生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_シリコン単結晶基板の欠陥濃度評価方法
出願番号:2013255250
年次:2015
IPC分類:H01L 21/66,G01N 27/04


特許情報キャッシュ

鎌田 洋之 星 亮二 JP 2015115404 公開特許公報(A) 20150622 2013255250 20131210 シリコン単結晶基板の欠陥濃度評価方法 信越半導体株式会社 000190149 好宮 幹夫 100102532 鎌田 洋之 星 亮二 H01L 21/66 20060101AFI20150526BHJP G01N 27/04 20060101ALI20150526BHJP JPH01L21/66 NG01N27/04 Z 4 1 OL 11 2G060 4M106 2G060AA08 2G060AE01 2G060AF07 2G060AG04 2G060KA16 4M106AA01 4M106BA03 4M106CA10 4M106CB19 本発明は、電子やイオン等からなる粒子線の照射によってシリコン単結晶基板中に導入された結晶欠陥の濃度の評価方法に関する。 PNダイオードやIGBT等の半導体デバイスの製造過程で、キャリアライフタイムを制御するために電子線やプロトンあるいはヘリウムイオンといった種々の粒子線の照射が行われることがある。例えば、特許文献1には、プロトンを打ち込むことでPN接合界面の付近に結晶欠陥を形成したPNダイオードが開示されている。粒子線を照射することでシリコン結晶中に結晶欠陥が導入され、それに応じてキャリアライフタイムが低下する。照射量を制御することで所望のライフタイムを得ることができる。 粒子線の照射でシリコン単結晶中に欠陥ができる過程は以下の通りである。まず、粒子線が打ち込まれると、結晶を構成するシリコン原子が格子位置からはじき出され、格子間シリコン(I)と単原子空孔(V)が生成する。この格子間シリコン−単原子空孔の対をフレンケルペアという。 格子間シリコンの一部は格子位置に存在する炭素原子Csと入れ替わり、格子間炭素Ciが生成する。この格子間炭素は不安定なため、格子間酸素あるいは別の置換型炭素と結合し、それぞれCiOi、CiCsといった複合型欠陥を形成する。残りの格子間シリコンは、他の格子間シリコンと凝集してクラスターを作るか、そのままの形で結晶中に残るか、単原子空孔と再結合して消滅するかのいずれかになると考えられる。 格子間炭素に起因するCiOi、CiCsといった欠陥はフォトルミネッセンス(PL)やカソードルミネッセンス(CL)によって検出され、結晶中の酸素濃度や炭素濃度に影響されることが知られている(非特許文献1)。 一方、フレンケルペアのうちの単原子空孔は、多くがVV欠陥を形成すると考えられる。この欠陥は電子スピン共鳴(ESR)分析によって評価されている例がある(非特許文献2)。特開平8−102545号公報M. Nakamura et al., J. Elentrochem. Soc., Vol.141, No.12, 3576 (1994)照射損傷 石野栞、東京大学出版会(1979) p178−183 前述の通り、照射による結晶欠陥はキャリアトラップとなり、ライフタイムを下げる役割がある。パワーデバイス等ではライフタイムを適切な値にするためにこれらの量を制御する必要があるが、CL等の評価手法である程度の定量が可能な炭素関連の欠陥に比べ、VV欠陥は生成量を定量評価することが難しいという問題があった。 本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、粒子線の照射によってシリコン単結晶基板中に生成したVV欠陥の濃度を簡易的に評価することができる方法を提供することを目的とする。 上記目的を達成するために、本発明は、粒子線の照射によりシリコン単結晶基板中に生成した欠陥濃度を評価する方法であって、前記シリコン単結晶基板の抵抗率を測定した後、該シリコン単結晶基板に前記粒子線を照射し、該照射後、前記シリコン単結晶基板の抵抗率を再度測定し、前記粒子線の照射前後の抵抗率の測定結果から、照射前後におけるシリコン単結晶基板中のキャリア濃度を各々求めてキャリア濃度の変化率を算出し、該キャリア濃度の変化率から、前記粒子線の照射により前記シリコン単結晶基板中に生成し、シリコン原子空孔より成るVV欠陥の濃度を評価することを特徴とするシリコン単結晶基板の欠陥濃度評価方法を提供する。 このように本発明は、粒子線の照射前後の抵抗率の測定、そしてその測定値から得たキャリア濃度の変化率からVV欠陥の濃度を評価することができるので、実に簡易的な評価方法である。また、評価結果から、VV欠陥の濃度に関して、粒子線の照射量や結晶品質(例えば酸素濃度等)との関連性も得ることができる。 また、前記照射する粒子線を電子またはイオンからなるものとすることができる。 このような粒子線の照射によってシリコン単結晶基板中にフレンケルペアおよびその単原子空孔V起因のVV欠陥等を生成することができる。 また、前記シリコン単結晶基板に含まれるドーパント不純物を、リン、ヒ素、アンチモンのうちのいずれかとすることができる。 このようなドーパント不純物を用いれば、原子径がシリコンと同程度かそれ以上であり、単原子空孔と複合体を作り安定化させることができ、より確実に、VV欠陥の濃度を上記のキャリア濃度の変化率を用いて評価することができる。 また、前記評価対象のシリコン単結晶基板とは別に、VV欠陥の濃度が既に評価されている予備試験用のシリコン単結晶基板を予め用意し、該予備試験用のシリコン単結晶基板に関して、前記粒子線の照射前後におけるキャリア濃度の変化率と、前記既に評価されているVV欠陥の濃度とから相関関係を求めておき、該相関関係を用いて、前記評価対象のシリコン単結晶基板に粒子線を照射してVV欠陥の濃度を評価することができる。 このような予備試験の結果を利用することで、評価対象のシリコン単結晶基板におけるVV欠陥の濃度をより簡便に相対評価することができる。 以上のように、本発明によれば、粒子線の照射によるVV欠陥の濃度を簡易的に評価することができるし、粒子線の照射量や結晶品質に対するVV欠陥濃度の関係を得ることができる。これにより、シリコン単結晶基板のライフタイムを所望の値に制御するために必要な照射量もしくは結晶品質をより簡便に把握することができる。本発明のシリコン単結晶基板の欠陥濃度評価方法の工程の一例を示すフロー図である。キャリア濃度の変化率と酸素濃度との関係を示すグラフである。キャリア濃度の変化率と電子線照射量との関係を示すグラフである。本発明のシリコン単結晶基板の欠陥濃度評価方法の工程の一例を示すフロー図である。 以下では、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。 まず、本発明者らが本発明を完成させるに至った経緯について述べる。 前述したように、従来では、粒子線の照射によって形成されたフレンケルペアのうちのV(単原子空孔)の多くがVV欠陥を形成すると考えられていたが、本発明者らが鋭意研究を行ったところ、そのVは(1)V+O→VO、(2)V+X→VX、(3)V+V→VVの3つの反応が主に起こることが分かった。なお、上記の式において、Oは酸素原子、Xはドーパント原子を表す。 ここで、IGBT向けにライフタイムを制御したN型シリコン基板について、各不純物元素および欠陥の存在量を求めてみる。酸素濃度は、CZ法で製造された場合1cm3あたり例えば17乗台から18乗台であり、FZ法の場合は原料の酸素濃度にもよるが、およそ15乗台後半から16乗台である。また、ドーパント濃度は、例えばIGBTとして一般的に使用される抵抗率範囲を10Ωcm以上とすると、例えばリンの濃度で5×1014atoms/cm3以下となる。単原子空孔の生成量は粒子線の照射量によっても大きく違いが出る上に見積もりが難しいが、ここでは、一例として、結晶中に1×1013〜1×1015/cm3のフレンケルペアができる程度の照射を行ったとする。 以上の条件では酸素濃度はリンの濃度[P]やVの濃度[V]に比べ十分に多いことから、(1)の反応が優先的に起こる。そして残存したVで(2)および(3)の反応が起こる。つまり、高酸素濃度の結晶では(1)の反応が起きやすい反面、(2)、(3)の反応が起こりにくくなり、低酸素濃度の結晶では(1)の反応が抑制される代わりに(2)(3)の反応が起こりやすくなる。(2)(3)の反応の生成物であるVP、VVは残存V濃度[残存V]に依存してそれらの濃度[VP]および[VV]が決まると考えられるため([残存V]∝[VP]、[残存V]∝[VV])、簡単に[残存V]∝[VP]∝[VV]と表せる。 一方、DLTS(Deep Level Transient Spectroscopy)の解析によりVPはシリコンの伝導帯の下約0.45eVの位置に準位を形成すると報告されており、N型のドーパントとしては働いていない。つまりVPの形成量に従ってシリコン基板の抵抗率が増加するので、[VP]は照射前後のキャリア濃度変化率を測定することで推定できる。従って[VV]∝[VP]∝キャリア濃度変化率として、簡易的に[VV]を推定評価することができる。 本発明者らはこれらのことを見出し、本発明を完成させた。 以下、本発明について、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。<第一の実施態様> 本発明のシリコン単結晶基板の欠陥濃度評価方法の工程の一例を図1に示す。(工程1:評価対象のシリコン単結晶基板の用意) まず、評価対象となるシリコン単結晶基板(以下、単にウエーハと呼ぶことがある)を用意する。ウェーハの原料となるシリコン単結晶インゴットは浮遊帯溶融法(FZ法)とチョクラルスキー法(CZ法)のいずれにより作られたものでもよい。またウェーハの厚みや表面の加工方法も特に限定されない。 また、ウェーハの酸素濃度は特に限定されないが、例えば、FZ法やCZ法で通常製造される5×1015〜2×1018atoms/cm3程度とすることができる。このような範囲内のものであれば、ドーパント濃度などとの関係もあるが、より一層、前述したような本発明者らが見出した欠陥形成のメカニズムが成り立ちやすく、本発明の評価方法を有効に利用することができる。 また、シリコンの伝導型は特に限定されないが、例えばリン、ヒ素、アンチモンのいずれかがドープされたN型とすることができる。また結晶中のドーパント濃度は5×1014atoms/cm3以下とすることができる。これはリンドープの場合で、およそ抵抗率が10Ωcm以上のものに相当する。 単原子空孔とドーパント原子の反応については、原子径がシリコンと同程度かそれ以上の場合は単原子空孔と複合体を作り安定化する。一方、原子径がシリコンよりも小さい場合は格子間シリコンと複合体を作り安定化する。従って、ホウ素などの比較的原子径の小さい元素よりも上記のリン、ヒ素、アンチモン等の元素であれば、より確実に単原子空孔とドーパント原子とで複合欠陥を作ることができ、上記メカニズムが発生しやすい。 このようにドーパント種やその濃度の範囲として上記例を挙げた理由は、上記の酸素濃度に関する説明と同様、欠陥形成メカニズムがより一層成り立ちやすくなるためである。 なお、以下ではリンドープの場合を例に挙げて説明する。 また、ウェーハへの窒素ドープの有無は特に限定されない。また、炭素濃度も特に限定されない。窒素や炭素はSiの単原子空孔Vに関する反応に特に寄与しないと考えられるためである。ただし炭素原子の多寡で、格子間シリコンI起因の炭素関連欠陥量は変化する。従って、本発明による欠陥評価をデバイス特性と関連させる際は、その影響を考慮するとより高精度の評価を得ることが可能になる。(工程2:抵抗率測定) 上記のウェーハについて、抵抗率を測定する。 ただし、ウェーハ中に酸素や窒素が含まれると、サーマルドナーやNOドナーが発生している場合がある。それらによって抵抗率が本来の値からずれることを防ぐために、あらかじめドナー消去熱処理を加えておくことが好ましい。例えば窒素をドープしないCZウェーハの場合は、例えば650℃で20分の熱処理を加えれば十分にサーマルドナーを消去することができる。 また、抵抗率の測定手法については、後に行う粒子線の照射で電子線を用いる場合は四探針法を用いるのが簡便で好ましいが、測定手法はこれに限定されるものではない。特に粒子線として電子線以外のイオン線を用いる場合は、電子線に比べてウェーハ内の照射による欠陥が特定の深さに局在化しやすいという性質がある。その場合、例えばアングルポリッシュ後の拡がり抵抗(SR)測定など、深さ方向に分布を求められるような測定手法が好ましい。このように照射条件等に応じて、測定手法は適宜決定することができる。(工程3:粒子線照射) 次に、ウェーハに粒子線を照射する。 粒子線は電子またはイオンからなるものとすることができる。これらの照射により、シリコン単結晶内に結晶欠陥(フレンケルペアおよびその単原子空孔Vを起因とするVV欠陥等)が生成される。粒子線の照射条件に特別な限定はないが、適当な量のフレンケルペアが生成され、前述のメカニズムが成り立つ程度に照射量を適宜調整することができる。照射量から空孔濃度を算出することは困難ではあるが、電子線照射の場合、例えば加速電圧2MVで照射量1×1016/cm2以下にすることが好ましい。(工程4:抵抗率測定) そして、粒子線を照射した後のウェーハについて、再び抵抗率を測定する。 実際にデバイスとして用いる際には照射後にアニールを行って不要なダメージを除去することが通常行われるが、この場合はダメージ評価を行うため加熱処理は不要である。ただし、当然、必要に応じて加熱処理を行うこともできる。(工程5:キャリア濃度変化率の算出) そして、アービン曲線などを用いて照射前後の抵抗率から、それぞれ、照射前後のキャリア濃度を算出し、さらにキャリア濃度変化率を算出する。なお、キャリア濃度変化率としては、例えば以下の式によって求めることができる。 キャリア濃度変化率=([n]f−[n]i)/[n]i×100 ただし、[n]i:照射前のキャリア濃度、[n]f:照射後のキャリア濃度である。(工程6:VV欠陥濃度の評価) 上記のようにして算出したキャリア濃度変化率を用いてVV欠陥濃度を評価する。 ここで、まず、酸素濃度や粒子線の照射量と、キャリア濃度変化率との関係について説明する。 酸素濃度とキャリア濃度変化率の相関を図2に示す。FZ法とCZ法で各種酸素濃度のリンドープN型ウェーハ(抵抗率約60Ωcm)を作製し、それぞれに6×1014/cm2の電子線照射を行った結果である。 この図2から明らかなように、酸素濃度が高くなるほどキャリア濃度変化率が小さくなる。これは前述の本発明者らによる考察の通り、酸素濃度が高くなるほど単原子空孔VがOに消費され、その分リンと空孔の複合体PVが形成されにくくなることを示している。 また、電子線照射量とキャリア濃度変化率の相関を図3に示す。ウエーハの酸素濃度は全て6×1015atoms/cm3である。 この図3から、電子線照射量が増えるほど照射による欠陥数が増加し、キャリア濃度が大きく変化していると言える。 図2や図3に示すように、キャリア濃度変化率は酸素濃度や粒子線の照射量に依存して変化する。ここで、前述したように[VP]∝[VV]と考えられるため、例えばキャリア濃度変化率が高いウェーハほどVV欠陥が多く形成していることが間接的に分かる。このようにキャリア濃度変化率を用いてVV欠陥の濃度の大小を簡易的に評価することができる。具体的なVV欠陥濃度の値が求められるわけではないものの、各種サンプル間の相対的なVV欠陥濃度を評価することができる。 なお、これら図2、図3などの酸素濃度や粒子線の照射量と、VV欠陥濃度と関連するキャリア濃度変化率との関係性を示すデータを予め取得しておくことで、VV欠陥の濃度とそれらの関係を把握することができる。それによって、例えばウェーハの酸素濃度を変えたときに照射ダメージを同等にするにはどの程度の照射量が必要か見積もることができる。 また、前述した炭素の例に限らず、ウェーハ中に何らかの不純物が含まれていた場合、照射欠陥の形成に影響を与える可能性が考えられる。従って、上記実施形態では考慮していない不純物が高濃度に入ったウェーハや、サンプル間で不純物濃度に大きな差があるウェーハを評価する場合においては、それらの不純物が与える影響を考慮する工程を必要に応じて加えることで、より一層正確な評価を行うことが可能である。これらの考慮は、求める評価精度、コストや手間等によって適宜行うことができる。<第二の実施態様> また、本発明の他の実施態様としては、実際の評価対象のシリコン単結晶基板を評価する前に予備試験を行うことができる。第二の実施態様の工程の一例を図4に示す。[予備試験](工程1:予備試験用のシリコン単結晶基板の用意) まず、予備試験用のシリコン単結晶基板(以下、単に予備試験用ウエーハと呼ぶことがある)を用意する。この予備試験用ウエーハとしては、VV欠陥の濃度が既に評価されているということ以外は、例えば後に用意する評価対象のウエーハと同様のものとすることができる。具体的な酸素濃度等は、例えば第一の実施態様のときと同様にして決定することができる。 ここでは、一例として酸素濃度、ドーパント種、抵抗率等が評価対象のウエーハと同じ予備試験用ウエーハを複数用意する例を挙げて説明するが、その数は特に限定されない。(工程1’:予備試験用と同様のシリコン単結晶基板を用いたVV欠陥濃度の評価) なお、VV欠陥の濃度を直接定量することは難しい。そこで、例えば、該予備試験用ウエーハと同様のウエーハを用い、製造工程において、後述する予備試験での工程3の粒子線照射工程と同様の条件で粒子線を照射して作製したダイオードのリカバリー特性から、間接的に予備試験用ウエーハにおけるVV欠陥の濃度を評価しておくことができる。ウェーハ内のVV欠陥はキャリアの再結合中心として働くため、VV欠陥が多いほどキャリアが消滅するまでの時間が短くなり、リカバリー特性は向上する。従って、リカバリー特性の良否がVV欠陥生成量の大小を表すと考えられる。 ここでは、予備試験用ウエーハの数だけ照射量を変えてダイオードを製造し、それぞれの予備試験用ウエーハにおけるVV欠陥濃度の指標として、各ダイオードにおけるリカバリー特性の良否を求めておく。 当然、このリカバリー特性に限定されず、VV欠陥の濃度と相関する他のパラメータを利用することができる。(工程2〜工程5:抵抗率測定〜キャリア濃度変化率の算出) 各々の予備試験用ウエーハに対して、抵抗率の測定、粒子線の照射、再度の抵抗率の測定を行い、照射前後における予備試験用ウエーハ中のキャリア濃度を各々求め、キャリア濃度変化率を算出する。 なお、工程3(粒子線照射)では、前述した工程1’のダイオードでの製造工程と同様の条件で粒子線の照射を行う。ここでは、予備試験用ウエーハごとに照射量が異なっている。 その他、これらの工程における具体的な手順等は、例えば第一の実施態様と同様にして行うことができる。(工程6:相関関係の把握) 上記のようにして算出した各々の予備試験用ウエーハにおけるキャリア濃度変化率と、VV欠陥の濃度(ここではダイオードにおけるリカバリー特性の良否)との相関関係を求める。これにより、酸素濃度等が同条件の場合での、各キャリア濃度変化率に対応するVV欠陥の濃度(リカバリー特性の良否)を得ることができる。[本試験](工程7〜工程11:評価対象のシリコン単結晶基板の用意〜キャリア濃度変化率の算出) 次に本試験を行う。すなわち、実際の評価対象のウエーハの評価を行う。評価対象のウエーハを用意し、抵抗率の測定、所定の照射量での粒子線の照射、再度の抵抗率の測定を行い、照射前後における評価対象のウエーハ中のキャリア濃度を各々求め、キャリア濃度変化率を算出する。(工程12:相関関係を用いたVV欠陥濃度の評価) 上記のようにして算出したキャリア濃度変化率と、予備試験で求めた相関関係を用い、評価対象のウエーハのVV欠陥濃度(ここではダイオードにおけるリカバリー特性の良否)を評価する。すなわち、算出したキャリア濃度変化率を上記相関関係に当てはめ、対応するVV欠陥濃度(リカバリー特性の良否)を求める。このようにして、予備試験を利用して簡便にVV欠陥濃度を相対評価することができる。 なお、毎回予備試験を行う必要はなく、キャリア濃度変化率とVV欠陥濃度との相関関係を示す過去の蓄積されたデータ等を用いることも可能である。この場合、予備試験に要する工程を省略することができ、より簡便に評価を行うことができる。 以下、実施例および比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。(実施例1) CZ法とFZ法をそれぞれ用い、リンをドープした直径200mmのシリコン単結晶インゴットを製造した。FTIR法により結晶中の酸素濃度を測定すると、CZ結晶では3.5×1017atoms/cm3であり、FZ結晶では0.3×1017atoms/cm3であった。抵抗率はどちらも約60Ωcmだった。なお、炭素関連欠陥ができてデバイス特性に影響を与えてしまうことを避けるため、炭素濃度は5×1014atoms/cm3程度まで低減した。 まずFZ結晶からポリッシュドウェーハ(PW)を作製し、続いてそれらのFZウェーハからPNダイオードを作製した。これらのダイオードには製造工程中に加速電圧2MVで5水準の電子線照射が行われている。 ここで、前述したようにVV欠陥の生成量を直接定量することは難しいので、作製したダイオードのリカバリー特性から間接的にVV欠陥の生成量を評価した。リカバリー特性の良否がVV欠陥濃度の大小を表すと考えられる。この評価結果を表1に示す。 一方、前記PWと同種のPWに、ダイオード製造時と同じ条件で5水準の電子線照射を行い、照射前後の抵抗率を四探針法により測定した。該測定により照射前後のキャリア濃度を求め、それらから算出したキャリア濃度の変化率を同じく表1に示す。 表1により、上記のようにして求めたキャリア濃度変化率とVV欠陥の濃度(リカバリー特性の良否)の相関関係が分かる。そして、リカバリー特性が合格になるのはキャリア濃度の変化率が約29%以上のときであることが分かる。 上記と同じVV欠陥濃度評価(リカバリー特性評価)およびキャリア濃度変化率の算出をCZ結晶からポリッシュドウェーハ(PW)を作製したCZウェーハに対しても行った。その結果を表2に示す。 表2からわかるように、リカバリー特性が合格になるのは、FZウエーハの場合と同じでキャリア濃度の変化率が約29%以上のときだった。 なお、これらの表1、表2から、キャリア濃度変化から見積もったダメージ量が有効な指標となっているといえる。すなわち、本発明のようにキャリア濃度変化率からVV欠陥濃度を評価するのは有効な手法であることが分かる。また、表1、表2のように、用意したCZウエーハとFZウエーハのそれぞれにおいて、その酸素濃度等における、照射量とVV欠陥濃度との関連性を把握することもできる。(実施例2) さらに、これらの表1、表2を予備試験の結果として、別に用意したFZウエーハおよびCZウエーハ(酸素濃度等は表1、表2の作成のために用意したものと同様)に対し、表1、表2に記載の照射水準とは異なる照射量で電子線を照射してキャリア濃度変化率を算出したところ、どちらも29%以上であった。したがって、このキャリア濃度の算出結果および予備試験の表1、表2を考慮し、これらのウエーハと同様のウエーハにPNダイオードを同様の照射量で電子線を照射して作製した場合、リカバリー特性は合格になると評価した。 そして実際にPNダイオードを作製してリカバリー特性を評価したところ予想通り合格となった。(比較例) 実施例1と同様のFZウエーハおよびCZウエーハを用意した。 まず、FZウエーハに対し、実施例1とは異なって抵抗率測定やキャリア濃度変化率の算出等は行わず、単純に表1のような照射量(照射水準1〜5)で電子線を照射してPNダイオードを作製し、照射量とリカバリー特性の良否結果の関係を得た。これらの関係は表1に示すものと同様であった。 そこで、CZウエーハに対し、FZウエーハのときと同様にしてPNダイオードを作製した場合、同様の照射量では同様のリカバリー特性が得られ、良否結果はFZウエーハのときと同様になると評価した。 しかしながら、実際には照射量とリカバリー特性の良否結果の関係は表2に示すものとなった。すなわち、予想とは異なり、例えば照射水準3、4のときの良否結果から分かるように、FZウエーハのときはリカバリー特性が合格しているにもかかわらず、CZウエーハでは不合格となった。このように、酸素濃度が異なるウェーハでは同一の照射条件であっても照射ダメージの差によってデバイス特性に差が出てくる場合がある。 このような照射条件のみで判断した比較例と、本発明を実施した実施例1、2との評価結果を比較しても分かるように、前述の通り、VV欠陥濃度を評価する際に、キャリア濃度変化率を考慮する本発明が有効であることが分かる。 なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。 粒子線の照射によりシリコン単結晶基板中に生成した欠陥濃度を評価する方法であって、 前記シリコン単結晶基板の抵抗率を測定した後、該シリコン単結晶基板に前記粒子線を照射し、該照射後、前記シリコン単結晶基板の抵抗率を再度測定し、 前記粒子線の照射前後の抵抗率の測定結果から、照射前後におけるシリコン単結晶基板中のキャリア濃度を各々求めてキャリア濃度の変化率を算出し、 該キャリア濃度の変化率から、前記粒子線の照射により前記シリコン単結晶基板中に生成し、シリコン原子空孔より成るVV欠陥の濃度を評価することを特徴とするシリコン単結晶基板の欠陥濃度評価方法。 前記照射する粒子線を電子またはイオンからなるものとすることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶基板の欠陥濃度評価方法。 前記シリコン単結晶基板に含まれるドーパント不純物を、リン、ヒ素、アンチモンのうちのいずれかとすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリコン単結晶基板の欠陥濃度評価方法。 前記評価対象のシリコン単結晶基板とは別に、VV欠陥の濃度が既に評価されている予備試験用のシリコン単結晶基板を予め用意し、 該予備試験用のシリコン単結晶基板に関して、前記粒子線の照射前後におけるキャリア濃度の変化率と、前記既に評価されているVV欠陥の濃度とから相関関係を求めておき、 該相関関係を用いて、前記評価対象のシリコン単結晶基板に粒子線を照射してVV欠陥の濃度を評価することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶基板の欠陥濃度評価方法。 【課題】粒子線の照射によってシリコン単結晶基板中に生成したVV欠陥の濃度を簡易的に評価することができる方法を提供する。【解決手段】粒子線の照射によりシリコン単結晶基板中に生成した欠陥濃度を評価する方法であって、前記シリコン単結晶基板の抵抗率を測定した後、該シリコン単結晶基板に前記粒子線を照射し、該照射後、前記シリコン単結晶基板の抵抗率を再度測定し、前記粒子線の照射前後の抵抗率の測定結果から、照射前後におけるシリコン単結晶基板中のキャリア濃度を各々求めてキャリア濃度の変化率を算出し、該キャリア濃度の変化率から、前記粒子線の照射により前記シリコン単結晶基板中に生成し、シリコン原子空孔より成るVV欠陥の濃度を評価するシリコン単結晶基板の欠陥濃度評価方法。【選択図】図1


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