タイトル: | 公開特許公報(A)_硫黄架橋密度比の測定方法および耐亀裂成長性の向上方法 |
出願番号: | 2013251651 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | G01N 30/06,C08L 7/00,C08L 9/00,G01N 33/44,G01N 30/86,G01N 30/54,G01N 30/88,G01N 30/74 |
山田 宏明 山橋 友紀 JP 2015108559 公開特許公報(A) 20150611 2013251651 20131205 硫黄架橋密度比の測定方法および耐亀裂成長性の向上方法 住友ゴム工業株式会社 000183233 河村 洌 100098464 藤森 洋介 100149630 三嶋 眞弘 100111279 山田 宏明 山橋 友紀 G01N 30/06 20060101AFI20150515BHJP C08L 7/00 20060101ALI20150515BHJP C08L 9/00 20060101ALI20150515BHJP G01N 33/44 20060101ALI20150515BHJP G01N 30/86 20060101ALI20150515BHJP G01N 30/54 20060101ALI20150515BHJP G01N 30/88 20060101ALI20150515BHJP G01N 30/74 20060101ALI20150515BHJP JPG01N30/06 GC08L7/00C08L9/00G01N33/44G01N30/86 JG01N30/54 FG01N30/88 PG01N30/74 Z 3 OL 11 4J002 4J002AC01W 4J002AC03X 4J002FD010 4J002FD020 4J002FD070 4J002FD140 4J002FD150 4J002GN01 本発明は、ブタジエンゴム(BR)および天然ゴム(NR)からなるゴム成分を含んでなるゴム組成物について、該ゴム成分を構成するNRの硫黄架橋密度に対するBRの硫黄架橋密度の比を測定する方法、および、該密度比を所定の範囲とすることによる、ゴム組成物の耐亀裂成長性を向上させる方法に関する。 ゴム組成物において、構成成分であるゴム成分(ポリマー)の架橋密度は、ポリマーのみならず、ゴム組成物の物性にも大きな影響を与える因子であり、その制御は極めて重要である。 従来、ポリマーの架橋密度を測定する方法としては、例えば、架橋ポリマーのトルエン膨潤度を調べる方法(特許文献1)や、溶媒に膨潤させた架橋ポリマー中のプロトン緩和時間をパルス核磁気共鳴装置で測定する方法(特許文献2)などが知られていた。 しかし、これら従来法では、ポリマー全体の架橋密度は測定できても、それを構成する各ポリマー成分(例えば、BRとNRからなるゴム成分において、これを構成するBRやNRのそれぞれ)について、その架橋密度を測定することはできなかった。特開2000−309665号公報特開2007−240359号公報 本発明は、ブタジエンゴム(BR)および天然ゴム(NR)からなるゴム成分を含んでなるゴム組成物について、該ゴム成分を構成するNRの硫黄架橋密度に対するBRの硫黄架橋密度の比を測定する方法、および、該密度比を所定の範囲とすることによる、ゴム組成物の耐亀裂成長性を向上させる方法を提供しようとするものである。 上記課題解決のため、鋭意検討を進めた結果、本発明者らは、ブタジエンゴム(BR)および天然ゴム(NR)からなるゴム成分を含んでなるゴム組成物の熱分解生成物のうち、チオフェンおよび2−メチルチオフェンに着目し、これらが、それぞれ、該ゴム組成物中のブタジエンゴムに結合している硫黄架橋量および天然ゴムに結合している硫黄架橋量を代表する値として機能することを見出し、さらに検討を重ねて、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、ブタジエンゴムおよび天然ゴムからなるゴム成分を含んでなるゴム組成物について、以下の手順により、天然ゴムの硫黄架橋密度(CLdNR)に対するブタジエンゴムの硫黄架橋密度(CLdBR)の比(CLdBR/CLdNR)を測定する方法に関する。(1)該ゴム組成物中のブタジエンゴムの配合量(ABR)、天然ゴムの配合量(ANR)、ブタジエンゴムの密度(dBR)および天然ゴムの密度(dNR)を求める。(2)熱分解ガスクロマトグラフィーにより、該ゴム組成物中のブタジエンゴムに結合している硫黄架橋量を代表する値としてチオフェン量(Ath)を、および、天然ゴムに結合している硫黄架橋量を代表する値として2−メチルチオフェン量(AMeth)を定量する。(3)上記(1)および(2)で求めた値を用いて、以下の数式により、CLdBR/CLdNRを算出する。(数式1)CLdBR/CLdNR=[Ath/(ABR/dBR)]/[AMeth/(ANR/dNR)] 前記方法は、熱分解ガスクロマトグラフィーにおける熱分解を、450〜700℃、好ましくは550〜650℃の条件下で実施し、かつ、チオフェン量および2−メチルチオフェン量を、硫黄検出器を用いて定量するものであることが好ましい。 また、本発明は、前記方法により測定されたCLdBR/CLdNRを、1.2〜2.0の範囲とすることによる、ゴム組成物の耐亀裂成長性を向上させる方法に関する。 本発明の測定方法によれば、ブタジエンゴム(BR)および天然ゴム(NR)からなるゴム成分を含むゴム組成物について、物性に大きな影響を与える因子である硫黄架橋密度を、ゴム成分を構成するポリマーごとに求めることが可能となる。したがって、天然ゴム(NR)の硫黄架橋密度(CLdNR)に対するブタジエンゴム(BR)の硫黄架橋密度(CLdBR)の比を求めることも可能となる。 また、このようにして求めた硫黄架橋密度比、すなわち、CLdBR/CLdNRを指標とし、これを所定の範囲内に調節することにより、ゴム組成物の耐亀裂成長性を向上させることができる。<硫黄架橋密度比の測定方法> 本発明は、ゴム組成物中に含まれるゴム成分、具体的には、BRとNRについて、BRの硫黄架橋密度(CLdBR)のNRの硫黄架橋密度(CLdNR)に対する比(CLdBR/CLdNR)を測定する方法に関する。該測定方法は、熱分解ガスクロマトグラフィーにより測定されるチオフェン量(Ath)および2−メチルチオフェン量(AMeth)に加え、ゴム組成物に含まれるBRの配合量(ABR)と密度(dBR)およびNRの配合量(ANR)と密度(dNR)を求めた上で、計算により得ることができるものである。(ゴム成分) 本発明において、ゴム成分は、ブタジエンゴム(BR)および天然ゴム(NR)からなるものである。本発明に用いるBRおよびNRとしては、通常この分野で用いるいずれのBRおよびNRをも好適に用いることができる。具体的には、BRとしては、例えば、BR150B(宇部興産(株)製、Co触媒合成高シスBR、シス含量:97質量%、ムーニー粘度:ML1+4(100℃)=40)、CB25(LANXESS社製、Nd触媒合成高シスBR,シス含量:96質量%、ムーニー粘度:ML1+4(100℃)=44、S2Cl2含有)、NipolBR1220(日本ゼオン(株)製、Co触媒合成高シスBR)などが挙げられ、NRとしては、例えば、RSS#3、SIR20などが挙げられる。(ゴム組成物) 本発明において、ゴム組成物は、BRとNRからなるゴム成分以外に、通常この分野で使用される添加剤を配合して製造することができる。そのような添加剤としては、充填剤(例えば、カーボンブラックやシリカ)、シランカップリング剤、ワックス、プロセスオイル、老化防止剤、加硫剤(例えば、硫黄など)、加硫促進剤、ステアリン酸、酸化亜鉛などが挙げられる。 本発明に係るゴム組成物の製造は、通常、加硫剤および加硫促進剤以外の薬品を混練りした後、こうして得られた混練り物に加硫剤および加硫促進剤を添加して混練りすることにより製造することができる。 こうして得られる未加硫のゴム組成物は、所望により、常法によって、加熱・加圧(加硫)することにより、例えば、タイヤとすることができる。(ゴムの配合量) 本発明において、BRの配合量(ABR)およびNRの配合量(ANR)は、ゴム成分全体を100とした質量%により表される値であり、それぞれ、ゴム組成物にBRやNRを配合する際に秤量することにより、決定することができる。なお、該秤量は、正確を期すため、微量天秤を使用することが好ましい。微量天秤としては、例えば、ウルトラミクロ天秤XP2U(メトラー・トレド社製)を使用することができる。(ゴムの密度) 本発明において、BRまたはNRの密度とは、g/cm2により表される値であり、比重計を用いて測定することができる。(チオフェン量(Ath)および2−メチルチオフェン量(AMeth)) 本発明は、BRおよびNRからなるゴム成分を含んでなるゴム組成物において、該ゴム組成物のサンプルを所定の温度で熱分解させるとき、熱分解生成物として「チオフェンおよび2−メチルチオフェン」が生成し、これらの量が、それぞれ、「BRおよびNRに結合している硫黄架橋量を代表する値」として機能することを見出した点に特徴がある。 本発明において、チオフェン量(Ath)および2−メチルチオフェン量(AMeth)は、クロマトグラムのピーク面積から得られる値であり、ゴム組成物のサンプルを、熱分解ガスクロマトグラフィーにかけることにより、求めることができる。ここで、熱分解ガスクロマトグラフィーとは、サンプルを瞬間的に熱分解させ、その熱分解生成物をガスクロマトグラフへ導入し、カラムでの保持時間の差により分離する方法である。 本発明において、熱分解ガスクロマトグラフィーに供するゴム組成物のサンプルは、予め、ソックスレー抽出に付しておくことが好ましい。こうすることで、加硫反応に関与しなかった加硫剤を予め除去することができるので、BRやNRの硫黄架橋量の定量をより正確に行うことが可能となる。 ソックスレー抽出は、常法により実施することができる。抽出溶媒としては、通常使用できる溶媒をいずれも使用することができ、そのような溶媒として、ヘキサン、アセトンなどが挙げられる。このうち、アセトンが好ましい。 サンプルを熱分解する熱分解装置としては、通常この分野で使用するものをいずれも好適に使用することができ、例えば、フロンティア・ラボ(株)製のPY−2020iDが挙げられる。また、サンプルを熱分解する際の温度(熱分解温度)は、通常、450〜700℃の範囲であり、好ましくは550〜650℃の範囲である。この温度範囲内であれば、本発明において検出するチオフェンおよび2−メチルチオフェンを効率よく生成させることができる。 熱分解により生成するチオフェンおよび2−メチルチオフェンは、硫黄含有成分を検出できる硫黄検出器により検出する。このような硫黄検出器としては、通常、この分野で使用されるものをいずれも好適に使用することができ、例えば、炎光光度検出器(FPD:Flame Photometric Detector)、硫黄化学発光検出器(SCD:Sulfur Chemiluminescence Detector)などが挙げられる。なお、本発明において、硫黄検出器は、チオフェンおよび2−メチルチオフェンを定量できる限りその目的を達し得るので、上記の如き一般的な硫黄検出器の他、質量分析装置なども含み得るものである。 以上の工程を経て、サンプルの熱分解生成物についてのパイログラムが得られる。該パイログラムから、チオフェンおよび2−メチルチオフェンのピーク面積を算出することにより、サンプル中のブタジエンゴムに結合している硫黄架橋量を代表する値であるAth、および、天然ゴムに結合している硫黄架橋量を代表する値であるAMethが得られる。 ここで、「BRに結合している硫黄架橋量を代表する値」または「NRに結合している硫黄架橋量を代表する値」とは、必ずしも硫黄架橋量そのものに相当する値である必要はないということを意味する。本発明は、上述のとおり、NRの硫黄架橋密度(CLdNR)に対するBRの硫黄架橋密度(CLdBR)の比(CLdBR/CLdNR)を求めるものであるから、チオフェン量(Ath)および2−メチルチオフェン量(AMeth)は、それぞれ、BRやNRの硫黄架橋量に相関する値であれば充分だからである。(硫黄架橋密度比) 以上で得た値をもとに、NRの硫黄架橋密度に対するBRの硫黄架橋密度の比(CLdBR/CLdNR)は、下記数式により求められる。(数式1)CLdBR/CLdNR=[Ath/(ABR/dBR)]/[AMeth/(ANR/dNR)]ここで、各記号の意味は以下のとおりである。Ath:所定のゴム組成物サンプルから定量されるチオフェン量AMeth:所定のゴム組成物サンプルから定量される2−メチルチオフェン量ABR:所定のゴム組成物サンプルに含まれるゴム成分中のBRの質量%ANR:所定のゴム組成物サンプルに含まれるゴム成分中のNRの質量%dBR:BRの密度dNR:NRの密度 なお、硫黄架橋密度とは、mol/cm3で表される値であって、ポリマー(すなわち、NRまたはBR)の単位体積あたりの硫黄架橋量を意味する。 こうして得られるNRの硫黄架橋密度(CLdNR)に対するBRの硫黄架橋密度(CLdBR)の比(CLdBR/CLdNR)は、BRおよびNRからなるゴム成分を含んでなるゴム組成物の耐亀裂成長性の指標となる値であり、該特性を制御する上で有用である。<耐亀裂成長性の向上方法> また、本発明は、BRおよびNRからなるゴム成分を含んでなるゴム組成物において、CLdBR/CLdNRを所定の範囲とすることによる、ゴム組成物の耐亀裂成長性を向上させる方法に関する。ここで、該所定の範囲とは、1.2〜2.0である。該範囲内とすることで、ゴム組成物の耐亀裂成長性を向上させることができる。 理論に拘束されることは意図しないが、本発明において、硫黄架橋密度をNRに比べてBRにおいて相対的に高くすることでゴム組成物の耐亀裂成長性が向上する理由としては、以下が考えられる。すなわち、ゴム組成物において、NRとBRは海島状の構造をとっているが、BRの硫黄架橋密度がより高くなることで、力学的により弱いBRが補強され、ゴム組成物全体として、強度のバランスが良くなるためと考えられる。また、NRはラジカルに弱いため、架橋密度が高くなると老化が進みやすくなることも一因となっている可能性がある。一方、BRの硫黄架橋密度が高くなりすぎると、ゴム組成物全体としての強度バランスが崩れるため、却って耐亀裂成長性が悪化するものと考える。したがって、BRとNRの硫黄架橋密度は、BRの方がNRよりも幾分高く、かつ、あまり高すぎない所定の範囲内であることが好ましい。(ゴム成分) 本発明に係るゴム成分は、上記「硫黄架橋密度比の測定方法」の項で説明したのと同じである。(ゴム組成物、空気入りタイヤ) 本発明に係るゴム組成物も、上記「硫黄架橋密度比の測定方法」の項で説明したのと同じであり、すなわち、BRとNRからなるゴム成分以外に、通常この分野で使用される添加剤を配合することができる。そのような添加剤としては、充填剤(例えば、カーボンブラックやシリカ)、シランカップリング剤、ワックス、プロセスオイル、老化防止剤、加硫剤(例えば、硫黄など)、加硫促進剤、ステアリン酸、酸化亜鉛などが挙げられる。 本発明に係るゴム組成物は、通常、加硫剤および加硫促進剤以外の薬品を混練りした後、こうして得られた混練り物に加硫剤および加硫促進剤を添加して混練りする二段階の混練り工程により製造することができる。 こうして得られる未加硫のゴム組成物は、例えば、タイヤ用ゴム組成物として使用することができる。すなわち、本発明の未加硫ゴム組成物を、タイヤの所定の部材の形状に押し出し成形し、これを、タイヤ成形機上で、他の部材と貼り合わせて未加硫タイヤとする。そして、該未加硫タイヤを、加硫機中で、加熱・加圧することにより、タイヤを得ることができる。該タイヤに空気を入れ、空気入りタイヤとすることができる。加硫条件の具体例としては、例えば、130〜190℃の温度で1〜300分間実施することが挙げられる。(CLdBR/CLdNRの値) 本発明において、硫黄架橋密度比CLdBR/CLdNRの値は、1.2以上、好ましくは1.22以上、より好ましくは1.25以上である。一方、CLdBR/CLdNRは、2.0以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.3以下である。 本発明において、硫黄架橋密度比CLdBR/CLdNRの値は、例えば、以下の如き方法により調節することも可能である。すなわち、通常の二段階の混練り工程に代えて、まずBR、充填剤の一部、加硫剤および加硫促進剤を混練りし、他方NRを含む残りの薬品を混練りし、その後、両混練り物を一緒にして混練りするという、三段階の混練りとすることにより、CLdBR/CLdNRの値をより高くすることができる。この場合、BRの混練りは、例えば、10〜150rpmの回転数で、30〜130℃の温度下で実施することができ、NRの混練りは、例えば、20〜150rpmの回転数で、30〜170℃の温度下で実施することができ、仕上げの混練りは、例えば、10〜70rmpの回転数で、80〜130℃の温度下実施することができる。本発明においては、通常の二段階の混練でも硫黄架橋密度比CLdBR/CLdNRを本願発明の範囲内とすることが充分に可能であるが、BRとして、S2Cl2や硫黄自体を含まないBRを使用する場合には、三段階の混練りを採用するのが好ましい。 あるいは、硫黄架橋密度比CLdBR/CLdNRの値は、加硫工程における加硫温度を高くすることによって、より高くすることができる。 本発明に係るゴム組成物は、硫黄架橋密度比CLdBR/CLdNRの値を所定の範囲内としたものであって、耐亀裂成長性が向上したものであるため、タイヤ用ゴム組成物、特に、サイドウォール、ウイング、ベーストレッド等に用いるゴム組成物として有用であり、中でも、サイドウォール用ゴム組成物として有用である。 本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、これら実施例に限定して解釈されるものではない。<加硫ゴム組成物の製造>(使用した各種薬品)NR(天然ゴム):RSS#3BR1(ブタジエンゴム):BR150B(宇部興産(株)製、Co触媒合成高シスBR、シス含量:97質量%、ムーニー粘度:ML1+4(100℃)=40)BR2(ブタジエンゴム):CB25(LANXESS社製、Nd触媒合成高シスBR,シス含量:96質量%、ムーニー粘度:ML1+4(100℃)=44、S2Cl2含有)カーボンブラック:ショウブラックN550(昭和キャボット(株)製、チッ素吸着比表面積:42m2/g)ステアリン酸:桐(日本油脂(株)製)酸化亜鉛:酸化亜鉛2種(三井金属鉱業(株)製)老化防止剤:ノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)(大内新興化学工業(株)製)ワックス:オゾエース0355(日本精蝋(株)製)硫黄:粉末硫黄(鶴見化学(株)製)加硫促進剤:ノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)(大内新興化学工業(株)製) 表1記載の配合に従い、各ゴム組成物を調製した。より詳しくは、工程1は、1.7Lのバンバリーミキサー(神戸製鋼(株)製)に、表1記載の各薬品を充填し、50rpmで100℃に到達するまで混練した。一方、工程2は、同様の混練りを、80rpmで140℃に到達するまで実施した。最後に、工程3は、オープンロールを用いて、実施例1、2および5並びに比較例2については工程1で得られた混練り物と工程2で得られた混練り物を単にブレンドし、一方、実施例3および4並びに比較例1については工程2で得られた混練り物に硫黄と加硫促進剤を加えて、30rpmで105℃に到達するまで混練りした。 得られた未加硫ゴム組成物を成形し、表1に記載の温度、時間で加硫することにより、厚さ1mm×長さ50mm×幅20mmの加硫ゴムスラブシートを作製した。 表中、工程3の「○」および「−」、並びに、加硫工程の「条件1」および「条件2」は下記のとおりの意味を有する。 ○:該当する混練り物を工程3で使用したことを表す。 −:該当する混練り物または配合を工程3では使用しなかったことを表す。 条件1:150℃で30分間、加熱・加圧した。 条件2:170℃で15分間、加熱・加圧した。<CLdBR/CLdNRの測定> 上記で得た、厚さ1mm×長さ50mm×幅20mmの加硫ゴムスラブシートを、アセトンソックスレー抽出に付し、加硫反応に関与しなかった加硫剤を除去した。処理後の加硫ゴムスラブシートから、200μgの試験片を切り出した。該試験片を、下記の条件の下、熱分解ガスクロマトグラフィーに付し、熱分解生成物の内、チオフェンおよび2−メチルチオフェンを検出し、それぞれのピーク面積を求めた。(熱分解ガスクロマトグラフィーの条件)熱分解装置:フロンティア・ラボ(株)製の縦型マイクロ電気炉型パイロライザー「PY−2020iD」熱分解温度:550℃ガスクロマトグラフ:アジレント・テクノロジー製のガスクロマトグラフ「6890」(インターフェイスヒーターの温度及び試料注入口(試料入口端)の温度は340℃に設定し、オーブン温度を40℃で3分保持し、40℃から300℃まで毎分8℃で昇温し、300℃で15分保持する昇温プログラムで測定を行った。なお、定圧モードでヘッド圧83kPaとし、スプリット比は50:1とした。)検出器:アジレント・テクノロジー製の化学発光硫黄検出器「Agilent 355化学発光硫黄検出器」(測定条件は、バーナー温度800℃、水素流量40mL/分、エアー流量60mL/分とした。)キャリアガス:ヘリウムカラム:フロンティア・ラボ(株)製のキャピラリーカラム「Ultra Alloy+−5(MS/HT)」(5%ジフェニル95%ジメチルポリシロキサン、30m×0.25mm i.d.×1.0μm フィルム) 上記加硫ゴムスラブシートに含まれるBRの配合量(ABR)およびNRの配合量(ANR)は、表1記載のとおりである。また、BRの密度(dBR)は、BR1では0.91g/cm3、BR2では0.91g/cm3であり、NRの密度(dNR)は0.92g/cm3であった。<耐亀裂成長性> 上記で得た、厚さ1mm×長さ50mm×幅20mmの加硫ゴムスラブシートにおいて、全幅20mmのうちの一端から2mmの位置まで、カミソリにてカットして初期亀裂を入れ、デマッチャ試験機を用いて繰り返し歪みを加えた。歪み率は5%、周波数は5Hz、サンプル温度は70℃とした。繰り返し歪みを加えてから亀裂成長の長さが約1mmになるまでの、初期の亀裂成長速度dc/dn(m/cycle)を測定した。なお、データはN=4の平均とした。測定結果は、下記計算式により指数表示した。数値が小さいほど、耐亀裂成長性に優れることを示す。耐亀裂成長性指数=(各配合の亀裂成長速度/比較例1の亀裂成長速度)×100 結果を表2に示す。 硫黄架橋密度比CLdBR/CLdNRが1.20〜2.0の範囲内の実施例においては、いずれも耐亀裂成長性が向上した。特に、該密度比が1.22以上、より好ましくは1.25以上であると、耐亀裂成長性が著しく向上していることがわかる。したがって、該密度比が所定の範囲内である、BRの硫黄架橋密度が相対的に高いゴム組成物を用いてタイヤを製造すれば、耐亀裂成長性能の高いタイヤを製造することができる。 本発明によれば、ブタジエンゴム(BR)および天然ゴム(NR)からなるゴム成分を含んでなるゴム組成物について、該ゴム成分を構成するNRの硫黄架橋密度に対するBRの硫黄架橋密度の比を測定する方法、および、該密度比を所定の範囲とすることによる、ゴム組成物の耐亀裂成長性を向上させる方法を提供することができる。ブタジエンゴムおよび天然ゴムからなるゴム成分を含んでなるゴム組成物について、以下の手順により、天然ゴムの硫黄架橋密度(CLdNR)に対するブタジエンゴムの硫黄架橋密度(CLdBR)の比(CLdBR/CLdNR)を測定する方法。(1)該ゴム組成物中のブタジエンゴムの配合量(ABR)、天然ゴムの配合量(ANR)、ブタジエンゴムの密度(dBR)および天然ゴムの密度(dNR)を求める。(2)熱分解ガスクロマトグラフィーにより、該ゴム組成物中のブタジエンゴムに結合している硫黄架橋量を代表する値としてチオフェン量(Ath)を、および、天然ゴムに結合している硫黄架橋量を代表する値として2−メチルチオフェン量(AMeth)を定量する。(3)上記(1)および(2)で求めた値を用いて、以下の数式により、CLdBR/CLdNRを算出する。(数式1)CLdBR/CLdNR=[Ath/(ABR/dBR)]/[AMeth/(ANR/dNR)]熱分解ガスクロマトグラフィーにおける熱分解を、450〜700℃の条件下で実施し、かつ、チオフェン量および2−メチルチオフェン量を、硫黄検出器を用いて定量する、請求項1記載の方法。請求項1または2記載の方法により測定されたCLdBR/CLdNRを、1.2〜2.0の範囲とすることによる、ゴム組成物の耐亀裂成長性を向上させる方法。 【課題】ブタジエンゴム(BR)および天然ゴム(NR)からなるゴム成分を含んでなるゴム組成物について、該ゴム成分を構成するNRの硫黄架橋密度に対するBRの硫黄架橋密度の比を測定する方法等を提供すること。【解決手段】以下の手順により、天然ゴム中の硫黄架橋密度(CLdNR)に対するブタジエンゴム中の硫黄架橋密度(CLdBR)の比を測定する。(1)該ゴム組成物中のブタジエンゴムの配合量(ABR)、天然ゴムの配合量(ANR)、ブタジエンゴムの密度(dBR)および天然ゴムの密度(dNR)を求める。(2)熱分解ガスクロマトグラフィーにより、チオフェン量(Ath)を、および、2−メチルチオフェン量(AMeth)を定量する。(3)以下の数式により、CLdBR/CLdNRを算出する。(数式1)CLdBR/CLdNR=[Ath/(ABR/dBR)]/[AMeth/(ANR/dNR)]【選択図】なし