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タイトル:公表特許公報(A)_多発性硬化症患者において疲労を軽減し、機能状態を改善し、生活の質を改善するための、ラキニモド(laquinimod)の使用
出願番号:2013543255
年次:2013
IPC分類:A61K 31/4704,A61P 25/00


特許情報キャッシュ

タルシク、ノラ バル−ゾハル、ダン コフレル、ディナ JP 2013544887 公表特許公報(A) 20131219 2013543255 20111206 多発性硬化症患者において疲労を軽減し、機能状態を改善し、生活の質を改善するための、ラキニモド(laquinimod)の使用 テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド 501079705 蔵田 昌俊 100108855 福原 淑弘 100109830 中村 誠 100088683 野河 信久 100103034 白根 俊郎 100095441 峰 隆司 100075672 砂川 克 100140176 タルシク、ノラ バル−ゾハル、ダン コフレル、ディナ US 61/542,996 20111004 US 61/420,742 20101207 A61K 31/4704 20060101AFI20131122BHJP A61P 25/00 20060101ALI20131122BHJP JPA61K31/4704A61P25/00 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN US2011063460 20111206 WO2012078591 20120614 60 20130807 4C086 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC28 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA05 本出願は、2011年10月4日出願の米国仮特許出願第61/542,996号、および2010年12月7日出願の米国仮特許出願第61/420,742号の優先権を主張するものであり、そのそれぞれの内容が参照により本明細書に組み込まれる。 本出願全体を通して、種々の刊行物が第一著者および刊行年により参照されている。これらの刊行物の完全な引用は、特許請求の範囲の直前の参考文献の節に示されている。参考文献の節において引用されている刊行物の開示は、本明細書に記載の本発明の日付における当技術分野の状態をより完全に説明するために、その全体が本明細書によって参照により本出願に組み込まれる。 多発性硬化症(MS)は、世界的に100万人を超える人に影響を及ぼす神経疾患である。MSは、若年および中年の成人における神経障害の最も一般的な原因であり、対象およびその家族、友人および健康管理に関与する団体に対して主要な物理的、心理学的、社会的および財政的な影響を与える(EMEA Guideline、2006)。 一般に、MSは、おそらく感染症によって誘発され、遺伝的素因に重ねられるある種の自己免疫プロセスによって媒介されると想定されている。MSは、中枢神経系(CNS)のミエリンを損傷する慢性的な炎症性の状態である。MSの発病は、ミエリン抗原を対象とする循環からの自己反応性T細胞のCNSへの浸潤を特徴とする(Bjartmar、2002)。MSにおける炎症期に加えて、軸索消失が疾患の経過の初期に起こり、経時的に広範囲になり得、その後、進行性の恒久的神経欠陥の発生、および、頻繁に、重症の能力障害につながる(Neuhaus、2003)。疾患に伴う症状としては、疲労、痙縮、運動失調、衰弱、膀胱および腸の障害、性機能障害、疼痛、振戦、発作性徴候、視力障害、心理学的問題および認知機能障害が挙げられる(EMEA Guideline、2006)。 種々のMS疾患の病期および/または種類は、Multiple Sclerosis Therapeuticsに記載されている(Duntiz、1999)。それらの中で、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)は、最初の診断時の最も一般的な形態である。RRMSの対象の多くでは、最初の再発寛解型経過は5〜15年にわたり、次いで二次性進行型MS(SPMS)疾患経過に進行する。再発は炎症および脱髄に起因するが、神経伝導の回復および寛解は、炎症の消散、脱髄した軸索におけるナトリウムチャネルの再分布および再ミエリン化を伴う(Neuhaus、2003;Noseworthy、2000)。 2001年4月に、National MS Society of Americaと共同の国際パネルにより、多発性硬化症の診断基準が推奨された。これらの基準は、McDonald基準として公知になった。McDonald基準ではMRI技法を用い、Poser基準および古いSchumacher基準の代わりになることが意図されている(McDonald、2001)。McDonald基準は2005年3月に国際パネルにより改定された(Polman、2005)。 MSの再発期における疾患修飾療法を用いた介入が、神経変性の蓄積を軽減し、かつ/または予防するために提案されている(Hohlfeld、2000;De Stefano、1999)。現在、RRMSおよびSPMSを含めた再発性MS(RMS)において使用するために認可されている疾患修飾薬は6種ある(The Disease Modifying Drug Brochure、2006)。これらとしては、インターフェロンベータ1−a(Avonex(登録商標)およびRebif(登録商標))、インターフェロンベータ1−b(Betaseron(登録商標))、酢酸グラチラマー(Copaxone(登録商標))、ミトキサントロン(Novantrone(登録商標))およびナタリズマブ(Tysabri(登録商標))が挙げられる。それらの大部分は、免疫調節物質としての機能を果たすと考えられている。ミトキサントロンおよびナタリズマブは、免疫抑制剤としての機能を果たすと考えられている。しかし、それぞれの作用機構は一部しか解明されていない。免疫抑制剤または細胞傷害性薬剤が一部の対象において従来の療法が上手くいかなかった後に使用されている。しかし、これらの薬剤によって誘導される免疫応答の変化とMSにおける臨床的な有効性の関連性は解決されたとはとても言えない(EMEA Guideline、2006)。 他の治療的手法としては、疾患によって引き起こされる症状を改善するために適用される全ての療法を指す対症療法(EMEA Guideline、2006)およびコルチコステロイドを用いた急性再発の治療が挙げられる。ステロイドは、経時的なMSの過程には影響を及ぼさないが、一部の対象において発作の持続時間および重症度を低下させることができる。 ラキニモド ラキニモドナトリウムは、経口的な生物学的利用能の高い新規の合成化合物であり、MSを治療するための経口用製剤として提案されている(Polman、2005;Sandberg−Wollheim、2005)。 試験により、ラキニモドにより、再発性MSにおける活動性MRI病変の発生が減少することが示された(Polman、2005)。しかし、MRI脳病変が減少すること単独の臨床的有意性は未だ解決していない。MRI病変は一部の試験では主要転帰尺度として使用されるが、他の試験では、RRMSの患者におけるMRI異常と臨床疾患活動性の間の相関は弱いこと、およびそのような尺度は臨床応答の代理マーカーとしてではなく、副次的転帰として使用するべきであることが示唆された(Rudick、1999;Miki、1999;Barkhof、1999)。さらに、医薬品規制団体、例えば、欧州医薬品庁(EMEA)などによると、MRI結果と臨床転帰の間の相関は、MRI結果をピボタル試験における有効な代理の評価項目として認めるために十分に強くは証明されていない。したがって、EMEAによると、臨床試験についての関連性のある有効性パラメータは、能力障害の蓄積および再発率である(RRMSに関して)(EMEA Guideline、2006)。したがって、再発率および能力障害の進行が、現在認められているRRMSに対する治療の有効性の指標であるが、これらは、ラキニモドについては以前に確立されていない。 EMEA MS臨床試験ガイドラインには、RRMSの年間再発率は通常は低いこと、および、一般に、能力障害の進行には数年かかることがさらに述べられている。したがって、疾患の過程を修飾することが意図された製品を用いた確認試験は、再発しているまたは能力障害の進行を示している患者が相当な割合になるのに十分に大規模かつ長期にわたるべきである。2年が有効性を実証するための最低期間であると考えられる(EMEA Guideline、2006)。 さらに、現存する文献は、MSを治療するためのラキニモドの有効用量に関しては異なる結論に達している。ある試験では、1日当たり0.3mgの経口用量により、再発性MS(RRMSおよびSPMSを含む)における活動性MRI病変の発生が減少することが示されたが(Polman、2005)、別の試験では、同じ用量では、プラセボと比較してMRI効果も臨床効果もないことが示された(Comi、2007)。 本発明は、多発性硬化症のヒト患者における疲労のレベルの進行を軽減または抑制するための方法であって、ヒト患者に、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を経口投与し、それにより、多発性硬化症のヒト患者における疲労のレベルの進行を軽減または抑制することを含む方法を提供する。 本発明は、多発性硬化症のヒト患者の機能状態の悪化を改善または抑制する方法であって、ヒト患者に、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を経口投与し、それにより、多発性硬化症のヒト患者の機能状態の悪化を改善または抑制することを含む方法も提供する。 本発明は、多発性硬化症のヒト患者の全体的健康の悪化を改善または抑制する方法であって、ヒト患者に、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を経口投与し、それにより、多発性硬化症のヒト患者における全体的健康の悪化を改善または抑制することを含む方法も提供する。 本発明は、ヒト対象に神経保護をもたらすための方法であって、ヒト対象に、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を経口投与し、それにより、ヒト対象に神経保護をもたらすことを含む方法も提供する。ALLEGROの結果−確認された再発の累積数:ラキニモド処置した患者およびプラセボ処置した患者について経時的に確認された再発の数を示す図である。ALLEGROの結果−3ヶ月間の確認された能力障害の進行までの時間:ラキニモド処置した患者とプラセボ処置した患者の両方についての、3ヶ月間の確認されたEDSS進行のリスクについての生存プロットを示す図である。ALLEGROの結果−GdE病変の数:ベースラインにおける、12ヶ月および24ヶ月時点のGdE病変の数、ならびに24ヶ月時点の累積を示す図である。ALLEGROの結果−パーセント脳容積変化:ラキニモド処置した患者およびプラセボ処置した患者についての脳容積の変化率(%)を示す図である。発明の詳細な説明 本発明は、多発性硬化症のヒト患者における疲労のレベルの進行を軽減または抑制するための方法であって、ヒト患者に、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を経口投与し、それにより、多発性硬化症のヒト患者における疲労のレベルの進行を軽減または抑制することを含む方法を提供する。一態様では、患者は、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者である。 一態様では、疲労のレベルを患者の改変疲労影響スケール(MFIS:Modified Fatigue Impact Scale)スコアによって評価する。別の態様では、ラキニモドを投与することにより、ヒト患者のMFISスコアが、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して減少した。別の態様では、ラキニモドを投与することにより、ヒト患者のMFISスコアが、ラキニモド処置開始時の患者と比較して減少した。さらに別の態様では、MFISスコアが、ラキニモド処置を開始してから24ヶ月以内に減少した。 本発明は、多発性硬化症のヒト患者の機能状態の悪化を改善または抑制する方法であって、ヒト患者に、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を経口投与し、それにより、多発性硬化症のヒト患者の機能状態の悪化を改善または抑制することを含む方法も提供する。一態様では、患者は、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者である。 一態様では、患者の機能状態を、患者の略式全体的健康調査(Short−Form General Health survey)(SF−36)対象報告質問票(Subject−Reported Questionnaire)スコアによって測定する。別の態様では、ラキニモドを投与することにより、ヒト患者のSF−36スコアが、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して減少した。別の態様では、ラキニモドを投与することにより、ヒト患者のSF−36スコアが、ラキニモド処置開始時の患者と比較して減少した。別の態様では、患者のSF−36精神的側面のサマリースコア(MSC:mental component summary score)が減少する。別の態様では、患者のSF−36身体的側面のサマリースコア(PSC:physical component summary score)が減少する。さらに別の態様では、SF−36スコアが、ラキニモド処置を開始してから24ヶ月以内に減少する。 本発明は、多発性硬化症のヒト患者の全体的健康の悪化を改善または抑制する方法であって、ヒト患者に、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を経口投与し、それにより、多発性硬化症のヒト患者における全体的健康の悪化を改善または抑制することを含む方法も提供する。一態様では、患者は、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者である。 一態様では、患者の全体的健康を患者のEQ−5D標準化質問票スコアによって評価する。別の態様では、ラキニモドを投与することにより、ヒト患者のEQ−5Dスコアが、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して増加した。別の態様では、ラキニモドを投与することにより、ヒト患者のEQ−5Dスコアが、ラキニモド処置開始時の患者と比較して増加した。さらに別の態様では、EQ−5Dスコアが、ラキニモド処置を開始してから24ヶ月以内に増加した。 一態様では、ラキニモドを、ラキニモド0.3〜0.9mgの1日用量で投与する。別の態様では、ラキニモドを、ラキニモド0.6mgの1日用量で投与する。別の態様では、ラキニモドを、ラキニモドナトリウムの形態で投与する。さらに別の態様では、投与は24週間を超える期間にわたる。 本発明は、ヒト対象に神経保護をもたらすための方法であって、ヒト対象に、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を経口投与し、それにより、ヒト対象に神経保護をもたらすことを含む方法も提供する。 一態様では、ラキニモドを、ラキニモド0.6mg超の1日用量で投与する。別の態様では、ラキニモドを、ラキニモド0.6mg未満の1日用量で投与する。別の態様では、ラキニモドを1日1回よりも高い頻度で投与する。別の態様では、ラキニモドを1日1回よりも低い頻度で投与する。 一態様では、対象は、進行型の多発性硬化症を患っている。別の態様では、対象は再発寛解型多発性硬化症を患っていない。別の態様では、対象はインスリン依存性糖尿病、全身性エリスマトーデス、ループス腎炎、ループス関節炎、関節リウマチ、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、炎症性呼吸器障害、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、アルツハイマー病、およびBDNF関連疾患を患っていない。 ある態様では、BDNF関連疾患は、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、うつ病性障害、不安障害、網膜色素変性症、勃起不全、記憶力障害、レット症候群、アルツハイマー病、双極性障害または急性躁病である。別の態様では、うつ病性障害は、うつ病、癌患者におけるうつ病、パーキンソン病患者におけるうつ病、心筋梗塞後うつ病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の患者におけるうつ病、亜症候群性症候性うつ病(subsyndromal symptomatic depression)、不妊の女性におけるうつ病、小児うつ病、大うつ病、単一エピソードうつ病、反復性うつ病、小児虐待誘導うつ病、産後うつ病、DSM−IV大うつ病、治療抵抗性大うつ病、重症のうつ病、精神病性うつ病、脳卒中後うつ病、神経因性疼痛、混合性エピソードを伴う躁うつ病およびうつ病エピソードを伴う躁うつ病を含めた躁うつ病、季節性情動障害、双極性うつ病BP I型、双極性うつ病BP II型、または気分変調を伴う大うつ病である。さらに別の態様では、不安障害は全般性不安障害、パニック障害、恐怖症、外傷後ストレス障害、強迫性障害、分離不安、または小児期不安である。 一態様では、対象は再発の発症を経験している。別の態様では、対象は歩行可能ではない。別の態様では、対象は、5.5を超える変換Kurtzke EDSSスコアを有する。別の態様では、対象は、a)ラキニモド処置を開始する前12ヶ月のうちの少なくとも1回の実証された再発、b)ラキニモド処置を開始する前24ヶ月のうちの少なくとも2回の実証された再発、またはc)ラキニモド処置を開始する前12ヶ月以内に実施されたMRIにおける少なくとも1つの実証されたT1−Gd増強病変を伴う、ラキニモド処置を開始する前12〜24ヶ月の間の1回の実証された再発のいずれも経験していない。別の態様では、対象の罹患期間はラキニモド処置を開始する前の最初の症状から6ヶ月未満である。別の態様では、対象は18歳未満であるまたは55歳を超える。 ある態様では、ラキニモドを投与することにより、神経細胞機能障害が軽減し、神経細胞傷害が軽減し、神経変性が軽減し、かつ/または神経細胞アポトーシスが軽減する。別の態様では、ラキニモドを投与することにより、中枢神経系における神経細胞機能障害が軽減し、中枢神経系における神経細胞傷害が軽減し、中枢神経系における神経変性が軽減し、かつ/または中枢神経系における神経細胞アポトーシスが軽減する。さらに別の態様では、ラキニモドを投与することにより、末梢神経系(PNS)における神経細胞機能障害が軽減し、末梢神経系(PNS)における神経細胞傷害が軽減し、末梢神経系(PNS)における神経変性が軽減し、かつ/または末梢神経系(PNS)における神経細胞アポトーシスを軽減する。 本発明は、多発性硬化症のヒト患者における疲労のレベルを維持または軽減することにおいて使用するため、多発性硬化症のヒト患者の機能状態を維持または改善することにおいて使用するため、多発性硬化症のヒト患者の全体的健康を維持または改善することにおいて使用するため、およびヒト対象に神経保護をもたらすことにおいて使用するためのラキニモドも提供する。 本発明は、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者における再発率を低下させる方法であって、患者に、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を、ラキニモド0.6mgの1日用量で経口投与し、それにより、再発率を低下させることを含む方法も提供する。 一態様では、再発率が少なくとも30%低下する。別の態様では、再発率が少なくとも70%低下する。一態様では、ラキニモドを、ラキニモドナトリウムの形態で投与する。 一態様では、ラキニモドを再発寛解型多発性硬化症に対する単独療法として投与する。別の態様では、ラキニモドを補助療法として他の再発寛解型多発性硬化症の治療と一緒に投与する。さらに別の態様では、他の再発寛解型多発性硬化症の治療は、インターフェロンベータ1−a、インターフェロンベータ1−b、酢酸グラチラマー、ミトキサントロンまたはナタリズマブの投与である。 一態様では、投与は24週間を超える期間にわたる。 本発明は、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者が所定の期間内に確認された再発を経験する可能性を低下させる方法であって、患者に、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を、ラキニモド0.6mgの1日用量で経口投与し、それにより、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者が所定の期間内に確認された再発を経験する可能性を低下させることを含む方法も提供する。一態様では、所定の期間は12ヶ月である。別の態様では、所定の期間は24ヶ月である。 一態様では、再発率または再発の可能性(リスク)が、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して少なくとも20%低下する。別の態様では、再発率または再発の可能性(リスク)が、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して少なくとも25%低下する。別の態様では、再発率または再発の可能性(リスク)が、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して少なくとも30%低下する。さらに別の態様では、再発率または再発の可能性(リスク)が、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して少なくとも70%低下する。 一態様では、再発は、入院またはIV群ステロイド治療を必要とする重症の再発である。別の態様では、患者の入院を必要とする再発年率が、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して少なくとも20%、または少なくとも25%低下する。 本発明は、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者における再発の重症度または持続時間を低下させる方法であって、患者に、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を、ラキニモド0.6mgの1日用量で経口投与し、それにより、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者における再発の重症度または持続時間を低下させることを含む方法をさらに提供する。 ある態様では、ラキニモドを投与することにより、患者が無再発であるオッズが増加した。別の態様では、ラキニモドを受けている患者が無再発であるオッズが、ラキニモド処置を受けていない患者と比較しておよそ55%良い。 本発明のさらなる態様では、患者の処置1年目の再発年率が、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して低下する。一態様では、低下は、少なくとも20%である。 ある態様では、患者が入院を必要とするほど重症の再発を経験するリスクが、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して低下する。別の態様では、リスクは、少なくとも20%または少なくとも30%低下する。別の態様では、患者がIV群ステロイド治療を必要とするほど重症の再発を経験するリスクが、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して低下する。別の態様では、リスクは、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して少なくとも20%または少なくとも30%低下する。 本発明は、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者の生活の質および全体的健康を改善するための方法であって、患者に、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を、ラキニモド0.6mgの1日用量で経口投与し、それにより、生活の質および患者の全体的健康を改善することを含む方法も提供する。 本発明は、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者における身体障害の蓄積を減少させる方法であって、患者に、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を、ラキニモド0.6mgの1日用量で経口投与し、それにより、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者における身体障害の蓄積を減少させることを含む方法も提供する。 一態様では、身体障害の蓄積を対象のMS機能性複合(MSFC:MS Functional Composite)スコアの進行によって評価する。別の態様では、患者のMSFCスコアが、最初にラキニモド処置してから3ヶ月以内に改善される。別の態様では、患者のMSFCスコアが、最初にラキニモド処置してから6ヶ月以内に改善される。別の態様では、患者のMSFCスコアが、最初にラキニモド処置してから12ヶ月以内に改善される。別の態様では、患者のMSFCスコアが、最初にラキニモド処置してから18ヶ月以内に改善される。別の態様では、患者のMSFCスコアが、最初にラキニモド処置してから24ヶ月以内に改善される。 一態様では、身体障害の蓄積、Kurtzke総合障害度評価スケール(EDSS:Expanded Disability Status Scale)スコアによって測定される確認された疾患の進行までの時間によって評価する。 一態様では、患者はラキニモドを投与する前に0〜5.5のEDSSスコアを有した。別の態様では、確認された疾患の進行は、EDSSスコアが1点増加することである。一態様では、患者はラキニモドを投与する前に5.5以上のEDSSスコアを有した。別の態様では、確認された疾患の進行は、EDSSスコアが0.5点増加することである。 一態様では、確認された疾患の進行までの時間は、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して少なくとも30%増加する。別の態様では、確認された疾患の進行までの時間は、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して20〜60%増加する。別の態様では、確認された疾患の進行までの時間は、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して30〜50%増加する。別の態様では、確認された疾患の進行までの時間は、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して少なくとも50%増加する。 一態様では、ラキニモドを投与することにより、確認された進行に対する患者のリスクが、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して少なくとも30%低下する。別の態様では、ラキニモドを投与することにより、確認された進行に対する患者のリスクが、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して少なくとも35%低下する。別の態様では、ラキニモドを投与することにより、確認された進行に対する患者のリスクが、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して少なくとも40%低下する。ある態様では、リスクの低下は、最初にラキニモド処置してから3ヶ月以内に起こった。別の態様では、リスクの低下は、最初にラキニモド処置してから6ヶ月以内に起こった。別の態様では、リスクの低下は、最初にラキニモド処置してから12ヶ月以内に起こった。別の態様では、リスクの低下は、最初にラキニモド処置してから18ヶ月以内に起こった。別の態様では、リスクの低下は、最初にラキニモド処置してから24ヶ月以内に起こった。 一態様では、ラキニモドを、ラキニモドナトリウムの形態で投与する。一態様では、ラキニモドを再発寛解型多発性硬化症に対する単独療法として投与する。別の態様では、ラキニモドを補助療法として他の再発寛解型多発性硬化症の治療と一緒に投与する。さらに別の態様では、他の再発寛解型多発性硬化症の治療は、インターフェロンベータ1−a、インターフェロンベータ1−b、酢酸グラチラマー、ミトキサントロンまたはナタリズマブの投与である。 一態様では、投与は24週間を超える期間にわたる。本明細書に記載の任意の方法の別の態様では、投与は36週間を超える期間にわたる。本明細書に記載の任意の方法の別の態様では、投与は48週間を超える期間にわたる。 本発明は、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者における再発率を低下させることにおいて使用するため、または再発寛解型多発性硬化症のヒト患者が所定の期間内に確認された再発を経験する可能性を低下させるため、または再発寛解型多発性硬化症のヒト患者における再発の重症度または持続時間を低下させるための、ラキニモド0.6mgの医薬経口単位剤形も提供する。 本発明は、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者における身体障害の蓄積を減少させることにおいて使用するための、ラキニモド0.6mgの医薬経口単位剤形も提供する。 本発明は、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者における脳萎縮の進行を緩和する方法であって、ヒト患者に、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を、ラキニモド0.6mgの1日用量で経口投与し、それにより、ヒト患者における脳萎縮の進行を緩和することを含む方法も提供する。 本発明は、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者における脳萎縮を軽減することにおいて使用するための、ラキニモド0.6mgの医薬経口単位剤形も提供する。 本発明は、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者における、MRIによりモニターされる疾患活動性を低下させる方法であって、ヒト患者に、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を、ラキニモド0.6mgの1日用量で経口投与し、それにより、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者における、MRIによりモニターされる疾患活動性を低下させることを含む方法も提供する。 ある態様では、MRIによりモニターされる疾患活動性とは、T1強調画像における増強病変の累積数、T1スキャンにおける新規の低信号病変の累積数、および新規のT2病変の累積数である。別の態様では、MRIによりモニターされる疾患活動性とは、Gd増強病変の平均累積数、Gd増強病変数、T2可視病変の変化または脳容積の変化である。 本発明のさらなる態様では、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者にラキニモド0.6mgの1日用量で経口投与することにより、患者が無疾患または無疾患活動性であるオッズが改善される。一態様では、患者が無疾患であるオッズは、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して少なくとも50%または少なくとも55%上昇する。別の態様では、患者が無疾患活動性であるオッズは、少なくとも40%上昇する。 本発明は、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者における、MRIによりモニターされる疾患活動性を低下させる方法であって、ヒト患者に、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を、ラキニモド0.6mgの1日用量で経口投与し、それにより、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者における、MRIによりモニターされる疾患活動性を低下させることを含む方法も提供する。 ある態様では、MRIによりモニターされる疾患活動性とは、T1強調画像における増強病変の累積数、T1スキャンにおける新規の低信号病変の累積数、および新規のT2病変の累積数である。別の態様では、MRIによりモニターされる疾患活動性とは、Gd増強病変の平均累積数、Gd増強病変数、T2可視病変の変化または脳容積の変化である。 本発明は、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者におけるMRIによりモニターされる疾患活動性を低下させることにおいて使用するための、ラキニモド0.6mgの医薬経口単位剤形も提供する。 本発明のさらなる態様では、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者にラキニモド0.6mgの1日用量で経口投与することにより、患者が無疾患または無疾患活動性であるオッズが改善される。一態様では、患者が無疾患であるオッズは、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して少なくとも50%または少なくとも55%上昇する。別の態様では、患者が無疾患活動性であるオッズは、ラキニモド処置を受けていない患者と比較して少なくとも40%または少なくとも45%上昇する。 前述の態様に関して、本明細書に開示されている各態様は、他の開示されている態様のそれぞれに適用可能であるものとする。 ラキニモドの薬学的に許容される塩とは、本出願において使用される場合、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウムおよび鉄を包含する。ラキニモドの塩製剤およびそれを調製するプロセスは、例えば、本明細書によって参照により本出願に組み込まれる、米国特許出願公開第2005/0192315号およびPCT国際特許出願公開第WO2005/074899号に記載されている。 投与単位は、単一の化合物またはその化合物の混合物を含んでよい。投与単位は、経口剤形、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、および顆粒剤などに調製することができる。 ラキニモドは、意図された投与の形態に関して、また従来の薬務と一致するように適切に選択される適切な医薬希釈剤、増量剤、賦形剤、または担体(本明細書では、集合的に薬学的に許容される担体と称される)との混和物で投与することができる。単位は、経口投与するために適した形態である。ラキニモドは単独で投与することができるが、一般には、薬学的に許容される担体と混合し、錠剤またはカプセル剤、リポソームの形態で、または凝集粉として同時投与する。適切な固体担体の例としては、ラクトース、スクロース、ゼラチンおよび寒天が挙げられる。カプセル剤または錠剤は容易に製剤化することができ、嚥下または咀嚼しやすくすることができる。他の固体形態としては、顆粒剤、および原末が挙げられる。錠剤は、適切な結合剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、流動誘導剤(flow−inducing agent)、および融解剤を含有してよい。 本発明の経口剤形を製剤化するために使用することができる技法、薬学的に許容される担体および賦形剤の特定の例は、例えば、米国特許出願公開第2005/0192315号、PCT国際特許出願公開第WO2005/074899号、同第WO2007/047863号、および同第2007/146248号に記載されている。 本発明において有用な剤形を作製するための一般的な技法および組成物は、以下の参考文献に記載されている:7 Modern Pharmaceutics、第9章および10章(Banker&Rhodes、Editors、1979);Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets(Liebermanら、1981);Ansel、Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 第2版(1976);Remington’s Pharmaceutical Sciences、第17版(Mack Publishing Company、Easton、Pa.、1985);Advances in Pharmaceutical Sciences(David Ganderton、Trevor Jones編、1992);Advances in Pharmaceutical Sciences 7巻.(David Ganderton、Trevor Jones、James McGinity編、1995);Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms(Drugs and the Pharmaceutical Sciences、Series 36(James McGinity編、1989);Pharmaceutical Particulate Carriers:Therapeutic Applications:Drugs and the Pharmaceutical Sciences、61巻(Alain Rolland編、1993);Drug Delivery to the Gastrointestinal Tract(Ellis Horwood Books in the Biological Sciences. Series in Pharmaceutical Technology;J.G.Hardy、S.S.Davis、Clive G.Wilson編);Modern Pharmaceutics Drugs and the Pharmaceutical Sciences、40巻(Gilbert S.Banker、Christopher T.Rhodes編)。これらの参考文献はその全体が本明細書によって参照により本出願に組み込まれる。 錠剤は、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、流動誘導剤、および融解剤を含有してよい。例えば、錠剤またはカプセル剤を単位剤形で経口投与するために、活性薬物成分は、経口用の無毒性の薬学的に許容される不活性な担体、例えば、ラクトース、ゼラチン、寒天、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール、微結晶セルロースなどと組み合わせることができる。適切な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然糖、例えば、グルコースまたはベータ−ラクトースなど、トウモロコシデンプン、天然および合成ゴム、例えば、アラビアゴム、トラガント、またはアルギン酸ナトリウムなど、ポビドン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。これらの剤形で使用される滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、タルクなどが挙げられる。崩壊剤としては、限定することなく、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウムなどが挙げられる。 用語 本明細書で使用される場合、および別段の指定のない限り、以下の用語のそれぞれは下記の定義を有するべきである。 「ラキニモド0.6mgの用量」とは、調製物中のラキニモド酸の量が、調製物の形態にかかわらず0.6mgであることを意味する。したがって、塩、例えばラキニモドナトリウム塩の形態である場合、ラキニモド0.6mgの用量をもたらすために必要な塩の形態の重量は、付加的な塩イオンが存在するので、0.6mgを超えることになる。 「再発寛解型多発性硬化症」または「RRMS」は、完全な回復を伴う、または回復の際に後遺症および残留する欠損を伴う明白に定義された急性発作を特徴とし、疾患の再発間の期間は疾患が進行しないことを特徴とする(Lublin、1996)。 「確認された再発」は、1つ以上の新規の神経学的異常が出現すること、または、臨床的な状態の変化が少なくとも48時間続き、そのすぐ前には以前の再発が発症してから少なくとも30日間神経の状態が改善されていた、1つ以上の以前に観察された神経学的異常が再出現することと定義される。この基準は、症状が24時間持続することのみを必要とする臨床的な再発の定義とは異なる(EMEA Guideline、2006)。「試験内」再発の定義は、以下で考察する通り客観的な神経学的評価により裏づけられなければならないので、神経学的欠損は、偽性再発(pseudo−relapse)が排除されるまで十分に長く持続するべきである。 事象とは、対象の症状が以下の少なくとも1つと一致する観察された客観的な神経学的変化を伴う場合のみの再発である:EDSSスコアが以前の評価と比較して少なくとも0.5増加すること、7つのFS機能性のうちの2つ以上のスコアが以前の評価と比較して1等級増加すること、または1つのFSのスコアが以前の評価と比較して2等級増加すること。 さらに、対象は、急性の代謝変化、例えば発熱または他の医学的異常などのいずれも受けてはならない。腸/膀胱機能または認知機能の変化が完全にEDSSまたはFSスコアの変化の原因になってはならない。 「再発率」とは、単位時間当たりに確認された再発の数である。「再発年率」とは、各患者の確認された再発の数の平均値に365を掛け、患者が試験薬を服用した日数で割ったものである。 「総合障害度評価スケール」または「EDSS」は、多発性硬化症の人の状態を分類し標準化するためにしばしば用いられる評点システムである。スコアは、正常な神経学的検査を示す0.0から、MSに起因する死亡を示す10.0までにわたる。スコアは、身体の機能を制御する中枢神経系の領域である機能系(FS)の神経学的試験および検査に基づく。機能系とは:錘体路(歩行能力)、小脳(協調)、脳幹(話すことおよび嚥下)、感覚(触覚および疼痛)、腸および膀胱機能、視覚、精神、およびその他(MSに起因する任意の他の神経学的所見を含む)である(Kurtzke JF、1983)。 EDSSスコアによって測定されるEDSSの「確認された進行」、または「確認された疾患の進行」とは、ベースラインのEDSSが0〜5.0であった場合にはベースラインのEDSSから1点増加すること、またはベースラインのEDSSが5.5であった場合には0.5点増加することと定義される。確認された進行とみなされるためには、変化(1点または0.5点のいずれか)が少なくとも3ヶ月持続しなければならない。さらに、進行の確認は再発の間に行うことはできない。 「有害事象」または「AE」とは、医薬品を投与された臨床試験の対象における任意の不都合な医学的出来事を意味し、処置との因果関係を有さない。したがって、有害事象は、臨床検査用医薬品に関連すると考えられるか否かに関わらず、臨床検査用医薬品の使用に時間的に関連づけられる異常な検査所見、症状、または疾患を含めた、任意の好ましくないおよび意図されたものではない徴候であり得る。 「歩行指標(Ambulation Index)」または「AI」とは、Hauserらにより、25フィートを歩くために必要な時間および補助の程度を評価することによって移動性を評価するために開発された評点スケールである。スコアは、0(無症候性および完全に活動的)から10(寝たきり)までにわたる。患者に、印のついた25フィートのコースをできるだけ速く安全に歩くことを要求する。試験者は必要とされた時間および補助の種類(例えば、杖、歩行器、松葉杖)を記録する(Hauser、1983)。 「EQ−5D」は、さまざまな健康の状態および治療に適用可能な健康の転帰の尺度として使用するための標準化質問票計器である。EQ−5Dにより、健康管理の臨床的および経済的評価ならびに母集団健康調査において用いることができる健康状態についての単純な記述プロファイルおよび単一の指標値がもたらされる。EQ−5Dは、イギリス、フィンランド、オランダ、ノルウェーおよびスウェーデンにある7施設からの、国際的な多言語使用の集学的な研究者のネットワークを含む「EuroQoL」グループにより開発された。EQ−5D質問票はパブリックドメインであり、EuroQoLから入手することができる。 「Gd増強病変」とは、血液脳関門の崩壊に起因する病変を指し、ガドリニウム造影剤を使用した造影試験において出現する。ガドリニウム増強により、病変の経年数に関する情報が、一般には病変が形成されてから6週間以内に生じるGd増強病変としてもたらされる。 「磁化移動画像法(Magnetization Transfer Imaging)」または「MTI」は、バルク水のプロトンと巨大分子のプロトンの間の磁化相互作用(双極性のおよび/または化学的な交換を通じた)に基づく。オフ共鳴高周波パルスを巨大分子のプロトンに印加することにより、これらのプロトンの飽和が次にバルク水のプロトンに移る。その結果、組織の巨大分子とバルク水の間のMTの大きさに応じてシグナルが減少する(目に見えるプロトンの正味の磁化が低下する)。「MT」または「磁化移動」とは、動きが制限されている水の水素核から、多くの自由度で移動する水の水素核への縦方向の磁化の移動を指す。MTIを用いて、巨大分子の存在または不在(例えば膜または脳組織における)を見ることができる(Mehta、1996;Grossman、1994)。 「磁化共鳴分光法(Magnetization Resonance Spectroscopy)」または「MRS」とは、磁気共鳴画像法(MRI)に関連する専門技法である。MRSを使用して、体組織における異なる代謝産物のレベルを測定する。MRシグナルにより、「励起された」同位元素の異なる分子配置に対応する共鳴のスペクトルが生じる。このサインを使用して、特定の代謝障害、特に脳に影響を及ぼす代謝障害を診断する(Rosen、2007)だけでなく、腫瘍代謝に関する情報ももたらす(Golder、2007)。 「改変疲労影響スケール」または「MFIS」とは、MSの人の生活に対する疲労の影響を評価するために開発された、有効な特定対象報告転帰尺度である。この計器により、身体的機能、認知機能、および心理社会的機能の点で疲労の影響の評価がもたらされる。全長のMFISは、21項目からなるが省略版は5項目である(Fiskら、1994)。 「MS機能性複合」または「MSFC」とは、MSに対する臨床転帰尺度である。MSFCは、MSの3つの重要な臨床的側面:脚の機能/歩行、腕/手の機能、および認知機能の定量的機能性尺度を含む。構成尺度に関するスコアを標準スコア(z−スコア)に変換し、これを平均して単一のMSFCスコアを形成する(Fischer、1999)。 「SF−36」とは、36個の質問を伴う多目的の略式健康調査であり、機能的健康およびウェルビーイングのスコアならびに精神測定に基づく身体的なおよび精神的な健康サマリー尺度および嗜好に基づく健康効用指標の8つのスケールプロファイルをもたらす。SF−36は、特定の年齢、疾患、または処置グループを標的とする尺度とは対照的に、一般的な尺度である。この調査は、QualityMetric,Inc.of Providence,RIにより開発され、そこから入手することができる。 「T1強調MRI画像」とは、病変を可視化することができるT1造影を強調するMR画像を指す。T1強調MRI画像における異常な領域は「低信号」であり、暗いスポットとして出現する。これらのスポットは、一般に、古い病変である。 「T2強調MRI画像」とは、病変を可視化することができるT2造影を強調するMR画像を指す。T2病変は、新規の炎症活動を示す。 「薬学的に許容される担体」とは、妥当な損益比に見合う、過度な有害な副作用(例えば、毒性、刺激、およびアレルギー反応など)を伴わずにヒトおよび/または動物で使用するために適した担体または賦形剤を指す。薬学的に許容される担体は、当該化合物を対象に送達するための薬学的に許容される溶媒、懸濁化剤またはビヒクルであってよい。 パラメータ範囲が提供される場合、その範囲内の全ての整数、およびその10分の1も本発明により提供されることが理解される。例えば、「5〜10%」は、10.0%に至るまでの5.0%、5.1%、5.2%、5.3%、5.4%などを包含する。 本発明は、以下の実験の詳細を参照することにより、よりよく理解されるが、詳説されている特定の実験は、単にその後に続く特許請求の範囲においてより完全に説明されている本発明を例示するものであることが、当業者には容易に理解されよう。[実験の詳細] 例1 臨床試験(第III相)−MSの進行の予防における経口用ラキニモドの評価 多国籍(24か国)、多施設(およそ139か所)、無作為化、二重盲検、並行群間、プラセボ対照臨床試験(「ALLEGRO」または「MS−LAQ−301」)を行って、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の対象における、毎日ラキニモドを0.6mg経口投与することの有効性、安全性および忍容性を24ヶ月間にわたって評価した。 患者1106人を、ラキニモド0.6mgまたはプラセボのいずれかに同等に無作為化し、二重盲検様式で処置し、ベースラインの特性を群間で釣り合わせた。試験の主要評価項目は、二重盲検での処置期間中に確認された再発の数であり、これは、再発年率(ARR−再発の数を患者全員の総曝露で割ったもの)に対応する。副次的評価項目は、3ヶ月の時点で確認される総合障害度評価スケール(EDSS)の変化によって測定される能力障害、ならびにガドリニウム増強(GdE)の累積数および新規の/増大しているT2MRI病変を含んだ。 試験の表題 再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の対象における、毎日ラキニモドを0.6mg経口投与することの安全性、忍容性および有効性を評価するための多国籍、多施設、無作為化、二重盲検、並行群間、プラセボ対照試験。 試験期間 スクリーニング期:1ヶ月。 二重盲検処置期:24ヶ月、ラキニモド0.6mgの1日用量または対応するプラセボを1日1回経口投与する。 盲検の、母集団の進行の分散および検出力の再評価(最初の対象が20ヶ月の処置を完了する前に計画する)に際して、二重盲検の試験期間を30ヶ月まで延長することができる。これは、ラキニモドの、能力障害蓄積に対する影響を検出するための統計学的検出力を増強するために計画する。 試験期間延長の推奨は、所定の規則に基づく。 試験対象母集団 再発寛解型多発性硬化症(RRMS)。 試験デザイン 適格の対象を、以下の処置群のうちの1つに1:1で同等に無作為化した: 1.ラキニモドカプセル0.6mg:ラキニモド0.6mgカプセル1錠を1日1回経口投与した。ラキニモド0.6mgカプセルは、カプセル当たりラキニモド酸0.6mgをメグルミンと共に含有し、2007年12月21日公開のPCT国際特許出願公開第WO/2007/146248号(10頁5行目〜11頁3行目を参照されたい)に開示されている方法に従って製造した。 2.ラキニモド群に対応するプラセボ:カプセル1錠を1日1回投与する。 対象を、試験施設において、−1ヶ月(スクリーニング)、0ヶ月(ベースライン)、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、21ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点の二重盲検期の12回の予定来診について評価した。試験を6ヶ月延長した場合は、対象を、試験施設において27ヶ月および30ヶ月(延長された試験の終了/早期中止)の時点で評価し、この場合、24ヶ月目は定期的な予定来診であった。 患者全員において、EDSSを3ヶ月ごとに、MSFCを6ヶ月ごとに評価し、MRIを年に1回実施した。患者のサブグループ(n=189)は、3ヶ月および6ヶ月の時点で追加的なMRIスキャンを受けた。試験を首尾よく完了した対象には1年のオープンラベルでの延長に入る機会を提案した。試験を中止した患者は最後の終了来診を受け、有害事象に起因して中止した患者について以外は、さらには評価しなかった。 特定の時点で以下の評価を実施した: 1.バイタルサインを各試験来診時に測定した。 2.−1ヶ月(スクリーニング)、0ヶ月(ベースライン)1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月および24ヶ月(中核試験の終了/早期中止)の時点で身体検査を実施する。試験を6ヶ月延長した場合は、30ヶ月(延長された試験の終了/早期中止)時点で追加的な検査を実施した。 3.以下の安全性臨床検査を実施した: a.白血球分画を伴う全血球計算(CBC)−全ての予定来診時。網状赤血球数を0ヶ月(ベースライン)および24/30ヶ月(終了/早期中止)の時点でCBCに追加した。 b.血清生化学検査(電解質、肝酵素、直接型および総ビリルビンならびに膵アミラーゼおよびCPKを含む)、および尿検査−全ての予定来診時。 c.迅速尿β−hCG検査を妊娠の可能性がある女性において、ベースライン(0ヶ月)において、およびその後の各予定試験来診時に(試験実施施設において)実施した。 d.β−hCGを妊娠の可能性がある女性において全ての予定来診時に実施した。 e.3ヶ月時の来診の後に開始し、迅速尿β−hCG検査を妊娠の可能性がある女性において28(±2)日ごとに実施した。検査実施が予定に組み入れられた後72時間以内に対象に電話で接触し、検査に関する特定の質問をした。妊娠が疑われる(尿β−hCG検査結果が陽性である)場合、電話担当者は、試験薬が中止されていることを確認し、対象に、できるだけ早く全ての試験薬を持って試験実施施設に来るように指示した。 4.炎症のマーカー(血清中の従来のC反応性タンパク質およびフィブリノーゲン)−スクリーニング、ベースラインおよびその後の全ての予定来診時。 5.最初の3ヶ月の間に、試験実施施設の職員が2週間ごとに定期的に電話をかけた。予め定義された血管血栓症を示唆する徴候/症状に関する質問の一覧を対象に提示した。 6.ECGを−1ヶ月(スクリーニング;QTcが450msec未満である場合は最大30分間隔をあけて追加的な記録を実施する)、(ベースライン;15分間隔をあけて3回記録)、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で実施した。試験を6ヶ月延長した場合は、ECGを30ヶ月(延長された試験の終了/早期中止)時点で実施する。 7.胸部X線を−1ヶ月(スクリーニング)時点で実施する(スクリーニング来診の前7ヶ月以内に実施していない場合)。 8.有害事象(AE)を、試験全体を通してモニターする。 9.併用薬を、試験全体を通してモニターする。 10.総合障害度評価スケール(EDSS)、25フィート歩行検査/歩行指標(AI)、機能系(FS)を含めた神経学的評価を、−1ヶ月(スクリーニング)、0ヶ月(ベースライン)の時点で、および試験期間および延長された試験期間中3ヶ月ごとに実施する。 11.MS機能性複合(MSFC)を、−1ヶ月(スクリーニング)時点で(単に訓練目的で3回実施)、0ヶ月(ベースライン)、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で評価した。試験を6ヶ月延長した場合は、最後のMSFCを30ヶ月(延長された試験の終了/早期中止)時点で実施した。 12.対象報告疲労を、改変疲労影響スケール(MFIS)によって、0ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で評価した。試験を6ヶ月延長した場合は、追加的なMFISを30ヶ月(延長された試験の終了/早期中止)時点で実施した。 13.全体的健康状態を、EuroQoL(EQ5D)質問票によって、0ヶ月(ベースライン)および24ヶ月(試験の終了/早期中止)の時点で評価した。試験を6ヶ月延長した場合は、最後のEuroQoL(EQ5D)を24ヶ月時点ではなく30ヶ月(延長された試験の終了/早期中止)時点で実施した。 14.全体的健康状態を、略式全体的健康調査(SF−36)対象報告質問票によって、0ヶ月(ベースライン)時点で、およびその後、終了/早期中止まで6ヶ月ごとに評価した。 15.対象は、各評価において100%、2.5%および1.25%コントラストレベル表[スローン文字(Sloan letter)またはタンブリング−E(Tumbling−E)]を用いた両眼の低コントラスト視力評価を、5回、0ヶ月(ベースライン)、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で受けた。試験を6ヶ月延長した場合は、追加的な両眼の低コントラスト視力評価を30ヶ月(延長された試験の終了/早期中止)時点で実施する。 16.ラキニモドの潜在的な作用機構および追加的な炎症のバイオマーカーおよびMS疾患の潜在的なバイオマーカーを調査するために、血清試料を対象全員から0ヶ月、1ヶ月、12ヶ月および24ヶ月の時点で採取した。試験を6ヶ月延長する場合は、最後の血清試料を24ヶ月時点ではなく30ヶ月(延長された試験の終了/早期中止)時点で実施する。 17.対象は、MRIスキャンを3回、0ヶ月(ベースライン)、12ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で受けた。試験を6ヶ月延長した場合は、追加的なMRIを30ヶ月(延長された試験の終了/早期中止)時点で実施した。 18.母集団PK試験(PPK):PPK評価用の血液試料を対象全員から1ヶ月、12ヶ月および24ヶ月の時点で採取した。試験を6ヶ月延長した場合は、最後のPPK評価を24ヶ月時点ではなく30ヶ月(延長された試験の終了/早期中止)時点で実施した。 19.再発を、試験を通して確認/モニターした。「試験内」の再発の定義は客観的な神経学的評価により裏づけられなければならないので、神経学的欠損は、偽性再発が排除されるまで十分に長く持続するべきである。したがって、この臨床試験では、再発とは、1つ以上の新規の神経学的異常の出現、または、臨床的な状態の変化が少なくとも48時間続き、そのすぐ前には以前の再発が発症してから少なくとも30日間神経の状態が改善されていた、1つ以上の以前に観察された神経学的異常の再出現であった。 20.再発に対して許容された処置は、静脈内へのメチルプレドニゾロン、最大5日間連続して1日当たり1gであった。 患者のベースラインの疾患の特性が以下の表1に示されている: 再同意基準 MS再発の確認された診断(プロトコールにおいて定義されている通り)または≧3ヶ月持続するEDSSの≧2.0点の増加に際して、以下の措置を取った: 1.対象に、インフォームドコンセントフォームに書かれている現在利用可能なMS薬および試験を終了する機会について思い出させた。 2.対象に、試験に同じ処置の割当てで参加し続けることを選択する場合はインフォームドコンセントフォームに再度署名するよう求めた。 安全性停止規則を、1)肝酵素の上昇、2)炎症性事象、3)血栓性事象および4)膵炎を管理するために適所に定めた。 補助的試験: 1.高頻度MRI(選択された国および試験実施施設のみ):0ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、および24ヶ月、ならびに試験が延長された場合は、30ヶ月の時点で得たスキャンから取得したT1−Gd増強病変の累積数。補助的試験のための追加的なMRIを3ヶ月および6ヶ月の時点で実施する。 2.磁化移動(MT)(選択された国および試験実施施設のみ):ベースラインから12ヶ月および24ヶ月/30ヶ月までの磁化移動MRIの変化。MTを0ヶ月(ベースライン)、12ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で評価した。試験を6ヶ月延長した場合は、最後のMTを24ヶ月時点ではなく30ヶ月(延長された試験の終了/早期中止)時点で実施した。 3.磁化共鳴分光法(MRS)(選択された国および試験実施施設のみ):ベースラインから24/30までの磁気共鳴分光(NAAS:病変におけるCr比、通常出現する白質)の変化。MRSを0ヶ月(ベースライン)、および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で評価した。試験を6ヶ月延長した場合は、最後のMRSを24ヶ月時点ではなく30ヶ月(延長された試験の終了/早期中止)時点で実施した。 4.薬理遺伝学的(PGx)評価:PGxパラメータ用の血液試料を対象全員からスクリーニング時に採取した。 5.脳萎縮、主要試験において行われた測定に加えて、あるスキャンからその後のスキャンまでの脳容積の変化の百分率によって定義される(高頻度MRIコホート)。 6.全血および血清試料(選択された国および試験実施施設のみ)を、ラキニモドを用いた処置に対する免疫学的応答を評価するため、および潜在的な作用機構をさらに調査するために採取した。全血試料を0ヶ月、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月および24ヶ月の時点で採取した。血清試料を0ヶ月、1ヶ月、6ヶ月、12ヶ月および24ヶ月(試験を30ヶ月まで延長したとしても)の時点で採取した。 7.臨床、MRIおよび安全性パラメータの点でのPGxとラキニモドに対する応答との間の関連性。 組入れ/除外基準 組入れ基準 1.対象は、改訂McDonald基準(Polman、2005)によって定義される通り、再発寛解型疾患経過との確認および実証された診断を有さなければならない。 2.対象は歩行可能で、変換Kurtzke EDSSスコアが0〜5.5でなければならない。 3.対象は、スクリーニング前30日間(−1ヶ月)、安定な神経学的状態になければならず、また、コルチコステロイド治療[静脈内(iv)、筋肉内(im)および/または経口(po)]を受けていてはならない。 4.対象は、以下ののうちの1つを経験していなければならない: a.スクリーニング前12ヶ月のうちの少なくとも1回の実証された再発。 b.スクリーニング前24ヶ月のうちの少なくとも2回の実証された再発。 c.スクリーニング前12ヶ月以内に実施されたMRIにおける少なくとも1つの実証されたT1−Gd増強病変を伴うスクリーニング前12〜24ヶ月の間の1回の実証された再発。 5.対象は、両端を含め18〜55歳でなければならない。 6.対象は、スクリーニング前に少なくとも6ヶ月(最初の症状から)の罹患期間を有さなければならない。 7.妊娠の可能性がある女性は、許容できる受胎調節の方法を行わなければならない。本試験において許容できる受胎調節の方法としては、避妊手術、子宮内避妊具、経口避妊薬、避妊パッチ、長時間作用性注射用避妊薬、パートナーの精管切除術または二重障壁法(double barrier method)(コンドームまたはペッサリーと殺精子剤)が挙げられる。 8.対象は、試験に入る前に書面のインフォームドコンセントに署名し、日付を記入することができなければならない。 9.対象は、試験期間中、プロトコール要件に応じることをいとわず、また、それができなければならない。 除外基準 1.進行型のMSの対象。 2.−1ヶ月(スクリーニング)と0ヶ月(ベースライン)の間の再発の発症、不安定な神経学的状態またはコルチコステロイドまたはACTHを用いた任意の治療[(iv)、筋肉内(im)および/または経口(po)]。 3.スクリーニング前6ヶ月以内の実験または臨床試験用薬物の使用、および/または薬物臨床試験への参加。 4.スクリーニング来診前6ヶ月以内のミトキサントロン(Novantrone(登録商標))を含めた免疫抑制性または細胞傷害性薬剤の使用。 5.以下ののうちの任意の1つの以前の使用:ナタリズマブ(Tysabri(登録商標))、クラドリビン、ラキニモド。 6.スクリーニング来診前2ヶ月以内の酢酸グラチラマー(copaxone(登録商標))インターフェロン−β(1aまたは1bのどちらでも)または静脈注射用免疫グロブリン(IVIG)を用いた以前の治療。 7.スクリーニング来診前2ヶ月以内の≧30日間連続の全身コルチコステロイド治療。 8.以前の全身照射または全身リンパ節照射。 9.以前の幹細胞治療、自己骨髄移植または同種間骨髄移植。 10.分かっている結核歴。 11.ベースライン来診前2週間の急性感染症。 12.ベースライン前2週間の主要な外傷または外科手術。 13.ベースライン来診前2週間以内のCYP3A4の阻害薬の使用(フルオキセチンについては1ヶ月)。 14.スクリーニング来診前2年以内のアミオダロンの使用。 15.妊娠または授乳。 16.スクリーニング時のALTまたはASTのいずれかの血清値の≧3×ULNの上昇。 17.血清直接型ビリルビンがスクリーニング時に≧2×ULNであること。 18. a.スクリーニング来診時の2回のECG記録、または b.ベースラインの3回のECG記録から算出した平均値から得られたQTc間隔が450msecであること(機械出力による)。 19.病歴、身体検査、ECG、検査室検査または胸部X線によって決定された、安全かつ完全な試験への参加を妨げると思われる臨床的に有意または不安定な医学的または外科的な状態を有する対象。そのような状態は、 a.試験プロトコールにより許容される標準の治療によって上手く制御することができない心血管系または肺の障害。 b.試験薬剤の吸収に影響を及ぼす可能性がある胃腸障害。 c.腎臓または代謝の疾患。 d.任意の形態の慢性肝疾患。 e.分かっているヒト免疫不全ウイルス(HIV陽性の状態。 f.QT延長症候群の家族歴。 g.薬物および/またはアルコールの乱用の病歴。 h.主要な精神障害を含んでよい。 20.分かっているGdに対する感応歴。 21.首尾よくMRIスキャンを受けることができないこと。 22.ラキニモドの投与を妨げると思われると分かっている薬物過敏症、例えば、マンニトール、メグルミンまたはフマル酸ステアリルナトリウムに対する過敏症など。 転帰尺度 安全性評価を含めた神経学的評価をスクリーニング時、ベースライン時に、および24ヶ月まで3ヶ月ごとに実施した。患者の神経学的評価および一般的な医学的評価は、非盲検性の可能性を最小限にするために2人の神経科医が行った;特別に訓練され、認定された検査担当神経科医が神経学的状態を評価し、治療担当神経科医が、EDSS/機能系スコアに基づいて、対象が再発を経験したかどうかを決定した。 主要評価項目は、二重盲検試験期間中に確認された再発の数であった。再発は、1つ以上の新規の神経学的異常の出現、または、1つ以上の、少なくとも30日間にわたって神経の状態が改善された後に少なくとも48時間続く以前に観察された神経学的異常の再出現と定義した。対象の症状に以下の少なくとも1つと一致する観察された客観的な神経学的変化が伴った場合は、事象を再発として計数した:EDSSスコアが少なくとも0.5増加すること;7つの機能系のうちの2つ以上が1等級増加すること;または1つの機能系が2等級増加すること。再発の標準化された治療は、治療担当神経科医の決定に基づいて、静脈内へのメチルプレドニゾロン、最大5日間連続して1日当たり1gであった。 副次的評価項目は、EDSSおよび多発性硬化症機能性複合(MSFC)によって測定される能力障害の進行であった。確認された能力障害の進行を、ベースラインのEDSSが0〜5.0であった場合にはEDSS点がベースラインから≧1.0増加したこと、またはベースラインのEDSSが≧5.5であった場合には≧0.5点増加することと定義した。EDSS進行を確認するために、これらの増加は、少なくとも3ヶ月にわたって持続しなければならなかった。追加的な予め定義された能力障害評価項目は、24ヶ月時点で確認される能力障害の進行を伴わない患者の割合;6ヶ月にわたって持続する確認された能力障害の進行(ベースラインのEDSS 0〜5.0または≧5.5に対してEDSSスコアが≧1.0点変化することと定義される);ベースラインから最後の観察値(LOV)までの平均EDSSおよびEDSSの平均変化によって測定される身体障害の蓄積を含む。 MSFCに関して、この尺度は、24ヶ月時点の総MSFC zスコア(12ヶ月より後に終了した患者を含む)であった。9穴ペグ検査(9HPT:9−hole peg test)および定速聴覚連続付加検査(PASAT:Paced Auditory Serial Addition Test)をスクリーニング時に3回実施して、試験中の交絡訓練効果を低下させた。 MRIに関連する副次的評価項目は、12ヶ月および24ヶ月の時点のGdE病変の累積数;ならびに12ヶ月および24ヶ月の時点の新規のT2病変の累積数(以前のスキャンと比較して)であり;MRI探索的評価項目はSIENAを用いた脳容積の変化率(%)を含んだ。10 追加的なMRIの方法論的詳細は以下の通りである:患者全員において、MRIスキャンを0ヶ月、12ヶ月、および24ヶ月の時点で実施した。試験実施施設が試験参加者を登録する前に、明確なMSの志願患者について、スキャナーを最小の磁界の強度1.5Tで使用する厳密な試験画像処理プロトコールに従って、再ポジショニングして2回画像処理することが要求された。高速/ターボスピンエコー(繰り返し時間[TR]=2200〜3500ms、エコー時間[TE]=14〜50/90〜120ms、エコートレイン数=2〜7、スライス厚=3mm、および隣接する軸方向のスライス=44)シーケンスを使用して、プロトン密度およびT2強調画像を得た。高分解能造影前3D T1強調シーケンス(TR=8〜15ms、TE=3〜5ms、反転時間=1.1s、スライス数160、スライス厚1.2mm、フリップ角[FA]=10〜15、矢状方向)を、脳萎縮を定量化するために獲得した。最後に、T1強調画像(1.5Tスキャナー:従来のスピンエコーシーケンス;TR=600〜650ms、TE=10〜20ms、スライス厚=3mm、および隣接する軸方向のスライス=44;3.0Tスキャナー:3Dシーケンス;TR=5〜9ms、TE=2〜5ms、FA=15、スライス厚=3mm、および隣接する軸方向のスライス=44)を、0.1mmol/kgのガドリニウムを注射した5分後に得た。一連の軸方向、冠状、および矢状の画像を得て、その後の経過観察セッションにおいて各患者を慎重に再ポジショニングするために、軸方向の参照スキャンを作成した。軸方向のスライスを、脳梁の最下前部と最下後部をつなぐ線に対して平行に走るように位置づけた。 画像の品質を、MRI−ACで所定の基準を用いて再調査した。GdEおよびT2高信号病変の同定を、2人の経験豊富な観察者の一致により行った。総計および新規のGdE病変ならびに新規の/増大しているT2高信号病変の数を計数した。次いで、同定された病変を、訓練された技術者が、局所的な閾値に基づく半自動分割技法を用いて輪郭を抽出し(Jim 4.0;Xinapse System、Leicester、UK)、病変の体積を自動的に算出した。パーセント脳容積変化および断面の正規化された脳容積を、造影後T1強調画像においてStructural Image Evaluation of Normalized Atrophy(SIENA)ソフトウェアおよび横断的方法(SIENAX)(FMRIB Software Library、Oxford University、Oxford、UK;http://www.fmrib.ox.ac.uk/analysis/research/siena/sienaから入手可能である)を用いて測定した。 主要転帰尺度 二重盲検試験期間中の確認された再発の数(および再発年率)。 副次的転帰尺度 1.試験期間中の確認されたEDSSの進行までの時間によって測定される身体障害の蓄積(確認されたEDSSの進行は、3ヶ月後に確認された、ベースラインのEDSSが0〜5.0であった場合にはEDSSスコアがベースラインから1点増加すること、またはベースラインのEDSSが5.5であった場合には、0.5点増加することと定義される。進行は、再発の間には確認することができない)。 2.処置期間の終わり(24/30ヶ月)にMSFCスコアによって評価される能力障害。 3.12ヶ月および24ヶ月(および試験を6ヶ月延長した場合には30ヶ月)の時点で取得したスキャンにおける新規のT2病変の累積数。 4.12ヶ月および24ヶ月(および試験を6ヶ月延長した場合は30ヶ月)の時点で取得したT1強調画像における増強病変の累積数 安全性および忍容性の転帰尺度 1.有害事象。 2.バイタルサイン。 3.体重。 4.身体検査。 5.心電図(ECG)所見。 6.臨床検査パラメータ。 7.時期尚早に試験を中止した対象の割合(%)、中止の理由および離脱までの時間。 8.AEに起因して時期尚早に試験を中止した対象の割合(%)および離脱までの時間。 追加的な探索的評価項目 以下の評価を探索的に実施する: 1.12ヶ月および24ヶ月(および試験を6ヶ月延長した場合は30ヶ月)の時点の増強されたT1スキャンにおける新規の低信号病変の累積数を評価すること。 2.改変疲労影響スケール(MFIS)によって評価される、対象報告疲労。 3.EuroQoL(EQ5D)質問票による全体的健康状態。 4.略式全体的健康調査(SF−36)対象報告質問票によって評価される全体的健康状態。 5.試験期間中の最初の確認された再発までの時間。 6.試験期間中の、入院および/またはIV類ステロイドを必要とする確認された再発の率。 7.無再発の対象の割合。 8.ベースラインから12ヶ月まで、12ヶ月から24/30ヶ月までおよびベースラインから24/30ヶ月までの変化によって定義されるT2病変の体積の変化。 9.ベースラインから12ヶ月まで、12ヶ月から24/30ヶ月までおよびベースラインから24/30ヶ月までの変化によって定義されるT1低信号病変の体積の変化。 10.ベースラインから12ヶ月まで、12ヶ月から24/30ヶ月までおよびベースラインから24/30ヶ月までの脳容積の変化の百分率によって定義される脳萎縮。 11.ラキニモドの潜在的な作用機構および追加的な炎症のバイオマーカーおよびMS疾患の潜在的なバイオマーカーを調査するために、血清試料を対象全員から採取する。これらの試料は、0ヶ月(ベースライン)、1ヶ月、12ヶ月および24ヶ月(試験を30ヶ月まで延長したとしても)の時点で採取する。 12.母集団PK−異なる共変量に対する母集団モデルの適応度を評価する(共変量、例えば、性別、年齢、併用薬、体重、AEプロファイル、癖など)。 13.2メートルの距離から正確に読み取られた、100%、2.5%および1.25%コントラストレベルのスローン文字/タンブリング−E表上の文字の数によって評価されるベースラインから24/30ヶ月(終了/早期中止)までの両眼の視力の変化。 統計分析 試験期間中の確認された再発の総数の分析は、ベースライン調整疑似尤度(過分散)ポアソン回帰に基づく。処置グループを共変量として用いたポアソン回帰を使用して、治療意図に基づく(intent−to−treat)(ITT)コホートについて各グループのARRを、各グループの患者全員についての確認された再発の総数をそのグループにおける総患者年で割ったものとして算出した。処置グループに加えて、以下の共変量を含めた:ベースラインのEDSSスコア、(前2年間の再発の数+1)の対数および国または地理的地域。 身体障害の蓄積の分析は、コックス比例ハザードモデルに基づく。MSFCの分析は、ベースライン調整共分散分析に基づく。副次的MRI評価項目の分析は、ベースライン調整負の二項分布回帰に基づく。第1種の過誤を制御するために、主要評価項目について有意な効果が見いだされた後にのみ副次的評価項目を分析した。同様に、以下のゲートキーピング手法を適用することによる副次的評価項目の分析において試験の全体的な第1種の過誤をさらに制御した:12ヶ月および24ヶ月の時点の新規の/増大しているT2の累積数とGdE病変の累積数の両方を同時に試験し、p<0.05で統計的に有意であることが必要であった、または、他の評価項目が5%レベルで統計的に有意ではなかった場合は、p<0.025で有意であることが必要であった。上記の条件に適合した場合は、試験を進行させて、確認されたEDSS進行評価項目を分析し、この評価項目が5%レベルで有意であった場合には、総MSFC zスコアの分析を行った。 サンプルサイズの算出は、1年間の確認された再発の数は過分散ポアソン分布を反映するという仮定、および予測ARRは、無処置の対象では0.65であり、プラセボグループではプラセボ効果に起因して0.6であり、ラキニモドグループでは、プラセボと比較して25%以上の再発率の低下に基づいて0.45であるという仮定に基づいた。シミュレーション試験により、対象830人(群当たり対象415人)により、ARRの有意な変化を検出するための、およそ90%の検出力がもたらされることが示された。予測された24ヶ月にわたる20%の離脱を補正するために、サンプルを対象1000人(群当たり対象500人)に調整した。 確認された能力障害の進行のリスクの、ITTコホートを用いた分析は、ベースラインのEDSS、前2年間の再発の数+1の対数および地理的地域に対して調整したコックス比例ハザードモデルに基づいた。24ヶ月時点のMSFCを、ベースライン調整ANCOVA(SAS@PROC GLM)を使用し、ベースラインのMSFCを自由度1の共変量として、ならびにベースラインのEDSSスコア、前2年間の再発率+1の対数および国または地理的地域を追加的な共変量として用いて分析した。24ヶ月時点のMSFC zスコアおよび副次的MRI評価項目の分析は、12ヶ月時点の来診の前に試験を中止しなかった患者のみを含めた。 副次的MRI評価項目の12ヶ月および24ヶ月におけるGdEおよび新規の/増大しているT2病変の累積数の分析は、早期終了患者について調整するための相対的曝露の対数を使用する「オフセット」を用いたベースライン調整負の二項分布回帰を含んだ。このモデルは、共変量としてベースラインにおける増強病変の数、および国または地理的地域を含んだ。新規の/増大しているT2病変分析の場合では、ベースラインのT2病変の体積も加えた。MRI副次的評価項目分析では、同時に、5%の全体的な第1種の過誤を、これらの2つの評価項目の分析から得られた2つのP値に対してボンフェローニの方法に対するホッホバーグのステップアップ改変を用いて試験した。脳萎縮評価項目の分析は、ベースライン調整共分散分析(ANCOVA)を含んだ。共変量は、ベースラインにおけるGdE病変の数および国または地域であった。探索的評価項目は全て、5%の有意水準で分析した。 結果 ALLEGRO試験の結果により、ラキニモド処置により、有効に再発年率が低下し、能力障害の進行が遅くなり、脳萎縮が軽減し、新規の病変の発生が減少したことが示された。試験結果の要約が下の表2に示されている: aベースライン調整疑似尤度(過分散)ポアソン回帰分析、ベースラインのEDSSスコア、前2年間の再発率+1の対数および国または地理的地域を共変量として含む。 bベースライン調整ロジスティック回帰分析、共変量であるベースラインのEDSS、前2年間の再発の数+1の対数および国または地理的地域を伴う。 cベースラインのEDSS、前2年間の再発の数の対数+1および地理的地域に対して調整したコックスモデル回帰分析。 dベースライン調整疑似尤度(過分散)ポアソン回帰分析、ベースラインのEDSSスコア、前2年間の再発率+1の対数および国または地理的地域を共変量として含む。 eベースラインのEDSS、前2年間の再発の数+1の対数および地理的地域に対して調整したコックスモデル回帰分析。 fP値を、カイ二乗検定を用いて算出した。 gベースラインのEDSS、前2年間の再発の数+1の対数および地理的地域に対して調整したコックスモデル回帰分析。 h地理的地域、ベースラインにおけるEDSSおよび前2年間の再発率+1の対数を共変量として用いたベースライン調整ANCOVA。 iベースラインのMSFCを自由度1の共変量として、およびベースラインのEDSSスコア、前2年間の再発+1の対数および国または地理的地域を共変量として用いたベースライン調整ANCOVA。 j早期終了曝露不足について調整するためのオフセット、ならびにベースラインのGdE病変、および国または地理的地域を共変量として用いたベースライン調整負の二項分布回帰。 k早期終了曝露不足について調整するためのオフセット、ならびにベースラインのGdE病変、および国または地理的地域を共変量として用いたベースライン調整負の二項分布回帰。 lベースラインのGdE病変の数、および国または地理的地域を共変量として用いたベースライン調整ANCOVA。 ポストホック試験結果の要約が下の表3に示されている: 経口用ラキニモドにより、重症の再発が減少し、能力障害の進行が遅くなった 再発評価項目: 24ヶ月の処置期間中のARRは、ラキニモド患者において、プラセボ患者と比較して有意に低下した(0.304±0.022対0.395±0.027、p=0.0024、表2)。この結果は頑強であり、全ての分析セットにおいて一貫していた。他の再発に関連する尺度、例えば、最初の再発までの時間および無再発率なども、ラキニモド処置した後に、プラセボと比較して正に変化した。無再発の患者の百分率は、ラキニモドについては62.9%であり、プラセボ対象については52.24%であり(p=0.0006、表2)、これは、無再発であるオッズの55%の上昇に対応する。ラキニモド患者についてプラセボ参加者と比較して最初の再発までの時間が延長され(最初の再発までの時間の28.2%の増加、p=0.0005)、再発のリスクが有意に低下した。入院および/または静脈内ステロイド治療を必要とする再発の年率、試験の探索的評価項目は、ラキニモドで処置した患者について、プラセボ群の患者と比較して有意に低いことが見いだされた(p=0.0003)。IV類ステロイドを必要とする再発の年率は、ラキニモド患者について27%低かった(.263対.359、p<0.0001)。入院を必要とする再発の年率は、.071対0.114、p<0.0001であり、ラキニモド患者について38%低下した。再発率の低下に基づいて、ラキニモドにより、再発寛解型多発性硬化症のヒト患者が所定の期間内に確認された再発を経験する可能性が低下するといえる。 能力障害評価項目: ALLEGROの結果は、ラキニモドにより、RRMSの患者における再発重症度と能力障害の蓄積の両方が低下することをはっきり示している。 本試験において、能力障害に関する副次的評価項目は、3ヶ月の時点で確認される能力障害の進行のリスク(ベースラインのEDSSが0〜5.0である場合はEDSSスコアの≧1.0点の変化、または、ベースラインのEDSSが≧5.5である場合は≧0.5点の変化)を含んだ。予め定義された追加的な能力障害評価項目は、6ヶ月時点で確認される能力障害の進行のリスク、最後の観察値(LOV)における能力障害の進行のリスク、および3ヶ月にわたって持続する確認された能力障害の進行を有する患者の割合を含んだ。 3ヶ月後に確認されたEDSSスコアは、ラキニモド患者について有意に36%低下した(ハザード比=0.641、95%CI:0.452〜0.908、p=0.0122;表2および図2)。6ヶ月時点の確認されたEDSS進行のリスクも48%低下した(HR=0.516、95%CI:0.337〜0.790、p=0.0023)。この知見は、最後の利用可能な来診におけるEDSSの変化の持続を必要とするよりストリンジェントな手法の使用において、確認された進行のリスクが35%低下したことにより補強された(ハザード比=0.656、p=0.036)。24ヶ月後に確認されたEDSS進行を有する患者の割合は、ラキニモドについては9.8%であり、プラセボについては14.0%であった(p=0.038;表2)。ポストホックサブグループ分析により、進行した33/54(61.1%)のラキニモドおよび53/78(67.9%)のプラセボ患者が試験中に再発も有したことが示された。ベースラインから24ヶ月までのMSFCスコアの全体的な変化はわずかであり、24ヶ月時点のラキニモド処置した患者の調整平均総MSFC zスコアとプラセボ処置した患者の調整平均総MSFC zスコアとの間には有意差がないことが見いだされた(zスコア=0.056および0.037、それぞれ、p=0.5893)。例えば、患者のEDSSスコアによって測定される確認された進行疾患活動性までの時間およびそのリスクの有意な低下により、ラキニモドが神経保護性を有することが示唆される。 この臨床的所見は、MRI尺度(探索的評価項目と定義される)、例えば、脳萎縮の進行およびT1低信号病変数などによって裏づけられた。MRI結果は下でより詳細に考察されている。 経口用ラキニモドにより、神経変性のMRIマーカーが低下した ALLEGRO試験の副次的評価項目は、ガドリニウム増強T1病変および新規のT2高信号病変の数を含めた、MRIによって測定される疾患活動性を含んだ。この試験では、ラキニモドの、組織傷害の種々の従来の(T1低信号および脳容積)および進歩した(磁化移動(MT)画像法およびプロトン磁気共鳴分光法(1H−MRS))MRI尺度に対する効果を評価した。従来の新規のT1低信号病変についてのMRIスキャン、およびSIENAを用いた脳容積を、ベースライン、12ヶ月および24ヶ月の時点で実施した。10ヶ所の試験実施施設(n=93)において、MT MRIを3つの時点で得、6ヶ所の試験実施施設(n=39)において、1H−MRSからのNAA/Cr比を、ベースラインおよび最後の試験来診において、中心白質に位置づけた関心体積(VOI)から得た。 ラキニモドにより、平均のGdE病変の累積数がプラセボと比較して37%低下することが見いだされた(リスク比=0.629、p=0.0003;図3)。12ヶ月および24ヶ月時点の新規の/増大したT2病変の平均累積数も、ラキニモド患者において30%低下した(リスク比=0.704、p=0.0002)。新規の低信号T1病変の平均累積数(12ヶ月および24ヶ月−12ヶ月より後の終了/早期終了)はラキニモドグループにおいて、プラセボグループと比較して26.7%低下した(それぞれ1.47対2.00、p=0.0039)。平均MTR全脳のベースラインから最後の観察値(LOV)までの変化は、プラセボ患者(n=40)について−0.438減少し、一方ラキニモド患者については安定なままであり(+0.045の変化、n=44)、これにより、0.483(p=0.0180)の差異が示される。同じ方向に、T2可視病変の平均MTRはプラセボ患者(n=40)については−0.335減少し、ラキニモド患者については安定であり(−0.005の変化、n=43)、これにより、0.330(p=0.1007)の差異が示される。ベースラインから24ヶ月までのNAA/Crの調整平均変化はラキニモド(n=12)については0.087であり、プラセボ(n=15)患者については−0.145であった(p=0.1738)。 脳容積の変化率(%)は、プラセボグループにおいてラキニモドグループと比較してより高速度で進行し、それぞれベースラインから12ヶ月まで、−0.763対−0.358およびベースラインから24ヶ月まで−1.297対−0.871(調整平均差異=0.426、p<0.0001、図4)であり、これは、ラキニモド処置による脳萎縮の51.7%および32.8%の低下を反映している。 MRIデータは、ラキニモドが不可逆的な組織損失を妨げることにおいて明白な効果を有したことを示し、これは能力障害の進行に対するその影響と一致する。 ラキニモドにより、患者の疲労および機能状態が維持された、または改善した 患者報告探索的評価項目として、疲労を、改変疲労影響スケール(MFIS)を用いて評価し、機能状態を、略式(SF)−36全体的健康調査を用いて評価した。どちらの尺度も、ベースライン、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月および24ヶ月の診療所への来診時に完了し、ベースラインのEDSS、前2年間の再発率および国/地域に対して調整したANCOVAを使用して分析した。生活の質(QOL)の結果の要約が下の表4に示されている: ベースラインにおける疲労は、公開された健康な個体についての平均スコアの2倍超であった:ラキニモド患者については31.1(.79)であり、プラセボ患者については30.6(.73)であった。疲労はプラセボ患者において試験中に悪化し、調整平均スコアは24ヶ月時点で34.4(0.71)であり、それと比較して、ラキニモドで処置した患者では31.9(0.71)であり、ラキニモドの治療効果は−2.53(p=0.004)であった。調整平均MFISサブスケールスコアのベースラインからの変化により、ラキニモドグループにおいて有意な改善が示された:24ヶ月時点の認知(p=0.05);24ヶ月時点の身体的(p=0.02);および12ヶ月時点の心理社会的(p=0.02)。SF−36については、精神的側面のサマリースコアについてのラキニモドとプラセボとの間の調整した治療効果の差異は、1.68(p=0.004)であり、活力(vitality)、社会生活機能(social functioning)および日常役割機能(精神)(role emotional)に関するサブスケールがこの効果の一因となっている。身体的側面のサマリースコア(PCS)はラキニモドについては24ヶ月にわたって安定なままであり、プラセボグループについてのPCSは減退したが、差異は統計的有意性には達しなかった(p=.13)。PCSサブスケールのうちの2つ:身体機能(physical functioning)(p=0.016)および日常役割機能(身体)(role physical)(p=0.010)については、24ヶ月にわたり、ラキニモドにおいてプラセボに対して改善が示された。 ALLEGRO試験の結果は、ラキニモドで処置した患者の疲労および機能状態が、プラセボ患者の疲労および機能状態と比較して維持されたまたは改善したこと、およびこれらの効果により、能力障害の進行および再発率に対して見られる頑強な臨床効果が裏づけられることを示唆している。 安全性および忍容性 ラキニモドグループでは死亡は生じず、プラセボグループでは3例の死亡が生じた(傷害、自殺および肺炎に関連する合併症)。ラキニモド患者については、合計122例、およびプラセボ患者については90例の重篤な有害事象(SAE)が報告された。ラキニモド処置した患者において、より高い虫垂炎の発生率が報告された(プラセボグループにおける1症例に対して5症例)。全ての場合において、追加的な合併症を伴うことなく虫垂切除術が実施され、患者は試験処置を継続した。全体として、新生物の14症例があり、どちらの群にも一様に分布し(ラキニモドグループにおいて8症例、およびプラセボグループにおいて6症例)、癌の種類は多様であった。 ラキニモドおよびプラセボ群において、それぞれ、3309例および2965例の有害事象が存在し、患者の87%および81%が1またはそれ以上の事象を報告した。ラキニモドグループにおける、プラセボと比較した3種の最も一般的な有害事象(以下に考察する肝酵素の上昇を除いて)は、腹痛(n=32、5.8%対n=16、2.9%)、背痛(n=90、16.4%対n=50、9%)および咳(n=41、7.5%対n=25、4.5%)であった。これらの有害事象は、試験中止を伴うことはめったになかった(ラキニモド患者で3%、プラセボ患者で1%)。ラキニモド患者の方が多く、試験中に、肝臓アミノトランスフェラーゼの異常な値へのシフト、詳細には、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≧正常値上限の3倍(3×ULN)および<5×ULNを示した(n=27、4.9%;対n=11、2.0%プラセボ)。ラキニモド患者7人およびプラセボ患者2人について、ALT≧3および<5×ULNに起因して処置を中止した。対照的に、≧5×ULNのALTの上昇は両群で同等の頻度で起こり(8対8)、同等の中止率に至った。5×ULNに至るまでの上昇は、通常、最初の6ヶ月以内に起こり、全てが可逆的であり、試験中止しなかったか、または2ヶ月以内に離脱した。同時にビリルビンが上昇することまたは凝固試験(Hy’s Law)(Temple、2006)によって証明される肝不全(liver failure)の症例はなく、肝不全(liver insufficiency)の症例はなかった。 考察 ラキニモドは、能力障害の臨床尺度および疾病負荷のMRI尺度に対する一貫した効果、その経口投与経路およびその安全性プロファイルによって示される、その組織傷害の蓄積に対する効果に基づいて、再発寛解型MSに対する有望な治療である。 ラキニモドは、MSの再発寛解型経過を特徴付ける炎症活動に対する有意な効果を有した。再発率、試験の主要評価項目の低下、ならびに活動的なMRI病変の減少において効果が見られた。再発率の低下は、疾患活動性のMRI尺度に対して見られる効果と高度に一致し、これは、他の疾患修飾治療(DMT)に関して常に同様であるとは限らない(The IFNB Multiple Sclerosis Study Group、1993;Jacobs、1996;PRISMS Study Group、1998)。さらに、ラキニモドは、確認された能力障害の進行に対する有意な効果を有し、これはMSにおける中核的な転帰尺度と考えられる。プラセボ群における疾患の進行を有する患者の全体的な割合はそれほど大きくなかったが、ラキニモド群における低下は、効果が、能力障害の進行のよりストリンジェントな基準、例えば、6ヶ月の確認期間および最後の利用可能な来診におけるEDSSの変化の持続などを含めた感度分析によって確認された通り実際の現象であった。サブグループ分析により、両グループにおける能力障害の進行が主に発作に起因し、ラキニモド処置した患者において重症度が低く、よりよく回復したことが示された。これは、この薬物の病変数に対する中程度の効果および病変の内側の軸索損傷に対する著しい効果を示す前臨床試験と一致する(Thone、2011)。ラキニモドの、MSにおける不可逆的な組織傷害の蓄積を軽減する独特の性質は、炎症活動に対してより大きな影響を与える、他のDMTについて以前に報告されているものと同程度の脳組織損失の進行の有意な低下によってさらに裏づけられる(Kappos、2010;Rudick、1999;Sormani、2004;Miller、2007)。MSFCについて有意な効果は観察されず、これはおそらく、両群において見られた非常に小さな平均の長期的な変化に起因する。実践効果は、プラセボ群においてMSFCスコアが改善したが、他の試験では、悪化が示された(Kappos、2010;Cohen、2010)ので、MSFCの構成要素の不明瞭な長期的な変化を有し得る。 ALLEGRO試験により、第II相において実証されたラキニモドの非常に良好な安全性プロファイルがさらに確認された。試験における重篤な有害事象の率は上昇しなかった。1つの安全性シグナルは、ラキニモド処置群において2倍頻繁に起こった肝酵素の上昇であった。これらの上昇は、主に、最初の処置期間において起こり、通常はそれほど大きくなかった;5×ULNを超える値がラキニモドおよびプラセボ群において同等の頻度で生じた。肝酵素の上昇は、≧3×ULNを有する患者においてにさえ常に可逆的であり、肝不全(liver insufficiency)または肝不全(liver failure)の臨床的な、画像的なまたは検査の徴候は伴わなかった。忍容性の問題の1つの潜在的なシグナルは、ラキニモド群においてより頻繁に起こり、より頻繁に処置の中止に至った腹痛であった。ALTの上昇と同様に、腹痛は処置への曝露の初期に報告された。ロキニメックスで以前に見られた安全性の懸念(Noseworthy、2000)、例えば、漿膜炎、心血管系事象および血栓症などがALLEGRO試験においてシグナルとして出現しなかったことは注目に値する。 この試験において見られた結果は独特である。プラセボ対照の状況における能力障害の進行に対する効果が証明されている他の薬物のピボタル試験から得られたデータにより、再発に対する効果と相関する効果の大きさが示されている。現在までの全ての他の薬物が、能力障害の進行に対する効果はARRに対する効果と同等であるか、それよりも低い。 比較すると、この試験の結果は、多発性硬化症についてのより重要な長期尺度である能力障害の進行に対するラキニモドの効果が他の薬物よりも相当高いことを示し、これは、動物モデルにおいて見られるように、ラキニモドの効果は必ずしもその抗炎症性から派生するものではなく、同様に純粋な神経保護で構成されることを示唆している。したがって、この試験は、ラキニモドがMSをその抗炎症性により治療するために有効であるだけでなく、神経系細胞を神経細胞傷害または変性から保護するための神経保護ももたらすことを示している。 結論 この第III相試験により、ラキニモドが、再発および能力障害の進行の低下を伴い、肝酵素の一過性の上昇以外の安全性シグナルは伴わずにRRMSを治療するための新規の選択肢として裏づけられる。感染症または悪性腫瘍の明白な増加は見られなかった。ラキニモドを用いた処置は、プラセボ患者についての.395±0.027からラキニモド患者についての0.304±0.022までの再発年率の低下を伴い(p=0.0024)、確認されたEDSS進行のリスクは低かった(ハザード比=0.641、95%CI:0.452〜0.908、p=0.0122)。24ヶ月時点で、GdEおよび新規の/増大しているT2病変の平均累積数がラキニモドについてより低く(p=0.0003およびp=0.0002)、また、脳容積低下の速度が低下した(p<0.0001)。 例2 臨床試験(第III相)−Avonex(登録商標)およびラキニモドの便益−リスク評価 多国籍、多施設、無作為化、並行群間臨床試験をRRMSの対象において実施する(「BRAVO」)。BRAVOを行って、二重盲検および評価者盲検デザインにおけるプラセボに対するラキニモドの有効性、安全性および忍容性、ならびにインターフェロンβ−1a(Avonex(登録商標))の参照群の有効性、安全性および忍容性を評価する。この試験は、経口用ラキニモドと注射用インターフェロンβ−1a(Avonex(登録商標))の間の比較的な便益/リスク評価を実施するためにも行う。 この試験の主要な目的は、処置期間中の確認された再発の数によって測定される、1日用量0.6mgのラキニモドのRRMSの対象における有効性を評価することである。この試験の副次的な目的は、処置期間の終わりにMSFCスコアによって評価される、1日用量0.6mgのラキニモドの、能力障害の蓄積に対する効果を評価すること;1日用量0.6mgのラキニモドの、処置期間の終わりにパーセント脳容積のベースラインからの変化によって定義される脳萎縮の発生に対する効果を評価すること;および1日用量0.6mgのラキニモドの、処置期間中の確認されたEDSSの進行までの時間によって測定される身体障害の蓄積に対する効果を評価することを含む。 MS臨床試験のための2006年EMEAガイドラインには、少なくとも再発を予防することが意図されている治療において新規の治療の相対的な便益/リスク比を示すためには、新規の治療をすでに認可されている治療と比較する実対照薬並行群間試験が必要であると述べられている。プラセボ、被験製品および実対照薬を用いた3群試験が好ましいデザインである。 Avonex(登録商標)(インターフェロンベータ−1a)は、ヒトインターフェロンベータ遺伝子が導入された、遺伝子操作されたチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて組換えDNA技術によって作出される166アミノ酸の糖タンパク質である。Avonex(登録商標)のアミノ酸配列は、天然のヒトインターフェロンベータのアミノ酸配列と同一である。 Avonex(登録商標)は、再発型のMSの患者の治療に適応する、身体障害の蓄積を遅らせ、臨床的増悪の頻度を減少させるための市販されている薬物である。有効性が実証されている多発性硬化症の患者は、最初の臨床エピソードを経験し、MSと一致するMRIの特徴を有する患者を含む。 Avonex(登録商標)の推奨される投与量は、30mcg、週に1回、筋肉内注射である。 試験の表題 二重盲検デザインにおいてプラセボに対するラキニモドの有効性、安全性および忍容性、ならびに評価者盲検デザインにおいてインターフェロンβ−1a(Avonex(登録商標))である参照群の有効性、安全性および忍容性を評価するために、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の対象において実施された多国籍、多施設、無作為化、並行群間試験。 試験期間 スクリーニング期:1ヶ月または最大30日間。 処置期:24ヶ月、1日1回のラキニモド0.6mg、対応する経口用プラセボの経口投与、または週に1回のインターフェロンβ−1a(Avonex(登録商標))30mcgの筋肉内投与。 試験を首尾よく完了した対象には、ラキニモドを1日当たり0.6mg投与する、1年のオープンラベルでの延長に入る機会を提案した。 1ヶ月は、この試験では30±4日と定義される。 試験対象母集団 RRMSの対象。 対象の数 およそ1200人の対象。 リクルートメント期間が終わる前に、盲検化した再発率およびサンプルサイズの再評価を実施する。新規に推定された母集団の再発率に基づいて、サンプルサイズを増加させることができる。 脱落者の代わりは立てなかった。 試験デザイン 処置群 適格の対象を、1:1:1の比率(経口用ラキニモド:経口用プラセボ:Avonex(登録商標))に無作為化し以下の3つの処置群のうちの1つに割り当てる: 1.ラキニモド0.6mg、経口、1日1回(400人の対象)。 2.対応するプラセボ(ラキニモドに対して)、経口、1日1回(400人の対象)。 3.インターフェロンβ−1a(Avonex(登録商標))30mcg、筋肉内注射、週1回(400人の対象)。 経路および剤形 0.6mg群:ラキニモド0.6mgを含有するカプセル1錠を1日1回経口投与する。ラキニモド0.6mgカプセルは、カプセル当たりラキニモド酸0.6mgをメグルミンと共に含有する。 ラキニモド0.6mgカプセルは、2007年12月21日公開のPCT国際特許出願公開第WO/2007/146248号、(10頁5行目〜11頁3行目を参照されたい)に開示されている方法に従って製造する。 ラキニモド群に対応するプラセボ:カプセル1錠を1日1回投与する。 盲検化 経口処置を受ける対象は、二重盲検様式で管理する。Avonex(登録商標)の注射による処置に割り当てられた対象およびその治療担当神経科医/医師は、処置の割当てについては非盲検であるが、検査担当神経科医/医師によって、盲検様式で(潜在的なIM注射部位を覆う)神経学的に評価される。 特定の時点の評価 処置期中、対象を、試験施設において、−1ヶ月(スクリーニング)、0ヶ月(ベースライン)、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、21ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点の合計12回の予定来診について評価する。 試験中、特定の時点で以下の評価を実施する(処置の割当てにかかわらず): 1.バイタルサイン(体温、脈拍、血圧)を各試験来診時に測定する。 2.−1ヶ月(スクリーニング)、0ヶ月(ベースライン)1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で身体検査を実施する。 3.以下の安全性臨床検査を実施する: a.血液学的検査(hematology)および白血球分画を伴う全血球計算(CBC)−全ての予定来診時。網状赤血球数を、0ヶ月(ベースライン)および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で、ならびにヘモグロビンが著しく減少した場合にCBCに追加する。 b.血清生化学検査(電解質、肝酵素、直接型および総ビリルビン、CPKならびに膵アミラーゼを含む)、および尿検査−全ての予定来診時。 c.血清TSH、T3および遊離のT4を0ヶ月(ベースライン)、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で測定する。 d.迅速尿β−hCG検査を、妊娠の可能性がある女性において、ベースライン(0ヶ月;対象全員)およびその後の各予定試験来診時に(試験実施施設において;経口処置に割り当てられた対象のみ)実施する。 e.β−hCGを、妊娠の可能性がある女性において各試験来診時に実施する。 f.3ヶ月時の来診の後に開始し、迅速尿β−hCG検査を、妊娠の可能性がある女性において、28(±2)日ごとに実施する(経口処置に割り当てられた対象のみ)。検査実施が予定に組み入れられた後72時間以内に対象に電話で接触し、検査に関する特定の質問をする。妊娠が疑われる(尿β−hCG検査結果が陽性である)場合、電話担当者は、試験薬が中止されていることを確認し、対象に、できるだけ早く全ての試験薬を持って試験実施施設に来るように指示する。 4.炎症のマーカー(血清中の従来のC反応性タンパク質およびフィブリノーゲン)を全ての予定来診時を測定する。 5.血清試料を、免疫学的パラメータ、およびラキニモドまたはAvonex(登録商標)のいずれかを用いた処置に対する応答を評価するため、ならびにラキニモドの潜在的な作用機構をさらに調査するため、または感染病原体を検出するために採取する。これらの試料は、0ヶ月、12ヶ月および24ヶ月の時点で採取する。 6.試験の最初の3ヶ月の間に、試験実施施設の職員が2週間ごとに、および1ヶ月および2ヶ月の来診の14(±2)日後に定期的に電話をかけ、患者に、血管血栓症を示唆する徴候または症状に関する質問をし、予め定義された血管血栓症を示唆する徴候/症状に関する質問の一覧を対象に提示する。血栓性事象が疑われる場合、対象に、さらに評価するために、すくに試験実施施設に来るように要求する。1ヶ月および2ヶ月の来診の14(±2)日後に、患者に、血管血栓症を示唆する徴候または症状に関する質問をする。 7.ECGを、−1ヶ月(スクリーニング;QTcが>450msecである場合に、最大30分間隔をあけて追加的な記録を実施する)、0ヶ月(ベースライン;3回記録、15分間隔)、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で実施する。 8.胸部X線を、−1ヶ月(スクリーニング)時点で実施する(スクリーニング来診前6ヶ月以内に実施されていない場合)。 9.有害事象(AE)を、試験全体を通してモニターし、記録する。 10.併用薬を、試験全体を通してモニターする。 11.神経状態検査(Neurostatus)[機能系(FS:Functional Systems)、総合障害度評価スケール(EDSS;変換スケール)、歩行指標(AI)]および時間計測25フィート歩行検査を含めた神経学的評価を、−1ヶ月(スクリーニング)、0ヶ月(ベースライン)の時点で、およびその後3ヶ月ごとに、終了/早期中止まで実施する(スクリーニング来診時に、時間計測25フィート歩行検査を3時間、練習目的で、MSFCの一部として実施する)。 12.MS機能性複合(MSFC)を、−1ヶ月(スクリーニング)(単に訓練目的で3回実施)、0ヶ月(ベースライン)、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で評価する。 13.全体的健康状態を、0ヶ月(ベースライン)および24ヶ月(終了/早期中止)の時点でEuroQoL(EQ5D)質問票によって評価する。 14.全体的健康状態および生活の質のパラメータを、略式全体的健康調査(SF−36)対象報告質問票によって、0ヶ月(ベースライン)時点で、および、その後6ヶ月ごとに終了/早期中止まで、その時点を含め評価する。 15.対象報告疲労を改変疲労影響スケール(MFIS)によって、0ヶ月(ベースライン)、2ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で評価する。 16.対象全員がMRIスキャンを0ヶ月(ベースライン来診の13〜7日前)、12ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点での3回受ける。対象はガドリニウム投与(12ヶ月)の前後にMRIスキャンを受ける。 17.対象全員は両眼の低コントラスト視力の評価を5回、各評価において1.25%、2.5%および100%コントラストレベル表[スローン文字またはタンブリング−E]を使用して、0ヶ月(ベースライン)、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で受ける。 18.第V因子Leiden突然変異(FVLM)についての血液検査をスクリーニング来診時に実施する。 19.B型およびC型肝炎ウイルスについての血清学的検査(Serology)をスクリーニング来診時に実施する。 20.再発を、試験全体を通して確認/モニター/評価する。「試験内」の再発の定義は、客観的な神経学的評価によって裏づけられなければならないので、神経学的欠損は、偽性再発が排除されるまで十分に長く持続するべきである。したがって、Bravoでは、確認された再発とは、1つ以上の新規の神経学的異常の出現、または、臨床的な状態の変化が少なくとも48時間続き、そのすぐ前には以前の再発が発症してから少なくとも30日間神経の状態が改善されていた、1つ以上の以前に観察された神経学的異常の再出現である。 21.再発に対して許容された処置は、静脈内へのメチルプレドニゾロン、最大5日間連続して1日当たり1gである。 22.仕事の生産性および活動障害−全体的健康(WPAI−GH:Work Productivity and Activities Impairement)質問票を用いた、全体的健康および症状の重症度の仕事への影響の評価(3、6、9、12、15、18および21ヶ月)(この評価は、米国の試験実施施設からの対象にのみ、全員に実施する)。 23.来診中に実施した一連の評価は以下の通りである: a.略式全体的健康調査(SF−36)対象報告質問票(6、12および18ヶ月) b.改変疲労影響スケール(MFIS)(2、6、12および18ヶ月) c.仕事の生産性および活動障害−全体的健康(WPAIGH)質問票(米国の試験実施施設にのみ適用可能、3、6、9、12、15、18および21ヶ月) d.MSFCの9穴ペグおよびPASAT構成要素(時間計測25フィート歩行を後で実施してもよい)(6、12および18ヶ月) 24.残りの来診活動、上記の通り 25.経口処置に割り当てられた対象については、最後の用量の試験薬を終了来診日の1日前に服用する。 26.注射に割り当てられた対象については、試験薬(Avonex(登録商標))を終了来診日には投与しない。 安全性パラメータ−有害事象 有害事象を、対象がインフォームドコンセントフォームに署名した時から、試験全体を通して、終了来診の30日後まで記録する。 安全性パラメータ−安全性の検査室評価 以下の試験を実施する: 1.血清生化学検査:グルコース、クレアチニン、ビリルビン(直接型および総)、尿素、AST(SGOT)、ALT(SGPT)、GGT、膵アミラーゼ、脂質プロファイル(スクリーニングまたはベースライン来診時の試験において1回;12時間の絶食が義務である:総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロールおよびトリグリセリド)、総タンパク質量、アルブミン、CRP(C反応性タンパク質、従来のアッセイ)、アルカリホスファターゼ、CPK、T3、遊離のT4、およびTSH[0ヶ月(ベースライン)、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点のみ]。 2.電解質:ナトリウム、カリウム、カルシウム、および亜リン酸。 3.凝固:フィブリノーゲンおよびINR(ローカルな検査室において実施) 4.血液学的検査:ヘモグロビン、MCH、MCV、MCHC、ヘマトクリット、赤血球数(RBC)、白血球数+分画、血小板数、ならびに網状赤血球数を0ヶ月(ベースライン)および24ヶ月(終了/早期中止来診)の時点で、ならびにベースラインレベルと比較してヘモグロビンが≧2g/dL減少したいかなる場合にも、CBCに追加した。そのような場合では、網状赤血球数の測定を、ヘモグロビン値とベースラインのヘモグロビンとの間の差異が<2g/dLになるまで各CBC検査と共に続ける。 5.第V因子Leiden突然変異:この試料(この突然変異専用)は、スクリーニング来診時に採取し、中心的な検査室において凍結保管する。この試料は、DMCの要請に応じて、試験中の任意の時間に分析することができる。任意の理由により、対象がスクリーニング不適格である場合は、この試料を破棄する。 6.妊娠検査 7.尿検査:グルコース、ケトン、赤血球、白血球およびタンパク質 8.血清学的検査(確認された肝酵素の異常のためだけに実施する):抗A型肝炎IgM抗体、B型肝炎表面抗原、抗B型肝炎コアIgM抗体、抗C型肝炎IgG抗体、抗核抗体、抗平滑筋(Sm)抗体、および抗肝腎ミクロソーム(LKM)−1抗体 安全性および医薬品安全性監視 新規の状態または既存の状態が悪くなることは、AEとみなされる。試験に入る前に存在し、試験中に悪くならない安定な慢性の状態はAEとはみなされない。 発症日、AEの説明、重症度、重篤度、行った措置、試験薬との関連性、事象の転帰および回復日を記録する。 モニタリング 1)肝酵素の上昇、2)炎症性事象、3)血栓性事象および4)膵炎を管理するために、安全性モニタリング計画および停止規則を適所に定める。 補助的試験 薬理遺伝学的(PGt)評価:この補助的試験がEC/IRBにより承認されたら、PGtパラメータ用の血液試料を、インフォームドコンセントフォームに署名した対象全員から0ヶ月(ベースライン)時点で採取する。 臨床、MRIおよび安全性パラメータの点で、PGtと、ラキニモドに対するまたはAvonex(登録商標)に対する応答の間の関連性を、全ての試験実施施設において評価する。 全体的健康および症状の重症度の仕事への影響を、仕事の生産性および活動障害−全体的健康(WPAI−GH)質問票によって、0ヶ月(ベースライン)時点、およびその後3ヶ月ごとに24ヶ月(終了/早期中止)来診まで評価する(この評価は、米国の試験実施施設からの対象にのみ、全員に実施する)。 組入れ/除外基準 組入れ基準 1.対象は、改訂McDonald基準によって定義される[Ann Neurol 2005:58:840〜846]、確認され、実証されたMS診断を有し、再発寛解型疾患経過を伴わなければならない。 2.対象は、歩行可能で、スクリーニング来診とベースライン来診の両方において変換EDSSスコアが0〜5.5でなければならない。 3.対象は、スクリーニング前30日間(−1ヶ月)およびスクリーニング来診(−1ヶ月)とベースライン来診(0ヶ月)の間に安定な神経学的状態になければならず、コルチコステロイド治療[静脈内(IV)、筋肉内(IM)および/または経口(PO)]を受けていてはならない。 4.対象は、以下ののうちの1つを経験していなければならない: a.スクリーニング前12ヶ月のうちの少なくとも1回の実証された再発、または b.スクリーニング前24ヶ月のうちの少なくとも2回の実証された再発、または c.スクリーニング前12ヶ月以内に実施されたMRIにおける少なくとも1つの実証されたT1−Gd増強病変を伴うスクリーニング前12〜24ヶ月の間の1回の実証された再発。 5.対象は、両端を含め18〜55歳でなければならない。 6.妊娠の可能性がある女性は、許容できる受胎調節の方法を行わなければならない。本試験において許容できる受胎調節の方法としては、避妊手術、子宮内避妊具、経口避妊薬、避妊パッチ、長時間作用性注射用避妊薬、パートナーの精管切除術または二重障壁法(double−barrier method)(コンドームまたはペッサリーと殺精子剤)が挙げられる。 7.対象は、試験に入る前に書面のインフォームドコンセントに署名し、日付を記入することができなければならない。 8.対象は、試験期間中、プロトコール要件に応じることをいとわず、また、それができなければならない。 除外基準 1.−1ヶ月(スクリーニング)と0ヶ月(ベースライン)の間の再発の発症またはコルチコステロイドまたはACTHを用いた任意の治療(静脈内[IV]、筋肉内[IM]および/または経口[PO])。 2.進行型のMSの対象。 3.スクリーニング前6ヶ月以内の実験または臨床試験用薬物の使用、および/または薬物臨床試験への参加。 4.スクリーニング来診前6ヶ月以内の免疫抑制剤(ミトキサントロン(Novantrone(登録商標))を含む)または細胞傷害性薬剤の使用。 5.以下のいずれかの以前の使用:ナタリズマブ(Tysabri(登録商標))、クラドリビン、ラキニモド、インターフェロンベータ−1a(Avonex(登録商標)またはRebif(登録商標))、インターフェロンベータ−1b(Betaseron(登録商標)/Betaferon(登録商標))または任意の他の実験的なMS用のインターフェロン−ベータ。 6.スクリーニング来診前2ヶ月以内の酢酸グラチラマー(Copaxone(登録商標))またはIVIGを用いた以前の治療。 7.スクリーニング来診前2ヶ月以内の慢性(30日超連続した)全身性の(IV、POまたはIM)コルチコステロイド治療。 8.以前の全身照射または全身リンパ節照射。 9.以前の幹細胞治療、自己骨髄移植または同種間骨髄移植。 10.分かっている結核歴。 11.ベースライン来診前2週間以内の急性感染症。 12. ベースライン来診前2週間以内の主要な外傷または外科手術。 13.分かっているヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性の状態。 14.ベースライン来診前2週間以内のCYP3A4の阻害薬の使用。 15.スクリーニング来診前2年以内のアミオダロンの使用。 16.妊娠または授乳。 17.スクリーニング時のALTまたはASTのいずれかの血清値の≧3×ULNの上昇。 18.血清直接型ビリルビンがスクリーニング時に≧2×ULNであること。 19. a.スクリーニング来診時の2回のECG記録、または b.ベースラインの3回のECG記録から算出した平均値から得られたQTc間隔が>450msec(機械出力による)であること。 20.病歴、身体検査、ECG、検査室検査または胸部または胸部X線によって決定された、試験責任医師の見解において安全かつ完全な試験への参加を妨げると思われる臨床的に有意または不安定な医学的または外科的な状態を有する対象。そのような状態は、 a.試験プロトコールにより許容される標準の治療によって上手く制御することができない心血管系または肺の障害。 b.試験薬剤の吸収に影響を及ぼす可能性がある胃腸障害。 c.腎臓の、代謝的なまたは血液学的な疾患。 d.甲状腺疾患:甲状腺機能亢進症の対象は、試験への参加が認められない。甲状腺機能低下症の対象は、臨床的に甲状腺機能正常であり、安定しているとみなされるのであれば、試験への参加が認められる。 e.肝疾患、例えば、硬変症など。 f.QT延長症候群の家族歴。 g.薬物および/またはアルコールの乱用の病歴。 h.自殺念慮を伴う、または伴わない、統合失調症または重度のうつ病を含めた現在の主要な精神障害。 i.前回の痙攣がスクリーニング来診前12ヶ月以内に起こった発作性障害の病歴。を含んでよい。 21.分かっているガドリニウムに対する感応歴。 22.首尾よくMRIスキャンを受けることができないこと。 23.ラキニモドの投与を妨げると思われる分かっている薬物過敏症、例えば、マンニトール、メグルミンまたはフマル酸ステアリルナトリウムに対する過敏症など。 24.天然または組換えインターフェロンベータ、ヒトアルブミン、またはAvonex(登録商標)の製剤の任意の他の成分に対する分かっている過敏症歴。 追加的な認められない併用薬/療法:インターフェロン、酢酸グラチラマー(Copaxone(登録商標))、ナタリズマブ(Tysabri(登録商標))、CYP3A4の阻害薬、ミトキサントロン(Novantrone(登録商標))、経口用ステロイド、非経口用ステロイド(急性再発を治療するために認められて与えられるものは除く)、化学療法剤、4−アミノピリジンまたは3,4ジアミノピリジン、静注用免疫グロブリン(Ig)および任意の他の実験的薬剤、および他の免疫抑制性のまたは免疫調節性薬剤。 CYP3A4阻害薬の部分的な一覧(処置期間の前2週間および処置期間中には認められない)が下に列挙されている: 強心薬/抗不整脈剤、例えば、アミオダロン、ジルチアゼム、ニフェジピン、ベラパミル、またはミベフラジルなど;抗菌性剤、例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、またはボリコナゾールなど;HIV薬、例えば、デラビルジンまたはプロテアーゼ阻害剤、例えば、インジナビル、リトナビルなど、およびその他;抗うつ薬、例えば、フルオキセチン、フルボキサミン、またはネファゾドンなど;ならびに他のCYP3A4阻害薬、例えば、イソニアジド、キニーネ、シメチジン、ジレウトン、またはアプレピタントなど。 統計学的考察 試験についてのサンプルサイズの考察は、以下の仮定に基づく: 1.1年間の個々の対象の確認された再発の数は、個々の率λiを伴うポアソンプロセスを反映し、この個々の対象の率λiは、平均1/θで指数関数的に分布し、θは母集団の再発年率である。この手法により、確認された再発の総数が過分散ポアソン分布としてモデリングされる。 2.無処置の患者母集団における予測再発年率は1年当たりの再発θ=0.65である。 3.プラセボ処置グループでは、予測再発年率は、プラセボ効果に起因して、1年当たりの再発θ=0.6である。 4.ラキニモドを用いた処置により、患者母集団の再発年率がプラセボグループと比較して25%以上低下する。すなわち、ラキニモド処置した母集団の予測再発年率は1年当たりの再発θ=0.45以下である。 上記の根底にある仮定を説明するシミュレーション試験では、疑似尤度(過分散)ポアソン回帰(SAS(登録商標)PROC GENMOD)を用い、合計666人の対象(群当たり333人の対象)により、プラセボグループとラキニモドグループとの間で、確認された再発の総数の25%の統計的に有意な低下を検出するためのおよそ80%の検出力がもたらされることが明らかになった。このサンプルサイズにより、ラキニモド0.6mg処置グループとプラセボグループとの間で、確認された再発の総数における30%の統計的に有意な低下を検出するための92%の検出力も可能になる。 処置期間中の確認された再発の総数の分析は、ベースライン調整疑似尤度(過分散)ポアソン回帰に基づく。処置期間の終わりにMSFCによって評価される能力障害の分析、およびパーセント脳容積のベースラインから処置期間の終わりまでの変化によって定義される脳萎縮の分析は、ベースライン調整共分散分析に基づく。確認されたEDSSの進行までの時間によって測定される身体障害の蓄積の分析は、コックス比例ハザードモデルに基づく。 経路および剤形 ラキニモド群:ラキニモド0.6mgを含有するカプセル1錠を1日1回、好ましくは、毎日同じ時間にコップ1杯の水と一緒に経口投与する。 ラキニモド0.6mgカプセルは、2007年12月21日公開のPCT国際特許出願公開第WO/2007/146248号(10頁5行目〜11頁3行目を参照されたい)に開示されている方法に従って製造する。 ラキニモドに対応するプラセボ群:カプセル1錠を1日1回、好ましくは、毎日同じ時間にコップ1杯の水と一緒に経口投与する。 Avonex(登録商標)群:インターフェロンβ−1a(Avonex(登録商標))30mcgを週1回、好ましくは同じ日に、1回筋肉内注射する。 転帰尺度 主要転帰尺度 処置期間中の確認された再発の数。副次的転帰尺度 第1種の過誤を、以下の順序に従って階層的手法を用いることにより制御する(すなわち、各評価項目を、前の評価項目のラキニモド0.6mgとプラセボの比較についてのp値が0.05以下である場合にのみ分析する): 1.処置期間の終わりにMSFCスコアによって評価される能力障害。 2.処置期間の終わりにパーセント脳容積のベースラインからの変化によって定義される脳萎縮。 3.確認されたEDSSの進行までの時間によって測定される身体障害の蓄積(確認されたEDSSの進行は、3ヶ月後に確認された、ベースラインが0〜5.0であった場合にはEDSSスコアがベースラインから1点増加すること、またはベースラインのEDSSが5.5であった場合には0.5点増加すること、と定義される。進行は、再発の間には確認することができない)。 安全性および忍容性転帰尺度 1.有害事象。 2.バイタルサイン。 3.ECG所見。 4.臨床検査パラメータ。 5.時期尚早に試験を中止した対象の割合(%)、中止の理由および離脱までの時間。 6.AEに起因して時期尚早に試験を中止した対象の割合(%)および離脱までの時間。 便益/リスク評価 Avonex(登録商標)参照群を、ラキニモドグループとプラセボグループの比較に関してと同じ評価項目に関してプラセボ処置グループと比較する。 これらの評価項目としては、 1.処置期間中の確認された再発の数。 2.EDSSおよびMSFC神経学的スケールに基づく能力障害尺度。 3.MRIパラメータ。 4.有害事象、バイタルサイン、ECGおよび臨床検査パラメータによって評価される安全性。 5.忍容性 6.生活の質のスケール、例えば、改変疲労影響スケール(MFIS)、EuroQoL(EQ5D)質問票および略式全体的健康調査(SF−36)対象報告質問票によって評価される全体的健康状態など。 2つの活性群(ラキニモドおよびAvonex(登録商標))間の便益/リスク比の比較評価は以下の態様に基づく: 1.有効性パラメータ(能力障害、MRIパラメータ、他の再発に関連する評価項目)。 2.安全性および忍容性。 3.生活の質。 追加的な探索的評価項目 以下の評価は探索的に提示される: 1.12ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で取得したT1強調画像における増強病変の総数。 2.12ヶ月時点で取得したT1強調画像における増強病変の数。 3.24ヶ月(終了/早期中止)時点で取得したT1強調画像における増強病変の数。 4.12ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で取得した、増強されたT1スキャンにおける新規の低信号病変(「ブラックホール」)の総数。 5.12ヶ月時点で取得した、増強されたT1スキャンにおける新規の低信号病変(「ブラックホール」)の総数。 6.24ヶ月(終了/早期中止)時点で取得した、増強されたT1スキャンにおける新規の低信号病変(「ブラックホール」)の総数。 7.12ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で取得したスキャンにおける新規の/新規に増大しているT2病変の総数。 8.12ヶ月時点で取得したスキャンにおける新規の/新規に増大しているT2病変の数。 9.24ヶ月(終了/早期中止)時点で取得したスキャンにおける新規の/新規に増大しているT2病変の総数。 10.0ヶ月(ベースライン)から24ヶ月(終了/早期中止)の間のT2病変の体積の変化。 11.処置期間の終了/早期中止時のT2病変の体積。 12.ベースラインから24ヶ月(終了/早期中止)までの、増強されたT1スキャンにおける低信号病変の体積の変化。 13.1)ベースラインから12ヶ月まで、およびb)12ヶ月から24ヶ月(終了/早期中止)までのパーセント脳容積変化によって定義される脳萎縮。 14.ベースラインから24ヶ月(終了/早期中止)までの、2メートルの距離から正確に読み取られた1.25%、2.5%および100%コントラストレベルのスローン文字/タンブリング−E表上の文字の数によって評価される両眼の視力の変化。 15.改変疲労影響スケール(MFIS)によって評価される対象報告疲労。 16.処置期間中の最初の確認された再発までの時間。 17.無再発の対象の割合。 18.処置期間中の、入院および/またはIV類ステロイドを必要とする確認された再発の率。 19.EuroQoL(EQ5D)質問票によって評価される全体的健康状態。 20.略式全体的健康調査(SF−36)対象報告質問票によって評価される全体的健康状態および健康関連生活の質。 評価方法 神経状態検査−完全な神経学的評価を、1ヶ月(スクリーニング)、0ヶ月(ベースライン)の時点で、およびその後3ヶ月ごとに試験の終了/早期中止まで実施する。神経学的評価とは、標準化された神経学的検査およびKurtzkeの機能系および能力障害状態の増大の評価である。 MS機能性複合は、3つの臨床的検査からなり、その結果をzスコアを用いて組み合わせる。3つの臨床的検査は、PASAT、時間計測25フィート歩行および9穴ペグ検査を含む。PASATおよび9穴ペグ検査は、−1ヶ月(スクリーニング)(単に訓練目的で)、0ヶ月(ベースライン)、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の来診時に実施する。時間計測25フィート歩行検査は神経状態検査を実施するたびに実施する。 両眼の低コントラスト視力を0ヶ月(ベースライン)、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の来診時に、MSFC評価と一緒に評価する。 対象全員がMRIスキャンを3回、0ヶ月(ベースライン)、12ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で受ける(ガドリニウム投与の前後)。以下のパラメータを、関連する予定スキャンのそれぞれにおいて評価する: T1強調MRIスキャンにおけるGd増強病変の数、新規の/新規に増大しているT2高信号病変の数(以前のスキャンを参照して)、T2高信号病変の体積、ガドリニウム増強T1強調MRIスキャンにおける新規の低信号病変(「ブラックホール」)の数(以前のスキャンを参照して)、ガドリニウム増強T1強調MRIスキャンにおける低信号病変の体積、パーセント脳容積変化(以前のスキャンを参照して)、および正規化された脳容積(ベースラインにおける)。全てのMRIデータを評価し、MRI−ACによって定量化した。 対象報告疲労を、0ヶ月、2ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で改変疲労影響スケール(MFIS)によって評価する。 全体的健康状態を、0ヶ月(ベースライン)および24ヶ月(終了/早期中止)の時点でEuroQoL(EQ5D)質問票によって評価する。 全体的健康状態を、0ヶ月(ベースライン)時点で、およびその後6ヶ月ごとに終了/早期中止まで略式全体的健康調査(SF−36)対象報告質問票によっても評価する。SF−36は、一般的な自己で行う健康関連生活の質計器である。この試験では、この計器を来診中に自己で行う。 薬理遺伝学的(PGt)評価(補助的試験)を、ベースライン来診時に取得した血液試料8.5mlを使用して実施する。 経済的影響を、仕事の生産性および活動障害(WPAIGH)質問票(補助的試験、米国の試験実施施設のみ)によって評価する。WPAI−GHは、生産性の損失を、全体的健康および症状の重症度の仕事への影響ならびに通常の活動生産性を測定することによって評価するために開発された。この質問票は、0ヶ月(ベースライン)時点で、およびその後3ヶ月ごとに、24ヶ月(終了/早期中止)の来診まで行う。この評価は、米国の試験実施施設からの対象にのみ、全員に実施する。 血清試料を、対象全員から0ヶ月(ベースライン)、12ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で採取する。これらは、免疫学的パラメータ、およびラキニモドまたはAvonex(登録商標)のいずれかを用いた処置に対する応答を評価するため、ならびにラキニモドの潜在的な作用機構をさらに調査するために採取する。 バイタルサイン(体温、脈拍および血圧)を全ての予定および不定期の来診において測定する。ベースライン来診時に、血圧および脈拍を、最初の薬物投与の30分および60分後に測定する。血圧および脈拍は、5分間安静にした後、座位で記録する。 体重をスクリーニングおよび24ヶ月(終了/早期中止)の来診時に測定する。身長は−1ヶ月(スクリーニング)来診時にのみ測定する。 ECGを、−1ヶ月(スクリーニング)(機械出力によるQTcが>450msecである場合には最大30分間隔をあけて追加的な記録を実施する)、0ヶ月(ベースライン)、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で実施する。ベースライン来診時に3回のECGを15分間隔で実施して、処置値と比較するためにベースラインの間隔の結果を平均することによって統合ベースラインECGとして機能させる。 対象が少なくとも10分間安静にした後に測定を行う。対象を5分間にわたって仰臥位にした後12誘導ECGを実施する。 身体検査を、−1ヶ月(スクリーニング)、0ヶ月(ベースライン)1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月および24ヶ月(終了/早期中止)の時点で実施する。 胸部X線を、スクリーニング前6ヶ月以内に実施されていない場合、およびその報告を得ることができれば、スクリーニング時(−1ヶ月)に実施する。 結果 試験により、毎日ラキニモドを0.6mg経口投与することにより、本明細書に記載の試験評価項目によって測定される患者の状態が改善することが実証されている。詳細には: 毎日ラキニモドを0.6mg経口投与することにより、再発寛解型多発性硬化症患者において、再発率に直接関連する確認された再発の数が低下する。 毎日ラキニモドを0.6mg経口投与することにより、再発寛解型多発性硬化症患者において、処置期間の終わりにMSFCスコアによって測定される身体障害の蓄積、および確認されたEDSSの進行までの時間も減少する。 毎日ラキニモドを0.6mg経口投与することにより、パーセント脳容積のベースラインから処置期間の終わりまでの変化によって測定される、再発寛解型多発性硬化症患者における脳萎縮も軽減する。 毎日ラキニモドを0.6mg経口投与することにより、略式全体的健康調査(SF−36)によって評価される、再発寛解型多発性硬化症患者の全体的健康状態も改善される。 毎日ラキニモドを0.6mg経口投与することにより、再発寛解型多発性硬化症患者における再発も予防される、または遅延する。 毎日ラキニモドを0.6mg経口投与することにより、再発寛解型多発性硬化症患者における重症の再発の率または再発の重症度も低下し、ここで、重症の再発とは入院または静脈内ステロイド治療を必要とする再発である。 毎日ラキニモドを0.6mg経口投与することにより、改変疲労影響スケール(MFIS:Modified Fatigue Impact Scale)によって評価される再発寛解型多発性硬化症患者における疲労も軽減する。 毎日ラキニモドを0.6mg経口投与することにより、EuroQoL(EQ5D)質問票によって評価される再発寛解型多発性硬化症患者の生活の質も改善される。 上記の結果は、プラセボに対する改善である。 上記の結果は、インターフェロンβ−1a(Avonex(登録商標))参照群に対する改善である。 再発寛解型多発性硬化症患者に毎日ラキニモドを0.6mg経口投与することは、インターフェロンβ−1a(Avonex(登録商標))を30mcg週に1回投与することと比較して、好都合な安全性および忍容性プロファイルを有する。 再発寛解型多発性硬化症患者に毎日ラキニモドを0.6mg経口投与することにより、インターフェロンβ−1a(Avonex(登録商標))を30mcg週に1回投与することと比較して好都合な便益/リスク比ももたらされる。 再発寛解型多発性硬化症患者に毎日ラキニモドを0.6mg経口投与することにより、インターフェロンβ−1a(Avonex(登録商標))を30mcg週に1回投与することと比較して、有害作用が少なくなり、重症の有害作用が少なくなり、また、有害作用に起因して使用中止に至る可能性が低い。参考文献 1.PCT International Application Publication No. WO 2007/047863, published April 26, 2007, international filing date October 18, 2006. 2.PCT International Application Publication No. WO 2007/146248, published December 21, 2007, international filing date June 12, 2007. 3.Barkhof, F. 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