生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_レンチウイルスベクターの安定な産生
出願番号:2013526470
年次:2013
IPC分類:C12N 15/09,C12N 5/10


特許情報キャッシュ

ボヴォレンタ,キアーラ ストナイユオロ,アンナ リッツァルディ,パオロ マヴィリオ,ファルヴィオ JP 2013537801 公表特許公報(A) 20131007 2013526470 20110901 レンチウイルスベクターの安定な産生 モルメド エスピーエー 506368992 平木 祐輔 100091096 藤田 節 100118773 新井 栄一 100122389 田中 夏夫 100111741 ボヴォレンタ,キアーラ ストナイユオロ,アンナ リッツァルディ,パオロ マヴィリオ,ファルヴィオ EP 10175088.3 20100902 C12N 15/09 20060101AFI20130910BHJP C12N 5/10 20060101ALI20130910BHJP JPC12N15/00 AC12N5/00 102 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA EP2011065090 20110901 WO2012028681 20120308 41 20130426 4B024 4B065 4B024AA01 4B024AA20 4B024BA80 4B024CA01 4B024EA02 4B024GA11 4B024HA17 4B065AA90X 4B065AA95X 4B065AB01 4B065AC14 4B065AC20 4B065BA02 4B065CA24 4B065CA44 本発明は遺伝子治療用レンチウイルスベクター(LV)の産生に関する。さらに特に、本発明は安定なレンチウイルスパッケージング細胞株、ならびに構造および調節レンチウイルスタンパク質の安定な組込みのためにハイブリッド・バキュロ−アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いてパッケージング細胞株を製造する方法に関する。 史上初の2001年のAIDSに対するLV第I相臨床試験以後、遺伝子送達ビヒクルとしてHIV系LVを使用する38件の第I〜II相および2件の第II〜III相試験が行政機関の精査を受けており、そのうちの3件はなお審査中である。最も多数の試験には一遺伝子障害が含まれ、多いのは、例えばクーリー貧血またはβサラセミアメジャー(4件)である。癌および感染性疾患(ほとんどはHIV-1感染)がそれに続く。一般に、第I/II相に登録される患者数は限られるが、第III相においてはそうでない。従って、将来望まれる多数の達成可能な第III相試験用のLV大量生産需要に対処するために、第2(LTRに基づく)および第3(SINに基づく)LV世代に対する安定なパッケージング細胞株が緊急に必要である。一過性プロトコルに基づくLV産生は、安全、コストおよび再現性の点で世界的に応用するには全く非実用的である。 増加する確証は、LV、すなわち、最も新しく開発された遺伝子治療用ウイルス組込みベクターが最終的に分化したまたは分裂中の細胞のどちらにも広く応用可能であり、長期トランスジーン発現の持続に理想的であり、そして最初恐れられたよりも安全であることを示す。過去20年間にわたりモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)γ-レトロウイルスベクター(γRV)で蓄積された経験がLV送達系における迅速な進歩を手引きし、その開発はレトロウイルスが非分裂細胞を形質導入する能力を持たないことを克服する必要から始まったものである。特に、自己不活化(SIN)導入ベクターの作製は、効率の高い製造プロセスの拡大と最適化ができれば、ヒト臨床試験におけるLVの大量使用の見込みをさらに実現可能にする[1]。しかし、いくつかのヒトおよびマウスの市販パッケージング細胞株により産生することができるγRVとは対照的に、LVは現在研究グレードだけでなく、GMPグレードについてもほとんど独占的に一過性形質導入により産生されている。この技法は高価であり、標準化およびスケールアップが難しく、かつ多数の下流の確証試験を必要とする。さらに、パッケージングおよび導入ベクター構築物中のウイルス配列間の組換えを通して生じうる複製コンピテントレンチウイルス(RCL)のリスクは、稀であるが安定な産生よりも一過性産生中に多く起こりうる事象である。 レトロウイルスと等価の安定なLV用のパッケージング細胞株の開発は時間がかかりかつ困難であることが判っており、その理由は、γレトロウイルスとは対照的に、レンチウイルスのタンパク質、例えば、env、プロテアーゼおよびいくつかのアクセサリータンパク質の発現はヒト細胞にとって有毒であるからである。この問題を克服するために、極く初期バージョンのパッケージング細胞に存在したアクセサリー遺伝子はその後、最近の世代では除去された。第1世代のSIV-およびHIV-系LVパッケージング細胞株はパッケージングシグナルの除去などの少数の重要な改変を行ったレンチウイルスゲノムを用いて遺伝子操作で作られたサルVero、またはヒトCOS、HeLaおよびHEK293接着細胞から得られた[2〜5]。gp120 envおよびほとんどのアクセサリー遺伝子は事実上維持された。得られるLV力価は非常に低く[2〜5]、そしてさらに重要なのは、これらのベクターの応用の可能性は必然的に抗-AIDS遺伝子治療手法のためのCD4+T細胞に限られた。その後、効率的なLV産生のために不必要であることが証明されたので、gp120 envは小胞口内炎ウイルス(VSV-G)由来の糖タンパク質で置き換えられ、また全てのアクセサリー遺伝子は除去された。VSV-Gについても記載された毒性を防止するため、その発現は様々な異なる系、例えば、Tet、エクジソン、rev、およびTetとキュメート(cumate)の組み合わせなどにより条件付きで誘導された[20]。同様に、クローン選択中のウイルスプロテアーゼの有毒な効果を減ずるために、Tet、およびドキシサイクリンとキュメート薬物の組み合わせによる、gag-pol遺伝子の条件付き発現が記載されている[7]。全てのこれらの系において、gag-pol、revおよびenv遺伝子はプラスミドDNAの一過性トランスフェクションにより組み込まれ、次いで薬物選択および細胞クローニングが行われた。 真に安定なパッケージング細胞株を満たすための重要な事象の1つは最良のウイルス遺伝子送達ビヒクルの選択である。ほとんどの研究者はgag-pol、revおよびenv遺伝子をプラスミドDNAの一過性トランスフェクションにより組込み、次いで薬物選択および細胞クローニングを行った[7-10]。この技法は、時間とともに、遺伝子サイレンシングおよび遺伝子喪失に悩まされ[11]、これらは両方ともパッケージングクローンの長期安定性を危うくしうることは公知である。 代わりの遺伝子送達ビヒクルは特にSTAR[12]においておよび、さらに最近開発されたGPRG-TL-20[6]パッケージング細胞株(ここでは、gag、polおよびrev遺伝子はMLV-シャトルベクターによりHEK293T細胞中に組み込まれた)において開示されている。再コードしたgag-pol遺伝子の2コピーが安定してSTARに組み込まれたが、GPRG-TL-20 [6]についてはかかる情報は得られてない。env遺伝子がトランスフェクトされたSTARとは対照的に、GPRG-TL-20では、全ての残りのウイルス遺伝子はSIN-MLVにより導入された。 外来ゲノムの宿主細胞中への安定な組込みを可能にするいくつかの系が存在する。Palomboら、1998[13]は宿主細胞中へ特異的に組込むためのハイブリッドバキュロウイルス-AAVベクターを開示している。かかるベクターは、もし前記ハイブリッドバキュロウイルス-AAVベクターにrep遺伝子が含まれれば、非常に有効であるらしい。この参考文献において、本発明の構築物の記載はなく、ましてこの種のLV産生用の系の示唆もない。 過去ほとんど20年間にわたり、安定なLVパッケージング細胞株を作製するいくつかの企てがなされている。今日まで開示された色々な技法にも関わらず、これらのパッケージング細胞株はどれも臨床試験に採用されていないしまたはまだ市場を占めてない。それ故に、生産能力の点で有効でありかつ安全、費用効果的かつ再現性のある新しいLV大規模産生系が必要である。Schambach, A., and Baum, C. (2008). Clinical application of lentiviral vectors - concepts and practice. Curr Gene Ther 8: 474-482.Carroll, R., Lin, J. T., Dacquel, E. J., Mosca, J. D., Burke, D. S., and St Louis, D. C. (1994). A human immunodeficiency virus type 1 (HIV-1)-based retroviral vector system utilizing stable HIV-1 packaging cell lines. J Virol 68: 6047-6051.Yu, H., Rabson, A. B., Kaul, M., Ron, Y., and Dougherty, J. P. (1996). Inducible human immunodeficiency virus type 1 packaging cell lines. J Virol 70: 4530-4537.Poeschla, E., Corbeau, P., and Wong-Staal, F. (1996). Development of HIV vectors for anti-HIV gene therapy. Proc Natl Acad Sci U S A 93: 11395-11399.Corbeau, P., Kraus, G., and Wong-Staal, F. (1996). Efficient gene transfer by a human immunodeficiency virus type 1 (HIV-1)-derived vector utilizing a stable HIV packaging cell line. Proc Natl Acad Sci U S A 93: 14070-14075.Throm, R. E., et al. (2009). Efficient construction of producer cell lines for a SIN lentiviral vector for SCID-X1 gene therapy by concatemeric array transfection. Blood 113: 5104-5110.Broussau, S., et al. (2008). Inducible packaging cells for large-scale production of lentiviral vectors in serum-free suspension culture. Mol Ther 16: 500-507.Srinivasakumar, N., Chazal, N., Helga-Maria, C., Prasad, S., Hammarskjold, M. L., and Rekosh, D. (1997). The effect of viral regulatory protein expression on gene delivery by human immunodeficiency virus type 1 vectors produced in stable packaging cell lines. J Virol 71: 5841-5848.Kaul, M., Yu, H., Ron, Y., and Dougherty, J. P. (1998). Regulated lentiviral packaging cell line devoid of most viral cis-acting sequences. Virology 249: 167-174.Cockrell, A. S., Ma, H., Fu, K., McCown, T. J., and Kafri, T. (2006). A trans-lentiviral packaging cell line for high-titer conditional self-inactivating HIV-1 vectors. Mol Ther 14: 276-284.Bestor, T. H. (2000). Gene silencing as a threat to the success of gene therapy. J Clin Invest 105: 409-411.Ikeda, Y., Takeuchi, Y., Martin, F., Cosset, F. L., Mitrophanous, K., and Collins, M. (2003). Continuous high-titer HIV-1 vector production. Nat Biotechnol 21: 569-572.Palombo, F., Monciotti, A., Recchia, A., Cortese, R., Ciliberto, G., and La Monica, N. (1998). Site-specific integration in mammalian cells mediated by a new hybrid baculovirus-adeno-associated virus vector. J. Virol. 72: 5025-5034. 本発明はレンチウイルスベクター(LV)産生の分野に関する。いくつかの遺伝子治療の臨床試験がLVを遺伝子送達ビヒクルとして使って進行中である。全てのこれらの試験において、LV産生はまだ一過性プロトコルに基づいている。 本発明はHIV-1-系パッケージング細胞株を作製する新しい戦略を提供する。かかる戦略は、AAV ITRに隣接した組込みカセットを含有するバキュロウイルス主鎖を含むハイブリッドベクター、いわゆるバキュロ-AAVハイブリッド系の、repタンパク質をコードするプラスミドと組み合わせての使用に基づく。この系は構造および調節HIV-1タンパク質gag/polおよびrevの安定な組込みを得ることを可能にする。本発明の系は、a)2つの発現カセット、すなわち、レンチウイルスのgagおよびpol遺伝子をコードするものと他のレンチウイルスのrevおよび選択マーカーをコードするものを含有することを特徴とするバキュロ-AAVハイブリッドベクター、および、b)repタンパク質をコードするプラスミドを含む。提起した系は、宿主細胞をかかるレンチウイルスタンパク質で安定してかつ効果的に遺伝子操作するために、構造および調節HIV-1タンパク質を送達する新しくかつ有利な道を表す。この系を用いて、構造および調節HIV-1タンパク質gag/polおよびrevだけを含む第1の中間体を得た、またはこれを出発点として用いて、それぞれ調節タンパク質(tat)と目的のエンベロープタンパク質を含むかまたはエンベロープタンパク質だけを含む、第2および第3世代パッケージング細胞株、ならびに導入ベクターも含むプロデューサー細胞株を得た。 第1中間体はHIV-1 gag-polおよびrev遺伝子をトリシストロンの立体配置で発現する2コピーの組換えバキュロ-AAVパッケージング構築物を運ぶ。かかる中間体はPK-7と呼ばれて、実施例におけるPK-7を意味する。ITR-介在型AAVベクター組込みに必要であることが公知のAAV rep78タンパク質の一過性発現により、バキュロ-AAVパッケージングベクターのゲノム組込みを促進した[14]。かかる第1中間体は1年間の培養に対して驚くべき遺伝安定性を有することを示し、これは残存する遺伝エレメントの一過性トランスフェクション後の機能的LVの連続産生を証明した。さらに、かかる細胞においてサイレンシング現象は観察されなかった。さらに、非コード遺伝子内の転写活性領域中の2つの直列に組み込まれたパッケージングAAVの組込み部位を正確にマッピングすることにより、本発明者らは、そのmRNAがLVにそして究極的には宿主細胞に組み込まれうる危険遺伝子の活性化の可能性に対する安全性の論拠を与えた。 第1中間体から、第2および第3世代安定パッケージング細胞株を得ることができる。特に、本発明によれば、第3世代パッケージング細胞株は、第1中間体であるPK-7中に目的のエンベロープタンパク質、例えば、MLV 4070 env、RD114 envまたはGALV envレトロウイルスまたはその誘導体を安定して組み込むことにより得ることができる。安定な組込みはSIN-LV送達を用いて得ることができるが、他の遺伝子送達ビヒクルを用いてもよい。本発明者らは、実施例においてPK-7-RDと呼ぶ関連パッケージング細胞株を、ネコ内因性レトロウイルスおよびMLV 4070 env[15]の細胞質尾部から誘導したエンベロープの細胞外および膜貫通ドメインを含有するキメラエンベロープタンパク質RD114-TRを組み込むことにより得た。RD114-TRキメラエンベロープタンパク質組込みはSIN-LV送達により得た。 第2および第3世代プロデューサー細胞株を得る目的で、SIN-Tat、SIN-Envおよび導入ベクターまたはSIN-Envおよび導入ベクターだけをそれぞれ経時的送達により組み込んだ。概念的に、1つのベクターの組込みはその時点では時間がかかるが、相同組換えとそれによるRCL形成のリスクを減ずる。 ハイブリッドバキュロ-AAVベクターの使用に基づく、レンチウイルスgag-polおよびrevを安定発現するために開発されたパッケージング系は「Mol-Pack」と呼び、その故に、この系で開発されかつエンベロープおよび調節タンパク質としてそれぞれRD114-TRおよびtat、ならびに治療遺伝子としてChim3を含有する第2世代プロデューサー細胞株は、実施例においてRD2-MolPack-Chim3と呼ぶ。 注目すべきこととして、RD2-MolPack-Chim3クローンから誘導されたLVの力価はHEK293T対照細胞から産生されたLVの力価より2-log以上高く、RD2-MolPack-Chim3は一過性プロトコルにより産生された対応するLVより以上に機能的なLVを作製してコスト的に有利でありかつ安全な安定プロデューサー細胞株による産生のさらなる利点を有することを示す。発明の表明 本発明の第1の態様によれば、i. 第1の発現カセットがレンチウイルスのgagおよびpol遺伝子をコードしかつ第2の発現カセットがレンチウイルスのrevおよび選択マーカーをコードする2つの発現カセットを含むAAV ITRに隣接した組込みカセットを含有するバキュロウイルス主鎖を含むハイブリッドベクター;およびii. プロモーターの調節下にあるAAV Repオープンリードフレーム(ORF)を含有する発現プラスミドから成るレンチウイルスの構造および調節タンパク質を安定発現する系が提供される。 好ましくは、ハイブリッドベクターの2つの発現カセットはテール・ツー・テール(tail-to-tail)配向であり、それぞれが構成的プロモーターおよびポリAにより駆動され、好ましくは、プロモーターはCMV、CMV IE、PGK、SV40、eF1α、SFFVおよびRSVから選択され、より好ましくは、プロモーターはCMV IEプロモーターである。 本発明の好ましい態様によれば、選択マーカーはハイグロマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、またはゼオマイシン耐性遺伝子から選択され、より好ましくは選択マーカーはハイグロマイシン耐性遺伝子である。 好ましくは、選択マーカーは内部リボソーム侵入部位(IRES)の下流にクローニングされる。 好ましくは、AAV repタンパク質はrep78またはrep68から選択される。より好ましくはrepタンパク質はrep78である。 本発明の他の態様によれば、レンチウイルスのgag polおよびrevを安定して発現する細胞から成る半-安定レンチウイルスパッケージング細胞株であって、かかる細胞はそのゲノム中に安定して組み込まれた少なくとも1コピーのAAV ITRに隣接した組込みカセットを含有し、この組込みカセットは第1の発現カセットがレンチウイルスのgagおよびpol遺伝子をコードしかつ第2の発現カセットがレンチウイルスのrevおよび選択マーカーをコードする2つの発現カセットを含むことを特徴とする、前記細胞株が提供される。 好ましくは、細胞は好ましくはHEK293、HEK293-T、HEK293-SF、TE671、HT1080またはHeLaから選択されるヒト細胞株、より好ましくは細胞株はHEK293-Tである。 好ましくは、2つの発現カセットはテール・ツー・テール配向であり、それぞれが構成的プロモーターおよびポリAにより駆動され;、好ましくは、プロモーターはCMV CMV IE、PGK、SV40、eF1α、SFFVおよびRSVから選択され、より好ましくは、構成的プロモーターはCMV IEプロモーターである。 本発明の好ましい態様によれば、選択マーカーはハイグロマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、またはゼオマイシン耐性遺伝子から選択され;より好ましくは選択マーカーはハイグロマイシン耐性遺伝子である。より好ましくは、選択マーカーはIRESの下流にクローニングされる。 好ましくは、AAV repタンパク質はrep78またはrep68から選択される。より好ましくはrepタンパク質はrep78である。 本発明の他の態様によれば、安定なレンチウイルスパッケージング細胞株を得る方法であって、i. 第1の発現カセットがレンチウイルスのgagおよびpol遺伝子をコードしかつ第2の発現カセットがレンチウイルスのrevおよび選択マーカーをコードする2つの発現カセットを含むAAV ITRに隣接した組込みカセットを含有するバキュロウイルス主鎖を含むハイブリッドベクター(A)を調製するステップ;およびii. プロモーターの調節下にあるAAV rep ORFを含有する発現プラスミド(B)を調製するステップiii. 細胞を発現プラスミドBでトランスフェクトし、続いて細胞をハイブリッドベクターAに感染させるステップiv. 細胞を選択用の抗生物質の存在のもとで培養するステップv. 安定してgag、polおよびrevタンパク質を発現する細胞を得るステップvi. 細胞にenv遺伝子を組み込むステップvii. 細胞を培養してgag、pol、revおよびenvタンパク質を安定して発現する細胞株を得るステップを含むものである前記方法である。 本発明の他の態様によれば、安定なレンチウイルスパッケージング細胞株を得る方法であって、i. 第1の発現カセットがレンチウイルスのgagおよびpol遺伝子をコードしかつ第2の発現カセットがレンチウイルスのrevおよび選択マーカーをコードする2つの発現カセットを含むAAV ITRに隣接した組込みカセットを含有するバキュロウイルス主鎖を含むハイブリッドベクター(A)を調製するステップ;およびii. プロモーターの調節下にあるAAV rep ORFを含有する発現プラスミド(B)を調製するステップiii. 細胞を発現プラスミドBでトランスフェクトし、続いて細胞をハイブリッドベクターAに感染させるステップiv. 細胞を選択用の抗生物質の存在のもとで培養するステップv. 安定してgag、polおよびrevタンパク質を発現する細胞を得るステップvi. かかる細胞にレンチウイルスのtat遺伝子を組み込むステップvii. 細胞を培養してgag、pol、revおよびtatタンパク質を安定して発現する細胞株を得るステップviii. かかる細胞にenv遺伝子を組み込むステップix. 細胞を培養してgag、pol、rev、tatおよびenvタンパク質を安定して発現する細胞株を得るステップを含むものである前記方法である。 好ましくは、ハイブリッドベクターの2つの発現カセットはテール・ツー・テール(tail-to-tail)配向であり、それぞれが構成的プロモーターおよびポリAにより駆動され、好ましくは、プロモーターはCMV、CMV IE、PGK、SV40、eF1α、SFFVおよびRSVから選択され、より好ましくは、構成的プロモーターはCMV IEプロモーターである。 好ましくはtat遺伝子はHIV-1 tatである。 本発明の好ましい態様によれば、選択マーカーはハイグロマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ゼオマイシン耐性遺伝子から選択され;好ましくは選択マーカーはハイグロマイシン耐性遺伝子であり、より好ましくは。IRESの下流にクローニングされる。 好ましくは、env遺伝子は宿主細胞に、AAVベクター、レトロウイルスベクター、安定なプラスミド組込みまたは相同性組換えを用いて組み込まれる。より好ましい態様によれば、env遺伝子はSINレンチウイルスベクターを用いて組み込まれる。 好ましくは、env遺伝子はMLV 4070 env、RD114 env、キメラエンベロープタンパク質RD114-TR、キメラエンベロープタンパク質RD114-pro、バキュロウイルスGP64 envまたはGALV envまたはそれらの誘導体から選択され;より好ましくは、env遺伝子はキメラエンベロープタンパク質RD114-TRをコードする遺伝子である。 好ましい実施形態においては、キメラエンベロープタンパク質RD114-TRの安定な組込みのために、5'から3'末端へCMVプロモーター、その配列中にRREエレメントを含有するβ-グロビンイントロン、およびRD114-TR ORFを含有する発現カセットを含むSINレンチウイルスベクターを提供する。 好ましくは、AAV repタンパク質はrep78またはrep68から選択される。より好ましくは、repタンパク質はrep78である。 本発明の他の態様によれば、i. 第1の発現カセットがレンチウイルスのgagおよびpol遺伝子をコードしそして第2の発現カセットがレンチウイルスのrevおよび選択マーカーをコードする2つの発現カセットを含む、AAV ITRに隣接した組込みカセットの少なくとも1つのコピーii. envの少なくとも1つのコピー:を安定してそのゲノム中に組み込んで含有する、安定なレンチウイルスパッケージング細胞株を提供する。 本発明の同じ態様によれば、上記の安定なレンチウイルスパッケージング細胞株はさらに、安定してそのゲノム中に組み込まれたHIV-1-tat遺伝子の少なくとも1つのコピーを含む。 好ましくは、細胞はヒト細胞株、好ましくは、細胞株はHEK293、HEK293-SF、HEK293-T、TE671、HT1080またはHeLaから選択され、より好ましくは、細胞株はHEK293-Tである。 好ましくは、組込みカセットの2つの発現カセットはテール・ツー・テール配向であり、それぞれが構成的プロモーターおよびポリAにより駆動され、好ましくは、プロモーターはCMV、CMV IE、PGK、SV40、eF1α、SFFVおよびRSVから選択され、より好ましくは、プロモーターはCMV IEプロモーターである。 本発明の好ましい態様によれば、選択マーカーはハイグロマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、またはゼオマイシン耐性遺伝子から選択され、好ましくは、選択マーカーはハイグロマイシン耐性遺伝子であり、より好ましくは、選択マーカーはIRESの下流にクローニングされる。 好ましくは、env遺伝子は宿主細胞に、AAVベクター、レトロウイルスベクター、安定なプラスミド組込みまたは相同性組換えを用いて組み込まれる。より好ましい態様によれば、env遺伝子はSINレンチウイルスベクターを用いて組み込まれる。 好ましくは、env遺伝子はMLV 4070 env、RD114 env、キメラエンベロープタンパク質RD114-TR、キメラエンベロープタンパク質RD114-pro、バキュロウイルスGP64 envまたはGALV envまたはそれらの誘導体から選択され;より好ましくは、env遺伝子はキメラエンベロープタンパク質RD114-TRをコードする遺伝子である。 本発明の他の態様によれば、レンチウイルスベクターを産生する方法であって、i. 第1の発現カセットがレンチウイルスのgagおよびpol遺伝子をコードしそして第2の発現カセットがレンチウイルスのrevおよび選択マーカーをコードする2つの発現カセットを含む、AAV ITRに隣接した組込みカセットの少なくとも1つのコピー;およびenvの少なくとも1つのコピーを安定して含有する安定なレンチウイルスパッケージング細胞株を培養するステップ;ii. その安定なパッケージング細胞株に導入ベクターを挿入するステップを含む前記方法が提供される。 好ましくは、2つの発現カセットはテール・ツー・テール配向であり、それぞれが構成的プロモーターおよびポリAにより駆動され、好ましくは、プロモーターはCMV CMV IE、PGK、SV40、eF1α、SFFVおよびRSVから選択され、より好ましくは、プロモーターはCMV IEプロモーターである。 好ましくは、選択マーカーはハイグロマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、またはゼオマイシン耐性遺伝子から選択され、より好ましくは、選択マーカーはハイグロマイシン耐性遺伝子であり、より好ましくは、選択マーカーはIRESの下流にクローニングされる。 好ましくは、env遺伝子はVSV-G env、MLV 4070 env、RD114 env、キメラエンベロープタンパク質RD114-TR、キメラエンベロープタンパク質RD114-pro、バキュロウイルスGP64 envまたはGALV envまたはそれらの誘導体から選択され;より好ましくは、env遺伝子はキメラエンベロープタンパク質RD114-TRをコードする遺伝子である。 本発明の他の態様によれば、i. 第1の発現カセットがレンチウイルスのgagおよびpol遺伝子をコードしそして第2の発現カセットがレンチウイルスのrevおよび選択マーカーをコードする2つの発現カセットを含む、AAV ITRに隣接した組込みカセットの少なくとも1つのコピーii. envの少なくとも1つのコピー:iii. 導入ベクターを安定してそのゲノム中に組み込んで含有する、プロデューサー細胞株が提供される。 本発明の同じ態様によれば、上記のプロデューサー細胞株はさらに、安定してそのゲノム中に組み込まれたレンチウイルスのtat遺伝子を含む。 好ましくは、細胞はヒト細胞株、好ましくは、細胞株はHEK293、HEK293-T、HEK293-SF、TE671、HT1080またはHeLaから選択され、より好ましくは、細胞株はHEK293-Tである。 好ましくは、組込みカセットの2つの発現カセットはテール・ツー・テール配向であり、それぞれが構成的プロモーターおよびポリAにより駆動され、好ましくは、プロモーターはCMV、CMV IE、PGK、SV40、eF1α、SFFVおよびRSVから選択され、より好ましくは、プロモーターはCMV IEプロモーターである。 本発明の好ましい態様によれば、選択マーカーはハイグロマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、またはゼオマイシン耐性遺伝子から選択され、より好ましくは、選択マーカーはハイグロマイシン耐性遺伝子であり、より好ましくは、選択マーカーはIRESの下流にクローニングされる。 好ましくは、env遺伝子は宿主細胞に、AAVベクター、レトロウイルスベクター、安定なプラスミド組込みまたは相同性組換えを用いて組み込まれる。より好ましい態様によれば、env遺伝子はSINレンチウイルスベクターを用いて組み込まれる。 好ましくは、env遺伝子はMLV 4070 env、RD114 env、キメラエンベロープタンパク質RD114-TR、キメラエンベロープタンパク質RD114-pro、バキュロウイルスGP64 envまたはGALV envまたはそれらの誘導体から選択され;より好ましくは、env遺伝子はキメラエンベロープタンパク質RD114-TRをコードする遺伝子である。 他の態様によれば、レンチウイルスベクターを産生する方法であって、i. 第1の発現カセットがレンチウイルスのgagおよびpol遺伝子をコードしそして第2の発現カセットがレンチウイルスのrevおよび選択マーカーをコードする2つの発現カセットを含む、AAV ITRに隣接した組込みカセットの少なくとも1つのコピーii. envの少なくとも1つのコピー:iii. 目的の遺伝子をコードする導入ベクターの少なくとも1つのコピーを安定してそのゲノム中に組み込んで含有する、プロデューサー細胞株を培養するステップを含むものである前記方法が提供される。 好ましくは、2つの発現カセットはテール・ツー・テール配向であり、それぞれが構成的プロモーターおよびポリAにより駆動され、好ましくは、プロモーターはCMV、CMV IE、PGK、SV40、eF1α、SFFVおよびRSVから選択され、より好ましくは、プロモーターはCMV IEプロモーターである。 好ましくは、選択マーカーはハイグロマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、またはゼオマイシン耐性遺伝子から選択され、より好ましくは、選択マーカーはハイグロマイシン耐性遺伝子であり、より好ましくは、選択マーカーはIRESの下流にクローニングされる。 好ましくは、env遺伝子はVSV-G env、MLV 4070 env、RD114 env、キメラエンベロープタンパク質RD114-TR、キメラエンベロープタンパク質RD114-pro、バキュロウイルスGP64 envまたはGALV envまたはそれらの誘導体から選択され;より好ましくは、env遺伝子はキメラエンベロープタンパク質RD114-TRをコードする遺伝子である。RD-MolPack開発の模式図。(a)本研究に用いたDNAプラスミドの模式図による表現。pPolh、ポリヘドリンプロモーター;attB1、アタッチメントB1;ITR、逆方向末端反復;CMV、サイトメガロウイルスプロモーター;In、イントロン;RRE、rev応答エレメント;A、ポリA配列;IRES、内部リボソーム侵入部位;SD、スプライスドナー;SA、スプライスアクセプター;Ψ、パッケージングシグナル;WPRE、ウッドチャック肝炎転写後調節エレメント;cPPT、中央ポリプリン配列;hPGK、ヒトホスホグリセリン酸キナーゼプロモーター。(b)AAV-GPRベクターのRep78介在型ゲノム組込みの一例。AAV Rep78はITR-隣接AAV-GPRカセットの切除を促進しかつそのヒト染色体中への組込みを容易にする。(c)第2または第3世代RD-MolPack安定パッケージング細胞株の開発戦略のフローチャート。(図1−1の続き)PKクローンの特徴付け。(a) AAV-GPRベクター組込みのサザンブロット分析である。カセットのコピー数と完全性を確立するために、PKクローンから誘導したゲノムDNA(μg)を2つの異なる制限酵素、BamHIおよびSnaBIでそれぞれ消化した。(b) GPRカセットから産生したウイルスタンパク質のウェスタンブロット分析である。左パネル、PKクローンから得た細胞抽出物(50μg/レーン)を、HIV-1タンパク質を認識する抗-HIV-1ヒト血清とハイブリダイズさせた。メンブランを逐次、抗-rev特異的Abとハイブリダイズさせた。右パネル、PKクローンから産生されたウイルス様粒子(VLP)の30 ng p24Gag等価物を細胞抽出物と同一の方法で処理した。(c) 位置2q32.1における染色体2のロングアームのDNA切断点を特定するLM-PCR技法によるGPR-カセット組込みの模式図によるマッピングである。(d) AAV-GPRカセットとヒトHox4遺伝子の染色体2中への共局在化を示す。PK-7分裂中期染色体のin situハイブリダイゼーションをgag特異的(赤色)およびHox4特異的(緑色)プローブをそれぞれ用いて行った。(e) PK-7クローン中の2つのGPR組込みカセットの再配置およびそれらのテール・ツー・ヘッド配向の模式図表現である。PK-7-Tatクローン中のTatの発現。(a) PK-7-Tat原体細胞および5つの誘導されたクローンから得た核抽出物(50μg/レーン)のウェスタンブロット分析である。メンブランを抗tat特異的Abとハイブリダイズし、そしてストリッピング後に抗YY1Abとハイブリダイズした(ここで、抗YY1Abは内部対照としての構成的核転写因子、YY1を検出する)。(b) 選択したクローンからのper細胞ベースで発現されたp24 gagの産生をELISAにより測定した。(c) SIN-LV-Tat、SIN-LV-RD114-TRおよびLTR-LV-Chim3ベクターの完全性に対するRD2-MolPack-Chim3.14のゲノムDNAのサザンブロット分析である。TaqMan PCRにより計算した3ベクターのベクターコピー数を括弧内に示した。(d) ほとんど2か月間、凡例に示した異なるFCS%で培養したRD2-MolPack-Chim3.14細胞の細胞生存率のグラフである。RD114-TRエンベロープ発現の分析。(a) 色々な構築物からのRD114-TR発現を検出するウェスタンブロットアッセイである。PK-7細胞をCMV-RD114-TRプラスミド(レーン1)で一過性にトランスフェクション(TF)し、そして対応する全細胞抽出物をポジティブ対照として用いた。SIN-RD114-TR(レーン2および3)、pIRES-RD114-TR-WTおよびpIRES-RD114-TR-CO(コドン最適化)(レーン4および5)、SIN-RD114-TR-IN(レーン6および7)SIN-RD114-TR-IN-RRE(レーン8および9)、SIN-RD114-WT-TR-IN-RREおよびSIN-RD114-TR-CO-IN-RRE(レーン12および13)をPK-7細胞中にトランスフェクトするかまたはまたは導入ベクターとしてHEK293Tの標準三重トランスフェクションにより作製したVSV-G偽型LV中にパッケージングした。次いでLVを含有するSIN-RD114-TRを用いてPK-7細胞をスピノキュレート(spinoculate)した(TD)。レーン1〜9、12および13は細胞抽出物(50μg/レーン)に対応し;レーン10および11はLVに対応する(30ng p24gag-等価/レーン)。フィルターを、前駆体(PR)および膜貫通体(TM)を認識するがキメラエンベロープの表面(SU)サブユニットを認識しない抗-RD114-TR Abで探索した。TM*バンドはウイルスのプロテアーゼ依存性切断後に得た短い膜貫通サブユニットに対応する。(b) 3つのPK-7-Tat7-RDクローン中のRD114-TR エンベロープ のウェスタンブロット分析である。左パネル、細胞抽出物(40μg/レーン)を抗-RD114-TR Abで探索した。ストリッピング後に、メンブランを抗-p24gag AbとハイブリダイズしてRD114-TR per p24gag レベルの相対的比率を評価した。右パネル、PK-7-Tat-RD クローンから産生したLVの30 ng p24gag-等価体を細胞抽出物と同様に処理した。括弧内の数字は組み込まれたSIN-RD114-TR-IN-RRE ベクターのコピーを示す。(c) 3つのPK-7-RDクローン中のRD114-TRエンベロープのウェスタンブロット分析である。左パネル、細胞抽出物(40μg/レーン)を抗-RD114-TR Abで探索した。ストリッピング後に、メンブランを抗-p24gag Abとハイブリダイズした。右パネル、PK-7-RD クローンから産生したLVの30 ng p24gag-等価体を細胞抽出物と同様に処理した。括弧内の数字は組み込まれたSIN-RD114-TR-IN-RREベクターのコピーを示す。(d) 3つのPK-7-RD26サブクローン中のRD114-TRエンベロープのウェスタンブロット分析である。左パネル、細胞抽出物(40μg/レーン)を抗-RD114-TR Abで探索した。ストリッピング後に、メンブランを抗-p24gag Abとハイブリダイズした。右パネル、PK-7-RD26サブクローンから産生したLVの30 ng p24gag-等価体を細胞抽出物と同様に処理した。括弧内の数字は、左パネルでは、組み込まれたSIN-RD114-TR-IN-RREベクターのコピーを示し、右パネルでは、SIN-GFP導入ベクターのトランスフェクション後のサブクローニングから作製されたLVの力価を示す。バキュロ-AAV-GPRゲノムDNAのおよびRep78推定残留DNA組込みの分析。(a) 組換えバキュロウイルス-AAV DNAのサザンブロット分析である。DNAをバキュロウイルス 粒子から抽出し、一晩、MluI 制限酵素で消化し、ブロットした後、11-kb GPRカセット特異的プローブで探索した。エントリー-GPRプラスミド(1pg)およびバキュロウイルス空DNA(100ng)をそれぞれポジティブおよびネガティブ対照として装填した。(b) PK-7細胞中への推定残留rep78 プラスミド DNA 組込みの検出である。Rep78特異的PCRをサンプルテンプレートとしてPK-7ゲノムDNAおよびポジティブ対照としてCMV-Rep78(1pg)プラスミドを用いて行った。SIN-RD114-TRおよびSIN-RD114-TR-INベクターの転写。エキストラRevプラスミド(2.5μg)の存在(レーン2および4)または非存在(レーン1および3)のもとでの、SIN-RD114-TRベクターのHEK293T細胞中への一過性トランスフェクション後のRD114-TR RNAの発現のノーザンブロット分析である。共トランスフェクション後48時間に、全RNA(5μg)をHEK293T細胞から抽出し、特異的RD114-TRプローブとハイブリダイズした。FLはSIN-RD114-TR-INベクターの全長であり;Exp. FLはβ-グロビンイントロンの存在の故にSIN-RD114-TRより800-bp長いと予想される全長である。550-bp RD114-TR断片を特異的プローブとして用いた。発明の詳細な説明 本発明の好ましい特徴および実施形態の詳細な説明を非限定の例を用いて説明しよう。 当業者は、特に断らない限り、化学、分子生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学の通常の技法を使うことにより本発明を実施に移すことができる。全てのかかる技法は、出版されている文献に開示されかつ説明されている。例えば、J. Sambrook, E. F. Fritsch, and T. Maniatis, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Books 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubel, F.M. et al. (1995 and periodic supplements; Current Protocols in Molecular Biology, ch. 9, 13, and 16, John Wiley & Sons, New York, N.Y.);Current Protocols in Immunology, ch. 12, John Wiley & Sons, New York, N.Y.);B. Roe, J. Crabtree, and A. Kahn, 1996, DNA Isolation and Sequencing: Essential Techniques, John Wiley & Sons; J . M. Polak and James O'D. McGee, 1990, In Situ Hybridization: Principles and Practice; Oxford University Press;M. J . Gait (Editor), 1984, Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IrI Press;および、D. M. J. Lilley and J. E. Dahlberg, 1992, Methods of Enzymology: DNA Structure Part A: Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology, Academic Press.を参照されたい。全てのこれらの出版物は参照により組み込まれる。バキュロ-AAVハイブリッド系 本発明はHIV-1-に基づくパッケージング細胞株を作製する新しい戦略を提供する。LV用の産生系の最適化は、LV技法に基づく遺伝子治療薬開発のために解決を要する重要な課題である。この技法を用いる臨床試験数が増加するにも関わらず、LVはかかる試験においてなお一過性トランスフェクションプロトコルを用いて作製されている。この方法では、LVの作製は未だに非常に高価でありかつ多数の患者向けには不満足である。この理由で、LV用の安定パッケージング細胞株を開発する多くの努力がなされてきた。安定なレンチウイルスパッケージング細胞株の開発における重要な課題の1つは宿主細胞を遺伝子操作するための正しいビヒクルの選定である。多くの場合、宿主細胞はプラスミドを用いて遺伝子操作で作られてきたが、かかる場合、ゲノム不安定性および遺伝子サイレンシング現象も観察されている。他の2例ではgag/polおよびrev遺伝子を安定して組み込むために、レトロウイルスベクターが使われている。今まで開発された安定パッケージング細胞株はいずれも臨床試験に用いられていない。 本発明の戦略は、レンチウイルスの構造および調節タンパク質を安定して発現する系であって、第1の発現カセットはレンチウイルスのgagおよびpol遺伝子をコードしそして第2の発現カセットはレンチウイルスのrevおよび選択マーカーをコードする2つの発現カセットを含む、AAV ITRに隣接した組込みカセットを含有するバキュロウイルスの主鎖を含むハイブリッドベクターと一緒に、プロモーターの調節下にあるAAV rep ORFを含有する発現プラスミドから成る前記系の使用に基づくものである。バキュロウイルスの主鎖の存在は、いくつかの異なるタンパク質をコードする2つの発現カセットを含む大きくかつ複雑な組込みカセットの宿主であることを可能にする。得られるバキュロ-AAVパッケージングベクターは、わずか1回の感染処置を介して安定かつ効果的にLVを産生するために必要とするgag polおよびrevタンパク質を用いて宿主細胞を遺伝子操作することを可能にする。 バキュロ-AAVパッケージングベクターのゲノム組込みはAAV repタンパク質の一過性発現により得た。この系により、非コード域の遺伝子間転写活性領域におけるAAVベクターの組込みが得られ、従って、そのmRNAがLVに、究極的には、宿主標的細胞に組込まれうる危険遺伝子の活性化を排除することができる。 提示した系は、構造および調節レンチウイルスタンパク質を用いて宿主細胞を安定してかつ効果的に遺伝子操作するために構造HIV-1タンパク質を送達する新しいかつ先進的な方法である。 好ましい実施形態において、バキュロ-AAVパッケージング構築物に含まれる2つの発現カセットはテール・ツー・テール配向であり、それぞれが構成的プロモーターおよびポリAにより駆動され、好ましくは、プロモーターはCMV、CMV IE、PGK、SV40、eF1α、SFFVおよびRSVから選択され、より好ましくは、プロモーターはCMV IEプロモーターである。本発明の好ましい態様によれば、AAVパッケージングに含まれる選択マーカーはハイグロマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、またはゼオマイシン耐性遺伝子から選択され、好ましくは、マーカーはハイグロマイシン耐性遺伝子であり、より好ましくは、選択マーカーはIRESの下流にクローニングされる。 バキュロ-AAVパッケージングベクターのゲノム組込みは、ITR-介在型AAVベクター組込み用のAAV repタンパク質の一過性発現により得た。好ましい実施形態においては、repタンパク質はrep78またはrep68から選択される。より好ましくは、タンパク質はrep78である。 この系を用いて、HIV-1タンパク質gag/polおよびrevを安定して発現するように遺伝子操作された細胞を得ることが可能であった、そして本発明者らはこれを半-安定パッケージング細胞と呼んだ。特に、本発明は、かかる遺伝子操作された細胞および、構造および調節タンパク質を含むそれらの第2および第3世代パッケージング細胞株、ならびに導入ベクターを含むプロデューサー細胞株を得るための使用、ならびに安定パッケージング細胞株を作製する方法を開示しかつ請求の範囲とする。半-安定パッケージング細胞株 本発明の半-安定パッケージング細胞株は、HIV-1 gag-polおよびrev遺伝子を発現する組換えバキュロ-AAVパッケージング構築物の少なくとも1つのコピーを運ぶ宿主細胞から成る。バキュロ-AAVパッケージングベクターのゲノム組込みは、ITR-介在型AAVベクター組込みを得る目的でAAV repタンパク質の一過性発現により得ている。好ましくは、2つの発現カセットはテール・ツー・テール配向であり、それぞれが構成的プロモーターおよびポリAにより駆動され;、好ましくは、プロモーターはCMV、CMV IE、PGK、SV40、eF1α、SFFVおよびRSVから選択される。より好ましくは、構成的プロモーターはCMV IEプロモーターである。 本発明の好ましい態様によれば、選択マーカーはハイグロマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、またはゼオマイシン耐性遺伝子から選択され;好ましくは選択マーカーはハイグロマイシン耐性遺伝子であり、より好ましくは、選択マーカーはIRESの下流にクローニングされる。 好ましくは、AAV repタンパク質はrep78またはrep68から選択される。より好ましくはrepタンパク質はrep78である。半-安定パッケージング細胞株を得るために遺伝子操作することができる宿主細胞は、HEK293、HEK293-T、HEK293-SF、TE671、HT1080またはHeLaから選択されるヒト細胞株であり、より好ましくは細胞株はHEK293-Tである。 かかる半-安定なパッケージング細胞株は、半-安定産生系において色々なenvおよび色々な導入ベクターを用いて潜在的に多様なLVを産出するのに好適である。これは、コスト削減を可能にするので、レンチウイルスベクターのより有効な産生に大きい利点を表し、これはgag-polおよびrevをコードするGMPグレードのプラスミドDNAを用いる必要がなく、一過性トランスフェクション中のプラスミド間の組換え事象に二次的に付随するRCL形成のリスクを減ずる。 本発明の半-安定なパッケージング細胞株は、1年間の培養に対して驚くべき遺伝安定性を有することを示し、これは残りの遺伝エレメントの一過性トランスフェクション後の機能的LVの連続産生を証明した。さらに、非サイレンシング現象が実際に観察され、この中間体を用いて得たレンチウイルス粒子の力価と感染性の両方が1年間影響されないで残った。かかるデータは選択圧力の存在または非存在の両方で確認された。注目すべきこととして、文献においてAAV-ITR介在型カセットの組込み安定性に関する比較しうるデータは見当たらない。唯一の関連情報は、野生型AAV血清2型(AAV-2)で感染したヒト骨髄由来の繊維芽細胞様細胞株(Ruddle's Detroit 6 細胞)は潜伏状態で少なくとも47および118継代の間、ウイルス配列を維持したことである[16,17]。実施例に示したように、本発明の半-安定なパッケージング細胞株は少なくとも102継代の間、生存した。安定パッケージング細胞株 本発明は、安定レンチウイルスパッケージング細胞株を得る方法を提供する。かかる方法は、2つの発現カセット(すなわち、レンチウイルスのgagおよびpol遺伝子をコードする発現カセットとレンチウイルスのrevおよび選択マーカーをコードする第2の発現カセット)を含有する組込みカセットの少なくとも1つのコピーを安定に組み込むバキュロ-AAVパッケージング構築物の使用に基づく。このカセットの安定な組込みは、宿主細胞におけるITR介在型の安定な組込みを可能にするrepタンパク質の共トランスフェクションによって得ることができる。このように遺伝子操作した宿主細胞を次いで抗生物質の存在のもとで培養し次いでクローニングする。得られる半-安定パッケージング細胞株は第2および第3世代レンチウイルスパッケージング細胞を作製するための出発点である。特に第3世代安定パッケージング細胞株はさらに所望のenvタンパク質を組み込むことによって得られる。第2世代安定パッケージング細胞株は最初にHIV-1 Tatタンパク質、次いで所望のエンベロープを組込むことによって得られる。 エンベロープタンパク質とHIV-1 tatは、AAVベクター、レトロウイルスベクター、安定なプラスミド組込みまたは相同性組換えを用いて、宿主細胞に安定して組み込むことができる。好ましくはエンベロープタンパク質とHIV-1 tatをHIV-SINベクターを用いて宿主細胞に組み込む。いくつかの種類のエンベロープタンパク質を用いることができ、例えば、MLV 4070 env、RD114 env、キメラエンベロープタンパク質RD114-TR、キメラエンベロープタンパク質RD114-pro、バキュロウイルスGP64 envまたはGALV envまたはそれらの誘導体が挙げられる。より好ましくは、前記env遺伝子はキメラエンベロープタンパク質RD114-TRをコードする遺伝子である。 RD114-TRエンベロープタンパク質を安定して組み込むため、最初にCMVプロモーター調節下のRD114-TR ORFを運ぶpCMV-RD114-TRプラスミド由来のBamHI-BamHI断片を含有するSIN構築物を開発した。この構築物はRD114-TRタンパク質を作製しなかった。SIN-RD114-TR LV構築中の思いがけない発見によって、CMVプロモーターとRD114-TR ORFの間に必ずβ-グロビンイントロンを含まねばならないことが判った。一般に、SIN-LVの関係に包含される細胞およびウイルスの遺伝子発現カセットの大多数は、ベクターのSDとイントロンのSAの間のスプライシングおよびその結果としての発現カセットに含有されるプロモーター切除のリスクの故に、イントロンエレメントを欠く。この落とし穴を回避するために、2つのRREエレメント(SDとSA配列の間の正準SIN-LV立体配置におけるものとβ-グロビンイントロン内のもの)を運ぶ新しいSIN-LVを作製した。 この発見に基づいて、RD114-TR産生を得るための思いがけないβ-グロビンイントロンの必要性は、RD114-TR ORF中の、またはSIN-RD114-TR構築物中に存在するRD114-TR停止コドンおよび3'BamHI制限酵素部位からの領域を包含する328-bp断片中の不安定性もしくはネガティブ断片の存在を反映しうることを論じた。GENEART AG(Regensburg、Germany)が実施したGeneOptimizer(登録商標)支援による配列分析は、RD114-TR遺伝子および328-bp断片全体にわたって悪いコドン使用を持つコドンを確認し、本発明者らの仮定を理由付けた。さらに、コドン最適化分析は、コドン適合指数(CAI)が0.65から0.98へ改善したことを示した(ここで、CAI=1は最適を意味する)。それ故に、原理的に、RD114-TRをRD-MolPackに組み込むための、MLVに基づくもしくはHIVに基づくSINベクターを用いる代わりのかつより簡単な手法は再コードしたRD114-TRを用いることであろう。そこで、コドン最適化配列を含有する構築物を調製しかつ試験した。対照的に、コドン最適化は、β-グロビンイントロンの非存在においてもRD114-TR前駆体タンパク質(PR)翻訳を可能にすることを見出したが、意外にも、高レベルのPRはSUおよびTMサブユニット中のフーリン(furin)によってプロセシングされなかった。従ってRD114-TRは、CMVプロモーターとRD114-TR ORFの間の構築物中にβ-グロビンイントロンを含むHIVに基づくSINベクターを用いて、首尾よくパッケージング細胞株に組み込まれた。好ましい実施形態においては、5'から3'末端に向けて、CMVプロモーター、配列中にRREエレメントを含有するβ-グロビンイントロンおよびRD114-TR ORFを含有する発現カセットを含むSIN-LVが提供される。 本発明は、i. 上記の安定パッケージング細胞株を培養するステップii. 半-安定パッケージング細胞株に導入ベクターを挿入するステップを含む、LVを産生する方法を提供する。 現在臨床試験で使われているLVの産生はまだ全ての必要なタンパク質の一過性トランスフェクションに基づいている。対照的に、本発明の方法およびパッケージング細胞株は安定な産生を可能にする。特に、本発明の方法に用いるバキュロ-AAVハイブリッド発現系は有利なことに、わずか1回のトランスフェクション/感染とクローニングで、構造(gag/pol)および調節(rev)HIVタンパク質の安定かつ安全な導入を可能にする。かかる発現系を用いて得た中間体はサイレンシング現象を示さず、そして、LV産生用の迅速かつ効果的なプロトコルを開発するための非常に重要なツールである第2および第3世代パッケージング細胞株の開発を可能にする。本発明の安定なパッケージング細胞株を用いてコスト効果的かつより安全な産生が可能である。実際、全体のトランスフェクションが存在しないことは、コスト削減を可能にしかつ潜在的にRCLの形成に導く組換え事象の可能性を減ずるものである。さらに、本発明の方法で得られる安定なパッケージング細胞株は、一過性プロトコルで産生したLVに少なくとも比較しうるかまたはそれより高い力価をもつLVを産生することができる。プロデューサー細胞株 プロデューサー細胞株は、目的の遺伝子(GOI)をコードする導入ベクターを安定して組み込むことにより達成することができる。本発明はさらに、かかるプロデューサー細胞株を培養するステップを含む、LVを産生する方法を提供する。 注目すべきこととして、第2世代安定パッケージング細胞株(実施例では、RD2-MolPack-Chim3クローンと呼ばれる)から産生されるLVの平均力価と感染能力は、HEK293T対照細胞から産生されるLVのそれより2対数以上高く、RD2-MolPack-Chim3は一過性プロトコルにより産生される等価のLVよりも機能的なLVを作製することを示す。興味深いこととして、クローンRD2-MolPack-Chim3.14は懸濁液中で自発的に増殖しかつその産生するLVの力価は、SupT1細胞で1.0×106 TU/mlであり、そしてCD34+ HSCで0.5×106 TU/mlである。(実施例)一般的方法プラスミド 野生型HIV-1 gag、polおよびrev遺伝子を、pCG719-pKLgagpol(以後、簡略化のためにCMV-GPRと呼ぶ)(図1a、模式図13)およびpCG720-pKrev(以後、CMV-Revと呼ぶ)(図1a、模式図9)プラスミドからそれぞれMluI/NarIおよびMluI/NotI消化により切除した[27]。そのウイルス遺伝子を2つの異なる発現カセット(各カセットはCMV IEプロモーターにより駆動され、polyA配列を運ぶ)に入れて、Gateway(登録商標)pENTRTM4シャトルベクター(Invitrogen、Co.、Carlsbad、CA)中にテール・ツー・テール配向で挿入した。第1のカセットはgagとpol遺伝子を発現するが、第2のカセットはrev遺伝子と選択マーカーハイグロマイシン耐性(hygro)遺伝子を発現し;hygroはIRESの下流にクローニングしてバイシストロン(bi-cistronic)翻訳を可能にした。2つの発現ユニットを感染性AAVゲノムを運ぶ組換えpSUB201プラスミドのXbaI部位中に導入した[18]。得られる5'ITR-CMV-GagPol-polyA-polyA-hygro-IRES-Rev-CMV-ITR3'カセットを次いで切除し、Gateway(登録商標)pENTRTM4シャトルベクター中に挿入した。組換えハイブリッドバキュロ-AAVパッケージングベクター(バキュロ-AAV-GPR)(図1a、模式図1)を、2つのカセットを含有するpENTRTM4シャトルエントリーベクターとBaculoDirect直鎖DNA(BaculoDirectTMバキュロウイルス発現系, Invitrogen, Co.)との間のバクテリオファージλ部位-特異的組換え系を用いて得た。相同組換え中に、BaculoDNAのポリヘドリン遺伝子はその際、GPR二重カセットで置換えられた。pABCMV-Rep78発現プラスミド(CMV-AAV-Rep78)は、Recchia et al., 2004[19]に記載の発現ベクターpABS.43のCMV IEプロモーター下のAAV-rep78 ORFをクローニングすることにより得た(図1a、模式図8)。pMD.Gプラスミド(CMV-VSV-G)[20]は小胞性口内炎エンベロープ糖タンパク質(VSV-G)をコードする(図1a、模式図10)。第3世代導入ベクター、pCCLsin.PPT.hPGK.eGFP.WPRE.Amp(SIN-eGFP)[21]は構成的プロモーターhPGK下のeGFP遺伝子(図 1a、模式図 6)を発現する。抗-HIV-1 Chim3トランスジーンを発現する第2世代PΔN-Chim3導入ベクターはPorcellini ら, 2009 & 2010 [23,24]に記載されている(図1a、模式図7)。SIN-RD114-TRベクター(図1a、模式図3〜5)は次の異なる戦略に従って、ネコ内因性レトロウイルスRD114エンベロープの細胞外および膜貫通ドメインから作られたキメラRD114-TRエンベロープおよびA-MLVenv 4070Aの細胞質テール(TR)をコードするpCMV-RD114-TR(CMV-RD114-TR)(図1a、模式図11)プラスミドから切除したRD114-TR ORFを用いることにより構築した[22]。概略を述べると、CMV-RD114-TR、CMV-RD114-TR-INおよびCMV-RD114-TR-IN-RREカセットをそれぞれSIN-polyMluIベクター(SIN-eGFPベクターの改変バージョンであって、hPGK-eGFPカセットが除去され、EcoRV-MluI-SmaI-MluI-NotI-SacI-BglII-BamHI-SalIポリリンカーで置換された)のMluI部位中にクローニングした。SIN-RD114-TR-INおよびRD114-TR-IN-RRE構築物(それぞれ、図1a、模式図4および5)はCMV-RD114-TRベクター(図1a、模式図11)中に存在するウサギβ-グロビンイントロンを含有する。SIN-RD114-TR-IN-RREにおいて、「PCR分析」の節で記載したPCRで増幅した230-bp RREエレメントをβ-グロビンイントロンエレメントのScaI部位中に組み込んだ。第2世代パッケージングpCMV-ΔR8.74(CMV-GPRT)構築物(図1a、模式図12)はHIV-1gag、pol、revおよびtat遺伝子をコードする[25]。SIN-Tatベクター(図1a、模式図2)は、CMV-GPRTプラスミド(図1a、模式図12)由来のtat遺伝子をpIRESpuro3(Clontech Laboratories Inc., a TakaraBio Company, Mountain View, CA)のEcoRI部位中に挿入することにより、次いでバイシストロンのCMV-Tat-IRES-puroカセットをSIN-polyMluIベクターのMluI中にクローニングすることにより構築した。細胞 Spodoptera frugiperda(Sf9)昆虫細胞(Invitrogen, Co.)は10%FCS(EuroClone Ltd、UK)およびペニシリン-ストレプトマイシンとグルタミン(PSG)の組み合わせを補充したTC-100培地(Invitrogen, Co.)の懸濁液中で27℃にてCO2の非存在のもとで増殖した。ヒト胎児腎293T(HEK293T)細胞およびその誘導体クローン(PK-7およびPK-7誘導体)は10%FCSおよびPSGを補充したDulbecco改変Eagle培地(DMEM)で増殖した。CEM A3.01およびSupT1 T細胞は10%FCSおよびPSGを補充したRPMI 1640中で増殖した。CD34+造血幹細胞(HSC)および新生児白血球は臍帯血(UCB)からFicoll-Hypaque 勾配遠心分離(Lymphoprep, Nycomed Pharma AS, Oslo, Norway)で精製した。勾配分離の後、回収したUCB単核細胞環から、CD34マイクロビーズキットおよびMiniMACS分離カラム(Miltenyi Biotec, Sunnyvale, CA)を用いてポジティブ選択により、CD34+ HSCを単離した。CD34+細胞純度(>92%)はFACS分析(FACS Calibur BD Bioscience, San Jose, CA)およびFlowJoソフトウエア(Tree Star, Inc., Ashland, OR)により、抗-CD34-PEAb(BD PharmingenTM, San Diego, CA)を用いて確立した。CD34+細胞はヒト幹細胞因子(h-SCF)100ng/ml(R&D Systems, Minneapolis, MN)、h-Flt3L 100 ng/ml(Peprotech, Rocky Hill, NJ)、h-IL-620ng/ml(R&D Systems)およびヒトトロンボポエチン(h-Tpo)20ng/ml(Peprotech)を含有する20%血清Iscove改変Dulbecco培地(IMDM)で24時間、前刺激し、形質導入の間、同じ培地中で維持した。新生児白血球は48時間、RPMI中の可溶性抗-ヒトCD3(30ng/ml)(Orthoclone OKT3, Janssen-Cilag, UK)および組換えヒトIL-2(rhIL-2)50U/ml(Chiron, Emeryville, CA)で刺激し、次いで、10%FCS、PSG、およびrhIL-2を補充したRPMI中に保った。 RD2-MolPack-Chim3.14クローンは2.5%FCSを含有するDulbecco培地(DMEM)で増殖するように次の通り適合させた:すなわち、細胞を回転振とう器上の125-ml振とうフラスコ内で120rpm、37℃にて5%CO2加湿大気中で増殖し、1.5×106細胞/mlの密度とした。生存率は≧70%に維持され、細胞は0.5×106 細胞/mlで分裂し、そして培地を毎日変えた。複数の継代にわたってFCSは10%から5%へ2.5%へ減少した;各血清の変更は少なくとも2回の培養継代後に実施した。バキュロウイルス産生とHEK293T細胞のバキュロ-GPR感染 組換えハイブリッドバキュロ-AAV-GPR DNAゲノムを運ぶバキュロウイルスをGateway(登録商標)適合化バキュロウイルスDNAシステム(Invitrogen、Co.)を用いてBaculoDirect法に従い作製した。組換えバキュロウイルス力価をプラークアッセイにより評価すると、Sf9細胞中の3継代のウイルス増幅後に1×1011 pfu/mlに対応した。1.5×106 HEK293T細胞を4μgのAAV-rep78発現プラスミドでトランスフェクトし、24時間後に組換えバキュロ-AAV-GPRに1,000のMOIにて感染することによりPK-7クローンを得た。細胞をハイグロマイシン無しで4日間維持し、次いで5×105細胞を、ハイグロマイシン(100μg/ml)の連続希釈濃度の存在する22枚の10cmディッシュに播いた。22枚のディッシュをELISAによるp24gag産生についてスクリーニングした。細胞を3.7×104細胞/ディッシュで播いたわずか1枚のディッシュが上清中に十分なp24gagを放出した。このディッシュは40コロニーを含有し、それらを全て拾い上げてスクリーニングした。そのうちの、p24Gag産生に対してポジティブの評価を得た3コロニーをさらに特徴付けた。LV産生と力価測定 HEK293T細胞から産生される偽型LVは、次のプラスミド:パッケージング構築物CMV-GPR(第3世代)[またはCMV-GPRT(第2世代)]、VSV-GまたはRD114-TRエンベロープ構築物、および第3世代SIN-eGFP[26]または第2世代PΔN-Chim3[23]もしくはPΔN-eGFP導入ベクターの一過性共トランスフェクションにより得た。パッケージング:エンベロープ:導入ベクターの比は、特に断らない限り、6.5:3.5:10μg DNAであった。PK-7クローンからのLVはenv発現プラスミドと導入ベクターを共トランスフェクトすることにより作製したが、PK-7-RDおよびPK-7-Tat7-RDクローンから産生したLVは適当な導入ベクターだけをトランスフェクトすることにより得た。一過性トランスフェクションは標準Ca++-リン酸法またはFugene6(登録商標)系を用いて製造業者の取扱説明書(Roche Diagnostics Corporation, Indianapolis, IN)に従って実施し、類似の結果を得た。上清をトランスフェクション後48時間に収穫し、0.45μmフィルターを通して濾過した。力価を、SupT1、CEMA3.01、一次活性化末梢血液単核細胞(PBMC)および臍帯血由来のCD34+ HSCについて、実験の型に応じて計算した。概要を説明すると、SupT1と一次活性化末梢血液単核細胞細胞はポリブレン(8μg/ml)(Sigma-Aldrich, StLouis, MO)の存在のもとで2サイクルのスピノキュレーション(1,240×g、1時間)により形質導入し、一晩静置して相を分離し;CD34+ HSCは24時間レトロネクチンをコーティングしたプレート(Takara Bio、Otsu、Japan)上でポリブレン無しで形質導入した。形質導入効率はeGFP発現(SIN-eGFP)のフローサイトメトリー分析(FACS Calibur BD Bioscience, San Jose, CA)またはPorcellini et al., 2009および2010[23,24]に記載のFlowJoソフトウエア(Tree Star, Inc., Ashland, OR)を用いるΔLNFGR発現(PΔN-Chim3)によってモニターした。5〜20%ポジティブ細胞の範囲の形質導入値だけを用いて、次式:TU=[細胞数×(%GFP/100)]/vol sup(mlで)に従って各LV調製物の力価を計算した。力価に基づくクローンスクリーニングのプロトコル 選択を促進するために、本発明者らは全てのPK-7誘導体サブクローンをその上清のLV力価を計算することによりスクリーニングした。本発明者らは、LVを作製するためのCa++-リン酸に基づく小規模の1または2プラスミドの共トランスフェクションを設定し、その効力を次いで小規模形質導入プロトコルによるSupT1細胞について計算した。概略を説明すると、6×104/ウエルPK-7誘導体細胞を48-ウエルプレートに播いて、24時間後、機能的LVを得るために必要な残りのプラスミドで共トランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後に、200μlの培養上清を用いて、7.5×104/mlの濃度で播いた3×104/ウエルSupT1細胞を形質導入した。力価閾値スコアは≧1×102 TU/mlを課した。ノーザンおよびサザンブロットアッセイノーザンアッセイ 全RNAをTrizol試薬(Life TechnologiesTM Inc., Gaithersburg, MD)により製造業者の取扱説明書に従って抽出した。5μg/サンプルを0.8%アガロース-ホルムアルデヒドゲル上に流し、キャピラリートランスファーによりHybond-N 膜上に移し、最後にPerfectHyb PLUSハイブリダイゼーションバッファー中の1×106 dpm/mlの32P-標識550-bp RD114-TR プローブ(Sigma Chemical Corp., St. Louis, MO)で探索した。徹底的に洗浄した後、メンブランをX線フィルムに-70℃にて曝した。サザンブロットアッセイ ゲノムDNA(gDNA)をQIAamp Miniキット(QIAGEN GmbH、Germany)により製造業者の取扱説明書に従って単離した。バキュロウイルスDNAをウイルス粒子からQIAamp DNAマイクロキット(QIAGEN)により抽出した。示した制限酵素を用いて一晩消化後、10 μgのgDNAを0.8%アガロースゲルに流し、サザンキャピラリートランスファーによりナイロン膜上にブロットし(Duralon, Stratagene, TX, USA)、次いでPerfectHyb PLUSハイブリダイゼーションバッファー中の1×106 dpm/mlの32P-ランダムプライムド標識した600-bp CMVまたは11-kb GPRカセット、250-bp tat、600-bp Chim3、および 500-bp RD114-TR 特異的プローブとハイブリダイズさせた。徹底的に洗浄した後、メンブランをX線フィルムに-70℃にてまたはホスホイメージャー(Molecular Dynamics, Sunnyvale, CA)に曝した。分析用PCR分析 1ng SIN-eGFPベクターをDNAテンプレートとして、およびプライマーのセット: RRE-フォワード: 5'-AGT ACT GGA GCT TTG TTC CTT GGG-3'; RRE-リバース: 5'-AGT ACT AAA TCC CCA GGA GCT G-3'を、次のPCR条件:98℃にて7分間、30サイクルの94℃にて30秒間、50℃にて30秒間、および72℃にて30秒間で用いることにより、230-bp RREアンプリコンを得た。 AAV-Rep78プラスミドの残りの組込みのスクリーニングに対するPCR分析を300ngのゲノムDNAについて、プライマーのセット:AAV-Rep78 フォワード: 5'-CGG GCT GCT GGC CCA CCA GG-3'; AAV-Rep78 リバース: 5'-ATG CCG GGG TTT TAC GAG ATT GTG-3'を次のPCR条件:98℃にて7分間、30サイクルの94℃にて30秒間、66℃にて30秒間、および72℃にて1.5分間で用いることにより、実施した。 2つのGPRカセットの配向を確立するためにPCR分析を300ng gDNAについて、プライマーのセット:rev フォワード: 5'- CTT GAG GAG GTC TTC GTC GC-3';β-グロビンリバース: 5'- CCC TGT TAC TTC TCC CCT TCC -3';rev ネスト化フォワード: 5'- TGT CTC CGC TTC TTC CTG CC-3';β-グロビン ネスト化リバース:5'- TTA ACC ATA GAA AAG AAG GGG-3'を次の条件:98℃にて2分間、35サイクルの94℃にて30秒間、52℃にて30秒間、および72℃にて1.5分間で用いることにより実施した。p24gag ELISA 培養上清中の物理的LV産生をAlliance HIV-1 p24抗原ELISAキット(Perkin Elmer Life and Analytical Sciences, Inc. Waltham, MA)により製造業者取扱説明書に従い、1pg p24gagが1×104 物理的粒子に対応すると仮定して測定した。ウェスタンブロット分析 PK-7細胞から誘導した全細胞および核抽出物ならびに単離された細胞を含まないVLPまたはLV由来のウイルスタンパク質を先に記載のように調製した[23,24]。タンパク質をSDS-PAGEによりサイズ分画し、Hybond ECLニトロセルロース膜(GE Healthcare、Life Sciences、UK Ltd、UK)にエレクトロブロットした。膜を5%低脂肪ドライミルクでブロックし、次いで適当な一次Abとインキュベートした。AIDS患者から得た抗-HIV-1血清を1:2,000希釈で用い;タンパク質の外部ドメイン中の2つの15量体ペプチド(aa95-109、QNRRGLDLLTAEQGGおよびaa65-79、SGIVRNKIRTLQEEL)を認識する抗-RD114-TRウサギ血清[22]を1:500希釈で用い;そしてHIV-1revMoAb(Rev-6, sc-69730)およびアフィニティ精製したウサギポリクローナル抗-YY1Ab(C-20, sc-281)(S. Cruz Biotechnology, Inc., S. Cruz, CA)およびマウス抗-p24gag(Acris Antibodies, Germany)をそれぞれ1:200、1:1,000および1:500希釈で用いた。Ab結合を強化化学発光系ECL(ECL, Amersham)により、製造業者の取扱説明書に従って可視化した。リアルタイムTaqMan PCRによるベクターコピー数(VCN)定量 組み込まれたベクターのベクターコピー数(VCN)をABI Prism 7,900 FAST 計器(Applied Biosystems、Foster City、CA)を用いる定量TaqMan PCRにより確認し、SDS 2.3ソフトウエア(Applied Biosystems)により分析した。PCR条件は次の通りである:50℃にて2分間および95℃にて5分間、次いで40サイクルの95℃にて15秒間および60℃(GAG標的配列については0.1℃/サイクルの増分で)にて15秒間。gDNAは次のプライマーとプローブを用いて増幅した。ライゲーション介在型(LM)-PCR6 ゲノムDNAをPK-7細胞からQIAamp DNA Miniキット(QIAGEN)により製造業者の取扱説明書に従って抽出し、そしてBglIIおよびBamHIを用いて37℃にて一晩消化した。5'-GATC-3'粘着末端と適合しうるアダプター76-bpオリゴヌクレオチドリンカーのライゲーションを標準条件で実施した。LM-PCRは次のネスト化プライマーのカップルを用いて行った:ITRフォワード:16s:5'-GTA GCA TGG CGG GTT AAT CA-3'、および17s/ロングネスト化:5'-TTA ACT ACA AGG AAC CCC タグ TGA TGG-3';リンカーリバースプライマー:リンカー-1:5'-GTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG C-3'およびリンカー-2ネスト化:5'-AGG GCT CCG CTT AAG GGA C-3'。リンカー配列は5'-GAT CGT CCC TTA AGC GGA GCC CTA タグ TGA GTC GTA TTA CCA GGG AAT TCG CCT CGG GAT ATC ACT CAG CAT AAT G-3'に対応する。2ラウンドのLM-PCRをAmpliTaq Gold DNA ポリメラーゼ (Applied Biosystems)を用いて行い、それぞれ30サイクルから成った(95℃にて30秒間、52℃にて30秒間、72℃にて2分間)。PCRアンプリコンをTOPO(登録商標)クローニングキット(Invitrogen、Co.)を用いてクローニングし、そしておよそ100〜200bpのインサートを運ぶプラスミドコロニーを選択し、配列決定を行った。配列相同性はBLASTサーチ、NCBIにより同定した。蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH) 分裂中期染色体はPK-7細胞をコルヒチン(10μg/ml)(Sigma#C9754)で37℃にて2時間処理することによって得た。リン酸バッファー生理食塩水(PBS)で洗浄した後、細胞を低浸透圧溶液(75mM KCl)中に室温にて6分間保持し、メタノール/酢酸(3:1)で4回洗浄して固定し、次いで清浄なガラススライド上に延ばした。細胞遺伝子サンプルを70%ホルムアミド溶液中で2分間72℃にて変性し、冷温の70%、85%、および95%エタノールの連続洗浄により脱水し次いで空気乾燥した。特異的プローブを次の通り調製した:GPRカセットを含有する13-kbプラスミドDNAはランダムプライムドDNA標識キット(Roche Applied Science、Indianapolis、IN)を用いてSpectrumOrangeTM-dUTP (Vysis、Inc.、Downers Grove、IL)で標識したが、ヒトhox4遺伝子を含有する対照30-kbコスミドDNAはFISHBrightTM核酸標識キット(Kreatech Biotechnology、Amsterdam、The Netherlands)を用いて標識した。ハイブリダイゼーションは、5ng/μlの各プローブを含む250μlの50%ホルムアミド、2×SSC、および10%硫酸デキストランおよび50ng/μlのヒトC0T-1 DNAハイブリダイゼーションバッファー(Invitrogen)をインキュベートすることにより実施した。サンプルを変性したプローブで10分間75℃にてコートし、Parafilm(登録商標)Mで覆い、そして一晩37℃にて加湿室でインキュベートした。サンプルを1回、0.4×SSC中で、pH=7、72℃にて2分間;1回、4×0.0025% Tween-20を含有するSSC中で、pH=7、RTにて30秒間;ならびに2回、PBS 1×RTにて1分間洗浄した。スライドを0.02μg/μlの49,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)(Sigma)で対比染色した。可視化と写真撮影はNikon 80i正立顕微鏡(Nikon Instruments S.p.A.、Italy)で、(FITC)およびスペクトルオレンジ色(スペクトルオレンジ色)フィルター照明を用いて行った。画像はGenikonソフトウエア(Nikon)で処理した。第1中間体PK-7クローンの作製 第2または第3世代LVの連続産生用のRD-MolPackパッケージング細胞株を得るために、いくつかのHEK293T由来の中間体クローンを開発した。最初のものは、PK-7と名付けられ、組換えハイブリッドバキュロ-AAVベクター(rhバキュロ-AAV-GPR)(図1a、模式図1)を使ってHIV-1 gag、polおよびrev遺伝子を安定して組み込むことにより得た。この送達系は、一過性で与えられるAAV-rep78タンパク質のインテグラーゼ活性を利用し、AAV ITR-隣接組込みカセットを切除してヒト染色体中に組み込む(図1b)。rh-バキュロ-AAVベクターはBaculoDirect Linear DNAとITR-隣接GPRカセットを含有するGateway(登録商標)pENTRTM4エントリープラスミドの間の相同組換えにより作製した(図1a、模式図1)。Sf9昆虫細胞における3サイクル(p3)の組換えバキュロウイルス増幅の後、ハイブリッドバキュロ-AAV DNAの力価と潜在的組換え事象をプラークアッセイおよびウイルスのゲノムDNAサザンブロットによりそれぞれチェックした。p3における力価は6×1010pfu/mlに対応し、サザンブロット分析は単一の鋭いバンドを現し、ウイルス増幅プロセス中に組換え事象が無いことを示した(図5)。 次に、AAV-Rep78プラスミドトランスフェクションおよびrh-バキュロ-AAV感染の用量および時間ならびに感染したHEK293T細胞のクローニング条件を注意深く規定した(図1c)。実際、これらの実験設定の選択は結果的に重要であった。このように広範囲の条件を試験した後に、最終的に確立したのは、単一用量のAAV-rep78プラスミドDNAをトランスフェクトしてから24時間後における1,000のMOIでのバキュロ-AAV感染が最良の実験設計に対応することであった。さらに、22枚の90mm-ペトリディッシュに配給した合計5×105細胞の播種、すなわち、各ディッシュに異なる濃度で播いてかつ播種から4日後にハイグロマイシン100μg/mlを加えて播くことが最大数の細胞クローンを得る最良の条件であった。数えた360クローンのうちわずかに3クローン、PK-7、PK-17およびPK-18が100 pg/mlの設定閾値を上回った。クローンのサザンブロット分析は、各クローンが2コピーの正しいサイズのベクターを含有することを明らかにした(図2a)。残りのAAV-Rep78プラスミドDNAの組込みの可能性を排除するためにrep78特異的PCRをPK-7 gDNAについて行い、ポジティブシグナルを検出しなかった(図 5b)。GPRカセットから発現されたHIV-1タンパク質発現パターンを3つのPKクローンおよび培地に放出されるそれらに整合するウイルス様粒子(VLP)のウェスタンブロットによりモニターした。全てのウイルスタンパク質は適当に処理され、サイズが正しく、そして正しい相対比率であった(図 2b)。SupT1細胞について、VSV-Gプラスミドおよび第3世代導入ベクターSIN-eGFP(表1)で共トランスフェクトした後の3つのクローンから産生したLVの効力を計算することにより、将来役立つPKクローンを選択した。注目すべきは、一過性トランスフェクションにより産生された対照HEK293T LVの力価はPK-7およびPK-18LVより5倍以上高かったが、その感染性はPK LVとほとんど同一であり、PKクローンは、「品質」の視点で通常の方法により産生したものと比較しうることである(表1)。PK-7とPK-18LVの効力は類似しているが、形態学、増殖、生存率およびp24Gag産生値の評点がPK-18クローンより優れているPK-7クローンをさらなる遺伝子操作の対象に選定した(表1)。 次に、PK-7クローン中のITR-隣接カセットの組込みを定量LM-PCR、TaqManPCR(図2c)およびFISH技法(図2d)により徹底的に特徴付けた。組込み部位を正確にマッピングするために、染色体2、2q32.1(図2c)における分断点にスポットライトを当てたLM-PCR研究を行った。この結果を、アーム長とセントロメア位置に基づいて染色体2中に単一スポットを当てた特異的GPRプローブとのin situハイブリダイゼーションにより確認した(図2d)。この位置付けを確認するために、染色体2q31.2中にマッピングすることが公知であるHox4プローブを用いた。HEK293T細胞は三倍体であり、Hox4は正しく全ての3つの染色体2中に検出された(図2d)。最後に、定量TaqMan PCRによって2つのコピーが組込まれたこと、および、適当なプライマーの設計をしたネスト化PCRによって2つのコピーが縦列配向、テール・ツー・ヘッドであることが確認された。テール・ツー・ヘッド配向は、野生型AAVおよびほとんどのrAAVベクター・コンカタマーの宿主細胞ゲノム中への組込みに対して観察される自然な立体配置である[17]。テール・ツー・ヘッド接合点を包含するアンプリコンの配列分析は、303-bpの第1カセットの3'CMVプロモーターと共に第1および第2カセットのITRおよび第2カセットの全5'CMVプロモーターが喪失したことを明らかにした(図2e、赤色ボックス)。このベクター−細胞の組換え事象の大部分は実際にはベクターのITR配列内で起こる。この再配列はPK-7細胞に第2カセットのgag-pol遺伝子の転写欠如および恐らく第1カセットのrevおよびhygro遺伝子の転写欠如を生じさせる。しかし、記載に値するのは、欠失されたCMVプロモーターの残された285-bp領域(模式図の中央の灰色三角形)はなお、1つもしくは2つのrevおよびhygro遺伝子の転写を駆動するのに十分なTATAボックスを含有しうることである。結論として、PK-7は2つの組込まれたカセットを含有し、これらが共同で1つのgag-pol遺伝子および1つもしくは2つのrevおよびhygro遺伝子を転写する。 PK-7クローンの長期にわたる安定性を実証するために、細胞をハイグロマイシンの存在または非存在で420細胞倍加に対応する350日間培養し、そして細胞当たり基準でのp24Gag産生を測定した(表2)。ハイグロマイシンの存在のもとでの平均産生は15.34±8.47SD ng p24Gag/1×106細胞に対応するが、抗生物質の非存在のもとでは6.70±3.51SD ng p24Gag/1×106細胞である(表 2)。この相違はおそらくハイグロマイシン薬物圧がhygro耐性遺伝子およびそれによりクロマチンの転写も同様に「on」に保つという事から導かれるようである。これはgag-pol遺伝子のより高い転写を好都合にしうる。PK-7クローンから作製されるVLPが100の倍加後にでも機能的であるかどうかを評価するために、PK-7細胞にp60およびp102にてVSV-GエンベロープとSIN-eGFP導入ベクターを共トランスフェクトし、そしてLV効力を計算した。注目すべきは、選択薬物の存在および非存在共に、産生されたLVの力価と感染性はかかる時間の延長後でもなお通常のレベルを維持した(表1)。これらのデータは薬物圧の存在または非存在に関わらず、GPRカセットの遺伝子不安定性を実証し、将来の特徴付け試験におけるハイグロマイシンの使用を回避することを容認した。AAV-ITR介在型カセットの組込み安定性に関する比較しうるデータは文献に見当たらない。唯一の関連情報は、野生型 AAV血清2型(AVV-2)に感染したヒト骨髄由来の繊維芽細胞様細胞株(Ruddle's Detroit 6 細胞)が少なくとも47継代および118継代の間、潜伏状態でウイルス配列を維持したことである。注目すべきこととして、PK-7細胞は少なくとも102継代の間生存した。第2世代RD2-MolPack用の第2中間体PK-7-Tat7クローンの開発 第2世代RD-MolPack(図1c)の開発に向けた次のステップは、SIN-LV送達を用いる、HIV-1調節因子TatのPK-7細胞中への安定な組込みにある(図1、模式図2)。細胞を2サイクルのスピノキュレーションにより形質導入し次いでピューロマイシン選択後の限定希釈によりクローニングした。11個の増殖クローンを拾い上げ、p24gag産生に基づく第1スクリーニング後に、Tat発現を、≧5ng p24gag/1×106細胞価を示す5個のクローンから得た核抽出物を用いてウェスタンブロットにより確立した。PK-7-Tat5とPK-7-Tat7クローンだけが高レベルのtat(図3a)およびp24gag(図3b)を提示した。従って、これらの2つのクローンだけを、TaqMan PCRにより確立することにより、PK-7-Tat5は12個のおよびPK-7-Tat7は6個の遺伝子を含有することを特徴付けた;LV効力も残るVSV-GエンベローププラスミドおよびPΔN-eGFP第2世代導入ベクターを共トランスフェクトすることにより測定した。両方のクローンの力価は対照細胞より2対数値低かったが、感染性は1対数値だけ低かった(表 3)。これに基づいて、PK-7-Tat7を中間体クローンとして選択し、続いてこのクローンにRD114-TRエンベロープを組込んだ。SIN-RD114-TR-IN-RREベクターの構築 RD114-TRエンベロープをSIN-LV送達によりPK-7およびPK-7-Tat7クローン中に加える数多くの試みのうちの第1は、SIN-RD114-TRベクター(図1a、模式図3)の構築であった。この目的のために、SIN-eGFPベクター(図1a、模式図6)のPGK-eGFPカセットをCMV-RD114-TRカセットで置換したが、このカセットは元来のCMV-RD114-TRプラスミド(図1a、模式図11)中に存在するβ-グロビンイントロンを含有しなかった。SINベクターのパッケージングシグナル上流に位置する強いスプライスドナー(SD)のcPPTエレメント上流に位置するスプライスアクセプター(SA)とだけでなくさらにβ-グロビンイントロンのSAとにより駆動される多重スプライシング事象を恐れて、β-グロビンイントロンを最初に構築物から排除したのである。後者の場合、実際、スプライシングはCMVプロモーターをベクター(図1、模式図6)のゲノムDNAから除去しうる。驚いたことに、このSIN-ベクターおよび同じ発現カセット立体配置をもつ全ての中間体プラスミドはRD114-TRタンパク質を産生しなかった。実際、SIN-RD114-TRを用いてトランスフェクション(TF)または形質導入(TD)した細胞から得た細胞抽出物をウェスタンブロットにより分析すると、RD114-TRタンパク質のレベルはCMV-RD114-TR対照プラスミドから得たものと比較して、不検出であった(図4a、レーン1〜3)。ノーザンブロット分析は、プラスミドのPK-7細胞中へのトランスフェクション後に作製されるSIN-RD114-TR-特異的転写物は全長(FL)および単一スプライス転写物に対応するが、内部CMV-RD114-TRカセットのそれに対応しないことを示し(図6、レーン1および2)、効率的なRD114-TR転写物蓄積にはβ-グロビンイントロンが必要である可能性を示唆した。 これらの発見に基づいて、予期しなかったRD114-TR産生を得るためのβ-グロビンイントロンの必要性はRD114-TR ORF中の不安定性またはネガティブ配列の存在を反映しうることを論じた。GENEART AG(Regensburg、Germany)が実施したGeneOptimizer(登録商標)を用いた配列分析は、悪いコドン利用がRD114-TR遺伝子全体に広がることを確認し、本発明者らの仮定を理由付けた。さらに、コドン最適化分析は、コドン適合指数(CAI)を0.65から0.98に改善することを示した(ここで、CAI=1が最適である)。それ故に、β-グロビンイントロンをベクター設計に含ませる必要を避けるために、全RD114-TR ORFを介してコドン最適化を行った。コドン最適化はβ-グロビンイントロンの非存在においてもRD114-TR PR翻訳を可能にすることを見出した、しかし、意外にも、高レベルの前駆体タンパク質(PR)は、当然のはずのSUおよびTMサブユニット中のフーリン(furin)によるプロセシングがなされないことがわかった(図4a、レーン7)。非常に低い量のプラスミドDNA(10pg DNA/106細胞)トランスフェクション後ですらタンパク質分解切断は記載されてないので、大量の無処理PRの蓄積が基質過剰の二次的なものである可能性は除外された。それ故に、1以上のサイレントな突然変異がタンパク質の転写/翻訳の比率を改変し、そのために、正しいフォールディングおよびおそらくはフーリン依存性切断着手の可能性に支障を来したのであろうと結論した。 そこで、β-グロビンイントロンを含有するWT RD114-TRを発現する他の2つのベクター、SIN-RD114-TR-INおよびSIN-RD114-TR-IN-RRE配列(図1a、それぞれ模式図4および5)を作製した;後者では、β-グロビンイントロン内に余分なRREを埋め込んでスプライシングを保護した。SIN-RD114-TR-INベクターはトランスフェクション後に大量のタンパク質を産生する(図4a、レーン6)、しかしSIN-RD114-TR-INを形質導入された細胞中にタンパク質は存在しない(図4a、レーン7)。この発見はノーザンブロット分析により支持され、不検出の全長ゲノムRNAを示し、800-bp β-グロビンイントロンの存在によってSIN-RD114-TRのそれより遅く移動すると予想された(図6、レーン3および4、Exp.FL、全長)。対照的に、大量のスプライスされたRNAがβ-イントロンのSDおよびSAの作用により誘導された(図6、レーン3および4)。 注目すべきは、SIN-RD114-TR-IN-RREベクター中のRREは、トランスフェクションおよび形質導入されるPK-7細胞(図4a、レーン8および9)およびそれぞれのVLP(図4a、レーン10および11)の両方におけるエンベロープ発現を可能にするために必要かつ十分であることが観察された。VLP中に組込まれたRD114-TRは正常にプロセシングされ、高レベルの膜貫通サブユニットTMおよびTM*を示した(後者はSandrin et al., 2004 [22]が示したようにTMサブユニットのウイルスのプロテアーゼによる切断から得られる)。PR分子と共移動するはずのRD114-TR SUサブユニットは本発明者らが用いた特異的抗-RD114-TRにより検出されない。次に、本発明者らはSIN-RD114-TR-CO-IN-RREベクターを作製し、タンパク質産生およびプロセシングについて試験した。今までのところ、このベクターから産生されるタンパク質は適当に産生されずかつプロセシングされなかった(図4a、レーン13)。この結果から、RD114-TRの正しい産生のために唯一の利用可能な構築物はSIN-RD114-TR-IN-RREであると結論した。RD2-MolPackを得るためのPK-7-Tat7-RD19クローンおよびRD3-MolPackを得るためのPK-7-RD32クローンの開発 以上提示した結果に基づいて、RD114-TRエンベロープをPK-7-Tat7およびPK-7 クローンの両方に、VSV-G偽型SIN-RD114-TR-IN-RRE LV送達により安定して組込んだ。PK-7-Tat7細胞をスピノキュレートし、限定希釈によりクローニングした。次に、第2世代PΔN-eGFP導入ベクター(表4)の形質導入後に産生したLVの力価を計算することにより、9つのクローンをスクリーニングした;RD114-TRのレベルはウェスタンブロットにより調節しそしてTaqMan PCRだけによりこれらのクローン、すなわち、PK-7-Tat7-RD3、PK-7-Tat7-RD12、およびPK-7-Tat7-RD19クローン(図4b)に組み込まれたコピー数は力価≧1×105 TU/mlを示した。PK-7-Tat7-RD19クローンを選択したが、その理由は、これが最高の力価およびSIN-RD114-TR-IN-RRE LV組込みコピー数(図4b、括弧内の数字)について良い量のRD114-TRを産生したからである。 次いで、PK-7-Tat7-RDクローンを作製するために採用したのと同じ形質導入、選択、クローニングおよびスクリーニングプロトコルを続けて、RD114-TRをPK-7細胞中に組込んだ(表5)。選んだPK-7-RD-26、PK-7-RD-28およびPK-7-RD-32細胞をウェスタンブロットおよびTaqManPCR技法により試験した(図4c)。PK-7-RD26クローンを選んだが、その理由は、これが低い力価のLVを産生するという事実にも関わらず、他の選択したクローンと比較しておよび祖先PK-7クローンと比較してもなお最高レベルのp24gagを産生するからであった(表7)。 興味深いことに、PK-7-RD28とPK-7-RD32クローンの間のRD114-TRコピー数の顕著な差異(図 4c、括弧内の数字)にも関わらず、RD114-TR TMサブユニットのレベルは両者で等価であり、SIN-RD114-TR-IN-RREベクターの一部はPK-7-RD32クローンにおいて機能的で無いに違いないことを示唆した。そこで、PK-7-RD26クローン中の高レベルのp24gag産生と恐らく高レベルのRD114-TRタンパク質を組み合わせるために、さらに2サイクルのSIN-RD114-TR-IN-RRE組込み、選択およびクローニングを行い、第1サイクルからサブクローンPK-7-RD26.72を、および第2サイクルからサブクローンRD26.72.10を得て、RD114-TRの数を2から11および次いで22へ、そして力価を7.0×102から1.1×104および最終的に2.7×105へそれぞれ増加した(図 4d、括弧内数字)。第2世代RD-MolPack-Chim3安定なプロデューサー細胞株の開発 最後の第2世代RD-MolPackパッケージング細胞を得るために、抗-HIV/AIDS遺伝子治療の関係で詳しく特徴付けられている治療遺伝子Chim3の導入ベクターPΔN-Chim3[23、24](図1a、模式図7)をPK-7-Tat7-RD19細胞に組込んだ。標準スクリーニングプロトコルの後に、3つのクローンPK-7-Tat7-RD19-Chim3.2、PK-7-Tat7-RD19-Chim3.3およびPK-7-Tat7-RD19-Chim3.14(表6)を選んでさらに特徴付けを行った。 懸濁液中で自発的に増殖するので、PK-7-Tat7-RD19-Chim3.14クローン(以後、RD2-MolPack-Chim3.14と呼ぶ)を選択した。このクローンは2か月近くの間、培養で生存し、力価をSupT1細胞で測定すると3TU/細胞/日であることを実証した。さらに、RD2-MolPack-Chim3.14細胞は5%FCSを含有するDMEM培地で正常に生存しうるが、2.5%FCSを含有するDMEM培地で増殖するように適合させると、その生存度は減少した(図3d)。その増殖特性はバイオリアクターにおける大規模培養の可能性にとって重要である。組込まれたChim3-LVの高コピー数にも関わらず、サザンブロット分析を用いて観察したウイルス遺伝子の再配列は観察されず、組み込まれたベクターの遺伝的安定性を与えることも実証した(図 3c)。全く、RD2-MolPack-Chim3.14 クローンから産生されたLVの力価は、SupT1またはCD34+細胞のいずれかについて計算すると、残りのプラスミドで一過的にトランスフェクトしたPK-7およびHEK293T対照細胞から産生されたLVのそれより高かった(表 6)。参考文献 安定なレンチウイルスパッケージング細胞株を得る方法であって、i. 第1の発現カセットがレンチウイルスのgagおよびpol遺伝子をそして第2の発現カセットがレンチウイルスのrevおよび選択マーカーをコードする2つの発現カセットを含むAAV ITRに隣接した組込みカセットを含有するバキュロウイルスの主鎖を含むハイブリッドベクター(A)を調製するステップ;およびii. プロモーターの調節下にあるAAV repオープンリードフレームを含有する発現プラスミド(B)を調製するステップiii. 細胞を発現プラスミドBでトランスフェクトし、続いて細胞をハイブリッドベクターAに感染させるステップiv. 細胞を選択用の抗生物質の存在のもとで培養するステップv. 安定してgag、polおよびrevタンパク質を発現する細胞を得るステップvi. 細胞にenv遺伝子を組み込むステップvii. 細胞を培養してgag、pol、revおよびenvタンパク質を安定して発現する細胞株を得るステップを含むものである前記方法 安定なレンチウイルスパッケージング細胞株を得る方法であって、i. 第1の発現カセットがレンチウイルスのgagおよびpol遺伝子をそして第2の発現カセットがレンチウイルスのrevおよび選択マーカーをコードする2つの発現カセットを含むアデノ随伴ウイルス(AAV)逆方向末端反復(ITR)に隣接した組込みカセットを含有するバキュロウイルスの主鎖を含むハイブリッドベクター(A)を調製するステップ;およびii. プロモーターの調節下にあるAAV rep ORFを含有する発現プラスミド(B)を調製するステップiii. 細胞を発現プラスミドBでトランスフェクトし、続いて細胞をハイブリッドベクターAに感染させるステップiv. 細胞を選択用の抗生物質の存在のもとで培養するステップv. 安定してgag、polおよびrevタンパク質を発現する細胞を得るステップvi. かかる細胞にレンチウイルスtat遺伝子を組み込むステップvii. 細胞を培養してgag、pol、revおよびtatタンパク質を安定して発現する細胞株を得るステップviii. かかる細胞にenv遺伝子を組み込むステップix. 細胞を培養して安定してgag、pol、rev、tatおよびenvタンパク質を発現する細胞株を得るステップを含むものである前記方法 ハイブリッドベクターの2つの発現カセットがテール・ツー・テール配向でありかつそれぞれが構成的プロモーターおよびポリAにより駆動される、請求項1または2に記載の方法。 プロモーターがCMV、CMVIE、PGK、SV40、eF1α、SFFV、およびRSVから選択される、請求項3に記載の方法。 プロモーターがCMV IEである、請求項4に記載の方法。 選択マーカーがハイグロマイシン、カナマイシン、ネオマイシンまたはゼオマイシン耐性遺伝子から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。 選択マーカーがハイグロマイシン耐性遺伝子である、請求項6に記載の方法。 選択マーカーがIRES下流にクローニングされる、請求項1または7に記載の方法。 AAV Repタンパク質がRep78である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。 env遺伝子がMLV4070 env、RD114 env、キメラエンベロープタンパク質RD114-TR、キメラエンベロープタンパク質RD114-pro、バキュロウイルスGP64 envまたはGALV envまたはそれらの誘導体から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。 env遺伝子がキメラエンベロープタンパク質RD114-TRをコードする遺伝子である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。 RD114-TRを、5'から3'末端へCMVプロモーター、その配列中にRREエレメントを含有するβ-グロビンイントロン、およびRD114-TR ORFを含有する発現カセットを含むSIN レンチウイルスベクターを用いて組み込む、請求項11に記載の方法。 i. 第1の発現カセットがレンチウイルスのgagおよびpol遺伝子をコードしそして第2の発現カセットがレンチウイルスのrevおよび選択マーカーをコードする2つの発現カセットを含む、AAV ITRに隣接した組込みカセットの少なくとも1つのコピーii. envの少なくとも1つのコピー:を安定してそのゲノム中に組み込んで含有する、安定なレンチウイルスパッケージング細胞株。 細胞が安定してゲノム中に組み込まれたHIV-1 tat遺伝子をさらに含有する、請求項13に記載の安定なレンチウイルスパッケージング細胞株。 細胞がHEK293、HEK293-T、HEK293-SF、TE671、HT1080 または HeLaから選択されるヒト細胞株である、請求項13または14に記載の安定なレンチウイルスパッケージング細胞株。 組込みカセットの2つの発現カセットがテール・ツー・テール配向でありそれぞれが構成的なプロモーターおよびポリAにより駆動される、請求項13〜15のいずれか一項に記載の安定なレンチウイルスパッケージング細胞株。 プロモーターがCMV、CMV IE、PGK、SV40、eF1α、SFFV、および RSVから選択される、請求項13〜16のいずれか一項に記載の安定なレンチウイルスパッケージング細胞株。 選択マーカーがハイグロマイシン、カナマイシン、ネオマイシンまたはゼオマイシン耐性遺伝子から選択される、請求項13〜17のいずれか一項に記載の安定なレンチウイルスパッケージング細胞株。 env遺伝子がMLV4070 env、RD114 env、キメラエンベロープタンパク質RD114-TR、キメラエンベロープタンパク質RD114-pro、バキュロウイルスGP64 envまたはGALV envまたはそれらの誘導体から選択される、請求項13〜18のいずれか一項に記載の安定なレンチウイルスパッケージング細胞株。 env遺伝子がキメラエンベロープタンパク質RD114-TRをコードする遺伝子である、請求項13〜19のいずれか一項に記載の安定なレンチウイルスパッケージング細胞株。 i. 請求項13〜20に記載のいずれか一項に記載の安定なレンチウイルスパッケージング細胞株を培養するステップ;ii. 安定パッケージング細胞株に導入ベクターを挿入するステップを含むレンチウイルスベクターを産生する方法。 i. 第1の発現カセットがレンチウイルスのgagおよびpol遺伝子をコードしそして第2の発現カセットがレンチウイルスのrevおよび選択マーカーをコードする2つの発現カセットを含む、AAV ITRに隣接した組込みカセットの少なくとも1つのコピーii. envの少なくとも1つのコピー:iii. 導入ベクターを安定してそのゲノム中に組み込んで含有する、プロデューサー細胞株。 細胞がさらに、安定してそのゲノム中に組込まれたレンチウイルスのtat遺伝子の少なくとも1つのコピーを含有する、請求項22に記載のプロデューサー細胞株。 細胞がHEK293、HEK293-T、HEK293-SF、TE671、HT1080 または HeLaから選択されるヒト細胞株である、請求項22または23に記載のプロデューサー細胞株。 ハイブリッド ベクターの2つの発現カセットがテール・ツー・テール配向でありそれぞれが構成的プロモーターおよびポリAにより駆動される、請求項22〜24のいずれか一項に記載のプロデューサー細胞株。 プロモーターがCMV、CMVIE、PGK、SV40、eF1α、SFFV、およびRSVから選択される、請求項22〜25のいずれか一項に記載のプロデューサー細胞株。 選択マーカーがハイグロマイシン、カナマイシン、ネオマイシンまたはゼオマイシン耐性遺伝子から選択される、請求項22〜26のいずれか一項に記載のプロデューサー細胞株。 env遺伝子がMLV 4070 env、RD114 env、キメラエンベロープタンパク質RD114-TR、キメラエンベロープタンパク質RD114-pro、バキュロウイルスGP64 envまたはGALV env またはそれらの誘導体から選択される、請求項22〜27のいずれか一項に記載のプロデューサー細胞株。 env遺伝子がキメラエンベロープタンパク質RD114-TRをコードする遺伝子である、請求項22〜28のいずれか一項に記載のプロデューサー細胞株。 プロデューサー細胞株を培養するステップを含む、請求項22〜30のいずれか一項に記載のレンチウイルスベクターを産生する方法。 本発明は、新しい安定パッケージング細胞株とプロデューサー細胞株およびこれらを得る方法、ならびにかかる細胞株を用いてレンチウイルスベクターを産生する新しい方法を提供する。本発明の新しい方法およびパッケージング細胞株は構造および調節レンチウイルスタンパク質を安定して発現するバキュロ-AAVハイブリッド系を用いて作製され、かかる系はAAV ITRに隣接した組込みカセットをrepタンパク質をコードするプラスミドと組み合わせて含有するバキュロウイルス主鎖を含む。この系は構造および調節HIV-1タンパク質、すなわちgag/polおよびrevの安定な組込みを得ることを可能にする。この系は構造および調節HIVタンパク質gag/polおよびrevだけを含む第1中間体を得て、これを出発物質として用いて安定パッケージング細胞株ならびにプロデューサー細胞株を得ることを可能にする。【選択図】なし 配列表


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る