生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_シクロベンザプリンを使用してうつ病を処置するための方法および組成物
出願番号:2013557811
年次:2014
IPC分類:A61K 31/137,A61K 9/20,A61K 9/70,A61P 25/24,A61K 45/00


特許情報キャッシュ

レーデルマン, セス JP 2014507475 公表特許公報(A) 20140327 2013557811 20120306 シクロベンザプリンを使用してうつ病を処置するための方法および組成物 トニックス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド 513224065 山本 秀策 100078282 森下 夏樹 100113413 飯田 貴敏 100181674 石川 大輔 100181641 山本 健策 230113332 レーデルマン, セス US 61/449,838 20110307 A61K 31/137 20060101AFI20140228BHJP A61K 9/20 20060101ALI20140228BHJP A61K 9/70 20060101ALI20140228BHJP A61P 25/24 20060101ALI20140228BHJP A61K 45/00 20060101ALI20140228BHJP JPA61K31/137A61K9/20A61K9/70A61P25/24A61K45/00 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN US2012027926 20120306 WO2012122193 20120913 11 20130904 4C076 4C084 4C206 4C076AA36 4C076AA44 4C076AA89 4C076BB02 4C076BB22 4C076CC01 4C076DD28H 4C076DD29H 4C076DD41C 4C076DD67 4C076EE32H 4C076EE38 4C076FF21 4C084AA19 4C084MA32 4C084MA35 4C084MA57 4C084NA05 4C084NA10 4C084NA14 4C084ZA121 4C084ZA122 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA07 4C206KA05 4C206MA01 4C206MA02 4C206MA04 4C206MA52 4C206MA55 4C206MA72 4C206MA77 4C206NA05 4C206NA10 4C206NA14 4C206ZA12 (発明の分野) 本発明は、うつ病の処置または予防のための方法、ならびに関連する薬学的組成物に関する。特に重要であるのは、単独で、または抗うつ薬との組み合わせにおいて、シクロベンザプリンを含む薬学的組成物である。 (発明の背景) シクロベンザプリン、または3−(5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−イリデン)−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンは、局所由来の急性筋痙攣の処置について、1977年に米国食品医薬品局によって初めて承認された(非特許文献1)。シクロベンザプリンはまた、線維筋痛症の処置において研究されてきた。120名の線維筋痛症患者の研究において、12週間の期間にわたってシクロベンザプリン(10〜40mg)を受けた者は、睡眠の質および疼痛スコアを顕著に改善した。圧痛点および筋緊張の総数もまた減少した。 さらに、睡眠の質を改善するための薬剤としての、眠りを深くする薬剤(sleep deepener)としての、または睡眠疾患(sleep disturbance)を処置するための非常に低用量のシクロベンザプリンの有用性が、調査されてきた。上記非常に低投与量のレジメンは、線維筋痛症候群、長期の疲労、慢性疲労、慢性疲労症候群、睡眠障害(sleep disorder)、心因性疼痛障害、慢性疼痛症候群(II型)、薬物の投与、自己免疫疾患、ストレスもしくは不安によって引き起こされるか、これらによって増悪するか、またはこれらと関連する睡眠疾患を処置することにおいて、あるいは睡眠疾患によって引き起こされるか、もしくはこれによって増悪する病気ならびにこのような病気および全般性不安障害の症状を処置するために、特に有用であると総説された。特許文献1および特許文献2(本明細書に参考として援用される)を参照のこと。 最小限の副作用でうつ病を改善する新たな方法および薬学的組成物を開発することは、重要である。米国特許第6,395,788号明細書米国特許第6,358,944号明細書Katz, W., et al., Cyclobenzaprine in the Treatment of Acute Muscle Spasm: Review of a Decade of Clinical Experience, Clinical Therapeutics 10:216−228 (1988) (発明の要旨) 一局面において、本発明は、うつ病を処置する方法であり、上記方法は、このような処置を必要とするヒトに、治療上有効な量のシクロベンザプリンおよび治療上有効なキャリアを含む薬学的組成物を投与する工程を包含し、ここでこのような処置は、上記うつ病を改善または排除する。代表的には、上記シクロベンザプリンは、就寝前に投与される。一般に、上記用量は、5mg/日未満である。抗うつ薬は、逐次的にまたは同時に投与され得る。第2の局面において、本発明は、抗うつ薬との組み合わせにおいて、治療上有効な量のシクロベンザプリンを含む薬学的組成物である。 (発明の詳細な説明) 本発明者らは、シクロベンザプリン処置が線維筋痛症患者におけるHAD抑うつサブスコア(Depression subscore)における顕著な改善と関連することを発見した。HAD尺度(The Hospital Anxiety and Depression Scale)(HAD)は、0〜42の範囲に及ぶ14の質問(7つの「不安」および7つの「抑うつ」に関する質問)を有する広く使用されている患者の自己評価尺度である。従って、本発明者らは、低用量のシクロベンザプリンが、うつ病(大うつ病性障害を含む)を処置するために有効であると考える。従って、本発明の一局面は、非常に低用量のシクロベンザプリンを使用して、うつ病(大うつ病性障害を含む)を処置する方法である。 「シクロベンザプリン」は、シクロベンザプリンもしくはその代謝産物、シクロベンザプリンのプロドラッグまたはその代謝産物を含む。本発明の方法に従って有用なシクロベンザプリンの代謝産物は、抑うつ症状を改善することにおいてシクロベンザプリンと実質的に同じかまたはより良好な活性を有する代謝産物である。本発明に従って有用であり得るシクロベンザプリン代謝産物としては、CBP 10,11−トランス−ジヒドリオール(CBP 10,11−trans−dihydriol)、N−デスメチル−2−ヒドロキシシクロベンザプリン、3−ヒドロキシシクロベンザプリン、N−デスメチルシクロベンザプリン、シクロベンザプリンN−オキシドまたはこれら代謝産物のキラル異性体が挙げられる。シクロベンザプリンのプロドラッグは、インビボで活性薬剤へと代謝されるシクロベンザプリンの誘導体である。本発明に従って有用なプロドラッグは、うつ病の症状を処置または予防することにおいて、シクロベンザプリンと実質的に同じかまたはより良好な活性を有するプロドラッグである。プロドラッグを作製する方法は、当該分野で容易に公知である(例えば、Balant, L. P., Prodrugs for the Improvement of Drug Absorption Via Different Routes of Administration, Eur. J. Drug Metab. Pharmacokinet. 15:143−153 (1990);およびBundgaard, H., Novel Chemical Approaches in Prodrug Design, Drugs of the Future 16:443−458 (1991);本明細書に参考として援用される)。 本明細書で使用される場合、本発明の目的でのシクロベンザプリンの「治療上有効な量」とは、うつ病を予防または改善または排除する上記化合物の量をいう。医師は、症状が予防または改善または排除される場合に、例えば、被験体の臨床的観察を介して、または処置の過程の間の上記被験体による症状の報告を介して、容易に決定し得る。当業者は、上記被験体の大きさ、体重、年齢および性別、疾患浸透(disease penetration)の程度または症状の持続性および重篤度、ならびに投与経路のような要因を考慮に入れることによって、投与されるべきシクロベンザプリンの有効量を容易に決定し得る。一般に、被験体に投与されるシクロベンザプリンの治療上有効な量は、0.1mg〜約50mg/日の間、0.5〜約10mg/日の間、1mg〜5mg/日の間、または1〜4mg/日の間である。より高いまたはより低い用量もまた、企図される。 一実施形態において、上記シクロベンザプリンは、より高用量で認められる副作用を最小限にするために、非常に低用量で投与される。上記低用量は、5mg/日未満または2.5mg/日未満の用量を含む。さらに低い用量もまた、企図される。一般に、シクロベンザプリン治療は、目的の症状を改善するために無期限に行われ得、投与頻度は、必要に応じて服用するように変更され得る。処置期間は、抑うつ症状を改善するために必要な程度に長い間行われるべきであり、上記シクロベンザプリンは、夜間におよび適切な用量において投与されるべきである。例えば、上記用量は、1mg/日、2mg/日、3mg/日または4mg/日であり得る。 本発明の別の実施形態において、シクロベンザプリンは、うつ病の症状を改善する薬物と組み合わせて投与される。上記薬物は、上記シクロベンザプリンと、逐次的に投与されてもよいし、同時に投与されてもよい。上記薬物としては、α−1−アドレナリンレセプターアンタゴニスト、β−アドレナリンアンタゴニスト、抗痙攣薬、選択的セロトニン再取り込みインヒビターまたはセロトニン−ノルエピネフリン再取り込みインヒビターが挙げられる。例示的な選択的セロトニン再取り込みインヒビターまたはセロトニン−ノルエピネフリン再取り込みインヒビターとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ブプロピオン(buproprion)(約105mg〜450mg/日の間の用量において)、シタロプラム(約10mg〜40mg/日の間の用量において)、デスベラファキシン(約50mg〜400mg/日の間の用量において)、デュロキセチン(約40mg〜120mg/日の間の用量において)、エスシタロプラム(約10mg〜20mg/日の間の用量において)、フルオキセチン(約20mg〜80mg/日の間の用量において)、フルボキサミン(約100mg〜300mg/日の間の用量において)、ミルナシプラン(約30mg〜200mg/日の間の用量において)、パロキセチン(約20mg〜50mg/日の間の用量において)、セルトラリン(約50mg〜200mg/日の間の用量において)、トラゾドン(tradodone)(約150mg〜600mg/日の間の用量において)、およびベンラファキシン(約75mg〜225mg/日の間の用量において)。例示的な抗痙攣薬としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:カルバマゼピン(約400mg〜1200mg/日の間の用量において)、ガバペンチン(約900〜1800mg/日の間の用量において)、ラモトリギン(約100mg〜400mg/日の間の用量において)、オクスカルバゼピン(約1200mg〜2400mg/日の間の用量において)、プレガバリン(約150mg〜600mg/日の間の用量において)、チアガビン(約32mg〜56mg/日の間の用量において)、トピラマート(約200mg〜400mg/日の間の用量において)、およびバルプロエート(約1200mg〜1500mgの間の用量において)。例示的なα−1−アドレナリンレセプターアンタゴニストとしては、約0.5mg〜15mg/日の間の用量において投与されるプラゾシンが挙げられるが、これらに限定されない。 一般に、上記薬学的組成物中のシクロベンザプリンの量は、0.1mg〜約50mgの間、0.5〜約30mgの間、または1mg〜20mgの間である。より高い用量またはより低い用量もまた企図される。1つの特定の実施形態において、シクロベンザプリンの量は、より高い量で認められる副作用を最小限にするために、非常に低い。上記非常に低い量は、10mg未満または5mg未満または2.5mg未満の量である。さらに低い量もまた、企図される。本発明の別の実施形態において、シクロベンザプリンは、うつ病の症状をさらに改善し得る薬物と組み合わされる。上記薬物としては、α−1−アドレナリンレセプターアンタゴニスト、β−アドレナリンアンタゴニスト、抗痙攣薬、選択的セロトニン再取り込みインヒビターまたはセロトニン−ノルエピネフリン再取り込みインヒビターが挙げられる。例示的な抗痙攣薬としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:カルバマゼピン(400mg〜1200mg)、ガバペンチン(900mg〜1800mg)、ラモトリギン(100mg〜400mg)、オクスカルバゼピン(1200mg〜2400mg)、プレガバリン(150mg〜600mg)、チアガビン(32mg〜56mg)、トピラマート(200mg〜400mg)、およびバルプロエート(1200mg〜1500mg)。例示的なα−1−アドレナリンレセプターアンタゴニストとしては、約0.5mg〜15mgの量のプラゾシンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な選択的セロトニン再取り込みインヒビターは、エスシタロプラムである(10mg〜20mgの量において)。 任意の適切な投与経路が、有効投与量のシクロベンザプリンを上記患者に提供するために使用され得る。例えば、口内、経口、直腸、非経口、経皮、皮下、舌下、鼻内、筋肉内、鞘内などが、適切である場合に、使用され得る。用語、非経口とは、本明細書で使用される場合、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内(intrasynovial)、胸骨内、鞘内、病変内および頭蓋内の、注射または注入の技術を含む。投与形態としては、錠剤(例えば、刻み目が付けられた錠剤、コーティングされた錠剤、または口腔内溶解錠剤);薄膜、カプレット剤、カプセル剤(例えば、硬質ゼラチンカプセル剤)、トローチ剤、糖衣錠、分散物、懸濁剤、液剤、パッチなど(当該分野で周知の徐放性処方物を含む)が挙げられる。1つの好ましい実施形態において、上記投与形態は、口腔内溶解錠剤または薄膜である。 「薬学的に受容可能なキャリア」とは、上記処方物の他の成分と適合性であり、レシピエントに対して有害でない任意の希釈剤または賦形剤を意味する。上記薬学的に受容可能なキャリアは、標準的な製薬実務に従って、所望の投与経路に基づいて選択され得る。非経口投与のための本発明の薬学的組成物は、水性もしくは非水性の液剤、分散物、懸濁剤またはエマルジョンの形態をとり得る。非経口投与のための本発明の薬学的組成物を調製するにあたって、シクロベンザプリンは、適切な薬学的に受容可能なキャリア(例えば、水、油(特に、植物油)、エタノール、生理食塩水(例えば、通常生理食塩水)、水性デキストロース(グルコース)および関連する糖溶液、グリセロール、またはグリコール(例えば、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール)と混合され得る。非経口投与のための本発明の薬学的組成物は、好ましくは、シクロベンザプリンの水溶性塩を含む。安定化剤、抗酸化剤および保存剤はまた、上記非経口投与のための薬学的組成物に添加され得る。適切な抗酸化剤としては、スルファイト、アスコルビン酸、クエン酸およびその塩、ならびにEDTAナトリウムが挙げられる。適切な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、メチルパラベンまたはプロピルパラベン、およびクロロブタノール(chlorbutanol)が挙げられる。 経口投与のための本発明の薬学的組成物を調製するにあたって、シクロベンザプリンは、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤もしくは他の適切な経口投与形態を形成するために1種以上の固体または液体の不活性成分と組み合わされ得る。例えば、シクロベンザプリンは、少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリア(例えば、溶媒、充填剤、結合剤、湿潤剤(humectant)、崩壊剤、溶解抑制剤(solution retarder)、吸収促進剤、湿潤剤(wetting agent)、吸収剤または滑沢剤と組み合わされ得る。一実施形態において、シクロベンザプリンは、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ステアリン酸マグネシウム、マンニトールまたはデンプンと組み合わされ、従来の錠剤形成法によって錠剤へと形成される。 本発明の薬学的組成物は、経口/GI経路よりも迅速な吸収を提供するために、およびCYP3A基質としてのシトクロムP−450 3A4によるシクロベンザプリンの初回通過肝臓代謝を迂回するために、薄膜処方物および口腔内溶解錠剤を含む口内吸収を提供するように処方され得る。好ましくは、本発明の制御放出薬学的組成物は、所定の期間にわたって実質的に一定なまたは所望の薬理学的活性を維持し、吸収に対する食事の影響を低下または除去し、そして低下した最終排出相で身体からの上記薬物および代謝産物の排除を提供するように、シクロベンザプリンを被験体へと迅速に開始して放出し得る。 本発明の薬学的組成物はまた、被験体へと上記組成物を投与したときに、シクロベンザプリンの制御放出を提供するように処方され得る。好ましくは、本発明の制御放出薬学的組成物は、所定の期間にわたって実質的に一定なまたは所望の薬理学的活性を維持するように、所望の速度で被験体へとシクロベンザプリンを放出し得る。本明細書で使用される場合、「制御放出成分」とは、特定の生理学的化合物または条件への曝露のときに、上記被験体へとシクロベンザプリンの制御放出を誘導する化合物(例えば、脂質もしくは脂質の混合物、リポソームおよび/またはマイクロスフェア)である。例えば、上記制御放出成分は、生分解性であり得るか、特定のpHもしくは温度への曝露によって、水性環境への曝露によって、または酵素への曝露によって活性化され得る。 本発明の制御放出薬学的組成物の処方は、当該分野の技術範囲内である。本発明における使用に適した制御放出処方物は、例えば、米国特許第5,674,533号(液体投与形態)、米国特許第5,591,767号(液体レザバ経皮パッチ)、米国特許第5,120,548号(膨潤性ポリマーを含むデバイス)、米国特許第5,073,543号(ガングリオシド−リポソームビヒクル)、米国特許第5,639,476号(疎水性アクリルポリマーでコーティングされた安定な固体処方物)(これらの開示全体は、本明細書に参考として援用される)に記載される。 生分解性微粒子はまた、例えば、米国特許第5,354,566号および同第5,733,566号(これらの開示全体は、本明細書に参考として援用される)に記載されるように、本発明における使用に適した制御放出薬学的組成物を処方するために使用され得る。 一実施形態において、本発明の制御放出薬学的組成物は、シクロベンザプリンおよび制御放出成分を含む。本明細書で使用される場合「制御放出成分」は、特定の生理学的化合物または条件への曝露のときに、上記被験体へとシクロベンザプリンの制御放出を誘導する化合物(例えば、ポリマー、ポリマーマトリクス、ゲル、透過膜、リポソームおよび/またはマイクロスフェア)である。例えば、上記制御放出成分は、生分解性であり得るか、特定のpHもしくは温度への曝露によって、水性環境への曝露によって、または酵素への曝露によって活性化され得る。特定の温度への曝露によって活性化される制御放出成分の例は、ゾル−ゲルである。この実施形態において、シクロベンザプリンは、室温において固体であるゾル−ゲルマトリクスへと組み込まれる。このゾル−ゲルマトリクスは、上記ゾル−ゲルマトリクスのゲル形成を誘導するのに十分高い体温を有する被験体へと移植され、それによって、上記被験体へ上記活性成分を放出する。 一実施形態において、本発明の薬学的組成物は、シクロベンザプリンおよびミセルを形成する成分を含み得る。シクロベンザプリンを含むミセルは、胃および近位小腸において、吸収を促進する。特定の温度への曝露によって活性化されるミセル成分の例は、米国特許第6,761,903号;同第6,720,001号;同第6,383,471号;同第6,309,663号;同第6,267,985号;および同第6,248,363号(本明細書に参考として援用される)において見いだされる。この実施形態において、シクロベンザプリンは、軟質ゲルカプセルへと組み込まれる。このような成分は、「食事の影響(food effect)」といわれる吸収の増加を摸倣し得、このような処方物は、食事源から上記「食事の影響」を排除することによって、より推測可能な吸収を提供し得る。 本発明の組成物は、鼻のエアロゾルまたは吸入によって投与され得る。このような組成物は、薬学的処方物の分野において周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または当該分野で公知の他の可溶化剤もしくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製され得る。 ヒトの予防または処置における上記活性成分(すなわち、シクロベンザプリンまたはその代謝産物)の予防的用量または治療的用量の大きさは、苦痛のタイプ、上記患者の苦痛の重篤度および投与経路に伴って変動する。上記用量および投与頻度はまた、個々の患者の年齢、体重および応答に従って変動する。しかし、上記投与量は、1日あたり5mg未満である。好ましい実施形態において、1用量は、深さの達成、睡眠の回復を促進するために、就寝前にまたは就寝の数時間前までに与えられる。就寝は、ある個体が最も長い睡眠周期に引き込まれる1日のうちの任意の時間であり得る。 上記の処置方法のうちのいずれかは、上記処置の結果を改善するために、精神療法介入と組み合わされ得る。特に重要なのは、抑うつを低下させる点からみると、改善に指向される精神療法介入である。 シトクロム CYP3A4、CYP1A2、CYP3AおよびCYP2G6を測定するための薬理ゲノミクス試験は、個人に合わせた医薬において特定の患者によるシクロベンザプリンの代謝を推定するために使用され得る。従って、本発明は、このような処置を必要とするヒトに投与されるべきシクロベンザプリンの有効用量を選択して、シクロベンザプリン代謝におけるバリエーションを補正する方法である。上記方法は、上記ヒトから遺伝子サンプルを得る工程、および例えば、遺伝子チップまたはPCR技術を使用して、上記遺伝子のうちの1つ以上の対立遺伝子を同定することによって、上記ヒトのCYP1A2、CYP3A4、CYP3AまたはCYP2G6遺伝子型を同定する工程を包含する。異なる対立遺伝子は、シクロベンザプリンを異なる速度で代謝する。シクロベンザプリンを迅速に代謝すると同定されたシトクロム対立遺伝子を有する個体については、より高い用量のシクロベンザプリンが投与される。シクロベンザプリンをゆっくりと代謝すると同定された対立遺伝子を有する個体については、より低い用量のシクロベンザプリンが投与される。上記遺伝子試験は、キットとして、医師/研究室試験サービスへと、上記製品とともに販売され得る。 本発明がより完全に理解されるように、以下の実施例が示される。これら実施例は、例示の目的であるに過ぎず、本発明の範囲を限定するとは如何様にも解釈されるべきではない。本発明の実施は、以下の非限定的実施例によって例示される。 (実施例1:錠剤処方物) コーティングされた錠剤のための代表的な経口用処方物は、以下からなる:1錠剤あたりの処方量(mg) シクロベンザプリン 1.0、ラクトース 74.0、コーンスターチ 35.0、水(1000錠剤あたり) 30.0ml、ステアリン酸マグネシウム 1.0、コーンスターチ 25.0。上記活性成分(シクロベンザプリン)を、均質なブレンドが形成されるまで、上記ラクトースとブレンドする。少量のコーンスターチを、適切な量の水とブレンドして、コーンスターチペーストを形成する。次いで、これを、均質な湿潤な塊が形成されるまで、上記均質なブレンドと混合する。残りのコーンスターチを、得られた湿潤な塊に添加し、均質な顆粒が得られるまで混合する。次いで、上記顆粒を、1/4インチステンレス鋼スクリーンを使用して、適切な製粉機を介して、スクリーニングする。次いで、上記製粉された顆粒を、所望の水分含有量が得られるまで、適切な乾燥オーブン中で乾燥させる。次いで、上記乾燥させた顆粒を、1/4メッシュステンレス鋼スクリーンを使用して、適切な製粉機を介して製粉する。次いで、上記ステアリン酸マグネシウムをブレンドし、得られた混合物を、所望の形状、厚み、硬度および崩壊の錠剤へと圧縮する。 錠剤を、標準的な水性または非水性技術によってコーティングする。例えば、2.5mgのヒドロキシプロピルメチルセルロースを、25mgの脱イオン水中に溶解し得る。1.88mgのタルク、0.5mgの二酸化チタン、0.1mgの黄色酸化鉄、および0.02mgの赤色酸化鉄の水性(10mg)懸濁物を、この溶液へと撹拌する。上記コーティング懸濁物を、上記錠剤にスプレーし、上記被覆された錠剤を、45℃において一晩乾燥させる。 (実施例2:うつ病のためのVLD Cycloの最適化されたゲルキャップ処方物の開発) 本発明者らは、上部GI吸収を早める(なぜなら、下部GI吸収は、既存の処方物における最終排出相を長くし得るからである)、吸収効率を増大させる(胃および近位小腸において);食事の影響(これは、シクロベンザプリンのAmrix処方物に対して20%である)を低下または排除する、および排除を早めると予測される、シクロベンザプリンを含むミセルを形成するために脂質の特定の混合物を使用する新規なゲルキャップ(KRL103)を開発中である。上記ゲルキャップ処方物は、投与量の正確性の増大;朝の「薬酔い(hangover)」の可能性の低下;および潜在的により迅速な睡眠誘導を生じると予測される。 (実施例3:うつ病の処置) スクリーニングした集団中の線維筋痛症(American College of Rheumatology (ACR),1990基準)を有する37名の患者のうち、36名を無作為化し、33名が、就寝前の非常に低用量のシクロベンザプリン(VLD CBP)1〜4mgというこの8週間の二重盲検プラセボ制御用量段階的上昇研究を完了した。本発明者らは、上記処置した集団(n=36)において、主観的症状における変化および客観的睡眠尺度を評価した(疼痛、圧痛(疼痛測定)、疲労、気分[HAD尺度(HAD)]およびEEG睡眠生理学(スクリーニング時、ベースライン時、ならびに2週間目、4週間目および8週間目を含む)。 HAD尺度(HAD)。HAD尺度(HAD)は、0〜42の範囲に及ぶ14の質問(7つの「不安」および7つの「抑うつ」に関する質問)を有する広く使用されている患者の自己評価尺度である。VLD CBPを受けた被験体について、上位HAD尺度は、13.7(ベースライン時)から10.4(8週間目)へと変化した。これは、3.3(24.1%,p=0.012)の低下(または改善)であった。対照的に、プラセボ処置は、HAD尺度において実質的に有意な変化を生じなかった。これは、15.7(ベースライン時)および15.1(8週間目)(−3.8%,p=0.459)であった。上記VLD CBP群とプラセボ群との間のベースラインからの変化の比較(8週間目)から、上記HAD尺度に対するVLD CBP処置の有意な効果が明らかにならなかった。 上記HADうつ病サブスケールスコアもまた、分析した。VLD CBPを受けた被験体については、上記HADうつ病サブスケールは、6.3(ベースライン時)から4.9(8週間目)へと変化した。これは、1.4(22.2%,p=0.017)の低下(または改善)であった。対照的に、プラセボ処置は、群内HADうつ病サブスケールにおいて6.7(ベースライン時)から7.4(8週間目)へと、実質的に有意な変化を生じなかった。これは、0.7(10.4%,p=0.319)の増大であった。上記VLD CBP群とプラセボ群との間のベースラインからの変化の比較(8週間目)から、VLD CBP処置が上記HADうつ病サブスコアにおける有意な改善(p=0.023)と関連することを明らかにした。 本明細書で引用される全ての参考文献は、参考として援用される。本発明は、その趣旨またはその本質的な特性から逸脱することなく、他の具体的な形態において具現化され得、よって、本発明の範囲の表示(indication)として、前述の明細書よりむしろ、添付の特許請求の範囲に対して言及がなされるべきである。うつ病を処置する方法であって、該方法は、このような処置が必要なヒトに、治療上有効な量のシクロベンザプリンおよび治療上有効なキャリアを含む薬学的組成物を投与する工程を包含し、ここでこのような処置は、該うつ病を改善するか、または排除する、方法。前記投与されるシクロベンザプリンの量は、5mg/日未満である、請求項1に記載の方法。前記投与されるシクロベンザプリンの量は、2.5mg/日未満である、請求項2に記載の方法。前記方法は、抗うつ薬を逐次的にまたは同時に投与する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。前記薬学的組成物は、口腔内溶解錠剤として、または薄膜処方物として投与される、請求項1に記載の方法。前記薬学的組成物は、精神療法介入との組み合わせにおいて投与される、請求項1に記載の方法。前記薬学的組成物は、就寝前に投与される、請求項1に記載の方法。抗うつ薬との組み合わせにおいて、シクロベンザプリンの治療上有効な量を含む、薬学的組成物。前記シクロベンザプリンの量は、5mg未満である、請求項8に記載の薬学的組成物。前記シクロベンザプリンの量は、2.5mg未満である、請求項9に記載の薬学的組成物。前記薬学的組成物は、口腔内溶解錠剤または薄膜処方物である、請求項8に記載の薬学的組成物。 本発明は、うつ病の処置または予防のための方法、および関連する薬学的組成物に関する。特に重要であるのは、単独で、または抗うつ薬との組み合わせにおいて、シクロベンザプリンを含む薬学的組成物である。一局面において、本発明は、うつ病を処置する方法であり、上記方法は、このような処置を必要とするヒトに、治療上有効な量のシクロベンザプリンおよび治療上有効なキャリアを含む薬学的組成物を投与する工程を包含し、ここでこのような処置は、上記うつ病を改善または排除する。


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