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タイトル:公開特許公報(A)_燃料電池用の触媒層の品質検査方法、膜電極接合体の製造方法、燃料電池用の触媒層の品質検査装置、および燃料電池用の触媒層の仕分けシステム
出願番号:2013272263
年次:2015
IPC分類:H01M 8/04,H01M 8/10,H01M 8/02,H01M 4/88,G01N 27/22


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日下 雅文 朱 昆寧 JP 2015125982 公開特許公報(A) 20150706 2013272263 20131227 燃料電池用の触媒層の品質検査方法、膜電極接合体の製造方法、燃料電池用の触媒層の品質検査装置、および燃料電池用の触媒層の仕分けシステム 昭和電工株式会社 000002004 特許業務法人SSINPAT 110001070 日下 雅文 朱 昆寧 H01M 8/04 20060101AFI20150609BHJP H01M 8/10 20060101ALI20150609BHJP H01M 8/02 20060101ALI20150609BHJP H01M 4/88 20060101ALI20150609BHJP G01N 27/22 20060101ALI20150609BHJP JPH01M8/04 ZH01M8/10H01M8/02 EH01M4/88 ZG01N27/22 Z 9 2 OL 11 2G060 5H018 5H026 5H027 2G060AA09 2G060AE01 2G060AF10 2G060EA07 2G060EB03 2G060HA02 2G060KA15 5H018AA06 5H026AA06 5H027AA06 本発明は燃料電池用の触媒層の品質検査方法、膜電極接合体の製造方法、燃料電池用の触媒層の品質検査装置、および燃料電池用の触媒層の仕分けシステムに関する。 電源の小グリッド化、自動車をはじめとした移動体への応用など、燃料電池の用途は拡大の一途にある。 燃料電池には、電解質の種類や電極の種類により種々のタイプに分類され、代表的なものとしては、アルカリ型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型、固体高分子型がある。中でも、有望な燃料電池として、低温(−40℃程度)から120℃程度で作動可能な固体高分子型燃料電池が注目を集めており、その心臓部とも言えるデバイスが膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)である。 ところで、膜電極接合体(MEA)では、燃料電池の反応速度を高め、燃料電池のエネルギー変換効率を高めるために、燃料電池のカソード電極の表面やアノード電極の表面には、触媒を含む層が設けられている。 このような膜電極接合体(MEA)の触媒層については、燃料電池車への利用の為、その量産化技術、検査技術の開発が急務となっている。中でも、膜電極接合体(MEA)の触媒層を対象とした不適合箇所を判断する非破壊検査法には、例えば、特許文献1に開示されているように、現在のところ透過X線による検査方法が実用化されていること以外、決定的な手法は存在しない。 しかしながら、透過X線による検査装置は、一基当たりの価格が非常に高価(例えば5000万円以上)であるにも関わらず、検出した欠陥部位の所在については、アノード側に欠陥部位があるのかまたはカソード側に欠陥部位があるのか判断ができないなどの問題がある。 また、透過X線の装置に関しては、設置に対して行政への届け出、専任の技術者が必要な場合も発生するため、使い勝手が悪いという問題もある。特開2005−38694号公報 本発明は、このような実情に鑑み、透過X線を用いる品質検査方法および品質検査装置のように高価でなく、誰でも容易に操作することが可能な燃料電池用の触媒層の品質検査方法、膜電極接合体の製造方法、燃料電池用の触媒層の品質検査装置、および燃料電池用の触媒層の仕分けシステムを提供することを目的としている。 本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、検査における被対象物との距離、構造(密度・電気特性)の違いにより静電容量などの電気的特性に差が生まれることに着目し、膜電極接合体(MEA)による欠陥を検査すれば有用な情報を取り出すことを見出した。 本発明は、例えば以下の(1)〜(9)に関する。 (1) 燃料電池用の触媒層の品質検査方法であって、 載置台上に載置された燃料電池用の触媒層に対向するように静電容量センサの検査ヘッドを上下動自在に配置し、 前記触媒層または前記静電容量センサの前記検査ヘッドのいずれか一方をいずれか他方に対し相対的に平面移動するように走査し、 前記触媒層の形状を、前記静電容量センサの検出結果に基いて検出するとともに、前記触媒層の内部および外部の品質を、前記触媒層の電気的特性の変化として検出するようにしたことを特徴とする燃料電池用の触媒層の品質検査方法。 (2) 前記検査ヘッドに対向して配置した変位センサによって前記検査ヘッドの上下方向への変化量を検出することを特徴とする(1)に記載の燃料電池用の触媒層の品質検査方法。 (3) 前記静電容量センサで得られた前記触媒層の電気的特性の変化に関する情報と、前記変位センサで得られた前記検査ヘッドの上下方向への変位情報に基いて、前記触媒層の内部品質のみの情報を得るようにしたことを特徴とする(2)に記載の燃料電池用の触媒層の品質検査方法。 (4) 前記触媒層と前記検査ヘッドとの間に生じる静電容量の変化を色調の変化としてマッピングすることにより、前記触媒層の内部構造ならびに形状分布を識別することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の燃料電池用の触媒層の品質検査方法。 (5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載の品質検査方法により触媒層を検査し、検査された触媒層の良品と、高分子電解質膜と、電極とを接合して製造することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。 (6) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載の品質検査方法により燃料電池用の触媒層を検査し、検査された良品の触媒層と高分子電解質膜と電極(拡散層)とを接合して、良品の積層体を構成し、この良品の積層体を複数具備させて製造することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。 (7) 燃料電池用の触媒層と高分子電解質膜と電極(拡散層)とを接合して接合体を構成し、この接合体を(1)〜(4)のいずれかに記載の品質検査方法により、前記燃料電池用の触媒層を検査し、検査された良品の接合体を複数具備させて製造することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。 (8) 燃料電池用の触媒層の品質検査装置であって、 載置台上に載置された燃料電池用の触媒層に対向するように静電容量センサの検査ヘッドを上下動自在に配置するとともに、前記検査ヘッドに対向させて当該検査ヘッドの上下方向への変化量を検出する変位センサを配置し、 前記触媒層または前記静電容量センサの前記検査ヘッドのいずれか一方をいずれか他方に対し相対的に平面移動するように走査し、 前記触媒層の形状を、前記静電容量センサの検出結果に基いて検出するとともに、前記触媒層の内部および外部の品質を、前記触媒層の電気的特性の変化として検出するようにしたことを特徴とする燃料電池用の触媒層の品質検査装置。 (9) 上記(8)に記載の燃料電池用の触媒層の品質検査装置と、前記品質検査装置で検査された触媒層を内部品質の検査結果に基いてグレード分けを行うグレード分け装置とをインラインで接続し、前記触媒層の品質検査と前記触媒層の品質検査に基くグレード分けとを連続的に行うことを特徴とする燃料電池用の触媒層の仕分けシステム。 本発明によれば、透過X線を用いる品質検査方法および品質検査装置とは異なり、安価で誰でも容易に操作することができる。 また、本発明によれば、透過X線を用いる品質検査方法および品質検査装置のように、検査対象となる触媒層の厚さ方向全体を含んでの情報ではなく、静電容量センサで検査する片側のみの情報を得ることができるので、検査対象のどの部分に欠陥があるのかを明確に判別することができる。さらには、その判別結果を、色調の変化として白色あるいは黒色のように異なる色でマッピングすることにより、様々な種類の内部欠陥を、視覚により容易に識別することが可能となる。 さらに、本発明に係る燃料電池用の触媒層の仕分けシステムによれば、触媒層の品質検査を行った後に、内部品質の検査結果に基づいた適正なグレード分けをインラインで直ちに行うことができるので、良好な燃料電池を安価に製造することができる。図1は本発明の好ましい実施の形態で検査対象となる触媒層を備えた膜電極接合体の概略断面図である。図2は本発明の好ましい実施の形態に係る品質検査装置の概略図である。図3は、図2に示した静電容量センサの測定回路の測定手法を説明するための図である。図4は図2に示した静電容量センサで触媒層を検査するときの状況図と、発振周波数および静電容量との関係と、変位センサを用いて外形を調べたときの高さ変位量を示す模式図である。 以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態による燃料電池用の触媒層の品質検査方法、膜電極接合体の製造方法、燃料電池用の触媒層の品質検査装置、および燃料電池用の触媒層の仕分けシステムについて説明する。 図1は燃料電池用の膜電極接合体(MEA)2を示した概略断面図である。 この膜電極接合体(MEA)2では、高分子電解質膜4の両面にカソード触媒層6とアノード触媒層8とが形成され、さらに、カソード触媒層6とアノード触媒層8の両側に、ガス拡散層10、ガス拡散(燃料拡散)層12がそれぞれ形成されている。 なお、カソード触媒層6とアノード触媒層8は、図4に示したように、触媒粉31を有し、好ましくはイオン導電材32を有している。 なお、本実施の形態において、主な検査対象は燃料電池用のカソード触媒層6とアノード触媒層8である。例えば、カソード触媒層6を品質検査するには、ガス拡散層10とカソード触媒層6が一体にされたガス拡散層付きの接合体14の状態にして品質検査する場合もあれば、高分子電解質膜4の上にカソード触媒層6を塗布した状態(ガス拡散層10無し)で品質検査する場合もある。 これと同様に、アノード側を品質検査するには、ガス拡散(燃料拡散)層12とアノード触媒層8が一体にされたガス拡散層付きの接合体16の状態にして品質検査する場合もあれば、高分子電解質膜4の上にアノード触媒層8を塗布した状態(ガス拡散層12無し)で品質検査する場合もある。 さらには、全てを一体化し膜電極接合体(MEA)2の状態にしてから、または膜電極接合体(MEA)2よりガス拡散層10とガス拡散(燃料拡散)層12を除いた状態:触媒コート膜(CCM:Catalyst Coated Membrane)状態でアノード側・カソード側それぞれを品質検査する場合もある。また、触媒層のみを予めポリテトラフルオロエチレン膜等にコートした後に、高分子電解質膜4に転写する転写法においては、転写前のカソード触媒層6やアノード触媒層8をそれぞれ品質検査する事も出来る。 いずれにしても、膜電極接合体(MEA)2のカソードとアノード側は、片側ずつ検査が行われる。これにより、片側のみの検査結果を得ることができる。 図2に示したように、本実施の形態に係る品質検査装置20は、検査対象を載置する載置台22の上に、検査対象に対向するように配置された静電容量センサ24と、静電容量センサ24の上方に配置される変位センサ26とを備えている。変位センサ26としては、レーザー変位センサを例示することができる。またこれらセンサは複数単位を備える(マルチヘッド化)事も可能であり、これにより走査時間・測定時間の短縮等の効果が得られる。 なお、本実施の形態では、静電容量センサ24と変位センサ26とが具備されているが、変位センサ26は本発明の必須構成要件でない。すなわち、変位センサ26を用いずに静電容量センサ24だけを用いても、例えば、膜電極集合体(MEA)2よりガス拡散層10、12を除いた状態で検査した場合、カソード触媒層6の外部の形状および内部の品質についての情報と、アノード触媒層8の外部の形状および内部の品質についての情報を得ることは可能である。 静電容量センサ24のみを用いた場合には、外部の形状に関する情報と内部の品質に関する情報とが混在した状態で得られる。また、ガス拡散層10、12を付けた膜電極集合体(MEA)2の状態で見た場合には、各観察側全体の合成情報となる。これに対し、本実施の形態のように、静電容量センサ24と変位センサ26、または発信周波数から得られる変位情報とを同時に用いれば、検査対象となるカソード触媒層6またはアノード触媒層8の内部品質のみの情報を得ることができる。 このような理由から本実施の形態では、静電容量センサ24と変位センサ26、発振コイル43の複数の検知デバイスが用いられていることが好ましい。 以下に、静電容量センサ24について簡単に説明する。 載置台22には、静電容量センサ24を上下方向に移動自在に支持する可動式測定アーム27が取り付けられている。 このように可動式測定アーム27が介在されることにより、検査ヘッド24aが、検査対象であるカソード触媒層6の触媒層10の表面高さに応じて上下に変位させることが可能にされている。 さらに、測定アーム27は、高さ調整機構30を介して上下方向に移動可能に構成されている。また高さについては、後述する検査ヘッド24aを非接触式とさせる浮上の為の、フローティングエア吹き出し量に応じて調整が出来るので、高さ調整方法についてはこの限りでない。 また、上記静電容量センサ24は、例えば、図3のように構成されている。すなわち、静電容量センサ24は、触媒層14との間に常に一定のエアギャップを形成するため触媒層14にエアを噴出する検査ヘッド24aと、検査ヘッド24aに設けられたコイル43と、コイル43に接続された発振器50と、コイル43と触媒層14との相対的な位置を変化させる上述した高さ調整機構30などからなる位置変化手段と、スイッチ51とを備え、発振器50から出力される信号を検知する検出器54により、発振周波数を検知している。またこの発信周波数については、検査装置ならびに被検査対象全体で構成される共振回路より、被検査対象の形状と内部構造の変化に応答するものである。 以下、図2の品質検査装置20において、静電容量センサ24のみを用いた場合の検査の方法について、図4を参照しながら説明する。 なお、以下では、膜電極接合体2よりガス拡散層10、ガス拡散(燃料拡散)層12を除いた物を固定した状態で、静電容量センサ24の検査ヘッド24aをアノード触媒層8に対して平面移動させた場合について説明する。 すなわち、載置台22上の膜電極接合体2よりガス拡散層10、ガス拡散(燃料拡散)層12を除いた物に対し、例えば、静電容量センサ24の検査ヘッド24aを触媒層14との間の距離を一定に保つようにエアーを噴出させながら図4の(1)の位置から水平方向に移動させて、(2)の位置、(3)の位置、(4)の位置、および(5)の位置と順番に走査していくとする。 なお、図4において、燃料電池用触媒層における一般的な欠陥を示す。 (1)の位置では、アノード触媒層8が正常の膜厚と正常の密度で形成されており、内部欠陥などが存在しない。 (2)の位置ではアノード触媒層8の表面が凸となっており、触媒層10の厚さが大きくなっている。(3)の位置では、触媒層10表面が凹となっており、触媒層10の厚さが小さくなっている。(4)の位置では、アノード触媒層8の内部にボイドが形成され密度が小さい。(5)の位置では、イオン導電材(イオノマー)が存在していない。 このような形状および内部品質を備えたアノード触媒層8を、(1)〜(5)の順番で静電容量センサ24の検査ヘッド24aで走査した場合の一般的な検査結果は、用いる素材、構造に応じて共振周波数の式により、以下のとおりとなる。 先ず、正常部である(1)の位置において測定される発振周波数および静電容量の値を基準値とする。なお、基準とする正常部としてふさわしい部位であるかどうかは全測定領域データにより平均化された数値またはデータ画像によって判断する。 表面が凸となっている(2)の位置では、基準値に対し発振周波数は低く測定される。また、このとき、静電容量は基準値より高く測定される。 表面が凹となっている(3)の位置では、発振周波数は基準値に対し高く測定される。また、このとき、静電容量は基準値より低く測定される。 内部にボイドがある(4)の位置では、発振周波数が基準値より低く測定される。また、このとき、静電容量は基準値より高く測定される。 イオノマーが存在しない(5)の位置では、発振周波数が基準値より低く測定される。また、このとき、静電容量は基準値より高く測定される。 このように、静電容量センサ24を用いただけであっても触媒層14の外部または内部の品質の違いにより、発振周波数または静電容量が異なる値として測定されることが確認される。 したがって、静電容量センサ24を用いることにより、膜電極接合体(MEA)2よりガス拡散層10、ガス拡散(燃料拡散)層12を除いた物の触媒層10または触媒層12の内部または外部の品質の検査を行うことが可能であることが分かる。 このように、静電容量センサ24だけでも内部または外部の品質の検査を行うことが可能であるものの、静電容量センサ24だけを用いた場合、外部の形状に関する情報(図4の(2)、(3))と内部の品質に関する情報(図4の(4)、(5))とが混在した状態で得られる。 内部の品質のみの情報を得るためには、図2に示したように他のセンシング技術として、変位センサ26を用いる。このように、変位センサ26を静電容量センサ24とともに用いれば、内部品質に係わる情報のみを取り出すことが可能になる。 以下に、変位センサ26について説明する。 この変位センサ26は、例えば、レーザー変位計である。このような変位センサ26は、図2に示したように、静電容量センサ24の検査ヘッド24aに対向して配置される。そして、この変位センサ26は、走査中の検査ヘッド24aの上下方向への変化量を検出し、その変化量を演算処理装置34で処理すれば、アノード触媒層8の外部の形状を検出することができる。すなわち、変位センサ26により、(1)の位置における測定値を基準値とした場合に、(2)の位置では、変位量が大きくなり、(3)の位置、(4)の位置、(5)の位置では再び基準値となる。このようにして、検査ヘッド24aの高さ方向の変位量を取得することにより、アノード触媒層8の外部の形状を得ることができる。 したがって、このように、変位センサ26を静電容量センサ24とともに用いれば、静電容量センサ24により得られた情報から、検査ヘッド24aの上下方向への変位情報とを差し引くことにより、アノード触媒層8の内部品質のみの情報(図4の(4)、(5))を得ることが可能になる。また拡散層付の場合には、変位情報を拡散層の情報としてフィルタリング処理する事で、同様に触媒層のみの品質情報として把握する事も可能である。また、凸部(2)に内部ボイド(4)や導電助剤無し(5)のような不良箇所が混在している場合にも、その寸法と静電容量から、内部欠陥の存在の可能性を知る事も可能である。 さらに、このようにして得られた静電容量の変化を、演算処理装置34からデータとして取出して色調の変化としてマッピングすることにより、内部品質の主たる欠陥を様々なタイプに分類できる。例えば、静電容量の変化を、色調の変化として、静電容量の低い部分を黒色、静電容量の高い部分を白色にマッピングした場合の内部品質の違いの結果は、以下の通りである。・灰色領域(コントラスト平坦面)…正常部・白点…小さな凸部、イオノマー少、内部ボイド部・黒点…小さな凹部、メタルリッチ相・白線…高分子電解質膜上の凸の皺・黒線…高分子電解質膜上の凹の皺・黒リング…大きなメタルリッチ相・白リング…カーボン偏析部 この差については、その部位の内部の密度、導電率等の差により発生しており、材質によりその挙動は異なる。一般的な燃料電池用部材に用いられる材料については、上記のような挙動になる。またリング状に観察像が見える物については、周囲の正常箇所との変曲点が過大な場合に観察される傾向があり、これは正常部(バックグラウンド)との大きなギャップによる為である。 このように静電容量の変化を異なる色調にマッピングすれば、目視により一目瞭然として内部品質を識別することが可能になった。なお、色調の変化は、黒と白に限定されるものではない。 また、このようにして品質検査が完了して良品として判断されたアノード触媒層8のみを利用してガス拡散(燃料拡散)層10に接合し、同様の対応をカソード側にすれば、良品の膜電極接合体(MEA)2を製造することができる。またこの検査は、アノード・カソード片面のみ、あるいは両面共に高分子電解質膜4に存在していても構わない。 さらに、例えば、品質検査を行う前の触媒層6や8に拡散層10や12を予め接合し、拡散層付きの状態、膜電極接合体(MEA)2にした状態から、カソード触媒層6あるいはアノード触媒層8の検査を行うこともできる。 すなわち、本発明では、カソード触媒層6あるいはアノード触媒層8の検査を、膜電極接合体2を製造する工程のどの段階で行っても良い。 さらに、本発明では、品質検査により、良品とされた触媒層のみを使用して、良品と判断されなかった触媒層を非使用とすることもできる。 さらに、良品の膜電極接合体(MEA)2を複数束ねることで、スタック化した燃料電池を形成することができる。 またこれら内部検査結果による良品判定の他、合わせて得られた形状情報も外部検査結果として取り入れ、この良品判定のレベルをより向上させる事も可能である。 さらに、品質検査装置の下流に、内部品質の検査結果に基いてグレード分けを行うグレード分け装置を配置すれば、品質検査が完了して同品質と判断された触媒層を、同一グループとして仕分けすることができる。これら同品質の触媒層を高分子電解質膜に接合すれば、同品質の膜電極接合体2を得ることができる。 このようにすれば、インライン上に品質検査とグレード分けを行うことができるので、大量生産をすることができる。また生産コストを大幅に下げて生産することができる。よって、例えば、燃料電池車の量産化に寄与することができる。 以下は、マッピングした場合の実験結果の一例である。 イオノマーが少なくボイドとなった場合は、「白点」としてボイドが表れた。 メタルリッチ相が小さい部分は「黒点」として表れた。 メタルリッチ相が大きい部分が「黒リング」状に表れた。 このように静電容量の変化が異なる色調にマッピングされた試料サンプルを実際に切断して、切断面を走査型電子顕微鏡で確認したところ、マッピングと同様の欠陥があることが確認された。 以上説明したように、本発明では、静電容量センサを用いることにより燃料電池用の膜電極接合体(MEA)の触媒層を、非破壊で効果的に品質検査を行うことができるので、燃料電池車への利用のため量産化技術を向上させることが可能となった。 また、静電容量センサを用いた品質検査装置は、安価に構成することができる。 さらに、本発明では、インライン上に品質検査装置とグレード分け装置とを配置することにより、検査が完了した後の触媒層を、直ちに最終ユーザーの仕様に適合した燃料電池用の触媒層あるいは膜電極接合体を出荷することが可能になる。 また、マッピングされた検査データから、ある基準値を超えた場合には、その触媒層を用いることなく、破棄することもできる。このようにすれば、不良品が市場に出回ることがない。 更に本発明の装置を用いると、欠陥の位置と欠陥の種類に関しての情報を非破壊で得ることが出来る。そのため、欠陥のクラス分けを実施することが出来る。これらの欠陥に関する情報を用いて、工程の歩留まりを向上する事に適用できる。例えば、イオノマーの無い部分が観測された場合、インク化工程を改善することによって歩留まりを向上する事が考えられる。また、欠陥と工程の運転条件の関係を予め把握することによって、欠陥クラス分け結果から工程の運転条件を最適化するようにフィードバックすることもできる。2 膜電極接合体4 高分子電解質膜6 カソード触媒層8 アノード触媒層10 ガス拡散層12 ガス拡散(燃料拡散)層14、16 拡散層付きの触媒層20 品質検査装置22 載置台24 静電容量センサ24a 検査ヘッド26 変位センサ27 可動式測定アーム30 高さ調整機構31 触媒粉32 イオン導電材(イオノマー)34 演算処理装置43 コイル50 発振器51 スイッチ 燃料電池用の触媒層の品質検査方法であって、 載置台上に載置された燃料電池用の触媒層に対向するように静電容量センサの検査ヘッドを上下動自在に配置し、 前記触媒層または前記静電容量センサの前記検査ヘッドのいずれか一方をいずれか他方に対し相対的に平面移動するように走査し、 前記触媒層の形状を、前記静電容量センサの検出結果に基いて検出するとともに、前記触媒層の内部および外部の品質を、前記触媒層の電気的特性の変化として検出するようにしたことを特徴とする燃料電池用の触媒層の品質検査方法。 前記検査ヘッドに対向して配置した変位センサによって前記検査ヘッドの上下方向への変化量を検出することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用の触媒層の品質検査方法。 前記静電容量センサで得られた前記触媒層の電気的特性の変化に関する情報と、前記変位センサで得られた前記検査ヘッドの上下方向への変位情報に基いて、前記触媒層の内部品質のみの情報を得るようにしたことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池用の触媒層の品質検査方法。 前記触媒層と前記検査ヘッドとの間に生じる静電容量の変化を色調の変化としてマッピングすることにより、前記触媒層の内部構造ならびに形状分布を識別することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池用の触媒層の品質検査方法。 請求項1〜4のいずれかに記載の品質検査方法により触媒層を検査し、検査された触媒層の良品と、高分子電解質膜と、電極とを接合して製造することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。 請求項1〜4のいずれかに記載の品質検査方法により燃料電池用の触媒層を検査し、検査された良品の触媒層と高分子電解質膜と電極とを接合して、良品の積層体を構成し、この良品の積層体を複数具備させてスタックを製造することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。 燃料電池用の触媒層と高分子電解質膜と電極とを接合して接合体を構成し、この接合体を請求項1〜4のいずれかに記載の品質検査方法により、前記燃料電池用の触媒層を検査し、検査された良品の接合体を複数具備させて製造することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。 燃料電池用の触媒層の品質検査装置であって、 載置台上に載置された燃料電池用の触媒層に対向するように静電容量センサの検査ヘッドを上下動自在に配置するとともに、前記検査ヘッドに対向させて当該検査ヘッドの上下方向への変化量を検出する変位センサを配置し、 前記触媒層または前記静電容量センサの前記検査ヘッドのいずれか一方をいずれか他方に対し相対的に平面移動するように走査し、 前記触媒層の形状を、前記静電容量センサの検出結果に基いて検出するとともに、前記触媒層の内部および外部の品質を、前記触媒層の電気的特性の変化として検出するようにしたことを特徴とする燃料電池用の触媒層の品質検査装置。 請求項8に記載の燃料電池用の触媒層の品質検査装置と、前記品質検査装置で検査された触媒層を内部品質の検査結果に基いてグレード分けを行うグレード分け装置とをインラインで接続し、前記触媒層の品質検査と前記触媒層の品質検査に基くグレード分けとを連続的に行うことを特徴とする燃料電池用の触媒層の仕分けシステム。 【課題】透過X線を用いる検査方法および検査装置のように高価でなく、誰でも容易に操作することが可能な燃料電池用の触媒層の品質検査方法、燃料電池の製造方法、燃料電池用の触媒層の品質検査装置、および燃料電池用の触媒層の仕分けシステムを提供すること。【解決手段】燃料電池用の触媒層の品質検査方法であって、載置台上に載置された燃料電池用の触媒層に対向するように静電容量センサの検査ヘッドを上下動自在に配置し、前記触媒層または前記静電容量センサの前記検査ヘッドのいずれか一方をいずれか他方に対し相対的に平面移動するように走査し、前記触媒層の形状を、前記静電容量センサの検出結果に基いて検出するとともに、前記触媒層の内部および外部の品質を、前記触媒層の電気的特性の変化として検出するようにしたことを特徴とする。【選択図】図2


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