発生し、頭皮臭の原因臭となることが確認できた。 (a)〜(c)を含むことを特徴とする頭皮臭モデル組成物。(a)C10および/またはC11のγ−ラクトン(b)保留剤(c)低級脂肪酸 請求項1に記載の頭皮臭モデル組成物において、(d)ジメチルジスルフィド、(e)C9以下のγ−ラクトンから選択される1種または2種以上を含むことを特徴とする頭皮臭モデル組成物。 請求項1または2に記載の頭皮臭モデル組成物において、(b)保留剤が、グリセライド、高級脂肪酸から選択される1種または2種以上であることを特徴とする頭皮臭モデル組成物。 請求項1〜3のいずれかに記載の頭皮臭モデル組成物を頭髪化粧料の香料選択試験に用いるためのキット。 【課題】 実際の頭皮臭により近く、頭皮臭のマスキングまたは抑制効果を評価するために用いられる頭皮臭モデル組成物を提供する。【解決手段】 (a)〜(c)を含むことを特徴とする頭皮臭モデル組成物。(a)C10および/またはC11のγ−ラクトン(b)保留剤(c)低級脂肪酸【選択図】 なし20140612A16333全文3 (a)〜(c)を含むことを特徴とする頭皮臭モデル組成物。(a)C10および/またはC11のγ−ラクトン 0.001〜1質量%(b)グリセライド、炭素数14〜18の脂肪酸から選択される1種または2種以上の保留剤 5〜60質量%(c)炭素数2〜7の脂肪酸 0.001〜10質量% 請求項1に記載の頭皮臭モデル組成物において、(d)ジメチルジスルフィド、(e)C9以下のγ−ラクトンから選択される1種または2種以上を含むことを特徴とする頭皮臭モデル組成物。 請求項2に記載の頭皮臭モデル組成物において、(d)成分を0.001〜1質量%、(e)成分を0.001〜1質量%含むことを特徴とする頭皮臭モデル組成物。 請求項1〜3のいずれかに記載の頭皮臭モデル組成物を頭髪化粧料の香料選択試験に用いるためのキット。A1633000073 すなわち、本発明にかかる頭皮臭モデル組成物は、(a)〜(c)を含むことを特徴とする。(a)C10および/またはC11のγ−ラクトン 0.001〜1質量%(b)グリセライド、炭素数14〜18の脂肪酸から選択される1種または2種以上の保留剤 5〜60質量%(c)炭素数2〜7の脂肪酸 0.001〜10質量% 前記頭皮臭モデル組成物において、さらに(d)ジメチルジスルフィド、(e)C9以下のγ−ラクトンから選択される1種または2種以上を含むことが好適である。 前記頭皮臭モデル組成物において、(d)成分を0.001〜1質量%、(e)成分を0.001〜1質量%含むことが好適である。 本発明にかかる評価・試験用キットは、頭皮臭モデル組成物を頭髪化粧料の香料選択試験に用いるためのキットである。20140916A16333全文3 (a)〜(e)を含むことを特徴とする頭皮臭モデル組成物。(a)C10および/またはC11のγ−ラクトン 0.001〜1質量%(b)グリセライド、炭素数14〜18の脂肪酸から選択される1種または2種以上の保留剤 5〜60質量%(c)炭素数2〜7の脂肪酸 0.001〜10質量%(d)ジメチルジスルフィド 0.001〜1質量%(e)C9以下のγ−ラクトン 0.001〜1質量% 請求項1に記載の頭皮臭モデル組成物を頭髪化粧料の香料選択試験に用いるためのキット。A1633000073 すなわち、本発明にかかる頭皮臭モデル組成物は、(a)〜(e)を含むことを特徴とする。(a)C10および/またはC11のγ−ラクトン 0.001〜1質量%(b)グリセライド、炭素数14〜18の脂肪酸から選択される1種または2種以上の保留剤 5〜60質量%(c)炭素数2〜7の脂肪酸 0.001〜10質量%(d)ジメチルジスルフィド 0.001〜1質量%(e)C9以下のγ−ラクトン 0.001〜1質量% 本発明にかかる評価・試験用キットは、頭皮臭モデル組成物を頭髪化粧料の香料選択試験に用いるためのキットである。


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特許公報(B1)_頭皮臭モデル組成物

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B1)_頭皮臭モデル組成物
出願番号:2014029244
年次:2015
IPC分類:C11B 9/00,A61K 8/00,A61Q 5/00,A61Q 13/00


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寺嶋 有史 庄司 健 橋本 有紀子 JP 5648138 特許公報(B1) 20141114 2014029244 20140219 頭皮臭モデル組成物 株式会社 資生堂 000001959 岩橋 祐司 100092901 寺嶋 有史 庄司 健 橋本 有紀子 20150107 C11B 9/00 20060101AFI20141211BHJP A61K 8/00 20060101ALN20141211BHJP A61Q 5/00 20060101ALN20141211BHJP A61Q 13/00 20060101ALN20141211BHJP JPC11B9/00 XC11B9/00 RC11B9/00 HA61K8/00A61Q5/00A61Q13/00 C11B 9/00 A61K 8/00 A61Q 5/00 A61Q 13/00 CAplus/REGISTRY(STN) 特開2005−015685(JP,A) 特開2001−220593(JP,A) 特開2001−271088(JP,A) 特開2005−062159(JP,A) 2 9 20140313 桜田 政美 本発明は頭皮臭モデル組成物に関し、特に実際の頭皮臭により近く、頭皮臭のマスキングまたは抑制効果を評価するために用いられる頭皮臭モデル組成物に関する。 ヒトの身体から発生される匂い(身体臭)には、体臭、口臭、腋臭、足臭、頭皮臭等が挙げられ、これらは一般に不快臭として周囲に印象付けられることから、身体臭をマスキングしたり、消臭・抑制する化粧料などが、開発されてきている。 このため、マスキングや消臭効果等を簡易に評価するための身体臭モデルが求められてきている。例えば、脂肪酸やアルデヒド等を含む擬似体臭組成物(特許文献1)等が知られている。 また、頭皮臭を抑制する化粧料などについても、近年注目されている。それらを評価するための頭皮臭モデル組成物としては、例えば、スクワレン、コレステロール又はその誘導体、炭素数2〜24の脂肪酸を含む評価用モデル頭皮臭組成物(特許文献2)等が知られている。しかし、頭皮臭モデル組成物の頭皮臭らしさには、改善の余地があった。特開2004−263102号公報特開2001−220593号公報 本発明は前記従来技術の課題に鑑み行われたものであり、実際の頭皮臭により近い頭皮臭モデル組成物を提供することを目的とする。 本発明者らが前述の問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、従来身体臭成分として知られていなかったC10および/またはC11のγ−ラクトンを配合することで、実際の頭皮の臭いにより近い頭皮臭モデル組成物を得ることができた。これを用いることで頭皮臭のマスキングまたは抑制効果を的確に評価でき、当該効果を有する物質を効率よくスクリーニングできることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明にかかる頭皮臭モデル組成物は、(a)〜(e)を含むことを特徴とする。(a)C10および/またはC11のγ−ラクトン 0.001〜1質量%(b)グリセライド、炭素数14〜18の脂肪酸から選択される1種または2種以上の保留剤 5〜60質量%(c)炭素数2〜7の脂肪酸 0.001〜10質量%(d)ジメチルジスルフィド 0.001〜1質量%(e)C9以下のγ−ラクトン 0.001〜1質量% 本発明にかかる評価・試験用キットは、頭皮臭モデル組成物を頭髪化粧料の香料選択試験に用いるためのキットである。 本発明によれば、より実際の頭皮臭に近く、頭皮臭のマスキングまたは抑制効果を的確に評価できる頭皮臭モデル組成物を提供する。 本発明にかかる頭皮臭モデル組成物は、(a)C10および/またはC11のγ−ラクトン、(b)保留剤、(c)低級脂肪酸を含む。 以下、各成分について詳述する。((a)C10および/またはC11のγ−ラクトン) C10、C11のγ−ラクトンは、それぞれ、下記式(1)で示されるγ−デカラクトン、下記式(2)で示されるγ−ウンデカラクトンである。 これらの成分はいずれも、フルーティ系の香りの香料として知られているが、ヒト由来の体臭に含まれることは知られていない。 本発明における(a)成分の配合量は、頭皮臭モデル組成物全量に対し0.001〜1質量%が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。0.001質量%未満だと頭皮臭らしさを認識できない場合があり、1質量%を超えると、他成分の配合量が少なくなるため好ましくない。((b)保留剤) 保留剤は、グリセライド、高級脂肪酸から選択される1種または2種以上であることが好ましい。保留剤を配合することで、頭皮臭の持続性に優れた頭皮臭モデル組成物を得ることができる。 グリセライドは、炭素数2〜24の直鎖または分岐の飽和または不飽和脂肪酸のグリセライドが好ましい。例えば、オクタン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸等の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和脂肪酸のグリセライドが好ましい。モノ−、ジ−、トリ−脂肪酸グリセライドのいずれも含まれるが、トリグリセライドが好ましい。 本発明において、高級脂肪酸は、炭素数14〜18の脂肪酸のことである。高級脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸等の直鎖または分岐の飽和または不飽和脂肪酸が挙げられる。 本発明における(b)成分の配合量は、頭皮臭モデル組成物全量に対し5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。5質量%未満だと頭皮臭の持続性に劣る場合があり、60質量%を超えると、他成分の配合量が少なくなるため好ましくない。((c)低級脂肪酸) 本発明において、低級脂肪酸は、炭素数2〜7の脂肪酸のことである。低級脂肪酸としては、例えば、酢酸、プロパン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、2−メチルブタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸等の直鎖または分岐の飽和または不飽和脂肪酸が挙げられる。 (c)成分の配合量は、頭皮臭モデル組成物全量に対し0.001〜10質量%が好ましく、1質量%以下がより好ましい。0.001質量%未満だと頭皮臭らしさを認識できない場合があり、10質量%を超えると、他成分の配合量が少なくなるため好ましくない。((d)ジメチルジスルフィド) 本発明の頭皮臭モデル組成物には、(d)ジメチルジスルフィドを配合することが好ましい。 (d)成分の配合量は、頭皮臭モデル組成物全量に対し0.001〜1質量%が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。0.001質量%未満だと頭皮臭らしさを認識できない場合があり、1質量%を超えると、他成分の配合量が少なくなるため好ましくない。((e)C9以下のγ−ラクトン) 本発明の頭皮臭モデル組成物には、(e)C9以下のγ−ラクトンを配合することが好ましい。C9以下のγ−ラクトンとしては、C8のγ−ラクトン(γ−オクタラクトン)、C9のγ−ラクトン(γ−ノナラクトン)等が挙げられる。 (e)成分の配合量は、頭皮臭モデル組成物全量に対し0.001〜1質量%が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。0.001質量%未満だと頭皮臭らしさを認識できない場合があり、1質量%を超えると、他成分の配合量が少なくなるため好ましくない。 本発明の頭皮臭モデル組成物は、上記成分の他に、本発明の目的を損なわない範囲で他の成分、例えば溶剤、脂肪酸エステル、コレステロール誘導体、アルデヒド、スクワラン、スクワレン等を適宜配合することができる。 溶剤としては、例えばエタノール、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、3−メトキシ−3−メチルブタノール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、流動パラフィン等が挙げられる。 溶剤の配合量は、特に限定されないが、1〜95質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましい。 脂肪酸エステルとしては、例えばラウリル酸ヘキサニルエステル、ラウリル酸ヘプタニルエステル、ラウリルオクタニルエステル、ラウリルノナニルエステル、パルミチン酸ヘキサニルエステル、パルミチン酸ヘプタニルエステル、パルミチン酸オクタニルエステル、パルミチン酸ノナニルエステル、パルミトレイン酸ヘキサニルエステルなどが挙げられる。 コレステロール誘導体としては、例えばウンデカン酸コレステロールエステル、ドデカン酸コレステロールエステル、トリデカン酸コレステロールエステル、テトラデカン酸コレステロールエステル、ペンタデカン酸コレステロールエステル、パルミチン酸コレステロールエステル、パルミトレイン酸コレステロールエステル等の炭素数11〜16の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和脂肪酸のコレステロールエステル等が挙げられる。 アルデヒドとしては、例えばアセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、2−ブタナール、4−ヘプテナール、2,4−オクタジエナール、2−ノネナール、2,4−ノナジエナール、2,6−ノナジエナール、2,4−デカジエナール、ウンデカナール、2,4−ウンデカジエナール、ドデカナール、ベンズアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フルフラール、ヘリオトロピンジエチルアセタール、2,4−ノナジエナール、2−ノネナール、2,6−オクタジエナール、2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−アセトアルデヒド、4−メチル−2−ペンタナール、p−メトキシシンナムアルデヒド、アセトアルデヒドエチル−3−ヘキセニルアセタール、2−ヒドロキシ−4−メチルベンズアルデヒド、2−メチル−2−オクテナール等が挙げられる。 本発明の頭皮臭モデル組成物は、実際の頭皮臭に近いことから、頭皮臭のマスキングまたは抑制効果を的確に評価でき、例えば頭皮臭に対してその臭いのマスキング作用または抑制作用を有する物質を効率よく簡便にスクリーニングすることができる。 したがって、本発明の頭皮臭モデル組成物は、臭いのマスキング剤、消臭剤、抑制剤、配合した頭髪化粧料等の開発(香料選択)に有用である。 本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で示す。 本発明者らは、頭皮臭モデル組成物に、さまざまな炭素数のγ−ラクトンを添加してみた。そして、香りを下記評価方法(1)により評価した。結果を表1に示す。評価(1):頭皮臭らしさ 頭皮臭モデル組成物として、試験例1または試験例2(各50μl)を含んだろ紙を、500mlの容器に入れ、開口部をアルミホイルで囲みこみ、約30分経過後、10名の専門パネルに嗅いでもらった。そして、頭皮臭らしさについて、下記基準に基づいて5段階官能評価(スコア)した。そのスコア平均値により評価した。(スコア)5点:明らかに頭皮臭であると感じる。4点:頭皮臭として認知できる。3点:頭皮臭として少し認知できる。2点:頭皮臭とはやや認知し難い。1点:頭皮臭とは感じられない。 表1によると、C10およびC11のγ−ラクトンを添加すると、添加しない場合に比べて、より頭皮臭らしさを実現できることがわかった。 したがって、本発明に用いる頭皮臭モデル組成物は、C10および/またはC11のγ−ラクトンを含むことが必要である。 本発明者らは、試験例1の頭皮臭モデル組成物を用いて、フルーティ系、シトラス系、ハーブ系、フローラル系、ムスク系の5種類の香料組成物のマスキング効果およびハーモナージュ効果を評価した。 結果は、フルーティ系、シトラス系、ハーブ系がいずれの効果も高く、ムスク系がいずれの効果も低かった。 なお、この結果は、実際の頭皮に各香料組成物を含む頭髪化粧料を塗布した際の傾向と同じであった。 次に、本発明者らは、頭部の臭気を採取し、成分分析した。臭気採取方法および成分分析方法は以下の通りである。結果を表2に示す。(臭気採取・成分分析方法) 40代の男性の被験者に、無賦香シャンプーおよびリンスで洗髪してもらい、18時間後にAおよびBの方法で採取した。A:頭部の皮脂および頭皮臭を、頭皮に負担のない範囲で、ろ紙に直接採取した。そして、GC−MS分析法を用いて成分分析した。B:頭部の一部分にガラス器具をあてがい、ヘッドスペースを30分間SPME抽出し、上記Aと同様にGC−MS分析法により成分分析した。 これまで、C10およびC11のγ−ラクトンは、いずれもフルーティ系の香気として知られているが、頭皮臭成分としてのみならず、体臭成分として検出されたことはなかった。 しかし、表2によると、本発明の必須成分であるC10およびC11のγ−ラクトンは、頭部臭気として、成分分析方法Aにより検出され、成分分析方法Bでも微量検出された。 次に、本発明者らは、頭皮臭特有成分の発生メカニズムの検討を行った。 体臭は、汗や皮脂等が皮膚常在菌(例えばブドウ球菌等)により分解されて発生する。このため、頭皮臭は、頭に多く存在するマラセチア菌(皮脂を栄養源とするフケ原因菌)により分解されて発生すると考えられる。 そこで、培地に人工皮脂および、ブドウ球菌またはマラセチア菌を培養した際の生成物を確認した。結果を表3に示す。 表3より、培地に人工皮脂およびマラセチア菌を培養した際、C8〜11のγ−ラクトン、イソ吉草酸、ヘキサノールが生成することがわかる。 一方、培地に人工皮脂およびブドウ球菌を培養しても、C8〜11のγ−ラクトン、イソ吉草酸、ヘキサノールは生成しなかった。 したがって、従来C10及びC11のγ―ラクトンは身体臭に含まれていることは知られていなかったが、人工皮脂のマラセチア菌による分解により発生し、頭皮臭の原因臭となることが確認できた。 (a)〜(e)を含むことを特徴とする頭皮臭モデル組成物。(a)C10および/またはC11のγ−ラクトン 0.001〜1質量%(b)グリセライド、炭素数14〜18の脂肪酸から選択される1種または2種以上の保留剤 5〜60質量%(c)炭素数2〜7の脂肪酸 0.001〜10質量%(d)ジメチルジスルフィド 0.001〜1質量%(e)C9以下のγ−ラクトン 0.001〜1質量% 請求項1に記載の頭皮臭モデル組成物を頭髪化粧料の香料選択試験に用いるためのキット。【課題】 実際の頭皮臭により近く、頭皮臭のマスキングまたは抑制効果を評価するために用いられる頭皮臭モデル組成物を提供する。【解決手段】 (a)〜(c)を含むことを特徴とする頭皮臭モデル組成物。(a)C10および/またはC11のγ−ラクトン(b)保留剤(c)低級脂肪酸【選択図】 なし


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