タイトル: | 公表特許公報(A)_口腔粘膜を介してアレルギーを減感作するための方法、物品及びキット |
出願番号: | 2013508078 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 39/35,A61K 39/36,A61K 9/00,A61P 37/08,A61K 9/06,A61K 9/68,A61K 9/12,A61K 9/08,A61K 9/14,A61K 47/36 |
フランソワ,セドリック JP 2013527846 公表特許公報(A) 20130704 2013508078 20110502 口腔粘膜を介してアレルギーを減感作するための方法、物品及びキット アロヴェイト・エルエルシー 513073430 小野 新次郎 100140109 小林 泰 100075270 富田 博行 100096013 星野 修 100092967 梶田 剛 100129458 フランソワ,セドリック US 61/329,719 20100430 A61K 39/35 20060101AFI20130607BHJP A61K 39/36 20060101ALI20130607BHJP A61K 9/00 20060101ALI20130607BHJP A61P 37/08 20060101ALI20130607BHJP A61K 9/06 20060101ALI20130607BHJP A61K 9/68 20060101ALI20130607BHJP A61K 9/12 20060101ALI20130607BHJP A61K 9/08 20060101ALI20130607BHJP A61K 9/14 20060101ALI20130607BHJP A61K 47/36 20060101ALI20130607BHJP JPA61K39/35A61K39/36A61K9/00A61P37/08A61K9/06A61K9/68A61K9/12A61K9/08A61K9/14A61K47/36 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW US2011034731 20110502 WO2011137420 20111103 34 20121218 1.テフロン 4C076 4C085 4C076AA06 4C076AA09 4C076AA12 4C076AA24 4C076AA29 4C076AA99 4C076BB22 4C076CC07 4C076EE38A 4C076FF68 4C085BB03 4C085BB04 4C085EE01 4C085GG10 本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2010年4月30日に出願の米国仮特許出願第61/329,719号の優先権を主張する。 本発明は、口腔粘膜領域、例えば樹状細胞の肥満細胞に対する比率が高い口腔粘膜領域を標的とした、特に前庭粘膜を標的とした、アレルギーに対する免疫療法に関する。いくつかの側面で本発明は、例えば、舌下免疫療法の際の安全性プロファイルが高く、接触時間や効果が高い送達物品と剤形に関する。 慢性のアレルギー性過敏症疾患は、遺伝的な感受性、幼少期の重要な時期に適正な免疫系を獲得できなかったこと、その後原因アレルゲンに繰り返し曝されたことの組み合わせが原因で発症する。患者はアレルゲンに対する過免疫反応、すなわち抗原提示細胞、Th細胞、肥満細胞などのエフェクター細胞を基盤とし、通常はIgEが介在するサイトカインの生成によって、臨床的には接触部位でのアレルギー性炎症として顕在化する反応を示す。欧米先進国でのIgE介在性アレルギー性疾患の発生頻度は急上昇しており、近年米国では、総人口の約20%がアレルギー性疾患に苦しんでいると予測されている。生産性の低下や生活の質の低下に見られるような相当な損失に加えて、アナフィラキシー反応や重症な喘息反応は、実際に生命を脅かす可能性がある。 免疫系の過剰なアレルギー反応の臨床症状は、しばしば人生のかなり早い段階で始まる。医学研究者により「アトピー症候群」と呼ばれる症状が複数の患者で確認された。これは、複数の一親等及び二親等間で反映される強い遺伝的素因を含み、「アレルギー性三徴」、すなわち湿疹、花粉症及び喘息の、早い時期での臨床的発症を伴う。急性免疫系反応は例えば食物アレルギーとして現れ、この集団では他の異常な免疫反応もまた、非常に一般的である。アトピーの表現型には遺伝的素因が関与しているが、環境もまた、発現に対する決定的な役割とは言えないまでも、重要な役割を果たしていることも明かである。 治療法の中核をなしているのは、アレルギー原因論の「衛生仮説」である。この説によると、免疫系が発達する臨界期での過度に清潔な環境が、成熟の阻害、アレルゲンに対する過敏症、IgEと最終的にはサイトカインの過剰生産、そしてアレルギーの臨床症状を誘導する。出生時のヒトの胎児は、妊娠期のアーチファクトによるTh2優位に偏った免疫系をもつ。一般的な環境では、この偏りは約3ヶ月〜6ヶ月後にTh1優位に切り替わる。適切なTh1/Th2バランスにより環境アレルゲンに対する免疫寛容を生じる能力が得られる。アレルギーの現代的理論は、アレルギーはTh2に偏った不均衡が異常に持続していることを反映しているというものであり、免疫学者達はそのため、Th2反応をTh1反応に移行させるための方法による長期治療に焦点を当ててきた。アレルギー性過敏症が確立された患者の治療を目的とした治療法では、臨床医は、Th1反応を誘導させるためのアレルゲンの曝露を行っている。 免疫系の過剰なアレルギー症状を患っている患者に対する現在の治療としては、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン阻害薬やコルチコステロイドなどの投薬、及びアレルギーに対する免疫療法(AIP)が挙げられる。アレルギー誘発性の免疫療法は20世紀の初頭から知られており、アレルゲン特異的な臨床症状を示している患者での、アレルゲン特異的な寛容の誘導を目的としている。一般にSCITと呼ばれる皮下免疫療法が半世紀以上にわたり最適治療であった。SCITは、原因アレルゲンの曝露に対して患者がこれまでにアレルギー症状を示し、加えてアレルゲンに対する不適当なIgE反応の証拠がある場合に適応である。SCITがTh2からTh1に偏った所望の免疫反応の転移を誘導し、かつ、Th2反応を下方制御するT(制御因子)もまた誘導することが確認されている。SCITが症状、例えば、花粉やブタクサアレルギー、昆虫毒アレルギー、及び喘息に続発するアレルギー性鼻炎を有意に軽減することが示されている。しかしながら欠点としては、高価であること、不便であること、エピネフリンの投与が必要となり、致命的になる可能性のあるアレルギー反応を誘導する可能性があること、及び医療機器が必要であることや、アナフィラキシーを避けるために熟練者によって投与する必要があることが挙げられる。 より最近では、舌下免疫療法(SLIT)、すなわちSCITの維持的補助療法の一部分として進化してきた治療が十分に研究され、臨床的に興味をもたれるようになってきた。SLITはより安価でより簡便な治療法となる可能性があり、全身反応が起こる機会が少ないため安全性が高く、かつ、近年の複数の大規模研究でその効果が確認され、基礎となる理論モデルが立証されている。SLITの一般的な効果は、哺乳類でのアレルギー誘発性寛容の発症には、口腔粘膜が特に刺激を受けており、かつ、口腔粘膜がこれを達成する機能をもつ特殊な細胞を含んでいるという観察に基づいている。抗原提示細胞(APC)は免疫反応の開始因子であり、環境と接する組織の表面に存在している。APCはアレルゲンを捕捉し、T細胞にアレルゲンを提示する。次にT細胞は、認識および肥満細胞を含むエフェクター細胞による処理のためにアレルゲンを流入領域リンパ節の基部に輸送する。肥満細胞は、循環しないエフェクター細胞を主に含む組織であり、IgEなどの最終的な炎症性反応の原因である媒介物質を放出する。APCの中でも、特殊なランゲルハンス細胞を含む樹状細胞が、アレルゲンとT細胞との相互作用を介した、アレルゲンに対する寛容の誘導物質として最も重要であると考えられている。 口はアレルゲンとなる可能性のある物質を摂取する主要な開口部であり、口腔粘膜に存在する樹状細胞が、ヒトでの高い経口免疫寛容の発達に機能していると考えられている。口腔粘膜における樹状細胞、具体的にはランゲルハンス細胞が分布していることと経口寛容が大きく進展することは、非侵襲性治療に通常伴われる明らかな長所や利点と共に、標的アレルゲン免疫療法の代替部位として口腔粘膜を研究するための刺激となった。 SLITは通常、液滴やトローチ、又は舌下で数分間保持しその後嚥下できるような錠剤の剤形で投与される。最適な投与計画は特定の標的アレルゲン、患者の年齢、及び軽減目的の異常反応の強度に依存する。SLITはSCITと同様にT細胞とB細胞の反応に影響を与えると考えられているが、その効果はより限定的だと考えられている。効果が組織表面への曝露時間に高度に依存していることが、重大な欠点であると考えられる。一方、最も一般的に用いられる剤形は口腔から最終的な消化へと迅速に排出されることを主題とするものである。さらに、曝露が持続するように設計された剤形、例えば舌下に保持される遅延溶解型トローチは舌下浮腫の発症と関連があり、これは舌下口腔粘膜の腺に肥満細胞が存在することに起因する可能性が最も高い。 しかしながら近年、口腔粘膜の他の領域での樹状細胞と肥満細胞の分布特性が、安全で有効な経口免疫療法により適している可能性があることが発見された。(Allam et al. Allergy 2008: 63: 720-727を参照のこと。その開示全体は、本参照により本明細書に組み込まれる)。Allamによると、前庭粘膜ではランゲルハンス細胞(特殊な樹状細胞)の密度が最も高く、かつ、肥満細胞の密度が頬、口蓋、舌、舌下、及び歯肉に比べて比較的低い。本発明者らの知る限りでは、口腔粘膜での樹状細胞と肥満細胞の分布特性を活用するように設計された免疫療法はない。 当該分野では、経口治療の利点を保持し、局所的な安全性に関する懸念を軽減し、かつ、現在の好ましい舌下送達領域を上回る効果をもつ、非侵襲性の経口アレルギー免疫療法に対する需要がある。 従って当該発明は、アレルゲンを、樹状細胞の肥満細胞に対する比が望ましい口腔粘膜内の領域に送達するのを最大にする方法と物品を提供する。具体的には、本発明の特定の投与方法と送達方法は、舌下粘膜以外の領域を標的とし、特定の態様は特に、前庭口腔粘膜を標的とする。本発明はさらに、アレルギー誘発性組成物と前庭組織或いは他の標的組織が接触している期間を最大にするように設計した方法と送達のための態様を提供する。本明細書で提供する剤形と送達用物品は、樹状細胞/肥満細胞の分布特性が最適な口腔粘膜の領域への曝露時間が比較的長くなるようにする。 本発明の一態様は、対象によって前記対象の口腔内に挿入され、かつ、口腔の前庭粘膜の表面に固定して適合(fixedly conform to)しうる軟質多孔性パウチを提供する。前記パウチは徐放放出用に製剤化された組成物を含み、前記組成物は少なくとも1種のアレルゲンを含む。特定の態様では、前記パウチを、組成物を受け入れて収容し、固定するのに適した空の軟質パウチとして、臨床医や消費者に提供してもよい。 本発明のさらなる態様では、1種以上のアレルゲンに対する感受性を低下させ、対象のアレルギー症状を軽減する方法を提供する。前記方法は、そのアレルギーに関連がある1種以上のアレルゲンを、樹状細胞の肥満細胞に対する比率が比較的高い口腔粘膜表面に持続して曝露する工程を含み、特定の方法では、標的とする口腔粘膜表面は実質的に、対象の口腔の前庭領域に位置する。特定の態様では、アレルギー誘発性活性を本発明の軟質パウチ中に、或いは歯磨き粉、練り歯磨き剤(dental cream)、洗口剤又は口腔用スプレー、ゲル、口内用ストリップなどの歯科衛生用品中に加えてもよい。これら全ての剤形は、樹状細胞の数が比較的多い口腔粘膜の領域、具体的には前庭口腔粘膜に、アレルギー誘発性活性を長時間曝すのに有利である。この方法では、排泄のためのリンパ節に付随する肥満細胞の密度が高い部分に近い口腔粘膜の領域に、長時間接触させることを避ける。 いくつかの態様では、歯磨き粉、練り歯磨き剤、洗口剤、又は口腔用スプレー組成物は、免疫寛容を誘導すると同時に口内の健康を増進する。前記組成物は、a)歯磨き粉、練り歯磨き剤、洗口剤又は口腔用スプレー用の基剤と、b)天然型又はアレルゲンの抽出物として提供される少なくとも1種のアレルゲンを含む。この送達系を用いたアレルゲンに対する免疫寛容の獲得を最適化するのに適した投与計画は、日常的に使用している送達系を反映する。 パウチに関しては、アレルギー誘発性活性が唾液の作用によってこのパウチから放出され、全活性成分の放出が長時間にわたって、例えば睡眠中に起こるように考えられている。 別の態様では、特定の環境アレルゲンに対する対象のアレルギー性反応を軽減させるための個別の方法を提供する。この方法は、アレルギー性反応に関連があるアレルゲンを同定する工程、同定したアレルゲンの抽出物と毒性のない有機増量剤を混合する工程、この混合物を軟質多孔性パウチに充填する工程含み、この充填済みパウチは、対象によって対象の口腔中に挿入されるのに適しており、かつ、パウチを挿入して前庭粘膜の表面に固着して適合するように、口腔の前庭粘膜の表面に固定して適合することができる。 キットも考案された。一態様でこのキットは、本発明の組成物を含む複数の軟質多孔性パウチと、少なくとも1種のアレルゲンに対して対象を減感作させるのに有効な投与計画を含む説明書を含む。他のキットは、複数の空の軟質多孔性パウチと、一般的な環境アレルゲンの抽出物を入れた一連の容器、一定量の毒性のない有機増量剤と、抽出物と材料を混合し、軟質多孔性パウチに充填する方法についての説明書を提供する。これらのキットを、消費者に直接販売してもよく、また、特定のアレルギー傷害、例えば草アレルギー、ペットアレルギー、イエダニアレルギーなど、又はその組み合わせ用に梱包してもよい。 例えば、特定の地域との関連に基づいてキットを設計してもよいことが考えられる。 全ての参考文献(例えば、書籍、論文、特許、特許出願、カタログ、データベースなどの印刷された出版物)は、参照により本明細書に組み込まれる。矛盾や不一致が生じた場合には、それに対するいかなる補正によって修正された状態の本明細書が優先するものとする。 アレルギー性舌下免疫療法(SLIT)は、皮下免疫療法(SCIT)の代替として使用され始めてから比較的短期間の間に、治療面及び安全性で良い評価を得てきたが、近年、口腔粘膜の他の領域がより優れた免疫原性と安全特性をもつ可能性が発見された。 具体的には、ボン大学(University of Bonn)の研究者らが最近、頬、歯肉、前庭、舌、及び舌下を含む口腔粘膜領域の細胞分布に関する比較試験を実施し、前庭ではランゲルハンス細胞(特殊な樹状細胞)の密度が最も高く、肥満細胞のレベルが比較的低いことを報告した(Allam et al.、要約、前記)。舌下粘膜そのものは肥満細胞を僅かに含むが、それらはその領域の腺に局在し、望ましくない局所的な副作用、すなわち、特に舌下組織にアレルゲンを長時間曝すことが必要なSLITの投薬を受けている対象の一部が経験する、痒み、持続した変色及び舌下浮腫の原因であると考えられている。 本発明は、SLITで一般的に見られる、舌下粘膜への曝露を最大にするよう特に設計された剤形と送達系よりも、口腔粘膜での樹状(ランゲルハンス)細胞と肥満細胞の分布特性がより好ましい口腔粘膜組織にアレルゲンが分布するように設計された剤形と送達系を提供する。 本発明の一態様は、軟質多孔性パウチに関する。このパウチは対象の口腔中に対象によって挿入されるのに適しており、かつ、口腔の前庭粘膜の表面に固着させ適合させることができる。このパウチは徐放放出用に製剤化された組成物を含み、この組成物は少なくとも1種のアレルゲンを含む(当然のことながら、このパウチは随意、別の人物によって対象の口腔中に挿入される)。 本発明の任意の側面のいくつかの態様では、組成物は薬剤によって栄養価を高めた組成物である。薬剤によって栄養価を高めた組成物は、ハーブ系サプリメント又は栄養補助食品に一般的な成分を1種以上含んでもよい。いくつかの態様では、薬剤によって栄養価を高めた組成物は、ビタミン、鉱物、ハーブ又はタバコ以外の他の植物(又はその成分、抽出物、又は代謝産物)、アミノ酸、脂肪酸、又はこれらのいかなる組み合わせを含む。いくつかの態様では、薬剤によって栄養価を高めた組成物は、食品(例えば、ヒト対象などが栄養目的で食料として消費するのに適した植物性又は動物性物質)から単離した1種以上の成分を含む。一般的に食品とは、通常消費するために獲得され、栄養目的及び/又は味覚目的で一般的なヒト対象によって消費される物質である(例えば、通常は消費されないが、異常な状態、例えば飢饉や習慣的に消費される食品が限られている他の状況などでは消費される可能性のある物質とは区別される)。本発明の任意の側面のいくつかの態様では、本発明の組成物は、1以上の国又は領域、例えば、その組成物を最終消費者に提供する、販売する、及び/又は使用する国又は領域の法及び/又は規制に則った医薬組成物そのものであるか、又はそれらを含む。この医薬組成物を、そのような法及び/又は規制に従って、製造し、試験し、品質を管理し、及び/又は表示してもよい。いくつかの態様では、本発明の医薬組成物は、処方箋なしで販売される(店頭で)。いくつかの態様では、医薬組成物は処方箋に沿って提供される。 組成物を包含するのに適した軟質パウチは当該分野で、具体的にはかみたばことの関連で知られている。説明するための実例は、米国特許出願第20100018540号「SMOKELESS TOBACCO PRODUCTS AND PROCESSES(無煙タバコの製造及び過程)」、米国特許出願第20070031539号「Personal caffeine delivery pouch(個人用カフェイン送達パウチ)」、米国特許出願第20080152695号「ORAL/BUCCAL TRANSMUCOSAL DELIVERY METHODS FOR ELECTROLYTE COMPOSITIONS INCLUDING XYLITOL(キシリトール含有電解組成物のための口内/頬経粘膜送達法)」、米国特許出願第20080302682号「POUCH FOR TOBACCO OR TOBACCO SUBSTITUTE(タバコ又はタバコ代替え品用パウチ)」に開示されており、それらの開示全体は、この参照により本明細書に組み込まれる。 いくつかの態様では、この組成物はアレルゲンに加えて、1種以上の生理学的に許容可能な物質、例えば増量剤や、その中にアレルゲンを含ませるための、或いはアレルゲンと混ぜ合わせるためのマトリックスとなる物質を含む。「生理学的に許容可能な物質」としては、哺乳類対象、例えばヒトに、一定量を局所的に投与した場合に、副作用又は有害反応を起こさない物質(例えば、担体、希釈剤、賦形剤)が挙げられる。多数のそのような物質については、Remingtonの「The Science and Practice of Pharmacy(薬学の科学と実務)by University of the Sciences in Philadelphia (editor), Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed. (2005)」とそれより前の版、及び当業者に知られている他の参考文献で考察されている。いくつかの側面では、重合体マトリックスはアレルゲンと物理的に関わっている。例えば、アレルゲンを重合体マトリックスで封入、包埋、或いはカプセル化してもよい。マトリックスは、半固形又は粘性材料を含む可能性のある肉眼的な構造であってもよく、及び/又は複数の粒子を含んでいてもよい(ナノ粒子、微粒子)。マトリックスは拡散又は、マトリックス或いは増量剤の少なくとも一部分を破壊又は侵食した結果、アレルゲンを放出することができる。いくつかの態様では、増量剤やマトリックスの少なくとも一部分が時間経過に伴って溶解又は崩壊し、その結果、1種以上のアレルゲンが放出される。いくつかの態様では、増量剤やマトリックスは、唾液中の酵素による開裂に反応する生理学的に許容可能な賦形剤を含む。いくつかの態様では、賦形剤は重合体である。いくつかの態様では、その重合体は非タンパク質重合体、例えば多糖である。いくつかの態様では、この賦形剤は1種以上の食品に天然に含まれる物質であるか、米国食品医薬品局によって、通常安全であると定義されている(GRAS)物質である。いくつかの態様では、増量剤やマトリックスは、消化酵素に耐性をもつ、可溶性或いは不溶性の植物繊維(例えば、食品となる植物由来の)を含む。例えば、アラビノキシラン、セルロースなどの非デンプン性多糖や、消化耐性デキストリン、イヌリン、及びオリゴ糖などの様々な他の植物成分が挙げられる。 徐放放出製剤を規則に則って、例えば、比較的短時間で減感作を達成するのに十分な曝露を保障するように検討した。いくつかの態様では、アレルゲンへの曝露の少なくとも一部の期間を延長することで、そうしなかった場合よりも、組成物の使用後より短い日数、週数又は月数で、減感作が起こり得る。唾液環境中で徐放させるための製剤技術は当該分野で知られている。いくつかの態様では、徐放製剤は少なくとも5分間、例えば、5〜15分間、15〜30分間、30〜60分間、60〜120分間、2〜4時間、4〜8時間、8〜12時間など、アレルゲンを放出する。特定の態様では、この徐放製剤は、1種以上のアレルゲンを組み入れたデンプンマトリックスを含み、前記マトリックスは唾液中で溶解することで、1種以上のアレルゲンを唾液中に放出することができる。当業者は、曝露時間の間中、所望される持続的なアレルギー誘発性材料の浸出を提供する製剤成分を選択することができる。 この軟質多孔性パウチは、かみたばこ製品の容器として知られているパウチと同様の、使い捨ての単回使用の製品として提供してもよい。対象が使用目的に用いた後パウチは捨てられる。特定の態様では、パウチは、本発明の一定の用量の組成物を受け入れて収容し、固定するのに適した、空の軟質多孔性パウチとして提供してもよい。他の特定の態様では、軟質多孔性パウチを唾液中で溶解する材料から製造することができる。これらの態様では、完全に溶解した時点で、全用量が送達されるように考えられている。 いくつかの態様では、本発明の軟質多孔性パウチの内容物には、アレルゲンに加えて、少なくとも1種の口臭消臭剤又は香料が含まれる。いくつかの態様では、パウチの使用は、口臭の清潔感、満足感、及び/又は心地よい味の感知に寄与する。特定の態様では、本発明のパウチを使用することで、食欲が減退する可能性がある。 本発明のアレルゲンとしては、測定可能な免疫反応の引き金となる、あらゆる病因が含まれ得る。例えば、アレルゲンとしては、アレルゲンに曝露された患者の少なくとも一部で(例えば、アトピー患者の少なくとも一部で)、測定可能なIgEの生産の引き金となるあらゆる病因を挙げることができる。多くの態様では、アレルゲンには、アレルゲンに曝露された患者の少なくとも何人かで(例えば、アトピー患者の少なくとも一部で)、アレルギー反応(I型過敏反応)の引き金となる病因が含まれる。本発明のいくつかの態様では、アレルゲンは風媒のアレルゲンである。対象がそのようなアレルゲンに曝露される主要な経路は一般に、吸入を介した経路である。本発明のいくつかの態様では、アレルゲンは、主に対象の皮膚にアレルゲンが接触することを曝露経路とするアレルゲンである。本発明のいくつかの態様では、アレルゲンは、主に対象がアレルゲンを摂取することを曝露経路とするアレルゲンである。本発明のいくつかの態様では、アレルゲンは、主に注入によって対象が曝露されるアレルゲンである。 本発明のアレルゲンの例としては、植物、動物、或いは真菌由来のアレルゲンが挙げられる。植物アレルゲンとしては、花粉、樹液、葉及び植物毒が挙げられ、真菌アレルゲンの例としては、糸状菌、すなわちアスペルギルス(Aspergillus)などによって生産されるポリペプチドがある。動物アレルゲンには、昆虫によって生産されるポリペプチド、イエダニや哺乳類、具体的にはネコ、の糞アレルゲン、及び動物のケラチン状鱗屑が含まれる。特定の例としては、ブタクサの花粉、イエダニとイエダニの排泄物、動物の鱗屑及びカビが挙げられる。研究者らは、ブタクサの花粉とイエダニの組み合わせが、様々なアレルゲンに対する減感作を可能にする、「普遍的なアレルゲン」と同様にみなせることを見出してきた。アレルゲンの他の例としては、食物アレルゲン、様々な昆虫毒、及び多数の工業用が化学物質や医薬品(例えばペニシリン、セファロスポリン、癌化学療法薬など)が挙げられる。一般的な食品アレルゲン源としては、落花生、堅果樹、卵、牛乳、甲殻類(例えば、エビやカニ)、魚、小麦、大豆及びそれらから派生したものがある。 通常、花粉、粉塵、鱗屑、糸状菌、食品などのアレルゲンに含まれる特定のアレルギー誘発分子(例えば特定のタンパク質)がアレルギー反応を引き起こす原因であることを当業者は分かっている。一般に、特定のアレルギー誘発分子(例えば特定のタンパク質)とそれを含む材料の両方が「アレルゲン」と呼ばれ、本明細書でもその慣習に従う。従って、「アレルゲン」についての言及は、天然の形状のアレルゲン、すなわち花粉、粉塵、鱗屑、糸状菌、食品や毒などや、そのような天然の形態のアレルゲンからの抽出物、及びアレルギー誘発分子(例えば、特定のタンパク質)、すなわち少なくとも部分的に精製されたか、或いは実質的に精製されたもの、又は天然資源から単離されたもの、又は例えば、組換えDNA技術によって生産されたものを包含する。用語「タンパク質」及び「ポリペプチド」は本明細書では同じ意味で用いられる。当然のことながら、タンパク質にはグリコシル化、リン酸化、アセチル化などの修飾を施すことができ、また、タンパク質は一本鎖アミノ酸であっても複数の鎖を含んでいてもよい。 アレルゲンは、天然に生じるアレルゲンの変形型であってもよい。例えば、アレルゲンを、例えばそのアレルギー誘発性が低下するように、化学的に修飾することができる。そのような修飾されたアレルゲンを「アレルゴイド(変性アレルゲン)」と呼んでもよい。アレルゴイドは例えば、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒドで処理されたものや、カルバミル化したアレルゲンを含んでいてもよい。それらは重合体形態であっても或いは単量体形態であってもよい。 多くのアレルゲンは、複数の別個のアレルギー誘発性タンパク質を含んでいる。多数の特定のアレルギー誘発性タンパク質が、それらが含まれている天然型のアレルゲンから単離され、及び/又はそのようなタンパク質のコードしているcDNAが単離され、その配列が解析されてきた。多数のアレルゲンタンパク質のアミノ酸配列が利用可能である。アレルゲンは、「主要」アレルゲンと「小規模」アレルゲンと呼ばれる場合がある。いくつかの態様では、そのタンパク質を含む天然型のアレルゲンに対して感受性をもつ患者の内、IgE反応性の有病率が50%を越える場合にそのタンパク質は主要アレルゲンだと見なされ、他のアレルゲンは「小規模」アレルゲンと見なされる。いくつかの態様では、アレルゲンは、そのタンパク質が含まれる天然型のアレルゲンに対して感受性をもつ患者の内、IgE反応性の有病率が5%を越えるタンパク質である。動物、植物又は真菌由来のアレルゲンタンパク質は一般に、世界保健機構と国際免疫学会連合(International Union of Immunological Societies)の連携の下(WHO/IUIS)、WHO及びIUISのアレルゲン命名法委員会によって開発された、規則的な命名法によって命名される。(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Lockey, RF and Ledford, DK (eds.)「Allergens and Allergen Immunotherapy(アレルゲンとアレルゲン免疫療法)」4th ed. 2008. Informa Healthcare, New Yorkに記載の、例えばChapman MD. Allergen Nomenclature(アレルゲンの命名法)Chapter 3 (pp. 47-58)を参照のこと。この命名法では、属名の最初の3文字の次に、種名の最初の1文字、次に数字が続く。例えば、Phl p 5は、Phleum pretense(オオアワガエリ)の花粉の主要アレルゲンである。WHO/IUISのアレルゲン命名法委員会は、認可され、公式に認められている多数のアレルゲンを含む、アレルゲンのデータベース(WHO/IUIS Allergen Database)を保有している。http://www.allergen.orgとしてウェブサイト上で接続することができるこのデータベースでは、アレルゲンの名称とアレルゲンの原因(一般名又は学名)で検索することができる。WHO/IUIS命名法では、単一の種由来で、分子量が相同で、同じ生体機能をもち、アミノ酸配列の相同性が67%を上回るアレルゲンをイソアレルゲンと定義している(Chapman MD、前記)。当然のことながら、天然には、多数のアレルゲンに複数のイソ型(アミノ酸配列が異なる変異体)が見られる。イソアレルゲンとイソ型は、アレルゲン名に4つの数詞を足したもので表される。最初の2つの数字はイソアレルゲン間の区別を表し、残りの2つの数字はイソ型の区別を表す。本明細書では、そのような2つ或いは4つの数詞は通常記載しないが、当然のことながら、アレルゲンの様々なイソアレルゲンとイソ型が当該分野では知られており、かつ、当該発明の様々な側面の態様で使用するアレルゲンの範囲に含まれる。 当業者は、特に、植物、動物、又は真菌由来の多数のアレルゲンタンパク質のアミノ酸配列、並びにそのようなアレルゲンをコードしている核酸の配列を、公開されている情報から容易に入手することができる。例えば、WHO/IUISアレルゲンデータベースは多数のアレルゲンタンパク質についてのUniProt登録番号と、それらをコードしている核酸のGenbank登録番号を提供している。SDAP(アレルギー誘発性タンパク質の構造のデータベース)は、ウェブサーバー(http://fermi.utmb.edu/SDAPで接続可能な、テキサス大学医学部(University of Texas Medical Branch)のウェブサイト)であり、利用者は特に、最も一般的なタンパク質の配列と構造のデータベース(SwissProt、PIR、NCBI、PDB)由来の、アレルゲン(例えば配列情報)についての情報を検索することができる。GenBankなどの全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.govで接続可能)は、多数のアレルゲンタンパク質のアミノ酸配列とそれらをコードしている核酸に関する情報を提供している。本明細書では、様々な目的のアレルゲンのUniProt登録番号(登録番号)を、説明する目的で提供する。上述のデータベースは、参照により本明細書に組み込まれ、例えば、アレルゲン名、登録番号、及び配列が参照により本明細書に組み込まれる。当業者は、他のアレルゲンの配列を容易に同定することができる。上述したように、これら多数のアレルゲンのイソアレルゲンとイソ型が存在することを当業者は分かっている。患者の中に、特定の種の特定のタンパク質をコードしている核酸の1以上のヌクレオチドの変異が、天然の対立遺伝子変異として存在し得ることも当業者は分かっている。遺伝情報の縮重の結果、多数のこれらの変異では、アミノ酸配列の変化は起こらない。また、成熟型では見られない部分を1以上含む前駆タンパク質として、アレルゲンタンパク質を合成してもよいことも当業者は分かっている。成熟したアレルゲンタンパク質は、前駆タンパク質の1以上の部分を除去するように、細胞内或いは細胞外で処理されていてもよい。例えば、シグナルペプチドが除去されていてもよく、又はポリペプチド鎖が開裂されて、任意に前駆タンパク質の一部分を除去しながら、2本以上の鎖を形成してもよい。 植物の花粉は世界の多くの地域で大気によるアレルギーの主要な原因となっている。本発明のいくつかの態様では、アレルゲンは草の花粉を含む。草は、本明細書で使用する場合、イネ科(Poaceae、時に「イネ科植物」とされる)、イグサ科(Juncaceae)及びカヤツリグサ科(Cyperaceae)の植物を含む。草は世界の多くの地域にわたって広く分布しており、異なる地域では別の種が異なる重要性をもつ。欧州及び/又は米国の少なくともいくつかの地域で共通した草の種には、例えば、Dactylis glomerata(カモガヤ)、Poa pratensis(ナガハグサ)、Lolium perenne(ライグラス)、Anthoxantum odoratum(ハルガヤ)、Phleum pratense(オオアワガエリ)、Festuca eliator(ヒロハノウシノケグサ)、Agrostis alba(コヌカグサ)、及びCynodon dactylon(ギョウギシバ)がある。草アレルゲンとしては、例えば、Poa a 1(UniProt登録番号Q9ZP03)及びPoa p 5(UniProt登録番号Q9FPR0)がある。本発明のいくつかの態様では、アレルゲンはカモガヤ、イチゴツナギ、ドクムギ、ハルガヤ、アワガエリ、ウシノケグサ、ヌカボ、又はギョウギシバ属の草、例えば、上述した種のいずれか由来である。例えば、アレルゲンには、Poa a、Poa p、又はPhl pタンパク質が含まれ得る。 本発明のいくつかの態様では、アレルゲンは、ヒノキ科の高木又は低木の花粉(又は抽出物若しくはその構成要素)である。ヒノキ(イトスギ)科には、一般名に単語「スギ」が含まれる、多数の種が含まれる。いくつかの態様では、アレルゲンは、ヒノキ亜科に含まれる種由来、例えばヒノキ又はハイネズ(「ネズミサシ」)属の植物の花粉である。いくつかの態様では、アレルゲンは、一般に杉又は日本の杉と呼ばれる、スギ(ヒノキ科、スギ亜科)の花粉である。日本のスギ花粉は日本での花粉症の主因である。2002年には、日本の人口のおよそ15%が日本スギの花粉症を患っており(Okuda M., Ann Allergy Asthma Immunol, 91: 288-96, 2003)、2008年の有病率は26.5%まで上昇していると予想されることが報告された(参照により本明細書に組み込まれる、Okubo, K., Allergol Int., 57(3):265-75 2008を参照のこと)。スギ花粉症を患っている患者の多くは、スギ花粉の後に飛散するヒノキ(Chamaecyparis obtusa)(日本のイトスギ、ヒノキ)の花粉にもまた感作されている。これらの患者では、スギ花粉症の症状の後に、ヒノキ花粉症の症状が生じることが頻繁にあり、そのため、症状が約4ヶ月間にわたる(例えば、2月から5月)。いくつかの態様では、本発明は、日本スギ及び/又は日本ヒノキの花粉症を患っている患者を減感作させるために使用する組成物と方法を提供する。Cry j 1(UniProt登録番号P18632)及びCry j 2(UniProt登録番号P43212)がスギ花粉の主要なアレルゲンである。考察するためには例えば、Yasueda H, et al., J Allergy Clin Immunol., 71(1 Pt 1):77-86, 1983; Sakaguchi M, et al. Allergy, 45:309-312, 1990を参照のこと。これらのアレルゲンタンパク質をコードしているcDNAがクローニングされ、配列解析されている。例えば、Sone T, et al., Biochem Biophys Res Commun. 199:619-625, 1994; Komiyama N, et al. Biochem Biophys Res Commun. 201:1021-1028, 1994; Namba M, et al., FEBS Lett. 353:124-128, 1994; 及びPCT/US1992/005661(国際公開第1993001213号- ALLERGENIC PROTEINS AND PEPTIDES FROM JAPANESE CEDAR POLLEN(日本スギ花粉由来のアレルギー誘発性タンパク質及びペプチド))を参照のこと。Cry j 3が同定されており、配列が利用可能である(例えば、Futamura N, et al. Biosci Biotechnol Biochem. 66(11):2495-500, 2002; Futamura N, et al. Tree Physiol. 26:51-62, 2006を参照のこと)。その他のアレルゲン、例えば、Cry j 4、Cry j 5、Cry j 6もまた同定されている(Matsumura D, et al., Biol Pharm Bull. 29(6):1162-6; 2006)。いくつかの態様では、アレルゲンはCry jタンパク質、例えば、Cry j 1、Cry j 2、Cry j 3、Cry j 4、Cry j 5、Cry j 6を含む。 Cha o 1(UniProt登録番号Q96385)及びCha o 2(UniProt登録番号Q7M1E7)は、日本ヒノキの主要なアレルゲンであり、そのcDNAがクローニングされ、配列が解析された(Suzuki M, et al., Mol Immunol. 33(4-5):451-60, 1996; Mori T, et al, Biochem Biophys Res Commun. 263(1):166-71, 1999。いくつかの態様では、アレルゲンは、Cha oタンパク質、例えばCha o 1やCha o 2を含む。 マウンテンシダー(Juniperus ashei、ヒノキ科)及びアリゾナイトスギ(Cupressus arizonica、ヒノキ科)は米国や北メキシコの特定の地域で、季節的なアレルギー性鼻炎を誘発し、ホソイトスギ(Cupressus semperverins、ヒノキ科)は地中海地域(例えば、フランス、イタリア、イスラエル)で花粉症を引き起こす。いくつかの態様では、本発明は、そのような1種以上の花粉に対するアレルギーを患っている患者を減感作させるために使用する組成物と方法を提供する。Jun a 1及びJun a 2は、ネズミサシ花粉の主要なアレルゲンである。例えば、Midoro-Horiuti T, J Allergy Clin Immunol. 104(3 Pt 1):608-12, 1999; Midoro-Horiuti T, J Allergy Clin Immunol. 104(3 Pt 1):613-7, 1999; Yokoyama M, Biochem Biophys Res Commun. 275(1):195-202, 2000)を参照のこと。Jun a 1のアミノ酸配列(UniProt登録番号P81294)は、Cry j 1及びCha o 1それぞれのアミノ酸配列と有意な相同性を示す。Jun a 2のアミノ酸配列(UniProt登録番号Q9FY19)は、Cry j 2及びCha o 2のアミノ酸配列と、それぞれ、約70%及び82%の相同性を示す。いくつかの態様では、アレルゲンは、Jun aタンパク質、例えばJun a 1やJun a 2を含む。 カバノキ(Betulaceae)には、落葉性で堅果をつける高木や低木などの6つの属があり、カバノキ(シラカンバ属)、ハンノキ(ハンノキ属)、ハシバミ(ツノハシバミ属)、シデ及びアサダが含まれる。本発明のいくつかの態様では、アレルゲンは、カバノキ科の植物の花粉(又は抽出物若しくはその構成要素)を含む。いくつかの態様では、花粉は、カバノキ亜科の植物由来である。いくつかの態様では、花粉は、シラカンバ属、例えばヨーロッパシラカンバ(Betula verrucosa)由来である。カバノキ花粉のアレルゲンとしては例えば、Bet v 1、Bet v 2、Bet v 3、Bet v 4、Bet v 5、Bet v 6、及びBet v 7がある。いくつかの態様では、花粉は、ハンノキ属、例えばアルダー(Alnus glutinosa)由来である。ハンノキ花粉のアレルゲンとしては例えば、Aln g 1とAln g 4がある。いくつかの態様では、花粉は、ツノハシバミ属、例えばセイヨウハシバミ(Corylus avellana)由来である。いくつかの態様では、アレルゲンはBet vタンパク質を含む。 アレルギーの大きな原因である様々な他の植物には、キク、ヒユ、イラクサ、トウダイグサ、及びオオバコ科に属するものがある。本発明のいくつかの態様では、組成物は、キク、ヒユ、イラクサ、トウダイグサ、又はオオバコ科の植物由来の花粉(又は抽出物若しくはその構成要素)を含む。そのような植物の例としては、ブタクサ、オナモミ、テマリカンボク、ヨモギ、ナツシロギク、ヒカゲミズ、アカザ、オオバコ、及びオカヒジキが挙げられる。例えばブタクサ(ブタクサ種)は、キク科(Asteraceae)に属す顕花植物で、北米でのアレルギーの非常に大きな原因であり、欧州でも大きな問題となってきている。4種の主要なタンパク質ファミリー、すなわちブタクサのペクチン酸リアーゼファミリーであるAmb a 1(例えば、ブタクサ(Ambrosia artemisiifolia)由来のUniProt登録番号P27759、P27760、P27761、P27762)、デフェンシン様Art v 1ファミリー(例えばヨモギやナツシロギク由来、例えばオオヨモギ(Artemisia vulgaris)由来のUniProt登録番号Q84ZX5)、Ole e 1様アレルゲン、オオバコのPla l 1及びアカザのChe a 1、並びにヒカゲミズの非特異的脂質輸送タンパク質であるPar j 1とPar j 2(Gadermaier G, et al. Curr Allergy Asthma Rep. 4(5):391-400, 2004)が、そのような植物の花粉に対するアレルギー反応の主要な原因になっている可能性がある。これらアレルゲンの中で、最初にAmb a 1のcDNAがクローニングされ、配列が解析された。例えば、PCT/US1990/001310(国際公開第1990/011293号−ALLERGENIC PROTEINS FROM RAGWEED AND USES THEREFOR(ブタクサ由来のアレルギー誘発性タンパク質とその使用))を参照のこと。本発明のいくつかの態様では、アレルゲンは、Amb a、Art v、Ole e様、Pla l、Par jタンパク質、又はその組み合わせを含む。そのような植物の花粉の混合物(及びその抽出物や成分)も検討する。様々な異なる植物種由来(例えばパラゴムノキ、Hevea brasiliensis)の植物アレルゲンである天然のゴム乳液についても検討する。 イエダニは、世界中の多くの地域における重要なアレルギー源である。アレルゲンは、イエダニの排泄物や虫体中に認められる。大きな問題となっているイエダニの種には、例えば、コナヒョウダニ(Dermatophagoides farinae)、ヤケヒョウダニ(D. pteronyssinus)、及びケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)が含まれる。イエダニのアレルゲンとしては例えば、ヤケヒョウダニ由来のDer p 1(UniProt登録番号P08176)、Der p 2(UniProt登録番号P49278)、Der p 3(UniProt登録番号P39675)とDer p 4、及びコナヒョウダニ由来のDer f 1(UniProt登録番号P16311)、Der f 2(UniProt登録番号Q00855)とDer f 3(UniProt登録番号P49275)がある。本発明のいくつかの態様では、アレルゲンは、Def p、Der f、又はTyr pタンパク質を含む。 動物アレルゲンは例えば、鱗屑、羽、体毛、唾液、及び排泄物(例えば、尿)中に生じる。一般的なアレルギー源は、ネコ(Felis domesticus)やイヌ(Canis lupus科)のような、飼い慣らされた動物である。Fel d 1(UniProt登録番号P30438(鎖1);UniProt登録番号P30440(鎖2))、Fel d 3、及びFel d 4が主要なネコアレルゲンである。Can f 1(UniProt登録番号O18873)とCan f 2(UniProt登録番号O18874)が主要なイヌアレルゲンである。いくつかの態様では、アレルゲンは、Can f又はFel dアレルゲンを含む。マウス(例えば、ハツカネズミ、Mus musculus)、ラット(例えば、ドブネズミ、Rattus norvegicus)、及びウサギ(例えば、カイウサギ(Oryctolagus cuniculus))のような齧歯類も一般的なアレルギー源である。これらの種で同定されているアレルゲンにはそれぞれ、例えば、Mus m 1、Rat n 1、及びOry c 1がある。患者はそのような動物と、例えばペットとして、有害生物として、又は職業上の理由で(例えば実験動物として)接触する場合がある。いくつかの態様では、アレルゲンは、Mus m、Rat n、又はOry cタンパク質を含む。ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギなどの家畜もまたアレルギーを引き起こし、いくつかの態様では、そのような動物由来のアレルゲンが本発明組成物中に含まれる。 昆虫及び昆虫毒も注意すべきアレルゲンの源である。ゴキブリアレルゲンは世界中の多くの地域でアレルギーの大きな原因となっている。ゴキブリ種には、例えば、Blattella germanica(チャバネゴキブリ)、Periplaneta americana(ワモンゴキブリ)、及びBlatta orientalis(東洋ゴキブリ)が含まれる。ゴキブリアレルゲンとして例えば、Bla g 1、Bla g 2、Bla g 5、Bla g 5、Bla g 6、Bla g 7、及びBla g 8(チャバネゴキブリ由来)並びにPer a 1、Per a 3、Per a 6、Per a 7、Per a 9、及びPer a 10(ワモンゴキブリ由来)が挙げられる。いくつかの態様では、アレルゲンは、Bla g、Per a、又はBla oアレルゲンを含む。アリ、ガ、ノミ、ハエ(例えば、イエバエ、アブ、カゲロウ)及びカもまたアレルゲンの源である。いくつかの態様では、アレルゲンは、ゴキブリ、アリ、ガ、ノミ、ハエ、又はカのタンパク質である。 重篤なアレルギー反応を引き起こす可能性のある昆虫毒(例えば、膜翅目群目の昆虫、例えばミツバチ、スズメバチ、又はアシナガバチ由来)としては、モンスズメバチ(Vespa crabro)、ヨーロッパミツバチ(Apis mellifera)、ホホナガスズメバチ属(Dolichovespula spp.)、アシナガバチ属(Polistes spp.)、クロスズメバチ属(Vespula spp.)、北米産スズメバチ(Dolichovespula maculata)、小型スズメバチ(Dolichovespula arenaria)由来の毒が挙げられる。いくつかの態様では、アレルゲンは、ミツバチ、アシナガバチ、又はスズメバチの毒(又は抽出物若しくはその構成要素)である。例えばアレルゲンは、Api、Dol、又はVesタンパク質を含む場合がある。 真菌(例えば、真菌胞子又は断片(例えば、菌糸断片))はアレルギーの大きな原因である。アルテルナリア(例えば、アルテルナリア・アルテルナータ(Alternaria alternata)(黒斑病菌))、クラドスポリウム(例えば、クラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum)、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides))、アスペルギルス(例えば、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、黒色コウジ菌(Aspergillus niger))、フサリウム、ペニシリン(アオカビ)が関心のあるアレルギー誘発性真菌の例である。いくつかの態様では、アレルゲンは、アルテルナリア、クラドスポリウム、アスペルギルス、フサリウム、ペニシリン、又はその他の真菌に含まれる、又はそれらが生成するタンパク質を含む。例えばアレルゲンは、Alt a、Asp a、Asp n、Cla又はPenタンパク質を含む場合がある。 アレルゲンを採取する方法は当該分野で知られている。例えば、花粉は、栽培されている或いは野生のそれぞれの植物から採取することができる。真菌抽出物は、菌蓋の純粋培養から生成することができ、アレルゲンは培地から単離することができる。サビキン類やクロボキン類は、自然に生えているものから採取することができる。上皮抽出物は、天然の鱗屑を含む皮、体毛、或いは羽から、又は分離した鱗屑から生成することができる。昆虫やダニの抽出物は、昆虫又はダニ、それぞれの全体から生成することができる。昆虫毒の場合には、毒又は毒を含んでいる組織を単離することが、又は全身の抽出物を使用することができる。室内塵は、家の中で一般的に見られる様々な塵(例えば、クッション材の塵、マットレス材の塵、又は通常、表面に積もっている塵)から作成することができる。その他の塵(例えば、穀物粉塵、木材粉塵、綿ぼこり)は、適した場所から回収することができる。食品抽出物は、それぞれの食品の食べられる部分から、例えば新鮮な食品から、調製することができる。 アレルゲンを処理するために適した方法、例えばアレルゲン抽出物の製造方法、アレルゲン分子の精製方法などは当該分野でよく知られている。非常に簡単に説明すると、アレルゲンの原材料(例えば花粉、昆虫、鱗屑)を最初に粉砕し、乾燥させ、脱脂し(有機溶媒を用いた抽出によって)、又は個々のアレルゲンに適した他の工程にかけることができる。例えば、固体又は粒子状のものを分離するために、遠心分離を用いることもできる。得られた材料を、水性媒体(例えば、水或いは重炭酸アンモニウム、リン酸緩衝生理食塩水などの適切な緩衝液)中で、タンパク質が少なくとも一部分可溶化するのに適した期間インキュベートすることができる。粗抽出物を、例えば透析、ろ過、分画、クロマトグラフィーなどで処理することができる。いくつかの態様では、例えば低分子量成分の少なくとも一部を除去するために、抽出物を濃縮するために、1以上の工程を実施する。抽出物を、例えば、ろ過及び/又は照射により、滅菌することができる。当該分野で知られているように、他の処理工程を行うことができる。多数の特異的なプロトコールが使用可能である。 ヒト免疫療法に使用するのに安全なように特に処理されたアレルゲンの抽出物が市販されている。例えば、GREER Laboratories Inc.のアレルギー及び免疫療法部門は、会社のウェブサイト上で、現在、http://www.greerlabs.com/files/catalogs/HumanAllergyCatalog.pdfとして接続可能な、「Human Allergy Products and Services(ヒトアレルギー製品とサービス)」という名称の小冊子を発行している。GREERはまた、会社のウェブサイト上で、現在、http://www.greerlabs.com/files/catalogs/SourceMaterialsCatalog.pdfとして接続可能な、「Source Materials Products and Services(原料製品とサービス)」という名称の小冊子も発行しており、ここでは、アレルゲン抽出物やより高度に精製したアレルゲンタンパク質調整物を製造するための原料として使用することができるアレルゲンの詳細を知ることができる。両方の出版物が、参照により本明細書に組み込まれる。アレルゲン及び/又はアレルゲン抽出物を市販しているその他の業者には、ALK Abello, Inc.、Allermed Labs、及びHollisterStierがある。アレルゲン抽出物の詳細なリストは、Remington(上記)の中に見られる。アレルゲン抽出物は通常、天然型のアレルゲンとして含まれている、複数のタンパク質、例えば、複数のアレルギー誘発性タンパク質を含んでいる。抽出物は、例えば花粉(例えば、高木の、低木の、草の、しばしば「雑草」とされるような他の植物の)、動物上皮、羽、真菌の菌糸或いは胞子、クロボキン類、ダニ、昆虫、昆虫毒、食品、塵などから調製することができる。いくつかの態様では、本質的に単一の天然のアレルゲン(例えば、単一の種の植物、動物、昆虫、真菌などから得たアレルゲン)から抽出物を調製する。混合物についても検討する。いくつかの態様では、複数の異なる植物の花粉から(例えば、雑草混合物、樹木混合物、草混合物から)、複数の異なる真菌やクロボキン類から、複数の異なる昆虫毒から、複数の異なる動物上皮などから、抽出物を生成する。真菌抽出物は、菌糸及び/又は胞子(例えば、アルテルナリア、クラドスポリウム)から、及び/又は精製した培地(例えば、アスペルギルス)から調製することができる。いくつかの態様では、1種以上のアレルゲンタンパク質を、例えば複数のタンパク質を含む抽出物から、さらに精製する。当業者は、当該分野において知られているタンパク質の精製方法により、目的のアレルゲンタンパク質を容易に精製することができる。例えば、Cutler, P. (ed.) Protein Purification Protocols(タンパク質の精製手順), Methods in Molecular Biology, Volume 244, 2004; Simpson, RJ., et al., Basic Methods in Protein Purification and Analysis: A Laboratory Manual(タンパク質精製と分析の基礎技術:研究の手引き) Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2008; Richard R Burgess and Murray P. Deutscher (eds.) Methods in Enzymology: Guide to Protein Purification(酵素学の技術:タンパク質精製の指針), 2nd ed., Academic Press, 2009を参照のこと。精製は、クロマトグラフィーを用いた方法(例えば、大きさ、疎水性、親和性などに基づく)、免疫学的な方法、電気泳動を用いた方法などを伴う場合もある。少なくとも部分的に精製させたアレルゲンタンパク質を調製するためには、特定のプロトコールが使用可能である。いくつかの態様では、抽出物又は少なくとも部分的に精製したタンパク質調製物は、重量にして少なくとも70%、80%、90%、95%又はそれ以上のタンパク質を含む。いくつかの態様では、タンパク質は、溶媒や溶媒に含まれるあらゆるイオン以外の、他の全ての成分や物質を実質的に除去した場合に、例えばそのタンパク質が、組成物の乾燥重量又は体積当たりの重量に基づいて(溶媒やイオンを除外して)、少なくとも約90%、例えば少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99%以上を構成する場合に、純粋だと見なされる。いくつかの態様では、目的の特定のアレルゲンタンパク質は、乾燥重量で、タンパク質調製物に含まれるタンパク質含量の少なくとも約90%、例えば少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99%以上を構成する場合に純粋だと見なされる。純度を評価する方法は当該分野では知られており、それには例えばクロマトグラフィーを用いた方法、免疫学的な方法、電気泳動を用いた方法、質量分析などが含まれる。本明細書に記載したポリペプチドはいずれも、様々な態様において純化することができる。抽出物又は精製したタンパク質調製物を様々な形態で提供することができる。例えば抽出物又は精製したタンパク質調製物を乾燥、例えば凍結乾燥し、又は、随意にグリセリンや保存料などのタンパク質安定化剤を含む水性媒体に加える。 個別のアレルゲンタンパク質の混合物についても検討する。アレルゲンタンパク質混合物は、同じ種又は複数の異なる種(同じ又は異なる属、亜科、科などに含まれる)由来のアレルゲンタンパク質を含んでいてもよい。いくつかの態様では、目的の特定のアレルゲンタンパク質をコードしている遺伝子のホモログ遺伝子によってコードされているアレルゲンタンパク質を用いることができる。例えば、オルソログ遺伝子、すなわち、最終共通祖先の単一の遺伝子が垂直伝播したことに由来する、異なる種に含まれる互いに相同な遺伝子を用いることができる。 本発明の範囲内では、免疫抑制効果及び/又はアレルギー性反応を弱める効果が確認された、薬剤によって栄養価を高めた食品添加剤、例えば植物抽出物も検討される。 いくつかの態様では、アレルゲンは、組換え的に生成されたタンパク質を含む。組換えDNA技術によってタンパク質を生成する方法は当該分野で良く知られており、かつ、Ausubel, F., et al., (eds.), Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学の実務), Current Protocols in Immunology(免疫学の実務), Current Protocols in Protein Science(タンパク質科学の実務), and Current Protocols in Cell Biology(細胞生物学の実務), all John Wiley & Sons, N.Y., editions as of 2008; Sambrook, Russell, and Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual(分子のクローニング:研究の手引き), 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, 2001; Harlow, E. and Lane, D., Antibodies - A Laboratory Manual(研究の手引き), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, 1988; Burns, R., Immunochemical Protocols (Methods in Molecular Biology) (免疫科学の手順(分子生物学の技術)) Humana Press; 3rd ed., 2005のような標準的な参考文献に記載されており、これら全ては参照により本明細書に組み込まれる。様々な態様では、アレルゲンタンパク質をコードしている核酸を宿主細胞に導入するために、いかなる好適なベクター、例えばプラスミド、ウイルス(例えば、DNA又はRNAウイルス)、コスミドなどをも利用することができる。遺伝暗号には縮重があるため、多様な核酸配列のいずれもが目的のタンパク質(例えばアレルゲン)をコードすることができ、かつ、アレルゲンの組換え生産に関する本発明の様々な態様において使用できることを、当業者は分かっている。いくつかの態様では、目的の宿主細胞でタンパク質を生産させるために、核酸配列のコドンを最適化する。いかなる好適な発現系を使用することができる。様々な宿主細胞、例えば細菌、真菌、昆虫、脊椎動物(例えば哺乳類)の細胞を、様々な態様で使用することができる。いくつかの態様では、宿主細胞を、少なくともアレルゲンの一部に基づいて選択する。例えば、いくつかの態様では、植物アレルゲンを植物細胞中で生産させることができ、脊椎動物アレルゲンを脊椎動物細胞中で生産させることができ、真菌アレルゲンを真菌細胞中で生産させることができる。アレルゲンを、遺伝子組換えを用いた方法、例えば遺伝子組換え植物によって生産することもできる。いくつかの態様では、組換え的に生産したアレルゲンの配列は、天然に生じるアレルゲンタンパク質の配列の断片や変異体を含む。例えば断片は、天然に生じるアレルゲンタンパク質の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は完全長以上を含む、連続した配列であってよい。変異体は、天然に生じるアレルゲンタンパク質と比較して、1以上のアミノ酸置換、欠損、又は付加(例えば挿入)を有する。例えば変異体は、天然に生じるアレルゲンタンパク質と少なくとも70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上同一の配列を含む場合があり、これは天然に生じる抗原の観点では少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上が同一であり、そのため、同一性を最大にするためにギャップを挿入することができる。同一性の百分率は、当該分野で知られている様々なコンピュータープログラムにより計算することができる。例えば、BLAST2、BLASTN、BLASTP、Gapped BLASTなどのようなコンピュータープログラムは、目的の配列と様々な公開されているデータベースのいずれかに含まれる配列間での整列を生成し、同一性の百分率を提供する。Altschulら(Altschul, et al., J. Mol. Biol. 215:403-410, 1990)のNBLAST 及びXBLASTプログラムには、Karlin and Altschul(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877,1993)で修正された、Karlin and Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:22264-2268, 1990)のアルゴリズムが組み込まれている。比較目的でギャップの挿入された整列を得るためには、Altschulら(Altschul, et al. Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402, 1997)に記載されたGapped BLASTを利用する。BLAST及びGapped BLASTプログラムを利用する場合には、それぞれのプログラムで予め設定されている指標を使用する。PAM250又はBLOSUM62マトリックスを使用してもよい。これらのプログラムについては、URLがwww.ncbi.nlm.nih.govのウェブサイトを参照のこと。特定の態様では、BLAST2を利用して、予め設定されている指標により、同一性の百分率を計算する。いくつかの態様では、変異体は、約1%、5%、10%、20%、又は30%までのアミノ酸置換、挿入又は欠損を有する。いくつかの態様では、変異体は、1〜10までのアミノ酸置換、挿入又は欠損を有する。 いくつかの態様では、アレルゲンは、少なくとも1つのアレルギー誘発性エピトープ及び異種ポリペプチドを含む、アレルゲンタンパク質の少なくとも一部分を含む融合タンパク質であってもよい。いくつかの態様では、融合タンパク質は、タンパク質を精製するために使用するタグ、例えばエピトープタグを含む。いくつかの態様では、アレルゲン、例えば融合タンパク質を、植物、例えば葉や種子で発現させる。そのような葉又は種子を本発明の組成物を調製するために使用することができる。例えば、アレルゲンをコードしている核酸を、植物やその一部で発現させるために、適切なプロモーターの制御下で発現させることができる。植物は、遺伝子組換え植物であってもよく、タンパク質を例えばウイルスベクターを用いて一過的に発現させることができる。いくつかの態様では、融合タンパク質は、グリシンのような種子貯蔵タンパク質の少なくとも一部分に融合させた、アレルギー誘発性エピトープ(例えば、日本スギの花粉又はその他のアレルギー誘発性花粉のエピトープ)を含む。融合タンパク質が複数の異なるアレルゲンタンパク質又はその一部を含む場合もある。いくつかの態様では、特に比較的短い場合、ペプチドを合成するために、固相ペプチド合成やタンパク質連結のような方法を用いることができる。 いくつかの態様では、1以上のエピトープ、例えばヒトT細胞を認識する天然に生じるアレルゲン由来のエピトープを含むポリペプチドを、当該発明でのアレルゲンとして使用する。いくつかの態様では、ポリペプチドは、少なくとも2種の異なるアレルゲン、例えば、2、3、4、5、6、又はそれ以上の異なるアレルゲン由来のヒトT細胞エピトープを含む。いくつかの態様では、T細胞エピトープの総数は2から10である。エピトープは、スペーサーとなる1以上のアミノ酸によってそれぞれが離れていてもよい。スペーサーは、例えば、1、2、3、4、又は5のアミノ酸長であってもよく、最長約25アミノ酸であるだろう。通常、いずれのアミノ酸もスペーサーとして用いることができる。いくつかの非限定的な態様では、比較的小さいアミノ酸、例えばグリシン、アラニン、セリンが用いられるが、他のアミノ酸も使用することができる。例えば、Cry共通ペプチドは、Cry j 1及びCry j 2の両方に由来する、6種の主要なヒトT細胞エピトープを含んでいるポリペプチドである(Tsunematsu M, et al. Allergology International. 56(4):465-72, 2007)。その配列は、MKVTVAFNQFGPN−RR−VFIKRVSNVIIHG−RR−IDIFASKNFHLQKNTIGTG−RR−WKNNRIWLQFAKLTGFTLMG−RR−LKMPMYIAGYKTFDG−RR−VDGIIAAYQNPASWK(配列番号1)である。T細胞エピトープに下線を引いた。エピトープ1、2、及び5(左から)はCry j 1のエピトープである。エピトープ3、4、及び6はCry j 2のエピトープである。様々なアレルゲンのT細胞エピトープが同定されており、本発明の態様で使用することができる。エピトープは直線状エピトープであっても又は立体構造エピトープであってもよい。 特定の態様では、組成物は、花粉、イエダニ、カビ及び動物の鱗屑からなる群より選択されるアレルゲンを含む。対象又は対象の指導医が特定の臨床症状に基づいてアレルゲンを選択し、そのアレルゲンが特定のペットの鱗屑、地理的に限定された花粉や家畜の鱗屑などの、対象の環境に関連するものである場合には、個別の投薬計画が検討される。個別療法では、対象はアレルギーの臨床症状を呈し、かつ、そのアレルギーとの関連に基づいて1種以上のアレルゲンが選択される。「普遍的」アレルゲン法に基づいた非常に限定した態様では、アレルゲンはブタクサ花粉とイエダニを含むが、組成物は他のアレルゲンもまた含んでいてもよい。いくつかの態様では、アレルゲンは、花粉アレルゲンと昆虫アレルゲンを含む。いくつかの態様では、アレルゲンは、花粉アレルゲンとダニアレルゲンを含む。 いくつかの態様では、アレルゲン抽出物を液状で提供する。例えば、アレルゲン抽出物を水、グリセリン、又はその組み合わせ中に加えて提供することができる。いくつかの態様では、アレルゲン抽出物を実質的に乾燥した状態で、例えば粉末、例えば凍結乾燥した状態で、提供する。いくつかの態様では、アレルゲンを錠剤の形で提供する。錠剤はパウチの中に含まれており、かつ、パウチは随意、増量剤となる1種以上の物質をさらに含む。少なくともいくつかのこれら態様では、SLIT(又はその含有物)中に利用する、アレルゲンを含む錠剤を使用してもよい。錠剤は凍結乾燥した状態のアレルゲン抽出物を含んでいてもよい。いくつかの態様では、錠剤は迅速に崩壊する錠剤である。いくつかの態様では、5種草花粉SLIT錠剤(Stallergenes SA、フランス)を使用することができる。この抽出物は、ペレニアルライグラス(Lolium perenne)、タチイチゴツナギ(Poa pratensis)、オオアワガエリ(Phleum pratense)、カモガヤ(Dactylis glomerata)及びハルガヤ(Anthoxanthum odoratum)の花粉由来であり、Oralair(登録商標)という名称で販売されている。いくつかの態様では、Grasax(登録商標)の錠剤を用いる(ALK Grass tablet、ALK-Abello A/S、Horsholm、デンマーク)。Grasaxに含まれる活性成分は、オオアワガエリ(Phleum pratense)由来の草花粉の標準アレルゲン抽出物である。Grasaxに含まれている他の成分は、ゼラチン(魚由来)、マンニトール、及び水酸化ナトリウムである。当然のことながら、錠剤の処方について当該分野で知られているように、他の賦形剤を使用してもよい。錠剤を軟質多孔性パウチに入れて、随意に増量剤と共に、提供することもできる。錠剤は少なくとも部分的には、増量剤によって被覆されてもよい。いくつかの態様では、アレルゲンは増量剤を介して崩壊し、前庭、口腔、及び/又は歯肉粘膜に到達する。増量剤は錠剤と比較して、口腔粘膜でのアレルゲンが接触する領域を広げるだろう。 本発明の組成物(例えば、軟質多孔性パウチに封入するための組成物又は歯科衛生組成物(以下で議論する))で使用されるアレルゲンの量が、例えば、特定のアレルゲン及び用いられたアレルゲン調製物の効果のような多数の要因によって変わり得ることを当業者は分かっている。アレルゲンを当該分野で知られている方法によって検出及び/又は定量することができ、かつそのような方法をアレルゲン調整物(例えば、アレルゲン抽出物)を特徴付けるのに、例えばアレルゲン含量に及び/又は効果に関して特徴付けるために用いることができる。例えば、当該分野において知られているタンパク質を検出及び/又は定量するための、例えば適切なモノクローナル抗体を用いた免疫ブロット法やELISA検定のような免疫学的な方法又は他の型の結合アッセイを、本明細書で目的とする多数のアレルゲンに対して使用することができる。質量分析を用いることができる。生体内又は生体外での生物検定を使用して生物学的活性を定量してもよい。例えば、特定のアレルゲンに対してアレルギーだということが分かっていて、かつ、1以上のアレルギー反応の指標(例えば、膨疹部分)又はアレルゲン特異的なIgE生産を測定することができる患者に対して、皮刺試験を実施することができる。皮刺を、例えば特定の送達装置、技術、及びアレルゲン調製物の量を指定することで、標準化することができる。生体外での生物検定としては、適切な細胞、例えば感作されている細胞から放出される媒介物質(例えば、ヒスタミン、サイトカイン、又は脂質媒介物質)の測定が挙げられる。参照のための自家標準物質を調製することができ(例えば、生体内生物検定に基づいて)、でその自家標準物質を用いた生体外試験により、後続のロットのアレルゲンの効果を比較し、効果を任意の単位に割り当てることができる。アレルゲン含量及び/又はアレルゲン調製物の効果を定量するために、様々な単位が用いられている。例えば、Remington(上記)、及びLockey, RF and Ledford, DK(上記)を参照のこと。例えば、アレルゲン調整物に含まれるアレルゲン含量は、容積当たりの重量又はタンパク質の窒素単位として表すことができる。米国では、標準化されて抽出物は、通常、アレルギー単位(AU)/ml又は生体内利用率等価性でのアレルギー単位(BAU)/mlで表示される。BAUはFDAによって確立された基準であり、効果を確認するために用いることができる、多種多様な参照抽出物を提供している。日本では、アレルゲン調整物に含まれるアレルゲン含量は、しばしば、ELISAによって測定される日本アレルギー単位(JAU)で表される。欧州では、国独自の又は企業独自の複数の基準が使用されている。例えば、参照となる自家標準物質を確立し、続いて製造したロットのアレルゲン調製物の強度を定量するために用いることができる。例えば、参照となる反応性の自家指標(IR)を用いることができる。この指標では、例えば、100IR/mlを対応するアレルゲンに対して感受性の30人の患者に、皮刺試験により、幾何平均が7mmの膨疹径の疹径を誘発する濃度であると定義している。所望であれば、当該発明で使用するアレルゲン調製物に関しては、1以上のそのような方法のいずれかを用いることができる。 いくつかの態様では、本発明の組成物(例えば、軟質多孔性パウチに封入するための組成物又は歯科衛生用品やチューインガム)を、通常使用で、1pg〜15mgの範囲の1種以上のアレルゲンタンパク質、例えば1ng〜1.5mgの範囲の1種以上のアレルゲンタンパク質、例えば100ng〜100μgの範囲の1種以上のアレルゲンタンパク質を提供するように製剤化することができる。いくつかの態様では、本発明の組成物(例えば、軟質多孔性パウチに封入するための組成物又は歯科衛生用品やチューインガム)を、通常使用(例えば、1日1回の使用、又は1週間などの期間にわたる使用)した場合に、SLIT投与で有効なアレルゲンの0.01〜100倍の範囲の量、例えばSLIT投与で有効なアレルゲンの0.1〜10倍の範囲、又は0.5〜2倍の範囲の量のアレルゲンを提供するように製剤化することができる。例えば、いくつかの態様では、Cry j 1及び/又はCry j 2を含んでいる組成物(例えば、歯科衛生用品)は、1週間当たり20JAU〜20,000JAUを、例えば200JAU〜2000JAUを提供することができる。いくつかの態様では、組成物は、1、2、3、4、5種、又はそれ以上のアレルゲンタンパク質を含み、各アレルゲンタンパク質それぞれの量及び/又は含まれるアレルゲンの総量は前述したいずれかの量である。当業者は、本発明の組成物又は製品に包含するための有効量を容易に選択することができる。本発明組成物(例えば、歯科衛生用品)で用いるための、アレルゲンの同種療法的な量についても検討する。例えば、アレルゲン抽出物又は他のアレルゲン調製物の30c同種療法的希釈剤を使用することができる。当該分野で知られているように、30c希釈剤とは、原液を30回連続して1対99倍希釈したものを表す。いくつかの態様では、15c〜60c希釈剤を使用する。いくつかの態様では、得られた溶液は理論的にアレルゲン分子又は原液を含まない。 1種以上のアレルゲンに対する感受性を下げる方法と対象のアレルギー症状を軽減する方法もまた提供される。この方法には、実質的に対象の口腔の前庭領域に位置する口腔粘膜表面に、そのアレルギーに関連する1種以上のアレルゲンを持続して曝露する工程を含む。特定の態様では、口腔の前庭粘膜の表面に固定して適合しうる軟質多孔性パウチであって、本発明の組成物、例えば本発明の薬剤によって栄養価を高めた組成物又は医薬組成物を含む軟質多孔性パウチを挿入することで、持続して曝露する。当然のことながら、本発明の送達系を使用することで、口腔及び/又は歯肉粘膜もまたアレルゲンに曝露される。さらに、口腔粘膜に適合させることができ、本発明の組成物を含む軟質多孔性パウチが提供される。 いくつかの側面では、アレルギー症状(例えば、本明細書で開示した1種以上のアレルゲンに対するアレルギー)に罹患した又は罹患リスクをもつ対象の治療方法を提供する。この方法は、対象に本発明の組成物又は製品の使用を処方する工程、推奨する工程、又は提案する工程を含む。この方法は、例えば病歴及び/又は1以上の診断に基づいて、対象があるアレルゲンに対するアレルギーであると確認する工程を含んでいてもよい。いくつかの側面では、対象が本発明の組成物又は製品を使用する工程を含む、アレルギー症状に罹患した又はリスクを有する対象の治療方法を提供する(例えば、自己治療法)。対象はアレルギー反応を引き起こす特定のアレルゲンを自覚ているか、自覚する可能性があり、そのような自覚に基づいて特定の組成物や製品を選択する。 他の特定の態様では、歯磨き粉、練り歯磨き剤、洗口剤又は口腔用スプレーなどの歯科衛生用品を日常的に使用することで持続した曝露を提供する。本発明では、歯科衛生用品の基剤を含み、かつ、1種以上のアレルゲンをさらに含んでいる好適な歯磨き粉、練り歯磨き剤、口腔用スプレー及び洗口剤組成物の態様を提供する。1種以上のアレルゲンは、天然型のものを適切に粉砕した状態で、又はアレルゲン抽出物として加工した状態で、あるいは少なくとも部分的に精製又は単離した状態で(例えば、天然の状態では付随して生じる1以上の物質から分離されるか、人工的に生産して(例えば組換えDNA技術により))提供される。前述の特定の態様では、毒性がなく、不用意に摂取しても安全な天然型を考える。安全性と効果のために加工されたアレルゲン抽出物は、あらゆる形態のAITとして当該分野でよく知られており、GREER Laboratoriesなどの民間企業から入手可能である(上記を参照のこと)。薬剤によって栄養価を高めた特定の組成物を意図している特定の専売アレルゲン混合物は、これらの態様に特に適している。非限定的で説明するための例として、薬剤によって栄養価を高めた食品添加剤を意図している専売の植物混合物として知られているものには、Bionap(イタリア)から市販されているPantescal(登録商標)がある。これが特定の草アレルギーを患っている患者に対して免疫抑制効果があることが示されており、かつ、当該発明の本及び他の態様に加えるのに適している。 歯科衛生用品のための基剤は当業者によく知られている。歯磨き粉組成物の基剤の説明のための一例には、既知の量の植物性グリセリン、ソルビトール、ケイ酸塩水和物、蒸留水、キシリトール、カラギーナン、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン、プロピルパラベン、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム及び香料が組み合わされた成分が含まれる。歯磨き粉がペースト、ゲル、又はその組み合わせを含んでいてもよいことを、当業者は分かっている。さらに、提供する本発明の歯磨き粉が、例えば、増粘剤/ゲル化剤、湿潤剤、界面活性剤、香料又は甘味料、研磨剤などとして様々な成分を含んでいてもよいことも、当業者は分かっている。例えば増粘剤としては、様々なセルロース誘導体(例えば、セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロースなど)、デンプン、ゴム(例えば、トラガカントゴム、キサンタンゴム)、カラギーナン、及び石英系増粘剤が挙げられる。湿潤剤には例えば、グリセリン、グリコール類(例えば、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)が含まれる。界面活性剤(含まれていても含まれていなくてもよい)は、陰イオン性、非イオン性、両性、両性イオン性、陽イオン性又はその混合物であってもよい。陰イオン性界面活性剤の例としては例えば、アルキルラジカル中に8〜20個の炭素原子をもつ可溶性のアルキル硫酸塩(例えば、アルキル硫酸ナトリウム)や、8〜20個の炭素原子をもつ可溶性の脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの塩が挙げられる。非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシプロピレンとポリオキシエチレンを含む三元ブロック共重合体、例えばポロキサマー(例えばプルロニックという商標名で販売されている)が挙げられる。甘味料としては例えば、サッカリン、キシリトール、ソルビトール、アスパルテームがある。研磨剤には多種多様な研削剤があり、ケイ酸系であっても非ケイ酸系(例えば、カルシウム又はアルミニウム系、例えば炭酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム)であってもよい。香料としては例えば、様々な植物油が挙げられる。いくつかの態様では、水、増粘/ゲル化剤、研磨剤、湿潤剤、界面活性剤を合計した量は、組成物の70%〜99.99重量%の範囲である。いくつかの態様では、水、増粘/ゲル化剤、研磨剤、湿潤剤及び/又は界面活性剤が、5%〜70重量%の範囲で含まれ、これら成分の総量は、組成物の70%〜少なくとも99.99重量%の範囲である。いくつかの態様では、研磨剤は、組成物の総重量に対して5%〜50重量%の範囲で含まれる。いくつかの態様では、界面活性剤は、組成物の総重量に対して0.5%〜15重量%、例えば1.0%〜10重量%の範囲の量で含まれる。 いくつかの態様では、歯科衛生用品、例えば歯磨き粉は、遊離フッ化物イオンの供給源になりうる可溶性フッ化物のような虫歯予防薬を含むが、いくつかの態様ではフッ化物源は含まれない。可溶性フッ化物イオンの供給源としては例えば、フッ化ナトリウム、フッ化スズ及びモノフルオロリン酸ナトリウムがある。例えば、米国特許第2,946,725号及び同第3,678,154号を参照のこと。いくつかの態様では、50〜3500ppmの範囲の、例えば500〜1500ppmの範囲のフッ化物イオンを供給するのに十分な量のフッ化物イオンの供給源が提供される。非フッ化物系の虫歯予防薬(例えば抗菌剤)を加えても又は加えなくてもよい。いくつかの態様に加えてもよい又は特異的に除外してもよい他の成分としては、重炭酸イオン源、ピロリン酸イオン源(例えばピロリン酸塩)、緩衝剤、着色剤又は鎮静剤(例えば二酸化チタン)、安定剤、及び保存料(例えばパラベン)がある。様々な歯科衛生用品製剤、成分、及び製造方法の代表的な例は例えば、PCT/US1997/021157(国際公開第1998/023250号)「FLAVOR SYSTEMS FOR ORAL CARE PRODUCTS(口内ケア製品用香料システム)」や、Weinert, Wの「Oral Hygiene Products(口腔衛生製品)」、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Wiley-VCH, Weinheim, 2000に見られる。当業者は、それぞれが適合する(例えば、目的とする効果を生じるための成分の能力を有意に低下させない)成分や製造方法を容易に選択できる。いくつかの成分は複数の機能を有する場合があること(例えばソルビトールは香味料にも湿潤剤にもなる得ること)や、様々な分類の成分が排除され、他の分類の成分が含まれる場合があることを、当業者は分かっている。本発明は、天然に存在しない成分を本質的に含まない、すなわち人工的に合成した成分を本質的に含まない「天然由来の」歯磨き粉を意図する。 本発明の歯磨き粉又は練り歯磨き剤は基本的に、歯磨き粉及び/又は練り歯磨き剤又は歯科用ゲルの標準的な製造方法によって調製される(ただし、組成物中にアレルゲンを組み込む)。より具体的には、例えばいくつかの態様では、セルロースガムなどのゲル化剤をグリセリン中に分散させ、これにキシリトールなどの甘味料を含む水溶液を加え、その後ソルビトールを加えてガムが水和するまで約20分間混合し、ガム混合物と研磨剤を、28〜30インチの圧を加えて攪拌機で混合する。最後に、香料、界面活性剤及び加工したアレルゲンを真空攪拌機に入れて約15分間混合し、最終的な混合物を、歯磨き粉を分配するのに適したポンプを備えた縦型ディスペンサーのような、チューブや他の容器に入れる。当然のことながら、成分の性質に適合した適当な順番のいずれでも、成分を混合することができる。チューブ、ポンプ又は他の分配容器に、その内容物がアレルゲンを含んでいることが分かるように記載してもよく、及び/又は1種以上のアレルゲンやアレルゲン源を図示してもよく、及び/又は商標やロゴを際立たせてもよい。容器に香料、成分などに関する情報を記載してもよい。本発明の他の送達系、例えば、チューインガム、歯科用ピックやフロス、多孔性パウチなどの梱包や表示に関しても、同様の事柄を適用する。 日常的に使用するには例えば、およそ1〜10重量%の加工したアレルゲン(又は上で議論したような、他の適当な量の、加工した又は天然型のアレルゲン)を含む、およそ2gmの歯磨き粉を使用する。いくつかの態様では、2〜6才までの子供に対しては、「豆粒大」の量の歯磨き粉(例えば0.2gm〜0.5gm、例えば約0.3gm)が適している。いくつかの態様では、起動する際に予め決めた量(例えば予め決めた容積)の歯磨き粉を分配する歯磨き粉容器が用いられる。起動は、例えばボタンを押す、レバーを押し下げる、動作感知器を反応させる、又は他の当該分野で知られている方法によって行うことができる。 特定の態様では、歯磨き粉を、口内の洗浄と健康に関する成分を含む第一の部分と、アレルギー寛容の誘導に関する成分を含む第二の部分に分割してもよい。複数に分割された歯磨き粉、例えば分割された各部分が送達系の中で同軸状に並んでいる歯磨き粉の製造は、当該分野において周知である。この製品送達系は通常、組成物に必要となるものが基剤と所望される添加剤との間で多様になる場合、又は1部分に含まれる成分が口腔内で長時間維持されることが所望される場合に用いられる。例えば、基剤を含む部分が親水性で、水で口腔を濯ぐことによって実質的に除去され得るのに反して、アレルギー誘発性抽出物を含む第二の部分は疎水性であってもよく、かつ、膜特性を有していてもよい。いくつかの態様では、本発明の歯磨き粉は縞模様になっていて、それぞれの縞の組成が異なる。例えば、1以上の縞はアレルゲンを含むが、他の縞はアレルゲンを含まない。いくつかの態様では、2種以上の流動性材料を同時に、例えば予め決めた量で押し出すことができる、複数の穴があいている分配容器を使用する。例えば、米国特許第5,020,694号を参照のこと。いくつかの態様では、歯磨き粉は複数の層になった組成物である。そのような態様の製造では、所望の歯磨き粉層を並列流で分配容器中に(例えばチューブに)送り込み、外観が複数の層になるようにすることができる。歯磨き剤の層は、チューブから分配された時に所望の複数層構成で押し出されることになる。 歯科衛生用品製剤の当業者は、組成物の成分の特徴と、口腔内での曝露時間と関連する所望の効果を達成するための製剤指標とをどのように一致させるかを容易に理解することができる。 この態様によって付与された独自の利点には、利用者が全面的に遵守できる可能性が非常に高いことが含まれる。標準的で日常的な使用では、一般的に米国で既に販売されている歯科衛生用品は1日に数回使用するためのものである。40%を越える米国人は、就寝前にのみ歯磨きを行うことを習慣としていることが報告されている。従って曝露の向上は、既に行っている日常的な習慣の一部分として達成される。いくつかの態様では、1日当たりの投与計画には、本発明の歯科衛生用品を口腔に、15秒から10分間、少なくとも1回(例えば1、2、3、4、又は5回)曝露することが含まれる。予定される適切な使用計画には、本発明の歯科衛生用品を口腔に、1日に2〜4回、約30〜90秒間曝露することが含まれる。使用頻度がより少ない、例えば1週間に1、2又は3回、1日おきに、などの計画についても検討する。 歯磨き粉を一般的な歯ブラシ、例えば、毛のついたヘッド、歯ブラシを握るための柄、及びヘッドと柄を接続するためのネック部分を含む手動の歯ブラシや電動歯ブラシを使って使用することができる。電動歯ブラシはさらに、動力装置と、動力装置に電気を送達するための電源(例えば電池式の、再充電可能なものであってもよい)を備えていてもよい。いくつかの態様では、歯ブラシは、歯磨きを少なくとも予め決めた一定の期間行った後に、信号(例えば音や光)を生成するタイマーを含む。様々な態様では、例えばタイマーは、30、60、90、120、150、180、210、又は240秒後に信号を生成する場合がある。期間は、例えば利用者により、選択可能であってもよい。所望される場合には当然のことながら、歯ブラシとは別になったタイマーを使用することもできる。いくつかの態様では、歯ブラシは、例えば前述した期間内の予め決めた間隔で止まるか或いは予め決めた間隔の後に一時停止し、それによって利用者が口腔内の別の部分を磨き始めるようにする。 いくつかの態様では、電動歯ブラシは、1以上の超小型処理装置、データ保存要素及び/又は表示部を含む。超小型処理装置、データ保存要素(「メモリー」)、及び表示部は、消費用の電化製品で共通して見られるような一般的な部品であってもよい。表示部は例えば、LCD又はLED画面を含んでいてもよい。メモリーは、例えば期間、頻度及び/又は他の歯磨きの特徴に関する情報を保存することができる。そのようなデータを歯ブラシ上の表示部又は別になった表示部に表示することができる。超小型処理装置、データ保存要素及び/又は表示部は例えば、歯ブラシ本体に位置していても、電動歯ブラシの器台に位置していてもよく、或いは完全に別れた単位になっていてもよい。いくつかの態様では、表示部は利用者に歯磨きを継続するように、或いは歯磨きを終了するように促し、及び/又は利用者への他の伝言を表示する。PCT/US2007/023677(国際公開第2008/060482号−PERSONAL CARE PRODUCTS AND METHODS(個人用ケア製品及びケア方法))は、電動歯ブラシと電動歯ブラシとのデータ通信するための表示部を含む、口腔ケアシステムの例を開示している。 いくつかの態様では、歯磨きシステム、例えば歯ブラシを、本発明の歯科衛生用品及び/又は方法のための容器として提供する。歯磨き粉及び/又は他の口腔ケア製品の容器として適した歯磨きシステム、例えば歯ブラシは、当該分野で知られている。歯ブラシは、歯磨きを行う前及び/又は歯磨きを行っている最中に、そこから歯磨き粉及び/又はその他の材料が押し出されてくる1以上の貯蔵部を備えていてもよく、或いは1以上の貯蔵部を含んでいる器台からブラシが取り外し可能であってもよい。分配は例えば、歯磨きの前及び/又は歯磨きの合間に、又は歯磨きを行っている間、少なくとも一時的に継続して起こってもよい。いくつかの態様では、歯ブラシ本体に含まれる可能性のある計量型投与ポンプが、貯蔵部から管を通って歯ブラシベッドへ、例えば歯ブラシヘッドの毛又はそれに近い部分へと歯磨き粉を送達する、歯磨き粉の移動を制御する。計量型投与ポンプを操作することにより、測定し、制御された量の歯磨き粉を分配する。いくつかの態様では、第一の貯蔵部は歯磨き粉を含み、第二の貯蔵部は、移動している歯磨き粉に別の材料(例えばアレルゲン調製物)を送達する。いくつかの態様では、アレルゲン(1以上の他の成分を含んでいてもよい)を、少なくとも歯磨き粉を分配した少し後に分配する。アレルゲン調製物は例えば、毛まで又は歯ブラシヘッドを通って送達される。いくつかの態様では、標準的な歯磨き粉を第一の貯蔵部から送達し、アレルゲンを第二の貯蔵部から送達する。いくつかの態様では、歯ブラシに、アレルゲンを含むカートリッジを装填することができる。歯ブラシに挿入するための又はアレルゲン調製物を歯ブラシに装填するための使用に適したそのようなアレルゲンを含むカートリッジは、本発明の側面である。歯磨き粉及び/又はアレルゲン調製物の送達は、選択した量の歯磨き粉及び/又はアレルゲン調製物を送達するために任意にプログラム可能な超小型処理装置によって制御される場合もある。分配システムとして提供することが可能な歯ブラシシステムの例は、PCT/US2001/043442(国際公開第2002/041802号-APPARATUS, METHOD AND PRODUCT FOR TREATING TEETH(歯の治療用の装置、方法、及び製品))及びPCT/US2008/054695(国際公開第2008/103892号−TOOTHBRUSH WITH INTEGRATED TOOTHPASTE DELIVERY(歯磨き粉送達系一体型歯ブラシ)に開示されている。2区画に分けられた容器に梱包されている歯磨き粉は、Soparkar P., et al., J Clin Dent. 15(2):46-51, 2004に開示されている。 いくつかの側面では、本発明は、アレルゲンを含む組成物を送達するための、及び/又は本発明の組成物の口腔粘膜(例えば歯肉粘膜及び/又は前庭粘膜)への接触を促進するために使用される歯科用フロス又は歯科用ピックを提供する。いくつかの態様では、歯科用ピックは、例えば歯の間を滑らせるように動かすことで歯垢や食べかすを除去し、同時に歯肉のマッサージや刺激を与えることで血行を増進する複数の軟らかい毛(例えばゴム製の毛)を含む。例えば歯科用ピックは、約50〜100本の毛、例えば、約70〜80本の毛を有していてもよい。いくつかの態様では、利用者は本発明の歯科衛生用品(例えば、歯磨き粉、経口ゲル)を口腔粘膜(例えば歯肉及び/又は前庭)に、及び/又は歯科用ピックの毛に適用することができる。歯科用ピックを使用して組成物を広げ、口腔粘膜との接触を高める。歯科用ピックの一例としてはGUM(登録商標)Soft-Pick(登録商標)(Sunstar Americas, Inc.)が挙げられる。 いくつかの態様では、歯科用フロスは、食べかすや歯垢を歯から除去するのに使用する、細いフィラメント(例えばナイロン製フィラメント)や繊維の束、又はプラスチック製(例えばテフロンやポリエチレン)のリボンを含む。いくつかの態様では、歯科用フロスは、香り付きであっても無香料であってもよく、コーティングされていても或いはコーティングされていなくても(例えばワックスがかかっていても或いはワックスがかかっていなくても)よい。歯科用フロスを例えば、容器に入れて、又は歯科用フロスのピックとして提供してもよい。いくつかの態様では、歯科用フロスは、コーティング層(例えばワックス)に染みこませた、又はコーティング層の外側として分布させたアレルゲンを含む。いくつかの態様では、アレルゲンを例えば微粒子やナノ粒子としてカプセル化する。いくつかの態様では、カプセル化は、例えば歯科用フロスを製造及び/又は保存する間のアレルゲンの効果の安定化及び/又は維持を助ける。いくつかの態様では、アレルゲンは、歯科用フロスの使用に伴って、コーティング及び/又は微粒子から脱離するか或いは放出される。活性薬剤をカプセル化するのに適した材料は当該分野でしられており、それらには様々な異なる合成の及び天然の重合体が含まれる。いくつかの態様では、歯と歯の間でフロスを動かす機械的な動作により、及び/又は口内の水及び/又は唾液に接触することにより、例えば唾液中の酵素の酵素活性などによってアレルゲンの放出が促進される。 いくつかの態様では、歯科用ピック又は歯科用フロスを梱包し或いは梱包しないで、本発明の歯科衛生用品(例えば歯磨き粉、ゲルなど)と共に販売する。そのような梱包品もまた本発明の範囲内である。 別の特定の態様は、非常に簡便で、かつ、送達し易い状態の本発明の組成物の提供に関し、経口ゲルとしての使用を含む。この態様は、夜間には唾液の分泌が実質的に減少し、かつ、固形の送達系に付き物の窒息の危険性がゲルには存在しないことから、特に夜間の曝露に適している。従って、非常に限定された態様では、ゲルを就寝直前に前庭粘膜の表面に適用する。いくつかの態様ではゲルを、就寝直前に少なくとも口腔粘膜の一部分に適用する。他の特定の態様ではゲルを、ゲルプラグの形態で提供する。ゲルプラグは前庭領域に存在する複数のくぼみのいずれにも適合するように設計する。 さらに特定の態様では、1種以上のアレルゲンを含む口内用ストリップによって、持続的な曝露を提供する。口内用ストリップは唾液に接触することで溶解する親水性の重合体を含む。この態様では、口内用ストリップを就寝直前に或いはそれが完全に溶解するまで、前庭粘膜の表面に使用することができる。当該発明に従って適切な口内用ストリップを製造するための指針は、例えば、R.P. Dixitらの「Oral Strip Technology: Overview and Future Potential(口内用ストリップ技術:概観と今後の展望)」 J. Controlled Release 139 (2009) 94-107で示されており、その開示は本参照によって本明細書に組み込まれる。Dixit は、適切な製剤指標と、甘味料、香料、色素、安定化剤や増粘剤及び唾液分泌促進剤を含む、検討可能な添加剤の例を教示している。ストリップ状の重合体、厚み、工業的試験、引張強度、伸び、剪断と折り畳みの指標、分解や崩壊を制御する因子などの製造指標は全て、その中で扱われている。 本発明は、1種以上のアレルゲンを含むチューインガムを提供する。基本的に本発明のチューインガムは、チューインガムを製造する標準的な成分及び方法に、1種以上のアレルゲンを加えるのに適した変更を加えて、製造することができる。チューインガムのための適切な成分及び製剤方法を当業者は分かっている。例えば、チューインガムは、チクル、天然ラテックス製品、その他の天然ゴムや合成ゴム(例えば、ポリイソブチレン)を含むガム基礎剤を含んでいてもよい。通常チューインガムは味付けのために、ハッカ、冬緑、桂皮など1種以上の香味剤を含み、かつ、甘味料を含んでいてもよい。1種以上の湿潤剤、軟化剤、着色剤、安定剤、保存料などを成分として加えてもよい。チューインガムは、風船状に膨らませるための、フィルム状の特徴を有していてもよい。チューインガムを、棒状、リボン状、球状のような様々な形状に製造することができる。いくつかの態様では、チューインガムを、例えば適したワックスで、コーティング或いは砂糖がけにする。いくつかの態様では、ガムは、中身を充填した、軟らかい或いは液状の中心部を包み込んだ、例えばペレットや球状のガムである。いくつかの態様では、アレルゲンをそのような中心部に加える。その中心部を、少なくとも部分的に障壁層で覆ってもよい。適した障壁層は、例えばワックスを含んでいてもよい。例えば米国特許出願第20060263476号(CENTER-FILLED CHEWING GUM WITH BARRIER LAYER(障壁層を有する中心部充填型チューインガム))を参照のこと。一般的に、1本の棒状のチューインガムに加えるアレルゲンの量は、上述のパウチや歯科衛生用品について記載したものと同等であってよい。いくつかの態様では、通常の使用には、1日に1〜5単位(棒、球など)のチューインガムを噛むことが必要とされる。使用頻度がより少ない、例えば1週間に1、2又は3回、1日おきに、などの計画についても考えられる。いくつかの態様では、通常使用では、1週間に1〜10単位のチューインガムを噛むことが必要となる。 いくつかの側面で本発明は、歯科衛生組成物(例えば歯磨き粉、洗口剤、練り歯磨き剤)の製造方法を提供し、この方法は、a)前記歯科衛生組成物用の基剤を準備する工程と、b)前記基剤と少なくとも1種のアレルゲンを組み合わせる工程を含む。いくつかの態様では、この方法は、(c)前記歯科衛生組成物を、組成物を分配するのに適している容器に入れる工程をさらに含む。いくつかの態様では、この方法は、アレルゲン含量を既に定量した状態で、少なくとも1種のアレルゲンを準備する工程を含む。アレルゲンを例えば、標準物質を基準として定量しておいてもよい。いくつかの態様では、方法は、例えば歯科衛生組成物当たりの容積又は重量として、予め決めた最低及び/又は最大量のアレルギー誘発性タンパク質及び/又は予め決めた最低及び/又は最大数のアレルゲン単位を生じるのに適切な量の少なくとも1種のアレルゲンを準備する工程を含む。いくつかの態様では、方法は、歯科衛生組成物を試験する工程、例えば、組成物中に含まれるアレルゲンの量を決定する工程、例えば組成物が予め決めた最低量のアレルゲンを含んでいることを及び/又はアレルゲンの量が予め決めた最大量を超えていないことを、例えば歯科衛生組成物当たりの容積や重量として確認する工程を含む。いくつかの側面で本発明は、バッチ間でアレルゲン含量が一貫している歯科衛生組成物とその製造方法を提供する。 いくつかの側面では、本発明のチューインガムを製造するために同様の方法を提供する。いくつかの態様では、アレルゲンはタンパク質を含み、かつ、歯科衛生組成物又はチューインガムに含まれるアレルゲンは実質的にタンパク質成分のみである。いくつかの態様では、アレルゲンはタンパク質を含み、かつ、アレルゲンは、歯科衛生組成物又はチューインガムに一般的に用いられ得るいずれの成分とも構造的に異なっている。 本発明のいずれかの側面のいくつかの態様(例えば、歯磨き粉、多孔性パウチに封入するための歯科用ピック又は歯科用フロス組成物、チューインガムなどの歯科衛生用品)では、アレルゲンを微粒子に適用することができる。例えば、アレルゲンをそのような粒子にカプセル化することができ、及び/又は微粒子にアレルゲンを染みこませる或いはアレルゲンでコーティングすることができ、さもなければアレルゲンと物理的に結合させることができる。本明細書で使用する場合「微粒子」は、医薬品、栄養補助食品、薬用化粧品、化粧品、食品工学などの分野で薬剤を保護及び/又は送達するために用いられる、いかなる顕微鏡レベルの粒子をも包含する。そのような粒子は当該分野では、微粒子、微小球、ナノスフェア、ナノ粒子、ナノカプセル、リポソームなどと呼ばれる。そのような送達系の製造方法や使用方法は当該分野で周知である。例えば、それら全てが参照により組み込まれる、Lakkis, JM (ed.) Encapsulation and controlled release technologies in food systems(食品系におけるカプセル化と徐放放出技術)(Wiley-Blackwell, 2007); Nedovic, V. and Zuuidam, NJ (eds.) (Springer, 2009); Cohen, S. and Bernstein, H. Microparticulate systems for the delivery of proteins and vaccines(タンパク質及びワクチンを送達するための微粒子系)(CRC Press, 1996); Jones, D., Pharmaceutical Applications of Polymers for Drug Delivery(薬剤送達のための重合体の薬学的な応用)(ChemTec Publishing, 2004), Benita, S. (ed.) Microencapsulation: methods and industrial applications(微粒子化:方法と産業状の利用)(Informa Healthcare; 2nd ed., 2005)などの参考文献に例が記載されている。いくつかの側面では、口腔に接触することが予想される物質(例えば食品)についての既知の方法が本発明で用いられる。数多くの重合体を用いた、持続放出させるための送達手段が当該分野では知られている。当業者は、本発明の様々な態様で使用するための適切な重合体を選択する。いくつかの態様では、生体適合性のある重合体を用いてもよく、このような重合体は生分解性であってもよい。重合体は、単独重合体、共重合体(ブロック共重合体を含む)、直鎖、分岐鎖、又は架橋重合体であってもよい。本発明の様々な態様では、天然の或いは合成の重合体を使用することができる。重合体には、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)、ポリ(ホスファジン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリカプロラクトン、ポリ無水物、エチレン酢酸ビニル、ポリオルトエステル、ポリエーテル、及びポリ(ベータアミノエステル)が含まれるがこれらには限定されない。その他の重合体としては、ポリアミド、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、テレフタル酸ポリアルキレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタンとその共重合体、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(テレフタル酸エチル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、及びポリ(ラクチド−coカプロラクトン)が挙げられる。ペプチド、ポリペプチド、タンパク質(コラーゲンやアルブミンなど)、多糖(ショ糖、キトサン、デキストラン、アルギン酸、ヒアルロン酸(又は誘導体やこれらいずれかの組み合わせ)、デンドリマー(例えばPAMAMデンドリマー)、デキストリン、シクロデキストリンを様々な態様で使用してもよい。そのような製剤の調製方法は当業者には明らかである。いくつかの態様では、リポソームや他の脂質含有粒子を使用することができる。重合体の例としては、セルロース誘導体(アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリルとメタクリルエステルの重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、三酢酸セルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ポリカルバミン酸又はポリ尿素など)が挙げられる。上述した重合体の化学的誘導体、例えば、置換、化学基(例えば、アルキル、アルキレン)の付加、水酸化、酸化、及び他の、当業者によって慣習的に行われる変更も用いることができる。 本発明のいくつかの態様では、本発明の送達系(例えば、パウチや歯科衛生用品或いはチューインガム)に用いるための組成物は、特定の地域に関係する1種以上のアレルゲンを含む。例えばこのアレルゲンは、そのような地域で一般的に生育している植物のアレルゲン(例えば花粉アレルゲン)であってもよく、及び/又はそのような地域で共通して見られる真菌、昆虫、ダニなどのアレルゲンであってもよい。いくつかの態様では、本発明の送達系(例えば、パウチや歯科衛生用品)に用いるための組成物は、特定の地域におけるアレルギーの大きな原因である1種以上のアレルゲンを含む。いくつかの態様では、アレルゲンは、ある地域での特定の分類(例えば大気中、経口摂取性、皮膚接触性)の最も一般的な5種類のアレルギーの病因と診断された場合に、アレルギーの大きな原因である。診断は例えば、皮刺試験や当該分野で認められている他の方法に基づくだろう。特定の地域とは、大陸、例えば、北米、南米、欧州、アジア、アフリカ、オーストラリア;1以上の国、領域、又は自治体(例えば、米国、カナダ、メキシコ、アルゼンチン、ブラジル、チリ、ベネズエラ、欧州連合、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェイ、ポーランド、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、トルコ、ロシア、ユーラシア、イスラエル、日本、中国、韓国、インド、パキスタン、フィリピン、シンガポール、ベトナム、タイ、インドネシア、エジプト、南アフリカ、ARIPO加盟国、オーストラリアなどやその一部(例えば1以上の州や地域)であってよい。地域とは、少なくとも部分的には、天候や他の地勢に基づいて定義することができる。いくつかの態様で地域は、少なくとも10,000km2の広さである。いくつかの態様では、本発明の歯科衛生用品に含まれるアレルゲンに関連のある特定の地域に居住している人々の少なくとも一部が親しんでいる歯科衛生用品、例えばそのような地域で市販されている歯科衛生用品、の特徴と一致する1以上の特徴(例えば香り、色、舌触りなど)をもつように、本発明の歯科衛生用品を調製する。いくつかの側面で本発明は、歯科衛生組成物の製造方法を提供し、この方法は、a)前記歯科衛生組成物用の基剤を準備する工程と、b)選択した地域に関連がある少なくとも1種のアレルゲンと前記基剤を合わせる工程を含む。いくつかの態様では、得られる組成物の特徴がそのような地域に居住している人々の少なくとも一部に良く知られているものになるように、基剤及び/又はその量を選択する。 本発明の様々な側面のいくつかの態様では、対象は、アレルギー症状の病歴を有する、及び/又はアレルギーと診断された個人である。いくつかの態様では、対象はアレルギーを発症するリスクを有する。いくつかの態様では、アレルギーの家族歴のある対象は、アレルギーを発症するリスクがある。いくつかの態様では、対象は、1種以上のアレルゲンに対する皮刺試験や皮膚パッチテストの結果が陽性である。いくつかの態様で対象では、1種以上のアレルゲンに対する血清IgE(例えばRASTで評価して)が検出可能である。いくつかの態様では、血清IgEが検出可能な対象、例えば特定のアレルゲンに対する血清IgE(例えばRASTで評価して)が非常に高レベルの対象は、そのアレルゲン(又は交差反応するエピトープが共通の他のアレルゲン)に対するアレルギーを発症するリスクがある。当該分野において知られているように、RAST(放射性アレルギー吸着試験)は、予測される又は既知のアレルゲンに特異的なIgE抗体を検出するために用いられる、放射免疫測定である。IgEはI型アレルギー反応に関連する抗体であるため、対象がアレルゲンに対する有意なレベルのIgEを呈している場合には、この試験は、対象がそのようなアレルゲン(又はそのアレルゲンと共通したエピトープをもつアレルゲン)に対してアレルギーをもつか、又はそのアレルゲン(又はそのアレルゲンと共通したエピトープをもつアレルゲン)に対するアレルギーを発症するリスクをもつことを示すだろう。アレルゲン特異的なIgEを検出するための他の方法は当該分野で公知である。 当該分野で知られているように、多くのアレルゲンが他のアレルゲンと、例えば相同の又は同一のエピトープを少なくとも部分的に共有するアレルゲン(例えば、第一のアレルゲンに結合するIgE抗体は、相同の又は同一のエピトープを少なくとも部分的に共有するアレルゲンにも結合する可能性がある)と、免疫学的に交差反応する。従って、第一の種由来のアレルゲンにアレルギーをもつ個人はしばしば、その他のアレルゲン、例えば近縁種由来のアレルゲンに対してもアレルギーをもつ。いくつかの態様では、第一のアレルゲンを使用して、第二のアレルゲンに対する対象の減感作を行ってもよい。第一及び第二のアレルゲンは、異なる種由来であってもよい。例えば、アレルゲンが植物、動物、又は真菌由来の場合、第一及び第二のアレルゲンは、同じ属の中の異なる種由来であっても、或いは同じ亜科若しくは科の中の異なる属由来であっても、又は同じ科の中の異なる亜科由来であってもよい。例えば、いくつかの態様で本発明は、第一の亜科の1種以上の草や樹木由来の花粉アレルゲンを用いて、第二の亜科の1種以上の草又は樹木の花粉に対して患者を減感作することを検討する。いくつかの態様で本発明は、Cupressoideae(例えば、ヒノキ)亜科の樹木由来の花粉アレルゲンを用いて、Taxodioidea(例えば、日本スギ)亜科の花粉に対して患者を減感作することを検討する。逆もまた同様である。例えば、日本スギの花粉アレルゲンは、イタリアイトスギ(Cupressus sempervirens)、マウンテンシダー(Juniperus ashei)、アリゾナイトスギ(Cupressus arizonica)、モントレーイトスギ(Cupressus macrocarpa)、エンピツビャクシン(Juniperus virginiana)、セイヨウネズ(Juniperus communis)、コノテガシワ(Thuya orientalis)及び/又はヒノキ(Chamaecyparis obtusa)のアレルゲンと免疫学的に交差反応する可能性がある。 対象の環境アレルゲンに対するアレルギー反応を軽減させるための個別の方法もまた提供する。特定の態様では、対象のアレルギー反応に関連するアレルゲンを同定し、そのアレルゲンの入手可能な抽出物を調達する。この抽出物を、例えば毒性のない有機増量剤と混合する。対象によって対象の口腔内に挿入するのに適しており、口腔の前庭粘膜の表面に固定して適合しうる本発明の軟質多孔性パウチをこの混合物で充填し、前庭粘膜の表面に固定して適合するようにパウチを挿入する。同定したアレルゲンが対象の環境に由来し、望ましくない臨床症状を対象に引き起こす可能性があると考えられる。非常に限定した態様では、対象は、問題となっているアレルゲン、例えばペット、の主な提供源を排除しなくてはならないという予測を、特定のペットに関する前庭を介した免疫療法を処方することより回避できる。 本発明の側面、態様、及び特徴はいずれも自由に組み合わせることができ、かつ、そのような併用も本発明の範囲内である。例えばいくつかの側面では、本発明は、対象が複数の異なる本発明の送達系を使用することについても検討することができる。例えば対象は誘導期の間中、アレルゲンを含んだ本発明のパウチや、例えば歯科衛生用品(例えば歯磨き粉)を使用してもよい。本発明の送達系をSLITや他の型の免疫療法と併用することもできる。例えば、対象はSLITを用いて減感作を始め、その後、例えば本発明の送達系の使用へと移行してもよい。 通常対象は、本発明のパウチ、歯科衛生用品、又はチューインガムをいつでも使用する投与計画に基づいて使用を開始することができる。いくつかの態様では、対象がアレルゲンに曝露される前までに、本発明のパウチ、歯科衛生用品、又はチューインガムを少なくとも7日間使用する投与計画に基づいて使用を開始することを検討する。例えば対象はアレルゲンに曝露される前までに、本発明のパウチ、歯科衛生用品、又はチューインガムを少なくとも1〜4週間、4〜8週間、8〜16週間、16〜24週間、24〜36週間、又は36〜52週間使用してもよい。「短期間での」投与計画や「非常に短期間での」投与計画もまた考えられる。「短期間での投与計画」では、比較的短い期間、例えば約8時間から7日間にわたって、アレルゲンの量を漸増させながら対象に曝露させる。「非常に短期間での」投与計画では、約2〜8時間にわたり、短い時間間隔、例えば30分の間隔で、アレルゲンの量を漸増させながら対象に曝露させる。曝露される前までとは例えば、一般的な花粉が飛散する季節の始まり、環境中にアレルゲンがある場所に行くことが計画された旅行、ペットを飼い始める、などである場合がある。対象は、アレルゲンに曝露されている間中、本発明のパウチや歯科衛生用品を使い続けることができる。いくつかの態様では、対象は複数の季節的なアレルゲン、例えば花粉への曝露の前に及び曝露の間中、本発明の製品を使い続けてもよい。いくつかの態様では、毎年、花粉が飛散する季節のおよそ4ヶ月前から使用を開始し、花粉が飛散する季節の間中使用を継続し(国や地域により、およそ1〜2ヶ月)、花粉が飛散する季節の終わりに使用を停止するという、季節前から使用する手段を用いる。同じ手段に従って、これを毎年花粉が飛散する季節のおよそ4ヶ月前から繰り返す。いくつかの態様では、四季を通じていつでも開始することができ(例えば、花粉が飛散する季節の少なくとも4ヶ月前に)、使用している間中は基本的に、継続して定期的に(例えば、1日1回、1週間に1回など)使用することを含む、四季を通じた手段を用いる。いくつかの態様では、季節前からの手段では、使用する全期間は3〜5年、又は連続した3〜5の季節である。いくつかの態様では、対象が本発明のパウチ又は歯科衛生用品を無期限に使い続けることも考えられる。いくつかの態様では、手段は、送達するアレルゲンの量を、維持用量レベルに達するまで一定の期間にわたって漸増させる工程を含む、誘導期を含む。 本発明の送達系や組成物はいずれも梱包してもよく、あるいは、例えば適した投与計画、量などに関する説明書と共に提供してもよい。 いくつかの態様では、本発明の医薬組成物(例えば、パウチに封入するための組成物若しくは組成物を含むパウチ、又は歯科衛生用品やチューインガム)を、医薬品の規制に関わる政府機関、例えば米国食品医薬品局や異なる自治体の相当する機関によって認可された表示と共に梱包する。 本発明はキットも提供する。キットは、(a)少なくとも1種のアレルゲンを含む組成物を含み、対象の口腔に挿入するのに適していて、かつ、口腔の前庭粘膜の表面に固定して適合しうる複数の軟質多孔性パウチと、(b)対象の少なくとも1種のアレルゲンに対する減感作に有効であり、それによって臨床症状の重篤度を低下させる投与計画を含む説明書を含む。 いくつかの態様では、本発明は、本明細書で記載した複数の軟質多孔性パウチ、一組の一般的な環境アレルゲンの、個々に含まれる複数の抽出物と、一定量の毒性のない有機増量剤と、抽出物を増量剤と混合し、軟質多孔性パウチに充填するための説明書とを含むキットを提供する。 いくつかの態様では、本発明は、当該一組の一般的な環境アレルゲンの組成が、対象の環境に基づいたものである、本明細書に記載したキットを提供する。 所望ならば、本発明のアレルゲン免疫療法製品の対象を減感作する効果を、アレルギーの症状及び/又は徴候を評価するために当該分野で知られている方法によって、評価することができる。いくつかの態様では、有効量とは、例えば、本発明の組成物や本発明の製品を使用しなかった場合に対象が経験すると予測されるか、対象がこれまでに経験した症状や発現のレベルと比較して、アレルゲンに曝露した場合に、1種以上のアレルギー症状や発現を軽減(軽減、低下など)及び/又は1種以上のアレルギー症状や発現(又は喘息やアレルギー性皮膚炎のような関連症状)が発症する可能性を低下させる量である。対象のアレルゲンに対する感受性は、例えばこれまでの場合や対象の病歴などに基づいて予測される場合と比較して、有意に低くなる。いくつかの態様では、症状の低下とは、例えばアレルギー症状に詳しい医師によって評価されるように、臨床上有意なものである。当業者は、アレルギー状態の症状や発現を理解している。一般的な(例えば大気中のアレルゲンに対する)アレルギー症状としては例えば、くしゃみ、鼻漏、鼻閉、鼻と眼の掻痒(かゆみ)、及び涙の分泌がある。症状、診断などに関する詳細は、Adkinson, NF, et al., Middleton's Allergy: Principles and Practice(ミドルトンのアレルギー:原理と実際), 7th edition (Mosby, 2008)などの標準的な教科書に記載されている。症状を、任意にアレルギーの重篤度を評価するための及び/又は、アレルギーの発現を軽減するための薬剤や方法の効果を評価するための、当該分野で公知の様々な方法のいずれかを用いて点数付けすることができる。例えばいくつかの態様では、鼻炎結膜炎症状スコア(Rhinoconjunctivitis Total Symptom Score、RTSS)、すなわち、くしゃみ、鼻漏、鼻のかゆみ、鼻閉、涙目、及び眼のかゆみの6つの症状の合計を用いる。例えば、参照により組み込まれる、Wahn U, et al., J Allergy Clin Immunol., 123(1):160-166, 2009、を参照のこと。いくつかの態様では、日本アレルギー性鼻炎照準QOL調査票(JRQLQ No. 1、Okubo上記)を用いてもよい。アレルギー症状を評価するのに適した多種多様の点数付けシステムを用いてもよいことを、当業者は分かっている。救急薬(例えば抗ヒスタミン剤)の使用を監視することができ、救急薬を使用した場合の要件の低下は、本発明の製品を使用した場合に得られる有効性の指標となる。効果を評価するための他の方法には、例えば、皮膚への曝露(例えば皮刺)、呼吸器への曝露、経口摂取などによる抗原チャレンジテストを実施し、それらに対する反応を、例えば、本発明のパウチや歯科衛生用品を使用した投与計画を開始する以前の反応と比較することがある。当業者に知られている適切な統計的検定(例えば、t検定、カイ二乗検定、ANOVA、など)を用いて、本発明の製品を使用することによって達成された統計的に有意な効果、例えば1以上の症状の低下、標準的な調査に基づく合計点の低下、救急薬の使用の低下などを示すことができる。いくつかの態様では、統計的な有意差はp値が<0.05であることを指す。いくつかの態様では、統計的な有意差はp値が<0.01であることを指す。 当業者は、慣習的な実験のみを実施するだけで、本明細書に記載した本発明の特定の態様の多くの均等物を認識又は確認することができるだろう。本発明の範囲は上述した明細書に限定することを意図するものではなく、添付の請求項に示す通りである。当然のことながら、本発明は、特定の実施例や特定の態様のいずれかによって達成された特定の結果に依存するものでは決してない。「1つ」、「1種」及び「その」のような冠詞は、そうでないことが示されていない限り、或いは文脈に証拠がない限り、1又は1以上を意味し得る。ある群の中で1以上のメンバー間に「又は」を含む請求項や記述は、そうでないことが示されていない限り、或いは文脈に証拠がない限り、1つ、1つ以上、又は群中の全てのメンバーが、示されている製品や過程に含まれている、使用されている、さもなければ関連していると見なす。本発明は、示した製品や過程に群中のただ1つのメンバーが含まれている、使用されている、さもなければ関連している態様を含む。本発明はまた、示した製品や過程に群中の1つ以上或いは全てのメンバーが含まれている、使用されている、さもなければ関連している態様を含む。さらに、当然のことながら本発明は、1以上の列挙した請求項や上述した明細書の1以上の制限、構成要素、節、記述用語などを別の請求項に導入した、全ての変化型、組み合わせ及び置換を包含する。例えば、別の請求項に従属しているいずれの請求項も、同じ基本請求項に従属している別の請求項のいずれかに含まれる1以上の構成要素、制限、節、又は記述用語を含むように変化させることができる。さらに、組成物について言及している組成物の場合には当然のことながら、別段の指定のない限り或いは矛盾や不一致が生じることが当業者に明かでない限り、本明細書で開示したいずれかの目的のためにその組成物を使用する方法が本発明の範囲に含まれ、かつ、本明細書で開示したいずれかの方法に従ってその組成物を製造する方法が本発明の範囲に含まれる。方法には、アレルギーを患っている、又はアレルギーやアレルギー反応を発症するリスクのある対象を提供する工程、対象がアレルギーを患っている、又はアレルギーやアレルギー反応を発症するリスクを有していると診断する工程、及び/又は本発明の製品や方法に適した対象を選択する工程を含んでいてもよい。 構成要素が表として示されている場合には、当然のことながら、構成要素の各下位群もまた開示され、かつ、いかなる構成要素もその群から除去することができる。簡潔にする目的で、これら態様のいくつかのみを本明細書で特に記載してきたが、本発明はそのような態様の全てを含む。当然のことながら、通常、本発明や本発明の側面が特定の構成要素や特徴などを含むと記載されている場合、本発明の特定の態様や本発明の側面はそのような構成要素や特徴などを含むか或いは本質的に含む。 範囲が示されている場合には端点も含まれる。さらに当然のことながら、別段の指定のない限り、さもなければ文脈や当業者の理解からの根拠がない限り、範囲として表された値を、そうでないことが文脈から明かでない限り、その範囲の下限の10分の1の単位までを、本発明の別の態様で示した範囲に含まれるいかなる特定の値や下位の範囲とみなすことができる。本発明の特定の態様、側面、要素、特徴などのいずれか、又はその組み合わせのいずれかを、そのような除外が本明細書に記載されていてもいなくても、1以上の請求項から明示的に除外してもよい。例えば、アレルゲンや成分などのいずれかを明示的に除外することができる。ただし出願人らは、特定のアレルゲン、成分、分類又はその組み合わせが本明細書に記載されていてもいなくても、そのようなアレルゲン、アレルゲンの分類、成分、成分の分類又はその組み合わせのいずれをも越えて請求する権利を有する。アレルゲンを入れることができる既知のパウチや先行技術で記載されているパウチに入れて使用するための歯科衛生用品、チューインガム製品、又は組成物が存在する場合には、そのような先行技術製品や組成物と当該発明を、例えば、(i)本発明の製品や組成物は、先行技術製品や組成物には含まれていない1種以上のアレルゲンを含む、(ii)本発明の製品や組成物は、先行技術組成物に含まれるのとは異なる量のアレルゲンや、異なる形態のアレルゲンを含む、(iii)本発明の製品や組成物は、先行技術製品や組成物に含まれるアレルゲンを明示的に含まない、(iv)本発明の組成物は、先行技術製品組成物には含まれない成分或いは異なる量で含まれる成分を少なくとも1種含むか、及び/又は先行技術製品や組成物に含まれている少なくとも1種の成分を含まない、のような1以上の方法で区別してもよい。 対象によって該対象の口腔内に挿入されるための、そして該口腔の前庭粘膜の表面に固定して適合しうる軟質多孔性パウチであって、少なくとも1種のアレルゲンを含む徐放放出用に製剤化された組成物を含む、軟質多孔性パウチ。 アレルゲンが花粉、イエダニ、カビ及び動物の鱗屑からなる群より選択される、請求項1に記載の軟質多孔性パウチ。 該対象がアレルギーの臨床症状を示しており、該アレルギーとの関連に基づいて1種以上のアレルゲンが選択される、請求項1に記載の軟質多孔性パウチ。 該花粉がブタクサ花粉であり、該アレルゲンがブタクサ花粉とイエダニからなる、請求項2に記載の軟質多孔性パウチ。 該徐放放出製剤が1種以上のアレルゲンを組み込んだマトリックスを含み、該マトリックスは唾液中で溶解することができ、それにより該1種以上のアレルゲンを該唾液中に放出することができ、前記マトリックスは生理学的に許容可能な賦形剤を含んでよく、該生理学的に許容可能な賦形剤はデンプン又は他の生理学的に許容可能な重合体を含んでよい、請求項1に記載の軟質多孔性パウチ。 使い捨ての単回使用パウチを含む、請求項1に記載の軟質多孔性パウチ。 一定の用量の組成物を受け入れて収容するのに適合された軟質多孔性パウチであって、該パウチに該用量を充填後は、対象によって該対象の口腔内に挿入されるのに適していて、かつ、該口腔の前庭粘膜の表面に適合することが可能になる、軟質多孔性パウチ。 対象の1種以上のアレルゲンへの感受性を下げ、アレルギー症状を軽減させるための方法であって、該アレルギーに関連する1種以上のアレルゲンを、比較的高濃度の樹状細胞を有する該口腔粘膜の領域に持続して曝露する工程を含む方法。 該口腔粘膜の領域が、前庭粘膜領域を実質的に含む、請求項8に記載の1種以上のアレルゲンに対する感受性を下げるための方法。 該口腔の前庭粘膜の表面に固定して適合しうる、少なくとも1種のアレルゲンを含む徐放放出用に製剤化された組成物を含む軟質多孔性パウチを挿入することにより持続した曝露を提供する、請求項9に記載の方法。 該1種以上のアレルゲンを含む歯科衛生用品を日常的に使用することにより、該持続した曝露を提供する、請求項8に記載の方法。 該歯科衛生用品が、歯磨き粉、練り歯磨き剤、口腔用スプレー、又は洗口剤である、請求項11に記載の方法。 a)歯磨き粉、練り歯磨き剤、洗口剤又は口腔用スプレーの基剤とb)天然型又は抽出物として提供される少なくとも1種のアレルゲンを含む、免疫寛容の発現を誘導し、同時に口内の健康を増進する、歯磨き粉、練り歯磨き剤、洗口剤、又は口腔用スプレー組成物。 該1種以上のアレルゲンを含むゲルの適用により、該持続した曝露を提供する、請求項8に記載の方法。 該ゲルを就寝直前に該前庭粘膜の表面に適用する、請求項14に記載の方法。 該1種以上のアレルゲンと、唾液に曝されて溶解する親水性の重合体を含む口内用ストリップにより該持続した曝露を提供する請求項9に記載の方法であって、該口内用ストリップを就寝直前に該前庭粘膜の表面に適用する工程をさらに含む方法。 該少なくとも1種のアレルゲンが、花粉、イエダニ、カビ及び動物の鱗屑から選択される、請求項8〜16のいずれかに記載の方法。 該花粉がブタクサ花粉であり、該少なくとも1種のアレルゲンがブタクサ花粉とイエダニを含む、請求項17に記載の方法。 対象の環境アレルゲンに対するアレルギー反応を減少させる方法であって、該アレルギー反応に関連するアレルゲンを同定する工程、該同定したアレルゲンの抽出物と毒性のない有機増量剤を混合する工程、この混合物を軟質多孔性パウチに充填する工程、及び該パウチを前庭粘膜の表面に固定されて適合するように挿入する工程を含み、該充填したパウチは対象によって該対象の口腔内に挿入されるのに適しており、かつ、該口腔の前庭粘膜の表面に固定されて適合しうる、方法。 該同定されたアレルゲンが該対象の環境に由来する、請求項19に記載の方法。 請求項3に記載の複数の軟質多孔性パウチと、該対象の該少なくとも1種のアレルゲンに対する減感作に有効で、それによって該臨床症状の重篤度を緩和する投与計画を含む説明書を含むキット。 請求項7に記載の複数の軟質多孔性パウチと、一組の一般的な環境アレルゲンの、個々に含まれる複数の抽出物と、一定量の毒性のない有機増量剤と、抽出物を該増量剤と混合し、該軟質多孔性パウチに充填するための説明書とを含むキット。 該一組の一般的な環境アレルゲンの組成が該対象の環境に基づいている、請求項22に記載のキット。 歯科衛生組成物の製造方法であって、a)前記歯科衛生組成物用の基剤を準備する工程と、b)少なくとも1種のアレルゲンと前記基剤を合わせる工程を含み、さらに(c)組成物を分配するのに適した容器に前記歯科衛生組成物を入れる工程を含むことができ、該歯科衛生用品が歯磨き粉、洗口剤、口腔用スプレー、又は練り歯磨き剤であってよい、方法。 該アレルゲンがスギ(Cryptomeria japonica)花粉アレルゲン又はそれと免疫学的に交差反応するアレルゲンを含む、請求項1、2、3、5、6、又は7のいずれかに記載の軟質多孔性パウチ。 該アレルゲンがスギ花粉アレルゲン又はそれと免疫学的に交差反応するアレルゲンを含む、請求項8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、又は24のいずれかに記載の方法。 スギ花粉アレルゲン又はそれと免疫学的に交差反応するアレルゲンを含む歯科衛生用品又はチューインガムであって、該歯科衛生用品は、歯磨き粉、洗口剤、口腔用スプレー、又は練り歯磨き剤であってよい、歯科衛生用品又はチューインガム。 該アレルゲンが草花粉アレルゲン又はそれと免疫学的に交差反応するアレルゲンを含む、請求項1、2、3、5、6、又は7のいずれかに記載の軟質多孔性パウチ。 該アレルゲンが草花粉アレルゲン又はそれと免疫学的に交差反応するアレルゲンを含む、請求項8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、又は24のいずれかに記載の方法。 草花粉アレルゲン又はそれと免疫学的に交差反応するアレルゲンを含む歯科衛生用品或いはチューインガムであって、該歯科衛生用品は、歯磨き粉、洗口剤、口腔用スプレー、又は練り歯磨き剤であってよい歯科衛生用品又はチューインガム。 口腔粘膜の領域を介して、アレルゲンに対する対象の感受性を減少させるために使用する組成物及び方法を提供する。【選択図】なし