生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_チロシナーゼ活性阻害剤及び美白用皮膚外用剤
出願番号:2013227202
年次:2015
IPC分類:A61K 8/97,A61Q 19/02


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池端 真美 廣瀬 美奈 吉野 敦 渡嘉敷 唯章 森 俊樹 辻本 佐知子 JP 2015086187 公開特許公報(A) 20150507 2013227202 20131031 チロシナーゼ活性阻害剤及び美白用皮膚外用剤 株式会社トロピカルテクノセンター 592234908 第一工業製薬株式会社 000003506 蔦田 正人 100076314 中村 哲士 100112612 富田 克幸 100112623 夫 世進 100124707 有近 康臣 100163393 前澤 龍 100189393 蔦田 璋子 100059225 池端 真美 廣瀬 美奈 吉野 敦 渡嘉敷 唯章 森 俊樹 辻本 佐知子 A61K 8/97 20060101AFI20150410BHJP A61Q 19/02 20060101ALI20150410BHJP JPA61K8/97A61Q19/02 4 OL 13 4C083 4C083AA111 4C083AA112 4C083BB51 4C083CC02 4C083CC04 4C083CC05 4C083CC07 4C083DD22 4C083DD23 4C083DD31 4C083DD41 4C083EE16 本発明は、植物抽出物を含有するチロシナーゼ活性阻害剤、及びそれを配合した美白用皮膚外用剤に関する。 シミやそばかす等の色素の沈着は、皮膚細胞内でメラニンが生成し、蓄積することによって生じることが知られている。メラニンは色素細胞の中でチロシンの酸化反応により生成することが知られおり、チロシンからドーパ、ドーパからドーパキノンへの反応が律速段階であるといわれている。そのため、この反応に関与する酵素であるチロシナーゼに着目し、チロシナーゼの活性及び作用を阻害して皮膚のメラニン生成を抑制するアルブチン、コウジ酸、エラグ酸等が美白剤として使用されてきた。 また、植物由来のチロシナーゼ活性阻害についても広く研究されているが(特許文献1〜7)、さらに効果が高く、新しいチロシナーゼ活性阻害剤が望まれている。特開2006−069954号公報特開2007−169203号公報特開2007−210965号公報特開2011−256147号公報特開2013−103915号公報特開2009−227612号公報特開平5−246837号公報 本発明の課題は、新たな植物由来のチロシナーゼ活性阻害剤、及びそれを配合した美白用皮膚外用剤を提供することにある。 本発明者らは、上記課題を解決すべく検討していく中で、特定の植物から得られた抽出物に優れたチロシナーゼ活性阻害効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明に係るチロシナーゼ活性阻害剤は、シマヤマヒハツ実部抽出物、ホンダワラ抽出物、バンジロウ茎部抽出物、ギンネム抽出物、イジュ抽出物、スダジイ抽出物、モモタマナ抽出物、フクギ抽出物、アダン抽出物、オキナワキョウチクトウ抽出物、ヤエヤマカズラ抽出物、フダンソウ抽出物、シマアザミ抽出物、アメリカハマグルマ抽出物、ニガナ抽出物、タンカン抽出物、パパイヤ抽出物、ダイジョ抽出物、アナアオサ抽出物、ドラゴンフルーツ抽出物、ミズイモ抽出物、スイゼンジナ抽出物、ツワブキ抽出物、シマラッキョウ抽出物、クビレズタ抽出物、ヒジキ抽出物、及びモンパノキ抽出物からなる群より選ばれた1種又は2種以上の植物抽出物を含有するものである。 本発明に係る美白用皮膚外用剤は、該チロシナーゼ活性阻害剤を含有するものである。 本発明によれば、シミ、ソバカス、皮膚色素沈着等の原因となるメラニンの産生に関与するチロシナーゼの活性を阻害することによって美白作用を発揮することができ、シミ、ソバカス、皮膚色素沈着症等の予防・治療に有効であるチロシナーゼ活性阻害剤を提供することができる。シマヤマヒハツ実部の粗抽出物についてのメラニン生成抑制試験結果を示すグラフである。シマヤマヒハツ実部の粗精製物についてのメラニン生成抑制試験結果を示すグラフである。 以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。 本実施形態に係るチロシナーゼ活性阻害剤において、抽出原料となる植物は、シマヤマヒハツ、ホンダワラ、バンジロウ、ギンネム、イジュ、スダジイ、モモタマナ、フクギ、アダン、オキナワキョウチクトウ、ヤエヤマカズラ、フダンソウ、シマアザミ、アメリカハマグルマ、ニガナ、タンカン、パパイヤ、ダイジョ、アナアオサ、ドラゴンフルーツ、ミズイモ、スイゼンジナ、ツワブキ、シマラッキョウ、クビレズタ、ヒジキ、及びモンパノキから選択される少なくとも1種である。 シマヤマヒハツ(学名:Antidesma pentandrum (Blanco) Merr.)は、琉球諸島から台湾、フィリピンにかけて分布するトウダイグサ科ヤマヒハツ属の常緑低木であり、直径5ミリくらいの楕円形の実を房状につける。本実施形態では、シマヤマヒハツの実を抽出部位として使用することを特徴とする。シマヤマヒハツ(コウトウヤマヒハツ)については、上記特許文献1に幹部、地上部、根部、全草が抽出部位として記載されているが、実部を抽出部位とすることは記載されていない。実部は、他の部位に比べて顕著に優れたチロシナーゼ活性阻害効果を有し、そのため、本実施形態では、シマヤマヒハツの中でも実部を抽出部位とする。 ホンダワラ(学名:Sargassum fulvellum (Turner) C.Agardh)は、褐藻綱ホンダワラ科ホンダワラ属の海藻であり、本州、四国、九州などに分布する。抽出部位としては、例えば、茎部、葉部、全草等が挙げられる。 バンジロウ(学名:Psidium guajava L.)は、フトモモ科バンジロウ属に属する熱帯性の低木であり、グアバとも称される。本実施形態では、バンジロウの茎部(即ち、幹や枝)を抽出部位として使用することを特徴とする。バンジロウ(グアバ)については、上記特許文献7に葉部の抽出物が記載されているが、茎部を抽出部位とすることは記載されていない。また、上記特許文献3ではバンジロウの葉部及び実部の抽出物についてチロシナーゼ阻害活性を測定するが、阻害活性は認められていない。バンジロウの茎部は、他の部位に比べて顕著に優れたチロシナーゼ活性阻害効果を有し、そのため、本実施形態では、バンジロウの枝部や幹部といった茎部を抽出部位とする。 ギンネム(学名:Leucaena leucocephala (Lam.) de Wit)は、中南米を原産とするマメ科ネムノキ亜科ギンゴウカン属の落葉低木である。抽出部位としては、例えば、葉部、枝部、幹部等が挙げられ、好ましくは葉部である。 イジュ(学名:Schima wallichii (DC.) Korth. subsp. noronhae (Reinw. ex Blume) Bloemb.)は、沖縄、奄美諸島等に分布するツバキ科ヒメツバキ属の常緑高木である。抽出部位としては、例えば、葉部、枝部、幹部等が挙げられ、好ましくは葉部である。 スダジイ(学名:Castanopsis sieboldii (Makino) Hatus. ex T.Yamaz. et Mashiba)は、新潟県以南の地域等に分布するブナ科シイ属の常緑広葉樹である。抽出部位としては、例えば、葉部、実部、枝部、幹部等が挙げられ、好ましくは葉部である。 モモタマナ(学名:Terminalia catappa L.)は、アジアの亜熱帯や熱帯等の地域に分布するシクンシ科モモタマナ属の半落葉樹である。抽出部位としては、例えば、葉部、枝部、幹部等が挙げられ、好ましくは葉部である。 フクギ(学名:Garcinia subelliptica Merr.)は、フィリピンや台湾等に分布するオトギリソウ科(又は、テリハボク科)の常緑高木である。抽出部位としては、例えば、葉部、枝部、幹部等が挙げられ、好ましくは葉部である。 アダン(学名:Pandanus odoratissimus L.f.)は、亜熱帯から熱帯の海岸沿いに生育するタコノキ科タコノキ属の常緑小高木である。抽出部位としては、例えば、葉部、実部、枝部、幹部等が挙げられ、好ましくは葉部である。 オキナワキョウチクトウ(学名:Cerbera manghas L.)は、アジアの熱帯から亜熱帯の地域等に生育するキョウチクトウ科ミフクラギ属の常緑亜高木である。抽出部位としては、例えば、葉部、枝部、幹部等が挙げられ、好ましくは葉部である。 ヤエヤマカズラ(学名:Ipomoea batatas L.)は、琉球諸島で栽培されているヒルガオ科のつる性多年草であり、抽出部位としては、例えば、葉部、茎部、地上部、全草等が挙げられ、好ましくは葉部である。 フダンソウ(学名:Beta vulgaris var. cicla (L.) K.Koch)は、アカザ科フダンソウ属の耐寒性一年草−二年草であり、抽出部位としては、例えば、葉部、地上部、全草等が挙げられ、好ましくは葉部である。 シマアザミ(学名:Cirsium brevicaule A.Gray)は、トカラ列島から琉球各島に分布するキク科アザミ属の多年生草本である。抽出部位としては、例えば、葉部、茎部、地上部、全草等が挙げられ、好ましくは葉部である。 アメリカハマグルマ(学名:Wedelia trilobata (L.) Hitchc.)は、中央アメリカを原産地として沖縄にも帰化植物として定着しているキク目キク亜科スファグネティコラ属に分類される多年草である。抽出部位としては、例えば、葉部、花部、茎部、地上部、全草等が挙げられ、好ましくは花部である。 ニガナ(学名:Crepidiastrum lanceolatum)は、沖縄等に生育するキク科アゼトウナ属の多年草である。抽出部位としては、例えば、葉部、茎部、地上部、全草等が挙げられ、好ましくは全草である。 タンカン(学名:Citrus tankan Hayata)は、中国の広東省を原産地として沖縄等で栽培されているミカン科ミカン属の常緑樹である。抽出部位としては、例えば、葉部、果皮部、枝部等が挙げられ、好ましくは葉部である。 パパイヤ(学名:Carica papaya)は、メキシコ南部を原産地とし主に熱帯地域で栽培されているパパイア科パパイア属の常緑小高木である。抽出部位としては、例えば、実部、葉部、枝部、幹部等が挙げられ、好ましくは実部である。 ダイジョ(学名:Dioscorea alata)は、ヤマノイモ科ヤマノイモ属に属し、アジアやオセアニア等の熱帯地域で広く栽培されるヤムイモの1種である。抽出部位としては、例えば、塊根部、茎部、葉部、地上部等が挙げられ、好ましくは塊根部である。 アナアオサ(学名:Ulva pertusa Kjellman)は、アオサ目アオサ科アオサ属の緑藻であり、抽出部位は全草が好ましい。 ドラゴンフルーツ(学名:Hylocereus undatus)は、サボテン科ヒモサボテン属のサンカクサボテンの果実である。抽出部位としては、例えば、果実全体、果皮部、可食部等が挙げられ、好ましくは果皮部である。 ミズイモ(学名:Colocasia esculenta schott var. aquatilis Kitamura)は、主に南西諸島で栽培されているサトイモ科サトイモ属の植物であり、抽出部位としては、例えば、塊茎部、葉部、全草等が挙げられ、好ましくは塊茎部である。 スイゼンジナ(学名:Gynura bicolor)は、熱帯アジア原産のキク科サンシチソウ属の多年草である。抽出部位としては、例えば、葉部、茎部、全草等が挙げられ、好ましくは全草である。 ツワブキ(学名:Farfugium japonicum (L.) Kitam)は、琉球諸島、九州、四国、本州等に分布するキク科ツワブキ属の多年草である。抽出部位としては、例えば、葉部、茎部、全草等が挙げられ、好ましくは葉部である。 シマラッキョウ(学名:Allium chinense)は、主として沖縄で栽培されているユリ目ユリ科ネギ属の多年草であり、抽出部位は全草が好ましい。 クビレズタ(学名:Caulerpa lentillifera)は、南西諸島などに分布するイワズタ科イワズタ属に属する海藻であり、抽出部位は全草が好ましい。 ヒジキ(学名:Sargassum fusiforme (Harvey) Setchell)は、日本や朝鮮半島などに分布する褐藻類ホンダワラ科ホンダワラ属の海藻であり、抽出部位は全草が好ましい。 モンパノキ(学名:Heliotropium foertherianum Diane et Hilger)は、熱帯から亜熱帯の海岸に生育するムラサキ科キダチルリソウ属の常緑低木ないし小高木である。抽出部位としては、例えば、葉部、枝部、幹部等が挙げられ、好ましくは葉部である。 本実施形態に係る植物抽出物としては、これらの植物を抽出原料として得られる抽出液、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。 抽出原料として使用する植物は、粉砕したものが適当である。また、部位によってはヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、極性溶媒を用いた抽出処理を効率よく行うことができる。 抽出処理の際には、抽出溶媒として極性溶媒を使用することが好ましい。植物抽出物に含まれるチロシナーゼ活性阻害効果を示す成分は、極性溶媒を抽出溶媒とする抽出処理によって容易に抽出することができる。極性溶媒の具体例としては、水、水溶性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これら極性溶媒のうち、含水水溶性有機溶媒を使用することが好ましい。 抽出溶媒として使用し得る水溶性有機溶媒としては、低級脂肪族アルコール、低級脂肪族ケトン等が挙げられる。低級脂肪族アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の炭素数1〜5の1価アルコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられる。低級脂肪族ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ等の中間極性溶媒を使用することもできる。 2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、含水水溶性有機溶媒を使用する場合、一価アルコール、多価アルコール、アセトン等の含有量が50体積%以上であることが好ましい。 抽出溶媒としては、水及び/又は低級脂肪族アルコールを用いることが好ましく、より好ましくは水と低級脂肪族アルコールの混液であり、更に好ましくは水とエタノールの混液である。水と低級脂肪族アルコールの混液の場合、低級脂肪族アルコールの含有量が50体積%以上であることが好ましく、より好ましくは50〜80体積%である。 抽出処理は、抽出原料である上記植物に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り、特に限定されず、常法に従って行うことができる。抽出処理の際には、特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温又は還流加熱下において任意の装置を使用することができる。抽出方法としては、例えば、抽出溶媒中に抽出原料を長時間常温で浸漬して抽出する方法、抽出溶媒の沸点以下の温度に加熱し攪拌しながら抽出する方法、抽出溶媒の沸点付近の温度で加熱還流下にて抽出する方法等が挙げられる。 抽出処理により可溶性成分を溶出させた後、ろ過、遠心分離等の処理を施して抽出残渣を除くことにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。精製は、具体的には活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができ、これらの処理は、生理活性、すなわちチロシナーゼ活性阻害効果の低下を招かない範囲で行えばよい。 以上のようにして得られる植物抽出物は、チロシナーゼ活性阻害効果を有しており、この作用を利用してチロシナーゼ活性阻害剤の有効成分として使用することができる。すなわち、本実施形態に係るチロシナーゼ活性阻害剤は、上記植物抽出物を有効成分として含有するものである。また、該植物抽出物は、チロシナーゼ活性阻害効果を通じて美白作用を発揮し得るので、美白剤として使用することもできる。 上記植物抽出物は、そのままでもチロシナーゼ活性阻害剤として使用することができるが、常法に従って製剤化して使用することもできる。製剤化する場合、保存や取扱いを容易にするために、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容され得るキャリアーその他任意の助剤を添加することができる。植物抽出物は、製剤化により粉末状、顆粒状、錠剤状等、任意の剤形とすることができる。 本実施形態に係るチロシナーゼ活性阻害剤は、チロシナーゼ活性阻害効果を通じて美白作用を発揮することができるとともに、皮膚に適用した場合の安全性に優れているので、皮膚外用剤に配合するのに好適であり、美白用皮膚外用剤となる。ここで、「皮膚外用剤」とは、皮膚に適用される各種薬剤を意味し、例えば、化粧料、医薬部外品、医薬品等が含まれる。本実施形態では、好ましくは美白化粧料としての利用である。皮膚外用剤の具体例としては、肌に対するものとして、軟膏、クリーム、乳液、化粧水、ローション、パック、ジェル等が挙げられる。 皮膚外用剤における植物抽出物の配合量は、皮膚外用剤の種類や植物抽出物の生理活性等によって適宜調整することができるが、好適な配合率は、乾燥物に換算して通常0.001〜5質量%、好ましくは0.01〜1質量%である。配合量を0.001質量%以上とすることにより、チロシナーゼ活性阻害効果及び美白作用を十分に発揮しやすくでき、また、配合量を5質量%以下とすることにより、配合量の増加分に見合ったチロシナーゼ発現抑制作用及び美白作用を発揮させることができる。 本実施形態に係る美白用皮膚外用剤には、上記植物抽出物が有するチロシナーゼ活性阻害効果を妨げない限り、通常の皮膚外用剤の製造に用いられる主剤、助剤またはその他の成分、例えば、収斂剤、殺菌・抗菌剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、乳化剤、増泡剤、増粘剤、消臭・脱臭剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素除去剤、酵素、ホルモン類、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料、精製水などを配合することができる。 以下、実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。[製造例]各植物からの抽出物の製造 イジュの葉を50℃で一昼夜送風乾燥し、乾燥したイジュの葉50gを500mLの70%(v/v)エタノール溶液(エタノール/水の体積比=70/30)に投入し、3日間室温で保った後、ろ過した。ろ液を50℃で減圧下にて濃縮し、さらに凍結乾燥機で乾燥して粗抽出物(粉末状)を得た。得られた粗抽出物の質量は8.4g(収率=16.8質量%)であった。 上記と同様にして、シマヤマヒハツの実、シマヤマヒハツの葉、ホンダワラの全草、バンジロウの枝、バンジロウの葉、ギンネムの葉、スダジイの葉、スダジイの実、モモタマナの葉、フクギの葉、アダンの葉、オキナワキョウチクトウの葉、ヤエヤマカズラの葉、フダンソウの葉、シマアザミの葉、アメリカハマグルマの花、アメリカハナグルマの葉、ニガナの全草、タンカンの葉、パパイヤの実(果実)、ダイジョの塊根、ダイジョの茎、アナアオサの全草、ドラゴンフルーツの果皮、ドラゴンフルーツの可食部、ミズイモの塊茎、ミズイモの葉、スイゼンジナの全草、ツワブキの葉、シマラッキョウの全草、クビレズタの全草、ヒジキの全草、及び、モンパノキの葉を抽出原料として、それぞれ抽出処理を行い、粗抽出物を得た。[精製例]粗抽出物の精製 シマヤマヒハツ実部、スダジイ葉部、モモタマナ葉部、オキナワキョウチクトウ葉部、フクギ葉部、及び、アダン葉部の各粗抽出物をそれぞれ水に溶解し、合成吸着剤(「ダイヤイオンHP−20」三菱化学株式会社製)100mLを充填したカラムに注入した。その後、水で未吸着物質を洗浄・除去し、エタノールで溶出される画分を分画した。分画物を50℃で減圧下にて濃縮し、さらに凍結乾燥機で乾燥して精製後の抽出物(粉末状)を得た。[試験例1]チロシナーゼ活性阻害効果試験 上記製造例及び精製例で得られた各抽出物をサンプルとして、以下の方法により、チロシナーゼ活性阻害率を測定した。 チロシナーゼは、マッシュルーム由来チロシナーゼ(EC 1.14.18.1)Sigma Chemical 社(25KU)を使用し、ストック溶液として10000U/mLとなるように超純水またはリン酸緩衝液(pH6.8)2.5mLを用いて調整した。活性試験時には、ストック溶液を100倍希釈し100U/mLで使用(終濃度2.5U)した。3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(L−DOPA)は、マイクロプレート上の終濃度2.5mMとなるように19.72mg/10mLに調整した。リン酸緩衝液はpH6.8に調整した。 試験方法は、次の通りである。リン酸緩衝液(pH6.8)40μLとサンプルのDMSO溶液80μLに、チロシナーゼ溶液(230U/mL)40μLとL−DOPA(5mM)40μLを添加した。これを37℃で10分間反応させ、DOPAクロムの形成をプレートリーダーで吸光度測定(475nm)した。同時にサンプル溶液の代わりにリン酸緩衝液を加えたもの(ブランクa)、リン酸緩衝液160μLにL−DOPAのみ加えたもの(ブランクb)、チロシナーゼ溶液の代わりにリン酸緩衝液を加えたもの(ブランクc)を測定した。ポジティブコントロールにはアルブチンを使用した。サンプルおよびアルブチンは1質量%になるようにDMSOに溶解した後、リン酸緩衝液で0.5質量%に希釈して用いた。 チロシナーゼ活性阻害率(%)は次式で算出した。 チロシナーゼ活性阻害率=((Ba-Bb)−(S-Bc))/(Ba-Bb)×100 ここで、Ba:ブランクaの吸光度、Bb:ブランクbの吸光度、Bc:ブランクcの吸光度、S:サンプルの吸光度を表す。 各抽出物についてのチロシナーゼ活性阻害率の結果を下記表1に示す。表1から明らかなように、本実施形態に係る植物抽出物はチロシナーゼ活性阻害効果を有していた。特に、シマヤマヒハツ実部、ホンダワラ、バンジロウ枝部、ギンネム、イジュ及びスダジイの抽出物では、美白剤として汎用されるアルブチンよりも高い効果を示した。粗抽出物のチロシナーゼ活性阻害率が比較的低い場合でも、精製することによって阻害率の改善が見られ、これら植物抽出物のチロシナーゼ活性阻害効果が高いことがわかる。 シマヤマヒハツの実部の抽出物については、葉部の抽出物に比べて、チロシナーゼ活性阻害率が約1.4倍強であり、顕著な効果の違いが認められた。また、バンジロウの枝部抽出物については、葉部の抽出物に比べて、チロシナーゼ活性阻害率が約1.3倍であり、顕著な効果の違いが認められた。[試験例2]メラニン生成抑制試験 シマヤマヒハツ実部抽出物について、B16メラノーマ細胞を用いたメラニン生成抑制試験を実施した。 試験対象としたサンプルは、上記製造例で得られたシマヤマヒハツの実部の粗抽出物と、上記精製例で得られたシマヤマヒハツの実部の精製物(粗精製物)である。また、ポジティブコントロールとしてコウジ酸を用いた。試験使用細胞は、B16メラノーマ細胞(マウス由来・4A5株)であり、培養条件および環境は37℃、CO25%濃度とし、基礎培養液としては10%FBS含有DMEM培地を使用した。 試験は次のように行った。B16メラノーマ細胞を基礎培養後、細胞を試験プレート(24well cell culture plate×2)に播種した(1×105cells/1.0mL/well)。サンプルはDMSOに溶解し、公比2倍で希釈系列を作製した。播種した細胞を新しい培養液(0.9mL)に交換後、各濃度のサンプル希釈液5.0μLを加えて、72時間培養した。培養終了後、PBSで細胞を洗浄して1プレートはメラニン生成抑制率を求めるためにNaOHでメラニンを溶出し、1プレートは細胞毒性率を求めるためにクリスタルバイオレットで染色後、メタノールで抽出した。この抽出液の吸光度を測定し、下記式により、メラニン生成抑制率と細胞毒性率を求めた。ここで、対照群とは、サンプル希釈液の代わりに、同量のDMSOを加えて培養したものである。・細胞毒性率(%)=(対照群540nmの吸光度−供試化合物540nmの吸光度)/対照群540nmの吸光度×100・メラニン生成抑制率(%)=(対照群405nmの吸光度−供試化合物405nmの吸光度)/ 対照群405nmの吸光度×100 表2にメラニン生成抑制率、表3に細胞毒性率の結果をそれぞれ示す。また、図1及び図2は、粗抽出物及び粗精製物について、濃度と、メラニン生成抑制率及び細胞毒性率との関係を示したグラフである。 シマヤマヒハツ実部の粗抽出物では、500ppmまでは、細胞毒性率は20%程度で、メラニン生成抑制率は10〜40%程度であった。細胞毒性率は、1000ppmで約47%まで上昇したが、メラニン生成抑制率は変わらなかった。粗精製物では500ppm以上で70%程度の細胞毒性を示したが、250ppmまでは細胞毒性率も20%以下であり、メラニン生成抑制率も50ppmで34%、100ppmで39%、250ppmで42%あり、濃度依存性を有することからメラニン生成抑制効果を有している。また、ポジティブコントロールであるコウジ酸では500ppmで60%程度、100ppmで40%程度であったことから、シマヤマヒハツ実部の粗精製物は、低濃度ではコウジ酸と同程度の活性を有することが示された。 通常、粗精製物などの混合物では、ある程度濃度依存的に上昇した後は、メラニン生成抑制活性物質本体以外の濃度も高くなるため高濃度で毒性が発現したり、活性が頭打ちする場合がある。目安としては200ppmで約40%程度の活性があれば、精製度を高めることでさらに活性が上がると言われており、混合物の活性の程度を見分ける境目となる。本試験では、シマヤマヒハツ実部の粗精製物は100ppmで約40%の活性があることから精製度を上げることでメラニン生成抑制活性が高くなることが示唆された。また、100ppmでは、毒性も約10%以下と低く、細胞毒性の影響はほとんどないと考えられる。 本発明に係るチロシナーゼ活性阻害剤は、チロシナーゼ活性阻害効果を発揮することができるとともに、皮膚に適用した場合の安全性に優れているので、軟膏、クリーム、乳液、化粧水、ローション、パック、ジェル等の化粧料、医薬部外品等に用いることができる。 シマヤマヒハツ実部抽出物、ホンダワラ抽出物、バンジロウ茎部抽出物、ギンネム抽出物、イジュ抽出物、スダジイ抽出物、モモタマナ抽出物、フクギ抽出物、アダン抽出物、オキナワキョウチクトウ抽出物、ヤエヤマカズラ抽出物、フダンソウ抽出物、シマアザミ抽出物、アメリカハマグルマ抽出物、ニガナ抽出物、タンカン抽出物、パパイヤ抽出物、ダイジョ抽出物、アナアオサ抽出物、ドラゴンフルーツ抽出物、ミズイモ抽出物、スイゼンジナ抽出物、ツワブキ抽出物、シマラッキョウ抽出物、クビレズタ抽出物、ヒジキ抽出物、及びモンパノキ抽出物からなる群より選ばれた1種又は2種以上の植物抽出物を含有することを特徴とするチロシナーゼ活性阻害剤。 前記植物抽出物が水及び/又は低級脂肪族アルコールで抽出されたものである請求項1記載のチロシナーゼ活性阻害剤。 前記植物抽出物が、シマヤマヒハツ実部抽出物、ホンダワラ抽出物、バンジロウ茎部抽出物、ギンネム抽出物、イジュ抽出物、スダジイ抽出物、モモタマナ抽出物、フクギ抽出物、アダン抽出物、及びオキナワキョウチクトウ抽出物からなる群より選ばれた1種又は2種以上である請求項1又は2記載のチロシナーゼ活性阻害剤。 請求項1〜3のいずれか1項に記載のチロシナーゼ活性阻害剤を含むことを特徴とする美白用皮膚外用剤。 【課題】新たな植物由来のチロシナーゼ活性阻害剤、及びそれを配合した美白用皮膚外用剤を提供する。【解決手段】シマヤマヒハツ実部抽出物、ホンダワラ抽出物、バンジロウ茎部抽出物、ギンネム抽出物、イジュ抽出物、スダジイ抽出物、モモタマナ抽出物、フクギ抽出物、アダン抽出物、オキナワキョウチクトウ抽出物、ヤエヤマカズラ抽出物、フダンソウ抽出物、シマアザミ抽出物、アメリカハマグルマ抽出物、ニガナ抽出物、タンカン抽出物、パパイヤ抽出物、ダイジョ抽出物、アナアオサ抽出物、ドラゴンフルーツ抽出物、ミズイモ抽出物、スイゼンジナ抽出物、ツワブキ抽出物、シマラッキョウ抽出物、クビレズタ抽出物、ヒジキ抽出物、及びモンパノキ抽出物からなる群より選ばれた1種又は2種以上の植物抽出物を含有するチロシナーゼ活性阻害剤である。【選択図】なし


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