生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ピロロキノリンキノンの製造方法
出願番号:2013229503
年次:2014
IPC分類:C07D 471/04,A61P 27/02,A61K 31/4738,A61P 43/00,A61P 35/00,A61P 25/00


特許情報キャッシュ

玉腰 優典 坂本 斉 池本 一人 JP 2014193838 公開特許公報(A) 20141009 2013229503 20131105 ピロロキノリンキノンの製造方法 三菱瓦斯化学株式会社 000004466 玉腰 優典 坂本 斉 池本 一人 JP 2013037012 20130227 C07D 471/04 20060101AFI20140912BHJP A61P 27/02 20060101ALI20140912BHJP A61K 31/4738 20060101ALN20140912BHJP A61P 43/00 20060101ALN20140912BHJP A61P 35/00 20060101ALN20140912BHJP A61P 25/00 20060101ALN20140912BHJP JPC07D471/04 102C07D471/04A61P27/02A61K31/4738A61P43/00 107A61P35/00A61P43/00 111A61P25/00 11 OL 15 4C065 4C086 4C065AA04 4C065AA19 4C065BB04 4C065CC09 4C065DD02 4C065EE02 4C065HH08 4C065JJ01 4C065KK08 4C065LL04 4C065PP01 4C065QQ07 4C086AA03 4C086AA04 4C086CB05 4C086ZA01 4C086ZA33 4C086ZB22 4C086ZB26 4C086ZC20本発明は、式(1)で示す構造を含むピロロキノリンキノンの製造方法に関する。ピロロキノリンキノン(以下、PQQと略すことがある。)は新しいビタミンの可能性があることが提案されて注目を集めている。PQQは細菌に限らず、真核生物のカビ、酵母に存在し、補酵素として重要な働きを行っている。また、PQQについて近年までに細胞の増殖促進作用、抗白内障作用、肝臓疾患予防治療作用、創傷治癒作用、抗アレルギー作用、逆転写酵素阻害作用およびグリオキサラーゼI阻害作用−制癌作用、神経線維再生作用など多くの生理活性が明らかにされている。PQQは、発酵法などにより製造することが可能である。しかし、これらの方法で得られるPQQは水や不純物の含量が多く、安定で純度の高いPQQの結晶を得る技術が求められていた。特に発酵法で作られるPQQは微生物を使用するため、培養液には菌体、菌体破砕物、分泌物に由来する高分子不純物が発生しその除去が課題である。特にタンパク成分が多くその除去が問題であった。また、元の培地からの持ち込みや装置材質の溶解等が原因で、重金属がPQQに混入する場合もある。タンパク成分や重金属成分は精製時の不純物としてカラムクロマトグラフィーへの閉塞やライフ低下等、製造上に問題を生じさせる。また、タンパクは不純物として含有すると、アレルギー成分としてもその除去は求められている。これまでにpHを下げることでタンパク質を析出させ、遠心分離によって除去する方法が知られている。(特許文献1)。また、PQQの培養液はPQQ濃度が薄く、取り扱いが困難であった。特公平7−113024号公報従来のPQQの製造方法はかなりのタンパク質の残留があり、精製が十分でない。また、カラムクロマトグラフィーの充填物が高価であり、設備が高価になる欠点があった。また、タンパク質以外の不純物に関しても残留しやすい。そのため、タンパク成分や重金属等不純物を効率よく除去できる方法が求められている。本発明は、タンパク成分や重金属等の不純物を効率よく除去した高純度で高品質のピロロキノリンキノン類又はその塩、及びそれらの製造方法を提供することを課題とする。本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、以下に示す項目によって解決できることを見出した。[1]ピロロキノリンキノン類を含む溶液を樹脂吸着剤又は活性炭と接触させる工程を含む高純度ピロロキノリンキノン類の製造方法。[2]樹脂吸着剤又は活性炭の比表面積が100m2/g以上であることを特徴とする[1]記載の製造方法。[3]樹脂吸着剤がスチレン系またはアクリル系の骨格を有すること特徴とする[1]又は[2]記載の製造方法。[4]ピロロキノリンキノン類が、式(1)の構造を有する酸化型PQQ、式(2)の構造を有する還元型PQQ又はこれらの塩であることを特徴とする[1]から[3]いずれか記載の製造方法。[5]ピロロキノリンキノン類を含む溶液がピロロキノリンキノン培養液であることを特徴とする[1]から[4]いずれか記載の製造方法。[6]ピロロキノリンキノン類を含む溶液がピロロキノリンキノン培養液をpH2から8にして析出物を除去した溶液であることを特徴とする[1]から[4]いずれか記載の製造方法。[7]ピロロキノリンキノン類を含む溶液がピロロキノリンキノン培養液をpH2から8にして析出物を除去した溶液を晶析し、得られた結晶を溶解させた溶液であることを特徴とする[1]から[4]いずれか記載の製造方法。[8]ピロロキノリンキノン類を含む溶液を樹脂吸着剤または活性炭と接触させる工程の後、更にピロロキノリンキノン類を含む溶液を再結晶もしくはカラムクロマトグラフィーで精製する工程を含む請求項1から7いずれか記載のピロロキノリンキノンの製造方法。[9]カラムクロマトグラフィーで精製する工程において、塩基性条件で該ピロロキノリンキノンを脱離させることを特徴とする請求項8記載の製造方法。[10]樹脂吸着剤又は活性炭と接触させることを特徴とする、ピロロキノリンキノン類と重金属を含む混合溶液からの重金属除去方法。[11][1]から[10]いずれかに記載の方法で作られたピロロキノリンキノンまたはその塩。本発明により、培養液から持ち込まれるタンパク質や重金属等の不純物を除去でき高純度又は高品質のPQQ類又はその塩、及びそれらの製造方法を提供できる。また、これによりカラムクロマトグラフィーにおける樹脂への負荷が下がり、より多くのPQQ類の精製が可能となるため、樹脂の単費を抑制することにも役に立つ。本発明の実施例にて用いた装置例本発明は、樹脂吸着剤又は活性炭にPQQ類を含む溶液を接触させる工程を含む純度60%以上の高純度又は濃縮したPQQ類の製造方法である。本発明において、PQQ類とは、式(1)の構造を有する酸化型PQQ、式(2)の構造を有する還元型PQQ又はこれらの塩を示す。酸化型PQQ又は還元型PQQの塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩が挙げられる。アルカリ金属塩の具体例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、リチウム塩が挙げられる。水溶液で使用する際にはこれらのカチオンの混合した状態で使用することもできる。PQQ類を含む溶液は、PQQ類を生産する微生物を培養して得られる。特に使用する微生物に制限はないが、例えばハイホミクロビュームメチロボラム、ハイホミクロビュームデチトリフィカンス、メチロバチルス グリコゲネス、メチロバクテリウム エクストロクエンス、メチロバクテリウム オルガノフィラム、メチロバクテリウム ロディウム、メチロバクテリウム、メソフィリカム、メチロバクテリウム ラジオトレランス、ハイホミクロビウム ブルガレ、ハイホミクロビウム メチロボラム、アンシロバクター アキュアティカス、キサントバクター オートトロフィカス、キサントバクター フラバム、アセトバクター メタノリカス、パラコッカス ディニトロフィンカンス、チオバチルス ノベルス、オリゴモナス メタノリカ、メチロファーガ マリーナおよびメチロファーガ サラシカなどの、メタノールを資化し、PQQ類を生産する微生物を使用することが好ましい。PQQ類を含む溶液の濃度は0.01から30g/L、好ましくは0.5から10g/Lである。この濃度範囲とすることで、析出することなく、良好な生産性を維持することが出来る。濃度が低い場合にはPQQ類を含む溶液を濃縮してから使用しても構わない。溶媒としては、水、エタノール、メタノール等が挙げられるが、溶解度の観点から水が好ましい。PQQ類を含む溶液は、菌体を含んだ液を用いても構わないが、菌体やタンパク質成分を除去した液を使用するのが好ましい。溶液に含まれるタンパク量を下げることが出来、処理に使用する樹脂吸着剤または活性炭の寿命を延ばすことが出来る。タンパク質成分の除去は、pH2から8とすることによって除去可能である。より好ましくはpH3から5にすることによってタンパク質成分が析出し、効果的である。タンパク質成分を除去した液は含まれる高分子成分が低いことから、長時間安定に運転するのに好ましい。さらには再結晶操作により高純度化を行うことは好ましい。PQQ類を含む溶液中のタンパク質の濃度には制限がないが、好ましくは0.0001から10g/Lである。この濃度範囲であれば、不溶成分が生じることなく、配管が詰まることなく、好ましい。この範囲より低い場合は、このような方法をとるまでもなく容易に除去出来る。樹脂吸着剤および活性炭は100m2/gから3000m2/gの表面積があることが好ましい。より好ましくは500m2/gから2000m2/gであり、更に好ましくは500m2/gから1300m2/gである。使用量としては、PQQ1g当たり0.1〜20gが好ましい。樹脂吸着剤であれば16〜20gがより好ましい。活性炭であれば0.1〜2gがより好ましく、更に好ましくは0.1〜1gである。比表面積および使用量をこの範囲とすることにより、吸着量が好適となり精製純度が上がる。表面に吸着することにより、タンパク質を除去する。同時に不純物として含まれる脂肪酸、アミノ酸、着色成分及び重金属を除去する。表面積がこの範囲より小さい場合、吸着せず、精製効果は表れない。これよりも大きい場合、除去効果は期待できるが、一般に販売されておらず、また機械強度が低下する。形状は粉末、成形等製造プロセスで最適なものを選べばよい。樹脂吸着剤はスチレン系又はアクリル系の骨格を有することが好ましい。架橋用の成分、極性を制御するハロゲン原子や置換基が導入されていても問題がない。一般的に市販されている樹脂吸着剤として、スチレン系樹脂として三菱化学(株)製のセパビーズSP207、SP700、SP825、HP20、オルガノ社のアンバーライトXAD4、FPX66、アクリル系樹脂として、アンバーライトXAD7HPが使用可能である。また、オルガノ社のアンバーライトIRA958、IR124などのイオン交換樹脂、或いは三菱化学(株)のダイヤイオンCR20などのキレート樹脂も使用可能である。活性炭は石炭系、植物由来系等のいずれかが好ましい。具体的には日本エンバイロケミカルズ社の球状白鷺、粒状白鷺、カルボラフィン、強力白鷺、精製白鷺、特製白鷺、アルデナイト等が使用できる。接触させる方法としては、例えばバッチ方法として不純物を含んだPQQ溶液に樹脂吸着剤または活性炭を加える方法で行うことができる。また、樹脂吸着剤または活性炭をカラムに詰めて連続的に除去させることができる。接触させる時間は不純物の濃度、PQQ類の濃度を勘案して設定すればよく、1秒から1週間と適宜に決めることができる。本発明の製造方法において、接触させる際のpHは2から11が使用でき、好ましくは3から7である。より好ましくは酸性条件であり、具体的には3から6である。この範囲とすることによりPQQ類が分解したり析出することなく溶解度が適切である。樹脂粒や活性炭粒の空隙に残留したPQQ類を押し出すためのリンス液も同様のpHの水溶液を使用するのが望ましい。pH調整或いはリンスのために加える酸の種類は特に制限されないが、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、過塩素酸、硝酸、硫酸などの無機酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸などが挙げられ、その中でも塩酸が好ましい。pH調整のために加える塩基の種類は特に制限されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、アンモニア、炭酸アンモニウム、コリン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド等が使用できる。接触させた後の溶液に含まれるタンパク量は低く、その後の精製は一般的なカラムクロマトグラフィーや再結晶法を用いることができる。カラムクロマトグラフィーとしては、例えば、DEAEーSephadex(ジエチルアミノエチル系陰イオン交換樹脂−セフアデツクス 以下同様、フアルマシア社、登録商標)A−25カラムに吸着後、KCl溶液で溶出する方法(M.Ameyama et al.,Agric.Biol.Chem.,第48巻、p.561〜565(1984))のようなイオン交換樹脂での精製が可能である。カラムクロマトグラフィーを用いてPQQ類を吸着させ、塩基性条件で該ピロロキノリンキノン類を脱離させ、PQQ類の精製、濃縮を行うこともできる。さらにその後、塩化ナトリウムや塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムを使用する塩析による溶解度を下げる方法、エタノール、メタノール、プロパノール、アセトニトリルのような貧溶媒を加えて結晶を析出させる方法が使用できる。または懸濁又は溶液状態でpHを変えて溶解度を調整して析出させる方法も使用できる。本発明は、接触時のpH等の条件を適宜変えることにより、PQQ類の濃縮も可能である。PQQ溶液のpHを2−5の範囲として溶解度を下げた状態で接触させることでPQQ類を樹脂等に吸着させることが出来る。pH調整に使用する酸は特に制限はないが、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、過塩素酸、硝酸、硫酸などの無機酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸などが挙げられ、その中でも塩酸が好ましい。その後アルカリ性溶液や有機溶媒を含む溶液を用いて塩基性条件で洗浄することで脱着させて、2g/L以上の濃度のPQQ類濃縮液を作ることが出来る。溶離に使用するアルカリ性溶液もまた、特に制限はないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、アンモニア、炭酸アンモニウム、コリン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド等が使用できる。この工程を行うことによりその後の晶析工程において、結晶純度並びに工程収率を向上させることが可能である。本発明は、活性炭又は樹脂吸着剤を複数組み合わせることにより、更なる純度の向上又はPQQ類の濃縮を行うことができる。2段階目に使用する樹脂の種類については制限がなく、1段階目と2段階目とで同じ樹脂でも異なる樹脂でも構わない。本発明は、重金属を除去することも可能である。重金属の例としては、カドミニウム、クロム、銅、鉄、マンガン、ニッケルが挙げられる。これらの金属は、体内に侵入することで毒性を示すため、除去しておくことが望ましい。処理前の重金属濃度としては、20〜5000ppbの範囲の濃度であれば、除去しやすい。重金属の除去は、PQQ類の純度の向上又は濃縮の際の製造方法と同様に実施することが出来、特に、活性炭又は樹脂吸着剤と接触させる際のpHは4から8が好ましい。本発明により得られる高純度のPQQ類は、医薬、機能性食品、化粧品又は飼料等の有効成分とすることができる。即ち、皮膚外用剤、注射剤、経口剤、坐剤等の形態、あるいは、日常食する飲食物、栄養補強食、各種病院食等の形態で提供可能である。なお、調製の際に使用される添加剤としては、液剤としては水、果糖、ブドウ糖等の糖類、落下生油、大豆油、オリーブ油等の油類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類を用いることができる。錠剤、カプセル剤、顆粒剤などの固形剤の賦型剤としては乳糖、ショ糖、マンニット等の糖類、滑沢剤としてはカオリン、タルク、ステアリン酸マグネシウム等、崩壊剤としてデンプン、アルギン酸ナトリウム、結合剤としてポリビニルアルコール、セルロース、ゼラチン等、界面活性剤としては脂肪酸エステル等、可塑剤としてグリセリン等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。必要に応じて溶解促進剤、充填剤等を加えてもよい。PQQ類は、単独でも、他の素材と組み合わせても使用できる。組み合わせ可能な素材としては、ビタミンB群、ビタミンCおよびビタミンE等のビタミン類、アミノ酸類、アスタキサンチン、α-カロテン、β-カロテン等のカロテノイド類、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸等のω3脂肪酸類、アラキドン酸等のω6脂肪酸類などが例示されるが、これらに限定されるものではない。以下に実施例及び参考例を揚げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例および参考例のみに限定されるものではない。実施例では特に断りがない限り、和光製試薬を使用した。本実施例および比較例において、UV測定は、HITACHI U−2000 SPectropHotometerを使用して測定した。[PQQ類の分析]装置: 島津製作所、高速液体クロマトグラフィー、LC−20Aカラム:YMC−Pack ODS−TMS(5μm)、150x4.6mm I.D.測定温度:40℃検出:260nmにおける吸光度溶離液:100mM CH3COOH/100mM CH3COONH4 (30/70, pH5.1)溶出速度:1.5mL/min[タンパク分析]Bradford法Bio−rad社Bradford試薬を使用し595nm吸光度を測定し、その値からタンパク含量を決定した。なお、検量線はγ-グロブリンの希釈系列液で作成した。[PQQ純度の計算]サンプル中のPQQ純度については、以下の通りに計算した。PQQ純度(%)=100×PQQ濃度/全有機固形分濃度 PQQ濃度:HPLCで測定したPQQ濃度(g/L) 全有機固形分濃度:Bradford法で測定したタンパク濃度(g/L)と 、PQQ濃度(g/L)をPQQのHPLC純度(%)で割った値(g/L) の和[重金属濃度の測定]ICP法装置:バリアン、ICP装置、VISTA−PROカドミウム濃度は、227nmの強度を元に求めた。クロム濃度は、267nmの強度を元に求めた。銅濃度は、327nmの強度を元に求めた。鉄濃度は、238nmの強度を元に求めた。マンガン濃度は、258nmの強度を元に求めた。ニッケル濃度は、230nmの強度を元に求めた。参考例1 PQQ類含有溶液の作製特許第2692167号公報の実施例1に基づき、DSM株を培養し、3Lジャーを使用して培養液を得た。得られた培養液は5000Gで遠心分離して、菌体を除去し、PQQを含有する培養液を得た。実施例1 培養ブロス上清のバッチ式活性炭処理参考例1で得られた培養液を遠心分離によって菌体除去した上清(PQQ濃度1.6g/L、純度54%、タンパク濃度1.0g/L)に、日本エンバイロケミカルズ社の活性炭カルボラフィンR(比表面積1000m2/g)を0.2g/Lになるように追加、pH6〜8で2時間室温で攪拌し、遠心分離した。その上清のPQQ濃度は1.7g/L(純度61%)で、タンパク濃度は0.78g/Lであった。タンパク除去率は22%であった。実施例2 培養ブロス上清のバッチ式活性炭処理実施例1と同様に、培養液を遠心分離によって菌体除去した上清(PQQ濃度1.6g/L、純度54%、タンパク濃度1.0g/L)に、日本エンバイロケミカルズ社の活性炭カルボラフィンR(比表面積1000m2/g)を0.9g/Lになるように追加、pH6〜8で2時間室温で攪拌し、遠心分離した。その上清のPQQ濃度は1.6g/L(純度64%)で、タンパク濃度は0.64g/Lであった。タンパク除去率は36%であった。比較例1参考例1と同様の方法で得られた培養液を遠心分離によって菌体除去したPQQを含有する上清について、活性炭を用いない場合の結果を比較例1とした。結果を表1に示す。これより、タンパク質含量の少なく高純度のPQQ溶液を作ることができた。実施例3 樹脂吸着材による精製使用する装置を図1に示す。カラム1にはポンプ2よりタンク3からのタンパク含有液が入る。カラム1を通過した液は、精製液としてタンク4に回収される。カラムには樹脂吸着剤としてセパビーズRSP207(三菱化学製、比表面積600m2/g)20ml(樹脂重量は16g)を使用した。参考例1で得られたPQQを含有する液に硫酸を加えpHを4に調整して室温で1日保存した。これを濾過して析出物を除去し、PQQ濃度が1.0g/Lになるように純水で希釈した。この時、PQQ純度75%でタンパク量0.13g/Lであった。なお、ここで酸性にした理由は、樹脂接触法による精製はpH弱酸性条件の方が高い純度が得られるためである。溶出量160ml/h(液と樹脂の接触時間は7.5分)に調製した溶液を先に述べた樹脂吸着剤で充填したカラムに、pH4で400ml通過させた。カラムから溶出される液は、はじめの20mlは廃棄し、それ以降より精製液として回収を行った。最後に85ppmリン酸水溶液40ml通液し、そこでカラムから溶出した液も精製液に合一した。結果を表2に示す。不純物量は、(100−カラム処理後純度(%))/(100−カラム処理直前純度(%))×100で計算した。 PQQ回収率100%でタンパク濃度は0.005g/Lであった。タンパク除去率は96%であり、原料よりも高純度で且つはるかにタンパク含量の少ないPQQ溶液を作ることができた。不純物全体の量も、44%カットできていた。実施例4,5 樹脂吸着材による精製表2に示す各樹脂を用いた他は、実施例3と同様にしてPQQ純度75%でタンパク量0.13g/LのPQQ液を精製した。結果を表2に示す。 実施例3〜5では、処理前PQQ純度75%の原液が、80%以上の純度に向上した。不純物成分として除去が最も求められているタンパク質は除去率80%以上であり、非常に有効な手段であった。実施例6 2段精製によるPQQの濃縮精製セパビーズRSP207(三菱化学製、比表面積600m2/g)10mlをカラムに充填した。次に、実施例3で得たPQQ精製液(PQQ濃度1.0g/L)を、硫酸を用いてpH2.5に調節し、60ml/h(液と樹脂の接触時間は10分)の速度で150ml、カラムに通過させた。原液通過時、溶出液は全量廃棄した。アプライ後、0.4%苛性ソーダ水溶液(pH13)を20ml/h(液と樹脂の接触時間は30分)で1時間カラムに通過させ、PQQが含まれていないはじめの10mlの溶出液は廃棄した後、カラム溶出液の高PQQ濃度部分43mlを精製液として回収した。その結果、PQQ濃度3.5g/L(純度88%)のPQQ溶液が得られた。PQQの純度改善と濃縮に成功した。 その後、同様の操作で得た濃縮液(PQQ濃度3.5g/L、純度88%)を100ml取り、食塩を6g加えた後、硫酸を加えてpHを3.5にした。3時間攪拌後、PQQが析出した。この操作によりPQQ純度は93%となった。また、この晶析でのPQQ減少は3%であった。また、得られたPQQ量1gに対し、使用した食塩の量は17gである。PQQ濃度が1.0g/Lのまま濃縮せずに上記の通りに塩析すると、PQQ1gに対し62gの食塩が必要となる。濃縮によって使用食塩量が大幅に削減され、コストダウンにつながる。また、同じ食塩濃度・pHで塩析をする場合、塩析上清に残るPQQ量は変わらないので、原液を濃縮することによって結果的に塩析工程のPQQ回収率は向上する。実施例7〜11、比較例2 重金属除去 設備配管などから重金属分が混入したPQQジナトリウムを溶解し、25%苛性ソーダでpH6〜8に調節した水溶液(PQQ濃度4.5g/L、カドミウム濃度2.2ppb、クロム濃度180ppb、銅濃度25ppb、鉄濃度370ppb、マンガン濃度210ppb、ニッケル濃度16ppb)に、日本エンバイロケミカルズ社の活性炭カルボラフィンR(実施例7)、三菱化学社製合成吸着材セパビーズRSP207(実施例8)、キレート樹脂ダイヤイオンRCR20(実施例9)、オルガノ社製強塩基性陰イオン交換樹脂アンバーライトRIRA958(実施例10)、強酸性陽イオン交換樹脂アンバーライトRIR124(実施例11)を表3のように混合し、5時間静置した後、沈降上清を取った。また、活性炭等を用いることなく、そのまま放置した場合の結果を比較例2とした。結果を表3、4に示す。これより、重金属が含まれるPQQ溶液から重金属を除去できたことが分かった。本発明は、食品、医薬品、化粧品、飼料等の分野で有効である。1:カラム2:ポンプ3:タンク(原料)4:タンク(ろ液)ピロロキノリンキノン類を含む溶液を樹脂吸着剤又は活性炭と接触させる工程を含む高純度ピロロキノリンキノン類の製造方法。樹脂吸着剤又は活性炭の比表面積が100m2/g以上であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。樹脂吸着剤がスチレン系またはアクリル系の骨格を有すること特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。ピロロキノリンキノン類が、式(1)の構造を有する酸化型PQQ、式(2)の構造を有する還元型PQQ又はこれらの塩であることを特徴とする請求項1から3いずれか記載の製造方法。ピロロキノリンキノン類を含む溶液がピロロキノリンキノン培養液であることを特徴とする請求項1から4いずれか記載の製造方法。ピロロキノリンキノン類を含む溶液がピロロキノリンキノン培養液をpH2から8にして析出物を除去した溶液であることを特徴とする請求項1から4いずれか記載の製造方法。ピロロキノリンキノン類を含む溶液がピロロキノリンキノン培養液をpH2から8にして析出物を除去した溶液を晶析し、得られた結晶を溶解させた溶液であることを特徴とする請求項1から4いずれか記載の製造方法。ピロロキノリンキノン類を含む溶液を樹脂吸着剤または活性炭と接触させる工程の後、更にピロロキノリンキノン類を含む溶液を再結晶もしくはカラムクロマトグラフィーで精製する工程を含む請求項1から7いずれか記載のピロロキノリンキノンの製造方法。カラムクロマトグラフィーで精製する工程において、塩基性条件で該ピロロキノリンキノンを脱離させることを特徴とする請求項8記載の製造方法。樹脂吸着剤又は活性炭と接触させることを特徴とする、ピロロキノリンキノン類と重金属を含む混合溶液からの重金属除去方法。請求項1から10いずれかに記載の方法で作られたピロロキノリンキノンまたはその塩。 【課題】タンパク成分や重金属等の不純物を効率よく除去した高純度で高品質のピロロキノリンキノン類又はそれらの塩、及びそれらの製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】ピロロキノリンキノン類を含む溶液を樹脂吸着剤又は活性炭を用いて精製する工程を行うことにより、上記課題を解決した。【選択図】 なし


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