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タイトル:公開特許公報(A)_テアフラビン類の製造方法、及びテアフラビン類を含む飲料
出願番号:2013269169
年次:2015
IPC分類:C12P 17/16,A23F 3/16,A23L 2/52,A23L 2/38


特許情報キャッシュ

佐藤 文彦 淺沼 俊倫 JP 2015122992 公開特許公報(A) 20150706 2013269169 20131226 テアフラビン類の製造方法、及びテアフラビン類を含む飲料 大塚食品株式会社 000206945 公益財団法人静岡県産業振興財団 501065948 山田 威一郎 100156845 立花 顕治 100124039 田中 順也 100124431 松井 宏記 100112896 水谷 馨也 100174160 佐藤 文彦 淺沼 俊倫 C12P 17/16 20060101AFI20150609BHJP A23F 3/16 20060101ALI20150609BHJP A23L 2/52 20060101ALI20150609BHJP A23L 2/38 20060101ALI20150609BHJP JPC12P17/16A23F3/16A23L2/00 FA23L2/38 CA23L2/38 GA23L2/38 HA23L2/38 J 10 OL 25 4B017 4B027 4B064 4B017LC03 4B017LC07 4B017LC10 4B017LG04 4B017LG07 4B017LG14 4B017LK23 4B017LK25 4B017LP05 4B027FB13 4B027FC05 4B027FC06 4B027FK07 4B027FK08 4B027FK09 4B027FK15 4B027FP74 4B027FP85 4B064AE54 4B064CA21 4B064CB13 4B064CC03 4B064CC06 4B064CC12 4B064CD22 4B064DA10 本発明は、テアフラビン類の製造方法、及びテアフラビン類を含む飲料に関する。 紅茶、ウーロン茶などには、赤色色素であるテアフラビン類が含まれていることが知られている。テアフラビン類は、発酵過程などにおける酸化酵素の働きによって、茶葉などに含まれるカテキン類が酸化されることにより生成する。テアフラビン類は、抗菌作用、抗酸化作用、血小板凝集抑制作用、血糖降下作用などの各種の生理作用を有することが知られており、近年、健康を増進する生理活性物質として注目されている。 しかしながら、紅茶、ウーロン茶などにおけるテアフラビン類の含有量はごく微量であり、紅茶などを飲用することによって、これらの生理作用を十分に享受することは困難である。そこで、テアフラビン類を積極的に製造する方法が種々提案されている。 テアフラビン類の製造方法として、例えば、特許文献1には、生茶葉に水及び/又は茶葉抽出液を加えて破砕し、静置又は振とう又は撹拌により培養した後に培養物からテアフラビン類を回収する方法が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の方法では、テアフラビン類の製造に長時間が必要であり、生成効率が悪いという問題がある。また、特許文献1に開示された振とうによる培養は、テアフラビン類を工業的に生産するという観点からは非常に困難である。 また、特許文献2には、緑茶抽出液に酸化酵素を含有する植物抽出液を混合し、緑茶抽出液中のカテキン類を、その酸化誘導体であるテアフラビン類に誘導することによって、テアフラビン類を含有する緑茶抽出物を製造する方法が開示されている。しかしながら、特許文献2に記載の方法においても、これらの抽出物を5時間程度激しく攪拌する必要があり、テアフラビン類を製造するためには長時間が必要であり、生成効率が悪いという問題がある。国際公開第2009/119111号パンフレット特開2002−95415号公報 本発明は、短時間で効率よくテアフラビン類を製造し得るテアフラビン類の製造方法を提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、テアフラビン類を含む飲料を提供することも目的とする。 本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、カテキン類と、カテキン類を酸化してテアフラビン類を生成できる酸化酵素とを水中で共存させた状態で、酸素を含むマイクロバブル及び/又はナノバブルを供給する酸化工程を備えるテアフラビン類の製造方法によれば、短時間で効率よくテアフラビン類を製造し得ることが明らかとなった。本発明は、このような知見に基づいて、さらに研究を重ねた結果、完成された発明である。即ち、本発明は、下記態様の発明を提供する。項1. カテキン類と、前記カテキン類を酸化してテアフラビン類を生成できる酸化酵素とを水中で共存させた状態で、酸素を含むマイクロバブル及び/又はナノバブルを供給する酸化工程を備える、テアフラビン類の製造方法。項2. 前記カテキン類の供給源が、茶葉及びその抽出物の少なくとも一方である、項1に記載のテアフラビン類の製造方法。項3. 前記酸化酵素の供給源が、植物、前記植物の搾汁、及び前記植物の抽出物からなる群から選択された少なくとも1種である、項1又は2に記載のテアフラビン類の製造方法。項4. 前記植物が、茶葉、果物、野菜、ハーブ、豆類、穀類、及び担子菌類からなる群から選択された少なくとも1種である、項3に記載のテアフラビン類の製造方法。項5. 前記植物が、梨、洋梨、ブドウ、リンゴ、及びバナナからなる群から選択された少なくとも1種である、項3に記載のテアフラビン類の製造方法。項6. 前記酸化工程において、前記カテキン類及び前記酸化酵素を含む水中1L当たりのマイクロバブル及び/又はナノバブルによる酸素の供給量が、常温常圧に換算して、10ml/分以上となるようにして、前記マイクロバブル及び/又はナノバブルを供給する、項1〜5のいずれかに記載のテアフラビン類の製造方法。項7. 前記酸化工程を15〜50℃下に5〜240分間行う、項1〜6のいずれかに記載のテアフラビン類の製造方法。項8. 茶葉及びその抽出物の少なくとも一方と、植物、前記植物の搾汁、及び前記植物の抽出物からなる群から選択された少なくとも1種との発酵物を含む、テアフラビン類を含む飲料。項9. カテキン類と、前記カテキン類を酸化してテアフラビン類を生成できる酸化酵素とを水中で共存させた状態で、酸素を含むマイクロバブル及び/又はナノバブルを供給して得られた溶液を含む、飲料。項10. カテキン類と、前記カテキン類を酸化してテアフラビン類を生成できる酸化酵素とを水中で共存させた状態で、酸素を含むマイクロバブル及び/又はナノバブルを供給し、テアフラビン類を含む溶液を得る工程と、 前記工程で得られた溶液を用いて、飲料を調製する調製工程と、を備える、テアフラビン類を含む飲料の製造方法。 本発明によれば、短時間で効率よくテアフラビン類を製造し得るテアフラビン類の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、テアフラビン類を含む飲料を提供することもできる。実施例1において、マイクロバブル及びナノバブルを供給した時間(分)と、テアフラビン類の生成濃度(ppm)との関係を示すグラフである。比較例1において、反応させた時間(分)と、テアフラビン類の生成濃度(ppm)との関係を示すグラフである。実施例2において、マイクロバブル及びナノバブルを供給した時間(分)と、テアフラビン類の生成濃度(ppm)との関係を示すグラフである。比較例2において、反応させた時間(分)と、テアフラビン類の生成濃度(ppm)との関係を示すグラフである。実施例3において、マイクロバブル及びナノバブルを供給した時間(分)と、テアフラビン類の生成濃度(ppm)との関係を示すグラフである。実施例4において、マイクロバブル及びナノバブルを供給した時間(分)と、テアフラビン類の生成濃度(ppm)との関係を示すグラフである。実施例5において、マイクロバブル及びナノバブルを供給した時間(分)と、テアフラビン類の生成濃度(ppm)との関係を示すグラフである。実施例6において、マイクロバブル及びナノバブルを供給した時間(分)と、テアフラビン類の生成濃度(ppm)との関係を示すグラフである。実施例7において、マイクロバブル及びナノバブルを供給した時間(分)と、テアフラビン類の生成濃度(ppm)との関係を示すグラフである。実施例8において、マイクロバブル及びナノバブルを供給した時間(分)と、テアフラビン類の生成濃度(ppm)との関係を示すグラフである。実施例9において、マイクロバブル及びナノバブルを供給した時間(分)と、テアフラビン類の生成濃度(ppm)との関係を示すグラフである。比較例3において、各反応系において反応させた時間(分)と、テアフラビン類の生成濃度(ppm)との関係を示すグラフである。試験例における冷却後のサンプルNo.1及びNo.2の写真(左から順にサンプルNo.1,No.2)である。 本発明のテアフラビン類の製造方法は、カテキン類と、カテキン類を酸化してテアフラビン類を生成できる酸化酵素とを水中で共存させた状態で、酸素を含むマイクロバブル及び/又はナノバブルを供給する酸化工程を備えることを特徴とする。以下、本発明のテアフラビン類の製造方法、テアフラビン類を含む飲料について、詳述する。1.テアフラビン類の製造方法 本発明のテアフラビン類の製造方法は、カテキン類と、カテキン類を酸化してテアフラビン類を生成できる酸化酵素とを水中で共存させた状態で、酸素を含むマイクロバブル及び/又はナノバブルを供給する酸化工程を備える。 本発明において、カテキン類としては、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECG)、及びエピガロカテキンガレート(EGCG)の主に4種類が挙げられる。本発明においては、カテキン類を含む素材からのカテキン類の抽出物、カテキン類の精製物などを酸化工程に供してもよい。また、カテキン類を含む素材をカテキン類の供給源とし、当該素材を酸化工程に供することによって、素材中に含まれるカテキン類を酸化してテアフラビン類に誘導することもできる。 カテキン類を含む素材としては、特に制限されないが、カテキン類の含有量が多いことから、好ましくは茶葉及びその抽出物の少なくとも一方が挙げられる。すなわち、本発明の製造方法において、カテキン類を含む素材を用いる場合、酸化工程に供するカテキン類の供給源として、茶葉及びその抽出物の少なくとも一方を用いることが好ましい。茶葉の種類としては、カテキン類を含めば特に制限されず、例えば日本において栽培されている品種としては、あさつゆ、やぶきた、やまとみどり、まきのはらわせ、かなやみどり、おくみどり、おおいわせ、おくひかり、めいりょく、さみどり、こまかげ、やまなみ、みねかおり、はつもみじ、紅富貴、紅ほまれ、べにひかり等が挙げられる。なお、本発明において、茶葉とは、主に茶の葉及び茎をいう。 茶葉は、収穫後、萎凋処理したものを用いてもよいし、萎凋処理する前の生茶葉を使用してもよい。また、茶葉としては、茶葉の切断物、破砕物、磨砕物、粉末などを用いてもよい。茶葉の切断物、破砕物、磨砕物、粉末は、例えば、茶葉をクラッシャー、ミキサー、フードプロセッサー、パルパーフィッシャーなどを用いて切断、破砕、磨砕、粉末化することによって得られる。 また、茶葉の抽出物としては、茶葉に含まれるカテキン類などを水で抽出した茶抽出液、当該茶抽出液の希釈液又は濃縮液、当該茶抽出液をスプレードライ法、フリーズドライ法などで乾燥させた固形物(粉末、顆粒など)などが挙げられる。茶葉及びその抽出物としては、冷凍したものを使用してもよい。カテキン類の素材及びその抽出物は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。 酸化工程において、水中におけるカテキン類の量としては、目的とするテアフラビン類の生成量に応じて適宜設定すればよいが、反応開始時点で好ましくは1000〜3500ppm程度、より好ましくは1500〜3000ppm程度が挙げられる。カテキン類を含む素材を酸化工程に供する場合、素材の使用量は、素材に含まれるカテキン類の量に応じて適宜設定すればよい。なお、カテキン類の量は、超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)を用いた公知の方法により測定することができ、文献値より算出することもできる。本発明において、水中におけるテアフラビン類、カテキン類などを超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)で定量する際の測定条件の詳細は、以下の通りである。<UHPLCによる測定条件> サンプル溶液を15000rpm、10分間の条件で遠心し、上清を適宜イオン交換水で希釈したのち、得られた希釈液0.5mlに対し1mMアスコルビン酸水溶液0.5ml及びメタノール1mlを加えて撹拌する。次に、得られた液を0.2μmディスクフィルター(メルクミリポア社製、マイレクスLG 13mm)に通液し、初出の0.7ml以上を捨てた後の溶出液を回収してUHPLC分析のサンプルとする。標準試料も全て同様の方法で処理を行う。分析条件は、以下の通りである。装置:Acquity UPLC システム(日本ウォーターズ株式会社)カラム:Acquity BEH Shield RP‐18、 1.7μm、2.1×100mm(日本ウォーターズ株式会社)移動相A:0.1%ギ酸水溶液移動相B:0.1%ギ酸アセトニトリル溶液流速:0.6ml/min.検出:UV280nmカラム温度:50℃ カテキン類を酸化してテアフラビン類を生成できる酸化酵素としては、酸素の存在下にカテキン類を酸化してテアフラビン類を生成できるものであれば、特に制限されず、例えば、ポリフェノール酸化酵素が挙げられる。ポリフェノール酸化酵素としては、各種の植物に広く含まれている公知のものが挙げられる。本発明においては、当該酸化酵素を含む素材からの酸化酵素の抽出物、酸化酵素の精製物などを酸化工程に供してもよい。また、当該酸化酵素を含む素材を酸化酵素の供給源とし、当該素材を酸化工程に供することによって、素材中の酸化酵素によってカテキン類を酸化してテアフラビン類に誘導することもできる。 酸化酵素を含む素材としては、当該酸化酵素を含めば特に制限されないが、好ましくは植物、植物の搾汁、植物の抽出物などが挙げられる。すなわち、本発明の製造方法において、酸化酵素を含む素材を用いる場合、酸化工程に供する酸化酵素の供給源として、植物、植物の搾汁、植物の抽出物を用いることが好ましい。素材となる植物としては、好ましくは、茶葉、果物、野菜、ハーブ、豆類、穀類、及び担子菌類などが挙げられる。茶葉としては、収穫後、萎凋処理をする前の生茶葉が挙げられ、茶葉の種類としては上記のようなものが挙げられる。また、果物としては、特に制限されないが、短時間で効率よくテアフラビン類を製造する観点からは、好ましくは梨、洋梨、ブドウ、リンゴ、バナナ、ビワ、ライチ、ブルーベリー、イチジク、ミカン、オレンジ、イチゴ、モモ、スイカ、ウメ、柿、マンゴー、キーウィ、パイナップルなどが挙げられ、より好ましくは梨、洋梨、ブドウ、リンゴ、バナナなどが挙げられる。野菜としては、特に制限されないが、同様の観点からは、なす、ジャガイモ、里芋、ほうれん草、ゴボウ、ヤマイモ、カボチャ、にんじん、トマト、ピーマン、セロリ、さつまいも、ビート、ケール、パセリ、キャベツ、ブロッコリーなどが挙げられる。ハーブとしては、特に制限されないが、同様の観点から、よもぎ、紫蘇、バジル、ミントなどが挙げられる。豆類としては、特に制限されないが、同様の観点から、小豆、大豆、そらまめ、えんどう、グリーンピースなどが挙げられる。穀類としては、特に制限されないが、同様の観点から、米、小麦、大麦、そば、とうもろこし、あわ、ひえ、きび、とうもろこしなどが挙げられる。担子菌類としては、特に制限されないが、同様の観点から、しいたけ、えのきだけ、きくらげ、しめじ、マッシュルーム、なめこ、エリンギ、ひらたけ、まいたけ、まつたけなどが挙げられる。短時間で効率よくテアフラビン類を製造する観点からは、酸化酵素を含む素材として、生茶葉と果物とを併用することが特に好ましい。 酸化酵素を含む植物は、切断物、破砕物、磨砕物などであってもよい。植物の切断物、破砕物、又は磨砕物は、例えば、クラッシャー、ミキサー、フードプロセッサー、パルパーフィッシャーなどを用いて植物を切断、破砕、磨砕することによって得られる。また、植物の搾汁は、例えばフィルタープレス、ジューサーミキサーなどを用いて調製することができる。搾汁は、上記磨砕物を、濾布などを用いて濾過することによっても調製することができる。植物の切断物、破砕物、磨砕物、及び搾汁は、希釈物又は濃縮物であってもよい。希釈物としては、例えば、植物の切断物、破砕物、磨砕物、搾汁などを水で1〜50倍程度に希釈したものが挙げられる。また、濃縮物としては、例えば、植物の切断物、破砕物、磨砕物、搾汁などを凍結濃縮、減圧濃縮などの手段によって1〜100倍に濃縮したものなどが挙げられる。植物の切断物、破砕物、磨砕物、搾汁は、冷凍したものであってもよい。本発明において、酸化酵素及び当該酸化酵素を含む素材は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。 本発明において、カテキン類を酸化してテアフラビン類を生成する酸化酵素は、一般に、50℃程度まで高温加熱すると失活するものが多いため、酸化酵素を含む素材を酸化工程に用いる場合、高温加熱されていない素材を酸化酵素の供給源とすることが好ましい。 酸化工程において、反応中における酸化酵素の量としては、目的とするテアフラビン類の生成量に応じて適宜設定すればよいが、反応液1Lあたりで好ましくは30〜900U程度、より好ましくは70〜500U程度が挙げられる。酸化酵素を含む素材を酸化工程に供する場合、素材の使用量は、素材に含まれる酸化酵素の量に応じて適宜設定すればよい。なお、酵素単位Uは、エピカテキン及びエピガロカテキンを基質として、1分間に1μmolのTF1を生成する酵素量として定義した。酵素の活性測定においては、エピカテキン及びエピガロカテキンを基質とし、粉砕した試料を添加した後、撹拌しながら経時的に複数回のサンプリングを行い、一定時間において増加したTF1を定量する。TF1の量は、超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)を用いた公知の方法により測定することができる。 酸化工程において、水の量としては、カテキン類を酸化してテアフラビン類を生成することができることを限度として適宜設定することができ、好ましくは、水中における上記のカテキン類及び上記の酸化酵素の量が、上記のような値になるように設定すればよい。また、水の種類としては、特に制限されないが、好ましくは、水道水、天然水、蒸留水、イオン交換水などが挙げられる。 本発明では、酸化工程において、上記のカテキン類及び上記の酸化酵素を水中で共存させた状態で、酸素を含むマイクロバブル及び/又はナノバブルを供給する。すなわち、酸化工程において、カテキン類と酸化酵素とマイクロバブル及び/又はナノバブルとが、水中において共存する。本発明では、酸化工程において、酸素を含むマイクロバブル及び/又はナノバブルを用いることにより、カテキン類の酸化酵素による酸化反応を効率よく進行させることができ、短時間で効率よくテアフラビン類を製造することが可能になる。 本発明において、カテキン類及び酸化酵素を水中で共存させた状態でマイクロバブル及び/又はナノバブルを供給する際に、これらの共存と供給の順番は、特に制限されない。例えば、カテキン類と、酸化酵素と、水とを混合する混合工程を行った後、水中にマイクロバブル及び/又はナノバブルを供給してもよいし、マイクロバブル及び/又はナノバブルを供給した水中にカテキン類及び酸化酵素を混合する混合工程を行ってもよい。さらに、カテキン類及び酸化酵素の少なくとも一方を複数回に分割して水中に混合してもよく、分割混合の際にマイクロバブル及び/又はナノバブルが供給されていても、供給されていなくてもよい。 本発明において、マイクロバブル及び/又はナノバブルは酸素を含む。マイクロバブル及び/又はナノバブルは、例えば、大気により構成することができ、酸素濃度を調整したガスにより構成することもできる。マイクロバブル及び/又はナノバブル中の酸素濃度としては、本発明の効果を奏することを限度として特に制限されないが、短時間で効率よくテアフラビン類を製造する観点からは、常温常圧に換算して、好ましくは15体積%以上、より好ましくは20体積%以上が挙げられる。 酸化工程において、カテキン類及び酸化酵素を含む水中1L当たりのマイクロバブル及び/又はナノバブルによる酸素の供給量としては、酸化酵素によるカテキン類の酸化反応が進行すれば特に制限されないが、短時間で効率よくテアフラビン類を製造する観点からは、常温常圧における単位時間当たりの酸素の体積に換算して、好ましくは10mL/分以上、より好ましくは20mL/分以上となるようにして、マイクロバブル及び/又はナノバブルを供給する。 また、水中におけるマイクロバブル及び/又はナノバブルの大きさとしては、公知の微細気泡発生装置によって得られるような微細なものであれば、特に制限されないが、好ましくは直径80μm以下、より好ましくは直径60μm以下が挙げられる。本発明の製造方法では、酸化工程において、酸素を含むマイクロバブル(マイクロサイズの気泡)を用いているため、攪拌、振とう、通常のバブリングによって生じるミリサイズ以上の大きさを有する気泡に比して、水中に含まれる気泡の全表面積が非常に大きい。このため、カテキン類を酸化してテアフラビン類へ誘導する酵素反応において、酸素が効率よく供給される。さらに、マイクロバブルは、ミリサイズ以上の大きさを有する通常の気泡に比して、水中での滞留時間が非常に長くなる。このため、本発明の製造方法によれば、酸化工程における水中への酸素の供給量を非常に大きくすることができ、酵素反応が極めて効率的に進行する。このように、本発明のテアフラビン類の製造方法においては、マイクロバブルを酸素の供給源として使用することにより、短時間で効率よくテアフラビン類を製造することが可能となっている。 なお、本発明の製造方法において、カテキン類から製造されるテアフラビン類は、公知であり、テアフラビン(TF1)、テアフラビン3−0−ガレート(TF2A)、テアフラビン3’−0−ガレート(TF2B)、テアフラビン3,3’−ジ−0−ガレート(TF3)の主に4種類である。 酸化工程を行う温度は、上記の酸化反応が進行すれば特に制限されないが、好ましくは15〜50℃程度、より好ましくは20〜35℃程度が挙げられる。また、酸化工程を行う時間は、目的とするテアフラビン類の生成量に応じて適宜設定できるが、好ましくは5〜240分間程度、より好ましくは30〜90分間程度が挙げられる。 酸化工程においては、カテキン類、酸化酵素、及びマイクロバブルやナノバブルを均一に水中に分散させるために、攪拌を行うことが好ましい。攪拌方法としては、特に制限されず、例えば、攪拌羽、ミキサー、スターラーなどを用いて攪拌する方法が挙げられる。 本発明のテアフラビン類の製造方法によれば、短時間で効率よくテアフラビン類を製造することができ、生成するテアフラビン類は、水に溶解したテアフラビン溶液の状態で得られる。本発明のテアフラビン類の製造方法において、酸化工程が完了した後の水中(すなわち、テアフラビン溶液中)には、テアフラビン類が好ましくは4〜50mg/100ml程度、より好ましくは6〜30mg/100ml程度含まれる。このため、本発明のテアフラビン類の製造方法によって得られるテアフラビン溶液は、例えば下記のような高濃度のテアフラビン類を含む飲料に好適に利用することができる。なお、テアフラビン類の量は、超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)を用いた公知の方法により測定することができる。UHPLCを用いてテアフラビン類を定量する際の測定条件の詳細は、上記の通りである。 また、本発明のテアフラビン類の製造方法によれば、マイクロバブル及び/又はナノバブルを供給してテアフラビン溶液を得ることにより、当該テアフラビン溶液のクリームダウン(紅茶などが冷却されると、より白く濁る現象)を効果的に抑制することができる。溶液中のテアフラビン類の濃度が高い場合には、一般に、クリームダウンが生じやすい。また、これに伴い、味も低下しやすくなる。特に、後述するように、容器詰飲料などにおいては、販売時などに冷却されることがあるため、クリームダウンや味の低下がより生じやすい。これに対して、マイクロバブル及びナノバブルを供給して得られたテアフラビン溶液は、テアフラビン類の濃度が高い場合にも、クリームダウンや味の低下が効果的に抑制される。よって、本発明のテアフラビン類の製造方法によって得られるテアフラビン溶液は、テアフラビン類を含む飲料に好適に利用することができ、特に、テアフラビン類を含む容器詰飲料に好適に利用することができる。2.テアフラビン類を含む飲料 本発明のテアフラビン類を含む飲料は、茶葉及びその抽出物の少なくとも一方と、植物、植物の搾汁、及び植物の抽出物からなる群から選択された少なくとも1種との発酵物を含むことを特徴とする。このような発酵物としては、上記のテアフラビン類の製造方法によって得られたテアフラビン溶液を好適に用いることができる。この場合、本発明のテアフラビン類を含む飲料は、カテキン類と、カテキン類を酸化してテアフラビン類を生成できる酸化酵素とを水中で共存させた状態で、酸素を含むマイクロバブル及び/又はナノバブルを供給して得られた溶液を含むことを特徴とする。 本発明のテアフラビン類を含む飲料においては、マイクロバブル及び/又はナノバブルを供給して得られたテアフラビン溶液を用いることにより、当該飲料のクリームダウンを効果的に抑制することができる。特に、飲料中のテアフラビン類の濃度が高い場合には、クリームダウンや味の低下が生じやすいが、マイクロバブル及び/又はナノバブルを供給して得られたテアフラビン溶液を用いることにより、テアフラビン類の濃度が高い場合にも、飲料のクリームダウンや味の低下を効果的に抑制することができる。 本発明のテアフラビン類を含む飲料は、従来の飲料に比してテアフラビン類を高濃度で含み得る。具体的には、本発明の飲料は、テアフラビン類を例えば4mg/100ml以上含むことができる。従来、テアフラビン類を多く含む飲料として知られている紅茶の飲料においても、テアフラビン類の含有量は、通常2.5mg/100ml以下である。すなわち、本発明の飲料は、テアフラビン類を多く含むとされている紅茶などに比して、約1.6倍以上という非常に高濃度のテアフラビン類を含む。本発明の飲料に含まれるテアフラビン類の量としては、好ましくは4〜30mg/100ml程度、より好ましくは6〜20mg/100ml程度とすることができる。上記のとおり、溶液中のテアフラビン類の濃度が高い飲料、容器詰飲料などにおいては、クリームダウンや味の低下が生じやすいが、本発明のテアフラビン類を含む飲料において、上記のテアフラビン溶液を用いることにより、クリームダウンや味の低下を効果的に抑制することができる。したがって、本発明のテアフラビン類を含む飲料は、高濃度のテアフラビン類を含む容器詰飲料として特に好適である。 本発明の飲料には、テアフラビン類に加えて、上記のカテキン類、カフェインなどが含まれていてもよい。例えば、上記のテアフラビン類の製造方法により得られたテアフラビン溶液を利用して、本発明の飲料を製造する場合などにおいては、本発明の飲料には、テアフラビン類に変換されずに残ったカテキン類などが含まれる場合がある。また、カテキン類の素材として、茶葉又はその抽出物などを用いた場合には、本発明の飲料には、一般に、茶葉に由来するカフェインなどが含まれる。 本発明の飲料には、テアフラビン類に加えて、甘味料、酸味料、色素、香料、乳化剤、安定化剤、ビタミン類、果汁、その他栄養成分など公知の飲料に添加される各種成分が含まれていてもよい。また、本発明のテアフラビン飲料は、炭酸ガスを含む炭酸飲料とすることもできる。 本発明の飲料としては、テアフラビン類を含む飲料であれば特に限定されないが、例えば、茶を用いた茶系飲料(緑茶、紅茶、ウーロン茶など)、穀物を用いた穀物系抽出飲料(麦茶、豆茶、トウモロコシ茶、そば茶など)、珈琲を用いたコーヒー飲料、野菜を用いた野菜飲料、果実を用いた果実飲料、乳酸菌を用いた乳酸菌飲料、炭酸を含む炭酸飲料、天然水、スポーツ用飲料、各種機能性飲料等が挙げられる。本発明の飲料としては、これらの中でも、茶系飲料、果実飲料などが好ましい。なお、これらの飲料は、明確に区別される訳ではなく、例えば、茶と果実とを用いた飲料を茶系飲料ということもあるし、果実飲料ということもある。また、炭酸を含む場合には、炭酸飲料ということもある。 例えば、上記した本発明のテアフラビン類の製造方法において、酸化酵素を含む素材として梨などの果実を用いた場合には、得られるテアフラビン溶液は梨などの果実風味を有する。このため、当該テアフラビン溶液を用いて本発明の飲料を製造した場合には、当該素材の風味を本発明の飲料に付与することができる。また、例えば、上記した本発明のテアフラビン類の製造方法において、カテキン類を含む素材として茶葉又はその抽出物を用いた場合には、得られるテアフラビン溶液は茶の風味を有する。このため、当該テアフラビン溶液を用いて本発明の飲料を製造した場合には、当該素材の風味を本発明の飲料に付与することができる。 本発明の飲料は、通常、飲料を容器に詰めた、容器詰飲料として製造、販売される。容器としては、例えば、PETボトル、金属缶、金属箔又はプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などの公知の飲料に一般に使用されるものが挙げられる。 本発明の飲料は、通常、食品衛生法に定められた殺菌条件を充足するように加熱殺菌されている。加熱殺菌の方法は、公知の方法を採用することができ、例えば、飲料を容器に充填してから加熱殺菌を行ってもよいし、容器に充填する前に加熱殺菌したものを容器に充填してもよい。 本発明の飲料は、例えば、上記のテアフラビン類の製造方法により得られたテアフラビン溶液を利用して製造することができる。すなわち、本発明の飲料は、以下の工程を含む製造方法により製造することができる。 上記のカテキン類と、上記のカテキン類を酸化してテアフラビン類を生成できる酸化酵素とを水中で共存させた状態で、酸素を含むマイクロバブルを供給し、テアフラビン類を含む溶液を得る工程 上記の工程で得られた溶液を用いて、飲料を調製する調製工程 本発明の飲料の製造方法におけるテアフラビン類を含む溶液を得る工程は、上述のテアフラビン類の製造方法と同様にして行うことができる。また、本発明の飲料の製造方法における調製工程においては、上記のテアフラビン溶液をそのまま本発明の飲料の製造に利用してもよいし、上記のテアフラビン溶液の希釈液又は濃縮液を本発明の飲料の製造に利用してもよい。 本発明の飲料は、上記のテアフラビン溶液、その希釈液、又はその濃縮液をそのまま飲料としたものであってもよいし、上記の調製工程において、テアフラビン溶液に上記の各種成分を加えて味を調整したり、炭酸ガスを吹き込んで炭酸飲料としたものであってもよい。さらに、テアフラビン溶液などに固形物などが含まれる場合には、調製工程において、ろ過、遠心分離などを行い、固形物を取り除いてから本発明の飲料に使用してもよい。 上述の通り、テアフラビン類の製造方法において、酸化酵素を含む素材として梨などの果実を用いた場合には、得られるテアフラビン溶液は梨などの果実風味を有する。このため、当該テアフラビン溶液を用いて本発明の飲料を製造した場合には、本発明の飲料は、梨などの果実の風味を有し得る。また、例えば、テアフラビン類の製造方法において、カテキン類を含む素材として茶葉又はその抽出物を用いた場合には、得られるテアフラビン溶液は茶の風味を有する。このため、当該テアフラビン溶液を用いて本発明の飲料を製造した場合には、本発明の飲料は、茶葉などの風味を有し得る。 本発明の飲料が容器詰飲料である場合には、テアフラビン類を含む飲料を上記の容器に充填する容器詰め工程を行う。また、上述の通り、容器詰め工程の前後において、通常、本発明の飲料の加熱殺菌工程を行う。 以下、実施例等を示して本発明についてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。(実施例1):梨 100L容量のタンクに30℃のイオン交換水60Lを入れ、インスタントグリーンティの粉末(インド産)500gを投入した。そこへ微細気泡発生装置(アスプ社製、ASG1)を用いてマイクロバブル及びナノバブル(大気)を供給しながら攪拌速度158rpm(max)の回転数で10分間攪拌し、反応系内をマイクロバブル及びナノバブルで満たすと共に、インスタントグリーンティを完全に溶解させた。なお、この際、攪拌羽は、一段とし、最下段の位置に取り付けた。その後、酵素源として梨(福岡県産の幸水)の皮及び芯を除いてブレンダーで破砕したもの2000gを添加して反応を開始した。反応は60分間行い、反応中は常にマイクロバブル及びナノバブルの供給を行うと共に、液温を30℃に保った。酵素源の添加直後から10分ごとにサンプリング(10ml)を行い、混合物中における各テアフラビン類の量(TF1、TF2A、TF2B、TF3)及びこれらの合計量(TFs)を超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)で分析した。なお、サンプリングは、採取した10mlの混合物を5ml容量のエッペンチューブ2本に約4.5mlずつ分注し、卓上遠心機で3分間遠心し、上清を回収して分析に供した。結果を表1及び図1のグラフに示す。なお、UHPLCによるテアフラビン類の測定条件は、上記の通りである。(比較例1):梨 バブル供給なし マイクロバブル及びナノバブルを供給しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてテアフラビン溶液を調製し、上記の混合物中における各テアフラビン類の量及びこれらの合計量を超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)で分析した。結果を表2及び図2のグラフに示す。 表1、表2、図1及び図2に示される結果から、上記の混合物に大気のマイクロバブル及びナノバブルを供給した実施例1では、マイクロバブル及びナノバブルを供給しなかった比較例1に比して、テアフラビン類の濃度上昇速度が大きく、実施例1におけるテアフラビン類の濃度は、マイクロバブル及びナノバブル供給開始から10分後には2倍以上になっていた。また、60分後の濃度も実施例1の方が比較例1よりも1.2倍以上高かった。(実施例2):生茶葉 100L容量のタンクに30℃のイオン交換水50Lを入れ、インスタントグリーンティの粉末(インド産)500gを投入した。そこへ微細気泡発生装置(アスプ社製、ASG1)を用いてマイクロバブル及びナノバブル(大気)を供給しながら攪拌速度158rpm(max)の回転数で10分間攪拌し、反応系内をマイクロバブル及びナノバブルで満たすと共に、インスタントグリーンティを完全に溶解させた。なお、この際、攪拌羽は、一段とし、最下段の位置に取り付けた。その後、酵素源としてCTC破砕した生茶葉(平成25年収穫のやぶきた二茶の冷凍品)1000gを添加して反応を開始した。反応は60分間行い、反応中は常にマイクロバブル及びナノバブルの供給を行うと共に、液温を30℃に保った。酵素源の添加直後から15分ごとにサンプリング(10ml)を行い、混合物中における各テアフラビン類の量(TF1、TF2A、TF2B、TF3)及びこれらの合計量(TFs)を超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)で分析した。なお、サンプリングは、採取した10mlの混合物を5ml容量のエッペンチューブ2本に約4.5mlずつ分注し、卓上遠心機で3分間遠心し、上清を回収して分析に供した。結果を表3及び図3のグラフに示す。(比較例2):生茶葉 バブル供給なし 上記の混合物にマイクロバブル及びナノバブルを供給しなかったこと以外は、実施例2と同様にしてテアフラビン溶液を調製し、混合物中における各テアフラビン類の量及びこれらの合計量を超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)で分析した。結果を表4及び図4のグラフに示す。 表3、表4、図3及び図4に示される結果から、上記の混合物に大気のマイクロバブル及びナノバブルを供給した実施例2では、マイクロバブル及びナノバブルを供給しなかった比較例2に比して、テアフラビン類の濃度上昇速度が大きく、実施例2におけるテアフラビン類の濃度は、マイクロバブル及びナノバブル供給開始から15分後には6倍近くになっており、90分後には28倍近くになっていた。また、90分後の濃度も実施例2の方が比較例2よりも3倍以上高かった。(実施例3):梨+生茶葉 100L容量のタンクに30℃のイオン交換水60Lを入れ、インスタントグリーンティの粉末(インド産)500gを投入した。そこへ微細気泡発生装置(アスプ社製、ASG1)を用いてマイクロバブル及びナノバブル(大気)を供給しながら攪拌速度158rpm(max)の回転数で10分間攪拌し、反応系内をマイクロバブル及びナノバブルで満たすと共に、インスタントグリーンティを完全に溶解させた。なお、この際、攪拌羽は、一段とし、最下段の位置に取り付けた。その後、酵素源として梨(福岡県産の幸水)の皮及び芯を除いてブレンダーで破砕したもの2000g及びCTC破砕した生茶葉(平成25年収穫のやぶきた二茶の冷凍品)600gを添加して反応を開始した。反応は60分間行い、反応中は常にマイクロバブル及びナノバブルの供給を行うと共に、液温を30℃に保った。酵素源の添加直後から15分ごとにサンプリング(10ml)を行い、混合物中における各テアフラビン類の量(TF1、TF2A、TF2B、TF3)及びこれらの合計量(TFs)を超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)で分析した。なお、サンプリングは、採取した10mlの混合物を5ml容量のエッペンチューブ2本に約4.5mlずつ分注し、卓上遠心機で3分間遠心し、上清を回収して分析に供した。結果を表5及び図5のグラフに示す。 表5及び図5に示されるように、梨と生茶葉を併用した実施例3では、テアフラビン類の濃度上昇速度がさらに大きかった。(実施例4):梨+生茶葉 インスタントグリーンティの粉末を600g用いたこと、生茶葉を1800g用いたこと、及び反応を90分間行ったこと以外は、実施例3と同様にしてテアフラビン溶液を調製し、混合物中における各テアフラビン類の量及びこれらの合計量を超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)で分析した。結果を表6及び図6のグラフに示す。 表6及び図6に示されるように、梨と生茶葉を併用した実施例4においても、テアフラビン類の濃度上昇速度がさらに大きかった。(実施例5):洋梨の果汁+生茶葉 梨の代わりに洋梨(追熟させたラフランスの冷凍果汁)を用いたこと以外は、実施例4と同様にしてテアフラビン溶液を調製し、混合物中における各テアフラビン類の量及びこれらの合計量を超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)で分析した。結果を表7及び図7のグラフに示す。 表7及び図7に示されるように、洋梨の果汁と生茶葉を併用した実施例5においても、テアフラビン類の濃度上昇速度がさらに大きかった。(実施例6):洋梨のすりおろし+生茶葉 洋梨として、追熟させたラフランスの冷凍果汁の代わりに、追熟させたラフランスの皮及び芯を除いてすりおろしたものを用いたこと以外は、実施例5と同様にしてテアフラビン溶液を調製し、混合物中における各テアフラビン類の量及びこれらの合計量を超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)で分析した。結果を表8及び図8のグラフに示す。 表8及び図8に示されるように、洋梨のすりおろしと生茶葉を併用した実施例6においても、テアフラビン類の濃度上昇速度がさらに大きかった。(実施例7):ブドウ+生茶葉 梨の代わりに、ブレンダーで種と皮ごと粉砕したブドウ(山梨県産 巨峰)を2000g用いたこと以外は、実施例4と同様にしてテアフラビン溶液を調製し、混合物中における各テアフラビン類の量及びこれらの合計量を超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)で分析した。結果を表9及び図9のグラフに示す。 表9及び図9に示されるように、ブドウと生茶葉を併用した実施例7においても、テアフラビン類の濃度上昇速度がさらに大きかった。(実施例8):リンゴ+生茶葉 100L容量のタンクに、30℃のイオン交換水60Lとインスタントグリーンティの粉末(インド産)600gを投入した。そこへ微細気泡発生装置(アスプ社製、ASG1)を用いてマイクロバブル及びナノバブル(大気)を供給しながら攪拌速度158rpm(max)の回転数で10分間撹拌し、反応系内をマイクロバブル及びナノバブルで満たすと共に、インスタントグリーンティを完全に溶解させた。なお、この際、攪拌羽は、一段とし、最下段の位置に取り付けた。その後、酵素源として生茶葉(平成24年収穫のやぶきた二茶の冷凍品)1800g及び皮と芯を除きブレンダーで破砕したリンゴ(青森県産、サンふじ)2000gを添加して、反応を開始した。反応は60分間行い、反応中は常にマイクロバブル及びナノバブルの供給を行なうと共に、液温を30℃に保った。酵素源の添加直後から15分ごとにサンプリング(10ml)を行い、混合物中における各テアフラビン類の合計量(TFs)を超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)で分析した。なお、サンプリングは、採取した10mlの混合物を5ml容量のエッペンチューブ2本に約4.5mlずつ分注し、卓上遠心機で3分間遠心し、上清を回収して分析に供した。結果を表10及び図10のグラフに示す。 表10及び図10に示される結果から、上記の混合物に大気のマイクロバブル及びナノバブルを供給した実施例8では、マイクロバブル及びナノバブルを供給しなかった比較例2に比して、テアフラビン類の濃度上昇速度が大きく、実施例8におけるテアフラビン類の濃度は、マイクロバブル及びナノバブル供給開始から15分後には4倍以上になっており、90分後には17倍近くになっていた。また、90分後の濃度も実施例8の方が比較例2よりも3倍以上高かった。(実施例9):バナナ+生茶葉 100L容量のタンクに、30℃のイオン交換水60Lとインスタントグリーンティの粉末(インド産)600gを投入した。そこへ微細気泡発生装置(アスプ社製、ASG1)を用いてマイクロバブル及びナノバブル(大気)を供給しながら攪拌速度158rpm(max)の回転数で10分間撹拌し、反応系内をマイクロバブル及びナノバブルで満たすと共に、インスタントグリーンティを完全に溶解させた。なお、この際、攪拌羽は、一段とし、最下段の位置に取り付けた。その後、酵素源として生茶葉(平成24年収穫のやぶきた二茶の冷凍品)1800g及び皮を除きブレンダーで破砕したバナナ(エクアドル産、ファボリータバナナ)1000gを添加して、反応を開始した。反応は60分間行い、反応中は常にマイクロバブル及びナノバブルの供給を行なうと共に、液温を30℃に保った。酵素源の添加直後から15分ごとにサンプリング(10ml)を行い、混合物中における各テアフラビン類の合計量(TFs)を超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)で分析した。なお、サンプリングは、採取した10mlの混合物を5ml容量のエッペンチューブ2本に約4.5mlずつ分注し、卓上遠心機で3分間遠心し、上清を回収して分析に供した。結果を表11及び図11のグラフに示す。 表11、図11に示される結果から、上記の混合物に大気のマイクロバブル及びナノバブルを供給した実施例9では、マイクロバブル及びナノバブルを供給しなかった比較例2に比して、テアフラビン類の濃度上昇速度が大きく、実施例9におけるテアフラビン類の濃度は、マイクロバブル及びナノバブル供給開始から15分後には3倍以上になっており、90分後には13倍以上になっていた。また、90分後の濃度も実施例9の方が比較例2よりも3倍近く高かった。(比較例3):ミリサイズの気泡によるバブリング 100mlスケールの多連型培養装置(エイブル株式会社製 BioJr.8)に、インスタントグリーンティの粉末(南インド産茶葉使用)1gに25℃の水100mlを投入した溶液について、反応系を4系列準備した。得られた各溶液に酵素源として生茶葉(平成24年収穫のやぶきた二茶の冷凍品)0.25gを添加して、反応を開始した。反応中は温度を25℃に保ち、250rpmの回転速度で撹拌を行いながら、3つの反応系については、それぞれ通気量20、40、80ml/分のミリバブルの添加(エイブル株式会社製 BioJr.8による)また、残り1つの反応系については、バブリングを行わなかった。反応開始直後から10分ごとにサンプリング(50μl)を行い、実施例1と同様にして、混合物中における各テアフラビン類の合計量(TFs)を超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)で分析した。なお、サンプリングは、採取した50μlの混合物を水で3倍に希釈したのち、遠心機で10分間遠心し、上清を回収したのち再度適宜希釈したのち分析に供した。結果を表12及び図12のグラフに示す。 表12及び図12に示されるように、バブリング無しの比較系列に対し、ミリサイズの気泡のバブリングを行った比較例3の各反応系において、テアフラビン類の濃度上昇速度に大きな差は見られず、ミリサイズの気泡を供給するバブリングの効果は低いことが明らかとなった。(試験例) 実施例4と同様にして、マイクロバブル及びナノバブルを供給してテアフラビン類(TFs)濃度が440ppmのテアフラビン溶液を調製した。一方、マイクロバブル及びナノバブルを供給しなかったこと以外は、実施例4と同様にして、テアフラビン類(TFs)濃度が190ppmのテアフラビン溶液を調製した。次に、それぞれのテアフラビン溶液に水を加えて、表12のサンプルNo.1〜8に示すように、テアフラビン類(TFs)濃度が62.5ppm、95ppm、125ppm、190ppmのテアフラビン溶液を調製した。次に、各サンプルがクリームダウンしない程度に加熱した後、各サンプルが入ったペットボトルを氷水に5分間浸漬してサンプルを冷却した後、サンプルのクリームダウンの有無について確認した。結果を表13に示す。また、冷却後におけるサンプルNo.1,2の写真を図13(左から順にサンプルNo.1、No.2)に示す。 表13に示される結果から明らかな通り、マイクロバブル及びナノバブルを供給してテアフラビン溶液を調製したサンプルでは、テアフラビン類の濃度が高いにも拘わらず、クリームダウンを効果的に抑制できた。したがって、マイクロバブル及びナノバブルを供給して調製したテアフラビン溶液を用いた飲料は、高濃度のテアフラビン類を含む場合にも、クリームダウンを効果的に抑制することができることが明らかとなった。 カテキン類と、前記カテキン類を酸化してテアフラビン類を生成できる酸化酵素とを水中で共存させた状態で、酸素を含むマイクロバブル及び/又はナノバブルを供給する酸化工程を備える、テアフラビン類の製造方法。 前記カテキン類の供給源が、茶葉及びその抽出物の少なくとも一方である、請求項1に記載のテアフラビン類の製造方法。 前記酸化酵素の供給源が、植物、前記植物の搾汁、及び前記植物の抽出物からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のテアフラビン類の製造方法。 前記植物が、茶葉、果物、野菜、ハーブ、豆類、穀類、及び担子菌類からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項3に記載のテアフラビン類の製造方法。 前記植物が、梨、洋梨、ブドウ、リンゴ、及びバナナからなる群から選択された少なくとも1種である、請求項3に記載のテアフラビン類の製造方法。 前記酸化工程において、前記カテキン類及び前記酸化酵素を含む水中1L当たりのマイクロバブル及び/又はナノバブルによる酸素の供給量が、常温常圧における単位時間当たりの酸素の体積に換算して、10ml/分以上となるようにして、前記マイクロバブル及び/又はナノバブルを供給する、請求項1〜5のいずれかに記載のテアフラビン類の製造方法。 前記酸化工程を15〜50℃下に5〜240分間行う、請求項1〜6のいずれかに記載のテアフラビン類の製造方法。 茶葉及びその抽出物の少なくとも一方と、植物、前記植物の搾汁、及び前記植物の抽出物からなる群から選択された少なくとも1種との発酵物を含む、テアフラビン類を含む飲料。 カテキン類と、前記カテキン類を酸化してテアフラビン類を生成できる酸化酵素とを水中で共存させた状態で、酸素を含むマイクロバブル及び/又はナノバブルを供給して得られた溶液を含む、飲料。 カテキン類と、前記カテキン類を酸化してテアフラビン類を生成できる酸化酵素とを水中で共存させた状態で、酸素を含むマイクロバブル及び/又はナノバブルを供給し、テアフラビン類を含む溶液を得る工程と、 前記工程で得られた溶液を用いて、飲料を調製する調製工程と、を備える、テアフラビン類を含む飲料の製造方法。 【課題】 短時間で効率よくテアフラビン類を製造し得るテアフラビン類の製造方法を提供する。【解決手段】カテキン類と、カテキン類を酸化してテアフラビン類を生成できる酸化酵素と、酸素を含むマイクロバブル及び/又はナノバブルとを、水中で共存させる酸化工程を備える、テアフラビン類の製造方法。【選択図】なし


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