生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_フィンゴリモドの調製のための中間の化合物およびプロセス
出願番号:2013535590
年次:2014
IPC分類:C07C 209/34,C07C 215/28,C07C 205/16,C07C 205/45,C07F 9/40,C07F 9/54,A61K 31/137,A61P 43/00,A61P 25/00,C07D 319/06,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

マロム,エフド ミジリツキー,ミハイル ラブノブ,シャイ JP 2014503478 公表特許公報(A) 20140213 2013535590 20111027 フィンゴリモドの調製のための中間の化合物およびプロセス マピ ファーマ リミテッド 511224254 高岡 亮一 100114775 小田 直 100121511 マロム,エフド ミジリツキー,ミハイル ラブノブ,シャイ US 61/407,483 20101028 C07C 209/34 20060101AFI20140117BHJP C07C 215/28 20060101ALI20140117BHJP C07C 205/16 20060101ALI20140117BHJP C07C 205/45 20060101ALI20140117BHJP C07F 9/40 20060101ALI20140117BHJP C07F 9/54 20060101ALI20140117BHJP A61K 31/137 20060101ALI20140117BHJP A61P 43/00 20060101ALI20140117BHJP A61P 25/00 20060101ALI20140117BHJP C07D 319/06 20060101ALI20140117BHJP C07B 61/00 20060101ALN20140117BHJP JPC07C209/34C07C215/28C07C205/16C07C205/45C07F9/40 ZC07F9/54A61K31/137A61P43/00 111A61P25/00C07D319/06C07B61/00 300 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN IL2011000838 20111027 WO2012056458 20120503 38 20130426 4C022 4C206 4H006 4H039 4H050 4C022GA12 4C206AA01 4C206AA04 4C206FA08 4C206MA01 4C206MA04 4C206ZA02 4H006AA02 4H006AB20 4H006AC52 4H006BA09 4H006BA25 4H006BA37 4H006BA55 4H006BD70 4H006BE20 4H006BJ50 4H006BN10 4H006BR30 4H006BU36 4H039CA62 4H039CA71 4H039CB90 4H039CD10 4H050AA01 4H050AA03 4H050AB20 本発明は、(2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオール(フィンゴリモド(Fingolimod))およびその薬学的に許容される塩、ならびにこのようなプロセスにおいて形成される中間体の調製のためのプロセスに関する。 フィンゴリモドはまた、2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]−1,3−プロパンジオールとしても公知であり、これは、その塩酸塩として上市されており、かつ二次リンパ組織への循環リンパ球の隔離(sequestration)を通じてリンパ球減少症を誘導することによって、それにより移植組織または他の影響された組織へのリンパ球の動きを妨げることによって、免疫調節因子として機能するスフィンゴシン−1−リン酸塩レセプター(SIP−R)修飾因子である。フィンゴリモド(FTY720)は、再発寛解型多発性硬化症(Relapsing Remitting Multiple Sclerosis)(RRMS)の画期的な経口の処置である。MSを有する患者は、脳、脊髄および視神経を含む中枢神経系(CNS)の脱髄から生じるある範囲の症状を呈する。神経細胞を囲む防御的ミエリン鞘の破壊は、炎症性T細胞の影響に起因すると考えられる。 開発されるべき最初の経口のS1P−R修飾因子フィンゴリモドは、循環およびCNSの炎症性T細胞の数を減らし、その際、それらの細胞が神経細胞を損傷する可能性を減じる。従って、MSにおけるフィンゴリモドの抗炎症性効果に加えて、この新規な療法は、神経変性を減らし、同様に、CNSの内因性の修復を促進する能力を有し得る。現在では、MSに関して市販の処置で再ミエリン化を促進できるものはない。 日本国特許第11310556号、米国特許第5,604,229号、米国特許第5,952,316号、米国特許出願公開第2001/008945号、米国特許出願公開第2009/082471号、WO00/27798、WO00/53569、WO2005/041899、WO2009/061374、独国特許第10355169号、および中国特許第1528738号は、2−アミノ−1,3−プロパンジオール誘導体、それらの薬理学的活性、および2−アミノ−1,3−プロパンジオール誘導体を調製するためのプロセスを開示する。代表的な調製スキームを下にまとめる(スキーム1A): しかし、スキーム1に記載されるプロセスは、それらが、多くの複雑な工程を含み、かつそれらが油状の物質または種々の異性体混合物として中間体を生じるという点で不利である。結果として、クロマトグラフィーのような従来法による中間生成物の単離および精製が必要であり、この結果として、複雑な操作および大量の有機溶媒の使用につながった。 中国特許第1765872号は、スキーム1Bによるフィンゴリモド調製のためのプロセスを開示する。 しかし、いくつかのプロセス段階は、利用可能な文献(主に3−ニトロ−1−p−オクチルフェニルプロパン−1−オンを、3−ブロモ−1−p−オクチルフェニルプロパン−1−オンと、DMFに含有される亜硝酸ナトリウムとを反応することによってこのプロセスの重要なシントンとして調製する工程)を考慮すれば、その実行が危ぶまれる。中国特許第CN1765872号によれば、この反応は、室温で72%の収率の3−ニトロ−1−p−オクチルフェニルプロパン−1−オンを生じる。 ハロゲン化アルキル類と金属亜硝酸塩類との反応は、ニトロアルカン類の調製のための重要な方法である。金属亜硝酸塩類としては、亜硝酸銀(ビクター・マイヤー(Victor−Meyer)反応)、亜硝酸カリウムまたは亜硝酸ナトリウム(コーンブルム(Kornblum)反応)が用いられることが多い。この生成物は、ニトロアルカン類および亜硝酸アルキル類の混合物であることが報告されており、これが次に、蒸留またはクロマトグラフィーによって分離される。 RX+NO2――――→RNO2+RONO スキーム1C 一級および二級のヨウ化アルキル類および臭化物類、ならびに硫酸エステル類は、亜硝酸陰イオンの双性の特徴に主に起因して、DMFまたはDMSO中での亜硝酸ナトリウムによる処理の際に極めて少ない収率でのみ対応するニトロ化合物を生じる。実際、対応するハロゲン化アルキル類からニトロアルカン類を調製するための効率的な測定可能な高収率の手順は、今まで文献には決して出現していない。例えば、4−(3−ブロモプロピル)−1,2−ジメトキシベンゼンとDMFに含有される亜硝酸ナトリウムとの室温での反応(中国特許第1765872号によって教示される同じ反応条件を利用する)は、亜硝酸エステル形成が最小限であり、かつ1,2−ジメトキシ−4−(3−ニトロプロピル)ベンゼンのその対応するニトロール酸へのニトロソ化に有意に影響しないポイントで反応を停止することによって、所望のニトロアルカンをわずか54%の収率で生じた。有意な量の出発材料が回収できたが、得られた混合物のクロマトグラフィー分離は、どうしても必要であることが見出された。中国特許第1765872号の教示に関連する他の実際上の問題は、油状物としての3−ニトロ−1−(p−オクチルフェニル)プロパン−1−オールの形成であって、そのせいで、生成段階の操作が困難であり、ホルミル化(56%)および水素化(66%)工程の収率が抑えられ、全体的な収率が低下する(約20%)。 従って、費用効果的であり、利用可能な試薬に基づき、容易に測定可能であり、かつ産業上実現可能である、フィンゴリモドを得るためのプロセスを開発する必要性が存在する。本発明者らは、本明細書において、このようなプロセスを開示する。 発明の要旨 本発明は、フィンゴリモドを調製するためのいくつかのプロセス、およびこのようなプロセスで形成される特定の新規な中間体を提供する。 一実施形態では、本発明は、フィンゴリモドまたはその薬学的に許容される塩を調製するためのプロセスであって、本明細書において「プロセス1」と命名され、本明細書において下のスキーム2で図示されるプロセスを提供する。このプロセスは、以下の工程: a)オクチルベンゼンと、式Aの3−ニトロプロパン酸誘導体:であって、式中、Xがハロゲン、好ましくはCl、または無水物である誘導体とを反応させ、それによって式(12)の3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オン:を得る工程と; b)3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オン(12)を還元剤で還元して3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オールを得る工程と; c)3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オールのヒドロキシル基を保護し、それによって化合物(13A):であって、式中Pがヒドロキシ保護基である化合物を得る工程と; d)触媒の存在下でホルムアルデヒドまたはその等価物を用いる化合物(13A)のビス−ヒドロキシメチル化、およびヒドロキシル保護基の除去によって化合物(14):を得る工程と; e)化合物(14)をフィンゴリモド(1)に還元する工程と; f)必要に応じて、フィンゴリモド(1)をその薬学的に許容される塩に変換する工程と;を包含する。 いくつかの実施形態では、工程(a)は、フリーデル・クラフツ(Friedel−Crafts)触媒(例えば、AlCl3、FeCl3、SnCl4、TiCl4、ZnCl2およびBF3)の存在下で行われる。他の実施形態では、工程(a)は、有機酸の金属塩(例えば、金属トリフラート、好ましくはハフニウムトリフラートまたはセリウムトリフラート)の存在下で行われる。他の実施形態では、工程(a)は、プロトン酸(例えば、HF、H2SO4、CF3SO3Hおよびイオン交換樹脂、好ましくはNafionまたはゼオライト)の存在下で行われる。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態に相当する。 いくつかの実施形態では、工程(b)の還元剤は、NaBH4である。この工程に用いられ得る他の還元剤としては、他の複雑なヒドリド還元試薬、例えば、リチウム、カルシウム、または亜鉛のホウ素水素化物、または水素化アルミニウムリチウムなどが挙げられる。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態に相当する。 ヒドロキシ保護基Pは、当該分野で公知の任意のヒドロキシル保護基であってもよい。現在好ましいヒドロキシル保護基は、アセチル(COCH3)である。 いくつかの実施形態では、工程(c)、すなわち、3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オールの保護は、塩基の存在下における、塩化アセチルまたは無水酢酸でのアシル化によって行われる。3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オン(12)の3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オールへの還元、およびその化合物(13A)への保護(例えば、アシル化)は、遊離のヒドロキシルを有する中間体の単離なしに、一工程で行われ得ることが有利である。 いくつかの実施形態では、化合物(13A)のビス−ヒドロキシメチル化(工程d)は、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドまたはトリオキサンであってもよい、式(CH2)nOのホルムアルデヒド誘導体を用いて行われる。いくつかの実施形態では、この反応は、塩基の存在下で行われる。他の実施形態では、化合物(13A)のビス−ヒドロキシメチル化および化合物(14)への脱保護は、一工程で行われる。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態に相当する。 いくつかの実施形態では、還元工程(e)は、触媒の存在下において、化合物(14)をフィンゴリモド(1)に水素化する工程を包含する。特定の実施形態では、この水素化工程は、触媒としてPd/Cの存在下で行われる。 このプロセスの間に形成される特定の中間体は、新規であって、本発明のさらなる態様に相当する。従って、一実施形態では、本発明はさらに、本明細書に記載されるような式(13A)の保護された誘導体に、さらに一般的には、以下の構造:によって示される化合物に関し、 式中、Pは、ヒドロキシル保護基であり、かつRはアルキルである。一実施形態では、Pは、アセチル(COCH3)である。別の実施形態では、Rはオクチルである。さらに別の実施形態では、Pはアセチル(COCH3)であり、かつRはオクチルである。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態に相当する。 別の実施形態では、本発明は、式(14)の中間体またはさらに一般的には、以下の構造:によって示される化合物に関し、 式中、Pはヒドロキシル保護基であり、かつRはアルキルである。別の実施形態では、Rはオクチルである。さらに別の実施形態では、Pはアセチル(COCH3)である。別の実施形態では、Pはアセチル(COCH3)であり、かつRはオクチルである。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態に相当する。 あるいは、別の実施形態では、本発明は、フィンゴリモド、またはその薬学的に許容される塩の調製のためのプロセスであって、本明細書において「プロセス2」と命名され、本明細書において以降でスキーム3において図示される、プロセスを提供する。このプロセスは、本明細書において「プロセス2A」および「プロセス2B」と命名される別の実施形態によって行われ得る。プロセス2Aは、以下の工程: a)3−ニトロプロピルベンゼンと式Bのオクタン酸誘導体:であって、式中Xがハロゲン、好ましくはCl、または無水物である、誘導体とを反応させて、式(17)の1−(4−(3−ニトロプロピル)フェニル)ノナン−1−オン:を得る工程と; b)式(18)の化合物:を得るための触媒の存在下におけるホルムアルデヒドまたはその等価物を用いた化合物(17)のビス−ヒドロキシメチル化と; c)化合物(18)をフィンゴリモド(1)に還元する工程と; d)必要に応じて、フィンゴリモド(1)をその薬学的に許容される塩に変換する工程と;を包含する。 プロセス2Bは、本明細書において以降では、スキーム3でも図示されており、以下の工程: a)式(19)の化合物:を生成するための触媒の存在下における、ホルムアルデヒドまたはその等価物を用いた3−ニトロプロピルベンゼンのビス−ヒドロキシメチル化と: b)式(20A)の構造:であって、ここでR1およびR2が各々独立してH、アルキルまたはアリールである構造によって示されるアセタールまたはケタールへの化合物(19)の変換と; c)化合物(20A)と式Bのオクタン酸誘導体であって、式中Xがハロゲン、好ましくはClまたは無水物である誘導体とを反応させ、それによって式(21A)の化合物:を得る工程と; d)化合物(21A)を還元し、それに続いてアセタールまたはケタール基を除去してフィンゴリモド(1)を得る工程と; e)必要に応じて、フィンゴリモド(1)をその薬学的に許容される塩に変換する工程と;を包含する。 化合物(16)(3−ニトロプロピルベンゼン)または(20A)とオクタン酸誘導体とを反応させる工程は、フリーデル・クラフツ触媒、有機酸の金属塩、またはプロトン酸の存在下で、プロセス1について上記した条件と同じまたは同様の条件を用いて行われ得る。 さらに、化合物(17)または化合物(19)のビス−ヒドロキシメチル化は、式(CH2)nOのホルムアルデヒド誘導体、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドまたはトリオキサンを用いて、好ましくは 塩基の存在下において、プロセス1について上記した条件と同じまたは同様の条件を用いて行われ得る。 いくつかの実施形態では、化合物(20A)または(21A)のR1およびR2は各々CH3である。 このプロセスの間に形成される特定の中間体は、新規であり、かつ本発明のさらなる態様に相当する。従って、一実施形態では、本発明はさらに、式(17)の化合物、すなわち、以下の構造:によって示され、式中Rが、ヘプチルである化合物に関する。 他の実施形態では、本発明は、式(20A)または(21A)によって提示される化合物に、さらに具体的には以下の構造:によって示される化合物であって、式中、Rが、H、CH3(CH2)6C(O)−およびCH3(CH2)7−から選択される化合物に関する。 あるいは、別の実施形態では、フィンゴリモドは、さらに異なる方法によって、ウィッティヒ(Wittig)またはホーナー・ワズワース・エモンス(Horner−Wadsworth−Emmons)反応に基づいて、安価でかつ入手可能なトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)を出発材料として用いて調製され得る。このプロセスは、本明細書において「プロセス3」と命名され、本明細書において以降のスキーム4に図示されており、以下の工程: a)式(24A)のアルデヒドと、式(23A)のウィッティヒ試薬または式(25A)のリン酸塩;であって、式中YがOまたはH2であり(すなわち、C=Yは一緒になってメチレン(CH2)基を示す);R1およびR2が各々独立してH、アルキルまたはアリールであり;R3およびR4が各々独立してアルキルまたはアリールであり;P’が窒素保護基であり;かつZが対イオン、好ましくはハロゲンである試薬またはリン酸塩とを;塩基の存在下において反応させて、式(26A)の化合物;であって、ここでR1、R2、YおよびP’が上記のとおりである化合物を得る工程とを得る工程と; b)化合物(26A)を還元して、化合物(27A)を得、続いてアセタールまたはケタールおよび窒素保護基を除去して、フィンゴリモド(1)を得る工程と; c)必要に応じて、フィンゴリモド(1)をその薬学的に許容される塩に変換する工程と;を包含する。 いくつかの実施形態では、上記還元工程(b)は、触媒、例えば、Pd/Cの存在下において、化合物(26A)を水素化することによって行われる。さらに、窒素保護基P’は、当該分野で公知の任意の保護基、例えば、Bocであってもよい。 一実施形態では、プロセス3は、本明細書において以下のスキーム4Aにまとめられるとおり、以下の工程: a)式(24)のアルデヒドと、式(23)のウィッティヒ試薬または式(25)のリン酸塩とを、塩基の存在下において反応させて、式(26)の化合物であって、式中P’が上記のとおりである、化合物を得る工程と; b)化合物(26)を還元させて化合物(27)を生成し、続いて、ケタールおよび窒素保護基を除去して、フィンゴリモド(1)を得る工程と; c)必要に応じて、フィンゴリモド(1)をその薬学的に許容される塩に変換する工程と;を包含する。 このプロセスの間に形成される特定の中間体は、新規であり、かつ本発明のさらなる態様に相当する。従って、一実施形態では、本発明はさらに、式(26A)または(27A)の化合物、すなわち、以下の構造:によって提示され、ここでP’が窒素保護基、例えばBocであり;かつA−BがCH=CHであり、かつR=CH3(CH2)6C(O)−であるか;またはA−BがCH2−CH2であり、かつRがCH3(CH2)7−であるかのいずれかである化合物に関する。 別の実施形態では、本発明は、式(23A)または(25A)の中間体:であって、式中YがOまたはH2であり;R3およびR4が各々独立してアルキルまたはアリールであり;かつZが対イオン、好ましくはハロゲンである、中間体に関する。 一実施形態では、R3はフェニルであり、R4はエチルであり、かつZがハロゲン、好ましくは臭素である。 所望の場合、プロセス1、2または3のいずれかによって調製されるフィンゴリモドはさらに、薬学的に許容される塩、例えば、塩酸塩へ、当業者に公知の方式で変換され得る。 さらに、本発明の実施形態および適用性の全範囲は、本明細書において以降に示される詳細な説明から明らかになる。しかし、その詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、例示のために示しているに過ぎないことが理解されるべきである。なぜならこの詳細な説明によれば、当業者には、本発明の主旨および範囲内の種々の変化および改変が明白になるからである。 発明の詳細な説明 出願人らは、いくつかの新規なプロセスであって、それによって市販されている出発物質から製造規模でフィンゴリモドが調製され得るプロセスを見出した。これらのプロセスは、本明細書においては、「プロセス1」、「プロセス2」および「プロセス3」と命名される。 化学的な定義: 「アルキル」基とは、直鎖および分岐鎖を含む任意の飽和脂肪族化合物を指す。一実施形態では、このアルキル基は、本明細書においてC1−C12−アルキルと命名される1〜12個の炭素原子を有する。別の実施形態では、このアルキル基は、本明細書においてC1−C6−アルキルと命名される1〜6個の炭素原子を有する。別の実施形態では、このアルキル基は、本明細書においてC1−C4−アルキルと命名される1〜4個の炭素原子を有する。このアルキル基は、非置換であってもよいし、またはハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオおよびチオアルキルから選択される1つ以上の基によって置換されてもよい。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態に相当する。 「アリール」基は、6〜14個の炭素原子を含む芳香族環系を指す。アリール環は、単環式、二環式、三環式などであってもよい。アリール基の非限定的な例は、フェニル、ナフチルであり、これには、1−ナフチルおよび2−ナフチルなどを含む。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態に相当する。 プロセス1: 一実施形態では、本発明は、スキーム2:に図示されるような、「プロセス1」として本明細書に命名される、フィンゴリモドまたはその薬学的に許容される塩を調製するためのプロセスを提供する。 プロセス1の1つの非限定的な実施形態は、スキーム2A:に図示される。 プロセス1のこの非限定的な実施形態によれば、フィンゴリモドは、スキーム2またはスキーム2Aに示され、および実験のセクションで図示されるようないくつかの工程によって式(11)の化合物から調製され得る。 このプロセスは以下の工程: a)オクチルベンゼンと式Aの3−ニトロプロパン酸誘導体であって、式中Xがハロゲン、好ましくはCl、または無水物である誘導体とを反応させて、式(12)の3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オンを得る工程と; b)3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オン(12)を3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オールに還元剤を用いて還元する工程と; c)3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オールのヒドロキシル基を保護して、化合物(13A)を得る工程であって、ここでPがヒドロキシル保護基である工程と; d)化合物(14)を得るための触媒の存在下におけるホルムアルデヒドまたはその等価物での、化合物(13A)の化合物(13A)のビス−ヒドロキシメチル化、およびヒドロキシル保護基の除去と; e)化合物(14)をフィンゴリモド(1)に還元する工程と; f)必要に応じて、フィンゴリモド(1)をその薬学的に許容される塩に変換する工程と;を包含する。 オクチルベンゼン(11)は、本明細書において原料として用いられる市販の試薬であるか、またはOrg.Lett.,2009,Vol.11,No.2,p.277もしくはWO2009/133045(それらの各々の内容は、本明細書において参照によって援用される)に記載の周知の方法によって生成されてもよい。 このプロセスの工程(a)は、オクチルベンゼンと3−ニトロプロパン酸誘導体(例えば、無水物(X=−OC(=O)R、式中のRはアルキル、アリールなどである)またはハロ(ここでハロは、F、Cl、BrまたはIから選択される)とを触媒の存在下において反応させることによって、オクチルベンゼンをフィンゴリモド中間体3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オン(12)へと変換することを包含する。3−ニトロプロパン酸誘導体による化合物(11)の(12)への直接の変換は、オクチルベンゼンとハロプロピオン酸誘導体とのカップリングによって、ハロ中間体を生成すること、続いて金属亜硝酸塩との反応を含む先行技術の方法(この方法は、上記で概説したとおり種々の欠点を有する)よりも有利であること言うべきである。本明細書に記載されるプロセスは、一工程で行われ、経済的にさらに魅力的である。なぜなら、このプロセスは市販の材料を用い、溶媒は1つしか使わず(これはリサイクル可能である)、そして亜硝酸塩のような有害物質の使用を回避するからである。 この反応は、フリーデル・クラフツ触媒、例えば、AlCl3、FeCl3、SnCl4、TiCl4、ZnCl2、BF3など;有機酸の金属塩、例えば、金属トリフラート(ハフニウムトリフラート、セリウムトリフラート、など)またはプロトン酸(例えば、HF、H2SO4、CF3SO3H)の金属塩、イオン交換樹脂、例えば、Nafion、ゼオライトなどの存在下で行われてもよい。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態に相当する。 アシル化反応は、フリーデル・クラフツ(Friedel−Crafts)反応に適切な任意の溶媒、例えば、限定するものではないが、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジオキサン、ニトロアルカン類またはそれらの混合物中で行われる。この反応は、添加物、例えば、AgSbF6、AgBF6、好ましくは、LiClO4の存在下で行われてもよい。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態に相当する。 この反応はさらに、イオン液体を溶媒として用いることによって、かつマイクロ波照射下で加速され得る。この反応は、任意の温度、約0℃〜約120℃、例えば、室温で、または還流温度で(これは用いられている溶媒次第で変化する)行われてもよい。 化合物(12)は、次の工程で用いるために十分純粋であるが、必要であれば、任意の適切な技術によって、例えば、蒸留によってまたはカラムクロマトグラフィーによって、さらに精製されてもよい。 このプロセスの次の工程では、フィンゴリモド中間体(13A)は、還元剤を用いて化合物(12)を還元することによって、続いてヒドロキシル基を保護することによって(例えば、アシル化による)調製される。この還元剤は、例えば、ボラン、およびそのジメチルスルフィドとの錯体、ピリジン、トリエチルアミンなど;リチウムおよび水素化ホウ素ナトリウムであって、ルイス酸の存在下における、例えば、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、アルミニウム−、チタニウム−もしくはコバルト−の塩化物など、またはトリメチルクロロシランもしくはオキシ塩化リンの存在下における;あるいはアルミニウム水素化物、例えば、AlH3およびそのアミンとの錯体、LiAlH4、ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム水素化物(Red−Al)またはジイソブチルアルミニウム水素化物であってもよい。好ましくは、この還元剤は、水素化ホウ素ナトリウムである。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態に相当する。 この中間化合物3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オールは、前述の還元工程によって形成され)、脱水を受けて(加熱または酸性触媒の補助のもとで)、望ましくない3−(ニトロプロパ−1−エニル)−4−オクチルベンゼンを形成する場合があり、これは、全てが望ましくない反応である異性化、分解または重合化に供される場合がある(類似の反応は、オノ・ノボル(Noboru Ono),有機合成におけるニトロ基(The nitro Group in Organic Synthesis).Wiley−VCH,2001,p.38に記載される)。式中、Oct=オクチルである。 この理由で、この化合物を取り扱うには、専門的な注意が求められ、そしてこの化合物は、製造プロセスの間に時に必要とされるような、環境条件下では長期間保存できない。さらに、3−ニトロ−1−(p−オクチルフェニル)プロパン−1−オールは、蒸留することも、結晶化することも容易にできないので、精製する(クロマトグラフィーによってのみ)ことは困難である。 このような問題を克服するため、および中間体の安定性を増大するため、この3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オール中間体のヒドロキシル基は、保護基によって保護されて、化合物(13A)が生成され得る。適切なヒドロキシル保護基としては限定するものではないが、トリオルガノシリル、例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリプロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリフェニルシリルなど、メトキシメチル、ベンジルオキシメチル、メトキシエトキシメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、テトラヒドロピラニル、t−ブチル、4−メトキシベンジルおよび類似の基が挙げられる。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態に相当する。 1つの好ましいヒドロキシル保護基は、アシル、さらに好ましくは、アセチル(COCH3)であり、これは、アシル無水物、例えば、アセチル無水物、またはハロゲン化アセチル、例えば塩化アセチルとの、塩基の存在下における反応によって3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オールのヒドロキシルに結合され得る。塩基の例としては、限定するものではないが、有機の塩基、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ナトリウムアルコキシドまたはカリウムアルコキシドなど、または無機の塩基、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどが挙げられる。ヒドロキシル基の保護は、結晶化に関して安定な中間体を提供し、分解なしに移行した。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態に相当する。 他の適切なヒドロキシル保護基およびヒドロキシル保護基試薬は、Greene.Protective Groups in Organic Synthesis,第2版,John Wiley & Sons,New York,1991(その内容は本明細書において参照によって援用される)に開示されている。 次に、式(14)のフィンゴリモド中間体を、1−置換のフェニル−3−ニトロ−プロパン−1−オール(13)またはさらに一般的には(13A)と、ヒドロキシメチル化試薬(CH2)nO、例えばホルムアルデヒドが含有される有機溶媒または水(ホルマリン)、パラホルムアルデヒドまたはトリオキサンとを反応することによって調製する。この反応は、塩基の存在下において溶媒中で行ってもよい。好ましくは、この反応は、約−10℃〜約50℃,さらに好ましくは、約20〜25℃の温度で行う。この反応は、任意の適切な溶媒中で行い、この溶媒は、例えば、C1〜C5アルコール類、C2〜C7エステル類、C4〜C7エーテル類、Cl〜C5カルボン酸アミド類、水、またはこれらの溶媒の適切な混合物からなる群より選択され得る。好ましい溶媒は、アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、水またはそれらの混合物である。この塩基の例としては、限定するものではないが、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、およびアルコキシド類、例えば炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなど;アミン類、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ルチジン DBU、DBN、テトラメチルグアニジン(TMG)、P(RNCH2CH2)3N(PAP)など;KF、n−Bu4NF、Al2O3−KF、塩基性樹脂、例えば、アンバーリスト(amberlyst)A−21、アンバーライトIRA−420が挙げられる。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態に相当する。 一実施形態では、この塩基は、固体塩基、例えばアンバーリスト(Amberlyst)である。固体塩基の使用により、反応収率が増大され得、これによってこの塩基は、さらに技術的にかつ経済的に適切に仕上げられ、リサイクルさせられる。 この反応は、上述の塩基および相間移動触媒、例えば、NaOHおよびセチルトリメチルアンモニウムクロライド(CTACl)を用いて水中で行われてもよい。反応の終了後、保護基は、Greene.Protective Groups in Organic Synthesis,第2版,John Wiley & Sons,New York,1991(その内容は本明細書において参照によって援用される)に記載の方法によって除去してもよい。好ましいアセチル保護基は、約30℃〜約70℃、さらに好ましくは、約40〜50℃の温度で、塩基性条件下で除去され得る。 化合物(14)の調製は、一段階で、1−置換のフェニル−3−ニトロ−プロパン−1−オール(13)とホルムアルデヒドとを約20〜25℃で反応すること、次いで、約40〜50℃でのヒドロキシル基の脱保護によって、同じ溶媒および塩基を用いて、中間化合物の分離および精製なしに行ってもよい。 最終的に、フィンゴリモドは、好ましくは有機溶媒および/または水中で、還元剤を用いる化合物(14)の還元によって調製される。化合物(14)の還元に用いられるべき還元剤の例としては、金属水素化物、例えば水素化アルミニウムリチウム、水素(H2)(遷移金属、例えば、パラジウム、ロジウムまたはルテニウム系の試薬の存在下における)、例えば、Pd/C、酸化白金など;ラネーニッケル;および金属、例えば、鉄、亜鉛またはスズ(酸性媒体または塩基性媒体中)が挙げられる。化合物(14)の化合物(1)への還元は、以下の2つの部分を含む:ヒドロキシル基の還元およびニトロ基の還元。両方の基の還元は、同じ還元剤を用いて一工程で行われてもよい(例えば、触媒の存在下においてH2を用いる水素化による)。あるいは、各々の還元工程は、反応中間体の単離の有無において、同じまたは異なる還元剤を用いて、任意の順序で別々に行われてもよい。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態に相当する。 化合物(14)の還元に用いられるべき溶媒の例としては限定するものではないが、水、メタノール、エタノール、tert−ブチルアルコール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、アセトン、酢酸エチル、酢酸、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドおよびそれらの混合物が挙げられる。 化合物(14)の還元は一般的には、約0℃〜約70℃の範囲の温度で進行し、ただしこの温度範囲よりも低いかまたは高い温度が必要に応じて選択されてもよい。この水素化は、約1〜約30atmという水素圧で行われ得る。 このように調製されたフィンゴリモドは、その薬学的な塩(例えば、塩酸塩)に、文献、例えば、欧州特許第0989113号、米国特許第6,284,915号;およびWO99/01419(その各々の内容は、本明細書において参照によって援用される)に記載の方法によって変換され得る。 プロセス2: あるいは、フィンゴリモドは、(3−ニトロプロピル)ベンゼンから、塩化オクタノイルでのアシル化、ヒドロキシメチル化および還元(「プロセス2A」:16→17→18→1(スキーム3))またはヒドロキシメチル化、保護、アシル化および還元(プロセス2B:16→19→20A→21A→1(スキーム3))によって調製され得る。これらの代替的なプロセスは以下の工程を包含する:プロセス2A:a)3−ニトロプロピルベンゼンと式Bのオクタン酸誘導体であって、式中Xがハロゲン、(例えば、Cl、F、BrまたはI)、好ましくはCl、または無水物である誘導体とを反応させて、式(17)の1−(4−(3−ニトロプロピル)フェニル)ノナン−1−オンを生成する工程と;b)式(18)の化合物を生成するための触媒の存在下における、ホルムアムドまたはその等価物による化合物(17)のビス−ヒドロキシメチル化と;c)化合物(18)のフィンゴリモド(1)への還元と;d)必要に応じて、フィンゴリモド(1)のその薬学的に許容される塩への変換と。プロセス2B:a)式(19)の化合物を生成するための触媒の存在下におけるホルムアルデヒドまたはその等価物での3−ニトロプロピルベンゼンのビス−ヒドロキシメチル化と;b)式(20A)の構造によって示されるアセタールまたはケタールへ化合物(19)を変換することであって、式中R1およびR2が各々独立してH、アルキルまたはアリールである構造によって示されるアセタールまたはケタールへの変換と;c)化合物(20A)と式Bのオクタン酸誘導体とを反応させることであって、式中Xがハロゲン、例えば、Cl、F、BrもしくはI、好ましくはCl、または無水物であり、それによって式(21A)の化合物を生成すること;d)化合物(21A)を還元すること、続いて、アセタールまたはケタール基の除去であってそれによってフィンゴリモド(1)を得ることと;e)必要に応じて、フィンゴリモド(1)をその薬学的に許容される塩に変換することと。 このプロセス工程(アシル化、ヒドロキシメチル化、還元)は、プロセス1(スキーム2)について示される反応について記載される条件と同様の条件下で行ってもよい。プロセス2の1つの特定であり、非限定的な実施形態は、スキーム3A:に図示する。 プロセス3 あるいは、フィンゴリモドは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)および安価でかつ市販されている出発材料から、ウィッティヒ反応またはホーナー・ワズワース・エモンス反応を用いて、スキーム4に図示されるように調製され得る。このプロセスは以下の工程:a)式(24A)のアルデヒドと、式(23A)のウィッティヒ試薬または式(25A)のリン酸塩であって、式中YがOまたはH2であり(すなわち、C=YがCH2(メチレン)基に相当する);R1およびR2が各々独立してH、アルキルまたはアリールであり;R3およびR4が各々独立してアルキルまたはアリールであり;P’が窒素保護基であり;かつZが対イオン、好ましくはハロゲンである試薬またはリン酸塩とを;塩基の存在下において反応させて、式(26A)の化合物を得る工程と; b)化合物(26A)を還元して、式(27A)の化合物を得、続いてアセタールまたはケタールおよび窒素保護基を除去して、フィンゴリモド(1)を得る工程と; c)必要に応じて、フィンゴリモド(1)をその薬学的に許容される塩に変換する工程と;を包含する。 スキーム4のZは、対イオンであって、これは、好ましくはハロゲン(例えば、F、Cl、BrまたはI)である。他の適切な対イオンとしては、限定するものではないが、スルホン酸塩類、トリフルオロアセテート類[Bull.Korean Chem.Soc.2001,第22巻、第4351号]などが挙げられる。 一実施形態では、YはOである。別の実施形態では、Yは、H2であり、すなわち、それが結合されている炭素と一緒になって、メチレン(CH2)基を形成する。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態に相当する。 プロセス3の1つの具体的でかつ非限定的な実施形態は、スキーム4Aに図示される。このプロセスは以下の工程:a)式(24)のアルデヒドと、式(23)のウィッティヒ試薬または式(25)のリン酸塩とを、塩基の存在下において反応させて、式(26)の化合物を得る工程と;b)化合物(26)を還元させて化合物(27)を生成し、続いて、ケタールおよび窒素保護基の除去によって、フィンゴリモド(1)を得る工程と;c)必要に応じて、フィンゴリモド(1)をその薬学的に許容される塩に変換する工程と;を包含する。 保護基P’は、任意の窒素保護基、例えば、カルバミン酸塩類、アミド類、N−ベンジル誘導体、およびイミン誘導体であってもよい。窒素−保護基の非限定的な例は、アセチル(COCH3)、ベンゾイル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、ホルミル、フェニルスルホニル、ピバロイル、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、tert−ブチルアセチル、およびトリフェニルメチル(トリチル)、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、p−ニトロベンゼンスルホエトキシカルボニルプロパルギルオキシカルボニル、ピコリニル、プレニル、o−ニトロベンジルオキシメチル、4−メトキシフェノキシメチル、グアヤコールメチル、シロキシメチル、例えばトリイソプロピルシロキシメチル、2−シアノエトキシメチル(cyanoethyoxymethyl)、2−キノリニルメチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、2−[4−ニトロフェニル]エチルスルホナートなどである。他の適切な窒素保護基および窒素保護基試薬は、Greene.Protective Groups in Organic Synthesis,第2版,John Wiley & Sons,New York,1991(その内容は本明細書において参照によって援用される)に開示される。 トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)は、公知の方法、例えば、Tetrahedron,2001,57,p.6531によって化合物(24A)に変換され得る。2個のリン含有の前駆体(23A)および(25A)の調製は、それらの類似の化合物について記載された方法(有機リン試薬:化学の実際的アプローチ(Organophosphorus Reagents:A Practical Approach In Chemistry),P.J.Murphy,Oxford University Press,USA,2004,第288頁;有機合成における有機リン試薬(Organophosphorus reagents in organic synthesis),編集.J.I.G.Cadogan,Academic Press,London;New York:1979,第608頁)によって、臭化誘導体(22)を、出発材料として用いて(米国特許第5,604,229号)、またはさらに一般的には、式(22A)の化合物であってXが、遊離基、例えばハロゲンまたはスルホン酸塩である化合物を用いて、達成されてもよい。これらの引用文献の各々の内容は、本明細書において参照によって援用される。特定の実施形態では、R1およびR2は各々メチルであり、式(24A)の化合物は、化合物(24)の構造によって示される。また化合物(23A)および(25A)の特定の実施形態は、それぞれ構造(23)または(25)によって示される(スキーム4A)。 次に、式(26A)のフィンゴリモド中間体は、ウィッティヒ試薬(23A)またはリン酸塩(25A)とアルデヒド(24A)との、適切な溶媒中に含有される塩基の存在下における反応によって調製される。特定の実施形態では、式(26)のフィンゴリモド中間体は、ウィッティヒ試薬(23)またはリン酸塩(25)とアルデヒド(24)との反応によって調製される(スキーム4A)。この反応のための溶媒の例としては限定するものではないが、エーテル類(ジエチル、ジイソプロピル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン)、アセトニトリル、トルエン、プロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンが挙げられる。これらのうちでも、極性の溶媒が現在では好ましく、THF−DMF混合物が現在の好ましい例である。 この反応のための適切な例としては、限定するものではないが、アルカリ金属およびアルカリ土類の炭酸塩、水酸化物およびアルコキシド類、例えば、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなど;アミン類、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ルチジン、DNU、DBN、DABCOなど;塩基性樹脂などが挙げられる。いくつかの実施形態では、この塩基は、アルカリ金属の炭酸塩およびアルコキシド類;例えば、炭酸カリウムまたはカリウムtert−ブトキシドから選択される。この反応は典型的には、約20℃〜約100℃、例えば、約40℃〜80℃、または約60〜70℃の温度範囲で行われる。 化合物(26)または(26A)は、従来の手段によって、例えば、2つの相を得るための抽出、有機層を分離すること、およびこの有機層をエバポレートして残渣を得ることによって反応混合物から単離してもよい。エバポレーションは、約45°〜約60℃の上昇した温度で、および/または約1気圧未満の圧力で行ってもよい。この粗生成物は、必要に応じて、任意の適切な技術によって、例えば、蒸留、結晶化、またはカラムクロマトグラフィーによって精製してもよい。 遷移金属、例えば、パラジウム、ロジウムまたはルテニウム系の試薬、例えば、Pd/C、酸化白金などを用いる、例えば、水素化、および化合物(27)の脱保護による、化合物(26)または(26A)の還元後、このように調製したフィンゴリモドを、文献、例えば、欧州特許第0989113号、米国特許第6,284,915号;およびWO99/01419(その各々の内容は本明細書において参照によって援用される)に記載の方法によってその薬学的な塩(例えば、塩酸塩)に変換されてもよい。 実験のセクション 本発明の代表である特定の化合物を、以下の実施例および反応順序のとおり調製した。いずれの反応で得られる収率を最適化する試みも行わなかった。別段注記しない限り、本実施例で用いる材料は、容易に入手可能な市販の供給業者から入手するか、または化学合成の当業者に公知の標準的な方法によって合成した。各々の工程における仕上げの処理を、典型的な方法によって適用してもよく、ここでは、単離および精製は、必要に応じて、従来の方法、例えば、結晶化、再結晶化、蒸留、分配、カラムクロマトグラフィー、分取HPLCなどを選択または組み合わせることによって行う。 本明細書に開示される全ての引用文献は、あたかも本明細書に詳細に示されるかのようにその全体が参照によって明白に援用される。 プロセス1:実施例1−5 実施例1.3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オン(12)の調製 乾燥フラスコ中で、3−ニトロプロパン酸[市販されているか、またはSilva,P.C;Costa,J.S.;Pereira,V.L.P.Synth.Commun.2001,31,595に従って調製(10.0g,85.0mmol)を、SOCl2(100ml)とともに一晩撹拌した。無水トルエンの添加後、その溶液を、共沸蒸留して、過剰のSOCl2を除去した。その残渣を、アシル化のために直接用いるか、または蒸留して(80〜83℃/0.1〜0.2mbar[SYNTHESIS 2009,No.5,p.715])、純粋な3−ニトロプロパノイルクロライドを透明な液体として得た。 AlCl3(12.0g、89.0mmol)を、15mlの塩化メチレンに添加して、0〜5℃に冷却し、続いて3−ニトロプロパノイルクロライド(11g、80mmol)を添加した。オクチルベンゼン(17.10g、89.0mmol)が含有される40mlのCH2Cl2を滴下して、その溶液をTLCモニタリングしながら室温で撹拌した。反応終了後、その混合物を氷に注ぎ、2MのHClの添加によってpH2まで酸性にして、CHCl2を用いて抽出した。合わせた有機抽出物を再度、2MのHClおよび水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過して、その溶媒を減圧下で除去して、固体を得て、これを再結晶して(ヘキサン)3−ニトロ−1−フェニルプロパン−1−オン(76%)を得た;融点59〜62℃,ESIMS 292[M+H]+。 実施例2.3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロピルアセテート(13)の調製 メタノール(25ml)中の3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オン(12)(5.00g)の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(0.8g)を0℃で添加して、その混合物を4.5時間室温に置いた。その懸濁液を酢酸エチルで蒸留して、1NのHCl、炭酸水素ナトリウム溶液およびブラインを用いて連続して洗浄した。酢酸エチル層を無水Na2SO4で乾燥して、濃縮した。この残渣にピリジン(1.5当量)、ジクロロメタン(10v)および無水酢酸(10当量)を添加し、その混合物を室温に一晩おいた。その反応混合物に氷水を添加し、その混合物を、酢酸エチルで抽出して、1NのHCl、炭酸水素ナトリウム溶液およびブラインを用いて連続して洗浄した。酢酸エチル溶液を硫酸ナトリウムで乾燥して、濃縮した。この残渣は、次の工程への変換のために十分純粋であるか、またはヘキサン−エチルアセテートを溶出液として用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製してもよい。収率=94%、ESIMS358.2[M+Na]+。 実施例3. 2−ニトロ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオール(14)の調製 パラホルムアルデヒド(0.13mol、9当量)、4ml(1.5当量)のトリエチルアミンが含有される40mlの1,4−ジオキサンの混合物に、3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロピルアセテート(13)(5g,0.015 mol)が含有される50mlの1,4−ジオキサンを、RTで攪拌しながら滴下して、その混合物を70℃までゆっくり加熱して、この温度で24時間、TLCの制御下で攪拌した。この反応混合物に、水を添加して、その混合物のpHを約9〜10に調節し、脱保護のために40℃で16時間撹拌した(TLCおよびHPLCモニタリング)。反応終了後(約2〜3時間)、混合物を酢酸エチルで抽出して、1NのHCl、炭酸水素ナトリウム溶液およびブラインで連続的に洗浄した。その酢酸エチル溶液を、硫酸ナトリウムで乾燥して、濃縮した。その残渣は、次の工程への変換のために十分に純粋であるか、または結晶化またはシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、ヘキサン−エチルアセテートを、溶出液として用いることによって精製して白色固体を得た(融点80〜82℃、ESIMS 376.2[M+Na]+)。 実施例4. 2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオール(フィンゴリモド)の調製 250mlのメチルアルコール中の14.1g(0.04mol)の3−(ヒドロキシメチル)−3−ニトロ−1−(p−オクチルフェニル)ブタン−1,4−ジオールに、30mlの濃塩酸を添加し、続いて、触媒(10%のパラジウム−炭素)を添加した。その混合物を、20kg/cm2の水素圧力で、2日間室温で撹拌した。次いでその混合物を濾過し、メチルアルコールを蒸留して、その残渣を水に溶解して、pHを、飽和炭酸水素ナトリウムを用いて8に調節して、酢酸エチルで抽出した(100ml×3)。その酢酸エチル抽出物を、硫酸マグネシウムで乾燥して、濾過してエバポレートした。その残渣を、エタノール(50ml)中に溶解して、1Nの塩酸(50ml)をそこに添加した。その混合物を1時間撹拌し、その溶媒を蒸留して、その得られた固体をエタノールから再結晶化してフィンゴリモド塩酸塩を得た。 実施例5: 2−ニトロ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオール(14)からフィンゴリモド塩酸塩を調製するための別の方法 A.(2−ニトロ−2−(4−オクチルフェネチル)プロパン−1,3−ジオール)の調製手順:化合物14(0.5g,1.4mmol,1当量)を、10%のPd/C(0.3g.60%(w/w))および濃HCl(1.2ml、48mmol、10当量)が含有され得るメタノール(50ml,30容積)を用いて水素圧力(80psi)のもとで、RTで20時間、TLC上で出発材料が消失するまで処理した(溶媒系50%のEtOAcをpetエーテル中に含有、生成物Rf=0.7)。仕上げ:反応の終了の際、Pd/Cを、セライトのベッドを通した濾過によって除去し、次いでメタノール(15mL×3)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、粗残渣を得た。粗残渣を、飽和Na2CO3と反応させて、pHを約8に調節し、次いで酢酸エチル(50mL×4)を用いて抽出した(50mL×4)。その有機層を無水Na2SO4で乾燥して、減圧下でエバポレートして、所望の生成物2−ニトロ−2−(4−オクチルフェネチル)プロパン−1,3−ジオールを得た。B.(2−アミノ−2−(4−オクチルフェネチル)プロパン−1,3−ジオール塩酸塩)の調製を得た。手順:2−ニトロ−2−(4−オクチルフェネチル)プロパン−1,3−ジオール(0.12g、0.3mmol、1当量)を、10%のPd/C(0.12g.100%(w/w))&濃HCl(1.2ml、20mmol、67当量)が含有されるメタノール(15ml,125容積)を用いて、水素圧力(100psi)のもとで、50℃で20時間、TLCで出発材料が消失するまで処理した。仕上げ:反応の終了の際、Pd/Cを、セライトのベッドを通した濾過によって除去し、次いでメタノール(15mL×3)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、粗残渣を得た。粗残渣を、エタノール(5ml)中に25〜30℃で溶解した。塩酸エーテルを、この混合物に滴下して、pH=4に調節した。その混合物を、45〜55℃で、真空下で減圧して、粗生成物を得た。その粗生成物を、エタノール/エーテル(1:4、2.5ml)によって48時間結晶化して、粗生成物(80mg)を得た。MS、1Hおよび13C−NMRをこの構造で実施した。 プロセス2:実施例6〜14: 実施例6. 3−ニトロ−1−フェニルプロパン−1−オン(15)の調製 表題の化合物を、実施例2によって、ベンゼンおよび3−ニトロプロパノイルクロライドから調製して、化合物(15)を得た(収率は78%、融点72−74℃)。 実施例7. 3−ニトロプロピルベンゼン(16)の調製 不活性雰囲気下で、3−ニトロ−1−フェニルプロパン−1−オン(15)(12.5g、70.0mmol)を、TFA(100ml)およびEt3SiH(30ml)に溶解した。この混合物を室温でTLCおよびGCの制御下で撹拌した。反応終了後、その混合物を減圧下で濃縮して、残滓を真空中で蒸留して、3−ニトロプロピルベンゼン(16)を得た(収率は、88%、沸点120〜123℃/4mm)。 実施例8. 1−(4−(3−ニトロプロピル)フェニル)オクタン−1−オン(17)の調製 表題の化合物を、実施例2によって、3−ニトロプロピルベンゼン(16)および塩化オクタノイルから調製して、73%の収率で化合物(17)を得て、これを、さらに精製することなく、次の工程に用いた。 実施例9. 1−(4−(4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−3−ニトロブチル)フェニル)オクタン−1−オン(18)の調製a)1−(4−(3−ニトロプロピル)フェニル)オクタン−1−オン(17)(10mmol)が含有されるエタノール(15ml)および1,4−ジオキサン(5ml)の混合物、1NのNaOH(0.05ml)、ならびに37%のホルムアルデヒド水溶液(1.70ml)を、室温で一晩撹拌した。37%のホルムアルデヒド水溶液(0.50ml)の添加後、その混合物を、50℃で5〜6時間撹拌した。その反応混合物をエバポレートして、EtOAcで再構成した。その有機溶液を、水、ブラインで洗浄して、乾燥して、エバポレートした。その粗化合物を、特に精製することなく次の工程に移行した。b)化合物(18)を、AstleおよびAbbo[J.Org.Chem.21,1228(1956)]に記載の手順に従って、強力に塩基性の陰イオン交換樹脂アンバーライトAmberlite IRA−401(0H−)の存在下で、エタノール中の1−(4−(3−ニトロプロピル)フェニル)オクタン−1−オン(17)に対するホルムアルデヒド(37%水溶液)のヘンリー(Henry)付加によって調製した。所望の精製物の収率は、65%であった。 実施例10. フィンゴリモド塩酸塩の調製 表題の化合物は、実施例4に従って、1−(4−(4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−3−ニトロブチル)フェニル)オクタン−1−オン(18)から82%の収率で調製した。 実施例11. 2−ニトロ−2−フェネチルプロパン−1,3−ジオール(19)の調製 化合物(19)は、実施例8bに従って、3−ニトロプロピルベンゼンおよびホルムアルデヒドから72%の収率で調製した。 実施例12. 2,2−ジメチル−5−ニトロ−5−フェネチル−1,3−ジオキサン(20)の調製 DMF(40ml)中の2−ニトロ−2−フェネチルプロパン−1,3−ジオール(19)(40.0mmol)の懸濁液に、2,2−ジメトキシプロパン(6.0ml,50mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(400mg、2.0mmol)を添加して、一晩撹拌を続けた。その反応混合物を、酢酸エチルで希釈して、飽和NaHCO3およびブラインで洗浄し、乾燥して、濃縮した。その残渣は、次の工程への変換のために十分純粋であるか、またはシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製してもよい。 実施例13. 1−(4−(2−(2,2−ジメチル−5−ニトロ−1,3−ジオキサン−5−イル)エチル)フェニル)オクタン−1−オン(21)の調製 表題の化合物は、2−ジメチル−5−ニトロ−5−フェネチル−1,3−ジオキサン(20)および塩化オクタノイルから、実施例2によって調製して、68%の収率で化合物(21)を得て、これを、さらに精製することなく次の工程に用いた。 実施例14. 化合物(21)からのフィンゴリモド塩酸塩の調製 表題の化合物を、80%の収率で、1−(4−(2−(2,2−ジメチル−5−ニトロ−1,3−ジオキサン−5−イル)エチル)フェニル)オクタン−1−オン(21)から、実施例4によって調製した。 プロセス3:実施例15〜17: 実施例15. tert−ブチル[2,2−ジメチル−5−(4−オクタノイルスチリル)−1,3−ジオキサン−5−イル]カルバメート(26,X=O)の調製 ウィッティヒ試薬(23,X=O)は、相当する臭化物およびトリフェニルホスフィンが含有されるアセトンから調製した(還流,8−10時間)。 ホスホン酸塩(25,X=0)は、相当する臭化物およびトリエチルホスファイト(1.5当量)が含有されるトルエンから調製した(還流,8−10時間)。 tert−ブチル−5−ホルミル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イルカルバメート(24)を、Ooiら[J.Org.Chem.2004,69,7765−7768]に記載の手順によって調製した。 THF(3ml)およびDMF(1ml)の混合物中のウィッティヒ試薬(23,X=O)またはリン酸塩(0.3mmol)、アルデヒド(24)(0.33mmol)、およびK2CO3(0.9mmol)の混合物を、70〜75℃で、TLCおよびHPLCモニタリングのもとで加熱した。反応の終了後、THFをエバポレートして、反応混合物を水でクエンチし、次いで酢酸エチルで抽出した。その有機層を、水およびブラインで洗浄して、Na2SO4で乾燥し、濾過して濃縮した。精製後、表題の化合物(26)を白色固体として回収した(収率は72%、融点82−83℃)。 実施例16. tert−ブチル2,2−ジメチル−5−(4−オクチルスチリル)−1,3−ジオキサン−5−イルカルバメート(26,X=2H)の調製 化合物(26,X=2H)を、相当するウィッティヒ試薬またはリン酸塩から、実施例13に従って、81%の収率で調製した。 実施例17. 化合物(26)からのフィンゴリモド塩酸塩の調製 a)化合物(26,X=O)から中間体tert−ブチル2,2−ジメチル−5−(4−オクチルフェネチル)−1,3−ジオキサン−5−イルカルバメート(27)の分離なしに、フィンゴリモド塩酸塩を、実施例4に従って水素化によって調製した。b)化合物(26,X=O)から、中間体tert−ブチル2,2−ジメチル−5−(4−オクチルフェネチル)−1,3−ジオキサン−5−イルカルバメート(27)を分離して、化合物(26,X=O)を、水素化ホウ素ナトリウム(2.5〜3当量)が含有されるメタノールによって、5〜10℃で、実施例2に従って還元し、続いて、10%Pd/C(30重量%)によって、室温でおよび1atmの水素圧力で、7〜10時間、水素化して、触媒の濾過および精製の後、白色の固体(融点62〜64℃)を得た。化合物(26,X=2H)は、同じ方式で水素化して、化合物(27)を白色固体として得た。 化合物(27)(30mmol)が含有されるCH2Cl2(60ml)、TFA(50ml)、および水(30ml)の溶液を、室温で一晩撹拌した。その反応混合物を、NaHCO3溶液を用いてクエンチして、酢酸エチルを用いて抽出した。その有機溶液を水、ブラインで洗浄して、Na2SO4で乾燥し、濾過して、真空下で濃縮して、フィンゴリモド遊離塩基(95%)を白色固体として得た(融点120〜124℃)。その遊離の塩基を、実施例4によってその塩酸塩に変換した。 本発明を詳細に記載してきたが、当業者は、多くの改変および変更が可能であることを理解するであろう。従って、本発明は、詳細に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、本発明の範囲および概念は、添付の特許請求の範囲を参照すればさらに容易に理解されよう。 式(I)のフィンゴリモドまたはその薬学的に許容される塩の調製のためのプロセスであって以下の工程: a)オクチルベンゼンと式Aの3−ニトロプロパン酸誘導体:であって、式中、Xがハロゲン、好ましくはCl、または無水物である誘導体とを反応させて、式(12)の3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オン:を得る工程と; b)3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オン(12)を還元剤で還元して3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オールを得る工程と; c)3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オールのヒドロキシル基を保護して化合物(13A):であって、式中Pがヒドロキシ保護基である化合物を得る工程と; d)化合物(14):を得るための触媒の存在下におけるホルムアルデヒドまたはその等価物を用いる化合物(13A)のビス−ヒドロキシメチル化、およびヒドロキシル保護基の除去と; e)化合物(14)をフィンゴリモド(1)に還元する工程と; f)必要に応じて、フィンゴリモド(1)をその薬学的に許容される塩に変換する工程と;を包含する、プロセス。 工程(a)が、フリーデル・クラフツ触媒、有機酸の金属塩、またはプロトン酸の存在下で行われる、請求項1に記載のプロセス。 前記フリーデル・クラフツ触媒が、AlCl3、FeCl3、SnCl4、TiCl4、ZnCl2およびBF3から選択され;有機酸の金属塩が、金属トリフラート、好ましくはハフニウムトリフラートまたはセリウムトリフラートであり;かつプロトン酸がHF、H2SO4、CF3SO3Hおよびイオン交換樹脂、好ましくはNafionまたはゼオライトから選択される、請求項2に記載のプロセス。 工程(b)の前記還元剤がNaBH4である、請求項1に記載のプロセス。 化合物(13A)中の前記ヒドロキシ保護基Pがアセチル(COCH3)である、請求項1に記載のプロセス。 工程(c)における3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オールの保護が、塩基の存在下における無水酢酸または塩化アセチルによるアシル化によって行われる、請求項5に記載のプロセス。 3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オン(12)の3−ニトロ−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オールへの前記還元、および化合物(13A)へのその変換が、中間体の単離なしに一工程で行われる、請求項1〜6のいずれかに記載のプロセス。 工程(d)における、化合物(13A)のビス−ヒドロキシメチル化が、塩基の存在下において、ホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドで行われる、請求項1に記載のプロセス。 工程(d)における、化合物(13A)のビス−ヒドロキシメチル化および化合物(14)への脱保護が、中間体の単離なしに一工程で行われる、請求項1に記載のプロセス。 前記還元工程(e)が、触媒の存在下において化合物(14)をフィンゴリモド(1)に水素化することを包含する、請求項1に記載のプロセス。 工程(e)中の前記触媒が、Pd/Cである、請求項10に記載のプロセス。 式(1)のフィンゴリモド、またはその薬学的に許容される塩の調製のためのプロセスであって、以下の工程: a)3−ニトロプロピルベンゼンと式Bのオクタン酸誘導体:であって、式中Xがハロゲン、好ましくはCl、または無水物である、誘導体とを反応させて、式(17)の1−(4−(3−ニトロプロピル)フェニル)ノナン−1−オン:を得る工程と; b)式(18)の化合物:を得るための触媒の存在下におけるホルムアルデヒドまたはその等価物による化合物(17)のビス−ヒドロキシメチル化と; c)化合物(18)をフィンゴリモド(1)に還元する工程と; d)必要に応じて、フィンゴリモド(1)をその薬学的に許容される塩に変換する工程と;を包含する、プロセス。 工程(a)が、フリーデル・クラフツ触媒、有機酸の金属塩、またはプロトン酸の存在下で行われる、請求項12に記載のプロセス。 前記フリーデル・クラフツ触媒が、AlCl3、FeCl3、SnCl4、TiCl4、ZnCl2およびBF3から選択され;有機酸の金属塩が、金属トリフラート、好ましくはハフニウムトリフラートまたはセリウムトリフラートであり;かつプロトン酸がHF、H2SO4、CF3SO3Hおよびイオン交換樹脂、好ましくはNafionまたはゼオライトから選択される、請求項13に記載のプロセス。 工程(c)の前記還元剤が、触媒の存在下において化合物(18)をフィンゴリモド(1)に水素化することを包含する、請求項12に記載のプロセス。 工程(c)中の前記触媒が、Pd/Cである、請求項15に記載のプロセス。 工程(b)における化合物(17)のビス−ヒドロキシメチル化が、塩基の存在下において、ホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドで行われる、請求項12に記載のプロセス。 式(1)のフィンゴリモド、またはその薬学的に許容される塩の調製のためのプロセスであって、以下の工程: a)式(19)の化合物:を生成するための触媒の存在下における、ホルムアルデヒドまたはその等価物での3−ニトロプロピルベンゼンのビス−ヒドロキシメチル化と: b)式(20A)の構造:であって、ここでR1およびR2が各々独立してH、アルキルまたはアリールである構造によって示されるアセタールまたはケタールへの化合物(19)の変換と; c)化合物(20A)と式Bのオクタン酸誘導体であって、式中Xがハロゲン、好ましくはClまたは無水物である誘導体とを反応させ、それによって式(21A)の化合物:を得る工程と; d)化合物(21A)を還元し、それに続いてケタールまたはアセタール基を除去してフィンゴリモド(1)を得る工程と; e)必要に応じて、フィンゴリモド(1)をその薬学的に許容される塩に変換する工程と;を包含する、プロセス。 工程(c)が、フリーデル・クラフツ触媒、有機酸の金属塩、またはプロトン酸の存在下で行われる、請求項18に記載のプロセス。 前記フリーデル・クラフツ触媒が、AlCl3、FeCl3、SnCl4、TiCl4、ZnCl2およびBF3から選択され;有機酸の金属塩が、金属トリフラート、好ましくはハフニウムトリフラートまたはセリウムトリフラートであり;かつプロトン酸がHF、H2SO4、CF3SO3Hおよびイオン交換樹脂、好ましくはNafionまたはゼオライトから選択される、請求項19に記載のプロセス。 前記還元工程(d)が、触媒の存在下において化合物(21A)をフィンゴリモド(1)に水素化することを包含する、請求項18に記載のプロセス。 工程(d)中の前記触媒が、Pd/Cである、請求項21に記載のプロセス。 式中、R1およびR2が各々CH3である、請求項18に記載のプロセス。 工程(a)における3−ニトロプロピルベンゼンのビス−ヒドロキシメチル化が、塩基の存在下において、ホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドで行われる、請求項18に記載のプロセス。 式(1)のフィンゴリモド、またはその薬学的に許容される塩の調製のためのプロセスであって、以下の工程: a)式(24A)のアルデヒドと、式(23A)のウィッティヒ試薬または式(25A)のリン酸塩;であって、式中YがOまたはH2であり;R1およびR2が各々独立してH、アルキルまたはアリールであり;R3およびR4が各々独立してアルキルまたはアリールであり;P’が窒素保護基であり;かつZが対イオン、好ましくはハロゲンである試薬またはリン酸塩とを;塩基の存在下において反応させ、それによって、式(26A)の化合物;であって、ここでR1、R2、YおよびP’が上記のとおりである化合物を得る工程とを得る工程と; b)化合物(26A)を還元して、化合物(27A)を得、続いてアセタールまたはケタールおよび窒素保護基を除去して、フィンゴリモド(1)を得る工程と; c)必要に応じて、フィンゴリモド(1)をその薬学的に許容される塩に変換する工程と;を包含する、プロセス。 前記還元工程(b)が、触媒の存在下において、化合物(26A)をフィンゴリモド(1)に水素化することを包含する、請求項25に記載のプロセス。 工程(b)における前記触媒がPd/Cである、請求項26に記載のプロセス。 前記窒素保護基P’がBocである、請求項25に記載のプロセス。 請求項25に記載のプロセスであって、以下の工程: a)式(24)のアルデヒドと、式(23)のウィッティヒ試薬または式(25)のリン酸塩とを、塩基の存在下において反応させて、式(26)の化合物であって、式中P’が上記のとおりである、化合物を得る工程と; b)化合物(26)を還元させて化合物(27)を生成し、続いて、ケタールおよび窒素保護基を除去して、フィンゴリモド(1)を得る工程と; c)必要に応じて、フィンゴリモド(1)をその薬学的に許容される塩に変換する工程と;を包含する、プロセス。 フィンゴリモドの前記薬学的に許容される塩が塩酸塩である、請求項1〜29のいずれか1項に記載のプロセス。 スフィンゴシン−1−リン酸塩レセプター(S1P−R)を修飾するために請求項1〜30のいずれかのプロセスに従って生成されるフィンゴリモドの使用。 再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を処置するための請求項1〜30のいずれかに記載のプロセスに従って生成されたフィンゴリモドの使用。 以下の構造:によって提示され、式中、Pが、ヒドロキシル保護基であり、かつRがアルキルである、化合物。 以下の構造:によって提示され、式中、Pが、ヒドロキシル保護基であり、かつRがアルキルである、化合物。 Rがオクチルである、請求項33または34に記載の化合物。 Pがアセチル(COCH3)である、請求項33または34に記載の化合物。 以下の構造:によって提示され、式中、Rが、ヘプチルである、化合物。 以下の構造:によって提示され、式中、Rが、H、CH3(CH2)6C(O)−およびCH3(CH2)7−から選択される、化合物。 以下の構造:によって提示され、式中、P’が、窒素保護基であり;かつA−Bのいずれかが、CH=CHおよびR=CH3(CH2)6C(O)−であるか;またはA−Bは、CH2−CH2であり、かつRがCH3(CH2)7−である、化合物。 式中、P’がBocである、請求項39に記載の化合物。 式(23A)または(25A)の構造によって示され、式中YがOまたはH2であり;R3およびR4が各々独立してアルキルまたはアリールであり;かつZが対イオン、好ましくはハロゲンである、化合物。 YがOであり、R3がフェニルであり、R4がエチルであり、かつZがハロゲン、好ましくは臭素である、請求項41に記載の化合物。 本発明は、(2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオール塩酸塩(フィンゴリモド)およびその薬学的に許容される塩、ならびにそのようなプロセスで形成される中間体の調製のためのプロセスに関する。


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