生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_シート状パック
出願番号:2013234017
年次:2015
IPC分類:A61K 8/84,A61Q 19/00,A61K 8/31


特許情報キャッシュ

島田 誠次郎 金納 義二 JP 2015093849 公開特許公報(A) 20150518 2013234017 20131112 シート状パック 山一株式会社 593075533 鎌田 直也 100130513 鎌田 文二 100074206 中谷 弥一郎 100130177 島田 誠次郎 金納 義二 A61K 8/84 20060101AFI20150421BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20150421BHJP A61K 8/31 20060101ALI20150421BHJP JPA61K8/84A61Q19/00A61K8/31 5 1 OL 10 4C083 4C083AC021 4C083AC022 4C083AD071 4C083AD072 4C083BB41 4C083CC07 4C083DD12 4C083EE06 4C083EE12 この発明は、シートに含浸した化粧水や美容液、温湿布薬などの皮膚外用剤を皮膚に密着させて施用するシート状パックに関するものである。 一般に、シート状の化粧料パックや医療用の温湿布は、化粧水、美容液を含浸させた不織布、または消炎もしくは血行促進成分を含むゲルや軟膏を布に塗布したシートからなり、これらを顔や手足の皮膚の一部または所要部分全体を覆うように密着させ、その際に有効成分が皮膚によく浸透するように、化粧水等では3〜30分程度、軟膏などでは1〜3日程度そのまま密着させた状態を保つようにしている。 このようなシート状パックは、化粧水や美容液または温湿布剤などの皮膚に対する浸透性をできるだけ高めるために、使用前に37〜45℃程度に温めておき、血行の良い暖かい温度で施用できるように蓄熱材が併用される場合がある。 代表的な蓄熱材としては、グリセリン、ブチレングリコール、キサンタンガムなどの多糖類、ゼラチン、ポリビニルアルコールなどの比熱の大きい液体または半固形状の物質があり、このような蓄熱剤は顕熱を利用するものであり、予め加熱して蓄えた熱量を徐々に放出させるものである(特許文献1の段落0066)。 また、フォーム(発泡体)でシート状に形成された化粧用パフ材に利用可能なフォームとして、潜熱を利用したものが知られており、潜熱蓄熱材を内包するマイクロカプセルを固形分換算で20重量%未満添加したフォームとし、例えばポリウレタンフォーム、NBR(アクリロニトリルブタジエン)フォームに潜熱蓄熱材を内包するマイクロカプセルを保持させたものが知られている(特許文献2の請求項1、4、5)。 また、布団、敷きパッド、マットなどの寝具の素材として、22〜37℃に相転移温度(融点)のあるパラフィン系ワックスなどの潜熱を利用する相変化物質を内包するマイクロカプセルを、バインダー樹脂と共に布の表面にコーティングまたはプリントした布団や敷パッド、ベッドマットなどの寝具が知られている(特許文献3)。特開2006−089458号公報特開2007−332201号公報特開2004−154281号公報 しかし、上記した従来技術における化粧用シート状パック(特許文献1)は、蓄熱剤が顕熱(比熱)を利用するものであるから、蓄熱量があまり大きくなく、また蓄えた熱量を徐々に放熱するときに蓄熱剤の温度も徐々に低下するので、一定の温度で長時間安定して保温することができなかった。 また、特許文献2に記載される潜熱蓄熱材を内包するマイクロカプセル含有のフォームは、フォームを形成する樹脂材料中に保持されるマイクロカプセルの蓄熱剤量も固形分換算で20重量%未満と少量であり(特許文献2の請求項1、段落0005)、このような素材は化粧用パフとして使用すると皮膚に冷感や温感を与えられるが、多孔質のフォームであるので単位体積当たりのマイクロカプセル含有量は少なく、また皮膚に密着できるものでもないので、一定の温度で長時間密着して皮膚を安定して温めることはできない。 また、特許文献3に記載される寝具は、吸湿性の高い布帛の表面に相変化物質を内包するマイクロカプセルをバインダーと共に付着させており、人の皮膚に接した際に、布帛が汗の水分を吸収して寝具内部の湿度を低く保つ作用はあるが、本来、予め多量の水分を含浸保持して用いるものではなく、また皮膚に密着させることは寝具の快適性を阻害してしまう。 このような寝具は、潜熱蓄熱剤の相変化物質が融点22〜37℃のパラフィンを凝固させた状態から融解させた際の「融解熱」を利用するものであり、本願の発明のように融点が37℃を超え48℃以下の潜熱蓄熱材を融解させた状態で「凝固熱」を利用するパックとは、全く異なるものである。 そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、シート状パックの機能を改善し、ヒトの平均体温である36℃程度(例えば35〜37℃)の皮膚に接した状態で長時間安定した保温性があり、柔軟で肌触りがよく、しかも皮膚に密着可能な量の液状皮膚外用剤を保持し、それによる所期した効果を長時間充分に発揮できるものとすることである。 上記の課題を解決するために、この発明は、融点が37℃を超え48℃以下のパラフィン系潜熱蓄熱材を内包するマイクロカプセル粉末を添加して分散状態で保持させた樹脂製シートと、この樹脂製シートに重ねて皮膚外用剤をしみ込ませた繊維製シートを一体に設けたシート状パックとしたのである。 上記したように構成されるこの発明のシート状パックは、融点が37℃を超え48℃以下のパラフィン系潜熱蓄熱材を内包するマイクロカプセル粉末が樹脂製シートに保持されており、予め融点以上の温度(例えば40〜50℃)に加熱された液体の状態であるときに、37℃以下の皮膚に接した樹脂製シート内のマイクロカプセル粉末が冷やされることによって、融点37℃を超えるパラフィン系潜熱蓄熱材が固体に相変化し、この相変化に伴って生じる潜熱によって樹脂製シートは温められ、樹脂製シートと一体の繊維製シートに保持された皮膚外用剤も温められ、長時間にわたり前記パラフィンの融点付近の温度にシート状パックは維持される。これにより、皮膚外用剤による皮膚に対する所期した効果を長時間にわたって充分に発揮できる。 上記の使用状態において、繊維製シートは皮膚に密着するが、樹脂製シートは直接に皮膚に触れていないので、樹脂製シートに多量の前記マイクロカプセルを配合しても肌触りは悪化せず、所要量の前記マイクロカプセルを含有する樹脂製シートは、繊維製シートおよび皮膚外用剤を温めた状態で皮膚に作用させることができる。 繊維製シートには、充分な量の皮膚外用剤をしみ込ませることができるが、樹脂製シートに重ねて一体に設けているので、マイクロカプセルに生じた潜熱が皮膚外用剤に速やかに伝達され、温められた皮膚外用剤が効率よく有効に、その温熱および有効成分を作用させる。 このような作用が確実に奏されるように、樹脂製シートには充分な熱量を蓄える必要があり、上記マイクロカプセル粉末の樹脂製シート中の配合割合は、20〜40質量%であることが好ましい。パック用に用いる上記皮膚外用剤としては、化粧水または美容液を採用することができ、その他にも皮膚を健康に保つために周知の有効成分を含有する皮膚外用剤を採用することができる。 また、化粧用シート状パックの形態としては、顔などの皮膚の一部または全体に、すなわち局所的または全体に使用できる任意形状のものを使用できるが、特に樹脂製シートがフェイスマスク状の形態であれば、顔全体を覆うように簡便に装着できるので、一度に効率よくパックできるので好ましい。 また、使用者が潜熱蓄熱材に熱を適宜に与えて繰り返し樹脂製シートを使用できるように、予め樹脂製シートと皮膚外用剤を吸蔵した繊維製シートとを別々に設けておき、使用時にはこれらを一体に重ねて使用しても良い。 すなわち、融点が37℃を超えて48℃以下のパラフィン系潜熱蓄熱材を内包するマイクロカプセル粉末を添加して分散状態で保持させた樹脂製シートと、皮膚外用剤をしみ込ませた繊維製シートとからなり、これらを重ねて一体にして用いられるパック化粧用シートセットとすることもできる。 このようにすると、需要者の要望に応じて複数種類の効果の異なる皮膚外用剤を、それぞれしみ込ませた複数の繊維製シートを調製しておき、それらを選択的に使用して上記した樹脂製シートと一体に重ねて使用すれば、例えば保湿や美白などの種々の皮膚外用剤の作用効果を必要に応じて選択できるパック用シートセットになる。 この発明は、所定融点のパラフィン系潜熱蓄熱材を内包するマイクロカプセル粉末を添加して分散保持した樹脂製シートと、この樹脂製シートに重ねて皮膚外用剤をしみ込ませた繊維製シートとを一体に設けたシート状パックとしたので、融解熱を利用して長時間安定した保温性があり、しかも柔軟で肌触りがよく、しかも液体保持力が充分にあって美容効果を長時間安定して発揮できるものとなる利点がある。 また、上記の樹脂製シートと繊維製シートとからなり、これらを重ねて一体にして用いるパック用シートセットは、需要者が潜熱蓄熱材に熱を適宜に与えて繰り返し樹脂製シートを使用することが可能なものであり、また任意の皮膚外用剤をしみ込ませた複数の繊維製シートを揃えて選択的に使用し、これらを樹脂製シートに重ねて多様な皮膚外用剤の効果の期待できるシート状パックとして使用できる利点もある。第1実施形態のシート状パックの一部を切り欠いて示す平面図第1実施形態のシート状パックの断面図第2実施形態のシート状パックの一部を切り欠いて示す平面図第2実施形態のシート状パックの断面図第3実施形態のフェイスマスク状のシート状パックの一部を切り欠いて示す平面図 この発明の実施形態を以下に添付図面に基づいて説明する。 図1、2に示すこの発明の第1実施形態は、融点が37℃を超え48℃以下のパラフィン系潜熱蓄熱材を内包するマイクロカプセル粉末1を添加し分散状態で保持させた樹脂製シート2と、この樹脂製シート2に重ねて皮膚外用剤をしみ込ませた不織布等からなる繊維製シート3を一体に重ねて設けたシート状パックAとしたものである。 樹脂製シート2を形成する樹脂材料は、特に限定されるものではないが、シートとして適度に柔軟で弾性変形する合成樹脂材料を採用することが好ましく、具体的には、軟質ポリエチレン、エチレンビニルアルコール(EVA)樹脂その他のポリオレフィン系樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、熱可塑性エラストマーその他ゴムを含めたエラストマー樹脂、もしくはこれら各種ポリマーの共重合体、または2種以上が混合された組成物などが適当な樹脂材料として挙げられる。 このうち、シリコーン樹脂は、生理活性が低いためヒトを含む生体への毒性が小さく、皮膚に対して馴染みも良いので、好ましい樹脂材料であるといえる。このような樹脂製シートは、積極的に起泡された樹脂材料ではなく、実質的には非多孔質性の樹脂製シートからなるものであれば、皮膚に対して密着性が高くて好ましい。なお、樹脂材料をシート状に成形する際などに気泡が混入したものであっても、皮膚に対する密着性が阻害されない程度であれば使用可能である。 樹脂製シートに分散状態で保持されるマイクロカプセル粉末1に内包されるパラフィン系潜熱蓄熱材は、融点が37℃を超え48℃以下のものを採用する。 パラフィン系潜熱蓄熱材は、上記した所定範囲の融点であるように、炭素数20〜23程度の飽和炭化水素を用いることが好ましい。温熱パック温度は、通常、37〜43℃程度が適温と考えられるため、バインダーになる樹脂による熱伝導性を勘案して37℃を超え48℃以下で固体から液体に可逆的に相変化する飽和炭化水素を採用することが好ましい。 また、融点が37℃を超え48℃以下の飽和炭化水素のみではなく、融点の異なる2種以上の飽和炭化水素を組み合わせて配合することにより、融点が37℃を超え48℃以下に調整してもよい。使用可能な飽和炭化水素としては、例えば、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ドコサン等の直鎖の脂肪族炭化水素、天然ワックス、石油ワックスなどが挙げられる。 また、融点の調整のために、飽和炭化水素以外の添加剤を配合してもよく、例えばNa2SO4・10H2O、Na2HPO4・12H2O等の無機化合物の水和物、カプリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸、高級アルコール、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル等のエステル化合物等が挙げられる。 このような潜熱蓄熱剤により、液体へ相変化する場合に消費される潜熱の蓄熱性を付加することにより、比熱による場合に比べて数十倍の熱量が蓄熱され、このような潜熱蓄熱剤は、相変化が進行している間は温度変化しないので、保温の維持に有利である。 上述のパラフィン系潜熱蓄熱材を内包するマイクロカプセルは、in situ重合法などによってメラミン樹脂等を膜物質として周知の手段で製造できる、例えば前記した特許文献2の段落[0013]〜[0017]にも記載されている製法でマイクロカプセル化が可能である。 例えば、メラミン樹脂が熱硬化性であることを利用して、加熱処理によってカプセル膜にする方法があり、マイクロカプセルの素材としては、例えば、ホルムアルデヒド−メラミン樹脂、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド−尿素樹脂、尿素樹脂、尿素−ホルムアルデヒド−ポリアクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリブチルメタクリレートなどが挙げられるが、好ましくは尿素またはメラミン−ホルムアルデヒド樹脂またはこれらのプレポリマーを用いることができる。 具体的には、メラミンとホルムアルデヒドをアルカリ性水溶液(pH8〜10)で加熱(50〜80℃)することによって反応させることにより、モノメチロールメラミンからへキサメチロールメラミンまでの混合物のプレポリマー水溶液を得る。そして、この溶液を弱酸性のO/W型エマルジョンに加えて弱酸性領域(pH3〜6)で加熱攪拌することにより、O/W型エマルジョンの界面に高分子が沈積してマイクロカプセルを得ることができる。 このようなマイクロカプセル粉末は、所定の肉厚の樹脂中にできるだけ均一に分散保持できるように、粒径1〜100μmの大きさであることが好ましく、より好ましくは粒径1〜50μmである。 次に、このようなマイクロカプセルの所定量を樹脂製シートに均一に分散状態で保持させるために、樹脂材料に練りこみ、成形することにより樹脂製シートが得られる。成形方法としては、押出成形、ブロー成形、真空成形、射出成形その他、後工程での延伸など、使用する樹脂に適当な成形・加工方法を採用可能である。 マイクロカプセル粉末の樹脂製シート中の配合割合は、20〜40質量%とすることが好ましい。上記所定量未満少量では、樹脂製シートが充分に蓄熱性を発揮できず、充分な温感を得ることが困難になり、上記所定量を超える多量を配合してもそれ以上の温感作用の改善は認められず、添加効率が低下して実用性が低下するからである。このような傾向から、より好ましいマイクロカプセル粉末の添加量は、25〜35質量%である。 この発明に用いる繊維製シート3は、皮膚外用剤がしみ込むことができるように、皮膚外用剤の水性または油性に合わせて親水性または親油性の合成繊維または天然繊維を選択的に使用したものであり、これらが適当な割合で混ざり合った繊維からなるシートであってもよく、また不織布であっても編織布であっても良い。編織布では親水性繊維と親油性繊維の混紡糸を使用することもできる。 図1、2に示す第1実施形態のシート状パックAは、樹脂製シート2と不織布からなる吸水性繊維製シート3を重ねて接着一体化した状態で、施用に扱いやすい大きさの方形状その他の周知形状に成形されたものである。例えば5〜10cm程度の長さを一辺として採用してもよく、特にその厚みや形状を限定するものではなく、皮膚の一部やその部位全体を覆う形状や大きさを採用することができ、またその厚みも必要に応じて任意に設定できる。 図3、4に示す第2実施形態のシート状パックBは、第1実施形態における不織布からなる吸水性繊維製シート3に代えて、織布からなる吸水性繊維製シート4を採用したことの他は、全く同様にして作製されたシート状パックである。 また、図5に示す第3実施形態のシート状パックCは、樹脂製シート2と吸水性繊維製シート3を重ねて一体にした状態で、目、鼻腔、口の部分を切り欠き、または切取線を形成して人の顔の主要部である額、鼻、頬、顎を覆うことができる大きさのフェイスマスク状に設けたものである。図5には、不織布からなるもの繊維製シート3を図示したが、編織布からなる素材であってもよい。 この発明に用いる皮膚外用剤は、有効成分や任意成分を所要の配合割合で混合したものであり、上記した吸水性繊維製シートに対し、しみ込ませた状態に保持させることが可能であれば、液状、ゲル状またはクリーム状のものであっても良い。 皮膚外用剤の代表的な有効成分の例としては、植物抽出物などから得られる各種ビタミン成分、ポリフェノールやL−アスコルビン酸などの抗酸化性成分、血行促進成分、抗炎症性成分、抗老化性成分、尿素、トリメチルグリシン、DL−ピロリドンカルボン酸等の保湿成分、鎮痛成分、天然香料、抗菌成分などが挙げられる。 上記以外にも特に化粧料として有用な成分として、細胞又は組織の保護、保水性、イオンの調節などに基づく保湿作用、皮膚保護作用、皮膚賦活作用、美白作用、抗酸化作用のある周知の有効成分が挙げられ、具体的にはコラーゲン、ヒアルロン酸、プラセンタエキス、スクワラン、オリーブ油などが挙げられる。 また、温湿布用の皮膚外用剤の有効成分としては、温かさを感じるトウガラシ成分のカプサイシン、合成トウガラシのノニル酸ワニリルアミド及びニコチン酸エステル、ビタミンEなどが含まれているものがある。 前記した任意成分としては、水、油性物質、保湿剤、増粘剤、防腐殺菌剤、乳化剤、酸化防止剤、着色料、着香料、乳化安定剤、pH調整剤などが挙げられる。 この発明のパック用シートは、上記有効成分に対応して医療用または化粧用のいずれであっても良いが、例えば皮膚外用剤が、化粧水もしくは美容液である化粧用のものを採用することもできる。 また、皮膚外用剤には、合成もしくは天然の界面活性剤または薬効物質、防腐殺菌剤、酸化防止剤、着香料、着色剤、増粘剤、安定剤等の各種汎用の添加剤をこの発明の目的を阻害しない範囲で適宜加えてもよい。 このような皮膚外用剤を前記した繊維製シートにしみ込ませるには、浸漬や噴霧による含浸を行なうことができる。 また、シート状パックの様々な使用態様を考慮し、融点が37℃を超え48℃以下のパラフィン系潜熱蓄熱材を内包するマイクロカプセル粉末を添加して分散状態で保持させた非多孔質性の樹脂製シートと、皮膚外用剤をしみ込ませた吸水性繊維製シートとからなり、これらを重ねて一体にして用いられるパック用シートセットとすることもできる。 すなわち、シート状パックA、B、Cの使用前に、予め繊維製シートに皮膚外用剤をしみ込ませておき、樹脂製シートと重ねて一体化したものを製品として保存しておくことができ、または樹脂製シートと繊維製シートを別々に包装しておき、使用直前にこれらを重ね合わせて用いることもできる。 さらにまた、シート状パックA、B、Cは、皮膚外用剤を吸水性繊維製シートにしみ込ませずに保存容器に収納しておき、使用直前に皮膚外用剤を吸水性繊維製シートにしみ込ませて使用することもできる。 このように使用すると、皮膚外用剤がアルコールや香料などを含んで蒸発しやすいものである場合や、空気に触れると酸化しやすい成分を含んでいる場合に、使用直前まで保存容器に密閉しておくことができるので、有効成分を確実に作用させることができるので好ましい。 メラミンとホルムアルデヒドをアルカリ性水溶液(pH8〜10)で加熱(50〜80℃)して反応させ、モノメチロールメラミンからへキサメチロールメラミンまでの混合物のプレポリマー水溶液を得た。この溶液を融点43℃のパラフィン系ワックスを含有する弱酸性のO/W型エマルジョンに加えて弱酸性領域(pH3〜6)で加熱攪拌することにより、O/W型エマルジョンの界面に高分子が沈積してマイクロカプセルを得た。 このようにして得られた融点40℃のパラフィン系ワックスを内包する粒径10μmのメラミン・ホルムアルデヒド樹脂製のマイクロカプセルを、20質量%練り込んだシリコーン樹脂を押出し成形して樹脂製シート(厚さ1.5mm)を形成し、レーヨン繊維製のスパンレース不織布からなる吸水性繊維製シート(厚さ1.5mm)を重ねて加熱圧着により一体化し、図3に示すフェイスマスク状に裁断して複合シートを得た。 次に、得られた複合シートの吸水性繊維製シートの部分に、市販の美容液を含浸し、フェイスマスク状のシート状パックを製造した。 得られたシート状パックは、予め防水性のビニール袋に入れた状態で45℃の温水に10分間浸しておき、次いでビニール袋から取り出してフェイスパックに用い、15分間使用したところ、使用後のシート状パックの表面温度は、42℃を維持していた。 実施例1において、図1に示す幅5cm、長さ10cmの長方形状に裁断して複合シートとし、吸水性繊維製シートの部分に、市販の化粧水に代えてノニル酸ワニリルアミドを含有する液状の温感パップ剤を充分にしみ込ませて温湿布用シート状パックを製造した。 得られた温湿布用シート状パックを、予め防水性のビニール袋に入れた状態で45℃の温水に10分間浸しておき、次いでビニール袋から取り出して肩の頂上部に密着させるように貼り付け、30分間使用したところ、使用後のシート状パックの表面温度は、40℃をを維持していた。 実施例1において、図1に示す幅5cm、長さ10cmの長方形状に裁断して複合シートとし、吸水性繊維製シートの部分に、市販の化粧水に代えて天然香料(スギ及びヒノキの精油)を含有する芳香性のあるパップ剤をしみ込ませたシート状パックを製造した。 得られたシート状パックを、予め防水性のビニール袋に入れた状態で45℃の温水に10分間浸しておき、次いでビニール袋から取り出して胸部に密着させるように貼り付け、30分間使用したところ、使用後のシート状パックの表面温度は、40℃を維持しており、天然香料の精油成分による芳香性が充分に感じられ、このような精油成分の有用性としてよく知られた消臭性、鎮静性、抗菌性、その他の公知な諸作用も充分に期待できるものが得られた。1 マイクロカプセル粉末2 樹脂製シート3、4 繊維製シートA、B、C シート状パック 融点が37℃を超え48℃以下のパラフィン系潜熱蓄熱材を内包するマイクロカプセル粉末を添加し分散状態で保持させた樹脂製シートと、この樹脂製シートに重ねて皮膚外用剤をしみ込ませた吸水性繊維製シートを一体に設けてなるシート状パック。 上記マイクロカプセル粉末の樹脂製シート中の配合割合が、20〜40質量%である請求項1に記載のシート状パック。 上記の皮膚外用剤が、化粧水もしくは美容液である請求項1または2に記載のシート状パック。 樹脂製シートが、フェイスマスク状の樹脂製シートである請求項1〜3のいずれかに記載のシート状パック。 融点が37℃を超え48℃以下のパラフィン系潜熱蓄熱材を内包するマイクロカプセル粉末を添加して分散状態で保持させた樹脂製シートと、皮膚外用剤をしみ込ませた吸水性繊維製シートとからなり、これらを重ねて一体にして用いられるパック用シートセット。 【課題】シート状パックの機能を改善し、長時間安定した保温性があり、柔軟で肌触りがよく、しかも皮膚外用剤による効果を充分に発揮できるものにすることである。【解決手段】融点が37℃を超え48℃以下のパラフィン系潜熱蓄熱材を内包するマイクロカプセル粉末1を添加し分散状態で保持させた樹脂製シート2と、この樹脂製シート2に重ねて皮膚外用剤をしみ込ませた不織布からなる繊維製シート3を一体に重ねて設けたシート状パックAとする。【選択図】図1


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