タイトル: | 公表特許公報(A)_がん診断用バイオマーカーに対する骨髄細胞の使用 |
出願番号: | 2013528723 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | G01N 33/53,G01N 33/574,G01N 33/543,C12Q 1/06,A61P 35/00,A61K 39/395,A61K 38/00,A61K 45/00,A61K 39/00 |
シン,ハープリート ヴァルター,シュテフェン メンドルツィク,レジーナ ブロンテ,ヴィンチェンツォ マンドルッツァト,スザンナ JP 2013539857 公表特許公報(A) 20131028 2013528723 20110921 がん診断用バイオマーカーに対する骨髄細胞の使用 イマティクス バイオテクノロジーズ ゲーエムベーハー 506258073 庄司 隆 100088904 資延 由利子 100124453 大杉 卓也 100135208 曽我 亜紀 100152319 シン,ハープリート ヴァルター,シュテフェン メンドルツィク,レジーナ ブロンテ,ヴィンチェンツォ マンドルッツァト,スザンナ GB 1015765.9 20100921 US 61/384,784 20100921 G01N 33/53 20060101AFI20131001BHJP G01N 33/574 20060101ALI20131001BHJP G01N 33/543 20060101ALI20131001BHJP C12Q 1/06 20060101ALI20131001BHJP A61P 35/00 20060101ALI20131001BHJP A61K 39/395 20060101ALI20131001BHJP A61K 38/00 20060101ALI20131001BHJP A61K 45/00 20060101ALI20131001BHJP A61K 39/00 20060101ALI20131001BHJP JPG01N33/53 YG01N33/574 DG01N33/543 597C12Q1/06A61P35/00A61K39/395 TA61K37/02A61K45/00A61K39/00 Z AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA EP2011066397 20110921 WO2012038463 20120329 31 20130319 4B063 4C084 4C085 4B063QA01 4B063QA19 4B063QQ08 4B063QR48 4B063QR56 4B063QS33 4B063QX02 4C084AA02 4C084AA17 4C084BA44 4C084NA05 4C084ZB261 4C084ZC201 4C085AA03 4C085AA14 4C085CC23 4C085EE01本発明は、腎細胞癌(RCC)または大腸癌(CRC)の鑑別診断、予後、およびモニタリングに対する骨髄細胞バイオマーカーの使用に関する。さらに本発明は、腎細胞癌(RCC)または大腸癌(CRC)治療の効果のモニタリング、および腎細胞癌(RCC)または大腸癌(CRC)治療による転帰の予後の確立に関する。本発明はさらに上記方法に使用する細胞性バイオマーカーパネル、特に前記バイオマーカーを測定する多色パネルに関する。本発明の目的のため、本明細書で引用されている全ての参考文献が、その全体の参照として組み込まれている。ヨーロッパでは、腎細胞癌(RCC)は男性で7番目に多い悪性腫瘍であり、毎年29,600症例が新たに発生している(全がん例の3.5%)。女性では毎年16,700症例が発生している(12番目に多く、全がん症例の2.3%を占める)RCCは40歳前では希であり、40歳以上では男性の発生は女性の2倍である。年齢別の発生率は、40歳未満では1年で10万人中2人未満でその後急激に増大し、65〜69歳では1年で10万人中38人、その後75歳を超えると1年で10万人中46人まで増大する。RCC患者の合計25〜30%が最初の発現で顕性転移を示す。腎臓癌患者の約1/3は時間経過により転移する。そのため、RCCの全患者の50〜60%近くが最終的に転移を示す。転移患者では、約75%が肺に、36%がリンパ節および/または軟組織に、20%が骨に、18%が肝臓に転移する。RCCは泌尿生殖器腫瘍の中でも最も致死率が高い悪性癌であり、5年生存率は65%で、これに比べ膀胱癌と前立腺癌の5年生存率はそれぞれ82%および100%である(米国の1972〜2001年のデータ)。腎臓癌の診断(1990〜1994年)後の、ヨーロッパの5年間(最大1999年まで)平均生存率は約58%であり、RCCは、数人の著者らにより予後が中等度にしかならないがんとして分類された。全体で、RCC患者の80%近くが死に至る。この数値は、再発に対する効果的で早期な臨床フォローアップと治療が医療的に強く必要とされていることを示している。対癌米国合同委員会(AJCC)は、TNM分類によるRCCの病期分類を確立した(Kidney. In: American Joint Committee on Cancer2002,TNM Classification of renal cell carcinoma)。腎細胞癌の病期分類システムは、腎臓以外に広がった腫瘍の度合いに基づいている。生存率は腫瘍と診断された時の病期に強く依存する。5年生存率は、遠隔転移の病変を有する患者ではたったの12%だが、限局性悪性腫瘍の患者では80%である。大腸(結腸直腸)癌(CRC)は、世界的に3番目に一般的ながんである。大腸癌は毎年新たに約100万症例が発生し、他の殆どの腫瘍とは異なり、発生数の男女差はあまりない(男女比1.2:1)。ヨーロッパでは、大腸癌は2番目に一般的ながんであり、男女合わせたがん関連死因の第2位であり、毎年約380,000症例が新たに発病し、がん関連死は約200,000例となっている。2002年の粗発生率は、男女それぞれで10万人中 88.3人および84.0人であり、粗死亡率は10万人中 34.8人および35.2人であった。これらのデータは、個人的および社会的負担の大きな原因として大腸癌の重要性を明かに反映している。大腸癌は疾病発現時の平均年齢が男女それぞれ69および75歳であるため、高齢集団のがんである。食事や生活スタイルの要因に加え(例、肥満、運動不足、喫煙、常習飲酒)、他のリスク要因には、大腸癌の家族性発症、遺伝性大腸癌(家族性腺腫性ポリポーシス[FAP]、弱毒FAP[弱毒大腸腺腫性ポリポーシス;AAPC]、遺伝性非ポリポーシス大腸癌[HNPCC]、過誤腫性ポリポーシス症候群)および潰瘍性大腸炎またはクローン病などの炎症性腸疾患がある。大腸癌は殆ど、直腸、S字結腸、横行/下行結腸、および上行結腸/盲腸の粘膜の腺癌として発生する。初期の大腸癌は最初の手術で治癒する可能性がある。しかし、遠隔転移すると、局所リンパ節、また肝臓、肺、および他の器官(中枢神経系など)に広がる。症状は詳細不明なため、大腸癌は比較的遅い段階で診断されることが多く、大腸癌患者の約25%が最初に医師の診察を受ける時点で転移している(mCRC)。切除可能な限局性大腸癌と新たに診断された患者のさらに30%が後に転移性再発を呈する。大腸癌はデューク分類の他に、AJCC(最新では2002年に改正)によって開発されたTNM分類によって通常病期が判定され、その分類によれば、原発腫瘍の浸潤の深さ、局所リンパ節転移の有無、および遠隔転移の有無によって癌を区分する。得られるカテゴリ数がかなり多くなるので、様々なカテゴリが病期I〜IVにグループ化されている。最近、病期IIIがさらにIIIAからIIICまで細分されたが、それは、これらの分類が有意な独立した予後共変量として確認されたためである。過去30年間、がん関連死亡率は連続して低下し続けている。それと同時に、男女全体の5年生存率は63%まで増大した。この生存率の増大は、外科的管理、局所的高リスクがんに対する術後補助療法、および進行性転移癌の集学的治療管理の改善に依るところが大きいと思われる。骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)は、cancer immune editing(腫瘍免疫編整)の生物学に関係していると論議されてきた免疫抑制特性を有する、骨髄細胞の数種類の細胞サブセットを説明する用語である。骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)は、実験モデルと患者の両方で腫瘍により誘発された免疫機能不全に寄与している。腫瘍保持マウスにおいて、MDSCは表現型が不均一な細胞であり、それらの細胞は、おそらく異なる成熟期で別の腫瘍によって生成される可溶性因子に依存しながらその表面マーカーが変化し、またがん患者内でも変化し、非常に効率よくT細胞機能を抑制する。腫瘍の増殖は、骨髄造血を刺激し、増殖因子とサイトカインの生成を通じ細胞分化に影響を与えることが知られている。Lechnerらは論文で(Lechner MG, Liebertz DJ, Epstein AL.Characterization of cytokine-induced myeloid-derived suppressor cells from normal human peripheral blood mononuclear cells.J Immunol.2010 Aug 15;185(4):2273-84.Epub 2010 Jul 19)、がん患者において MDSCの増加はより侵攻性の疾病と予後悪化に相関すると説明している。MDSC誘発性ヒト固形腫瘍株による15種の免疫因子(TGFβ、IL-1β、IL-4、IL-6,、IL-10,、GM-CSF、M-CSF、IDO、fms-関連チロシンキナーゼ 3 リガンド、c-kitリガンド、誘導性NO シンターゼ、アルギナーゼ-1、TNF-α、シクロオキシゲナーゼ2、血管内皮増殖因子[VEGF])の発現が、RT-PCRにより評価された。これらのデータに基づき次に、CD3/CD28刺激直後の自己ヒトT細胞の増殖抑制能力およびそれら自己ヒトT細胞によるIFNγ生成抑制能力を測定することにより、サイトカイン混合物について、健康ドナーPBMCからの抑制性CD33(+)細胞の生成能力をin vitroで検査した。著者らは、一部のサイトカインは、がん患者でMDSCの誘発を抑制する治療ターゲットになる可能性があると示唆している。Allanは論文(Nature Reviews Immunology 8, 828, November 2008)で、骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)は、腫瘍を持つホスト内でおよび炎症に反応して蓄積する免疫細胞の不均一集団であると説明している。MDSCのT細胞反応抑制能力は腫瘍拒絶を防ぐことが証明されてきているが、MDSCの蓄積および抑制機能の根拠となるメカニズムは不明である。腎細胞癌(RCC)および大腸癌(CRC)の診断と管理に関する上述の最新の進展にもかかわらず、診断の改善、特に鑑別診断、予後、作用のモニタリング、および腎細胞癌および/または大腸癌のベストな治療コースの理解を達成し、生存率をさらに改善し、必要としている人々の治療にうまく調整するために使用できるバイオマーカーが今もなお必要とされている。さらに、マーカーは、腎細胞癌または大腸癌の前記治療法の結果の予後も考慮に入れる必要がある。そのため、本発明の目的は、それぞれの生物学的マーカー、さらに診断、予後、および予測方法を提供することにある。本発明の第1の態様において、前記目的は、患者から得た末梢血単核細胞(PBMC)を含むサンプル中のMDSC集団内の1つ以上の骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)レベルを、1つ以上のMDSC表現型マーカーに基づき決定することを含む、がんの診断方法および/または予後方法を提供することにより解決され、ここで、前記マーカーは、CD15; IL4Ra; CD14; CD11b; HLA-DR; CD33; Lin; FSC; SSC; および選択的に、CD45; CD18; CD80; CD83; CD86; HLA-I; 生/死判別子からなるグループから選択され、ここで、非がん患者サンプルと比較した前記MDSC表現型レベルの増加は、がんを示すか、および/または前記がん治療予後指標となる。上述したようなマーカーすべてが最先端の技術として知られている。生/死判別子については、生細胞は完全な細胞膜を有しており、障害の起きた膜を有する細胞にのみ漏れるヨウ化プロピジウム(PI)のような色素を透過しない。チアゾールオレンジ*(TO)は透過性色素であり、生死を問わず様々な割合ですべての細胞に入り込む。グラム陰性菌と共に、EDTAによるリポ多糖類層を枯渇させると、TOの取り込みを大きく促進させる。そのため、これらの2つの色素の組み合わせは、生死細胞を識別する迅速で信頼性のある方法を提供している。バクテリア計数が重要ならば、フローサイトメトリビーズ標準法であるBD Liquid Counting Beads (BD Biosciences、カリフォルニア州、サンホセ市) を使って、サンプル中の生死および総バクテリア数を正確に定量できる。 他の生/死判別子は本明細書に記述されているか最新技術として知られており、例えば、Perfettoらによる文献(Perfetto SP, Chattopadhyay PK, Lamoreaux L, Nguyen R, Ambrozak D, Koup RA, Roederer M. Amine reactive dyes:an effective tool to discriminate live and dead cells in polychromatic flow cytometry.J Immunol Methods.2006 Jun 30;313(1-2):199-208.Epub 2006 May 19.)に記載されている。Peranzoniらの論文("Myeloid-derived suppressor cell heterogeneity and subset definition", Current Opinion in Immunology, Vol. 22, No. 2, epub Feb 2010, pages 238-244)では、CD15+/CD11B+/CD14集団が腎細胞癌患者で観察されると言及している。健常ドナーではこれらの集団は観察されず、異なる集団(CD14+ CD11b+ HLA-Drlo/neg)が言及されている。さらに、異なる集団(CD11b+ CD33+ CD15+)に対するワクチンプログラムのモニタリングが示されている。病期IからIVへの増悪傾向を示す患者では、異なる集団(Lin- HLA-DR- CD33+ CD11b+)が有意に増加することが示されている。S.Kusmartsevらの論文(S. Kusmartsev, et al., "Expansion of CD1 lb(+)CD33(low)CD15(high) immunosuppressive myeloid cell population in patients with bladder carcinoma", Proceedings of the American Association for Cancer Research Annual Meeting, Vol. 51, Apr 2010, pages 1291-1292)で、健常ドナーに比べがん患者では異なる集団(CD11b+ CD15hi CD33lo)の上昇があることを明らかにした。それに加え、免疫抑制へはin vitroのみで寄与することが示されている。WO 2010/055340 A1では、CD11+ CD15+ 集団が健常ドナーに比べ、がん患者で増加していると報告されている。Koらの論文(Ko et al., "Sunitinib mediates reversal of myeloid-derived suppressor cell accumulation in renal cell carcinoma patients.", Clinical Cancer Research, Vol. 15, No. 6, Mar 2009, page 2148 - 2157)では、2つのMDSC集団(CD14- CD15+ および CD33+ HLA-DR-)が健常対照ドナーに比べ増加していることが示された。これらの公表論文すべてが、全般的にMDSC集団の診断価値を暗示しているだけであり、予後または予測価値は暗示していない。Liu Chien-Ying らの論文(Liu Chien-Ying, et al., "Population alterations of l-arginase- and inducible nitric oxide synthaseexpressed CD11b(+)/CD14(-)/CD15(+)/CD33(+) myeloid-derived suppressor cells and CD8(+) T lymphocytes in patients with advanced-stage non-small cell lung cancer", Journal of Cancer Research and Clinical Oncology, Vol. 136, No. l, Jan 2010, pages 35-45 )では、NSCLC 患者の CD11b+/CD14- MDSC レベルは健常対照被験者に比べ増加していたことを公表している。 NSCLC 患者の CD11b+/CD14- MDSC レベルは、以前の化学療法が患者に有益であった場合は、低かった(PR+SD 対 PD:図 5A)。しかし、この分析は臨床的進行後に行われたので、予後的価値は推測することができない。さらに、この細胞集団でのCD15+とCD33+の発現はこの分析では使用されなかった。M Diaz-Montero らの論文(M Diaz-Montero, et al., "Increased circulating myeloid-derived suppressor cells correlate with clinical cancer stage, metastatic tumor burden, and doxorubicin-cyclophosphamide chemotherapy", Cancer Immunology Immunotherapy, Vol. 58, No. 1, Jan 2009, pages 49-59)では、新たに診断された(各種)がん患者のMDSCレベルが健常ドナーに比べ増加していたことを示している。高いMDSCレベルは、高い腫瘍病期と相関していた(図2B-C)。病期 IV患者内で、より腫瘍負荷の高い患者は高いMDSCレベルを示した(図3)。図5はMDSCレベルが異なるタイプの化学療法に影響されることを示している。しかし、治療への奏功の予測価値はそのデータから推測することはできない。S Mandruzzato らの論文(S Mandruzzato, et al., "IL4R alpha(+) Myeloid-Derived Suppressor Cell Expansion in Cancer Patients", Journal of Immunology, Vol. 182, No. 10, May 2009, pages 6562-6568)では、CD14+ (図 5A)、CD15+ (図 5B)、IL4Ra+ / CD14+ (図 2A) の集団が、健常ドナーに比べ患者のPBMC中で増加していることを示している。腫瘍との関連性は、大腸癌およびメラノーマ組織中のCD14+細胞について示されている(図5C-D)。これらのデータは、全般的にMDSC集団の診断価値を暗示しているだけであり、予後または予測価値は暗示していない。最後に、S Kusmartsevらの論文(S Kusmartsev, et al., "Reversal of myeloid cell-mediated immunosuppression in patients with metastatic renal cell carcinoma", Clinical Cancer Research, Vol. 14, No. 24, Dec 2008, pages 8270 - 8278)では、腎細胞癌患者PBMC中のLin- HLA-DR 細胞集団が健常ドナーより増加することを示している(図1B)。さらにその論文では、1つのLin- HLA-DR サンプルでのCD33+の発現を示している。これらのデータも、全般的にMDSC集団の診断価値を暗示しているだけであり、予後または予測価値は暗示していない。全般的に、本発明は特定のがんまたはがん病期に限定されない。それにもかかわらず、本発明に従う方法は好ましく、ここで前記がんは、免疫治療法によって治療されうるがんであり、好ましい選択肢は、腎臓細胞癌(RCC)、大腸癌(CRC)、胃癌(GC)、メラノーマ、および腺癌である。本発明の内容で分析されるサンプルは、被験者(がん患者または非がん患者または健常個人など)から得た時点でMDSCを含んだ生体サンプルとすることも可能である。好ましくは、前記サンプルは、全血、凍結全血、末梢血またはその分画、好ましくは末梢血単核細胞(PBMC)を含むバフィーコートのような血液サンプルである。RNAもこれらのいずれのサンプルから得ることも可能である。さらに、骨髄細胞は腫瘍組織または骨髄から単離することも可能である。本発明は、治療前のMDSCレベルが、IMA901-202(例えば、2007年6月2日から5日まで米国シカゴ市で開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年会で発表された)または本明細書で記載している他のIMAワクチンのような、抗がんワクチンで治療した免疫療法患者などを例とする、がん治療患者における免疫応答および/または臨床的奏功に関連するバイオマーカーであるという驚くべき発見に基づいている。さらに本発明は、がん患者、特に腎細胞癌では、治療前MDSCレベルが、健常ドナーおよび異なるサブグループの腎細胞癌患者(全患者、+Cy, -Cy、サイトカイン予備療法、TKI、ソラフェニブ、スニチニブ)と異なることを開示している。本発明はしたがって、がん、特に腎細胞癌および大腸癌に対する診断、予後、および予測マーカー、さらに前記マ−カーを測定する多色パネルに関する。骨髄細胞は骨髄幹細胞に由来し、赤血球、血小板、好中球、単球およびマクロファージ、好酸球、好塩基球、およびマスト細胞を含む。本発明の状況において、表1に示すように、PBMC分析後6種類のヒトMDSC表現型(MDSC1-6)が同定され、確認された。表1:PBMC中に発見され、主な文献で報告されたヒトMDSC表現型本発明に照らして、診断におけるMDSC表現型の迅速で有効な同定および特徴付けを提供するために、MDSC表現型マーカーパネル(またはセット)が確立された。これについて、異なる表現型について最も情報を与えるマーカーが下表2に示すように選択された。表2:優先順位順のヒトMDSCマーカーの選択(括弧内のマーカーは任意選択)そのため、好ましくは本発明に従う方法であり、ここで前記MDSC表現型は以下から選ばれる。a)MDSC1、マーカーIL4Ra+およびCD14+に基づき同定可能b)MDSC2、マ-カーIL4Ra+とCD15+に基づき同定可能c)マーカーIL4Ra+に基づき同定可能、および/またはマーカーIL4Ra+に基づきその他のMDSC2〜6または1と3〜6を識別可能であるMDSC1または2のグループd)MDSC3、マーカーLin-、HLA-DR-、およびCD33+に基づき、選択的にCD18+およびHLAI+も一緒に、同定可能e)MDSC4、マーカーCD14+、HLA-DR(-/lo)、FSChiおよびSSCimに基づき同定可能f)MDSC5、マーカーCD11b+、CD14-およびCD15+に基づき、選択的にFSChi、SSCim、CD80-、CD83-、CD86-およびHLA-DR-と一緒に同定可能g)CD15+、FSCloおよびSSChiに基づくMDSC6本発明に照らして、同定とは、MDSC表現型の同定または6つのMDSC表現型間の区別を意味する。当業者は、本明細書で提示したようなマ−カーに基づき、本明細書で述べるような6つのMDSC表現型のたった1つ、または2つ以上6つ未満が選択的に同定されると思われる場合に、有効なマ−カーパネルを作成できる。好ましい例は、MDSC5表現型であり、それを個別に同定することは、転帰に関する予後診断(表3参照)に、および/または以下に述べるようにシクロホスファミド投与前患者に有用である。本明細書に記載したような細胞マーカーは、最新技術の方法に従って同定可能である。好ましい例は、エピゲノミクス(すなわち、本明細書で記載したようなマーカー遺伝子、好ましくは、そのイントロン、エキソン、イントロン/エキソン境界配列、プロモータ、および5'-または3'-位UTRのメチル化解析)、トランスクリプトミクス、またはプロテオミクスである。さらに好ましくは、免疫染色、すなわちサンプル中の特異的マ−カーを検出する抗体に基づく方法である。免疫染色法の例は、フローサイトメトリ、ウェスタンブロッテイング、酵素免疫測定法(ELISA)、および免疫電子電子顕微鏡であり、好ましくはフローサイトメトリである。さらに好ましくは、本発明に従う方法であり、ここで前記方法は1段階多色染色からなるフローサイトメトリを有する。"多色"とは、下述のように異なる色素(特に蛍光色素)を使用することである。本発明の別の重要な態様では、本発明に従う方法はさらに予後も有し、ここで、サンプル中の治療前MDSCレベルに比べた前記MDSC表現型レベルの増加は、全生存率の短縮、腫瘍増殖または無増悪生存率に、好ましくは全生存率に関連する。表3は、本発明の基本となる試験群における、治療前MDSCレベルと全生存率との相関を示す。表3:治療前MDSCレベルと全生存率との相関(試験群サブグループ)MDSCレベルが評価可能な治験実施計画書に適合した対象集団について、リンパ球の%で表した治療前MDSCレベルと全生存率解析のハザード比の推定値(Cox比例ハザードモデル、推定ハザード比)およびp値(尤度比検定)を示す。太字は傾向(p<0.15)を、またはイタリック体は有意な相関(p<0.05)を示す。ハザード比>1(下線):高い値を有する患者はイベント発症までの時間が短い。Cy=シクロホスファミドによる前治療さらに好ましくは、本発明に従う(好ましくは予後的)方法であり、ここで前記MDSC表現型はMDSC2、3、4、5、および6から選択される。MDSC1レベルには患者と健常ドナー間には有意な差がなかったが、MDSC2、3、4、5、および6レベルは図2からわかるように健常ドナーに比べ患者ではかなり有意に増加することが分かり、ここでIMA901-202患者(点で示す)と年齢がマッチした健常ドナーの比較が、MDSC評価可能なで年齢70歳未満のITT集団の個別患者(N=52)、および健常ドナー(N=22)の治療前MDSCレベルに基づいて示されている。棒線は中央値を示し、p値はMann-Whitney両側検定によって計算された。本明細書で引用した文献に基づき、がんおよびその診断と治療に関する本発明の広範囲な応用を示し、ある種のがん患者グループ、特に腎細胞癌(RCC)、大腸癌(CRC)、胃癌(GC)、メラノーマ、および腺癌において、本明細書で記載のいくつかのMDSC表現型が同定された。そのため、好ましくは本発明に従う方法であり、ここで前記MDSC表現型はRCCあるいはCRC患者のMDSC1および/またはMDSC2から、病期III〜IVRCC患者のMDSC3から、病期IVメラノーマ患者のMDSC4から、転移性RCC患者のMDSC5から、および転移性腺癌患者のMDSC5から選択される。本発明の別の重要な態様において、本発明に従う方法は、本発明に従う方法によって、がん治療を受けている患者から得た生体サンプルにおける、1つ以上の骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)表現型のレベルを測定することを含み、ここで、前記MDSC表現型レベルの減少が、前記患者の前記がんの有効な治療法であることを示している。前記減少は対照群と比較して検出され、対照群は実際の診断シナリオに従って選択される。一例は非がん患者を考慮した対照であり、しかしながら、患者群内または群間で、他のがんおよび/または異なる遺伝的背景とを比較することも可能である。本発明のこの態様は、患者で発見された1つ以上の骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)表現型レベルに対する、適切ながん治療法の効果に基づいている。一般的に、前記MDSC表現型レベルの減少が、前記患者の前記がんの有効な治療法であることを示している。最も好ましくは、数種のMDSC表現型レベルの減少(1つ以上の骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)表現型の量および/または割合)が有効ながん治療法であることを示す。治療には予防的治療と急性治療があり、治療したがん疾患の寛解により評価できる。がん治療法は、各がんに適したいずれかの治療法から選択でき、例えば、抗がん剤による化学療法から、および/またはサイトカイン、ソラフェニブ、スニチニブ、シクロホスファミド、およびチロシンキナーゼ阻害薬((TKI))および/または免疫療法から選択するか、好ましくは抗がんワクチンの使用、例えば本明細書で記載のように選択的なGM-CSFの併用も有する。本発明の別の態様において、本発明に従う方法はさらに、1回以上前記測定ステップを繰り返すことからなる、前記がん治療法の前記がん患者への作用をモニタリングすることを含む。通常、モニタリングは治療中、毎週、隔週、またはさらに毎月など定期的間隔で実施される。本発明の別の重要な態様は、本発明に従う方法に関し、ここで、前記方法を実施時の前記患者は、サイトカイン、ソラフェニブ、スニチニブ、シクロホスファミド、およびチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)から選択した抗がん剤で前治療された。この例では、その好ましい実施形態において、本発明に従う方法はさらに患者へのがん治療効果の予後を含み、ここで、前記患者はシクロホスファミドによる前治療を受け、またここで、MDSC5表現型レベルが非治療または前治療済み患者のサンプルに比べて減少していることが、前記患者の前記がん治療法は有効であることを示している。本態様で、前記がん治療は、上述の化学療法から選択でき、好ましくは免疫療法であり、好ましくは抗がんワクチンの使用、選択的にGM-CSFの併用も有する。本発明に照らして、がん治療法は好ましくは抗がんワクチンの使用から成る免疫療法である。免疫療法およびそれぞれのワクチンは最新技術として説明され、がん患者の免疫療法は、腫瘍細胞に対抗し、免疫系の細胞、特にいわゆる細胞傷害性T細胞(CTL、「キラー細胞」、CD8陽性T細胞としても知られる)を特異的に活性化することを目的としているが、正常組織は標的としない。腫瘍細胞は腫瘍関連タンパク質が発現しているという点で、正常細胞とは異なる。細胞表面のHLA分子は外側に向かって細胞内容物を提示するため、細胞傷害性T細胞は正常細胞と腫瘍細胞を区別することができる。この事実は、細胞内の全てのタンパク質を短いペプチドに分解したことで理解され、この短いペプチドは、その後HLA分子に接着し、細胞表面に提示される(Rammensee etal.,1993)。腫瘍細胞に提示されるが、正常な体細胞には提示されないか、提示されたとしてもはるかに少ないペプチドは、腫瘍関連ペプチド(TUMAP)と呼ばれる。 腫瘍特異的Tリンパ球、つまりそのエピトープによって認識された抗原は、酵素、受容体、転写因子など、あらゆるタンパク質クラスに由来する分子である可能性がある。しかし、1種類のCTLをプライミングしても、通常は全ての腫瘍細胞を除去するには不十分である。腫瘍は非常に変異原性が高いため、タンパク質パターンを変化させ、CTLによる認識を逃れることで、CTLの攻撃に急速に反応することができる。腫瘍の回避メカニズムに抵抗するため、様々な特異的ペプチドがワクチンに使用されている。このようにして、いくつかのCTLクローンを同時に用い、腫瘍に対して広範囲に同時攻撃を開始することができる。これにより、腫瘍が免疫応答を逃れる可能性を低下させる。この仮説は、最近、末期メラノーマ患者を治療した臨床試験で確認された。わずかに例外はあるものの、少なくとも3回明確なT細胞応答が示された患者は、客観的な臨床的奏功または病態安定(Banchereauetal.,2001)を示し、生存年数が長くなるが(J.Banchereauとの私信)、T細胞応答が3回未満の患者は、大部分が進行性疾患と診断された。本発明法に照らして使用される好ましい薬剤は、腫瘍ワクチンである。他の好ましい薬剤は、DNAまたはRNA系ワクチンであり、例えばWeideらが述べたようなものである(Weide B, Garbe C, Rammensee HG, Pascolo S. Plasmid DNA- and messenger RNA-based anti-cancer vaccination. Immunol Lett. 2008 Jan 15;115(1):33-42. Epub 2007 Oct 26)。 前記薬剤は患者、患部の器官、または全身に直接i.d.、i.m.、s.c.、i.p.およびi.v.投与するか、または、その後患者に投与される患者またはヒト細胞株に由来の細胞にex vivoで適用するか、あるいはin vivoで使用して、その後患者に再投与される患者由来の免疫細胞の亜集団を選択する。ペプチドは実質的に純粋であるか、免疫刺激アジュバント(以下参照)と併用されるか、または免疫刺激的サイトカインと併用される、あるいはリポソームなど適当な送達システムとして投与される。ペプチドはまた、キーホールリンペットヘモシアニン(HLH)またはマンナンなどの適切なキャリアに接合させることもできる(WO 95/18145 および Longenecker et al (1993)参照)。ペプチドはまた標識化され、あるいは融合タンパク質であるか、ハイブリッド分子である。その配列が本発明で与えられるペプチドは、CD4またはCD8T 細胞を刺激することが期待される。 しかしながら、CD4T-ヘルパー細胞により提供される助けがあると、CD8CTL の刺激はより効率的になる。 したがって、CD8 CTL を刺激する MHC クラス I エピトープに対し、融合パートナーまたはハイブリッド分子のセクションは、CD4 陽性 T 細胞を刺激するエピトープを適切に提供する。 そのため、ハイブリッド分子の融合パートナーまたはセクションは、CD4+ T 細胞を刺激するエピトープを適切に提供する。 CD4+ 刺激エピトープは、該分野でよく知られており、破傷風トキソイドで確認されたものを含む。 さらに好ましい実施形態では、ペプチドは融合タンパク質であり、特に HLA-DR 抗原関連不変異体鎖(Ii)の N-末端アミノ酸からなる。 1 つの実施形態では、本発明のペプチドは、短縮型ヒトタンパク質またはタンパク質フラグメントの融合タンパク質であり、ヒトの一部に 1 つ以上の本発明アのミノ酸配列を含むならば、別のポリペプチドの一部である。 ワクチンを使用するため、1個または複数のアジュバントを含む。好ましいアジュバンドはイミキモド、レシキモド、GM-CSF、シクロホスファミド、スニチニブ、ベバシズマブ、インターフェロンα、CpGオリゴヌクレオチドと誘導体、poly-(I:C)および誘導体、RNA、シルデナフィル、およびPLGまたはビロソームの粒子製剤である。述べたように、この薬剤は、皮下、皮内、筋肉内、腹腔内などの非経口投与、または経口投与に用いられる。このため、ペプチドおよび任意選択の他の分子は、薬剤的に認容可能な、好ましくは水性担体に溶解または懸濁される。更に、前記組成物は緩衝剤、結合剤、爆破剤、希釈剤、香料、潤滑剤などの賦形剤を含むこともできる。前記ペプチドは、サイトカインなどの免疫刺激物質と併用投与することもできる。そのような組成物に使用できる賦形剤の広範なリストは、例えばA. Kibbeの文献(A. Kibbe, Handbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd Ed. 2000, American Pharmaceutical Association and pharmaceutical press) などから引用することができる。 前記組成物は、例えば腎細胞癌や大腸癌のような、がん疾患の予防、阻止および/または治療に利用することができる。 本発明に照らして使用されるワクチンの典型的なペプチド組み合わせを、下表 4A から 4D にリストし、本明細書ではそれぞれ IMA901、IMA910、IMA941、IMA950 と指定する。表 4A IMA901 (例、腎臓癌に使用)表 4B IMA910 (例、大腸癌に使用)表 4C IMA941 (例、胃癌に使用)表 4D IMA950 (例、神経膠芽細胞腫に使用)そのため、本発明に従う方法の好ましい別の態様において、前記抗がんワクチンは、配列ID番号1〜10、配列ID番号11〜19と1、5、8、および9、配列ID番号20〜29、さらに配列ID番号30〜37から選択される配列を有する免疫原性ペプチド混合物から成る抗がんワクチンから選ばれる。上述したように、前記ワクチンは好ましくはGM-CSFのようなワクチンを含み、選択的に追加バッファーおよびコントロールペプチド(例、ウィルス性ペプチド)を含む。本発明のさらに別の好ましい態様は、1つまたは別々の容器内で、本明細書で記載の本発明に従う方法を実施するための材料から成り、CD15、IL4Ra、CD14、CD11b、HLA-DR、CD33、Lin、およびCD45に特異的な、さらに選択的にCD18、CD80、CD83、CD86、HLA-DR、HLA-Iに特異的な1つ以上の抗体から成り、選択的に前記方法を実施するための指示も添付された、診断キットに関する。本発明はキットも含み、(a)上述の免疫原性TAAペプチドおよび/または抗体の組成物(溶液または凍結乾燥物)を含む容器と、(b)選択的に、凍結乾燥調製物の希釈剤あるいは再溶解溶液を含む第2容器と、(d)選択的に、(i)溶液の使用、または(ii)凍結乾燥調製物の再溶解および/または使用の説明とを有するキットを含む。前記キットはさらに、(i)緩衝液、(ii)希釈剤、(iii)フィルタ、(iv)針もしくは(v)注射器を1つまたは複数を含んでもよい。前記容器は好ましくはボトル、バイアル、シリンジ、または試験管、さらに多目的容器であってもよい。薬剤組成物は、好ましくは凍結乾燥される。容器はガラスもしくはプラスチックのような様々な材料から形成される。好ましくは、前記キットおよび/または容器は、再溶解および/または使用の方法を示す容器に関する説明書、あるいはその容器に関連する説明書を含む。例えば、凍結乾燥調製物が、診断およびサイトメトリのような上記方法に最適な、ある種の抗体またはペプチド濃度に再構成されていることを、ラベルで示してもよい。好ましくは、本発明に従う診断キットであり、ここで、抗体はQ605、V450、AF700、APC-H7、PE-Cy7、FITCおよびAqua dye(例、Invitrogen製LIVE/DEAD登録商標 Fixable Aqua Dead Cell Stain Kit )から選択した蛍光色素で標識される。 さらに好ましくは、CD15、IL4Ra、CD14、CD11b、HLA-DR、CD33、Lin、および選択的に、CD45、CD18、CD80、CD83、CD86、HLA-I および生/死判別子の各マーカーに特異的な 1 つ以上の抗体から成るキットである。もっとも好ましくは、CD15-V450、CD124-PE、CD11b-AF700、CD14-APC-H7、CD33-PE-Cy7、CD3-FITC、CD19-FITC、CD56-FITC、CD14-FITC、および選択的にLive-Dead Aqua dye および CD45-Q605 から選択した1つ以上の抗体から成るキットである。本発明のさらに別の好ましい態様は、a)前記がん患者への抗がんワクチンの投与、b)がん治療中の前記患者から得た生体サンプルでの本発明に従う実施、ここで、治療前の患者サンプルに比べた前記MDSC表現型レベルの減少は、がん患者の免疫応答の誘発を示す、c)選択的にステップb)で得た結果に基づくステップa)の繰り返しから成る、がん患者の免疫応答を誘発する方法に関する。発明者の知識によれば、腎細胞癌のようながんにおいて、広範囲な骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)表現型が初めて系統的に分析可能となる。6つの異なるMDSC集団があらかじめ定義された。全集団が相関しており、5/6MDSC集団はがん患者において健常ドナーに比べかなり有意に増加していた。興味深いことに、低レベルのMDSCはシクロホスファミドの治療後、複数の免疫応答に関連していた。さらに、MDSCレベルと全生存率に有意性の高い逆の相関が認められた。したがって、MDSCは腎細胞癌および大腸癌の診断、予後、および予測マーカーである。本発明のさらに別の好ましい態様は、がん治療中の前記患者の生体サンプルから本発明に従う方法により決定した、1つ以上の前記MDSC表現型レベルを前記治療前の患者サンプルに比べ減少させる、前記がん患者に最適な抗がん薬を投与することから成る、必要とするがん患者を治療する改善された方法に関する。前記治療は免疫療法(または第一選択療法)、または必要に応じてアジュバント療法を行う前の前治療とすることが可能である。MDSCの数および/または集団を変更する最適な方法、およびMDSC経路に影響する他の方法も、Ugel ら (Ugel S, Delpozzo F, Desantis G, Papalini F, Simonato F, Sonda N, Zilio S, Bronte V. Therapeutic targeting of myeloid-derived suppressor cells. Curr Opin Pharmacol. 2009 Aug;9(4):470-81. Epub 2009 Jul 16.)によって説明されており、さらに本発明に照らして当業者が使用可能である。がん治療法は、それぞれのがんに適したいずれかの治療法から選択でき、例えば、抗がん剤による化学療法から、および/またはサイトカイン、ソラフェニブ、スニチニブ、シクロホスファミド、およびチロシンキナーゼ阻害薬((TKI))から選択するか、および/または好ましくは抗がんワクチンを使用し、例えば本明細書で記載のように選択的にGM-CSFを併用する免疫療法から選択される。本発明のさらに別の好ましい態様は、a)前記がん患者への抗がんワクチンの投与、b)がん治療中の前記患者から得た生体サンプルでの本発明に従う方法において、治療前の患者サンプルに比べた前記MDSC表現型レベルの減少が、前記がん患者の前記がん治療法および/または治療改善法を暗示する方法の実施、c)選択的にステップb)で得た結果に基づくステップa)の繰り返しから成る、それを必要とするがん患者のがんを治療する改善方法に関する。本発明のこれらの治療法の態様において、本発明に従う方法は、がんの治療法、特にがんの免疫療法の改善された治療オプションを提供するために使用される。本発明に従う方法は、がんの免疫学的治療法の必要性と効果に関する、追加の初期情報を提供し、よって前記がんのさらなる治療に関するより詳細な決定を可能にする。したがって、ステップb)および選択的にステップc)を1回以上繰り返すことから成り、さらに前記がん患者の免疫応答および/または免疫治療のモニタリングを有する、好ましくは上述の方法である。本発明に従う方法はまた、現在の治療法のさらなる転帰に関する予後の改善を可能にし、ここで、サンプル中の治療前MDSCレベルに比べた、前記MDSC表現型レベルの増加は、全生存率の短縮、腫瘍の増殖、または無増悪生存率に関係する。さらに、このことは前記がんのさらなる治療法に関するより詳細な決定を可能にする。上述したように、上述の免疫療法ワクチンに加え、好ましい治療または前治療は、サイトカイン、ソラフェニブ、スニチニブ、シクロホスファミド、およびチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)から選択する抗がん剤から選ぶ。治療されるがんは、免疫療法に奏功するすべてのがんであり、好ましくは、腎細胞癌(RCC)、大腸癌(CRC)、胃癌(GC)、メラノーマ、および腺癌から選ぶ。本明細書で公表および報告された本発明の特徴は、明示された各々の組み合わせで使用されるだけでなく、本発明で意図する範囲から逸脱せずに、単一の方法で使用することもできる。本発明では、配列リストに関してはここに示す例でその詳細を説明する。以下の例は説明の目的のみで提供され、本発明を限定する意図はない。図1は対応するゲーティング法による典型的なMDSC染色を示す。同一のゲートをすべてのサンプルに使用した。MDSC1-2およびリンパ球は、一重項と生存リンパ球のサブ集団としてゲートされたが、一方、MDSC3-6は一重項のサブ集団としてゲートされた。同上図2a)〜2f)は、IMA901-202患者と年齢がマッチした健常ドナーの比較を示す。MDSCが評価可能で年齢70歳未満(N=52)のITT集団と健常ドナー(N=22)の個別患者の治療前MDSCレベルを示す。棒線は中央値を示し、p値はMann-Whitney両側検定によって計算された。同上配列リストで、配列ID番号:1〜配列ID番号:37は、本発明に照らして使用するために好ましいワクチンに含まれるようなTUMAPを示す。フローサイトメトリのパネルは、1回の多色染色によって6種類のすべてのMDSC集団が同定可能になるように確立された。このアッセイは、検査したIMA901-202 ITT 集団の利用可能な治療前患者サンプルのすべて(利用可能N=67、評価可能N=61)、マッチする健常ドナーサンプル(利用可能N=22、評価可能N=22)について実施された。 試験患者および年齢のマッチした健常ドナーの比較治療前レベルの健常ドナーとの比較では、70歳未満のintention-to-treat(ITT)患者のみを選択し、最年長健常対照ドナーとマッチさせた。得られた患者(N=52)と健常ドナー(N=22)群の年齢、性別、およびCMV血清反応陽性を合わせた。MDSC1レベルは患者と健常ドナー間で異なる一方、MDSC2、3、4、5および6は、健常ドナーと比較し、患者において大きく有意に増加することが分かった。ベースラインパラメータとMDSCレベルの相関MDSC評価可能なITT集団(N=61)内で、両試験群(+または-Cy)のMDSC1〜6レベルを合わせたため、有意な差を示さなかったことが分かった。ソラフェニブの治療前投与は、治療前MDSC2レベルの有意な低下と関連していた(p=0.0278[Mann-Whitney検定];MDSC1レベルと同じ傾向)。これらのデータは、ソラフェニブが骨髄成熟過程に影響を与える可能性があるという仮説と一致している。関連があると考えられる事前の所見は、ソラフェニブが、PI3とMAPキナーゼ、およびNFκBシグナル伝達の阻害により、in vitroでヒトDCの成熟を阻害することを示したことである。治療前MDSCレベルと免疫応答の相関治療前MDSCレベルと免疫応答の相関は、Per Protocol PP 患者集団において、評価可能な治療前MDSCレベルと評価可能な全免疫応答(N=54)を利用して解析した。サブグループ解析は、CYの前治療の有/無に関して実施した。免疫応答の増加と治療前MDSC1-6レベルの低下との全体的な関連性は、全PP患者集団で認められなかった。興味深いことに、CYサブグループのみで、複数のTUMAPに対する免疫応答がMDSC5レベルの低下に関連する強い傾向があった(p=0.0524;両側Mann-Whitney 検定)。 表5:治療前MDSCレベルと全生存率との相関(試験群サブグループ)MDSCレベルが評価可能な治験実施計画書に適合した対象集団中で、リンパ球の%としての治療前MDSCレベルと全生存率の解析のHR推定値(Cox比例ハザードモデル、推定ハザード比)およびp値(尤度比検定)を示す。イタリック数字は傾向を示す(p<0.15)。太字数値はハザード比>1を示す。高い値の患者ではイベント発生までの時間が短い。治療前MDSCレベルと臨床的奏功の相関全PP患者集団の治療前MDSCレベルを全生存率と比較すると(評価可能N=57)、いくつかの有意な相関(MDSC4、5)と傾向(MDSC3、6)が認められた。仮説通り、治療前MDSCレベルの増加は常に全生存率の短縮に関連していた。そのため、MDSCの明確なバイオマーカーの役割が、疾患の予後徴候となるか、またはIMA901治療への応答を予測する、IMA901-202で確認された。いくつかのMDSC表現型について、予後的vs予測的マーカーを区別する傾向は、IMA901への免疫応答を呈した患者およびCYで前治療した患者においてより顕著であり、このことは、おそらく、(この例では)IMA901により誘発されるT細胞応答の機能性を阻害することより、IMA901誘発T細胞応答の有効性に影響を与える、予測バイオマーカーとしての役割を示している。アッセイ治療前の一時点で試験可能な全IMA901-202患者から得たPBMC、つまりマッチした健常ドナーPBMCおよび内部標準PBMC(治療前データセット)を使用し、IMA901-202サンプルについて、(予め定義したように)アッセイを実施した。本アッセイでは、冷凍保存したPBMCを解凍し、凝集を防ぐためヌクレアーゼでインキュベートした。細胞は最初に生/死判別色素で染色した。次いで後続のFcを介した結合を低減させるためにhIgGで細胞を遮断した。細胞は続いて、蛍光色素で標識した抗CD15、CD11b、CD124、CD14、CD33、CD3、CD19、CD56およびCD45抗体で表面を染色した。赤血球溶解後、細胞をホルムアルデヒドで固定した。青、紫、赤および緑レーザー、最適二色性ミラーと全色素用バンドパスフィルタを備えたBDLSRIISORP装置で測定を実施した。装置の最適設定値が使用され、装置の自動較正は各実験前に実施し、アッセイ間の比較可能性を確保した。主なデータ解析はFlowJo8.8.6で実施した。同一ゲートがすべてのサンプルおよび両アッセイ間の解析に使われた。サンプルは、75,000個以上の生CD45+リンパ球が計測された場合に評価可能とした。得られたデータの統計学的解析は、GraphPad Prism 4 および Statgraphics Centurion XV を使って実施した。材料と方法末梢血単核細胞(PBMC)は、標準のFicoll勾配分離によってヘパリン添加血液サンプルから8時間以内に得て、バッチ分析前に冷凍保存した。PBMCのMDSCレベルを定量するために、サンプルを解凍し、PBS(Lonza、ドイツ、コローニュ)で2回洗浄し、4℃30分間PBSで希釈した死亡細胞色素Live/Dead Aqua (Invitrogen、ドイツ、カルルスルーエ) で染色した。それ以降のステップではすべて染色バッファーはPBEAであり、これはPBSで、0.5%BSA(Sigma-Aldrich、Taufkirchen、ドイツ、タウフキルヘン),2mMEDTA (Roth、ドイツ、カルルスルーエ)および10mg/mlアジ化ナトリウム(Merck、ドイツ、ダルムシュタット)が添加された。細胞はさらに洗浄した。Fc受容体の遮断は、室温で15分間0.29mg/ml hIgG (AbD Serotec、ドイツ、デュッセルドルフ)でインキュベートして行った。細胞は次いで0.29mg/ml hIgG共存下4℃30分間、抗体CD45 Q605 (Invitrogen)、CD15 V450、CD124 PE、CD11b AF700、CD14 APC-H7、CD33 PE-Cy7、CD3 FITC、CD19 FITC、CD56 FITC、CD14 FITC (すべてBD製) で染色した。Mandruzzato S, Solito S, Falisi E, Francescato S, Chiarion-Sileni V, Mocellin S, Zanon A, Rossi CR, Nitti D, Bronte V, Zanovello P (2009). IL4Ralpha+ myeloid-derived suppressor cell expansion in cancer patients. J Immunol. 182, 6562-6568.Kusmartsev S, Su Z, Heiser A, Dannull J, Eruslanov E, Kubler H, Yancey D, Dahm P, Vieweg J (2008). Reversal of myeloid cell-mediated immunosuppression in patients with metastatic renal cell carcinoma. Clin Cancer Res. 14, 8270-8278.Mirza N, Fishman M, Fricke I, Dunn M, Neuger AM, Frost TJ, Lush RM, Antonia S, Gabrilovich DI (2006). All-trans-retinoic acid improves differentiation of myeloid cells and immune response in cancer patients. Cancer Res 66, 9299-9307.Filipazzi P, Valenti R, Huber V, Pilla L, Canese P, Iero M, Castelli C, Mariani L, Parmiani G, Rivoltini L (2007). Identification of a new subset of myeloid suppressor cells in peripheral blood of melanoma patients with modulation by a granulocyte-macrophage colony-stimulation factor-based antitumor vaccine. J Clin Oncol 25, 2546-2553.Schmielau J, Finn OJ (2001). Activated granulocytes and granulocyte-derived hydrogen peroxide are the underlying mechanism of suppression of t-cell function in advanced cancer patients. Cancer Res. 61, 4756-4760.Zea AH, Rodriguez PC, Atkins MB, Hernandez C, Signoretti S, Zabaleta J, McDermott D, Quiceno D, Youmans A, O'Neill A, Mier J, Ochoa AC (2005). Arginase-producing myeloid suppressor cells in renal cell carcinoma patients: a mechanism of tumor evasion. Cancer Res. 65, 3044-3048.患者から得た生体サンプル中の MDSC 集団中の 1 つ以上の骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)レベルを、1 つ以上の MDSC 表現型マーカーに基づき決定することから成る、がんの診断および/または予測のための検査方法において、前記マーカーは、CD15、IL4Ra、CD14、CD11b、HLA-DR、CD33、Lin、FSC、SSC、および選択的に、CD45、CD18、CD80、CD83、CD86、HLA-I、生/死判別子から成るグループから選択され、非がん患者サンプルと比較した前記 MDSC 表現型レベルの増加は、がんを示すか、および/または前記がん治療の予後指標となる、がんの診断および/または予測のための検査方法。 請求項1に記載の方法において、前記がんは、腎細胞癌(RCC)、大腸癌(CRC)、胃癌(GC)、メラノーマ、および腺癌から選択されるものである方法。請求項1または2に記載の方法において、前記MDSC表現型は、マーカーIL4Ra+およびCD14+に基づくMDSC1、マーカーIL4Ra+およびCD15+に基づくMDSC2、マーカーIL4Ra+に基づくMDSC1または2、マーカーLin-、HLA-DR-、およびCD33+に基づき、選択的にCD18+およびHLAI+を併用するMDSC3、マーカーCD14+、HLA-DR(-/lo)、FSChi、およびSSCimに基づくMDSC4マーカーCD11b+、CD14-、CD15+に基づき、選択的にFSChi、SSCim、CD80-、CD83-、CD86-およびHLA-DR-を併用するMDSC5、およびマーカーCD15+、FSClo、およびSSChiに基づくMDSC6から選択されるものである方法。請求項1〜3のいずれか一に記載の方法において、前記方法は1つの多色染色ステップを含むフローサイトメトリを有するものである方法。さらに治療の予測を含む請求項1〜4のいずれかに記載の方法において、前記サンプル中の治療前MDSCレベルに比べた、前記MDSC表現型レベルの増加が、全生存率の短縮、腫瘍の増殖、または無増悪生存率に関係する方法。請求項5に記載の方法において、前記MDSC表現型はMDSC2、3、4、5および6から選択されるものである方法。請求項1〜6のいずれか一に記載の方法において、前記MDSC表現型はRCCあるいはCRC患者のMDSC1および/またはMDSC2から、病期III〜IVRCC患者のMDSC3から、病期IVメラノーマ患者のMDSC4から、転移性RCC患者のMDSC1〜MDSC6および好ましくはMDSC5から、転移性腺癌患者のMDSC5から選択されるものである方法。請求項1〜7に記載の方法において、前記生体サンプルは、末梢血単核細胞(PBMC)、例えば、全血、末梢血、またはその分画であるバッフィーコート、腫瘍組織、および骨髄を含むサンプルから選択されるものである方法。がん治療中の患者から得た生体サンプル中で請求項1〜8のいずれか一に記載の方法に従って、1つ以上の骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)表現型レベルを決定することを有し、患者のがん治療の効果を検出する方法において、非治療患者サンプルに比べた前記MDSC表現型レベルの減少が、前記患者の前記がんの有効な治療法を暗示する方法。請求項9記載の方法において、前記患者はサイトカイン、ソラフェニブ、スニチニブ、シクロホスファミド、およびチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)から選ばれる抗がん剤で治療または前治療されるものである方法。さらに患者へのがん治療効果の予測を含む請求項10に記載の方法において、前記患者はシクロホスファミドによる治療または前治療を受け、また、非治療または前治療済み患者のサンプルと比べたMDSC5表現型レベルの減少が、前記患者の前記がん治療法は有効であることを暗示する方法。さらに、前記がん治療の効果をモニタリングすること、1回以上前記測定ステップを繰り返すことを含む請求項9〜11のいずれか一に記載の方法。請求項9〜12のいずれか一に記載の方法において、前記がん治療は、好ましくは抗がんワクチンの使用を含み、選択的にGM-CSFを併用する、化学療法および/または免疫療法から選択されるものである方法。請求項13に記載の方法において、前記抗がんワクチンは、配列ID番号1〜10、配列ID番号11〜19と1、5、8、および9、配列ID番号20〜29、さらに配列ID番号30〜37から選択される配列を有する免疫原性ペプチド混合物からなる抗がんワクチンから選ばれるものである方法。選択的に前記方法を実施するための説明書が添付され、CD15、IL4Ra、CD14、CD11b、HLA-DR、CD33、Lin、およびCD45に、さらに選択的にCD18、CD80、CD83、CD86、HLA-DR、およびHLA-Iに特異的な1つ以上の抗体を含み、1つまたは別々の容器で請求項1〜14のいずれか一に記載の方法を実施する材料を有する診断キット。請求項15に記載の診断キットにおいて、前記抗体はQ605、V450、AF700、APC-H7、Cy7およびFITCから選択されるサイトメトリマ-カーで標識されるものである診断キット。CD45 Q605、CD15 V450、CD124 PE、CD11b AF700、CD14 APC-H7、CD33 PE-Cy7、CD3 FITC、CD19 FITC、CD56 FITCおよびCD14 FITCから選択される1つ以上の抗体を含む、請求項15または16に記載の診断キット。がん患者の免疫応答を誘発する方法であって、a)前記がん患者への抗がんワクチンの投与、b)がん治療中の前記患者から得た生体サンプルで請求項1〜8のいずれか一に記載の方法を実施し、治療前の患者サンプルに比べた前記MDSC表現型レベルの減少が、がん患者の免疫応答の誘発を暗示する方法の実施、c)選択的にステップb)で得た結果に基づきステップa)を繰り返すことを含む方法。がん治療中の前記患者の生体サンプルから請求項1〜8のいずれか一に記載の方法により決定した、1つ以上の前記MDSC表現型レベルを前記治療前の患者サンプルに比べ減少させる、前記がんに最適な抗がん薬を投与することから成る、必要とするがん患者の治療を改善する方法。それを必要とするがん患者のがんを治療する改善された方法であって、a)前記がん患者への抗がんワクチンの投与、b)がん治療中の前記患者から得た生体サンプルで請求項1〜8のいずれか一に記載の方法を実施し、治療前の患者サンプルに比べた前記MDSC表現型レベルの減少が、前記がん患者の前記がんの治療を暗示する方法の実施、c)選択的にステップb)で得た結果に基づきステップa)を繰り返すことを含む方法。さらに前記がん患者の免疫応答および/または免疫治療のモニタリングを含み、ステップb)および選択的にステップc)を1回以上繰り返すことから成る、請求項18〜20のいずれか一に記載の方法。請求項18〜21のいずれか一に記載の方法において、前記患者はさらに抗がん剤、サイトカイン、ソラフェニブ、スニチニブ、シクロホスファミド、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)を用いた化学療法から選ばれる抗がん剤により治療または前治療されるものである方法。請求項18〜22のいずれか一に記載の方法において、前記がんは、腎細胞癌(RCC)、大腸癌(CRC)、胃癌(GC)、メラノーマ、および腺癌から選択されるものである方法。 本発明は、腎細胞がん(RCC)または大腸がん(CRC)の鑑別診断、予後、およびモニタリングを目的とした骨髄細胞バイオマーカーに関する。さらに本発明は、腎細胞がん(RCC)または大腸がん(CRC)の治療法の効果のモニタリング、および腎細胞がん(RCC)または大腸がん(CRC)の治療法による転帰の予後の確立に関する。本発明はさらに上記方法に使用する細胞バイオマーカーパネル、特に前記バイオマーカーを測定する多色パネルに関する。【選択図】なし 配列表