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タイトル:公開特許公報(A)_レジスト下層膜形成組成物
出願番号:2013221111
年次:2015
IPC分類:C07C 233/81,G03F 7/11,C07C 237/42


特許情報キャッシュ

中 杉 茂 正 鈴 木 理 人 李 晋 三 角 元 希 井 手 泰 明 JP 2015081248 公開特許公報(A) 20150427 2013221111 20131024 レジスト下層膜形成組成物 メルクパフォーマンスマテリアルズマニュファクチャリング合同会社 312001199 勝沼 宏仁 100117787 中村 行孝 100091487 前川 英明 100187159 中 杉 茂 正 鈴 木 理 人 李 晋 三 角 元 希 井 手 泰 明 C07C 233/81 20060101AFI20150331BHJP G03F 7/11 20060101ALI20150331BHJP C07C 237/42 20060101ALI20150331BHJP JPC07C233/81G03F7/11 503C07C237/42 10 OL 23 2H125 4H006 2H125AE03N 2H125AE04N 2H125AM80N 2H125AM88N 2H125AM92N 2H125AM94N 2H125AM99N 2H125AN05N 2H125AN39N 2H125AN50N 2H125BA21N 2H125BA24N 2H125CA12 2H125CB12 2H125CB16 4H006AA01 4H006AB76 4H006BJ50 4H006BM10 4H006BM30 4H006BM71 4H006BM74 4H006BN10 4H006BP10 4H006BS30 4H006BT32 4H006BV74 本発明は、EUVリソグラフィーを用いたデバイス作製工程に用いられ電子線又はEUVによって及ぼされる悪影響を低減し、良好なレジストパターンを得るのに有効な電子線又はEUVリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物、並びに該リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を用いるレジストパターン形成方法に関するものである。 半導体装置の製造過程において、フォトレジストを用いたリソグラフィーによる微細加工が一般的に行われている。この微細加工とは、シリコンウェハー等の半導体基板上にフォトレジストの薄膜を形成し、その上にデバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線等の活性光線を照射し、現像し、得られたフォトレジストパターンを保護膜として基板をエッチング処理することにより、基板表面に、前記パターンに対応する微細凹凸を形成する加工法である。このような技術分野においては、近年、デバイスの高集積度化が進み、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、極紫外線(EUV、波長13.5nm)、または電子線(EB)のような非常に波長の短い光が露光に使用される傾向にある。しかしながら、これらのフォトリソグラフィー工程では基板からの光の反射による定在波の影響や、基板の段差による露光光の乱反射の影響によりフォトレジストパターンの寸法精度が低下するという問題が生ずることがある。また、極紫外線のような非常に波長の短い光を露光に使用する場合には、下地となる基板から発生するガスがレジスト層に悪影響を及ぼすこともある。そこで、この問題を解決すべく、フォトレジストと基板の間に下層反射防止膜(bottom anti−reflective coating)を設ける方法が広く検討されている。このような下層反射防止膜には種々の特性が求められる。具体的には、フォトレジストの露光に用いられる放射線に対して、大きな吸光度を有すること、乱反射等が少なく、露光および現像後のフォトレジストの断面が基板表面に対して垂直になること、フォトレジスト組成物に含まれる溶媒に対して難溶性であること(インターミキシングが起こりにくいこと)などの特性を有することが好ましい。特にインターミキシングは、フォトレジスト層と下層反射防止膜との界面に影響を及ぼしやすく、それによってフォトレジストの形状が制御しにくくなることがある。 近年では、電子線やEUV(波長13.5nm)を用いるリソグラフィー技術が注目されている。電子線又はEUVリソグラフィーを用いたデバイス作製工程では、下地基板、電子線、又はEUVによって及ぼされる悪影響によって、レジストパターンが裾引き形状やアンダーカット形状になり、良好な矩形形状のレジストパターンを形成することができない、パターン形状が悪いためパターン側壁ラフネス(ラインエッジラフネス、LER)が大きくなる、ラインウエッジラフネス(LWR)が悪くなる、レジストパターンと基板の密着性が十分でなく、パターン倒れを引き起こす、焦点深度が小さい、感度が低い、エッチング速度が低いなどの問題が生じることがある。そのため、電子線又はEUVリソグラフィー工程では、従来の反射防止能を有するレジスト下層膜(反射防止膜)の代わりに、これらの悪影響を低減して、良好なレジストパターンを形成することを可能にする電子線又はEUVリソグラフィー用レジスト下層膜が必要となってくる。 また、パターン倒れやLWRを改善することを目的に非特許文献1に記載のように熱膨張係数の低いポリマーを使用されている。さらに、特許文献1、2、3に記載のように従来の電子線又はEUVリソグラフィー用レジスト下層膜はポリマーがメインに使用されている。これらの従来技術には分子量分布の大きいポリマーが使用されているため下層膜内の密度のばらつきが大きいと考えられる。そのため、下層膜としては均一な膜の形成が困難なため、レジストのパターン倒れを引き起こし、また、下地基板や電子線、EUVによって及ぼされる悪影響に関して大きなばらつきを有するため、LWRを十分に改善しているとは言えない。特表2008−501985号公報国際特許公開第2011/074494号公報国際特許公開第2012/017790号公報Proc.SPIE,Vol.7972,797211(2011). 本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、下層膜に用いられた場合に、感度、露光許容度、焦点深度、LWR、エッチング耐性を改善することのできる化合物、およびそれらの特性が改善された下層膜を形成することができる組成物を提供することを目的とするものである。 本発明によるデンドリマー化合物は、下記式(1):Ar1(−Z1)m1ーk1(−L1’p1−L1−L1’p1−A)k1 (1)[式(1)中、 Ar1は、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、およびアントラセン骨格からなる群から選択される芳香族性骨格であり、 Z1は、水素、炭素数1〜3の炭化水素基またはハロゲンであり、それぞれのZ1は同一であっても異なっていてもよく、 L1は、アミド結合またはエステル結合であり、それぞれのL1は同一であっても異なっていてもよく、 L1’は、炭素数1〜3の炭化水素鎖、炭素数1〜3の酸素含有炭化水素鎖、および炭素数1〜3の硫黄含有炭化水素鎖からなる群から選択される2価の連結基であり、L1’は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、それぞれのL1’は同一であっても異なっていてもよく、 m1は、Ar1がベンゼン骨格である場合には6、Ar1がナフタレン骨格である場合には8、Ar1がアントラセン骨格である場合には10であり k1は、2以上、m1以下の数であり、 p1は0または1であり、それぞれのp1は同一であっても異なっていてもよく、 Aは、下記式(2):−Ar2(−Z2)m2ーk2(−L2’−L2−L2’−B)k2 (2){式(2)中、 Ar2は、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、およびアントラセン骨格からなる群から選択される芳香族性骨格であり、 Z2は、水素、炭素数1〜3の炭化水素基またはハロゲンであり、それぞれのZ2は同一であっても異なっていてもよく、 L2は、アミド結合またはエステル結合であり、それぞれのL2は同一であっても異なっていてもよく、 L2’は、炭素数1〜4の炭化水素鎖、炭素数1〜4の酸素含有炭化水素鎖、および炭素数1〜4の硫黄含有炭化水素鎖からなる群から選択される2価の連結基であり、L2’は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、それぞれのL2’は同一であっても異なっていてもよく、 m2は、Ar1がベンゼン骨格である場合には5、Ar1がナフタレン骨格である場合には7、Ar1がアントラセン骨格である場合には9であり、 k2は、1以上、m2以下の数であり、 p2は0または1であり、それぞれのp2は同一であっても異なっていてもよく、 Bは、前記式(2)で表される基であるか、下記式(3A)または(3B):−Ar3(−Z3)m3 (3A)−R3 (3B)(式中、 Ar3は、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、およびアントラセン骨格からなる群から選択される芳香族性骨格であり、 Z3は、水素、炭素数1〜4の炭化水素基、ハロゲン、カルボキシル基、およびエステル基からなる群から選択される基であり、それぞれのZ3は同一であっても異なっていてもよく、 m2は、Ar1がベンゼン骨格である場合には5、Ar1がナフタレン骨格である場合には7、Ar1がアントラセン骨格である場合には9である)、 R3は、炭素数1〜4の炭化水素基であり、前記炭化水素基はハロゲンによって置換されていてもよい)で表される基である}で表される基である]で表されることを特徴とするものである。 また、本発明による下層膜形成組成物は、前記デンドリマー化合物、架橋剤、熱酸発生剤、および溶媒を含んでなることを特徴とするものである。 さらに本発明による下層膜は、前記下層膜形成組成物を基板上に塗布し、加熱することによって形成されたことを特徴とするものである。 さらに、本発明によるパターン形成方法は、 前記下層膜形成組成物を半導体基板上に塗布し、焼成して下層膜を形成させる工程、 前記下層膜上にフォトレジスト層を形成させる工程、 前記下層膜と前記フォトレジスト層で被覆された前記半導体基板を露光する工程、および 前記露光後に現像液で現像する工程を含んでなることを特徴とするものである。 本発明によれば下層膜形成組成物に用いた場合に優れた特性を実現できるデンドリマー化合物が提供される。また本発明の実施態様による下層膜形成用組成物は、パターン形成時に下層膜とフォトレジスト組成物層との間でインターミキシングが起こりにくく、形成されるレジストパターンの断面が基板表面に対して垂直であるレジストパターンを得ることができ、さらに、感度、焦点深度、露光許容度、LWRおよびエッチング耐性の改善が可能となる。また、本発明による下層膜形成組成物によって形成された下層膜は、熱膨張係数が低いという特徴があり、これに起因して、下層膜が加熱された場合に熱膨張によっておこる表面の平滑性劣化を抑制することができる。そして、用いられるデンドリマー化合物の分子量が比較的小さいために、形成される下層膜の膜密度を高くすることができ、また優れた密度の均一性も実現できる。 以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明すると以下の通りである。<デンドリマー化合物> 本発明によるデンドリマー化合物は、下記式(1):Ar1(−Z1)m1ーk1(−L1’p1−L1−L1’p1−A)k1 (1)によりあらわされるものである。 式(1)中、 Ar1は、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、およびアントラセン骨格からなる群から選択される芳香族性骨格であり、 Z1は、水素、炭素数1〜3の炭化水素基またはハロゲンであり、それぞれのZ1は同一であっても異なっていてもよく、 L1は、アミド結合またはエステル結合であり、それぞれのL1は同一であっても異なっていてもよく、 L1’は、炭素数1〜3の炭化水素鎖、炭素数1〜3の酸素含有炭化水素鎖、および炭素数1〜3の硫黄含有炭化水素鎖からなる群から選択される2価の連結基であり、L1’は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、それぞれのL1’は同一であっても異なっていてもよく、 m1は、Ar1がベンゼン骨格である場合には6、Ar1がナフタレン骨格である場合には8、Ar1がアントラセン骨格である場合には10であり k1は、2以上、m1以下の数であり、 p1は0または1であり、それぞれのp1は同一であっても異なっていてもよい。 式(1)において、Ar1は1〜3個のベンゼン環を含む、芳香族性骨格である。ここで芳香族性骨格としては、ベンゼン、ナフタレン、およびアントラセンが挙げられる。本発明によるデンドリマー化合物においてはこれらの芳香族性骨格は、エッチングレートを速くするという観点からベンゼン骨格が好ましい。これらの芳香族性骨格は、それぞれ結合し得る置換基の数が異なる。この置換基の数は、式(1)のm1に相当する。具体的には、m1はAr1がベンゼン骨格である場合には6、Ar1がナフタレン骨格である場合には8、Ar1がアントラセン骨格である場合には10である。 Z1は水素、炭素数1〜3の炭化水素基またはハロゲンのいずれでもよく、ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が好ましく、感度を向上させるという観点からフッ素またはヨウ素が特に好ましい。 式(1)中、(−L1’p1−L1−L1’p1−A)基は、比較的大きな置換基であり、k1が2以上であることから、式(1)の化合物がデンドリマー構造を取りえる。k1は大きすぎると立体障害などにより合成が困難になることもある。このため、(−L1’p1−L1−L1’p1−A)基の数は、最大であるm1とすることは必ずしも好ましくない。具体的にはAr1がベンゼン骨格の場合にはk1は3であることが好ましく、Ar1がナフタレン骨格またはアントラセン骨格である場合にはk1は4であることが好ましい。なお、(−L1’p1−L1−L1’p1−A)基は、中心となる芳香族性骨格に対称に結合していることが好ましい。 L1はアミド結合−CONH−またはエステル結合−COO−である。これらのL1基は、直接または炭素数1〜3の2価の炭化水素鎖L1’を介して隣接基に結合してもよい。式(1)においてp1が0である場合は、L1が直接隣接基に結合している場合に相当する。なお、すべてのp1が0であること、すなわち、Ar1とAがアミド結合またはエステル結合のみを介して結合していることが好ましい。このようにAr1とAとを連結する連結基がアミド結合またはエステル結合を含むことによって、形成される下層膜のエッチングレートが改善されるとともに熱膨張係数が低くなるという効果がある。アミド結合またはエステル結合を含まない連結基を用いると、十分なエッチングレートを実現することが困難であるとともに熱膨張係数も高くなる傾向にある。 L1’は、2価の連結基である。この連結基は、炭素数1〜3の炭化水素鎖、炭素数1〜3の酸素含有炭化水素鎖、および炭素数1〜3の硫黄含有炭化水素鎖からなる群から選択されるものである。ここで、酸素含有炭化水素鎖および硫黄含有炭化水素鎖とは、側鎖に水酸基、チオール基などの置換基を有する炭化水素鎖や、主鎖中にエーテル結合やチオエーテル結合を含む炭化水素鎖を意味する。これらのエーテル結合やチオエーテル結合は主鎖中にランダムに含まれていても、規則的に含まれていてもよい。また、L1’は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。具体的には、−CH2−、−(CH2)2−、−(CH2)3−、−CH2−CH(CH3)−、−CH2−O−CH2−、CH2−S−CH2−などが挙げられる。 式(1)において、Aは、下記式(2):−Ar2(−Z2)m2ーk2(−L2’p2−L2−L2’p2−B)k2 (2)で表される基である。 式(2)中、Ar2は、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、およびアントラセン骨格からなる群から選択される芳香族性骨格である。 Ar2に結合するZ2は、水素、炭素数1〜3の炭化水素基またはハロゲンであり、それぞれのZ2は同一であっても異なっていてもよい。ここで、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群から選択されるものが好ましく、感度を向上させるという観点からフッ素またはヨウ素が特に好ましい。 また、L2は、アミド結合またはエステル結合であり、それぞれのL2は同一であっても異なっていてもよい。 L2’は、2価の連結基である。この連結基は、炭素数1〜4の炭化水素鎖、炭素数1〜4の酸素含有炭化水素鎖、および炭素数1〜4の硫黄含有炭化水素鎖からなる群から選択されるものである。L2’が主鎖中にエーテル結合やチオエーテル結合を含む場合、それらは主鎖中にランダムに含まれていても、規則的に含まれていてもよい。また、L2’は側鎖に水酸基やチオール基を有していてもよい。また、L2’は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。式(2)においてp2が0である場合は、L2が直接隣接基に結合している場合に相当する。具体的には、−CH2−、−(CH2)2−、−(CH2)3−、−CH2−CH(CH3)−、−CH2−CH(OH)−、−CH(CH2OH)−、−CH2−CH(SH)−などが挙げられる。 m2は、Ar1がベンゼン骨格である場合には5、Ar1がナフタレン骨格である場合には7、Ar1がアントラセン骨格である場合には9である。 k2は、1以上、m2以下の数である。式(2)で表される基Aは、k1が2以上である場合にさらなる分岐鎖状構造を形成することができる。本発明において式(1)に示される化合物が下層膜形成用組成物に用いたときに優れた効果を奏するためには、分岐鎖状構造を有していることが必要である。しかしながら、過度に分岐鎖状構造を有すると、立体障害などによって所望の効果が得られないことがあるので、k2は3以下であることが好ましく、2であることが好ましい。 式(2)中、Bは、前記式(2)で表される基であるか、下記式(3A)または(3B):−Ar3(−Z3)m3 (3A)−R3 (3B)で表される基である。 Ar3は、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、およびアントラセン骨格からなる群から選択される芳香族性骨格である。 Z3は、水素、炭素数1〜4の炭化水素基、特にアルキル基、ハロゲン、カルボキシル基、およびエステル基からなる群から選択される基であり、それぞれのZ3は同一であっても異なっていてもよい。 m3は、Ar1がベンゼン骨格である場合には5、Ar1がナフタレン骨格である場合には7、Ar1がアントラセン骨格である場合には9である。 R3は、炭素数1〜4の炭化水素基であり、前記炭化水素基はハロゲンによって置換されていてもよい。なお、Z3およびR3において、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群から選択されるものが好ましく、感度を向上させるという観点からフッ素またはヨウ素が特に好ましい。 なお、本発明によるデンドリマー化合物は、前記式(2)の置換基を繰り返し含む、いわゆる高世代のデンドリマー化合物とすることができる。しかしながら、過度に高世代のデンドリマー化合物は、露光許容度や焦点深度などが劣化する傾向にあるので、第10世代以下であることが好ましい。さらには、デンドリマー化合物の分子量が比較的小さい場合に、形成される下層膜の均一性、膜密度、および熱膨張係数が改善されるため、第6世代以下であることがより好ましく、第4世代以下であることが特に好ましい。<下層膜形成組成物> 本発明による下層膜形成組成物は、前記のデンドリマー化合物に加えて、架橋剤、熱酸発生剤および溶媒を含んでなるものである。また、この組成物は必要に応じて、その他の添加剤、例えば光酸発生剤および界面活性剤を含んでなる。これらの各成分について説明すると以下の通りである。架橋剤 本発明による下層膜形成用組成物は架橋剤を含む。形成しようとする下層膜と、その上に形成されるレジストなどの上層膜との間のミキシングを防ぐために、下層膜形成用組成物に架橋剤が用いられる。架橋剤としては、露光された際に、デンドリマー化合物の末端ヒドロキシ基に作用して架橋構造を形成させる化合物であれば、いずれも使用することができる。このような架橋剤の具体例としてはヘキサメチルメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、1,2−ジヒドロキシ−N,N’−メトキシメチルスクシンイミド、1,2−ジメトキシ−N,N’−メトキシメチルスクシンイミド、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、N,N’−メトキシメチルウレア、ヘキサキス(メトキシメチル)―1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミンが挙げられる。これらのうち、官能基としてN−CH2−O−CH3を有する化合物が特に前記した架橋剤としての効果を強く発現できるので好ましい。熱酸発生剤 本発明による下層膜形成用組成物は熱酸発生剤を含む。形成しようとする下層膜の架橋を促進する補助剤である。本発明の下層膜形成組成物に使用される熱酸発生剤の具体例としては、各種脂肪族スルホン酸とその塩、クエン酸、酢酸、マレイン酸等の各種脂肪族カルボン酸とその塩、安息香酸、フタル酸等の各種芳香族カルボン酸とその塩、芳香族スルホン酸とそのアンモニウム塩、各種アミン塩、芳香族ジアゾニウム塩及びホスホン酸とその塩など、有機酸を発生させる塩やエステル等を挙げることができる。本発明で用いられる熱酸発生剤の中でも特に、有機酸と有機塩基からなる塩であることが好ましく、カルボン酸およびその塩、ならびにスルホン酸およびその塩が特に好ましく、スルホン酸と有機塩基からなる塩は本発明の効果を顕著に発現させるので更に好ましい。また、カルボン酸およびその塩は、特に下層膜を高温処理をする場合に優れた効果を与えるので好ましい。 好ましいスルホン酸を含む熱酸発生剤としては、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−ドデシルベンゼンスルホン酸、1,4−ナフタレンジスルホン酸、メタンスルホン酸、1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸などが挙げられる。これら酸発生剤は、単独又は混合して使用することが可能である。溶剤 本発明の下層膜形成組成物に使用される溶剤としては、前記の各成分を溶解できる溶剤であれば、任意のものから選択して使用することができる。溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチルピロリドン等を用いることができる。これらの溶剤は単独または二種以上の組合せで使用することができる。さらに、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を混合して使用することができる。光酸発生剤 本発明による下層膜形成用組成物は必要に応じて光酸発生剤を含む。上層膜であるレジストのスカムやフッティングを除去するために用いられることが多い。 このような光酸発生剤は従来知られているものから任意に選択することができる。光酸発生剤の具体例としては、オニウム塩化合物、架橋性オニウム塩化合物、スルホンマレイミド誘導体、及びジスルホニルジアゾメタン化合物等が挙げられる。 オニウム塩化合物の具体例としては、例えば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−ノルマルブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−ノルマルオクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート及びビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート等のヨードニウム塩化合物、及びトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−ノルマルブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート及びトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のスルホニウム塩化合物、及びビス(4−ヒドロキシフェニル)(フェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(フェニル)スルホニウム−1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホネート、フェニルビス(4−(2−(ビニロキシ)エトキシ)フェニル)スルホニウム−1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン−1,4−ジスルホネート、トリス(4−(2−(ビニロキシ)エトキシ)フェニル)スルホニウム−1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン−1,4−ジスルホネート等の架橋性オニウム塩化合物が挙げられるが、それらに限定されない。 スルホンマレイミド誘導体の具体例としては、例えば、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロ−ノルマルブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド及びN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタルイミド等が挙げられる。 ジスルホニルジアゾメタン化合物の具体例としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、及びメチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタンが挙げられる。本発明の下層膜形成用組成物において、これらの光酸発生剤は2種類以上を組み合わせて使用することもできる。その他の成分 本発明による下層膜形成用組成物は、必要に応じてその他の成分を含むことができる。例えば、界面活性剤、平滑剤などが挙げられる。これらの成分は本発明の効果を損なわないものが用いられるべきである。パターン形成方法 本発明による下層膜形成用組成物は、従来用いられている組成物と同様に用いることができる。すなわち、任意の基板上に本発明による下層膜形成用組成物を塗布し、加熱することにより下層膜を得ることができる。さらにこの下層膜は、フォトリソグラフィー法を用いたパターン形成方法に特別な調整を必要とせずに利用できる。すなわち、この下層膜形成用組成物を用いたパターン形成方法は、 前記下層膜形成組成物を半導体基板上に塗布し、焼成して下層膜を形成させる工程、 前記下層膜上にフォトレジスト層を形成させる工程、 前記下層膜と前記フォトレジスト層で被覆された前記半導体基板を露光する工程、および 前記露光後に現像液で現像する工程を含んでなることを特徴とするものである。 ここで、現像によってフォトレジストが除去された部分には、一般的に本発明による下層膜形成用組成物に由来する下層膜が露出する。この下層膜は、フォトレジストに比較してエッチングレートが高いので、エッチング処理によって容易に除去できる。また、下層膜形成用組成物に、感光性樹脂や増感剤などを組み合わせることによって、下層膜を現像可能な下層膜とすることもできる。 このようにして形成されたパターンは、本発明による下層膜を用いているために前記したような優れた特性を実現できる。 以下の実施例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものである。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書においては、特に断りが無い限り、実施例中の「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を意味するものとする。合成例1 撹拌器、窒素導入管を取り付けた反応器に、窒素雰囲気下において5−アミノイソフタル酸(103部)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)(7部)およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(1800部)を加えて攪拌した。その後、ゆっくりと1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド(50部)を加え、反応温度を25℃に保持して12時間反応させた。反応終了後、反応溶液を純水(8000部)に注ぎ、沈殿物をろ別し、50℃で真空乾燥することにより中間生成物1を125部(95%)得た。中間生成物1のスペクトルデータ1H−NMR(ジメチルスルホキシド,DMSO−d6):11.00(s,3H,CONH),8.85(s,3H,ArH),8.73(d,6H,J=1.2Hz,ArH),8.26(t,3H,J=1.2Hz,ArH).合成例2 撹拌器、窒素導入管を取り付けた反応器に、窒素雰囲気下において5−アミノ−2,4,6−トリヨードイソフタル酸(230部)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)(5部)およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(400部)を加えて攪拌した。その後、ゆっくりと1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド(30部)を加え、反応温度を25℃に保持して12時間反応させた。反応終了後、反応溶液を純水(1800部)に注ぎ、沈殿物をろ別し、50℃で真空乾燥することにより中間生成物2を150部(71%)得た。中間生成物2のスペクトルデータ1H−NMR(DMSO−d6):10.97(s,3H,CONH),9.00(s,3H,ArH).13C−NMR(CDCl3):170.11,164.17,150.10,143.75,135.23,130.95,98.52,88.10.実施例1 撹拌器、凝縮器、加熱装置、窒素導入管および温度制御装置を取り付けた反応器に窒素雰囲気下において中間生成物1(100部)、スチレンオキシド(155部)、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)(12部)およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(2000部)を加えて攪拌した。その後、反応温度を80℃に保持して24時間反応させた。 室温に冷却した後、酢酸エチル(2000部)、純水(2000部)を加えて、酢酸エチル溶液を抽出した。さらに、飽和重曹水(2000部)を酢酸エチル溶液に加えて、酢酸エチル溶液を抽出した。次に、硫酸マグネシウム(100部)で乾燥後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより酢酸エチル(3)−ヘキサン(1)を展開溶媒として分離、精製し、50℃で真空乾燥することにより、生成物1を130部(収率64%)得た。生成物1のスペクトルデータ1H−NMR(DMSO−d6):11.14(s,3H,CONH),8.86(m,9H,ArH),8.37(m,3H,ArH),7.37(m,30H,ArH),6.06(m,2H,COOCHPh),5.81−5.28(m,6H,OH),5.01(m,5H,CHOH),4.41(m,8H,COOCH2CH),3.85(m,3H,CH2OH).実施例2 撹拌器、凝縮器、加熱装置、窒素導入管および温度制御装置を取り付けた反応器に窒素雰囲気下において中間生成物1(100部)、2−((2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)メチルオキシラン(265部)、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)(12部)およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(2000部)を加えて攪拌した。その後、反応温度を80℃に保持して24時間反応させた。 室温に冷却した後、酢酸エチル(2000部)、純水(2000部)を加えて、酢酸エチル溶液を抽出した。さらに、飽和重曹水(2000部)を酢酸エチル溶液に加えて、酢酸エチル溶液を抽出した。次に、硫酸マグネシウム(100部)で乾燥後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより酢酸エチル(3)−ヘキサン(1)を展開溶媒として分離、精製し、50℃で真空乾燥することにより、生成物2を174部(収率63%)得た。生成物2のスペクトルデータ1H−NMR(DMSO−d6):11.09(s,3H,CONH),8.87(s,3H,ArH),8.79(s,6H,ArH),8.32(s,3H,ArH),6.51(m,6H,COOCH2CHOH),5.36−5.07(m,6H,OH),4.32(m,12H,CF3CF2CH2),3.97(m,12H,COOCH2),3.66(m,12H,CF3CF2CH2OCH2).実施例3 撹拌器、凝縮器、加熱装置、窒素導入管および温度制御装置を取り付けた反応器に窒素雰囲気下において中間生成物1(100部)、2−((ナフタレン−2−イルメトキシ)メチル)オキシラン(276部)、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)(12部)およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(2000部)を加えて攪拌した。その後、反応温度を80℃に保持して24時間反応させた。 室温に冷却した後、酢酸エチル(2000部)、純水(2000部)を加えて、酢酸エチル溶液を抽出した。さらに、飽和重曹水(2000部)を酢酸エチル溶液に加えて、酢酸エチル溶液を抽出した。次に、硫酸マグネシウム(100部)で乾燥後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより酢酸エチル(3)−ヘキサン(1)を展開溶媒として分離、精製し、50℃で真空乾燥することにより、生成物3を144部(収率60%)得た。生成物3のスペクトルデータ1H−NMR(DMSO−d6):11.09(s,3H,CONH),8.87(s,3H,ArH),8.79(s,6H,ArH),8.32(s,3H,ArH),8.02(m,42H,ArH),6.51(m,6H,COOCH2CHOH),5.36−5.07(m,6H,OH),4.74(m,12H,ArCH2O),3.97(m,12H,COOCH2).実施例4 撹拌器、凝縮器、加熱装置、窒素導入管および温度制御装置を取り付けた反応器に窒素雰囲気下において中間生成物1(100部)、2−(4−フルオロフェニル)オキシラン(178部)、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)(12部)およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(2000部)を加えて攪拌した。その後、反応温度を80℃に保持して24時間反応させた。 室温に冷却した後、酢酸エチル(2000部)、純水(2000部)を加えて、酢酸エチル溶液を抽出した。さらに、飽和重曹水(2000部)を酢酸エチル溶液に加えて、酢酸エチル溶液を抽出した。次に、硫酸マグネシウム(100部)で乾燥後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより酢酸エチル(3)−ヘキサン(1)を展開溶媒として分離、精製し、50℃で真空乾燥することにより、生成物4を144部(収率66%)得た。生成物4のスペクトルデータ1H−NMR(DMSO−d6):11.13(s,3H,CONH),8.84(m,9H,ArH),8.35(m,3H,ArH),7.34(m,24H,ArH),6.06(m,2H,COOCHPh),5.83−5.29(m,6H,OH),5.00(m,5H,CHOH),4.43(m,8H,COOCH2CH),3.87(m,3H,CH2OH).実施例5 撹拌器、凝縮器、加熱装置、窒素導入管および温度制御装置を取り付けた反応器に窒素雰囲気下において中間生成物1(100部)、2−(4−ヨードフェニル)オキシラン(316部)、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)(12部)およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(2000部)を加えて攪拌した。その後、反応温度を80℃に保持して24時間反応させた。 室温に冷却した後、酢酸エチル(2000部)、純水(2000部)を加えて、酢酸エチル溶液を抽出した。さらに、飽和重曹水(2000部)を酢酸エチル溶液に加えて、酢酸エチル溶液を抽出した。次に、硫酸マグネシウム(100部)で乾燥後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより酢酸エチル(3)−ヘキサン(1)を展開溶媒として分離、精製し、50℃で真空乾燥することにより、生成物5を183部(収率59%)得た。生成物5のスペクトルデータ1H−NMR(DMSO−d6):11.13(s,3H,CONH),8.84(m,9H,ArH),8.35(m,3H,ArH),7.34(m,24H,ArH),6.01(m,2H,COOCHPh),5.81−5.27(m,6H,OH),4.99(m,5H,CHOH),4.42(m,8H,COOCH2CH),3.84(m,3H,CH2OH).実施例6 撹拌器、凝縮器、加熱装置、窒素導入管および温度制御装置を取り付けた反応器に窒素雰囲気下において中間生成物2(100部)、スチレンオキシド(59部)、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)(5部)およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(2000部)を加えて攪拌した。その後、反応温度を80℃に保持して24時間反応させた。 室温に冷却した後、酢酸エチル(2000部)、純水(2000部)を加えて、酢酸エチル溶液を抽出した。さらに、飽和重曹水(2000部)を酢酸エチル溶液に加えて、酢酸エチル溶液を抽出した。次に、硫酸マグネシウム(100部)で乾燥後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより酢酸エチル(3)−ヘキサン(1)を展開溶媒として分離、精製し、50℃で真空乾燥することにより、生成物6を85部(収率61%)得た。生成物6のスペクトルデータ1H−NMR(DMSO−d6):11.06(s,3H,CONH),8.98(m,3H,ArH),7.42(m,30H,ArH),5.88(m,5H,COOCH2CHPh),5.81(m,2H,COOCHPh),5.12−4.90(m,6H,OH),4.34(m,3H,CH2OH),3.92−3.77(m,8H,COOCH2CHPh),3.85(m,3H,CH2OH).実施例7 撹拌器、凝縮器、加熱装置、窒素導入管、温度制御装置およびアルカリトラップを取り付けた反応器に窒素雰囲気下において中間生成物1(100部)、塩化チオニル(SO2Cl)(300部)およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(2部)を加えて攪拌した。その後、反応温度を60℃に保持して5時間反応させて、中間生成物3を得た。 反応終了後、過剰の塩化チオニルを留去し、中間生成物3を蒸発乾固させた。次に、その中間生成物3に5−アミノイソフタル酸(171部)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)(12部)およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(2500部)を加えて攪拌した。その後、反応温度を25℃に保持して12時間反応させた。反応終了後、反応溶液を純水(50000部)に注ぎ、沈殿物をろ別し、50℃で真空乾燥することにより生成物7を228部(95%)得た。生成物7のスペクトルデータ1H−NMR(DMSO−d6):12.01(s,6H,CONH),11.50(s,3H,CONH),8.85(s,3H,ArH),8.81(s,9H,ArH),8.71(d,12H,J=1.2Hz,ArH),8.28(t,6H,J=1.2Hz,ArH).実施例8 撹拌器、凝縮器、加熱装置、窒素導入管および温度制御装置を取り付けた反応器に窒素雰囲気下において生成物7(100部)、スチレンオキシド(260部)、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)(10部)およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(2000部)を加えて攪拌した。その後、反応温度を80℃に保持して24時間反応させた。 室温に冷却した後、酢酸エチル(2000部)、純水(2000部)を加えて、酢酸エチル溶液を抽出した。さらに、飽和重曹水(2000部)を酢酸エチル溶液に加えて、酢酸エチル溶液を抽出した。次に、硫酸マグネシウム(100部)で乾燥後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより酢酸エチル(3)−ヘキサン(1)を展開溶媒として分離、精製し、50℃で真空乾燥することにより、生成物8を119部(収率64%)得た。生成物8のスペクトルデータ1H−NMR(DMSO−d6):12.00(m,6H,CONH),11.51(m,3H,CONH),8.86(m,3H,ArH),8.84(m,9H,ArH),8.71(m,12H,ArH),8.28(m,6H,ArH),7.34(m,60H,ArH),6.04(m,4H,COOCHPh),5.84−5.28(m,12H,OH),5.00(m,10H,CHOH),4.44(m,16H,COOCH2CH),3.84(m,6H,CH2OH).比較例1 撹拌器、凝縮器、加熱装置および温度制御装置を取り付けた反応器に、テトラヒドロフラン(THF)(100部)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(227部)、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(株式会社三和ケミカル製、MX−270(商品名))(84.20部)、2,5−ジメチルフェノール(8.42部)、3−ヨードフェノール(29.19部)が加えられ、この溶液を80℃に加熱した。溶液温度が80℃に到達したら、p−トルエンスルホン酸一水和物(PTSA、0.8420部)を加えた。供給終了後、反応混合物を80℃で5時間保持して反応させた。 室温に冷却した後、反応溶液を純水(6000部)に投入し、沈殿物をろ過した。次に、沈殿物をアセトン150gに溶解させて、純水(3000部)に投入し、沈殿物をろ過した。沈殿物を50℃で真空乾燥することでポリマー状の生成物R1が収率39%で得られた。GPC(THF)により分子量を測定したところ、重量平均分子量Mw=3046Da、数平均分子量Mn=1263Da、多分散性指数PDI=2.41であった。 比較例2 反応時間を8時間に変更したほかは、比較例1と同様にして、ポリマー状生成物R2を得た。収率は76%であった。GPC(THF)により分子量を測定したところ、重量平均分子量Mw=16035Da、数平均分子量Mn=6051Da、多分散性指数PDI=2.65であった。応用実施例1 生成物1(1.26部)、架橋剤として1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(1.26部)(株式会社三和ケミカル製、MX−270(商品名))、熱酸発生剤として10−カンファ―スルホン酸(CSA)(0.0173部)およびトリエチルアミン(TEA)(0.008部)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(136.162部)を混合し、室温で30分間撹拌して、下層膜形成用組成物を調製した。 調製した下層膜形成用組成物をシリコンマイクロチップウェハ上にスピンコートにより塗布し、200℃で60秒間真空ホットプレート上にて加熱して架橋反応させ、下層膜を得た。応用実施例2〜10および応用比較例1〜2 下層膜組成物の各成分を、表1に示す通りに変更したほかは応用実施例1と同様にして、応用実施例2〜10および応用比較例1〜2の組成物を調製した。 準備した組成物について、以下の通りの評価を行った。耐溶剤性評価: 乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルを溶剤として用いて、下層膜の膜減り試験を行った。評価基準は以下の通りとした。A: 下層膜が、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルのいずれにも不溶で実用上優れているレベルB: 下層膜が、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、またはプロピレングリコールモノメチルエーテルのいずれかに対して、若干の溶解が認められるものの、実用上問題の無いレベルC: 下層膜が、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、またはプロピレングリコールモノメチルエーテルのいずれか若しくはすべてに対して溶解し、実用性がないレベル密度ばらつきの評価: ATX−G型X線回折装置(商品名、株株式会社リガク製)により、X線反射率測定法で下層膜の密度を測定深度を変えて測定し、そのばらつきを評価した。例えば応用実施例1では、表面近傍の密度は1.36g/cm3、中間部分の密度は1.34g/cm3、底面近傍の密度は1.33g/cm3であり、その測定値のシグマ値(ばらつき)は0.015あった。熱膨張係数の評価: 多入射角回転補償子型高速分光エリプソメーター M−2000V(商品名、J.A. Woollam社製)により、膜温度を変えながら膜厚変化を測定し、その変化率を熱膨張係数として評価した。例えば、応用実施例1では、熱膨張係数は7.9×10−6℃−1であった。ドライッチング速度比の評価: RIEシステムES401(商品名、日本サイエンティフィック株式会社製)を用い、ドライエッチングガスとして酸素を使用した条件下で下層膜のドライエッチング速度を測定した。また、レジス卜溶液(住友化学株式会社製、商品名:SEVR−162)を、スピナーを用いてシリコンウエハー上に塗布し、レジス卜膜を形成した。そしてRIEシステムES401(商品名、日本サイエンティフィック株式会社製)を用い、ドライエッチングガスとして酸素を使用した条件下でドライエッチング速度を測定した。下層膜と、前記住友化学株式会社製レジス卜溶液から得られたレジス卜膜のドライエッチング速度との比較を行った。例えば応用実施例1の場合、前記レジス卜膜のドライエッチング速度に対する前記レジス卜下層膜のドライエッチング速度の比を計算したところ、1.81であった。EUV露光試験 シリコンウエハー上に、本発明の応用実施例1で調製したレジスト下層膜形成組成物溶液をスピンコートし、200℃で1分間加熱することにより、レジスト下層膜を形成した。そのレジスト下層膜上に、レジス卜溶液(住友化学株式会社製、商品名:SEVR−162)をスピンコートし加熱を行い、EUV露光装置(Albany MET)を用い、NA=0.36、σ=0.93の条件で露光した。露光後、露光後加熱を行い、クーリングプレート上で室温まで冷却し、現像及びリンス処理を行い、シリコンウエハー上にレジストパターンを形成した。EB露光試験 シリコンウエハー上に、本発明の応用実施例1で調製したレジスト下層膜形成組成物溶液をスピンコートし、200℃で1分間加熱することにより、レジスト下層膜を形成した。そのレジスト下層膜上に、EB用レジスト溶液をスピンコートし加熱を行い、EB露光装置を用い、露光した。露光後、露光後加熱を行い、クーリングプレート上で室温まで冷却し、現像及びリンス処理を行い、シリコンウエハー上にレジストパターンを形成した。前記EUV露光試験と同様に感度、焦点深度、露光許容量、およびLWRを評価した。パターン断面形状の評価 電子顕微鏡により観察し、以下の基準で評価した。A: フォトレジスト側面が基板表面に対して垂直な矩形形状B: フォトレジスト側面が基板表面に対して垂直ではなく、若干傾斜があるが実用上問題が無いレベルC: フォトレジスト側面が基板表面に対してフッティング形状感度の評価(単位:mJ/cm2): 寸法30nmの1対1ラインアンドスペースのマスクを介して形成した幅が、幅30nmの1対1ラインアンドスペースに形成される露光量(mJ/cm2)を最適露光量とし、この露光量(mJ/cm2)を「感度」とした。焦点深度(DOF)の評価(単位:μm): 最適露光量にて30nmの1対1ラインアンドスペースのマスクパターンで解像されるパターン寸法が、マスクの設計寸法の±10%以内となる場合のフォーカスの振れ幅を焦点深度(DOF)とした。露光許容量(EL)の評価(単位:%): 最適露光量にて解像した30nmの1対1ラインアンドスペースをパターン上部から観察する際に、パターン幅を任意のポイントで100点測定し、その測定値の3シグマ値(ばらつき)を限界寸法均一性(CDU)とした。LWRの評価(単位:nm): 最適露光量にて解像した30nmの1対1ラインアンドスペースをパターン上部から観察する際に、パターン幅を任意のポイントで100点測定し、その測定値の3シグマ値(ばらつき)をLWRとした。 得られた結果は表1および2に示す通りであった。この結果から明らかなように、本発明による下層膜形成用組成物を用いることで、耐溶剤性、密度ばらつき、熱膨張係数、エッチング速度比に優れた下層膜を得ることができ、またパターン断面形状、感度、LWR、DOF、およびELに優れたパターンを得ることができることが確認された。ここに示された例は、パターン形状がラインアンドスペースの場合について評価したが、コンタクトホールなどのほかのパターン形状であっても、本発明による下層膜形成用組成物によって優れた特性を達成することができる。 下記式(1):Ar1(−Z1)m1ーk1(−L1’p1−L1−L1’p1−A)k1 (1)[式(1)中、 Ar1は、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、およびアントラセン骨格からなる群から選択される芳香族性骨格であり、 Z1は、水素、炭素数1〜3の炭化水素基またはハロゲンであり、それぞれのZ1は同一であっても異なっていてもよく、 L1は、アミド結合またはエステル結合であり、それぞれのL1は同一であっても異なっていてもよく、 L1’は、炭素数1〜3の炭化水素鎖、炭素数1〜3の酸素含有炭化水素鎖、および炭素数1〜3の硫黄含有炭化水素鎖からなる群から選択される2価の連結基であり、L1’は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、それぞれのL1’は同一であっても異なっていてもよく、 m1は、Ar1がベンゼン骨格である場合には6、Ar1がナフタレン骨格である場合には8、Ar1がアントラセン骨格である場合には10であり k1は、2以上、m1以下の数であり、 p1は0または1であり、それぞれのp1は同一であっても異なっていてもよく、 Aは、下記式(2):−Ar2(−Z2)m2ーk2(−L2’p2−L2−L2’p2−B)k2 (2){式(2)中、 Ar2は、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、およびアントラセン骨格からなる群から選択される芳香族性骨格であり、 Z2は、水素、炭素数1〜3の炭化水素基またはハロゲンであり、それぞれのZ2は同一であっても異なっていてもよく、 L2は、アミド結合またはエステル結合であり、それぞれのL2は同一であっても異なっていてもよく、 L2’は、炭素数1〜4の炭化水素鎖、炭素数1〜4の酸素含有炭化水素鎖、および炭素数1〜4の硫黄含有炭化水素鎖からなる群から選択される2価の連結基であり、L2’は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、それぞれのL2’は同一であっても異なっていてもよく、 m2は、Ar1がベンゼン骨格である場合には5、Ar1がナフタレン骨格である場合には7、Ar1がアントラセン骨格である場合には9であり、 k2は、1以上、m2以下の数であり、 p2は0または1であり、それぞれのp2は同一であっても異なっていてもよく、 Bは、前記式(2)で表される基であるか、下記式(3A)または(3B):−Ar3(−Z3)m3 (3A)−R3 (3B)(式中、 Ar3は、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、およびアントラセン骨格からなる群から選択される芳香族性骨格であり、 Z3は、水素、炭素数1〜4の炭化水素基、ハロゲン、カルボキシル基、およびエステル基からなる群から選択される基であり、それぞれのZ3は同一であっても異なっていてもよく、 m2は、Ar1がベンゼン骨格である場合には5、Ar1がナフタレン骨格である場合には7、Ar1がアントラセン骨格である場合には9である)、 R3は、炭素数1〜4の炭化水素基であり、ハロゲンによって置換されていてもよい)で表される基である}で表される基である]で表されることを特徴とする、デンドリマー化合物。 前記p1のすべてが0である、請求項1に記載のデンドリマー化合物。 第10世代以下である、請求項1または2に記載のデンドリマー化合物。 前記Ar1がベンゼン骨格であり、k1が3である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のデンドリマー化合物。 前記Z3がカルボキシル基、フッ素、またはヨウ素である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のデンドリマー化合物。 前記R3が、フッ素化されたアルキル基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のデンドリマー化合物。 請求項1から6のいずれか1項に記載のデンドリマー化合物、架橋剤、熱酸発生剤、および溶媒を含んでなることを特徴とする下層膜形成組成物。 請求項7に記載の下層膜形成組成物を基板上に塗布し、加熱することによって形成されたことを特徴とする、下層膜。 請求項7に記載の下層膜形成組成物を半導体基板上に塗布し、焼成して下層膜を形成する工程、 前記下層膜上にフォトレジスト層を形成する工程、 前記下層膜と前記フォトレジスト層で被覆された前記半導体基板を露光する工程、および 前記露光後に現像液で現像する工程を含んでなることを特徴とするパターンの形成方法。 前記露光が電子線からKrFエキシマレーザーの波長の光により行われる請求項9に記載のパターン形成方法。 【課題】限界寸法均一性や焦点深度マージンを改善することのできるデンドリマー化合物、及び下層膜を形成することができる電子線又はEUVリソグラフィー用レジスト下層膜形成用組成物の提供。【解決手段】芳香族骨格を中心とし、アミド結合又はエステル結合と芳香族骨格とを含む分岐鎖を含むデンドリマー化合物、及び前記化合物を含む感度、露光許容度、焦点深度、LWR、エッチング耐性が改善され、下層膜が加熱された場合に熱膨張によっておこる表面の平滑性劣化を抑制することができる下層膜形成用組成物。【選択図】なし


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