タイトル: | 公表特許公報(A)_オレフィンメタセシスで使用するためのルテニウム錯体 |
出願番号: | 2013500573 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C07F 15/00,C07C 69/74,C07C 67/333,C07C 69/75,C07C 255/46,C07C 253/30,C07C 69/73,C07C 67/343,C07C 69/618,C07C 47/277,C07C 45/68,C07D 307/28,C07D 211/70,C07D 223/04,C07D 207/20,C07D 309/18,C07D 311/04,C07D 313/08,B01J 31/22,C07B 61/00 |
キャサリン カジン JP 2013522351 公表特許公報(A) 20130613 2013500573 20110321 オレフィンメタセシスで使用するためのルテニウム錯体 ユニバーシティー コート オブ ザ ユニバーシティー オブ セイント アンドリューズ 511083994 UNIVERSITY COURT OF THE UNIVERSITY OF ST ANDREWS 杉村 憲司 100147485 冨田 和幸 100119530 池田 浩 100136858 キャサリン カジン GB 1004732.2 20100322 C07F 15/00 20060101AFI20130517BHJP C07C 69/74 20060101ALI20130517BHJP C07C 67/333 20060101ALI20130517BHJP C07C 69/75 20060101ALI20130517BHJP C07C 255/46 20060101ALI20130517BHJP C07C 253/30 20060101ALI20130517BHJP C07C 69/73 20060101ALI20130517BHJP C07C 67/343 20060101ALI20130517BHJP C07C 69/618 20060101ALI20130517BHJP C07C 47/277 20060101ALI20130517BHJP C07C 45/68 20060101ALI20130517BHJP C07D 307/28 20060101ALI20130517BHJP C07D 211/70 20060101ALI20130517BHJP C07D 223/04 20060101ALI20130517BHJP C07D 207/20 20060101ALI20130517BHJP C07D 309/18 20060101ALI20130517BHJP C07D 311/04 20060101ALI20130517BHJP C07D 313/08 20060101ALI20130517BHJP B01J 31/22 20060101ALI20130517BHJP C07B 61/00 20060101ALN20130517BHJP JPC07F15/00 AC07C69/74 AC07C67/333C07C69/75 ZC07C255/46C07C253/30C07C69/73C07C67/343C07C69/618C07C47/277C07C45/68C07D307/28C07D211/70C07D223/04C07D207/20C07D309/18C07D311/04C07D313/08B01J31/22 ZC07B61/00 300 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW GB2011000404 20110321 WO2011117571 20110929 54 20121121 4C034 4C054 4C062 4C069 4G169 4H006 4H039 4H050 4C034DB20 4C054AA05 4C054CC08 4C054DD01 4C054EE01 4C054EE03 4C054EE04 4C054FF01 4C054FF03 4C054FF04 4C062BB02 4C062EE02 4C062JJ13 4C069AB02 4C069AB07 4C069BB08 4C069BB22 4C069BC18 4C069CC03 4G169AA06 4G169BA21A 4G169BA27A 4G169BC70A 4G169BE01A 4G169BE05A 4G169BE06A 4G169BE07A 4G169BE10A 4G169BE14A 4G169BE18A 4G169BE21A 4G169BE25A 4G169BE31A 4G169BE33A 4G169BE34A 4G169BE35A 4G169BE37A 4G169BE38A 4G169CB44 4H006AA02 4H006AC28 4H006AC29 4H006BA23 4H006BA48 4H006BJ50 4H006BM30 4H006BM72 4H006KA31 4H006KC20 4H039CA29 4H039CH40 4H050AA01 4H050AA02 4H050AA03 4H050AB40 4H050BA48 この発明につながる事業は、欧州共同体の第7次フレームワークプログラム(FP7-NMP-2007-SMALL-1) “EUMET”/ERCの助成契約第NMP2-SL-2009-211468号の下で欧州研究会議から資金提供を受けている。 本発明の分野を説明する。本発明は、ルテニウム錯体、それらの製造および使用の、たとえば、触媒反応において、特に、オレフィンメタセシス反応での提供に関する。 本発明に向けた背景を説明する。オレフィンメタセシスは、有機化学において最も有用なツールの一つとして考えられている。Grubbs(グラブス)の第一世代ルテニウム触媒(文献1)が報告されて以来、膨大な研究により、長寿命およびより一層活性な触媒およびプレ触媒の開発が目指されてきた。躍進は、対応する錯体の反応性および安定性を高める、N-複素環カルベン(NHC)によるホスフィンリガンド(配位子)の置換である(文献2)。PCy3がトリシクロヘキシルホスフィンである下記のスキーム1においてG-IIを参照する。追加の修飾は、いわゆるブーメラン型触媒を与え、Hoveyda(ホベイダ)の触媒であることがよく知られている(下記のスキーム1におけるHov-II)(文献3、4)。このような触媒では、ベンジリデンは、Ruに結合し、そして後に再配位する(recoordinate)ために触媒反応の間に脱配位する(decoordinates)ドナー原子をもつ。さらに最近では、インデニリデン構成部分によりグラブスの元の触媒のベンジリデン基を置き換えることは、非常に安定した触媒をもたらした(たとえば、PCy3がトリシクロヘキシルホスフィンであるスキーム1におけるM2)(文献5)。 触媒のこのファミリーは、さまざまなメタセシス転換におけるその効率性を証明しており、およびNHCグループの変動に関する研究が既に報告されている(文献6)。 メタセシス転換において使用するためのルテニウム触媒の他の例は、米国特許第7622590号明細書に記載されている。 いくつかのカチオン性ルテニウム錯体は、触媒としての使用のために既知であり、そして下記のスキーム1aに示される。たとえば、Furstner(フルストナー)およびDixneuf(ディクスノイ)(文献7)は、閉環メタセシス(RCM)のための触媒前駆体であることが見出された下記の(a)のような18電子カチオン性アレニリデンRu錯体を記載している。Hofmann(ホフマン)(文献8)は、キレート性ビスホスファン(chelating bisphosphane)リガンド(b)を有する二核16電子カチオン性ルテニウム錯体を記載し、開環メタセシス重合(ROMP)での活性が表示される。Kurosawa(クロサワ)ら(文献9)は、銀塩を用いる塩化物引き抜き(chloride abstraction)によって作られた18電子カチオン性ルテニウム錯体(c)を記載する。UV照射によって活性化された優れたROMP特性を有する潜在的カチオン性ルテニウムNHC系プレ触媒(d)もまた報告されている(文献10)。錯体(e)は、Romero(ロメロ)らによって記載される(文献11)。 オレフィンメタセシス化学の重要性に鑑み、また更なるメタセシス触媒を提供する必要性が残っている。解題を解決するための手段 本発明の説明を行う。第一の見地によれば、本発明は、一般式I: 式中、各存在について、基Xは、同じか、または異なり、およびアニオン性リガンドであるか、または二座リガンドを形成するために融合し、 基R1およびR2は、同じか、または異なり、および水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C2-C20アルコキシカルボニル、アリール、C1-C20カルボキシラート(カルボン酸エステル、カルボン酸塩)、C1-C20アルコキシ、C2-C20アルケニルオキシ、C2-C20アルキニルオキシ(alkynyloxy)、アリールオキシ(aryloxy)、C1-C20アルキルチオ、C1-C20アルキルスルホニル、およびC1-C20アルキルスルフィニル、各々のR1およびR2は、随意に(たとえば、C1-C5アルキル、ハロゲン、C1-C10アルコキシにより、またはフェニル基により、それ自体、たとえば、ハロゲン、C1-C5アルキルまたはC1-C5アルキルまたはC1-C5アルコキシにより置換することができ)置換されるものからなる群より選ばれ、または 基R1およびR2は、置換または未置換、飽和または不飽和であることができ、および更なるリング(たとえば、C4-C10、またはまたC5-C6)に融合することができるリング(たとえば、C4-C10、またはまたC5-C6)を形成するために一緒に融合され、および 基Zは、以下:からなる群より選ばれ、 式中、基R3、R4およびR5は、各存在について、各々無関係に、置換または非置換の第一、第二または第三アルキルで、環式(シクロ)であることができ、および不飽和であることができるもの(たとえば、C1-C10またはまたC1-C4)、置換または非置換のアリールまたはヘテロアリール、随意に、二またはそれよりも多くの基R3、R4およびR5がリングを形成するために融合するものからなる群より選ばれ、および 基Aは、求核性カルベン、および基Zについて定められるような基のリストから無関係に選ばれるリンリガンドからなる群より選ばれ、および Aが求核性カルベンであるときには、Zは次のでないものに従うシスルテニウム錯体を提供する。 基R3、R4、R5は、たとえば、一回、二回、または三回置換することができ、例は、一回、すなわち、アルキル、アリールまたはヘテロアリール基の一またはそれよりも多くの水素原子に形式的に置き換えられる。そのような置換基のときの例は、ハロ(例は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード)、SF5、CF3、アリール、アリールヒドロキシ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルキルチオ、カルボキシ、シアノ、チオ、ホルミル、エステル、アシル、チオアシル、アミド、スルホンアミド、カルバマート、などである。置換基がアミノである場合、それは、NH2、NHRまたはNR2であることができ、窒素上の置換基Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリール(たとえば、置換または非置換のC1-C20またはまたC1-C10)であることができる。 基R3、R4、R5は、シクロアルキルである場合、それらは、たとえば、シクロヘキシルまたはシクロペンチルであることができる。シクロヘキシルまたはシクロペンチル基は、存在する場合、飽和または不飽和であることができ、および先に述べたように置換されうる。アリールによって、ここでは芳香族化合物からの水素原子の引き抜きにより形式的に形成される遊離基を意味する。この技術において熟練した者(当業者)に知られるように、ヘテロアリール構成部分(moiety)は、それに付着する一またはそれよりも多く(1以上)の炭素原子および任意の水素原子の代わりに、1以上のヘテロ原子、典型的に、O、NまたはSを含むアリール構成部分のサブセットである。模範的に、R3、R4、R5のアリール置換基には、たとえば、置換することができるフェニルまたはナフチルが含まれる。模範的なR3、R4、R5のヘテロアリール置換基には、たとえば、ピリジニル、フラニル、ピロールイルおよびピリミジニルが含まれる。複素環式芳香族化合物リングの更なる例には、ピリダジニル(2つの窒素原子が芳香族6員環を有するリングにおいて隣接するもの)、ピラジニル(2つの窒素原子が6員環を有する芳香環において1,4-配置されるもの)、ピリミジニル(2つの窒素原子が6員環を有する芳香環で1,3-配置されるもの)、または1,3,5-トリアジニル(3つの窒素原子が6員環を有する芳香環で1,3,5-配置されるもの)が含まれる。 式Iの錯体は、一般的な四角錘状構造であり、および基AおよびZが互いに隣接し、その一方で2つの基Xは互いに隣接するという意味でシスである。 本発明の錯体において、基Z(および、AがリンリガンドであるときのA)はリン原子によってRuに結合する。Aが求核性カルベンであり、およびZがホスフィンである例(トリシクロヘキシルホスフィン-PCy3)は、以下に示すように知られている(文献12)。 少数の関連したシスRu錯体は、以前記述したが(文献12、13)、しかし、すべてはキレートリガンドを構造に有する。基Zは、たとえば、アルキリデンキレートリガンドを形成するためにRuに二重結合するアルキリデン(カルベン)構成部分に共有結合するヘテロ原子(例は、O、N、S)を介してRuに配位する構成部分で入れ替えられる。あるいはまた、二座の(bidendate、bidentate)ジホスフィンリガンドを用いることができる。先行技術のシス二塩化物構造の例は、以下に示される。 対照的に、本発明のシス錯体は単座の基Zを有する。本発明の錯体は、以下に記載するような有用な触媒である。二座A-Zリガンド(たとえば、アルキリデン)または二座ジホスフィンリガンドを伴わない錯体を提供することによって、より一層大きな機会は、基AおよびZ各々が無関係に変わることができるので、触媒の性質を調整するために与えられる。 A、Z、R1およびR2が式Iでのものと同じ意味を有する場合に以下に示す式IIのトランス錯体は、本発明の第二の見地を構成し、それは双方の基ZおよびAがホスフィンでなく、 およびAは求核性カルベンである場合に、Zはホスフィンでないという条件下である。 双方のAおよびZがホスフィンである以下の錯体M1のような多数のトランス錯体は、Zがホスフィンであり、そしてAがNHCであるトランス錯体GIIおよびM2であるように、既に知られている。 トランス錯体は、互いに対向する基Xおよび互いに対向する基AおよびZを有する。 更なる異性が双方のシスおよびトランス形態(式IおよびII)について可能であることは理解される。たとえば、鏡像異性の対は、四角錘状の幾何学の結果として生成されうる。たとえば、下記のシス異性体IおよびIaの鏡像異性の対である。 本発明のこの説明では、描かれた構造が、基A、ZおよびXのシスまたはトランスのポジショニングを規定するが、そうでなければ、与えられた構造は、すべての可能な異性体を含むことが理解されるべきである。そのように、シス構造Iは、構造Iaを含むと理解されるべきである。さらに異性は、可能性があり、たとえば、R1およびR2が異なるか、または対称でないリングを形成するために融合される場合であり、その後ルテニウム二重結合に対する炭素についての幾何異性を起こすことができる。 本発明のシスおよびトランス錯体において、アニオン性リガンドXは、たとえば、無関係に、ハロゲン(I、Br、Cl、F)、ベンゾアート(安息香酸塩)、C1-C5カルボキシラート(カルボン酸塩)(たとえば、CF3CO2、CH3CO2、CFH2CO2)、C1-C5アルコキシ〔たとえば、MeO、EtO、(CH3)3CO、(CF3)3CO、(CF3)2(CH3)CO、(CF3)(CH3)2CO〕、フェノキシ、C1-C5アルキルチオ基、トシラート(トシル酸塩)、メシラート(メシル酸塩)、ブロシラート(brosylate)、トリフルオロメタンスルホナート(スルホン酸塩)、および擬似ハロゲン〔たとえば、シアニド(シアン化物)、チオシアナート(チオシアン酸塩)、イソチオシアナート、セレノシアナート)からなる群より選ぶことができる。 特定の具体化では、双方のアニオンXは塩化物である。あるいはまた、リガンドXは、互いに融合することができ、二座(bidendate)アニオン性リガンドを形成する。例として、acac(アセチルアセトナート)である。 代案として、上記式IまたはIIにおいて基Xの一方または双方は、式VIIIまたはIX: 式中、基R1、R2、AおよびZは、式IおよびIIに関して上述のものと同じ意味を有するが、定義に付された但し書き条件を伴わないもののカチオン性ルテニウム錯体を提供するために、非配位的(non-co-ordinating)アニオン性リガンドによって置き換えることができる。 ホスファイト(亜リン酸塩)およびNHCリガンドを利用したカチオン性錯体が記載されるが(文献14)、それは、二座リガンド(基はエステルを含む)を利用しているときのみである。構造を以下に与える。 式Iの錯体に関して上述したように、単座Z、Aおよびリガンドの使用は、錯体上の置換基の各々をその使用目的、例は、触媒としてのために、調整する機会を提供する。 Y-またはY2-は、各存在について、同じか、または異なることができる非配位的イオン性リガンドである。非配位的アニオン性リガンドY-は、SbF6-、BF4-、PF6-、ClO4-、[B[3,5]-(CF3)2C6H3]4]-およびBPh4-からなる群より選ばれ得る。非配位的アニオン性リガンドY2-は、酸化物(O2-)、水素ホスファート(リン酸水素)(HPO42-)、サルファイド(硫化物)(S2-)、クロメート(クロム酸イオン、クロム酸塩)(CrO42-)、スルファート(硫酸ジアニオン、硫酸塩)(SO42-)、ジクロメート(二クロム酸イオン、二クロム酸塩)(Cr2O72-)、チオサルフェート(チオ硫酸イオン、チオ硫酸塩)(S2O32-)、カルボナート(炭酸イオン、炭酸塩)(CO32-)、スルファイト(亜硫酸イオン、亜硫酸塩)(SO32-)、オキサラート(シュウ酸イオン、シュウ酸塩)(C2O42-)およびパーオキサイド(過酸化物)(O22-)からなる群より選ぶことができる。 若干の例では、式VIIIまたはIXの錯体は、溶媒分子のような中性リガンドによって占められるRu金属中心について空き位置を有することができる。たとえば、特定の錯体を参照して以下に示すようなピリジンまたはアセトニトリルである。したがって、たとえば、Wが中性リガンドである以下に示すそれらの形態の錯体を形成することができる。 式IおよびII(上述)について、異性はこれらの錯体の若干により可能であり、および示されるような式VIIIおよびIX(中性リガンドを有するものを含む-W)は、すべての可能な異性体を含むと理解されるべきである。たとえば、錯体VIIIは以下の2つの光学異性体の形態VIIIおよびVIIIaにおいて存在することができ、そして構造VIIIはこれらの可能性ならびにVIIIbのような幾何異性体のいずれかまたは双方を含むと理解されるべきである。 式I、II、VIIIおよびIXのいずれかについて、基R1およびR2は、Hおよびアリール(たとえば、フェニルまたは置換フェニル)であることができる。 基R1およびR2がリングを形成するため融合される場合、リングは、たとえば、インデニリデン構成部分を形成するために、それに融合された別のリングを有することができる。インデニリデン構成部分は、たとえば、スキーム1のM2(上記)で採用されるような3-フェニリンデニリデン(phenylindenylidene)構成部分のために、置換されることができる。 有利には、ここに記載する錯体において、基Zはホスファイト、即ちである。 基Zがホスファイト基:である場合、例には、P(OMe)3P(OEt)3、P(OiPr)3およびP(OPh)3が含まれる。ここに記載する錯体のためのAおよびZの組合せの例には、Zがホスファイトである場合、求核性カルベン(特に、N複素環カルベン)/ホスファイト、ホスフィン/ホスファイトおよびホスファイト/ホスファイトが含まれる。 ホスフィンとしての基Aの例には、PCy3およびPPh3が含まれ−そこで、Cyはシクロヘキシルであり、そしてPhはフェニルである。ホスファイト(亜リン酸塩)としての基Aの例には、P(OMe)3P(OEt)3、P(OiPr)3およびP(OPh)3が含まれる。 基Aが求核性カルベンである場合、カルベンは、カルベン炭素を含む4、5、6または7員環を有することができる。典型的に、5員環を有するリングである。求核性カルベンは、N複素環カルベン(NHC)であることができる。 採用されるNHCは、飽和または不飽和であることができ、そして一以上の窒素原子を含むことができ、および随意にリングにおいて他のヘテロ原子(OおよびSのようなもの)を含むことができる。 たとえば、リガンドは、基R6が同じか、または異なることができ、存在する場合、基R7が同じか、または異なることができ、およびリングにおいて点線が随意な不飽和を示す上述の形態を有することができる。リングにおいて、炭素原子の一以上(カルベン炭素は別として)はOまたはSで置換することができる。各々のR6およびR7は、各存在について、無関係に、以下:H、置換または非置換であることができる第一または第二アルキル基(たとえば、C1-C10またはまたC1-C4)、置換または非置換フェニル、置換または非置換ナフチル、または置換または非置換アントラセニル、または、ハロ、水酸基、スルフヒドリル、シアノ、シアナート、チオシアナート、アミノ、ニトロ、ニトロソ、スルホ、スルホナト、ボリル、ボロノ、ホスホノ、ホスホナト、ホスホフィナト、ホスホ、ホスフィノ、およびシリルオキシからなる群より選ばれる官能基から選ぶことができる。 有利には、リングにおいて、2つの窒素原子を、カルベン炭素に各々隣接してもつNHCリガンドを使用することができる。このタイプのNHCカルベンリガンドは、形態:を有することができ、式中、各々の基R6、R7およびR8は各存在について、同じか、または異なることができ、およびリングにおける点線は、随意の不飽和を表し、そこではR7は欠ける。各々のR6、R7およびR8は、各存在について、無関係に、以下:H、置換または非置換であることができる第一または第二アルキル基(たとえば、C1-C10またはまたC1-C4)、置換または非置換フェニル、置換または非置換ナフチル、または置換または非置換アントラセニル、または、ハロ、ヒドロキシル(水酸基)、スルフヒドリル、シアノ、シアナト、チオシアナト、アミノ、ニトロ、ニトロソ、スルホ、スルホナト、ボリル、ボロノ、ホスホノ、ホスホナト、ホスフィナト、ホスホ、ホスフィノ、およびシリルオキシからなる群より選ばれる官能基から選ぶことができる。 有利には、基R8は、複素環芳香族リングであることができる置換または非置換芳香族リングであってよい。上記の構造での置換基R6、R7およびR8は、アルキルおよび不飽和アルキル基、置換することができ、およびヘテロ原子を含むことができるアリール基を含むことができる。 NHCカルベンリガンドの適切な例には、以下の式III〜VI:に従うそれらのものが含まれ、 式中、各々の基R9、R10およびR11は、各存在について、無関係に、以下:H、置換または非置換であることができる第一または第二アルキル基(たとえば、C1-C10またはまたC1-C4)、置換または非置換フェニル、置換または非置換ナフチル、または置換または非置換アントラセニル、または、ハロ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、シアノ、シアナト、チオシアナト、アミノ、ニトロ、ニトロソ、スルホ、スルホナト、ボリル、ボロノ、ホスホノ、ホスホナト、ホスフィナト、ホスホ、ホスフィノ、およびシリルオキシからなる群より選ばれる官能基から選ばれ、R12、R13、R14およびR15は、各存在について各々無関係にH、置換または非置換アルキル基(たとえば、C1-C10またはまたC1-C4)、置換または非置換アリール、または式(IV)および(VI)において、それらがもつ炭素と一緒に置換または非置換、融合4-8員炭素リング(carbocylic ring、carbocyclic ring)または置換または非置換、融合芳香族リング、なるべくなら融合フェニルリングを形成ものであり、およびR16はアルキル(たとえば、C1-C10またはまたC1-C4)またはシクロアルキル(たとえば、C3-C8)である。 たとえば、これらのNHCカルベン:は、ルテニウム錯体の形成のためのNHCカルベンのファミリーの適切な例であり、アルキル置換された芳香族リングは追加の安定化をカルベンの孤立電子対に提供する。 望ましいルテニウムホスファイト錯体は、前駆体ルテニウム錯体から適切な脱離基の置換によって作ることができる。たとえば、下記のスキーム2において1からであり、(式中、SIMesはNHC:であり)、ルテニウムホスフィン錯体の生産のために使われるものに類似した経路による。 たとえば、錯体1は、ジクロロメタンにおいて異なるホスファイト(1等量)と反応させ、および室温で1時間撹拌した。この手順は2つの錯体の混合物を生成することができ、各々はキレート化ホスファイトに対応する31P NMRシフトを示し、110および135ppmの間である(遊離ホスファイトは128-145ppm付近の信号を有する)。2つの錯体は、スキーム2のP(OiPr)3(錯体2)を用いる例について示すようなシスおよびトランスの形態であることが示され、そしてその後特定の例を参照して論じる。 トランス形態(NHCに対向するホスファイト)は、熱力学的生成物であるシス形態(NHCに隣接するホスファイト)に比べて速度論的有利である。したがって、トランスの形態は、より一層低い温度で熱力学的により一層安定なシスよりも高い収率で生産される。スキーム2において指し示すように、トランス形態は難なく加熱によってシスに変換される。 シス-2のX線研究では、以下に指し示すように、それが実際には2つの鏡像異性体の混合物として生産されたことが示される。 第三の見地によれば、本発明は、一般式I:に従うルテニウム錯体を調製する方法を提供し、 式中、基A、X、Z、R1およびR2は、前のものと同じ意味を有し、この方法には、 一般式VII:に従う錯体を提供することであり、式中、Lは脱離基であり、およびA、X、Z、R1およびR2は、前のものと同じ意味を有すること、および 式VIIの錯体を、基Zを含むか、またはそれから構成される化合物と反応させることであり、そこでZは前のものと同じ意味を有することが含まれる。 脱離基Lは、たとえば、置換または非置換ピリジン、ホスフィン、ホスファイト(亜リン酸エステル)、ホスフィナイト(亜ホスフィン酸エステル)、ホスホナイト(亜ホスホン酸エステル)、ホスホラミデート(アミド亜リン酸エステル)、チオフェン、テトラヒドロフラン、N複素環カルベン、アセトニトリルまたはベンゾニトリルであることができる。若干の例では、脱離基Lは、二座リガンドを形成するために基に共有結合させることができる。以下に記載するシス錯体65の合成において、例を与える。 この方法は、さらにトランス錯体(式II)をシス錯体(式I)に変換するために加熱を含むことができる。したがって、この方法は、式IIの錯体ならびに式Iのそれらのものを作成することができる。概して、一般式VIIに従う錯体から本発明の錯体を調製するために、この方法は、適切な溶媒、典型的に、ジクロロメタンのような塩素系溶剤において行われる。トランス錯体のシス錯体への熱変換は、たとえば、クロロホルム、トルエンまたはニトロメタンのような適切な溶媒において加熱することによって達成することができる。 式VIIIおよびIXの錯体は、たとえば、式Iまたは式IIの錯体を用いて始めること、および配位リガンドXの一つを置き換えることによって行うことができる。たとえば、Xがハロゲンである場合、アニオンY-の銀塩(例はAgSbF6)との反応は、式VIIIまたはIXの生成物を生産することができる。この方法は、下記のスキーム3に示され、この例ではXは塩化物である。この方法は、本発明の別の見地である。 ここに記載の錯体は触媒として用いることができる。 このようにして、第四の見地によれば、本発明は、一般式I:に従う錯体の、触媒としての使用を提供し、 式中、基A、X、Z、R1およびR2は、前のものと同じ意味を有する。 Zがホスファイトであり、およびAがNHCである錯体は、以下に、そして特定の例を参照しながら説明するように、触媒の仕事の範囲内で良好に機能することが示された。 したがって、第五の見地によれば、本発明は、一般式II:に従う錯体の、触媒としての使用を提供し、式中、基A、X、Z、R1およびR2は、前のものと同じ意味を有する。 このように、さらにまた他の見地によれば、本発明は、一般的式VIIIまたはIX:に従う錯体またはこれらの式に従う錯体の、触媒としての使用を提供し、式中、金属中心についての少なくとも一の空き位置は、中性リガンドによって占められる。 とりわけ、式IIのトランス錯体は室温で良好な触媒活性を示すことができるが、しかし、シス形態(式I)は概してより一層高い温度を必要とし、シス形態が潜在的な触媒であることを示唆する。このように、トランス形態は低温の状況で好ましいことができるが、以下に示すように、シス形態を使うとき、適度な温度でさえ高い転換率を得ることができる。さらに、錯体のシス形態は高められた温度で丈夫であり、時間に伴う活性の損失に対する低下した傾向を示す。 たとえば、閉環メタセシス(RCM)、エニン閉環メタセシス(エニンRCM)、クロスメタセシス(CM)および開環重合メタセシス(ROMP)からなる群から選ばれる反応に触媒作用を及ぼすのに、これらの錯体を用いることができる。得られる結果を、この後、および特定の例によって論じる。 本発明の更なる特長および利益は、添付図面に関して例示した若干の具体化の以下の詳しい説明から明らかである。 本発明の錯体のX線構造を示す図である。本発明の錯体のX線構造を示す図である。本発明の錯体のX線構造を示す図である。本発明の錯体のX線構造を示す図である。本発明の錯体のトランスからシスへの異性化を視覚的に示す。本発明の錯体のトランスからシスへの異性化を視覚的に示す。種々の触媒を用いる閉環メタセシス実験の結果を視覚的に示す。 若干の好適例および実験結果の説明をする。 NHCを含む式IおよびIIの錯体の調製 一般的な手順は、上記スキーム2の錯体1を異なる基Z、これらの例でのホスファイトと反応させることである。ジクロロメタン中のホスファイト(1-4等量)を、1と反応させ、そして60℃で3-15時間撹拌した。この手順は、採用されるホスファイトが、たとえ何であっても、2つの新しい錯体の混合物を導き、配位ホスファイトに対応する31P NMRシフトを示し、それは110および135ppmの間であり、それに対し遊離のホスファイトは128-145ppm付近である ホスファイトリガンドがP(OiPr)3であった場合、スキーム2で示すように、上述の状況は、90%の純粋な錯体(CDCl3での31P NMR、主δ=113ppm、副δ=123ppm)が、赤い粉体として分離されることを可能にする。d8-トルエンでのNMR実験は、80°Cでの1時間後、113ppmで化学シフトを示す錯体が123ppmでのものに高度に変換したことを示した。後者の錯体を、このようにして分離し、そして特徴付けた。 2つの錯体の1H NMRは、ホスファイトアルコキシ基上で興味ある相違を示した。実際に、最初の錯体でのイソプロピル基の6つの等価の終端メチル基に対応するうまく分解された二重項が後者の錯体で等価でない(inequivalent)ことが見出され、ホスファイトの自由な回転がもはや可能でなかったことが示された。そのうえ、双方の錯体で、NHCカルベニック炭素(carbenic carbon)およびホスファイトリンの間でJ結合を観察するために、13C NMR実験を行った。最初に発生する錯体(31P、δ=113ppm)は208.9ppmで古典的な結合定数JC-P=124Hzと共にカルベニック炭素を示す一方、第2の錯体(31P、δ=127ppm)は13Hzの普通でない小さな結合を示した。これらの観察結果は、その錯体トランス-2が、NHCおよびホスファイトの間でのトランス構成を特色として、動力学的に得られ、その一方、シス-2は熱力学的に好ましかったという結論を導いた(スキーム2)。錯体シス-2はまた、トランス-2を60℃のクロロホルムで5時間加熱することによって、86%の良好な収率において、より一層大きなスケールで分離することもできた。興味深いことに、外観および可溶性は、トランス-2およびシス-2について完全に異なった。実際に、トランス-2が極性および無極性溶媒に可溶な赤い粉体として分離される一方で、シス-2はペンタンにおいて完全に不溶性の黒い固体であり、空間的な配置に対する物性の依存が示される。シス-2の構造は、CH2Cl2/n-ドデカンからの適切な結晶の成長の後、X線結晶学によって確かめられた。(図1bを参照)。X線データもまた、錯体シス-2が一対の鏡像異性体として上述したように存在することを示す。 直接的にシス錯体を得るために、異なるホスファイトリガンドと共に、1および選定したホスファイトを、適切な時間の間、ジクロロメタンにおいて40℃で撹拌した(表1、下記)。1Hおよび31P NMRによる反応を提供し、次いで異なる変換率を示した。一般的な傾向として、反応性はホスファイトの円錐角に依存した。実際に、反応は、P(OiPr)3およびP(OPh)3のようなかさ高(bulky)なホスファイトでより一層遅く(15時間)、その一方、P(OMe)3のようなより一層小さなホスファイトが40℃で3時間だけ必要であることが見出された。P(OPh)3について、P(OPh)3の4等量は、望ましい錯体への比較的速い変換を得るために必要であった。これらの状況で、錯体シス-2-5(表1)を最高88%の収率で分離した。シス-3について、より一層低い収率は、精製困難に起因した。シス-4、シス-2、シス-3およびシス-5のX線構造をそれぞれ図1a〜1dに示す。 CD3NO2およびトルエン-d8におけるNMR研究(それぞれ図2および3)は、90%トランス:10%シス錯体2を含むサンプルのトランスからシスへの熱変換を示す。 示されたすべての実験は、純粋なシス-2から始めた50℃でのトルエン一つの実験を除いて、トランス-2錯体複合体(90%純粋、10%のシス異性体を伴う)から始めるNMRによって追跡した。本発明者らが察知することができるように、極性溶媒(ニトロメタン)は、シス異性体の形成を支持したが、それに対し、無極性溶媒(トルエン)は平衡トランス/シス80:20に達した。30℃の温度では、高速変換を可能にするには低すぎるように思われる。シス異性体から始めること、およびトルエン中の加熱はまた、混合物シス/トランス80:20に導いた。曲線の最初のセットはΔΗ=22.6 kcal/モルおよびΔS=-4.2cal/モルの算出を許した。 NHCを含むシス錯体を生産する合成の更なる例を以下に示す。 HII(200mg)およびP(OiPr)3(5等量)を72時間撹拌した。粗製物65をDCM /ペンタンから再結晶させた。 1H(400MHz、298K):16.05(d、1H、J=35.3Hz、C=CH)、10.24(d、1H、J=9.7Hz、Ph-H)、6.87-6.83(m、2H、Ph-H)、6.78(s、1H、Ph-H)、6.61(s、1H、Ph-H)、6.19-6.16(m、2H、Ph-H)、4.67(brs、2H、PO-CH-CH3)、4.09-4.06(m、1H、Ph-O-CH-CH3)、4.04(brs、1 H、PO-CH-CH3)、3.43-3.40(m、1H)、3.16-3.02(m、 3H)、2.89(s、3H、Mes-CH3)、2.58(s、3H、CH3)、2.46(s、3H、CH3)、2.42(s、3H、CH3)、2.18(s、3H、CH3)、1.92(s、3H、CH3)、1.48-0.80(m、24H、PO-CH-CH3)。 31P{1H}(121.49MHz、298K):128.7(s) 式IおよびIIの錯体の触媒活性 錯体の触媒活性を、閉環メタセシス(RCM)、エニン閉環メタセシス(エニンRCM)およびクロスメタセシス(CM)において評価した。トランス-2およびシス-2の間の性質の違いを調べた。反応を室温で行ったときに主な違いが現れた。実際、トランス-2は、以前に報告されたインデニリデン(indenylidene)ルテニウム錯体に比べて低い活性ではあるが、ジアリルトシルアミン6のRCMを達成することができたのに対して、シス-2は、反応の24時間後であっても、室温で全体として不活性であることが見出された(表2、下記、項目1)。それにもかかわらず、同じ基質で、80℃でのトルエン中の熱活性化は、シス-2の存在下で高速変換を可能にした。同じ傾向はジアリルマロナート8を有するRCMにおいて、10を有するエニンRCMおよびアルケン12を有するCM(表2、項目2-4)において観察され、トランス-2は室温で活性でありながら、シス-2は熱活性化を必要とする。このような性質は潜在性触媒に対応する。シス-2を活性化するのに必要な熱刺激を評価するために、6のRCMを異なる温度(25、40、60、80℃)で監視し、温度を30分ごとに変更した。変換は室温および40℃で観察されず、60℃で4%の変換、および80℃で完全な変換であった。結果として、錯体シス-2〜5の比較研究を80℃で行った。 以下の表2において、また、既知の錯体M2(スキーム1)および1(スキーム2のピリジンを含む錯体)についての結果を比較目的のために示す。 錯体は、ジエン、エニンのRCMにおいて、およびCMにおいて触媒として研究した(下記表3)。また、既知の錯体1(スキーム2のピリジンを含む錯体、M31として知られる)、M1およびM2(スキーム1)が、比較目的のために、若干の実験に含まれた。 これらの錯体は、Umicore N.V.(ユミコア社);Broekstraat 31 rue du Marais(ブロケストラット31リュ・ドゥ・マライス) B-1000 Brussels、Belgium(ブリュッセル、ベルギー)から入手できる。。 一般的な傾向は、新しい錯体のために反応性およびホスファイト置換基の間で見出された。トリイソプロピルホスファイトおよびトリフェニルホスファイトを含む錯体のシス-2および5は、匹敵する効率を有し、前者がわずかにより一層活性であることが分かった。実際、30分後、8のRCMはシス-2で達成され、その一方、8の痕跡をまだシス-5で検出することができた。さらに、より一層明確な証拠は、10と12の反応で提供され、シス-2がシス-5よりも高速である。最後に、シス-3および4は、それぞれ、トリメチルおよびトリエチルホスファイトが特色であり、似ているが、シス-2および5よりもはるかに反応性が低かった。非常にゆっくりとした反応性は、より一層長い反応時間がおそらく完全な変換に達する可能性がある場合でも、テストした反応で観察された。メタセシス転換におけるこのような触媒の適用可能性を探るために、本発明者らは触媒シス-2を用い、および高めた温度で反応を行うことを選定した。 いくつかの基質のRCMの研究も実行した。反応は、シス-2の1〜5モル%の存在下80℃にてトルエン中で行い、より一層高い触媒負荷が形成17のために必要なだけであり、テトラ置換された二重結合が特長的である(下記の表4、項目3)。制約されてないマロナート誘導体のRCMは、短い反応時間において(1時間未満)および良好な収率において達成された。実際、ジ-およびトリ-置換されたシクロペンテン15および9は、定量的収率で得られた(項目1および2)。それでも、高度に制限された基質16は、80℃にて24時間の後でさえ、完全な変換で環化することができず、70%の収率で分離された(項目3)。最後に、6-および7-員環19および21は、それぞれ96および87%の収率で得られ、そして5員環を有するリング15に比べて反応時間の増加はなかった(項目4および5)。注目すべき、0.05Mへの希釈剤は、ポリマーの平行的形成を観察することなく21を得るのに必要であった。本発明者らは、シアノ類似物24および26のRCMを次に試みた(項目6および7)。制約されてないシクロペンテン23は良好な収率(88%)で分離され、潜在的なキレート性のシアノ基の存在が触媒作用に有害でなかったことを示した。それでも、シス-2は、25の形成を促進することができず、出発材料が反応していないままであった。トシルアミン系のオレフィンを次に調査した。妨害およびリングサイズに関係なく、これらの化合物の環化が非常に効率的であることが見出された。実際、5-、6-および7-員環化合物7、27および29は、優れた収率で分離されたが(項目8-10)、それにもかかわらず、反応時間のわずかな増加がより一層大きなリングのために必要とされた。30および32の環化を達成し、良好な収率でテトラ置換された5-および6-員環31および33を得るために(項目11および12)、たとえ5時間の反応がジヒドロピロール31のために必要とされても、2モル%だけの触媒負荷は必要であった。収率が80%から99%にまでわたって、アミドおよびエーテル系基質もまた、効率的に環化された(項目13-17)。生成物39、41および43が1時間未満の間に得られた優れた収率であったので、リングサイズを6または7員環に増やすことは有害でなかった(項目15-17)。この研究から、触媒シス-2は官能基に非常に寛容で、そして難なくRCMをもたらすことができると考えられた。 本発明の錯体のこの有用性は、さらに図4に例示され、それは、80℃でのトルエン中での化合物30のRCM(表4の項目11)が、Ru錯体の範囲を伴い実行されたことを示す。トランス、またはシス-2の双方は、高度な変換を迅速に生じるが、先行技術の錯体Hov-II、G-II、M2(スキーム1で示す構造)およびM31(それは、スキーム2でのピリジン錯体1である)がこれらの条件下に約60%の変換(錯体M2)よりも高いものを何らも生じさせなかった。 エニン閉環メタセシスは、更なるディールス-アルダー(Diels-Alder)反応を経て、このようにしてすぐに二環式化合物を提供することができるジエンを合成するために強力なツールとなる。簡易に基質10および44は30分後に完全に変換されたが、11は75%の収率で分離されただけであった(下記の表5、項目1および2)。より一層長い反応時間は、ヒンダード化合物46(項目3)を変換するのに必要であった。またしても、71%の比較的低い分離収率(99%の変換と比較して)が得られた;そのようなふるまいは、高い温度で簡単に起こすことができる平行重合反応から生じることがあった。基質48は24時間の反応後、不変のままであったが、より一層多くのヒンダードエニン50は3時間で効率的に環化された(項目4および5)。エチレンの追加は48のような終端のアルキンの場合での反応を許すのに必要であることが知られている。結論として、触媒シス-2は、短い反応時間および許容できる収率においてジエンのエニンからの形成を許した。 分子間クロスメタセシスを促進する触媒シス-2の能力はまた、研究された(下記の表6)。CM反応は、それらのRCMの対応物よりもより一層難しく、それは、セルフメタセシス生成物の副形成(side-formation)が起こりうるからである。いくつかの基質は、シス-2の2モル%の存在において、80℃でのトルエン中の2つのアルケンパートナーの2等量と一緒に入れられた。シリル化された化合物12は、種々のオレフィンと効率的にカップリングされた(項目1-4)。実際、アルケンパートナーとしてのメチルアクリラート、アクロレインおよびジアリルアセタートの使用は、望ましい生成物、それぞれ13、52および54の分離を、前に報告した結果と比較して良好な収率において許容し、このようにして、シス-2が官能基に対する良好な寛容性を有することが証明される(項目1、2および4)。しかし、アリルトシルアミンは本発明者らの触媒システムに不適合であり、それは53への転換が観察されなかったからであると見出された(項目3)。異なる鎖長をもつエステル含有基質55および57はまた、良好な収率において、メチルアクリラートとも結合した(項目5および6)。双方の生成物はE異性体として分離され、Zのものは1H NMRによって検出されなかった。アクロレインによるオイゲノール59(クローブのエッセンシャルオイル)の反応が、効率的であることが見出され、そしてそのフェノール構成部分の保護を必要としなかった(項目7)。最後に、p-クロロスチレン61は、うまくメチルアクリラートと反応し、そして20:1のE/Z比で、81%の収率において62を与えた。セルフメタセシス化合物の形成は、これらの基質をテストする間に観察されなかった。 式VIIIおよびIXの錯体の調製 式VIIIの例: 錯体シス-2を銀ヘキサフルオロアンチモナートの1当量と室温で反応させ、セライト上でろ過することにより塩を単純に除去した後、純粋な錯体63を得た。 63の13C{1H}NMRスペクトルは、カルベン炭素原子および15.1Hzのホスファイトリガンド2JC-Pの間のカップリング定数を表示し、NHCおよびホスファイトリガンドの間のシス構成と整合する。この値は、シス-2のために見出されたものと非常によく似ており(13.4Hz)、およびトランス-2で見出されたものから非常に程遠い(127.8Hz)。同様に、インデニリデン炭素原子C1および63のリン原子との間の2JC-P(23.2Hz)はまた、シス-2を用いて得られた24.7Hzと非常に類似することが見出された(トランス-2 31.0Hz)。 63の構造はX線結晶構造解析によって確認した。 錯体63は以下のようにアセトニトリルを含有する種63aに変換することができる: グローブボックスにおいて、63(77.0mg、0.071mmol)をアセトニトリル1mLに溶解し、そして混合物を15分間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。黒色固体をヘキサンで洗浄して、63a(99%)を生じさせる。 1H-NMR(CD2Cl2、400MHz):δ(ppm)=1.13(d、3JHH=5.6Hz、9H、CH-CH3)、1.17(d、3JHH=5.6Hz、9H、CH-CH3)、2.02(s、6H、メシチルCH3)、2.06(s、3H、CH3)、2.16(s、6H、メシチルCH3)、2.34(s、6H、メシチルCH3)、4.01(s、4H、カルベンCH2)、4.31(s br、3H、CH-CH3)、6.32(s、1H、インデニリデン H)、6.74(s、2H、メシチルCH)、6.87(s、2H、メシチルCH)、7.32(d、3JHH=8.0Hz、1H、インデニリデン H)、7.41-7.50(m、4H、インデニリデン)、7.59(t br、3JHH=7.3Hz、1H、インデニリデン H)、7.63(d br、3JHH=7.3Hz、2H、インデニリデン H)、7.83(s、1H、インデニリデン H)。 31P{1H}NMR(CD2Cl2、162MHz)δ(ppm)=115.5 63の触媒能力は、まず、低触媒負荷(0.1モル%のRu)での興味深いトシルアミン誘導体30(表7)のRCM(閉環メタセシス)について評価した。 80℃で、すべての溶媒は、まったくか、または非常に少なくしか変換を与えなかった(表7、項目1-3)。反応は110℃よりも高い温度(120-140℃)でキシレンまたはメシチレンにおいて遂行し、良好な変換(76-79%)を有する生成物31を与えた(表7、項目4、5、9、10)。 温度を160℃に上げることは、生成物に対するより一層低い変換につながる(表7、項目11)。ニート条件を用いたとき、変換は60%に落ちた(下記表7、項目7)。ジメチルスルホキシドまたは1,2-ジクロロベンゼンもまた、変換率の劇的な減少を有する反応に対して非常に不利であることが見出された(表7、項目6、8)。 最適化された反応条件下(表7の項目10)、63の動的プロファイルを記録し、およびその元の中性錯体シス-2のものと比べた(図5)。140℃で、シス-2は3分間だけで非常に高速な始動および高活性を見せる。シス-2の分解が急速に起こり、そして触媒は変換の60%よりも高いものを達成できなかった。より一層良好な結果は、より一層多くの触媒およびより一層長い反応時間を採用した表4で得られた(上記の項目11)。対照的に、140℃で3分間の熱処理は、63を活性化するのに必要であることが見出され、それは潜在性触媒と考えることができ、それは次に10分内に80%の変換を達成した。このことは、63がシス-2よりも熱的に安定であることを示す。 63の触媒能力を、それより、これらの厳しい反応条件:140℃、15分下で、ジエンおよびエニンの範囲について研究した(表8)。 式IXの例 グローブボックスにおいて、Ru錯体シス-2(0.150g、0.171mmol)および銀ヘキサフルオロアンチモナート(0.130g、0.366mmol)およびジクロロメタン(5mL)を乾燥フラスコに仕込んだ。反応混合物を15分間撹拌し、そして溶液をセライトのプラグを通してろ過した。溶媒を蒸発させた後、ペンタンを加え、そして沈殿物をろ過によって収集し、およびペンタンで洗浄した。67は95%(0.1990mg)での黒緑がかった固体として得られた。 式IおよびIIの錯体のその他の例 リガンドAおよびZとしてホスフィンおよびホスファイトを含むシス錯体68を、以下のようにして作成することができる。すなわち 不活性雰囲気下で、トリイソプロピルホスファイト(364μL、1.53mmol)を、ジクロロメタン(20mL)において、M1の溶液(1.4145g、1.53mmol)に添加した。混合物を室温にて24時間撹拌し、次いで溶媒を減圧下に除去した。粗製物はCH2Cl2/ペンタンから再結晶した。固体をろ過により収集し、そしてペンタン(3×10、2×15mL)で洗浄した。生成物68は茶色がかった赤色の固体(1.116g、収率85%)として得られた。 1H-NMR(400MHz、298K):δ(ppm)=1.10-1.35(m、27 H)、1.40-1.55(m、6 H)、1.60-1.85(m、14H)、6.79(s、1H、インデニリデン H)、7.27(d、J=7.1Hz、1H、インデニリデン H)、7.43(dd、J=6.7Hz、J=6.3Hz、1H、インデニリデン)、7.44(dd、J=7.4Hz、J=6.3Hz、2H、インデニリデン)、7.50(dd、J=7.4Hz、J=7.7Hz、1H、インデニリデン)、7.53(dd、J=7.4Hz、J=7.4Hz、1H、インデニリデン)、7.76(d、3JHH=7.3Hz、2H、インデニリデン)、8.80(d、J=7.3Hz、1H、インデニリデン)。 31P-{1}-NMR(162MHz、298K):δ(ppm)120.1(d、J=37.0Hz)、47.4(d、J=37.0Hz)。 同様の手順に従い、より一層多くのホスファイト試薬と共に、シスビスホスファイト錯体69を得ることができる。 31P-{1H}-NMR(CD2Cl2、162MHz):δ(ppm)=122.9。 参考文献 1.a) Nguyen(グエン), S. 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Sigalov(シガロフ)、I. Goldberg(ゴールドバーグ)、N.G. Lemcoff(レムコフ)、Organometallics, 2008, 27, 811-813、e) C. E. Diesendruck、V. Vidavsky(ヴィダフスカイ)、A. Ben-Asuly、N.G. Lemcoff、J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem., 2009, 47, 4209-4213、f) C. E. Diesendruck、E. Tzur、A. Ben-Asuly、I. Goldberg、B. F. Straub(シュトラウプ)、N.G. Lemcoff、Inorg. Chem., 2009, 48, 10819-10825、g) A. Ben-Asuly、A. Aharoni(アハロニ)、C. E. Diesendruck、Y. Vidavsky、I. Goldberg、B. F. Straub、N.G. Lemcoff、Organometallics, 2009, 28, 4652-4655、h) E. Tzur、A.Szadkowska、A. Ben-Asuly、A. Makal、I. Goldberg、K. Wozniak(ウォツニーク)、K Grela、N.G. Lemcoff、Chem. Eur. J., 2010, 16, 8726-8737。 14.M. Zirngast(ジルンガスト)、E. Pump(パンプ)、A. Leitgeb(レイトガブ)、J. H. Albering(アルベリング)、C. Slugovc, Chem. Commun., 2011 , 47, 2261-2263。 一般式I: 式中、各存在について、基Xは、同じか、または異なり、およびアニオン性リガンドであるか、または二座リガンドを形成するために融合し、 基R1およびR2は、同じか、または異なり、および水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C2-C20アルコキシカルボニル、アリール、C1-C20カルボキシラート、C1-C20アルコキシ、C2-C20アルケニルオキシ、C2-C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C1-C20アルキルチオ、C1-C20アルキルスルホニル、およびC1-C20アルキルスルフィニル、および水素でないとときは随意に置換されるものからなる群より選ばれ、または 基R1およびR2は、置換または非置換、飽和または不飽和でよいリングを形成するために一緒に融合され、および更なるリングに融合することができ、および 基Zは、以下:からなる群より選ばれ、 式中、基R3、R4およびR5は、各存在について、各々無関係に、置換または非置換の第一、第二または第三アルキルで、それは環式であることができ、および不飽和であることができるもの、置換または非置換のアリールまたはヘテロアリール、随意に、二またはそれよりも多くの基R3、R4およびR5がリングを形成するために融合するものからなる群より選ばれ、および 基Aは、求核性カルベン、および基Zについて定められるような基のリストから無関係に選ばれるリンリガンドからなる群より選ばれ、および Aが求核性カルベンであるときには、Zは次のでない、シスルテニウム錯体。 アニオン性リガンドXは、無関係に、ハロゲン、ベンゾアート、C1-C5カルボキシラート、C1-C5アルコキシ、フェノキシ、C1-C5アルキルチオ基、トシラート、メシラート、ブロシラート、トリフルオロメタンスルホナート、および擬ハロゲンからなる群より選ばれる、請求項1に従うシスルテニウム錯体。 基R1およびR2はHおよびアリールである、請求項1または請求項2に従うシスルテニウム錯体。 基R1およびR2は、置換または非置換のインデニリデン構成部分を形成するために融合される、請求項1または請求項2に従うシスルテニウム錯体。 基Zはホスファイト基:である、いずれかの先行する請求項に従うシスルテニウム錯体。 ホスファイト基は、P(OMe)3P(OEt)3、P(OiPr)3およびP(OPh)3からなる群より選ばれる、請求項5に従うシスルテニウム錯体。 基Aは、カルベン炭素を含む四、五、六または七員環を有する求核カルベンである、いずれかの先行する請求項に従うシスルテニウム錯体。 基AはN複素環カルベンである、請求項7に従うシスルテニウム錯体。 N複素環カルベンリガンドは、リングにおいて一よりも多い窒素原子を含み、および/またはリングにおいて少なくとも一のOまたはSを含む、請求項8に従うシスルテニウム錯体。 求核カルベンは、の形態の形を有し、式中、基R6は同じか、または異なることができ、存在する場合に基R7は同じか、または異なることができ、リングにおける点線は随意の不飽和を表し、随意に、リングにおける炭素原子の1またはそれよりも多くはOまたはSで置換され、および 各々のR6およびR7は、各存在について無関係に、以下:H、置換または非置換である第一または第二アルキル基、置換または非置換フェニル、置換または非置換ナフチル、または置換または非置換アントラセニル、またはハロ、水酸基、スルフヒドリル、シアノ、シアナト、チオシアナト、アミノ、ニトロ、ニトロソ、スルホ、スルホナト、ボリル、ボロノ、ホスホノ、ホスホナト、ホスフィナト、ホスホ、ホスフィノ、およびシリルオキシからなる群より選ばれる官能基から選ばれる、請求項7に従うシスルテニウム錯体。 N複素環カルベンリガンドは、リングにおいて、2つの窒素原子をカルベン炭素に各々隣接して含む、請求項9に従うシスルテニウム錯体。 N複素環カルベンリガンドは、次の形態:を有し、式中、各々の基R6、R7およびR8は各存在について、同じか、または異なることができ、およびリングにおける点線は、随意の不飽和を表し、そこではR7は欠けており、および 各々のR6、R7およびR8は、各存在について無関係に、以下:H、置換または非置換である第一または第二アルキル基、置換または非置換フェニル、置換または非置換ナフチル、または置換または非置換アントラセニル、またはハロ、水酸基、スルフヒドリル、シアノ、シアナト、チオシアナト、アミノ、ニトロ、ニトロソ、スルホ、スルホナト、ボリル、ボロノ、ホスホノ、ホスホナト、ホスフィナト、ホスホ、ホスフィノ、およびシリルオキシからなる群より選ばれる官能基から選ばれる、請求項11に従うシスルテニウム錯体。 N複素環カルベンリガンドは、式III〜VI:のいずれか一つに従う構造を有し、 式中、各々の基R9、R10およびR11は、各存在について無関係に、以下:H、置換または非置換であることができる第一または第二アルキル基、置換または非置換フェニル、置換または非置換ナフチル、または置換または非置換アントラセニル、またはハロ、水酸基、スルフヒドリル、シアノ、シアナト、チオシアナト、アミノ、ニトロ、ニトロソ、スルホ、スルホナト、ボリル、ボロノ、ホスホノ、ホスホナト、ホスフィナト、ホスホ、ホスフィノ、およびシリルオキシからなる群より選ばれる官能基から選ばれ、および、そこで、 R12、R13、R14およびR15は各々、各存在について無関係にH、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アリールであり、または式(IV)および(VI)において、それらがもつ炭素と一緒に置換または非置換、融合4-8員炭素リングまたは置換または非置換、融合芳香族リング、なるべくなら融合フェニルリングを形成し、および R16はアルキルまたはシクロアルキルである、請求項12に従うシスルテニウム錯体。 N複素環カルベンは、次の式:のいずれかの一に従う構造を有する、請求項13に従うシスルテニウム錯体。 基Aは、以下: からなる群より選ばれ、 式中、基R3、R4およびR5は、各存在について、各々無関係に、置換または非置換の第一、第二または第三アルキルで、それは環式であることができ、および不飽和であることができるもの、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール、および随意に、二またはそれよりも多くの基R3、R4およびR5がリングを形成するために融合するものからなる群より選ばれる、請求項1〜6のいずれか一項に従うシスルテニウム錯体。 次の:からなる群より選ばれる請求項1のシス錯体。 一般式I:に従うルテニウム錯体の調製方法であり、 一般式VII: 式中、Lは脱離基であるに従う錯体を提供すること、および 式VIIの錯体を、基Zを含むか、またはそれから構成される化合物と反応させることを含み、そこで、基A、X、Z、R1およびR2は、請求項1におけるのと同じ意味を有する、方法。 脱離基Lは、置換または非置換ピリジン、ホスフィン、ホスファイト、ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスホラミデート、チオフェン、テトラヒドロフラン、N-複素環カルベン、アセトニトリルおよびベンゾニトリルからなる(cnsisting)群より選ばれる、請求項17の方法。 さらにトランス錯体をシス錯体に変換するために加熱することを含む、請求項17または請求項18の方法。 一般式I: 式中、基A、X、Z、R1およびR2は、請求項1におけるものと同じ意味を有するものに従う錯体の触媒としての使用。 錯体はオレフィンメタセシス反応を行うために使用される、請求項20に従う使用。 錯体は、閉環メタセシス、エニン閉環メタセシスおよびクロスメタセシスからなる群より選ばれる反応を触媒するために使用される、請求項20に従う使用。 式VIIIのか、または式IXのか:のカチオン性ルテニウム錯体であり、 式中、各存在について、基Xは、同じか、または異なり、およびアニオン性リガンドであり、 基R1およびR2は、同じか、または異なり、および水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C2-C20アルコキシカルボニル、アリール、C1-C20カルボキシラート、C1-C20アルコキシ、C2-C20アルケニルオキシ、C2-C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C1-C20アルキルチオ、C1-C20アルキルスルホニル、およびC1-C20アルキルスルフィニル、および水素でないときは、随意に置換されるものからなる群より選ばれ、または 基R1およびR2は、置換または非置換、飽和または不飽和であることができ、およびさらにリングに融合することができるリングを形成するために一緒に融合され、および 基Zは、以下:からなる群より選ばれ、 式中、基R3、R4およびR5は、各存在について、各々無関係に、置換また非置換の第一、第二または第三アルキルで、それは環式であることができ、および不飽和であることができるもの、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール、および随意に二またはそれよりも多くの基R3、R4およびR5がリングを形成するために融合されるものからなる群より選ばれ、 基Aは、求核性カルベン、および基Zのために定めるような基のリストから無関係に選ばれるリンリガンドから群より選ばれ、および ここで、Y-およびY2-は、各存在について同じか、または異なることができる非配位的イオン性リガンドである、錯体。 非配位的アニオン性リガンドY-は、SbF6-、BF4-、PF6-、ClO4-、[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]-およびBPh4-からなる群より選ばれる、式VIIIに従う、請求項23のカチオン性ルテニウム錯体。 非配位的アニオン性リガンドY-は、存在するとき、SbF6-、BF4-、PF6-、ClO4-、[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]-およびBPh4-からなる群より選ばれ、および非配位的アニオン性リガンドY2-は、存在するとき、酸化物(O2-)、水素ホスファート(HPO42-)、サルファイド(S2-)、クロメート(CrO42-)、スルファート(SO42-)、ジクロメート(Cr2O72-)、チオサルファート(S2O32-)、カルボナート(CO32-)、スルファイト(SO32-)、オキサラート(C2O42-)およびパーオキサイド(O22-)からなる群より選ばれ、式IXに従う、請求項23のカチオン性ルテニウム錯体。 基Zはホスファイト:である、請求項23〜25のいずれか一項のカチオン性ルテニウム錯体。 基Aは、カルベン炭素を含む四、五、六または七員環を有する求核性カルベンである、請求項23〜26のいずれか一項のカチオン性ルテニウム錯体。 基AはN複素環カルベンである、請求項27のカチオン性ルテニウム錯体。 N複素環カルベンリガンドは、リングにおいて一よりも多くの窒素原子を含み、および/またはリングにおいて少なくとも一のOまたはSを含む、請求項28のカチオン性ルテニウム錯体。 Ru金属中心についての少なくとも一の空き位置は、中性リガンドによって占められる、請求項23〜29のいずれか一項のカチオン性ルテニウム錯体。 次の:からなる群より選ばれる、請求項23のカチオン性ルテニウム錯体。 触媒として、請求項23〜31のいずれか一項による、式VIIIまたは式IXに従う錯体の使用。 錯体はオレフィンメタセシス反応を行うために使用される、請求項32に従う使用。 錯体は、閉環メタセシス、エニン閉環メタセシスおよびクロスメタセシスからなる群より選ばれる反応を触媒するために使用される、請求項32に従う使用。 一般式II: 各存在について、基Xは、同じか、または異なり、およびアニオン性リガンドであるか、または二座リガンドを形成するために融合され、 基R1およびR2は、同じか、または異なり、および水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C2-C20アルコキシカルボニル、アリール、C1-C20カルボキシラート、C1-C20アルコキシ、C2-C20アルケニルオキシ、C2-C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C1-C20アルキルチオ、C1-C20アルキルスルホニル、およびC1-C20アルキルスルフィニル、および水素でないとき、随意に置換されるものからなる群より選ばれ、または 基R1およびR2は、置換または非置換、飽和または不飽和であることができ、および更なるリングに融合することができるリングを形成するために一緒に融合され、および 基Zは、以下:からなる群より選ばれ、 式中、基R3、R4およびR5は、各存在について、各々無関係に、置換または非置換の第一、第二または第三アルキルで、環式であることができ、および不飽和であることができるもの、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール、および随意に二またはそれよりも多くの基R3、R4およびR5がリングを形成するために融合されるものからなる群より選ばれ、 基Aは、求核性カルベン、および基Zのために定めるような基のリストから無関係に選ばれるリンリガンドからなる群より選ばれ、および 双方の基ZおよびAはホスフィンではないことを条件とし、およびAは求核性カルベンである場合、Zはホスフィンではないものに従う、トランスルテニウム錯体。 基Zはホスファイト:である、請求項35に従うトランスルテニウム錯体。 基Aは、カルベン炭素を含む四、五、六または七員環を有する求核性カルベンである、請求項35または請求項36に従うトランスルテニウム錯体。 基AはN複素環カルベンである、請求項37に従うトランスルテニウム錯体。 N複素環カルベンリガンドは、リングにおいて一よりも多くの窒素原子を含み、および/またはリングにおいて少なくとも一のOまたはSを含む、請求項38に従うトランスルテニウム錯体。 触媒として請求項35〜39のいずれか一項に従うトランスルテニウム錯体の使用。 錯体はオレフィンメタセシス反応を行うために使用される、請求項40に従う使用。 錯体は、閉環メタセシス、エニン閉環メタセシスおよびクロスメタセシスからなる群より選ばれる反応を触媒するために使用される、請求項40に従う使用。 触媒として用いることができるシスルテニウム錯体を記載する。錯体は本来概して四角錘であり、互いに隣接する2つのアニオン性リガンドXを有する。錯体は、触媒として、たとえば、オレフィンメタセシス反応において用いることができる。対応するトランスルテニウム錯体も、アニオン性リガンドXの一方または双方が非配位的アニオン性リガンドによって置き換えられるカチオン性錯体と一緒に記載する。