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タイトル:公開特許公報(A)_メイラード反応阻害剤
出願番号:2013223611
年次:2014
IPC分類:A61K 31/7024,A61P 43/00,A61K 8/60,A61K 8/97,A61Q 19/08,A61K 36/18,A61K 36/00,A23L 1/30


特許情報キャッシュ

西田 典永 長友 暁史 伊東 秀之 JP 2014028858 公開特許公報(A) 20140213 2013223611 20131028 メイラード反応阻害剤 森下仁丹株式会社 000191755 進藤 卓也 100163647 中道 佳博 100182084 西田 典永 長友 暁史 伊東 秀之 JP 2011285694 20111227 A61K 31/7024 20060101AFI20140117BHJP A61P 43/00 20060101ALI20140117BHJP A61K 8/60 20060101ALI20140117BHJP A61K 8/97 20060101ALI20140117BHJP A61Q 19/08 20060101ALI20140117BHJP A61K 36/18 20060101ALI20140117BHJP A61K 36/00 20060101ALI20140117BHJP A23L 1/30 20060101ALI20140117BHJP JPA61K31/7024A61P43/00 105A61K8/60A61K8/97A61Q19/08A61K35/78 CA61K35/78 XA23L1/30 B 3 2013513895 20121227 OL 21 4B018 4C083 4C086 4C088 4B018LB01 4B018LB07 4B018LB08 4B018LB10 4B018MD52 4B018MD61 4B018ME03 4B018ME10 4B018ME14 4B018MF01 4C083AA111 4C083AA112 4C083AC102 4C083AC122 4C083AC302 4C083AC482 4C083AD042 4C083AD391 4C083AD392 4C083CC04 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA03 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA89 4C086ZB21 4C088AB12 4C088AB99 4C088BA19 4C088CA05 4C088MA63 4C088NA14 4C088ZA89 4C088ZB21 本発明は、メイラード反応阻害剤に関し、より詳細には、例えば、医薬品、化粧料または飲食物などの製品内に配合される材料として用いられ得る、メイラード反応阻害剤に関する。 メイラード反応(糖化反応)は、還元糖とタンパク質の非酵素的、不可逆的な反応により、シッフ塩基形成、アマドリ転移を経て、様々な中間体を形成後、タンパク糖化最終生成物(advanced glycation end products:AGEs)に至るまでの反応である。生体内でもメイラード反応が起こり、様々な生体内物質が糖化されている。シッフ塩基はグルコースなどの還元糖とタンパク質のアミノ基との反応から生成する可逆的な化合物である。この反応にはリジンやアルギニンおよびタンパク質のN末端アミノ酸のアミノ基が関わっている。シッフ塩基は転移反応によりケトアミン構造を有する不可逆的な化合物であるアマドリ転移物となる。メイラード反応は前期反応、中間生成物の生成、後期反応の3段階に分けられる。 中間生成物として3−デオキシグルコソン(3DG)、グリオキサール(GO)などが知られている。3DGはアマドリ化合物から生成されるα−ジカルボニル化合物であり、AGEsの生成に関与する。AGEsや中間生成物はいくつかの酵素の関与によって代謝排泄されるが、これらの酵素の活性は加齢とともに低下し、体内にAGEsが蓄積される。 AGEsとしては、カルボキシメチルリジン(CML)、ペントシジン、ピラリン、クロスリン、ピロピリジンなどが知られており、蛍光物質(主に、励起波長370nm、蛍光波長440nm)が多い。AGEsが各組織に蓄積することにより、また、AGEsの受容体と結合することにより、機能性タンパク質の機能障害が生じ、種々の症状があらわれ、加齢に伴う退行性変化の大きな要因になる。皮膚においてAGEsが生成し蓄積すると、例えば、肌のはりや弾力の低下、シワ、たるみ、肌の色の変化、くすみ、透明感の低下、シミなどの肌全体の衰えの原因になる。また、糖尿病患者では、高血糖により生じたAGEsが白内障、動脈硬化、腎臓機能障害などの合併症を引き起こす。 したがって、メイラード反応を阻害しAGEsの生成を抑制することによりこれらの種々の症状を予防し、軽減することができる。最近はメイラード反応(糖化反応)を抑制するための種々の研究および開発が行われている(特許文献1〜5)。特開2005−35911号公報特開2011−102270号公報特開2002−241299号公報特開2008−214250号公報特開2006−256977号公報 本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、生体(例えば、ヒト、ペットおよび家畜)におけるメイラード反応の進行を効果的に阻害し、副作用の発生なく安全に適用することができ、かつ複雑な工程を必要とすることなく製造することができる、メイラード反応阻害剤ならびにそれを用いた皮膚用抗老化剤、抗糖尿病合併症剤、および飲食物を提供することにある。 本発明は、50質量%から90質量%のポリフェノールを有効成分として含有する、メイラード反応阻害剤である。 1つの実施態様では、上記ポリフェノールは、該ポリフェノール全体の質量に対し10質量%から50質量%のエラジタンニンを含有する。 さらなる実施態様では、上記エラジタンニンは、プニカリン、プニカラジン、エノテインB、ユーカルバニンB、プニカコルテインC、ポメグラニインA、およびポメグラニインBからなる群から選択される少なくとも1種の化合物から構成されている。 1つの実施態様では、上記ポリフェノールは、ポリフェノール含有植物抽出物の形態で含有されている。 1つの実施態様では、上記ポリフェノール含有植物抽出物は、ザクロ属植物、シクンシ属植物、ゴジアオイ属植物、モモタマナ属植物およびヨツバネカズラ属植物からなる群より選択される少なくとも1つの植物由来の抽出物である。 本発明はまた、上記メイラード反応阻害剤を含有する、皮膚用抗老化剤である。 本発明はまた、上記メイラード反応阻害剤を含有する、抗糖尿病合併症剤である。 本発明はまた、上記メイラード反応阻害剤が添加されている、飲食物である。 本発明はまた、上記メイラード反応阻害剤が添加されている、外用剤である。 本発明のメイラード反応阻害剤は、メイラード反応阻害活性が強く、AGEsの生成を効果的に抑制し、AGEsによる種々の症状を予防、改善することができる。例えば、メイラード反応に起因する老化を抑制し、皮膚のシワ、たるみ、はりもしくは弾力の低下を予防し、改善することができる。また、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症などの糖尿病合併症を効果的に予防し治療することができる。また、本発明の飲食物によれば、上記メイラード反応阻害剤が配合されていることにより、手軽な摂取を通じて生体内のメイラード反応の発生または進行を抑制することができる。さらに、本発明の飲食物は、上記メイラード反応阻害剤とコラーゲンとを併用することにより、当該飲食物中のメイラード反応の発生および/または進行をも阻害することができ、当該飲食物の劣化が抑制され品質が長期にわたって保持され得る。実施例2で単離された化合物を同定するための1H−NMRスペクトルであって、(a)はポメグラニインBについての1H−NMRスペクトルであり、(b)はポメグラニインAについての1H−NMRスペクトルであり、そして(c)はユーカルバニンBについての1H−NMRスペクトルである。 本発明のメイラード反応阻害剤は、ポリフェノールを有効成分として含有する。 メイラード反応阻害剤は、抗糖化剤とも呼ばれる。メイラード反応(糖化反応)は、還元糖とタンパク質の非酵素的、不可逆的な反応により、シッフ塩基形成、アマドリ転移を経て、様々な中間体を形成後、タンパク糖化最終生成物(advanced glycation end products: AGEs)に至るまでの反応である。本発明のメイラード反応阻害剤はいずれの反応を阻害してもよい。 本発明において、上記ポリフェノールは、メイラード反応阻害剤の全質量に対して、50質量%〜100質量%、好ましくは55質量%〜90質量%の割合で含有されている。このポリフェノールの含有量が50質量%を下回ると、後述する医薬品、化粧料、飲食物等に適用した場合、生体に対し充分なメイラード反応阻害を提供することができないおそれがある。 本発明において、上記ポリフェノールはエラジタンニンを含有する。エラジタンニンの含有量は、該ポリフェノール全体の質量を基準とした場合、例えば10質量%〜50質量%、好ましくは10質量%〜45質量%である。あるいは、エラジタンニンの含有量は、本発明のメイラード反応阻害剤全体の質量を基準とした場合、例えば、5質量%〜45質量%、好ましくは10質量%〜45質量%である。エラジタンニンの含有量がこのような範囲内で使用されることにより、本発明のメイラード反応阻害剤は、生体内でのメイラード反応を効果的に阻害するとともに、工業的にも効率良く製造することができる。 エラジタンニンは、例えば、植物に由来し、タンパク質、アルカロイド、金属イオンと反応し強く結合して難溶性の塩を形成し得る水溶性化合物である。 エラジタンニンとしては、特に限定されないが、例えば、以下の式(I):で表されるプニカリン(punicalin)、以下の式(II):で表されるプニカラジン(punicalagin)、以下の式(III):で表されるエノテインB(oenotein B)、以下の式(IV):で表されるユーカルバニンB(eucarbanin B)、以下の式(V):で表されるプニカコルテインC(punicacortein C)、以下の式(VI):で表されるポメグラニインA(pomegraniin A)、以下の式(VII):で表されるポメグラニインB(pomegraniin B)、ならびにこれらの組合せから構成されている。 本発明において、エラジタンニンは、上記プニカリン、プニカラジン、エノテインB、ユーカルバニンB、プニカコルテインC、ポメグラニインA、またはポメグラニインBの化合物単体そのもの、あるいはそれらの混合物であってもよく、もしくはプニカリン、プニカラジン、エノテインB、ユーカルバニンB、プニカコルテインC、ポメグラニインA、またはポメグラニインBのいずれか1種以上を基本骨格として含む重合体または共重合体であってもよい。あるいは、これらの単体と、重合体および/または共重合体との混合物であってもよい。重合体または共重合体のエラジタンニンの重合度は、特に限定されず、2〜10である。 本発明において、上記ポリフェノールは、好ましくはポリフェノール含有植物抽出物の形態で含有されている。 ポリフェノール含有植物抽出物を構成する植物の例としては、特に限定されないが、ザクロ属植物、シクンシ属植物、ゴジアオイ属植物、モモタマナ属植物およびヨツバネカズラ属植物が挙げられる。ポリフェノール含有植物抽出物は、各植物から得られる抽出物単独、あるいは組合せのいずれであってもよい。 上記ザクロ属植物は、ザクロ科に属する。好適にはザクロ(石榴)(Punica granatum)が用いられる。抽出に用いられる部位としては果実、幹皮、枝皮または根皮が挙げられ、好適な部位としては果実が挙げられる。 上記シクンシ属植物は、シクンシ科に属する。好適にはシクンシ(Quisqualis indica)が用いられる。この植物の成熟果実は、「使君子」と呼ばれ、古くから薬用に使われている。特に駆虫薬として有名である。抽出に用いられる部位としては果実、種子が挙げられる。 上記ゴジアオイ属植物は、ハンニチバナ科に属する。ゴジアオイ属は20の種を含む。好適には、Cistus ladaniferus、Cistus populifoliusが用いられる。 上記モモタマナ属植物は、シクンシと同様にシクンシ科の植物である。好適には、Terminalia arborea、Terminalia calamansanai、Terminalia catappa、Terminalia chebula、Terminaria horrida、Terminalia trifloraが用いられる。 上記ヨツバネカズラ属植物もシクンシ科に属する。好適には、Combretum glutinosumが用いられる。 ポリフェノール含有植物抽出物は、上記植物(全草または全体)またはその植物の一部、それらの加工物(乾燥物、破断物、細断物、またはこれらを粉末化した乾燥粉末、乾燥物を粉砕後成形したものなど)、またはこれらの粗抽出物が用いられ得る。本明細書において、単に植物という場合は、植物の加工物(乾燥物、破断物、細断物、またはこれらを粉末化した乾燥粉末、乾燥物を粉砕後成形したものなど)も包含する。植物の一部の例としては、必ずしも限定されないが、果実、果皮、花、茎、葉、幹、種子、または根などの植物の一部位が挙げられる。本明細書において、抽出物とは、上記植物またはその加工物を溶媒で抽出して得られる抽出液、その希釈液または濃縮液、あるいはそれらの乾燥物、もしくはそれらの精製物を包含する。 上記植物の抽出に使用される溶媒の例としては、水、エタノール、メタノールなどの低級アルコール、酢酸エチル、酢酸メチルなどの低級エステル、アセトン、およびこれらと水との混合物(含水有機溶媒)が挙げられる。生体の摂取による安全性をより高めるという点から、水単独、エタノール単独またはエタノールと水との混合物(いわゆる含水エタノールまたはエタノール水溶液)を使用することが好ましい。さらに、例えば、20%(v/v)以上、好ましくは30%(v/v)〜90%(v/v)のエタノール水溶液を用いることにより、上記エラジタンニンを豊富に含有する、あるいはメイラード反応阻害をより効果的に提供する抽出物を得ることができる。 抽出の条件(溶媒の量、温度、時間など)は、特に制限されない。例えば、抽出溶媒の量は、好ましくは、植物破砕物に対して5〜50倍容量/乾燥質量、より好ましくは10〜30倍容量/乾燥質量である。抽出温度は、使用する溶媒の種類に応じて異なるが、例えば、室温から使用する溶媒の沸点未満の温度を採用することができる。抽出時間は、使用する溶媒の種類、量、および抽出温度によって変動し得、適切な抽出時間が当業者によって設定され得る。室温で抽出する場合、例えば1時間〜48時間、好ましくは6時間〜24時間であってもよく、溶媒の沸点付近で抽出する場合は、例えば1分〜60分間程度であってもよい。さらに、(a)1種類の抽出溶媒を用いた単回抽出でもよく;(b)異なる種類の溶媒を用いて、ある溶媒で抽出した後に得られた抽出物を別の溶媒で抽出するような段階的な抽出を行ってもよく;あるいは(c)ある溶媒で抽出して得た抽出物と、別の溶媒で抽出した抽出物とを合わせてもよい。抽出操作(b)について、より具体的な例を用いて説明すれば、上記植物の乾燥質量の約20倍容量の熱水で約10分間抽出し、さらに同量のエタノールを加えて混合し、濾過した後、その濾液を抽出物とすることもできる。なお、このような抽出は、静置、振盪、撹拌あるいは還流などの任意の条件下にて行われ得る。あるいは、溶媒を加えた後にホモジェナイズして抽出してもよい。 本発明において好ましい精製手順および条件については、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、逆相ODSカラムクロマトグラフィーおよび分取HPLCなどを組み合わせ、好適な条件下において、溶離剤(例えば、水、またはヘキサン、酢酸エチル、クロロホルム、メタノールおよびn−ブタノールなどの各種有機溶媒、またはこれらの混合物)を用いて行われるが、特にこれらに限定されるものではない。 あるいは、上記植物の抽出物は、メイラード反応阻害活性を高める目的で、以下のような精製が行われてもよい。例えば、上記抽出後のろ過を通じて得られた濾液を、当業者が通常用いる手段を用いて濃縮した後、好ましくは40(v/v)%〜90(v/v)%、より好ましくは50(v/v)%〜80(v/v)%のC1〜C3アルコール水溶液(好ましくはエタノール水溶液)を用いるカラムクロマトグラフィーにかけることによって行われる。このカラムクロマトグラフィーに有用な吸着剤は、好ましくは芳香族系吸着剤であり、より具体的な1つの例としては、スチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤が挙げられる。スチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤は、例えば、アンバーライトXADシリーズ(オルガノ株式会社製)などが挙げられる。なお、本発明においては、メイラード反応阻害活性をさらに高める目的で、上記C1〜C3アルコール水溶液を用いる精製を行う前に、上記カラムに対し、水(例えば、蒸留水)を用いて予備的な精製が行われてもよい。 このようにして得られた抽出物は、そのままあるいは濃縮して、液状物、濃縮物、ペースト状で、あるいは、さらにこれらを乾燥した乾燥物の形状で用いられる。乾燥は、噴霧乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥、流動乾燥などの当業者が通常用いる方法により行われる。 なお、本発明において、この抽出物は、上記の手順により得られる水または溶媒抽出物および超臨界二酸化炭素抽出物、得られたこれらの抽出物を当該分野において公知の減圧乾固または噴霧乾燥(スプレードライ)などの方法で溶媒を除去して得られる固形分、およびさらにこれらを精製して得られる画分をも包含する。 本発明のメイラード反応阻害剤は、上記ポリフェノールまたはポリフェノール含有植物抽出物以外に他の添加剤が含まれていてもよい。他の添加剤の例としては、セルロース、(シクロ)デキストリン、ならびにこれらの組合せが挙げられる。本発明における他の添加剤の含有量は、特に限定されないが、上記ポリフェノールまたはポリフェノール含有植物抽出物が奏する上記メイラード反応阻害効果を阻害または低下させない範囲において、当業者によって任意の含有量が設定され得る。 本発明のメイラード反応阻害剤は、例えば、医薬品、化粧料または飲食品を構成する材料として有用である。 本発明のメイラード反応阻害剤の1つの実施態様には、メイラード反応に起因する生体の皮膚に対する抗老化が挙げられる。例えば、生体皮膚の老化の予防または改善用として、本発明のメイラード反応阻害剤が使用され得る。ここで、メイラード反応に起因する老化とは、メイラード反応により生成されたAGEsと生体内物質との非制御的反応により機能性タンパク質の機能障害を原因とする退行性の変化である。例えば、皮膚ではAGEsが蓄積すると、皮膚の透明感を低下させ、皮膚を黄色化させる。コラーゲンタンパク質は弾性線維と共に皮膚の弾力性を維持する役割を担うが、コラーゲンタンパク質とAGEsが結合して線維間架橋を形成するとコラーゲンの可動性が失われ、皮膚の硬化やシワの原因となる。本発明のメイラード反応阻害剤は、AGEsの生成を抑制し、このような生体内タンパク質の機能障害を抑制することができる。 すなわち、本発明のメイラード反応阻害剤は、皮膚用抗老化剤を構成する有効成分として使用することができる。用語「皮膚用抗老化剤」とは、生体の皮膚に対して抗老化作用を発揮し得る組成物を包含して言い、例えば、医薬品(医薬部外品を包含する)、および化粧料を包含する。 本発明のメイラード反応阻害剤を、皮膚用抗老化剤として使用する場合、その投与および摂取の経路や方法は限定されない。 例えば、本発明のメイラード反応阻害剤を医薬品として使用する場合、経皮、皮下、経静脈、経口が例示される。剤形または形状は限定されず、固体、半固体や液状が例示され、注射剤、外用剤、経口製剤が例示される。注射剤としては液剤や用時溶解用乾燥製剤が例示される。外用剤としては、貼付剤、軟膏、硬膏、ローション、乳液、液剤、懸濁剤が例示される。経口製剤としては、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤(懸濁剤、乳剤などを含む)が例示される。皮膚組織のメイラード反応阻害用には、外用剤が好ましい。 医薬品として使用する場合は、上記本発明のメイラード反応阻害剤以外に、任意成分(例えば、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、賦型剤、着色剤、着香剤、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保湿剤、およびpH調整剤)が配合されていてもよい。このような任意成分の例としては、セルロース、(シクロ)デキストリン、アラビアゴム末、メチルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、タルク、二酸化ケイ素(例えば、軽質無水ケイ酸または含水二酸化ケイ素)、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリルアルコール、澱粉類、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、寒天末、カルボキシメチルセルロース(カルシウム)、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、エステル油、ロウ、高級脂肪酸、高級アルコール、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤、多価アルコールなどが挙げられる。この場合、当該成分の含有量は、上記本発明のメイラード反応阻害効果を阻害または低下させない範囲において、当業者によって任意の含有量が設定され得る。 化粧料として使用する場合は、上記本発明のメイラード反応阻害剤以外に、任意成分(例えば、エステル油、ロウ、高級脂肪酸、高級アルコールなどの油性成分;アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤;多価アルコールなどの保湿剤;水、低級アルコール、シリコーンなどのベース成分;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;香料;およびpH調整剤)が配合されていてもよい。この場合、当該成分の含有量は、上記本発明のメイラード反応阻害効果を阻害または低下させない範囲において、当業者によって任意の含有量が設定され得る。化粧料には、化粧水、乳液などの基礎化粧品;ファンデーション、白粉など、顔全体に塗布するもの;およびアイシャドー、アイライン、頬紅などの顔の一部に塗布するもの;を含む。 本発明のメイラード反応阻害剤はまた、抗糖尿病合併症剤として使用することもできる。糖尿病は血液中のグルコース濃度が高いため、生体内タンパク質が糖化されやすく機能障害をひきおこす。本発明のメイラード反応阻害剤は、生体内タンパク質の糖化を抑制することにより、糖尿病合併症を予防または治療することができる。糖尿病合併症には、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、脳血管障害、虚血性心疾患、糖尿病性壊疽、高脂血症、慢性感染症、胆石症、白内障などが含まれる。 本発明はまた、上記メイラード反応阻害剤が添加された飲食物を提供する。 飲食物には飼料またはペットフードが挙げられ、例えば、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤などに製剤化された飲食物を包含する。この飲食物には、上記メイラード反応阻害剤以外に、別の食品材料、活性成分、および/または当該分野にて通常使用され得る添加剤(例えば、デキストリン、デンプン、糖類、リン酸カルシウムなどの賦形剤、溶剤、香料、香油など)と混合されていてもよい。 本発明において、上記メイラード反応阻害剤が添加された飲食物には、加工食品、麺類、菓子、飲料、調味料、粉ミルク、健康食品、サプリメントなどが例示される。該飲食品添加用組成物の剤形、形状は、粉状、液状など添加しやすい形状であれば限定されない。ふりかけまたはシーズニングのように飲食する者が飲食物に添加混合できるような形状と量を含有する組成物、飲食品加工時に添加するための形状と量を含有する組成物など、添加方法、用途によって組成物の形状、量、加工度は異なるが、本発明の組成物はそれら全てを含む。 さらに本発明の飲食物においては、上記メイラード反応阻害剤、すなわち生体内のメイラード反応の阻害活性を有する成分を添加することにより、従来存在する食品材料よりもその含有量を高めることができる。このため、従来の食品材料では到底摂取し得なかった量の当該阻害活性成分を一度に摂取することも可能である。 本発明はまた、コラーゲンと上記エラジタンニンとを含有する飲食物を提供する。本発明はさらに、コラーゲン含有飲食物に上記エラジタンニンを配合することによる飲食物中のメイラード反応の阻害方法を提供する。該エラジタンニンとしては、好ましくは加水分解型タンニンである。コラーゲンの種類および分子量は特に限定されない。該飲食物は、食品分野にて通常使用され得る糖を含有してもよい。コラーゲンを含有する飲食物に該エラジタンニンが配合されることにより、飲食物中の糖とコラーゲンのメイラード反応が阻害され、該飲食物の劣化を抑制し品質を保持することができる。さらに、該飲食物が摂取された後は、生体内のメイラード反応を抑制することができる。例えば、飲食物のコラーゲン1gに対し、プニカリンおよび/またはプニカラジンが0.0001mg〜100mg、好ましくは0.001mg〜1mg配合される。 本発明はまた、コラーゲンと上記エラジタンニンとを含有する外用剤を提供する。外用剤として使用する場合は、上記本発明のメイラード反応阻害剤以外に、任意成分(例えば、エステル油、ロウ、高級脂肪酸、高級アルコールなどの油性成分;アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤;多価アルコールなどの保湿剤;水、低級アルコール、シリコーンなどのベース成分;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;香料;およびpH調整剤)が配合されていてもよい。この場合、当該成分の含有量は、上記本発明のメイラード反応阻害効果を阻害または低下させない範囲において、当業者によって任意の含有量が設定され得る。 次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。(実施例1:メイラード反応阻害活性の測定) 被験サンプルとして、ザクロエキス(森下仁丹株式会社製;ポリフェノール含量50質量%)、プニカリン、プニカラジン、エノテインB、ユーカルバニンB、プルカコルテインC、ポメグラニインAおよびポメグラニインBを用いた。比較のために、タンニン酸およびエラグ酸二水和物を用いた。ポジティブコントロールとして、アミノグアニジンを用いた。これらの被験サンプルを、それぞれ水で希釈して0.01μg/mL、0.03μg/mL、0.1μg/mL、0.3μg/mL、1μg/mL、10μg/mL、100μg/mL、300μg/mL、または1000μg/mLの濃度の溶液を調製し、各調製した溶液について、メイラード反応阻害活性を測定した。測定は以下のように行った。 各被験サンプルの上記調製した溶液を用いて以下の表1に示す4種類の反応液A〜Dを調製し、各反応液A〜Dを60℃にて40時間インキュベーションすることによりメイラード反応を生じさせ、その後、400μLの反応液A〜Dを2400μLの蒸留水により希釈して希釈試料を得た。各希釈試料について、蛍光強度(励起光:370nm;測定光:440nm)を測定し、0.1μg/mLの硫酸キニーネ溶液の蛍光強度を100とした相対値として用いることにより、蛍光性メイラード反応生成物の量(定量値)を算出した。 次いで、得られた定量値から、各被験サンプルの上記調製した溶液(濃度(μg/mL))に対するメイラード反応阻害率(%)を以下の式より計算した。 その後、被験サンプル毎の50%阻害率(IC50)を次のように計算した。すなわち、サンプル濃度−阻害率プロットをとり、4パラメータプロッティングを行い、阻害率50%のときの濃度をIC50とした。 各調製した溶液に対するメイラード反応阻害率(%)の結果を表2に示す。さらに、表2に示す各調製した溶液に対するメイラード反応阻害率(%)から算出したIC50値について、表3に示す。 表2および3に示されるように、ザクロエキス、プニカリン、プニカラジン、エノテインB、ユーカルバニンB、プニカコルテインC、ポメグラニインAおよびポメグラニインBはいずれも、ポジティブコントロールのアミノグアニジンと比較して優れたメイラード反応阻害活性を有していることがわかる。さらに、表2から明らかなように、プニカリン、プニカラジン、エノテインBおよびポメグラニインBは、エラグ酸二水和物およびポジティブコントロールのアミノグアニジンと比較して、より低く調製された濃度においても特に優れたメイラード反応阻害率(%)を示していることがわかる。さらに表2および表3から明らかなように、プニカリン、プニカラジン、プニカコルテインC、ポメグラニインA、ポメグラニインBはいずれも、タンニン酸、エラグ酸二水和物およびポジティブコントロールのアミノグアニジンと比較してIC50値が特に低く、優れたメイラード反応阻害活性を有していることがわかる。(実施例2:ザクロ粉末からのエラジタンニンの抽出) 市販の乾燥ザクロ粉末(中国産)300gに水700mLを加え、50℃にて24時間攪拌放置し、放冷後遠心分離して、抽出液900mLを得た。その抽出液をアンバーライトXAD4(オルガノ社製)100gを充填したカラムに注入し、3000mLの水を流し、その後、エタノール:水=8:1(v:v)混液を1500mL流した。得られた画分を減圧下で濃縮した後、得られたエタノール−水画分濃縮物に凍結乾燥助剤としてセルロース(旭化成アビセル)5gを加え、凍結乾燥した。このようにしてザクロ粉末由来の粉末でなる試料Sを調製した。 次いで、上記で得られた試料Sについて、以下の測定を行った。(総ポリフェノール量) ポリフェノール含量を、Folin−Denis法(五訂「日本食品標準成分表分析マニュアルの解説」,254頁,2001年,中央法規出版(株))により没食子酸エチル等量として測定した。すなわち、各試料を蒸留水15mg/mLの濃度で溶解し、試料溶液を調製した。この試料溶液1mLと、フォーリン試薬(タングステン酸ナトリウム25g、リンモリブデン酸5g、リン酸12.5mLに蒸留水180mLを加えて2時間煮沸還流後、蒸留水で1Lとしたもの)1mLとを混合して5分間放置した。さらに、10%炭酸ナトリウム水溶液を1mL添加し、1時間放置後、700nmにおける吸光度を測定した。また、試料溶液の代わりに蒸留水のみを用いたこと以外は上記と同様にして測定した吸光度をコントロールとした。各種濃度の没食子酸エチル水溶液を調製して上記と同様に測定して検量線を作成し、上記で得られた試料Sに含まれるポリフェノール含量を測定した。 試料Sの総ポリフェノール量は、試料Sの質量を基準として72.1±0.6%であった。(エラジタンニン量) 上記試料Sのエラジタンニン量を、文献(J. Agric. Food Chem., 2009年, 57(16)、p.7395)に記載の下記条件に従い、HPLC(型番Inertsil ODS−3、ジーエルサイエンス株式会社製)で定量した。 <HPLCの分析条件> 検出器:紫外吸光光度計(380nm) カラム:Inertsil ODS−3(5μm、4.6×250mm)(ジーエルサイエンス株式会社製) カラム温度:40℃ 流量:1.0mL/分 注入量:25μL 移動相条件:0.5%リン酸(A)およびアセトニトリル(B)を、以下の条件でリニアグラジエントを行った: A B 0分 95% 5% 10分 85% 15% 30分 75% 25% 35分 95% 5% 得られた結果を表4に示す。 表4に示すように、本実施例で得られた試料Sにはポリフェノールのうち、各種エラジタンニンを所定量含有していたことがわかる。 また、上記試料Sについては下記条件に従い分離することによりエノテインB、ユーカルバニンB、プニカコルテインC、ポメグラニインA、およびポメグラニインBをそれぞれ単離した。そのうち、ポメグラニインA、ポメグラニインB、およびユーカルバニンBについては、図1に示すように1H−NMRスペクトル測定(600MHz,アセトン-d6+D2O)を通じて、これらの化合物であることを同定した。ポメグラニインAおよびBの1H−NMRデータ(600MHz,アセトン-d6+D2O)を以下に示す:6.97-7.05 (ガロイル-H),6.11-6.67 (HHDP-H, バロネオイル-H),5.55-5.85 (グルコースH-3),5.49-5.61 (グルコースH-1 (α-アノマー), H-3),5.24-5.26 (グルコースH-6),5.03-5.22 (グルコースH-1 (β-アノマー), H-2, 4, 6),4.61-4.63 (グルコースH-5 (β-アノマー)),4.30-4.32 (グルコースH-1 (β-アノマー)),4.08-4.26 (グルコースH-5 (α-アノマー)),3.66-3.93 (グルコースH-6)。さらにポメグラニインAおよびBのエレクトロスプレー質量分析(ESI−MS)の結果もそれぞれ以下に示す: ポメグラニインA(トリマー)ESI-MS: m/z 2353 (M-H)-, 1176 (M-2H)2- ポメグラニインB(テトラマー)ESI-MS: m/z 3137 (M-H)-, 1568 (M-2H)2-。<HPLCの分析条件> 検出器:紫外吸光光度計(280nm) カラム:YMC-Pack SIL A-003(4.6×250mm)(株式会社ワイエムシィ製) カラム温度:25℃ 流量:1.5mL/分 移動相条件:n−へキサン:MeOH:THF:HCOOH=47:39:13:1 + (COOH)2 450mg/L(実施例3:皮膚への抗老化作用) ヒト皮膚線維芽細胞によるコラーゲンゲル収縮活性を指標とし、糖化反応によるコラーゲン架橋形成に及ぼすザクロエキスの効果を評価した。すなわち、コラーゲン・ゲル培養キット(Cellmatrix、新田ゼラチン株式会社製)を用いて、細胞培養用12ウェルプレートにコラーゲンゲルを調製した。 実施例2で得られた試料Sを、10mMのグルコース−6−リン酸溶液で種々の濃度に調製し、コラーゲンゲル上に添加後、37℃で10日間インキュベートし、糖化反応を行った。未反応のグルコース−6−リン酸を洗浄除去し、1×105細胞/mLの線維芽細胞をコラーゲンゲル上に播種し、0.25%FBS含有DMEM培地で培養した。3時間後、ウェル壁面からコラーゲンゲルを剥離し、コラーゲンを収縮させた。48時間後、培地を吸引除去し、コラーゲンゲルの直径を測定して、コラーゲンゲルの面積を算出した。 コントロール1として、上記グルコース−6−リン酸溶液の添加を行わなかったことにより糖化反応を起こさせなかった以外は上記と同様にしてコラーゲンゲルの面積を算出した。さらにコントロール2として、上記実施例2で得られた試料Sの添加を行わなかったこと以外は上記と同様にしてコラーゲンゲルの面積を算出した。コントロール1の面積をA、コントロール2の面積をB、サンプルの面積をCとして、次の式から阻害率を算出した。 得られた結果を表5に示す。 表5に示すように、実施例2で得られた試料Sは、添加濃度が高いほどコラーゲンゲルの面積が小さく、高い収縮活性を示し、皮膚に対して優れた抗老化作用を奏していることがわかる。(実施例4:糖尿病合併症に対する効能) 肥満・糖尿病を自然発症する雄性TSOD(Tsumura,Suzuki,Obese Diabetes)マウスを10週齢まで飼育し、尿糖の出現が確認された個体を実験に使用した。肥満・糖尿病を呈さない正常対照マウスとして、同週齢の雄性TSNO(Tsumura,Suzuki,Non Obesity)マウスを用いた。血糖値および体重の平均値が揃うよう2群に分け、第1群には普通食を、第2には普通食に実施例2で得られた試料S粉末を1%の割合で混餌したものを与え、12週間飼育した。正常対照マウスには普通食を与え、同様に12週間飼育した。飲料水は水道水を自由摂取とした。 12週間の投与終了後、全てのマウスを麻酔下で腹部大動脈より血液を採取した後、放血致死させ、胸部大動脈を摘出した。さらに、眼球を摘出し水晶体を採取した。血液サンプルは遠心分離により血漿を採取し、CML濃度をELISA法にて測定した。摘出した大動脈は脱脂後凍結乾燥し、微粉砕した。この一部をとり、プロテアーゼ処理後遠心分離し、上清を採取した。この上清を励起波長370nm、蛍光波長430nmで測定し、AGE量を算出した。水晶体はホモジナイズ後遠心分離し、上清中のAGE量をELISAで測定した。 得られた結果を表6〜8に示す。 表6〜8に示すように、実施例2で得られた試料Sを摂取させたTSODマウスは、普通食のみを摂取させたTSODの場合と比較して、血中、大動脈内、水晶体内におけるAGEの生成が抑制された。よって、実施例2で得られた試料Sは、糖尿病合併症の罹患の予防または遅延に有用であると考えられる。(実施例5:飲料の作製) 下記処方に基づき、飲料を作成した。 成分 配合比(質量比) グリセリン 10.0 実施例2で得られた試料S 1.0 セルロース 0.1 クエン酸 0.3 香料 0.1 精製水 残量 上記各成分を一緒に混合し、撹拌することにより飲料を作製した。(実施例6:化粧水の作製) 以下の成分を以下の割合で均一に混合して化粧水を得た。 成分 配合比(質量比) グリセリン 10.0 1,3−ブチレングリコール 6.0 実施例2で得られた試料S 1.0 クエン酸 0.1 クエン酸ナトリウム 0.3 ポリオキシエチレン 1.0 エチルアルコール 8.0 パラベン 0.1 香料 0.1 精製水 残量 本発明のメイラード反応阻害剤は、強いメイラード反応阻害活性を有することより、生体内のメイラード反応を効率的に阻害し、生体内タンパク質の種々の機能障害を予防および改善できる。この活性により、老化を抑制し、糖尿病合併症の予防および治療に有用である。さらに、上記タンニンをコラーゲン含有飲食品に配合することにより、飲食物中のメイラード反応を抑制し、飲食物の劣化を抑制するとともに、生体内のメイラード反応も抑制することができる。本発明のメイラード反応阻害剤は、医薬品、化粧品、食品などの各種分野において有用である。 エノテインB、ユーカルバニンB、以下の式(VI):で表される化合物、および以下の式(VII):で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のエラジタンニンを有効成分として含有する、メイラード反応阻害剤。 前記エラジタンニンが植物抽出物の形態で含有されている、請求項1に記載のメイラード反応阻害剤。 前記植物抽出物が、ザクロ属植物、シクンシ属植物、ゴジアオイ属植物、モモタマナ属植物およびヨツバネカズラ属植物からなる群より選択される少なくとも1つの植物由来の抽出物である、請求項2に記載のメイラード反応阻害剤。 【課題】 生体におけるメイラード反応の進行を効果的に阻害し、副作用の発生なく安全に適用することができ、かつ複雑な工程を必要とすることなく製造することができる、メイラード反応阻害剤ならびにそれを用いた皮膚用抗老化剤、抗糖尿病合併症剤、および飲食物を提供すること。【解決手段】 本発明のメイラード反応阻害剤は、生体内のメイラード反応を効率的に阻害し、生体内タンパク質の種々の機能障害を予防および改善できる。この活性により、老化を抑制し、糖尿病合併症の予防および治療に有用である。さらに、飲食品に配合することにより、飲食物中のメイラード反応を抑制して飲食物の劣化を抑制するとともに、生体内のメイラード反応も抑制することができる【選択図】 なし


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特許公報(B2)_メイラード反応阻害剤

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_メイラード反応阻害剤
出願番号:2013223611
年次:2014
IPC分類:A61K 31/7024,A61K 8/60,A61K 8/97,A61Q 19/08,A61K 36/18,A61K 36/00,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

西田 典永 長友 暁史 伊東 秀之 JP 5538611 特許公報(B2) 20140509 2013223611 20131028 メイラード反応阻害剤 森下仁丹株式会社 000191755 進藤 卓也 100163647 中道 佳博 100182084 大平 和幸 100123489 西田 典永 長友 暁史 伊東 秀之 JP 2011285694 20111227 20140702 A61K 31/7024 20060101AFI20140612BHJP A61K 8/60 20060101ALI20140612BHJP A61K 8/97 20060101ALI20140612BHJP A61Q 19/08 20060101ALI20140612BHJP A61K 36/18 20060101ALI20140612BHJP A61K 36/00 20060101ALI20140612BHJP A61P 43/00 20060101ALI20140612BHJP JPA61K31/7024A61K8/60A61K8/97A61Q19/08A61K35/78 CA61K35/78 XA61P43/00 105 A23L1/00−2/84, A61K8/00−8/99, A61K31/33−33/44, A61K36/00−36/9068, A61P1/00−A61Q90/00, C07H13/08 CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN), JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII), G−Search 特開2002−241299(JP,A) 特表2008−542283(JP,A) 特表2010−534488(JP,A) 国際公開第2011/011721(WO,A1) 特開2000−143491(JP,A) 特開2013−103930(JP,A) 特開2012−121874(JP,A) 3 2013513895 20121227 2014028858 20140213 21 20131129 澤田 浩平 本発明は、メイラード反応阻害剤に関し、より詳細には、例えば、医薬品、化粧料または飲食物などの製品内に配合される材料として用いられ得る、メイラード反応阻害剤に関する。 メイラード反応(糖化反応)は、還元糖とタンパク質の非酵素的、不可逆的な反応により、シッフ塩基形成、アマドリ転移を経て、様々な中間体を形成後、タンパク糖化最終生成物(advanced glycation end products:AGEs)に至るまでの反応である。生体内でもメイラード反応が起こり、様々な生体内物質が糖化されている。シッフ塩基はグルコースなどの還元糖とタンパク質のアミノ基との反応から生成する可逆的な化合物である。この反応にはリジンやアルギニンおよびタンパク質のN末端アミノ酸のアミノ基が関わっている。シッフ塩基は転移反応によりケトアミン構造を有する不可逆的な化合物であるアマドリ転移物となる。メイラード反応は前期反応、中間生成物の生成、後期反応の3段階に分けられる。 中間生成物として3−デオキシグルコソン(3DG)、グリオキサール(GO)などが知られている。3DGはアマドリ化合物から生成されるα−ジカルボニル化合物であり、AGEsの生成に関与する。AGEsや中間生成物はいくつかの酵素の関与によって代謝排泄されるが、これらの酵素の活性は加齢とともに低下し、体内にAGEsが蓄積される。 AGEsとしては、カルボキシメチルリジン(CML)、ペントシジン、ピラリン、クロスリン、ピロピリジンなどが知られており、蛍光物質(主に、励起波長370nm、蛍光波長440nm)が多い。AGEsが各組織に蓄積することにより、また、AGEsの受容体と結合することにより、機能性タンパク質の機能障害が生じ、種々の症状があらわれ、加齢に伴う退行性変化の大きな要因になる。皮膚においてAGEsが生成し蓄積すると、例えば、肌のはりや弾力の低下、シワ、たるみ、肌の色の変化、くすみ、透明感の低下、シミなどの肌全体の衰えの原因になる。また、糖尿病患者では、高血糖により生じたAGEsが白内障、動脈硬化、腎臓機能障害などの合併症を引き起こす。 したがって、メイラード反応を阻害しAGEsの生成を抑制することによりこれらの種々の症状を予防し、軽減することができる。最近はメイラード反応(糖化反応)を抑制するための種々の研究および開発が行われている(特許文献1〜5)。特開2005−35911号公報特開2011−102270号公報特開2002−241299号公報特開2008−214250号公報特開2006−256977号公報 本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、生体(例えば、ヒト、ペットおよび家畜)におけるメイラード反応の進行を効果的に阻害し、副作用の発生なく安全に適用することができ、かつ複雑な工程を必要とすることなく製造することができる、メイラード反応阻害剤ならびにそれを用いた皮膚用抗老化剤、抗糖尿病合併症剤、および飲食物を提供することにある。 本発明は、50質量%から90質量%のポリフェノールを有効成分として含有する、メイラード反応阻害剤である。 1つの実施態様では、上記ポリフェノールは、該ポリフェノール全体の質量に対し10質量%から50質量%のエラジタンニンを含有する。 さらなる実施態様では、上記エラジタンニンは、プニカリン、プニカラジン、エノテインB、ユーカルバニンB、プニカコルテインC、ポメグラニインA、およびポメグラニインBからなる群から選択される少なくとも1種の化合物から構成されている。 1つの実施態様では、上記ポリフェノールは、ポリフェノール含有植物抽出物の形態で含有されている。 1つの実施態様では、上記ポリフェノール含有植物抽出物は、ザクロ属植物、シクンシ属植物、ゴジアオイ属植物、モモタマナ属植物およびヨツバネカズラ属植物からなる群より選択される少なくとも1つの植物由来の抽出物である。 本発明はまた、上記メイラード反応阻害剤を含有する、皮膚用抗老化剤である。 本発明はまた、上記メイラード反応阻害剤を含有する、抗糖尿病合併症剤である。 本発明はまた、上記メイラード反応阻害剤が添加されている、飲食物である。 本発明はまた、上記メイラード反応阻害剤が添加されている、外用剤である。 本発明のメイラード反応阻害剤は、メイラード反応阻害活性が強く、AGEsの生成を効果的に抑制し、AGEsによる種々の症状を予防、改善することができる。例えば、メイラード反応に起因する老化を抑制し、皮膚のシワ、たるみ、はりもしくは弾力の低下を予防し、改善することができる。また、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症などの糖尿病合併症を効果的に予防し治療することができる。また、本発明の飲食物によれば、上記メイラード反応阻害剤が配合されていることにより、手軽な摂取を通じて生体内のメイラード反応の発生または進行を抑制することができる。さらに、本発明の飲食物は、上記メイラード反応阻害剤とコラーゲンとを併用することにより、当該飲食物中のメイラード反応の発生および/または進行をも阻害することができ、当該飲食物の劣化が抑制され品質が長期にわたって保持され得る。実施例2で単離された化合物を同定するための1H−NMRスペクトルであって、(a)はポメグラニインBについての1H−NMRスペクトルであり、(b)はポメグラニインAについての1H−NMRスペクトルであり、そして(c)はユーカルバニンBについての1H−NMRスペクトルである。 本発明のメイラード反応阻害剤は、ポリフェノールを有効成分として含有する。 メイラード反応阻害剤は、抗糖化剤とも呼ばれる。メイラード反応(糖化反応)は、還元糖とタンパク質の非酵素的、不可逆的な反応により、シッフ塩基形成、アマドリ転移を経て、様々な中間体を形成後、タンパク糖化最終生成物(advanced glycation end products: AGEs)に至るまでの反応である。本発明のメイラード反応阻害剤はいずれの反応を阻害してもよい。 本発明において、上記ポリフェノールは、メイラード反応阻害剤の全質量に対して、50質量%〜100質量%、好ましくは55質量%〜90質量%の割合で含有されている。このポリフェノールの含有量が50質量%を下回ると、後述する医薬品、化粧料、飲食物等に適用した場合、生体に対し充分なメイラード反応阻害を提供することができないおそれがある。 本発明において、上記ポリフェノールはエラジタンニンを含有する。エラジタンニンの含有量は、該ポリフェノール全体の質量を基準とした場合、例えば10質量%〜50質量%、好ましくは10質量%〜45質量%である。あるいは、エラジタンニンの含有量は、本発明のメイラード反応阻害剤全体の質量を基準とした場合、例えば、5質量%〜45質量%、好ましくは10質量%〜45質量%である。エラジタンニンの含有量がこのような範囲内で使用されることにより、本発明のメイラード反応阻害剤は、生体内でのメイラード反応を効果的に阻害するとともに、工業的にも効率良く製造することができる。 エラジタンニンは、例えば、植物に由来し、タンパク質、アルカロイド、金属イオンと反応し強く結合して難溶性の塩を形成し得る水溶性化合物である。 エラジタンニンとしては、特に限定されないが、例えば、以下の式(I):で表されるプニカリン(punicalin)、以下の式(II):で表されるプニカラジン(punicalagin)、以下の式(III):で表されるエノテインB(oenotein B)、以下の式(IV):で表されるユーカルバニンB(eucarbanin B)、以下の式(V):で表されるプニカコルテインC(punicacortein C)、以下の式(VI):で表されるポメグラニインA(pomegraniin A)、以下の式(VII):で表されるポメグラニインB(pomegraniin B)、ならびにこれらの組合せから構成されている。 本発明において、エラジタンニンは、上記プニカリン、プニカラジン、エノテインB、ユーカルバニンB、プニカコルテインC、ポメグラニインA、またはポメグラニインBの化合物単体そのもの、あるいはそれらの混合物であってもよく、もしくはプニカリン、プニカラジン、エノテインB、ユーカルバニンB、プニカコルテインC、ポメグラニインA、またはポメグラニインBのいずれか1種以上を基本骨格として含む重合体または共重合体であってもよい。あるいは、これらの単体と、重合体および/または共重合体との混合物であってもよい。重合体または共重合体のエラジタンニンの重合度は、特に限定されず、2〜10である。 本発明において、上記ポリフェノールは、好ましくはポリフェノール含有植物抽出物の形態で含有されている。 ポリフェノール含有植物抽出物を構成する植物の例としては、特に限定されないが、ザクロ属植物、シクンシ属植物、ゴジアオイ属植物、モモタマナ属植物およびヨツバネカズラ属植物が挙げられる。ポリフェノール含有植物抽出物は、各植物から得られる抽出物単独、あるいは組合せのいずれであってもよい。 上記ザクロ属植物は、ザクロ科に属する。好適にはザクロ(石榴)(Punica granatum)が用いられる。抽出に用いられる部位としては果実、幹皮、枝皮または根皮が挙げられ、好適な部位としては果実が挙げられる。 上記シクンシ属植物は、シクンシ科に属する。好適にはシクンシ(Quisqualis indica)が用いられる。この植物の成熟果実は、「使君子」と呼ばれ、古くから薬用に使われている。特に駆虫薬として有名である。抽出に用いられる部位としては果実、種子が挙げられる。 上記ゴジアオイ属植物は、ハンニチバナ科に属する。ゴジアオイ属は20の種を含む。好適には、Cistus ladaniferus、Cistus populifoliusが用いられる。 上記モモタマナ属植物は、シクンシと同様にシクンシ科の植物である。好適には、Terminalia arborea、Terminalia calamansanai、Terminalia catappa、Terminalia chebula、Terminaria horrida、Terminalia trifloraが用いられる。 上記ヨツバネカズラ属植物もシクンシ科に属する。好適には、Combretum glutinosumが用いられる。 ポリフェノール含有植物抽出物は、上記植物(全草または全体)またはその植物の一部、それらの加工物(乾燥物、破断物、細断物、またはこれらを粉末化した乾燥粉末、乾燥物を粉砕後成形したものなど)、またはこれらの粗抽出物が用いられ得る。本明細書において、単に植物という場合は、植物の加工物(乾燥物、破断物、細断物、またはこれらを粉末化した乾燥粉末、乾燥物を粉砕後成形したものなど)も包含する。植物の一部の例としては、必ずしも限定されないが、果実、果皮、花、茎、葉、幹、種子、または根などの植物の一部位が挙げられる。本明細書において、抽出物とは、上記植物またはその加工物を溶媒で抽出して得られる抽出液、その希釈液または濃縮液、あるいはそれらの乾燥物、もしくはそれらの精製物を包含する。 上記植物の抽出に使用される溶媒の例としては、水、エタノール、メタノールなどの低級アルコール、酢酸エチル、酢酸メチルなどの低級エステル、アセトン、およびこれらと水との混合物(含水有機溶媒)が挙げられる。生体の摂取による安全性をより高めるという点から、水単独、エタノール単独またはエタノールと水との混合物(いわゆる含水エタノールまたはエタノール水溶液)を使用することが好ましい。さらに、例えば、20%(v/v)以上、好ましくは30%(v/v)〜90%(v/v)のエタノール水溶液を用いることにより、上記エラジタンニンを豊富に含有する、あるいはメイラード反応阻害をより効果的に提供する抽出物を得ることができる。 抽出の条件(溶媒の量、温度、時間など)は、特に制限されない。例えば、抽出溶媒の量は、好ましくは、植物破砕物に対して5〜50倍容量/乾燥質量、より好ましくは10〜30倍容量/乾燥質量である。抽出温度は、使用する溶媒の種類に応じて異なるが、例えば、室温から使用する溶媒の沸点未満の温度を採用することができる。抽出時間は、使用する溶媒の種類、量、および抽出温度によって変動し得、適切な抽出時間が当業者によって設定され得る。室温で抽出する場合、例えば1時間〜48時間、好ましくは6時間〜24時間であってもよく、溶媒の沸点付近で抽出する場合は、例えば1分〜60分間程度であってもよい。さらに、(a)1種類の抽出溶媒を用いた単回抽出でもよく;(b)異なる種類の溶媒を用いて、ある溶媒で抽出した後に得られた抽出物を別の溶媒で抽出するような段階的な抽出を行ってもよく;あるいは(c)ある溶媒で抽出して得た抽出物と、別の溶媒で抽出した抽出物とを合わせてもよい。抽出操作(b)について、より具体的な例を用いて説明すれば、上記植物の乾燥質量の約20倍容量の熱水で約10分間抽出し、さらに同量のエタノールを加えて混合し、濾過した後、その濾液を抽出物とすることもできる。なお、このような抽出は、静置、振盪、撹拌あるいは還流などの任意の条件下にて行われ得る。あるいは、溶媒を加えた後にホモジェナイズして抽出してもよい。 本発明において好ましい精製手順および条件については、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、逆相ODSカラムクロマトグラフィーおよび分取HPLCなどを組み合わせ、好適な条件下において、溶離剤(例えば、水、またはヘキサン、酢酸エチル、クロロホルム、メタノールおよびn−ブタノールなどの各種有機溶媒、またはこれらの混合物)を用いて行われるが、特にこれらに限定されるものではない。 あるいは、上記植物の抽出物は、メイラード反応阻害活性を高める目的で、以下のような精製が行われてもよい。例えば、上記抽出後のろ過を通じて得られた濾液を、当業者が通常用いる手段を用いて濃縮した後、好ましくは40(v/v)%〜90(v/v)%、より好ましくは50(v/v)%〜80(v/v)%のC1〜C3アルコール水溶液(好ましくはエタノール水溶液)を用いるカラムクロマトグラフィーにかけることによって行われる。このカラムクロマトグラフィーに有用な吸着剤は、好ましくは芳香族系吸着剤であり、より具体的な1つの例としては、スチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤が挙げられる。スチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤は、例えば、アンバーライトXADシリーズ(オルガノ株式会社製)などが挙げられる。なお、本発明においては、メイラード反応阻害活性をさらに高める目的で、上記C1〜C3アルコール水溶液を用いる精製を行う前に、上記カラムに対し、水(例えば、蒸留水)を用いて予備的な精製が行われてもよい。 このようにして得られた抽出物は、そのままあるいは濃縮して、液状物、濃縮物、ペースト状で、あるいは、さらにこれらを乾燥した乾燥物の形状で用いられる。乾燥は、噴霧乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥、流動乾燥などの当業者が通常用いる方法により行われる。 なお、本発明において、この抽出物は、上記の手順により得られる水または溶媒抽出物および超臨界二酸化炭素抽出物、得られたこれらの抽出物を当該分野において公知の減圧乾固または噴霧乾燥(スプレードライ)などの方法で溶媒を除去して得られる固形分、およびさらにこれらを精製して得られる画分をも包含する。 本発明のメイラード反応阻害剤は、上記ポリフェノールまたはポリフェノール含有植物抽出物以外に他の添加剤が含まれていてもよい。他の添加剤の例としては、セルロース、(シクロ)デキストリン、ならびにこれらの組合せが挙げられる。本発明における他の添加剤の含有量は、特に限定されないが、上記ポリフェノールまたはポリフェノール含有植物抽出物が奏する上記メイラード反応阻害効果を阻害または低下させない範囲において、当業者によって任意の含有量が設定され得る。 本発明のメイラード反応阻害剤は、例えば、医薬品、化粧料または飲食品を構成する材料として有用である。 本発明のメイラード反応阻害剤の1つの実施態様には、メイラード反応に起因する生体の皮膚に対する抗老化が挙げられる。例えば、生体皮膚の老化の予防または改善用として、本発明のメイラード反応阻害剤が使用され得る。ここで、メイラード反応に起因する老化とは、メイラード反応により生成されたAGEsと生体内物質との非制御的反応により機能性タンパク質の機能障害を原因とする退行性の変化である。例えば、皮膚ではAGEsが蓄積すると、皮膚の透明感を低下させ、皮膚を黄色化させる。コラーゲンタンパク質は弾性線維と共に皮膚の弾力性を維持する役割を担うが、コラーゲンタンパク質とAGEsが結合して線維間架橋を形成するとコラーゲンの可動性が失われ、皮膚の硬化やシワの原因となる。本発明のメイラード反応阻害剤は、AGEsの生成を抑制し、このような生体内タンパク質の機能障害を抑制することができる。 すなわち、本発明のメイラード反応阻害剤は、皮膚用抗老化剤を構成する有効成分として使用することができる。用語「皮膚用抗老化剤」とは、生体の皮膚に対して抗老化作用を発揮し得る組成物を包含して言い、例えば、医薬品(医薬部外品を包含する)、および化粧料を包含する。 本発明のメイラード反応阻害剤を、皮膚用抗老化剤として使用する場合、その投与および摂取の経路や方法は限定されない。 例えば、本発明のメイラード反応阻害剤を医薬品として使用する場合、経皮、皮下、経静脈、経口が例示される。剤形または形状は限定されず、固体、半固体や液状が例示され、注射剤、外用剤、経口製剤が例示される。注射剤としては液剤や用時溶解用乾燥製剤が例示される。外用剤としては、貼付剤、軟膏、硬膏、ローション、乳液、液剤、懸濁剤が例示される。経口製剤としては、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤(懸濁剤、乳剤などを含む)が例示される。皮膚組織のメイラード反応阻害用には、外用剤が好ましい。 医薬品として使用する場合は、上記本発明のメイラード反応阻害剤以外に、任意成分(例えば、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、賦型剤、着色剤、着香剤、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保湿剤、およびpH調整剤)が配合されていてもよい。このような任意成分の例としては、セルロース、(シクロ)デキストリン、アラビアゴム末、メチルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、タルク、二酸化ケイ素(例えば、軽質無水ケイ酸または含水二酸化ケイ素)、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリルアルコール、澱粉類、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、寒天末、カルボキシメチルセルロース(カルシウム)、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、エステル油、ロウ、高級脂肪酸、高級アルコール、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤、多価アルコールなどが挙げられる。この場合、当該成分の含有量は、上記本発明のメイラード反応阻害効果を阻害または低下させない範囲において、当業者によって任意の含有量が設定され得る。 化粧料として使用する場合は、上記本発明のメイラード反応阻害剤以外に、任意成分(例えば、エステル油、ロウ、高級脂肪酸、高級アルコールなどの油性成分;アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤;多価アルコールなどの保湿剤;水、低級アルコール、シリコーンなどのベース成分;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;香料;およびpH調整剤)が配合されていてもよい。この場合、当該成分の含有量は、上記本発明のメイラード反応阻害効果を阻害または低下させない範囲において、当業者によって任意の含有量が設定され得る。化粧料には、化粧水、乳液などの基礎化粧品;ファンデーション、白粉など、顔全体に塗布するもの;およびアイシャドー、アイライン、頬紅などの顔の一部に塗布するもの;を含む。 本発明のメイラード反応阻害剤はまた、抗糖尿病合併症剤として使用することもできる。糖尿病は血液中のグルコース濃度が高いため、生体内タンパク質が糖化されやすく機能障害をひきおこす。本発明のメイラード反応阻害剤は、生体内タンパク質の糖化を抑制することにより、糖尿病合併症を予防または治療することができる。糖尿病合併症には、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、脳血管障害、虚血性心疾患、糖尿病性壊疽、高脂血症、慢性感染症、胆石症、白内障などが含まれる。 本発明はまた、上記メイラード反応阻害剤が添加された飲食物を提供する。 飲食物には飼料またはペットフードが挙げられ、例えば、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤などに製剤化された飲食物を包含する。この飲食物には、上記メイラード反応阻害剤以外に、別の食品材料、活性成分、および/または当該分野にて通常使用され得る添加剤(例えば、デキストリン、デンプン、糖類、リン酸カルシウムなどの賦形剤、溶剤、香料、香油など)と混合されていてもよい。 本発明において、上記メイラード反応阻害剤が添加された飲食物には、加工食品、麺類、菓子、飲料、調味料、粉ミルク、健康食品、サプリメントなどが例示される。該飲食品添加用組成物の剤形、形状は、粉状、液状など添加しやすい形状であれば限定されない。ふりかけまたはシーズニングのように飲食する者が飲食物に添加混合できるような形状と量を含有する組成物、飲食品加工時に添加するための形状と量を含有する組成物など、添加方法、用途によって組成物の形状、量、加工度は異なるが、本発明の組成物はそれら全てを含む。 さらに本発明の飲食物においては、上記メイラード反応阻害剤、すなわち生体内のメイラード反応の阻害活性を有する成分を添加することにより、従来存在する食品材料よりもその含有量を高めることができる。このため、従来の食品材料では到底摂取し得なかった量の当該阻害活性成分を一度に摂取することも可能である。 本発明はまた、コラーゲンと上記エラジタンニンとを含有する飲食物を提供する。本発明はさらに、コラーゲン含有飲食物に上記エラジタンニンを配合することによる飲食物中のメイラード反応の阻害方法を提供する。該エラジタンニンとしては、好ましくは加水分解型タンニンである。コラーゲンの種類および分子量は特に限定されない。該飲食物は、食品分野にて通常使用され得る糖を含有してもよい。コラーゲンを含有する飲食物に該エラジタンニンが配合されることにより、飲食物中の糖とコラーゲンのメイラード反応が阻害され、該飲食物の劣化を抑制し品質を保持することができる。さらに、該飲食物が摂取された後は、生体内のメイラード反応を抑制することができる。例えば、飲食物のコラーゲン1gに対し、プニカリンおよび/またはプニカラジンが0.0001mg〜100mg、好ましくは0.001mg〜1mg配合される。 本発明はまた、コラーゲンと上記エラジタンニンとを含有する外用剤を提供する。外用剤として使用する場合は、上記本発明のメイラード反応阻害剤以外に、任意成分(例えば、エステル油、ロウ、高級脂肪酸、高級アルコールなどの油性成分;アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤;多価アルコールなどの保湿剤;水、低級アルコール、シリコーンなどのベース成分;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;香料;およびpH調整剤)が配合されていてもよい。この場合、当該成分の含有量は、上記本発明のメイラード反応阻害効果を阻害または低下させない範囲において、当業者によって任意の含有量が設定され得る。 次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。(実施例1:メイラード反応阻害活性の測定) 被験サンプルとして、ザクロエキス(森下仁丹株式会社製;ポリフェノール含量50質量%)、プニカリン、プニカラジン、エノテインB、ユーカルバニンB、プルカコルテインC、ポメグラニインAおよびポメグラニインBを用いた。比較のために、タンニン酸およびエラグ酸二水和物を用いた。ポジティブコントロールとして、アミノグアニジンを用いた。これらの被験サンプルを、それぞれ水で希釈して0.01μg/mL、0.03μg/mL、0.1μg/mL、0.3μg/mL、1μg/mL、10μg/mL、100μg/mL、300μg/mL、または1000μg/mLの濃度の溶液を調製し、各調製した溶液について、メイラード反応阻害活性を測定した。測定は以下のように行った。 各被験サンプルの上記調製した溶液を用いて以下の表1に示す4種類の反応液A〜Dを調製し、各反応液A〜Dを60℃にて40時間インキュベーションすることによりメイラード反応を生じさせ、その後、400μLの反応液A〜Dを2400μLの蒸留水により希釈して希釈試料を得た。各希釈試料について、蛍光強度(励起光:370nm;測定光:440nm)を測定し、0.1μg/mLの硫酸キニーネ溶液の蛍光強度を100とした相対値として用いることにより、蛍光性メイラード反応生成物の量(定量値)を算出した。 次いで、得られた定量値から、各被験サンプルの上記調製した溶液(濃度(μg/mL))に対するメイラード反応阻害率(%)を以下の式より計算した。 その後、被験サンプル毎の50%阻害率(IC50)を次のように計算した。すなわち、サンプル濃度−阻害率プロットをとり、4パラメータプロッティングを行い、阻害率50%のときの濃度をIC50とした。 各調製した溶液に対するメイラード反応阻害率(%)の結果を表2に示す。さらに、表2に示す各調製した溶液に対するメイラード反応阻害率(%)から算出したIC50値について、表3に示す。 表2および3に示されるように、ザクロエキス、プニカリン、プニカラジン、エノテインB、ユーカルバニンB、プニカコルテインC、ポメグラニインAおよびポメグラニインBはいずれも、ポジティブコントロールのアミノグアニジンと比較して優れたメイラード反応阻害活性を有していることがわかる。さらに、表2から明らかなように、プニカリン、プニカラジン、エノテインBおよびポメグラニインBは、エラグ酸二水和物およびポジティブコントロールのアミノグアニジンと比較して、より低く調製された濃度においても特に優れたメイラード反応阻害率(%)を示していることがわかる。さらに表2および表3から明らかなように、プニカリン、プニカラジン、プニカコルテインC、ポメグラニインA、ポメグラニインBはいずれも、タンニン酸、エラグ酸二水和物およびポジティブコントロールのアミノグアニジンと比較してIC50値が特に低く、優れたメイラード反応阻害活性を有していることがわかる。(実施例2:ザクロ粉末からのエラジタンニンの抽出) 市販の乾燥ザクロ粉末(中国産)300gに水700mLを加え、50℃にて24時間攪拌放置し、放冷後遠心分離して、抽出液900mLを得た。その抽出液をアンバーライトXAD4(オルガノ社製)100gを充填したカラムに注入し、3000mLの水を流し、その後、エタノール:水=8:1(v:v)混液を1500mL流した。得られた画分を減圧下で濃縮した後、得られたエタノール−水画分濃縮物に凍結乾燥助剤としてセルロース(旭化成アビセル)5gを加え、凍結乾燥した。このようにしてザクロ粉末由来の粉末でなる試料Sを調製した。 次いで、上記で得られた試料Sについて、以下の測定を行った。(総ポリフェノール量) ポリフェノール含量を、Folin−Denis法(五訂「日本食品標準成分表分析マニュアルの解説」,254頁,2001年,中央法規出版(株))により没食子酸エチル等量として測定した。すなわち、各試料を蒸留水15mg/mLの濃度で溶解し、試料溶液を調製した。この試料溶液1mLと、フォーリン試薬(タングステン酸ナトリウム25g、リンモリブデン酸5g、リン酸12.5mLに蒸留水180mLを加えて2時間煮沸還流後、蒸留水で1Lとしたもの)1mLとを混合して5分間放置した。さらに、10%炭酸ナトリウム水溶液を1mL添加し、1時間放置後、700nmにおける吸光度を測定した。また、試料溶液の代わりに蒸留水のみを用いたこと以外は上記と同様にして測定した吸光度をコントロールとした。各種濃度の没食子酸エチル水溶液を調製して上記と同様に測定して検量線を作成し、上記で得られた試料Sに含まれるポリフェノール含量を測定した。 試料Sの総ポリフェノール量は、試料Sの質量を基準として72.1±0.6%であった。(エラジタンニン量) 上記試料Sのエラジタンニン量を、文献(J. Agric. Food Chem., 2009年, 57(16)、p.7395)に記載の下記条件に従い、HPLC(型番Inertsil ODS−3、ジーエルサイエンス株式会社製)で定量した。 <HPLCの分析条件> 検出器:紫外吸光光度計(380nm) カラム:Inertsil ODS−3(5μm、4.6×250mm)(ジーエルサイエンス株式会社製) カラム温度:40℃ 流量:1.0mL/分 注入量:25μL 移動相条件:0.5%リン酸(A)およびアセトニトリル(B)を、以下の条件でリニアグラジエントを行った: A B 0分 95% 5% 10分 85% 15% 30分 75% 25% 35分 95% 5% 得られた結果を表4に示す。 表4に示すように、本実施例で得られた試料Sにはポリフェノールのうち、各種エラジタンニンを所定量含有していたことがわかる。 また、上記試料Sについては下記条件に従い分離することによりエノテインB、ユーカルバニンB、プニカコルテインC、ポメグラニインA、およびポメグラニインBをそれぞれ単離した。そのうち、ポメグラニインA、ポメグラニインB、およびユーカルバニンBについては、図1に示すように1H−NMRスペクトル測定(600MHz,アセトン-d6+D2O)を通じて、これらの化合物であることを同定した。ポメグラニインAおよびBの1H−NMRデータ(600MHz,アセトン-d6+D2O)を以下に示す:6.97-7.05 (ガロイル-H),6.11-6.67 (HHDP-H, バロネオイル-H),5.55-5.85 (グルコースH-3),5.49-5.61 (グルコースH-1 (α-アノマー), H-3),5.24-5.26 (グルコースH-6),5.03-5.22 (グルコースH-1 (β-アノマー), H-2, 4, 6),4.61-4.63 (グルコースH-5 (β-アノマー)),4.30-4.32 (グルコースH-1 (β-アノマー)),4.08-4.26 (グルコースH-5 (α-アノマー)),3.66-3.93 (グルコースH-6)。さらにポメグラニインAおよびBのエレクトロスプレー質量分析(ESI−MS)の結果もそれぞれ以下に示す: ポメグラニインA(トリマー)ESI-MS: m/z 2353 (M-H)-, 1176 (M-2H)2- ポメグラニインB(テトラマー)ESI-MS: m/z 3137 (M-H)-, 1568 (M-2H)2-。<HPLCの分析条件> 検出器:紫外吸光光度計(280nm) カラム:YMC-Pack SIL A-003(4.6×250mm)(株式会社ワイエムシィ製) カラム温度:25℃ 流量:1.5mL/分 移動相条件:n−へキサン:MeOH:THF:HCOOH=47:39:13:1 + (COOH)2 450mg/L(実施例3:皮膚への抗老化作用) ヒト皮膚線維芽細胞によるコラーゲンゲル収縮活性を指標とし、糖化反応によるコラーゲン架橋形成に及ぼすザクロエキスの効果を評価した。すなわち、コラーゲン・ゲル培養キット(Cellmatrix、新田ゼラチン株式会社製)を用いて、細胞培養用12ウェルプレートにコラーゲンゲルを調製した。 実施例2で得られた試料Sを、10mMのグルコース−6−リン酸溶液で種々の濃度に調製し、コラーゲンゲル上に添加後、37℃で10日間インキュベートし、糖化反応を行った。未反応のグルコース−6−リン酸を洗浄除去し、1×105細胞/mLの線維芽細胞をコラーゲンゲル上に播種し、0.25%FBS含有DMEM培地で培養した。3時間後、ウェル壁面からコラーゲンゲルを剥離し、コラーゲンを収縮させた。48時間後、培地を吸引除去し、コラーゲンゲルの直径を測定して、コラーゲンゲルの面積を算出した。 コントロール1として、上記グルコース−6−リン酸溶液の添加を行わなかったことにより糖化反応を起こさせなかった以外は上記と同様にしてコラーゲンゲルの面積を算出した。さらにコントロール2として、上記実施例2で得られた試料Sの添加を行わなかったこと以外は上記と同様にしてコラーゲンゲルの面積を算出した。コントロール1の面積をA、コントロール2の面積をB、サンプルの面積をCとして、次の式から阻害率を算出した。 得られた結果を表5に示す。 表5に示すように、実施例2で得られた試料Sは、添加濃度が高いほどコラーゲンゲルの面積が小さく、高い収縮活性を示し、皮膚に対して優れた抗老化作用を奏していることがわかる。(実施例4:糖尿病合併症に対する効能) 肥満・糖尿病を自然発症する雄性TSOD(Tsumura,Suzuki,Obese Diabetes)マウスを10週齢まで飼育し、尿糖の出現が確認された個体を実験に使用した。肥満・糖尿病を呈さない正常対照マウスとして、同週齢の雄性TSNO(Tsumura,Suzuki,Non Obesity)マウスを用いた。血糖値および体重の平均値が揃うよう2群に分け、第1群には普通食を、第2には普通食に実施例2で得られた試料S粉末を1%の割合で混餌したものを与え、12週間飼育した。正常対照マウスには普通食を与え、同様に12週間飼育した。飲料水は水道水を自由摂取とした。 12週間の投与終了後、全てのマウスを麻酔下で腹部大動脈より血液を採取した後、放血致死させ、胸部大動脈を摘出した。さらに、眼球を摘出し水晶体を採取した。血液サンプルは遠心分離により血漿を採取し、CML濃度をELISA法にて測定した。摘出した大動脈は脱脂後凍結乾燥し、微粉砕した。この一部をとり、プロテアーゼ処理後遠心分離し、上清を採取した。この上清を励起波長370nm、蛍光波長430nmで測定し、AGE量を算出した。水晶体はホモジナイズ後遠心分離し、上清中のAGE量をELISAで測定した。 得られた結果を表6〜8に示す。 表6〜8に示すように、実施例2で得られた試料Sを摂取させたTSODマウスは、普通食のみを摂取させたTSODの場合と比較して、血中、大動脈内、水晶体内におけるAGEの生成が抑制された。よって、実施例2で得られた試料Sは、糖尿病合併症の罹患の予防または遅延に有用であると考えられる。(実施例5:飲料の作製) 下記処方に基づき、飲料を作成した。 成分 配合比(質量比) グリセリン 10.0 実施例2で得られた試料S 1.0 セルロース 0.1 クエン酸 0.3 香料 0.1 精製水 残量 上記各成分を一緒に混合し、撹拌することにより飲料を作製した。(実施例6:化粧水の作製) 以下の成分を以下の割合で均一に混合して化粧水を得た。 成分 配合比(質量比) グリセリン 10.0 1,3−ブチレングリコール 6.0 実施例2で得られた試料S 1.0 クエン酸 0.1 クエン酸ナトリウム 0.3 ポリオキシエチレン 1.0 エチルアルコール 8.0 パラベン 0.1 香料 0.1 精製水 残量 本発明のメイラード反応阻害剤は、強いメイラード反応阻害活性を有することより、生体内のメイラード反応を効率的に阻害し、生体内タンパク質の種々の機能障害を予防および改善できる。この活性により、老化を抑制し、糖尿病合併症の予防および治療に有用である。さらに、上記タンニンをコラーゲン含有飲食品に配合することにより、飲食物中のメイラード反応を抑制し、飲食物の劣化を抑制するとともに、生体内のメイラード反応も抑制することができる。本発明のメイラード反応阻害剤は、医薬品、化粧品、食品などの各種分野において有用である。 エノテインB、ユーカルバニンB、以下の式(VI):で表される化合物、および以下の式(VII):で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のエラジタンニンのみを有効成分として含有する、メイラード反応阻害剤。 前記エラジタンニンが植物抽出物の形態で含有されている、請求項1に記載のメイラード反応阻害剤。 前記植物抽出物が、ザクロ属植物、シクンシ属植物、ゴジアオイ属植物、モモタマナ属植物およびヨツバネカズラ属植物からなる群より選択される少なくとも1つの植物由来の抽出物である、請求項2に記載のメイラード反応阻害剤。


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