生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_微細藻類用の培地
出願番号:2013523048
年次:2014
IPC分類:C12N 1/12


特許情報キャッシュ

相澤 克則 JP 5588069 特許公報(B2) 20140801 2013523048 20120705 微細藻類用の培地 株式会社 エフジーケー 506425262 阿部 正博 100100181 相澤 克則 JP 2011149047 20110705 20140910 C12N 1/12 20060101AFI20140821BHJP JPC12N1/12 BC12N1/12 A C12N 1/12 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) PubMed CiNii Thomson Innovation 特表2010−530757(JP,A) 特開平1−128794(JP,A) 特開2004−33070(JP,A) LUQUE, I., et al.,Molecular Microbiology,2006年 6月,Vol. 60, No. 5,pp. 1276-1288,Summary 豊田淨彦,他,炭化水素生成微細藻類Botryococcus brauniiの成長に及ぼす培地と光質の影響,農業環境工学関連学会2009年合同大会講演要旨集,2009年,C71 AZMA, M., et al.,Biochemical Engineering Journal,2011年 1月15日,Vol. 53, No. 2,pp. 187-195 9 JP2012067206 20120705 WO2013005799 20130110 25 20131212 太田 雄三本発明は、水域や陸上に生育する微細藻類を人工的かつ効率的に、藻自身 の光合成の働きで生育させるための水を主成分とする培地(培養液)、特に、主成分が水であって栄養素として水への溶解性が低い化合物を含み、高い濁度や沈殿を有する微細藻類用の培地に関するものである。微細藻類は、酸素を発生する光合成を行う生物のうち、コケ植物、シダ植物、種子植物を除いたものの中で、個体で生育時の形態が、顕微鏡を用いないと観察できない植物である。これらの多くは海洋、河川や湖沼では植物プランクトンの群落をなし、また水圏の底にいる底生のものや他の大型藻類に付着したりする着性のもの、あるいはサンゴや一部の軟体動物などと共生して生育しているものもみられる。また陸上では、土壌表面で生育するものや菌類との共生を営むものが多い。なかには、他の高等植物や動物、建物あるいは壁といった構築物の表面に付着して生育するものもある。光合成を営む微細藻は、地球上では、太陽の直射光や微弱でも間接光や人工の可視光が届く範囲にみられ、極地から、温帯、砂漠地帯や熱帯にまで、水分が多少とも確保される場所や期間がある限り、様々な環境に適応、進化して生育している。微細藻類は、その種類が数万と推定されるほどの多様性に富んでいる。このことから、それぞれ異なる微細藻が産生するバイオマスの種類も多い。実際に、たんぱく質、アミノ酸、炭水化物、脂質、核酸、ビタミン類は、全ての微細藻が生育時に有する成分であるが、微細藻の種類や生育の条件によって、その藻体中の組成が大きく変動する。また、バイオ燃料の原料となる炭化水素を藻体中に含むか、あるいは生育中に藻体の外に排出する種類もあり、既に、こうした微細藻類を培養することで、その藻体や培地から、重油、軽油、あるいはジェット燃料の原料生産を目的とした研究開発もはじまっている。更に、微細藻類から多くの新規物質の発見が相次ぎ、特に毒性を示す化合物などは抗がん剤といった医薬品としての応用が検討されている。また、アスタキサンチン、β-カロテン、ドコサヘキサエン酸など我々の健康維持に必要な物質を含む微細藻も存在し、こういった微細藻の大量培養が行われ、それらの保健機能食品としての販売も行われている。さらに、家畜の飼料や魚介類の餌料増産には、微細藻類の大量培養が有効である。また、微細藻の藻体中の元素である窒素、リン、カリウム、硫黄、マグネシウム、カルシウム、珪素(珪藻などに含まれる)や各種の微量元素は、作物植物である高等植物にも必要なため、生きている微細藻や発酵させた藻体、あるいは上述した種々の有用バイオマスを抽出した後の残渣などを肥料として活用する試みがなされている。実際に、多くの微細藻の藻体が含有する元素の組成をモル比率で表すと、リン原子を1モルとした場合、窒素は約16モル、カリウムは2モル弱、硫黄は1.5モル位、マグネシウムやカルシウムは0.5モル程度になる(Limnol. Oceanogr., 33巻, 796-822 (1988年)、Proc. R. Soc. B, 278巻, 526-534 (2011年)などに記載)。また、ポリリン酸を細胞内に蓄積できるクロレラなどの微細藻では、生育水域にリン酸が過剰に存在する場合、藻体中のリンのモル比率が他の元素に比べて極めて高くなることも知られている。更には、レアアースなどの有用元素、鉛やカドミウムなどの有害重金属元素、ウランなどの核燃料元素を藻体内に濃縮する微細藻類や、これらを細胞外の多糖やリン酸残基などに吸着できる微細藻類も知られている。こうした特殊な元素を特異的に回収する目的に、微細藻類を利用しようとする試みも始められている。このように人類にとって非常に有用であるこれら微細藻を新規なバイオマスとして活用し、或いは、その汚水処理能力や特殊な元素の濃縮能力を活用するには、微細藻類の集合体である植物プランクトンを集団のまま培養することや、それぞれの微細藻類を本来生育していた場所から単離するか、あるいはCulture collectionから微細藻の株の譲渡を受けた後、それらを培養することが必要となる。更に、特定の微細藻を大量培養することで、目的のバイオマスを大量に生産することができる。特に、植物プランクトンや特定の微細藻を自身の光合成の働きで培養するためには、多くの場合、主に無機物からなる栄養素を水の中に含んだ、一般に「培地」といわれる、可視光を通す透明な水溶液(透明な培養液)が利用されている。ところで、水棲の微細藻類が光合成で生育できる範囲を真光層というが、これの最深度はセッキーディスク法で求める透明度の約2.5倍とされる(Marine photosynthesis: with special emphasis on the ecological aspects. Elsevier, (1975年) に記載)。更に透明度は、本発明で計測に用いた透視度の1.5 〜 2倍である(California Agriculture 58巻, 149 - 153 (2004年) に記載) ので、透視度が1 cmならば、底生の微細藻類が光合成で生育できると推定される最深度は4 〜 5 cmとなる。太陽光などの可視光が微細藻類などの植物に照射された場合、その光のエネルギーは、植物の光合成に用いられる他に、透過、散乱、熱や蛍光へ変換される。特に、微細藻類の大半を含む水棲植物の光合成研究では、散乱が少ない培地中での測定ほど、実験での入射光と透過光の比較から光合成の諸特性を正確に計量しやすいために、透明な培地(透視度が高い培地)が用いられてきた。更に、非水域の陸上に生育する微細藻類には、水棲の微細藻類用に開発された透視度が高い培地にて生育が良い種類がある。また、微細藻バイオマスの有用性が注目される前から、微細藻を用いた光合成の研究が行われてきたので、透明な培地が微細藻による有用バイオマスの生産現場でも利用されている。また、濁度が高いか沈殿が多い培地(透視度が低い培地)で必要な栄養素が全く溶けずに沈殿している場合、微細藻類が増殖しないと予想される。このようなことから、従来技術においては、濁りや沈殿がない培地(透視度が高い培地)が微細藻類の光合成培養には必須とみなされている。それ故、特に微細藻類を光合成にて培養させる時、その培地に用いる各種無機栄養素となる化合物には、水への溶解性が高いものが用いられてきた。但し、水への溶解性が高いものでも、別の化合物との組み合わせによっては、混合後や無菌処理後に沈殿を形成する場合もある。たとえば高濃度のカルシウム塩かマグネシウム塩とリン酸塩を、特定のpHの条件下で混合させた場合などである。また、常温では沈殿の形成が遅いこともあるが、無菌培養時に繁用される高圧蒸気滅菌における高温処理時に沈殿化が加速される。これらの場合、リン酸は全ての微細藻類の増殖に必須なために培地成分から除けないために、沈殿を生じさせないpH値の培地にするか、リン酸と水溶液中で沈殿する複合体を形成する種類のカルシウム塩は培地に用いないか、あるいは低濃度(リットルあたり、1ミリモル未満などの条件)で利用されていた。更に、不溶性の塩類の沈殿を防ぐためEDTAやクエン酸などの高価なキレート剤が添加された組成の培地が大半であった。因みに、窒素、リン、カリウム、硫黄、マグネシウム等の元素は、微細藻類の培養に用いる培地の主要成分である。更に、ナトリウム、カルシウム、鉄、ホウ素、亜鉛、銅、コバルト、モリブデンらの各元素は、一般的な微細藻の培養に必要な微量要素として知られている。その他にもケイ素が必須な珪藻や、ストロンチウム、カドミウム、ニッケル、ヒ素を藻体の構成成分として含む微細藻類も存在する。特開平10−155478号公報藻類実験法、(編者: 田宮博、渡辺篤)、第4刷、南江堂、昭和50年しかしながら、このような従来の水に溶解性が高い塩類のみを用いる処方によって構成される培地(透視度が高い培地)では、地球上にある様々な資源を十分に活用できない状況であった。実際に、塩類や化合物には難溶解性のものが多数存在する。様々な微細藻類にて多様なバイオマスを生産する目的には、それに必要な培地の種類も多種になることが予想され、世界的な視野でみると、従来に用いられてきた水に溶解性の高い塩類や化合物のみでは、各化合物の原産地の産出・製造量や政情を反映した供給量やコストの変動により、微細藻類の培養が直接影響を受ける欠点がある。更に別の問題として、土壌に散布された作物用リン肥料中のリン酸成分は、火山灰土や酸性土壌ではリン酸アルミニウム、赤土や酸性土壌ではリン酸鉄、アルカリ性ではリン酸カルシウムなどに変わる。これらのリン酸化合物は非可給態リン酸と呼ばれ、作物に吸収されずに土壌中にとどまる。また、肥料に利用され難いカリウム化合物としては、鉱物としてのカリ長石、角閃石、雲母などがある。重要なことに、地殻にある岩石の大半は長石族で、カリ長石が、その長石族の約1割余りを占める。また、角閃石、雲母なども地殻での含量が多い。従って、本発明の主な目的は、水を主成分とし濁度が高い培地でも、微細藻類や植物プランクトンを効率的に生育させ、各種バイオマスの効率的生産の安定化や低コスト化を提供することにある。本発明者は上記課題を解決すべく、微細藻類の増殖に適した元素の、培地への添加量や、その利用可能性について鋭意検討を行った結果、水溶液に混入し濁度や沈殿を明瞭に生じる場合であっても、従来の特許や論文に記載されていると同等、あるいは少なくとも上記目的を達成するに十分な微細藻類の増殖速度を得られることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、微細藻類を培養するため培地(液体培地)に係るものであって、該培地は従来の培地に較べて、透視度が低い、即ち、一定の濁度か沈殿を有することを特徴とする。より具体的には、本発明は、透視度が15 cm (15度)〜0.5 cm (0.5度)、好ましくは、10 cm (10度)〜1 cm (1度)、更に好ましくは、8 cm (8度)〜1.5 cm (1.5度)の範囲であることを特徴とする、微細藻類用培地に係るものである。本発明の培地において、上記の透視度を得るための手段に特に制限はないが、例えば、栄養素として含まれる任意の一種類以上の化合物として水に難溶な化合物を使用すること、又は、他の化合物と複合体を形成して難溶性の沈殿を形成するような2種類以上の化合物を使用すること等の具体的な方法によって上記の特定の範囲の透視度を得ることが出来る。特に、窒素源、リン源、カリウム源、硫黄源、マグネシウム源、及びカルシウム源として少なくとも一種類の水に難溶な化合物を使用すること、又は、窒素源、リン源、硫黄源、マグネシウム源、及びカルシウム源の全てに水に難溶な化合物を使用すること、若しくは、窒素源、リン源、カリウム源、硫黄源、マグネシウム源、及びカルシウム源の全てに水に難溶な化合物を使用することによって、上記の特定の範囲の透視度を得ることが好ましい。尚、このような各栄養源として、水に難溶な化合物に加えて、従来から使用されている水への溶解度が高い化合物を併用しても良い。 本発明は更に、このような微細藻類用培地を使用することからなる、微細藻類の培養方法、該方法で得られた微細藻類、本発明の微細藻類用培地に栄養素として含まれている水に難溶な無機化合物を該培地から除去及び回収することによって、これら無機化合物の再利用、等にも係る。本発明により、これまで微細藻類の液体培養に積極的に用いられなかった、濁りや沈殿を有する培地(透視度が低い)の利用ができるようになった。この発明で、各種のバイオマス生産における培養にて利用する培地中の栄養素としての無機化合物の選別や、その培地からの除去・回収及び再利用に自由度が格段に増したことになり、培養の低コスト化や世界各地に分散している未利用資源の利用などが期待できる。 本発明の培地が使用できる微細藻類の種類に特に制限はなく、当業者に公知の任意の微細藻類の培養に使用することが出来る。このような微細藻類の代表的な例として、淡水域か汽水域、海、塩湖ないしは土壌に生育する緑藻植物、紅色植物、クリプト植物、不等毛植物、ハプト植物、渦鞭毛植物、灰色植物、ユーグレナ植物、ラン藻(別称:シアノバクテリア)のいずれに属するものでも使用することができる。これらの微細藻を、分類上の網や属にて例示すれば、緑藻としてはAnkistrodesmus属、Botryococcus属、Chlamydomonas属、Chlorella属、Chlorococcum属、Dunaliella属、Eudorina属、Haematococus属、Monoraphidium属、Scenedesmus属、Trentepohlia属などが、紅色植物としてはCyanidium属、Galdieria属、 Hildenbrandia属、Porphyridium属が、クリプト植物としてはChroomonas 属、Cryptomonas属、Rhodomonas属が、不等毛植物としては珪藻網、黄金色藻網、ラフィド藻網、黄緑藻網、真正眼点藻網、ピングイオ藻綱が挙げられ、特に珪藻網の中ではChaetoceros属、Cyclotella属、Cylindrotheca属、Phaeodactylum属、Skeletonema属、Tetraselmis属、Thalassiosira属、真正眼点藻網の中ではNannochloropsis属が例として挙げられる。また、ハプト植物としてはCryptomonas属、Dicrateria属、Isochrysis属、Pavlova属が、渦鞭毛植物としてはCeratium属、Peridinium属が、灰色植物としてはCyanophora属、Glaucocystis属が、ユーグレナ植物としてはEuglena属が、ラン藻としてはAnabaena属、Arthrospira属、Microcoleus属、Nostoc属、Oscillatoria属、Planktothrix属、Schizothrix属、Scytonema属、Synochococcus属、Synechocystis属、Tolypothrix属に含まれるもの等を挙げることが出来る。より具体的には、実施例で記載されているような、Chlorella 属、Botryococcus 属、Dunaliella属、Porphyridium 属、Nostoc 属又はTolypothrix属に属する微細藻を挙げることができる。更に、本発明の対象として、特定の一種類の微細藻類の培養に限定せずに、多種類の微細藻からなる集団である植物プランクトンを挙げることも出来る。上記のように、本発明の培地の透視度を得るために、任意の栄養素として水に難溶な化合物(無機塩類や鉱物を含む)を一種類以上含ませること、又は、他の化合物と複合体を形成して難溶性の沈殿を形成するような2種類以上の化合物を使用すること等によって、本培地の濁りや沈殿を生じさせる(透視度を低下させる)ことができる。水に難溶な各化合物を添加する場合の重量の好適な範囲を以下に示す。水に難溶な窒素化合物の重量は、培地の総重量1kgあたり200 g以下で、特に窒素固定をするラン藻の場合には窒素化合物を含まなくともよい。また、培地に添加する水に難溶なリン化合物あるいは非可給態リン酸を含む土壌は、培地の総重量1kgあたり200 g以下10 mg以上である。水に難溶なカリウムを含む雲母、角閃石、カリ長石などの鉱物や、それらの粉砕粒子は培地の総重量1kgあたり400 g以下0.1グラム以上、水に難溶な硫黄化合物の重量は、培地の総重量1kgあたり200 g以下10 mg以上、水に難溶なマグネシウム化合物又はドロマイトなどのマグネシウム含有鉱物の重量は、培地の総重量1kgあたり100 g以下10 mg以上である。更に、キレート剤を添加しない限り、培地には水溶性の鉄化合物の添加が必須となる。水に難溶なカルシウム化合物やカルシウムを含む骨片、鉱物(石灰岩など)やサンゴ砂などの重量は、培地の総重量1kgあたり100 g以下を特徴とする培地である。更に、培地の含水比(水の重量を溶質と不溶物質の合計重量で割った値)が0.8より大であることが好ましい。なお、含水比は、土壌物理における定義式(土壌化学分析法、(監修:日本土壌肥料学会)、第2刷、博友社、2000年)で計算するものとする。また、本発明の培地に利用する鉱物、水に難溶な化合物又は土壌は、結晶、砕屑状、非砕屑状、板状、他の素材と接着などで形成されたプール状でも良く、これらの任意の組み合わせでも良い。砕屑した場合、その粒子の粒径は、例えば、256ミリメーター以上の巨礫から、各サイズの礫、砂やシルト、そして0.004ミリメーター以下の粘土までのいかなるサイズのもので良い。尚、本発明の培地に含まれる主要な栄養素は水に難溶な化合物であるために、その特質を利用した当業者に公知の任意の手段を用いて培地から除去・回収することができる。特に、0.1 mm以上の篩目サイズのプラスチック製や金属製の篩、濾紙あるいは濾布等の手段を用いて、極めて容易、安価、且つ省エネルギーで除去・回収することができる。従って、このような除去・回収方法に適した形状である鉱物や水に難溶な化合物、又は土壌を使用することが望ましい。更に、各栄養素として本発明の培地に添加する化合物の代表例を以下に示す。培地に添加する窒素源としては、水への溶解度が高い尿素、Ca(NO3)2.4H2O、Ca(NO3)2.nH2O、KNO3、Mg(NO3)2.6H2O、Mg(NO3)2.nH2O、NaNH4HPO4.4H2O、NaNO3、NH4Cl、NH4NO3、(NH4)2SO4、NH4HCO3、(NH4)2CO3等の無機塩類や硝酸に加えるか、代替として添加する水に難溶な窒素化合物としては尿酸(7,9-dihydro-1H-purine-2,6,8(3H)-trione)やMgNH4PO4.6H2Oがあげられる。培地に添加するリン源としては、水への溶解度が高いCa(H2PO4)2.H2O 、KH2PO4、K2HPO4、K2HPO4.3H2O、K3PO4、NaH2PO4、Na2HPO4、Na3PO4、Na4P2O4、Na4P2O7.10H2O、NH4H2PO4、(NH4)2HPO4、H4O7P2、ポリリン酸等のリン酸化合物や窒素を含んだリン酸塩、リン酸やポリリン酸といった酸の形態、過リン酸石灰(Ca(H2PO4)2・H2O + 2CaSO4)か重過リン酸石灰(Ca(H2PO4)2・H2O)に加えるか、ないしは代替として添加する水に難溶なリン化合物としては、AlPO4、Ba3(PO4)2、Ca(PO3)2、CaHPO4.2H2O、Ca2P2O7、Ca3(PO4)2、3Ca3(PO4)2.Ca(OH)2、Ca4(PO4)2O、Ca8H2(PO4)6.5H2O、Ca10(PO4)6.(OH)2、Co3(PO4)2、Cu3(PO4)2、FePO4.2H2O、MgHPO4.3H2O、MgKPO4、MgKPO4.6H2O、Mg2P2O7、Mg3(PO4)2、Mg3(PO4)2.8H2O、Mn3(PO4)2、Zn2P2O7、モノアルキルリン酸、熱処理や焼成処理した動物の骨、AlPO4やCaHPO4かFePO4の何れかを含んだ土壌があげられる。培地に添加するカリウム源としては、微細藻類の培養に従来に用いられている上記の硝酸カリウムやリン酸カリウム類や、水への溶解度が高いKCl、K2CO3、KHCO3、KHSO4に加えて植物由来の草木灰を加えるか、ないしは代替として添加する水に難溶な白雲母、黒雲母、角閃石、カリ長石などの鉱物や、それらの粉砕粒子、あるいは合成雲母があげられる。培地に添加する硫黄源としては、水への溶解度が高いK2SO4、MgSO4、MgSO4.7H2O、MgSO4.nH2O、Na2SO4、等の含硫黄無機塩や硫酸があり、これらに加えるか、代替として添加する水に難溶な硫黄化合物としては、BaSO4、CaSO4、CaSO4.0.5H2O、CaSO4.2H2Oがあげられる。培地に添加するマグネシウム源としては、水への溶解度が高いMgCl2、MgCl2.6H2O、MgSO4、MgSO4.7H2O、MgSO4.nH2Oがあり、更に中和が必要だが、MgOがあり、これらに加えるか、代替として添加する水に難溶なマグネシウム化合物としては、MgCO3、MgCO3.3H2O、MgCO3.5H2O、Mg(OH)2、あるいは鉱物のドロマイトがあげられる。培地に添加するカルシウム源としては、溶解度の高低にかかわらず、その濃度が高いと、リン酸などと複合体を形成して水に難溶な沈殿を形成するものとして、CaCl2、CaCl2.2H2O、Ca(NO3)2があり、また別に中和が必要だがCaO、Ca(OH)2があり、これらに加えるか、ないしは代替として添加する水に難溶なカルシウム化合物としては、上記した水に難溶な塩と重複するが、CaCO3、Ca(PO3)2、CaHPO4.2H2O、Ca2P2O7、Ca3(PO4)2、3Ca3(PO4)2.Ca(OH)2、Ca4(PO4)2O、Ca8H2(PO4)6.5H2O、Ca10(PO4)6.(OH)2、CaSO4、CaSO4.0.5H2O、CaSO4.2H2Oがあげられる。鉄は、微量成分であるものの、沈殿した鉄化合物は、微細藻類に利用され難いために、従来用いられてきている水に可溶性の塩である、FeCl2.4H2O、FeCl3、Fe(III)-EDTA、Fe(NO3)2、Fe(NO3)3、FeSO4、Fe2(SO4)3などを添加する必要がある。また、他のナトリウム、ホウ素、亜鉛、銅、マンガン、コバルト、及びモリブデン等の微量元素のうち、培養目的の微細藻の種類等に応じて必要な元素は、適量添加してもよい。本発明培地は当業者に公知の任意の方法で調製することが出来る。例えば、培地の滅菌が必要な場合、その方法としては、例えば、窒素、リン、カリウム、硫黄、マグネシウム、カルシウムを含む化合物を指定の重量の範囲を添加するように上記のような無機塩類や鉱物を秤量し、精製水、水道水あるいは河川や井戸水、ないしは汽水、海水あるいは塩湖の水に添加した後、必要に応じて酸または塩基を添加することによりpHを約4 〜 9程度に調整する。つぎにこれを高圧蒸気滅菌(摂氏120 〜 130度、10 〜 20分間)するのが望ましい。あるいは殺菌法として、鉄化合物、微量要素やアンモニア化合物を含まない培地に、次亜塩素酸ナトリウム溶液かサラシ液、あるいはサラシ粉を添加して殺菌した後に、チオ硫酸ナトリウム溶液を添加するか、培地を太陽光で照射することにより次亜塩素酸を除去し、その後に鉄化合物、微量要素やアンモニア化合物を必要に応じて添加して、微細藻類を直ぐに混入できる状態の培地を調製することが望ましい。更に、別の殺菌手段としては、リアクター容器や培養用プール内の精製水、水道水あるいは河川や井戸水、ないしは汽水、海水あるいは塩湖の水に生石灰 (CaO) か MgOあるいは、これらの混合物を添加して密閉した状態にし、その後に希釈した硝酸や硫酸、あるいは塩酸によって中和をしてから、秤量した上記の各塩類や化合物を添加して培地を調製することも可能である。以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はその実施例によってなんら限定されるものではない。微細藻の由来: Chlorella UK001株は、日本の地球環境産業技術研究機構の事業、すなわち地球環境産業技術研究開発事業の下でMBI株式会社海洋バイオテクノロジー研究所(MBI研)における研究により単離された。該Chlorella UK001株は、NPO法人地域振興支援センターが、MBI研から使用許可を得た上で管理しているものを使用した。Chlorella regularis var. Minima UTEX1807株(UTEX Number 1807)は、アメリカテキサス州立大学で保存されているものを、購入して使用した。Botryococcus braunii 株(NIES Number 2199)、Dunaliella salina 株(NIES Number 2257)及びTolypothrix tenuis株(NIES Number 2135)は、日本の国立環境研究所微生物系統保存施設で保存されているものを、購入して使用した。Porphyridium cruentum株(IAM-R1、これはNIES Number 2138と同一種である)は、日本の東京大学(旧)応用微生物研究所の(旧)微生物系統保存施設で保存されていたものを、発明者が、相澤らの培地(表13に表示)を用いた研究時に入手し、その後保存中のものを使用した。Nostoc flagelliforme は、日本の中華街で販売されていた中華食材の髪菜(英語:Fat choy)から、発明者が液体培地にて単藻まで単離したものを使用した。培地の透視度の測定: 市販の透視度計(アズワンST-100またはST-30)を用いて標準的な方法で計測した。即ち、この測定は、明るい室内にて、透明な長い管からなる透視度計に検体である培地などの水溶液を入れて上部から目視し、管の底に沈めてある白色標識板上の二重十字が識別できる水層の最大値(cm)を求めることで行った。なお、透視度が70 cm (70度)以上の数値決定は、本発明には不要のため行っていない。培養方法:二桁の精度で計量した250 gか50 gの各培地を、500 mlか100 ml容量のパイレックス(登録商標)仕様のIWAKI製のスクリューキャップ付三角フラスコに入れた。スクリューキャップは、一旦、完全に閉めた位置より180度回転させ緩めることで、キャップのネジ山とフラスコのネジ山の間を利用して、三角フラスコを囲む気相の流入を確保した。本実施例の実施に先立つ前培養において、Chlorella UK001株とChlorella regularis var. Minima UTEX1807株は金沢らの培地(表3)、Botryococcus braunii 株はChu13の培地(表9)、Nostoc flagelliforme株は本発明培地5(表11)、Dunaliella salina 株とPorphyridium cruentum株は相澤らの培地(表13)、Tolypothrix tenuis株はMT培地(表16)を用いた。前培養時の温度と光の条件は、各々の実施例と同一にした。前培養における藻細胞の増殖が直線増殖期で進行していることを確認の後、藻懸濁液の適量を、滅菌した大型遠心チューブ(約400 ml容量)に入れアングルローター遠心機により藻体を沈殿させ、上澄みは廃棄した。ここで、Chlorella UK001株、Chlorella regularis var. Minima UTEX1807株、Botryococcus braunii 株、Nostoc flagelliforme 株、及びTolypothrix tenuis株の場合は、廃棄した上澄みと同量の無菌蒸留水、Dunaliella salina 株とPorphyridium cruentum株の場合は、廃棄した上澄みと同量の0.5M NaClを含んだ無菌蒸留水で充分に懸濁した後に、当懸濁液から同一容量の懸濁液を数本の滅菌した小型遠心チューブ(約15 ml容量)に分け入れ、スイング遠心機により藻体を沈殿させ、上澄みは廃棄した。数本の遠心チューブの各々に沈殿回収された藻体に、各々の実施例に示した培地を添加し良く懸濁した後に培養実験用の容器に移し、更に各培地の必要追加量を添加して開始時の藻濃度が異なる培地間で同一になるようにして培養実験を開始した。なお、これら前培養から実施例の実験に至る藻の遠心操作、沈殿の回収や懸濁操作は、全て室温の下、無菌状態にて行なった。また本発明培地2での実施例(表7における一番右の列データー全部)を除いた、全ての培養も無菌的に行なった。培養光: 型板ガラスのラミレックスBGからなるガラス窓を通過した窓際での太陽光を用いての照射か、暗室において白色蛍光ランプ(HAKUBA社、ライトビューアー7000PRO)を用いて培養用の三角フラスコの下面より暗期間のない連続光、あるいは各実施例の表題に示した明期(白色蛍光ランプの照射期間)と暗期(光の非照射期間)を設けて照射した。前者の場合、太陽光の62 〜 65 %強度の光が照射される状態であった。また後者の場合、照射光の光量は2,900 〜 3,100 luxであった。これらは、摂氏24 〜 26度に保たれた部屋内にあるアクリル樹脂製の透明デシケーター(内寸法(mm): 485 x 275 x 285)の中で行った。このデシケーター内に、培養液と微細藻を含む三角フラスコを静置し、空気に最終濃度2 % (v/v) のCO2ガスを封入して密閉状態に保って培養を行った。また、デシケーター内のCO2濃度を1.4 % 以上から2 % 以下になるように定期的にCO2ガスを補充した。生育の測定: 分光光度計(島津U-1800)を用いて750 nm における吸光度を測定することにより行った。この際のバンドパスは4 nmであった。培養中のフラスコの中の溶液に分散している細胞を良く懸濁して、フラスコから数ミリリットル採取し、これの4倍容量のリットルあたり100ミリモル濃度のEDTA-Na2溶液と良く混合した。その後、この希釈溶液の適量をプラスチックキュベット(光路1 cm)に移して、濁度を測定した。また、カリ長石などの鉱物砕屑物が培地に添加された場合、培養中の培地の濁度が分光測定中に激変して求められなかった。そのため、培養中のフラスコの中の溶液に分散している細胞を良く懸濁して、フラスコから数ミリリットルを試験管に採取し、遠心処理で上澄液と藻体を含む沈殿分画に分けた。上澄液を廃棄して残った沈殿分画にメタノール溶液を一定量混入し、試験管に蓋をして撹拌の後、摂氏65度で20分間の過熱処理によりクロロフィルをメタノール液に抽出した。この試験管を再度遠心して藻体や不溶物質を沈殿として除去後、上澄のメタノール分画に回収された全クロロフィル濃度を、既存の計算法(Biochem. Biophys. Res. Comm. 49巻1617-1623(1972年))に従い、665 nmと650 nmにおける吸光度の計測値から求めた。Chlorella UK 001 の窓ガラス越しの太陽光による光合成増殖生育時における微細藻の濁度を本発明の培地1(透視度が5〜8 cm)と瀧本らの培地各々250 mlで比較した。試験に用いた 本発明培地及び瀧本らの培地の組成を表1、表2と表3に示す。本発明培地1は、濁っていて透視度が5から8 cm(表1)にもかかわらず、瀧本らの培地での成育と同等の値を示した(表4)。また、本発明培地1の成分中、Ca塩とリン酸塩のみで作成した水溶液を室温で数日保存するか、あるいは高圧蒸気滅菌した後の透視度は、いずれも10〜12 cmであり、本発明培地1が有する低い透視度の主因は、これら二種類の塩を混合してできる沈殿によるものであった。Chlorella UK 001 の蛍光ランプの連続光照射による光合成増殖生育時における微細藻の濁度を本発明の培地1と瀧本らの培地、MC培地(透視度が23〜45 cm)、金沢らの培地(透視度が70 cm以上)、各々50 mlで比較した。試験に用いた 本発明培地及び金沢らの培地の組成を表1、表2と表3に示す。本発明培地1は、濁っていて透視度が5から8 cm(表1)にもかかわらず、瀧本らの培地、MC培地、金沢らの培地での成育と同等か、それ以上の値を示した(表5)。Chlorella regularis var. minima UTEX 1807の窓ガラス越しの太陽光による光合成増殖生育時における微細藻の濁度を本発明の培地1と金沢らの培地、各々250 mlで比較した。試験に用いた 本発明培地及び金沢らの培地の組成を表1、表2と表3に示す。本発明培地1は、濁っていて透視度が5から8 cm(表1)にもかかわらず、金沢らの培地での成育と同等の値を示した(表6)。Chlorella regularis var. minima UTEX 1807 の窓ガラス越しの太陽光による光合成増殖表4,5及び6で示されたように、本発明の培地1は、従来の培地と同等か、それ以上の増殖をもたらすものであることが判明した。そこで、今度は、水に難溶な窒素源の尿酸、水に難溶なリン酸源のCa3(PO4)2、水に難溶なマグネシウム源のMg(OH)2、水に難溶な硫黄源のBaSO4を含む本発明の培地2と、本発明の培地1、各々250 mlで比較した。試験に用いた、本発明培地1及び2の組成を表1と表2に示す。その結果、水に難溶な塩を含み、その透視度が7 cmから10 cm である本発明培地2でも、十分な増殖をもたらす培地であることが示された(表7)。Chlorella UK 001 の蛍光ランプの照射(1日あたり、14時間明期/10時間暗期)による光合成増殖更に、今度は、水に難溶な窒素源の尿酸、水に難溶なリン酸源のAlPO4、水に難溶なリン酸源、水に難溶なカリウム源のカリ長石の破屑粉、水に難溶なマグネシウム源のMg(OH)2、水に難溶な硫黄源のBaSO4を含む本発明の培地3と、本発明の培地1、各々250 mlで比較した。試験に用いた 本発明培地1及び3の組成を表1と表2に示す。その結果、水に難溶解性の塩を含み、その透視度が1.5 cmから3 cm という相当に濁った本発明培地3でも、十分な増殖をもたらす培地であることが示された(表8)。Botryococcus braunii の蛍光ランプの照射(1日あたり、14時間明期/10時間暗期)による光合成増殖バイオ燃料を産生する緑藻のBotryococcusについて、当微細藻の標準培地として用いられるChu13培地、水に難溶解性の窒素源の尿酸、水に難溶解性のリン酸源のCa3(PO4)2、水に難溶なカリウム源のカリ長石の破屑粉水に難溶解性のマグネシウム源のMg(OH)2、水に難溶解性の硫黄源のBaSO4を含む本発明の培地4と、培地4からカリ長石を除いたカリウム欠乏培地について各々250 mlで比較した。試験に用いた これらの培地の組成を表2と表9に示す。その結果、カリウムが欠乏すると当微細藻は増殖が停止するにもかかわらず、水に難溶解性の塩を含み、その透視度が5 cmから8 cmである本発明培地4でも、十分な増殖をもたらす培地であることが示された(表10)。Nostoc flagelliforme の蛍光ランプの照射(1日あたり、12時間明期/12時間暗期)による光合成増殖沙漠に生育し、貴重な中華食材として知られ、更に抗ウイルス成分を含むラン藻のNostoc flagelliformeについて、当微細藻の標準培地として用いられるBG11培地(Bacteriol. Reviews 35巻、171-205(1971年)に記載)よりも安価に作成でき、かつpHの滴定操作も不要な本発明培地5、および同様にBG11培地よりも安価に作成でき、かつpHの滴定操作も不要、しかも水に難溶なカリウム源のカリ長石の破屑粉を含む本発明の培地6と、培地6からカリ長石を除いたカリウム欠乏培地について各々250 mlで比較した。試験に用いた、これらの培地の組成を表2と表11に示す。その結果、本発明培地5はpHが8.4から8.6とアルカリ性を示すため、MgCO3、MgHPO4、MgKPO4、Mg(OH)2、Mg3(PO4)2 といった水に難溶な化合物の何れかが高圧蒸気滅菌中に形成され、濁っていて透視度が10から15 cm(表11)にもかかわらず生育し、また、カリウム化合物を添加しないカリウム欠乏培地では当微細藻の増殖が停止するにもかかわらず、水に難溶なカリ長石を含み、その透視度が6 cmから8 cm (表11)である本発明培地6では十分な増殖をもたらす培地であることが示された(表12)。なお、予備実験の段階で、Nostoc flagelliformeの直線期における増殖速度は、本発明培地5と、標準培地のBG11培地とが同等であることを確認している。Dunaliella salina の蛍光ランプの照射(1日あたり、14時間明期/10時間暗期)による光合成増殖塩湖、海水や汽水で生育可能で、カロチノイドの生産に有望な耐塩性緑藻のDunaliella salinaについて、数種のDunaliellaやPorphyridium cruentum用の培地として報告されている相澤らの培地(Plant Cell Physiol., 26巻、1199-1203(1985年)に記載)、および、これよりも安価に作成でき、かつpHの滴定操作も不要で、更に水に難溶な窒素源の尿酸、水に難溶解性のリン酸源の水に難溶なリン酸源の水に難溶解性のリン酸源のAlPO4、PO4、水に難溶なカリウム源のカリ長石の破屑粉、水に難溶なマグネシウム源のMg(OH)2、水に難溶な硫黄源のBaSO4を含む本発明の培地7について各々250 mlで比較した。試験に用いた、これらの培地の組成を表2と表13に示す。その結果、本発明培地7は、濁っていて透視度が2 cmから3 cm(表13)にもかかわらず十分な増殖をもたらす培地であることが示された(表14)。Porphyridium cruentum R1 の蛍光ランプの照射(1日あたり、14時間明期/10時間暗期)による光合成増殖海水、汽水や汚水中で生育可能で、汚水処理にも有望な単細胞紅藻であるPorphyridium cruentum R1について、数種のDunaliellaやPorphyridium cruentum用の培地として報告されている相澤らの培地(Plant Cell Physiol., 26巻、1199-1203(1985年)に記載)、および、これよりも安価に作成でき、かつpHの滴定操作も不要で、更に水に難溶な窒素源の尿酸、水に難溶なリン酸源の水に難溶解性のリン酸源のAlPO4、PO4、水に難溶なカリウム源のカリ長石の破屑粉、水に難溶なマグネシウム源のMg(OH)2、水に難溶な硫黄源のBaSO4を含む本発明の培地7について各々250 mlで比較した。試験に用いた、これらの培地の組成を表2と表13に示す。その結果、本発明培地7は、濁っていて透視度が2 cmから3 cm(表13)にもかかわらず相澤らの培地と同等の増殖をもたらす培地であることが示された(表15)。Tolypothrix tenuis の蛍光ランプの照射(1日あたり、12時間明期/12時間暗期)による光合成増殖熱帯や亜熱帯の土壌表面に生育し、それが稲などのバイオ肥料源としての利用が期待されるラン藻のTolypothrix tenuisについて、当微細藻の標準培地として用いられるMT培地(J. Gen. Appl. Microbiol., 6巻, 283-292 (1960年) に記載)よりも安価に作成でき、かつpHの滴定操作も不要で、更に水に難溶なカリウム源のカリ長石の破屑粉を含む本発明培地8と、培地8からカリ長石を除いたカリウム欠乏培地について各々250 mlで比較した。試験に用いた、これらの培地の組成を表2と表16に示す。その結果、カリウム化合物を添加しないカリウム欠乏培地では、当微細藻の増殖が停止して細胞の死滅が始まるにもかかわらず、水に難溶なカリ長石の破屑粉を含み、その透視度が5 cmから8 cm(表16)である本発明培地8では十分な増殖をもたらす培地であることが示された(表17)。この発明によって、各種のバイオマス生産における培養にて利用する培地中の栄養成分の選別における自由度を格段に増すことが可能となり、培養の低コスト化や世界各地に分散している未利用資源の利用などが期待できる。栄養素として含まれる、窒素源、リン源、カリウム源、硫黄源、マグネシウム源、及びカルシウム源として、窒素化合物、リン化合物、カリウム化合物、硫黄化合物、マグネシウム化合物、及び、カルシウム化合物から成る群から選択される化合物であって、少なくとも一種類の水に難溶な化合物、又は、互いに複合体を形成して難溶性の沈殿を形成するような二種類以上の化合物を含み、透視度が15 cm (15度)〜0.5cm (0.5度)の範囲であることを特徴とする、微細藻類用培地。透視度が10 cm (10度)〜1cm (1度)の範囲であることを特徴とする、請求項1記載の微細藻類用培地。透視度が8 cm (8度)〜1.5 cm (1.5度)の範囲であることを特徴とする、請求項2記載の微細藻類用培地。窒素源、リン源、硫黄源、マグネシウム源、及びカルシウム源の全てに水に難溶な化合物を使用する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の微細藻類用培地。窒素源、リン源、カリウム源、硫黄源、マグネシウム源、及びカルシウム源の全てに水に難溶な化合物を使用する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の微細藻類用培地。含水比が0.8より大である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の微細藻類用培地。請求項1〜6のいずれか一項に記載の微細藻類用培地を使用することからなる、微細藻類の培養方法。微細藻類がChlorella 属、Botryococcus 属、Dunaliella属、Porphyridium 属、Nostoc 属及びTolypothrix属からなる群から選択されるいずれか一つの属に属する、請求項7記載の培養方法。請求項7又は8記載の微細藻類の培養方法による培養中又は培養終了後に、水に難溶な化合物を該培地から除去し、回収する方法。


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