タイトル: | 特許公報(B1)_茶葉由来のタンパク質分解物の製造方法 |
出願番号: | 2013240785 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C12P 21/06,A23L 1/03,A23L 1/305,A23L 2/52,A23L 2/66,C07K 5/06,C07K 1/12,A23J 3/14,A23J 3/34,A61P 9/12,A61P 43/00,A61K 38/00 |
小林 泰次 鳥田 祥子 武田 和哉 JP 5646035 特許公報(B1) 20141114 2013240785 20131121 茶葉由来のタンパク質分解物の製造方法 三井農林株式会社 303044712 小林 泰次 鳥田 祥子 武田 和哉 20141224 C12P 21/06 20060101AFI20141204BHJP A23L 1/03 20060101ALI20141204BHJP A23L 1/305 20060101ALI20141204BHJP A23L 2/52 20060101ALI20141204BHJP A23L 2/66 20060101ALI20141204BHJP C07K 5/06 20060101ALI20141204BHJP C07K 1/12 20060101ALI20141204BHJP A23J 3/14 20060101ALI20141204BHJP A23J 3/34 20060101ALI20141204BHJP A61P 9/12 20060101ALI20141204BHJP A61P 43/00 20060101ALI20141204BHJP A61K 38/00 20060101ALI20141204BHJP JPC12P21/06A23L1/03A23L1/305A23L2/00 FA23L2/00 JC07K5/06C07K1/12A23J3/14A23J3/34A61P9/12A61P43/00 116A61K37/18 C12P 21/06 C07K 1/12 C07K 5/06 CAplus/MEDLINE/WPIDS/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特開2014−003971(JP,A) 特表2010−520274(JP,A) 特開平04−349893(JP,A) 京都府立茶業研究所試験研究成績書 平成15年度 概要集,2004年,223-07,1-2 日本栄養・食料学会大会講演要旨集,2012年,Vol.66th,p.110 日本薬学会年会要旨集,2008年,Vol.128th,No.4,p.199 14 31 20140204 坂崎 恵美子 本発明は、茶葉由来のタンパク質分解物の製造方法、該製造方法で得られるタンパク質分解物、該タンパク質分解物を含有する食品素材及び飲食品、並びに該タンパク分解物を有効成分として含有する血圧降下剤及びアンジオテンシン変換酵素阻害剤に関する。 高血圧症は生活習慣病の中で発症率の高い疾患の1つで、厚生労働省の平成20年患者調査によれば約798万人もの人が高血圧症の治療を受けている。 ほとんどの高血圧症は明確に原因が特定できない本態性高血圧で、遺伝的な因子や生活習慣などの環境因子、例えば塩分の過剰摂取・肥満・過度の飲酒・喫煙・精神的ストレスなどが複雑に影響を及ぼしあって関与しているため、高血圧の原因となっている因子を特定することが難しい。そのため、本態性高血圧を治療する有効な方法は、降圧剤での血圧降下となっている。本態性高血圧の原因として考えられている因子の1つにレニン・アンジオテンシン系が挙げられる。レニン・アンジオテンシン系では、肝臓から分泌されるアンジオテンシノーゲンがレニンによりアンジオテンシンIに変換される。アンジオテンシンIはアンジオテンシン変換酵素(以下、ACE)により血管収縮作用を有するアンジオテンシンIIに変換され、血圧が上昇する。また、ACEは血管拡張による血圧降下作用を示すブラジキニンも分解するため、ブラジキニンの血圧降下作用がなくなり、その結果血圧が上昇する。従って、ACEを抑制することにより血圧の上昇を抑制することが可能となる。強力なACE阻害活性物質のカプトプリルやエナラプリル等は現在ACE阻害薬として高血圧症の治療に広く用いられている。一方、最近では食品素材タンパク質の酵素分解物であるペプチドにACE阻害活性のあることが報告されている。これらは軽度の高血圧者が手軽に血圧の上昇を抑制するための食品として特定保健用食品に利用されている。例えば、イワシ筋肉のペプシン分解物(特許文献1)、かつお節のサーモライシン分解物(特許文献2)、ゴマ蛋白のサーモライシン分解物(特許文献3)等多数の報告がなされている。茶葉にはタンパク質が24〜30%と豊富に含まれているが、全タンパク質の80%以上が不溶性タンパク質であるため、茶葉の浸出液を飲用する一般的な形態では、栄養源としては利用されておらず、国内の緑茶飲料製造時に生じる2万2千トンに上る抽出残渣はそのほとんどが未利用資源として廃棄されている。一方、抹茶は茶葉をそのまま摂取できる形態であるため、茶葉の不溶性タンパク質を摂取できる形態である。そこで、茶葉の不溶性タンパク質の機能性探索を目的とし、抹茶から尿素を用いて不溶性タンパク質を抽出し、得られた尿素可溶性タンパク質をプロテアーゼで分解した分解物からACE阻害活性ペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)を単離している(非特許文献1)。また、摂取した茶葉の不溶性タンパク質が消化管内のプロテアーゼによって分解されることを期待し、上記と同様に尿素可溶性タンパク質を消化管内のプロテアーゼで分解してオピオイドペプチドが得られることを見出している(特許文献4、非特許文献1)。さらに茶葉をアルカリ抽出して得られる抽出液のpHを2から5にすることでタンパク質を等電点沈殿させてタンパク質を回収し、回収したタンパク質を再溶解させた後にプロテアーゼで分解してACE阻害ペプチドを含有するタンパク質分解物を調製することも見出されている(特許文献5)。特許第4053686号公報特開平11−225715号公報特許第4369986号公報特許第4424805号公報特願2012−126253平成11年度「第2回宇治茶健康フォーラム・市民公開講演会」講演要旨集p55-p67 以上のとおり、いくつかの食品素材から機能性ペプチドが得られることが見出され、飲食品等の形態で利用されている。しかしながら、茶を原料として機能性ペプチドを得ることができる非特許文献1においては、抹茶から尿素により茶葉タンパク質を可溶化していることから食品素材や食品添加剤として使用することはできず、また尿素を完全に除いた場合可溶化したタンパク質が再び不溶化するなど大量生産には不向きな方法である。また、上記非特許文献の目的は、摂取した茶葉タンパク質から消化管内のプロテアーゼによって派生することが期待できるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害活性ペプチドが、どのようなアミノ酸配列であるのかを確認することであり、茶葉タンパク質からACE阻害活性ペプチドを効率よく生産させる方法については全く検討されていない。また、特許文献5においては比較的簡便に茶葉からタンパク質を抽出し、茶葉タンパク質からACE阻害活性ペプチドを生産させることが可能であるが、等電点沈殿させたタンパク質の回収、再溶解といったプロセスを経ることから、工程が複雑になり加工コストが上昇する可能性がある。 したがって、本発明の目的は、茶葉に含まれているタンパク質を低コストで効率よくしかも簡便に抽出・精製でき、且つ該茶葉タンパク質からACE阻害活性及び血圧降下作用を有する食品分野でも使用できるペプチド含量の高いタンパク質分解物を得る製造方法を提供することにある。これに加え、食品分野でも幅広く利用できるよう、呈味性(旨味、コク)、溶解性及び色調に優れたタンパク質分解物を提供することにある。すなわち、優れた高血圧予防効果、血圧降下作用並びにACE阻害活性作用が期待され、食用として扱いやすく、茶葉由来のタンパク質分解物の低コストでの製造方法及び該タンパク質分解物を提供することにある。本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねる過程で、茶葉のアルカリ抽出液を等電点沈殿させて回収したタンパク質をプロテアーゼで分解してACE阻害ペプチドを含有するタンパク質分解物を製造する従来の方法では、得られるタンパク分解物量はアルカリ可溶なタンパク質量に制限されると考えた。そこで、茶葉から一旦タンパク質を抽出してからこれを分解する従来の技術思想とは異なる方法を追求し、茶葉のアルカリ抽出液からタンパク質を分離せずに抽出残渣を含む抽出混合物の状態でプロテアーゼ処理する手段を検討したところ、意外にも目的とするタンパク質分解物の歩留りが格段に向上するだけで無く、原料茶葉重量あたりのACE阻害活性ペプチドとアミノ酸の回収量が大幅に増加することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、請求項1記載の本発明は、以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法を提供するものである。(a)茶葉にアルカリ溶液を加えて抽出混合物を得る工程。(b)抽出混合物を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤および酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し酵素反応混合物を得る工程。(c)酵素反応混合物のpHを2から5に調整することで未反応タンパク質を沈殿させ、酵素反応混合物から抽出残渣と沈殿した未反応タンパク質を除き、酵素反応液を得る工程。ただし、抽出混合物とは少なくとも可溶性画分である抽出液と抽出残渣が混在している状態を示し、酵素反応混合物とは少なくとも酵素反応後の可溶性画分である酵素反応液と抽出残渣が混在している状態を示す。請求項2記載の本発明は、以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法を提供するものである。(a)茶葉にアルカリ溶液を加えて抽出混合物を得る工程。(f)抽出混合物を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し酵素反応混合物を得る工程。(d)酵素反応混合物から抽出残渣を除き、酵素反応液を得る工程。(g)酵素反応液をさらに酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解する工程。(h)酵素反応液のpHを2から5に調整することで未反応タンパク質を沈殿させ、沈殿した未反応タンパク質を除き、酵素反応液を得る工程。ただし、抽出混合物とは少なくとも可溶性画分である抽出液と抽出残渣が混在している状態を示し、酵素反応混合物とは少なくとも酵素反応後の可溶性画分である酵素反応液と抽出残渣が混在している状態を示す。請求項3記載の本発明は、以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法を提供するものである。(a)茶葉にアルカリ溶液を加えて抽出混合物を得る工程。(f)抽出混合物を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し酵素反応混合物を得る工程。(c)酵素反応混合物のpHを2から5に調整することで未反応タンパク質を沈殿させ、酵素反応混合物から抽出残渣と沈殿した未反応タンパク質を除き、酵素反応液を得る工程。(g)酵素反応液をさらに酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解する工程。ただし、抽出混合物とは少なくとも可溶性画分である抽出液と抽出残渣が混在している状態を示し、酵素反応混合物とは少なくとも酵素反応後の可溶性画分である酵素反応液と抽出残渣が混在している状態を示す。請求項4記載の本発明は、請求項1乃至3記載の工程(a)の前工程または後工程で植物組織分解酵素をさらに作用させることを特徴とするタンパク質分解物の製造方法を提供するものである。請求項5記載の本発明は、植物組織分解酵素がセルラーゼ、ヘミセルラーゼおよびペクチナーゼから選ばれる少なくとも1種の酵素である請求項4に記載のタンパク質分解物の製造方法を提供するものである。請求項6記載の本発明は、原料茶葉から回収されるIle-Tyrが乾燥茶葉あたりの回収率で0.0065重量%以上である請求項1乃至5記載の製造方法である。請求項7記載の本発明は、請求項1乃至6記載の製造方法から得られるタンパク質分解物である。請求項8記載の本発明は、請求項1乃至6記載の製造方法から得られるタンパク質分解物を500mg/100mLの割合で含水エタノール{エタノール/水=3/2(v/v)}に溶解・懸濁させたときに生成する沈殿物が乾燥固形に対し20%以上であるタンパク質分解物である。請求項9記載の本発明は、請求項7または8記載のタンパク質分解物を含有する食品素材或いは食品添加剤である。請求項10記載の本発明は、請求項7または8記載のタンパク質分解物を含有する飲食品である。請求項11記載の本発明は、請求項9記載の食品素材或いは食品添加剤を含有する飲食品である。請求項12記載の本発明は、粉末状或いは液体状の清涼飲料である請求項10または11の飲食品である。請求項13記載の本発明は、請求項7または8記載のタンパク質分解物を有効成分として含有する血圧降下剤である。請求項14記載の本発明は、請求項7または8記載のタンパク質分解物を有効成分として含有するアンジオテンシン変換酵素阻害剤である。本発明によれば、茶葉に大量に含まれる水不溶性タンパク質を容易に抽出でき、得られた該タンパク質抽出液を特定のタンパク質分解酵素で分解することにより、従来よりも工程が簡略化され、尚且つACE阻害活性及び血圧降下作用を有するペプチドを多量に含有するタンパク質分解物が効率よく得られるため、茶葉から工業的に安価かつ大量に生産可能である。しかも該タンパク分解物の製造には食品製造で使用可能な食品添加剤だけを使用しているため安全性にも優れたタンパク質分解物を得ることができる。更に、本発明で得られる茶葉由来のタンパク質分解物は、呈味性(うま味、コク味)、溶解性及び色調に優れているという特徴を有するため、幅広く食品分野に利用できうるものである。また、本発明の製造方法では、茶飲料の抽出製造工程で生じる茶殻を利用することができるため、製造コストの抑制や未利用資源の有効利用も可能である。ラットへのタンパク質分解物投与による生体内での血圧降下作用確認試験結果以下、本発明について詳細に説明する。本発明で使用される茶葉としては、チャノキ(Camellia sinensis)を原料としたものであれば良く、その加工度、加工方法は問わず、生茶葉や緑茶、白茶、烏龍茶、紅茶、ジャスミン茶として加工された茶葉をそのまま利用できるほか、茶飲料の製造工程で生じる抽出残渣(茶殻)を原料とすることができるが、未利用資源の有効活用という観点からして、茶殻を原料とすることが好ましい。茶葉からタンパク質を抽出する方法としては、茶葉をそのまま利用できるが存在するポリフェノール類がプロテアーゼを阻害し、タンパク質の分解効率を損ねる恐れがある。そこで、まず前処理として茶葉を温水で抽出後、抽出残渣を1乃至3回熱湯で洗浄し存在するポリフェノール類を除去した茶殻を調製することが望ましい。茶葉もしくは茶殻からタンパク質を抽出する際のアルカリ水溶液の濃度は、タンパク質の抽出が可能である濃度であれば特に限定されるものではないが、茶葉からのタンパク質の抽出効率をよくするためには、アルカリ水溶液の濃度は、0.01M以上1M以下が適しているが、より好ましくは0.02M以上0.5M以下、さらに好ましくは0.05M以上0.2M以下の濃度が適している。タンパク質抽出におけるアルカリ水溶液量は、乾燥茶葉あるいは乾燥茶殻100 gに対して0.5L(5倍量)以上10L(100倍量)以下が適しているが、抽出後の中和反応とタンパク質抽出効率を鑑みれば、茶葉あるいは茶殻100gに対して1L(10倍量)以上5L(50倍量)以下が好ましく、1.5L(15倍量)以上3L(30倍量)以下がより好ましい。茶葉をアルカリ溶液に浸漬する温度は40℃以上であれば、茶葉あるいは茶殻からタンパク質を抽出できるが、好ましくは50℃以上95℃以下、より好ましくは60℃以上90℃以下、さらに好ましくは75℃以上85℃以下の条件が適している。茶葉をアルカリ溶液に浸漬する時間は30分から24時間程度であるが、製造コストとタンパク質抽出効率を鑑みれば、1時間以上15時間以下が好ましく、2時間以上10時間以下がより好ましく、さらに好ましくは3時間以上5時間以下が適している。アルカリ水溶液は、食品製造に使用できるものであれば特に限定されるものではないが、食品用途で用いられるものとして、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどを例示することができるが、茶葉からのタンパク質の抽出効率から水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の強アルカリを使用することが好ましい。また、これらのアルカリを2種以上混合して用いることも可能である。なお、アルカリ水溶液には必要に応じて種々の添加剤を加えることができ、例えばアスコルビン酸、ソルビン酸やそれらの塩を挙げることができる。続いて、本発明ではアルカリ抽出後の抽出混合物から抽出残渣を分離せず、得られた抽出混合物についてプロテアーゼによる分解処理を行う。前記手段で分解処理を行った場合、抽出混合物からタンパク質を分離した後分解処理した場合よりも目的のペプチドを多く含む分解物を得ることができる。その理由としては茶葉の不溶性タンパク質は膜タンパク質であると推測され、膜にゆるく結合している表在性タンパク質はアルカリ溶液で茶葉から可溶化させることが可能であるが、膜内在性タンパク質はアルカリ溶液では可溶化されにくく茶葉残渣に可溶化しきれていない状態で残存していると考えられる。このため、抽出残渣を含む抽出混合物をプロテアーゼで処理することで抽出残渣に残存している膜内在性タンパク質の一部(親水性部分)が分解されペプチドとして遊離されやすくなるものと考えられる。なお、中性エンドペプチダーゼと酸性エキソペプチダーゼを作用させる順番は特に限定されないが、タンパク質の分解効率の面から、中性エンドペプチダーゼ処理したのち、酸性エキソペプチダーゼ処理するのが好ましい。本発明に使用可能なプロテアーゼとしては、微生物、植物、動物由来の酵素ならいずれも使用することができるが、安全性や価格を考慮すれば市販の食品用プロテアーゼを用いることが好ましい。なお、本発明における「プロテアーゼ」または「タンパク質分解酵素」とは「エンドペプチダーゼ」と「エキソペプチダーゼ」の総称である。さらに、エキソペプチダーゼはアミノペプチダーゼとカルボキシペプチダーゼに分類される。また、プロテアーゼの至適反応pHによって、それぞれ酸性、中性、アルカリという用語を各酵素に付けることがあり、例えば「酸性エキソペプチダーゼ」、「中性アミノペプチダーゼ」、「アルカリエンドペプチダーゼ」のように記載することもある。プロテアーゼ処理の際、抽出混合物中の液量は特に限定されるものではないが、乾燥茶葉あるいは乾燥茶殻100 gに対して0.5L(5倍量)以上10L(100倍量)以下が適しているが、膨潤した抽出残渣が存在する状態での攪拌を鑑みると、乾燥茶葉あるいは乾燥茶殻100gに対して1L(10倍量)以上5L(50倍量)以下が好ましく、1.5L(15倍量)以上3L(30倍量)以下がより好ましい。乾燥茶葉あるいは乾燥茶殻100gに対して1L(10倍量)未満でもプロテアーゼ分解に支障はないが、抽出残渣による攪拌の低下の要因になる可能性がある。また、乾燥茶葉あるいは乾燥茶殻100gに対して1L(10倍量)より大きくなると、濃縮工程にかかる負担が増すことにより、製造コストが上昇する要因になる。プロテアーゼの添加量も特に限定されないが、乾燥茶葉10gあたり、100から60,000ユニットの割合で用いるとよく、好ましくは乾燥茶葉10gあたり250から40,000ユニットの割合で、より好ましくは乾燥茶葉10gあたり500から20,000ユニットの割合で用いるのが適当である{カゼイン(Hammarsten処方)を基質として30℃、10分間の反応で1分間に1μgのチロシンに相当する非蛋白性のフォリン試液呈色物質の増加をもたらす酵素量を1ユニットとする}。プロテアーゼ処理による加水分解の程度は、プロテアーゼ処理した後の酵素反応混合物または酵素反応液のpHを2〜5に調整して不溶物を除去したタンパク質分解物や前記酵素反応液を限外濾過膜で処理して透過液として得られるタンパク質分解物の回収率で、乾燥茶葉から通常2重量%から40重量%、より好ましくは5重量%から35重量%、さらに好ましくは10重量%から30重量%程度になるまで行われ、目的とするACE阻害活性ペプチドであるIle-Tyrの回収率では、乾燥茶葉から0.001重量%から0.06重量%、より好ましくは0.004重量%から0.04重量%、より好ましくは0.006重量%から0.03重量%程度になるまで行われる。タンパク質分解酵素をタンパク質に作用させる時間は、使用するプロテアーゼ製剤中のタンパク質分解酵素の酵素活性や酵素反応時の添加量によって異なるが、通常30分から24時間、好ましくは1時間から8時間、より好ましくは1.5時間から4時間程度が適している。まず、茶葉由来のタンパク質の中性エンドペプチダーゼによる分解について説明する。中性エンドペプチダーゼ同士が互いに悪影響を及ぼさない場合は、複数種を併用してもよい。複数のエンドペプチダーゼを使用する場合は、複数の酵素製剤を同時に作用させて加水分解を行っても、または1種類ずつ逐次に用いて加水分解を行ってもよい。中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(至適pHが5.0以上9.0以下)としては、スミチームLP、スミチームFL-G、スミチームCP、スミチームFP-G、スミチームMP(新日本化学工業株式会社)、ブロメラインF、プロテアーゼP「アマノ」3SD、パパインW-40、サモアーゼPC10F、サモアーゼC100、サモアーゼC160、プロチンSD-NY10(プロチンSD-PC10F)(天野エンザイム株式会社)を例示することができる。中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で酵素分解を行う場合、含有されるエンドペプチダーゼが安定的に作用できるpHであれば問題なく酵素分解が可能であるが、酵素分解を行うタンパク質により最適pHが変化することを考慮に入れると、反応pHを好ましくは至適pH±1.5の範囲で、より好ましくは至適pH±1.0の範囲で、さらに好ましくは至適pH±0.5の範囲で酵素分解を行うとよい。例えばサモアーゼPC10Fによる酵素分解の場合、至適pHが7.0付近であるが、茶葉タンパク質を酵素分解できるpHは5.5以上8.5以下であり、得られるタンパク質分解物の収量を増加させるためには、反応pHを好ましくは6.0以上8.0以下の範囲で、さらに好ましくは反応pHを6.5以上7.5以下の範囲に設定すればよい。また、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で酵素分解を行う反応温度は、酵素製剤に含有されるエンドペプチダーゼが安定的に作用できる温度であれば酵素分解が可能であるが、エンドペプチダーゼの至適温度であることが望ましい。しかしながら、酵素反応中の雑菌汚染などのリスクを回避するためには50℃以上で酵素分解を行うことが好ましい。例えばサモアーゼPC10Fの場合、70℃以下の温度で安定であり、至適温度が65℃付近である。茶葉タンパク質を酵素分解できる温度は30℃以上70℃以下であり、好ましくは50℃以上68℃以下、より好ましくは55℃以上65℃以下の条件が適している。次に酸性エキソペプチダーゼによる酵素分解について説明する。酸性エキソペプチダーゼ同士が互いに悪影響を及ぼさない場合は、複数種を併用してもよい。複数のエキソペプチダーゼを使用する場合は、複数の酵素製剤を同時に作用させて加水分解を行っても、または1種類ずつ逐次に用いて加水分解を行ってもよい。酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(至適pHが2.0以上5.0未満)としては、スミチームLP、スミチームFP-G、スミチームACP-G(新日本化学工業株式会社)を例示することができる。酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で酵素分解を行う場合、含有されるエキソペプチダーゼが安定的に作用できるpHであれば酵素分解が可能であるが、酵素分解を行うタンパク質により最適pHが変化することを考慮に入れると、反応pHを好ましくは至適pH±1.5の範囲で、より好ましくは至適pH±1.0の範囲で、さらに好ましくは至適pH±0.5の範囲で酵素分解を行うとよい。例えばスミチームACP-Gによる酵素分解の場合、至適pHが4.5付近であるが、茶葉タンパク質を酵素分解できるpHは3.0以上6.0以下であり、得られるタンパク質分解物の収量を増加させるためには、好ましくは反応pHを3.5以上5.5以下の範囲で、さらに好ましくは反応pHを4.0以上5.0以下の範囲に設定すればよい。また、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で酵素分解を行う反応温度であるが、酵素製剤に含有されるエキソペプチダーゼが安定的に作用できる温度であれば酵素分解が可能であるが、エキソペプチダーゼの至適温度であることが望ましい。しかしながら、酵素反応中の雑菌汚染などのリスクを回避するためには50℃以上で酵素分解を行うことが好ましい。例えばスミチームACP-Gの場合、70℃以下の温度で安定であり、至適温度が50℃付近である。酵素分解できる温度は30℃以上70℃以下であり、より好ましくは40℃以上60℃以下が好ましく、より好ましくは50℃以上55℃以下の条件が適している。次に中性エンドペプチダーゼと酸性エキソペプチダーゼの双方を同時に用いる酵素分解について説明する。中性エンドペプチダーゼと酸性エキソペプチダーゼの各酵素反応条件は上記の通りであるが、中性エンドペプチダーゼ活性と酸性エキソペプチダーゼ活性の双方を有する酵素製剤あるいは、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤を併用する場合、双方のペプチダーゼ活性が安定して作用できるpHであれば、茶葉タンパク質を分解物することが出来るが、好ましくは反応pHを4.0以上7.0以下、より好ましくは反応pHを4.5以上6.8以下で、さらに好ましくは反応pHを5.0以上6.5以下に設定することが適している。例えば、中性エンドペプチダーゼ活性と酸性エキソペプチダーゼ活性の双方を有する酵素製剤であるスミチームLPの場合、茶葉タンパク質を分解するのに適している反応pHは5.5以上6.5以下である。また、中性エンドペプチダーゼ活性と酸性エキソペプチダーゼ活性の双方を有する酵素製剤あるいは、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤を併用する場合の反応温度は、酵素製剤に含有される双方のペプチダーゼが安定的に作用できる温度であれば酵素分解が可能であるが、双方のペプチダーゼの至適温度付近であることが望ましい。しかしながら、酵素反応中の雑菌汚染などのリスクを回避するためには50℃以上で酵素分解を行うことが好ましい。例えばスミチームLPの場合、60℃以下の温度で安定であり、至適温度が50℃付近である。酵素分解できる温度は30℃以上60℃以下であり、より好ましくは40℃以上58℃以下が好ましく、より好ましくは50℃以上55℃以下の条件が適している。茶葉タンパク質の分解には、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(例えば、サモアーゼPC10F、スミチームCP)と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(例えば、スミチームACP-G、スミチームFP-G)を組み合わせればよいが、特に好ましいのは中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤でタンパク質を分解し、タンパク質をある程度の大きさのペプチド断片にした後に、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で加水分解を行う組み合わせである。 本発明においては茶葉のアルカリ抽出前後に茶葉の細胞壁や細胞間の結合部の主成分であるヘミセルロース、ペクチン、セルロース等を分解する植物組織分解酵素を併用し、茶葉の細胞壁や細胞間の結合部を分解することでタンパク質の抽出効率を高くし、歩留を上昇させることも可能である。植物組織分解酵素としては、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ(キシラナーゼ)、ペクチナーゼ(ポリガラクツロナーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチンエステラーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ等)、プロトペクチナーゼ等が例示される。本発明に使用可能な植物組織分解酵素としては、微生物、植物、動物由来の酵素ならいずれも使用することができるが、安全性や価格を考慮すれば市販の食品用植物組織分解酵素を用いることが好ましい。植物組織分解酵素を含有する酵素製剤の添加量は特に限定されないが、乾燥茶葉あたり、0.001重量%から1.0重量%の割合で用いるとよく、好ましくは乾燥茶葉あたり、0.01重量%から0.5重量%の割合で、乾燥茶葉あたり、0.02重量%から0.2重量%の割合で用いるのが適当である。植物組織分解酵素を含有する酵素製剤としては、スミチームC、スミチームACH、スミチームPX、スミチームSPC、スミチームMP(新日本化学工業株式会社)、セルラーゼA「アマノ」3、セルラーゼT「アマノ」4、ヘミセルラーゼ「アマノ」90、ペクチナーゼG「アマノ」、ペクチナーゼPL「アマノ」(天野エンザイム株式会社)、スクラーゼA、スクラーゼN、スクラーゼS、スクラーゼC、スクラーゼX(三菱化学フーズ株式会社)、ペクチナーゼXP-534NEO、セルラーゼXL−531、セルラーゼSS(ナガセケムテック株式会社)、マセロチームA、マセレイティングエンザイムY、セルラーゼ“オノズカ”3S、セルラーゼY-NC、ペクチナーゼ3S、ペクチナーゼSS、ペクチナーゼHL(ヤクルト薬品工業株式会社)を例示することができる。また、1種の酵素製剤に2種以上の植物組織分解酵素が含有されていることがある。例えば、スクラーゼXはヘミセルラーゼ(キシラナーゼ)の他に、セルラーゼ、ペクチナーゼ、グルカナーゼを含み、スクラーゼCはセルラーゼの他にヘミセルラーゼ(キシラナーゼ)とペクチナーゼを含有する。植物組織分解酵素を含有する酵素製剤は互いに悪影響を及ぼさない場合は、複数種の植物組織分解酵素やタンパク質分解酵素、脂質分解酵素等を併用してもよい。複数の植物組織分解酵素を含有する酵素製剤を使用する場合は、複数の酵素製剤を同時に作用させて加水分解を行っても、または1種類ずつ逐次に用いて加水分解を行ってもよい。植物組織分解酵素を含有する酵素製剤で酵素分解を行う場合、含有される植物組織分解酵素が安定的に作用できるpHであれば問題なく酵素分解が可能であるが、反応pHを好ましくは至適pH±1.5の範囲で、より好ましくは至適pH±1.0の範囲で、さらに好ましくは至適pH±0.5の範囲で酵素分解を行うとよい。また、工程数を増加させることなく植物組織分解酵素を作用させるには、タンパク質分解酵素との併用となることが考えられるため、中性領域(pHが5.0以上9.0以下)で安定的に作用できる植物組織分解酵素を含有する酵素製剤が望ましく、スクラーゼC、スクラーゼX、ペクチナーゼXP-534NEO、セルラーゼSS、マセレイティングエンザイムYを例示することができる。また、植物組織分解酵素を含有する酵素製剤で酵素分解を行う反応温度は、酵素製剤に含有される植物組織分解酵素が安定的に作用できる温度であれば酵素分解が可能であるが、至適温度であることが望ましい。しかしながら、酵素反応中の雑菌汚染などのリスクを回避するためには50℃以上で酵素分解を行うことが好ましい。例えばスクラーゼCの場合、70℃以下の温度で安定であり、至適温度が60℃付近である。茶葉の植物組織を酵素分解できる温度は30℃以上70℃以下であり、好ましくは40℃以上65℃以下、より好ましくは50℃以上60℃以下の条件が適している。酵素反応液もしくは酵素反応混合物から目的とするタンパク質分解物を得るには、pHを2.0以上5.0以下、好ましくは2.5以上4.5以下、より好ましくは3.0以上4.0以下に調整して、未分解のタンパク質を等電点沈澱処理した後、遠心分離や珪藻土等の濾過助剤を用いた濾過をすることにより、タンパク質分解物溶液を得ることができる。この時に使用する酸は、pH2.0〜5.0に調整できうるものであれば特に限定されないが、飲食物への利用を考慮すれば、塩酸、硫酸、酢酸、リン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸等を例示することができるが、凝集沈殿の効率や製造後の除去のしやすさを考えると、塩酸、硫酸、酢酸を使用することが好ましい。酵素反応混合物(抽出残渣を含む)の場合は、タンパク質を等電点沈殿処理した後に沈殿した未分解タンパク質と同時に抽出残渣を遠心分離や珪藻土等の濾過助剤を用いた濾過を用いて除去することができるし、等電点沈殿処理前に抽出残渣を遠心分離や珪藻土等の濾過助剤を用いた濾過で除去した後、タンパク質を等電点沈殿処理することも可能である。また、上記のpH調整に先だって、タンパク質分解酵素を加熱失活させることも可能である。加熱失活の温度は80℃以上100℃以下、好ましくは90℃以上95℃以下、加熱失活の時間は10分以上30分以下、好ましくは15分以上25分以下である。また、酵素反応液から目的とするタンパク質分解物を得るために、未分解のタンパク質および使用されたタンパク質分解酵素を除去する別の方法としては、抽出残渣等の不溶物を除去した酵素反応液をそのまま限外濾過膜を用いて膜処理し、未分解のタンパク質および使用されたタンパク質分解酵素を除去し、透過液としてタンパク質分解物溶液を得る方法がある。限外濾過膜を利用する場合は血圧降下作用を有するペプチドを透過させることができるものであれば何でもよいが、好ましくは分画分子量1,000以上100,000以下、より好ましくは分画分子量2,500以上50,000以下、さらに好ましくは分画分子量3,000以上5,000以下が適している。酵素反応液からタンパク質分解物溶液を得るためには、上記分画分子量の限外濾過膜のいずれか1種類を用いて限外濾過膜処理を行えば十分であるが、より溶解性と色調に優れたタンパク質分解物を得るためには、例えば初めに分画分子量10,000以上100,000以下の限外濾過膜処理を行い、透過液をさらに分画分子量1,000以上10,000未満の限外濾過膜処理を行う等、2種以上の限外濾過膜を用いてもよい。限外濾過膜の分画分子量を100,000より大きくした場合、透過液に未分解のタンパク質が多く含まれるため、得られるタンパク質分解物の溶解性が悪くなる可能性があり、限外濾過膜の分画分子量が1,000未満の場合、透過液としてのタンパク質分解物中のACE阻害活性ペプチド含有量が低下することが考えられるため、限外濾過膜として好ましくない。得られたタンパク質分解物にはNaClなどの無機塩が含まれているが、電気透析やイオン交換樹脂、ナノ濾過膜を用いて無機塩を除去することができる。また、酵素反応液もしくは酵素反応混合物を等電点沈澱処理した後に得られるタンパク質分解物に含まれる色素は澄明な清涼飲料等の飲食品に違和感を与える可能性があるため、限外濾過膜や活性炭を用いて色素を減少させ、添加した清涼飲料等の飲食品から違和感を除去することもできる。限外濾過膜を利用する場合は血圧降下作用を有するペプチドを透過させることができるものであれば何でもよいが、好ましくは分画分子量1,000以上10,000以下、より好ましくは分画分子量2,000以上8,000以下、さらに好ましくは分画分子量2,500以上5,000以下が適している。また、上記分画分子量の限外濾過膜を1種用いて限外濾過膜処理を行えば目的とするタンパク質分解物を十分製造することができるが、より溶解性と色調に優れたタンパク質分解物を得るために、例えば初めに分画分子量5,000以上10,000以下の限外濾過膜処理を行い、透過液をさらに分画分子量1,000以上5,000未満の限外濾過膜処理を行う等、2種以上の限外濾過膜を用いてもよい。さらに得られたタンパク質分解物の香味上の問題、異臭等に関しては活性炭処理等の手段を行って改善することも可能である。本発明のタンパク質分解物中には、グルタミン酸やアスパラギン酸等のアミノ酸が豊富に含まれるため、血圧降下作用に加えて添加した飲食品へアミノ酸由来のコクとうま味を付与することも可能である。タンパク質分解物中に含まれるアミノ酸含有量は、タンパク質分解物の乾燥固形分に対し1重量%以上であればコクとうま味の増強効果が期待できるが、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上、最も好ましくは10重量%以上であることが良い。また、タンパク質分解物中のアミノ酸含有量が60重量%より多くなった場合、添加する食品へ必要以上のうま味やコクが加わり、食品の風味に違和感や嫌悪感を与える可能性があり、タンパク質分解物中に含まれるACE阻害活性ペプチドの含有量の低下が懸念されるため、アミノ酸含有量は乾燥固形分当たり60重量%以下であることが好ましく、より好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下、最も好ましくは30重量%以下である。さらに、本分解物中にはACE阻害剤の治療効果を高めると報告されているアルギニンも含まれており、分解物の血圧降下作用を高める可能性が期待できる。そのため、血圧降下作用の観点からはアルギニンが多く含まれることが望ましいが、アルギニンの強い苦味が食品の味に及ぼす影響を考慮すると、アスパラギン酸とグルタミン酸の重量%の和とアルギニンの重量%との比{Arg/(Asp+Glu)}は0.34以上2.00以下であることが好ましく、より好ましくは0.35以上1.60以下、さらに好ましくは0.40以上1.00以下である。尚、本明細書中で記載している“アミノ酸含有量”のアミノ酸類はタンパク質分解物中のアスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン(Asn)、セリン(Ser)、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、テアニン(Thea)、γ-アミノ酪酸(GABA)の10 種類であり、“アミノ酸含有量”はタンパク質分解物乾燥固形中に含まれる上記10種類のアミノ酸の合計含有量である。また、本発明のタンパク質分解物は、強力なACE阻害活性ペプチドIle-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpを乾燥固形中に合計で0.07重量%以上含有しているため、優れた血圧降下作用が期待できる。また、上記ジペプチド以外にも、強力なACE阻害活性ジペプチドとして知られているVal-TyrとAla-Trpも乾燥固形中に合計で0.05重量%以上含有している。尚、本明細書中で、Tyrはチロシン、Alaはアラニン、Leuはロイシン、Valはバリン、Ileはイソロイシン、Trpはトリプトファンを意味し、その他のアミノ酸残基を表す各記号もアミノ酸化学における慣用の表示法に基づくものである。さらに、得られたタンパク質分解物の溶液をそのままスプレードライや凍結乾燥等の方法により乾燥し、粉末化することもできるが、より好ましい方法としては、得られたタンパク質分解物溶液に、澱粉、化工澱粉、デキストリン、環状デキストリン、還元水飴、水飴、難消化性デキストリン、オリゴ糖、α化澱粉・アラビアガム等の粉末化基材を添加溶解後、スプレードライ、凍結乾燥等の方法により乾燥することにより、タンパク質分解物を粉末化し、食品素材或いは食品添加剤とすることもできる。上記粉末化基材はタンパク質分解物と混合された状態で粉末化できうる量であればいくらでも含有させてもよいが、食品素材或いは食品添加剤の乾燥固形分中における粉末化基材の重量%(固形分質量比率)は5から95%の範囲での含有が好ましく、粉末化基材の含有量が増すことにより、タンパク質分解物が有している呈味性の損失や、飲食物への添加量が増加してしまうことを考慮すると、粉末化基材は固形分質量比率10%から70%の範囲で、好ましくは12%から50%の範囲で、より好ましくは15%から30%の範囲で含有させることが適している。また、タンパク質分解物溶液を減圧濃縮、膜濃縮を用いて調製した液体状のタンパク質分解物エキスを食品素材或いは食品添加剤とすることもできる。本発明のタンパク質分解物は呈味性(旨味、コク)、溶解性及び色調に優れているため、飲料、農水産加工品、乳製品、菓子、調味料、フリーズドライ食品、レトルト食品等の食品や健康食品に含有させることができる。食品としては特に制限はされないが、具体的に対象となる食品としては、以下のものが挙げられる。茶系飲料、コーヒー飲料、炭酸飲料、果実飲料、果実酒類、野菜飲料、清涼飲料、乳飲料類、乳酸菌飲料類、ドリンク剤類、スポーツドリンク、豆乳などの飲料類;アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓、ヨーグルト、プリン、ゼリーなどのデザート類;饅頭、羊羹、キャラメル、キャンディー、錠菓、スナック、クラッカー、ビスケット、クッキー、パイ、チョコレート、チューインガムなどの菓子類;和風スープ、洋風スープ、中華スープ、味噌汁などのスープ類;パン類;ジャム類;マヨネーズ、ドレッシングなどの調味料類;レトルトカレー等のレトルト食品などを挙げることができる。尚、本発明のタンパク質分解物を飲食品に含有させる場合、添加量としては飲食品1食あたり10mgから2,000mg、好ましくは50mgから1,000mg、より好ましくは100mgから800mg、さらに好ましくは200mgから600mgが適当である。本発明の食品素材あるいは食品添加剤は、タンパク質分解物の呈味性、優れた溶解性及び優れた色調といった特徴をそのまま有しているため、上記タンパク質分解物と同様に、飲料、農水産加工品、乳製品、菓子、調味料、フリーズドライ食品、レトルト食品等の食品や健康食品に含有させることができる。本発明のタンパク質分解物或いは該タンパク質分解物を含有する食品素材或いは食品添加剤は、優れた溶解性をもつ固形粉末あるいは液体状エキスであることから、粉末清涼飲料或いは液体清涼飲料(以下、清涼飲料)に添加することも可能である。また、本発明のタンパク質分解物或いは食品素材は呈味性に優れていることから、清涼飲料にコクとうま味を付与することが出来る。さらに、色調が優れていることから、澄明な清涼飲料に添加しても、清涼飲料に違和感を与えることはない。清涼飲料としては特に制限はされないが、具体的に対象となる清涼飲料としては、以下のものが挙げられる。緑茶飲料、紅茶飲料、烏龍茶飲料、麦茶飲料、はと麦茶飲料、甜茶飲料、プーアル茶飲料、ジャスミン茶飲料、抹茶飲料、ブレンド茶飲料、杜仲茶飲料、玄米茶飲料、マテ茶飲料等の茶系飲料類;スポーツ飲料類;コーヒー、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料等のコーヒー飲料類;トマトジュース、ニンジンジュース、野菜ジュース、野菜果汁ミックスジュース等の野菜飲料類;コーラ炭酸飲料、透明炭酸飲料、果汁入り炭酸飲料、果実着色炭酸飲料、乳類入り炭酸飲料、栄養ドリンク炭酸飲料等の炭酸飲料類;天然果汁、果汁飲料、果肉飲料、果汁入り混合飲料等の果実飲料類などを挙げることができる。このようにして得られたタンパク質分解物は強力なACE阻害活性ペプチドIle-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpを多量に含有しており、経口摂取によっても強い血圧降下作用を示すことから、有用な血圧降下剤としても用いることができる。さらに水への溶解性が良く、熱に対しても比較的安定であることから、各種飲食物の形態および医薬品製剤のいずれにも適用することができる。 各種飲食物の形態であれば、上記タンパク質分解物と同様に、飲料、農水産加工品、乳製品、菓子、調味料、フリーズドライ食品、レトルト食品等の食品や健康食品に含有させることができる。また、医薬品製剤の形態であれば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、シロップ等の経口投与剤が好ましい。 本発明のタンパク質分解物は強力なACE阻害活性ペプチドIle-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpを多量に含有しているため、極めて有用なACE阻害剤として用いることができる。なお、本発明における「タンパク質分解物」、「ペプチダーゼ処理物」、「ペプチド混合物」もしくは「分解物」とは、タンパク質を加水分解して得られるペプチドを含有する混合物を意味し、その中に、低分子量タンパク質、アミノ酸、糖類、もしくは無機塩等を含有してもよい。また、抽出混合物とは少なくとも可溶性画分である抽出液と抽出残渣が混在している状態を示し、酵素反応混合物とは少なくとも酵素反応後の可溶性画分である酵素反応液と抽出残渣が混在している状態を示す。以下、本発明の実施例を詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。タンパク質分解酵素活性の測定方法、本実施例において調製されたタンパク質分解物のACE阻害活性の測定方法、およびタンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量分析方法は以下の通りである。<アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害活性試験法>本発明におけるACE阻害活性(IC50)は、以下の方法に従って測定した。 緩衝液:150mM HEPES、450mM NaCl(pH 8.3) 酵素:ウサギ肺由来ACE(Sigma) 1mg/mL 牛血清アルブミン水溶液に溶解し、濃度を100mU/mLに調整。 基質:Benzoyl−Gly−His−Leu・H2O(ペプチド研究所) 上記緩衝液に溶解し、濃度を6 mMに調整する。本発明物質を含む水溶液70μLをeppendorf社の protein LoBind tube (1.5 mL)に入れ、基質溶液200μLを加えて十分に攪拌後、37℃、5分間インキュベートした。酵素溶液30μLを添加して、37℃、30分間反応後、1M酢酸ナトリウムバッファー(pH4.0)を200μL加えて反応を停止させた。反応停止後、8,000×gで遠心分離を行い、上清をHPLC分析に供し、ACEにより加水分解されたBenzoyl-Gly量を定量した(A)。ここで、1M酢酸ナトリウムバッファー(pH 4.0)200μLを加えた後に、酵素を添加したもののBenzoyl-Gly量をblank(B)、阻害物質水溶液の代わりに水を加え、ACE反応させたもののBenzoyl-Gly量をcontrol(C)とし、それぞれのBenzoyl-Gly量を下記式に代入して阻害率を算出した。阻害率(%)={1−(A−B)/(C−B)}×100また、阻害剤の濃度を段階的に調製し、それぞれの阻害率を導き、終濃度を横軸、阻害率を縦軸として、各結果をプロットし、得られる曲線が50%の阻害率を通過する点の終濃度をIC50値とした。<高速液体クロマトグラフィー(HPLC)条件>カラム:Capcell pak MGII(I.D.3.0×100mm,粒子径3μm,資生堂)ガードカラム:Guard cartridge Capcell pak C18 MGII S-3(I.D.3.0×10mm,資生堂)カラム温度:40℃検出:PDA 210-400nm(解析波長228nm)移動相:水:アセトニトリル:リン酸=800:200:0.5+500mg/L硫酸ナトリウム流速:0.56mL/分インジェクション量:10μL<タンパク質分解酵素活性測定法(カゼイン-フォリン法)>基質液は、和光純薬製カゼイン(Hammerstein処方)の0.6%緩衝溶液を用いた。基質液2mLに酵素溶液0.4mLを添加し、30℃、10分間反応させた。次いで、440mMトリクロロ酢酸水溶液2mLを加えることで反応を停止させた後、反応液を0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、酸可溶性分解物の量をフォリン法により測定した。1分間に1μgチロシンに相当するフォリン試液呈色物質の増加をもたらす酵素量を1ユニットとした(以下、特に断りのない限り、プロテアーゼ活性のユニットとは本法で測定されたユニット数をさす)。<液体クロマトグラフィー 電界噴霧エレクトロスプレーイオン化法 質量分析法(LC-ESI-MS)によるジペプチドの定量分析>タンパク質分解物を25〜50mg秤量して水に溶解させた後に50mLに定容し、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、ジペプチド定量測定試料とした。測定試料はODSカラムを用いてHPLCで分離し、三連四重極型質量分析装置(ABI社製、API3200)のMRMモードで検出、定量した。<HPLC条件>カラム:Capcell pak MG (I.D.2.0×100mm,粒子径3μm,資生堂)カラム温度:40℃移動相:(A)水:アセトニトリル:ギ酸=98:2:0.1(B)水:アセトニトリル:ギ酸=45:55:0.1流速:0.2mL/分サンプル注入量:10μL勾配:0〜4分:0%移動相(B) 4〜22分:0〜35%移動相(B) 22〜24.5分:35%移動相(B)<MS条件>ionization:ESIscan type:MRMpolarity:positiveion source:Turbo spraycurtain gas:25collision gas:3ion spray voltage:5500temperature: 550℃ion source gas1: 70ion source gas2: 40<アミノ酸の定量分析>タンパク質分解物を40mg秤量して水に溶解させ、内部標準物質のβ-アラニン水溶液(250mg/L)を1mL添加した後に50mLに定容し0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、アミノ酸測定試料とした。定量するアミノ酸はアスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン(Asn)、セリン(Ser)、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、テアニン(Thea)、γ-アミノ酪酸(GABA)の10 種とした。測定はオルトフタルアルデヒドを用いて誘導体化{0.05M 四ホウ酸ナトリウム 溶液1.0 mLに2−メルカプトエタノール(和光純薬、生化学用)10μL、オルトフタルアルデヒド のエタノール溶液120μLを加えて反応}したのち、ODSカラムを用いてHPLC で分離、蛍光検出器で検出、定量した。<HPLC 分析条件>カラム:Develosil ODS-UG-3 4.6×75mm(野村化学株式会社)カラム温度:40℃蛍光検出:励起波長340nm、蛍光波長455nm移動相:(A)5mM クエン酸カリウム緩衝液(pH6):アセトニトリル=19:1(B)5mM クエン酸カリウム緩衝液(pH6):アセトニトリル=3:7流速:1 mL/min勾配:0min:5%移動相(B),0〜2.5min:5〜12%移動相(B),2.5〜19min:12%〜20%移動相(B)<含水エタノール{エタノール/水=3/2(v/v)}におけるタンパク質分解物の沈殿量測定>マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩(カートリッジ:AC110-10もしくはAC110-20、脱塩終了時の電流:0.01 A以下)した茶葉タンパク質分解物を15mL容の遠沈管に50mg秤量して4mLの水に溶解させた後、エタノールを6mL加えて混和させた。4℃で18時間静置した後、遠心分離(3,000 rpm、30分間)により上清を除去し、沈殿物を凍結乾燥し、沈殿の重量を測定した。実施例1:緑茶葉(やぶきた種、静岡県産、2番茶)20gを60℃の熱水(300g)で抽出した後、茶葉をさらに90℃の熱水(300g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.05M水酸化ナトリウム水溶液(280mL)に浸漬し、60℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。得られた抽出混合物を50℃に調整し、2M塩酸を加えてpHを7.0に調整し、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼC160)を6,000ユニットを50℃で2時間作用させた。この酵素反応混合物を1 M塩酸でpHを4.2に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2,700ユニット加え、50℃で2時間作用させた。反応終了後、1M塩酸でpHを3.2に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。酵素反応混合物を室温に戻し、珪藻土を10g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2 、アドバンテック社製) で濾過することにより不溶物(抽出残渣と未反応タンパク質)を除去した。得られた濾液(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)を1M 水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整してマイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物3.7g(歩留:18.5%)を得た。実施例2: 緑茶葉(やぶきた種、静岡県産、2番茶)20gを60℃の熱水(300g)で抽出した後、茶葉をさらに90℃の熱水(300g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.05M水酸化ナトリウム水溶液(280mL)に浸漬し、50℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。得られた抽出混合物を2M塩酸を加えてpHを7.2に調整し、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼC160)を6,000ユニットを50℃で2時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。この酵素反応混合物を室温まで冷却させた後、遠心分離(4,500×g、60分間)により抽出残渣を除去した。得られた上清(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液と可溶化している未反応タンパク質の混合液)を1M塩酸でpHを3.2に調整し、珪藻土を10g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2 、アドバンテック社製) で濾過することにより未反応のタンパク質を除去した。次に得られた濾液(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)を0.5M水酸化ナトリウム水溶液でpH4.3に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を1,800ユニット加え、50℃で2時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。酵素反応液(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)を室温に戻し、0.5M水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整してマイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物2.9g(歩留:14.5%)を得た。実施例3: 緑茶葉(やぶきた種、静岡県産、2番茶)20gを60℃の熱水(300g)で抽出した後、茶葉をさらに90℃の熱水(300g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.05M水酸化ナトリウム水溶液(280mL)に浸漬し、50℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。得られた抽出混合物を2M塩酸を加えてpHを7.0に調整し、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼC160)を6,000ユニットを50℃で2時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。この酵素反応混合物を室温まで冷却させた後、酵素反応混合物を遠心分離 (4,500×g、60分間)により抽出残渣を除去した。得られた上清(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液と可溶化している未反応タンパク質の混合液)を1M塩酸でpHを4.2に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を1,800ユニット加え、50℃で2時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。酵素反応液と不溶化した未反応タンパク質の混合物を室温に戻し、珪藻土を10g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2 、アドバンテック社製) で濾過することにより未反応のタンパク質を除去した。得られた濾液(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)を1M水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整してマイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物3.5g(歩留:17.5%)を得た。実施例4: 緑茶葉(やぶきた種、静岡県産、2番茶)20gを60℃の熱水(200g)で抽出した後、茶葉をさらに90℃の熱水(200g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.1M水酸化ナトリウム水溶液(280mL)に浸漬し、80℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。得られた抽出混合物を50℃まで冷却させた後、2M塩酸を加えてpHを5.9に調整し、中性エンドペプチダーゼ活性と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームLP)を4,000ユニットを50℃で4時間作用させた。この酵素反応混合物を1M塩酸でpHを3.2に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。酵素反応混合物を室温に戻し、珪藻土を10g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2 、アドバンテック社製) で濾過することにより不溶物(抽出残渣と未反応タンパク質)を除去した。得られた濾液(中性エンドペプチダーゼ活性と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)を1M水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整してマイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物4.3g(歩留:21.5%)を得た。実施例5: 烏龍茶葉(色種)20gを90℃の熱水(400g)で抽出した後、茶葉をさらに95℃の熱水(400g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.05M水酸化ナトリウム水溶液(280mL)に浸漬し、50℃で15時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。得られた抽出混合物を2M塩酸を加えてpHを6.5に調整し、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼC160)を6,000ユニットを50℃で2時間作用させた。この酵素反応混合物を1M塩酸でpHを4.3に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2,700ユニット加え、50℃で2時間作用させた。反応終了後、1M塩酸でpHを3.3に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。酵素反応混合物を室温に戻し、珪藻土を10g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2 、アドバンテック社製) で濾過することにより不溶物(抽出残渣と未反応タンパク質)を除去した。得られた濾液(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)を1M水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整してマイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物1.83g(歩留:9.2%)を得た。実施例6: 紅茶葉(ディンブラ)20gを90℃の熱水(300g)で抽出した後、茶葉をさらに95℃の熱水(300g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.05M水酸化カリウム水溶液(280mL)に浸漬し、50℃で15時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。得られた抽出混合物を2M塩酸を加えてpHを7.5に調整し、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼC160)を6,000ユニットを50℃で2時間作用させた。この酵素反応混合物を1M塩酸でpHを4.0に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2,700ユニット加え、50℃で2時間作用させた。反応終了後、1M 塩酸でpHを3.3に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。酵素反応混合物を室温に戻し、珪藻土を10g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2 、アドバンテック社製) で濾過することにより不溶物(抽出残渣と未反応タンパク質)を除去した。得られた濾液(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)を1M水酸化カリウム水溶液でpH7に調整してマイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物1.98g(歩留:9.9%)を得た。<タンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量>実施例1から6で調製されたタンパク質分解物を水に溶解させ0.8mg/mLに調整した後に、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、5種類のACE阻害活性ジペプチド(Ala-Trp、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp、Val-Tyr)をLC-ESI-MSで定量した(表1)。以上のことから、実施例1から6で調製されたいずれの分解物中にもAla-Trp、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-TrpおよびVal-TyrといったACE阻害活性ジペプチドが含有されており、いずれのタンパク質分解物の乾燥固形中にもIle-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpが合計で0.079重量%以上、Ala-Trp、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpが合計で0.096重量%以上、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp、Val-Tyrが合計で0.115重量%以上、Ala-Trp、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp、Val-Tyrが合計で0.132重量%以上含有されていた。また、実施例1から6で調製された分解物について、ACE阻害活性を測定した(表2)以上の結果から、実施例1から6で調製された分解物は、いずれもACE阻害活性を有していた。比較例1:<緑茶葉からの茶葉タンパク質の調製>緑茶葉(ゆたかみどり種、鹿児島産、2番茶)200gを65℃の熱水(4000g)で抽出した後、茶葉をさらに95℃の熱水(4000g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.125M水酸化ナトリウム水溶液2.8 Lに浸漬し、80℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。 抽出混合物を室温まで冷却した後、抽出混合物を1M塩酸によりpH7に調整し、珪藻土を420g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2 、アドバンテック社製) で濾過することにより抽出残渣を除去した。得られた濾液(タンパク質溶液)を2M塩酸によりpH3.5に調整してタンパク質を等電点沈澱させ、遠心分離 (4,500×g、60分間)で沈殿を回収後、凍結乾燥することにより、茶葉タンパク質28.7gを得た。<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>得られたタンパク質のうち、5gを0.5M水酸化ナトリウム水溶液で加熱溶解させ、1M塩酸でpH7に調整した。このタンパク質水溶液に水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を5000ユニット添加し、60℃で4時間酵素分解を行った。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、1M塩酸でpHを3.5に調整し未分解のタンパク質を沈殿させた。この沈殿物を、遠心分離(4,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清を0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH4.5に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2000ユニット加え、50℃で4時間作用させた。反応終了後、0.2M水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。酵素反応液は室温に戻し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物1.8g(茶葉からの歩留:5.2%)を得た。比較例2:<烏龍茶葉からの茶葉タンパク質の調製>烏龍茶葉(色種)10gを300mL(30倍量)の熱水(90℃)で5分間抽出した後、茶葉をさらに300mL(30倍量)の熱水(90℃)で10分間、二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を0.15M水酸化カリウム水溶液140 mL中に浸漬し、80℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。抽出混合物を1M塩酸を用いてpH6に調整し、遠心分離 (4,500×g、60分間)により抽出残渣を除去後、得られた上清(タンパク質溶液)を0.5M塩酸によりpHを3に調製し等電点沈澱させ、遠心分離 (4,500×g、120分間)を行うことにより茶葉タンパク質1.75gを得た。<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>得られたタンパク質のうち、500mgを水で湿潤後、500mM水酸化カリウム水溶液を加えて溶解させた後、2M塩酸を加えてpH7に調整し、水で80mLに定容した。その後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を500ユニット加え、37℃で4時間作用させて、タンパク質を分解した。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加温後、0.1M塩酸でpHを3.5に調整し、沈澱した未分解のタンパク質およびタンパク質分解酵素を、遠心分離(3,000×g、60分間)により除去し上清を回収した。得られた上清を0.1M水酸化カリウム水溶液でpH4に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を200ユニット加え、37℃で4時間作用させた。反応終了後、0.1M水酸化カリウム水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間加熱した。酵素反応液は室温に戻し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、茶葉タンパク質分解物171mg(烏龍茶葉からの歩留:6.0%)を得た。比較例3:<紅茶葉からの茶葉タンパク質の調製>紅茶葉(ディンブラ)10gを300mL(30倍量)の熱水(90℃)で5分間抽出した後、茶葉をさらに300mL(30倍量)の熱水(90℃)で10分間、二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を0.15M水酸化カリウム水溶液140 mL中に浸漬し、80℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。抽出混合物を1M塩酸を用いてpH6に調整し、遠心分離 (4,500×g、60分間)により抽出残渣を除去後、得られた上清(タンパク質溶液)を0.5M塩酸によりpHを3に調製し等電点沈澱させ、遠心分離 (4,500×g、120分間)を行うことにより茶葉タンパク質1.54gを得た。<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>得られたタンパク質のうち、500mgを水で湿潤後、500mM水酸化カリウム水溶液を加えて溶解させた後、2M塩酸を加えてpH7に調整し、水で80mLに定容した。その後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を500ユニット加え、37℃で4時間作用させて、タンパク質を分解した。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加温後、0.1M塩酸でpHを3.5に調整し、沈澱した未分解のタンパク質およびタンパク質分解酵素を、遠心分離(3,000×g、60分間)により除去し上清を回収した。得られた上清を0.1M水酸化カリウム水溶液でpH4に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を200ユニット加え、37℃で4時間作用させた。反応終了後、0.1M水酸化カリウム水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間加熱した。酵素反応液は室温に戻し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、茶葉タンパク質分解物157mg(紅茶葉からの歩留:4.8%)を得た。比較例4:抹茶尿素可溶タンパク質のサーモリシン分解物の調製<尿素可溶タンパク質の調製>抹茶(商品名:あすかの、三井農林株式会社製)5gを7M尿素水溶液500mL(尿素210 g/500mL)に分散溶解させ、10分間かき混ぜた後に50mLの遠沈管に分注し、3,500×gで20分間遠心分離し、上清(タンパク質溶液)を回収した。得られた上清を透析膜に入れ、透析により尿素を除去した。透析膜内のタンパク質を回収後、凍結乾燥を行い、抹茶尿素可溶タンパク質を460mg得た。<尿素可溶タンパク質からのタンパク質分解物の製造>得られた抹茶尿素可溶タンパク質200mgを水200mLに分散溶解させた後、サーモリシン(Sigma-Aldrich)5000ユニットを加え37℃で5時間作用させて、タンパク質を分解した。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加熱後、不溶物を遠心分離(3,500×g、30分間)により除去し上清(酵素反応液)を回収した。得られた上清はマイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後凍結乾燥を行い、抹茶尿素可溶タンパク質のサーモリシン分解物を190mg(抹茶からの歩留:8.8%)得た。<タンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量>比較例1から4で調製されたタンパク質分解物を水に溶解させ0.8mg/mLに調整した後に、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、5種類のACE阻害活性ジペプチド(Ala-Trp、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp、Val-Tyr)をLC-ESI-MSで定量した(表3)。<タンパク質分解物中のアミノ酸の定量>実施例1から6、比較例1から4で調製されたタンパク質分解物のアミノ酸含有率を測定した(表4)。実施例1から5のプロテアーゼ分解物においては、乾燥固形中にArgが最も多く含有していたのに対し、比較例1から3のタンパク質分解物においてはGluが最も多く含有していた。また、Arg含量に対するAspとGluの含有量の和の比{Arg/(Asp+Glu)}を算出すると実施例1から6の分解物においては0.6以上であるのに対し、比較例1から3の分解物においては.0.4未満であった。比較例4はAspとGluの含有が認められなかった。<含水エタノール{エタノール/水=3/2(v/v)}におけるタンパク質分解物の沈殿量測定>実施例1から6、比較例1から4で調製されたタンパク質分解物の含水エタノール{エタノール/水=3/2(v/v)}における沈殿量を測定した(表5)。以上のことから、実施例1から6で調製されたタンパク質分解物は、いずれも含水エタノール{エタノール/水=3/2(v/v)}において、分解物あたり20重量%以上が沈殿したのに対し、比較例1から4のタンパク質分解物はいずれも20重量%未満であった。実施例7:緑茶葉(やぶきた種、静岡県産、2番茶)20gを60℃の熱水(300g)で抽出した後、茶葉をさらに90℃の熱水(300g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.05M水酸化ナトリウム水溶液(280mL)に浸漬し、50℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。得られた抽出混合物に2M塩酸を加えてpHを7.0に調整し、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼC160)6,000ユニット、スクラーゼX 40mgを50℃で2時間作用させた。この酵素反応混合物を1M塩酸でpHを4.2に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2,700ユニット加え、50℃で2時間作用させた。反応終了後、1M塩酸でpHを3.1に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。酵素反応混合物を室温に戻し、珪藻土を10g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2 、アドバンテック社製) で濾過することにより不溶物(抽出残渣と未反応タンパク質)を除去した。得られた濾液(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液))を1M水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整して凍結乾燥を行い、タンパク質分解物5.4g(歩留:27.0%)を得た。実施例8:緑茶葉(やぶきた種、静岡県産、2番茶)20gを60℃の熱水(300g)で抽出した後、茶葉をさらに90℃の熱水(300g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、水(266mL)に浸漬した後、スクラーゼC(20mg)とペクチナーゼXP-534(20mg)をそれぞれ添加して50℃で2時間攪拌した。その後、1M水酸化カリウムを14mL加えて(終濃度:0.05M水酸化カリウム)50℃で2時間攪拌し茶葉タンパク質を溶解抽出した。得られた抽出混合物に2M塩酸を加えてpHを7.0に調整し、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼC160)12,000ユニット、スクラーゼX(20mg)を50℃で2時間作用させた。この酵素反応混合物を1M塩酸でpHを4.3に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2,700ユニット加え、50℃で2時間作用させた。反応終了後、1M塩酸でpHを3.1に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。反応液は室温に戻し、珪藻土を10g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2 、アドバンテック社製)で濾過することにより不溶物(抽出残渣および未分解のタンパク質)を除去した。得られた濾液(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)を1M水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整して凍結乾燥を行い、タンパク質分解物6.4g(歩留:32.0%)を得た。実施例9: 緑茶葉(やぶきた種、静岡県産、2番茶)20gを60℃の熱水(300g)で抽出した後、茶葉をさらに90℃の熱水(300g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.05M水酸化カリウム水溶液(280mL)に浸漬し、50℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。得られた抽出混合物を2M塩酸を加えてpHを7.0に調整し、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼC160)を12,000ユニット、スクラーゼC(20mg)、スクラーゼX(20mg)、ペクチナーゼXP-534 NEO(20mg)を50℃で2時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。この酵素反応混合物を室温まで冷却させた後、酵素反応混合物を遠心分離 (4,500×g、60分間)により抽出残渣を除去した。得られた上清を1M塩酸でpHを3.1に調整し、珪藻土を10g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2 、アドバンテック社製) で濾過することにより未反応のタンパク質を除去した。次に得られた濾液(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)を0.5M水酸化ナトリウム水溶液でpH4.3に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2,700ユニット加え、50℃で2時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。酵素反応液(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)は室温に戻し、0.5M水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整して、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物5.4g(歩留:27.0%)を得た。実施例10: 緑茶葉(やぶきた種、静岡県産、2番茶)20gを60℃の熱水(300g)で抽出した後、茶葉をさらに90℃の熱水(300g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.05M水酸化ナトリウム水溶液(280mL)に浸漬し、50℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。得られた抽出混合物を2M塩酸を加えてpHを7.0に調整し、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼC160)を12,000ユニット、スクラーゼC(20mg)、スクラーゼX(20mg)、ペクチナーゼXP-534 NEO(20mg)を50℃で2時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。この酵素反応混合物を室温まで冷却させた後、酵素反応混合物を遠心分離 (4,500×g、60分間)により抽出残渣を除去した。得られた上清を1M塩酸でpHを4.3に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2,700ユニット加え、50℃で2時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。酵素反応液(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)と未反応タンパク質を室温に戻し、珪藻土を10g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2 、アドバンテック社製) で濾過することにより未反応のタンパク質を除去した。得られた濾液を1M水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整して凍結乾燥を行い、タンパク質分解物6.0g(歩留:30.0%)を得た。<タンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量>実施例7から10で調製されたタンパク質分解物を水に溶解させ0.8mg/mLに調整した後に、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、5種類のACE阻害活性ジペプチド(Ala-Trp、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp、Val-Tyr)をLC-ESI-MSで定量した(表6)。以上の結果から、茶葉のアルカリ抽出工程の前工程または後工程に植物組織分解酵素を作用させて調製した実施例7から10の茶葉タンパク質分解物においても、実施例1から6と同様にAla-Trp、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-TrpおよびVal-TyrといったACE阻害活性ジペプチドが含有されており、いずれのタンパク質分解物の乾燥固形中にIle-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpの合計で0.145重量%以上、Ala-Trp、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpの合計で0.170重量%以上、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp、Val-Tyrの合計で0.209重量%以上、Ala-Trp、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp、Val-Tyrの合計で0.234重量%以上であった。また、実施例7から10で調製された分解物について、ACE阻害活性を測定した(表7)。実施例1から6で調製された分解物と同様に、植物組織分解酵素を作用させて調製した分解物(実施例7から実施例10の分解物)は、いずれもACE阻害活性を有していた。<タンパク質分解物中のアミノ酸の定量>実施例7から10で調製されたタンパク質分解物のアミノ酸含有率を測定した(表8)。茶葉のアルカリ抽出工程の前工程または後工程に植物組織分解酵素を作用させて調製した実施例7から10のプロテアーゼ分解物は、実施例1から5のプロテアーゼ分解物と同様に乾燥固形中にArgが最も多く含有していた。また、Arg含量に対するAspとGluの含有量の和の比{Arg/(Asp+Glu)}を算出すると実施例7から10の分解物においても実施例1から6の分解物と同様に0.6以上であった。<含水エタノール{エタノール/水=3/2(v/v)}におけるタンパク質分解物の沈殿量測定>実施例1から6、比較例1および2で調製されたタンパク質分解物の含水エタノール{エタノール/水=3/2(v/v)における沈殿量を測定した(表9)。以上のことから、実施例7から10で調製されたタンパク質分解物は、いずれも含水エタノール{エタノール/水=3/2(v/v)}において、分解物20重量%以上が沈殿した。参考例:実施例と比較例の茶葉から得られるACE阻害活性ペプチド量の比較 実施例1から10および比較例1から4の茶葉1kgから得られるACE阻害活性ペプチド量(mg)を算出し比較した(表10)各茶種毎において比較したところ、茶葉1kgから得られるACE阻害活性ペプチド量は比較例に対してして実施例で調製したタンパク質分解物で、それぞれ大幅に増加した。このことから、本製法は工程の簡略化を図れるだけでなく効率的にACE阻害活性ペプチドを得ることができる方法であることが確認できた。また、最も回収量の多いIle-Tyrに着目すると、実施例1から10のいずれのタンパク質分解物においては、原料茶葉1kgから得られるIle-Tyrが70mg(乾燥茶葉あたりの回収率で0.0070重量%)以上であったのに対し、比較例1から4のいずれのタンパク質分解物においては、茶葉1kgから得られるIle-Tyrが60mg(乾燥茶葉あたりの回収率で0.0060重量%)以下であった。製造例1烏龍茶葉(色種)1kgを90℃の熱水(15kg)で抽出した後、茶葉をさらに90℃の熱水(15kg)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.1M水酸化カリウム水溶液(15L)に浸漬し、50℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。得られた抽出混合物を2M塩酸を加えてpHを6.8に調整し、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼC160)を300,000ユニットを65℃で2時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。この酵素反応混合物を室温まで冷却させた後、酵素反応混合物を遠心分離 (4,500×g、60分間)により抽出残渣を除去した。得られた上清を1M塩酸でpHを4.8に調整し、珪藻土を500g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2 、アドバンテック社製) で濾過することにより未反応のタンパク質を除去した。次に得られた濾液(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)を0.5M塩酸でpH4.5に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を90,000ユニット加え、50℃で2時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。酵素反応液(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)は室温に戻し、0.5M水酸化カリウム水溶液でpH7に調整して凍結乾燥を行い、タンパク質分解物161g(歩留:16.1%)を得た。製造例2紅茶葉(アッサム種)1kgを60℃の熱水(6kg)で抽出した後、茶葉をさらに90℃の熱水(6kg)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.03M水酸化カリウム水溶液(12L)に浸漬し、70℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。得られた抽出混合物を2M塩酸を加えてpHを7.5に調整し、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼC160)を400,000ユニットを55℃で3時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。この酵素反応混合物を室温まで冷却させた後、酵素反応混合物を遠心分離 (4,500×g、60分間)により抽出残渣を除去した。得られた上清(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)を1M塩酸でpHを3.5に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を1,800ユニット加え、50℃で2時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。反応液のpHを1M塩酸でpH2.2に調整し、珪藻土を500g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2 、アドバンテック社製) で濾過することにより未反応のタンパク質を除去した。得られた濾液(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)を1M 水酸化カリウム水溶液でpH7に調整して凍結乾燥を行い、タンパク質分解物112g(歩留:11.2%)を得た。製造例3烏龍茶葉(色種)1kgを60℃の熱水(15kg)で抽出した後、茶葉をさらに90℃の熱水(15kg)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、水(13L)に浸漬した後、スクラーゼC(2g)を添加して50℃で2時間攪拌した。その後、1M水酸化カリウムを270mL加えて(終濃度:0.02M水酸化カリウム)を加え、50℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。得られた抽出混合物を2M塩酸を加えてpHを7.0に調整し、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼC160)を500,000ユニットを50℃で2時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。この酵素反応混合物を室温まで冷却させた後、酵素反応混合物を遠心分離 (4,500×g、60分間)により抽出残渣を除去した。得られた上清(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)を1M塩酸でpHを4.2に調整し、珪藻土を500g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2 、アドバンテック社製) で濾過することにより未反応のタンパク質を除去した。次に得られた濾液(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)を0.5M水酸化カリウム水溶液でpH3.5に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を140,000ユニット加え、50℃で2時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。酵素反応液(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)は室温に戻し、0.5M水酸化カリウム水溶液でpH7に調整して、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物151g(歩留:15.1%)を得た。製造例4紅茶葉(ディンブラ)1kgを60℃の熱水(15kg)で抽出した後、茶葉をさらに90℃の熱水(15kg)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、水(13L)に浸漬した後、スクラーゼC(2g)を添加して50℃で2時間攪拌した。その後、1M水酸化カリウムを270mL加えて(終濃度:0.02M水酸化カリウム)を加え、50℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。得られた抽出混合物を2M塩酸を加えてpHを7.0に調整し、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼC160)を500,000ユニットを50℃で2時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。この酵素反応混合物を室温まで冷却させた後、酵素反応混合物を遠心分離 (4,500×g、60分間)により抽出残渣を除去した。得られた上清(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)を1M塩酸でpHを4.3に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を54,000ユニット加え、50℃で2時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。酵素反応混合液と不溶化した未反応タンパク質の混合物は室温に戻し、珪藻土を1kg加えてよく攪拌し、濾紙(No.2、アドバンテック社製) で濾過することにより未反応のタンパク質を除去した。得られた濾液(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)を1M水酸化カリウム水溶液でpH7に調整して凍結乾燥を行い、タンパク質分解物129g(歩留:12.9%)を得た。製造例5緑茶葉(ゆたかみどり種、鹿児島県産、2番茶)2kgを60℃の熱水(30kg)で抽出した後、茶葉をさらに90℃の熱水(30kg)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、水(27L)に浸漬した後、マセレイティングエンザイムY(2g)を添加して50℃で2時間攪拌した。その後、1M水酸化カリウムを270mL加えて(終濃度:0.01M水酸化カリウム)50℃で2時間攪拌し茶葉タンパク質を溶解抽出した。得られた抽出混合物に2M塩酸を加えてpHを7.0に調整し、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼC160)1,200,000ユニットを50℃で2時間作用させた。この酵素反応混合物を1M塩酸でpHを3.7に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を270,000ユニット加え、50℃で2時間作用させた。反応終了後、1M塩酸でpHを3.1に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。酵素反応混合物は室温に戻し、珪藻土を1kg加えてよく攪拌し、濾紙(No.2、アドバンテック社製)で濾過することにより不溶物(抽出残渣と未反応タンパク質)を除去した。得られた濾液(中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤による酵素反応液)を1M水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整して凍結乾燥を行い、タンパク質分解物147g(歩留:14.7%)を得た。製造例6 烏龍茶飲料烏龍茶葉(色種)30gを70℃のイオン交換水900gで5分間抽出し、続いて濾紙(No.2、アドバンテック社製)で濾過することにより茶葉を除去して、820gの烏龍茶抽出液(pH5.5、Brix 0.9 °、タンニン濃度250mg/100mL)を得た。この烏龍茶抽出液を30℃ 以下まで冷却し、飲用濃度(タンニン濃度50mg/100mL)となるようにイオン交換水で希釈し、L-アスコルビン酸と製造例1で調製したタンパク質分解物を飲用濃度100mg/100mLとなるよう添加した。これに炭酸水素ナトリウムを添加してpH6に調製した烏龍茶調合液を得た。これを容器に充填し、レトルト殺菌処理(121℃、7分間)を行って、烏龍茶飲料を得た。製造例7 紅茶飲料紅茶葉(ディンブラ)30gを70℃のイオン交換水900gで5分間抽出し、続いて濾紙(No.2、アドバンテック社製)で濾過することにより茶葉を除去して、780gの紅茶抽出液(pH5.0、Brix 1.0 °、タンニン濃度300mg/100mL)を得た。この紅茶抽出液を30℃ 以下まで冷却し、飲用濃度(タンニン濃度60mg/100mL)となるようにイオン交換水で希釈し、L-アスコルビン酸と製造例2で調製したタンパク質分解物を飲用濃度100mg/100mLとなるよう添加した。これに炭酸水素ナトリウムを溶解してpH6に調製した紅茶調合液を得た。殺菌方法はUHT殺菌(135℃、30秒)を行い、PETボトルに充填し、紅茶飲料を得た。処方例1:錠剤以下の配合になるように各原料を混合した。なお、タンパク質分解物は実施例2で調製したタンパク質分解物を使用した。1.タンパク質分解物 35.0重量%2.結晶セルロース 30.0重量%3.乳糖 20.0重量%4.澱粉分解物 10.0重量%5.グリセリン脂肪酸エステル 5.0重量%混合して得られた粉末を打錠成型することによりタンパク質分解物を含有する錠剤を得た。処方例2:粉末緑茶飲料以下の配合になるように各原料を混合し、タンパク質分解物を含有する粉末緑茶飲料を調製した。なお、タンパク質分解物は実施例1で調製したタンパク質分解物を使用した。1.デキストリン 60.0重量%2.緑茶エキスパウダー 26.0重量%3.タンパク質分解物 10.0重量%4.ビタミンC 4.0重量%処方例3:食品素材 以下の配合になるように各原料を混合し、タンパク質分解物を含有する食品素材を調製した。なお、タンパク質分解物は実施例4で調製したタンパク質分解物を使用した。1.タンパク質分解物 80.0重量%2.デキストリン 15.0重量%3.シクロデキストリン 5.0重量%処方例4:グミ以下の配合になるように各原料を混合し、タンパク質分解物を含有するグミを調製した。なお、タンパク質分解物は実施例7で調製したタンパク質分解物を使用した。1.還元水あめ 40.0重量%2.グラニュー糖 20.0重量%3.ブドウ糖 20.0重量%4.ゼラチン 5.0重量%5.水 9.6重量%6.オレンジ果汁 4.0重量%7.オレンジフレーバー 0.4重量%8.タンパク質分解物 1.0重量%試験例1:ラットへのタンパク質分解物投与による血圧降下作用11週齢の雄性高血圧自然発症ラット(SHR)は日本SLC株式会社より購入し、温度23±1℃、湿度60%、12時間の明暗サイクルで管理した室内で飼育した。飼育期間中、通常固形食(5L37ローデントダイエット, 日本SLC)および水道水を自由摂取させた。試験には予備飼育と血圧測定の馴化を2週間行ったSHR(平均体重270g)を用いた。 SHRは1群7匹となるよう2群に分けた。コントロール群には滅菌した生理食塩水を6.7 mL/kg (1匹あたり約2 mL)、試料投与群には、実施例1で調製したタンパク質分解物を生理食塩水で0.375mg/mLに調整した溶液を6.7 mL/kg(タンパク質分解物投与量:2.5mg/kg)となるようそれぞれゾンデで強制経口投与した。 非観血式血圧測定装置(BP-98AL, Softron社製)を用い、投与前及び経口投与2時間後、4時間後及び6時間後の収縮期血圧を測定した。収縮期血圧は4回測定し、その平均値を測定値として記録した。統計処理はSPSS(ver19, IBM)を用い、Welchのt検定により同時間経過後の実施例1で調製したタンパク質分解物を投与した群{投与群(2.5mg/kg)}とタンパク質分解物を投与しない群(非投与群)とを比較した(図1)。結果、実施例1で調製したタンパク質分解物の投与群(2.5mg/kg)のSHRは非投与群のSHRに比べて、タンパク質分解物の投与2時間後、4時間後及び6時間後において有意な血圧降下作用を示した。以上の結果から、本発明の方法で得られたタンパク質分解物は非常に低濃度の投与量でも、雄性高血圧自然発症ラットに対して血圧降下作用を示すことが分かった。本発明により、茶葉中のタンパク質から血圧降下剤として有用なタンパク質分解物を提供することができ、抽出残渣である茶殻を利用することができることから、未利用資源の有効活用ともなる。また本発明のタンパク質分解物は、安全性が高く、水への溶解性が良いことから、本発明のペプチドを有効成分として食品や飲料中に含有させることにより、血圧降下作用を有する食品や飲料として加工することも可能である。以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法。(a)茶葉にアルカリ溶液を加えて抽出混合物を得る工程。(b)抽出混合物を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤および酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し酵素反応混合物を得る工程。(c)酵素反応混合物のpHを2から5に調整することで未反応タンパク質を沈殿させ、酵素反応混合物から抽出残渣と沈殿した未反応タンパク質を除き、酵素反応液を得る工程。ただし、抽出混合物とは少なくとも可溶性画分である抽出液と抽出残渣が混在している状態を示し、酵素反応混合物とは少なくとも酵素反応後の可溶性画分である酵素反応液と抽出残渣が混在している状態を示す。以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法。(a)茶葉にアルカリ溶液を加えて抽出混合物を得る工程。(f)抽出混合物を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し酵素反応混合物を得る工程。(d)酵素反応混合物から抽出残渣を除き、酵素反応液を得る工程。(g)酵素反応液をさらに酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解する工程。(h)酵素反応液のpHを2から5に調整することで未反応タンパク質を沈殿させ、沈殿した未反応タンパク質を除き、酵素反応液を得る工程。ただし、抽出混合物とは少なくとも可溶性画分である抽出液と抽出残渣が混在している状態を示し、酵素反応混合物とは少なくとも酵素反応後の可溶性画分である酵素反応液と抽出残渣が混在している状態を示す。以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法。(a)茶葉にアルカリ溶液を加えて抽出混合物を得る工程。(f)抽出混合物を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し酵素反応混合物を得る工程。(c)酵素反応混合物のpHを2から5に調整することで未反応タンパク質を沈殿させ、酵素反応混合物から抽出残渣と沈殿した未反応タンパク質を除き、酵素反応液を得る工程。(g)酵素反応液をさらに酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解する工程。ただし、抽出混合物とは少なくとも可溶性画分である抽出液と抽出残渣が混在している状態を示し、酵素反応混合物とは少なくとも酵素反応後の可溶性画分である酵素反応液と抽出残渣が混在している状態を示す。請求項1乃至3記載の工程(a)の前工程または後工程で植物組織分解酵素をさらに作用させることを特徴とするタンパク質分解物の製造方法。植物組織分解酵素がセルラーゼ、ヘミセルラーゼおよびペクチナーゼから選ばれる少なくとも1種の酵素である請求項4に記載のタンパク質分解物の製造方法。原料茶葉から回収されるIle-Tyrが乾燥茶葉あたりの回収率で0.0065重量%以上である請求項1乃至5記載の製造方法。請求項1乃至6記載の製造方法から得られるタンパク質分解物。請求項1乃至6記載の製造方法から得られるタンパク質分解物を500mg/100mLの割合で含水エタノール{エタノール/水=3/2(v/v)}に溶解・懸濁させたときに生成する沈殿物が乾燥固形に対し20%以上であるタンパク質分解物。請求項7または8記載のタンパク質分解物を含有する食品素材或いは食品添加剤。請求項7または8記載のタンパク質分解物を含有する飲食品。請求項9記載の食品素材或いは食品添加剤を含有する飲食品。粉末状或いは液体状の清涼飲料である請求項10または11の飲食品。請求項7または8記載のタンパク質分解物を有効成分として含有する血圧降下剤。請求項7または8記載のタンパク質分解物を有効成分として含有するアンジオテンシン変換酵素阻害剤。【課題】茶葉あるいは茶殻を水乃至温水で抽出して得られる抽出残渣(茶殻)から調製方法が複雑でなく、食用として扱いやすく、優れた血圧降下作用が期待されるアンジオテンシン変換酵素阻害活性ペプチドを多く含有するタンパク質分解物を製造コストを抑えて製造し提供する。【解決手段】茶葉あるいは茶殻をアルカリ水溶液で抽出し、得られた抽出混合物をそのままタンパク質分解酵素で分解し酵素反応を停止した後に、酵素反応混合物をpH2から5にすることで未反応タンパク質を沈降させ、酸性水溶液可溶のペプチド画分と不溶性画分とを分離する工程を順次行う。また、タンパク質分解酵素での分解工程では、中性エンドペプチダーゼ、酸性エキソペプチダーゼを作用させる。さらにアルカリ抽出前後の工程で植物組織分解酵素を作用させてもよい。【選択図】なし