タイトル: | 公開特許公報(A)_イブジラストを用いた進行性神経変性疾患の処置 |
出願番号: | 2013255214 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 31/437,A61P 25/00 |
カラファー,マイケル,エフ. ロック,ケネス,ダブリュー. 松田 かずこ ガンマンズ,リチャード,エフ. JP 2014062118 公開特許公報(A) 20140410 2013255214 20131210 イブジラストを用いた進行性神経変性疾患の処置 メディシノバ,インコーポレーテッド 505476515 MEDICINOVA,INC. 笹島 富二雄 100078330 小川 護晃 100129425 カラファー,マイケル,エフ. ロック,ケネス,ダブリュー. 松田 かずこ ガンマンズ,リチャード,エフ. US 60/929,745 20070711 US 61/042,181 20080403 A61K 31/437 20060101AFI20140314BHJP A61P 25/00 20060101ALI20140314BHJP JPA61K31/437A61P25/00 8 2010516198 20080708 OL 25 4C086 4C086AA01 4C086AA02 4C086CB05 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA01[関連出願] 本出願は、2007年7月11日に出願された米国仮特許出願第60/929,745号及び2008年4月3日に出願された米国仮特許出願第61/042,181号の利益を主張するものであり、その開示内容はすべて参照により本明細書に組み込まれる。 本発明は、一般に進行性神経変性疾患を処置する方法に関する。詳細には、本発明は、イブジラスト(3−イソブチリル−2−イソプロピルピラゾロ[1,5−a]ピリジン)の投与により、進行性神経変性疾患及びその関連症状を処置又は予防する方法に関する。 小分子イブジラスト(3−イソブチリル−2−イソプロピルピラゾロ[1,5−a]ピリジン)は、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)3A,4,10A1及び11A1の選択的阻害薬である(Gibsonら、Eur J Pharmacol 538:39−42,2006)。イブジラストは、ロイコトリエンD4拮抗薬、抗炎症薬及び血管拡張薬としても機能する(Thompson Current Drug Reports)。イブジラストは恐らくグリア細胞の活性化抑制により、哺乳動物の中枢神経系において神経保護の役割を果たすと考えられている(Mizunoら、Neuropharmacology 46:404−411,2004)。 イブジラストは虚血性脳卒中又は気管支喘息と関連する症状を軽減するために日本で広範に用いられている。最近の臨床試験では、中枢神経系の炎症性疾患である多発性硬化症(MS)の処置におけるその用途が探索されている(News.Medical.Net;Pharmaceutical News,2005年8月2日)。この出版物に公開されているように、この臨床試験は「再発寛解型MS」を処置することが期待されたが、進行性多発性硬化症について言及していない。米国特許第6,395,747号では、イブジラストは一般には進行性多発性硬化症ではなく再発寛解型多発性硬化症を意味すると理解される多発性硬化症の処置として開示されている。米国特許出願公開第2006/0160843号は間欠的で短期間の疼痛の処置のためのイブジラストを開示しているが、これは神経変性疾患に関連する疼痛ではない。 多くの様々な適応症に対するイブジラストの使用がこれまでに報告されているが、本出願人らが知る限りでは、進行性神経変性疾患におけるその使用はこれまでほとんど探索されていない状態が続いている。 本発明は、進行性神経変性疾患を処置する新規手法に関するものであり、進行性神経変性疾患がイブジラストの投与によって良好に処置又は予防されうるという驚くべき知見に基づく。本発明人らは、標準的な進行性神経変性疾患モデルを用いることにより、イブジラストの全身投与が、種々の症候群と関連するような慢性進行性神経変性疾患の消失に至らないまでも、予防及び/又は減弱に有効であることを見出した。 従って一態様では、本発明は、治療有効量のイブジラストを被験者に投与することにより、進行性神経変性疾患を患う被験者を処置する方法を提供する。 処置のために選択されるのに適した被験者には、他の著明な神経学的徴候がない認知症、アルツハイマー病、アルツハイマー型の老人性認知症又はピック病(葉性萎縮)、進行性認知症と他の著明な神経学的異常とを合併した症候群を含む神経変性疾患、主に成人を冒し、進行性神経変性型のハンチントン病、認知症と運動失調症及び/又はパーキンソン病の徴候とを合併した多系統萎縮症、進行性核上麻痺(スティール・リチャードソン・オルゼウスキー(Steele−Richardson−Olszewski)症候群)、びまん性レビー小体病或いは皮質歯状核黒質変性症(corticodentatinigral degeneration)を含む進行性神経変性疾患を患う者が含まれる。更に被験者は、主に若年成人及び小児を冒し、ハラーフォルデン・シュパッツ(Hallervorden−Spatz)病及び進行性家族性ミオクローヌス癲癇を含む進行性神経変性疾患、姿勢・運動の異常を徐々に発現する症候群を含む進行性神経変性疾患或いは振戦麻痺(パーキンソン病)、線条体黒質変性症、進行性核上性麻痺、捻転ジストニア(捻転痙攣;変形性筋ジストニア)、痙性斜頸及び他の限局性ジスキネジア、家族性振戦又はジル・ドゥ・ラ・トゥレット(Gilles de la Tourette)症候群を含む疾患、進行性運動失調症候群、小脳変性症又は脊髄小脳変性症、小脳皮質変性症又はオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)、脊髄小脳変性症(フリードライヒ運動失調症(Friedreich’s ataxia)及び関連疾患)を含む脊髄小脳変性症候群を含む進行性神経変性疾患を患っている可能性がある。他の適応症には、中枢自律神経系不全(シャイ・ドレーガー(Shy−Drager)症候群)、感覚の変化を伴わない筋力低下・消耗の症候群(運動ニューロン疾患)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症、乳児脊髄性筋萎縮症(ウェルドニッヒ・ホフマン(Werdnig−Hoffmann)病)、若年性脊髄性筋萎縮症(ウォルファルト・クーゲルベルク・ヴェランダー(Wohlfart−Kugelberg−Welander)病)又は他の形態の家族性脊髄性筋萎縮症、原発性側索硬化症又は遺伝性痙性対麻痺、筋力低下・消耗と感覚の変化とを合併した症候群(進行性神経性筋萎縮症;慢性家族性ポリニューロパチー)、腓骨筋萎縮症(シャルコー・マリー・トゥース(Charcot−Marie−Tooth)病)、肥厚性間質性ポリニューロパチー(Deferine−Sottas病)又は種々の形態の慢性進行性ニューロパチー、進行性視力低下症候群を含む進行性神経変性疾患が含まれる。本発明により処置可能な他の適応症は、網膜色素変性症(retinitis pigmentosa)又は遺伝性視神経萎縮症(レーベル病(Leber’s disease))、運動ニューロン疾患及び進行性運動失調症;散発性進行性神経変性疾患、伝導ブロックを伴う多巣性運動ニューロパチー、パラプロテイン血症(paraproeinemia)を伴う運動性ニューロパチー、運動神経優位型末梢神経障害、オリーブ橋小脳萎縮症、Azorean(マシャド・ジョセフ(Machado−Joseph))病、例えば、家族性筋萎縮性側索硬化症などの家族性進行性神経変性疾患、脊髄性筋萎縮症、家族性痙性対麻痺、遺伝性生化学的障害、先天性多発性関節拘縮症(arthrogryposis muliplex congenital)又は若年性進行性球麻痺(ファチオ・ロンド(Fazio−Londe)病)である−遺伝性生化学的障害例は、スーパーオキシドジスムターゼ欠損症(superoxide dismutase deficieny)、ヘキソサミニダーゼA/B欠損症又はアンドロゲン受容体突然変異(ケネディ症候群(Kennedy’s syndrome))である。更に、進行性神経変性疾患はウイルス及びプリオン病、例えば、HTLV−1関連脊髄症、進行性多巣性白質脳症、クロイツフェルト・ヤコブ(Creutzfeldt−Jakob)病、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー(Gerstmann−Straussler−Scheinker)病、クールー、致死性家族性不眠症又はアルパース病(Alper’s disease)を含みうる。 該方法の一又はそれ以上の代替実施形態では、イブジラストは、約30mg〜240mg/日又は約30mg〜180mg/日、60mg〜120mg/日又は20〜80mg/日の範囲にわたる1日用量にて投与される。 治療用量は、1日1回(即ち、単回用量)、1日2回(即ち、別々の2回用量)、1日3回の投与により得られてもよく、又は数日間、数週間若しくは更には数カ月の時間経過にわたり複数回投与として投与されてもよい。通常、そのような投与は進行性神経変性疾患の緩徐化(抑制)、又は減退(軽減)、また、理想的には消失又は更には逆行をもたらすのに有効な期間にわたる。典型的な処置期間は、少なくとも約1カ月、1〜3カ月、最大約6カ月、最大約12カ月又は例えば、24カ月以上の更に長期間を含む。特定の一実施形態では、処置は約1週〜約52週間持続する。 処置方法の好ましい一実施形態では、投与は進行性神経変性疾患の消失をもたらすのに有効な期間にわたる。そのような期間は、少なくとも1年間、少なくとも20カ月又は少なくとも2年間でありうる。 本発明の具体的な一実施形態では、進行型の再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患っており、その疾患の二次性進行型多発性硬化症(SPMS)への転換リスクがある患者に有効量のイブジラストが投与され、これにより、RRMSからSPMSへの転換率が、少なくとも2年間有効量のイブジラストで連日処置されるような患者に対して少なくとも約2分の1まで低下する方法について述べられる(例えば、未処置患者又は1年間のみ連日処置される患者と比べて)。従って、本発明の方法には、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間又は少なくとも約5年間、また、おそらくは更に長期間、特定の患者集団に有効量のイブジラストを投与する方法が含まれる。 更に別の実施形態では、単独で、又は併用療法の一部として投与される場合、イブジラストは全身的又は中枢的に(例えば、くも膜下腔内投与により、即ち、脊髄を取り囲む脳脊髄液中に)投与される。イブジラストのそのような投与は、潜在的にグリアの活性化の抑制を介して進行性神経変性疾患を減弱させる新規機序を提供する。 更に別の実施形態に従って、イブジラストは進行性神経変性疾患の処置のために、例えば、非経口、経腸、経口、静脈内、鼻腔内、舌下又は他の全身経路によって被験者に全身投与される。 別の態様では、本発明は、進行性神経変性疾患を処置するのに有効な組成物又は組合せを提供する。組成物は、(1)イブジラストと(2)進行性神経変性疾患を処置するのに有効な少なくとも1つの追加薬剤との組合せを含み、各成分は単一の組成物若しくは剤形(例えば、混合剤)に含まれるか、又は分離した、若しくは別個のものとして(例えば、キットにて)存在する。 本発明の組成物は1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤を任意に含みうる。 更に別の態様では、本発明は、同時、連続又は分離使用のために、(1)イブジラストと(2)進行性神経変性疾患を処置するのに有効な少なくとも1つの追加薬剤とを含む、進行性神経変性疾患又は関連症候群の処置のための薬剤の組合せを含むキットを包含する。 別記しない限り、本明細書で述べられる本発明の各特徴は、本明細書で述べられるいずれの実施形態にも等しく適用するように意図される。 本発明の更なる目的、利点及び新規特徴は、以下の説明に示され、以下の説明を読み取ると同時にある程度当業者には明らかとなり、又は本発明の実施により習得されうる。第II相臨床試験における患者の脳容積変化(%)を示すグラフ図である。1年の処置期間にわたり、60mg/日のイブジラストを投与された患者は脳容積の平均0.79%の損失を有し、一方、プラセボを投与された患者は1.2%の脳容積損失を有した。これは0.0352のp値を有する統計的に有意な結果である。プラセボと比べてMN−166を60mg/日で処置されたMS患者において12カ月後に認められた、頭部磁気共鳴画像(MRI)スキャンにより測定された脳容積損失の有意な減少(p=0.04)を示すグラフ図である。再発寛解型患者において同様の効果が認められた。試験の第一の12カ月間にプラセボを投与された患者が無作為抽出され、試験の第二の12カ月間に30mg又は60mg/日のMN−166を投与された(二重盲検を維持)臨床試験の結果を示すグラフ図である。試験の第一の12カ月間に30又は60mg/日のMN−166を投与された患者に対しは、試験の第二の12カ月間、割当用量の投与が続けられた。試験結果は、プラセボと比べて、MN−166を60mg/日で処置されたMS患者において12カ月後に認められた、頭部磁気共鳴画像(MRI)スキャンにより測定された脳容積損失の有意な減少(p=0.04)(図2)が、第二年目においても明らかにされ、他の処置群(プラセボを12カ月間、30mgのMN−166を12カ月間;プラセボを12カ月間、60mgのMN−166を12カ月間;30mgのMN−166を24カ月間)と比べて、24カ月間60mg/日のMN−166を投与された患者に有意な減少(p=0.030)であることを示した。 別記しない限り、本発明の実施では当該技術分野の範囲内の化学、生化学及び薬理学の従来の方法を用いる。そのような技法は文献に十分に説明されている。例えば、A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.、(現行版));Morrison及びBoyd,Organic Chemistry(Allyn and Bacon,Inc.、(現行版));J.March,Advanced Organic Chemistry(McGraw Hill社、(現行版));Remington:The Science and Practice of Pharmacy,A.Gennaro(編)、第20版;FDA’s Orange Book,Goodman及びGilman The Pharmacological Basis of Therapeutics,J.Griffith Hardman,L.L.Limbird,A.Gilman、第11版、2005,The Merck Manual、第18版、2007並びにThe Merck Manual of Medical Information 2003を参照されたい。 インターネット記事、FDA Orange Book(FDAのウェブサイト上で入手可能)、書籍、ハンドブック、学術記事、特許及び特許出願を含む、本明細書で引用される公開文献はすべて、上記・下記にかかわらず、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。[定義] 本発明を詳述する前に、添付する説明及び図から明らかであるように、本発明はそれ自体多種多様になりうるため、特定の投与方法、患者集団などに限定されないことを理解されたい。 本明細書及び意図される特許請求の範囲において用いられるように、文脈にて明確に別記されない限り、単数形“a”,“an”及び“the”は複数の指示対象を含むことに留意する必要がある。従って、例えば、「1つの薬剤(a drug)」への言及には、単一の薬剤及び2つ以上の同じ、若しくは異なる薬剤が含まれ、「1つの任意の賦形剤(an optional excipient)」への言及は、単一の任意の賦形剤及び2つ以上の同じ、若しくは異なる任意の賦形剤(など)を指す。 本発明を説明し、特許請求するにあたり、以下の用語は後述の定義に従って用いられる。 「医薬的に許容可能な賦形剤又は担体」とは、本発明の組成物に任意に含めることができ、且つ患者に対する有意な有害毒性作用を引き起こさない賦形剤を指す。 「医薬的に許容可能な塩」は、限定されないが、アミノ酸塩、無機酸で調製される塩、例えば、塩化物塩、硫酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化物塩及び硝酸塩或いは前述の対応するいずれの無機酸のタイプからも調製される塩、例えば、塩酸塩等或いは有機酸で調製される塩、例えば、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、エチルコハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、パルモエート(palmoate)、サリチル酸塩及びステアリン酸塩並びにエストレート塩、グルセプテート塩、ラクトビオン酸塩を含む。同様に、医薬的に許容可能なカチオンを含む塩は、限定されないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム及びアンモニウム(置換アンモニウムを含む)を含む。 本明細書で述べられる「活性分子」又は「活性剤」は、インビボ又はインビトロにて示されうる何らかの薬理学的、多くの場合、有益な作用を与えるいかなる作用剤、薬剤、化合物、物質又は混合物の組成物をも含む。これには、食物、栄養補助食品、栄養剤、栄養補給食品、薬剤、ワクチン、抗体、ビタミン及び他の有益な作用剤が含まれる。本明細書で用いられるように、その用語は、患者において局所又は全身作用を生じさせるいかなる生理的又は薬理的活性物質をも更に含む。 「実質的に」又は「本質的に」は、ほぼ全体的又は完全に、を意味し、例えば、所定量の95%以上を意味する。 「任意の」又は「任意に」は、後述の状況が生じる場合もあれば生じない場合もありうることを意味し、従って、説明にはその状況が生じる場合及びその状況が生じない場合が含まれる。 「進行性神経変性疾患」とは、進行性の状態にあり、又は進行性の特徴を有し、単に再発及び又は寛解の発生状態にあるのではない、いかなる神経変性疾患をも意味する。進行状態は経時的な症状の悪化である。概して、症状は緩やかな速度にて悪化する。 進行性神経変性疾患例には、アルツハイマー病、パーキンソン症及び筋萎縮性側索硬化症が含まれる。 「中枢神経系」又は「CNS」という用語は、脳のすべての細胞及び組織並びに脊椎動物の脊髄を含む。従って、限定するものではないが、その用語には、神経細胞、グリア細胞、星状細胞、脳脊髄液(CSF)、間質腔などが含まれる。 「グリア細胞」は、ミクログリア、星状細胞及びオリゴデンドロサイトとしても公知のCNSの様々な細胞を指す。 「被験体(者)」、「個体」又は「患者」は本明細書で互換的に用いられ、脊椎動物、好ましくは哺乳動物を指す。哺乳動物には、限定されないが、マウス、齧歯動物、サル、ヒト、家畜、競技動物及び愛玩動物が含まれる。 本明細書で示される組成物又は作用剤の「医薬的有効量」又は「治療有効量」という用語は、例えば、進行性神経変性疾患の減弱又は反転などの所望の応答をもたらすのに無毒かつ十分な組成物又は作用剤の量を指す。正確な必要量は、被験体の種、年齢及び全身状態、処置される状態の重症度、用いられる特定の薬剤(単数又は複数)、投与方法などにより、被験体毎に異なりうる。個々の場合における適切な「有効」量は、本明細書で示される情報に基づき、当業者がルーチンの実験を行うことによって決定されてもよい。 特に所与量に関する場合の「約」という用語は、プラス又はマイナス5%の偏差を包含することが意図される。 「進行性神経変性疾患」は、進行状態にあり(即ち、ベースラインレベルと比べて悪化している)、又はそれほどの進行性の特徴を有するいかなる神経変性疾患をも意味する。従って、進行状態は、経時的な症状の悪化であり、急激又は漸進的となることがある。進行性神経変性疾患例には、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病及び再発寛解型多発性硬化症を除く進行型多発性硬化症が含まれる。 多発性硬化症には認識される4つのタイプがある:(1)再発寛解型多発性硬化症(RR多発性硬化症)、(2)二次性進行型多発性硬化症(SP多発性硬化症)、(3)進行性再発型多発性硬化症(PR多発性硬化症)及び(4)一次性進行型多発性硬化症(PP多発性硬化症)。RR多発性硬化症は特許請求の範囲内にあるとは見なされないが、他型の多発性硬化症、即ち、SP多発性硬化症、PR多発性硬化症及びPP多発性硬化症は本発明の一態様であると見なされる。あらゆるタイプの進行性MSにおいて、再発にかかわらず、経時的な機能の喪失がある。 「再発寛解型多発性硬化症(RR多発性硬化症)」は、その間に新たな症状が現れ、旧症状が再現又は悪化する再発(増悪としても公知)を特徴とする。再発の後に寛解期が続き、その間、患者は再発期にもたらされた欠損から完全又は部分的に回復する。再発は数日、数週間又は数カ月続き、回復は緩徐・漸進的又はほとんど瞬時でありうる。多発性硬化症を呈する患者の大部分は、最初に再発寛解と診断される。これは、20又は30代の時(それよりずっと以前又は以後において診断されることが知られているが)に典型的である。男性のほぼ2倍の女性がこの変種を呈する。 「二次性進行型多発性硬化症(SP多発性硬化症)」では、初期に再発寛解型多発性硬化症を有した患者が、再発の有無にかかわらず、神経機能の漸進的低下を発現し始める。長年経過後、再発寛解型多発性硬化症を有していた多くの患者が疾患の二次性進行期に移行する。これは再発間の疾患の漸進的悪化を特徴とする。二次性進行型の初期では、患者は依然として少数の再発を経験するが、しばらくするとこれらは一般的な進行へ次第に変化する。再発後、患者は機能の従前レベルに戻らない場合が多い。二次性進行状態の患者は、良好・不良な日又は週を経験しうるが、再発エピソード後のある程度の寛解は別として本当の回復はしない。10年後、再発寛解型多発性硬化症を有する患者の50%が二次性進行型を発現している。25〜30年後までにその数字は90%に上昇している。 「進行性再発型多発性硬化症(PR多発性硬化症)」は、症状が最初に発現した時期からの障害レベルの明確な進行を示すが、急性エピソード後のある程度の回復と関連することもあれば関連しないこともありうる明確な再発のエピソードを伴う。この型の多発性硬化症は、発病から、再発で中断される、進行性の経過に従う。再発直後に有意な回復があるが、再発間に症状の漸進的悪化がある。 「一次性進行型多発性硬化症(PP多発性硬化症)」は、寛解や再発を全く伴わない、その発病からの疾患の漸進的進行を特徴とする。疾患活動性の安定期があり得、二次性進行型と同様に良好・不良な日又は週がある。PP多発性硬化症は、通常、発病が30代後半又は40代初期であり、男性が女性と同様に発病し得、且つ初期の疾患活動性が脳ではなく脊髄にある点において、再発寛解型及び二次性進行型と異なる。一次性進行型多発性硬化症は脳内に移動する場合が多いが、再発寛解型又は二次性進行型より脳領域を損傷する可能性が低く、例えば、一次性進行型患者は認知的問題を発現することが少ない。 「処置」又は進行性神経変性疾患を「処置する」ことには、進行性神経変性疾患の発現の抑止又はその症状の反転が含まれる。 「持続的な神経又は軸索損傷」は、ニューロンが死滅し消滅する場合のように、長期的又は恒久的なニューロンへの損傷を含む。 「持続性ブラックホール」は低信号病変と定義される。T1強調磁気共鳴画像(MRI)スキャンにおけるブラックホール又は暗色領域は、ミエリン損失及び軸索損失を示す。当業者は理解するように、T1強調スキャンでは、短い緩和時間(TR)及び短いエコー時間(TE)(TR<1000msec,TE<30msec)の縦緩和時間を用いる。[イブジラスト] 進行性神経変性疾患の処置のための本発明の方法は、分子であるイブジラストの投与に基づく。イブジラストは下記に示される構造を有する小分子薬剤(分子量230.3)である。 イブジラストは、ChemBank ID 3227,CAS # 50847−11−5及びBeilstein Handbook Reference No.5−24−03−00396のもとでも見出される。その分子式はC14H18N2Oである。イブジラストは、2−メチル−1−(2−(1−メチルエチル)ピラゾロ(1,5−a)ピリジン−3−イル)1−プロパノン;3−イソブチリル−2−イソプロピルピラゾロ(1,5−a)ピリジン];及び1−(2−イソプロピル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−2−メチル−プロパン(propan)−1−オンを含む様々な化学名でも公知である。イブジラストの他の同義語には、Ibudilastum(ラテン語)、BRN 0656579、KC−404及びMN−166が含まれる。その商品名はKetas(登録商標)である。本明細書で言及されるように、イブジラストは、その意図される投与のための製剤に応じて、そのありとあらゆる医薬的に許容可能な塩形態、プロドラッグ形態(例えば、対応するケタール)、溶媒和物などを含むものとする。 イブジラストは、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)3A,4,10A1及び11A1の選択的阻害剤であり(Gibsonら、Eur J Pharmacol 538:39−42,2006)、ロイコトリエンD4及びPAF拮抗作用を有することも報告されている。そのプロファイルは効果的に抗炎症性であり、他のPDE阻害剤及び抗炎症剤と比べて独特であるように思われる。PDEは3’−炭素上のリン酸エステル結合の加水分解を触媒し、対応する5’−ヌクレオチド一リン酸塩を生じさせる。従って、PDEは環状ヌクレオチドの細胞内濃度を調節する。多くのホルモン及び神経伝達物質に対する細胞外受容体が環状ヌクレオチドを二次メッセンジャーとして用いるため、PDEはこれらの細胞外シグナルに対する細胞応答も調節する。PDEには、少なくとも8クラスがある:Ca2+/カルモジュリン依存性PDE(PDE1);cGMP活性型PDE(PDE2);cGMP抑制型PDE(PDE3);cAMP特異的PDE(PDE4);cGMP結合PDE(PDE5);光受容体PDE(PDE6);高親和性cAMP特異的PDE(PDE7);及び高親和性cGMP特異的PDE(PDE9)。イブジラストは炎症細胞(例えば、グリア細胞)に対する作用によって炎症を抑制するように作用し、炎症促進性メディエータ及び神経活性メディエータの放出の抑制をもたらす。イブジラストは、炎症促進性サイトカイン(IL−1β,TNF−α)の産生も抑制し得、抗炎症性サイトカイン(IL−4,IL−10)の産生を高めうる。前述に関連する参考文献には下記が含まれる:Obernolte,R.ら(1993)“The cDNA of a human lymphocyte cyclic−AMP phosphodiesterase(PDE IV)reveals a multigene family”Gene 129:239−247;Rile,G.ら(2001)“Potentiation of ibudilast inhibition of platelet aggregation in the presence of endothelial cells”Thromb.Res.102:239−246;Souness,J.E.ら(1994)“Possible role of cyclic AMP phosphodiesterases in the actions of ibudilast on eosinophil thromboxane generation and airways smooth muscle tone”Br.J.Pharmacol.111:1081−1088;Suzumura,A.ら(1999)“Ibudilast suppresses TNF.alpha,production by glial cells functioning mainly as type III phosphodiesterase inhibitor in CNS”Brain Res.837:203−212;Takuma,K.ら(2001)“Ibudilast attenuates astrocyte apoptosis via cyclic GMP signaling pathway in an in vitro reperfusion model”Br.J.Pharmacol.133:841−848。 前述のように、本明細書で述べられる薬剤のいずれか一つ又はそれ以上、特にイブジラストへの言及は、適用可能な場合、ありとあらゆる鏡像異性体、ラセミ混合物を含む鏡像異性体の混合物、プロドラッグ、医薬的に許容可能な塩形態、水和物(例えば、一水和物、二水和物など)、溶媒和物、異なる物理的形態(例えば、結晶性固体、非結晶性固体)、代謝物などを包含するものとする。[投与方法] 上記に示されるように、本発明は、治療有効量のイブジラストを投与することにより、進行性神経変性疾患を患う被験者を処置する方法に関する。このような投与は、付随する実施例に示されるように、被験体が経験する進行性神経変性疾患の量を減少させ、即ち、進行性神経変性疾患の有意な減弱又は更には反転をもたらすのに有効である。好ましくは、イブジラストは、約30mg〜240mg/日、又は約30mg〜180mg/日、又は60mg〜120mg/日の範囲の連日投与量にて投与される。 本発明の方法には、場合により、被験体にイブジラストを投与する前に、進行性神経変性疾患を経験している被験体を選択するステップが含まれてもよい。通常、そのような被験体は、アルツハイマー病、アルツハイマー型の老人性認知症又はピック病(葉性萎縮)、進行性認知症と他の著明な神経学的異常とを合併した症候群、ハンチントン病、認知症と運動失調症及び/又はパーキンソン病の徴候とを合併した多系統萎縮症、進行性核上麻痺(スティール・リチャードソン・オルゼウスキー(Steele−Richardson−Olszewski)症候群)、びまん性レビー小体病又は皮質歯状核黒質変性症(corticodentatinigral degeneration)、ハラーフォルデン・シュパッツ(Hallervorden−Spatz)病及び進行性家族性ミオクローヌス癲癇、姿勢・運動の異常を徐々に発現する症状、振戦麻痺(パーキンソン病)、線条体黒質変性症、進行性核上麻痺、捻転ジストニア(捻転痙攣;変形性筋ジストニア)、痙性斜頸及び他の限局性ジスキネジア、家族性振戦又はジル・ドゥ・ラ・トゥレット(Gilles de la Tourette)症候群、進行性運動失調症、小脳変性症又は脊髄小脳変性症、小脳皮質変性症又はオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)、脊髄小脳変性症(フリードライヒ運動失調症(Friedreich’s ataxia)及び関連疾患)、中枢自律神経系不全(シャイ・ドレーガー(Shy−Drager)症候群)、感覚の変化を伴わない筋力低下・消耗の症候群(運動ニューロン疾患)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症、乳児脊髄性筋萎縮症(ウェルドニッヒ・ホフマン(Werdnig−Hoffmann)病)、若年性脊髄性筋萎縮症(ウォルファルト・クーゲルベルク・ヴェランダー(Wohlfart−Kugelberg−Welander)病)又は他の形態の家族性脊髄性筋萎縮症、原発性側索硬化症又は遺伝性痙性対麻痺、筋力低下・消耗と感覚の変化とを合併した症候群(進行性神経性筋萎縮症;慢性家族性ポリニューロパチー)、腓骨筋萎縮症(シャルコー・マリー・トゥース(Charcot−Marie−Tooth)病)、肥厚性間質性ポリニューロパチー(Deferine−Sottas病)又は種々の形態の慢性進行性ニューロパチー、進行性視力低下症候群、網膜色素変性症(retinitis pigmentosa)又は遺伝性視神経萎縮症(レーベル病(Leber’s disease))、パーキンソン病及び他の錐体外路障害、進行性核上麻痺(スティール・リチャードソン・オルゼウスキー(Steele−Richardson−Olszewski)症候群)、捻転ジストニア(捻転痙攣;変形性筋ジストニア)、限局性ジストニア、家族性振戦又はジル・ドゥ・ラ・トゥレット(Gilles de la Tourette)症候群、運動ニューロン疾患及び進行性運動失調症、筋萎縮性側索硬化症、原発性側索硬化症、伝導ブロックを伴う多巣性運動ニューロパチー、パラプロテイン血症(paraproeinemia)を伴う運動性ニューロパチー、運動神経優位型末梢神経障害、オリーブ橋小脳萎縮症、Azorean(マシャド・ジョセフ(Machado−Joseph))病、家族性進行性神経変性疾患、家族性筋萎縮性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、家族性痙性対麻痺、遺伝性生化学的障害、先天性多発性関節拘縮症(arthrogryposis muliplex congenital)又は若年性進行性球麻痺(ファチオ・ロンド(Fazio−Londe)病)、乳児期(ウェルドニッヒ・ホフマン(Werdnig−Hoffmann)病)、小児期発病又は青年期(ウォルファルト・クーゲルベルク・ヴェランダー(Wohlfart−Kugelberg−Welander病)、家族性HTLV−1脊髄症、孤立性FSP又は複雑性FSP、スーパーオキシドジスムターゼ欠損症、ヘキソサミニダーゼA/B欠損症又はアンドロゲン受容体突然変異(ケネディ症候群(Kennedy’s syndrome))、ウイルス及びプリオン病、脊髄症、進行性多巣性白質脳症、クロイツフェルト・ヤコブ(Creutzfeldt−Jakob)病、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー(Gerstmann−Straussler−Scheinker)病、クールー、致死性家族性不眠症又はアルパース病(Alper’s disease)を患う被験体から選択され、一次性進行型又は二次性進行型多発性硬化症を含むが、再発寛解型多発性硬化症、前頭側頭型認知症、ウィルソン病(Wilson’s disease)、進行性神経障害痛を除外する。本発明の一部の実施形態では、多発性硬化症患者を処置する投与は除外される。 イブジラストは進行性神経変性疾患を処置するのに有効な追加薬剤と併用投与されてもよい。好ましい実施形態では、このような薬剤はイブジラストと異なる作用機序を有する。典型的な薬剤には、コリンエステラーゼ阻害剤(例えば、Razadyne(登録商標)(以前はReminyl(登録商標)として公知)(ガランタミン)、Exelon(登録商標)(リバスチグミン)、Aricept(登録商標)(ドネペジル)及びCognex(登録商標)(タクリン))、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)阻害剤(例えば、Namenda(登録商標)(メマンチン))、レボドパ調製物(例えば、レボドパ/カルビドパ(Sinemet(登録商標)又はAtamet(登録商標))、レボドパ/ベンセラジド(Madopar(登録商標))、レボドパ/carbiopa(Sinemet CR(登録商標))、レボドパ/ベンセラジド(Madopar HBS(登録商標))、カルビドパ/レボドパ/エンタカポン(Stalevo(登録商標)))、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤(例えば、エンタカポン(Comtan(登録商標))、トルカポン(Tasmar(登録商標)))、ドパミンアゴニスト(例えば、ブロモクリプチン(Parlodel(登録商標))、ペルゴリド(Permax(登録商標))、プラミペキソール(Mirapex(登録商標))、ロピニロール(Requip(登録商標))、カベルゴリン(Dostinex(登録商標))、アポモルヒネ(Apokyn(登録商標))、リスリド(Dopergine(登録商標)))、免疫調節薬(例えば、インターフェロンベータ−1a(Avonex(登録商標)、Rebif(登録商標))、インターフェロンベータ−1b(Betaseron(登録商標))、グラチラマー酢酸塩(Copaxone(登録商標))、ナタリズマブ(Tysabri(登録商標)))、免疫抑制剤/化学療法薬(例えば、ミトキサントロン(Novantrone(登録商標))、アザチオプリン(Imuran(登録商標))、クラドリビン(leustatin(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、シクロスポリンA、メトトレキサート))、再発寛解型多発性硬化症用の経口薬(フィンゴリモド(FTY720)、BG12、ラキニモド、テリフルノミド)などが含まれる。 進行性神経疾患の処置のためのイブジラストベースの治療製剤の好ましい送達方法には全身及び局所送達が含まれる。そのような投与経路には、限定するものではないが、経口、動脈内、くも膜下腔内、脊髄内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内及び吸入経路が含まれる。 より具体的には、本発明のイブジラストベースの製剤は、限定されることなく、経口、直腸、経鼻、局所(経皮、エアロゾル、口腔及び舌下を含む)、膣内、非経口(皮下、静脈内、筋肉内及び皮内を含む)、くも膜下腔内及び肺内を含むいかなる好適な経路によっても、治療投与されうる。当然ながら、好ましい経路は被投与予定者の状態・年齢、処置すべき特定の症候群及び使用薬剤の具体的な組合せにより異なる。 本発明のイブジラスト組成物は、2つ以上の活性剤を含む場合、イブジラストと進行性神経変性疾患の処置において有効な少なくとも1つの追加活性剤との組合せを含む単一の組合せ組成物として投与されてもよい。患者が処置期間にわたって多くの場合に1日に複数回、複数の丸薬又は剤形を服用することに反対することが多いため、そのような手法は、患者の服薬遵守及び投与の容易性の点から好ましい。或いは、あまり好ましくはないが、本発明の組合せは別個の剤形として投与される。本発明の治療組成物を含む薬剤が別個の剤形として投与され、同時投与が必要な場合、イブジラストと各追加活性剤は同時に、任意の順に連続的に、又は別々に投与されてもよい。[投与量] 治療量は、経験的に決定可能であり、処置すべき特定の疾患、被験体及び組成物に含まれる各活性剤の効力・毒性により異なる。実際の投与用量は、被験体の年齢、体重及び全身状態並びに処置対象疾患の重症度、医療従事者の判断及び投与される特定の組合せにより異なる。 治療有効量は当業者によって決定可能であり、各特定の症例の必要条件に応じて調整される。概して、イブジラストの治療有効量は、約0.1〜200mg/日の総1日投与量の範囲であり、より好ましくは、1〜240mg/日、30〜240mg/日、1〜120mg/日、30〜120mg/日の量であり、単回用量又は複数回用量として投与される。好ましい投与量には、約10mg超BID(1日2回)又はTID(1日3回)の投与量が含まれる。即ち、好ましい投与量は約20mg超/日又は30mg超/日である。投与量は30mg/日、60mg/日、90mg/日又は120mg/日又はそれ以上から選択されてもよい。投与量及び処置対象の正確な状態により、投与は1日〜数日、数週、数カ月、更には数年の時間経過の間に1日1,2又は3回でよく、更には患者の生涯にわたってもよい。例示的な投薬計画は、少なくとも約1週間、約1〜4週間、1〜3カ月間、1〜6カ月間、1〜52週間、1〜24カ月間又はより長期間持続する。 事実上、本発明の任意所与の組成物及び活性剤の単位用量は、臨床医の判断、患者のニーズなどにより、様々な投薬スケジュールにて投与が可能である。具体的な投薬スケジュールは当業者には周知であり、又は常法を用いて実験的に決定可能である。典型的な投薬スケジュールには、限定するものではないが、1日5回、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、隔日、週3回、週2回、週1回、月2回、月1回などの投与が含まれる。[進行性神経変性疾患の処置手法] イブジラストはグリア活性化の強力なサプレッサーである(Mizunoら(2004)Neuropharmacology 46:404−411)。用量依存的に、イブジラストは、一酸化窒素(NO)、活性酸素種、インターロイキン(IL)−1β、IL−6及び腫瘍壊死因子(TNF)の産生を抑制し、神経成長因子(NGF)、グリア由来神経栄養因子(GDNF)及び活性化ミクログリアにおけるニューロトロフィン(NT)−4を含む追加神経栄養因子とともに抑制性サイトカイン、IL−10の産生を亢進させることが示されている。従って、イブジラスト媒介性神経保護は、主に炎症性メディエータの抑制及び神経栄養因子のアップレギュレーションによるものであることが見出された。 イブジラストは全身投与されると血液脳関門を通過し(Sugiyamaら(1993)脳と神経45(2):139−42;図5)、従って、進行性神経変性疾患の中心部位にアクセスするためのより侵襲的な投与方法を不要とする。 実施例1に示されるように、本発明人らは、ヒト臨床試験においてイブジラストの投与が、脳容積を縮小させる疾患を患う患者の脳容積損失を低減することができるという驚くべき発見をした。特定の理論に制約されることを望むものではなく、本発明人らは、本発明の特許請求の範囲に従って投与されるイブジラストが、脳を縮小させる進行性神経変性疾患におけるニューロンの萎縮(atropy)・死滅による脳容積損失の緩徐化又は反転を生じさせると考える。これらの変化は脳MR又はCT画像において追跡可能である。この脳容積縮小の緩徐化又は反転の発見は、本願で述べられる進行性神経変性疾患の処置において大いに利用される。[動物モデル] イブジラストの進行性神経変性疾患を処置する能力は、当該技術分野において公知のいかなる標準的な進行性神経障害疾患モデルによっても評価可能である。このようなモデル例は、Animal Models of Neurological Disease:Neurodegenerative Diseases(Neuromethods)、Alan A.Boulton,Glen B.Baker及びRoger F.Butterworth(1992);Handbook of Laboratory Animal Science、第二版:第I〜III巻(Handbook of Laboratory Animal Science)、Jann Hau(編)、Jr.,Gerald L.Van Hoosier(編)(2004);Animal Models of Movement Disorders,Mark LeDoux(編)、(2005);並びにAnimal Models of Cognitive Impairment(Frontiers in Neuroscience)(2006)、Edward D.Levin(編)、Jerry J.Buccafusco(編)に述べられている。[本発明の製剤] イブジラストを含むことに加え、本発明の治療製剤は後述のように1つ以上の追加成分を任意に含んでもよい。[賦形剤/担体] イブジラストに加え、進行性神経変性疾患を処置するための本発明の組成物は、1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤又は担体を更に含んでもよい。典型的な賦形剤には、限定するものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、硬化ヒマシ油(HCO)、クレモフォル(cremophors)、糖質、デンプン(例えば、コーンスターチ)、無機塩、抗菌剤、酸化防止剤、結合剤/充填剤、界面活性剤、潤滑剤(例えば、ステアリン酸カルシウム又はマグネシウム)、タルクのような流動促進剤、崩壊剤、希釈剤、緩衝剤、酸、塩基、フィルムコート、その組合せなどが含まれる。 本発明の組成物は1つ以上の糖質、例えば、糖、アルジトール、アルドン酸などの誘導体化糖、エステル化糖及び/又は糖ポリマーを含みうる。具体的な糖質賦形剤には、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボースなどの単糖;ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖;ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプンなどの多糖;及びマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)、ピラノシルソルビトール、ミオイノシトールなどのアルジトールが含まれる。 本発明の組成物での使用にやはり好適なのは、ジャガイモ及びトウモロコシベースのデンプン、例えば、デンプングリコール酸ナトリウム及び直接圧縮可能な加工デンプンである。 更なる代表的な賦形剤には、無機塩又は緩衝剤、例えば、クエン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム及びその組合せが含まれる。 本発明のイブジラスト含有組成物は、例えば、微生物増殖を阻止又は抑止するための抗菌剤も含むことができる。本発明に好適な抗菌剤の限定しない例としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメルソル(thimersol)及びその組合せが含まれる。 また、本発明の組成物は1つ以上の酸化防止剤を含んでもよい。酸化防止剤は酸化を防止するために用いられ、これにより、薬剤又は調製物の他の成分の劣化を防止する。本発明での使用に好適な酸化防止剤には、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒド・スルホキシル酸ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム及びその組合せが含まれる。 更なる賦形剤には、ポリソルベートのような界面活性剤、例えば、“Tween 20”及び“Tween 80”並びにF68及びF88(ともに、BASF社、ニュージャージー州マウントオリーブ(Mount Olive)から入手可能)などのプロニック(登録商標)(pluronics)、ソルビタンエステル、脂質(例えば、レシチン及び他のホスファチジルコリン並びにホスファチジルエタノールアミンなどのリン脂質)、脂肪酸及び脂肪酸エステル、コレステロールのようなステロイド、EDTAのようなキレート剤、亜鉛及び他のそのような好適なカチオンが含まれる。 更に、本発明の組成物は1つ以上の酸又は塩基を任意に含んでもよい。使用可能な酸の限定しない例としては、塩酸、酢酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、硫酸、フマル酸及びその組合せからなる群より選択される酸が含まれる。好適な塩基例には、限定するものではないが、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、フマル酸カリウム(potassium fumerate)及びその組合せからなる群より選択される塩基が含まれる。 組成物中の個々の賦形剤の量は、賦形剤の役割、活性剤成分の投与量条件及び組成物の特定のニーズにより異なる。通常、個々の賦形剤の最適量はルーチンの実験を通して、即ち、種々の量(少量から多量に及ぶ)の賦形剤を含む組成物を調製し、安定性及び他のパラメータを検討し、次に、有意な有害作用を伴わずに最適性能が得られる範囲を求めることによって決定される。 しかし、一般的に賦形剤は、賦形剤の約1%〜約99重量%、好ましくは約5%〜約98重量%、より好ましくは約15%〜約95重量%の量にて組成物中に存在する。概して、本発明のイブジラスト組成物中に存在する賦形剤の量は以下から選択される:少なくとも約2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は更には95重量%。 これらの前述の医薬賦形剤は他の賦形剤とともに、“Remington:The Science & Practice of Pharmacy”、第19版、Williams & Williams、(1995)、the“Physician’s Desk Reference”、第52版、Medical Economics、ニュージャージー州モントベール(Montvale)(1998)及びKibbe,A.H.,Handbook of Pharmaceutical Excipients、第3版、American Pharmaceutical Association、ワシントンD.C.,2000に述べられている。[他の活性剤] 本発明による製剤(又はキット)は、イブジラストに加え、進行性神経変性疾患を処置するのに有効な1つ以上の追加活性剤を含んでもよい。好ましくは、活性剤はイブジラストと異なる作用機序を有する活性剤である。そのような活性剤は、米国特許出願公開第2006/0160843号に列挙されている疼痛に対する組合せ及び標的疾患の処置について認識されている活性成分を含む。そのような活性成分は、FDAのOrange Book,Goodman & Gilman The Pharmacological Basis of Therapeutics,J.Griffith Hardman,L.L.Limbird,A.Gilman、第11版、2005,The Merck Manual、第18版、2007及びThe Merck Manual of Medical Information 2003に列挙されているのが見出されうる。 上述の投与量は単に指針であるものとする。イブジラストとの併用治療時に投与される二次活性剤の正確な量は、当然ながら適宜調整され、対象とする患者集団、処置すべき特定の進行性神経疾患の症状又は状態、投与活性剤間の潜在的な相乗作用などの因子に依存し、本明細書で示される指針に基づいて当業者によって容易に決定される。[徐放製剤] 好ましくは、組成物はイブジラストの安定性を向上させ、イブジラストの半減期を延ばすように製剤化される。例えば、イブジラストは徐放性製剤にて送達されうる。放出制御又は徐放性製剤は、例えば、リポソームなどの担体又はビヒクル、例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー及びHytrel(登録商標(RTM))コポリマーなどの非吸収性不浸透性ポリマー、ヒドロゲルのような膨潤性ポリマー又はコラーゲンのような吸収性ポリマー並びに吸収性縫合糸を作製するために用いられるようなある種のポリ酸又はポリエステルにイブジラストを組み込むことによって調製される。加えて、イブジラストは微粒子担体に封入され、吸着され、又は結合されうる。微粒子担体例には、ポリメチルメタクリレートポリマー由来の微粒子担体並びにポリ(ラクチド)及びPLGとして公知のポリ(ラクチド−co−グリコリド)由来の微粒子が含まれる。例えば、Jefferyら、Pharm.Res.(1993)10:362−368;及びMcGeeら、J.Microencap.(1996)を参照されたい。[送達形態] 本明細書で述べられるイブジラスト組成物は、あらゆるタイプの製剤、特に、全身又はくも膜下腔内投与に適した製剤を包含する。経口剤形には、錠剤、飴、カプセル、シロップ、経口懸濁液、エマルション、顆粒及び丸薬が含まれる。別の製剤には、エアロゾル、経皮貼布、ゲル、クリーム、軟膏、坐薬、粉末又は再構成可能な凍結乾燥物(lyophilate)並びに液体が含まれる。例えば、注射前に固形組成物を再構成するのに好適な希釈剤の例には、注射用の静菌性水、水中5%ブドウ糖、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、生理食塩水、滅菌水、脱イオン水及びその組合せが含まれる。液体医薬組成物に関しては溶液及び懸濁液が想定される。好ましくは、本発明のイブジラスト組成物は経口投与に適したものである。 ここで経口送達製剤に目を向けると、錠剤は任意に1つ以上の付属成分又は添加物とともに圧縮又は成形により作製可能である。圧縮錠剤は、例えば、結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシルメチルセルロースナトリウム)及び/又は界面活性剤若しくは分散剤と任意に混合される粉末又は顆粒のような自由流動形態の活性剤成分を、好適な錠剤化機械において圧縮することによって調製される。 成形錠剤は、例えば、不活性液体希釈剤に浸された粉末化合物の混合物を錠剤化機械において成形することによって作製される。錠剤は任意にコーティングされ、又は刻み目をつけられてもよく、所望の放出プロファイルを付与するために、例えば、種々の割合のヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることによって、活性成分の徐放又は制御放出をもたらすように製剤化されてもよい。錠剤は胃以外の腸の部分における放出を付与する薄膜、糖衣又は腸溶コーティングのようなコーティングを任意に備えてもよい。錠剤及びカプセル作製のためのプロセス、装置及び委託製造業者は当該技術分野において周知である。 口腔での局所投与用の製剤には、一般にスクロース及びアカシア或いはトラガントのような香味基剤中に活性成分を含む飴並びにゼラチン及びグリセリン或いはスクロース及びアカシアのような不活性基剤中に活性成分を含むトローチが含まれる。 局所投与用の医薬組成物は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、噴霧剤、エアロゾル又は油としても製剤化されうる。 或いは、製剤は活性成分、及び、任意に1つ以上の賦形剤又は希釈剤が含浸された、例えば、包帯若しくは絆創膏などのパッチ(例えば、経皮パッチ)又は包帯材の形態でよい。局所製剤は、皮膚又は他の患部を通した成分の吸収又は浸透を高める化合物、例えば数例を挙げると、ジメチルスルホキシドビサボロール(dimethylsulfoxidem bisabolol)、オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル及びD−リモネンを更に含んでもよい。 エマルションでは、油相は公知の方法にて公知の成分から構成される。この相は単に乳化剤(別名エマルジェント(emulgent)として公知)を含みうるが、望ましくは、少なくとも1つの乳化剤と脂肪及び/又は油との混合物を含む。好ましくは、親水性乳化剤は安定剤として機能する親油性乳化剤とともに含まれる。安定剤の有無にかかわらず、ともに乳化剤はいわゆる乳化蝋を構成し、該蝋は油及び/又は脂肪とともにクリーム製剤の油性分散相を形成する、いわゆる乳化軟膏基剤を構成する。例示的なエマルジェント(emulgent)及びエマルション安定剤には、Tween 60、Span 80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル及びラウリル硫酸ナトリウムが含まれる。 通常、直腸投与用の製剤は、例えば、カカオバター又はサリチル酸塩を含む好適な基剤を伴った坐薬形態である。 一般的に、膣内投与に適した製剤は、坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、気泡剤又は噴霧剤の形態をとる。 担体が固形である場合の経鼻投与に適した製剤には、例えば、約20〜約500ミクロンの範囲の粒子サイズを有する粗粉末が含まれる。通常、このような製剤は、例えば、鼻に近接して保持される粉末の容器から鼻道を通る急速吸入によって投与される。或いは、鼻腔内送達用の製剤は、液体、例えば、鼻腔用スプレー又は点鼻薬の形態でよい。 吸入用のエアロゾル化可能な製剤は、乾燥粉末形態(例えば、乾燥粉末吸入器による投与に好適な)でよく、又はその代わりに、例えば、噴霧器で用いる液体形態でよい。エアロゾル化溶液を送達するための噴霧器には、AERx(商標)(Aradigm社)、Ultravent(登録商標)(Mallinkrodt社)及びAcorn II(登録商標)(Marquest Medical Products社)が含まれる。また、本発明の組成物は、医薬的に不活性の液体推進剤、例えば、クロロフルオロカーボン又はフルオロカーボン中に本明細書で述べられる薬剤の組合せの溶液又は懸濁液を含む加圧式定量吸入器(MDI)、例えば、Ventolin(登録商標)定量吸入器を用いても送達されてもよい。 非経口投与に適した製剤には、注射に好適な水性・非水性滅菌等張液及び水性・非水性滅菌懸濁液が含まれる。 本発明の非経口製剤は、例えば、アンプル及びバイアルのような単回使用又は多数回使用の密封容器内に任意に含まれ、使用直前に滅菌液体担体、例えば、注射用水の添加のみを必要とする凍結乾燥(freeze−dried)(凍結乾燥(lyophilized))状態にて保存されうる。即時調合注射溶液及び懸濁液は、前述のタイプの滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製されてもよい。 本発明の製剤は、非徐放製剤と比べて、各薬剤成分が経時的に緩徐に放出又は吸収されるように、徐放製剤でもよい。徐放製剤は、プロドラッグ形態の活性剤、例えば、リポソーム若しくはポリマーマトリクスのような遅延放出薬物送達システム、ヒドロゲル又はポリエチレングリコールのようなポリマーの活性剤との共有結合を用いうる。 上記に詳述された成分に加え、本発明の製剤には、医薬分野において標準的な他の作用剤、及び、例えば、経口投与形態のために用いられる特定のタイプの製剤が任意に含まれ、経口投与用組成物は、甘味料、増粘剤又は香味料のような追加作用剤を含んでもよい。[キット] 本明細書で更に提供されるものは、使用説明書を伴った、本発明の少なくとも1つの組合せ組成物を含むキットである。 例えば、各薬剤自体が個々又は別個の剤形として投与される場合、キットは、使用説明書とともに本発明の組成物を構成する各薬剤に加えてイブジラストを含む。包装が、投与説明書とともに勘案されて、各薬剤成分の投与方法を明示している限り、薬剤成分は投与に適したいかなる方法でも包装される。 例えば、イブジラスト及びガバペンチンを含む例示的なキットでは、キットは日単位のような適切な期間により構成されてもよい。一例として第一日目では、代表的なキットはイブジラスト及びガバペンチンの各々の単位用量を含むことこができる。各薬剤が1日2回投与される場合、キットは第一日目に対応して投与の適時選択のための説明書とともに、イブジラスト及びガバペンチンの各々の2列の単位剤形を含んでもよい。或いは、組合せの他の薬剤メンバーと比較して1つ以上の薬剤が投与単位剤形の適時選択又は量が異なる場合、このようなことは包装及び説明書に示される。上記による種々の実施形態は、容易に想像され、当然ながら、イブジラストに加えて処置に用いられる薬剤の特定の組合せ、その対応する剤形、推奨用量、対象患者集団などに依存する。包装は、医薬品の包装に一般的に用いられるいかなる形態でもよく、異なる色、包装材料、不正開封防止包装、ブリスターパック(blister paks)、乾燥剤(dessicants)などのような多くの特徴のいずれをも用いることができる。 本発明は好ましい特定の実施形態と併せて述べられてきたが、前述の説明及び以下の実施例は本発明の範囲を例示するものであって限定するものではないことが理解されるべきである。本発明の範囲内の他の態様、利点及び変更例は本発明に係る技術分野の当業者には明らかであろう。 特許、公開特許出願、書物、便覧、定期刊行物又はFDA Orange Bookを含む、本出願において言及される参考文献はすべて、その全体を参照して本明細書に組み込まれる。[実施例1] 多発性硬化症患者においてイブジラストを用いて第II相無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行った。第一年目の間、イブジラスト0mg(プラセボ)を1日3回、イブジラスト10mgを1日3回又はイブジラスト20mgを1日3回で患者を処置した。第二年目の間、プラセボ患者を無作為化し、イブジラスト10mg又は20mgを1日3回投与した(試験第一年目の間に10mg又は20mgを1日3回の患者は第二年目の間、その用量で継続した)。処置の2週間前にベースラインMRIスキャンを行った。その後のMRIスキャンにより年間ベースで脳容積の変化を評価した。2年間2カ月毎にMRIスキャンを行い、T1及びT2病変の変化を評価した。2年間の試験の第一年目の結果を下記の表1に概略的に示す。[実施例2] アルツハイマー病のラット動物モデルにイブジラストを投与し、イブジラスト投与動物群に認知機能の改善が得られ、これにより、このモデルがヒトにおけるアルツハイマー病の処置に有効でありうることが示される。[実施例3] 進行性多発性硬化症の動物モデルにイブジラストを投与し、イブジラスト投与動物群に機能転帰の改善が得られ、これにより、このモデルが進行性多発性硬化症の処置に有効でありうることが示される。[実施例4] パーキンソン病の動物モデルにイブジラストを投与し、イブジラスト投与動物群に運動の改善が得られ、これにより、このモデルがパーキンソン病の処置に有効でありうることが示される。[実施例5] 下記の表2は障害の進行(連続4日間、総合障害度評価尺度(EDSS)のスコアにおける1.0ポイント以上の増加、Kurtzke JF(1983)“Rating neurologic impairment in multiple sclerosis:an expanded disability status scale(EDSS)”Neurology 33(11):1444−52を参照されたい)が、12カ月間MN−166を投与される患者より24カ月間該薬剤を投与される患者において少なかったことを示す(p=0.026)。24カ月でのp値は、2年間の活性剤(30mg及び60mg用量群のプール)対プラセボから活性剤(p=0.0264);60mg対プラセボから活性剤(p=0.0516)及び30mg対プラセボから活性剤(p=0.0832)であった。MRI上での脳容積の減少は、MS患者における臨床的進行及び障害と相関することが示された。これらの結果は、再発MS患者におけるMN−166の神経保護的効果の可能性と一致する。[実施例6] 表3は、多発性硬化症(MS)におけるMN−166の2年間の第II相臨床試験の処置の第一年目からのMRIデータの二重盲検解析が行われたことを示す。この解析は、MS患者における磁気共鳴画像(MRI)上にてMN−166がブラックホール(脳神経の死滅を示すと考えられる永続的な脳病変)の形成を減少させることを示した。データは、MN−166の60mg/日の投与計画が、プラセボと比べて第10カ月目に永続的なブラックホールに進展した、試験の第二カ月目に同定された新たなT1ガドリニウム増強又は新たなT2病変の割合を有意に減少させることを示した(RR 0.63,p=0.011)。MN−166の30mg/日の投与計画による処置は、プラセボと比べて新たな病変の永続的なブラックホールへの進展のリスクの低減傾向を示した(RR 0.735,p=0.074)。プラセボ(n=100)、MN−166を30mg/日(n=94)又はMN−166を60mg/日(n=98)投与された患者292人のうち、プラセボ処置患者の72人、MN−166を30mg/日投与された患者の64人及びMN−166を60mg/日を投与された患者の56人が試験の第二カ月目に新たな病変を有していた。永続的なブラックホールに進展する新たな病変の割合は、プラセボ、30mg/日のMN−166及び60mg/日のMN−166の処置群において、それぞれ0.24,0.20及び0.16であった。新たな病変の永続的なブラックホールへの進展の相対リスク(RR)は、プラセボ処置患者と比べて、MN−166を60mg/日で処置されたMS患者において有意に低く(RR 0.63,p=0.011)、MN−166を30mg/日で処置された患者において低い傾向にあった(RR 0.735,p=0.074))。 この研究は、MN−166投与による第一年目のMRIデータの無作為化二重盲検プラセボ対照解析の結果である。MRIを1年の処置期間中に隔月に回収し、この新たな解析のために二重盲検方式にて再評価した。この評価の所定の評価項目は、新たな病変の永続的なブラックホールへの進展と再ミエリン化病変との比率であった。所定の統計的評価項目は、新たな病変(NL)の永続的なブラックホール(PBH)への進展と再ミエリン化病変(RL)との比率であった。第二カ月目での最初の検査に関するMRIにおいて、新たなT1ガドリニウム増強又は新たなT2病変をNLと定義づけた。第10カ月目に低信号で不活性な病変をPBHと定義づけた。第10カ月目に等信号であって、第二カ月目又は第4カ月目における低信号病変はRLであった。ポアソン分布の誤差項による一般線形モデルを用いて、患者毎のPBH及びRLへのNLの進展の相対リスク(RR)を分析した。 全体的に、長期(少なくとも約2年)イブジラスト投与の多発性硬化症患者への利益には、限定されないが、再発までの期間の延長(未処置患者と比べて平均約130日)、持続的な障害の進行の可能性の低下(2年未満処置された患者と比べて約50%の割合の低下)、脳容積損失の減少及び急性病変の永続的なブラックホールへの転換の減少が含まれる。 なお、上述の実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に記載する。 [1]イブジラスト又はその医薬的に許容可能な塩を含んで構成され、必要とする患者における脳病変の持続的な神経又は軸索損傷への変化を減少させるための医薬組成物。 [2]イブジラスト又はその医薬的に許容可能な塩を含んで構成され、必要とする患者における脳病変の持続性ブラックホールへの転換を減少させるための医薬組成物。 [3]前記イブジラスト又はその医薬的に許容可能な塩は、少なくとも1年間投与するためのものである、[1]に記載の医薬組成物。 [4]前記患者が多発性硬化症を患っている、[1]に記載の医薬組成物。 [5]前記患者の多発性硬化症が再発寛解型多発性硬化症を超えて進行している、[4]に記載の医薬組成物。 [6]前記患者が再発寛解型多発性硬化症以外の進行性神経変性疾患を患っている、[1]に記載の医薬組成物。 [7]前記患者が多発性硬化症以外の進行性神経変性疾患を有する、[1]に記載の医薬組成物。 [8]前記患者が多発性硬化症以外の進行性神経変性疾患を有する、[2]に記載の医薬組成物。 イブジラスト又はその医薬的に許容可能な塩を含んで構成され、必要とする患者における脳病変の持続的な神経又は軸索損傷への変化を減少させるための医薬組成物。 イブジラスト又はその医薬的に許容可能な塩を含んで構成され、必要とする患者における脳病変の持続性ブラックホールへの転換を減少させるための医薬組成物。 前記イブジラスト又はその医薬的に許容可能な塩は、少なくとも1年間投与するためのものである、請求項1に記載の医薬組成物。 前記患者が多発性硬化症を患っている、請求項1に記載の医薬組成物。 前記患者の多発性硬化症が再発寛解型多発性硬化症を超えて進行している、請求項4に記載の医薬組成物。 前記患者が再発寛解型多発性硬化症以外の進行性神経変性疾患を患っている、請求項1に記載の医薬組成物。 前記患者が多発性硬化症以外の進行性神経変性疾患を有する、請求項1に記載の医薬組成物。 前記患者が多発性硬化症以外の進行性神経変性疾患を有する、請求項2に記載の医薬組成物。 【課題】進行性神経変性疾患及びその関連症状を処置又は予防する方法の提供。【解決手段】虚血性脳卒中又は気管支喘息と関連する症状を軽減するために日本で広範に用いられている下記式のイブジラスト(3−イソブチリル−2−イソプロピルピラゾロ[1,5−a]ピリジン)又はその医薬的に許容可能な塩を進行性神経変性疾患に対して1日当り30〜240mg又は30〜180mg、60〜120mg又は20〜80mgで1日1〜3回の投与する。【選択図】なし20140106A16333全文3 イブジラスト又はその医薬的に許容可能な塩を含んで構成され、患者の脳病変における持続的な神経又は軸索損傷への変化が減少するように患者の進行性神経変性疾患を治療するための医薬組成物。 イブジラスト又はその医薬的に許容可能な塩を含んで構成され、患者の脳病変における持続性ブラックホールへの転換が減少するように患者の進行性神経変性疾患を治療するための医薬組成物。 前記イブジラスト又はその医薬的に許容可能な塩は、少なくとも1年間投与するためのものである、請求項1に記載の医薬組成物。 前記進行性神経変性疾患は多発性硬化症である、請求項1に記載の医薬組成物。 前記多発性硬化症は再発寛解型多発性硬化症を超えて進行している、請求項4に記載の医薬組成物。 前記進行性神経変性疾患は再発寛解型多発性硬化症以外の疾患である、請求項1に記載の医薬組成物。 前記進行性神経変性疾患は多発性硬化症以外の疾患である、請求項1に記載の医薬組成物。 前記進行性神経変性疾患は多発性硬化症以外の疾患である、請求項2に記載の医薬組成物。