生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_DPP−4阻害剤の増強剤
出願番号:2013251496
年次:2015
IPC分類:A61K 31/198,A61K 45/00,A61P 3/10,A61P 43/00


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古賀 弘 JP 2015098464 公開特許公報(A) 20150528 2013251496 20131118 DPP−4阻害剤の増強剤 有限会社ジェイエヌピー研究所 502438411 古賀 弘 A61K 31/198 20060101AFI20150501BHJP A61K 45/00 20060101ALI20150501BHJP A61P 3/10 20060101ALI20150501BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150501BHJP JPA61K31/198A61K45/00A61P3/10A61P43/00 121 3 書面 5 4C084 4C206 4C084AA19 4C084MA02 4C084NA05 4C084ZC35 4C084ZC75 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA53 4C206MA02 4C206MA04 4C206NA05 4C206ZC35 4C206ZC75 本発明は、血糖低下剤DPP−4阻害剤の作用を増強する化合物の使用法、およびDPP−4阻害剤とその化合物を含有する医薬組成物に関する。 DPP−4(ジペプチジルペプチダーゼ4)阻害剤は、インクレチン経路の増強作用を主な作用機序とした、2型糖尿病に対する薬剤であり、現在、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン、テネリグリプチン、アナグリプチン、オキサグリプチンなどが臨床に供されている。 インクレチンは、食事摂取に反応して消化管の上皮細胞から分泌されるぺプチドホルモンであり、血糖値に依存してインスリン分泌を増強させ、肝臓や末梢の筋肉、脂肪組織への糖の取り込みを促進させる。代表的なインクレチンホルモンとしてGLP−1(グルカゴン様ペプチド1)およびGIP(Glucose−dependent insulinotropic polypeptide)が知られており、これらのホルモンは血糖値に依存してインスリンの生合成および分泌を促進することが知られている。糖尿病患者を対象とした臨床試験で、GLP−1を静脈内持続投与した結果、インスリンの分泌量が増加し、血漿中グルコース濃度、並びに血糖コントロールの指標であるHbA1cが低下することが明らかになった。しかしながら、GLP−1およびGIPはともにDPP−4により迅速に代謝され不活化される。このDPP−4を阻害することによりインクレチンホルモンであるGLP−1およびGIPの不活化を阻害し、その生物活性を持続させるために開発されたのがDPP−4阻害剤である。 一方、GLP−1と同様にGLP−1受容体に結合し、GLP−1様作用を示すGLP−1受容体作動薬が開発されている。現在、リラグルチド、エキセナチド、リキシセナチドなどが臨床使用されている。これらの薬剤はGLP−1と異なりDPP−4によって分解されにくい構造となっているために、投与した場合に作用が強力で持続する。 このように、DPP−4阻害剤とGLP−1受容体作動薬はその作用は同様にGLP−1受容体を介して示されるが、DPP−4阻害剤が食事摂取に反応して分泌されるGLP−1の分解を抑えてGLP−1の体内濃度を高めて間接的に作用を示すのに対し、GLP−1受容体作動薬はそのものがGLP−1受容体に作用して直接的に作用するものである。そのために両者の作用に大きな違いが現れる可能性がある。実際、DPP−4阻害剤とGLP−1受容体作動薬は臨床試験において抗糖尿病作用を含むGLP−1作用に違いが見られることが明らかにされている。すなわち、DPP−4阻害薬であるシタグリプチンとGLP−1受容体作動薬であるリラグルチドとを2型糖尿病患者を対象に52週間にわたって効果や副作用を比較検討したところ、リラグルチドを投与された患者ではHbA1cが1.51%低下したのに対し、シタグリプチンでは0.88%の低下であった(この差は統計的に有意であった)。体重への影響は、リラグルチド投与患者では3.68kg減少したのに対し、シタグリプチンでは1.16kgの減少にとどまった(この差は統計的に有意であった)。両薬の副作用はほぼ同等であった。この作用の強さの差は他の薬剤でも同様であった。すなわち、GLP−1受容体作動薬では一般的にHbA1cの低下率が1%以上であるのに対し、DPP−4阻害薬では1%未満であった。また、体重に関しても、GLP−1受容体作動薬では明らかに体重減少が見られたが、DPP−4阻害薬では体重減少効果はほとんど見られないかわずかといわれている。 ではGLP−1受容体作動薬とDPP−4阻害薬の作用の差はどこに原因があるのであろうか。GLP−1受容体作動薬は化合物そのものがGLP−1受容体に結合しGLP−1作用を示すのに対し(理論的には100%以上のGLP−1作用を示すことができる)、DPP−4阻害薬では体内で分泌されるGLP−1の分解を抑えて間接的にGLP−1作用を示すために、その強さは体内で分泌されるGLP−1の量に大きく依存すると考えられる。実際、DPP−4のノックアウトマウスのデータより、DPP−4を100%阻害しても血中の活性GLP−1濃度の上昇は2倍程度が限度である。また、臨床的にも例えばシタグリプチンによってDPP−4がほぼ完全に阻害されている状況での活性GLP−1の濃度上昇は約2倍であった。 Holst J J,Physiol.Rev.,87,1409−1439,2007.Pratley R,et al.,Int.J.Clin.Pract.,65,397−407,2011.Marguet D,et al.,PNAS,97,6874−6879,2000.Herman G A,J.Clin.Endocrinol.Metab.,91,4612−4619,2006. 本発明で解決しようとする課題は、DPP−4阻害剤の弱い抗糖尿病作用(血糖低下作用)を増強する成分を見出し、これをDPP−4阻害剤の増強剤として糖尿病の治療用に提供することである。具体的には、安全性の極めて高い成分の併用によって、DPP−4阻害剤の弱い抗糖尿病作用(血糖低下作用)が増強される、安全性の高い優れた医薬組成物を提供することが本発明の課題である。 本発明者は、かかる成分を探索すべく長年にわたって鋭意研究を行ってきた。その結果、DPP−4阻害剤にL−アルギニンを併用することにより、DPP−4阻害剤単独よりさらに強い抗糖尿病作用(血糖低下作用)を示す(すなわちDPP−4阻害剤の抗糖尿病作用(血糖低下作用)の増強作用)ことを見出した。このL−アルギニンによるDPP−4阻害剤の抗糖尿病作用(血糖低下作用)の増強作用は本発明者によって初めて見出されたものである。 DPP−4阻害剤の血糖低下作用を、L−アルギニンが増強するメカニズムとして種々考えられるが、その一つとして、食物成分の一部(アミノ酸を含む)がGLP−1の分泌を促進することが知られているので、恐らくL−アルギニンによって分泌促進されたGLP−1の分解をDPP−4阻害剤が阻害することでGLP−1の働きが増強され、DPP−4阻害剤の抗糖尿病作用(血糖低下作用)が増強されたものと考えられる。 すなわち、本発明は以下の通りである。(1)DPP−4阻害剤の抗糖尿病作用を増強するためのL−アルギニンまたはその塩、およびその使用法。(2)DPP−4阻害剤とL−アルギニンまたはその塩とを含有する医薬組成物。(3)糖尿病の治療用である上記(2)に記載の医薬組成物。(4)DPP−4阻害剤が、例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン、テネリグリプチン、アナグリプチン、オキサグリプチンなどから選ばれる上記(1)〜(3)に記載の医薬組成物。 本発明により、DPP−4阻害剤の弱い抗糖尿病作用(血糖低下作用)を増強し、より強い抗糖尿病作用(血糖低下作用)と高い安全性を兼ね備えた医薬組成物を提供することができる。 本発明におけるDPP−4阻害剤は、DPP−4を阻害する薬剤であれば特に限定されないが、例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン、テネリグリプチン、アナグリプチン、オキサグリプチンなどがあげられる。 本発明における、上記のDPP−4阻害剤は国内にて販売されており、容易に入手できる。なお、各薬剤の用法用量は各薬剤の添付文書に記載されているためにここでは省くが、本発明における各薬剤の用法用量はこれに準拠する。 本発明で使用されるL−アルギニンは、動物あるいは植物由来の天然タンパク質の加水分解から得られたもの、発酵法あるいは化学合成法によって得られたものいずれでも良い。アルギニンは光学異性体として、D体とL体が存在するが、本発明に使用するには、生体タンパク成分であるL体(L−アルギニン)を用いるのが望ましい。L−アルギニンはそのままあるいは種々の塩の形で用いても良い。L−アルギニンの塩としては、L−アルギニンが塩基性を示すために主に酸との塩が用いられる。酸としては、無機酸、有機酸いずれでも良い。無機酸の例としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、臭化水素酸、ヨー化水素酸などがあげられる。有機酸の例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸などがあげられる。 本発明のL−アルギニンまたはL−アルギニン塩の医薬組成物としての投与量は、本発明の病気の状態、病人の体重、年齢、体質、体調等によって調整されるべきであるが、一般に1日あたり、L−アルギニンに換算して、0.001g〜30g、好ましくは0.01g〜20gの範囲で適宜選択することができる。これを病気の状態や医薬組成物の形態によって1日1ないし数回にわけて投与することができる。 本発明の医薬組成物には、本発明の効果が阻害されない限り、添加物として、賦形剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、防腐剤、着色剤、安定剤、pH調節剤、溶解補助剤、清涼剤、香料、などを配合することができる。 本発明の医薬組成物の剤形は、固形剤が望ましく、その具体的な剤形としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等があげられる。 本発明の医薬組成物の製剤は、当該分野で公知の方法で製造することができる。 本発明の医薬組成物は、糖尿病または糖尿病に起因する疾患(糖尿病合併症)の治療に有効である。さらに、本発明の医薬組成物は、優れた血糖低下作用を示し、有効性と安全性を兼ね備えていることを特徴とする。 本発明の医薬組成物を上記疾患に投与する場合には、経口的に投与することが好ましい。その場合、上記の一日あたりの投与量を1日1回または数回に分けて投与する。 以下、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。 Aは糖尿病を患っていた。血糖低下剤としてDPP−4阻害剤を処方され、それを摂取していたがその効果は満足のいくものでなかった。そこでAは、L−アルギニンを、DPP−4阻害剤と共に、1日あたり4ないし12g摂取したところ、血糖値はより低下し、その効果は満足すべきものであった。副作用はほとんど見られなかった。 本発明の医薬組成物は、高い抗糖尿病作用(血糖低下作用)と安全性を兼ね備えた医薬組成物である。従って、本発明は、糖尿病患者への予防または治療剤として有用である。 DPP−4阻害剤の抗糖尿病作用を増強するためのL−アルギニンまたはその塩、およびその使用法。 DPP−4阻害剤とL−アルギニンまたはその塩とを含有する医薬組成物。 糖尿病の治療用としての請求項2に記載の医薬組成物。 【課題】本発明の課題は、DPP−4阻害剤の弱い抗糖尿病作用(血糖低下作用)を増強する成分を提供することである。【解決手段】DPP−4阻害剤とL−アルギニンを含有する医薬組成物。【選択図】なし


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