生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_RNA送達に有利なpKa値を有する脂質を含むリポソーム
出願番号:2013518814
年次:2013
IPC分類:A61K 39/00,A61K 9/127,A61K 47/44,A61K 47/28,A61K 47/18,A61K 47/22,A61P 31/04,A61P 31/12,A61P 31/10,A61P 33/00,A61P 37/04,A61P 35/00,C12N 15/09,A61K 48/00,A61K 31/7105


特許情報キャッシュ

ギール, アンドリュー JP 2013537518 公表特許公報(A) 20131003 2013518814 20110706 RNA送達に有利なpKa値を有する脂質を含むリポソーム ノバルティス アーゲー 504389991 山本 秀策 100078282 森下 夏樹 100113413 ギール, アンドリュー US 61/361,830 20100706 US 61/378,837 20100831 A61K 39/00 20060101AFI20130906BHJP A61K 9/127 20060101ALI20130906BHJP A61K 47/44 20060101ALI20130906BHJP A61K 47/28 20060101ALI20130906BHJP A61K 47/18 20060101ALI20130906BHJP A61K 47/22 20060101ALI20130906BHJP A61P 31/04 20060101ALI20130906BHJP A61P 31/12 20060101ALI20130906BHJP A61P 31/10 20060101ALI20130906BHJP A61P 33/00 20060101ALI20130906BHJP A61P 37/04 20060101ALI20130906BHJP A61P 35/00 20060101ALI20130906BHJP C12N 15/09 20060101ALN20130906BHJP A61K 48/00 20060101ALN20130906BHJP A61K 31/7105 20060101ALN20130906BHJP JPA61K39/00 HA61K9/127A61K47/44A61K47/28A61K47/18A61K47/22A61P31/04A61P31/12A61P31/10A61P33/00A61P37/04A61P35/00C12N15/00 AA61K48/00A61K31/7105 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW US2011043105 20110706 WO2012006378 20120112 57 20130218 4B024 4C076 4C084 4C085 4C086 4B024AA01 4B024BA80 4B024CA01 4B024CA11 4B024DA02 4B024DA03 4B024EA02 4B024EA04 4B024GA13 4B024HA17 4C076AA19 4C076AA95 4C076CC31 4C076DD52F 4C076DD60F 4C076DD70F 4C076EE52F 4C076FF16 4C076FF34 4C076FF43 4C084AA13 4C084MA05 4C084MA24 4C084NA11 4C084NA13 4C084ZB331 4C084ZB351 4C084ZB371 4C085AA03 4C085BB23 4C085EE01 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA16 4C086MA02 4C086MA05 4C086MA24 4C086NA11 4C086NA13 4C086ZB33 4C086ZB35 4C086ZB37 本出願は、米国仮出願第61/361,830号(2010年7月6日出願)、および同第61/378,837号(2010年8月31日出願)の利益を主張し、上記両方の米国仮出願の全容は、全ての目的のために、参考として本明細書に援用される。 (技術分野) 本発明は、免疫のためのRNAの非ウイルス性送達の分野にある。 (背景技術) 動物を免疫するための核酸の送達は、数年間にわたり目標であった。種々のアプローチが、試験されてきており、それらとしては、DNAもしくはRNAの使用、ウイルスもしくは非ウイルス性送達ビヒクルの使用(またはさらには「裸の」ワクチンにおいて、送達ビヒクルなし)、複製もしくは非複製ベクターの使用、またはウイルスもしくは非ウイルス性ベクターの使用が挙げられる。 さらに改善された核酸ワクチンへの必要性が存在している。 (発明の開示) 本発明によれば、免疫原をコードするRNAは、免疫の目的で、リポソーム中で送達される。上記リポソームは、5.0〜7.6の範囲のpKaを有する脂質を含む。理想的には、この範囲のpKaを有する脂質は、三級アミンを有する;このような脂質は、四級アミン基を有する脂質(例えば、DOTAPもしくはDC−Chol)とは異なって挙動する。生理学的pHにおいて、5.0〜7.6の範囲のpKaを有するアミンは、中性のもしくは低下した表面電荷を有するのに対して、DOTAPのような脂質は、強力にカチオン性である。本発明者らは、四級アミン脂質(例えば、DOTAP)から形成されるリポソームが、三級アミン脂質(例えば、DLinDMA)から形成されるリポソームより、免疫原をコードするRNAの送達には適切性において劣ることを見いだした。 従って、本発明は、水性コアを封入する脂質二重層を有するリポソームであって、ここで:(i)上記脂質二重層は、5.0〜7.6の範囲のpKaを有する脂質、および好ましくは、三級アミンを有する脂質を含み;そして(ii)上記水性コアは、免疫原をコードするRNAを含むリポソームを提供する。これらリポソームは、脊椎動物細胞への上記RNAのインビボ送達に適切であるので、それらは、種々の疾患に対して被験体を免疫するための薬学的組成物における成分として有用である。 本発明はまた、RNA含有リポソームを調製するためのプロセスであって、(a)RNAと、脂質とを、上記脂質のpKa未満であるが、4.5を上回るpHにおいて混合して、上記RNAが封入されているリポソームを形成する工程;および(b)得られたリポソーム含有混合物のpHを、上記脂質のpKaを上回るように上昇させる工程、を包含するプロセスを提供する。 (リポソーム) 本発明は、免疫原をコードするRNAが封入されているリポソームを利用する。従って、上記RNAは、(天然ウイルスにおけるように)上記リポソームの脂質二重層によって任意の外部媒体(external medium)から分離されており、そしてこの方法での封入は、RNase消化からRNAを保護することが見いだされた。上記リポソームは、いくらかの外部RNA(例えば、それらの表面に)を含み得るが、上記RNAのうちの少なくとも半分(および理想的には、そのすべて)は、上記リポソームのコアに封入される。リポソーム内の封入は、例えば、参考文献1で開示される脂質/RNA複合体とは異なる。 種々の両親媒性脂質は、RNA含有水性コアをリポソームとして封入するための水性環境において二重層を形成し得る。これら脂質は、アニオン性、カチオン性もしくは両性イオン性の親水性頭部基を有し得る。本発明のリポソームは、5.0〜7.6の範囲のpKaを有する脂質を含み、この範囲のpKaを有する好ましい脂質は、三級アミンを有する。例えば、それらは、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパン(DLinDMA; pKa 5.8)および/もしくは1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパン(DLenDMA)を含み得る。三級アミンを有する別の適切な脂質は、1,2−ジオレイルオキシ−N,Nジメチル−3−アミノプロパン(DODMA)である。図3および参考文献2を参照のこと。参考文献3のアミノ酸脂質のうちのいくつかはまた、参考文献4のアミノ脂質のうちの特定のものが使用できるように、使用され得る。それらの頭部基において三級アミンを有するさらに有用な脂質は、参考文献5(その完全な内容は、本明細書に参考として援用される)に開示されている。 本発明のリポソームは、単一の脂質もしくは脂質の混合物から形成され得るが、ただし、上記脂質のうちの少なくとも1種は、5.0〜7.6の範囲のpKa(および好ましくは、三級アミン)を有する。このpKa範囲内では、好ましい脂質は、5.5〜6.7(例えば、5.6〜6.8の間、5.6〜6.3の間、5.6〜6.0の間、5.5〜6.2の間、もしくは5.7〜5.9の間)のpKaを有する。上記pKaは、上記脂質が完全に荷電される点と、上記脂質が完全に荷電していない点との間の中間点にある、上記脂質のうちの50%が荷電しているpHである。これは、種々の方法で測定され得るが、好ましくは、標題「pKa測定」の節において、以下で開示される方法を使用して測定される。上記pKaは、代表的には、他の脂質(例えば、参考文献6において行われるようなものではなく、個々の脂質のpKaではなくSNALPのpKaにおいてみられる)もまた含む混合物の状況において、上記脂質についてよりむしろ、上記脂質単独について測定されるべきである。 本発明のリポソームが脂質の混合物から形成される場合、所望の範囲内のpKaを有するそれら脂質の割合が、脂質の総量のうちの20〜80%の間(例えば、30〜70%の間、もしくは40〜60%の間)であるべきであることは、好ましい。例えば、有用なリポソームは、以下に示され、ここで上記総脂質のうちの40%もしくは60%が、所望の範囲にあるpKaを有する脂質である。残りは、例えば、コレステロール(例えば、35〜50% コレステロール)および/もしくはDMG(必要に応じて、PEG化される)および/もしくはDSPCから作製され得る。このような混合物は、以下で使用される。これら%値は、モルパーセンテージである。 リポソームは、親水性部分がPEG化されている(すなわち、ポリエチレングリコールの共有結合によって改変されている)両親媒性脂質を含み得る。この改変は、上記リポソームの安定性を増大させ得、非特異的吸着を妨げ得る。例えば、脂質は、参考文献6および7において開示されるもののような技術を使用して、PEGに結合体化され得る。PEGは、上記リポソームに有利な薬物動態特性を付与し得るコートを提供する。RNA(特に、自己複製RNA)の効率的封入、5.0〜7.6の範囲のpKaを有するカチオン性脂質、およびPEG化表面の組み合わせは、複数の細胞タイプ(免疫細胞および非免疫細胞の両方を含む)への効率的な送達を可能にし、それによって、PEG化なしで四級アミンを使用する場合より強力かつ良好な免疫応答を誘発する。種々の長さのPEGは、例えば、0.5〜8kDaの間で使用され得る。 本発明で使用される脂質は、飽和であっても不飽和であってもよい。リポソームを調製するために少なくとも1種の不飽和脂質を使用することは、好ましい。図3は、3種の有用な不飽和脂質を示す。不飽和脂質が2つの尾部を有する場合、両方の尾部が、不飽和であり得るか、またはそれは、一方に飽和尾部および一方に不飽和尾部を有し得る。 DSPC、DLinDMA、PEG−DMGおよびコレステロールの混合物は、実施例において使用される。本発明の独立した局面は、DSPC、DLinDMA、PEG−DMGおよびコレステロールを含むリポソームである。このリポソームは、好ましくは、RNA(例えば、自己複製RNA(例えば、免疫原をコードする))を封入する。 リポソーム粒子は、通常は、3つの群に分けられる:多層小胞(MLV);小さな単層小胞(SUV);および大きな単層小胞(LUV)。MLVは、各小胞において複数の二重層を有し、いくつかの別個の水性区画を形成する。SUVおよびLUVは、水性コアを封入する単一の二重層を有する;SUVは、代表的には、直径≦50nmを有し、LUVは、直径>50nmを有する。本発明のリポソーム粒子は、理想的には、50〜220nmの範囲の直径を有するLUVである。様々な直径を有するLUVの集団を含む組成物に関しては:(i)少なくとも80%(数で)は、20〜220nmの範囲の直径を有するべきであり、(ii)上記集団の平均直径(Zav(強度で))は、理想的には、40〜200nmの範囲にあり、そして/または(iii)上記直径は、多分散指数<0.2を有するべきである。参考文献1のリポソーム/RNA複合体は、600〜800nmの範囲の直径を有し、高い多分散性を有すると予測される。上記リポソームは、実質的に球状であり得る。 適切なリポソームを調製するための技術は、当該分野で周知である(例えば、参考文献8〜10を参照のこと)。1つの有用な方法は、参考文献11に記載され、(i)脂質のエタノール溶液、(ii)核酸の水性溶液、および(iii)緩衝液を混合する工程、続いて、混合、平衡化、希釈および精製の工程を包含する。本発明の好ましいリポソームは、この混合プロセスによって得られ得る。 (混合プロセス) 上記のように、本発明は、RNA含有リポソームを調製するためのプロセスであって、(a)RNAと、脂質とを、上記脂質のpKa未満であるが、4.5を上回るpHにおいて混合する工程;次いで、(b)上記pHを、上記脂質のpKaを上回るように上昇させる工程を包含するプロセスを提供する。 従って、カチオン性脂質は、工程(a)におけるリポソーム形成の間に正に荷電されるが、その後の上記pH変化は、上記正に荷電した基の大部分(もしくはすべて)が中性になることを意味する。このプロセスは、本発明のリポソームを調製するために有利であり、工程(a)の間に4.5未満のpHを回避することによって、上記封入されたRNAの安定性は、改善される。 工程(a)におけるpHは、4.5を上回り、理想的には、4.8を上回る。5.0〜6.0の範囲の、もしくは5.0〜5.5の範囲のpHを使用すると、適切なリポソームが提供され得る。 工程(b)における増大したpHは、上記脂質のpKaを上回る。上記pHは、理想的には、9未満、および好ましくは、8未満のpHへと上昇する。上記脂質のpKaに依存して、工程(b)におけるpHは、従って、6〜8の範囲内であるように(例えば、pH6.5±0.3へと)上昇し得る。工程(b)のpH上昇は、上記リポソームを適切な緩衝液へと(例えば、リン酸緩衝食塩水へと)移すことによって達成され得る。工程(b)のpH上昇は、理想的には、リポソーム形成が起こった後に行われる。 工程(a)において使用されるRNAは、上記脂質の有機溶液(例えば、参考文献11におけるように、エタノール性溶液)と混合する間、水性溶液中に存在し得る。次いで、その混合物は希釈されて、リポソームを形成し得、その後、そのpHは、工程(b)において上昇させられ得る。 (RNA) 本発明は、免疫原をコードするRNAのインビボ送達に有用である。上記RNAは、その送達部位において非免疫細胞によって翻訳され、上記免疫原の発現をもたらし、そしてまた、それは、免疫細胞に、I型インターフェロンおよび/もしくは炎症促進性サイトカイン(これらは、局所的なアジュバント効果を提供する)を分泌させる。上記非免疫細胞はまた、上記RNAに応答してI型インターフェロンおよび/もしくは炎症促進性サイトカインを分泌し得る。 上記RNAは、プラス鎖であるので、それは、いかなる介在複製ステップ(intervening replication step)(例えば、逆転写)も必要とせずに、非免疫細胞によって翻訳され得る。それはまた、免疫細胞によって発現されるTLR7レセプターに結合し得、それによって、アジュバント効果を開始し得る。 好ましいプラス鎖RNAは、自己複製性である。自己複製RNA分子(レプリコン)は、あらゆるタンパク質なしで脊椎動物細胞に送達される場合でも、上記自己複製RNA分子自体からの転写によって(上記自己複製RNA分子自体から生成するアンチセンスコピーを介して)、複数の娘RNAの生成をもたらし得る。自己複製RNA分子は、従って、代表的には、細胞へ送達された後に直接翻訳され得るプラス鎖分子であり、この翻訳は、RNA依存性RNAポリメラーゼを提供し、次いで、これは、上記送達されたRNAからアンチセンス転写物およびセンス転写物の両方を生成する。従って、上記送達されたRNAは、複数の娘RNAの生成をもたらす。これら娘RNA、ならびに同一線上(collinear)のサブゲノム転写物は、それ自体が翻訳されて、コードされた免疫原のインサイチュ発現を提供し得るか、または転写されて、上記送達されたRNAと同じセンスのさらなる転写物(上記免疫原のインサイチュ発現を提供するように翻訳される)を提供し得る。この一連の転写の全体的な結果は、上記導入されたレプリコンRNAの数における非常に多くの増幅であり、よって、上記コードされた免疫原は、上記細胞の主なポリペプチド生成物になる。 以下に示されるように、自己複製活性は、RNAがアジュバント効果を提供するのに必要とされないが、それは、サイトカインのトランスフェクション後分泌を増強し得る。上記自己複製活性は、非免疫細胞による免疫原の高レベル発現を達成するために特に有用である。それはまた、上記非免疫細胞のアポトーシスを増強させ得る。 自己複製を達成するための1つの適切なシステムは、アルファウイルスベースのRNA複製を使用することである。これらプラス鎖レプリコンは、細胞への送達後に翻訳されて、レプリカーゼ(もしくはレプリカーゼ−転写酵素)を与える。上記レプリカーゼは、上記送達されたプラス鎖RNAのゲノムマイナス鎖コピーを作り出す複製複合体を提供するように自己切断するポリプロテインとして翻訳される。これらマイナス鎖転写物は、これ自体が、上記プラス鎖親RNAのさらなるコピーを与え、そしてまた、免疫原をコードするサブゲノム転写物を与えるように転写され得る。従って、上記サブゲノム転写物の翻訳は、上記感染した細胞による上記免疫原のインサイチュ発現をもたらす。適切なアルファウイルスレプリコンは、シンドビス・ウイルス、セムリキ森林ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルスなどに由来するレプリカーゼを使用し得る。変異型ウイルスもしくは野生型ウイルスの配列が使用され得る(例えば、VEEVの弱毒化TC83変異体は、レプリコンにおいて使用されてきた[12])。 好ましい自己複製RNA分子は、従って、(i)上記自己複製RNA分子からRNAを転写し得るRNA依存性RNAポリメラーゼ、および(ii)免疫原をコードする。上記ポリメラーゼは、アルファウイルスレプリカーゼ(例えば、アルファウイルスタンパク質nsP1、nsP2、nsP3およびnsP4のうちの1種以上を含む)であり得る。 天然のアルファウイルスゲノムが、上記非構造レプリカーゼポリプロテインに加えて、構造的ビリオンタンパク質をコードするのに対して、本発明の自己複製RNA分子は、アルファウイルス構造タンパク質をコードしないことが好ましい。従って、好ましい自己複製RNAは、細胞においてそれ自体のゲノムRNAコピーの生成をもたらし得るが、RNA含有ビリオンの生成はもたらさない。これらのビリオンを生成できないことは、野生型アルファウイルスとは異なり、上記自己複製RNA分子が、感染性形態においてそれ自体を永続させられないことを意味する。野生型ウイルスにおいて永続に必要な上記アルファウイルス構造タンパク質は、本発明の自己複製RNAには存在せず、それらの位置は、上記目的の免疫原をコードする遺伝子によってしめられている。その結果、上記サブゲノム転写物は、上記構造的アルファウイルスビリオンタンパク質ではなく、上記免疫原をコードする。 従って、本発明で有用な自己複製RNA分子は、2個のオープンリーディングフレームを有し得る。第1の(5’側)オープンリーディングフレームは、レプリカーゼをコードし;第2の(3’側)オープンリーディングフレームは、免疫原をコードする。いくつかの実施形態において、上記RNAは、例えば、さらなる免疫原(以下を参照のこと)をコードするために、もしくは補助ポリペプチドをコードするために、さらなる(例えば、下流の)オープンリーディングフレームを有し得る。 自己複製RNA分子は、上記コードされたレプリカーゼと適合性である5’配列を有し得る。 自己複製RNA分子は、種々の長さを有し得るが、それらは、代表的には、5000〜25000ヌクレオチド長(例えば、8000〜15000ヌクレオチド、もしくは9000〜12000ヌクレオチド)である。従って、上記RNAは、siRNA送達において認められるものより長い。 本発明で有用なRNA分子は、5’キャップ(例えば、7−メチルグアノシン)を有し得る。このキャップは、上記RNAのインビボ翻訳を増強し得る。 本発明で有用なRNA分子の5’ヌクレオチドは、5’トリホスフェート基を有し得る。キャップをしたRNAにおいて、これは、5’から5’への架橋を介して、7−メチルグアノシンに連結され得る。5’トリホスフェートは、RIG−I結合を増強し得、従って、アジュバント効果を促進し得る。 RNA分子は、3’ポリA尾部を有し得る。それはまた、その3’末端付近にポリAポリメラーゼ認識配列(例えば、AAUAAA)を含み得る。 本発明で有用なRNA分子は、代表的には、一本鎖である。一本鎖RNAは、一般に、TLR7、TLR8、RNAヘリカーゼおよび/もしくはPKRに結合することによって、アジュバント効果を開始し得る。二本鎖形態(dsRNA)で送達されたRNAは、TLR3に結合し得、このレセプターはまた、一本鎖RNAの複製の間か、または一本鎖RNAの二次構造内のいずれかで形成されるdsRNAによって誘発され得る。 本発明で有用なRNA分子は、便宜上、インビトロ転写(IVT)によって調製され得る。IVTは、細菌においてプラスミド形態において作られ、増やされたか、または合成で作製された(例えば、遺伝子合成および/もしくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)操作法によって)(cDNA)テンプレートを使用し得る。例えば、DNA依存性RNAポリメラーゼ(例えば、バクテリオファージT7、T3もしくはSP6 RNAポリメラーゼ)は、DNAテンプレートからRNAを転写するために使用され得る。適切なキャッピングおよびポリA付加反応は、必要時に使用され得る(しかし、上記レプリコンのポリAは、通常、上記DNAテンプレート内にコードされる)。これらRNAポリメラーゼは、転写される5’ヌクレオチドについてストリンジェントな要件を有し得、いくつかの実施形態において、これらの要件は、上記IVT転写RNAが、自己がコードするレプリカーゼの基質として効率的に機能し得ることを確実にするために、上記コードされたレプリカーゼの要件とマッチしなければならない。 参考文献13において考察されるように、上記自己複製RNAは、(任意の5’キャップ構造に加えて)改変された核酸塩基を有する1個以上のヌクレオチドを含み得る。従って、上記RNAは、以下を含み得る:m5C(5−メチルシチジン)、m5U(5−メチルウリジン)、m6A(N6−メチルアデノシン)、s2U(2−チオウリジン)、Um(2’−O−メチルウリジン)、m1A(l−メチルアデノシン);m2A(2−メチルアデノシン);Am(2’−O−メチルアデノシン);ms2m6A(2−メチルチオ−N6−メチルアデノシン);i6A(N6−イソペンテニルアデノシン);ms2i6A(2−メチルチオ−N6イソペンテニルアデノシン);io6A(N6−(cis−ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン);ms2io6A(2−メチルチオ−N6−(cis−ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン);g6A(N6−グリシニルカルバモイルアデノシン);t6A(N6−スレオニルカルバモイルアデノシン);ms2t6A(2−メチルチオ−N6−スレオニルカルバモイルアデノシン);m6t6A(N6−メチル−N6−スレオニルカルバモイルアデノシン);hn6A(N6.−ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン);ms2hn6A(2−メチルチオ−N6−ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン);Ar(p)(2’−O−リボシルアデノシン(ホスフェート));I(イノシン);m11(1−メチルイノシン);m’Im(1,2’−O−ジメチルイノシン);m3C(3−メチルシチジン);Cm(2T−O−メチルシチジン);s2C(2−チオシチジン);ac4C(N4−アセチルシチジン);f5C(5−ホルミル(fonnyl)シチジン);m5Cm(5,2−O−ジメチルシチジン);ac4Cm(N4アセチル2TOメチルシチジン);k2C(リシジン);m1G(1−メチルグアノシン);m2G(N2−メチルグアノシン);m7G(7−メチルグアノシン);Gm(2’−O−メチルグアノシン);m22G(N2,N2−ジメチルグアノシン);m2Gm(N2,2’−O−ジメチルグアノシン);m22Gm(N2,N2,2’−O−トリメチルグアノシン);Gr(p)(2’−O−リボシルグアノシン(ホスフェート));yW(ワイブトシン);o2yW(ペルオキシワイブトシン);OHyW(ヒドロキシワイブトシン);OHyW*(改変下(undermodified)ヒドロキシワイブトシン);imG(ワイオシン);mimG(メチルグアノシン);Q(キューオシン);oQ(エポキシキューオシン);galQ(ガラクトシル(galtactosyl)−キューオシン);manQ(マンノシル−キューオシン);preQo(7−シアノ−7−デアザグアノシン);preQi(7−アミノメチル−7−デアザグアノシン);G(アルカエオシン(archaeosine));D(ジヒドロウリジン);m5Um(5,2’−O−ジメチルウリジン);s4U(4−チオウリジン);m5s2U(5−メチル−2−チオウリジン);s2Um(2−チオ−2’−O−メチルウリジン);acp3U(3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ウリジン);ho5U(5−ヒドロキシウリジン);mo5U(5−メトキシウリジン);cmo5U(ウリジン5−オキシ酢酸);mcmo5U(ウリジン5−オキシ酢酸メチルエステル);chm5U(5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン));mchm5U(5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジンメチルエステル);mcm5U(5−メトキシカルボニルメチルウリジン);mcm5Um(S−メトキシカルボニルメチル−2−O−メチルウリジン);mcm5s2U(5−メトキシカルボニルメチル−2−チオウリジン);nm5s2U(5−アミノメチル−2−チオウリジン);mnm5U(5−メチルアミノメチルウリジン);mnm5s2U(5−メチルアミノメチル−2−チオウリジン);mnm5se2U(5−メチルアミノメチル−2−セレノウリジン);ncm5U(5−カルバモイルメチルウリジン);ncm5Um(5−カルバモイルメチル−2’−O−メチルウリジン);cmnm5U(5−カルボキシメチルアミノメチルウリジン);cnmm5Um(5−カルボキシメチルアミノメチル−2−L−Oメチルウリジン);cmnm5s2U(5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン);m62A(N6,N6−ジメチルアデノシン);Tm(2’−O−メチルイノシン);m4C(N4−メチルシチジン);m4Cm(N4,2−O−ジメチルシチジン);hm5C(5−ヒドロキシメチルシチジン);m3U(3−メチルウリジン);cm5U(5−カルボキシメチルウリジン);m6Am(N6,T−O−ジメチルアデノシン);rn62Am(N6,N6,O−2−トリメチルアデノシン);m2’7G(N2,7−ジメチルグアノシン);m2’2’7G(N2,N2,7−トリメチルグアノシン);m3Um(3,2T−O−ジメチルウリジン);m5D(5−メチルジヒドロウリジン);f5Cm(5−ホルミル−2’−O−メチルシチジン);m1Gm(1,2’−O−ジメチルグアノシン);m’Am((1,2−O−ジメチルアデノシン)イリノメチルウリジン);tm5s2U(S−タウリノメチル−2−チオウリジン);imG−14(4−デメチルグアノシン);imG2(イソグアノシン);もしくはac6A(N6−アセチルアデノシン)、ヒポキサンチン、イノシン、8−オキソ−アデニン、7−置換されたその誘導体、ジヒドロウラシル、シュードウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−アミノウラシル、5−(C1−C6)−アルキルウラシル、5−メチルウラシル、5−(C2−C6)−アルケニルウラシル、5−(C2−C6)−アルキニルウラシル、5−(ヒドロキシメチル)ウラシル、5−クロロウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヒドロキシシトシン、5−(C1−C6)−アルキルシトシン、5−メチルシトシン、5−(C2−C6)−アルケニルシトシン、5−(C2−C6)−アルキニルシトシン、5−クロロシトシン、5−フルオロシトシン、5−ブロモシトシン、N2−ジメチルグアニン、7−デアザグアニン、8−アザグアニン、7−デアザ−7−置換グアニン、7−デアザ−7−(C2−C6)アルキニルグアニン、7−デアザ−8−置換グアニン、8−ヒドロキシグアニン、6−チオグアニン、8−オキソグアニン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,4−ジアミノプリン、2,6−ジアミノプリン、8−アザプリン、置換された7−デアザプリン、7−デアザ−7−置換プリン、7−デアザ−8−置換プリン、または無塩基ヌクレオチド。例えば、自己複製RNAは、1つ以上の改変されたピリミジン核酸塩基(例えば、シュードウリジンおよび/もしくは5−メチルシトシン残基)を含み得る。しかし、いくつかの実施形態において、上記RNAは、改変された核酸塩基を含まず、改変されたヌクレオチドを含まなくてもよい(すなわち、上記RNA中のヌクレオチドのすべては、標準的なA、C、GおよびUというリボヌクレオチドである(任意の5’キャップ構造を除く。これは、7’−メチルグアノシンを含み得る))。他の実施形態において、上記RNAは、7’−メチルグアノシンを含む5’キャップを含み得、最初の1個、2個もしくは3個の5’リボヌクレオチドは、リボースの2’位においてメチル化され得る。 本発明で使用されるRNAは、理想的には、ヌクレオチド間にホスホジエステル結合のみを含むが、いくつかの実施形態において、それは、ホスホロアミデート結合、ホスホロチオエート結合、および/もしくはメチルホスホネート結合を含み得る。 理想的には、リポソームは、10種より少ない異なる種のRNA(例えば、5種、4種、3種、もしくは2種の異なる種)を含み;最も好ましくは、リポソームは、単一のRNA種(すなわち、上記リポソーム中のすべてのRNA分子が、同じ配列および同じ長さを有する)を含む。 1リポソームあたりのRNAの量は変動し得る。1リポソームあたりの個々の自己複製RNAの数は、代表的には、1リポソームあたり≦50個(例えば、<20個、<10個、<5個、もしくは1〜4個)である。 (免疫原) 本発明で使用されるRNA分子は、ポリペプチド免疫原をコードする。上記リポソームの投与後に、上記RNAは、インビボで翻訳され、そして免疫原は、レシピエントにおける免疫応答を誘発し得る。上記免疫原は、細菌、ウイルス、真菌もしくは寄生生物に対して(あるいは、いくつかの実施形態において、アレルゲンに対して;および他の実施形態において、腫瘍抗原に対して)免疫応答を誘発し得る。上記免疫応答は、抗体応答(通常は、IgGを含む)および/もしくは細胞媒介性免疫応答を含み得る。上記ポリペプチド免疫原は、代表的には、対応する細菌、ウイルス、真菌もしくは寄生生物(またはアレルゲンもしくは腫瘍)ポリペプチドを認識する免疫応答を誘発するが、いくつかの実施形態において、上記ポリペプチドは、細菌、ウイルス、真菌もしくは寄生生物のサッカリドを認識する免疫応答を誘発するように、ミモトープとして作用し得る。上記免疫原は、代表的には、表面ポリペプチド(例えば、アドヘシン、ヘマグルチニン、エンベロープ糖タンパク質、スパイク糖タンパク質など)である。 自己複製RNA分子は、単一のポリペプチド免疫原もしくは複数のポリペプチドをコードし得る。複数の免疫原は、単一のポリペプチド免疫原(融合ポリペプチド)として、または別個のポリペプチドとして提示され得る。免疫原が、別個のポリペプチドとして発現される場合、これらのうちの1種以上は、上流のIRESもしくはさらなるウイルスプロモーターエレメントとともに提供され得る。あるいは、複数の免疫原は、短い自己触媒性プロテアーゼ(例えば、口蹄疫ウイルス2Aタンパク質)に融合された個々の免疫原をコードするポリプロテインから、またはインテインとして発現され得る。 参考文献1および14とは異なり、上記RNAは、免疫原をコードする。不確かさを避けるために、本発明は、ホタルルシフェラーゼをコードするRNA、E.coli β−ガラクトシダーゼの融合タンパク質をコードするRNA、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードするRNAを含まない。また、上記RNAは、全マウス胸腺RNAではない。 いくつかの実施形態において、上記免疫原は、これら細菌のうちの1種に対して免疫応答を誘発する: Neisseria meningitidis:有用な免疫原としては、膜タンパク質、例えば、アドヘシン、オートトランスポーター、毒素、鉄獲得タンパク質、およびH因子結合タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。3種の有用なポリペプチドの組み合わせが、参考文献15に開示される。 Streptococcus pneumoniae:有用なポリペプチド免疫原は、参考文献16に開示される。これらとしては、RrgB線毛サブユニット、β−N−アセチル−ヘキソサミニダーゼ前駆体(spr0057)、spr0096、一般的なストレスタンパク質(general stress protein)GSP−781(spr2021、SP2216)、セリン/スレオニンキナーゼStkP(SP1732)、および肺炎球菌表面アドヘシンPsaAが挙げられるが、これらに限定されない。 Streptococcus pyogenes:有用な免疫原としては、参考文献17および18に開示されるポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。 Moraxella catarrhalis Bordetella pertussis:有用な百日咳免疫原としては、百日咳毒素もしくはトキソイド(PT)、線維状ヘマグルチニン(FHA)、ペルタクチン、ならびに凝集原2および3が挙げられるが、これらに限定されない。 Staphylococcus aureus:有用な免疫原としては、参考文献19に開示されるポリペプチド(例えば、溶血素、esxA、esxB、フェリクロム結合タンパク質(sta006)および/もしくはsta011リポプロテイン)が挙げられるが、これらに限定されない。 Clostridium tetani:代表的な免疫原は、破傷風トキソイドである。 Cornynebacterium diphtheriae:代表的な免疫原は、ジフテリアトキソイドである。 Haemophilus influenzae:有用な免疫原としては、参考文献20および21に開示されるポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。 Pseudomonas aeruginosa Streptococcus agalactiae:有用な免疫原としては、参考文献17に開示されるポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。 Chlamydia trachomatis:有用な免疫原としては、PepA、LcrE、ArtJ、DnaK、CT398、OmpH様、L7/L12、OmcA、AtoS、CT547、Eno、HtrAおよびMurG(例えば、参考文献22に開示されるとおり)が挙げられるが、これらに限定されない。LcrE[23]およびHtrA[24]は、2つの好ましい免疫原である。 Chlamydia pneumoniae:有用な免疫原としては、参考文献25に開示されるポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。 Helicobacter pylori:有用な免疫原としては、CagA、VacA、NAP、および/もしくはウレアーゼ[26]が挙げられるが、これらに限定されない。 Escherichia coli:有用な免疫原としては、腸毒素産生性E.coli(ETEC)、腸管凝集性E.coli(EAggEC)、分散接着性(diffusely adhering)E.coli(DAEC)、腸病原性E.coli(EPEC)、腸管外病原性E.coli(ExPEC)および/もしくは腸管出血性E.coli(EHEC)に由来する免疫原が挙げられるが、これらに限定されない。ExPEC株としては、尿路病原性E.coli(UPEC)および髄膜炎/敗血症関連E.coli(MNEC)が挙げられる。有用なUPECポリペプチド免疫原は、参考文献27および28に開示される。有用なMNEC免疫原は、参考文献29に開示される。いくつかのE.coliタイプに有用な免疫原は、AcfDである[30]。 Bacillus anthracis Yersinia pestis:有用な免疫原としては、参考文献31および32に開示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。 いくつかの実施形態において、上記免疫原は、これらウイルスのうちの1種に対して免疫応答を誘発する: オルソミクソウイルス:有用な免疫原は、インフルエンザA、BもしくはCウイルスに由来し得る(例えば、ヘマグルチニン、ノイラミニダーゼもしくはマトリクスM2タンパク質)。上記免疫原がインフルエンザAウイルスヘマグルチニンである場合、それは、任意のサブタイプ(例えば、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15もしくはH16)に由来し得る。 パラミクソウイルス科のウイルス:ウイルス免疫原としては、肺炎ウイルス(例えば、RSウイルス、RSV)、ルブラウイルス(例えば、ムンプスウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、パラインフルエンザ・ウイルス)、メタニューモウイルスおよびモルビリウイルス(例えば、麻疹)に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。 ポックスウイルス科:ウイルス免疫原としては、オルトポックスウイルス(例えば、真正痘瘡(大痘瘡および小痘瘡が挙げられるが、これらに限定されない))に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。 ピコルナウイルス:ウイルス免疫原としては、ピコルナウイルス(例えば、エンテロウイルス、ライノウイルス、ヘパルナウイルス、カルジオウイルスおよびアフトウイルス)に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、上記エンテロウイルスは、ポリオウイルス(例えば、1型、2型、および/もしくは3型のポリオウイルス)である。別の実施形態において、上記エンテロウイルスは、EV71エンテロウイルスである。別の実施形態において、上記エンテロウイルスは、コクサッキーAもしくはBウイルスである。 ブンヤウイルス:ウイルス免疫原としては、オルソブンヤウイルス(例えば、カリフォルニア脳炎ウイルス)、フレボウイルス(例えば、リフトバレー熱ウイルス)、もしくはナイロウイルス(例えば、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス)に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。 ヘパルナウイルス:ウイルス免疫原としては、ヘパルナウイルス(例えば、A型肝炎ウイルス(HAV))に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。 フィロウイルス:ウイルス免疫原としては、フィロウイルス(例えば、エボラウイルス(ザイールエボラウイルス、アイボリーコーストエボラウイルス、レストンエボラウイルスもしくはスーダンエボラウイルスを含む))またはマールブルグウイルスに由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。 トガウイルス:ウイルス免疫原としては、トガウイルス(例えば、ルビウイルス、アルファウイルス、もしくはアルテリウイルス)に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。これは、風疹ウイルスを含む。 フラビウイルス:ウイルス免疫原としては、フラビウイルス(例えば、ダニ媒介脳炎(TBE)ウイルス、デング(1、2、3もしくは4型)ウイルス、黄熱ウイルス、日本脳炎ウイルス、キャサヌール森林ウイルス、ウエストナイル脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ロシア春夏脳炎ウイルス、ポワッサン脳炎ウイルス)に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。 ペスチウイルス:ウイルス免疫原としては、ペスチウイルス(例えば、牛ウイルス性下痢(BVDV)、豚コレラ(CSFV)もしくはボーダー病(BDV))に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。 ヘパドナウイルス:ウイルス免疫原としては、ヘパドナウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス)に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。組成物は、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)を含み得る。 他の肝炎ウイルス:組成物は、C型肝炎ウイルス、デルタ型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、もしくはG型肝炎ウイルスに由来する免疫原を含み得る。 ラブドウイルス:ウイルス免疫原としては、ラブドウイルス(例えば、リッサウイルス(例えば、狂犬病ウイルス)およびベシクロウイルス(VSV))に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。 カリシウイルス科:ウイルス免疫原としては、カリシウイルス科(例えば、ノーウォークウイルス(ノロウイルス)、およびノーウォーク様ウイルス(例えば、ハワイウイルスおよびスノーマウンテンウイルス))に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。 コロナウイルス:ウイルス免疫原は、SARSコロナウイルス、トリ伝染性気管支炎(IBV)、マウス肝炎ウイルス(MHV)、およびブタ伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。上記コロナウイルス免疫原は、スパイクポリペプチドであり得る。 レトロウイルス:ウイルス免疫原としては、オンコウイルス、レンチウイルス(例えば、HIV−1もしくはHIV−2)またはスプマウイルスに由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。 レオウイルス:ウイルス免疫原としては、オルトレオウイルス、ロタウイルス、オルビウイルス、もしくはコルチウイルスに由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。 パルボウイルス:ウイルス免疫原としては、パルボウイルスB19に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。 ヘルペスウイルス:ウイルス免疫原としては、ヒトヘルペスウイルス(例えば、例示に過ぎないが、単純ヘルペスウイルス(HSV)(例えば、HSV1型および2型)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス6(HHV6)、ヒトヘルペスウイルス7(HHV7)、およびヒトヘルペスウイルス8(HHV8))に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。 パポバウイルス:ウイルス免疫原としては、パピローマウイルスおよびポリオーマウイルスに由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。上記(ヒト)パピローマウイルスは、血清型1、2、4、5、6、8、11、13、16、18、31、33、35、39、41、42、47、51、57、58、63もしくは65のもの(例えば、血清型6、11、16および/もしくは18のうちの1種以上に由来する)であり得る。 アデノウイルス:ウイルス免疫原としては、アデノウイルス血清型36(Ad−36)に由来するものが挙げられる。 いくつかの実施形態において、上記免疫原は、魚類に感染するウイルス(例えば:伝染性サケ貧血ウイルス(ISAV)、サケ膵臓病ウイルス(SPDV)、伝染性膵臓壊死症ウイルス(IPNV)、アメリカナマズウイルス(CCV)、魚類リンホシスチス病ウイルス(FLDV)、伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV)、コイヘルペスウイルス、サケピコルナ様ウイルス(大西洋サケピコルナ様ウイルスとしても公知)、ヤマメウイルス(LSV)、大西洋サケロタウイルス(ASR)、マスイチゴ病ウイルス(TSD)、銀ザケ腫瘍ウイルス(CSTV)、もしくはウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV))に対する免疫応答を誘発する。 真菌免疫原は、皮膚糸状菌類(Dermatophytres)(以下が挙げられる:に由来し得る。 いくつかの実施形態において、上記免疫原は、Plasmodium属(例えば、P.falciparum、P.vivax、P.malariaeもしくはP.ovale)に由来する寄生生物に対する免疫応答を誘発する。従って、本発明は、マラリアに対して免疫するために使用され得る。いくつかの実施形態において、上記免疫原は、Caligidae科に由来する寄生生物、特に、Lepeophtheirus属およびCaligus属に由来する寄生生物(例えば、Lepeophtheirus salmonisもしくはCaligus rogercresseyiのようなフナムシ)に対する免疫応答を誘発する。 いくつかの実施形態において、上記免疫原は、以下に対する免疫応答を誘発する:花粉アレルゲン(樹木花粉、草本花粉、雑草の花粉、および草の花粉のアレルゲン);昆虫もしくは蛛形類のアレルゲン(吸入、唾液および毒液のアレルゲン、例えば、ダニアレルゲン、ゴキブリアレルゲンおよび小虫アレルゲン、膜翅類毒液アレルゲン(hymenopthera venom allergen));動物の毛およびふけのアレルゲン(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ラット、マウスなどに由来する);ならびに食物アレルゲン(例えば、グリアジン)。樹木、草および草本に由来する重要な花粉アレルゲンは、Fagales、Oleales、Pinalesの分類学上の目およびスズカケノキ科(platanaceae)(カバノキ(Betula)、ハンノキ(Alnus)、ハシバミ(Corylus)、シデ(Carpinus)およびオリーブ(Olea)、シーダー(CryptomeriaおよびJuniperus)、プラタナス(Platanus)が挙げられるが、これらに限定されない)、Poalesの目(属Lolium、Phleum、Poa、Cynodon、Dactylis、Holcus、Phalaris、Secale、およびSorghumの草が挙げられる)、AsteralesおよびUrticalesの目(属Ambrosia、Artemisia、およびParietariaの草本が挙げられる)から由来するそのようなものである。他の重要な吸入アレルゲンは、属DermatophagoidesおよびEuroglyphusのチリダニ類、コナダニ類(storage mite)(例えば、Lepidoglyphys、GlycyphagusおよびTyrophagus)、ゴキブリ、小虫およびノミに由来するもの(例えば、Blatella、Periplaneta、ChironomusおよびCtenocepphalides)、ならびに哺乳動物(例えば、ネコ、イヌおよびウマ)に由来するもの、毒液のアレルゲン(刺咬昆虫(stinging or biting insect)に由来するようなもの、例えば、Hymenopteraの分類学上の目(蜂(Apidae)、スズメバチ(Vespidea)、およびアリ(Formicoidae)が挙げられる)が挙げられる)に由来するものである。 いくつかの実施形態において、上記免疫原は、以下から選択される腫瘍抗原である:(a)がん−精巣(cancer−testis)抗原、例えば、NY−ESO−1、SSX2、SCP1ならびにRAGE、BAGE、GAGEおよびMAGEファミリーのポリペプチド(例えば、GAGE−1、GAGE−2、MAGE−1、MAGE−2、MAGE−3、MAGE−4、MAGE−5、MAGE−6、およびMAGE−12)、これらは、例えば、黒色腫、肺、頭頸部、NSCLC、乳房、胃腸、および膀胱の腫瘍に対処するために使用され得る;(b)変異した抗原、例えば、p53(種々の固形腫瘍(例えば、結腸直腸がん、肺がん、頭頸部がん)と関連)、p21/Ras(例えば、黒色腫、膵臓がんおよび結腸直腸がんと関連)、CDK4(例えば、黒色腫と関連)、MUM1(例えば、黒色腫と関連)、カスパーゼ−8(例えば、頭頸部がんと関連)、CIA 0205(例えば、膀胱がんと関連)、HLA−A2−R1701、β−カテニン(例えば、黒色腫と関連)、TCR(例えば、T細胞非ホジキンリンパ腫と関連)、BCR−abl(例えば、慢性骨髄性白血病と関連)、トリオースホスフェートイソメラーゼ、KIA 0205、CDC−27、およびLDLR−FUT;(c)過剰発現された抗原、例えば、ガレクチン4(例えば、結腸直腸がんと関連)、ガレクチン9(例えば、ホジキン病と関連)、プロテイナーゼ3(例えば、慢性骨髄性白血病と関連)、WT 1(例えば、種々の白血病と関連)、炭酸脱水酵素(例えば、腎がんと関連)、アルドラーゼA(例えば、肺がんと関連)、PRAME(例えば、黒色腫と関連)、HER−2/neu(例えば、乳がん、結腸がん、肺がんおよび卵巣がんと関連)、マンマグロビン、α−フェトプロテイン(例えば、肝がんと関連)、KSA(例えば、結腸直腸がんと関連)、ガストリン(例えば、膵臓がんおよび胃がんと関連)、テロメラーゼ触媒タンパク質、MUC−1(例えば、乳がんおよび卵巣がんと関連)、G−250(例えば、腎細胞がんと関連)、p53(例えば、乳がん、結腸がんと関連)、ならびにがん胎児性抗原(例えば、乳がん、肺がん、および胃腸管のがん(例えば、結腸直腸がん)と関連);(d)共通抗原(shared antigen)、例えば、黒色腫−メラノサイト分化抗原、例えば、MART−1/Melan A、gp100、MC1R、メラノサイト刺激ホルモンレセプター、チロシナーゼ、チロシナーゼ関連タンパク質−1/TRP1およびチロシナーゼ関連タンパク質−2/TRP2(例えば、黒色腫と関連);(e)前立腺関連抗原(例えば、PAP、PSA、PSMA、PSH−P1、PSM−P1、PSM−P2(例えば、前立腺がんと関連));(f)イムノグロブリンイディオタイプ(例えば、骨髄腫およびB細胞リンパ腫と関連)。特定の実施形態において、腫瘍免疫原としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:p15、Hom/Mel−40、H−Ras、E2A−PRL、H4−RET、IGH−IGK、MYL−RAR、エプスタイン・バー・ウイルス抗原、EBNA、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原(E6およびE7を含む)、B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルスの抗原、ヒトTリンパ球向性ウイルス抗原、(Mac−2結合タンパク質/シクロフィリンC関連タンパク質)、TAAL6、TAG72、TLP、TPSなど。 (薬学的組成物) 本発明のリポソームは、種々の疾患に対して被験体を免疫するための薬学的組成物中の成分として有用である。これらの組成物は、代表的には、上記リポソームに加えて、薬学的に受容可能なキャリアを含む。薬学的に受容可能なキャリアの詳細な考察は、参考文献33において入手可能である。 本発明の薬学的組成物は、1種以上の低分子免疫強化因子を含み得る。例えば、上記組成物は、TLR2アゴニスト(例えば、Pam3CSK4)、TLR4アゴニスト(例えば、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート(例えば、E6020))、TLR7アゴニスト(例えば、イミキモド)、TLR8アゴニスト(例えば、レシキモド)および/もしくはTLR9アゴニスト(例えば、IC31)を含み得る。任意のこのようなアゴニストは、理想的には、分子量<2000Daを有する。RNAが封入される場合、いくつかの実施形態において、このようなアゴニストもまた、上記RNAとともに封入されるが、他の実施形態において、それらは、封入されない。RNAが粒子に吸着させられる場合、いくつかの実施形態において、このようなアゴニストもまた、上記RNAと一緒に吸着させられるが、他の実施形態において、それらは吸着させられない。 本発明の薬学的組成物は、上記リポソームを、ただの水(plain water)(例えば、w.f.i.)もしくは緩衝液(例えば、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、ホウ酸緩衝液、コハク酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、もしくはクエン酸緩衝液)中に含み得る。緩衝塩は、代表的には、5〜20mM範囲において含まれる。 本発明の薬学的組成物は、5.0〜9.5(例えば、6.0〜8.0)のpHを有し得る。 本発明の組成物は、張度を与えるために、ナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)を含み得る。10±2mg/ml NaClの濃度が代表的である(例えば、約9mg/ml)。 本発明の組成物は、金属イオンキレート化剤を含み得る。これらは、ホスホジエステル加水分解を加速し得るイオンを除去することによって、RNA安定性を延長し得る。従って、組成物は、EDTA、EGTA、BAPTA、ペンテト酸などのうちの1種以上を含み得る。このようなキレート化剤は、代表的には、10〜500μM(例えば、0.1mM)で存在する。クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)はまた、キレート化剤として作用し得るのと同時に、有利なことには、緩衝化活性も提供し得る。 本発明の薬学的組成物は、200mOsm/kg〜400mOsm/kg(例えば、240〜360mOsm/kg、もしくは290〜310mOsm/kg)の重量オスモル濃度を有し得る。 本発明の薬学的組成物は、1種以上の保存剤(例えば、チオメルサールもしくは2−フェノキシエタノール)を含み得る。水銀非含有組成物が好ましく、保存剤非含有ワクチンが調製され得る。 本発明の薬学的組成物は、好ましくは、無菌である。 本発明の薬学的組成物は、好ましくは、非発熱性である(例えば、1用量あたり<1 EU(エンドトキシンユニット、標準尺度)、および好ましくは、1用量あたり<0.1 EUを含む)。 本発明の薬学的組成物は、好ましくは、グルテンを含まない。 本発明の薬学的組成物は、単位用量形態において調製され得る。いくつかの実施形態において、単位用量は、0.1〜1.0ml(例えば、約0.5ml)の容積を有し得る。 上記組成物は、注射物として調製され得る(溶液もしくは懸濁物のいずれかとして)。上記組成物は、微細スプレーを使用する、肺投与(例えば、吸入器による)のために調製され得る。上記組成物は、鼻、耳もしくは眼への投与(例えば、スプレーもしくは滴剤として)のために調製され得る。筋肉内投与のための注射物が、代表的である。 組成物は、免疫学的に有効量のリポソーム、ならびに任意の他の成分(必要であれば)を含む。「免疫学的に有効な量」とは、個体への投与量が、単一用量においてもしくはシリーズのうちの一部としてのいずれかで、処置もしくは予防に有効であることを意味する。この量は、処置されるべき個体の健康状態および身体的状態、処置されるべき個体の年齢、分類学上の群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類など)、上記個体が抗体を合成する免疫系の能力、所望される防御の程度、ワクチンの処方、その処置している医師の医学的状況の評価、および他の関連因子に依存して変動する。上記量は、慣用的な治験を通じて決定され得る比較的広い範囲に入ると予測される。本発明の組成物のリポソームおよびRNA含有量は、一般に、1用量あたりのRNAの量に関して表される。好ましい用量は、≦100μg RNA(例えば、10〜100μg(例えば、約10μg、25μg、50μg、75μgもしくは100μg))を有するが、発現は、遙かに低いレベル、例えば、≦1μg/用量、≦100ng/用量、≦10ng/用量、≦1ng/用量などにおいてみられ得る。 本発明はまた、本発明の薬学的組成物を含む送達デバイス(例えば、シリンジ、ネブライザ、噴霧器、吸入器、皮膚パッチなど)を提供する。このデバイスは、上記組成物を脊椎動物被験体に投与するために使用され得る。 本発明のリポソームは、リボソームを含まない。 (処置方法および医学的使用) 参考文献14で開示される粒子とは対照的に、本発明のリポソームおよび薬学的組成物は、目的の免疫原に対する免疫応答を誘発するためのインビボでの使用のためのものである。 本発明は、本発明のリポソームもしくは薬学的組成物の有効量を投与する工程を包含する、脊椎動物において免疫応答を惹起するための方法を提供する。上記免疫応答は、好ましくは、防御的であり、好ましくは、抗体および/もしくは細胞媒介性免疫を含む。上記方法は、ブースター応答を惹起し得る。 本発明はまた、脊椎動物における免疫応答を惹起するための方法において使用するための本発明のリポソームもしくは薬学的組成物を提供する。 本発明はまた、脊椎動物における免疫応答を惹起するための医薬の製造における本発明のリポソームの使用を提供する。 これら使用および方法により上記脊椎動物における免疫応答を惹起することによって、上記脊椎動物は、上記で考察されるように、種々の疾患および/もしくは感染から(例えば、細菌疾患および/もしくはウイルス疾患から)防御され得る。上記リポソームおよび組成物は、免疫原性であり、より好ましくは、ワクチン組成物である。本発明に従うワクチンは、予防的である(すなわち、感染を妨ぐ)か、もしくは治療的である(すなわち、感染を処置する)のいずれかであり得るが、代表的には、予防的である。 上記脊椎動物は、好ましくは、哺乳動物、例えば、ヒトもしくは大型の獣医学的哺乳動物(例えば、ウマ、ウシ、シカ、ヤギ、ブタ)である。上記ワクチンが予防的使用のためのものである場合、上記ヒトは、好ましくは、小児(例えば、幼児もしくは乳児)またはティーンエイジャーである;上記ワクチンが治療的使用のためのものである場合、上記ヒトは、好ましくは、ティーンエイジャーもしくは成人である。小児用に意図されたワクチンはまた、例えば、安全性、投与量、免疫原性などを評価するために、成人に投与され得る。 本発明に従って調製されるワクチンは、小児および成人の両方を処置するために使用され得る。従って、ヒト患者は、1歳未満、5歳未満、1〜5歳、5〜15歳、15〜55歳、もしくは少なくとも55歳であってもよい。上記ワクチンを受けるのに好ましい患者は、高齢者(例えば、≧50歳、≧60歳、および好ましくは、≧65歳)、若年者(例えば、≦5歳)、入院患者、ヘルスケアワーカー、軍従事者、および軍職員、妊婦、慢性疾患患者、もしくは免疫不全患者である。上記ワクチンは、これら群にのみ適切であるわけではなく、より一般に、集団において使用され得る。 本発明の組成物は、一般に、患者に直接投与される。直接送達は、非経口注射によって達成され得る(例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮内、もしくは組織の間隙空間に;参考文献1とは異なり、舌内(intraglossal)注射は、代表的には、本発明で使用されない)。代替の送達経路としては、直腸、経口(例えば、錠剤、スプレー)、口内、舌下、膣、局所、経真皮(transdermal)もしくは経皮(transcutaneous)、鼻内、眼、耳、肺もしくは他の粘膜投与が挙げられる。皮内および筋肉内投与は、2つの好ましい経路である。注射は、針を介してであってもよい(例えば、皮下針)が、針なしの注射が、代わりに使用され得る。代表的な筋肉内用量は、0.5mlである。 本発明は、全身免疫および/もしくは粘膜免疫を誘発するために、好ましくは、増強された全身免疫および/もしくは粘膜免疫を誘発するために、使用され得る。 投与量は、単一用量スケジュールもしくは複数用量スケジュールによってであり得る。複数用量は、一次免疫スケジュールにおいて、および/もしくはブースター免疫スケジュールにおいて使用され得る。複数用量スケジュールにおいて、種々の用量が、同じ経路もしくは異なる経路(例えば、非経口の一次と粘膜のブースト、粘膜の一次と非経口のブーストなど)によって与えられ得る。複数用量は、代表的には、少なくとも1週間間隔を空けて(例えば、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約16週間など)投与される。一実施形態において、複数用量は、生後約6週間、10週間、および14週間で(例えば、世界保健機関のExpanded Program on Immunisation(「EPI」)においてしばしば使用されるように、6週齢、10週齢および14週齢において)投与され得る。代替の実施形態において、2回の一次用量が、約2ヶ月間隔を空けて(例えば、約7週間、8週間もしくは9週間間隔を空けて)投与され、続いて、1回以上のブースター用量が、2回目の一次用量の約6ヶ月から1年後に(例えば、2回目の一次用量の約6ヶ月後、8ヶ月後、10ヶ月後もしくは12ヶ月後)投与される。さらなる実施形態において、3回の一次用量が、約2ヶ月間隔を空けて(例えば、約7週間、8週間もしくは9週間間隔を空けて)投与され、続いて、1回以上のブースター用量が、3回目の一次用量の約6ヶ月後から1年後に(例えば、3回目の一次用量の約6ヶ月後、8ヶ月後、10ヶ月後もしくは12ヶ月後)投与される。 (一般) 本発明の粒子は、別段示されなければ、化学、生化学、分子生物学、免疫学および薬理学の、当該分野の技術内の従来の方法を使用する。このような技術は、文献中に十分に説明されている。例えば、参考文献34〜40などを参照のこと。 用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」ならびに「からなる(consisting)」を包含し、例えば、Xを「含む(comprising)」組成物は、Xから専らなってもよいし、何かさらなるものを含んでいてもよい(例えば、X+Y)。 数値xに関して用語「約」とは、選択的であり、例えば、x±10%を意味する。 語句「実質的に」とは、「完全に」を排除せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まない場合もある。必要な場合、語句「実質的に」は、本発明の定義から省略され得る。 電荷、カチオン、アニオン、両性イオンなどへの言及は、pH7において取り扱われる。 TLR3は、Toll様レセプター3である。これは、先天的免疫系において重要な役割を果たす一回膜貫通レセプターである。既知のTLR3アゴニストは、ポリ(I:C)を含む。「TLR3」は、このレセプターをコードする遺伝子の承認されたHGNC名であり、その特有のHGNC IDは、HGNC:11849である。ヒトTLR3遺伝子のRefSeq配列は、GI:2459625である。 TLR7は、Toll様レセプター7である。これは、先天的免疫系において重要な役割を果たす一回膜貫通レセプターである。既知のTLR7アゴニストは、例えば、イミキモドを含む。「TLR7」は、このレセプターをコードする遺伝子の承認されたHGNC名であり、その特有のHGNC IDは、HGNC:15631である。ヒトTLR7遺伝子のRefSeq配列は、GI:67944638である。 TLR8は、Toll様レセプター8である。これは、先天的免疫系において重要な役割を果たす一回膜貫通レセプターである。既知のTLR8アゴニストは、例えば、レシキモドを含む。「TLR8」は、このレセプターをコードする遺伝子の承認されたHGNC名であり、その特有のHGNC IDは、HGNC:15632である。ヒトTLR8遺伝子のRefSeq配列は、GI:20302165である。 RIG−I様レセプター(「RLR」)ファミリーは、先天的免疫系において重要な役割を果たす種々のRNAヘリカーゼを含む[41]。RLR−1(RIG−Iもしくはレチノイン酸誘導性遺伝子Iとしても公知)は、そのN末端付近にある2つのカスパーゼリクルートドメインを有する。上記RLR−1ヘリカーゼをコードする遺伝子の承認されたHGNC名は、「DDX58」(DEAD(Asp−Glu−Ala−Asp)ボックスポリペプチド58(DEAD (Asp−Glu−Ala−Asp) box polypeptide 58)について)であり、その特有のHGNC IDは、HGNC:19102である。ヒトRLR−1遺伝子のRefSeq配列は、GI:77732514である。RLR−2(MDA5もしくは黒色腫分化関連遺伝子5(melanoma differentiation−associated gene 5)としても公知)はまた、そのN末端付近にある2つのカスパーゼリクルートドメインを有する。RLR−2ヘリカーゼをコードする遺伝子の承認されたHGNC名は、「IFIH1」(ヘリカーゼCドメイン1で誘導されるインターフェロン(interferon induced with helicase C domain 1)について)であり、特有のHGNC IDは、HGNC:18873である。ヒトRLR−2遺伝子のRefSeq配列は、GI: 27886567である。RLR−3(LGP2もしくは遺伝学および生理学研究室2(laboratory of genetics and physiology 2)としても公知)は、カスパーゼリクルートドメインを有さない。RLR−3ヘリカーゼをコードする遺伝子の承認されたHGNC名は、 「DHX58」(DEXH(Asp−Glu−X−His)ボックスポリペプチド58について)であり、特有のHGNC IDは、HGNC:29517である。ヒトRLR−3遺伝子のRefSeq配列は、GI:149408121である。 PKRは、二本鎖RNA依存性プロテインキナーゼである。これは、先天的免疫系において重要な役割を果たす。「EIF2AK2」(真核生物翻訳開始因子2−αキナーゼ2(eukaryotic translation initiation factor 2−alpha kinase 2)について)は、この酵素をコードする遺伝子の承認されたHGNC名であり、その特有のHGNC IDは、HGNC:9437である。ヒトPKR遺伝子のRefSeq配列は、GI:208431825である。図1は、染色されたRNAを有するゲルを示す。レーンは、(1)マーカー、(2)裸のレプリコン、(3)RNase処理後のレプリコン、(4)リポソームに封入されたレプリコン、(5)RNase処理後のリポソーム、(6)RNaseで処理し、次いで、フェノール/クロロホルム抽出に供したリポソーム、を示す。図2は、リポソームの電子顕微鏡写真である。図3は、DLinDMA、DLenDMAおよびDODMAの構造を示す。図4は、染色されたRNAを有するゲルを示す。レーンは、(1)マーカー、(2)裸のレプリコン、(3)リポソームに封入されたレプリコン、(4)RNaseで処理し、次いで、フェノール/クロロホルム抽出に供したリポソームを示す。図5は、ビリオンパッケージングされたレプリコン(四角)として、裸のRNA(菱形)として、もしくはリポソーム中(+=0.1μg、×=1μg)においてRNAを送達した後、1日目、3日目および6日目でのタンパク質発現を示す。図6は、リポソーム封入RNAの4種の異なる用量を送達した後、1日目、3日目および6日目でのタンパク質発現を示す。図7は、ビリオンパッケージングされたレプリコン(VRPもしくはVSRP)、1μg 裸のRNA、および1μg リポソーム封入RNAを与えられた動物における抗F IgG力価を示す。図8は、VRP、1μg 裸のRNA、および0.1gもしくは1μgのリポソーム封入RNAを与えられた動物における抗F IgG力価を示す。図9は、VRP、または0.1gもしくは1μgのリポソーム封入RNAのいずれかを与えられた動物における中和抗体力価を示す。図10は、裸のRNA(丸)、リポソーム封入RNA(三角および四角)、またはリポプレックス(lipoplex)(逆三角)としてレプリコンを送達した後の発現レベルを示す。図11は、レプリコンを裸のRNAとして(0.01〜1μg)、リポソーム封入RNAとして(0.01〜10μg)、またはビリオンとしてパッケージングされたものとして(VRP、106 感染単位もしくはIU)、送達した後のF特異的IgG力価(2回目の用量後2週間)を示す。図12は、レプリコンを裸のRNAとして(1μg)、リポソーム封入RNAとして(0.1もしくは1μg)、またはビリオンとしてパッケージングされたものとして(VRP、106 IU)、送達した後のF特異的IgG力価(丸)およびPRNT力価(四角)を示す。ナイーブマウスの力価もまた、示す。実線は、幾何平均を示す。図13は、2回目の用量の4週間後、Fタンパク質中の主要なエピトープを表す合成ペプチドで再刺激した後の細胞内サイトカイン生成を示す。y軸は、CD8+CD4−の%サイトカイン+を示す。図14は、仔ウシの免疫後63日間(図14A)および210日間(図14B)にわたるF特異的IgG力価(平均log10力価±標準偏差)を示す。その3つの線は、63日目において容易に区別され、下から上へ:PBS陰性コントロール;リポソーム送達RNA;および「Triangle 4」製品である。図14は、仔ウシの免疫後63日間(図14A)および210日間(図14B)にわたるF特異的IgG力価(平均log10力価±標準偏差)を示す。その3つの線は、63日目において容易に区別され、下から上へ:PBS陰性コントロール;リポソーム送達RNA;および「Triangle 4」製品である。図15は、上記リポソームにおいて使用される脂質のpKaに対する6日目のSEAP発現(相対強度)を示す。丸は、DSPCを有するリポソームについてのレベルを示し、四角は、DSPCなしのリポソームについてのレベルを示す;ときおり、四角と丸は重なっており、上記四角だけが所定のpKaについて見えるようにしている。図16は、Fタンパク質をコードするレプリコンの第1の投与の2週間後の、抗F力価の発現(RV01,100%に対して)を示す。上記力価は、図15におけるのと同じようにしてpKaに対してプロットされている。星印は、他の脂質より高いpKaを有するカチオン性脂質を使用したRV02を示す。三角は、DSPCを欠いているリポソームについてのデータを示す;丸は、DSPCを含んだリポソームについてのデータである。図17は、左から右に、RV01、RV16、RV17、RV18もしくはRV19を使用するリポソームにおけるレプリコン送達後の、総IgG力価を示す。バーは、平均値を示す。各場合における上側のバーは、2wp2(すなわち、第2の投与の2週間後)であるのに対して、下側のバーは、2wp1である。図18は、13のマウス群におけるIgG力価を示す。各々の丸は、個々のマウスであり、実線は、幾何平均を示す。水平な破線は、アッセイの検出限界である。上記13の群は、左から右に、以下に示されるようにAからMである。図19は、pDCによって放出された(A)IL−6および(B)IFNα(pg/ml)を示す。4対のバーがあり、左から右に:コントロール;RNA+DOTAPで免疫;RNA+リポフェクタミンで免疫;およびリポソーム中のRNAで免疫である。各対において、その黒いバーは、野生型マウスであり、灰色は、rsq1変異体である。 (RNAレプリコン) 種々のレプリコンは、以下で使用される。一般に、これらは、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)に由来する非構造タンパク質、シンドビス・ウイルス由来のパッケージングシグナル、およびシンドビス・ウイルスもしくはVEEV変異体に由来する3’UTRを有するハイブリッドアルファウイルスゲノムに基づく。上記レプリコンは、約10kb長であり、ポリA尾部を有する。 アルファウイルスレプリコンをコードするプラスミドDNA(名称:pT7−mVEEV−FL.RSVFもしくはA317;pT7−mVEEV−SEAPもしくはA306;pSP6−VCR−GFPもしくはA50)を、インビボでのRNA合成のテンプレートとして供した。上記レプリコンは、RNA複製に必要とされるアルファウイルス遺伝的エレメントを含むが、粒子アセンブリに必要な遺伝子産物をコードするエレメントを欠いている;構造タンパク質は、代わりに、目的のタンパク質(レポーター(例えば、SEAPもしくはGFP)または免疫原(例えば、全長RSV Fタンパク質)のいずれか)によって置き換えられるので、上記レプリコンは、感染性粒子の生成を誘導できない。上記アルファウイルスcDNAの上流にあるバクテリオファージ(T7もしくはSP6)プロモーターは、インビトロで上記レプリコンRNAの合成を促進し、上記ポリ(A)尾部の直ぐ下流にあるデルタ型肝炎ウイルス(HDV)リボザイムは、その自己切断活性を介して正確な3’末端を生成する。 適切な制限エンドヌクレアーゼで上記HDVリボザイムの下流で上記プラスミドDNAを直線状にした後に、ランオフ転写物(run−off transcript)を、T7もしくはSP6バクテリオファージ由来DNA依存性RNAポリメラーゼを使用して、インビトロで合成した。転写を、製造業者(Ambion)によって提供される指示書に従って、ヌクレオシドトリホスフェート(ATP、CTP、GTPおよびUTP)の各々の7.5mM(T7 RNAポリメラーゼ)もしくは5mM(SP6 RNAポリメラーゼ)の存在下で、37℃において2時間にわたって行った。転写の後、上記テンプレートDNAを、TURBO DNase(Ambion)で消化した。上記レプリコンRNAを、LiClで沈殿させ、ヌクレアーゼ非含有水中で再構成した。キャップのないRNAを、ScriptCap m7Gキャッピングシステム(Epicentre Biotechnologies)を使用して、ユーザーマニュアルに概説されるとおり、ワクシニアキャッピング酵素(VCE)で転写後にキャップした;このようにキャップしたレプリコンに、「v」の接頭文字を付ける(例えば、vA317は、VCEによってキャップされたA317レプリコンである)。転写後キャップされたRNAを、LiClで沈殿させ、ヌクレアーゼ非含有水中で再構成した。上記RNAサンプルの濃度を、OD260nmを測定することによって決定した。上記インビトロ転写物の完全性を、変性アガロースゲル電気泳動によって確認した。 (リポソーム封入) RNAを、参考文献11および42の方法によって作製したリポソーム中に封入した。上記リポソームを、10% DSPC(両性イオン性)、40% DLinDMA(カチオン性)、48% コレステロールおよび2% PEG結合体化DMG(2kDa PEG)から作製した。これら割合は、総リポソーム中の%モルに言及する。 DLinDMA(1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパン)を、参考文献6の手順を使用して合成した。DSPC(1,2−ジアステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)を、Genzymeから購入した。コレステロールを、Sigma−Aldrichから得た。PEG結合体化DMG(1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール),アンモニウム塩)、DOTAP(1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン,塩化物塩)およびDC−chol(3β−[N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル]コレステロールヒドロクロリド)は、Avanti Polar Lipidsからであった。 簡潔には、脂質をエタノール(2ml)中に溶解し、RNAレプリコンを、緩衝液(2ml,100mM クエン酸ナトリウム,pH6)中に溶解し、これらを2mlの緩衝液と混合し、続いて、1時間平衡化させた。上記混合物を6mlの緩衝液で希釈し、次いで、濾過した。得られた生成物は、リポソームを含み、約95%の封入効率であった。 例えば、1つの特定の方法において、新鮮な脂質ストック溶液を、エタノール中で調製した。37mgのDLinDMA、11.8mgのDSPC、27.8mgのコレステロールおよび8.07mgのPEG−DMGを秤量し、7.55mLのエタノール中に溶解した。新たに調製した脂質ストック溶液を、37℃において約15分間にわたって穏やかに振盪して、均質な混合物を形成した。次いで、755μLの上記ストックを、1.245mL エタノールに添加して、作業脂質ストック溶液2mLを作製した。この脂質量を使用して、250μg RNAを有するリポソームを形成した。RNAの2mL 作業溶液をまた、100mM クエン酸緩衝液(pH6)中の約1μg/μLのストック溶液から調製した。3つの20mL ガラスバイアル(撹拌子有り)を、RNase Away溶液(Molecular BioProducts)ですすぎ、使用前に多量のMilliQ水で洗浄して、上記バイアルのRNaseの汚染を除去した。上記バイアルのうちの1つを、上記RNA作業溶液に使用し、他のものを脂質およびRNA混合物を集めるために使用した(後に記載されるとおり)。作業脂質溶液およびRNA溶液を、37℃において10分間にわたって加熱し、その後、3cc ルーアーロックシリンジに入れた。2mL クエン酸緩衝液(pH6)を、別の3cc シリンジに入れた。RNAおよび脂質を含むシリンジを、FEPチューブ(フッ化エチレン−プロピレン;使用したすべてのFEPチューブは、2mm内径および3mm外径を有する)を使用して、Tミキサー(PEEKTM 500μm ID接合部,Idex Health Science)に接続した。上記Tミキサーからの出口もまた、FEPチューブであった。上記クエン酸緩衝液を含む第3のシリンジを、別個の1つのFEPチューブに接続した。次いで、すべてのシリンジを、流量7mL/分においてシリンジポンプを使用して作動させた。上記チューブ出口を、20mL ガラスバイアルに上記混合物を集めるように配置した(撹拌しながら)。上記撹拌子を取り出し、上記エタノール/水性溶液を、室温へと1時間にわたって平衡化させた。上記混合物のうちの4mlを、5cc シリンジに入れ、これを、FEPチューブの1つに接続し、別の5cc シリンジを、等しい長さのFEPチューブに接続し、等量の100mM クエン酸緩衝液(pH6)を入れた。上記2本のシリンジを、上記シリンジポンプを使用して7mL/分の流量において作動させ、最終の混合物を、20mL ガラスバイアルに集めた(撹拌しながら)。次に、第2の混合工程(リポソーム)から集めた上記混合物を、Mustang Q膜(Pall Corporationから得られる、結合してアニオン性分子を除去するアニオン交換支持体)を通過させた。上記リポソームに関してこの膜を使用する前に、4mLの1M NaOH、4mLの1M NaClおよび10mLの100mM クエン酸緩衝液(pH6)が、連続してこの膜を通過した。リポソームを、10分間にわたって37℃において加温し、その後、上記膜を通過させた。次に、接線流濾過を使用することによって、リポソームを2mLに濃縮し、10〜15容積の1×PBSに対して透析し、その後、最終生成物を収集した。上記TFFシステムおよび中空ファイバー濾過膜を、Spectrum Labs(Rancho Dominguez)から購入し、上記製造業者のガイドラインに従って使用した。100kD孔サイズカットオフおよび8cm2 表面積を有するポリスルホン中空ファイバー濾過膜を使用した。インビトロおよびインビボ実験に関しては、処方物を、1×PBSで、必要とされるRNA濃度へと希釈した。 図2は、これら方法によって調製されるリポソームの例示的な電子顕微鏡写真を示す。これらリポソームは、封入された、全長RSV F抗原をコードするRNAを含む。1つのバッチの動的光散乱は、平均直径141nm(強度で)もしくは78nm(数で)を示した。 封入されたRNAのパーセンテージおよびRNAの濃度を、Quant−iT RiboGreen RNA試薬キット(Invitrogen)によって、製造業者の指示書に従って決定した。上記キット中に提供されたリボソームRNA標準を使用して、標準曲線を作成した。リポソームを、1×TE緩衝液(キットから)中で、10×もしくは100×に希釈し、その後、色素を添加した。別個に、リポソームを、0.5% Triton Xを含む1×TE緩衝液中で10×もしくは100×に希釈し、その後、色素を添加した(上記リポソームを破壊するため。従って、総RNAをアッセイするため)。その後、等量の色素を各溶液に添加し、次いで、色素添加後の約180μLの各溶液を、二連において、96ウェル組織培養プレートに入れた。蛍光(励起485nm,発光528nm)を、マイクロプレートリーダーで読み取った。すべてのリポソーム処方物を、封入されたRNAの量に基づいて、インビボで投与した。 リポソームにおける封入は、RNase消化からRNAを保護することを示した。実験では、3.8mAUのRNase A/μg RNAを使用し、30分間にわたって室温においてインキュベートした。RNaseを、プロテイナーゼKで、55℃において10分間にわたって不活性化した。次いで、サンプル 対 25:24:1 v/v/v,フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコールの1:1 v/v混合物を添加して、上記RNAを上記脂質から水相へと抽出した。サンプルを、数秒間にわたってボルテックスすることによって混合し、次いで、12k RPMにおける15分間にわたる遠心分離に置いた。上記水相(上記RNAを含む)を取り出し、上記RNAを分析するために使用した。ローディング前に(400ng RNA/ウェル)、上記サンプルすべてを、ホルムアルデヒドローディング色素とともにインキュベートし、10分間にわたって65℃において変性させ、室温へと冷却した。Ambion Millenniumマーカーを使用して、上記RNA構築物の分子量を概算した。上記ゲルを、90Vにおいて泳動した。上記ゲルを、室温において1時間にわたって振盪することによって、製造業者のガイドラインに従って、水中の0.1% SYBRゴールドを使用して染色した。図1は、封入の非存在下でRNaseがRNAを完全に消化することを示す(レーン3)。RNAは、封入後に検出不能であり(レーン4)、これらリポソームがRNaseで処理されても全く変化が認められない(レーン4)。RNase処理リポソームをフェノール抽出に供した後、消化されていないRNAが認められる(レーン6)。4℃において1週間後ですら、上記RNAを、いかなるフラグメント化もなしに認めることができた(図4,矢印)。インビボでのタンパク質発現は、4℃において6週間および1回の凍結融解サイクル後にも変化しなかった。従って、リポソーム封入RNAは安定である。 上記RNAのインビボ発現を評価するために、免疫原ではなく、レポーター酵素(SEAP;分泌型アルカリホスファターゼ)を、上記レプリコン中にコードさせた。発現レベルを、化学発光アルカリホスファターゼ基質を使用して、1×Phospha−Light希釈緩衝液中で1:4希釈した血清中で測定した。8〜10週齢BALB/cマウス(5匹/群)に、0日目に、0.1μgもしくは1μg RNA用量で50μl/脚を筋肉内に注射した。同じベクターを、1μgにおいて上記リポソームなしで(RNase非含有1×PBS中で)も投与した。ビリオンパッケージングされたレプリコンもまた、試験した。本明細書で使用したビリオンパッケージングされたレプリコン(「VRP」と呼ぶ)を、参考文献43の方法によって得た。ここでアルファウイルスレプリコンは、変異VEEVに由来するか、またはシンドビスウイルスの3’UTRおよびシンドビスウイルスパッケージングシグナル(PS)を含むように操作されたVEEVのゲノムから得られるキメラであり、シンドビスウイルスキャプシドおよび糖タンパク質遺伝子をコードする欠損性ヘルパーRNAと共にBHK細胞へと共エレクトロポレーション(co−electroporating)することによってパッケージングした。 図5に示されるように、封入は、1μg用量においてSEAPレベルを約1/2対数増大させ、6日目において、0.1μg 封入用量からの発現は、1μg 非封入用量で認められたレベルに匹敵した。3日目までに、発現レベルは、VRPで達成されたものを超えた(四角)。従って、発現は、裸のRNAコントロールと比較して、10×低用量においてすら、上記RNAが上記リポソーム中に処方された場合に増大された。発現はまた、上記VRPコントロールと比較して高かったが、発現の動態は、非常に異なっていた(図5を参照のこと)。エレクトロポレーションを用いた上記RNAの送達は、上記裸のRNAコントロールと比較して増大した発現を生じたが、これらレベルは、リポソームでのものより低かった。 上記リポソーム群において認められる効果が、上記リポソームの成分にのみ起因したのか、または上記封入に関連していたのかを評価するために、上記レプリコンを、封入形態(2種の異なる精製プロトコルで,0.1μg RNA)において、または上記リポソームの形成後にそのリポソームと混合して(非封入「lipoplex」,0.1μg RNA)、または裸のRNA(1μg)として、投与した。図10は、上記lipoplexが、最低レベルの発現を与えたことを示し、これは、封入が強力な発現に必須であることを示す。 リポソーム送達を使用するインビボ研究から、これら知見が確認された。マウスには、(i)全長RSV Fタンパク質をコードする自己複製RNAレプリコン、(ii)自己複製GFPコードRNAレプリコン、(iii)自己複製を排除するnsP4においてノックアウトを有するGFPコードRNAレプリコン、(iv)全長RSV Fタンパク質の種々の組み合わせを与えた。合計13群に与えた: 図18における結果は、F特異的IgG応答は、単なる共送達よりむしろ上記リポソーム中の封入を必要としたことを示す(群Cおよび群Dを比較のこと)。群K、群Lおよび群Mの比較は、上記RNAは、共送達されたタンパク質に対してアジュバント効果を提供し、この効果は、複製RNAおよび非複製RNAの両方で認められたことを示す。 さらなるSEAP実験から、インビボで明らかな用量応答が示された。発現は、1ngほどのRNAの送達後にも認められた(図6)。封入レプリコンからの発現と裸のレプリコンからの発現とを比較するさらなる実験から、0.01μg 封入RNAは、1μgの裸のRNAに等しいことが示された。RNAの0.5μg用量において、上記封入物質は、6日目において12倍高い発現を与えた;0.1μg用量レベルでは、6日目において24倍高かった。 上記群において平均レベルで調べるだけでなく、個々の動物もまた研究した。いくらかの動物は、裸のレプリコンに対して非応答者であったのに対して、封入は、非応答者を排除した。 さらなる実験では、DLinDMAをDOTAPで置換した。DOTAPリポソームは、裸のレプリコンより良好な発現を与えたが、それらは、DLinDMAリポソームより劣っていた(1日目において2〜3倍の差異)。DOTAPは、四級アミンを有し、それゆえ送達の点において正電荷を有するのに対し、DLinDMAは、三級アミンを有する。 インビボでの免疫原性を評価するために、レプリコンを構築して、RSウイルス(RSV)に由来する全長Fタンパク質を発現させた。これを、裸(1μg)、リポソーム中に封入(0.1もしくは1μg)、またはビリオン中でパッケージング(106 IU;「VRP」)で、0日目および21日目に送達した。図7は、2回目の用量の2週間後の抗FのIgG力価を示す。上記リポソームは、明らかに免疫原性を増強する。図8は、2週間後の力価を示す。この時点までに、0.1μgの上記封入RNAと、1μgの上記封入RNAと、上記VRP群との間に統計学的差異は何らなかった。中和力価(60%のプラーク減少として測定,「PRNT60」)は、2回目の用量の2週間後に、これら3群において有意差はなかった(図9)。図12は、2回目の用量の4週間後のIgG力価およびPRNT力価の両方を示す。 図13は、上記RNAが堅調なCD8 T細胞応答を誘発することを確認する。 さらなる実験において、VRP、0.1μg リポソーム封入RNA、もしくは1μg リポソーム封入RNAを与えられたマウスにおけるF特異的IgG力価を比較した。2回目の用量の後の種々の時点での力価比(VRP:リポソーム)は、以下のとおりであった: 従って、上記リポソーム封入RNAは、ビリオン送達で認められるのと本質的に同程度の免疫応答を誘導する。 さらなる実験から、優れたF特異的IgG応答が10μg用量で示され、これは、1μgおよび0.1μg用量についての応答と等しく、0.01μg用量ではより低い応答が示された。図11は、3種の異なる用量における裸の形態において、4種の異なる用量におけるリポソームにおいて、もしくはVRP(106 IU)として、上記レプリコンを与えられた動物におけるIgG力価を示す。1μg リポソーム封入RNAで認められた応答は、VRPと比較した場合に統計的に有意ではなかった(ANOVA)が、10μg リポソーム封入RNAで認められたより高い応答は、これらの群の両方と比較した場合、統計的に有意であった(p<0.05)。 さらなる研究から、上記0.1μgのリポソーム封入RNAは、0.1μgの送達されたDNAより遙かに高い抗F IgG応答を与え(2回目の用量の15日後)、さらに、エレクトロポレーション(ElgenTM DNA Delivery System, Inovio)によって送達された、上記F抗原をコードする20μg プラスミドDNAより免疫原性であることが確認された。 さらなる研究を、マウスの代わりにコットンラット(Sigmodon hispidis)において行った。1μg用量において、リポソーム封入は、裸のRNAと比較して、F特異的IgG力価を8.3倍増大させ、PRNT力価を9.5倍増大させた。上記抗体応答の大きさは、5×106 IU VRPにより誘導されたものに等しかった。裸のRNAおよびリポソーム封入RNAはともに、RSVチャレンジ(1×105 プラーク形成単位)から上記コットンラットを防御することができ、肺ウイルス負荷を少なくとも3.5 log減少させた。封入は、約2倍の減少を増大させた。 大動物研究を、ウシにおいて行った。ウシを、0日目および21日目に、リポソーム内部に処方した、66μgの、全長RSV Fタンパク質をコードするレプリコンで免疫した。PBS単独を、陰性コントロールとして使用し、承認されたワクチンを陽性コントロールとして(Fort Dodgeの「Triangle 4」,死滅ウイルスを含む)使用した。図14は、1回目の免疫から始まって63日間の期間にわたるF特異的IgG力価を示す。上記RNAレプリコンは、ウシにおいて免疫原性であったが、承認されたワクチンより低い力価を与えた。すべてのワクチン接種したウシは、2回目の投与の後にF特異的抗体を示し、力価は、上記2回目の投与の2〜6週間後の期間に非常に安定であった(そして上記RNAワクチンに関しては特に安定であった)。 (作用機構) 骨髄由来樹状細胞(pDC)を、野生型マウスもしくは「Resq」(rsq1)変異系統から得た。上記変異系統は、そのTLR7レセプターのアミノ末端において点変異を有し、これは、リガンド結合に影響を及ぼさずにTLR7シグナル伝達を破壊する[44]。上記細胞を、DOTAP、リポフェクタミン2000で処方したレプリコンRNAもしくはリポソーム内のレプリコンRNAで刺激した。図19に示されるように、IL−6およびINFαは、WT細胞において誘導されたが、この応答は、変異マウスにおいてほぼ完全に排除された。これらの結果は、TLR7が、免疫細胞におけるRNA認識のために必要とされ、そしてリポソーム封入レプリコンが、免疫細胞に高レベルのインターフェロンおよび炎症促進性(pro−inflammatory)サイトカインの両方を分泌させ得ることを示す。 (pKa測定) 脂質のpKaを、標準の温度および圧力の水において、以下の技術を使用して測定する:・エタノール中の脂質の2mM溶液を、上記脂質を秤量し、エタノール中に溶解することによって調製する。エタノール:メタノール 9:1中の蛍光プローブトルエンニトロスルホン酸(TNS)の0.3mM溶液を、最初にメタノール中のTNSの3mM溶液を作製し、次いで、エタノールで0.3mMに希釈することによって調製する。・それぞれ、濃度20mM、25mM、20mMおよび150mMのリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、および塩化ナトリウムを含む水性緩衝液を、調製する。上記緩衝液を、8つの部分に分け、そのpHを、12N HClもしくは6N NaOHのいずれかで、4.44〜4.52、5.27、6.15〜6.21、6.57、7.10〜7.20、7.72〜7.80、8.27〜8.33および10.47〜11.12へと調整する。400μLの2mM脂質溶液および800μLの0.3mM TNS溶液を混合する。・7.5μLのプローブ/脂質混合物を、1mL 96ウェルプレートの中の242.5μLの緩衝液に添加する。これを、8つすべての緩衝液で行う。混合した後、100μLの各プローブ/脂質/緩衝液混合物を、クリアボトム(clear bottom)250μL黒色96ウェルプレート(例えば、モデルCOSTAR 3904, Corning)に移す。この混合を行う便利な方法は、Tecan Genesis RSP150ハイスループット液体ハンドラーおよびGemini Softwareを使用することである。・各プローブ/脂質/緩衝液混合物の蛍光を、322nm励起、431nm発光(オートカットオフ420nm)で測定する(例えば、SpectraMax M5分光光度計およびSoftMax pro 5.2ソフトウェアで)。・測定後、上記96ウェルプレートにおける空のウェルのバックグラウンド蛍光値を、各プローブ/脂質/緩衝液混合物から差し引く。次いで、その蛍光強度値を、最低pHにおける値に対して正規化する。次いで、正規化した蛍光強度を、pHに対してプロットし、最適の線を、提供する。・上記正規化した蛍光強度が0.5に等しい最適の線上の点を、見いだす。0.5に等しい正規化した蛍光強度に対応するpHを見いだし、上記脂質のpKaとみなす。 この方法は、DLinDMAについてpKa 5.8を与える。参考文献5のカチオン性脂質についてのこの方法によって測定されたpKa値は、以下に含まれる。 (代替のカチオン性脂質を使用するリポソーム中の封入) DlinDMAを使用する代わりとして、参考文献5のカチオン性脂質を使用する。これら脂質を、参考文献5に開示されるように合成しうる。 DlinDMAを使用して上記で形成されたリポソームを、これ以降、「RV01」シリーズと言及する。上記DlinDMAを、シリーズ「RV02」〜「RV12」において以下で記載されるように、種々のカチオン性脂質で置き換えた。2% PEG2000−DMGと、(01)40%の上記カチオン性脂質、10% DSPC、および48% コレステロール、または(02)60%の上記カチオン性脂質および38% コレステロールのいずれかとを使用して、各リポソームの2つの異なるタイプを形成した。従って、(01)リポソームと(02)リポソームとの比較は、中性の両性イオン性脂質の効果を示す。 RV02リポソームを、以下のカチオン性脂質(pKa>9,三級アミンなし)を使用して作製した: RV03リポソームを、以下のカチオン性脂質(pKa 6.4)を使用して作製した: RV04リポソームを、以下のカチオン性脂質(pKa 6.62)を使用して作製した: RV05リポソームを、以下のカチオン性脂質(pKa 5.85)を使用して作製した: RV06リポソームを、以下のカチオン性脂質(pKa 7.27)を使用して作製した: RV07リポソームを、以下のカチオン性脂質(pKa 6.8)を使用して作製した: RV08リポソームを、以下のカチオン性脂質(pKa 5.72)を使用して作製した: RV09リポソームを、以下のカチオン性脂質(pKa 6.07)を使用して作製した: RV10リポソームを、以下のカチオン性脂質(pKa 7.86)を使用して比較のために作製した: RV11リポソームを、以下のカチオン性脂質(pKa 6.41)を使用して作製した: RV12リポソームを、以下のカチオン性脂質(pKa 7)を使用して作製した: RV16リポソームを、以下のカチオン性脂質(pKa 6.1)を使用して作製した[45]: RV17リポソームを、以下のカチオン性脂質(pKa 6.1)を使用して作製した[45]: RV18リポソームを、DODMAを使用して作製した。RV19リポソームを、DOTMAを使用して作製し、RV13リポソームを、DOTAPで作製した。これらはともに、四級アミン頭部基を有する。 これらリポソームを特徴付けし、上に記載されるSEAPレポーターで試験した。以下の表は、上記リポソームのサイズ(Z平均および多分散性指数)、各リポソームにおけるRNA封入の%と、注射後1日目および6日目に検出されたSEAP活性とを示す。SEAP活性は、DLinDMA、コレステロールおよびPEG−DMGから作製された「RV01(02)」リポソームに関連する: 図15は、上記カチオン性脂質のpKaに対する、6日目のSEAPレベルをプロットする。最良の結果は、上記脂質が5.6〜6.8の間、および理想的には、5.6〜6.3の間のpKaを有する場合に認められる。 これらリポソームはまた、全長RSV Fタンパク質をコードするレプリコンを送達するために使用した。第1の用量(2wp1)の2週間後の、Fタンパク質に対する総IgG力価を、図16においてpKaに対してプロットする。最良の結果は、上記pKaが、上記カチオン性脂質が5.7〜5.9の間のpKaを有するが、pKa単独が、高い力価を保証するには十分でない(例えば、上記脂質は、なおリポソーム形成を支援しなければならない)場合に認められる (RSV免疫原性) さらなる研究は、RSV Fタンパク質をコードする自己複製レプリコン(vA317)で行った。BALB/cマウス(1群あたり4匹もしくは8匹の動物)に、0日目および21日目に、上記レプリコン(1μg)単独を、あるいは上記RV01脂質もしくはRV05脂質(上記を参照のこと;pKa 5.8もしくは5.85)で、またはRV13でリポソームとして処方されたレプリコンを、両側の筋肉内にワクチン接種(50μL/脚)した。上記RV01リポソームは、40% DLinDMA、10% DSPC、48% コレステロールおよび2% PEG−DMGを有したが、RNAの量は異なった。上記RV05(01)リポソームは、40% カチオン性脂質、48% コレステロール、10% DSPC、および2% PEG−DMGを有した;上記RV05(02)リポソームは、60% カチオン性脂質、38% コレステロール、および2% PEG−DMGを有した。上記RV13リポソームは、40% DOTAP、10% DPE、48% コレステロールおよび2% PEG−DMGを有した。比較のために、同じRSV−F抗原を発現する裸のプラスミドDNA(20μg)を、エレクトロポレーションを使用するか、またはRV01(10)リポソーム(0.1μg DNA)によるかのいずれかで送達した。4匹のマウスを、ナイーブコントロール群として使用した。 リポソームを、方法(A)もしくは方法(B)によって調製した。方法(A)において、エタノール中の新たな脂質ストック溶液を調製した。37mgのカチオン性脂質、11.8mgのDSPC、27.8mgのコレステロールおよび8.07mgのPEG−DMGを秤量し、7.55mLのエタノールに溶解した。新たに調製した脂質ストック溶液を、37℃において約15分間にわたって穏やかに振盪して、均質な混合物を形成した。次いで、226.7μLの上記ストックを、1.773mL エタノールに添加して、作業脂質ストック溶液2mLを作製した。この量の脂質を使用して、75μg RNAを有するリポソームを形成し、8:1 窒素 対 ホスフェート比(RV01(08)およびRV01(09)においては、この比が、4:1もしくは16:1に改変されたことを除く)を与えた。RNAの2mLの作業溶液(もしくはRV01(10)については、DNA)をまた、100mM クエン酸緩衝液(pH6)中の約1μg/μLのストック溶液から調製した。3本の20mL ガラスバイアル(撹拌子つき)を、RNase Away溶液(Molecular BioProducts)ですすぎ、使用前に多量のMilliQ水で洗浄して、上記バイアルのRNaseの汚染を除去した。上記バイアルのうちの1本を、上記RNA作業溶液に対して使用し、他のものを、上記脂質およびRNA混合物を集めるために使用した(後に記載されるとおり)。上記作業脂質およびRNA溶液を、37℃において10分間にわたって加熱し、その後、3cc シリンジに詰めた。2mLのクエン酸緩衝液(pH6)を、別の3cc シリンジに詰めた。RNAおよび上記脂質を含むシリンジを、FEPチューブを使用して、Tミキサー(PEEKTM 500μm ID接合部)に接続した。上記Tミキサーからの出口もまた、FEPチューブであった。上記クエン酸緩衝液を含む第3のシリンジを、FEPチューブの別個の部分に接続した。次に、すべてのシリンジを、シリンジポンプを使用して流速7mL/分で運転した。そのチューブの出口を、20mL ガラスバイアル中に上記混合物を集める(撹拌しながら)ように配置した。撹拌子を取り出し、エタノール/水性溶液を、室温へと1時間にわたって平衡化させた。次いで、上記混合物を、FEPチューブの部分に取り付けた5cc シリンジに詰め、そして、等しい長さのFEPチューブを有する別の5cc シリンジには、、等容積の100mM クエン酸緩衝液(pH6)を詰めた。上記2本のシリンジを、シリンジポンプを使用して7mL/分の流速で運転し、最終の混合物を、20mL ガラスバイアルに集めた(撹拌しながら)。次に、リポソームを2mLに濃縮し、TFFを使用して10〜15容積の1×PBSに対して透析し、その後、最終生成物を回収した。上記TFFシステムおよび中空ファイバー濾過膜を、Spectrum Labsから購入し、上記製造業者のガイドラインに従って使用した。100kD孔サイズカットオフおよび20cm2表面積を有するポリエーテルスルホン(PES)中空ファイバー濾過膜(部品番号 P−C1−100E−100−01N)を、使用した。インビトロ実験およびインビボ実験に関しては、処方物を、1×PBSで必要とされるRNA濃度へと希釈した。 調製法(B)は、2つの手段において方法(A)とは異なる。まず、上記20mL ガラスバイアル中での収集後(しかし、TFF濃縮前)に、上記混合物を、Mustang Q膜(Pall Corporation,Ann Arbor,MI,USAから得られる、アニオン性分子を結合して除去するアニオン交換支持体)を通過させた。この膜を、最初に4mLの1M NaOHで、次に、4mLの1M NaClおよび10mLの100mM クエン酸緩衝液(pH6)で洗浄し、リポソームを、10分間にわたって37℃において加温し、その後、濾過した。第2に、上記中空ファイバー濾過膜は、ポリスルホン(部品番号 P/N: X1AB−100−20P)であった。 上記リポソームのZ平均粒子直径、多分散指数、および封入効率は、以下のとおりであった: 血清を、14日目、36日目および49日目に抗体分析のために集めた。脾臓を、49日目に、T細胞分析のためにマウスから採取した。 F特異的血清IgG力価(GMT)は、以下のとおりであった: サイトカイン陽性であり、かつRSV F51−66ペプチドに対して特異的なT細胞の割合は、以下のとおりであり、統計的に有意にゼロを上回る数字のみを示す: 従って、上記リポソーム処方物は、増大したF特異的IgG力価およびT細胞頻度によって決定される場合、上記裸のRNAコントロールと比較して免疫原性を顕著に増大した。リポソームとともに処方したか、またはエレクトロポレーションを使用して裸で送達されたプラスミドDNAは、リポソーム処方された自己複製RNAより顕著に免疫原性が低かった。 上記RV01 RNAワクチンおよびRV05 RNAワクチンは、上記RV13(DOTAP)ワクチンより免疫原性が強かった。これら処方物は、匹敵する物理的特徴を有し、同じ自己複製RNAで処方したが、それらは、異なるカチオン性脂質を含む。RV01およびRV05はともに、頭部基にpKa 約5.8の三級アミンを有し、かつまた、不飽和アルキル尾部を含む。RV13は、不飽和アルキル尾部を有するが、その頭部基は、四級アミンを有し、カチオン性が非常に強い。これら結果から、5.0〜7.6の範囲のpKaを有する、三級アミンを有する脂質が、DOTAPのような脂質(これらは、RNAのためのリポソーム送達系において使用される場合に、カチオン性が強い)より優れていることが示唆される。 (DLinDMAのさらなる代替) RV01リポソームにおけるカチオン性脂質(DLinDMA)は、RV16、RV17、RV18もしくはRV19で置き換えられた。総IgG力価を、図17に示す。最低の結果は、RV19(すなわち、DOTMA四級アミン)で認められる。 (BHK発現) 異なる脂質を有するリポソームを、BHK細胞とともに一晩インキュベートし、タンパク質発現効力について評価した。RV05脂質発現でのベースラインから、10% 1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DPyPE)を上記リポソームに添加することによって18×、10% 18:2(cis) ホスファチジルコリンを添加することによって10×、および代わりにRV01を使用することによって900×増大し得た。 (様々なマウス系統におけるRSV免疫原性) レプリコン「vA142」は、RSVの全長野生型表面融合(F)糖タンパク質をコードするが、その融合ペプチドは欠失しており、その3’末端は、リボザイム媒介性切断によって形成される。これを、3種の異なるマウス系統において試験した。 BALB/cマウスに、0日目および22日目に、両側の筋肉内ワクチン接種(50μL/脚)を与えた。動物を、8つの試験群(1群あたり5匹の動物)およびナイーブコントロール(2匹の動物)へと分けた:群1には、裸のレプリコン(1μg)を与えた。群2には、40% DlinDMA、10% DSPC、48% Chol、2% PEG結合体化DMGを有するリポソーム「RV01(37)」中で送達した1μg レプリコンを与えた。群3には、群2と同じものを与えたが、0.1μg RNAであった。群4には、「RV17(10)」リポソーム(40% RV17(上記を参照のこと)、10% DSPC、49.5% コレステロール、0.5% PEG−DMG)中において1μg レプリコンを与えた。群5には、「RV05(11)」リポソーム(40% RV07脂質、30% 18:2 PE(DLoPE)、28% コレステロール、2% PEG−DMG)中において1μg レプリコンを与えた。群6には、「RV17(10)」リポソーム中において0.1μg レプリコンを与えた。群7には、水酸化アルミニウムをアジュバント添加した5μg RSV−Fサブユニットタンパク質を与えた。群8は、ナイーブコントロール(2匹の動物)であった。 血清を、14日目、35日目および49日目に、抗体分析のために集めた。F特異的血清IgG GMTは、以下であった: 35日目において、F特異的IgG1力価およびIgG2a力価(GMT)は、以下のとおりであった: 35日目および49日目のRSV血清中和抗体力価は、以下のとおりであった(データは、2〜5匹のマウスプール(1群あたり1プール)の60% プラーク減少中和力価である): 49日目に、T細胞分析のために脾臓を採取した。平均の正味F特異的サイトカイン陽性T細胞頻度(CD4+もしくはCD8+)は、以下のとおりであった(これは、統計的に有意にゼロを上回った(CD4+についてはRSVペプチドであるF51−66、F164−178、F309−323、またはCD8+についてはペプチドF85−93およびF249−258に対して特異的)数字のみを示す): C57BL/6マウスを、同じように免疫したが、第9の群には、RSVの全長野生型表面融合糖タンパク質(融合ペプチド欠失)を発現するVRP(1×106 IU)を与えた。 血清を、14日目、35日目および49日目に、抗体分析のために集めた。F特異的IgG力価(GMT)は、以下であった: 35日目において、F特異的IgG1力価およびIgG2a力価(GMT)は、以下のとおりであった: 35日目および49日目のRSV血清中和抗体力価は、以下のとおりであった(データは、2〜5匹のマウスプール(1群あたり1プール)の60% プラーク減少中和力価である): 49日目に、T細胞分析のために脾臓を採取した。平均の正味F特異的サイトカイン陽性T細胞頻度(CD8+)は、以下のとおりであった(これは、統計的に有意にゼロを上回った(RSVペプチドF85−93およびF249−258に対して特異的)数字のみを示す): C3H/HeNマウスの9群を、同じようにして免疫した。F特異的IgG力価(GMT)は、以下であった: 35日目において、F特異的IgG1力価およびIgG2a力価(GMT)は、以下のとおりであった: 35日目および49日目のRSV血清中和抗体力価は、以下のとおりであった: 従って、3種の異なる脂質(RV01、RV05、RV17;pKaは、5.8、5.85、6.1)を、3種の異なる近交系のマウス系統において試験した。3種の系統すべてに関して、RV01がRV17より有効であった;BALB/cおよびC3H系統に関しては、RV05は、RV01およびRV17よりも有効性が低かったが、B6系統においては、より有効であった。しかし、すべての場合において、上記リポソームは、並行して試験した2種のカチオン性ナノエマルジョンより有効であった。 (CMV免疫原性) DLinDMAをカチオン性脂質として有するRV01リポソームを使用して、サイトメガロウイルス(CMV)糖タンパク質をコードするRNAレプリコンを送達した。「vA160」レプリコンは、全長糖タンパク質HおよびL(gH/gL)をコードするのに対して、「vA322」レプリコンは、可溶性形態(gHsol/gL)をコードする。上記2種のタンパク質は、単一のレプリコン中の別個のサブゲノムプロモーターの制御下にある;2種の別個のベクター(1つは、gHをコードし、1つは、gLをコードする)の共投与は、良好な結果を与えなかった。 BALB/cマウス(10匹/群)に、0日目、21日目および42日目に、gH/gLを発現するVRP(1×106 IU)、gHsol/gLを発現するVRP(1×106 IU)およびコントロールとしてPBSを、両側の筋肉内ワクチン接種(50μL/脚)で与えた。2つの試験群に、リポソーム(40% DlinDMA、10% DSPC、48% Chol、2% PEG−DMG;上記で議論した方法(A)を使用するが、150μg RNAバッチサイズを用いて作製した)中に処方した、1μgの上記vA160レプリコンもしくはvA322レプリコンを与えた。 上記vA160リポソームは、Zav直径 168nm、pdI 0.144、および87.4% 封入を有した。上記vA322リポソームは、Zav直径 162nm、pdI 0.131、および90% 封入を有した。 上記レプリコンは、単一のベクターから2種のタンパク質を発現できた。 63日目(3wp3)に、血清を、免疫学的分析のために集めた。CMV中和力価(コントロールと比較して、陽性ウイルスフォーカス/ウェルの数において50%減少を生じる血清希釈の逆数)は、以下のとおりであった: 全長もしくは可溶性形態の上記CMV gH/gL複合体のいずれかを発現するRNAは、従って、上皮細胞でアッセイされる場合、高い力価の中和抗体を誘発した。上記リポソーム封入RNAによって誘発された平均力価は、その対応するVRPについてのものと少なくとも同程度に高かった。 本発明は、例示によって記載されてきたに過ぎず、本発明の範囲および趣旨内に留まりながら、改変が行われ得ることは、理解される。水性コアを封入する脂質二重層を有するリポソームであって、ここで:(i)該脂質二重層は、5.0〜7.6の範囲のpKaを有する脂質を含み;そして(ii)該水性コアは、免疫原をコードするRNAを含む、リポソーム。5.0〜7.6の範囲のpKaを有する前記脂質は、三級アミンを有する、請求項1に記載のリポソーム。5.0〜7.6の範囲のpKaは、5.7〜5.9の間である、前記請求項のいずれかに記載のリポソーム。5.0〜7.6の範囲のpKaを有する前記脂質は、RV01、RV02、RV03、RV04、RV05、RV06、RV07、RV08、RV09、RV11、RV12、RV16もしくはRV17について本明細書で示される式を有する、請求項1に記載のリポソーム。20〜220nmの範囲の直径を有する、前記請求項のいずれかに記載のリポソーム。前記RNA分子は、(i)該RNA分子からRNAを転写し得るRNA依存性RNAポリメラーゼ、および(ii)免疫原をコードする、前記請求項のいずれかに記載のリポソーム。前記RNA分子は、2個のオープンリーディングフレームを有し、そのうちの第1のものは、アルファウイルスレプリカーゼをコードし、そのうちの第2のものは、前記免疫原をコードする、請求項5に記載のリポソーム。前記RNA分子は、9000〜12000ヌクレオチド長である、前記請求項のいずれかに記載のリポソーム。前記免疫原は、細菌、ウイルス、真菌もしくは寄生生物に対してインビボで免疫応答を誘発し得る、前記請求項のいずれかに記載のリポソーム。前記免疫原は、呼吸器系合胞体ウイルス糖タンパク質Fに対してインビボで免疫応答を誘発し得る、前記請求項のいずれかに記載のリポソーム。前記請求項のいずれかに記載のリポソームを含む、薬学的組成物。脊椎動物において防御的免疫応答を惹起するための方法であって、該方法は、該脊椎動物に、有効量の、請求項1〜10に記載のリポソーム、または請求項11に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。RNA含有リポソームを調製するためのプロセスであって、該プロセスは、リポソーム処方の間に、(a)RNAと、脂質とを、該脂質のpKa未満であるが4.5を上回るpHにおいて混合する工程;次いで、(b)該pHを、該脂質のpKaを上回るように上昇させる工程、を包含する、プロセス。請求項13に記載のプロセスであって、ここで、工程(a)において使用されるRNAは、前記脂質の有機溶液と混合して、混合物を与える間、水性溶液中に存在し、該混合物は、次いで、希釈されて、リポソームを形成し;そして前記pHは、リポソーム形成後に、工程(b)において上昇させられる、プロセス。 免疫原をコードするRNAは、免疫の目的で、リポソーム中で送達される。上記リポソームは、5.0〜7.6の範囲のpKaおよび好ましくは、三級アミンを有する脂質を含む。これらリポソームは、生理学的pHにおいて本質的に中性表面電荷を有し得、免疫に有効である。一実施形態において、水性コアを封入する脂質二重層を有するリポソームが提供され、ここで:(i)該脂質二重層は、5.0〜7.6の範囲のpKaを有する脂質を含み;そして(ii)該水性コアは、免疫原をコードするRNAを含む。


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