タイトル: | 公表特許公報(A)_新規エンドリシン |
出願番号: | 2013537132 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C12N 15/09,C12N 1/15,C12N 1/19,C12N 1/21,C12N 5/10,C12N 9/36,C07K 19/00,A61K 8/64,A61K 8/99,A61K 38/46,A61K 38/21,A61P 31/04,A61K 8/98,A61K 35/12 |
ロドリゲス アゼレード ジョアナ セシリア ヴァレンテ ブランコ ドス サントス シルヴィオ ロベルト クラスケンス レオナルドゥス ドロテア ラヴィーニュ ロブ ヴァルマフ マールテン JP 2014500714 公表特許公報(A) 20140116 2013537132 20111103 新規エンドリシン カソリック ユニヴェルシテイト ルーヴェン,ケー.ユー. ルーヴェン アール アンド ディー 510301471 KATHOLIEKE UNIVERSITEIT LEUVEN, K.U. LEUVEN R&D ユニヴァーシティ オブ ミンホ 513109164 辻居 幸一 100092093 熊倉 禎男 100082005 箱田 篤 100084663 浅井 賢治 100093300 山崎 一夫 100119013 市川 さつき 100123777 ロドリゲス アゼレード ジョアナ セシリア ヴァレンテ ブランコ ドス サントス シルヴィオ ロベルト クラスケンス レオナルドゥス ドロテア ラヴィーニュ ロブ ヴァルマフ マールテン GB 1018518.9 20101103 C12N 15/09 20060101AFI20131213BHJP C12N 1/15 20060101ALI20131213BHJP C12N 1/19 20060101ALI20131213BHJP C12N 1/21 20060101ALI20131213BHJP C12N 5/10 20060101ALI20131213BHJP C12N 9/36 20060101ALI20131213BHJP C07K 19/00 20060101ALI20131213BHJP A61K 8/64 20060101ALI20131213BHJP A61K 8/99 20060101ALI20131213BHJP A61K 38/46 20060101ALI20131213BHJP A61K 38/21 20060101ALI20131213BHJP A61P 31/04 20060101ALI20131213BHJP A61K 8/98 20060101ALI20131213BHJP A61K 35/12 20060101ALI20131213BHJP JPC12N15/00 AC12N1/15C12N1/19C12N1/21C12N5/00 101C12N9/36C07K19/00A61K8/64A61K8/99A61K37/54A61K37/66 BA61P31/04A61K8/98A61K35/12 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN EP2011069336 20111103 WO2012059545 20120510 28 20130501 4B024 4B050 4B065 4C083 4C084 4C087 4H045 4B024AA01 4B024BA11 4B024CA01 4B024CA09 4B024CA11 4B024CA20 4B024DA01 4B024DA02 4B024DA05 4B024DA06 4B024DA11 4B024EA04 4B024GA11 4B024HA01 4B024HA09 4B024HA11 4B050CC01 4B050CC03 4B050DD20 4B050LL01 4B050LL02 4B050LL10 4B065AA01X 4B065AA26X 4B065AA57X 4B065AA87X 4B065AA95X 4B065AA95Y 4B065AA98Y 4B065AB01 4B065AC14 4B065BA01 4B065CA27 4B065CA41 4B065CA43 4B065CA44 4B065CA50 4C083AA031 4C083AA032 4C083AA071 4C083AD411 4C083AD412 4C083CC01 4C083EE03 4C084AA01 4C084AA02 4C084BA04 4C084BA44 4C084CA01 4C084CA53 4C084DC22 4C084ZB351 4C084ZB352 4C087AA03 4C087BB65 4C087CA16 4C087NA14 4C087ZB35 4H045AA10 4H045AA30 4H045BA10 4H045BA41 4H045CA01 4H045DA89 4H045EA20 4H045EA34 4H045FA74 本発明は、配列番号 1 で示されるアミノ酸配列又はその断片若しくは誘導体を含む、エンドリシン活性を有するポリペプチドに関連している。さらに、本発明は、該ポリペプチド又はその断片若しくは誘導体をコードする核酸分子、該核酸分子を含むベクター、及び、該核酸分子又はベクターを含む宿主細胞に関連している。加えて、本発明は、薬剤、特にグラム陰性細菌の感染症を処置又は予防するための薬剤として、診断用手段として、化粧料用の物質又は殺菌剤として使用するための、前記ポリペプチド又はその断片若しくは誘導体に関連する。本発明はまた、細菌汚染、特にグラム陰性細菌の汚染、食材の汚染、食品加工装置の汚染、食品加工工場の汚染、食材と接触する表面の汚染、医療機器の汚染、病院や手術室における表面の汚染を処置又は予防するための、前記ポリペプチド又はその断片若しくは誘導体の使用に関連している。さらに、本発明は、前記ポリペプチド又はその断片若しくは誘導体を含む医薬組成物に関連している。 グラム陰性細菌は、顕著な特徴として、特有の非対称二重層を有する外膜を持っている。該外膜は、リン脂質(主としてホスファチジルエタノールアミン)を含む内側の単層と、主として単一の糖脂質、リポポリ多糖類(LPS)からなる外側の単層とから構成されている。細菌界においては、LPS の構造に膨大な多様性があり、該 LPS の構造は、広まっている環境条件に応じて修正され得る。LPS 層の安定性及び異なる LPS 分子間の相互作用は、二価イオン(Mg2+、Ca2+)と LPS 分子のアニオン性成分(リピド A のリン酸基並びに KDO の内部コア及びカルボキシル基)との静電相互作用によって、主として達成される。さらに、不飽和脂肪酸の欠如によって支持されたリピド A の疎水性部分の高密度で規則正しパッキングは、高粘度の強固な構造を形成する。これは、脂溶性分子の透過性をより低くし、外膜(OM)に追加の安定性を与える。 殺菌又は静菌活性を有する種々の薬剤、例えば、抗生物質、エンドリシン、抗微生物ペプチド及びディフェンシンが知られている。しかしながら、抗生物質に対する微生物の耐性が増加することによって、細菌によって引き起こされる増々多くの感染症を治療することが困難となっている。とりわけ、サルモネラ sp. 等のエンテロバクター科(Enterobacteriaceae)及びシュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)のようなグラム陰性細菌によって引き起こされる感染症で困難が生じている。 エンドリシンは、バクテリオファージ(又は細菌ウイルス)によってコードされるペプチドグリカン加水分解酵素である。それらは、ファージ増殖の溶菌サイクルにおける後期遺伝子発現中に合成され、細菌のペプチドグリカンの分解を通じて、子孫ウイルス粒子の放出を媒介する。それらは、β(1,4)-グリコシラーゼ(リゾチーム)、トランスグリコシダーゼ、アミダーゼ又はエンドペプチダーゼのいずれかである。エンドリシンの抗微生物用途は、既に 1991 年に Gasson によって示唆された(GB2243611)。エンドリシンの殺傷能力は長い間知られていたけれども、これらの酵素を抗菌剤として利用することは、抗生物質が成功し優勢だったため無視されていた。多剤耐性細菌が出現して初めて、ヒトの病原体にエンドリシンで対抗するというこの単純な概念が関心を受けた。まったく新しいクラスの抗菌剤を開発するという切迫した要求が出現し、「酵素」と「抗生物質」の混成語である「エンザイバイオティクス(enzybiotics)」として用いられたエンドリシンは、完全にこの要求を満たした。2001 年に Fischetti と共働者は、A 群連鎖球菌に対するバクテリオファージ C1 エンドリシンの治療可能性を初めて明らかにした(Nelson et a1., 2001)。それ以来、多くの発表によって、エンドリシンが、細菌感染症、特にグラム陽性細菌による感染症を制御する魅力的で補完的な代替物として確立された。続いて、肺炎連鎖球菌(Loeffler et al., 2001)、炭疽菌(Schuch et al., 2002)、 S. アガラクチア(agalactiae)(Cheng et al., 2005)及び黄色ブドウ球菌(Rashel et al, 2007)などの他のグラム陽性病原体に対して、異なるエンドリシンが、そのエンザイバイオティクスとしての効果を証明した。最近では、外膜がエンドリシンの接近からペプチドグリカンを保護するので、エンドリシン治療における最も重要な課題は、外因性に働くエンドリシンに対するグラム陰性細菌の無反応性にある。現在このことが、重要なグラム陰性病原体に対する有効なエンドリシンの範囲の拡大を妨げている。 抗微生物ペプチド(AMP)とは、実質的にすべての生物で見出され得る、短く、カチオン性又は両親媒性で、遺伝子にコードされた幅広いペプチド性抗生物質のことを意味している。異なる AMP は異なる特性を示し、このクラスの多くのペプチドは、抗生物質としてだけでなく、細胞浸透ペプチドの鋳型としても、集中的に研究されている。数種類の共通の特徴(例えば、カチオン性、両親媒性及び短いサイズ)を共有しているにもかかわらず、AMP の配列は大きく変動し、少なくとも 4 つの構造群(αヘリックス、βシート、伸展したもの(extended)及びループ)が、観察される AMP の立体構造の多様性を説明するものとして提唱されている。同様に、抗生物質としてのいくつかの作用様式が提唱されており、例えば、これらのペプチドの多くについては、主要な標的は細胞膜であるが、他のペプチドについては、主要な標的が細胞質への侵入及び中核代謝機能の破壊であることが示された。AMP は、特異的な標的への結合がないにもかかわらず、例えば、大抵の AMP の場合には膜の中で孔を形成することによって、共同作業を示すのに十分濃縮され得る。しかしながら、この現象は模範的なリン脂質二重層中でのみ観察され、場合によっては、6 分子のリン脂質あたり 1 分子のペプチドほど高い膜中での AMP の濃度が、これらの事象が起こるのに必要とされた。これらの濃度は、完全な膜の飽和状態ではなくても、それに近いものである。AMP の最小発育阻止濃度(MIC)は、典型的には低いマイクロモル範囲にあるので、これらの閾値と in vivo での重要性との関連について、懐疑的な見方が生じている(Melo et al., Nature reviews, Microbiology, 2009, 245)。 ディフェンシンは、小さく、かつカチオン性で、システイン及びアルギニンに富んだ抗微生物ペプチドの大きなファミリーであり、脊椎動物及び無脊椎動物の両方に見出される。ディフェンシンは、システインの間隔パターンに従って、植物、無脊椎動物、α-、β-及びθ-ディフェンシンという 5 つの群に分類される。後半の 3 つは、主として哺乳類に見られる。α-ディフェンシンは、好中球及び腸管上皮に見られるタンパク質である。β-ディフェンシンは、最も広く分布しており、白血球や多種の上皮細胞により分泌される。θ-ディフェンシンは、例えばアカゲザルの白血球において見られたが、これまでまれにしか見られていない。ディフェンシンは、細菌、真菌、並びに、多くのエンベロープウイルス及び非エンベロープウイルスに対して活性を有する。しかしながら、細菌の効率的な殺傷に必要とされる濃度は大抵高く、例えばマイクロモル範囲になる。多くのペプチドの活性は、生理学的塩状態、二価のカチオン及び血清の存在によって制限され得る。疎水性アミノ酸残基の含量に依存して、ディフェンシンはまた溶血活性も示す。 このように、グラム陰性細菌に対する新しい抗微生物剤が求められている。 本発明は、サルモネラ・エンテリティス(Salmonella enteritis)ファージ PVPSE1 から単離され、グラム陰性細菌に対する新規抗菌剤の調製に有用な、エンドリシン活性を有する新規ポリペプチドに関連する。 本発明の第 1 の目的は、配列番号 1 で示されるアミノ酸配列又はその断片若しくは誘導体を含む、エンドリシン活性を有するポリペプチドを提供することである。 配列番号 1 で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドは、好ましくは配列番号 2 で示される核酸配列によってコードされる。 好ましい態様では、前記断片は、配列番号 3 及び/又は 5 で示されるアミノ酸配列を含み、これは好ましくは配列番号 4 及び/又は 配列番号 6 で示される核酸配列によってそれぞれコードされる。 もうひとつの好ましい態様では、前記誘導体は、配列番号 1、3 及び/又は 5 で示されるアミノ酸配列において欠失、付加、挿入及び又は置換を有する。 もうひとつの好ましい態様では、本発明に係るポリペプチド又はその断片若しくは誘導体は、N- 又は C-末端で、膜又は LPS 破壊活性を有するペプチドストレッチ、特にカチオン性又はポリカチオン性ペプチドに融合されている。 前記ポリペプチド、その断片若しくは誘導体、又は融合タンパク質は、タグ、好ましくは His6-タグを追加で含んでもよい。 本発明の好ましい態様では、ポリペプチドは、 配列番号 7 で示されるアミノ酸配列を含む。 本発明のさらなる目的は、前記請求項のいずれかに記載のポリペプチド、及び、該ポリペプチドに N-又は C-末端で結合されたペプチドストレッチを含む融合タンパク質であって、該ペプチドストレッチが、カチオン性ペプチド、ポリカチオン性ペプチド、両親媒性ペプチド、スシペプチド、ディフェンシン、疎水性ペプチド、及び/又は、抗微生物ペプチドであることを特徴とする、融合タンパク質に関連している。 本発明の好ましい態様では、前記ペプチドストレッチが、約 5 〜約 100 のアミノ酸残基、特に約 5 〜 50 のアミノ酸残基、特に約 5 〜 30 アミノ酸残基を含む。 本発明のさらに好ましい態様では、前記カチオン性及び/又はポリカチオン性ペプチドストレッチが、アルギニン、ヒスチジン及びリシン残基からなる群から選出される少なくとも 1 種のアミノ酸残基を含み、特に該ペプチドストレッチ中のアミノ酸残基の少なくとも 70% が、アルギニン、ヒスチジン及び/又はリシン、特にアルギニン及び/又はリシン残基である。 本発明の好ましい態様では、前記両親媒性ペプチドが、リシン、アルギニン及びヒスチジン残基からなる群から選出される少なくとも 1 種の正電荷を帯びたアミノ酸残基を含み、これはバリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、システイン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、トレオニン、セリン、プロリン及びグリシン残基からなる群から選出される少なくとも 1 種の疎水性アミノ酸残基に結合されており、特に両親媒性ペプチド中の少なくとも約 70% のアミノ酸残基が、アルギニン又はリシン残基のどちらかであり、両親媒性ペプチド中の少なくとも 30% のアミノ酸残基が、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、システイン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、トレオニン、セリン、プロリン又はグリシン残基である。 本発明のさらに好ましい態様では、前記ペプチドストレッチが、配列番号 14 〜 19 で示されるアミノ酸配列を含む。 本発明の特に好ましい態様では、前記融合タンパク質が、配列番号 13 で示されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする。 本発明のさらなる目的は、請求項 13 に記載の核酸分子を含むベクターに関連する。 本発明のさらなる目的は、本発明に係るポリペプチド、その断片若しくは誘導体、又は融合タンパク質をコードする単離された核酸分子を提供することである。 本発明のさらなる目的は、本発明に係る核酸分子を含むベクターに関連する。 本発明のさらなる目的は、本発明に係る核酸分子又は本発明に係るベクターを含む宿主細胞に関連する。 本発明のさらなる目的は、ヒトの医療用、獣医学用医療用若しくは診断用物質として、食品若しくは化粧料の抗菌剤として、殺菌剤として、又は、環境分野において使用するための、本発明に係るポリペプチド、その断片若しくは誘導体、又は、本発明に係る融合タンパク質に関連する。 好ましい態様では、本発明に係るポリペプチド、その断片若しくは誘導体、又は融合タンパク質は、グラム陰性細菌の感染症を処置又は予防するための薬剤の製造において使用される。 他の好ましい態様は、グラム陰性細菌による食材の汚染、食品加工装置の汚染、食品加工工場の汚染、食材と接触する表面の汚染、医療機器の汚染、病院や手術室における表面の汚染を処置又は予防するための、本発明に係るポリペプチド、その断片若しくは誘導体、又は融合タンパク質の使用に関連する。 本発明のさらに好ましい態様は、本発明に係るポリペプチド又は本発明に係る融合タンパク質を含む医薬組成物に関連する。 以下の図は、本発明を説明するのに役立つ。図 1 は、BLASTp 及び Pfam 解析システムを用いた、野生型モジュールのサルモネラ・エンテリティスのエンドリシン PVPSE1gp146 の機能解析を示している。野生型ファージに見られるようなアミノ酸及び DNA 配列は、それぞれ配列番号 1 及び配列番号 2 である。予測 N-末端ペプチドグリカン結合ドメイン(PBD、アミノ酸 3 〜 39、配列番号 3、下線部)及び C-末端のリゾチーム様スーパーファミリー触媒ドメイン(アミノ酸 81 〜 234、配列番号 5、グレーで強調)は、スキームと配列の両方で視覚化される。PVPSE1gp146(左)及び PK-PVPSE1gp147(右)のリコンビナントの発現及び精製についての SDS-PAGE 解析。SDS-PAGE 解析は、LMW 参照マーカーと比較した溶出タンパク質画分、並びに、フロースルー(FT)及び廃液画分(W)を示す。26.4 kDa(PVPSE1gp146 について)及び 27.7 kDa(PK-PVPSE1gp146 について)付近の太いバンドは、双方のリコンビナントタンパク質が大量に得られたことを示している。いくつかの小さい派生的なバンド(タンパク質分解)は、タンパク質の二量化とともに、52.8 kDa 及び 55.4 kDa 付近にそれぞれ視認できる。外膜を透過処理された P. エルギノーサ PAO1 に対する、溶出バッファー中での S. エンテリティスファージエンドリシン PVPSE1gp146 のムラリティック(muralytic)活性の飽和曲線。該活性(ΔOD655nm/分、Y 軸)は、PVPSE1gp146(nM、X 軸)の濃度の増加に対して示される。さらに、線形曲線部分に対する最良の線形回帰は、最適な R 二乗値と併せて傾向線として示される。結果は、トリプリケートで決定される。PAO1Krylov 基質は、最適な KH2PO4/KH2PO4 緩衝液に溶解される。図 4 は、改変型 tag-PVP-SE1gp146 変異体の推定二次元モジュール構造を示している。PVP-SE1gp146 のリゾチーム様スーパーファミリーの推定される N-末端のペプチドグリカン結合ドメイン(PBD)及び C-末端の触媒キチナーゼドメインは、N-末端融合抗菌ペプチドタグ(APT)とともに可視化される。図 5 は、外膜を透過処理された PAO1 細胞基質に対する、42℃(A)及び 50℃(B)でのインキュベーション後における 24 時間中の異なる時点での、PVP-SE1gp146(青い棒)及び PK-PVP-SE1gp146(赤い棒)の熱安定性を示している。ムラリティック活性は、時間 0 の時点での非加熱試料と比較され、パーセンテージで表される。3 回の独立した実験の平均及び標準偏差が示される。図 6 は、外膜を透過処理された PAO1 細胞基質に対する、50 と 100℃の間でインキュベートした後の、PVP-SE1gp146(A)及び PK-PVP-SE1gp146(B)の熱安定性を示しており、PVP-SE1gp146 については、0(青)、20(赤)、40(緑)及び 60 (紫)分間、PK-PVP-SE1gp146 については、0 (青)、20(赤)、30(緑)及び 40(紫)分間インキュベートしたものである。ムラリティック活性は、時間 0 の時点での非加熱試料と比較され、パーセンテージで表される。3 回の独立した実験の平均及び標準偏差が示される。説明定義: 本明細書に表示されている場合には、次の用語は以下に設定される定義を有すべきものである。 本明細書で用いられる用語「タンパク質」は、同義的に「ポリペプチド」という用語を指す。本明細書で用いられている用語「タンパク質」は、特定の配列でペプチド結合により連結されたアミノ酸残基の直線状ポリマーを指す。該アミノ酸残基は、例えば、糖やリン酸などの種々の基の共有結合によって改変されてもよい。ヘム又は脂質のような他の物質がより緩やかにポリペプチド鎖と会合してもよく、そうすると、本明細書で用いられる用語「タンパク質」にまた包含される複合タンパク質を生じる。ポリペプチド鎖が折り畳む種々の様式、とりわけαヘリックス及びβプリーツシートに関して明らかにされている。本明細書で用いられる用語「タンパク質」は、全α、全β、α/β及びαプラスβの 4 つのすべての種類のタンパク質を指す。 本明細書で用いられている用語「融合タンパク質」は、2 つの核酸配列の融合によって生じる発現産物を指す。そのようなタンパク質は、例えば組換え DNA 発現システムにおいて、生産されてもよい。さらに、本明細書において用いられる用語「融合タンパク質」は、例えばエンドリシンのような第一のアミノ酸配列と第二の又はさらなるアミノ酸配列との融合物を指す。該第二の又はさらなるアミノ酸配列は、好ましくはペプチドストレッチ、特にカチオン性ペプチド又はポリカチオン性ペプチドである。好ましくは、該第二の及び/又はさらなるアミノ酸配列は、第一のアミノ酸配列のどのドメインに対しても異質であり、実質的に相同でない。 本明細書で用いられる用語「ペプチドストレッチ」は、エンドリシンのようなタンパク質に連結される任意の種類のペプチドを指す。しかしながら、本発明の意味におけるペプチドストレッチは、His6-タグ、Strep-タグ、Avi-タグ、Myc-タグ、Gst-タグ、JS-タグ、システイン-タグ、FLAG-タグ、若しくは、当技術分野において公知の他のタグ、チオレドキシン又はマルトース結合タンパク質(MBP)を指さない。本明細書で用いられる用語「ペプチドストレッチ」と対照的に、用語「タグ」は、ポリペプチドの発現及び/又はアフィニティー精製の手助け、ポリペプチドの表面への固定、又は、例えば、タグを上に列挙される用途のうちの 1 つに有用なものとする機能がペプチドの正電荷によって引き起こされるものではない限りは、種々の ELISA 解析形式における抗体結合によって検出されるようなポリペプチドのマーカー若しくは標識部分としての役割において有用であり得るようなペプチドを指す。しかしながら、His6-タグは、個別の pH に依存して正に荷電されることもあるが、固定化された二価カチオンに結合することから、アフィニティー精製の手段として利用され、本発明によるペプチドストレッチとしては使用されない。 本明細書で用いられる用語「ペプチド」は、約 2 〜約 100 アミノ酸残基、より好ましくは約 4 〜約 50 アミノ酸残基、さらに好ましくは約 5 〜約 30 アミノ酸残基からなる短いポリペプチドを指し、一方のアミノ酸残基のアミノ基は他方のアミノ酸残基のカルボキシル基とペプチド結合で連結する。ペプチドは特定の機能を有していてもよい。ペプチドは、天然に存在するペプチド、又は、合成的に設計され生産されるペプチドであり得る。該ペプチドは、例えば、酵素的又は化学的切断によって天然タンパク質から由来又は除去され得るか、従来のペプチド合成技術(例えば、固相合成)又は分子生物学的技術(Sambrook, J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989) を参照)を用いて調製され得る。 本明細書で用いられる用語「エンドリシン」は、細菌細胞壁を加水分解するのに適している酵素を指す。「エンドリシン」は、少なくとも 1 つの「酵素的活性ドメイン」(EAD)を含み、これは次の活性、すなわち、エンドペプチダーゼ、N-アセチルムラモイル-L-アラニンアミダーゼ(アミダーゼ)、N-アセチルムラミダーゼ、N-アセチルグルコサミニダーゼ(リゾチーム)又はトランスグリコシラーゼのうち少なくとも 1 つの活性を有する。加えて、エンドリシンはまた、酵素的に不活性で宿主細菌の細胞壁に結合する領域、いわゆる CBD (細胞壁結合ドメイン)を含んでもよい。該エンドリシンは、2 又はそれ以上の CBD を含んでもよい。しかしながら、本明細書で用いられる用語「エンドリシン」はまた、少なくとも 1 つの EAD を有するが CBD を有さない酵素も指す。一般に、細胞壁結合ドメインは、細菌表面の様々な構成要素に結合することができる。好ましくは、細胞壁結合ドメインは、ペプチドグリカン結合ドメインであり、細菌のペプチドグリカン構造に結合する。エンドリシンの異なるドメインは、ドメインリンカーによって連結され得る。 本明細書で用いられる用語「ドメインリンカー」は、単独のタンパク質ドメインを互いに連結するように機能するアミノ酸配列を指す。通例、ドメインリンカーは、αヘリックス又はβシートのような規則的な二次構造を形成しないか、わずかしか形成せず、それぞれの構造コンテクストとは異なる立体配座を占める。ドメインリンカーを検出する方法およびリンカー配列の特性は、例えば、Bae et al., 2005, Bioinformatics, 21, 2264-2270 又は George & Heringa, 2003, Protein Engineering, 15, 871-879 に記載されているように、当技術分野において周知である。 本明細書で用いられる用語「野生型」又は「wt」は、配列番号 1 で示されるエンドリシン PVPSE1gp146 のアミノ酸配列を指す。野生型エンドリシン PVPSE1gp146 をコードする核酸配列は、配列番号 2 で示される。 本明細書で用いられる用語「欠失」は、1、2、3、4、5 又はそれ以上のアミノ酸若しくは核酸残基を、それぞれの当初の配列から除去することを指す。 本明細書で用いられる用語「挿入」又は「付加」は、1、2、3、4、5 又はそれ以上のアミノ酸若しくは核酸残基を、それぞれの当初の配列に挿入又は付加することを指す。 本明細書で用いられる用語「置換」は、ある部位に配置されたアミノ酸残基を他のものと交換することを指す。 本明細書で用いられる用語「細胞壁」は、グラム陰性細菌の細胞の外の囲いを形成しそれらの完全性を保証するすべての構成要素を指す。特に、本明細書で用いられる用語「細胞壁」は、ペプチドグリカン、リポポリ多糖を有するグラム陰性細菌の外膜、細菌細胞膜を指すが、例えば莢膜、外側のタンパク質層又は粘液のような、ペプチドグリカンの上にある追加的な層も指す。 本明細書で用いられる用語「EAD」は、エンドリシンの酵素的活性ドメインを指す。該 EAD は、細菌のペプチドグリカンの加水分解に関与している。これは、エンドリシンの少なくとも 1 つの酵素活性を呈する。EAD はまた、1 つより多い酵素学的活性モジュールを含み得る。本明細書で用いられる用語「EAD」は、「触媒ドメイン」と同義である。 本発明は、サルモネラ・エンテリティスファージ PVPSE1 から単離され、グラム陰性細菌に対する新規抗菌剤の調製に有用な、新しいモジュールのエンドリシンに関連する。特に本発明は、配列番号 1 で示されるアミノ酸配列又はその断片若しくは誘導体に関連する。配列番号 1 で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドは、好ましくは配列番号 2 で示される核酸配列によってコードされる。 配列番号 1 で示されるアミノ酸配列を有するエンドリシン PVPSE1gp146 は、236 アミノ酸の鎖長を有する。それは、N-末端細胞壁結合ドメイン(CBD)及び C-末端酵素的活性ドメイン(EAD)を含む。N-末端 CBD は、配列番号 3 で示されるアミノ酸配列及び配列番号 4 で示される核酸配列を有するペプチドグリカン結合ドメイン(PGB、aa 3 〜 39)。C-末端 EAD は、リゾチーム様スーパーファミリーの触媒ドメインに適応しており配列番号 5 で示されるアミノ酸配列及び配列番号 6 で示される塩基配列を有する触媒ドメイン(aa 81 〜 234)である。PGB 及びエンドリシン PVPSE1gp146 の触媒ドメインは、ドメインリンカーにより連結される。 そして、本発明に係るポリペプチドの好ましい断片は、配列番号 3 及び/又は配列番号 5 で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。 本発明に係る誘導体は、配列番号 1、3 及び/又は 5 で示されるアミノ酸配列を含むが追加の改変及び/又は変更も有するポリペプチドである。 本発明に係るエンドリシンの誘導体の前記改変及び/又は変更のある態様は、変異、特に欠失、挿入、付加、置換若しくはそれらの組み合わせ、及び/又は、例えばビオチン化、アセチル化、ペグ化、若しくは、アミノ基、SH 基、カルボキシル基の化学変化のような残基の化学変化である。本発明に係る該誘導体は、PVPSE1gp146(配列番号 1)の溶解活性及び/又は本発明の断片の活性を示す。該活性は、PVPSE1gp146 の活性及び/又は本発明の断片の活性の、約 10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190 又は約 200 % であり得る。該活性は、例えば、(Briers et al., J. Biochem. Biophys Methods 70: 531-533, (2007))に記載されているようなプレート溶解アッセイや液体溶解アッセイなどの、当技術分野において当業者に周知の解析法によって測定され得る。 本発明のある好ましい態様では、本発明に係るポリペプチド、断片及び/又は誘導体は、His6-タグ、Strep-タグ、Avi-タグ、Myc-タグ、Gst-タグ、JS-タグ、システイン-タグ、FLAG-タグ又は他の当技術分野で公知のタグ、のようなタグを N-末端又は C-末端に追加で含む。本発明のある好ましい態様では、該タグは、本発明のポリペプチド、断片及び/又は誘導体に C-末端で連結される。該タグは、追加のアミノ酸残基の向こうで、前記ポリペプチド、断片及び/又は誘導体に連結されてもよい。該追加のアミノ酸残基は、少なくとも 1、2、3、4、5、6、7、8、9 又は 10 個の追加のアミノ酸残基からなってもよい。本発明のある好ましい態様では、該タグは、Leu-Glu 又は Lys-Gly という追加のアミノ酸残基によって、本発明のポリペプチド、断片及び/又は誘導体に C-末端で連結される。本発明のある好ましい態様は、配列番号 7 で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに関連する。配列番号 7 で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドは、配列番号 1 で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドとそれぞれ比較すると、配列番号 1 で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドの C-末端に、追加のアミノ酸残基であるリシン及びグリシン(Lys-Gly)によって連結された追加の C-末端 His6-タグを含む。加えて、BamHI 制限酵素部位が、部位 2 及び 3 に導入された。配列番号 7 で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドは、好ましくは配列番号 8 で示される塩基配列にコードされる。 本発明のさらなる側面は、本発明に係るポリペプチド、断片及び/又は誘導体、並びに、それらの N-又は C-末端に前記エンドリシンのグラム陰性細菌に対する活性を増強するために融合された、膜破壊又は LPS 破壊活性有するペプチドストレッチを含む融合タンパク質である。好ましくは、該ペプチドストレッチは、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる WO2010023207 に示されるカチオン性ペプチド及び/又はポリカチオン性ペプチドである。 本発明に係る融合タンパク質のペプチドストレッチは、本発明に係るポリペプチド、断片及び/又は誘導体に好ましくは共有結合で連結される。好ましくは、該ペプチドストレッチは少なくとも 5、より好ましくは少なくとも 6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99 又は少なくとも 100 個のアミノ酸残基からなる。特に好ましいものとしては、約 5 〜 約 100 個のアミノ酸残基、約 5 〜 約 50 個又は約 5 〜 約 30 個のアミノ酸残基を含むペプチドストレッチである。より好ましいものとしては、約 6 〜 約 42 個のアミノ酸残基、 約 6 〜 約 39 個のアミノ酸残基、約 6 〜 約 38 個のアミノ酸残基、約 6 〜 約 31 個のアミノ酸残基、約 6 〜 約 25 個のアミノ酸残基、約 6 〜 約 24 個のアミノ酸残基、約 6 〜 約 22 個のアミノ酸残基、約 6 〜 約 21 個のアミノ酸残基、約 6 〜 約 20 個のアミノ酸残基、約 6 〜 約 19 個のアミノ酸残基、約 6 〜 約 16 個のアミノ酸残基、約 6 〜 約 14 個のアミノ酸残基、約 6 〜 約 12 個のアミノ酸残基、約 6 〜 約 10 個のアミノ酸残基、又は約 6 〜 約 9 個のアミノ酸残基を含むペプチドストレッチである。好ましくは、ペプチドストレッチは、His6-タグ、Strep-タグ、Avi-タグ、Myc-タグ、Gst-タグ、JS-タグ、システイン-タグ、FLAG-タグ、又は、当技術分野で公知の他のタグではなく、チオレドキシンやマルトース結合タンパク質(MBP)でもない。しかしながら、ペプチドストレッチは、そのようなタグ又は複数のタグなどを追加で含んでもよく、それらはタンパク質の精製又は場所の特定のために利用される。 本発明はさらに、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/又は融合タンパク質をコードする単離された核酸分子に関連する。本発明に係る特に好ましい単離された核酸分子は、配列番号 2、4、6 又は 8 で示される核酸配列を含む。本発明はさらに、本発明に係る核酸分子を含むベクターに関連する。該ベクターは、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/又は融合タンパク質の構成的又は誘導性発現を与える。本発明はまた、該ポリペプチド、断片、誘導体及び/又は融合タンパク質を発現する遺伝的に改変された適切な宿主細胞のような微生物から、該ポリペプチド、断片、誘導体及び/又は融合タンパク質を得る方法に関連する。該宿主細胞は、細菌若しくは酵母のような微生物、又は、例えば哺乳類細胞、特にヒト細胞のような動物細胞であってもよい。本発明のある態様では、宿主細胞は大腸菌細胞である。宿主は、例えば収量、溶解性、コストなどの単なる生物工学的理由によって選ばれてもよいが、例えば非病原性細菌若しくは酵母又はヒト細胞などの医学的見地から選ばれてもよい。本発明の他の側面は、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/又は融合タンパク質の発現を達成するために適切な宿主細胞に遺伝的に形質変換する方法に関連し、ここで宿主細胞は、該ポリペプチド、断片、誘導体及び/又は融合タンパク質をコードする遺伝物質を該宿主細胞に導入することで遺伝的に改変され、当業者に周知の遺伝子工学的手法によって、それらの翻訳及び発現が達成される。 本発明のさらなる側面は、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/若しくは融合タンパク質、並びに/又は、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/若しくは融合タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸分子若しくはベクターで形質変換された宿主を含む、組成物、好ましくは医薬組成物に関連する。 本発明の好ましい態様では、該組成物は、例えば EDTA、TRIS、酪酸、ラクトフェリン、ポリミキシン、クエン酸のような金属キレート剤、及び/又は、例えば Vaara によって記述されている他の物質(Agents that increase the permeability of the outer membrane. Vaara M. Microbiol Rev. 1992 Sep;56(3):395-441)のような、グラム陰性細菌の外膜を透過処理する薬剤を追加で含む。同様に好ましいのは、上述の透過処理剤を組み合わせて含む組成物である。特に好ましいのは、約 10 μM 〜約 100 mM EDTA、よりこの好ましくは約 50 μM 〜約 10 mM EDTA、より好ましくは約 0.5 mM 〜 約 10 mM EDTA、より好ましくは約 0.5 mM 〜 約 2 mM EDTA、より好ましくは約 0.5 mM 〜 約 1 mM EDTA を含む組成物である。同様に好ましいのは、約 0.5 mM 〜 約 2 mM EDTA、より好ましくは約 1 mM EDTA 及び追加で約 10 〜 約 100 mM TRIS を含む組成物である。 本発明はまた、薬剤として使用するための、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/若しくは融合タンパク質、並びに/又は、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/若しくは融合タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸分子で形質転換された宿主に関連する。さらなる側面では、本発明は、グラム陰性細菌と関連する障害、疾患又は状態の処置及び/又は予防のための薬剤の製造における、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/若しくは融合タンパク質、並びに/又は、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/若しくは融合タンパク質をコードする核酸分子を含むベクターで形質転換された宿主の使用に関連する。とりわけ、エンテロバクター科(エシュリキア属(Escherichia)、特に大腸菌、サルモネラ属(Salmonella)、シゲラ属(Shigella)、シトロバクター属(Citrobacter)、エドワードシエラ属(Edwardsiella)、エンテロバクター属(Enterobacter)、ハフニア属(Hafnia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、特に K. ニューモニエ(K. pneumoniae)、モルガネラ属(Morganella)、プロテウス属(Proteus)、プロビデンシア属(Providencia)、セラチア属(Serratia)、エルシニア属(Yersinia))、シュードモナス科(Pseudomonadaceae)(シュードモナス属(Pseudomonas)、特に P. エルギノーサ、バークホルデリア属(Burkholderia)、ステノトロホモナス属(Stenotrophomonas)、シェワネラ属(Shewanella)、スフィンゴモナス属(Sphingomonas)、コマモナス属(Comamonas))、ナイセリア属(Neisseria)、モラクセラ属(Moraxella)、ビブリオ属(Vibrio)、アエロモナス属(Aeromonas)、ブルセラ属(Brucella)、フランシセラ属(Francisella)、ボルデテラ属(Bordetella)、レジオネラ属(Legionella)、バルトネラ属(Bartonella)、コクシエラ属(Coxiella)、ヘモフィルス属(Haemophilus)、パスツレラ属(Pasteurella)、マンヘミア属(Mannheimia)、アクチノバチルス属(Actinobacillus)、ガードネレラ属(Gardnerella)、スピロヘータ科(Spirochaetaceae)(トレポネーマ属(Treponema)及びボレリア属(Borrelia))、レプトスピラ科(Leptospiraceae)、カンピロバクター属(Campylobacter)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、スピリルム属(Spirillum)、ストレプトバチルス属(Streptobacillus)、バクテロイデス科(Bacteroidaceae)(バクテロイデス属(Bacteroides)、フゾバクテリウム属(Fusobacterium)、プレボテラ属(Prevotella)、ポルフィロモナス属(Porphyromonas))、アシネトバクター属(Acinetobacter)、特に A. バウマニ(A. baumanii)のようなヒトまたは動物にとって病原性である株を含むグラム陰性細菌の細菌群、科、属又は種によって引き起こされ得る障害、疾患又は状態の処置及び/又は予防のためのものであってもよい。特に、シュードモナス・エルギノーサ、シュードモナス・プチダ(putida)、バークホルデリア・シュードマレイ(pseudomallei)、大腸菌及び/又はネズミチフス菌によって引き起こされ得る障害、疾患又は状態の処置及び/又は予防のためのものであってもよい。 本発明はさらに、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/若しくは融合タンパク質、並びに/又は、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/若しくは融合タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸分子で形質転換された宿主を含む薬剤に関連する。 本発明のさらなる側面は、処置及び/又は予防が必要な対象において障害、疾患又は状態を処置する方法に関連し、該方法は、有効量の本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/若しくは融合タンパク質、並びに/又は、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/若しくは融合タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸で形質転換された有効量の宿主を、前記対象に投与することを含むことを特徴とする。対象はヒト又は動物であってもよい。特に、処置の方法は、グラム陰性細菌、特に上に列挙したグラム陰性細菌によって引き起こされた、皮膚、軟組織、呼吸器系、肺、消化管、眼、耳、歯、鼻咽頭、口、骨、膣の感染症、菌血症の創傷、及び/又は心内膜炎の処置及び/又は予防のためのものであってもよい。 本発明に係る処置(又は予防)の方法において用いられる投与量及び投与経路は、処置される感染の特定の疾患/部位に依存する。投与経路は、例えば、経口的、局所的、鼻咽頭内、非経口的、静脈内、直腸内、又は任意の他の投与の経路であってもよい。本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/若しくは融合タンパク質、並びに/又は、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/若しくは融合タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸で形質転換された有効量の宿主を、感染部位(又は感染する危険にさらされた部位)に適用するために、活性化合物が感染部位に到達するまで、それをプロテアーゼ、酸化、免疫応答などの環境の影響から保護する製剤が用いられてもよい。したがって、製剤は、カプセル、糖衣錠、丸剤、坐剤、注射可能な溶液、又は任意の他の医学的に妥当なガレノス製剤であってもよい。好ましくは、ガレノス製剤は、適当な担体、安定剤、着香料、緩衝剤、又は他の適当な試薬を含んでもよい。例えば、局所適用のために、製剤は、ローション又は硬膏であってもよく、鼻咽頭適用のために、製剤は、噴霧器を介して鼻に適用される生理食塩水溶液であってもよい。 好ましくは、処置(又は予防)される感染症が、多剤耐性細菌株、特に 1 つ又は複数の以下の抗生物質、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、セファロチン、ゲンタマイシン、セフォタキシム、セファロスポリン、セフタジジム、又はイミペネムに対して耐性の株によって引き起こされる場合、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/又は融合タンパク質は、医学的処置のために用いられる。さらに、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/又は融合タンパク質は、抗生物質、ランチビオティック、バクテリオシン、又はエンドリシンなどの従来の抗細菌剤と組み合わせて投与することによって、処置の方法において使用され得る。 本発明はまた、1 又はそれ以上の区画を含む医薬包装物に関連しており、少なくとも 1 つの該区画は、1 若しくはそれ以上の本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/若しくは融合タンパク質、並びに/若しくは、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/若しくは融合タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸で形質転換された 1 若しくはそれ以上の宿主、又は、本発明に係る組成物を含む。 他の側面では、本発明は、医薬組成物を調製する工程に関連しており、該工程は、1 若しくはそれ以上の本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/若しくは融合タンパク質、並びに/又は、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/若しくは融合タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸で形質転換された 1 若しくはそれ以上の宿主を、薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、又は担体と混合することを含む。 またさらなる側面では、本発明に係る組成物は、化粧料組成物である。いくつかの細菌種は、皮膚などの患者の身体の環境に曝露される表面上に刺激を引き起こし得る。そのような刺激を予防するため、又は、細菌性病原体の軽微な症状発現を排除するために、既に存在するか又は新しく定着する病原性グラム陰性細菌を分解するのに十分な量の本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/又は融合タンパク質を含む、特別な化粧料組成物が用いられてもよい。 さらなる側面では、本発明は、医薬、食品若しくは飼料における診断手段又は環境診断器、とりわけグラム陰性細菌によって引き起こされる細菌感染の診断手段として特に使用するための、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/又は融合タンパク質に関連する。この点においては、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/又は融合タンパク質は、病原性細菌、特にグラム陰性病原性細菌を特異的に分解するための手段として用いられてもよい。本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/又は融合タンパク質による細菌細胞の分解は、Triton X-100 のような界面活性剤、又は、ポリミキシン B のような細菌細胞のエンベロープを弱める他の添加剤を加えることによって支援され得る。特異的な細胞分解は、PCR、核酸ハイブリダイゼーション、若しくは NASBA(核酸配列ベース増幅(Nucleic Acid Sequence Based Amplification))のような核酸に基づく方法、IMS、免疫蛍光法、若しくは ELISA 技術のような免疫学的方法、又は、別個の細菌群若しくは種に特異的なタンパク質(例えば、エンテロバクテリアについてβガラクトシダーゼ、コアグラーゼ陽性株についてコアグラーゼ)を使用する酵素学的解析法のような細菌細胞の細胞内容物に依存する他の方法を用いてその後に細菌を特異的に検出するための初期段階として、必要とされる。さらなる側面では、グラム陰性細菌による食材の汚染、食品加工装置の汚染、食品加工工場の汚染、棚及び食品貯蔵領域、並びに病原性、条件的病原性、又は他の望ましくない細菌が潜在的に食材に感染する他のすべての場所のような食材と接触する表面の汚染、医療機器の汚染、病院や手術室における表面の汚染を処置又は予防するための、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/又は融合タンパク質の使用に関連する。 特に、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/又は融合タンパク質は、殺菌剤とし予防的に用いられてもよい。該殺菌剤は、手術の前若しくは後、又は、例えば血液透析の間に使用されてもよい。さらに、早産児及び免疫不全者又は補綴装置を必要とする対象が、本発明に係る融合タンパク質で処置されてもよい。該処置は、予防的又は急性感染の間であってもよい。同じ事情で、特に、シュードモナス・エルギノーサ(FQRP)、アシネトバクター属の種、並びに、大腸菌、サルモネラ属、シゲラ属、シトロバクター属、エドワードシエラ属、エンテロバクター属、ハフニア属、クレブシエラ属、モルガネラ属、プロテウス属、プロビデンシア属、セラチア属、及びエルシニア属などのエンテロバクター科の種のような抗生物質耐性株による院内感染が、本発明のポリペプチド、断片、誘導体及び/又は融合タンパク質で、予防的又は急性感染の間に処置されてもよい。したがって、本発明に係るポリペプチド、断片、誘導体及び/又は融合タンパク質は、界面活性剤、テンシド(tensids)、溶媒、抗生物質、ランチビオティクス、又はバクテリオシンのような消毒溶液として有用な他の成分と組み合わせて、消毒剤としても用いられてもよい。 以下の実施例は、本発明を説明するが、本開示又は添付の特許請求の範囲を限定するものとは見なされない。異なって示されない限りは、例えば、Sambrock et al., 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York に記載されているような、分子生物学の標準の方法が用いられた。実施例 1:PVP-SE1gp146 及びその N-末端 PK 融合型変異体 PK-PVP-SE1gp146サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)ファージ PVPSE1 及びその N-末端 PK 融合型変異体 PK-PVP-SE1gp146 のモジュールのエンドリシン PVP-SE1gp146 のクローニング、発現、及び精製 PVP-SE1gp146(236 アミノ酸長、MW = 25325 Da)は、サルモネラ・エンテリティディスファージ PVPSE1 に由来するモジュールのエンドリシンであり、N-末端ペプチドグリカン結合ドメイン(アミノ酸 3 〜 39) 及びリゾチーム様スーパーファミリーの C-末端触媒キチナーゼドメイン(アミノ酸 81 〜 234)を有していると推定される(図 1 参照)。 ファージ PVPSE1(S. Santos 博士、Universidade do Minho、Braga、Portugal、より取得)の精製されたゲノム DNA が、Pfu ポリメラーゼ(Fermentas、Ontario、Canada)による標準的な PCR 反応において、エンドリシン PVP-SE1gp146 をコードするオープンリーディングフレーム(ORF146)を増幅するための鋳型として用いられた。以下の PCR パラメーターが用いられた。 この PCR のためのフォワードプライマー(プライマー 1)及びリバースプライマー(プライマー 2)は、表 1 に示されている。 表 1−ORF146 標準的な PCR 増幅及び ORF146 への N-末端 PK タグの付加のための尾部(tail)PCR において用いられたプライマー ポリカチオン性 9-mer ペプチド Lys-Arg-Lys-Lys-Arg-Lys-Lys-Arg-Lys- をコードする遺伝子断片で ORF146 の 5' 末端を伸長するために、伸長された 5' プライマー(プライマー 3、配列番号 11、表 1)及び標準の 3' プライマー(プライマー 2、配列番号 10、表 1)を用いた尾部 PCR(上述の標準的な PCR と同じパラメーターに従って)が行われた。そして、得られた両 PCR 産物は、メーカーから提供されている TA-クローニングプロトコールに従って、市販の pEXP5CT/TOPO(登録商標)発現ベクター(Invitrogen、Carlsbad、CA、USA)に連結され、エンドリシン ORF/タンパク質の 3'/C-末端側と精製に必要な 6xヒスチジンタグとが融合された。組換え型 PVP-SE1gp146 及び PK-PVP-SE1gp146 エンドリシンについて、得られた DNA 及びアミノ酸配列は、配列番号 7(組換え型 PVPSE1gp146 のアミノ酸配列)、配列番号 8(組換え型 PVPSE1gp146 のヌクレオチド配列)、配列番号 12(組換え型 PK-PVPSE1gp146 の DNA 配列)、及び配列番号 13(組換え型 PK-PVPSE1gp146 のアミノ酸配列)に示されている。 PVP-SE1gp146/PK-PVP-SE1gp146 の組換え体の発現は、1 mM IPTG(イソプロピルチオガラクトシド)を用いて 16℃で一晩誘導した後に、指数関数的に増殖している大腸菌 BL21(λDE3)pLysS 細胞において行われた。そして、エンドリシンは、pEXP5CT/TOPO(登録商標)発現ベクターにコードされた C-末端の 6xHis-タグを利用した Ni2+ アフィニティークロマトグラフィー(Akta FPLC、GE Healthcare)によって精製された。Ni2+ アフィニティークロマトグラフィーは、すべて室温で次の 4 段階により行われた。1. Histrap HP 1 ml カラム(GE Healthcare)を、10 カラム容量の洗浄バッファー(70 mM イミダゾール、0.5 mM NaCl 及び 20 mM NaH2P04-NaOH、pH 7.4)により 0.5 ml/分の流速で平衡化。2. 全溶解物(所望のエンドリシンを含む)を、Histrap HP 1 ml カラムに 0.5 ml/分の流速で添加。3. 15 カラム容量の洗浄バッファーにより 1 ml/分の流速で洗浄。4. 結合したエンドリシンを、10 カラム容量の溶出バッファー(500 mM イミダゾール、5 mM NaCl 及び 20 mM NaH2P04-NaOH、pH 7.4)により 0.5 ml/分の流速でカラムから溶出。 組換え型 PVP-SE1gp146/PK-PVP-SE1gp146 の精製における収量は、表 2 に示されている。タンパク質の濃度は、280 nm の波長での分光光度法により決定された。溶出バッファー(20 mM NaH2P04-NaOH pH7.4、0.5 M NaCl、500 mM イミダゾール)中の両タンパク質の精製されたストック溶液は、SDS-PAGE ゲル上で視覚的に判定されたところによると、純度 90% 以上であった(図 2)。表 2−280 nm での分光光度測定によって決定された、大腸菌発現培養液 1 リットルあたりの精製された組換え型 PVP-SE1gp146/PK-PVP-SE1gp146 エンドリシンの収量。PK 改変型変異体の収量は、非改変型 PVP-SE1gp146 の約 2 倍高く、タンパク質発現における PK タグの安定化効果が明らかにされる。実施例 2:サルモネラ・エンテリティスファージのエンドリシン PVPSE1gp146 の生物化学的ムラリティック活性の特性評価及び定量 ムラリティック活性の定量のため、エンドリシン活性に増感するように、外膜を透過処理された P. エルギノーサ PAO1krylov(V. Krylov 教授、the State Institute for Genetics of Industrial Microorganisms、1st Dorozhnii proezd 1、113545 Moscow、Russia、より取得した PAO1Krylov)の細胞基質が用いられた。この基質の接近の存在下で、溶出バッファー中での PVPSE1gp146 の酵素活性の飽和曲線が作成され、異なるエンドリシン濃度(nM で表現される)の範囲における機能としてペプチドグリカン分解活性(1 分あたりの OD655nm の低下で表現される)が示されている(図 3)。測定は、7.3 の pH 及び 80 mM のイオン強度における酵素活性に最適な KH2PO4/K2HPO4 緩衝液中に溶解された基質を用いて、トリプリケートで行われた。 この飽和曲線の直線部分に最適な線形回帰の傾きが、Cheng et al. (2004) 及び Briers et al. (2007) による酵素活性の定義の適合バージョンである次式に従ったムラリティック活性値の決定のために用いられた。 前記式を用いると、溶出バッファー中に溶解された場合に、PVPSE1gp146 は 15,005,330 単位/mM のムラリティック活性値を有している。実施例 3:サルモネラ・エンテリティディスファージ PVP-SE1 のエンドリシンへの N-末端抗菌ペプチドの融合1. 抗菌タグ融合 PVP-SE1gp146 構成物のクローニング、発現及び精製 抗グラム陰性活性を高め、細菌宿主の範囲を広げるために、PVP-SE1gp146 は、一連の天然抗菌ペプチドタグ(表 3 に示される)に N-末端で融合された。これらのタグは、両親媒性、疎水性又はポリカチオン性特性及び短い長さに基づいて、選定又は開発された。このリストは、昆虫、両生類又は魚由来でグラム陰性株に効果的に作用することが証明されている文献公知の多数の選ばれた抗菌ペプチドを含んでおり、3 つは設計された抗菌タグである。図 4 は、改変型 tag-PVP-SE1gp146 変異体の推定二次元モジュラー構造を説明している。表 3−PVP-SE1gp146 に融合される抗菌ペプチドタグのリスト ペンタペプチド(PP)タグを除き、すべての抗菌ペプチドタグは、ライゲーション非依存性クローニング(LIC)技術(Berrow et al., 2007, A versatile ligation-independent cloning method suitable for high-throughput expression screening applications)の適合バージョンを利用して、PVP-SE1gp146 をコードする ORF に融合された。したがって、唯一の Ecl136II 制限酵素部位が、ファージ OBP の純粋なゲノム DNA 上において、特異的である設計された 5’フォワードプライマー(GGAATGGGGAGCTCCTCCAATGCTGCAATTGCGGAGAT、配列番号 30)及び標準の PVP-SE1gp146 リバースプライマー(CGAGGTTAGAACAGATTTTGCCT、配列番号 10)を用いて尾部 PCR を行うことによって、PVP-SE1gp146 をコードする遺伝子の前に挿入された。そして、この伸長断片は、メーカーの TA クローニングプロトコールに従って、pEXP5CT/TOPO(登録商標)発現ベクター(Invitrogen、Carlsbad、CA、USA)に連結された。純粋なプラスミドは、Ecl136II 制限酵素消化により一度切断され、ハイブリッド形成されたペプチドカセット(プライマーペアのハイブリダイゼーションにより作製されたもの、表 4 参照)が、ライゲーション段階を要さずに該切断プラスミド中に挿入された。N-末端ペンタペプチドタグの融合のためには、このペンタペプチドをコードする伸長された 5' プライマー(ATGGGATCCTTCTTCGTAGCACCGGGCTCCTCCAATGCTGCAAT、配列番号 31、下線部はペンタペプチド)を用いた尾部 PCR が、精製 pEXP5-CT/PK-OBPgpLys プラスミド DNA に対して適用された。発現ベクターに断片が正確に挿入されていることは、構成物を適切な大腸菌 BL21(DE3)pLysS 発現株中に導入する前に、配列解析によって検証された。表 4−PVP-SE1gp146 への融合前の抗菌ペプチドタグのハイブリダイゼーションのために用いられたプライマー 標準的な発現が、溶原培地(LB)中、1 mM イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシドで誘導された指数関数的に増殖している細胞(OD600nm = 0.6)において行われた。改変型エンドリシンの可溶性発現レベルを最適化するために、温度、時間及び発現株のような発現パラメーターは、タンパク質特異的な基準で変化した(表 5 参照)。精製のために、発現培養液(500 〜 600 ml)の細胞は収集され(4500 rpm、30 分、4℃)、1/25 容量の溶解バッファー(10 mM イミダゾール、20 mM NaH2PO4、0.5 M NaCl、pH 7.4)中に再懸濁された。この懸濁液は、超音波処理(Vibra CellTM、Sonics、Dandurry、CT、USA により、8 x 30 s、振幅 40 %)の前に 3 回凍結/誘拐され、0.45 及び 0.22 μm Durapore メンブレンフィルター(Millipore、Billerica、MA、USA)を通してろ過された。His-タグ付加癒合タンパク質の精製は、メーカーの説明書に従い、Ni2+-アフィニティークロマトグラフィー(HisTrap HP 1 ml カラム、GE Healthcare、Buckinghamshire、UK)を利用したワンステップ・プロトコールによって行われた。Ni2+ アフィニティークロマトグラフィーは、すべて室温で次の 4 段階により行われた。1. Histrap HP 1 ml カラム(GE Healthcare)を、10 カラム容量の洗浄バッファー(タンパク質に依存的な量のイミダゾール(60 〜 70 mM)、0.5 mM NaCl 及び 20 mM NaH2P04-NaOH、pH 7.4)により 0.5 ml/分の流速で平衡化。2. 全溶解物(所望のエンドリシンを含む)を、Histrap HP 1 ml カラムに 0.5 ml/分の流速で添加。3. 15 カラム容量の洗浄バッファーにより 1 ml/分の流速で洗浄。4. 結合したエンドリシンを、10 カラム容量の溶出バッファー(500 mM イミダゾール、5 mM NaCl 及び 20 mM NaH2P04-NaOH、pH 7.4)により 0.5 ml/分の流速でカラムから溶出。 洗浄バッファーは、タンパク質のより高い純度を確保するために、タンパク質特異的な基準で変化する低濃度のイミダゾールを含んだ(表 5 参照)。大腸菌発現培養液 1 リットルあたりの組換えタンパク質の全収量もまた、表 5 に示されている。値は、精製されたストック溶液のタンパク質濃度及び総容積の波長 280 nm での分光光度測定によって決定された。精製されたストック溶液は、SDS-PAGE ゲル上で視覚的に判定されたところによると、少なくとも 90% の純度であった(データは示さず)。2. N-末端タグ融合型 PVP-SE1gp146 変異体の in vitro での抗菌活性 抗菌タグの融合によって PVP-SE1gp146 の in vitro 抗菌活性に対してプラスの効果がもたらされるか決定するために、いくつかのN 末端タグ融合型 PVP-SE1gp146 変異体が、2 種類の異なるグラム陰性細菌に対して試験された。すなわち、Artilys2-PVPSE1gp146 及び Lycotox1-PVPSE1gp146 について、大腸菌 XL1 blue 及び食品病原体であるネズミチフス菌 LT2 に対する効果が試験された。それらの抗菌特性を最適化するために、外膜透過処理剤であるエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA-Na2)が少量添加された。 指数関数的に増殖しているグラム陰性細菌細胞(OD600nm = 0.6)は、最終濃度が約 106 細胞/ml となるように 100 倍希釈され、0.5 mM の EDTA-Na2 あり又はなしで、5 μM の異なる改変型 PVP-SE1gp146 変異体と共に、震盪せずに室温で 30 分間インキュベートされた。インキュベーション後、細胞懸濁液は、106 細胞/ml 〜 105 細胞/ml から始めて、次に 104 細胞/ml の濃度へ、そして最終的には 103 細胞/ml の濃度へと 3 回希釈され、各希釈液 100 μl が LB-培地にプレーティングされた。37℃で一晩インキュベートした後、残留コロニーが計数された。計数された細胞数に基づいて、対数単位の相対的不活性化度(= log10(N0/Ni)、N0 = 未処理細胞数、及び、Ni = 処理細胞数、両者ともインキュベーション後に計数された)として、抗菌活性が計算された(表 6)。表 6−非改変型 PVP-SE1gp146 と比較した、0.5 mM EDTA-Na2 あり(A)又はなし(B)での、5 μM の N-末端タグ融合型 PVP-SE1gp146 変異体のグラム陰性細菌に対する in vitro 抗菌活性。該抗菌活性は、対数単位の相対的不活性化度(= log10(N0/Ni)、N0 = 未処理細胞数、及び、Ni = 処理細胞数、両者ともインキュベーション後に計数された)として定量化された。すべての試料は 3 回繰り返された。平均値 +/- 標準偏差が示される。観測された最大の減少は、10 細胞/ml の検出レベル及び初期細胞密度に依存する。 外膜透過処理剤である EDTA がない場合は、ネズミチフス菌及び大腸菌においては低い抗菌活性しか検出されない。試料が EDTA を含んでいる場合には、より強い抗菌活性が観察され得る。Artilysin 2 による改変を受けた融合タンパク質は、ネズミチフス菌に対して良好な抗菌活性を有する。しかしながら、該活性は、非改変型変異体 PVPSE1gp146 の範囲内のものである。リコトキシン 1 による改変を受けた融合タンパク質を用いると、ネズミチフス菌に対する抗菌活性はもっと向上される。ネズミチフス菌に対する抗菌活性と比較すると低いレベルのものではあるが、リコトキシン融合タンパク質も Artilysin 2 融合タンパク質も、大腸菌について抗菌活性を発揮する。実施例 4:組換え型 PVP-SE1gp146 及びその PK 融合型変異体 PK-PVP-SE1gp146 の熱安定性 温度は、PVP-SE1gp146/PK-PVP-SE1gp146 の安定性ひいては酵素的又はムラリティック活性に、大きな役割を果たしている。温度が上昇すると、水素結合及びタンパク質の三次元構造内の非極性疎水性相互作用が容易に切断され、タンパク質の変性及びその酵素機能の部分的喪失が引き起こされる。PVP-SE1gp146 及び PK-PVP-SE1gp146 の熱安定性を調査するために、両組換え型エンドリシンは、Biometra T3000 サーモサイクラー(ゲッティンゲン、ドイツ)の中で、種々の温度(42、50、60、70、80、90 及び 100℃)で、種々の時間(42 及び 50℃で 1、2、3、4、8 及び 24 時間、50 〜 100℃で 1 時間の間 10 分ずつ)の間インキュベートされる。熱インキュベーション後に、各インキュベートされた試料の各 30 μl ずつに、外膜透過処理された P. エルギノーサ PAO1(V. Krylov 教授、the State Institute for Genetics of Industrial Microorganisms、1st Dorozhnii proezd 1、113545 Moscow、Russia、より取得した PAO1Krylov)の細胞基質を 270 μl 添加し(Lavigne et al., 2004**)、最適な密度は(OD655nm)は時間関数に従う。各試料はインキュベートされ、トリプリケートで試験される。各試料の酵素的又はムラリティック活性は、Briers et al. (2007)*** の論文に従った OD655nm/時間の曲線に基づいて定量化され、時間 0 の時点での非加熱対照試料(= 100 % 活性)と比較したパーセンテージで表現される。図 5 では、24 時間の時間間隔中における 42℃及び 50℃でのインキュベーションの結果が示される。42℃という値は、発熱した体温状態と似ているので選択され、50℃は、熱不安定性タンパク質が変性する臨界温度である。 PVP-SE1gp146 及び PK-PVP-SE1gp146 はどちらも、24 時間のインキュベーション後であっても、42℃で熱に安定である(図 5A)。50℃(図 5B)であっても、PVP-SE1gp146 のムラリティック活性は、24 時間を超えても大きくは変わらない。これに反して、PK-PVP-SEg1gp146 は、おそらくは PK タグの存在のために、8 及び 24 時間の時点の間で初期活性の 30% を失う。42℃で 2 時間及び 50℃で 3 時間のインキュベーションの後に、PK-PVP-SE1gp146 のムラリティック活性はむしろ有意に上昇する。PK 改変によって起こる活性の低下は、高温では当初は抑制されるが、これはインキュベーション時間が延びるにつれて小さくなる効果である。 PVP-SE1gp146 は、50℃で 24 時間後でも完全な活性を示しているので、PVP-SE1gp146/PK-PVP-SE1gp146 の熱安定性は、それぞれ 1 時間及び 40 分のインキュベーション時間で、より高い温度、50 と 100℃の間でも決定された(図 6)。活性は、PVP-SE1gp146 については 0、20、40 及び 60 分の時点において(図 6A)、並びに、PK-PVP-SE1gp146 については 0、20、30 及び 40 分の時点において(図 6B)測定された。 図 6A は、PVP-SE1gp146 が、80℃で 1 時間のインキュベーション後には、まだその最大活性を維持しているが、100℃になると、20 分という短いインキュベーションでも、80% 以上の活性を低下させるのに十分であることを示している。上述の図 5 に記載されているように、PK-PVP-SE1gp146 の活性は、50℃以上の温度で徐々に減少する。80℃でインキュベーションすると、30 分後にはエンドリシンはその完全な活性をほとんど失っている。 これらの結果は、非改変型 PVP-SE1gp146 の強い熱安定性を強調しており、それを食品保存の障害のための取り組み(hurdle appproach)において使用する興味深い候補としている。PVP-SE1gp146 と組み合わせて軽度の加熱処理を行うことは、食品生産物の質を失うことなく食品病原体を効率的に低減させるために利用されるだろう。引用された参考文献Cheng, X., Zhang, X., Pflugrath, J.W. and Studier, F.W. (1994) The structure of bacteriophage T7 lysozyme, a zinc amidase and an inhibitor of T7 RNA polymerase. Proc Natl Acad Sci U S A 91, 4034-4038.Briers Y., Lavigne R., Volckaert, G. and Hertveldt, K. (2007a) A standardized approach for accurate quantification of murein hydrolase activity in high-throughput assays. Journal of Biochemical and Biophysical Methods 70, 531-533. 本発明の他の態様は、ここに開示されている本発明の明細書及び実施例を考慮すれば、当業者にとって明らかであろう。本明細書及び実施例は例示的なものにすぎず、添付の特許請求の範囲に示されている発明の真の範囲及び真意と共に考慮されるべきであることが意図される。 配列番号 1 で示されるアミノ酸配列又はその断片若しくは誘導体を含む、エンドリシン活性を有するポリペプチド。 前記断片が、配列番号 3 及び/又は 5 で示されるアミノ酸配列を含む、請求項 1 に記載のポリペプチド。 前記誘導体が、配列番号 1、3 及び/又は 5 で示されるアミノ酸配列において欠失、付加、挿入及び又は置換を有するものである、請求項 1 又は 2 に記載のポリペプチド。 前記ポリペプチドが、N- 又は C-末端で、膜又は LPS 破壊活性を有するペプチドストレッチに融合されている、請求項 1 〜 3 に記載のポリペプチド。 タグ、好ましくは His6-タグを更に含む、請求項 1 〜 4 のいずれか 1 項に記載のポリペプチド。 前記ポリペプチドが、配列番号7 で示されるアミノ酸配列を含む、請求項 5 に記載のポリペプチド。 請求項 1 〜 6 のいずれか 1 項に記載のポリペプチドと、該ポリペプチドに N- 又は C-末端で結合されたペプチドストレッチとを含む融合タンパク質であって、該ペプチドストレッチが、カチオン性ペプチド、ポリカチオン性ペプチド、両親媒性ペプチド、スシペプチド、ディフェンシン、疎水性ペプチド、及び/又は、抗微生物ペプチドであることを特徴とする、融合タンパク質。 前記ペプチドストレッチが、約 5 〜約 100 のアミノ酸残基、特に約 5 〜 50 のアミノ酸残基、特に約 5 〜 30 アミノ酸残基を含む、請求項 7 に記載の融合タンパク質。 前記カチオン性及び/又はポリカチオン性ペプチドストレッチが、アルギニン、ヒスチジン及びリシン残基からなる群から選出される少なくとも 1 種のアミノ酸残基を含み、特に該ペプチドストレッチを構成するアミノ酸残基の少なくとも 70% が、アルギニン、ヒスチジン及び/又はリシン残基、特にアルギニン及び/又はリシン残基であることを特徴とする、請求項 7 又は 8 に記載の融合タンパク質。 前記両親媒性ペプチドが、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、システイン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、トレオニン、セリン、プロリン及びグリシン残基からなる群から選出される少なくとも 1 種の疎水性アミノ酸残基に結合された、リシン、アルギニン及びヒスチジン残基からなる群から選出される少なくとも 1 種の正電荷を帯びたアミノ酸残基を含み、特に両親媒性ペプチド中の少なくとも約 70% のアミノ酸残基が、アルギニン又はリシン残基のどちらかであり、両親媒性ペプチド中の少なくとも 30% のアミノ酸残基が、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、システイン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、トレオニン、セリン、プロリン又はグリシン残基である、請求項 7 に記載の融合タンパク質。 前記ペプチドストレッチが、配列番号 14 〜 19 で示されるアミノ酸配列を含む、請求項 7 に記載の融合タンパク質。 前記融合タンパク質が、配列番号 13 で示されるアミノ酸配列を含む、請求項 7 に記載の融合タンパク質。 請求項 1 〜 6 のいずれか 1 項に記載のポリペプチド、又は、請求項 7 〜 12 のいずれか 1 項に記載の融合タンパク質をコードする、単離された核酸分子。 請求項 13 に記載の核酸分子を含むベクター。 請求項 13 に記載の核酸分子又は請求項 14 に記載のベクターを含む宿主細胞。 ヒトの医療用、獣医学用医療用若しくは診断用物質としての、食品若しくは化粧料の抗菌剤としての、殺菌剤としての、又は、環境分野における使用のための、請求項 1 〜 6 のいずれか 1 項に記載のポリペプチド、又は、請求項 7 〜 12 のいずれか 1 項に記載の融合タンパク質。 グラム陰性細菌の感染症を処置又は予防するための薬剤として使用するための、請求項 1 〜 6 のいずれか 1 項に記載のポリペプチド、又は、請求項 7 〜 12 のいずれか 1 項に記載の融合タンパク質。 グラム陰性細菌による食材の汚染、食品加工装置の汚染、食品加工工場の汚染、食材と接触する表面の汚染、医療機器の汚染、病院や手術室における表面の汚染を処置又は予防するための、請求項 1 〜 6 のいずれか 1 項に記載のポリペプチド、又は、請求項 7 〜 12 のいずれか 1 項に記載の融合タンパク質の使用。 請求項 1 〜 6 のいずれか 1 項に記載のポリペプチド、又は、請求項 7 〜 12 のいずれか 1 項に記載の融合タンパク質を含む、医薬組成物。 本発明は、配列番号 1 で示されるアミノ酸配列を含むエンドリシン活性を有するポリペプチド及びその断片若しくは誘導体、又はそれに由来する融合タンパク質に関連している。さらに、本発明は、該ポリペプチド又は融合タンパク質をコードする核酸分子、該核酸分子を含むベクター、及び、該核酸分子又は該ベクターのいずれかを含む宿主細胞に関連する。加えて、本発明は、薬剤、特にグラム陰性細菌の感染症を処置又は予防するための薬剤として、診断用手段として、化粧料用の物質又は殺菌剤として使用するための、前記ポリペプチド、断片、誘導体、又は融合タンパク質に関連する。本発明はまた、グラム陰性細菌の汚染、食材の汚染、食品加工装置の汚染、食品加工工場の汚染、食材と接触する表面の汚染、医療機器の汚染、病院や手術室における表面の汚染を処置又は予防するための、前記ポリペプチド、断片、誘導体、又は融合タンパク質の使用に関連している。さらに、本発明は、前記ポリペプチド、断片、誘導体、又は融合タンパク質を含む医薬組成物に関連している。【選択図】 図1 配列表