タイトル: | 公表特許公報(A)_肺の表面張力を低く維持し、肺サーファクタントを保護するための生分解性ナノ、メソ及びマイクロポリマー粒子 |
出願番号: | 2013519960 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 31/78,A61K 31/765,A61K 31/70,A61K 31/785,A61K 9/14,A61P 11/00,A61P 11/06,A61P 9/00,A61P 37/02,A61K 9/12,A61K 9/72 |
ベック−ブロイクシッター モーリッツ シュメール トーマス ゲッスラー トビアス JP 2013545717 公表特許公報(A) 20131226 2013519960 20110718 肺の表面張力を低く維持し、肺サーファクタントを保護するための生分解性ナノ、メソ及びマイクロポリマー粒子 ユストゥス−リービッヒ−ウニヴェルジテート・ギーセン 508159123 名古屋国際特許業務法人 110000578 ベック−ブロイクシッター モーリッツ シュメール トーマス ゲッスラー トビアス EP EP10169915 20100716 A61K 31/78 20060101AFI20131129BHJP A61K 31/765 20060101ALI20131129BHJP A61K 31/70 20060101ALI20131129BHJP A61K 31/785 20060101ALI20131129BHJP A61K 9/14 20060101ALI20131129BHJP A61P 11/00 20060101ALI20131129BHJP A61P 11/06 20060101ALI20131129BHJP A61P 9/00 20060101ALI20131129BHJP A61P 37/02 20060101ALI20131129BHJP A61K 9/12 20060101ALI20131129BHJP A61K 9/72 20060101ALI20131129BHJP JPA61K31/78A61K31/765A61K31/70A61K31/785A61K9/14A61P11/00A61P11/06A61P9/00A61P37/02A61K9/12A61K9/72 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW DE2011001471 20110718 WO2012010159 20120126 23 20130315 4C076 4C086 4C076AA26 4C076AA30 4C076AA93 4C076BB27 4C076CC15 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA01 4C086FA02 4C086FA03 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA13 4C086MA43 4C086MA56 4C086NA14 4C086ZA36 4C086ZA59 4C086ZA60 4C086ZB07発明の詳細な説明 本発明は、正の表面電荷及び正のζ電位を有するナノ、メソ及びマイクロポリマー粒子を提供する。これらの粒子は、特定の疾患において、肺の粘膜層(肺胞被覆層)に浸透し、それによって肺サーファクタントの生物物理学的特性に影響を与える病原体タンパク質と結合することができる。この方法により、本発明に基づくポリマー粒子は、肺の界面活性物質系を保護する。 〔技術分野〕 本発明は、内科、薬理学、ナノテクノロジー及び医療技術の分野に関する。 〔背景技術〕 哺乳類の肺胞腔は、表面張力を減少させて呼吸時の肺胞の虚脱を防止している複雑な界面活性物質系によって覆われている。肺サーファクタントは、II型肺胞上皮細胞から分泌され、約90%の脂質と10%のタンパク質とを含んでいる。肺胞表面を覆う脂質は、主としてリン脂質(80〜90%)を含み、中性脂質を僅かな割合で(10〜20%)含んでいる。リン脂質の中では、ホスファチジルコリン(70〜80%)とホスファチジルグリセロールとが優位を占め、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン及びホスファチジルエタノールアミンが少量存在する。肺胞サーファクタントのタンパク質質量の約半分は、高分子量親水性タンパク質であるサーファクタント結合タンパク質SP−A及びSP−D、並びに低分子量疎水性タンパク質であるサーファクタント結合タンパク質SP−B及びSP−Cから成る。数多くのin vitro試験において、リン脂質(ホスファチジルコリンおよびホスファチジルグリセロール)とサーファクタントタンパク質(SP−B及びSP−C)との間の複雑な相互作用が研究されており、これらは、圧縮・膨張サイクル中に肺胞領域の表面張力を0mN/mにまで減少させることができる。この種の極めて低い表面張力は、リン脂質の豊富な表面膜によってのみ達成することができる。さらに、これらの単分子層は十分な安定性及び流動性を有しており、空気−水界面の表面変化の間に、個々のサーファクタント成分の交換を可能にしている。表面膜の圧縮中(呼気)は、SP−B及びSP−Cが単分子層の清浄を促進し、特に非リン脂質化合物は、「表面結合性貯留」が形成されるバルク相に戻される(「絞り出し」)。肺胞表面が膨張する場合(吸気)、SP−B及びSP−Cは、「表面結合性サーファクタント貯留」内にあるサーファクタント脂質の迅速な再流入と再拡大とを容易にし、このことは、表面張力の増加を制限するために不可欠である。 肺の粘膜層への血漿タンパク質(アルブミン)の混入は、肺サーファクタント機能に影響を及ぼす。このことは、例えば成人呼吸窮迫症候群(ARDS)で説明されている(W.Seeger,C.Grube,A.Gunther,R.Schmidt:“Surfactant inhibition by plasma proteins:differential sensitivity of various surfactant preparations",Eur Respir J 1993,6:971−977)。異常のあるサーファクタント機能は、その他の肺疾患及び心臓疾患でも観察される(A.Gunther,C.Siebert,R.Schmidt,S.Ziegler,F.Grimminger,M.Yabut,B.Temmesfeld,D.Walmrath,H.Morr,W.Seeger:“Surfactant alterations in severe pneumonia,acute respiratory distress syndrome,and cardiogenic lung edema",Am J Respir Crit Care Med 1996,153:176−184;A.Gunther,R.Schmidt,F.Nix,M.Yabut−Perez,C.Guth,S.Rosseau,C.Siebert,F.Grimminger,H.Morr,H.G.Velcovsky,W.Seeger:“Surfactant abnormalities in idiopathic pulmonary fibrosis,hypersensitivity pneumonitis and sarcoidosis",Eur Respir J 1999,14:565−473)。この種の疾患における可能な治療戦略として、合成又は天然のサーファクタントを肺の中に注入するサーファクタント補充療法が長年にわたり評価されてきた。しかし、この治療法は、肺の粘膜層の有害なタンパク質の存在という本質的な問題を解決していない。それによって、治療的に肺の中に注入されるサーファクタントの損傷又は不活化も生じる可能性がある。 近年では、生体適合性ポリマー粒子が肺内投与にも可能な薬物キャリアとして研究されてきた。カプセル化された有効物質の肺内への直接投与により、有効物質を望ましい作用部位に長時間にわたり放出制御することができ、このことが薬理効果を延長させることにつながる。さらに、ポリマー粒子製剤は、カプセル化された有効物質を分解から保護し、呼吸器系内における特定の作用部位又は細胞集団に適切に作用することができる。一方、生分解性ポリマー粒子については、数多くのin vitro及びin vivo試験において優れた肺適合性が示されている。 驚くべきことに、肺に送り込まれたナノ、メソ及びマイクロポリマー粒子は、肺粘膜層に浸透する血漿タンパク質を粒子の表面に吸着することによって、肺サーファクタント機能に有利な影響を及ぼすことができる。吸着された血漿タンパク質は、空気−水界面のサーファクタント構造を損傷することはできない。 本発明の結果は、本発明に基づくナノ、メソ及びマイクロポリマー粒子が肺の低い表面張力を回復及び維持し、肺サーファクタントを保護するために適していることを示している。 〔発明が解決しようとする課題〕 本発明の課題は、肺の低い表面張力を回復及び維持し、肺サーファクタントを保護するのに適した薬剤を提供することである。 〔課題を解決するための手段〕 肺の低い表面張力を回復及び維持し、肺サーファクタントを保護する薬剤を提供するという課題は、本発明に基づいて、肺の粘膜層に浸透する病原体タンパク質と結合する生体適合性ナノ、メソ及びマイクロポリマー粒子によって解決され、これらの粒子は、− 20nm〜10μmの直径を有し、− 水不溶性であり、− 正の表面電荷を有し、− 液滴法で測定した接触角が120°未満に相当する、低い表面疎水性を有し、− 粒子が生理学的条件下において正に帯電した粒子として肺内に存在し、同時に、結合する病原体タンパク質の等電点よりも大きいように、5よりも大きい等電点を有し、− +20mVよりも大きい正のζ電位を有することを特徴とする。 驚くべきことに、これらの特徴を備える生体適合性ナノ、メソ及びマイクロポリマー粒子は、肺粘膜に浸透する病原体タンパク質と結合することによって、肺の低い表面張力を維持し、肺サーファクタントを保護することが確認された。肺粘膜は、肺液層とも呼ばれる。 以下では、本発明に基づく生体適合性ナノ、メソ及びマイクロポリマー粒子を、「ポリマー粒子」と短縮して呼ぶ。 天然のサーファクタントタンパク質SP−B及びSP−Cは、分子量が10kDa以下の比較的小さなタンパク質である。これらは疎水性が高く、約10〜12の等電点(IEP)を有し、生理学的条件下において正に帯電している。 これに対して、例えば病原体血漿タンパク質といった周知の病原体タンパク質は著しく大きく、明らかにより大きな分子量(MW)を有している。サーファクタントタンパク質SP−B及びSP−Cとは逆に、これらのIEPは8よりも小さく、従って生理学的条件下では負に帯電している。さらに、これらの病原体タンパク質は、天然のサーファクタントタンパク質よりも明らかに疎水性が低い。生理学的に関連する病原体タンパク質の例は、アルブミン(IEP:約4.6;MW約66kDa)、フィブリノゲン(IEP:約5.8;MW:約340kDa)及びヘモグロビン(IEP:約7.1;MW:約64kDa)である。肺内で発生する病原体タンパク質の等電点及び分子量は、当業者には周知である。 病原体タンパク質は、肺の粘膜層に浸透し、天然のサーファクタントタンパク質のリン脂質との生理学的相互作用を阻害するため、肺の表面張力を増加させる。 本発明に基づくポリマー粒子は、5よりも大きい等電点(IEP)を有することにより、肺の生理学的条件下で正に帯電している粒子として存在する。好ましい実施形態では、本発明に基づくポリマー粒子が、7よりも大きい等電点を有している。特に好ましい実施形態では、本発明に基づく粒子が、9よりも大きい等電点を有している。さらに、本発明に基づくポリマー粒子の等電点は、結合させる病原体タンパク質のIEPよりも大きいように選択することができる。当業者には、例えば高分子電解質滴定などを用いて、ポリマーの等電点を測定する方法が知られている。当業者は、請求項の保護範囲を逸脱することなく、この知識を使用することができる。 任意で、本発明に基づくポリマー粒子は、常時、正に帯電していることができる。このことは、ポリマー粒子が第四級窒素原子を備えるポリマーである場合に該当する。 本発明に基づくポリマー粒子は、20nm〜10μmの直径を有する。少なくとも200nmの直径を有する粒子は、肺のマクロファージによって積極的に認識され、吸収及び分解される。肺マクロファージは、肺深部(呼吸気管支、肺胞腔)の効率的なクリアランス機構である。200nmよりも小さいナノ粒子は、非特異的機序(受動輸送、拡散、エンドサイトーシス、トランスサイトーシスなど)によって、肺深部の粘膜層から上皮細胞、マクロファージ、免疫細胞、樹枝状細胞、内皮細胞又は間質の中に取り除かれる。しかし、本発明に基づくポリマー粒子は、10μmよりも大きくなることはない。なぜなら、肺のマクロファージはこれより大きな粒子を効果的に吸収できず、分解できないからである。好ましい実施形態では、本発明に基づくポリマー粒子が、200nm〜10μmの直径を有している。特に好ましい実施形態では、本発明に基づくポリマー粒子が、200nm〜6μmの直径を有している。 本発明に基づくポリマー粒子は、水不溶性である。この場合、水不溶性ポリマーとは、本発明の意味において、水溶解度が0.1重量パーセントよりも小さいポリマーを意味する。 本発明に基づくポリマー粒子は、正の表面電荷及び+20mVより大きい正のζ電位を有することにより、静電相互作用によって病原体タンパク質を吸着することができる一方、天然のサーファクタントタンパク質は吸着されない。好ましい実施形態では、本発明に基づくポリマー粒子が、正の表面電荷及び+40mVより大きいζ電位を有している。特に好ましい実施形態では、本発明に基づくポリマー粒子が、正の表面電荷及び+60mVより大きいζ電位を有している。正の表面電荷を備える粒子は、カチオン性粒子である。 親水性病原体タンパク質の吸着は、本発明に基づくポリマー粒子の低い表面疎水性によって、さらに有利になる。これに対し、疎水性サーファクタントタンパク質は吸着されない。本発明に基づき、「低い表面疎水性」とは、液滴法で測定した接触角が120°未満であることを意味する。好ましい実施形態では、本発明に基づくポリマー粒子が、液滴法で測定した接触角が90°よりも小さい表面疎水性を有している。特に好ましい実施形態では、本発明に基づくポリマー粒子が、液滴法で測定した接触角が60°よりも小さい表面疎水性を有している。 本発明に基づくポリマー粒子によって生じる病原体タンパク質の吸着は、粒子とタンパク質との間の純粋に物理的な相互作用プロセスに基づいていることが分かる。請求項1の特徴を有する全ての粒子が肺の粘膜層における病原体タンパク質の吸着に適していることは、当業者には明らかである。 本発明に基づくポリマー粒子を製造するのに適したモノマーは、限定はされないが、例えばアクリレート、メタクリレート、ブチルメタクリレート、(2−ジメチルアミノエチル)−メタクリレート、アミン類、アミド類、アセタール類、ポリエステル類、ケタール類、酸無水物、及び糖類である。この場合、ホモポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、グラフトコポリマー、スターポリマー、櫛形ポリマー、高度に分岐したポリマー、ランダムポリマー(統計学的ポリマー、statistisches Polymer)またはデンドリマーであってもよい。 本発明に基づくポリマー粒子は、正の表面電荷を有している。このことは、ポリマー自体が正の電荷を有している(例えば、カチオン性アクリレート、カチオン性櫛型ポリマーなど)か、もしくはポリマーを周知の粒子調製方法(例えば、ナノ析出、エマルション法など)によって処理するかいずれかを意味している。さらに、帯電していない、又は負の電荷を有するポリマーも使用することができ、これらのポリマーは周知の粒子製造方法(例えば、ナノ析出、エマルション法など)によって処理することができる。粒子の正電荷は、カチオン性乳化剤(塩化セチルピリジニウムなど)の存在により、製造中に生成される。さらに、追加工程(キトサン、DEAE−デキストラン、DEA−PA、DEAPA−PVA、PEIなどの正に帯電したコーティング物質によるコーティング)により、製造後の粒子に正の表面電荷を備えることができる。この場合、DEAEはジエチルアミノエチル基を、DEA−PAはジエチルアミノ−ポリアミドを、DEAPA−PVAはジエチルアミノプロピルアミン修飾ポリビニルアルコールを、PEIはポリエチレンイミンを表している。 好ましい実施形態では、本発明に基づくポリマー粒子が、ポリ−(ブチルメタクリレート)−co−(2−ジメチルアミノエチル)−メタクリレート−co−メタクリル酸メチルから成る。このターポリマーは当業者には周知であり、本発明の範囲内で、本発明に基づくポリマー粒子の製造に用いることができる。この場合、ブチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノエチル)−メタクリレート及びメタクリル酸メチルの3種類のモノマーの割合は、結果的に生じる粒子が請求項1の特徴を有している限り、本発明に基づいて変更することができる。どのターポリマー組成がこの条件を満たしているか確定する方法は、当業者には周知である。すなわち、当業者は大きな労力をかけることなく、また特許請求項の保護範囲を逸脱することなしに、適合するターポリマーを検出することができる。 特に好ましい実施形態では、ブチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノエチル)−メタクリレート及びメタクリル酸メチルが1:2:1(w/w/w)の割合で存在している。この種のターポリマーはEudragit(オイドラギット)(登録商標)E100という名称で知られている。そのようなポリマーから製造される本発明に基づく粒子は、その等電点が8〜9にあることを特徴とすることができる。接触角は、80〜90°、例えば86°である。さらに、そのζ電位は正であり、この場合、+20mVよりも大きく、例えば+40〜+60mVである。そのような粒子の直径は、有利には200nmよりも大きく、例えば400〜500nmである。この粒子は、肺胞マクロファージによって積極的に貪食され、下気道の粘膜層から取り除くことができる。また、肺への吸入によって投与することも可能である。 本発明に基づくポリマー粒子は、例えばナノ析出又はエマルション法によって調製することができる。さらに、ナノ粒子は塩析法又は重合によって調製することができ、微粒子は噴霧乾燥によって製造することができる。 ナノ析出によって粒子を製造する場合、ポリマーの0.1〜10%溶液(w/v)を第1の極性非プロトン性溶媒内で生成し、続いて、第2溶媒内で沈殿させる。この場合、第1の溶媒はポリマーを溶かし、第2の溶媒と完全又は部分的に混合できなければならないが、その際、第2の溶媒はポリマーを溶かさない。適した極性非プロトン性溶媒は、例えば、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、トリクロロメタン及びエチレンアミン(Ethylenamin)である。第2の溶媒として水を使用するのが有利である。 沈殿生成は、ポリマー溶液を第2の溶媒に加えるか、又はポリマー溶液をこの溶媒に対して透析することによって行うことができる。続いて、この有機溶媒を取り除き、懸濁液中に粒子を保存する。 この場合、第1の溶媒の選択は、製造方法に左右される。原則的に、ポリマーを溶かし、第2の溶媒と完全又は部分的に混合できるような溶媒は、第1の溶媒として適している。本発明に基づくポリマー粒子の規定直径及び狭い粒度分布は、選択された製造方法、有機相中のポリマー濃度、撹拌速度、混合速度及び容量比によって調整することができる。さらに、このポリマー溶液には、オプションで、例えばアニオン性又は非イオン性の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の添加によって、本発明に基づくポリマー粒子の直径及び粒度分布を規定通りに調整することができる。言及した直径及び粒度分布の調整方法は、当業者には周知であり、特許請求項の保護範囲を逸脱することなく使用することができる。 本発明の利点は、ポリマー粒子の製造方法を提供することであり、本方法は、a)第1の、有機、好ましくは極性非プロトン性溶媒にポリマーを溶かす工程、b)ポリマー溶液を第2の溶媒に加えるか、又はポリマー溶液をこの溶媒に対して透析することによって粒子を沈殿させ、このとき第1及び第2の溶媒は完全又は部分的に互いに混合可能であるが、第2の溶媒はポリマーを溶かさない工程、c)第1の溶媒を取り除き、懸濁液中に粒子を保存する工程、という各工程を有している。 この場合、工程a)において、溶媒1ml当たり1〜40mg、好ましくは10〜30mgのポリマーを溶かす場合は有利である。さらに、工程a)のポリマーが、ホモポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、グラフトコポリマー、スターポリマー、櫛形ポリマー、高度に分岐したポリマー、ランダムポリマー(statistisches Polymer)またはデンドリマーであり、そのモノマー単位が、アクリレート、メタクリレート、ブチルメタクリレート、(2−ジメチルアミノエチル)−メタクリレート、アミン類、アミド類、アセタール類、ポリエステル類、ケタール類、酸無水物、及び糖類から選択され、第1の溶媒が、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、トリクロロメタン及びエチレンアミン(Ethylenamin)から選択され、第2の溶媒は第1の溶媒と完全又は部分的に混合可能であるが、第2の溶媒はポリマーを溶かさない場合は有利である。 工程a)において、溶媒1ml当たり20mgのポリマーを溶かす場合は特に有利である。この場合、ポリ−(ブチルメタクリレート)−co−(2−ジメチルアミノエチル)−メタクリレート−co−メタクリル酸メチルを含むポリマーは、ブチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノエチル)−メタクリレート及びメタクリル酸メチルの割合が1:2:1(w/w/w)であり、第1の溶媒がアセトンであり、第2の溶媒が水であってよい。 本発明に基づくポリマー粒子は、有利には、圧電性のエアロゾル発生器、ノズル式エアロゾル発生器、超音波式エアロゾル発生器、ソフトミスト吸入器、計量投与用吸入器又はドライパウダー吸入器を使って噴霧することができ、従って、肺への投与は、ネブライザーを用いてエアロゾル(懸濁液、粉末)の吸入により行われる。この投与のためには、本発明に基づくポリマー粒子が、深肺部に達することができるように、6μmよりも小さい直径を有している場合は有利である。 肺投与のもう1つの方法は、例えばカテーテル、気管支鏡又は挿管(例えばチューブ又は気管カニューレ)などを介する注入がある。 本発明に基づくポリマー粒子は、肺の表面張力の増加及び肺サーファクタントの損傷に伴って起こる肺疾患の予防及び/又は治療のための医薬品の製造に使用することができる。本発明に基づくポリマー粒子は、肺の低い表面張力を回復及び維持し、肺サーファクタントを保護することに用いられる。 従って、本発明に基づくポリマー粒子は、新生児呼吸窮迫症候群、急性/成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷(ALI)、肺感染症、肺炎、肺高血圧、心原性肺水腫、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)/肺気腫、間質性肺疾患、肺腫瘍、中毒性肺胞炎、肺胞出血症候群、嚢胞性線維症、特発性肺ヘモジデリン沈着症、膠原病、血管炎、塵肺症、好酸球性肺浸潤、放射線損傷、遺伝性又は先天性肺疾患、以上の疾患を治療又は診断する薬剤の製造に用いることができる。 この場合、本発明に基づくポリマー粒子の作用は、上述したように、病原体タンパク質が吸着されることによる、純粋に物理的特性である。続いて、病原体タンパク質を吸着したポリマー粒子は、肺のマクロファージによって排除されるか、又は非特異的クリアランス機構によって肺粘膜層から取り除かれる。 本発明のさらなる特徴、詳細及び利点は、請求項の文面及び以下の実施例の説明、並びに図に示されている。約500nmの平均粒径を備えるEudragit(登録商標)E100ナノ粒子の走査型電子顕微鏡写真である。約500nmの平均粒径を備える製造直後のEudragit(登録商標)E100ナノ粒子の、動的光散乱法(DLS)による粒度分布曲線である。実線は粒径の密度分布を示し、破線は粒径の累積分布を示している。BSA及びシトクロムCとともに粒子を培養した後の各タンパク質に対する、約500nmの平均粒径を備えるEudragit(登録商標)E100ナノ粒子の吸着性能(Γ)を、様々な濃度(a)及びラングミュアモデルに適合したBSAとシトクロムC吸着データ(b)で示した図である。(b)の実線は測定データの回帰曲線である。(a)の値は、平均値±標準偏差として表示されている(n=3)。BSA及びシトクロムCとともに粒子を培養した後の各タンパク質に対する、約500nmの平均粒径を備えるEudragit(登録商標)E100ナノ粒子の吸着性能(Γ)を、様々な濃度(a)及びラングミュアモデルに適合したBSAとシトクロムC吸着データ(b)で示した図である。(b)の実線は測定データの回帰曲線である。(a)の値は、平均値±標準偏差として表示されている(n=3)。 (材料) 以下に説明されている実施例で使用されるカチオン性ポリマー、すなわちポリ−(ブチルメタクリレート)−co−(2−ジメチルアミノエチル)−メタクリレート−co−メタクリル酸メチル1:2:1(Eudragit(登録商標)E100)は、Roehm社(ダルムシュタット、ドイツ)から購入した。シトクロムC(ウシ心臓由来、95%)及びウシ血清アルブミン(BSA)は、Sigma−Aldrich社(シュタインハイム、ドイツ)から購入した。これらの試験において使用されたその他の全ての化学物質及び溶媒は、市販で入手可能な最高純度を有している。 (方法) 1.ナノ粒子の製造 ナノ粒子は、Hyun−Jeong Jeon,Young−Il Jeong,Mi−Kyeong Jang,Young−Hoon Park,Jae−Woon Nah:“Effect of solvent on the preparation of surfactant−free poly(DL−lactide−co−glycolide) nanoparticles and norfloxacin release characteristics",Int J Pharm 2000,207:99−108で説明されている方法に基づいて生成された。本発明においては、200mgのポリマー(Eudragit(登録商標)E100)を10mlのアセトンに溶解した。次に、10mlのポリマー溶液を透析チューブ(孔径10kDa)の中に加え、蒸留水に対して24時間透析した。粒子は、製造直後に特性解析され、使用された。 ナノ粒子の特性解析 項目1の方法で製造されたナノ粒子は、以下の項目2〜4で説明されている方法によって特性解析された。 2.走査型電子顕微鏡法(SEM) 希釈されたナノ粒子懸濁液の1滴を、シリコンウェハースの上に加えた。次に、全ての試料を真空乾燥し、Gatan Alto 2500 Sputter Coaters(Gatan社、ミュンヘン、ドイツ)を使って白金でコーティングした。ナノ粒子の形態は、走査型電子顕微鏡(JSM−7500F、日本電子、エヒング(Eching)、ドイツ)を用いて2〜5kVで検査した。 3.粒径及びζ電位の測定 得られたナノ粒子の流体力学的粒径及び粒度分布を、動的光散乱法(DLS)によって測定した。ζ電位は、レーザードップラー流速計(LDA)によって、ゼータサイザーナノZS/ZEN3600(Malvern Instruments社、ヘレンベルク、ドイツ)を用いて特定した。全ての試験は、25℃の温度で、適切な希釈液中の試料で実施した。DLSのため、濾過し、2回蒸留した水で試料を希釈した。LDAには、試料を希釈するため、1.56mMのNaClを用いた。全ての測定は3度実施され、最低10回のナノ粒子の製造直後に実施された。 4.タンパク質のナノ粒子への吸着 シトクロムC及びBSAのナノ粒子への吸着を測定するため、モデルタンパク質シトクロムC(IEP=10、MW=12.3kDa)及び病原体モデルタンパク質BSA(IEP=約4.6、MW=約66kDa)の規定濃度及び規定量をもつナノ粒子懸濁液を25℃で3時間培養した。ナノ粒子に吸着したタンパク質の量は、ナノ粒子懸濁液に添加したタンパク質の量と、水相に残留している吸着しなかったタンパク質の量との差によって特定した。培養後、試料を16,000×gで2時間遠心分離機にかけ(遠心分離機5418、エッペンドルフ、ハンブルク、ドイツ)、上澄み液中の結合していないタンパク質は、シトクロムC及びBSAの吸光係数によってそれぞれ特定した。各タンパク質濃度について、培養時間中のタンパク質損失を検出するため、ナノ粒子を含まない対照試料を作成した。タンパク質負荷率は、以下の式のように計算した。 5.表面疎水性 表面疎水性は、液滴法で特定することができる。この場合、当業者に知られている方法は光学的接触角測定である。 6.等電点 ポリマー粒子の等電点は、高分子電解質滴定によって特定することができる。 (結果) 1.ナノ粒子の特性 「項目3の方法」に従って特定されたナノ粒子の物理化学的特性が表1に示されている。 使用したナノ粒子製剤の構造、粒径及び粒度分布を特定するため、走査型電子顕微鏡法(SEM)による測定が実施された。図1から、ナノ粒子が約500nmの平均粒径を有していることが分かる。この場合、白い尺度の長さは、表示されているように1μmである。表示されているほとんどの粒子は、この尺度の約半分に該当する直径を有している。この写真は、倍率8000倍、電圧2.0kVで撮影された。これらのナノ粒子は、ほぼ球形である。ナノ粒子製剤の粒径及び粒度分布を、さらに動的光散乱法(DLS)によって調べた。DLSによる密度及び累積粒度分布の典型的な曲線が図2に示されている。この場合、実線は密度分布を示し、その目盛は左のy軸で読み取ることができる。破線は累積粒度分布を示し、その目盛は右のy軸で読み取ることができる。最大の密度分布が約500nmの粒径にあることが分かる。従って、図2に示されている曲線は、全ての製剤について、平均粒径が約500nmであり、狭い粒度分布を有していることを証明している。走査型電子顕微鏡法(SEM)のデータは、動的光散乱法(DLS)のデータとよく一致している。 Eudragit(登録商標)E100ナノ粒子の表面電荷(ζ電位)はレーザードップラー流速計を使って特定され、ζ電位は+53.7mVであり、正電位であった。 粒子の等電点は8.5±0.5、接触角は86°である。 2.シトクロムC及びBSAのナノ粒子への吸着 様々なナノ粒子製剤表面のサーファクタント結合タンパク質の吸着をシミュレーションするため、正に帯電しているモデルタンパク質シトクロムCを使用した(図3)。BSAは、粘膜層内の病原体タンパク質のモデルタンパク質として選択された。図3aの吸着等温線に示されているように、シトクロムC及びBSA(Γ)の吸着量が、シトクロムC又はBSA濃度(C0)の関数としてそれぞれ記載されており、ナノ粒子表面に吸着されたシトクロムCの量は、最大15μg/mgポリマー(n=3)であり、BSAの場合は最大100μg/mgポリマー(n=3)であった。続いて、これらの吸着データを、検査した濃度範囲にわたって、以下の式によって説明されるラングミュア吸着モデルに適合させた。 ここで、Γは吸着されたタンパク質の量を示し、ceは培養培地中のタンパク質平衡濃度であり、bはナノ粒子とタンパク質との間の親和性に関する係数を示し、Γmは最大吸着容量を示している。回帰直線を図3bに示し、ラングミュアの式のために算出したパラメータを表2に示す。これらのデータは、ナノ粒子表面上のタンパク質の単分子層の形成を示した(R2>0.99)。親和性(b)及びナノ粒子表面へのモデルタンパク質のギブズ自由吸着エネルギー(ΔG0)は、使用したタンパク質の種類に依存している。正に帯電しているシトクロムCに対しては、僅かな親和性しか認められなかったが(b=0.031±0.012ml/mg(平均値±S.D.、n=3)及びΔG0=+1.7±1.5kJ/mol(平均値±S.D.、n=3))、BSAに対する親和性はより高かった(b=0.070±0.026ml/mg(平均値±S.D.、n=3)及びΔG0=−4.8±0.7kJ/mol(平均値±S.D.、n=3))。 本発明は、説明された実施形態のいずれかに限定されるものではなく、様々な方法で適用することができる。 請求項、明細書及び図から生じる特徴及び利点の全ては、構造的な詳細、空間的配置及び方法の工程を含み、それ自体でも、様々な組合せにおいても本発明の要素であり得る。 全体として、肺疾患治療に対し、コロイドキャリアの目標とする製造及び最適化のためのサーファクタント成分と血漿タンパク質とのポリマー粒子の相互作用メカニズムに関する知見を使用できることが確認された。 ポリマーナノ粒子表面へのサーファクタント結合タンパク質の吸着により、肺サーファクタント機能は悪化する。吸着されたサーファクタントタンパク質は、空気−水界面のサーファクタント構造をもはや組織することはできないため、(度合及び時間経過について)天然のサーファクタント材料と同様の方法で表面張力を減少させることはできない。 血漿タンパク質(例えば、アルブミン)の肺粘膜層への浸透は、例えば成人呼吸窮迫症候群(ARDS)について説明されているように、肺サーファクタントの機能障害を引き起こす(W.Seeger,C.Grube,A.Gunther,R.Schmidt:“Surfactant inhibition by plasma proteins:differential sensitivity of various surfactant preparations",Eur Respir J 1993,6:971−977)。肺粘膜層に浸透した血漿タンパク質のポリマーナノ粒子表面への吸着により、肺サーファクタント機能に有利な影響を与えることが可能となる。吸着された血漿タンパク質は、空気−水界面のサーファクタント構造をもはや損傷することはできない。 本発明に基づく生体適合性ナノ、メソ及びマイクロポリマー粒子は、生理学的に関連するサーファクタント結合タンパク質を肺粘膜層から取り除くことなく、有害なタンパク質を除去することができる。この方法により、本発明に基づくポリマー粒子は、肺の界面活性物質系を保護する。 肺の粘膜層に浸透する病原体タンパク質と結合する生体適合性ナノ、メソ及びマイクロポリマー粒子であり、該粒子は、− 20nm〜10μmの直径を有し、− 水不溶性であり、− 正の表面電荷を有し、− 液滴法で測定した接触角120°未満に相当する、低い表面疎水性を有し、− 前記粒子が生理学的条件下において正に帯電した粒子として肺内に存在するとともに、結合する前記病原体タンパク質の等電点よりも大きいように、5より大きい等電点を有し、− +20mVよりも大きい正のζ電位を有することを特徴とする、ポリマー粒子。 前記ポリマー粒子を製造できるモノマーは、アクリレート、メタクリレート、ブチルメタクリレート、(2−ジメチルアミノエチル)−メタクリレート、アミン類、アミド類、アセタール類、ポリエステル類、ケタール類、酸無水物、及び糖類から選択されていることを特徴とする、請求項1に記載のポリマー粒子。 ホモポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、グラフトコポリマー、スターポリマー、櫛形ポリマー、高度に分岐したポリマー、ランダムポリマーまたはデンドリマーであることを特徴とする、請求項2に記載のポリマー粒子。 前記ポリマー粒子は、ポリ−(ブチルメタクリレート)−co−(2−ジメチルアミノエチル)−メタクリレート−co−メタクリル酸メチルで構成されることを特徴とする、請求項1に記載のポリマー粒子。 前記ポリ−(ブチルメタクリレート)−co−(2−ジメチルアミノエチル)−メタクリレート−co−メタクリル酸メチルにおいて、ブチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノエチル)−メタクリレート及びメタクリル酸メチルが1:2:1(w/w/w)の割合で存在していることを特徴とする、請求項4に記載のポリマー粒子。 前記ポリマー粒子が、好ましくは200nm〜10μmの直径を有していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリマー粒子。 前記ポリマー粒子が、特に好ましくは200nm〜6μmの直径を有していることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリマー粒子。 前記ポリマー粒子は、圧電性のエアロゾル発生器、ノズル式エアロゾル発生器、超音波式エアロゾル発生器、ソフトミスト吸入器、計量投与用吸入器又はドライパウダー吸入器を使って噴霧することができることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリマー粒子。 a)第1の、有機溶媒、好ましくは極性非プロトン性溶媒に前記ポリマーを溶かし、 b)前記ポリマー溶液を第2の溶媒に加えるか、又は前記ポリマー溶液を前記溶媒に対して透析することによって粒子を沈殿させ、このとき前記第1及び第2の溶媒は完全又は部分的に互いに混合可能であるが、前記第2の溶媒は前記ポリマーを溶かさない、 c)前記第1の溶媒を取り除き、懸濁液中に粒子を保存する、という工程を特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリマー粒子製造方法。 前記工程a)において、溶媒1ml当たり1〜40mg、好ましくは10〜30mgのポリマーを溶かすことを特徴とする、請求項9に記載の方法。 ・前記工程a)の前記ポリマーが、ホモポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、グラフトコポリマー、スターポリマー、櫛形ポリマー、高度に分岐したポリマー、ランダムポリマーまたはデンドリマーであり、そのモノマー単位が、アクリレート、メタクリレート、ブチルメタクリレート、(2−ジメチルアミノエチル)−メタクリレート、アミン類、アミド類、アセタール類、ポリエステル類、ケタール類、酸無水物、及び糖類から選択され、 ・前記第1の溶媒が、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、トリクロロメタン及びエチルアミンから選択され、 ・前記第2の溶媒は、前記第1の溶媒と完全又は部分的に混合可能であるが、前記ポリマーを溶かさないことを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。 前記工程a)において、溶媒10ml当たり200mgのポリマーを溶かすことを特徴とする、請求項9〜11のうちいずれか一項に記載の方法。 ・ポリ−(ブチルメタクリレート)−co−(2−ジメチルアミノエチル)−メタクリレート−co−メタクリル酸メチルである前記ポリマーは、ブチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノエチル)−メタクリレート及びメタクリル酸メチルの割合が1:2:1(w/w/w)であり、 ・前記第1の溶媒がアセトンであり、 ・前記第2の溶媒が水であることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法。 肺の表面張力の増加及び肺サーファクタントの損傷に伴って起こる肺疾患の予防及び/又は治療のための医薬品を製造するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリマー粒子の使用。 新生児呼吸窮迫症候群、急性/成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷(ALI)、肺感染症、肺炎、肺高血圧、心原性肺水腫、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)/肺気腫、間質性肺疾患、肺腫瘍、中毒性肺胞炎、肺胞出血症候群、嚢胞性線維症、特発性肺ヘモジデリン沈着症、膠原病、血管炎、塵肺症、好酸球性肺浸潤、放射線損傷、遺伝性又は先天性肺疾患の予防及び/又は治療のための医薬品を製造するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリマー粒子の使用。 本発明は、肺の粘膜層に浸透する病原体タンパク質と結合することのできる生体適合性ナノ、メソ及びマイクロポリマー粒子に関する。肺粘膜層の周知の病原体タンパク質は、負に帯電している。これらのタンパク質は、肺の表面張力を低く維持して、正常に呼吸するために不可欠である肺の界面活性物質系に損傷を与える。本発明に基づくポリマー粒子は、20nm〜10μmの直径を有し、水不溶性であり、正の表面電荷及び低い表面疎水性を有している。この粒子の等電点は、正に帯電した粒子として肺粘膜内に存在するように、5よりも大きく、また、結合する病原体タンパク質の等電点よりも大きい。本発明に基づくポリマー粒子は、例えば沈殿法又はエマルション法によって製造することができる。本発明に基づくポリマー粒子は、肺の表面張力を低く維持し、肺サーファクタントを保護するために用いることができる。