タイトル: | 公表特許公報(A)_抗ウイルス剤としてのラクトアドヘリン由来ペプチド |
出願番号: | 2013512874 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C07K 14/47,C07K 7/08,C07K 19/00,A23L 1/305,A23C 9/152,A61P 31/14,A61P 31/22,A61P 31/12,A61P 43/00,A61K 38/00 |
コンティ,アメデオ レンボ,デービッド ファブリス,クラウディオ ベルチノ,エンリコ ランドルフォ,サント JP 2013533853 公表特許公報(A) 20130829 2013512874 20110531 抗ウイルス剤としてのラクトアドヘリン由来ペプチド ロタラクティス エスアールエル 512309026 高岡 亮一 100114775 小田 直 100121511 コンティ,アメデオ レンボ,デービッド ファブリス,クラウディオ ベルチノ,エンリコ ランドルフォ,サント EP 10164496.1 20100531 C07K 14/47 20060101AFI20130802BHJP C07K 7/08 20060101ALI20130802BHJP C07K 19/00 20060101ALI20130802BHJP A23L 1/305 20060101ALI20130802BHJP A23C 9/152 20060101ALI20130802BHJP A61P 31/14 20060101ALI20130802BHJP A61P 31/22 20060101ALI20130802BHJP A61P 31/12 20060101ALI20130802BHJP A61P 43/00 20060101ALI20130802BHJP A61K 38/00 20060101ALI20130802BHJP JPC07K14/47C07K7/08C07K19/00A23L1/305A23C9/152A61P31/14A61P31/22A61P31/12A61P43/00 111A61K37/02 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW EP2011058977 20110531 WO2011151341 20111208 40 20130122 4B001 4B018 4C084 4H045 4B001AC99 4B001BC01 4B001EC05 4B018LB07 4B018MD20 4B018ME09 4B018MF02 4C084AA02 4C084BA01 4C084BA08 4C084BA16 4C084BA17 4C084BA18 4C084BA23 4C084BA44 4C084MA43 4C084MA52 4C084NA05 4C084NA14 4C084ZB331 4C084ZC411 4C084ZC751 4H045AA10 4H045AA30 4H045BA17 4H045BA41 4H045CA43 4H045EA29 4H045FA33 本発明は、特に、インテグリン使用ウイルス、より具体的にはロタウイルスに対する抗ウイルス活性を有する単量体及び多量体ペプチド化合物に関する。さらに、本発明は、前記ペプチド化合物を含む、医療用途又は食品添加物としての用途のための組成物に関する。 乳は、互いに平衡状態にある、血清、カゼインの懸濁液及び脂肪球エマルション、の異なる相の異種混合物である。脂肪球は、一般的には、脂肪球が由来する乳腺上皮細胞の頂端部細胞膜に由来する二重層、すなわち典型的な脂質二重層によって囲まれたトリグリセリドの滴である。乳脂肪球の膜(乳脂肪球膜、MFGM)に結合したタンパク質は、新生児及び幼児にとって重要な機能を果たす。 臨床研究(Kurugol et al.,2003;Newburg et al.,1998;Morrow et al.,2004)は、全く母乳で育てられなかった幼児が、ロタウイルスによる胃腸炎を発症するリスクが2倍であることを示している。これらの子供は、新生児又は幼児の栄養必要量に応じて、様々な種類の調製物で育てられている。ほとんどの場合、これらの製剤は、植物性必須脂肪で強化された脱脂牛乳に由来する。従って、乳脂肪球(MFGM)の膜に結合するすべてのタンパク質は、このような調製物から排除されている。米国特許第5,667,797号の主題でもある過去の研究は、ヒトMFGMに存在する生化学化合物が、いくつかの抗ロタウイルス活性を示すことを示している。特に、脂質タンパク質から実質的に遊離している乳脂肪球膜は、ロタウイルス感染症に対して有効であるが、ウシMFGMから単離された同じ分子は、このような機能を示さない。研究は、精製ヒトラクトアドヘリンが、ロタウイルス感染症に対して有効であるが、ウシラクトアドヘリンはこの活性を持たないことも示している(Kvistgaard et al.,2004)。 ラクトアドヘリンは、MFGMに存在する糖タンパクであり、おそらく、リン脂質成分との相互作用によって膜に結合している。異なる動物種から単離された異なるラクトアドヘリンは、一定数のドメインによって特徴付けられる:N末端領域において、ラクトアドヘリンは上皮成長因子と類似しており、C末端に向かって、ラクトアドヘリンは凝固因子V及びVIIIのホモログである。ウシラクトアドヘリンは、細胞内プロセシング中に切断される18個のアミノ酸のN末端シグナル配列を含む427個のアミノ酸残基を含む。シグナル配列を除く理論上の分子量は、約45.6kDaであり、等電点は、6.63である。ヒトラクトアドヘリンは、23個のアミノ酸のN末端シグナル配列を含む387個のアミノ酸のタンパク質である。シグナル配列を除く理論上の分子量は、約40.8kDaであり、等電点は、8.22である。二次元電気泳動によって分離した場合、これらの2つのタンパク質は、理論値を超える見掛け上の分子量を示す:重量の差異は、グリコシル化の存在によって説明される。 ロタウイルスは、環境条件に高い抵抗性を示す裸のRNAウイルスであり、糞口経路によって感染する。このウイルスの標的細胞は、小腸の絨毛の成熟先端腸細胞であり、これは、感染によりその結果として起こる絨毛萎縮によって死ぬ。感染症によって誘発される組織損傷は、腸粘膜の重度の機能的変化(例えば、電解質の喪失及び水分吸収の減少)を引き起こし、急性下痢が起こる。 ロタウイルスは、インテグリンを細胞受容体として利用するウイルスの種類に属する(すなわち、ロタウイルスは、細胞接着及び侵入のためにインテグリンと相互作用する)。Grahamら(Journal of Virology,Sept 2003,p.9969−9978)は、ロタウイルスの細胞接着及び侵入に関与するインテグリンとの相互作用に関与するウイルスタンパク質及び配列の研究を開示している。インテグリン使用ロタウイルスの結合に関与するインテグリンリガンド配列DGEを含むウイルススパイクタンパク質VP4について、特に言及している。この研究は、インテグリンリガンドペプチドDGEA及びGPRPで行われている。著者らは、インテグリンリガンドペプチドが、サルロタウイルス株SA11のMA104細胞への結合及び感染を用量依存的に阻害し得ることを示している。Zarateら(Journal of Virology,October 2004,p.10839−10847)は、ロタウイルスの細胞侵入の研究、及び、特にウイルス感染性を介在するインテグリン認識部位の確立について言及している。Zarateらは、インテグリン相互作用及びロタウイルスの感染性に関して関連性が見出されたCNPペプチドに、彼らの研究の焦点を合わせている。 ロタウイルスは、5歳未満の子供における重度の胃腸炎の最も大きな原因であるこの疾患は、通常、後遺症がなく自己限定的であるが、主に栄養不良の子供及び支援治療をほとんど受けられない者においては脱水症及び電解質平衡異常を伴い、致死的結果になる可能性もある。現在のところ、特定の抗ロタウイルス薬剤はないため、重度の胃腸炎は、失われた水分を復元し、電解質及び酸塩基平衡異常を直すことを目的とする支援治療によって管理されている。重度の脱水症を伴うロタウイルスによる収縮性胃腸炎のリスクがある主な人口集団は、2歳未満の子供、栄養不良及び/又は免疫不全の子供、並びに、入院及び/又は地域介護中の者である。 このシナリオでは、医学的及び社会経済的な検討が、抗ロタウイルス活性を持つヒトの乳に由来する成分に基づく予防及び/又は治療調製物を開発することが非常に望ましいことを示唆している。他方、実際的及び倫理的理由により、ヒトの乳を使用することはできない。従って、本発明の目的は、ヒトにおけるロタウイルス感染症に対して有益な効果を示す薬学的に有用な化合物及び調製物を提供することであった。 特に、牛乳は安価で容易に大量に入手可能であるので、牛乳又はその成分を使用する試みが行われた。しかしながら、牛乳に由来する各成分は、抗ロタウイルス活性を持たず、抗ロタウイルス活性は、ヒトの乳に限定されているという結論に至っている(Kvistgaard、前掲)。 驚くべきことに、本発明者らは、ウマ科の乳脂肪球に結合し、より好ましくは特に脂質成分から遊離している膜成分を含むウマ科の乳に由来する成分が、特にヒトロタウイルスに対する抗ウイルス活性を示すことを見出した。 特に、本発明者らは、ウマ科の乳の脂肪球から抽出したウマ科のタンパク質ラクトアドヘリンが、抗ウイルス活性、特に抗ロタウイルス活性を示すことを見出した。最後に、本発明者らは、アミノ酸配列の決定によって、ウマ科の乳のラクトアドヘリンタンパク質を精製及び特性化することができた。図1は、本発明者らによって決定されたロバの乳のラクトアドヘリン(エクウス・アシヌス)のアミノ酸配列のN末端ドメインを示す。 さらに、驚くべきことに、本発明者らは、ウマ科のラクトアドヘリンに由来する特定のペプチドモチーフが、抗ウイルス活性を有することを見出した。特に、これらのペプチドモチーフは、トリペプチド配列DGE及び/又はRGDを含む。あらゆる理論に束縛されることなく、本発明者らは、これらのペプチドモチーフが、細胞表面上のインテグリンタンパク質に結合し、それによって宿主細胞表面へのインテグリン使用ウイルスの結合を特異的に阻害(すなわち、宿主細胞へのウイルス付着及び侵入を阻害)できると特徴付けた。上記トリペプチド配列の1つ又は両方を含むペプチド化合物は、インテグリン接着に関してウイルスタンパク質と競合し、その結果、細胞へのウイルスの結合及び侵入を遮断することによって、ウイルス感染を阻害し得るインテグリンリガンドペプチドであると考えられ得る。 従って、本発明は、新規な抗ウイルスペプチド化合物、及び、治療(例えば、ウイルス性疾患、特に、インテグリン使用ウイルスによって引き起こされるウイルス性疾患、さらにより具体的にはロタウイルス疾患の処置及び/又は予防)において前記ペプチド化合物を使用するための方法を提供する。 従って、本発明の主題は、一般式(I)(式中、Z、Z’及びWのそれぞれは、アミノ酸残基、特にαアミノカルボン酸残基であり、nは、0〜12、特に1〜6、より具体的には1〜2の数であり、mは、0〜15(例えば0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15)、特に0〜12、より具体的には1〜10、より具体的には4〜10、さらにより具体的には5〜8の数であり、rは、0〜20、特に1〜12、より具体的には1〜4の数であり、Dは、アスパラギン酸側鎖、好ましくはL−アスパラギン酸を有するアミノ酸残基であり、Gは、グリシン側鎖を有するアミノ酸残基であり、Eは、グルタミン酸側鎖、好ましくはL−グルタミン酸を有するアミノ酸残基であり、Rは、アルギニン側鎖、特にL−アルギニンを有するアミノ酸残基であり;式(I)のペプチド化合物は、L−及び/又はD−アミノ酸残基、好ましくはL−アミノ酸残基を含み得る。)によって表されるアミノ酸配列を含む最大50個のアミノ酸残基の長さを有するペプチド化合物又はその塩である。 さらに、本発明の主題は、一般式(Ia)(式中、Y1、Y2及びY3は、独立して、中性極性側鎖、好ましくはセリン(S)、アスパラギン(N)、システイン(C)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)又はスレオニン(T)側鎖を有するアミノ酸残基であり、Y4は、正電荷側鎖、好ましくはヒスチジン(H)、アルギニン(R)又はリシン(K)側鎖を有するアミノ酸残基であり、Y5は、中性非極性側鎖、好ましくはフェニルアラニン(F)、バリン(V)、アラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)側鎖を有するアミノ酸残基であり、Dは、アスパラギン酸側鎖、好ましくはL−アスパラギン酸を有するアミノ酸残基であり、Gは、グリシン側鎖を有するアミノ酸残基であり、Eは、グルタミン酸側鎖、好ましくはL−グルタミン酸を有するアミノ酸残基であり、n1、n4及びn5は、独立して、0又は1であり、n2及びn3は、n2及びn3の少なくとも1つが1である条件下で、0又は1であり、X1及びX5は、独立して、中性極性側鎖、好ましくはセリン(S)、アスパラギン(N)、システイン(C)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)又はスレオニン(T)側鎖を有するアミノ酸残基であり、X2は、正電荷側鎖、好ましくはヒスチジン(H)、アルギニン(R)又はリシン(K)側鎖を有するアミノ酸残基であり、X3及びX4は、独立して、中性非極性側鎖、好ましくはフェニルアラニン(F)、バリン(V)、アラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)側鎖を有するアミノ酸残基であり、Rは、アルギニン側鎖、特にL−アルギニンを有するアミノ酸残基であり、Gは、グリシン側鎖を有するアミノ酸残基であり、Dは、アスパラギン酸側鎖、好ましくはL−アスパラギン酸を有するアミノ酸残基であり、m1は、0又は1であり、W’は、共有化学結合であるか、又は、1〜10個のアミノ酸残基、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸残基を含むリンカー基、好ましくはペプチドリンカーであり、式Iaのペプチド化合物は、L−及び/又はD−アミノ酸残基、好ましくはL−アミノ酸残基を含み得る。)によって表されるアミノ酸配列を含む最大50個のアミノ酸残基の長さを有するペプチド化合物又はその塩である。 W’が共有化学結合である場合、この結合は、好ましくは、一方のアミノ酸残基(例えば、E、Y3、Y4又はY5)のカルボキシル基が、他方のアミノ酸残基(例えば、X1又はX2)のアミノ基と反応する際に形成されるペプチド結合である。共有化学結合のさらなる例は、例えば、カルボキサミド、カルバメート、エステル、チオエステル、エーテル、チオエーテル、テトラゾール、チアゾール、レトロアミド及びチオアミド結合である。 本発明の文脈において、リンカー基W’は、反応性官能末端基を両末端に有する二官能性基として定義される。一方の反応性末端基によって、リンカーは、式(Ia)の一方のアミノ酸残基(例えば、E、Y3、Y4又はY5)のC末端と反応する。他方の末端の別の官能基によって、リンカー基は、式(Ia)の別のアミノ酸残基(例えば、X1又はX2)のN末端に結合する。 本発明の好ましい実施形態によれば、リンカー基は、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個(例えば、1個、2個又は3個)のアミノ酸残基、特にαアミノカルボン酸残基を含むペプチドリンカー基である。本発明の非常に好ましい実施形態では、ペプチドリンカー基は、3個のアミノ酸残基、特にαアミノカルボン酸残基を含む。特に、前記トリペプチドリンカー基は、好ましくは、式(Ib)(式中、W1は、中性非極性側鎖、好ましくはフェニルアラニン(F)、バリン(V)、アラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)側鎖を有するアミノ酸残基であり、W2及びW3は、独立して、負電荷側鎖、好ましくはアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)側鎖を有するアミノ酸残基である。)によって表される。 非常に好ましい実施形態では、式W1−W2−W3は、(式中、Iは、イソロイシン側鎖、好ましくはL−イソロイシンを有するアミノ酸残基であり、Dは、アスパラギン酸側鎖、好ましくはL−アスパラギン酸を有するアミノ酸残基である。)によって表される。 ペプチドリンカー基のアミノ酸残基は、L−及び/又はD−アミノ酸残基、好ましくはL−アミノ酸残基を含み得る。 さらなる適切なリンカー基は、当業者に知られている。リンカー基の例としては、ヘテロ二官能性小分子のポリマーが挙げられ得るが、これに限定されない。従って、本発明の別の実施形態によれば、リンカー基は、二官能性C6〜C12アルキル基、又は、N、S及びOから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むヘテロ二官能性C6〜C12アルキル基によって表され得る。あるいは、リンカー基は、生体適合であり、天然、半合成又は合成起源であり、直鎖状又は分枝状構造を有し得る二官能性ポリマー部分、好ましくは二官能性オリゴマー部分によって表され得る。ポリマーの例としては、ポリアルキレングリコール及びポリアルキレンオキシドが挙げられ得るが、これらに限定されない。非常に好ましい二官能性ポリマー部分は、例えば、2〜10個、好ましくは2〜8個又は2〜6個、さらにより好ましくは2個、3個又は4個のエチレングリコール単量体単位を含む、ポリエチレングリコール(PEG)、特に中間二官能性短PEG鎖、例えば二官能性オリゴエチレングリコール部分である。 さらに好ましい実施形態では、本発明は、一般式(II)(式中、Y1、Y2及びY3は、独立して、中性極性側鎖、好ましくはセリン(S)、アスパラギン(N)、システイン(C)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)又はスレオニン(T)側鎖を有するアミノ酸残基であり、Y4は、正電荷側鎖、好ましくはヒスチジン(H)、アルギニン(R)又はリシン(K)側鎖を有するアミノ酸残基であり、Y5は、中性非極性側鎖、好ましくはフェニルアラニン(F)、バリン(V)、アラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)側鎖を有するアミノ酸残基であり、Dは、アスパラギン酸側鎖、好ましくはL−アスパラギン酸を有するアミノ酸残基であり、Gは、グリシン側鎖を有するアミノ酸残基であり、Eは、グルタミン酸側鎖、好ましくはL−グルタミン酸を有するアミノ酸残基であり、n1、n4及びn5は、独立して、0又は1であり、n2及びn3は、n2及びn3の少なくとも1つが1である条件下で、0又は1であり、式(II)のペプチド化合物は、L−及び/又はD−アミノ酸残基、好ましくはL−アミノ酸残基を含み得る。)によって表されるアミノ酸配列を含む最大50個のアミノ酸の長さを有するペプチド化合物又はその塩に関する。 よりさらに好ましい実施形態では、さらに、本発明は、一般式(III)(式中、X1及びX5は、独立して、中性極性側鎖、好ましくはセリン(S)、アスパラギン(N)、システイン(C)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)又はスレオニン(T)側鎖を有するアミノ酸残基であり、X2は、正電荷側鎖、好ましくはヒスチジン(H)、アルギニン(R)又はリシン(K)側鎖を有するアミノ酸残基であり、X3及びX4は、独立して、中性非極性側鎖、好ましくはフェニルアラニン(F)、バリン(V)、アラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)側鎖を有するアミノ酸残基であり、Rは、アルギニン側鎖、特にL−アルギニンを有するアミノ酸残基であり、Gは、グリシン側鎖を有するアミノ酸残基であり、Dは、アスパラギン酸側鎖、好ましくはL−アスパラギン酸を有するアミノ酸残基であり、m1は、0又は1であり;式(III)のペプチド化合物は、L−及び/又はD−アミノ酸残基、好ましくはL−アミノ酸残基を含み得る。)によって表されるアミノ酸配列を含む最大50個のアミノ酸の長さを有するペプチド化合物又はその塩に関する。 一般式(I)、(Ia)、(II)及び/又は(III)のペプチド化合物は、L−及び/又はD−アミノ酸残基ビルディングブロックを含み得る。本発明のペプチド化合物の配列は、左側のN末端から右側のC末端に記載される。ウマ科ロバラクトアドヘリンのアミノ酸配列の最初の45アミノ酸を含むN末端ドメイン。ウマ科(EQ45)、ウシ(BO)、ヒト(HU)ラクトアドヘリンのN末端ドメインのアミノ酸配列。本発明のペプチド化合物及びそれらの組み合わせのヒトロタウイルスに対する阻害活性。SEQ ID NO:1の希薄溶液のMALDI−TOFスペクトル。異なる消化時間におけるSEQ ID NO:とトリプシンの溶液のMALDI−TOFスペクトル。 本発明を、さらに次の実施例及び図によって説明する。 本発明は、ペプチド化合物に関する。本明細書において使用される「ペプチド化合物」及び「ペプチドリンカー」という用語は、共有結合、好ましくはカルボキサミド結合によって結合したアミノ酸ビルディングブロック又はその類似物を少なくとも部分的に含む化合物を包含する。ビルディングブロックは、好ましくは、アミノカルボン酸(例えば、αアミノカルボン酸)又は他の種類のカルボン酸(例えば、β又はωアミノカルボン酸)から選択される。アミノ酸ビルディングブロックは、遺伝的にコード化されたL−αアミノカルボン酸及び/若しくはそれらのD−光学異性体から選択され得るか、並びに/又は非天然に存在するアミノ酸ビルディングブロックから選択され得る。ペプチド化合物の個々のビルディングブロックは、共有結合、好ましくは天然のアミド結合(「ペプチド結合」)連結又は他の共有結合(例えば、カルボキサミド、カルバメート、エステル、チオエステル、エーテル、チオエーテル、テトラゾール、チアゾール、レトロアミド及びチオアミド結合)によって結合している。 本発明の主題は、単一のアミノ酸ビルディングブロックが修飾されたペプチド化合物変異体でもある。特に、前記ビルディングブロック修飾は、単一のアミノ酸の置換、特に、ペプチドの機能性を変化させずに、アミノ酸が類似化学構造の別のアミノ酸に置換される保存的置換を含む。さらに、本発明によれば、単一のアミノ酸の修飾は、アミノ酸模倣物による単一のアミノ酸の置換も含み得る。従って、アミノ酸ビルディングブロックは、アミノ酸模倣物からも選択され得る。アミノ酸模倣物は、アミノ酸の一般的な化学構造と異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と似たように機能する化合物を指す。これらの非天然残基は、科学及び特許文献に十分に記載されている;天然アミノ酸残基の模倣物として有用ないくつかの例示的な非天然残基及び指針を以下に記載する。芳香族アミノ酸の模倣物は、例えば、D−又はL−ナフチルアラニン;D−又はL−フェニルグリシン;D−又はL−2−チエネイルアラニン(thieneylalanine);D−又はL−2,3−若しくは4−ピレネイルアラニン(pyreneylalanine);D−又はL−3−チエネイルアラニン;D−又はL−(2−ピラジニル)−アラニン;D−又はL−(3−ピラジニル)−アラニン;D−又はL−(2−ピラジニル)−アラニン、D−又はL−(4−イソプロピル)−フェニルグリシン;D−(トリフルオロメチル)−フェニルグリシン;D−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン;D−p−フルオロ−フェニルアラニン;D−又はL−p−ビフェニルフェニルアラニン;D−又はL−p−メトキシ−ビフェニル−フェニルアラニン;D−又はL−2−インドール(アルキル)アラニン;及びD−又はL−アルキルアラニンである。この文脈において、「アルキル」という用語は、置換若しくは非置換のメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソ−ブチル、sec−イソブチル又はイソ−ペンチルを意味する。非天然アミノ酸の芳香環としては、例えば、チアゾリル、チオフェニル、ピラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ナフチル、フラニル、ピロリル及びピリジル芳香環が挙げられる。 従って、上記に定義される本発明のペプチド化合物は、「模倣」及び「ペプチド模倣」型を含み得る。「模倣」及び「ペプチド模倣」という用語は、本発明のペプチド化合物と実質的に同じ構造及び/又は機能特性を有する合成化合物を指す。模倣物は、合成の非天然アミノ酸類似物から全体的になり得るか、又は部分的に天然のアミノ酸と部分的に非天然のアミノ酸類似物とのキメラ分子であり得る。また、模倣物は、天然アミノ酸保存的置換が模倣物の構造及び/又は活性も実質的に変化させない限り、任意の量のこのような置換を含み得る。 本発明の式I及び/又は式Iaのペプチド化合物の具体例は、又は(式中、アミノ酸残基は、上記に定義される通りである。)から選択されるアミノ酸配列を含む。好ましくは、アミノ酸残基は、L−アミノ酸残基である。 好ましい配列配列番号1及び配列番号2に関して、Qは、グルタミン側鎖、好ましくはL−グルタミンを有するアミノ酸残基であり、Nは、アスパラギン側鎖、好ましくはL−アスパラギンを有するアミノ酸残基であり、Cは、システイン側鎖を有するアミノ酸残基であり、Hは、ヒスチジン側鎖、好ましくはL−ヒスチジンを有するアミノ酸残基であり、Vは、バリン側鎖、好ましくはL−バリンを有するアミノ酸残基であり、Iは、イソロイシン側鎖、好ましくはL−イソロイシンを有するアミノ酸残基であり、Sは、セリン側鎖、好ましくはL−セリンを有するアミノ酸残基であり、Fは、フェニルアラニン側鎖、好ましくはL−フェニルアラニンを有するアミノ酸残基であり、Tは、スレオニン側鎖、好ましくはL−スレオニンを有するアミノ酸残基であり、D、G、E及びRは、一般式Iのペプチド化合物に関連して、上記に定義される通りである(すなわち、好ましくは、それぞれL−アスパラギン酸、グリシン、L−グルタミン酸及びL−アルギニンである)。 式I及び/又は式Iaのペプチド化合物のさらに好ましい例は、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列(式中、Qは、別の中性極性側鎖、例えばN、C、S、Y又はTを有するアミノ酸残基で置換されていてもよく;Nは、別の中性極性側鎖、例えばQ、C、S、Y又はTを有するアミノ酸残基で置換されていてもよく;Cは、別の中性極性側鎖、例えばN、T、Q、Y又はSを有するアミノ酸残基で置換されていてもよく;Hは、別の正電荷側鎖、例えばR又はKを有するアミノ酸残基で置換されていてもよく;Vは、別の中性非極性側鎖、例えばA、F、G、I、L、M、P又はWを有するアミノ酸残基で置換されていてもよく;Iは、別の中性非極性側鎖、例えばA、F、G、V、L、M、P又はWを有するアミノ酸残基で置換されていてもよく;Sは、別の中性極性側鎖、例えばN、C、Q、Y又はTを有するアミノ酸残基で置換されていてもよく;Fは、別の中性非極性側鎖、例えばA、V、G、I、L、M、P又はWを有するアミノ酸残基で置換されていてもよく;Tは、別の中性極性側鎖、例えばN、C、Q、Y又はSを有するアミノ酸残基で置換されていてもよく;Dは、トリペプチドDGE及びRGDのアミノ酸残基Dがアスパラギン酸側鎖、好ましくはL−アスパラギン酸を有するアミノ酸残基である条件下で、別の負電荷側鎖、例えばEを有するアミノ酸残基で置換されていてもよい。)を含む。 式I及び/又は式Iaのペプチド化合物のさらに好ましい例は、又はから選択されるアミノ酸残基を含む。 本発明の式IIのペプチド化合物の具体例は、又は(式中、アミノ酸残基は、上記に定義される通りである。)から選択されるアミノ酸配列を含む。好ましくは、アミノ酸残基は、L−アミノ酸残基である。 好ましい配列配列番号3及び配列番号4に関して、Qは、グルタミン側鎖、好ましくはL−グルタミンを有するアミノ酸残基であり、Nは、アスパラギン側鎖、好ましくはL−アスパラギンを有するアミノ酸残基であり、Cは、システイン側鎖、好ましくはL−システインを有するアミノ酸残基であり、Hは、ヒスチジン側鎖、好ましくはL−ヒスチジンを有するアミノ酸残基であり、Vは、バリン側鎖、好ましくはL−バリンを有するアミノ酸残基であり、D、G及びEは、一般式IIのペプチド化合物に関連して、上記に定義される通りである(すなわち、好ましくは、それぞれL−アスパラギン酸、グリシン及びL−グルタミン酸である)。 本発明の式IIIのペプチド化合物の具体例は、又は(式中、アミノ酸残基は、上記に定義される通りである。)から選択されるアミノ酸配列を含む。好ましくは、アミノ酸残基は、L−アミノ酸残基である。 好ましい配列配列番号5及び配列番号6に関して、Sは、セリン側鎖、好ましくはL−セリンを有するアミノ酸残基を表し、Hは、ヒスチジン側鎖、好ましくはL−ヒスチジンを有するアミノ酸残基を表し、Vは、バリン側鎖、好ましくはL−バリンを有するアミノ酸残基を表し、Fは、フェニルアラニン側鎖、好ましくはL−フェニルアラニンを有するアミノ酸残基を表し、Tは、スレオニン側鎖、好ましくはL−スレオニンを有するアミノ酸残基を表し、R、G及びDは、一般式IIIのペプチド化合物に関連して、上記に定義される通りである(すなわち、好ましくは、それぞれL−アルギニン、グリシン及びL−アスパラギン酸である)。 本発明のペプチド化合物は、直鎖状又は環状ペプチドであり得る。本発明の単量体ペプチド化合物は、最大50個のアミノ酸残基の長さ、好ましくは最大45個、30個、35個、20個又は15個のアミノ酸の長さを有し得る。特に、一般式Iのペプチド化合物は、好ましくは、少なくとも6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個又は20個のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも19個又は20個のアミノ酸残基の長さを有し得る。式Iaのペプチド化合物は、好ましくは、少なくとも11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19又は20個、好ましくは少なくとも16個、17個、18個、19個又は20個、非常に好ましくは少なくとも19個又は20個のアミノ酸残基の長さを有し得る。式IIのペプチド化合物は、少なくとも4個、5個、6個、7個、8個又は10個のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも5個、7個又は8個のアミノ酸残基の長さを有し得る。最後に、式IIIのペプチド化合物は、少なくとも7個、8個、10個又は12個のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも7個又は8個のアミノ酸残基の長さを有し得る。 本発明のさらに好ましい実施形態は、さらなる活性剤、好ましくはさらなる抗ウイルス活性剤と組み合わせた上記ペプチド化合物、例えば一般式I、Ia、II及び/又はIIIのペプチド化合物に関する。好ましくは、さらなる活性剤は、さらなる抗ウイルスペプチド化合物、すなわち、式I、Ia、II及び/又はIIIのさらなるペプチド化合物である。従って、本発明の好ましい実施形態は、式I、Ia、II及び/又はIIIのペプチド化合物のいずれか1つの組み合わせを含む。非常に好ましい実施形態では、本発明は、活性トリペプチドDGEを含む式IIのペプチド化合物と、活性トリペプチドRGDを含む式IIIのペプチド化合物との組み合わせに関する。このような組み合わせの具体例は、配列番号3及び/又は配列番号4のペプチド化合物と、配列番号5及び/又は配列番号6のペプチド化合物との組み合わせによって表される。 さらなる実施形態では、本発明のペプチド化合物は、消化管で活動するプロバイオティック微生物と組み合わせて使用され得る。特に、これらのプロバイオティック微生物は、消化管、特に腸に定着して、腸内細菌叢のバランスを改善、刺激及び安定化することによって、宿主に有益な影響を与える生菌である。プロバイオティック微生物は、細菌、酵母及び/又は桿菌、好ましくは細菌、より好ましくは乳酸菌から選択され得る。適切な乳酸菌の例としては、ラクトバチルス(例えば、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・パラカゼイ、ラクトバチルス・ラムノサス及びラクトバチルス・ロイテリ)、ビフィオバクテリアム、ラクトコッカス(例えば、ラクトコッカス・ラクティス)及びストレプトコッカスが挙げられる。 本発明の好ましい一実施形態によれば、式I、Ia、II及び/又はIIIのペプチド化合物は、ウマ科のラクトアドヘリン、特にウマ及びロバのラクトアドヘリンの天然に存在するアミノ酸配列部分に由来するペプチド化合物である。前記ウマ科のラクトアドヘリンは、生物学的物質、例えばウマ科の乳から単離され得る。天然に存在するウマ科のラクトアドヘリン配列の配列部分に基づいて、本発明の具体的な実施形態は、式(I)のペプチド化合物(式中、(a)Wは、(i)アミノ酸配列、式中、アミノ酸残基は、上記に定義される通りであり、好ましくはL−アミノ酸残基である。)(ii)それと少なくとも50%、特に75%の同一性を有するアミノ酸配列、又は(iii)少なくとも4個の隣接する(i)のアミノ酸を有するアミノ酸配列であり、(b’)Zは、(i)アミノ酸配列、(式中、アミノ酸残基は、上記に定義される通りであり、好ましくはL−アミノ酸残基である。)(ii)それと少なくとも50%、特に75%の同一性を有するアミノ酸配列、又は(iii)少なくとも2個、特に少なくとも4個の隣接する(i)のアミノ酸を有するアミノ酸配列あり、及び/又は(c’)Z’は、(i)アミノ酸配列、(式中、アミノ酸は、上記に定義される通りであり、好ましくはL−アミノ酸残基である。)(ii)それと少なくとも50%、特に75%の同一性を有するアミノ酸配列、又は(iii)少なくとも4個の隣接する(i)のアミノ酸を有するアミノ酸配列である。)に関する。 あるいは、本発明のペプチド化合物は、ペプチド合成(例えば、Fmoc/tBu化学により固相で行われるペプチド合成)によって得られ得る。さらに、あるいは、本発明のペプチド化合物は、特に、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8又は配列番号9のアミノ酸配列を含む本発明のペプチド化合物をコードする核酸分子でトランスフォーム又はトランスフェクションされた任意の適切な宿主(例えば、原核細胞又は真核細胞又は非ヒト生物)において、組み換え技術により製造され得る。前記核酸分子は、ベクターの構成要素又は任意の適切なビヒクルとして宿主に輸送され得る。 さらなる実施形態では、本発明は、複数の上記ペプチド化合物、例えば、式I、Ia、II及び/又はIIIのペプチド化合物を単位として含む多量体化合物であって、個々のペプチド化合物単位は、例えば、共有結合又は多官能性部分(例えば、二官能性アミノ酸又は三官能性アミノ酸などの二官能性部分又は三官能性部分)によって共有的に結合している、多量体化合物に関する。多量体化合物中の個々の単量体ペプチド単位は、同じでもよいし、異なっていてもよい。 例えば、本発明の多量体化合物は、ペプチド化合物、例えば式I、Ia、II及び/又はIIIのペプチド化合物の2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個又はそれ以上のコピーを含み得る。多量体化合物は、マトリックス、例えばポリペプチド、単糖、オリゴ糖若しくは多糖又は有機ポリマー、好ましくは直鎖状有機ポリマーに基づくマトリックス上で多量体化されたペプチド化合物を含み得る。例えば、マトリックスは、ポリ(N−アルキル(メタ)アクリルアミド)、ポリ(N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド)、ポリメラミン、デキストラン、シクロデキストリン、ポリエチレングリコール及び/又はポリビニルピロリドンから選択され得る。ペプチド化合物のマトリックスとのカップリングは、好ましくは、マトリックス上の反応基、例えばヒドロキシ基、アミノ基、チオール基又はカルボキシル基とのカップリングを可能にするホモ及び/又はヘテロ二官能性リンカーを使用して、ペプチド化合物のN末端及び/又はC末端を介して起こる。 本発明の多量体化合物は、直鎖状構造又は分枝状構造、特に樹枝状構造を有する。 さらなる実施形態では、多量体化合物は、(式中、PCは、上記に定義される式I、Ia、II又はIIIのペプチド化合物であり、J1は、共有結合又は二官能性リンカー、例えばプロピレングリコールなどのジアルコール、コハク酸などのジカルボン酸、エチレンジアミンなどのジアミン、アミノ酸、ヒドロキシカルボン酸、例えばヒドロキシアルカン酸又はジイソシアネートであり、mは、0又は正の整数であり、m’は、0又は1である。)(式中、PCは、上記に定義される式I、Ia、II又はIIIのペプチド化合物であり、J1’は、それぞれの場合独立して、少なくとも3個の官能基を有するリンカー、例えばリシン、オルニチン、ノルリシン、アミノアラニン、アスパラギン酸又はグルタミン酸などの三官能性アミノ酸であり、J2は、少なくとも2個の官能基を有するリンカーであり、n1及びn2は、それぞれの場合独立して、少なくとも2、好ましくは2、3又は4、より好ましくは2の整数である。)、(式中、PCは、上記に定義される式I、Ia、II又はIIIのペプチド化合物であり、J1’及びJ2’は、それぞれの場合独立して、少なくとも3個の官能基を有するリンカー、例えばリシン、オルニチン、ノルリシン、アミノアラニン、アスパラギン酸又はグルタミン酸などの三官能性アミノ酸であり、J3は、少なくとも2個の官能基を有するリンカーであり、n1、n2及びn3は、それぞれの場合独立して、少なくとも2、好ましくは2、3又は4、より好ましくは2の整数である。)から選択される。 多量体化合物(IVa)は、複数のペプチド化合物が共有結合及び/又はホモ若しくはヘテロ二官能性リンカーJ1を介して結合した直鎖状多量体化合物である。好ましくは、多量体化合物は、最大3個、より好ましくは最大4個、5個、6個、7個又は8個の式I、Ia、II及び/又はIIIのペプチド化合物単位を含む。非常に好ましい実施形態では、式(IVa)の直鎖状多量体化合物は、共有結合、特に天然のアミド結合(「ペプチド結合」)を介して結合した本発明のペプチド化合物単位を5個含む。五量体の直鎖状多量体化合物は、好ましくは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8若しくは配列番号9又はそれらの組み合わせのペプチド化合物単位を5個含む。従って、本発明のこの好ましい実施形態によれば、多量体化合物(IVa)は、構造PC−(J1−PC)3−J1−(PC)1(式中、PCは、配列番号1〜9、好ましくは配列番号1、2、7、8又は9から選択されるペプチド化合物であり、J1は、共有結合、好ましくはペプチド結合である。)を有する。 多量体化合物(IVb)及び(IVc)は、分枝状化合物(式中、個々のペプチド単位PCは、少なくとも3個の官能基を有するリンカーを介して結合している。)である。さらなる実施形態では、多量体化合物(IVb)は、4個のペプチド単位を含み、構造:を有する。 さらに好ましい実施形態では、多量体化合物(IVc)は、8個のペプチド単位PCを含み、構造:を有する。 多量体化合物(IVb)のリンカー部分J2、及び、多量体化合物(IVc)のリンカー部分J3は、好ましくは、3個の官能基を有するリンカー、好ましくは三官能性アミノ酸リンカー、最も好ましくはリシンであり得る。さらに好ましい実施形態では、リンカーJ2及びJ3は、α、β又はωアミノ酸残基から選択され得るさらなるアミノ酸残基、好ましくは1個、2個、3個又は4個のアミノ酸残基とC末端で結合している。非常に好ましい実施形態では、J2及び/又はJ3リンカーのC末端と結合しているさらなるアミノ酸残基は、βアミノ酸残基、最も好ましくはβアラニン残基である。 本発明の好ましい実施形態では、多量体化合物(IVb)は、構造又はを有する。 本発明による多量体ペプチド化合物の具体例は、上記単量体ペプチド化合物単位又はその組み合わせ、好ましくは配列番号1〜9に定義されるアミノ酸配列又はその組み合わせを含む。 本発明による多量体ペプチド化合物、特に多量体化合物(VI)の非常に好ましい例は、構造:(式中、β−Alaは、カルボキシレート基残基に由来するβ位にアミノ基がある天然に存在するβアラニンアミノ酸残基であり、ペプチド単量体化合物単位のシステイン残基は、場合により修飾された側鎖、例えばメチル化側鎖を有する。)によって表される。 本発明のさらに好ましい実施形態は、さらなる活性剤、特にさらなる抗ウイルス剤と組み合わせた上記多量体ペプチド化合物、特に式(IVa)、(IVb)及び/又は(IVc)の化合物に関する。好ましい例は、本発明のさらなる抗ウイルス単量体ペプチド化合物又は本発明のさらなる抗ウイルス多量体化合物との組み合わせである。さらに、多量体ペプチド化合物は、上記プロバイオティック微生物と組み合わせて使用され得る。 よりさらなる実施形態では、本発明の化合物、すなわち、単量体ペプチド化合物I、Ia、II及びIII、並びに、多量体化合物IVa、IVb及び/又はIVcは、特に、脂質、アミド、エステル、アシル及び/又はそれに結合した(例えば、N末端基、C末端基及び/又は側鎖基に結合した)アルキル部分から選択される少なくとも1つの修飾、を含む。好ましくは、修飾単量体又は多量体ペプチド化合物は、N末端及び/又はC末端修飾ペプチド化合物である。 従って、また、本発明は、少なくとも1つの修飾から得られる単量体又は多量体ペプチド化合物の誘導体、特に、アミド化、アセチル化、硫酸化、脂質化、リン酸化、グリコシル化、酸化又はポリエチレングリコール修飾された誘導体から選択されるペプチド誘導体に関する。特に好ましい修飾は、アセチル(例えば、アセチル基)のN末端への結合及び/又は遊離C末端のアミド化である。 具体的には、好ましい修飾単量体及び/又は多量体ペプチド化合物は、グルタミン側鎖、特に、保護L−グルタミンをN末端基に有する保護アミノ酸残基、を含む。この修飾は、グルタミン側鎖を有するN末端アミノ酸残基を含む本発明の化合物の安定性を高める。このような修飾の好ましい例は、N末端アミノ酸及び/又はカルボキシル側鎖基が、例えば、アシル(例えば、アセチル基)、アミノ基などによって保護されているグルタミン残基である。より好ましくは、グルタミンアミノ酸残基のN末端アミノ酸基は、アセチル化によって保護されている。具体例として、配列番号1、3、8及び9のペプチド化合物において、N末端のグルタミンアミノ酸残基は、アセチル化によって修飾され得る。 本発明のペプチド化合物のさらに好ましい修飾は、システイン側鎖、好ましくは保護L−システインを有するアミノ酸残基の側鎖への保護基の導入を含む。このような修飾の好ましい例は、メチル化によるシステイン側鎖の保護である。この修飾は、ペプチド化合物のジスルフィド結合形成及び凝集を防ぐ。具体例として、配列番号1、2、3、4、7、8及び9のペプチド化合物のシステインアミノ酸残基の側鎖は、メチル化によって修飾され得る。 本発明のさらなる実施形態は、一般的には、本発明のペプチド化合物を産生できる人工微生物に関する。好ましくは、微生物は、本発明のペプチド化合物をコードする核酸分子を含む発現ベクターでトランスフェクションされる。例えば、発現ベクターは、本発明のペプチド化合物を発現させるための構成的プロモーターを含み得る。あるいは、プロモーターは、特異的発現のみに有効(例えば、GIT特異的発現のみに好適)であるものが選択され得る。 特に、本発明のこの態様は、本発明のペプチド化合物の製造方法と同時に、本発明のペプチド化合物の投与及び送達方法に関する。特に、この方法は、ペプチド化合物を消化管(GIT)の粘膜表面に送達するのに有用であり得る。これは、好ましくは、長時間にわたってペプチド化合物をin vivo産生及び放出することを可能にし、それによって、本発明の化合物は、病原性ウイルス(特に、ロタウイルス)に対する抗ウイルス活性(特に、抗ロタウイルス活性)をin situで直接的に発揮し得る。 大量のペプチド化合物が合成及び分泌され得るので、微生物におけるペプチド化合物の発現は、効果的かつ費用効率の高い産生系を提供する。さらに、トランスフォームされた微生物は、最低限の取り扱い及び保管費用を必要とするので、広範囲の用途に好ましい。 他方、本発明のこの態様は、ペプチド化合物が病原性ウイルス、特にロタウイルスと直接的に闘い得る、ペプチド化合物の消化管(GIT)への効率的な送達システムも表す。また、本発明の本態様は、GITにおけるペプチド化合物の局所的なin vivo産生が、経口投与されたペプチドの胃における分解の問題を回避するという利点を有する。微生物は腸に残り、ペプチド化合物を一定に産生することを可能にする(すなわち、病原性ウイルス、特にロタウイルスに対するより長期的かつ持続的な保護を可能にする)。さらに、微生物自体は、GITに一時的に定着し、従って、腸内粘膜関門を安定化及び強化する能力を有し得る。 好ましくは、微生物は、プロバイオティック微生物であり得る。適切なプロバイオティック微生物の例としては、乳酸菌が挙げられる。より好ましくは、微生物は、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、ビフィオバクテリアム属又はストレプトコッカス属から選択される。ラクトバチルスの例としては、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・パラカゼイ、ラクトバチルス・ラムノサス及びラクトバチルス・ロイテリが挙げられる。ラクトコッカスの例は、ラクトコッカス・ラクティスである。 本発明の単量体及び/又は多量体ペプチド化合物は、薬剤として使用するためのものである。事実、本発明のペプチド化合物は、抗ウイルス活性を有し得る。特に、本発明のペプチド化合物は、インテグリン使用ウイルスに対する顕著な抗ウイルス活性を示す。好ましくは、本発明の抗ウイルスペプチド化合物は、標的細胞へのウイルスの付着及び/又は吸着を防ぐことによって、ウイルスが細胞に侵入する前に、ウイルスを不活性化し得る。従って、本発明の化合物は、ウイルス感染症(特に、インテグリンを細胞受容体として利用するウイルス(「インテグリン使用ウイルス」)によって引き起こされる感染症)の予防及び/又は処置のための薬剤として使用される。インテグリン使用ウイルスの例は、ロタウイルス、ヘルペスウイルス、コクサッキーウイルス、メタ肺炎ウイルス、西ナイルウイルス及び/又は口蹄疫ウイルス、特に、ロタウイルスである。従って、本発明の化合物は、上記ウイルス、好ましくはロタウイルスによって引き起こされる感染症の予防及び/又は処置のために使用される。 本発明のさらなる主題は、薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又はアジュバントとともに、少なくとも1つの上記に定義される化合物、例えば、上記に定義される式I、Ia、II若しくはIIIの単量体ペプチド化合物、又は、式IVa、IVb若しくはIVcの多量体ペプチド化合物、又は、それらの組み合わせを含む、医療用途のための組成物である。好ましくは、組成物は、1つ以上のさらなる上記活性剤を含み得る。医薬組成物を調製するために、本発明のペプチド化合物は合成あるいは得られ、必要に応じて又は所望により精製され、次いで、好ましくは凍結乾燥され、安定化される。次いで、ペプチドは、適切な濃度に調整され、場合により、他の薬学的に許容される薬剤と組み合わせられ得る。 ヒト又は獣医用薬剤における使用のために、組成物は、好ましくは、固体、液体又はゲル及びそれらの組み合わせから選択される薬学的剤形の形態である。好ましくは、医療用途のための組成物は、液体又は固体の形態(例えば、粉末状)で経口投与用である。本発明の組成物は、粉末状であることが好ましい。阻害 本発明のペプチドも本発明の組成物も、有利なことに、消化酵素分解、とくにトリプシン消化に影響を受けやすくないので、とくに経口投与に適している。本発明のペプチドは、消化酵素の存在下、とくにトリプシン存在下ですら、インビボにおける抗ウイルス活性を維持する。消化酵素トリプシンは、通常、アルギニン残基(R)のあとでペプチドやたんぱく質を切断する。しかしながら、本発明者らは、本発明のペプチドがトリプシン消化に影響を受けにくいことを立証することに成功した(実施例2及び4b)。 医薬剤形は、病原性インテグリンを利用したウイルスの存在に関連して、又は伴って、感染の治療と予防に効果的な、上に定義したような単量体又は多量体のペプチド化合物などの活性薬剤を一定量含む。活性薬剤の実際の量は、投与経路や治療する疾患の種類及び重症度によって、変えることができる。所望の効果を達成するために、ペプチド単量体又は多量体化合物は、一回又は分割投与として、例えば、少なくとも約0.05〜約5mg/kg体重/日、好ましくは約1mg/kg体重/日投与することができるが、他の投薬量でも有利な結果を提供し得る。 他の好ましい実施の形態では、本発明は、ダイエットサプリメント、とくに、上で定義した少なくとも一つの化合物、例えば、上に定義したような式I、Ia、II及びIIIのペプチド化合物、又は、式IVa、IVbもしくはIVcの多量体、あるいは、その組み合わせを含む、食品サプリメントとして使用するための組成物を提供する。ここで使用される「ダイエット/食品サプリメント」の用語は、ヒト及び動物が使用するために任意の食品に混合、溶解又は振りかけられる、補足するのに適し得る任意の食品サプリメント製品を包含する。とくに好ましい実施の形態では、食品サプリメントは粉末であり、飲料に溶解するか、固形食品に混合する必要がある。 ダイエット/食品サプリメントの形態で投与される組成物は、天然原料のため禁忌されないだろうし、消費者にたやすく受け入れられるだろう。該食品サプリメントは、子供、とくに2歳以下の子供、滋養中もしくは免疫不全の子供、又は、入院中やコミュニティケアを受けている子供だけでなく、支援セラピーをほとんど利用していない子供の、栄養摂取のための添加物として、とくに適している。このように、創意に富む化合物及び組成物のいずれも、子供及び/又は乳児に投与するのに適している。創意に富む製品の天然原料のおかげで、親子共々、より一層受け入れやすくなるだろう。 好ましくは、食品添加物として使用される組成物は、粉末状であり、とくに、粉ミルクなどの子供及び/又は乳児の食品添加物として、用いられる。粉末状は、取り扱いが容易で、貯蔵安定性が優れるだけでなく、応用範囲が広い、例えば、ダイエットサプリメントとして、任意の適した液体に溶解してもよいし、あるいは、任意の適した乾燥成分に混合してもよいなどの、数多くの利点に特徴づけられる。 実施例 実施例1:ロタウイルスの製造及びウイルスの検定 ロタウイルスを培養するために、イタリア、ブレシアの実験動物疾病研究所の細胞気質センターから入手した細胞株MA−104(サル胎児の腎臓細胞)を使用した。この細胞株を、5%の熱不活化(56℃で30分間)したウシ胎児血清(シグマ)を含むEAGLE最小必須培地(MEM)の中で、単層として培養し、37℃、5%CO2に保持した。 インビトロで感染分析するために、細胞株MA−104及び、アメリカ式菌株保存(ACTT VR−2018)から入手した、MA−104細胞に繁殖させるヒトロタウイルス株Wa(TCアダプト)を使用した。 ウイルス産生のために、8μg/mlのトリプシン(シグマ)を用い(ウイルスストック:トリプシン比1:1)、45分間37℃で、培地で10倍希薄して、ウイルスを予備活性化し、ついで、MA−104細胞の単層の上に、感染の多重度(MOI)が5pfu/細胞に等しくなるまで植菌した(100%定着)。37℃で60〜90分ののち、種菌を取り除き単層をPBSで洗い、0.5〜1μg/mlのトリプシンを含む血清を含まない培地の中で、37℃でインキュベートした。 完全な細胞変性効果(CPE)が観測されたとき(約2〜7日後)、3回、感染培養物を凍結及び解凍し、遠心分離し(30000xg、10分)、上清を−70℃で保存した。ウイルス力価を標準TCID50法で決定し、TCID50/mlとして表し、適切な変換をしてプラーク形成単位/ml(PFU/ml)として表した。 実施例2:本発明のペプチド化合物の抗ウイルス活性の免疫細胞化学による評価 分析を始めるために、細胞を96ウェルプレートに撒き、80%定着するやいなや、RGE−及び/又はDEG−含有ペプチド又はそれらの変異体の濃度を上げて、37℃でインキュベートして、1時間予備処理した。RGE又はDEGモチーフ含有ペプチドは、単独で、あるいは組み合わせて使用した。細胞を培地で洗浄し、ペプチドの存在下で、予備活性化ウイルス(5μg/mlトリプシン、30分間、37℃)で感染させた。1時間インキュベートしたのち、細胞を培地で洗い、0.5μg/mlのトリプシン及びペプチドを含む培地の中で、37℃で20時間インキュベートした。感染した細胞を、免疫ペルオキシダーゼ分析によって、ロタウイルスのカプシドたんぱく質VP6に固有のマウスモノクローナル抗体(アブカム)、及び、キット「ウルトラテックHRPストレプトアジビンビオチン検出システム」(ベックマンコールター)を用いて、可視化した。感染した細胞は、光学顕微鏡の下で観測してカウントし、感染率を、非処理の細胞で処理した場合と比較して、計算した。 ペプチドは、以下のものを使用した。1.本発明のペプチド化合物 −SEQ ID NO:5:S−H−R−G−D−V−F−T −SEQ ID NO:3:Q−N−D−G−E−C−H−V −SEQ ID NO:1:Q−N−D−G−E−C−H−V−I−D−D−S−H−R−G−D−V−F−T−Q2.変異ペプチド化合物 −pRGE:S−H−R−G−E−V−F−T(RGD−>RGE変異) −pAGE:Q−N−A−G−E−C−H−V(DGE−>AGE変異)3.ウシラクトアドヘリン配列から導かれたペプチド化合物 −Bo−RGD:S−H−R−G−D−V−F−I4.ヒトラクトアドヘリン配列から導かれたペプチド化合物 −Hu−RGD:E−V−R−G−D−V−F−P5.コントロールペプチド(グラハムら) −D−G−E−A 変異及び/又はコントロールペプチドと比較して、本発明のラクトアドヘリン誘導ペプチドの抗ロタウイルス活性を試験したいくつかの実験の中央値の結果を、つぎの表1に示す。 さらに、以下の表2〜5に、代表的な実験の結果を示す。とくに、本発明のペプチド化合物単独の抗ウイルス活性、及び、該ペプチド化合物の組み合わせの抗ウイルス活性を試験した。表2及び3は、それぞれ、RGD−モチーフ(SEQ ID NO:5)、及び、DGE−モチーフ(SEQ ID NO:3)を含むペプチド化合物の抗ウイルス活性を示している。表4は、該ペプチド化合物の組み合わせ(SEQ ID NO:5及びSEQ ID NO:3)の抗ウイルス活性を示している。表5は、RGD−及びDGE−モチーフの両方を含む本発明のペプチド化合物の結果を示している。 上の代表的な実験の結果を、さらに図3にまとめる。 さらに、上述の抗ロタウイルス活性試験を実施して、本発明のペプチド化合物、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8及びSEQ ID NO:9の抗ウイルス活性を試験し、表6に報告する。全てのペプチドが抗ウイルス活性を示す。さらに、RGD−モチーフ及びDGE−モチーフの両方が置換されている、ペプチド化合物SEQ ID NO:10を得た。とくに、DGE−モチーフはAGEトリプレットに置換され、RGD−モチーフはRGEトリプレットに置換されている(SEQ ID NO:10)。表6に示すように、該ペプチドは完全に抗ロタウイルス活性を失っている。最後に、発明者らは、SEQ ID NO:11のペプチドを合成した。SEQ ID NO:11では、式Iaにおけるアミノ酸残基X2(正に荷電した側鎖、好ましくは、ヒスチジン側鎖(H)を有するアミノ酸残基)は、アスパラギン酸側鎖(D)に置換されている。目的は、本発明のペプチドが、N末端側でアスパラギン酸残基(D)によって保護されていることがわかっているアルギニン残基(R)の存在によって、トリプシン消化に影響を受けにくいやすいかどうか、評価することであった。表6の結果は、SEQ ID NO:11のペプチドが、トリプシン分解の理論的な結合を有するにもかかわらず、抗ロタウイルス活性を保持していることを示している。−SEQ ID NO:7:NNDGECHVIDDSHRGDVFTQ−SEQ ID NO:8:QNDGECHVIDDSHRGDVFSQ−SEQ ID NO:9:QNDGECHVIDDSHRGDVFQT−SEQ ID NO:10:QNAGECHVIDDSHRGEVFTQ(DGE−>AGE変異、RGD−>RGE変異)−SEQ ID NO:11:QNDGECHVIDDSDRGDVFTQ実施例3RGD及びDGEモチーフを含む式(VII)のデンドリマーペプチド化合物の抗ウイルス活性の免疫細胞化学による評価式(VII)のデンドリマーペプチド: 分析を始めるために、細胞を96ウェルプレートに撒き、80%定着するやいなや、式(VII)のデンドリマーペプチドの濃度を上げて、37℃でインキュベートして、1時間予備処理した。細胞を培地で洗浄し、ペプチドの存在下で、予備活性化ウイルス(5μg/mlトリプシン、30分間、37℃)で感染させた。1時間インキュベートしたのち、細胞を培地で洗い、0.5μg/mlのトリプシンを含む培地の中で、37℃で20時間インキュベートした。感染した細胞を、免疫ペルオキシダーゼ分析によって、ロタウイルスのカプシドたんぱく質VP6に固有のマウスモノクローナル抗体(アブカム)、及び、キット「ウルトラテックHRPストレプトアジビンビオチン検出システム」(ベックマンコールター)を用いて、可視化した。感染した細胞は、光学顕微鏡の下で観測してカウントし、感染率を、非処理の細胞で処理した場合と比較して、計算した。式(VII)のデンドリマーペプチドは、3.6μMのIC50でロタウイルス感染を阻害した。 実施例4aMALDI−TOFマススペクトル法による合成ペプチドSEQ ID NO:1の評価、及び装置の検出限界(LDO) つぎのアミノ酸配列、QNDGECHVIDDSHRGDVFTQ、理論的分子量2270.96Daを有するペプチドSEQ ID NO:1について、実験を実施した。ペプチドSEQ ID NO:1を超純水に溶解し、最終濃度10mg/mlを得た。1:10〜1:10000の希釈溶液を得た。全ての濃度をMADI−TOF分析によって試験した。1:10、〜1:100、1:1000、1:10000の希釈溶液から、0.5μlの試料をMALDI標的プレートにスポットし、室温で乾燥させた。30%アセトニトリル、0.1%TFA(HCCAマトリックス溶液)に溶かしたα−シアノ−4−ヒドロキシ−ケイ皮酸0.5μlを、それぞれの試料に加えて、減圧下で乾燥させた。ブルカーウルトラフレックスII MADI−TOF/TOFマススペクトル装置(ブルカーダルトニクス)を用いて、反射及び陽イオンモードでスペクトルを得た。外部較正を、ブルカーダルトニクスの「ペプチド較正基準」を用いて実施した。図4に、4つの希釈溶液のMADI−TOFスペクトルを示す。1mg/ml、0.1mg/ml、0.01mg/mlの濃度では、1プロトンが付加されて、ペプチドSEQ ID NO:1のMw相当する2272Da付近に好ましいイオンシグナルをはっきりと示しているが(上から下へ)、一方、最も希釈された試料は、検出できるシグナルを持たなかった。 実施例4bSEQ ID NO:1ペプチドにおけるトリプシン活性の動態 SEQ ID NO:1ペプチドのトリプシンによる消化を評価するために、0.2μg/μlの置換されたブタトリプシン(プロメガ)溶液(25mM NH4HCO3)8μlを、10mg/mlのペプチド溶液150μlに添加した((25mM NH4HCO3)酵素:たんぱく質比1:100)。試料を37℃でインキュベートし、0.5μlを異なる消化時間、5分、15分、30分、60分、90分、120分で採取した。各試料を、MALDI標的プレートにスポットし、実施例4aにすでに記載したようにして、スペクトルを得た。図5に、MADI−TOF分析によって評価した経時変化実験を示す。図5に示すように、トリプシン消化は、合成ペプチドの完全性に影響を及ぼさなかった。2272Da付近のシグナルは、120分のインキュベートののちも、まだ存在した。 また、以下の項目の主題が、本発明によって構成される。 1.最大50個のアミノ酸残基の長さを有し、一般式(I):で表わされるアミノ酸配列を含むペプチド化合物、又は、その塩。(式中、Z、Z´及びWのそれぞれは、アミノ酸残基、特にα−アミノカルボン酸残基であり、nは、0〜12、特に1〜6、より具体的には1〜2の数であり、mは、0〜12、特に1〜10、より具体的には5〜8の数であり、rは、0〜20、特に1〜12、より具体的には1〜4の数であり、Dは、アスパラギン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−アスパラギン酸であり、Gは、グリシン側鎖を有するアミノ酸残基、Eは、グルタミン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−グルタミン酸であり、Rは、アルギニン側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−アルギニンであり、式(I)のペプチド化合物は、L−及び/又はD−アミノ酸残基を含んでもよく、好ましくは、L−アミノ酸残基を含む。) 2.アミノ酸配列が一般式(Ia):で表わされる項目1のペプチド化合物、又は、その塩。(式中、Y1、Y2及びY3は、独立して、中性極性側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、セリン(S)、アスパラギン(N)、システイン(C)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)又はスレオニン(T)の側鎖であり、Y4は、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、ヒスチジン(H)、アルギニン(R)又はリジン(K)の側鎖であり、Y5は、中性非極性の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、フェニルアラニン(F)、バリン(V)、アラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)の側鎖であり、Dは、アスパラギン酸の側鎖を有するアミノ酸残基であり、好ましくはL−アスパラギン酸であり、Gは、グリシン側鎖を有するアミノ酸残基であり、Eは、グルタミン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−グルタミン酸であり、n1、n4及びn5は、独立して0又は1であり、n2及びn3は、0又は1であるが、n2及びn3のうち一つは、1であり、X1及びX5は、独立して、中性極性側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、セリン(S)、アスパラギン(N)、システイン(C)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)又はスレオニン(T)の側鎖であり、X2は、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、ヒスチジン(H)、アルギニン(R)又はリジン(K)の側鎖であり、X3及びX4は、中性非極性の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、フェニルアラニン(F)、バリン(V)、アラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)の側鎖であり、Rは、アルギニン側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−アルギニンであり、Gは、グリシン側鎖を有するアミノ酸残基であり、Dは、アスパラギン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−アスパラギン酸である。m1は、0又は1であり、W´は、共有化学結合又は結合基であり、1〜10のアミノ酸残基、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3のアミノ酸残基を含むペプチド結合基であることが好ましく、式(Ia)のペプチド化合物は、L−及び/又はD−アミノ酸残基を含んでもよく、好ましくは、L−アミノ酸残基を含む。) 3.アミノ酸配列: Q−N−DGE−C−H−V−I−D−D−S−H−RGD−V−F−T−Q(SEQ ID NO:1)、N−DGE−C−H−V−I−D−D−S−H−RGD−V−F−T−Q(SEQ ID NO:2)、N−N−DGE−C−H−V−I−D−D−S−H−RGD−V−F−T−Q(SEQ ID NO:7)、Q−N−DGE−C−H−V−I−D−D−S−H−RGD−V−F−S−Q(SEQ ID NO:8)、又は、Q−N−DGE−C−H−V−I−D−D−S−H−RGD−V−F−Q−T(SEQ ID NO:9)を含む項目1又は2に記載のペプチド化合物。(式中、アミノ酸残基は項目1に記載のものであり、好ましくはL−アミノ酸残基である。)4.最大50個のアミノ酸残基の長さを有し、一般式(II):で表わされるアミノ酸配列を含むペプチド化合物、又は、その塩。(式中、Y1、Y2及びY3は、独立して、中性極性側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、セリン(S)、アスパラギン(N)、システイン(C)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)又はスレオニン(T)の側鎖であり、Y4は、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、ヒスチジン(H)、アルギニン(R)又はリジン(K)の側鎖であり、Y5は、中性非極性の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、フェニルアラニン(F)、バリン(V)、アラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)の側鎖であり、Dは、アスパラギン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−アスパラギン酸であり、Gは、グリシン側鎖を有するアミノ酸残基であり、Eは、グルタミン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−グルタミン酸であり、n1、n4及びn5は、独立して0又は1であり、n2及びn3は、0又は1であるが、n2及びn3のうち一つは、1であり、式(II)のペプチド化合物は、L−及び/又はD−アミノ酸残基を含んでもよく、好ましくは、L−アミノ酸残基を含む。) 5.アミノ酸配列:又は、を含む項目4に記載のペプチド化合物。(式中、アミノ酸残基は項目4に記載のものであり、好ましくはL−アミノ酸残基である。) 6.最大50個のアミノ酸残基の長さを有し、一般式(III):で表わされるアミノ酸配列を含むペプチド化合物、又は、その塩。(式中、X1及びX5は、独立して、中性極性側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、セリン(S)、アスパラギン(N)、システイン(C)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)又はスレオニン(T)の側鎖であり、X2は、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、ヒスチジン(H)、アルギニン(R)又はリジン(K)の側鎖であり、X3及びX4は、中性非極性の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、フェニルアラニン(F)、バリン(V)、アラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)の側鎖であり、Rは、アルギニン側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−アルギニンであり、Gは、グリシン側鎖を有するアミノ酸残基であり、Dは、アスパラギン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−アスパラギン酸であり、m1は、0又は1であり、式(III)のペプチド化合物は、L−及び/又はD−アミノ酸残基を含んでもよく、好ましくは、L−アミノ酸残基を含む。) 7.アミノ酸配列:又は、を含む項目6に記載のペプチド化合物。(式中、アミノ酸残基は項目6に記載のものであり、好ましくはL−アミノ酸残基である。) 8.さらなる活性薬剤、例えば、さらなる項目1〜7のいずれか1項に記載の抗ウイルスペプチド化合物と組み合わせた項目1〜7のいずれか1項に記載のペプチド化合物。 9.直鎖状又は環状ペプチドである項目1〜8のいずれか1項に記載のペプチド化合物。 10.項目1〜9のいずれか1項に記載のペプチド化合物。(式中、(i)式(I)のペプチド化合物は、少なくとも6、8、10、12、14、16、19又は20以上のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも19又は20のアミノ酸残基の長さを有し、(ii)式(Ia)のペプチド化合物は、少なくとも11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20以上のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも19又は20のアミノ酸残基の長さを有し、(iii)式(II)のペプチド化合物は、少なくとも4、6、7、8又は10以上のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも7又は8のアミノ酸残基の長さを有し、(iv)式(III)のペプチド化合物は、少なくとも7、8、10、12又は14以上のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも7又は8のアミノ酸残基の長さを有する。) 11.45、30、35、20又は15以下のアミノ酸残基の長さを有する項目1〜9のいずれか1項に記載のペプチド化合物。 12.ウマ科ラクトアドヘリン、特にウマ及びロバアクトアドヘリンの天然に生産されるアミノ酸配列部分である項目1〜11のいずれか1項に記載のペプチド化合物。 13.項目1〜12のいずれか1項に定義されるペプチド化合物の複数を構成単位として含む多量体化合物。 14.直鎖状又は枝分かれ、特に樹状の構造を有する項目13に記載の多量体化合物。 15.(式中、Pcは、項目1〜12のいずれかに定義されるペプチド化合物であり、J1は、共有結合又は二官能結合基、例えば、プロピレングリコールなどのジアルコール、コハク酸などのジカルボン酸、エチレンジアミンなどのジアミン、アミノ酸、ヒドロキシカルボン酸、又は、ジイソシアネートであり、mは0又は正の整数であり、m´は0又は1である)、(式中、Pcは、項目1〜12のいずれかに定義されるペプチド化合物であり、J1´は、それぞれの場合に独立して、少なくとも3の官能性を有する結合基、例えば、リジン、オルニチン、メチル基が一つ少ないリジン、アミノアラニン、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸などの三官能性アミノ酸であり、J2は、少なくとも2の官能性を有する結合基であり、n1及びn2は、それぞれの場合に独立して、少なくとも2、好ましくは2、3又は4、より好ましくは2の整数である)、並びに、(式中、Pcは、項目1〜12のいずれかに定義されるペプチド化合物であり、J1´及びJ2´は、それぞれの場合に独立して、少なくとも3の官能性を有する結合基、例えば、リジン、オルニチン、メチル基が一つ少ないリジン、アミノアラニン、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸などの三官能性アミノ酸であり、J3は、少なくとも2の官能性を有する結合基であり、n1、n2及びn3は、それぞれの場合に独立して、少なくとも2、好ましくは2、3又は4、より好ましくは2の整数である)から選択される項目13又は14の多量体化合物。 16.さらなる活性薬剤、例えば、さらなる項目1〜12のいずれか1項に記載の抗ウイルスペプチド化合物、又は、さらなる項目13〜15のいずれか1項に記載の多量体化合物と組み合わせた項目13〜15のいずれか1項に記載の多量体化合物。 17.例えば、N末端及び/又はC末端置換化合物などの置換された化合物である項目1〜16のいずれか1項に記載の化合物。 18.医薬品として使用するための項目1〜17のいずれか1項に記載の化合物。 19.ウイルス感染、好ましくはインテグリンを利用したウイルス感染の予防及び/又は治療のための医薬品として使用するための項目1〜17のいずれか1項に記載の化合物。 20.ロタウイルス、ヘルペスウイルス、コクサッキーウイルス、メタ肺炎ウイルス、西ナイルウイルス及び/又は口蹄疫ウイルス感染の予防及び/又は治療のための項目19の化合物。 21.項目1〜17の少なくとも1項に記載の化合物を、薬学的に許容される賦形剤、担体及び/又は希釈剤とともに含む医療用組成物。 22.経口投与のための項目21の組成物。 23.粉末状である項目21及び22の組成物。24.ウイルス感染、好ましくはインテグリンを利用したウイルス感染の予防及び/又は治療のための項目21〜23のいずれか1項に記載の組成物。 25.子供及び/又は乳幼児に投与するための項目21〜23のいずれか1項に記載の組成物。 26.食品添加物、特に、粉ミルクなどの子供及び/又は乳幼児の食料品のための添加物として使用するための項目1〜17のいずれか1項に記載の化合物。 最大50個のアミノ酸残基の長さを有し、一般式(I):で表わされるアミノ酸配列を含むペプチド化合物、又は、その塩。(式中、Z、Z´及びWのそれぞれは、アミノ酸残基、特にα−アミノカルボン酸残基であり、nは、0〜12、特に1〜6、より具体的には1〜2の数であり、mは、0〜12、特に1〜10、より具体的には5〜8の数であり、rは、0〜20、特に1〜12、より具体的には1〜4の数であり、Dは、アスパラギン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−アスパラギン酸であり、Gは、グリシン側鎖を有するアミノ酸残基、Eは、グルタミン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−グルタミン酸であり、Rは、アルギニン側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−アルギニンであり、式(I)のペプチド化合物は、L−及び/又はD−アミノ酸残基を含んでもよく、好ましくは、L−アミノ酸残基を含む。) アミノ酸配列が一般式(Ia):で表わされる請求項1のペプチド化合物、又は、その塩。(式中、Y1、Y2及びY3は、独立して、中性極性側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、セリン(S)、アスパラギン(N)、システイン(C)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)又はスレオニン(T)の側鎖であり、Y4は、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、ヒスチジン(H)、アルギニン(R)又はリジン(K)の側鎖であり、Y5は、中性非極性の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、フェニルアラニン(F)、バリン(V)、アラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)の側鎖であり、Dは、アスパラギン酸の側鎖を有するアミノ酸残基であり、好ましくはL−アスパラギン酸であり、Gは、グリシン側鎖を有するアミノ酸残基であり、Eは、グルタミン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−グルタミン酸であり、n1、n4及びn5は、独立して0又は1であり、n2及びn3は、0又は1であるが、n2及びn3のうち一つは、1であり、X1及びX5は、独立して、中性極性側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、セリン(S)、アスパラギン(N)、システイン(C)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)又はスレオニン(T)の側鎖であり、X2は、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、ヒスチジン(H)、アルギニン(R)又はリジン(K)の側鎖であり、X3及びX4は、中性非極性の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、フェニルアラニン(F)、バリン(V)、アラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)の側鎖であり、Rは、アルギニン側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−アルギニンであり、Gは、グリシン側鎖を有するアミノ酸残基であり、Dは、アスパラギン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−アスパラギン酸であり、m1は、0又は1であり、W´は、共有化学結合又は結合基であり、1〜10のアミノ酸残基、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3のアミノ酸残基を含むペプチド結合基であることが好ましく、式(Ia)のペプチド化合物は、L−及び/又はD−アミノ酸残基を含んでもよく、好ましくは、L−アミノ酸残基を含む。) アミノ酸配列: Q−N−DGE−C−H−V−I−D−D−S−H−RGD−V−F−T−Q(SEQ ID NO:1)、N−DGE−C−H−V−I−D−D−S−H−RGD−V−F−T−Q(SEQ ID NO:2)、N−N−DGE−C−H−V−I−D−D−S−H−RGD−V−F−T−Q(SEQ ID NO:7)、Q−N−DGE−C−H−V−I−D−D−S−H−RGD−V−F−S−Q(SEQ ID NO:8)、又は、Q−N−DGE−C−H−V−I−D−D−S−H−RGD−V−F−Q−T(SEQ ID NO:9)を含む請求項1に記載のペプチド化合物。(式中、アミノ酸残基は請求項1に記載のものであり、好ましくはL−アミノ酸残基である。) 最大50個のアミノ酸残基の長さを有し、一般式(II):で表わされるアミノ酸配列を含むペプチド化合物、又は、その塩。(式中、Y1、Y2及びY3は、独立して、中性極性側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、セリン(S)、アスパラギン(N)、システイン(C)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)又はスレオニン(T)の側鎖であり、Y4は、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、ヒスチジン(H)、アルギニン(R)又はリジン(K)の側鎖であり、Y5は、中性非極性の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、フェニルアラニン(F)、バリン(V)、アラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)の側鎖であり、Dは、アスパラギン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−アスパラギン酸であり、Gは、グリシン側鎖を有するアミノ酸残基であり、Eは、グルタミン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−グルタミン酸であり、n1、n4及びn5は、独立して0又は1であり、n2及びn3は、0又は1であるが、n2及びn3のうち一つは、1であり、式(II)のペプチド化合物は、L−及び/又はD−アミノ酸残基を含んでもよく、好ましくは、L−アミノ酸残基を含む。) アミノ酸配列:又は、を含む請求項4に記載のペプチド化合物。(式中、アミノ酸残基は請求項4に記載のものであり、好ましくはL−アミノ酸残基である。) 最大50個のアミノ酸残基の長さを有し、一般式(III):で表わされるアミノ酸配列を含むペプチド化合物、又は、その塩。(式中、X1及びX5は、独立して、中性極性側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、セリン(S)、アスパラギン(N)、システイン(C)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)又はスレオニン(T)の側鎖であり、X2は、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、ヒスチジン(H)、アルギニン(R)又はリジン(K)の側鎖であり、X3及びX4は、中性非極性の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくは、フェニルアラニン(F)、バリン(V)、アラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)の側鎖であり、Rは、アルギニン側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−アルギニンであり、Gは、グリシン側鎖を有するアミノ酸残基であり、Dは、アスパラギン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−アスパラギン酸であり、m1は、0又は1であり、式(III)のペプチド化合物は、L−及び/又はD−アミノ酸残基を含んでもよく、好ましくは、L−アミノ酸残基を含む。) アミノ酸配列:又は、を含む請求項6のペプチド化合物。(式中、アミノ酸残基は請求項6に記載のものであり、好ましくはL−アミノ酸残基である。) さらなる活性薬剤、例えば、さらなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗ウイルスペプチド化合物と組み合わせた請求項1〜7のいずれか1項に記載のペプチド化合物。 請求項1〜8のいずれか1項に記載のペプチド化合物。(式中、(i)式(I)のペプチド化合物は、少なくとも6、8、10、12、14、16、19又は20以上のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも19又は20のアミノ酸残基の長さを有し、(ii)式(Ia)のペプチド化合物は、少なくとも11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20以上のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも19又は20のアミノ酸残基の長さを有し、(iii)式(II)のペプチド化合物は、少なくとも4、6、7、8又は10以上のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも7又は8のアミノ酸残基の長さを有し、(iv)式(III)のペプチド化合物は、少なくとも7、8、10、12又は14以上のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも7又は8のアミノ酸残基の長さを有する。) 請求項1〜9のいずれかに定義されるペプチド化合物の複数を構成単位として含み、好ましくは、直鎖状又は枝分かれ、特に樹状の構造を有する多量体化合物。(式中、Pcは、請求項1〜9のいずれかに定義されるペプチド化合物であり、J1は、共有結合又は二官能結合基、例えば、プロピレングリコールなどのジアルコール、コハク酸などのジカルボン酸、エチレンジアミンなどのジアミン、アミノ酸、ヒドロキシカルボン酸、又は、ジイソシアネートであり、mは0又は正の整数であり、m´は0又は1である)、(式中、Pcは、請求項1〜9のいずれかに定義されるペプチド化合物であり、J1´は、それぞれの場合に独立して、少なくとも3の官能性を有する結合基、例えば、リジン、オルニチン、メチル基が一つ少ないリジン、アミノアラニン、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸などの三官能性アミノ酸であり、J2は、少なくとも2の官能性を有する結合基であり、n1及びn2は、それぞれの場合に独立して、少なくとも2、好ましくは2、3又は4、より好ましくは2の整数である)、並びに、(式中、Pcは、請求項1〜9のいずれかに定義されるペプチド化合物であり、J1´及びJ2´は、それぞれの場合に独立して、少なくとも3の官能性を有する結合基、例えば、リジン、オルニチン、メチル基が一つ少ないリジン、アミノアラニン、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸などの三官能性アミノ酸であり、J3は、少なくとも2の官能性を有する結合基であり、n1、n2及びn3は、それぞれの場合に独立して、少なくとも2、好ましくは2、3又は4、より好ましくは2の整数である)から選択される請求項10に記載の多量体化合物。 さらなる活性薬剤、例えば、さらなる請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗ウイルスペプチド化合物、又は、さらなる請求項10又は11に定義される多量体化合物と組み合わせた請求項10又は11に記載の多量体化合物。 医薬品、好ましくは、ウイルス感染、特にインテグリンを利用したウイルス感染、例えば、ロタウイルス、ヘルペスウイルス、コクサッキーウイルス、メタ肺炎ウイルス、西ナイルウイルス及び/又は口蹄疫ウイルス感染、特にロタウイルス感染の予防及び/又は治療のための医薬品として使用するための請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。 請求項1〜12の少なくとも1項に記載の化合物を、薬学的に許容される賦形剤、担体及び/又は希釈剤とともに含む医療用組成物。 経口投与のための、特に粉末状である請求項14に記載の組成物。 食品添加物、特に、粉ミルクなどの子供及び/又は乳幼児の食料品のための添加物として使用するための請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。 本発明は、特にインテグリンを利用したウイルスに対して、なかでもロタウイルスに対して、抗ウイルス活性を有する単量体及び多量体ペプチド化合物に関する。さらに、本発明は、該ペプチド化合物を含む、医療用又は食品添加物用の組成物に関する。【選択図】なし 20130308A16333全文3 最大50個のアミノ酸の長さを有し、抗ウイルス活性を有し、一般式(I):で表わされるアミノ酸配列を含むペプチド化合物又はその塩であって、式中、Z、Z´及びWのそれぞれは、アミノ酸残基、具体的にはα−アミノカルボン酸残基であり、nは、0〜12、具体的には1〜6、より具体的には1〜2の数であり、mは、0〜12、具体的には1〜10、より具体的には5〜8の数であり、rは、0〜20、具体的には1〜12、より具体的には1〜4の数であり、Dは、アスパラギン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−アスパラギン酸であり、Gは、グリシンの側鎖を有するアミノ酸残基であり、Eは、グルタミン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−グルタミン酸であり、Rは、アルギニンの側鎖を有するアミノ酸残基、具体的にはL−アルギニンであり、且つ、式(I)のペプチド化合物は、L−及び/又はD−アミノ酸残基を含んでもよく、好ましくは、L−アミノ酸残基を含む、ペプチド化合物又はその塩。 前記アミノ酸配列が一般式(Ia):で表わされるペプチド化合物又はその塩であって、式中、Y1、Y2及びY3は、独立して、中性極性側鎖、好ましくは、セリン(S)、アスパラギン(N)、システイン(C)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)又はスレオニン(T)の側鎖を有するアミノ酸残基であり、Y4は、正に荷電した側鎖、好ましくは、ヒスチジン(H)、アルギニン(R)又はリジン(K)の側鎖を有するアミノ酸残基であり、Y5は、中性非極性の側鎖、好ましくは、フェニルアラニン(F)、バリン(V)、アラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)の側鎖を有するアミノ酸残基であり、Dは、アスパラギン酸の側鎖を有するアミノ酸残基であり、好ましくはL−アスパラギン酸であり、Gは、グリシンの側鎖を有するアミノ酸残基であり、Eは、グルタミン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−グルタミン酸であり、n1、n4及びn5は、独立して0又は1であり、n2及びn3は、0又は1であるが、n2及びn3のうち少なくとも一つは、1であり、X1及びX5は、独立して、中性極性側鎖、好ましくは、セリン(S)、アスパラギン(N)、システイン(C)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)又はスレオニン(T)の側鎖を有するアミノ酸残基であり、X2は、正に荷電した側鎖、好ましくは、ヒスチジン(H)、アルギニン(R)又はリジン(K)の側鎖を有するアミノ酸残基であり、X3及びX4は、中性非極性の側鎖、好ましくは、フェニルアラニン(F)、バリン(V)、アラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)の側鎖を有するアミノ酸残基であり、Rは、アルギニンの側鎖を有するアミノ酸残基、具体的にはL−アルギニンであり、Gは、グリシンの側鎖を有するアミノ酸残基であり、Dは、アスパラギン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−アスパラギン酸であり、m1は、0又は1であり、且つ、W´は、共有化学結合又は結合基であり、1〜10のアミノ酸残基、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3のアミノ酸残基を含むペプチド結合基であることが好ましく、式(Ia)のペプチド化合物は、L−及び/又はD−アミノ酸残基を含んでもよく、好ましくは、L−アミノ酸残基を含む、請求項1に記載のペプチド化合物又はその塩。 アミノ酸配列: Q−N−DGE−C−H−V−I−D−D−S−H−RGD−V−F−T−Q(SEQ ID NO:1)、N−DGE−C−H−V−I−D−D−S−H−RGD−V−F−T−Q(SEQ ID NO:2)、N−N−DGE−C−H−V−I−D−D−S−H−RGD−V−F−T−Q(SEQ ID NO:7)、Q−N−DGE−C−H−V−I−D−D−S−H−RGD−V−F−S−Q(SEQ ID NO:8)、又は、Q−N−DGE−C−H−V−I−D−D−S−H−RGD−V−F−Q−T(SEQ ID NO:9)を含むペプチド化合物であって、式中、アミノ酸残基は請求項1に記載のものであり、好ましくはL−アミノ酸残基である、請求項1に記載のペプチド化合物。 最大50個のアミノ酸の長さを有し、一般式(II):で表わされるアミノ酸配列を含むペプチド化合物又はその塩であって、式中、Y1、Y2及びY3は、独立して、中性極性側鎖、好ましくは、セリン(S)、アスパラギン(N)、システイン(C)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)又はスレオニン(T)の側鎖を有するアミノ酸残基であり、Y4は、正に荷電した側鎖、好ましくは、ヒスチジン(H)、アルギニン(R)又はリジン(K)の側鎖を有するアミノ酸残基であり、Y5は、中性非極性の側鎖、好ましくは、フェニルアラニン(F)、バリン(V)、アラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)の側鎖を有するアミノ酸残基であり、Dは、アスパラギン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−アスパラギン酸であり、Gは、グリシンの側鎖を有するアミノ酸残基であり、Eは、グルタミン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−グルタミン酸であり、n1、n4及びn5は、独立して0又は1であり、n2及びn3は、0又は1であるが、n2及びn3のうち少なくとも一つは、1であり、且つ、式(II)のペプチド化合物は、L−及び/又はD−アミノ酸残基を含んでもよく、好ましくは、L−アミノ酸残基を含む、ペプチド化合物又はその塩。 アミノ酸配列:又は、を含むペプチド化合物であって、式中、アミノ酸残基は請求項4に記載のものであり、好ましくはL−アミノ酸残基である、請求項4に記載のペプチド化合物。 最大50個のアミノ酸の長さを有し、一般式(III):で表わされるアミノ酸配列を含むペプチド化合物又はその塩であって、式中、X1及びX5は、独立して、中性極性側鎖、好ましくは、セリン(S)、アスパラギン(N)、システイン(C)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)又はスレオニン(T)の側鎖を有するアミノ酸残基であり、X2は、正に荷電した側鎖、好ましくは、ヒスチジン(H)、アルギニン(R)又はリジン(K)の側鎖を有するアミノ酸残基であり、X3及びX4は、中性非極性の側鎖、好ましくは、フェニルアラニン(F)、バリン(V)、アラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)の側鎖を有するアミノ酸残基であり、 Rは、アルギニンの側鎖を有するアミノ酸残基、具体的にはL−アルギニンであり、Gは、グリシンの側鎖を有するアミノ酸残基であり、Dは、アスパラギン酸の側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはL−アスパラギン酸であり、m1は、0又は1であり、且つ、式(III)のペプチド化合物は、L−及び/又はD−アミノ酸残基を含んでもよく、好ましくは、L−アミノ酸残基を含む、ペプチド化合物又はその塩。 アミノ酸配列:又は、を含むペプチド化合物であって、式中、アミノ酸残基は請求項6に記載のものであり、好ましくはL−アミノ酸残基である、請求項6に記載のペプチド化合物。 さらなる活性薬剤、例えば、さらなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗ウイルスペプチド化合物と組み合わせた請求項1〜7のいずれか1項に記載のペプチド化合物。(i)式(I)のペプチド化合物は、少なくとも6、8、10、12、14、16、19又は20以上のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも19又は20のアミノ酸残基の長さを有し、(ii)式(Ia)のペプチド化合物は、少なくとも11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20以上のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも19又は20のアミノ酸残基の長さを有し、(iii)式(II)のペプチド化合物は、少なくとも4、6、7、8又は10以上のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも7又は8のアミノ酸残基の長さを有し、また、(iv)式(III)のペプチド化合物は、少なくとも7、8、10、12又は14以上のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも7又は8のアミノ酸残基の長さを有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のペプチド化合物。 請求項1〜9のいずれかに定義されるペプチド化合物の複数を構成単位として含み、好ましくは、直鎖状又は枝分かれ、具体的には樹状の構造を有する多量体化合物。(式中、Pcは、請求項1〜9のいずれかに定義されるペプチド化合物であり、J1は、共有結合又は二官能結合基、例えば、プロピレングリコールなどのジアルコール、コハク酸などのジカルボン酸、エチレンジアミンなどのジアミン、アミノ酸、ヒドロキシカルボン酸、又は、ジイソシアネートであり、mは0又は正の整数であり、m´は0又は1である。)、(式中、Pcは、請求項1〜9のいずれかに定義されるペプチド化合物であり、J1´は、それぞれの場合に独立して、少なくとも3の官能性を有する結合基、例えば、リジン、オルニチン、メチル基が一つ少ないリジン、アミノアラニン、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸などの三官能性アミノ酸であり、J2は、少なくとも2の官能性を有する結合基であり、n1及びn2は、それぞれの場合に独立して、少なくとも2、好ましくは2、3又は4、より好ましくは2の整数である。)、及び、(式中、Pcは、請求項1〜9のいずれかに定義されるペプチド化合物であり、J1´及びJ2´は、それぞれの場合に独立して、少なくとも3の官能性を有する結合基、例えば、リジン、オルニチン、メチル基が一つ少ないリジン、アミノアラニン、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸などの三官能性アミノ酸であり、J3は、少なくとも2の官能性を有する結合基であり、n1、n2及びn3は、それぞれの場合に独立して、少なくとも2、好ましくは2、3又は4、より好ましくは2の整数である。)から選択される請求項10に記載の多量体化合物。 さらなる活性薬剤、例えば、さらなる請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗ウイルスペプチド化合物、又は、さらなる請求項10又は11に定義される抗ウイルス多量体化合物と組み合わせた請求項10又は11に記載の多量体化合物。 医薬品、好ましくは、ウイルス感染、具体的にはインテグリンを利用したウイルス感染、例えば、ロタウイルス、ヘルペスウイルス、コクサッキーウイルス、メタ肺炎ウイルス、西ナイルウイルス及び/又は口蹄疫ウイルス感染、具体的にはロタウイルス感染の予防及び/又は治療のための医薬品として使用するための請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。 請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1種類を、薬学的に許容される賦形剤、担体及び/又は希釈剤とともに含む医療用組成物。 経口投与のための、具体的には粉末状である請求項14に記載の組成物。 食品添加物、具体的には、例えば粉ミルクなどの子供及び/又は乳幼児の食料品のための添加物としての、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物の使用。 抗ウイルス治療のための請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。 前記抗ウイルス治療が、インテグリンを利用するウイルス、好ましくはロタウイルス、ヘルペスウイルス、コクサッキーウイルス、メタ肺炎ウイルス、西ナイルウイルス及び/又は口蹄疫ウイルス、具体的には、ロタウイルスに対するものである、請求項17に記載の化合物。