生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_ゴールデン・モスの抽出物を含んだ止血製剤
出願番号:2013546240
年次:2014
IPC分類:A61K 36/00,A61K 47/02,A61K 47/42,A61P 7/04,A61P 17/02,A61K 47/10,A61K 9/08


特許情報キャッシュ

ワン・イ−ラン ミン・シンティエン JP 2014501260 公表特許公報(A) 20140120 2013546240 20111216 ゴールデン・モスの抽出物を含んだ止血製剤 エシコン・インコーポレイテッド 591286579 ETHICON, INCORPORATED 加藤 公延 100088605 大島 孝文 100130384 ワン・イ−ラン ミン・シンティエン US 12/975,589 20101222 A61K 36/00 20060101AFI20131217BHJP A61K 47/02 20060101ALI20131217BHJP A61K 47/42 20060101ALI20131217BHJP A61P 7/04 20060101ALI20131217BHJP A61P 17/02 20060101ALI20131217BHJP A61K 47/10 20060101ALI20131217BHJP A61K 9/08 20060101ALI20131217BHJP JPA61K35/78 ZA61K47/02A61K47/42A61P7/04A61P17/02A61K47/10A61K9/08 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN US2011065326 20111216 WO2012087774 20120628 15 20130807 4C076 4C088 4C076AA11 4C076BB31 4C076CC14 4C076CC19 4C076DD23 4C076EE42 4C088AA18 4C088AC13 4C088CA05 4C088CA06 4C088MA21 4C088MA63 4C088NA14 4C088ZA53 4C088ZA89 本発明は、広義には止血を促進するための薬剤及び装置に関し、より具体的には、植物性「中成薬」生成物の抽出物、及び、出血している創傷に送達するために、そのような抽出された植物性の薬剤を組み込んだ装置の使用法に関する。 血液とは、液相中に分散した赤血球、白血球、小体、及び血小板を含む、液体の組織である。この液相は血漿であり、血漿は、酸性物質、脂質、溶解した電解質、及びタンパク質を含んでいる。この液相中に懸濁する特定のタンパク質がフィブリノゲンである。出血が発生したとき、フィブリノゲンは水及びトロンビン(酵素)と反応してフィブリンを形成するが、このフィブリンは水に不溶であり、重合して血餅を形成する。 多種多様な状況において、ヒトを含む動物は、創傷が原因であるいは外科的処置の間に出血に見舞われ得る。いくつかの状況においては、出血は比較的軽いものであり、通常の血液凝固が、簡単な応急処置の実施に加われば、それだけで十分である。他の状況においては、相当な出血が発生し得る。これらの局面では通常、専門的な設備及び物資、並びに適切な救助を施すように訓練された人員が必要となる。 上述の問題に対処する取り組みにおいて、過剰な出血を抑制するための物質が開発されてきた。 ゼラチン、コラーゲン、酸化セルロース、トロンビン、フィブリノゲンなどの既知の物質、及び他の物質が使用されてきたが、これらの組成物の各々にはそれぞれ限界がある。例えば、従来技術による血液凝固物質のうちのある種類は、フィブリノゲン及び/又はトロンビンを含めて、血液由来タンパク質又は酵素であるが、それらは高価であり、特殊な保存条件を必要とし、また、血液感染症が伝染する可能性を排除するために徹底した精製を要求する。 従来の中成薬(TCM)に基づいた配合物は通常、生薬又は植物性の製剤であり、これらの製剤は、数百年にわたって利用されており、多くの場合、現代の対照研究では対応されていないにもかかわらず、伝統的な習慣に基づいている。 止血用の従来の中成薬は、内出血又は外出血を止めるために用いられる中成薬である。これらの薬物の一部は、「血液を冷却し、収斂特性によって、障害物を除去することによって、そして経路を暖めることによって、出血を止める」という作用を別々に主張するものであり、喀血、吐血、鼻出血、血尿、血便、子宮出血及び子宮漏血、紫斑病及び外傷による出血など、身体のあらゆる部位からの出血に勧められてきた。止血能力を有することが明らかとなっている漢方薬の例が、ダジ・ラヂクス・サージ・ジャポニチ(Daji Radix Cirsii Japonici)、シヤオジ・ハーバ・セファラノプロリス(Xiaoji Herba Cephalanoplons)、及びヘウイフア・フロス・ソフォラエ(Heuihua Flos Sophorae)などである。 一部のTCM製剤は、植物性のTCM材料に対してアルコール溶液を長期間常温で注入する方法によって作製されている。そのような注入は通常、常温で実施され、エタノール溶液として利用される。 ゴールデン・モスは、リウマチ、腰痛、坐骨神経痛、及び排尿障害の治療に利用されてきた植物性の中成薬(TCM)と見なされている。タカワラビ(ゴールデン・モス、タータリ・ファーン・モス(Ferm Lamb of Tartry)、又はゴウ・ジ(Gou-ji)とも呼ばれる。)が、抗炎症薬及び鎮痛薬として従来より利用されてきた(Q.ウー(Q.Wu)及びX.−W.ヤン(X. -W. Yang)、民族薬理学会誌(J. Ethnopharm)2009、125、417〜422)。その根茎の地表側の黄色の毛は、その接触面積が広いことから、出血を止めるために創傷上の湿布に利用されてきた。しかしながら、タカワラビの抽出物が止血と抗菌の双方の用途に利用され得ることを明らかにする教示はない。 中国特許公開公報第101317916A号には、子宮出血を治癒させるための医薬が開示されており、この医薬は、3〜7重量部のタカワラビ、7〜12重量のアンゲリカ、5〜8重量部のバイカル・スカルキャップの根(baical skullcap root)、8〜12重量部の精製した地黄の根茎(rehmannia rhizome)、4〜8重量部のロンガン・パルプ(longan pulp)、4〜8重量部の炭化した人毛、4〜7重量部の延胡索(rhizoma corydalis)、6〜10重量部の羌活の根(notopterygium root)、及び7〜12重量部のホワイト・パエオニの根(white paeony)を成分として含む。精製の方法は、原材料を煎じ、次いでそれらを医療用の袋に充填するためにすりつぶすことを含む。しかしながら、この製剤は、外用の止血治療薬としてではなく、経口投与用の液体に入れられる。 本発明は、ゴールデン・モスの抽出物と、ゼラチン成分と、食塩溶液とを含んだ、好ましくは局所使用のための止血製剤に関する。ゼラチン成分は好ましくは、吸収性の止血用粉末基質であり、より好ましくは、そのゼラチンと抽出物は、液相として食塩溶液と共に実質的に均質に混合されている。 ゴールデン・モスの根茎の抽出物は、一実施形態において、エタノール抽出物の止血用生成物である。この止血製剤は、約1%〜約2.5%の、止血に効果的なゴールデン・モスのエタノール抽出物を含み得る。 ゴールデン・モスの根茎の抽出物は、別の実施形態において、水抽出物の止血用生成物である。この止血製剤は、約0.25%〜約2.5%の、止血に効果的なゴールデン・モスの水抽出物を含み得る。 その止血製剤は、抗菌剤、界面活性剤、抗酸化剤、保湿剤、湿潤剤、潤滑剤、増粘剤、希釈剤、照射安定剤、例えばラジカルスカベンジャー、可塑剤、及び安定剤からなる群から選択された、有効量の1種類又は2種類以上の添加剤又は化合物を更に含み得るものであり、より具体的には、押出しを増進する量のグリセリンを含み、好ましくは、そのグリセリンは、止血製剤全体の液相の重量を基準として約1重量%〜約20重量%の量で存在する。 本発明は更に、出血部位に止血処理をもたらす方法に関するものであり、その方法は、上述した止血製剤を形成する工程と、出血部位にその止血製剤を塗布する工程とを含む。 本発明は更に、半液体の止血製剤を作製する方法に関するものであり、その方法は、ゴールデン・モスの根茎を溶媒に入れて少なくとも1時間にわたって、好ましくは少なくとも48時間にわたって煮沸し、真空下で蒸発によって溶媒の実質的にすべてを除去して、ゴールデン・モスの止血用抽出生成物を食塩溶液及びゼラチン粉末と混合する工程とを含む。溶媒は、エタノールなどの低分子量のアルコールであっても、水を基剤とする溶媒であってもよい。ゼラチン粉末は、吸収性の止血用粉末基質の形態をなしてもよく、好ましくは、ゼラチンと止血用抽出生成物は、液相として食塩溶液と共に実質的に均質に混合される。止血用抽出生成物は好ましくは、実質的にエタノールを有さない。体内止血の有効性研究Aの結果を示しており、止血剤を含有する数種類の試験物品と対照薬に対し、止血時間が分単位でプロットされている。体内止血の有効性研究Bの結果を示しており、止血剤を含有する数種類の試験物品と対照薬に対し、止血時間が分単位でプロットされている。 本発明は、植物性TCM生成物の抽出物、好ましくはゴールデン・モスとして一般に知られる植物の抽出物から作られた止血薬、並びに、止血及び抗菌特性を有する吸収性ゼラチン基質に関する。 本発明者らが発見したところによれば、一実施形態において、ゴールデン・モスのエタノール抽出物、中成薬のタカワラビとしても知られ、タータリ・ファーン・ラム(Ferm Lamb of Tartry)又はゴウジ(Gou-ji)とも呼ばれる中成薬(TCM)の構成成分が、SURGIFLO(商標)などのゼラチンペーストと組み合わされて、ヒトトロンビンとSURGIFLO(商標)との組合わせに匹敵する、有効性の高い止血材料が生成される。 有利にも、発見した止血剤は抗菌性を有する。有利にも、発見した止血剤は安定性を改善されており、通常の血液由来の止血剤と同等に費用効果的である。 ゴールデン・モス抽出物の精製タカワラビ(中国遼寧省)の乾燥粉砕した根茎が、脱イオン(DI)水か、又は、好ましくは還流条件下に少なくとも48時間維持されている95%のエタノール溶液のいずれかを使用して、抽出工程を受けることができる。本願において、根茎は、タカワラビの苗木の特徴的な水平の茎であり、この茎は通常、地下に見られ、多くの場合、その節から根と芽を出している。タカワラビは、時にはゴールデン・チキン・ファーン(golden chicken fern)、ウーリー・ファーン(woolly fern)とも呼ばれるものであり、シダ類タカワラビ科(fern family Dicksoniaceae)の木生シダの一種である。タカワラビは、中国の各地方を原産とし、またマレー半島の西部を原産とする。 ある方法において、ゴールデン・モスの乾燥粉砕根茎(D−GM)を収容したガラスフラスコが、85℃〜100℃、より好ましくは約100℃の温度に維持される温浴中に置かれる。冷却水が、約4℃の温度で還流チューブの冷却ジャケット内を循環し、そのため、溶媒は凝縮し、通常の形式でガラスフラスコに戻る。 抽出を実施した後、溶媒抽出材料が、当該技術分野で知られている標準的な凍結乾燥プロセスによって凍結乾燥されるが、その凍結乾燥された生成物は以下でGM−Wと称される。抽出物は、50℃超、好ましくは約60℃などの高温にて減圧下で濃縮されて、エタノールか若しくは水にかかわらず、実質的にすべての溶媒が除去され、収率6.8%で抽出物が得られ、その生成物が以下でTCM−GM−Eと称される。抽出物は、体外及び体内試験用に、10%及び1%の希釈標準溶液にされた。均質な溶液を作るために、超音波処理器が使用され得る。 ゼラチン担体の説明 本発明のゼラチン材料は好ましくは、液体透過性で水不溶性のゼラチン系スポンジ又はペーストである。ゼラチンは、変性型のタンパク質コラーゲンであるが、多様な創傷被覆材に使用されてきた。ゼラチンゲルは比較的低い融点を有するので、体温ではあまり安定しない。したがって、タンパク鎖の間に架橋を樹立することによって、これらのゲルを安定させることが不可避である。実際に、これは通常、グルタルアルデヒド又はホルムアルデヒドでゼラチンを処理することによって達成される。こうして架橋されたゼラチンは、出血している創傷に止血を誘発するのに有用な乾燥スポンジへと製作されるか、あるいは粒状の形態に粉砕され得る。 「ゲル」という用語は本明細書において、その体積全体にわたって基本的に連続的である膨潤抱水高分子網目を示すために用いられている。タンパク質ゲルは、結合したタンパク質分子の基本的に連続的な網目と、液体の(通常は水性の)溶媒とから構成されており、その溶媒はタンパク質基質内の空間を充填する。タンパク質基質は、溶媒分子に対して強い粘性抵抗を及ぼして、それらの溶媒分子が自在に流動することを阻止する。ゲル網目をなす成分分子は、イオン結合か、疎水結合か、金属結合か、あるいは共有結合で結合され得る。共有結合は、これらの結合の中でも最も熱的に安定である。 一実施形態において、本発明の滅菌された組成物は、止血における利用に好適な生体適合性ポリマーの中実、多孔質、又は非多孔質粒子と、生体適合性の液体と、上述したような止血用の抽出物とを、3つの主成分として含み得る。粒子、液体、及び止血用の抽出物が、連続的な液相を備える実質的に均質な止血用組成物を得るのに効果的な条件下で化合及び混合され、その止血用組成物は止血用の抽出物を含み、その組成物全体にわたって均一に分散した中実ポリマー粒子を有するものである。組成物中に含まれる粒子の量及び平均直径、並びに固体、液体及び止血用の抽出物の相対量は、以下で説明するような止血及び物理特性を組成物に与えるのに効果的なものである。 本明細書で用いるとき、「連続的」及び「不連続的」は、分散系の定義及び説明に用いられる正式名称に照らして、これらの語の通常の意味で用いられている。 本明細書で用いるとき、「実質的に均質」とは、固体と液体との比、並びに組成物又はペーストの任意の部分又は横断面の密度が実質的に同じとなるように、中実粒子が連続的な液相の全体に均一に分散している、組成物又はペーストの物理的状態を示す。 本明細書で用いるとき、「無菌」は、病原菌及び/又は微生物が実質的に存在しないことを意味し、これは、本明細書で説明及び主張する組成物及び医療装置に関する政府基準によって更に認識及び説明されるものである。 本明細書で用いるとき、「止血」、又は「止血特性」は、本明細書の実施例で更に例示するが、止血の分野の当業者には分かるように、出血を止めるかあるいは最小限にする能力を意味する。 本発明の組成物で用いられる中実粒子を調製するために、生体適合性の多様な天然、半合成又は合成ポリマーが用いられ得る。選択されたポリマーは、特定の組成物に選ばれた液体中で実質的に不溶性でなければならない。好ましくは、機械的、化学的及び/又は生物学的な止血活動をもたらす、水不溶性の生体適合性ポリマーが使用される。使用され得るポリマーには、限定するものではないが、タンパク質及び多糖類が挙げられる。使用され得る多糖類には、酸化セルロース、キトサン、キチン、アルギン酸、酸化アルギン酸及び酸化デンプンが挙げられる。各粒子を調製するために使用される生体適合性ポリマーは好ましくは、ゼラチン、コラーゲン、フィブリノゲン又はフィブロネクチンなど、架橋又は変性タンパク質である。ある好ましいゼラチン粉末は、レーザー回折で判定して約40マイクロメートル〜約1200マイクロメートル、より好ましくは約100マイクロメートル〜約1000マイクロメートルの平均直径を有する粒子へとゼラチンスポンジを練ることによって調製された部分架橋ゼラチン粉末である。 本発明の無菌組成物は好ましくは、連続的な液相を備え、その液相において、止血用の抽出物と中実のゼラチン系粒子が分散する。特定の医療装置とその使用法に応じて、液体は水溶性であっても非水溶性であってもよい。好ましくは、液相は水溶性である。水溶性の液体には、限定するものではないが、塩化カルシウム及び食塩水など、生体適合性の水溶液を挙げることができる。より好ましくは、液相は食塩水を含む。液相と中実粒子相は、止血をなす上で使用するのの好適な組成物、例えば、ペースト又はスラリーを得るのに効果的な相対量で存在する。特定の実施形態において、中実粒子と液体との重量比は一般に、約1:1〜約1:12、又は約1:3〜約1:8、あるいは約1:5にもなる。 本発明の組成物は、例えば、あるレベルの電離放射線を照射されていることから、本明細書で説明する無菌の組成物を含む。そのような放射線照射には、電子ビーム又はガンマ線照射が挙げられる。放射線照射のレベル及び滅菌の条件は、組成物が照射される時間を含めて、本明細書で定義するように、滅菌をもたらすものである。本開示の利益を享受すると、当業者であれば、無菌組成物を得るのに必要な放射線照射のレベルを容易に決定できるであろう。 止血用の組成物は、限定するものではないが、抗菌剤、界面活性剤、抗酸化剤、保湿剤、湿潤剤、潤滑剤、増粘剤、希釈剤、照射安定剤、例えばラジカルスカベンジャー、可塑剤、及び安定剤を含めて、有効量の1種類又は2種類以上の添加剤又は化合物を更に含み得る。例えば、組成物の押出し性又は射出性を向上させるために、グリセリンが添加されてもよい。利用されるとき、グリセリンは、液相の重量を基準として約0重量%〜約20重量%で組成物中に存在してもよい。好ましくは、組成物は、液相の重量を基準として約1重量%〜約10重量%のグリセリンを含んでもよい。より好ましくは、組成物は、液相の重量を基準として約1重量%〜約5重量%のグリセリンを含んでもよい。 加えて、組成物に特性の向上をもたらすために、第4級アミンが使用されてもよい。例えば、塩化ベンザルコニウム、ポリブレン又はオナマーM(Onamer M)が、液相の重量を基準として、最大で約1重量パーセントの濃度で使用されてもよい。好ましくは、塩化ベンザルコニウムが、液相の重量を基準として約0.001重量%〜約0.01重量%の濃度で使用される。より好ましくは、組成物は、液相の重量を基準として約0.002重量%〜約0.006重量%の塩化ベンザルコニウムを含んでよい。第4級アミンは複数の機能を働いて、抗菌剤、発泡剤、ラジカルスカベンジャー、及びヘパリン中和剤として作用し得ると考えられている。 そのような止血用の組成物は、ヘパリン中和剤、フィブリノゲン、フィブリン、活性化第X因子、又は活性化第VII因子などの付加的な凝血促進剤又は止血剤を更に含んでもよい。「有効量」とは、その添加剤が添加される理由となる特性を組成物に与えるのに必要な量を意味する。有効量はまた、有害な生物学的作用を引き起こすことなく添加され得る最大量を限度とする。 ゼラチン担体に抽出物を混ぜ込むための方法 本発明の組成物を作製するための一実施形態において、粒子を液体と混合して均一なペーストを形成することによって、実質的に均質なペーストが調製される。その液体は、止血用の抽出材料を含んでおり、上述のように溶解した有効量の他の添加剤を含んでもよい。混合は、押出しによって達成されても、中実粒子を液相中に均一に分散させるのに有効な条件下で、閉鎖空間にて混合することによって達成されてもよい。 それに代わって、ミキサー、例えば,二重惑星型のミキサーが、本発明の組成物を作製する上で利用されてもよい。止血用の抽出材料を含んだ液体がミキサーに加えられる。液体は、溶液に粒子を添加するのに先立って、その液体中に溶解した有効量の添加剤を含んでもよい。例えば、止血用の抽出材料と、グリセリンと、塩化ベンザルコニウムとを含んだ食塩溶液が調製され、次いでミキサーに加えられてもよい。中実粒子は、すべての成分が加えられるまで、絶えず混合しながら時間をかけてミキサーに加えられる。連続的な液相の全体に均一に分散した中実粒子を含んだ、実質的に均質な組成物が形成されるまで、混合は継続される。 別の実施形態において、止血用の抽出物は、実質的に乾燥したスポンジの主表面上に噴霧又は転写することによって塗布される。 上記のように調製された止血用の組成物は、止血用の抽出物を含んだ無菌組成物が得られるように滅菌され得る。いくつかの実施形態において、組成物は、上述のように医療装置に移送され、その止血用の組成物を含んだ装置は、好ましくは電離放射線によって滅菌される。より好ましくは、滅菌は、本明細書で例示したようにガンマ放射線によるものである。 本発明の止血用の組成物が利用され得る医療装置には、流動可能又は射出可能な止血用ペースト又はスラリーを、止血を必要とする部位又は創傷に塗布するために現在使用されている任意の装置が含まれる。スポンジは、通常の形式で手又は他の手段で貼り付けられ得る。止血を必要とする部位は、外傷又は外科的処置の結果として生じたものであってもよい。装置又は塗布器の例には、ベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson)又はモノジェクト(Monoject)のルアー注射器などの注射器が挙げられる。他の装置が、参照によってその全容が本明細書に組み込まれる米国特許第6,045,570号に詳細に開示されている。 上記の例は、本発明の特定の実施形態を示すものであるが、それらは、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の完全な記述に寄与するものとして解釈されるべきである。 実施例1.試験管内血液凝固の研究本発明者らは、新鮮な豚の200μLの血液を含んだガラスバイアルに200μLの各試験溶液を加えて、試験管内血液凝固試験を実施した。試験物品は以下を含むものであった。 生理食塩水 10%のTCM−GM−Eエタノール抽出物 10%のTCM−GM−W水抽出物 1%のTCM−GM−Eエタノール抽出物 1%のTCM−GM−W水抽出物。 バイアルを室温にて4分間、置いた後、バイアルを上下逆さまにした。他の試験物品と比較して、10%のTCMエタノール抽出物を含んだバイアルに、相当な血餅が観察された。したがって、10%のTCM−GM−Eエタノール抽出物が、試験管内の定性試験において良好な有効性を示した。 実施例2.体内止血の有効性研究A。ブタの脾臓の生検パンチモデルを使用して、止血活動を実施した。幅6mm、深さ3mmのパンチした創傷開口部を脾臓に作り、新たに作成された創傷部位に試験物品を塗布し、続いて閉鎖のための指圧を施した(タンポン挿入法)。圧力をまず30秒間にわたって加え、電子タイマーを使用して時間を測った。30秒のタンポン挿入法に続いて、指圧を中断し、物品上のガーゼパッドを直ちに取り除いた。30秒の止血評価期間を実施した。自由流れの出血が30秒以内に観察されなかった場合、止血時間を何分何秒の形式で書き留め、その物品に関して試験を終えた。自由流れの出血が観察された場合、止血が達成されるまで、あるいは試験時間が10分間に達するまで、更なる30秒のタンポン挿入法と観察期間にわたって圧力とガーゼを再び加えた。自由流れの出血が10分未満に止まることで止血と判断した。 ここで図1を参照すると、止血剤を含んだ数種類の試験物品と対照薬に対し、止血時間が分単位でプロットされている。試験物品は、ゼラチン系ペーストSURGIFLO(登録商標)(SFL)6mLと以下のものとの混合物を含むものであった。 2mLの生理食塩水 生理食塩溶液中の1%〜10%のTCM−GMの2mLの抽出物(エタノール、水) 主としてヒトトロンビンを含んだ2mLのEVITHROM(商標)溶液(Evithrom(登録商標)の全組成物は、ヒトトロンビン(800〜1200IU/mL)と、塩化カルシウムと、ヒトアルブミンと、マンニトールと、酢酸ナトリウムと、注射用蒸留水とを含む)。 この試験において、以下の手順に従ってSURGIFLO(登録商標)を止血材料と完全に混合した。その手順とは、1.止血材料の溶液2mLを取り出して空の注射器に入れること、2.予備充填された注射器にルアーコネクタを取り付け、止血材料を収容した注射器をルアーアダプタのもう一方の端部に取り付け、次いで予備充填された基質の中に止血材料の溶液を注入することによって、2種類の成分を混合すること、3.粘稠度が均等になるまで、組み合わせた材料を前後に押すことによって成分を混合し続け、上に示したように測定を実施しながら、創傷に塗布することである。 図1から分かるように、SFL/10%のTCM−GM−Eエタノール抽出物は、体内試験においてSFL/EVITHROMと同等の有効性を示し、止血時間は1分足らずであった。 生理食塩水を対照薬として使用した結果は、4.8分もの止血時間を示した。SFL/1%のTCM−GM−E並びにSFL/1%のTCM−GM−W及びSFL/10%のTCM−GM−Wは、2.3分〜2.6分程度の止血時間を示した。 実施例3.体内止血の有効性研究B。ブタの脾臓の生検パンチモデルを使用して、止血活動研究を実施した。試験パラメータは、実施例4で述べたものと同様とし、幅6mm、深さ3mmのパンチした創傷開口部を脾臓に作り、タンポン挿入時間は30秒、観察時間は30秒とした。 ここで図2を参照すると、止血剤を含んだ数種類の試験物品と対照薬に対し、止血時間が分単位でプロットされている。試験物品は以下を含むものであった。 ゼラチン系ペーストSURGIFLO(登録商標)(SFL)6mLと以下のものとの混合物 2mLの生理食塩水 生理食塩水の1%〜10%のTCM−GMの2mLの抽出物(エタノール、水) 主としてヒトトロンビンを含んだ2mLのEVITHROM(商標)溶液(Evithrom(登録商標)の全組成物は、ヒトトロンビン(800〜1200IU/mL)と、塩化カルシウムと、ヒトアルブミンと、マンニトールと、酢酸ナトリウムと、注射用蒸留水とを含む)。 止血薬としての利用をTCM指導書に特別に指定された周知のTCM製剤である、2mLの1%〜10%のYNBY(ユンナンバイヤオ(Yunnan Baiyao)粉末) 試験物品はまた、広く利用されている周知の止血薬である酸化再生セルロース(ORD)粉末を基にした混合物を含み、前記粉末はORC生地のボールミル粉砕によって作られたものであった。 以下を混合することによって、ORC系の試験物品を調製した。 0.983グラムのORC粉末 2mLの生理食塩水 生理食塩水の10%のTCM−GMの2mLの抽出物(エタノール) 2mLの10%のYNBY この試験において、上に示したように測定を実施して、SURGIFLO(登録商標)又はORC粉末を止血材料と完全に混合し、創傷に塗布した。 図2に示したデータから分かるように、ORC系組成物は、8分〜10分に及ぶ、より長い止血時間を示した。生理食塩水を対照薬として使用した結果は、4.5分程度の止血時間を示した。 SFL/4%〜10%のTCM−GM−Eは、2.8分〜3.4分程度の止血時間を示したが、SFL/6%〜10%のTCM−GM−Eが2.8分〜3.1分で特に速く、これは、2.6分の止血時間を示したヒトトロンビン含有EVITHROMで得られたデータに概ね匹敵するものである。 YNBYと低濃度の1%〜2%のTCM−GM−Eとを含んだ試験物品は、5.2分〜6.7分に及ぶ、より長い止血時間を示した。 実施例4及び5に示す結果に基づけば、ゼラチン系ペーストSURGIFLO(登録商標)と食塩水中の2mLの6%〜10%のTCM−GM−Eとの混合物は、ヒトトロンビン溶液とのSURGIFLO(登録商標)混合物に概ね匹敵し、食塩水との混合物よりも相当に良好である止血時間を示した。 実施例4に示す結果に基づけば、ゼラチン系ペーストSURGIFLO(登録商標)と食塩水中の2mLの1%〜10%のTCM−GM−W又は食塩水中の2mLの1%のTCM−GM−Eとの混合物は、食塩水とのSURGIFLO(登録商標)混合物よりも概ね良好な止血時間を示した。 実施例4.ここで表1を参照すると、TSB(トリプチックソイブロス)媒質を含んだTCM−GM−Eにおいて約6log CFU/mLの接種材料でバクテリアチャレンジを受けて、試験管内抗菌効力を試験した。37℃での24時間の培養後に生菌を数えることによって、有効性を評価した。*対照薬は、TSB媒質に450ppmのエタノールを入れたブランク溶液である。本発明者らが予期せず発見したところによれば、黄色ブドウ球菌及び大腸菌に対し450ppmのレベルで3〜5のlog killは、グラム陽性菌とグラム陰性菌の双方に対して効力が450ppmに達したことを示している。〔実施の態様〕(1) 外用の止血製剤であって、 ゴールデン・モスの根茎の抽出物と、 ゼラチンと、 食塩溶液と、を含む、止血製剤。(2) 前記ゼラチンは、吸収性の止血用粉末基質を含む、実施態様1に記載の止血製剤。(3) 前記ゼラチン及び抽出物は、液相として食塩溶液と共に実質的に均質に混合されている、実施態様2に記載の止血製剤。(4) ゴールデン・モスの前記根茎の前記抽出物はエタノール抽出物である、実施態様3に記載の止血製剤。(5) 約1%〜約2.5%のゴールデン・モスの前記エタノール抽出物を含む、実施態様4に記載の止血製剤。(6) ゴールデン・モスの前記抽出物は水抽出物である、実施態様3に記載の止血製剤。(7) 約0.25%〜約2.5%のゴールデン・モスの前記水抽出物を含む、実施態様6に記載の半液体の止血製剤。(8) 抗菌剤、界面活性剤、抗酸化剤、保湿剤、湿潤剤、潤滑剤、増粘剤、希釈剤、照射安定剤、例えばラジカルスカベンジャー、可塑剤、及び安定剤からなる群から選択される、有効量の1種類又は2種類以上の添加剤又は化合物を更に含む、実施態様1に記載の止血製剤。(9) 押出しを増進する量のグリセリンを更に含む、実施態様1に記載の止血製剤。(10) 前記グリセリンは、前記液相の重量を基準として約1重量%〜約20重量%の量で存在する、実施態様9に記載の止血製剤。(11) 出血部位に止血処置をもたらす方法であって、 実施態様1に記載の止血製剤を形成する工程と、 前記出血部位に前記止血製剤を塗布する工程と、を含む、方法。(12) 半液体の止血製剤を作製する方法であって、 ゴールデン・モスの根茎を溶媒に入れて、少なくとも1時間にわたって、好ましくは少なくとも48時間にわたって煮沸し、真空下で蒸発によって前記溶媒の実質的にすべてを除去して、ゴールデン・モスの抽出物を形成する工程と、 前記ゴールデン・モスの抽出物を食塩溶液及びゼラチン粉末と混合する工程と、を含む、方法。(13) 前記溶媒はエタノール又は水である、実施態様12に記載の方法。(14) 前記ゼラチン粉末は、吸収性の止血用粉末基質を含む、実施態様13に記載の方法。(15) 前記ゼラチン及び抽出物は、液相として食塩溶液と共に実質的に均質に混合される、実施態様14に記載の方法。(16) ゴールデン・モスの前記抽出物は実質的にエタノールを有さない、実施態様15に記載の方法。(17) 前記半液体の止血製剤中におけるゴールデン・モスの前記抽出物の濃度は、約0.25重量%〜約2.5重量%である、実施態様16に記載の方法。 外用の止血製剤であって、 ゴールデン・モスの根茎の抽出物と、 ゼラチンと、 食塩溶液と、を含む、止血製剤。 前記ゼラチンは、吸収性の止血用粉末基質を含む、請求項1に記載の止血製剤。 前記ゼラチン及び抽出物は、液相として食塩溶液と共に実質的に均質に混合されている、請求項2に記載の止血製剤。 ゴールデン・モスの前記根茎の前記抽出物はエタノール抽出物である、請求項3に記載の止血製剤。 約1%〜約2.5%のゴールデン・モスの前記エタノール抽出物を含む、請求項4に記載の止血製剤。 ゴールデン・モスの前記抽出物は水抽出物である、請求項3に記載の止血製剤。 約0.25%〜約2.5%のゴールデン・モスの前記水抽出物を含む、請求項6に記載の半液体の止血製剤。 抗菌剤、界面活性剤、抗酸化剤、保湿剤、湿潤剤、潤滑剤、増粘剤、希釈剤、照射安定剤、例えばラジカルスカベンジャー、可塑剤、及び安定剤からなる群から選択される、有効量の1種類又は2種類以上の添加剤又は化合物を更に含む、請求項1に記載の止血製剤。 押出しを増進する量のグリセリンを更に含む、請求項1に記載の止血製剤。 前記グリセリンは、前記液相の重量を基準として約1重量%〜約20重量%の量で存在する、請求項9に記載の止血製剤。 半液体の止血製剤を作製する方法であって、 ゴールデン・モスの根茎を溶媒に入れて、少なくとも1時間にわたって、好ましくは少なくとも48時間にわたって煮沸し、真空下で蒸発によって前記溶媒の実質的にすべてを除去して、ゴールデン・モスの抽出物を形成する工程と、 前記ゴールデン・モスの抽出物を食塩溶液及びゼラチン粉末と混合する工程と、を含む、方法。 前記溶媒はエタノール又は水である、請求項11に記載の方法。 前記ゼラチン粉末は、吸収性の止血用粉末基質を含む、請求項12に記載の方法。 前記ゼラチン及び抽出物は、液相として食塩溶液と共に実質的に均質に混合される、請求項13に記載の方法。 ゴールデン・モスの前記抽出物は実質的にエタノールを有さない、請求項14に記載の方法。 前記半液体の止血製剤中におけるゴールデン・モスの前記抽出物の濃度は、約0.25重量%〜約2.5重量%である、請求項15に記載の方法。 本発明は、広義には止血を促進するための薬剤及び装置に関し、より具体的には、植物性「中成薬」生成物の抽出物、及び、出血している創傷に送達するために、そのような薬剤を組み込んだ装置に関する。


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