生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_子宮筋腫に伴う子宮出血抑制用医薬
出願番号:2014021420
年次:2014
IPC分類:A61K 31/569,A61P 15/00,A61P 35/00


特許情報キャッシュ

木村 文則 村上 節 中川 哲也 竹林 明枝 高橋 顕雅 山中 章義 JP 2014169286 公開特許公報(A) 20140918 2014021420 20140206 子宮筋腫に伴う子宮出血抑制用医薬 国立大学法人滋賀医科大学 504177284 持田製薬株式会社 000181147 特許業務法人三枝国際特許事務所 110000796 木村 文則 村上 節 中川 哲也 竹林 明枝 高橋 顕雅 山中 章義 JP 2013021925 20130207 A61K 31/569 20060101AFI20140822BHJP A61P 15/00 20060101ALI20140822BHJP A61P 35/00 20060101ALI20140822BHJP JPA61K31/569A61P15/00A61P35/00 10 OL 11 4C086 4C086AA01 4C086AA02 4C086DA10 4C086NA06 4C086NA10 4C086ZA81 本発明は、子宮筋腫に伴う子宮出血抑制用医薬に関する。さらに、本発明は、子宮筋腫に伴う過多月経治療薬、子宮筋腫に伴う過長月経治療薬、及び子宮筋腫に伴う貧血治療薬にも関する。 子宮筋腫は、子宮の筋層に存在する平滑筋細胞由来の良性腫瘍であり、30代〜40代に好発することが知られている。子宮筋腫患者は、過多月経、過長月経、不正出血、及びこれらに伴う貧血等の症状を呈することが多い。これらの症状は、時に重篤である場合もあり、より良い治療薬の開発が求められている。 一方、ジエノゲストは、子宮内膜症治療薬として知られており、子宮内膜病変に直接作用することにより、病巣組織の増殖を抑える働きを有している。ジエノゲストは、子宮内膜症のみならず、子宮筋腫の筋腫を縮小させるのにも有用であることが知られている(特許文献1)。しかしながら、ジエノゲストを子宮筋腫患者に投与した場合、過多月経、過長月経、及び不正出血等の症状が増悪し、重篤な貧血を引き起こす可能性がある。このため、ジエノゲストは、子宮内膜症に加えて子宮筋腫を併発している患者に対しては、「慎重投与」という扱いとなっている。WO99/20647号 本発明は、子宮筋腫に伴う子宮出血抑制用医薬を提供することを目的とする。より具体的には、子宮筋腫に伴う過多月経治療薬、子宮筋腫に伴う過長月経治療薬、及び子宮筋腫に伴う貧血治療薬を提供することを目的とする。 本発明者等は鋭意研究した結果、月経周期2〜5日目(卵胞期前記)に投与を開始することが定められているジエノゲストを、卵胞期後期から黄体期初期の間に投与を開始することにより、子宮筋腫に伴う子宮出血の量及び期間を抑制できることを見出した。この知見は、子宮筋腫患者に対してジエノゲストを投与すると、子宮出血を増悪させるという従来の知見とは逆の傾向であった。さらに、本発明者等は、卵胞期後期から黄体期初期の間に投与を開始するという投与スケジュールに従って、複数の月経周期連続で投与を行っても、子宮筋腫に伴う子宮出血の量及び期間を抑制できるという知見を得た。これらの知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明が完成した。即ち、本発明は、下記の態様を包含する。 項1.ジエノゲスト及びその溶媒和物よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、子宮筋腫に伴う子宮出血抑制用医薬。 項2.子宮筋腫に伴う過多月経治療薬である、請求項1に記載の子宮出血抑制用医薬。 項3.子宮筋腫に伴う過長月経治療薬である、請求項1又は2に記載の子宮出血抑制用医薬。 項4.子宮筋腫に伴う貧血治療薬である、請求項1〜3のいずれかに記載の子宮出血抑制用医薬。 項5.子宮筋腫が粘膜下筋腫である、請求項1〜4のいずれかに記載の子宮出血抑制用医薬。 項6.各月経周期において、卵胞期後期から黄体期初期の間に投与を開始するように用いられる、請求項1〜5のいずれかに記載の子宮出血抑制用医薬。 項7.前記卵胞期後期から黄体期初期の間が、月経周期10日目から排卵日後2日目の間である、請求項6に記載の子宮出血抑制用医薬。 項8.各月経周期において、投与期間が5〜15日となるように用いられる、請求項6又は7に記載の子宮出血抑制用医薬。 項9.各月経周期において、排卵日後5日目から月経開始日前日の間に投与を停止するように用いられる、請求項6〜8のいずれかに記載の子宮出血抑制用医薬。 項10.成人一日当りの投与量が0.5〜10mgとなるように用いられる、請求項6〜9のいずれかに記載の子宮出血抑制用医薬。 項11.子宮内膜の厚さを薄くするための医薬として用いられる、項1〜10のいずれかに記載の子宮出血抑制用医薬。 項12.黄体退縮を促すための医薬として用いられる、項1〜11のいずれかに記載の子宮出血抑制用医薬。 項13.黄体化を阻害するための医薬として用いられる、項1〜12のいずれかに記載の子宮出血抑制用医薬。 本発明によれば、子宮筋腫に伴う子宮出血抑制用医薬を提供することができる。さらに、子宮筋腫に伴う過多月経治療薬、子宮筋腫に伴う過長月経治療薬、及び子宮筋腫に伴う貧血治療薬をも提供することができる。また、子宮筋腫患者に、治療薬の新たな選択肢を提供することができる。さらに、子宮筋腫に伴う各種症状を治療することにより、患者のQOLをも改善することが可能となる。子宮筋腫は成人女性の4人に1人に見られるポピュラーなものであるため、本発明の意義は非常に大きい。子宮内膜の厚さを示す、子宮内膜の超音波画像である。黄体の大きさを示す、卵巣の超音波画像である。ジエノゲスト投与により月経期間が短縮したことを示すグラフである。ジエノゲスト投与により月経量が減少したことを示すグラフである。 本発明は、ジエノゲスト及びその溶媒和物よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、単に「ジエノゲスト」と略記することもある)を含有する、子宮筋腫に伴う子宮出血抑制用医薬(以下、単に「本発明の医薬」と示すこともある)に関する。 ジエノゲスト(17−hydroxy−3−oxo-19−nor−17α−pregna−4,9−diene−21−nitrile)は、下記式(1)に示される構造を有する既知化合物である。本化合物の性質および合成方法については、シュバート(Schubert)等、エルゼビアサイエンスパブリッシャーズ(ElsevierScience Publishers)編、ナチュラル・プロダクツ・ケミストリー1984(NaturalProducts Chemistry 1984)、1985年、143〜158頁に概要が述べられている。 ジエノゲストの溶媒和物としては、ジエノゲストと製薬学上許容される溶媒との溶媒和物である限り特に限定されない。製薬学上許容される溶媒としては、例えば、水、エタノール、グリセロール、及び酢酸等が挙げられる。ジエノゲストの溶媒和物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 子宮筋腫とは、子宮の筋層に存在する平滑筋細胞由来の良性腫瘍であり、腫瘍の存在部位によって粘膜下筋腫、筋層内筋腫、及び漿膜下筋腫に分類される。これらの中でも、例えば、一般的に子宮出血症状が起こり易い粘膜下筋腫が好ましく挙げられる。 子宮筋腫に伴う子宮出血とは、子宮筋腫患者において起こる、子宮内の出血である限り特に限定されない。具体的には、子宮内膜の脱落による出血(例えば月経周期に従って周期的に起こる出血(以下、「月経」と示すこともある))、筋腫の存在による月経以外の出血(例えば、子宮筋腫が粘膜下筋腫であった場合に筋腫により対側の子宮内膜が物理的に傷害されることによる出血等)が挙げられ、好ましくは子宮内膜の脱落による出血が挙げられ、より好ましくは月経が挙げられる。 子宮筋腫に伴う子宮出血抑制用とは、子宮筋腫に伴う子宮出血の量を減らす用途、子宮筋腫に伴う子宮出血が続く期間を短縮させる用途、又はその両方を意味する。 子宮筋腫患者においては、筋腫の存在に起因して、各月経周期における月経の量(以下、「月経量」と示すこともある)の増加(以下、「過多月経」と示すこともある)や、各月経周期において月経が続く期間(以下、「月経期間」と示すこともある)の延長(以下、「過長月経」と示すこともある)が生じ易い。したがって、子宮筋腫に伴う子宮出血を抑制することができる本発明の医薬は、子宮筋腫に伴う過多月経治療薬又は子宮筋腫に伴う過長月経治療薬としても用いることが可能である。 さらに、子宮筋腫患者は、過多月経や過長月経による子宮出血量の増加により、貧血の症状を呈することが多い。したがって、子宮筋腫に伴う子宮出血を抑制することができる本発明の医薬は、子宮筋腫に伴う貧血治療薬としても用いることが可能である。 本発明の医薬によれば、子宮内膜の厚さを薄くすることができる。また、排卵後の子宮内膜厚の増加を抑制することも可能である。さらに、本発明の医薬によれば、黄体退縮を促すことや、黄体化を阻害することも可能である。 本発明の医薬は、ジエノゲスト及びその溶媒和物よりなる群から選択される少なくとも1種そのものであることもできるし、ジエノゲストやその溶媒和物以外の有効成分(以下、単に「他の有効成分」と示すこともある)や薬学的に許容される添加剤(以下、単に「添加剤」と表記することもある)を含む組成物であることができる。 添加剤としては、例えば基剤、担体、溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、保湿剤、着色料、香料、及びキレート剤等が挙げられる。本発明の医薬が添加剤を含む場合は、剤形に応じた慣用の方法に従って添加剤を用いることにより、本発明の医薬を製造することができる。 本発明の医薬は、任意の剤形、例えば錠剤、丸剤、散剤、液剤、注射剤、懸濁剤、乳剤、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤等であることができるが、好ましくは錠剤である。 本発明の医薬中の、ジエノゲスト及びその溶媒和物よりなる群から選択される少なくとも1種の総量の含有量は、子宮筋腫に伴う子宮出血を抑制できる限り特に限定されない。例えば、0.01〜10mg、好ましくは0.5〜5mgであることができる。 本発明の医薬中の、ジエノゲスト及びその溶媒和物よりなる群から選択される少なくとも1種の総量の含有割合は、子宮筋腫に伴う子宮出血を抑制できる限り特に限定されない。例えば、0.01〜10重量%、好ましくは0.5〜5%であることができる。 本発明の医薬の投与対象は、子宮筋腫を有する患者である限り特に限定されず、子宮筋腫以外の疾患を併発している患者であってもよい。子宮筋腫を有する患者は、子宮内膜症や子宮腺筋症を併発していることが多いところ、例えばこれらの疾患を併発している患者も本発明の医薬の投与対象に含まれる。 本発明の医薬は、各月経周期において、卵胞期後期から黄体期初期の間に投与を開始するように用いられることを特徴としている。このような投与形態を採ることにより、本発明の医薬は子宮筋腫に伴う子宮出血を抑制することができる。 卵胞期後期から黄体期初期の間とは、排卵日前後の期間である限り特に限定されない。卵胞期後期から黄体期初期の間とは、具体的には、月経周期10日目から排卵日後2日目の期間であることができ、好ましくは月経周期11日目から排卵日後2日目の期間であることができ、より好ましくは月経周期12日目から排卵日後2日目の期間であることができる。 各月経周期における投与期間の長さは、特に限定されない。各月経周期における投与期間の長さの下限は、好ましくは5日以上、より好ましくは8日以上、さらに好ましくは10日以上であることができる。各月経周期における投与期間の長さの上限は、好ましくは21日以下、より好ましくは18日以下、さらに好ましくは16日以下、とりわけ好ましくは14日以下であることができる。具体的には、5〜21日であることができ、好ましくは5〜18日、より好ましくは5〜15日、さらに好ましくは9〜15日、とりわけ好ましくは10〜14日、あるいは9〜11日であることができる。 投与の停止日は、各月経周期において、次の月経開始日前日以前である限り特に限定されない。投与の停止日は、具体的には、排卵日後5日目から月経開始日前日の間であることができ、好ましくは排卵日後5日目から排卵日後12日目の間であることができ、より好ましくは排卵日後5日目から排卵日後11日目の間であることができ、さらに好ましくは排卵日後6日目から排卵日後10日目の間であることができ、よりさらに好ましくは排卵日後7日目から排卵日後9日目の間であることができる。 なお、月経周期は、月経開始日を1日目として数える。また、排卵日後X日目とは、排卵日を0日目として数える。すなわち排卵日後1日目とは排卵日の翌日を意味する。 排卵日は、公知の方法に従って、基礎体温や各種ホルモン量(例えば血中濃度)を測定することにより決定することができる。或いは、超音波検査によって、排卵された卵を確認することによって決定することもできる。 本発明の予防又は治療用医薬の投与経路としては、特に限定されず、経口投与、経管栄養、及び注腸投与等の経腸投与; 経静脈投与、経動脈投与、筋肉内投与、心臓内投与、皮下投与、皮内投与、及び腹腔内投与等の非経口投与を採用することができる。ジエノゲストは経口投与によってもバイオアベイラビリティーが高いことから、簡便性の観点から、経口投与が好ましく挙げられる。 本発明の医薬の1日当りの投与量は、患者の状態及び医師の判断等に従って決定されるものであり、特に限定されないが、例えば体重60kgの成人に対して、0.5〜10mgを投与することができる。投与は、1日に、複数回(例えば2〜5回)に分けて行ってもよい。複数回投与する場合は、1日当りの投与量が上記量となるように、1回当たりの投与量を定めることができる。 本発明の医薬は、必要に応じて他の医薬と併用して用いられてもよい。例えば、子宮筋腫治療薬、併発する子宮内膜症や子宮腺筋症治療薬、月経困難症治療薬、鎮痛薬、止血剤等が挙げられる。子宮筋腫治療薬、子宮内膜症、子宮腺筋症治療薬及び/又は月経困難症治療薬としては、例えば、GnRHアゴニスト、LHRH誘導体、GnRHアンタゴニスト、LHRHアンタゴニスト、ピル、低用量ピル、卵胞ホルモン・黄体ホルモン混合製剤、ダナゾール等が挙げられる。鎮痛剤としては、例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム等のNSAIDs等が挙げられる。止血剤としては、例えば、トラネキサム酸、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム水和物、止血作用のある漢方薬(例えば、きゅう帰膠艾湯等)、ピル、低用量ピル等が挙げられる。 以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。 試験例1:ジエノゲスト投与試験(投与スケジュールの検討) ジエノゲストを、各投与スケジュールに従って投与し、不正出血の有無、月経期間、月経量、子宮内膜の厚さ、黄体の大きさ、及び各種ホルモンの血中濃度を評価した。具体的には次のように行った。 [投与試験] 投与試験の被験者として、粘膜下筋腫(筋腫直径1.5〜3.0 cm大、突出率50〜80%)を有する子宮筋腫患者を4名(被験者a〜d)選択した。各被験者に対して、下記表1に示す投与スケジュール(投与スケジュールA〜C)のいずれかで投与を行い、その後、さらに投与スケジュールA〜Cのいずれかで投与を行うことにより、被験者1人当たり2回の投与試験を行った。2回の投与試験は、連続した月経周期で行った。なお、投与スケジュールb及びcの投与開始日の基準である排卵日は、体温測定等により予測し、最終的に超音波画像で排卵された卵を確認することによって決定した。投与期間中は、ジエノゲスト1 mgを含有するディナゲスト錠(持田製薬株式会社製)を、1日2回(朝食後及び夕食後)、経口投与した(ジエノゲスト2 mg/day)。 [不正出血の有無] 各被験者に対して各投与試験中及び終了後の不正出血の有無を聞いた。その結果、投与スケジュールA〜Cのいずれにおいても、不正出血は起こらなかった。 [月経期間及び月経量] 各被験者から、各投与試験終了後の最初の月経における、月経開始日(出血が始まった日)及び月経終了日(出血が止まった日)を聞き、これに基づいて各投与試験終了後の月経期間(月経開始日から月経終了日までの期間)を求め、この月経期間を、同様に求めた投与試験開始前の月経期間と比較した。同時に、各被験者にから、各投与試験終了後の最初の月経における出血量(月経量)が、投与試験開始前の月経量に比べて何割程度であったかを聞いた。結果を下記表2に示す。 表2に示されるように、投与スケジュールA及びBで投与試験を行った場合は、投与によって、月経期間が短縮し、更に月経量も減少した。一方、投与スケジュールCで投与試験を行った場合は、投与による月経期間の短縮及び月経量の減少が起こらず、寧ろ月経期間の延長が認められた。 [子宮内膜の厚さ及び黄体の大きさ] 投与開始7日目に子宮内膜及び卵巣の超音波検査を行い、子宮内膜の厚さ及び黄体の大きさを測定した。子宮内膜の観察画像の一例を図1に示し、卵巣の観察画像の一例を図2に示す。図1に示されるように、投与スケジュールBで投与試験を行った場合、投与スケジュールCで投与試験を行った場合に比べて、子宮内膜の厚さが大幅に薄くなっていた。また、図2に示されるように、投与スケジュールBで投与試験を行った場合、投与スケジュールCで投与試験を行った場合に比べて、黄体が退縮していた。 [各種ホルモンの血中濃度] 投与開始7日目に採血し、血液中の、LH(黄体化ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)、E2(エストラジオール)、及びP4(プロゲステロン)の濃度を測定した。なお、測定はキット(Eテスト「TOSOH」II(LHII)、Eテスト「TOSOH」II(FSH)、Eテスト「TOSOH」II(E2)、Eテスト「TOSOH」II(プロゲステロン) 東ソー株式会社)を使用した。また、測定機器はAIU2000 TOSOHを用いた。結果の一例を下記表3に示す。 表3に示されるように、投与スケジュールBで投与試験を行った場合、投与スケジュールCで投与試験を行った場合に比べて、E2及びP4の濃度が減少していた。このことから、投与スケジュールBで投与試験を行った場合は黄体化が阻害されていることが示唆された。 試験例2:ジエノゲスト投与試験(複数月経周期連続投与) ジェノゲストを、複数月経周期連続で投与し、月経期間及び月経量を評価した。具体的には次のように行った。 [投与試験] 投与試験の被験者として、粘膜下筋腫(筋腫直径1.5〜3.0 cm大、突出率50〜80%)を有する子宮筋腫患者を5名(被験者e〜i)選択した。各被験者に対して、各月経周期において、投与スケジュールA(月経周期12日目(排卵日前)に投与を開始し、10日間投与)を行った。被験者eには連続して4月経周期の投与を行い、被験者f〜hには連続して3月経周期の投与を行い、被験者iには連続して2月経周期の投与を行った。投与期間中は、ジエノゲスト1 mgを含有するディナゲスト錠(持田製薬株式会社製)を、1日2回(朝食後及び夕食後)、経口投与した(ジエノゲスト2 mg/day)。 [月経期間及び月経量] 投与試験中の複数の投与スケジュールAそれぞれが終了した後の最初の月経において、試験例1と同様に月経期間、及び月経量が投与試験開始前の月経量に比べて何割程度であったかを求めた。さらに、求めた値の平均値を算出し、グラフ化した。月経期間を表すグラスを図3に示し、月経量を表すグラフを図4に示す。図3及び4に示されるように、投与スケジュールAに従って投与することにより、月経期間が短縮し、更に月経量も減少した。 試験例3:ジエノゲスト投与試験(投与開始日、及び投与期間の検討) ジエノゲストを、各投与スケジュールに従って投与し、月経期間、月経量、及び子宮内膜の厚さを評価した。具体的には次のように行った。 [投与試験] 投与試験の被験者として、粘膜下筋腫を有する子宮筋腫患者2名(被験者j及びk)を選択した。各被験者に対して、下記表4に示す投与スケジュールでジエノゲストの投与を行った。被験者jには連続して3月経周期の投与を行い、被験者kには1月経周期のみの投与を行った。 [月経期間及び月経量] 投与試験終了後の最初の月経において、試験例1と同様に月経期間、及び月経量が投与試験開始前の月経量に比べて何割程度であったかを求めた。結果を下記表5に示す。 表5の示されるように、ジエノゲストの投与開始日を月経周期10日目、あるいは、月経周期12日目とし、投与期間を14日間とした場合でも、月経期間(子宮出血の期間)の短縮と月経量(子宮出血の量)を減少がみられた。また、ジエノゲストの投与期間を14日間とすることにより、試験例1の10日間投与した場合と比較して、月経周期(月経開始日から次の月経開始日までの期間)を数日延長するメリットが得られた。 [子宮内膜の厚さ] 被験者kの子宮内膜の厚さを、月経周期10日目(投与試験開始前)、月経周期16日目(投与開始から7日目)、及び月経周期23日目(投与開始から14日目)に、試験例1と同様に超音波検査により測定した。 その結果、子宮内膜の厚さは、月経周期10日目は、5.9 mm、月経周期16日目は、3.3 mm、月経周期23日目は、5.6 mmであった。一般的に、排卵後の子宮内膜の厚さは、8 mm以上である。しかし、ジエノゲストの投与により、排卵後である月経周期16日目及び月経周期23日目の子宮内膜は、厚くなっておらず、薄く維持されたことが分かった。ジエノゲスト及びその溶媒和物よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、子宮筋腫に伴う子宮出血抑制用医薬。子宮筋腫に伴う過多月経治療薬である、請求項1に記載の子宮出血抑制用医薬。子宮筋腫に伴う過長月経治療薬である、請求項1又は2に記載の子宮出血抑制用医薬。子宮筋腫に伴う貧血治療薬である、請求項1〜3のいずれかに記載の子宮出血抑制用医薬。子宮筋腫が粘膜下筋腫である、請求項1〜4のいずれかに記載の子宮出血抑制用医薬。各月経周期において、卵胞期後期から黄体期初期の間に投与を開始するように用いられる、請求項1〜5のいずれかに記載の子宮出血抑制用医薬。前記卵胞期後期から黄体期初期の間が、月経周期10日目から排卵日後2日目の間である、請求項6に記載の子宮出血抑制用医薬。各月経周期において、投与期間が5〜15日となるように用いられる、請求項6又は7に記載の子宮出血抑制用医薬。各月経周期において、排卵日後5日目から月経開始日前日の間に投与を停止するように用いられる、請求項6〜8のいずれかに記載の子宮出血抑制用医薬。成人一日当りの投与量が0.5〜10mgとなるように用いられる、請求項6〜9のいずれかに記載の子宮出血抑制用医薬。 【課題】子宮筋腫に伴う子宮出血抑制用医薬を提供することを目的とする。より具体的には、子宮筋腫に伴う過多月経治療薬、子宮筋腫に伴う過長月経治療薬、及び子宮筋腫に伴う貧血治療薬を提供することを目的とする。【解決手段】ジエノゲスト及びその溶媒和物よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、子宮筋腫に伴う子宮出血抑制用医薬。【選択図】なし


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