タイトル: | 公開特許公報(A)_新規美白剤 |
出願番号: | 2013268285 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 8/49,A61Q 19/02 |
森本 佳伸 輪竹 麻美 杉山 大二朗 村松 康範 JP 2014141475 公開特許公報(A) 20140807 2013268285 20131226 新規美白剤 第一三共株式会社 307010166 第一三共ヘルスケア株式会社 306014736 石橋 公樹 100146581 竹元 利泰 100161160 児玉 博宣 100164460 森本 佳伸 輪竹 麻美 杉山 大二朗 村松 康範 JP 2012284249 20121227 A61K 8/49 20060101AFI20140711BHJP A61Q 19/02 20060101ALI20140711BHJP JPA61K8/49A61Q19/02 4 OL 14 4C083 4C083AB032 4C083AC022 4C083AC102 4C083AC122 4C083AC172 4C083AC851 4C083AC852 4C083AD092 4C083CC04 4C083CC05 4C083EE16 本発明は、新規な美白剤に関する。 シミ(肝斑、老人性色素斑等を含む)、そばかす、日やけ、色黒やステロイド等の薬物による皮膚の黒化症等の色素沈着症は、皮膚にメラニン色素が過剰に沈着して生じるものである。このように、皮膚にメラニン色素が過剰に沈着して生じる色素沈着症は、特に女性にとって美容上好ましくないものである。 メラニンにはユーメラニン(eumelanin,黒色の真性メラニン)及びフェオメラニン(pheomelanin,黄色メラニン)があり、これら2種のメラニン(黒色及び黄色)の比率によって皮膚や毛髪の色に違いが出ることが知られている(例えば、非特許文献1)。これら2種のメラニンは、メラノサイト中の細胞質顆粒メラノソームで、チロシンがチロシナーゼにより酸化されて、ドーパ、ドーパキノンが生合成され、更にドーパキノンは紫外線による自動酸化によってインドールキノン等に変化し、それらが互いに結合してユーメラニンに、また、ドーパキノンがシステインと結合してシステニルドーパに変化し、これが重合してフェオメラニンが生成される。したがって、チロシナーゼは、メラニン生成経路の律速酵素としてメラニンの生成に大きく関与している(例えば、非特許文献1)。 これまで、色素沈着症の予防又は治療剤(美白剤)として、ヒドロキノンが欧米で医薬品として使用されている。また、ヒドロキノンの誘導体であるメクイノールやコウジ酸、アスコルビン酸等も色素沈着抑制作用を有することが知られている。 また、アデニル酸(アデノシン一リン酸)(例えば、非特許文献2参照)は、皮膚角質層のターンオーバーを促進し、メラニンを排泄することで美白作用を有することが知られている。しかしながら、これら従来の美白剤は、効果面、副作用等の安全性面の問題点があった。 一方、エドクスジン(Edoxudine;5−エチル−2’−デオキシウリジン)は、抗ウイルス作用を示す核酸の誘導体で(例えば、特許文献1参照)、特に抗ヘルペスウイルス作用を有することが知られている(例えば、非特許文献3参照)。また、イドクスウリジン(5−ヨード−2’−デオキシウリジン)は、本邦において、眼科用抗ヘルペスウイルス剤として、単純ヘルペスに起因する角膜炎の治療に使用されている(例えば、非特許文献4参照)。しかしながら。これらの成分の美白作用については知られていない。米国特許第3553192号あたらしい皮膚科学 page10-13 清水宏 中山書店Arch.Dermatol.Res (2008),300,485-493.The Journal of Infection Diseases,1991,164(4),665-72.第16改正日本薬局方解説書2011 C-552 廣川書店 本発明の課題は、優れた効果を持つ、新たな色素沈着抑制効果を有する有効成分(美白成分)を提供することである。 本発明者らは、鋭意研究を推進した結果、以下の式(I)で示される化合物又はその薬理的に許容される塩が、優れた美白作用を有することを見いだし、発明を完成させた。すなわち、本発明は(1)〜(4)に関するものである。 (1)下記式(I)で示される化合物又はその薬理的に許容される塩を有効成分とする、美白剤。(式中、Rは、ハロゲン原子、C2〜C6アルキル基、ハロC1〜C6アルキル基、置換基群αから選ばれる基を置換基として有するC1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基、又はハロC2〜C6アルケニル基を示す。)置換基群α:ニトロ基、シアノ基、フェニル基、C3−C6シクロアルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロC1−C6アルコキシ基、フェノキシ基、C2−C7アシルオキシ基、C1−C6アルコキシカルボニルオキシ基、C1−C6アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ(C1−C6アルキル)カルバモイル基、ジ(C1−C6アルキル)カルバモイル基、C1−C6アルキルチオ基、及びC1−C6アルキルスルホニル基からなる群(2)式(I)のRが、エチル基又はヨウ素原子である、(1)に記載の美白剤。(3)色素沈着症の予防又は治療剤である、(1)又は(2)に記載の美白剤。(4)メラニン産生抑制剤である、(1)又は(2)に記載の美白剤。 本発明の美白剤は、メラニンの産生を抑制し、優れた美白効果、特に色素沈着抑制効果を示すため、色黒を改善するための美白用として、又はシミ(肝斑、老人性色素斑等を含む)、そばかす、日やけ、色黒やステロイド等の薬物による皮膚の黒化症等の色素沈着症の予防又は治療用として、医薬品、医薬部外品、化粧品、健康食品に配合して優れた効果を示すことができる。エドクスジンと、AMP(アデニル酸)のチロシナーゼ発現量抑制作用を比較した図である。エドクスジンと、2’−デオキシウリジンのチロシナーゼ発現量抑制作用を比較した図である。エドクスジン及びイドクスウリジンと、チミジンのチロシナーゼ発現量抑制作用を比較したデータである。エドクスジンと、コウジ酸、AMP及び2’−デオキシウリジンのメラニン産生抑制作用を比較した図である。エドクスジン及びイドクスウリジンと、コウジ酸、チミジンのメラニン産生抑制作用を比較した図である。 本発明に係る美白剤は、下記一般式(I)で示される化合物又はその薬理的に許容される塩を有効成分とする。(式中、Rは、ハロゲン原子、C2〜C6アルキル基、ハロC1〜C6アルキル基、置換基群αから選ばれる基を置換基として有するC1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基、又はハロC2〜C6アルケニル基を示す。)置換基群α:ニトロ基、シアノ基、フェニル基、C3−C6シクロアルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロC1−C6アルコキシ基、フェノキシ基、C2−C7アシルオキシ基、C1−C6アルコキシカルボニルオキシ基、C1−C6アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ(C1−C6アルキル)カルバモイル基、ジ(C1−C6アルキル)カルバモイル基、C1−C6アルキルチオ基、及びC1−C6アルキルスルホニル基からなる群 以下に、一般式(I)で示される化合物について説明する。 本発明における「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。 本発明における「C2〜C6アルキル基」とは、直鎖状又は分枝鎖状の、炭素数2〜6のアルカン類から形成される一価の基を意味し、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等を挙げることができる。 本発明における「C3〜C6シクロアルキル基」とは、炭素原子から形成される3〜6員環の一価の飽和炭化水素環基を意味し、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。 本発明における「C1〜C6アルコキシ基」とは、直鎖状又は分枝鎖状の、炭素数1〜6のアルキル基と酸素原子から形成される、C1〜C6アルキルオキシ基を意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等を挙げることができる。 本発明における「C2〜C7アシルオキシ基」とは、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜6のアルキル基とカルボニルオキシ基から形成される、C2〜C7アシルオキシ基を意味し、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基等を挙げることができる。 本発明における「C1−C6アルコキシカルボニルオキシ基」とは、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基と酸素原子から形成される、一価のC1−C6アルコキシカルボニルオキシ基を意味し、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、プロポキシカルボニルオキシ基、ブトキシカルボニルオキシ基、ペンチルオキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。 本発明における「ハロC1〜C6アルキル基」とは、上記のハロゲン原子を置換基として有するC1〜C6アルキル基を示し、ハロゲン原子の数は1個であっても2個以上であってもよく、2個以上である場合の各ハロゲン原子の種類は、同一又は異なっていてもよい。ハロC1〜C6アルキル基の具体例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1−フルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、(1,1−ジフルオロ)エチル基、(1,2−ジフルオロ)エチル基、(2,2,2−トリフルオロ)エチル基、(1,1,2,2−テトラフルオロ)エチル基、(1,1,2,2,2−ペンタフルオロ)エチル基、1−フルオロプロピル基、1,1−ジフルオロプロピル基、2,2−ジフルオロプロピル基、3−フルオロ−n−プロピル基、(3,3,3−トリフルオロ)−n−プロピル基、4−フルオロ−n−ブチル基、(4,4,4−トリフルオロ)−n−ブチル基、5−フルオロ−n−ペンチル基、(5,5,5−トリフルオロ)−n−ペンチル基、6−フルオロ−n−ヘキシル基、(6,6,6−トリフルオロ)−n−ヘキシル基等を挙げることができる。 本発明における「置換基群αから選ばれる基を置換基として有するC1〜C6アルキル基」とは、下記の置換基群αから選択される置換基を有する、直鎖状又は分枝鎖状の、炭素数1〜6のアルカン類から形成される一価の基を意味し、メチル基及びC2〜C6アルキル基は上述の基と同義である。本発明における「置換基群αから選ばれる基を置換基として有するC1〜C6アルキル基」としては、例えば、ニトロメチル基、シアノメチル基、ベンジル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−プロポキシメチル基、2−プロポキシメチル基、フェノキシメチル基、アセトキシメチル基、エトキシカルボニルオキシメチル基、エトキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、(N−メチルカルバモイル)メチル基、(N,N−ジメチルカルバモイル)メチル基、メトルチオメチル基、メタンスルホニルメチル基、2−ニトロエチル基、2−シアノエチル基、2−フェニルエチル基、2−シクロプロピルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−(1−プロポキシ)エチル基、2−(2−プロポキシ)エチル基、2−フェノキシエチル基、2−アセトキシエチル基、2−(エトキシカルボニルオキシ)エチル基、2−(エトキシカルボニル)エチル基、2−カルバモイルエチル基、2−(N−メチルカルバモイル)エチル基、2−(N,N−ジメチルカルバモイル)エチル基、2−(メトルチオ)エチル基、2−(メタンスルホニル)エチル基等を挙げることができる。 本発明における「C2〜C6アルケニル基」とは、直鎖状又は分枝鎖状の、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む、炭素数2〜6のアルケン類から形成される一価の基を意味し、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブタ−2−エニル基、3−ブタ−3−エニル基、1−メチルアリル基、ペンタ−2−エニル基、1−エチルアリル基、ヘキサ−2−エニル基等を挙げることができる。ここで、本発明においては、二重結合に基づくシス体(Z−体)又はトランス体(E−体)の幾何異性体を有するものは、いずれの異性体、及び異性体の混合物も包含する。 本発明における「ハロC2〜C6アルケニル基」とは、上記のハロゲン原子を置換基として有する上述のC2〜C6アルケニル基を意味し、ハロゲン原子の数は1個であっても2個以上であってもよく、2個以上である場合の各ハロゲン原子の種類は、同一又は異なっていてもよい。C2〜C6アルケニル基の具体例としては、2,2−フルオロビニル基、2−クロロアリル基、3,3−ジフルオロアリル基、3,3,3−トリフルオロ−2−ブタ−2−エニル基、3,3−ジフルオロ−3−ブタ−3−エニル基、3,3−ジフルオロ−1−メチルアリル基、5−フルオロペンタ−2−エニル基、1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アリル基、6−フルオロヘキサ−2−エニル基等を挙げることができる。 本発明における「置換基群α」とは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、フェニル基、C3−C6シクロアルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロC1−C6アルコキシ基、フェノキシ基、C2−C7アシルオキシ基、C1−C6アルコキシカルボニルオキシ基、C1−C6アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ(C1−C6アルキル)カルバモイル基、ジ(C1−C6アルキル)カルバモイル基、C1−C7アシルアミノ基、C1−C6アルコキシカルボニルアミノ基、C1−C6アルキルスルホニルアミノ基、C1−C6アルキルチオ基、及びC1−C6アルキルスルホニル基からなる群を意味する。 本発明の一般式(I)のRとしては、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、tert−ブチル基、ビニル基、アリル基、ヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子が好ましく;エチル基及びヨウ素原子がより好ましい。 一般式(I)で表される、特に好ましい化合物として、Rがエチル基である下記式(I−a)で表される、エドクスジン(5−エチル−2’−デオキシウリジン)又はその薬理的に許容される塩;及びRがヨウ素原子である、下記式(1−b)で表される、イドクスウリジン(5−イオド−2’−デオキシウリジン)又はその薬理的に許容される塩;を挙げることができる。 また、一般式(I)で示される化合物の薬理的に許容される塩としては、酸付加塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機アミン塩等を挙げることができる。酸付加塩としては、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の無機の鉱酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩を挙げることができる。また、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩や、トリエチルアミン塩、ピリジニウム塩、トリス塩等の有機アミン塩等を挙げることができる。 本発明における一般式(I)で示される化合物の薬理的に許容される塩としては、一般式(I)で示される化合物が、エドクスジン(I−a)又はイドクスウリジン(I−b)の場合、フリー体が好ましい。 本発明の美白剤にかかる一般式(I)で示される化合物又はその薬理的に許容される塩は、例えば米国特許第3553192号に記載の合成方法に準じて合成することができる。また、エドクスジン(I−a)やイドクスウリジン(I−b)は、市販されており、これを購入して使用することも可能である。 本発明の美白剤は、経口的又は非経口的に投与され、非経口的に投与される場合には、特に皮膚外用剤として使用される。非経口的に投与する製剤としては、エキス剤、硬膏剤、酒精剤、懸濁剤、チンキ剤、軟膏剤、パップ剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤等の剤形を挙げることができる。また、本発明の美白剤は、ローション、クリーム、化粧水、乳液、フォーム剤、ファンデーション、パック剤、皮膚洗浄剤等の形態とすることもできる。 本発明の美白剤を製剤化する場合は、公知の製剤技術により、製剤中には適当な製剤添加物を加えることができる。製剤添加物としては、例えば、賦形剤、結合剤、基剤、乳化剤、懸濁剤、分散剤、等張化剤、可塑剤、緩衝剤、安定化剤、湿潤剤、抗酸化剤、pH調整剤、界面活性剤、防腐剤、着色剤、香料等を挙げることができ、製剤添加物は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択して、適当量を加えればよい。 本発明の美白剤を、美白用として、又は色素沈着症の予防又は治療用として投与(塗布)する場合、患者の性別、年齢、症状、投与方法、投与回数、投与時期等により適宜検討を行ない、適当な投与量を決めればよい。例えば、本発明の美白剤の含有量は、通常、製剤全体の0.01〜15重量%であり、0.5〜10重量%が好ましく、1〜5%がより好ましい。 本発明の美白剤は、肌の色をより白くするために投与することが可能である。また、シミ(肝斑、老人性色素斑等を含む)、そばかす、日やけ、色黒やステロイド等の薬物による皮膚の黒化症等の色素沈着症の予防及び/又は治療を目的に投与することもできる。 以下に実施例を記載して、本願発明を具体的に説明するが、本願発明は実施例に限定されるものではない。(被験薬) エドクスジン(I−a)、AMP(II)、及び2’−デオキシウリジン(I−d)は、シグマアルドリッチ社製のものを用い、チミジン(I−c)及びイドクスウリジン(I−b)は、和光純薬社製のものを使用した。 なお、チミジンは一般式(I)のRがメチル基である下記式(I−c)で表される化合物であり、2’−デオキシウリジンは一般式(I)のRが水素原子である下記式(I−d)で表される化合物であり、AMPは下記式(II)で表される化合物である。(サンプル溶液の調製) 各被験物質は、DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle Medium)培地に溶解し、フィルターろ過滅菌した後、それぞれの成分が所定の濃度となるように希釈を行い、サンプル溶液とした。各サンプル溶液にはメラニン産生刺激剤として周知のテオフィリンを溶解した(最終濃度:1mM)。<試験例1>チロシナーゼ発現量抑制作用の評価 チロシナーゼプロモーターを含むレポータープラスミドを安定導入したマウスメラノーマ細胞を384ウェルプレートにウェル当たり3×103個で播種し、10%のFBS(fetal bovine serum)が含有されたDMEM培地中で5%(v/v)炭酸ガスに調整した炭酸ガスインキュベーター内で、37℃で24時間培養した。 次いで、このプレートに各被験物質を添加し、さらに24時間培養した後、ONE-GloTM Luciferase Assay Systemのマニュアルに従って、発光量を測定した。ネガティブコントロール及びポジティブコントロールとして、周知のメラニン産生刺激剤であるテオフィリンの非添加群及びテオフィリン添加群を設定した。 この測定法で、エドクスジン(図1、2、3)、AMP(図1)、2’−デオキシウリジン(図2)、チミジン(図3)、イドクスウリジン(図3)の発光量に与える影響を評価したところ、エドクスジン及びイドクスウリジンの2化合物が濃度依存的に発光量を抑制し、チロシナーゼ発現量の抑制効果を確認することができた。一方、一般式(I)のRが水素原子又はメチル基の、2’−デオキシウリジン(I−d)及びチミジン(I−c)にはチロシナーゼ発現量の抑制効果が確認できなかった。<試験例2>メラニン産生抑制試験 B16メラノーマ細胞を用いて、メラニン産生抑制効果を調べた。本実験は、マウスメラノーマ(B16)細胞を6ウェルプレートにウェル当たり4.8×104個で播種し、10%のFBS(Fetal Bovine Serum)が含み有されたDMEM培地中で、5%CO2、37℃で24時間培養した。培養の後、培地を除去し、エドクスジン、チミジン、イドクスウリジンが所定の濃度で希釈されたDMEM培地を添加し、5%CO2、37℃で3日間培養した。 前記培養の後、培地を除去し、収集された細胞をPBS(Phosphate Buffered Saline)で洗浄し、それをトリプシンで処理して細胞を回収した。回収された細胞は細胞数を測定し、1100rpmで5分間遠心分離した後、上澄液を除去してペレットを得た。1M水酸化ナトリウム液500μLを入れて80℃の恒温槽で30分間処理し、細胞内のメラニンを抽出した。この液を用いてマイクロプレートリーダー(Infinite M 1000、テカンジャパン)によって475nmで吸光度を測定し、細胞一定数当たりのメラニン量を求めた。 測定値は、コントロール(1mM テオフィリン添加培養)群の値を100%として各群の割合を示した(図4、図5)。 エドクスジン(図4、5)、AMP(図4)、2’−デオキシウリジン(図4)、チミジン(図5)、イドクスウリジン(図5)のメラニン産生量を、コウジ酸を陽性対照として評価したところ、エドクスジンは濃度依存的にメラニンを抑制し、その効果は、高用量でコウジ酸0.01%を上回る効果であった。イドクスウリジンは、コウジ酸とほぼ同等のメラニン産生抑制効果が認められた。 一方、美白効果が知られているAMPは、メラニン産生抑制作用が認められなかった。また、2’−デオキシウリジン(図4)、チミジンも明らかなメラニン産生抑制作用が認められなかった。すなわち一般式(I)のRが水素原子又はメチル基の、2’−デオキシウリジン(I−d)及びチミジン(I−c)にはメラニン産生抑制効果は見られなかった。(製剤例1)クリーム 下記の表1の成分を混合し、常法によりクリームを製造した。(表1)―――――――――――――――――――――――――――PEMUREN TR−11) 1%水溶液 20.0%3−ブチレングリコール 10.0%エドクスジン 0.5%水酸化ナトリウム 1%水溶液 4.0%スクワラン 10.0%フェノキシエタノール 0.3%精製水 55.2%―――――――――――――――――――――――――――1):(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー(製剤例2)ローション 下記の表2の成分を混合し、常法によりローションを製造した。(表2)―――――――――――――――――――――――――――精製水 77.0%1,3−ブチレングリコール 10.0%エタノール 10.0%エドクスジン 3.0%――――――――――――――――――――――――――― 本発明の美白剤は、優れた美白効果、色素沈着抑制効果を示すため、色黒に対する美白用、又はシミ(肝斑等を含む)、そばかす、日やけ、色黒やステロイド等の薬物による皮膚の黒化症等の色素沈着症の予防又は治療用の医薬品、医薬部外品、化粧品、健康食品として利用できる。 下記式(I)で示される化合物又はその薬理的に許容される塩を有効成分とする、美白剤。(式中、Rは、ハロゲン原子、C2〜C6アルキル基、ハロC1〜C6アルキル基、置換基群αから選ばれる基を置換基として有するC1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基、又はハロC2〜C6アルケニル基を示す。)置換基群α:ニトロ基、シアノ基、フェニル基、C3−C6シクロアルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロC1−C6アルコキシ基、フェノキシ基、C2−C7アシルオキシ基、C1−C6アルコキシカルボニルオキシ基、C1−C6アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ(C1−C6アルキル)カルバモイル基、ジ(C1−C6アルキル)カルバモイル基、C1−C6アルキルチオ基、及びC1−C6アルキルスルホニル基からなる群 式(I)のRが、エチル基又はヨウ素原子である、請求項1に記載の美白剤。 色素沈着症の予防又は治療剤である、請求項1又は2に記載の美白剤。 メラニン産生抑制剤である、請求項1又は2に記載の美白剤。 【課題】優れた色素沈着抑制効果を有する、新たな美白剤を提供することが課題である。【解決手段】式(I)で示される化合物又はその薬理的に許容される塩を有効成分とする、美白剤。【化1】(式中、Rは、ハロゲン原子、C2〜C6アルキル基等を示す。)【選択図】なし