生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_肝がんの治療に使用するための有機化合物
出願番号:2013504276
年次:2013
IPC分類:A61K 31/496,A61P 35/00,C07D 401/04


特許情報キャッシュ

グラウス−ポルタ,ダイアナ シュミド,ハーベルト シャイ,マイケル JP 2013525291 公表特許公報(A) 20130620 2013504276 20110414 肝がんの治療に使用するための有機化合物 ノバルティス アーゲー 504389991 小林 浩 100092783 大森 規雄 100120134 鈴木 康仁 100104282 グラウス−ポルタ,ダイアナ シュミド,ハーベルト シャイ,マイケル US 61/324,936 20100416 A61K 31/496 20060101AFI20130524BHJP A61P 35/00 20060101ALI20130524BHJP C07D 401/04 20060101ALN20130524BHJP JPA61K31/496A61P35/00C07D401/04 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW EP2011055906 20110414 WO2011128403 20111020 15 20121217 4C063 4C086 4C063AA01 4C063BB01 4C063CC26 4C063DD14 4C063EE01 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC50 4C086GA07 4C086GA12 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA75 4C086ZB26 本発明は、肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)もしくは肝がん(liver cancer)(HCC)または肝がんの治療に使用する医薬組成物の製造のための、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容されるその塩またはその水和物もしくはその溶媒和物の使用、肝細胞癌または肝がんの治療における4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの使用に関する。 肝細胞癌(HCC)または肝がんの管理は重要な問題である。HCCの発症および進行は、血管新生に左右されるところが大きい。VEGF(血管内皮細胞増殖因子)、線維芽細胞増殖因子(FGF)および血小板由来増殖因子(PDGF)ならびにこれらの受容体が、HCCの新血管形成に関与する。HCCにおいて、FGFR3(線維芽細胞増殖因子受容体3)の過剰発現が報告されている。 現在のところ、進行HCC患者にとって治療選択肢は限られている。これまでHCC用に承認された治療はただ1つ、すなわちソラフェニブしかない。したがって、患者にも医師にも、明らかに代替治療が欠如している。特に、切除不能なHCCの患者、手術に不適格な患者、局所手術に不適格な患者、または手術後に疾患進行に直面した患者にとって欠如している。前記患者にはもはや代替療法はない状況である。ソラフェニブには利点があるにもかかわらず、患者の全生存期間の中央値は1年を超えない。切除不能なHCCの患者では、第一選択としてソラフェニブで治療した場合の全生存期間の中央値は10.7か月であり(Llovet et al, N Engl J Med; 2008, 359: 378-390)、アジア太平洋地域のHCC患者では全生存期間の中央値がさらに短く、6.5か月であった(Cheng et al, 2009, Lancet Oncol 10: 25-34)。ソラフェニブ治療を受けて進行した進行HCC患者には、承認された効果的な治療がない。公表データによると、第二選択治療として、たとえば手術後にソラフェニブ治療を受けながら、またはその後に進行したHCC患者では、全生存期間の中央値が約5か月と推測される。さらに、この治療に伴う副作用、たとえば高血圧症および手足症候群(HFS)または手足皮膚反応(HFSR)などを、可能なときにモニターし、管理する必要がある。 したがって、高死亡率および高罹患率を示すこの患者母集団に一層有効な全身療法は、アンメットメディカルニーズである。 今回、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンもしくは薬学的に許容される塩または水和物もしくは溶媒和物が、肝細胞癌(HCC)または肝がんの動物モデルにおいて腫瘍体積を効果的に減少させたため、これらの問題を解決しうること、したがって、HCCまたは肝がんの新たな治療選択肢を提供することがわかった。前記治療は、従来は治療が欠如していた、またはかかる治療選択肢が欠如していたカテゴリーの患者に対して、さらなる治療選択肢の提供を可能にするため、有利である。たとえば、一部の患者は、現在承認されている治療法、たとえばソラフェニブでの治療を不適にする基礎症状があるため、そのような治療を受けることができない場合があった。たとえば、承認薬では難治性の、または承認薬に無反応性のHCCに罹患している患者、および/または非忍容性の患者もしくは一部の副作用を発現する可能性のある患者、たとえば高血圧の患者、他の薬物、たとえばソラフェニブ治療によって手足症候群(HFS)または手足皮膚反応(HFSR)を発症している患者などである。 4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンもしくは薬学的に許容される塩または水和物もしくは溶媒和物は、式Iに示す構造を有する。 式Iの化合物は、チロシン受容体型キナーゼ(RTK)など、種々のプロテインキナーゼを抑制する。したがって、式Iの化合物およびその塩は、血管新生を抑制し、増殖性疾患、たとえば肝細胞癌または肝がんを治療するのに有用である。この化合物および一乳酸塩を含むその塩の調製は、米国特許第6,605,617号、第6,774,237号、第7,335,774号および第7,470,709号と、米国特許出願第10/982,757号、第10/982,543号および第10/706,328号と、公開されたPCT出願WO2006/127926およびWO2009/115562とに記載されており、これらの各々の内容全体を参照によって本願明細書に組み込む。 式Iの化合物の一乳酸塩は、たとえば一水和物形態および無水物形態を含む、種々の多形で存在する。多形とは、同じ組成の物質(その水和物および溶媒和物を含む)が異なる格子配列に結晶化する場合に出来るものであり、その結果、特定の結晶形態に特有の、異なる熱力学特性および物理特性が生じる。 受容体型チロシンキナーゼ(RTK)は、発生における細胞増殖および分化、成体組織の再構築および再生を調節する膜貫通ポリペプチドである。増殖因子またはサイトカインとして知られるポリペプチドリガンドは、RTKを活性化することが知られている。シグナル伝達RTKは、受容体の細胞外ドメインでリガンド結合および立体構造の変化に関与し、その結果、二量体化する。リガンドがRTKに結合すると、受容体は特異的なチロシン残基でトランスリン酸化し、続いて細胞質内基質をリン酸化するために触媒ドメインを活性化する。 式Iの化合物は、チロシンキナーゼを抑制する。チロシンキナーゼは、以下のものでもよいが、これらに限定されない。Cdc2キナーゼ(細胞分裂周期2キナーゼ)、Fyn(SRC、FGR、YESに関連するFYN癌遺伝子キナーゼ)、Lck(リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ)、c−Kit(幹細胞因子受容体または肥満細胞増殖因子受容体)、p60src(ラウス肉腫ウィルスのv−src癌遺伝子と本来同定されたチロシンキナーゼ)、c−ABL(アデルソン(Adelson)白血病ウイルスから元来単離された癌遺伝子産物を意味するチロシンキナーゼ)、VEGFR3、PDGFRα(血小板由来増殖因子受容体α)、PDGFRβ(血小板由来増殖因子受容体β)、FGFR3(線維芽細胞増殖因子受容体3)、FLT−3(fms様チロシンキナーゼ−3)、またはTie−2(lgおよびEGF相同ドメインを有するチロシンキナーゼ)。一部の実施形態においては、チロシンキナーゼは、Cdc2キナーゼ、Fyn、LckまたはTie−2である場合もあり、チロシンキナーゼがc−Kit、c−ABL、p60src、VEGFR3、PDGFRα、PDGFRβ、FGFR3、またはFLT−3である。 RTKの2つのサブファミリーは、血管内皮に特異的である。これらには、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)サブファミリーおよびTie受容体サブファミリーが含まれる。クラスIIIRTKには、血管内皮細胞増殖因子受容体1(VEGFR−1)、血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR−2)および血管内皮細胞増殖因子受容体3(VEGFR−3)が含まれる。 本発明は、肝細胞癌または肝がん、たとえば進行肝細胞癌、バルセロナのHCCステージCの治療に使用する医薬組成物の製造のための、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンもしくはその互変異性体、またはこれらの混合物、もしくは薬学的に許容される塩、または水和物もしくは溶媒和物の使用を提供する。この治療は、たとえば高血圧症のあるHCC患者、たとえば別の治療、たとえばソラフェニブ治療を受けて手足症候群または手足皮膚反応を発症した、または発症するHCC患者、切除不能なHCCの患者、手術に不適格な患者、局所手術に不適格な患者、もしくは、たとえば上記の任意の治療の後で疾患進行に直面した患者、または別のHCCもしくは肝がん療法に非忍容性または耐性の患者、たとえばソラフェニブに耐性のHCCの患者もしくはソラフェニブに無反応なHCCの患者またはソラフェニブに非忍容性の患者におけるものである。 実際に、治療的処置(therapeutic treatment)に伴う副作用は患者の苦痛を強め、一部の患者は、治療を受けたがらない場合さえある。たとえば手足症候群があると、手足症候群の悪化を防ぐために、化学療法治療を中断、または用量を調整、たとえば低減する必要のある場合があり、患者のHHCの状態はもはや適切に制御されなくなる。さらに、副作用をモニターし、管理するために追加のコストがかかる。 本発明によれば、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンもしくは薬学的に許容されるその塩もしくはその互変異性体、またはこれらの混合物を、HCCに対して唯一の活性物質として使用する。 本発明は、肝細胞癌または肝がんの治療に使用するための、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンまたは薬学的に許容される塩もしくはその互変異性体、または水和物もしくは溶媒和物をさらに提供する。本発明によれば、化合物Iは、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンまたは薬学的に許容される塩もしくはその互変異性体、または水和物もしくはその溶媒和物を指し、たとえば4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンまたはその互変異性体、たとえばその乳酸塩形態を指す。 いくつかの実施形態において、本発明は、肝細胞癌または肝がんに罹患しているヒトの治療方法に関し、この方法は、かかる治療を必要としている前記ヒトに、一定の用量の4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンまたはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩または水和物もしくは溶媒和物を投与することを含む。 さらなる態様において、本発明は、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンまたはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩または水和物もしくは溶媒和物を含む、肝細胞癌または肝がんの治療用医薬製剤を提供する。 人種、年齢、個人の状態、投与方法、および当該臨床像によって、有効用量、たとえば週間用量約200〜3000mgの4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンまたは薬学的に許容される塩もしくはその互変異性体、または水和物もしくは溶媒和物を、たとえば一週につき2500mgの用量でヒトに投与する。前記投与は、たとえば以下のように行うことができる。この用量を患者が週5日で摂取し、その後2日は患者が治療を受けない。本発明によれば、化合物Iまたはその互変異性体は、週間用量2500mgで患者に投与することができる。たとえば患者に式Iの化合物500mgを5日間投与し、その後2日は治療をしない。たとえば1日量は、250mgの単回用量の2回分として投与することができる。 本発明は、肝細胞癌または肝がんに罹患しているヒトに、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンまたはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩または水和物もしくは溶媒和物を、対象のヒトに、週に約1回またはこれより頻回で投与する方法をさらに提供する。 本発明は、HCCの患者母集団において全生存期間の中央値を改善するために使用する4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンまたは薬学的に許容される塩、もしくはその互変異性体、またはこれらの混合物、または水和物もしくはその溶媒和物を提供する。その場合、前記患者母集団において、全生存期間の中央値は少なくとも11か月以上、12か月以上、13か月以上であり、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンまたは薬学的に許容される塩、もしくはその互変異性体またはこれらの混合物、または水和物もしくはその溶媒和物が、前記患者に、経口で、500mgの用量で、週5日投与/2日中止のスケジュールで投与され、たとえば前記患者は、たとえば、手術または局所療法に不適格である、または手術もしくは局所療法後に疾患進行のあった患者、バルセロナのHCCステージCの患者、切除不能なHCCの患者、高血圧症および/またはHFSもしくはHFSRを有するHCC患者である。TKI258による、HUH7ヒトHCC異種移植片のin vivo抑制を示す。はビヒクル10mL/kg、p.o.qd(経口で1日1回投与)であり、はTKI258 10mg/kg、p.o.qdであり、は30mg/kg、p.o.qdであり、は50mg/kg、p.o.qdである。TKI258で治療した、HUH7ヒトHCC異種移植片をもつ動物の体重を示す。はビヒクル10mL/kg、p.o.qdであり、はTKI258 10mg/kg、p.o.qdであり、は30mg/kg、p.o.qdであり、は50mg/kg、p.o.qdである。PLC/PFR/5ヒトHCC異種移植片のin vivo抑制を示す。はビヒクル10mL/kg、p.o.qdであり、はTKI258 10mg/kg、p.o.qdであり、は30mg/kg、p.o.qdであり、は50mg/kg、p.o.qdである。TKI258で治療した、PLC/PFR/5ヒトHCC異種移植片をもつ動物の体重を示す。はビヒクル10mL/kg、p.o.qdであり、はTKI258 10mg/kg、p.o.qdであり、は30mg/kg、p.o.qdであり、は50mg/kg、p.o.qdである。 以下は例としての記載である。 ヌードマウスの右側腹部に、50%基底膜マトリックス(BD Matrigel)を含有するSigmaのハンクス平衡塩類溶液(HBSS)100μl中5×106個の細胞を皮下注射することによって、HUH−7腫瘍を形成する。HUH−7ヘパトーマ(hepatoma)親細胞株は、本来男性のヒト肝癌(liver carcinoma)に由来する。HUH−7細胞を、10%ウシ胎仔血清、5%ウマ血清、1%L−グルタミンおよび1%ペネシリン(Penecyllin)/ストレプトアビジンを添加したRPMI 1640培地中で培養する。細胞培養試薬は、BioConcept(アルシュヴィル、スイス)から購入する。 腫瘍細胞の注射から12日後、腫瘍体積は138±24mm3である。この時点で(試験1日目)化合物Iでの治療を始める。21日連続で毎日治療した後で、最後の化合物投与の24時間後に、動物を安楽死させる。体重および腫瘍体積を週3回記録する。腫瘍体積は、ノギスで測定し、長さ×幅×高さ×π/6の式によって求める。治療期間中、腫瘍体積の変化を表示することに加え、抗腫瘍活性を、ΔT/ΔC%(治療した動物の腫瘍体積の平均変化量/対照動物の腫瘍体積の平均変化量)×100として表す。 化合物Iは、これを水中に分散させて処方し、透明な溶液が得られるまでボルテックスする。化合物を、毎日10、30および50mg/kgの遊離塩基等価量の濃度で、強制経口投与によって適用する。各群は動物8匹からなる。ビヒクル処置の動物には、毎日水を経口投与する。すべての実験において、適用容量は10ml/kgであった。 適用可能な場合、データは、平均±SEMとして表示する。すべての検定について、有意水準をp<0.05に設定する。腫瘍サイズの平均増加値については、各群とビヒクル対照群との間の比較を、一元配置ANOVAとそれに続くDunnett検定を用いて行う。実験開始から終了までの群内での体重変化の有意水準を、対応のあるt検定を用いて求める。治療群とビヒクル対照群との間での体重変化の有意性を、一元配置ANOVAとそれに続くDunnett検定で求める。GraphPad Prism 5.0(GraphPad Software Inc.)を使用して計算を行う。 図1は、腫瘍増殖の用量依存的抑制を示し、それぞれ%T/Cが75、40および20で、30および50mg/kgが統計学的に有意であった。これらの用量の化合物での治療は、治療期間中の体重の増加で示した通り、忍容性が高かった。体重増加は、ビヒクル処置動物群も、化合物治療動物群も類似していた(図2)。 雌のヌードマウスの右側腹部に、50%基底膜マトリックス(BD Matrigel)を含有するSigmaのハンクス平衡塩類溶液(HBSS)100μl中5×106個の細胞を皮下注射することによって、PLC/PFR/5腫瘍を形成する。PLC/PFR/5細胞癌親細胞株は、本来肝癌の男性患者に由来する。PLC/PFR/5細胞を、10%ウシ胎仔血清、5%ウマ血清、1%L−グルタミンおよび1%ペネシリン(penecyllin)/ストレプトアビジンを添加したRPMI 1640培地中で培養する。細胞培養試薬は、BioConcept(アルシュヴィル、スイス)から購入する。 腫瘍細胞の注射から14日後、腫瘍体積は145±20mm3である。この時点で(試験1日目)化合物Iでの治療を始める。24日連続で毎日治療した後で、最後の化合物投与の24時間後に、動物を安楽死させる。体重および腫瘍体積を週3回記録する。腫瘍体積は、ノギスで測定し、長さ×幅×高さ×π/6の式によって求める。治療期間中腫瘍体積の変化を表示することに加え、抗腫瘍活性を、ΔT/ΔC%(治療した動物の腫瘍体積の平均変化量/対照動物の腫瘍体積の平均変化量)×100として表す。 化合物Iは、これを水中に分散させて処方し、透明な溶液が得られるまでボルテックスする。この化合物を、毎日10、30および50mg/kgの遊離塩基等価量の濃度で、強制経口投与によって適用する。各群は動物8匹からなる。ビヒクル処置の動物には、毎日水を経口投与する。すべての実験において、適用容量は10ml/kgである。 適用可能な場合、データは、平均±SEMとして表示する。すべての検定について、有意水準をp<0.05に設定する。腫瘍サイズの平均増加値については、各群とビヒクル対照群との間の比較を、一元配置ANOVAとそれに続くDunnett検定を用いて行う。実験開始から終了までの群内での体重変化の有意水準を、対応のあるt検定を用いて求める。治療群とビヒクル対照群との間での体重変化の有意性を、一元配置ANOVAとそれに続くDunnett検定で求める。GraphPad Prism 5.0(GraphPad Software Inc.)を使用して計算を行う。 図3は、腫瘍増殖の用量依存的抑制を示し、それぞれ%T/Cが67、47および19で、50mg/kgが統計学的に有意であった。これらの用量の化合物での治療は、ビヒクル処置群と比較した際に、体重に有意な効果はなかった(図4)。肝細胞癌(HCC)の成人患者における第一選択治療としてのドヴィティニブ(Dovitinib)対ソラフェニブの試験 試験計画 進行HCCの患者における第一選択治療として、化合物I対ソラフェニブの安全性および有効性を比較するための、アジア太平洋地域での、無作為化・第II相・非盲検・多施設試験。患者約150人が無作為抽出される予定である(1:1の比)。患者は化合物Iまたはソラフェニブを、疾患が進行または容認不能な毒性が発現するまで投与される。腫瘍評価、安全性モニタリングはプロトコルに従う。 患者母集団:手術または局所療法に不適格である、または手術もしくは局所療法後に疾患進行のあった進行HCCの成人患者。 主要目的:全生存期間に対する化合物I対ソラフェニブの治療効果。 副次的目的:腫瘍の無増悪期間についての2つの治療群の評価。 試験治療:化合物I500mg、5日投与/2日中止、ソラフェニブ400mg経口。ソラフェニブ治療が不成功であった進行HCCの成人における、最善の支持療法(best supportive care)の併用対プラセボと最善の支持療法との併用の有効性および安全性を評価するための、無作為化、二重盲検プラセボ試験 試験計画 以前ソラフェニブで治療を受け、ソラフェニブ治療中または後に疾患が進行した進行HCCの患者において、化合物I/BSC対プラセボ/BSCの安全性および有効性を比較する、無作為化・第II相・二重盲検・プラセボ対照・国際的試験。患者約150人がECOG(0対1または2)に従って無作為抽出される(2:1の比)。患者は化合物I/BSCまたはプラセボ/BSCを、疾患が進行または容認不能な毒性が発現するまで投与される。腫瘍評価、安全性モニタリングおよび他の試験手順は、プロトコルが規定したスケジュールに当然従う。中間解析を実施する予定はない。 患者母集団:組織学的または細胞学的にHCCと確定診断され、ソラフェニブ治療中または後に疾患が進行した成人患者。 主要目的:ソラフェニブ治療中またはその後疾患が進行した、またはソラフェニブに非忍容性である、進行HCCの患者における、全生存期間に対する化合物I/BSC対プラセボ/BSCの治療効果を評価すること。 重要な副次的目的:無増悪期間(TTP)について2つの治療群を評価すること(放射線学的評価)。 重要な除外基準:任意の、HCCの、治験薬での全身治療または標的療法(ソラフェニブを除く)を受けたことのある患者。 試験治療:化合物I(500mg、5日投与/2日中止)/BSC、対照は対応するプラセボ/BSCを指す。 4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンまたはその互変異性体またはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が唯一の活性成分として使用される、肝細胞癌または肝がんの治療に使用する医薬組成物の製造のための、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンまたはその互変異性体またはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の使用。 4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンまたはその互変異性体またはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が唯一の活性成分として使用される、肝細胞癌または肝がんの治療に使用するための4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンもしくは薬学的に許容される塩または水和物もしくは溶媒和物。 肝細胞癌または肝がんに罹患しているヒトの治療方法であって、かかる治療を必要としている前記ヒトに、一定の用量の4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンまたはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩または水和物もしくは溶媒和物を投与することを含み、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンまたはその互変異性体またはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が唯一の活性成分として使用される、方法。 4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンもしくは薬学的に許容される塩または水和物もしくは溶媒和物を含み、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンまたはその互変異性体またはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が唯一の活性成分として使用される、肝細胞癌または肝がんの治療用医薬製剤。 週間用量200〜3000mgの4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンまたはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩または水和物もしくは溶媒和物が患者に投与される、請求項1に記載の使用、請求項2に記載の4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン、または請求項3に記載の方法。 前記週間用量が、1日量500mgの5日間投与と2日間無投与とからなる、請求項5に記載の使用、方法、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン。 HCCが、バルセロナのHCCステージC、切除不能なHCC、局所手術後の進行性HCC、手術または局所療法もしくは局所手術に不適格なHCC患者、あるいは高血圧症および/または手足症候群もしくは手足皮膚反応を有するHCC患者からなる群から選択される、請求項1、5もしくは6に記載の使用、請求項3、5もしくは6に記載の方法、または請求項2、5もしくは6に記載の4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン。 前記手足症候群または手足皮膚反応が、前記患者の別の治療法の下で発生したものである、請求項7に記載の使用、方法または4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン。 前記別の治療法がソラフェニブであった、請求項8に記載の使用または方法または4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン。 前記患者が、別のHCC治療に非忍容性であるもしくはソラフェニブに非忍容性である、または別のHCC治療もしくはソラフェニブに無反応性である、または別のHCC治療もしくはソラフェニブでは難治性である、請求項5または6に記載の使用または方法または4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン。 前記患者の全生存期間の中央値が11か月以上である、請求項7に記載の使用または方法または4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン。 前記生存期間の中央値が12か月を超える、請求項11に記載の使用または方法または4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン。 前記生存期間の中央値が13か月を超える、請求項12に記載の使用または方法または4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン。 前記患者の全生存期間の中央値が6か月以上である、請求項8、9または10に記載の使用または方法または4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン。 前記患者の全生存期間の中央値が7か月以上である、請求項14に記載の使用または方法または4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン。 唯一の成分としての4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンが乳酸塩形態である、請求項1および5から15のいずれか一項に記載の使用、請求項3および5から15のいずれか一項に記載の方法、または請求項2および5から15のいずれか一項に記載の4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン、請求項4に記載の医薬組成物。 肝細胞癌または肝がんの治療に使用する医薬組成物の製造のための、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンまたは薬学的に許容される塩もしくはその互変異性体、または水和物もしくは溶媒和物の使用。


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