生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_TRPA1受容体アンタゴニスト
出願番号:2013533819
年次:2013
IPC分類:C07D 213/74,A61K 31/496,A61P 11/06,A61P 25/34,A61P 27/02,A61P 35/00,A61P 25/04


特許情報キャッシュ

マッツ・スヴェンソン ディルク・ヴァイゲルト JP 2013539781 公表特許公報(A) 20131028 2013533819 20111011 TRPA1受容体アンタゴニスト アストラゼネカ・アクチエボラーグ 391008951 ASTRAZENECA AKTIEBOLAG 結田 純次 100127926 竹林 則幸 100140132 マッツ・スヴェンソン ディルク・ヴァイゲルト US 61/392,130 20101012 C07D 213/74 20060101AFI20131001BHJP A61K 31/496 20060101ALI20131001BHJP A61P 11/06 20060101ALI20131001BHJP A61P 25/34 20060101ALI20131001BHJP A61P 27/02 20060101ALI20131001BHJP A61P 35/00 20060101ALI20131001BHJP A61P 25/04 20060101ALI20131001BHJP JPC07D213/74A61K31/496A61P11/06A61P25/34A61P27/02A61P35/00A61P25/04 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN SE2011051213 20111011 WO2012050512 20120419 30 20130521 4C055 4C086 4C055AA01 4C055BA03 4C055BA05 4C055BA06 4C055BA52 4C055BB06 4C055BB10 4C055CA01 4C055DA01 4C086AA01 4C086AA02 4C086AA03 4C086BC50 4C086GA07 4C086GA08 4C086GA12 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA08 4C086ZA33 4C086ZA59 4C086ZA62 4C086ZC37 本発明は、イオンチャンネルの一過性受容器電位(TRP)ファミリーのアンタゴニストに関する。本発明はまた、そのようなアンタゴニストを含む組成物及びそれによるイオンチャンネルの一過性受容器電位(TRP)ファミリーが介在する病気を処置する方法を提供する。特に、本発明は、疼痛及び他の特異的疾患の処置に有用な非選択性陽イオンチャンネルTRPA1アンタゴニスト化合物に関する。 イオンチャネルの一過性受容器電位(TRP)ファミリーは、しばしば複数の化学的及び物理的刺激(温度、嗅覚、味覚及び有害化学物質)のセンサであることが認められる。特に、最初アンキリン様タンパク質としてクローン化された(非特許文献1)非選択性陽イオンチャンネルTRPA1(一過性受容器電位アンキリン反復1)は、多様な刺激性及び前駆体発痛性の化合物(非特許文献2)によって活性化される。製薬を対象としたTRPA1に関する最近の総説は、Rechら(非特許文献3)及びBaraldiら(非特許文献4)によって発表されている。TRPA1は、末梢神経系のC繊維性侵害受容器のサブセットで高度に発現される(非特許文献5)。活性化された場合、TRPA1は細胞外環境から細胞内にカチオン(主にCa2+及びNa+)の伝導を可能にし、それによって膜電位を脱分極させ、一次求心性でカルシウム恒常性に作用する。一次神経末端の脱分極は活動電位を放電させ、その結果、ヒト及びげっ歯類の実験モデルに痛覚の増加及び痛覚過敏をもたらす(非特許文献6; 非特許文献7)。からし油中の辛味成分: アリルイソチオシアネート(AITC)は、生体外のナトリウム電流及びカルシウム流入の測定の両者で、濃度依存的にTRPA1を活性化する。さらに、AITCはまた小径求心線維を興奮させ(非特許文献8)、そして確かに、AITCの局所適用はヒトに疼痛及び痛覚過敏を誘発する(非特許文献9)。近年、TRPA1ノックアウト(KO)マウスはAITC感受性を欠如しており、ブラジキニン疼痛応答発信の重篤な障害を示すことが記述された(非特許文献10; 非特許文献11)。メタノール、水及びホルムアルデヒドの混合物であるホルマリンは、鎮痛化合物を生体内で評価するために広く使用されたげっ歯類モデルである。TRPA1は、生体外でホルムアルデヒドによって活性化され、そして最近、TRPA1ノックアウトマウスのほとんどがホルマリン/ホルムアルデヒドに対するそれらの反応が廃止されていることが示された(非特許文献12)。Hydra Bioscience社の特許化合物(HC030031)は、生体外のTRPA1アンタゴニストであり、ホルマリン誘導の疼痛行動を濃度依存的に軽減することが示されている(非特許文献13;特許文献1)。Glenmark社の多数の特許化合物(特許文献2)が複数の生体内疼痛モデルで示したと同様に、生体外でTRPA1に作用するAbbott社の特許化合物(特許文献3及び非特許文献14)は、ラット変形性関節症の疼痛モデルで生体内効果を有することが示された。また、TRPA1における突然変異はFEPS(“Familial Episodic Pain Syndrome”(家族性偶発性疼痛症候群)、非特許文献15)を引き起こすことが示されている。従って、生体外でのTRPA1のカルシウム及びナトリウムの流入阻害が、生体内で化合物の鎮痛剤として働く傾向を決定するだろうことが示唆された。本発明の目的は、従って、新規な、改善された、そして有用な鎮痛剤を提供することである。国際公開公報第2007/073505 A2号米国特許第2009/0325987号米国特許第2009/0176883号Jaquemar et al 1999, J Biol Chem 274 : 7325-7333Bandell et al 2004, Neuron 41 : 849-857Rech et al Future Med. Chem. 2010: 843-838Baraldi et al J. Med. Chem. 2010, 5085-2107Kobayashi et al 2005, J Comp Neurol 493(4):596-606Jiang and Gebhart 1998, Pain 77(3):305-13Cervero and Laird 1996, Pain 68(1):13-23Reeh 1986, Brain Res 384:42-50Namer et al 2005, Neuroreport 16(9):955-959Kwan 2006, Neuron 50(2):277-289Bautista 2006, Cell 124(6):1269-1282McNamara et al 2007, Proc Natl Acad Sci USA 104(33):13525-13530McNamara 2007, Proc Natl Acad Sci USA 104(33):13525-13530McGaraughty et al., Molecular Pain 2010 6 : 14Kremeyer et al, Neuron 2010, 66 : 671-680 非選択性陽イオンチャンネルTRPA1アンタゴニストについて記述する。記載されたアンタゴニストは疼痛及び他の状態を処置するために使用することができる。TRPA1アンタゴニストが介在する病状としては、喘息、百日咳及びニコチン依存症が挙げられる。実施例6の化合物のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。化合物の振動円二色性スペクトルを示す。 本発明は、従って非選択性陽イオンチャンネルTRPA1の新規なアンタゴニストを提供する。新規なアンタゴニストは、とりわけ、疼痛を処置するために用いることができる。TRPA1アンタゴニストによって媒介されるさらなる医学的状態としては、喘息、百日咳及びニコチン依存症がある。 第1の態様では、本発明は、式(I)の化合物、薬学的に許容可能なその塩、エナンチオマー、又はその混合物を提供する: 本発明の化合物は、1つのキラル中心を含むので、その化合物はエナンチオマーの形態で、及び分割されて、又はラセミ混合物として存在してもよいことは、理解されるだろう。本発明は、式(I)の化合物の任意の可能なエナンチオマー、ラセミ体又はその混合物を包含する。本発明の化合物の光学活性な形態は、例えば、ラセミ体のキラルクロマトグラフィーによる分離によって、光学活性な出発物質からの合成によって、又は後に記述される手順に基づく不斉合成によって製造されればよい。 本発明の1つの実施態様は、以下の構造を有する式(I)の化合物の(R)エナンチオマーである: 本発明の化合物は、溶媒和されない形態と同様に溶媒和された、例えば水和した形態で存在してもよいことも、また理解されるだろう。さらに、本発明が式(I)の化合物のそのような溶媒和されたすべての形態を包含することは理解されるだろう。 本発明の範囲内には、式(I)の化合物の塩も入る。一般に、本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩は、業界に周知の標準的な手法を用いて得られればよく、例えば、十分に塩基性の化合物、例えばアルキルアミンと好適な酸、例えばHCl又は酢酸を反応させて生理学的に許容可能なアニオンを与える。また、カルボン酸又はフェノールのような好適に酸性のプロトンを有する本発明の化合物を、水性媒体中で、1当量のアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物又はアルコキシド(エトキシド又はメトキシドなど)、又は好適に塩基性の有機アミン(コリン又はメグルミンなど)で処理し、続いて従来の精製技術で処理することによって、対応するアルカリ金属(ナトリウム、カリウム又はリチウムなど)又はアルカリ土類金属(カルシウムなど)の塩を作ることが可能であればよい。 1つの実施態様では、上記式(I)の化合物は、薬学的に許容可能なその塩又は溶媒和物、特に塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、又はp−トルエンスルホン酸塩のような酸付加塩に変換してもよい。 本発明の化合物は、治療に、特に喘息、百日咳(持続性の咳)、ニコチン中毒の治療、及び広範痛、限局痛、侵害受容性疼痛、炎症性痛覚、中枢性疼痛、中枢及び末梢性神経障害性疼痛、中枢及び末梢性神経原性疼痛、中枢及び末梢神経痛、慢性腱炎、腰痛、術後疼痛、末梢神経障害、内臓痛、骨盤痛、異痛症、有痛性感覚麻痺、しゃく熱痛、異常錯感覚、線維筋痛、痛覚過敏、感覚過敏、痛感過敏、虚血性疼痛、坐骨神経痛、間質性膀胱炎を含むがこれに限定されない膀胱炎に関連する疼痛、多発性硬化症に関連する疼痛、関節炎に関連する疼痛、変形性関節症に関連する疼痛、関節リウマチに関連する疼痛、及びがんに関連する疼痛を含むがこれらに限定されない急性及び慢性疼痛障害を含むがこれらに限定されないさまざまな疼痛状態の治療のために有用であることが考えられる。 人間のような温血動物における治療のための使用では、本発明の化合物は、従来の医薬組成物の形態で、経口、筋肉内、皮下、局所、鼻腔内、腹腔内、胸腔内、静脈内、硬膜外、髄腔内、経皮的、脳室内、及び関節内への注射を含む任意の経路によって投与されればよい。 本発明の1つの実施態様では、投与経路が静脈内、局所、皮内又は筋肉内であればよい。 用量は、投与経路、病気の重症度、患者の年齢及び体重、及び特定の患者に最適な個別の投薬計画及び投与量レベルを決定する場合に通常主治医が考慮する他の要因に依存することになる。 本発明は、上文で治療に使用するための薬剤の製造に定義されたように、式(I)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩又は溶媒和物の使用を提供する。 特に医療適用では、本発明は、喘息、百日咳(持続性の咳)、ニコチン中毒を処置するため、及び広範痛、局所的な疼痛、侵害受容性疼痛、炎症性痛覚、中枢性疼痛、中枢及び末梢性神経障害性疼痛、中枢及び末梢性神経原性疼痛、中枢及び末梢神経痛、慢性腱炎、腰痛、術後疼痛、末梢神経障害、内臓痛、骨盤痛、異痛症、有痛性感覚麻痺、しゃく熱痛、異常錯感覚、線維筋痛、痛覚過敏、感覚過敏、痛感過敏、虚血性疼痛、坐骨神経痛、間質性膀胱炎を含むがこれに限定されない膀胱炎に関連する疼痛、多発性硬化症に関連する疼痛、関節炎に関連する疼痛、変形性関節症に関連する疼痛、関節リウマチに関連する疼痛、及びがんに関連する疼痛を含むがこれらに限定されない急性及び慢性疼痛障害のような、さまざまな疼痛状態を処置するための薬剤を製造するための、式(I)の化合物の使用を提供する。 本発明はさらに、喘息、百日咳(持続性の咳)、ニコチン中毒を処置するため、及び広範痛、限局痛、侵害受容性疼痛、炎症性痛覚、中枢性疼痛、中枢及び末梢性神経障害性疼痛、中枢及び末梢性神経原性疼痛、中枢及び末梢神経痛、慢性腱炎、腰痛、術後疼痛、末梢神経障害、内臓痛、骨盤痛、異痛症、有痛性感覚麻痺、しゃく熱痛、異常錯感覚、線維筋痛、痛覚過敏、感覚過敏、痛感過敏、虚血性疼痛、坐骨神経痛、間質性膀胱炎を含むがこれに限定されない膀胱炎に関連する疼痛、多発性硬化症に関連する疼痛、関節炎に関連する疼痛、変形性関節症に関連する疼痛、関節リウマチに関連する疼痛、及びがんに関連する疼痛を含むがこれらに限定されない急性及び慢性疼痛障害のような、さまざまな疼痛状態を処置するための式(I)の化合物を提供する。 本発明のさらなる態様は、上で論じた状態の何れかを患う対象(subject)を処置する方法であり、それによって上記の式(I)による化合物又は薬学的に許容可能なその塩若しくは溶媒和物の有効量が、そのような処置を必要とする患者に投与される。 従って、本発明は、上に提示した特定の医療適応症を処置する方法を提供し、ここで、式(I)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩若しくは溶媒和物の有効量が、そのような処置を必要とする患者に投与される 本発明はまた、治療における薬剤として使用するための式(I)の化合物を提供する。 本明細書の関連において、用語の「治療」は、反対する明確な表示が無い限り「予防」も包含する。用語の「治療的」及び「治療的に」も相応に解釈されるべきである。本発明の関連の中の「治療」という用語は、さらに、本発明の化合物の有効量を投与し、既存の病状、急性又は慢性若しくは再発性の状態の何れかを緩和することを包含する。この定義は、また再発性の状態を防止するための予防的な治療及び慢性疾患の継続的治療をも包含する。 式(I)の化合物は、医薬品として、特にTRPA1阻害剤(アンタゴニスト)としての活性を有する。より詳しくは、本発明のTRPA1阻害剤は、治療に、特に広範痛、限局痛、侵害受容性疼痛、炎症性痛覚、中枢性疼痛、中枢及び末梢性神経障害性疼痛、中枢及び末梢性神経原性疼痛、中枢及び末梢神経痛、慢性腱炎、腰痛、術後疼痛、末梢神経障害、内臓痛、骨盤痛、異痛症、有痛性感覚麻痺、しゃく熱痛、異常錯感覚、線維筋痛、痛覚過敏、感覚過敏、痛感過敏、虚血性疼痛、坐骨神経痛、間質性膀胱炎を含むがこれに限定されない膀胱炎に関連する疼痛、多発性硬化症に関連する疼痛、関節炎に関連する疼痛、変形性関節症に関連する疼痛、関節リウマチに関連する疼痛、及びがんに関連する疼痛を含むがこれらに限定されない急性及び慢性疼痛障害のような、さまざまな疼痛状態を緩和するための治療に有用である。 式(I)による化合物は、網膜症、糖尿病性網膜症及び緑内障のような眼科疾患の処置、及びそのような疾患に関連する疼痛の処置に使用してもよい。 式(I)による化合物はまた、眼科的処置のために、又はCS若しくはCRのような「暴動鎮圧剤」に対する反作用剤として、及びそのような薬剤の影響に苦しむ対象を式(I)による化合物の治療的に有効な量を投与することによって処置するために使用してもよい。 前述の治療的使用のために投与される用量は、もちろん、使用される化合物、投与方法、望まれる処置、及び適応する疾患によって変動することになる。本発明の化合物の1日投与量は、0.05mg/kg〜100mg/kgの範囲であればよい。 式(I)の化合物及び薬学的に許容可能なその塩は、単独で使われてもよいが、一般には式(I)の化合物/塩(活性成分)が薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又はキャリアと関連した医薬組成物の形で投与されることになる。好適な医薬製剤を選択及び調製するための従来の手順は、例えば“Pharmaceuticals - The Science of Dosage Form Designs”, M. E. Aulton, Churchill Livingstone, 1988 に記載されている。 投与方法によって、医薬組成物は、好ましくは0.05〜99%w(重量によるパーセント)、より好ましくは0.05〜80%w、さらにより好ましくは0.10〜70%w、そしてなおさらに好ましくは0.10〜50%wの活性成分を含むことになり、すべての重量パーセントは全組成物を基にする。本発明はまた、式(I)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を上文で定義したように薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又はキャリアと併せて含む医薬組成物を提供する。 本発明はさらに、式(I)の化合物又は上文で定義したような薬学的に許容可能なその塩を薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又はキャリアと混合することを含む本発明の医薬組成物の製造方法を提供する。 本医薬組成物は、例えばクリーム、溶液又は懸濁液の形態で局所的に(例えば、皮膚に);又は全身的に、例えば錠剤、カプセル、シロップ、散剤または顆粒剤の形態で経口投与によって;もしくは溶液又は懸濁液の形態で非経口投与によって;もしくは皮下投与によって;もしくは坐薬の形態での直腸投与によって;もしくは経皮的に投与されてもよい。経口投与のためには、本発明の化合物は、アジュバント又はキャリア、例えば乳糖、サッカロース、ソルビトール、マンニトール;デンプン、例えばジャガイモデンプン、コーンスターチ又はアミロペクチン;セルロース誘導体;結合剤、例えばゼラチン又はポリビニルピロリドン;及び/又は滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、ワックス、パラフィンなどと混合し、次に錠剤に圧縮すればよい。もし被覆錠剤が必要なら、上記のように製造したコアを、例えばアラビアゴム、ゼラチン、滑石及び二酸化チタンを含んでもよい濃縮された糖溶液で被覆すればよい。或いは、錠剤を、揮発し易い有機溶媒に溶解した好適なポリマーで被覆すればよい。 軟ゼラチンカプセルを製造するために、本発明の化合物は、例えば植物油又はポリエチレングリコールと混合してもよい。硬ゼラチンカプセルは、前述の錠剤用の賦形剤のどれかを用いて本化合物の顆粒を含有させればよい。同様に、本発明の化合物の液体又は半固体の製剤は、硬ゼラチンカプセルに充填されてもよい。 経口適用のための液体製剤は、シロップ又は懸濁液、例えば本発明の化合物を含み、糖とエタノール、水、グリセリン及びプロピレングリコールの混合物とのバランスのとれた溶液、の形態をとってもよい。場合により、そのような液体製剤は、着色材、着香剤、サッカリン及び/又は増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース又は当業者が知る他の賦形剤を含んでもよい。 本発明の化合物はまた、上記の状態の処置に使用される他の化合物と併用して投与されてもよい。 更なる実施態様では、本発明の化合物又は式(I)の化合物を含む医薬組成物又は製剤は、他の薬学的に活性な化合物又は下記より選択される化合物と共に、同時に、逐次的に又は別々に投与される:(i)抗うつ薬の、例えば、アゴメラチン、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エルザソナン、エスシタロプラム、フルボキサミン、フルオキセチン、ジェピロン、イミプラミン、イプサピロン、マプロチリン、ノルトリプチリン、ネファゾドン、パロキセチン、フェネルジン、プロトリプチリン、レボキセチン、ロバルゾタン、セルトラリン、シブトラミン、チオニソキセチン、トラニルシプロマイン、トラゾドン、トリミプラミン、ベンラファキシン、及び同等物、並びに薬学的に活性なその異性体及び代謝物など;(ii)非定型抗精神病薬の、例えば、クエチアピン及び薬学的に活性なその異性体及び代謝物;(iii)抗精神病薬の、例えば、アミスルピリド、アリピプラゾール、アセナピン、ベンジソキシジル、ビフェプルノックス、カルバマゼピン、クロザピン、クロルプロマジン、デベンザピン、ジバルプロエックス、デュロキセチン、エスゾピクロン、ハロペリドール、イロペリドン、ラモトリジン、ロクサピン、メソリダジン、オランザピン、パリペリドン、ペルラピン、ペルフェナジン、フェノチアジン、フェニルブチルピペリジン、ピモジド、プロクロルペラジン、リスペリドン、セルチンドール、スルピリド、スプロクロン、スリクロン、チオリダジン、トリフルオペラジン、トリメトジン、バルプロアート、バルプロ酸、ゾピクロン、ゾテピン、ジプラシドン、及び同等物、並びに薬学的に活性なその異性体及び代謝物など;(iv)抗不安薬の、例えば、アルネスピロン、アザピロン系、ベンゾジアゼピン系、バルビツール酸系の例えば、アジナゾラム、アルプラゾラム、バレゼパム、ベンタゼパム、ブロマゼパム、ブロチゾラム、ブスピロン、クロナゼパム、クロラゼパート、クロルジアゼポキシド、シプラゼパム、ジアゼパム、ジフェンヒドラミン、エスタゾラム、フェノバム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、フォサゼパム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、メプロバメート、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、レクラゼパム、トラカゾレート、トレピパム、テマゼパム、トリアゾラム、ウルダゼパム、ゾラゼパム、及び同等物、並びに薬学的に活性なその異性体及び代謝物など;(v)抗痙攣薬の、例えば、カルバマゼピン、クロナゼパム、エトスクシミド、フェルバメート、ホスフェニトイン、ガバペンチン、ラコサミド、ラモトリギン、レベチラセタム、オキスカルバゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、プレガバリン、ルフィナマイド、トピラメート、バルプロエート、ビガバトリン、ゾニサミド、及び同等物、並びに薬学的に活性なその異性体及び代謝物など;(vi)アルツハイマー病治療薬の、例えば、ドネペジル、リバスティグミン、ガランタミン、メマンチン、及び同等物、並びに薬学的に活性なその異性体及び代謝物など;(vii)パーキンソン病治療薬の、例えば、デプレニル、L−ドーパ、レキップ、ミラペックス、MAOB阻害剤のセレジン及びラサギリンなど、comP阻害剤のタスマー、A−2阻害剤、ドーパミン再取り込阻害剤、NMDAアンタゴニスト、ニコチンアゴニスト、ドーパミンアゴニスト、及びニューロンの一酸化窒素シンターゼ阻害剤、及び同等物、並びに薬学的に活性なその異性体及び代謝物など;(viii)片頭痛治療薬の、例えば、アルモトリプタン、アマンタジン、ブロモクリプチン、ブタルビタール、カベルゴリン、ジクロラールフェナゾン、ジヒドロエルゴタミン、エレトリプタン、フロバトリプタン、リスリド、ナラトリプタン、ペルゴリド、ピゾチフェン、プラミペキソール、リザトリプタン、ロピニロール、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、ゾミトリプタン、及び同等物、並びに薬学的に活性なその異性体及び代謝物など;(ix)脳梗塞治療薬、血栓溶解療法用を含む、例えば、アクチバーゼ及びデスモテプラーゼ、アブシキシマブ、シチコリン、クロピドグレル、エプチフィバチド、ミノサイクリン、及び同等物、並びに薬学的に活性なその異性体及び代謝物など;(x)尿失禁治療薬の、例えば、ダラフェナシン、ファルボキサート、オキシブチニン、プロピベリン、ロバルゾタン、ソリフェナシン、トルテロジン、及び同等物、並びに薬学的に活性なその異性体及び代謝物など;(xi)神経障害性疼痛治療薬の、例えば、リドカイン、カプサイシン、及び抗痙攣薬の、例えばガバペンチン、プレガバリン、及び抗うつ薬の、例えばデュロキセチン、ベンラファキシン、アミトリプチリン、クロミプラミン、及び同等物、並びに薬学的に活性なその異性体及び代謝物など;(xii)侵害受容性疼痛治療薬の、例えば、パラセタモール、非ステロイド系消炎物質及びコキシブ系の、例えば、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ジクロフェナク、ロキソプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、イブプロフェン、ナブメトン、メロキシカム、ピロキシカム、及びオピオイド系の、例えば、モルヒネ、オキシコドン、ブプレノルフィン、トラマドール、及び同等物、並びに薬学的に活性なその異性体及び代謝物など;(xiii)不眠症治療薬の、例えば、アゴメラチン、アロバルビタール、アロニミド、アモバルビタール、ベンゾクタミン、ブタバルビタール、カプリド、クロラール、クロペリドン、クロレタート、デクスクラモール、エトクロルビノール、エトミダート、グルテチミド、ハラゼパム、ヒドロキシジン、メクロカロン、メラトニン、メフォバルビタール、メタカロン、ミダフルール、ニソバメート、ペントバルビタール、フェノバルビタール、プロポフォール、ラメルテオン、ロレタミド、トリクロホス、セコバルビタール、ザレプロン、ゾルピデム、及び同等物、並びに薬学的に活性なその異性体及び代謝物など;又は(xiv)気分安定剤の、例えば、カルバマゼピン、ジバルプロエックス、ガバペンチン、ラモトリジン、リチウム、オランザピン、クエチアピン、バルプロアート、バルプロ酸、ベラパミル、及び同等物、並びに薬学的に活性なその異性体及び代謝物など。 そのような配合製品には、本明細書に記載の用量範囲の本発明の化合物、及び他の薬学的に活性な化合物又は化合物類が、承認された用量範囲及び/又は関連する出版物に記載の用量内で使用される。製造方法、実験作業一般的方法 使用したすべての溶媒は分析グレードであり、市販の無水溶媒は、日常的に反応に使用した。反応は、通常窒素又はアルゴンの不活性雰囲気下で行った。 1H、19F及び13CNMRスペクトルは、Z−グラジエントを備えた5mmBBOプローブヘッドを装備したVarian Unity +400 NMRスペクトロメータ、又は5mmBBIプローブヘッドを装備したVarian Gemini 300 NMRスペクトロメータ、又はZ−グラジエントを備えた60μL二重逆流プローブヘッドを装備したBruker Avance 400 NMRスペクトロメータ、又はVarian 400 ATB PFGプローブを装備したVarian Mercury Plus 400 NMRスペクトロメータ、又はZ−グラジエントを備えた4核プローブヘッドを装備したBruker DPX400 NMRスペクトロメータ、又はZ−グラジエントを備えた5mmBBIプローブヘッドを装備したBruker Avance 600 NMRスペクトロメータで記録した。実施例の中で特に言及しない限り、スペクトルは、プロトンを400MHzで、19Fを376MHzで、そして13Cを100MHzで記録した。 或いは、1H及び13CのNMRスペクトルは、Varian 400 ATB PFGプローブを装備したVarian Mercury Plus 400 NMRスペクトロメータで、プロトンを400MHzで及び13Cを100MHzで記録した。 次の基準信号を使用した:ジメチルスルホキシド−d6の中心線δ2.50(1H)、δ39.51(13C);CD3ODの中心線δ3.31(1H)又はδ49.15(13C)(表示されない限り)。NMRスペクトルは、低磁場から高磁場の方向に報告される。或いは、全ての重水素化溶媒は、一般に0.03体積%〜0.05体積%のテトラメチルシランを含んでおり、それを基準信号(1H及び13Cの両者に対してδ0.00が充てられた)として使用した。 質量スペクトルは、Alliance 2795 (LC)、 Waters PDA 2996及びZQ Single Quadrupole Mass Spectrometerで構成されるWaters 液体クロマトグラフィー質量分析 又は Waters Micromass ZQ Detector上で、120℃で記録した。質量スペクトロメータは、陽イオン又は陰イオンモードで作動するエレクトロスプレーイオン源(エレクトロスプレーイオン化)を装備した。キャピラリー電圧は3kVであり、コーン電圧は30Vであった。質量スペクトロメータは、0.3秒のスキャン時間で、m/z100〜700又はm/z100〜1000の間をスキャンした。分離は、Waters X−Terra MS C8(3.5μm、50又は100mm×2.1mm内径)又はScantecLab社から得たACE 3 AQ(100mm×2.1mm内径)のいずれかで行った。流速は、それぞれ1.0又は0.3 mL/分に調節した。カラム温度は、40℃に設定した。100%A(A: 95:5、10mM NH4OAc:MeCN;又は95:5、8mM HCOOH:MeCN)で開始し100%B(B:MeCN)で終結する、中性または酸性移動相システムを用いた直線的勾配を適用した。 質量スペクトルはまた、Alliance 2690 Separations Module、 Waters 2487 Dual 1 Absorbance Detector(220及び254nm)及び Waters ZQ Single Quadrupole Mass Spectrometerで構成されるWaters 液体クロマトグラフィー質量分析上で記録した。質量スペクトロメータは、陽イオン又は陰イオンモードで作動するエレクトロスプレーイオン源(エレクトロスプレーイオン化)を装備した。キャピラリー電圧は3kVであり、コーン電圧は30Vであった。質量スペクトロメータは、0.3又は0.8秒のスキャン時間で、m/z97〜800の間をスキャンした。分離は、Chromolith Performance RP−18e(100×4.6mm)上で行った。95%A(A:0.1%HCOOH(aq.))で開始し、5分後に100%B(B:MeCN)で終結する、直線的勾配を適用した。流速は、2.0 mL/分であった。 或いは、Ultra Pressure(UP)液体クロマトグラフィー質量分析は、Acquity Autosampler、 Acquity Sample Organizer、 Acquity Column Manager、 Acquity Binary Solvent Manager、 Acquity UPLC PDA検出器及び Waters SQ Detectorで構成されるWaters Acquity UPLCシステム上で行った。質量スペクトロメータは、陽イオン又は陰イオンモードで作動するエレクトロスプレーイオン源(ES)を装備した。キャピラリー電圧は3.0kVに、コーン電圧は30Vにそれぞれ設定した。質量スペクトロメータは、0.105秒のスキャン時間で、m/z100〜600の間をスキャンした。ダイオードアレイ検出器は、200〜400nmをスキャンした。Column Managerの温度は、60℃に設定した。分離は、Acquityカラム、UPLC BEH、C18 1.7μM上で、0.5 mL/分の流速で実施した。100%A(A:5%MeCN中10mM NH4OAc)で開始し、1.3分後に100%B(B:MeCN)、その後100%Bを0.6分で終結する、直線的勾配を適用した。ESpos/ESneg、m/z100〜600。 化合物同定はまた、Agilent Technologiesによって供給され、6890N G1530N GC、 G2614a Autosampler、 G2613a注射器及び G2589N質量スペクトロメータで構成されるガスクロマトグラフィー−質量分析システム上で行った。使用したカラムはVF―5 質量分析、ID0.25mm×30m、0.25μm(Varian社)であった。70℃(1分間保持)で開始し300℃(1分間保持)で終わる、25℃/分の直線的温度勾配を適用した。質量スペクトロメータは、化学イオン化(CI)イオン源を装備し、反応ガスはメタンであった。質量スペクトロメータは、m/z 50〜500の間をスキャンし、スキャンスピードは3.21スキャン/秒に設定した。溶媒遅延は、0分から2.0分に設定した。 高速液体クロマトグラフィー分析は、G1379a Micro Vacuum Degasser、 G1312a Binary Pump、 G1367a Well plate auto−sampler、 G1316a Thermostatted Column Compartment及び G1315B Diode Array Detectorで構成されるAgilent HP1000システム上で行った。カラム:X−Terra 質量分析、Waters、3.0×100mm、3.5 μm。カラム温度は40℃に、流速は1mL/分に設定した。Diode Array Detectorは、210nmから300nmをスキャンし、ステップ及びピーク幅はそれぞれ2nm及び0.05分に設定した。100%A(A:95:5、10mM NH4OAc:MeCN)で開始し、4分後に100%B(B:MeCN)で終結する、直線的勾配を適用した。 高速液体クロマトグラフィー分析はまた、Chromolith Performance RPカラム(C18、100mm×4.6mm)を装着したGynkotek UVD 170s UV−vis.検出器を装備した勾配ポンプで構成されたGynkotek P580 HPGを用いて行った。カラム温度は、25℃に設定した。MilliQ水中のMeCN/0.1トリフルオロ酢酸を用い、10%から100%MeCNまで5分で行われる直線的勾配を適用した。流速:3mL/分。 キラル純度分析は、Agilent 1100 PDA検出器を備えた超臨界液体クロマトグラフィー Berger Analytixシステム上で実施した。カラム温度は、50℃に設定した。EtOHとCO2混合物の定組成条件で、流速2.0mL/分を適用した。PDAは、190〜600nmをスキャンし、220nmを純度測定用に抽出した。 キラルHPLC分析は、もう一つの方法として、Gilsonキラルシステム上で、カラム:Chiralpak AD−H; 4.6×250mm; 5μm、移動相:100% EtOH、流速:0.8 mL/分で行った。施光度は、PDR−Chiralレーザー偏光計を用いて測定した。マイクロ波加熱は、2450MHzで連続照射を発生するシングルモードマイクロ波空洞内で行った。 薄層クロマトグラフィー(薄層クロマトグラフィー)はMerck TLC−plates (Silica gel 60 F254)上で行い、スポットはUV視覚化した。 フラッシュ・クロマトグラフィーは、RediSep(商標)順相フラッシュカラムを使用するか、又はMerck Silica gel 60 (0.040〜0.063mm)を使用して、Combi Flash(登録商標)Companion(商標)上で行った。フラッシュ・クロマトグラフィーに使用した代表的な溶媒は、クロロホルム/メタノール、ジクロロメタン/メタノール、ヘプタン/酢酸エチル、クロロホルム/メタノール/アンモニア(水)及びジクロロメタン/メタノール/NH3(水)の混合物であった。 分取クロマトグラフィーは、ダイオードアレイ検出器を備えたWaters autopurification HPL上で実施した。カラム:XTerra 質量分析 C8、19×300mm、10μm。MeCN/(95:5、0.1M NH4OAc:MeCN)による狭勾配を、20mL/分の流速で使用した。 精製はまた、Waters Symmetry(登録商標)カラム(C18、5μm、100mm×19mm)を装備したShimadzu SPD−10a UV―vis.検出器を備えたセミ分取用Shimadzu LC−8a HPLC上で達成した。MeCN/MilliQ水中0.1%トリフルオロ酢酸による狭勾配を、10mL/分の流速で使用した。 或いは、精製は、Waters Sunfireカラム(150mm×21.2mm)を装備しGilson 156UV検出器を備えた分取型Gilson 281(GilsOn Pump 322)HPLC上で達成した。MeCN/水中の0.1%ギ酸による狭勾配を、15mL/分の流速で使用した。 キラル分取クロマトグラフィーは、Knauer K−2501UV検出器を備えた超臨界液体クロマトグラフィー Berger Multigramシステム上で実施した。カラム温度は、35℃に設定した。EtOHとCO2混合物の定組成条件で、流速50.0mL/分を適用した。UV検出器は、220nmでスキャンした。UVシグナルで捕集画分を決定した。 化合物名は、Advanced Chemistry Development (ACD/Labs)社、Toronto ON, Canada、www.acdlabs.comからのソフトウェアACD/Nameバージョン10.06、又はOpenEyeからのLexichem、バージョン1.4、ソフトウェアを使用して命名した。略語:Abs 吸収aq 水CAS ケミカルアブストラクトサービスCDI 1,1'−カルボニルジイミダゾールDCM ジクロロメタンDIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミンDMF ジメチルホルムアミドDMSO ジメチルスルホキシドEDCI 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドES エレクトロスプレーESI エレクトロスプレーイオン化eq 同等物GC ガスクロマトグラフィーh 時間HCl 塩酸、塩酸塩HPLC 高速液体クロマトグラフィーIPC 工程管理M モル(リットル当たりのモル数)min 分MS 質量分析NMR 核磁気共鳴prep. 分取rt 室温Rt 保持時間SFC 超臨界液体クロマトグラフィーTj ジャケット温度Ti 内部温度TEA トリエチルアミンTLC 薄層クロマトグラフィーTHF テトラヒドロフランTLC 薄層クロマトグラフィーUV 紫外線VCD 振動円二色性出発物質実施例1第三級ブチル1−(メトキシ(メチル)アミノ)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメート方法1 2−(第三級ブトキシカルボニルアミノ)−3,3−ジメチルブタン酸(ケミカルアブストラクトサービス102185−35−3、500mg、2.16mmol)のジクロロメタン(5mL)溶液に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(ケミカルアブストラクトサービス25952−53−8、497mg、2.59mmol)を添加し、10分間室温で撹拌した。N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(ケミカルアブストラクトサービス6638−79−5、253mg、2.59mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.429mL、2.59mmol)のジクロロメタン(5mL)溶液を添加し、反応混合物を撹拌しながら室温で週末にかけて放置した。混合物は、ジクロロメタン(30mL)で希釈し、飽和NaHCO3水(50mL)で抽出した。有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過する前に、水で洗浄した。溶媒を減圧除去し、第三級ブチル1−(メトキシ(メチル)アミノ)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメートを得た(466mg、79%)。 1H NMR(500MHz,CDCl3) δ ppm 0.98(s,9H) 1.43(s,9H) 2.19−2.28(m,1H) 3.21(s,3H) 3.78(s,3H) 4.66(d,1H)。GC−MS(unprotected amino acid) m/z 130,Rt:5.82 min。方法2 清浄したそして乾燥した10Lの反応器に、ジャケット温度が25℃で、N−boc−第三級ブチルグリシン(N-Boc-tert-Leucine,ケミカルアブストラクトサービス102185−35−3)(188g;0.77mol;1.00eq)及びジクロロメタン(6.25L;35vol)を入れ、細かいスラリー状にした。1,1’−カルボニルイミダゾール(208.7g;1.3eq)を、ガス排出のもと約1分後に1部を撹拌しながら添加し、清澄な淡緑色溶液にした。反応は、ガスクロマトグラフィーでモニターし、ジャケット温度25℃の室温で1時間後、第2部の1,1’−カルボニルイミダゾール(32.1g;0.2eq)を添加し、反応混合物を1晩放置した。清澄な反応混合物に、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン(153.7g;2.0eq)、続いてトリエチルアミン(215mL;2.0eq)を添加した。ジャケット温度を50℃に設定し、反応の変化はガスクロマトグラフィー分析でフォローした。第2部のN,O−ジメチルヒドロキシルアミン(26.9g;0.35eq)及びトリエチルアミン(37mL;0.35eq)を混合物に添加し、反応はジャケット温度50℃(内部温度41℃)で48時間継続し、98.7%の変換を生じさせた。反応混合物(大よそpH8)を冷却し、ジャケット温度20℃で、水(2.82L;15vol)を反応器に加え、生じた混合物を10分間撹拌した。有機層を回収し、水(2×2.82L;2×15vol)、NaHCO3(2×2.3L;2×12vol)、最後に水(2×1.88L;2×10vol)で2回ずつ洗浄した。有機層を40℃で減圧濃縮して黄色の残留油状物を得、そしてそれをトルエン(250mL)と共蒸発させて295gの油状生成物にして一晩放置した。結晶質の混合物が出現した。混合物は、ろ過し(P3焼結ディスク:直径100mm)、トルエン(75mL)で洗浄そして乾燥し、白色結晶性物質138gを得た。2番目の収穫(158g)を得て、熱n−ヘプタン(250mL)に溶解し、外部の氷水浴で冷却して淡色の物質56gを得た。分析の結果、それぞれ、1番目の収穫は96.8重量%、2番目の収穫は72重量%であった。NMRアッセイに基づく総収率(194g)は82%であった。実施例2a第三級ブチル1−(4−クロロフェニル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメート 第三級ブチル1−(メトキシ(メチル)アミノ)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメート(実施例1、466mg、1.70mmol)を、乾燥テトラヒドロフラン(10mL)に溶解した。次に(4−クロロフェニル)マグネシウムブロミド(ケミカルアブストラクトサービス873−77−8、1.0Mのテトラヒドロフラン溶液、6.79mL、6.79mmol)を、室温で滴加した。室温で一晩撹拌した後、反応をNH4Clで停止させ、EtOAc(2×50mL)で抽出した。併せた有機相を水で1回洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過した。溶媒を除去した後、生成物をシリカゲルカラム上で、10〜20%のヘプタン:EtOAcで溶出して精製し、第三級ブチル1−(4−クロロフェニル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメート(137mg、25%)を得た。 1H NMR(500MHz,CDCl3) δ ppm 0.93(s,9H) 1.44(s,9H) 5.12(d,1H) 5.40(d,1H) 7.46(d,2H) 7.95(d,2H)。MS(ESI) m/z 325.8[M+H]+。実施例2b第三級ブチル1−(4−シアノフェニル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメート 乾燥した清浄な10L低温反応器に、4−ブロモベンゾニトリル(321g;1.74mol;2.5eq)及びテトラヒドロフラン(995mL;5.0vol)を加えた。撹拌した混合物は、窒素雰囲気のもとで不活性化し、冷却した(ジャケット温度−20℃)。冷却した混合物に、内部温度−13℃でターボグリニヤール試薬(iPrMgCl/LiClの14重量%テトラヒドロフラン溶液に相当する、Chemetall社のTurbo Grignard Reagent;1.81L;2.5eq)を窒素雰囲気下で加え、1時間14分間約−10℃より下の温度に維持した。反応中間物は、約0℃に3時間放置し、>97%の変換が得られた(分析サンプルは、15重量%のNH4Cl水で停止させた)。混合物は、ジャケット温度−20℃に冷却し、第三級ブチル1−(メトキシ(メチル)アミノ)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメート(191g;0.70mol;1.0eq)のテトラヒドロフラン溶液(496mL;2.6vol)を、28分間で、約−10℃から−6℃で反応器に加えた(発熱反応)。容器はテトラヒドロフラン(221mL;1.3L)ですすぎ、反応混合物を20℃に温め、1晩放置し、約90%の変換(高速液体クロマトグラフィー)を得た。混合物は0℃(ジャケット温度−10)に冷却し、酒石酸ナトリウムカリウム(ロッシェル塩)(153g;1.05eq)の水溶液(10vol)を、温度を0℃から10℃に保ちながら30分間で滴加し、オレンジ色のスラリーを得た。ジャケット温度を40℃に設定し、撹拌を内部温度30℃で止め、相を分離させた。赤色の有機層を回収し、黄色のスラリー様水相は、ジャケット温度30℃で、iPrOAcで2回(2×1.91L;2×10vol)抽出した。有機層を併せ(7.5L)、ジャケット温度30℃で、かん水混合物で3回(3+3vol;5+5vol;3+3vol)洗浄した。洗浄後の有機層をジャケット温度60℃で約1.5Lのボリュームに減圧濃縮し、2Lに希釈した(iPrOAc)。生成物溶液は、さらに精製すること無しに次の工程(実施例3、方法2)に進めた。実施例34−(2−アミノ−3,3−ジメチルブタノイル)ベンゾニトリル塩酸塩方法1 第三級ブチル1−(4−クロロフェニル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメート(実施例2a、2.30g、7.06mmol)及びZn(CN)2(0.87g、7.4mmol)を、N2(g)の下でジメチルホルムアミド(20mL)に溶解した。Pd(PPh3)4(0.86g、0.74mmol)を添加し、混合物を130℃で一晩加熱した。混合物は室温に冷却し、水で希釈してEtOAcで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、そして蒸発させた。生成物は、シリカカラム(EtOAc:ヘキサン、1:10)で精製し、第三級ブチル1−(4−シアノフェニル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメート(961mg、43%)を得た。第三級ブチル1−(4−シアノフェニル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメート(961mg、3.04mmol)を0℃で1.25MHClのMeOH溶液に溶解しそして混合物を室温で8時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物を真空乾燥して4−(2−アミノ−3,3−ジメチルブタノイル)−ベンゾニトリル塩酸塩(110mg、93%)を得た。 1H NMR(400MHz,MeOD) δ ppm 1.02(s,9H) 5.05(s,1H) 7.96(d,2H) 8.20(d,2H)。MS(ESI) m/z 217.1[M+H]+。方法2 清浄にして乾燥した10Lの反応器に、ジャケット温度65℃で、2−プロパノール(573mL)及びHClの2−プロパノール溶液(5M;696mL;5eq)を投入した。混合物に、内部温度53)℃で、前段(上記の実施例2b)で得た第三級ブチル1−(4−シアノフェニル−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメート溶液を一部(約150mL)ずつ9分間で添加した(約600mLの添加の後、生成物が沈殿し始めた)。スラリーを1時間撹拌し、分析の結果、完全な変換が得られた(ガスクロマトグラフィー)。細かい結晶性スラリーを冷却(ジャケット温度0℃)し、一晩放置した。 生成物は、減圧してガラスフィルター(2つのフィルター;P3焼結ディスク;直径130mm)上で分離した(約3時間の緩速ろ過)。生成物は、それぞれのフィルター上で、冷(0℃)2−プロパノール(496mL;2.6vol)とiPrOAc(650mL;3.4vol)の混合物及びMeTHF(2×425mL;2×3vol)で変位洗浄した。生成物は、40℃で1週間にわたって減圧乾燥し、白い細かい結晶性塩酸塩135gを得た。分析の結果、99.5面積%(254nm)の高速液体クロマトグラフィー純度、及び94重量%のNMRアッセイを得た。NMRアッセイに基づいた2段にわたる収率は72%であった。実施例41−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン 清浄にして乾燥した1/2Lの丸底フラスコに、2−クロロ−6−メチルピリジン(80g;620mmol;1.0eq)及びピペラジン(400g;7.40eq)を加えた。混合物は、外部のオイル浴を使用して加熱し(ジャケット温度154℃)、磁気的に撹拌した。応時間約6時間後、反応は完了したと考えられ(ガスクロマトグラフィー分析)、室温に冷却した。冷混合物に、トルエン(475mL;6vol)及び水(633mL;8vol)を添加し、清澄な2相にした。水相を回収し、トルエン(150mL)で抽出した。トルエン層を併せ、ブライン(17.5重量%;150mL)で洗浄し、減圧で濃縮して油状残留物を得た(推定量:遊離塩基88g)。室温の1Lの反応器に、MeTHF(790mL;10vol)に溶解した遊離塩基の溶液を、HCl水溶液(1N;396mL;5eq)に添加した。黄色の水相を回収し、外部の氷水浴で冷却し、NaOH(5M;95mL)でpH>11に塩基性化した。塩基性の水相は、MeTHF(792mL;10vol)で抽出し、水相を回収し、そして有機層は減圧濃縮及び共沸蒸留によって乾燥した。乾燥した生成物含有MeTHF層(470mL;5vol)を外部の氷水浴で冷却し、不透明な溶液を得た。その溶液に、2−プロパノールに溶解したHCl(310mL,3.0eq)をゆっくり加え、オフホワイトの生成物を析出させた。得られたスラリーを1時間冷却し、生成物をガラスフィルター(P3焼結ディスク、直径100mm)で分離し、氷冷したMeTHF(100mL)で洗浄した。生成物は40℃で減圧乾燥し、ジヒドロクロリド塩として101g(65%)を得た。純度は、ガスクロマトグラフィーで測定し96.7面積%、NMRアッセイでは、71.5重量%(塩基)であった。収率は、NMRアッセイに基づいて75%であった。最終化合物実施例5N−(1−(4−シアノフェニル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イル)−4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキサミド方法1 4−(2−アミノ−3,3−ジメチルブタノイル)ベンゾニトリル塩酸塩(実施例3、50mg、0.23mmol)を、1,1’−カルボニルジイミダゾール(112mg、0.69mmol)及びトリエチルアミン(0.035mL、0.25mmol)のMeCN(5mL)溶液に添加した。反応混合物は、1−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン(ケミカルアブストラクトサービス55745−89−6、205mg、1.16mmol)を添加する前に、室温で90分間撹拌した。混合物は1時間撹拌し、そして溶媒を減圧下でエバポレートした。生成物はメタノールに溶解し、濾過し、そして分取用高速液体クロマトグラフィーで精製し、N−(1−(4−シアノフェニル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イル)−4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキサミドを取得した(36.3mg、37%)。 1H NMR(400MHz,CDCl3) δ ppm 0.94(s,9H) 2.40(s,3H) 3.48−3.68(m,8H) 5.25−5.31(m,1H) 5.33−5.39(m,1H) 6.43(d,1H) 6.53(d,1H) 7.40(dd,1H) 7.78(m,2H) 8.14(m,2H)。MS(ESI) m/z 418.3[M−H]-。方法2 ビス(トリクロロメチル)カルボネート(60.6mg、0.20mmol)を、4−(2−アミノ−3,3−ジメチルブタノイル)ベンゾニトリル塩酸塩(実施例3、129mg、0.51mmol)及びトリエチルアミン(0.285mL、2.04mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液に、室温で、一部ずつ1分以内で添加した。20分間撹拌した後、1−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン(ケミカルアブストラクトサービス55745−89−6、90mg、0.51mmol)及びトリエチルアミン(0.142mL、1.02mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液を滴加し、反応物を90分間撹拌した。反応混合物をMeOHで希釈する前に、揮発物を除去し、濾過しそして分取用高速液体クロマトグラフィーで精製した。画分をプールし、凍結乾燥して、N−(1−(4−シアノフェニル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イル)−4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキサミド(76mg、36%)を得た。 1H NMR(500MHz,MeOD) δ ppm 0.99(s,9H) 2.36(s,3H) 3.53(m,8H) 5.30(m,1H) 6.34(m,1H) 6.57(t,3H) 7.44(dd,1H) 7.88(m,2H) 8.17(m,2H)。MS(ESI) m/z 420.2[M+H]+。方法3 清浄にして乾燥した10Lの反応器に、ジャケット温度22℃で、1,1’−カルボニルジイミダゾール(153.7g;0.74mol;1.5eq)続いてジメチルホルムアミド(1L;8.0vol)を加え、清澄な淡黄色の溶液を得た。上記の溶液に、ジャケット温度22℃で、予め作成した4−(2−アミノ−3,3−ジメチルブタノイル)ベンゾニトリル・HCl(実施例3の方法2で製造;135g;0.50mol;1.0eq)、ジメチルホルムアミド(1L;8.0vol)及びトリエチルアミン(127g;1.26mol)の懸濁液/溶液の10分轄を、30分間にわたって添加した。温度を25℃に上げ、生じた混合物を30分間撹拌した。出発物質をイミダゾール尿素中間体に完全に変換させるために、工程管理(ガスクロマトグラフィー)を行った。ジャケット温度を5℃に設定し、トリエチルアミン(247.5g;5eq)を、<10℃で、反応混合物に添加した。混合物に、内部温度を<30℃に維持しながら、1−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン・2HCl(実施例4;184g;1.50eq)を一部ずつ33分間で添加した。反応混合物は、ジャケット温度25℃でさらに30分間撹拌して工程管理を行い、99.5%(高速液体クロマトグラフィー)の変換を得た。混合物を冷却(ジャケット温度5℃)し、一晩放置した。混合物に、5℃で、NH4Cl(285g;10eq)の水溶液(2.0L;15vol)を分割して8分間で添加した。ジャケット温度を25℃に設定し、生成した混合物にトルエン(2.26L;16.7vol)を添加した。有機相を回収し、水相は、一度トルエン(2.26L;16.7vol)で抽出した。有機相を併せ、水(500mL;3.7vol)で洗浄し、2×HCl(30重量%;127mL;2 eq)の水溶液(2.5L;18.5vol)で2回抽出した。酸性水相は、トルエン(1.1L;8.1vol)で洗浄した。有機層を回収し、水相は反応器に再投入し、EtOAc(2.3L;17vol)を添加した。混合物に、25℃で、予め作成したNaHCO3(249g;5.9eq)の水溶液(pH8)を撹拌のもとに添加した。塩基性の水相を回収し、EtOAc(2.2L;16vol)で洗浄し、有機相を併せてブライン(400mL)で洗浄し、そして溶液をジャケット温度15℃で一晩放置した。有機層(4L)を、40℃で大よそ半量に減圧濃縮し、SiO2(約250g)と混合しそして溶媒を除去して、シリカ粉末のカラムヘッドを得た。シリカカラムヘッドは、予めEtOAcで充填されたシリカカラム(120mm×400mm;約4kgのSiO2、40〜60メッシュ)の上に載せた。フラッシュ・クロマトグラフィー法は約20LのEtOAcを溶離剤として使用し、進行は薄層クロマトグラフィーでモニターした。薄層クロマトグラフィー分析後の画分(約250mL)をプールし、40℃で減圧濃縮した。得られた生成物を、40℃で減圧して乾燥し、191.5gの純白な物質を得た。分析から、99.7面積%(254nm)の高速液体クロマトグラフィー純度及び98.5重量%のアッセイ純度を得た。残留溶媒EtOAcは0.1重量%であった。この物質(180g)は、目的のエナンチオマー、N−(1−(4−シアノフェニル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イル)−4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキサミドの製造に使用した。NMRアッセイに基づく収率は90%であった(計算値)。実施例6(R)−N−(1−(4−シアノフェニル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イル)−4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキサミド方法1 実施例5からのラセミ体19mgを、キラルクロマトグラフィーによって分離し、(R)−N−(1−(4−シアノフェニル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イル)−4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキサミド(5.6mg、30%)を得た。 キラル純度100%、次のシステム上での保持時間4.42分:SFC Berger Analytix、カラム:Chiralcel OD―H;4.6×250mm;5μm、 移動相:20%EtOH;80%CO2、流量:2mL/分。 1H NMR(500MHz,DMSO−d6) δ ppm 0.93(s,9H) 2.29(s,3H) 3.43(m,8H) 5.11(d,1H) 6.52(d,1H) 6.59(m,2H) 7.42(dd,1H) 7.98(d,2H) 8.14(d,2H)。MS(ESI) m/z 420.3[M+H]+。方法2 高圧分取クロマトグラフィーシステムを用いて実施例6を製造するために、キラル分取クロマトグラフィーを用いた。 ラセミ体はエタノールに溶解した(25g/L供給液)。固定相はChiralcel OD(20ミクロン)であり、移動相はイソヘキサン/エタノールの90:10であった。分離は25℃の温度で行い、一注入当たり30mLの仕込み(0.75g)をカラムに負荷した。注入は、120mL/分の流速での分離の効率を高めるため、15分毎に積み重ねた。 320nmのUV検出波長を用いた。単一画分(1番目の溶出ピーク)を集め、定期的に採取した画分を高速液体クロマトグラフィーで以下の条件を用いて分析した。Chiralcel OD−H:4.6×250mm:5μm、移動相:60:40のイソヘキサン/IPA、1mL/分、保持時間約8.3分。最終のキラル純度は100%。収率は約45%であった。実施例7(S)−N−(1−(4−シアノフェニル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イル)−4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキサミド 実施例5からのラセミ体19mgを、キラルクロマトグラフィーによって分離し、(S)−N−(1−(4−シアノフェニル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イル)−4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキサミド(4.2mg、22%)を得た。 キラル純度99.8%、次のシステム上での保持時間6.34分:SFC Berger Analytix、カラム:Chiralcel OD−H;4.6×250mm;5μm、 移動相:20%EtOH;80%CO2、流量:2mL/分。 1H NMR(500MHz,DMSO− d6) δ ppm 0.94(s,9H) 2.29(s,3H) 3.42(m,8H) 5.12(d,1H) 6.52(d,1H) 6.60(dd,2H) 7.42(dd,1H) 7.99(m,2H) 8.15(m,2H)。MS(ESI) m/z 420.3[M+H]+。固体特性(R)−N−(1−(4−シアノフェニル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イル)−4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキサミド(実施例6) X線粉末回折(XRPD)パターンは、45kV及び40mAで、高精度長焦点Cu Kα−線、1.5418ÅのX線波長を使用するPANalytical X’PRO MPD θ−θシステムで収集した。10mmの照射距離を与えるプログラム可能な発散スリット及びプログラム可能な散乱線除去スリットを使用した。0.02ラジアンのソーラースリットを、入射及び回折ビーム経路に使用した。20mmの固定マスクを入射ビーム経路に使用し、ニッケルフィルターを255のアクティブチャンネルを用いるPIXcel-検出器の前に置いた。薄い平板試料は、スパチュラを用いて、シリコンの平らなゼロバックグラウンドプレート上に用意した。プレートをサンプルホルダに搭載し、測定する間、水平位置で回転させた。回折パターンは、連続スキャンモードで2°2θ〜40°2θの間を収集した。2°2θ及び40°2θの間をスキャンするための合計時間は、約10分であった。 (R)−N−(1−(4−シアノフェニル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イル)−4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキサミドのディフラクトグラムを図1に示す。振動円二色性コンピュータスペクトルシミュレーション: 低エネルギー配置を検索するMonte Carlo分子力学は、Sエナンチオマー断片(II)について、Maestroグラフィックインタフェース(Schrodinger社)内のMacroModelを使用して行った。最も低いエネルギー配座異性体が5kcal/mol以内の全ての配座異性体はすべて、Gaussian03の中の密度関数理論(DFT)最小化の出発点として使用した。 最適化構造、調和振動周波数/強度、振動円二色性回転力、及びSTP(ゼロ点エネルギーを含む)でのフリーエネルギーは、それぞれの配座異性体に対して決定した。これらの計算では、6−31G*基底関数系と併せてB3PW91で一般化された密度勾配近似(GGA)交換相関密度汎関数を用いた。それぞれの構造に対する振動円二色性スペクトルをシミュレーションし、ローレンツ曲線形(12cm-1線幅)にフィットさせ、シミュレーションと実験スペクトルの間が直接比較出来るように、計算スペクトルをボルツマン加重した。実験に基づく振動円二色性: 実験的なスペクトルは、約8mgのサンプルを約0.15mLのCDCl3に溶解して取得した。分析は、BioTool社のChiralIR装置を用い、デュアル線源、デュアルPEM、振動円二色性スキャンプロトコルを使用し、0.1 mm BaF2セル内で4cm-1の分解能で行った。 装置は、37.024kHzで(/4遅延の(約1300cm-1付近を中心にしたスペクトル領域を取得するために最適化した)偏光変調させるためのデュアル光弾性変調器セットを内蔵した。30(sの時定数によるロックイン増幅、ならびに20kHz高域フィルター及び4kHzローパスフィルタを用いた。振動円二色性結果: 図2は、4つのスペクトルを示す。スペクトル(1)は、実施例6の実験的に収集したスペクトルである。スペクトル(2)は、最初から計算された断片(II)のスペクトルの反転を経て得られた(R)エナンチオマー振動円二色性スペクトルの計算推定である。スペクトル(3)は、実施例7の実験的振動円二色性スペクトルに相当する。スペクトル(4)は、(S)エナンチオマーである断片(II)に対して計算されたスペクトルである。図2におけるスペクトル1及び2は、実施例6を(R)エナンチオマーとして割り当てる。スペクトル3及び4の類似性比較は、実施例7が(S)エナンチオマーとして存在していることを示す。生物学的評価生物学的活性を測定するアッセイ アッセイは、全細胞で細胞内Ca2+レベルをモニターすることによってhTRPA1に作用する化合物を検出するように設計した。この目的のために、TRPA1活性をアッセイするための二重添加工程のFLIPR(蛍光画像プレート読み取り装置)を設計した。簡潔に言えば、TRPA1を発現するHEK293細胞を、384ウェルのマイクロタイタープレートで培養し、細胞内カルシウムの変化を報告する蛍光プローブ、Fluo−4、を負荷させる。TRPA1チャンネル活性は、アッセイ緩衝液中でベースライン信号の測定、その後EC80−濃度のTRPA1−アゴニストである亜鉛を適用することによってアッセイする。その後のTRPA1チャンネルを通過するカルシウムの流入は、細胞質カルシウムの増加として検出され、それは、入れ替わりにFluo―4 蛍光の増加として報告される。試験化合物の活性は、亜鉛を添加する5分前に化合物を加えることによって評価する。TRPA1遮断薬(アンタゴニスト)は亜鉛の添加によって誘発されるカルシウム流入を阻害し、従ってFluo―4 蛍光の増加は起こさない。TRPA1オープナー(アゴニスト)はそれ自身でカルシウム流入を引き起こし、Fluo―4蛍光の増加は、化合物添加の直後に検出される。 アッセイでは、HEK293細胞株のTRPA1の発現は、誘導可能なプロモータの制御下にある。それ故、誘導された細胞と誘導されない細胞について、亜鉛刺激からの信号を比較することによってTRPA1信号の特異性を規定することが可能である。 TRPA1は、痛みを引き起こす多くの刺激剤によって活性化される。TRPA1−依存の問題において、亜鉛はマウスの侵害受容感覚ニューロンを活性化させる必須生体微量元素である。亜鉛は、TRPA1チャネルを通過する亜鉛の流入を必要とし、そして次に特異的細胞内システイン及びヒスチジン残基を経由して活性化する独特のメカニズムを経由してTRPA1を活性化する。 hTRPA1−HEK293−TREx細胞は、ポリ−D−リジン被覆プレートに播種し、細胞培地中でコンフルエントな単層に増殖させた。実験の前に培地を廃棄し、アッセイ緩衝液に溶解したfluo−4 NW(Molecular Probe社)を、細胞に室温で1時間負荷させた。化合物を細胞プレートに添加し、Ca2+不含のアッセイ緩衝液中で5分間レインキュベートした。次にCa2+含有アッセイ緩衝液中200mMのZn2+を細胞に添加し、生の蛍光カウントを、波長470〜495nmの励起LEDバンク及び波長515〜575nmの放射フィルターを使用して測定した。一般的なアッセイ条件は、次のとおりである:試験化合物:30μM〜0.001μM、又はポジティブコントロール及びネガティブコントロール中ゼロ;アッセイ緩衝液pH7.4:Ca2+及びMg2+の 含又は不含のHBSS、10mM Hepes、1mMグルコース、0.4%NaHCO3、アゴニスト:200μM塩化亜鉛。試験する化合物は100%ジメチルスルホキシドで希釈し、そして実験の前に、アッセイ緩衝液でさらに50倍に希釈した。 アッセイにおける100%活性は、試験化合物不在で200μMのZn2+によって起こるピークの蛍光レベルと定義した。IC50は、この反応を50%阻害するのに必要な試験化合物の濃度を表した。 代表的な化合物のアッセイデータは、以下の表に示す。力価はIC50(カルシウム緩衝液における平均信号に比して50%阻害に要する濃度)として表示され、示された値は少なくとも2つの個別実験の平均である。 式(I)の化合物N−(1−(4−シアノフェニル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イル)−4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキサミド又は薬学的に許容可能なその塩、エナンチオマー、若しくはそれらの混合物。 次式:を有する(R)−N−(1−(4−シアノフェニル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イル)−4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキサミド、又は薬学的に許容可能なその塩である、請求項1に記載の化合物。 治療における薬剤としての、請求項2に記載の化合物、又は薬学的に許容可能なその塩。 喘息、百日咳、ニコチン中毒、広範痛、限局痛、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、中枢性疼痛、中枢及び末梢性神経障害性疼痛、中枢及び末梢性神経原性疼痛、中枢及び末梢神経痛、慢性腱炎、腰痛、術後疼痛、末梢神経障害、内臓痛、骨盤痛、異痛症、有痛性感覚麻痺、しゃく熱痛、異常錯感覚、線維筋痛、痛覚過敏、感覚過敏、痛感過敏、虚血性疼痛、坐骨神経痛を含むがこれらに限定されない急性及び慢性疼痛障害などのさまざまな疼痛状態、間質性膀胱炎を含むがこれに限定されない膀胱炎に関連する疼痛、多発性硬化症に関連する疼痛、関節炎に関連する疼痛、変形性関節症に関連する疼痛、関節リウマチに関連する疼痛、及びがんに関連する疼痛、を処置するための薬剤の製造における、請求項2に記載の化合物の使用。 疼痛を処置するための薬剤の製造における、請求項2に記載の化合物の使用。 請求項2に記載の化合物及び薬学的に許容可能なキャリアを含んでなる、医薬組成物。 以下の治療を必要とする対象の、喘息、百日咳、ニコチン中毒、広範痛、限局痛、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、中枢性疼痛、中枢及び末梢性神経障害性疼痛、中枢及び末梢性神経原性疼痛、中枢及び末梢神経痛、慢性腱炎、腰痛、術後疼痛、末梢神経障害、内臓痛、骨盤痛、異痛症、有痛性感覚麻痺、しゃく熱痛、異常錯感覚、線維筋痛、痛覚過敏、感覚過敏、痛感過敏、虚血性疼痛、坐骨神経痛を含むがこれらに限定されない急性及び慢性疼痛障害などのさまざまな疼痛状態、間質性膀胱炎を含むがこれに限定されない膀胱炎に関連する疼痛、多発性硬化症に関連する疼痛、関節炎に関連する疼痛、変形性関節症に関連する疼痛、関節リウマチに関連する疼痛、及びがんに関連する疼痛を処置する方法であって、請求項2に記載の化合物の治療的に有効な量を該対象に投与する工程を含んでなる、上記の方法。 請求項2に記載の化合物の治療的に有効な量を対象に投与する工程を含んでなる、そのような治療を必要とする対象の疼痛を処置する方法。 眼科的処置のため又はCS若しくはCRなどの「暴動鎮圧剤」に対するアンタゴニストとして使用するための、請求項2に記載の化合物の使用。 請求項2に記載の化合物の治療的に有効な量を該作用に苦しむ対象に投与することを含んでなる、CS又はCRなどの「暴動鎮圧剤」の作用を打ち消す方法。 式(I)の化合物、薬学的に許容可能なその塩、エナンチオマー、又はそれらの混合物;該化合物、エナンチオマー又は混合物を含む医薬組成物;該化合物、エナンチオマー又は混合物の製造方法;該化合物、エナンチオマー又は混合物の使用;及び疼痛及び他の状態の処置のための同上を含有する薬剤;及同上を用いた疼痛及び他の状態を処置する方法。 【化1】


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