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タイトル:特許公報(B2)_低用量ラモセトロン含有口腔内崩壊錠
出願番号:2013505264
年次:2013
IPC分類:A61K 31/4184,A61K 47/36,A61K 9/20,A61P 1/00,A61K 47/12,A61K 47/02,A61K 47/26,A61K 47/10


特許情報キャッシュ

小島 宏行 保地 毅彦 田村 哲哉 上林 敦 JP 5365949 特許公報(B2) 20130920 2013505264 20121026 低用量ラモセトロン含有口腔内崩壊錠 アステラス製薬株式会社 000006677 小野 新次郎 100140109 小林 泰 100075270 富田 博行 100096013 星野 修 100092967 中田 尚志 100133765 小島 宏行 保地 毅彦 田村 哲哉 上林 敦 JP 2011237240 20111028 20131211 A61K 31/4184 20060101AFI20131121BHJP A61K 47/36 20060101ALI20131121BHJP A61K 9/20 20060101ALI20131121BHJP A61P 1/00 20060101ALI20131121BHJP A61K 47/12 20060101ALI20131121BHJP A61K 47/02 20060101ALI20131121BHJP A61K 47/26 20060101ALI20131121BHJP A61K 47/10 20060101ALI20131121BHJP JPA61K31/4184A61K47/36A61K9/20A61P1/00A61K47/12A61K47/02A61K47/26A61K47/10 A61K 31/00−31/80 A61K 9/00− 9/72 A61K 47/00−47/48 A61P 1/00 CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特許第2807346(JP,B2) 特開2000−119175(JP,A) 特開2002−138055(JP,A) 特開2005−213244(JP,A) 18 JP2012077687 20121026 WO2013062073 20130502 18 20130205 荒巻 真介 本発明は、低用量のラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を含有してなる口腔内崩壊錠に関する。詳細には、本発明は、低用量のラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を含有する、過敏性腸症候群治療のための、吸収性が改善された口腔内崩壊錠に関する。 ラモセトロンは、化学名を(−)−(R)−5−[(1−メチル−1H−インドール−3−イル)カルボニル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ベンズイミダゾールと称する。 特許文献1には、ラモセトロン及びその製薬学的に許容される塩を含む一連のテトラヒドロベンズイミダゾール誘導体が5HT3受容体拮抗作用を有することが開示されている。当該作用に基づきシスプラチンなどの制癌剤及び放射線による嘔吐の抑制等の予防・治療の可能性が示唆され、臨床的投与量は通常成人1日あたり静注で0.1mg以上10mg以下、経口で0.5mg以上50mg以下であり、これを1回で或いは数回に分けて投与することが記載されている。 非特許文献1及び2には、抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)を効能・効果とした、塩酸ラモセトロンを0.1mg含む口腔内崩壊錠が「ナゼア(登録商標)OD錠0.1mg」として日本で販売されていることが記載されている。同口腔内崩壊錠は、塩酸ラモセトロンの他に、乳糖水和物、D−マンニトール、アスパルテーム、カンテン末、黄色三二酸化鉄及び三二酸化鉄を含有する。 特許文献2には、活性成分と乳糖及び/またはD−マンニトールからなる糖類と、固形成分に対し0.12w/w%以上1.2w/w%以下のカンテンからなる密度が400mg/ml乃至1000mg/mlである製剤取扱い上十分な強度を有する口腔内崩壊性の固形製剤に関する発明が開示されおり、その請求項4には、活性成分として(R)−5−[(1−メチル−3−インドリル)カルボニル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ベンズイミダゾールハイドロクロライド(塩酸ラモセトロン)を含む口腔内崩壊性の固形製剤に関する発明が記載されている。同固形製剤は、糖を主体とする構造体を有しており、口腔内で急速にだ液により脆弱化し、次第に崩壊もしくは溶解する。一方、糖以外の添加剤であるカンテンは、製造工程において製剤の取扱いを容易にさせるとともに、含量均一性を担保し、形状のくずれもなく、取扱い上十分な強度を有する口腔内崩壊性の固形製剤を提供するために添加されている。 特許文献3には、0.002mg以上0.02mg以下の塩酸ラモセトロン、又は0.002mg以上0.02mg以下の塩酸ラモセトロンと等モル量のラモセトロン若しくは製薬学的に許容されるその他の塩を含有する製剤が下痢型過敏性腸症候群の治療剤として有用であることが記載されている。また、特許文献3の実施例2等には、塩酸ラモセトロンを含有する口腔内崩壊錠が記載されている。 非特許文献3及び4には、下痢型過敏性腸症候群を効能・効果とした、塩酸ラモセトロンを2.5μgまたは5μg含む錠剤が「イリボー(登録商標)錠2.5μg」、「イリボー(登録商標)錠5μg」として販売されていることが記載されている。特公平6−25153号特許第2807346号特許第3763360号ナゼアOD医薬品添付文書ナゼアOD医薬品インタビューフォームイリボー錠医薬品添付文書イリボー錠医薬品インタビューフォーム 本発明の目的は、低用量のラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を含有してなる口腔内崩壊錠を提供することにある。 本発明の他の目的は、低用量のラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を含有し、下痢型過敏性腸症候群治療剤として有用な口腔内崩壊錠を提供することにある。 本発明の更に他の目的は、低用量のラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を含有し、イリボー(登録商標)錠(通常錠)と生物学的同等性を有する口腔内崩壊錠を提供することにある。 非特許文献3に記載されているように、2.5μgまたは5μgの塩酸ラモセトロンを含有するイリボー(登録商標)錠(通常錠)が下痢型過敏性腸症候群に対して使用されている。 ところで、近年、口腔内崩壊錠は水なしでも服用することができ、かつ嚥下困難な患者でも服用が比較的容易になることから、患者が薬を服用する際の利便性を高めた剤形として注目されている。 既に高用量のラモセトロンを含有する口腔内崩壊錠(ナゼアOD)では、通常錠との生物学的同等性(BE)が成立するとの知見を得ていた。ナゼアODは特許文献2に開示された口腔内崩壊錠であるが、その後、大量生産を考慮したより簡便な製造方法が選択され、他の薬剤の口腔内崩壊錠が上市されている。しかし、下痢型過敏性腸症候群の治療においては、ナゼアODよりもラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩の量が少なく、安定性が低下することが懸念される。 そのため、本発明者らは、低用量のラモセトロンを含有する口腔内崩壊錠を開発すべく、まずは製剤中における低用量の塩酸ラモセトロン(ラモセトロンとして20μg)を含み、安定性を考慮して、イリボー(登録商標)錠に含まれる同一の安定化剤を含む既知の処方(後述の製造例1)からなる口腔内崩壊錠(口腔内崩壊錠の調製方法については特許第3689104号を参照されたい。)を調製してヒトに投与したところ、意外にも通常錠(後述の製造例2と同一処方)に比してBEが成立しないことを知った。 上記BE不成立の原因を追究すべく、投与方法の影響について検討を行なった。 具体的には、既知の処方(後述の製造例1)からなる口腔内崩壊錠をイヌに経口投与(消化管移動としては胃内で崩壊・溶解し小腸に移動する経口胃内強制投与)し、また、前記口腔内崩壊錠を水に分散した懸濁液をイヌに経口投与(消化管移動としては口腔内で崩壊・溶解して、食道を通過し胃及び小腸に移動する口腔内投与)し、通常錠とのPharmacokinetics Parametersを比較検討した。 その結果、Cmaxは、通常錠と口腔内崩壊錠を経口投与(経口胃内強制投与)した方法では同等であり、口腔内崩壊錠を懸濁液として経口投与(口腔内投与)した方法では通常錠に比して低下することがわかった。 一方、放射性物質(111In-DTPA)を含有する上記口腔内崩壊錠を使用してヒト口腔内からの該物質の消失クリアランスを評価したところ、口腔内崩壊錠が崩壊後も成分は口腔内に残存する傾向も観察された。 上記状況下、本発明者らは、低用量のラモセトロン口腔内崩壊錠を口腔内投与したときに、ラモセトロンのCmaxを通常錠に比して低下させない効果に着目して鋭意検討を行なった結果、意外にもナゼアOD錠(高用量のラモセトロン含有口腔内崩壊錠)に懸濁化剤として添加していたカンテン末に該作用があることを見出した。また、低用量の塩酸ラモセトロン、及びカンテン末を含有する口腔内崩壊錠は、ヒトで通常錠とBEが成立することを知見した。本発明者らは更に検討を継続した結果、本発明を完成させるに至った。 すなわち、本発明は、[1](a)0.001mg以上0.05mg以下の塩酸ラモセトロン、又は(b)0.001mg以上0.05mg以下の塩酸ラモセトロンと等モル量のラモセトロン若しくはその製薬学的に許容される塩、並びにカンテン及び/またはカンテン末を含有する口腔内崩壊錠、[2](a)0.00125mg以上0.025mg以下の塩酸ラモセトロン、又は(b)0.00125mg以上0.025mg以下の塩酸ラモセトロンと等モル量のラモセトロン若しくはその製薬学的に許容される塩を含有する、[1]に記載の口腔内崩壊錠、[3]カンテン及び/またはカンテン末の量が、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩に対して10重量%以上500000重量%以下である、[1]または[2]に記載の口腔内崩壊錠、[4]カンテン及び/またはカンテン末の量が、単位製剤あたり0.001重量%以上70重量%以下である、[1]または[2]に記載の口腔内崩壊錠、[5]下痢型過敏性腸症候群の治療のための、[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の口腔内崩壊錠、[6]イリボー(登録商標)錠2.5μgまたはイリボー(登録商標)錠5μgと生物学的同等である、[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の口腔内崩壊錠、[7]更に安定化剤を含む、[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の口腔内崩壊錠、[8]安定化剤が、ヒドロキシカルボン酸である、[7]に記載の口腔内崩壊錠、[9]ヒドロキシカルボン酸が、酒石酸、リンゴ酸、及びクエン酸からなる群から選択された1種または2種以上の物質である、[8]に記載の口腔内崩壊錠、[10]更に光安定化剤を含む、[1]乃至[9]のいずれか一つに記載の口腔内崩壊錠、[11]光安定化剤が、黄色三二酸化鉄、赤色三二酸化鉄、及び酸化チタンからなる群から選択された1種または、2種以上の物質である、[10]に記載の口腔内崩壊錠、[12]更に糖類を含む、[1]乃至[11]のいずれか一つに記載の口腔内崩壊錠、[13]糖類が、成形性の高い糖類、及び/または成形性の低い糖類である、[12]に記載の口腔内崩壊錠、[14]成形性の高い糖類が、マルトース、マルチトール、ソルビトール、及びトレハロースからなる群から選択された1種、または2種以上の物質である、[13]に記載の口腔内崩壊錠、[15]成形性の低い糖類が、乳糖、D-マンニトール、ブドウ糖、白糖、キシリトール、及びエリスリトールからなる群から選択された1種、または2種以上の物質である、[13]に記載の口腔内崩壊錠、[16](a)0.001mg以上0.05mg以下の塩酸ラモセトロン、又は(b)0.001mg以上0.05mg以下の塩酸ラモセトロンと等モル量のラモセトロン若しくはその製薬学的に許容される塩を含有する、イリボー(登録商標)錠2.5μgまたはイリボー(登録商標)錠5μgと生物学的同等性を有する口腔内崩壊錠の製造のためのカンテン及び/またはカンテン末の使用、[17]成人1人当たり1日量として0.00125mg以上0.025mg以下の塩酸ラモセトロンを投与して下痢型過敏性腸症候群を治療するために使用される口腔内崩壊錠であって、 単位製剤当たり、0.00125mg以上0.025mg以下の塩酸ラモセトロン、カンテン及び/またはカンテン末、D-マンニトール、並びにマルトースを少なくとも含有する、口腔内崩壊錠、を提供する。 本発明は、低用量のラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を含有し、下痢型過敏性腸症候群治療剤として有用な口腔内崩壊錠を提供することができる。また、本発明は、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を含有し、塩酸ラモセトロンを含有する通常錠と生物学的同等性を有する口腔内崩壊錠を提供することができる等の効果を奏する。 以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。 本明細書において、「低用量」とは、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を含有し、用量が低い(小さい)ことを意味する。具体的には、ナゼアの用量である0.1mgより低い(小さい)ことを意味する。 本明細書において、「口腔内崩壊錠」とは、口腔内で崩壊、または崩壊・溶解する錠剤を意味する。口腔内崩壊時間として、例えば水を摂取せずに錠剤を服用した場合、口腔内で実質的に唾液のみにより3分以内、別の態様として2分以内、他の態様として1分以内、更なる態様として45秒以内に崩壊する錠剤、またはその他錠剤に類する製剤、と規定される。なお、「口腔内崩壊錠」には、実際には「口腔内崩壊錠」であるが、用法として経口投与と記載される錠剤も含まれる。実施態様として経口胃内強制投与と記載される錠剤も含まれる。 本明細書において、「通常錠」とは、消化管移動としては、例えば、水などの液体とともに経口投与した後に胃で崩壊・溶出する錠剤を意味する。なお、塩酸ラモセトロンを2.5μg、又は5μg含有する「イリボー(登録商標)錠」は「通常錠」である。 本明細書において、「生物学的同等」とは、in vivo試験において、被試験製剤の対照製剤(例えば通常錠)に対するラモセトロンのAUC及びCmaxの幾何学平均値の比が、それぞれ0.80以上1.25以下(80%以上125%以下)であると規定する。 ラモセトロン及びその製薬学的に許容される塩は特許文献1に記載された製法により、或いはそれに準じて容易に入手可能である。 ラモセトロンの製薬的に許容される塩としては、具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸などとの鉱酸塩、酢酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの有機酸との塩、グルタミン酸、アスパラギン酸などの酸性アミノ酸との塩が挙げられる。中でも、市販されている塩酸ラモセトロンが好ましい。これらの塩は、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。 本発明の口腔内崩壊錠は、一錠(単位製剤)当たり0.001mg以上0.05mg以下、または0.00125mg以上0.025mg以下、または0.00125mg以上0.005mg以下、または0.002mg以上0.005mg以下、または0.00125mg、または0.0025mg、または0.005mg、または0.0226mgのラモセトロン若しくはその製薬学的に許容される塩を含有することができる。または、単位製剤あたりのラモセトロン又はその製薬学的に許容される塩の含有量を0.0001重量%以上0.01重量%以下とすることができる。 ラモセトロン又はその製薬学的に許容される塩の投与量は、投与ルート、疾患の症状、投与対象の年齢、人種、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。 下痢型過敏性腸症候群の治療のためには、本発明の口腔内崩壊錠を用いて、一日当たり0.001mg以上0.05mg以下の塩酸ラモセトロンと等モル量のラモセトロン若しくはその製薬学的に許容される塩を投与することができる。塩酸ラモセトロンでは、成人1人当たり1日量として0.001mg以上0.05mg以下、好ましくは0.00125mg以上0.025mg以下、または0.0025mg以上0.01mg以下、または0.005mg以上0.01mg以下を投与することができる。1日1回食後に投与することが好ましい。 本発明の口腔内崩壊錠は、カンテン及び/またはカンテン末を含有する。 カンテン(寒天)はガラクトースを基本骨格とする多糖類からなり、中性のゲル化能に富むアガロースとイオン性のゲル化能を持たないアガロペクチンに分類される。アガロースの繰り返し単位であるアガロビオースの構造は1、3位で結合したβ-D-ガラクトピラノースと1、4位で結合した3,6アンヒドロ-α-L-ガラクトビラノースからなる。アガロペクチンはカンテン及び/またはカンテン末中のアガロース以外のイオン性の多糖類を全て含み、その構造はアガロースと同じ結合様式をしているが、部分的に硫酸エステル、メトキシル基、ピルビン酸基、カルボキシル基を含む。カンテン及び/またはカンテン末の分子量は海藻から抽出される時の加水分解の程度により異なるが、一般的には数千以上数万以下である。 カンテン末は、カンテンを粉末化したものであり、形状、粒子径等特に制限されない。 本発明に用いられるカンテン及び/またはカンテン末は、1種または2種組み合わせて使用することができる。 本発明の口腔内崩壊錠におけるカンテン及び/またはカンテン末の含有量としては、製薬学的に添加できる量であれば、特に制限はない。例えば、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩の重量に対して10重量%以上500000重量%以下、他の態様として100重量%以上36000重量%以下、更なる態様として200重量%以上18000重量%以下、または1000重量%以上5000重量%以下のカンテン及び/またはカンテン末を用いることができる。他の態様として、カンテン及び/またはカンテン末の含有量を、単位製剤あたり0.001重量%以上70重量%以下、他の態様として0.01重量%以上30重量%以下、更なる態様として0.05重量%以上10重量%以下にすることができる。 本発明の口腔内崩壊錠には、所望によりさらに各種医薬添加剤が適宜配合され、製剤化される。かかる医薬添加剤としては、製薬的に許容され、かつ薬理的に許容されるものであれば特に制限されない。具体的には、例えば、賦形剤、安定化剤、結合剤、崩壊剤、酸味料、発泡剤、人工甘味料、香料、滑沢剤、着色剤、緩衝剤、抗酸化剤、界面活性剤などが挙げられる。 賦形剤としては、例えば、D-マンニトール、乳糖水和物などが挙げられる。 安定化剤としては、例えば、カルボニル基を有する化合物であって、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を安定化させるものである。カルボニル基を有する化合物として具体的には、脂肪族カルボン酸(詳細には、飽和または不飽和で、直鎖状または分枝状の脂肪族モノ−、ジ−またはトリ−カルボン酸。特に、炭素数が3〜36の脂肪族カルボン酸)またはそのエステル、ヒドロキシカルボン酸(詳細には、飽和または不飽和で、直鎖状または分枝状の脂肪族ヒドロキシモノ−、ジ−またはトリ−カルボン酸。特に、炭素数が3〜36のヒドロキシカルボン酸)またはそのエステル、酸性アミノ酸、エノール酸、芳香族カルボキシル化合物(詳細には、炭素数1乃至4個のアルキル基やヒドロキシ基が置換していてもよい芳香族モノ−、ジ−またはトリ−カルボン酸。特に、炭素数が7〜20の芳香族カルボン酸)またはそのエステル、カルボキシル基を有する高分子物質が挙げられ、これらの化合物は1種または2種以上組合せて適宜使用することができる。とりわけ、カルボニル基を有する特定の化合物としては、ヒドロキシカルボン酸またはそのエステル、カルボキシル基を有する高分子物質、芳香族カルボキシル化合物またはそのエステルや、エノール酸が好ましく、特にヒドロキシカルボン酸またはそのエステル、カルボキシル基を有する高分子物質や、芳香族カルボキシル化合物またはそのエステルが好適であり、至適にはヒドロキシカルボン酸またはそのエステル、カルボキシル基を有する高分子物質がより好ましい。脂肪族カルボン酸としては好ましくは、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸である。ヒドロキシカルボン酸として、好ましくは酒石酸、リンゴ酸、クエン酸であり、更に好ましくは酒石酸、クエン酸である。更に好ましくはクエン酸である。酸性アミノ酸として好ましくは、グルタミン酸やアスパラギン酸である。芳香族カルボキシル化合物として好ましくは、フタル酸、没食子酸プロピルであり、更に好ましくは没食子酸プロピルである。カルボキシル基を有する高分子物質として好ましくは、カルボキシメチルセルロースやアルギン酸であり、更に好ましくは、カルボキシメチルセルロースである。また、エノール酸として好ましくは、アスコルビン酸やエリソルビン酸であり、更に好ましくは、アスコルビン酸である。上記のカルボニル化合物には、クエン酸水和物あるいはクエン酸無水物のように、水和物や結晶水を持たない無水物も本発明の安定化効果を発揮することが解明されており、水和物、無水物、あるいはこれらの混合物のいずれも含まれる。また、高分子物質の重合度、分子量などは特に限定されるものではないが、カルボキシメチルセルロースでは、特に重量平均分子量が約11万程度、アルギン酸では約20万程度のものが好ましい。 結合剤としては、例えば、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、マルトースなどが挙げられる。 崩壊剤としては、例えばトウモロコシデンプン、バレイショデンプン、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。 酸味料としては、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。 発泡剤としては、例えば重曹などが挙げられる。 人工甘味料としては、例えばサッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどが挙げられる。 香料としては、例えばレモン、レモンライム、オレンジ、メントールなどが挙げられる。 滑沢剤としては、例えば軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸などが挙げられる。 着色剤としては、例えば黄色三二酸化鉄、赤色三二酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化チタン、食用黄色4号、5号、食用赤色3号、102号、食用青色3号などが挙げられる。中でも黄色三二酸化鉄、赤色三二酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化チタンは光安定化剤としても挙動する。好ましい光安定化剤は、黄色三二酸化鉄、赤色三二酸化鉄である。 緩衝剤としては、クエン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、アスコルビン酸またはその塩類、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニンまたはその塩類、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸、ホウ酸またはその塩類などが挙げられる。 抗酸化剤としては、例えばアスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピルなどが挙げられる。 界面活性剤としては、例えばポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。 医薬添加剤は、1種または2種以上組み合わせて適宜適量添加することが出来る。 安定化剤の配合量は、ラモセトロンまたは製薬学的に許容される塩を安定化させる量であれば制限されない。例えば、単位製剤あたり0.01重量%以上90重量%以下であり、好ましくは0.01重量%以上50重量%であり、更に好ましくは0.1重量%以上10重量%以下である。 光安定化剤の配合量は、着色剤の種類や添加方法によって適量決定する。例えば、組成物全体に対して通常0.1〜20重量%であり、好適には0.2〜10重量%であり、更に好適には0.2〜5重量%である。 他添加剤についても、本発明の所望の効果が達成される量で使用される。 口腔内崩壊錠は、一般に鋳型タイプ、湿製タイプ、通常打錠タイプに大別されるが、本発明の口腔内崩壊錠は、いずれのタイプであってもよい。鋳型タイプの口腔内崩壊錠は、例えば特許第2807346号明細書(米国対応特許第5466464号明細書)にも開示されているように、賦形剤等の溶液または懸濁液を鋳型に充填し、乾燥して製造することができる。 鋳型タイプの口腔内崩壊錠は、例えば、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩、及びカンテンまたはカンテン末、並びに、必要に応じて配合される各種医薬添加剤を含む溶液または懸濁液をPTPポケットに充填後、凍結乾燥、減圧乾燥、低温乾燥などの方法により水分を除去して製造することができる。 湿製タイプの口腔内崩壊錠は特許3069458号明細書(米国対応特許第5501861号明細書、米国対応特許第5720974号明細書)に示されているように、糖類等の賦形剤を湿潤させ、低圧で打錠した後、乾燥して製造するものである。従って、例えば、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩、糖類などの賦形剤、並びにカンテン及び/またはカンテン末を少量の水あるいは水とアルコールの混液で湿潤させ、この湿潤混合物を低い圧力で成形後、乾燥させ製造することができる。 通常打錠タイプの場合は、国際公開第WO95/20380号パンフレット(米国対応特許第5576014号明細書)、国際公開第WO2002/92057号パンフレット(米国対応特許出願公開第2003/099701号明細書)、特開平10-182436号公報(米国対応特許第5958453号明細書)、特開平9-48726号公報特開平8-19589号公報(米国対応特許第5672364号明細書)、特許2919771号、特許3069458号(米国対応特許第5501861号明細書、米国対応特許第5720974号明細書)、国際公開第WO2008/032767号パンフレット(米国対応特許出願公開第2008/0085309号明細書)に開示されているように、通常の打錠工程を経て調製するものである。 通常打錠タイプの口腔内崩壊錠を調製するには、例えば、国際公開第WO95/20380号パンフレット(米国対応特許第5576014号明細書)、特許2919771号明細書に開示されているように、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩、カンテン及び/またはカンテン末、並びに成形性の低い糖類などの賦形剤とを、成形性の高い糖類または水溶性高分子の溶液または懸濁液を用いて造粒後、この造粒物を圧縮成形して圧縮成形物とするか、さらに該圧縮成形物を加湿乾燥して口腔内崩壊錠を製造することができる。また、国際公開第WO99/47124号パンフレット(米国対応特許第6589554号明細書)に示されているような通常打錠タイプの口腔内崩壊錠を調製するには、例えば、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩、カンテン及び/またはカンテン末、並びにD-マンニトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール等の糖類と、非晶質の糖類を用いて圧縮成形後、加湿乾燥して口腔内崩壊錠を製することができる。さらに、国際公開第WO2002/92057号パンフレット(米国対応特許出願公開第2003/099701号明細書)に開示されているような通常打錠タイプの口腔内崩壊錠を調製するには、例えば、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩、カンテン及び/またはカンテン末、並びに賦形剤と、前記賦形剤等よりも相対的に「融点の低い糖類」との混合物を圧縮成形後、加熱して、融点の低い糖類が溶融して固化することにより架橋を形成して口腔内崩壊錠を調製することができる。このような加湿乾燥あるいは加熱処理により、口腔内崩壊錠の錠剤強度を向上させることができる。さらに、国際公開第WO2008/032767号パンフレット(米国対応特許出願公開第2008/0085309号明細書)に開示されているような通常打錠タイプの口腔内崩壊錠を調製するには、例えば、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩、カンテン及び/またはカンテン末、並びに賦形剤と、α化度が30%以上60%以下である加工したデンプン類との混合物を圧縮成形して口腔内崩壊錠を調製することができる。 本発明の口腔内崩壊錠に用いられる賦形剤としては、一般的な賦形剤も使用できるが、特に製薬学的に許容される糖類を用いるのが好ましく、糖類の成形性を利用する技術においては成形性の低い糖類、糖類の結晶/非晶質性と加湿乾燥による錠剤強度の向上技術を用いるときは結晶性の糖類、糖類の溶融固化物による架橋化技術を使用する場合は、一般的な賦形剤の他、融点の高い糖類が使用することができる。 ここで「成形性の低い糖類」とは、例えば糖類150mgを直径8mmの杵を用いて打錠圧10kg/cm2以上50kg/cm2以下で打錠したとき、錠剤の硬度が0kp以上2kp以下を示すものを意味し、また「成形性の高い糖類」とは同様の方法による硬度が、2kp以上を示すものを意味する。成形性の低い糖類は、医薬的に許容されるものであり、例えば乳糖、D-マンニトール、ブドウ糖、白糖、キシリトール、エリスリトール等を挙げることが出来る。これらの1種または2種以上を適宜組み合わせて用いることも可能である。成形性の高い糖類は、医薬的に許容されるものであり、例えばマルトース、マルチトール、ソルビトール、オリゴ糖、トレハロース等を挙げることが出来る。かかる糖類についても、1種または2種以上を適宜組み合わせて用いることも可能である。 「非晶質の糖類」は、医薬的に許容されるものであり、例えばラクトース、白糖、ブドウ糖、ソルビトール、マルトース、トレハロース等が挙げられ、これらの糖類も1種または2種以上を適宜組み合わせて用いることも可能である。 また、「融点の低い糖類」は、医薬的に許容されるものであり、例えばキシリトール、トレハロース等を挙げることが出来る。かかる糖類についても、1種または2種以上を適宜組み合わせて用いることも可能である。口腔内崩壊錠用結合剤としては、マルチトール、コポリビドン等を挙げることが出来る。かかる結合剤についても、1種または2種以上を適宜組み合わせて用いることも可能である。 成形性の高い糖類に代えて水溶性高分子を使用するときは、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、ポリビニルアルコール、アラビアゴム末、ゼラチン、プルランなどが好適である。 また、「α化」とは、デンプンに物理的処理を加えることで分子間に水が入り込んで膨潤化(糊化)することを意味し、α化度が増加するとα化が進んだことになる。加工したデンプンとして、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、タピオカデンプン等を挙げることができる。 本発明の口腔内崩壊錠に用いられる賦形剤の配合量は、適宜調整されるが、例えば通常1錠当たり20mg以上1000mg以下、他の態様として50mg以上900mg以下、更なる態様として70mg以上800mg以下、更に別の態様として35mg以上400mg以下である。 また、成形性の高い糖類、水溶性高分子、非晶質の糖類、融点の低い糖類の配合量は、個々の技術によって相違点はあるが、賦形剤の重量に対して0.5重量%以上40重量%以下が好ましく、他の態様として2重量%以上30重量%以下であり、更なる態様として5重量%以上20重量%以下であるか、製剤全体に対し1重量%以上20重量%以下が好適である。 以下に本発明の口腔内崩壊錠の製造方法に関して説明する。 カンテン及び/またはカンテン末の添加のタイミングについては、本発明の所望の効果が達成される製剤を製造できるタイミングであれば特に制限されない。好適には粉砕工程、混合工程、または造粒工程である。 粉砕工程 粉砕方法としては、通常製薬学的に粉砕する方法であれば、装置・手段とも特に制限されない。粉砕装置としては、例えば、ハンマーミル、ボールミル、ジェットミルなどが挙げられる。粉砕条件は適宜選択されれば特に制限されない。 混合工程 混合方法としては、通常製薬学的に各成分を均一に混合する方法であれば、装置・手段とも特に制限されない。混合装置としては、例えば、V型混合機、リボン型混合機、コンテナミキサー、高速攪拌混合機などが挙げられる。混合条件は適宜選択されれば特に制限されない。 造粒工程 造粒機として、例えば流動層造粒機等が挙げられる。造粒方法として、例えば、流動層造粒法、溶融造粒法、高速攪拌造粒法、解砕(粉砕)造粒法、押出造粒法、転動造粒法、噴霧造粒法、乾式造粒法などが挙げられる。他の態様として流動層造粒法である。 ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩の量が微量なので、結合剤液に薬物を溶解させ噴霧する方法を採用してもよい。例えば、当該方法としては、薬物安定化のためにクエン酸を結合剤液に溶解させる方法等が挙げられる(クエン酸によるラモセトロンの安定化についてはWO2004/066998を参照されたい)。 結合剤液は、結合剤を水、エタノール、メタノール等の溶媒に溶解または分散して調製される。またこれらの溶媒を適宜混合し用いることも可能である。 噴霧液の調製条件は適宜選択されれば特に制限されない。 造粒後に乾燥することもできる。乾燥方法は、通常製薬学的に乾燥する方法であれば特に制限されない。例えば、通風乾燥や減圧乾燥が挙げられる。 成形工程 成形工程では、造粒品、または造粒品に各種医薬添加剤を混合した混合品をカプセルに充填してカプセル剤としたり、回転式打錠機を用いて圧縮成形し、錠剤とすることができる。 圧縮工程としては、本発明の医薬組成物を成形する方法であれば、装置、手段とも特に制限されない。具体的には、例えば、薬物と適当な医薬添加剤を混合後に圧縮成形し錠剤を得る直接打錠法、造粒品に更に滑沢剤を混合した後に圧縮成形し錠剤を製する方法が挙げられる。 打錠装置としては、例えば回転式打錠機、単発打錠機、オイルプレスなどが挙げられる。打錠圧などの打錠条件としては、錠剤を成形でき、製造工程中に錠剤が破損しない打錠圧であれば特に制限されない。 加湿、乾燥工程 国際公開第WO95/20380号パンフレット(米国対応特許第5576014号明細書)に記載のように、成形性の低い糖類を用いて口腔内崩壊錠を製造した場合、調製した成形物の硬度を高めるために、加湿、乾燥の工程を採用することができる。「加湿」は、含まれる糖類の見かけの臨界相対湿度により決定されるが、通常その臨界相対湿度以上に加湿する。例えば、湿度として30RH%以上100RH%以下であり、他の態様として50RH%以上90RH%以下である。このときの温度は15℃以上50℃以下であることが好ましく、他の態様として20℃以上40℃以下である。処理時間は1時間以上36時間以下であり、他の態様として12時間以上24時間以下である。「乾燥」は、加湿により吸収した水分を除去する工程であれば特に限定されない。例えば乾燥の温度条件として、10℃以上100℃以下を設定でき、他の態様として20℃以上60℃以下、更なる態様として25℃以上40℃以下を設定することができる。処理時間は、0.5時間以上6時間以下とすることができ、他の態様として1時間以上4時間以下とすることができる。 また、例えば、国際公開第WO2002/92057号パンフレット(米国対応特許出願公開第2003/099701号明細書)に記載のように、融点の高い賦形剤と低い糖類を用いて口腔内崩壊錠を製造した場合、調製した成形物の硬度を高めるために、加熱の工程を採用することも出来る。「加熱」は、含まれる融点の低い糖類の融点により決定されるが、通常融点の低い糖類の融点以上で融点の高い賦形剤の融点未満の温度に加熱する。処理時間は、0.5分以上120分以下とすることができ、他の態様として1分以上60分以下とすることができる。 本発明の口腔内崩壊錠では、カンテン及び/またはカンテン末が使用される。これにより、通常錠と生物学的同等性を有する口腔内崩壊錠を提供することができる。これは、カンテン及び/またはカンテン末が、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩の口腔内または食道における移動速度遅延や吸収遅延を抑制する機能を有するためではないかと考えられる。 以下、製造例、及び実験例をあげて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。 ラモセトロンは、特公平6‐25153号実施例44等に記載の方法により製造したものを使用した。 <製剤の調製> 製造例1 塩酸ラモセトロン 0.01883部(0.0226mg) D−マンニトール 87.8部(105.3374mg) 無水クエン酸 0.2部(0.24mg) マルトース 10部(12.0mg) 赤色三二酸化鉄 1部(1.20mg) ステアリン酸マグネシウム 1部(1.20mg) 6,000錠製造するため、マルトース(サンマルトS、三和澱粉工業製、以下特に記載が無い場合は同様のものを用いた。)7部、塩酸ラモセトロン0.01883部及び無水クエン酸(日本薬局方クエン酸、小松屋化学製、以下特に記載が無い場合は同様のものを用いた。)0.2部を水40部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解して噴霧液を調製した。つぎにD-マンニトール(Pearlitol 50C、ロケット製、以下特に記載が無い場合は同様のものを用いた。)8部、マルトース3部、赤色三二酸化鉄(三二酸化鉄S、癸巳化成製、以下特に記載が無い場合は同様のものを用いた。)1部を混合粉砕した後、D-マンニトール79.8部と共に流動層造粒機(FLOW COATER、フロイント製)に仕込み、前記噴霧液を噴霧することにより流動層造粒した。造粒後、この造粒物を製品温度が40℃になるまで乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム(Parteck LUB MST、Merck製、以下特に記載が無い場合は同様のものを用いた。)1部を混合した。該混合粉末を、ロータリー打錠機(X-20、畑鉄工所製)を用いて一錠当たり120mgで打錠し、初期硬度約10Nを有する錠剤とした。該錠剤を25℃、相対湿度62%で15時間保存した後、30℃で3時間保存し、比較例の塩酸ラモセトロン22.6μg含有口腔内崩壊錠を得た。 製造例2 塩酸ラモセトロン 0.0226部(0.0226mg) 無水クエン酸 0.5部(0.5mg) ヒドロキシプロピルセルロース 3部(3.0mg) 結晶セルロース 86部(86.0mg) 低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 10部(10.0mg) ステアリン酸マグネシウム 0.5部(0.5mg) 6,000錠製造するため、塩酸ラモセトロン0.0226部、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-SL、日本曹達製、以下特に記載が無い場合は同様のものを用いた。)3部及び無水クエン酸0.5部を水27部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解して噴霧液を調製した。つぎに結晶セルロース(セオラスPH302、旭化成製、以下特に記載が無い場合は同様のものを用いた。)86部、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC,LH31、信越化学工業製、以下特に記載が無い場合は同様のものを用いた。)10部を流動層造粒機(FLOW COATER、フロイント製)に仕込み、前記噴霧液を噴霧することにより流動層造粒した。造粒後、この造粒物を乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム0.5部を混合した。該混合粉末を、ロータリー打錠機(X-20、畑鉄工所製)を用いて一錠当たり100mgで打錠し、比較例の塩酸ラモセトロン22.6μg含有通常錠を得た。 製造例3 塩酸ラモセトロン 0.0028部(0.005mg) D−マンニトール 87.9部(158.215mg) 無水クエン酸 0.2部(0.36mg) マルトース 10部(18.0mg) カンテン末 0.1部(0.18mg) 赤色三二酸化鉄 0.8部(1.44mg) ステアリン酸マグネシウム 1部(1.80mg) 100,000錠製造するため、マルトース7部、塩酸ラモセトロン0.0028部及び無水クエン酸0.2部を水28部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解して噴霧液を調製した。つぎにD-マンニトール8部、マルトース3部、赤色三二酸化鉄0.8部、カンテン(ウルトラカンテンAX200F、伊那食品工業、以下特に記載が無い場合は同様のものを用いた。)末0.1部をサンプルミル(ホソカワミクロン製)により混合粉砕した後、D-マンニトール79.9部と共に流動層造粒機(GPCG15、グラット製)に仕込み、前記噴霧液を噴霧することにより流動層造粒した。造粒後、この造粒物を製品温度が40℃になるまで乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム1部を混合した。該混合粉末を、ロータリー打錠機(X-20、畑鉄工所製)を用いて一錠当たり180mgで打錠し、初期硬度約10Nを有する錠剤とした。該錠剤を25℃、相対湿度62%で15時間保存した後、30℃で3時間保存し、本発明の塩酸ラモセトロン5μg含有口腔内崩壊錠を得た。 製造例4 塩酸ラモセトロン 0.005部(0.005mg) 無水クエン酸 0.5部(0.5mg) ヒドロキシプロピルセルロース 3部(3.0mg) 結晶セルロース 86部(86.0mg) 低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 10部(10.0mg) ステアリン酸マグネシウム 0.5部(0.5mg) 6,000錠製造するため、塩酸ラモセトロン0.005部、ヒドロキシプロピルセルロース3部及び無水クエン酸0.5部を水27部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解して噴霧液を調製した。つぎに結晶セルロース86部、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース10部を流動層造粒機(FLOW COATER、フロイント製)に仕込み、前記噴霧液を噴霧することにより流動層造粒した。造粒後、この造粒物を乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム0.5部を混合した。該混合粉末を、ロータリー打錠機(X-20、畑鉄工所製)を用いて一錠当たり100mgで打錠し、比較例の塩酸ラモセトロン5μg含有通常錠を得た。 製造例5 塩酸ラモセトロン 0.0028部(0.005mg) D−マンニトール 87.9部(158.215mg) 無水クエン酸 0.2部(0.36mg) マルトース 10部(18.0mg) カンテン末 0.1部(0.18mg) 赤色三二酸化鉄 0.5部(0.90mg) 黄色三二酸化鉄 0.3部(0.54mg) ステアリン酸マグネシウム 1部(1.80 mg) 170,000錠製造するため、マルトース7部、塩酸ラモセトロン0.0028部及び無水クエン酸0.2部を水28部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解して噴霧液を調製した。つぎにD-マンニトール8部、マルトース3部、赤色三二酸化鉄0.5部、黄色三二酸化鉄(黄色三二酸化鉄S、癸巳化成製、以下特に記載が無い場合は同様のものを用いた。)0.3部、カンテン末0.1部をサンプルミル(ホソカワミクロン製)により混合粉砕した後、D-マンニトール79.9部と共に流動層造粒機(GPCG30、グラット製)に仕込み、前記噴霧液を噴霧することにより流動層造粒した。造粒後、この造粒物を製品温度が40℃になるまで乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム1部を混合した。該混合粉末を、ロータリー打錠機(X-20、畑鉄工所製)を用いて一錠当たり180mgで打錠し、初期硬度約10Nを有する錠剤とした。該錠剤を25℃、相対湿度62%で15時間保存した後、30℃で3時間保存し、本発明の塩酸ラモセトロン5μg含有口腔内崩壊錠を得た。 製造例6 製造例3の混合粉末を、ロータリー打錠機(X-20、畑鉄工所製)を用いて一錠当たり90mgで打錠し、初期硬度約10Nを有する錠剤とした。該錠剤を25℃、相対湿度62%で15時間保存した後、30℃で3時間保存し、本発明の塩酸ラモセトロン2.5μg含有口腔内崩壊錠を得た。 製造例7 塩酸ラモセトロン 0.00139部(0.00125mg) D−マンニトール 87.9部(79.1088mg) 無水クエン酸 0.2部(0.18mg) マルトース 10部 (9.0mg) カンテン末 0.1部(0.09mg) 赤色三二酸化鉄 0.5部(0.45mg) 黄色三二酸化鉄 0.3部(0.27mg) ステアリン酸マグネシウム 1部(0.90mg) 200,000錠製造するため、マルトース7部、塩酸ラモセトロン0.00139部及び無水クエン酸0.2部を水28部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解して噴霧液を調製した。つぎにD-マンニトール8部、マルトース3部、赤色三二酸化鉄0.5部、黄色三二酸化鉄0.3部、カンテン末0.1部をサンプルミル(ホソカワミクロン製)により混合粉砕した後、D-マンニトール79.9部と共に流動層造粒機(GPCG15、グラット製)に仕込み、前記噴霧液を噴霧することにより流動層造粒した。造粒後、この造粒物を製品温度が40℃になるまで乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム1部を混合した。該混合粉末を、ロータリー打錠機(X-20、畑鉄工所製)を用いて一錠当たり90mgで打錠し、初期硬度約10Nを有する錠剤とした。該錠剤を25℃、相対湿度62%で15時間保存した後、30℃で3時間保存し、本発明の塩酸ラモセトロン1.25μg含有口腔内崩壊錠を得た。 <評価> 実験例1 製造例2で製造した塩酸ラモセトロン22.6μg含有通常錠を水50mLとともに18時間以上絶食したビーグル犬に経口胃内強制投与した。なお、錠剤の経口胃内強制投与30分前、30分及び90分後にペンタガストリン(0.015 mg/kg)を静脈内投与し、ビーグル犬の胃内pHが酸性となるように処置した。経口胃内強制投与後、経時的に採血し遠心分離により得られた血漿中ラモセトロン濃度を測定した。結果を表1に示す。 実験例2 製造例1で製造した塩酸ラモセトロン22.6μg含有口腔内崩壊錠を水50mLとともに18時間以上絶食したビーグル犬に経口胃内強制投与した。なお、錠剤の経口胃内強制投与30分前、30分及び90分後にペンタガストリン(0.015 mg/kg)を静脈内投与し、ビーグル犬の胃内pHが酸性となるように処置した。経口胃内強制投与後、経時的に採血し遠心分離により得られた血漿中ラモセトロン濃度を測定した。結果を表1に示す。 実験例3 製造例1で製造した塩酸ラモセトロン22.6μg含有口腔内崩壊錠を注射用シリンジに水2mLとともに入れた後、ポンピングにより均一に分散させた。該懸濁液を18時間以上絶食したビーグル犬に口腔内投与した。なお、錠剤の口腔内投与30分前、30分及び90分後にペンタガストリン(0.015 mg/kg)を静脈内投与し、ビーグル犬の胃内pHが酸性となるように処置した。口腔内投与後、経時的に採血し遠心分離により得られた血漿中ラモセトロン濃度を測定した。結果を表1に示す。 実験例4 カンテン末懸濁液(0.05mg/mL)を調製した。次に製造例1で製造した塩酸ラモセトロン22.6μg含有口腔内崩壊錠を注射用シリンジに上記カンテン末懸濁液2mLとともに入れた後、ポンピングにより均一に分散させた。該懸濁液を18時間以上絶食したビーグル犬に口腔内投与した。なお、錠剤の口腔内投与30分前、30分及び90分後にペンタガストリン(0.015 mg/kg)を静脈内投与し、ビーグル犬の胃内pHが酸性となるように処置した。口腔内投与後、経時的に採血し遠心分離により得られた血漿中ラモセトロン濃度を測定した。結果を表1に示す。 実験例1では、AUCが323±92pg・h/mL、Cmaxが156±51pg/mLであった。 実験例2では、AUCが338±66、Cmaxが153±53となり、それぞれの幾何学平均値の比(GMR、実験例1を比較対照)は、0.98(98%)、1.07(107%)とBEのクライテリアを満たした。 実験例3では、AUCが262±57、Cmaxが116±28となり、それぞれの幾何学平均値の比(GMR、実験例1を比較対照)は、0.77(77%)、0.82(82%)とBEのクライテリアを満たさなかった。 実験例4では、AUCが319±37、Cmaxが139±20となり、それぞれの幾何学平均値の比(GMR、実験例1を比較対照)は、0.94(94%)、1.02(102%)とBEのクライテリアを満たした。 実験例2において、口腔内崩壊錠をイヌに経口胃内強制投与した際のAUC、Cmaxはともに実験例1のAUC、Cmaxと同等であり、生物学的に同等であった。一方、実験例3において、製造例1で製造した口腔内崩壊錠を水に分散した懸濁液をイヌに口腔内投与した結果、AUCは、通常錠よりも低下し生物学的同等性のクライテリアを満たさなかった。実験例3では、ラモセトロンの移動経路として口腔内、食道が含まれている点で実験例2と異なることから、口腔内または食道におけるラモセトロンの移動速度遅延や吸収低下に影響を及ぼしたと考えられる。一方、実験例4により、カンテン末含有口腔内崩壊錠を口腔内投与した際のAUC及びCmaxは、通常錠と同等であった。これは、カンテン末が口腔内または食道におけるラモセトロンの移動速度遅延や吸収低下を抑制したためと考えられる。 実験例5 製造例4で製造した塩酸ラモセトロン5μg含有通常錠を水50mLとともに18時間以上絶食したビーグル犬に経口胃内強制投与した。なお、錠剤の口腔内投与30分前、30分及び90分後にペンタガストリン(0.015 mg/kg)を静脈内投与し、ビーグル犬の胃内pHが酸性となるように処置した。経口胃内強制投与後、経時的に採血し遠心分離により得られた血漿中ラモセトロン濃度を測定した。結果を表2に示す。 実験例6 製造例3で製造したカンテン末入り塩酸ラモセトロン5μg含有口腔内崩壊錠を注射用シリンジに水2mLとともに入れた後、ポンピングにより均一に分散させた。該懸濁液を18時間以上絶食したビーグル犬に口腔内投与した。なお、錠剤の口腔内投与30分前、30分及び90分後にペンタガストリン(0.015 mg/kg)を静脈内投与し、ビーグル犬の胃内pHが酸性となるように処置した。口腔内投与後、経時的に採血し遠心分離により得られた血漿中ラモセトロン濃度を測定した。結果を表2に示す。 実験例5では、AUCが30.3±15.7pg・h/mL、Cmaxが17.1±6.0pg/mLであった。 実験例6では、AUCが30.0±7.5、Cmaxが14.7±3.4となり、それぞれの幾何学平均値の比(GMR、実験例5を比較対照)は、0.89(89%)、1.12(112%)とBEのクライテリアを満たした。 以上より、カンテン末を含むことによってラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を含有する口腔内崩壊錠は通常錠とのBEを達成した。 実験例7 製造例5で製造したカンテン末含有塩酸ラモセトロン5μg含有口腔内崩壊錠、及びイリボー錠5μg(市販品、通常錠)をヒトへ口腔内投与したところ、AUC、Cmaxの幾何学平均値の比は80%以上125%以下となった。以上より、製造例5で製造した口腔内崩壊錠は通常錠とBEを達成した。 本発明によれば、低用量のラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を含有してなる吸収性が改善され、通常錠と生物学的同等性を有する口腔内崩壊錠を提供することができる。 (a)0.001mg以上0.05mg以下の塩酸ラモセトロン、又は(b)0.001mg以上0.05mg以下の塩酸ラモセトロンと等モル量のラモセトロン若しくはその製薬学的に許容される塩、並びにカンテン及び/またはカンテン末を含有する口腔内崩壊錠。 (a)0.00125mg以上0.025mg以下の塩酸ラモセトロン、又は(b)0.00125mg以上0.025mg以下の塩酸ラモセトロンと等モル量のラモセトロン若しくはその製薬学的に許容される塩を含有する、請求項1に記載の口腔内崩壊錠。 カンテン及び/またはカンテン末の量が、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩に対して10重量%以上500000重量%以下である、請求項1または2に記載の口腔内崩壊錠。 カンテン及び/またはカンテン末の量が、単位製剤あたり0.001重量%以上70重量%以下である、請求項1または2に記載の口腔内崩壊錠。 下痢型過敏性腸症候群の治療のための、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。 イリボー(登録商標)錠2.5μgまたはイリボー(登録商標)錠5μgと生物学的同等である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。 更に安定化剤を含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。 安定化剤が、ヒドロキシカルボン酸である、請求項7に記載の口腔内崩壊錠。 ヒドロキシカルボン酸が、酒石酸、リンゴ酸、及びクエン酸からなる群から選択された1種または2種以上の物質である、請求項8に記載の口腔内崩壊錠。 更に光安定化剤を含む、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。 光安定化剤が、黄色三二酸化鉄、赤色三二酸化鉄、及び酸化チタンからなる群から選択された1種または、2種以上の物質である、請求項10に記載の口腔内崩壊錠。 更に糖類を含む、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。 糖類が、成形性の高い糖類、及び/または成形性の低い糖類である、請求項12に記載の口腔内崩壊錠。 成形性の高い糖類が、マルトース、マルチトール、ソルビトール、及びトレハロースからなる群から選択された1種、または2種以上の物質である、請求項13に記載の口腔内崩壊錠。 成形性の低い糖類が、乳糖、D-マンニトール、ブドウ糖、白糖、キシリトール、及びエリスリトールからなる群から選択された1種、または2種以上の物質である、請求項13に記載の口腔内崩壊錠。 (a)0.001mg以上0.05mg以下の塩酸ラモセトロン、又は(b)0.001mg以上0.05mg以下の塩酸ラモセトロンと等モル量のラモセトロン若しくはその製薬学的に許容される塩を含有する、イリボー(登録商標)錠2.5μgまたはイリボー(登録商標)錠5μgと生物学的同等性を有する口腔内崩壊錠の製造のためのカンテン及び/またはカンテン末の使用。 成人1人当たり1日量として0.00125mg以上0.025mg以下の塩酸ラモセトロンを投与して下痢型過敏性腸症候群を治療するために使用される口腔内崩壊錠であって、 単位製剤当たり、0.00125mg以上0.025mg以下の塩酸ラモセトロン、カンテン及び/またはカンテン末、D-マンニトール、並びにマルトースを少なくとも含有する、口腔内崩壊錠。 塩酸ラモセトロン、ラモセトロンまたはそれらの製薬学的に許容される塩とカンテンおよび/またはカンテン末とを含有する混合物を圧縮成形して得られる、請求項1〜15および17のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。


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