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タイトル:公開特許公報(A)_シジミ貝殻焼成品の製造方法、及びそれを有効成分とした肝臓機能障害改善用組成物
出願番号:2013220573
年次:2015
IPC分類:A61K 35/56,A61P 1/16,A61K 33/10,A61K 38/00


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嶺岸 芳徳 佐々木 甚一 鈴木 文彦 JP 2015074652 公開特許公報(A) 20150420 2013220573 20131004 シジミ貝殻焼成品の製造方法、及びそれを有効成分とした肝臓機能障害改善用組成物 株式会社エヌエクス 505419501 嶺岸 芳徳 佐々木 甚一 鈴木 文彦 A61K 35/56 20150101AFI20150324BHJP A61P 1/16 20060101ALI20150324BHJP A61K 33/10 20060101ALI20150324BHJP A61K 38/00 20060101ALI20150324BHJP JPA61K35/56A61P1/16A61K33/10A61K37/02 3 書面 7 4C084 4C086 4C087 4C084AA02 4C084BA44 4C084MA02 4C084NA05 4C084NA14 4C084ZA751 4C086AA01 4C086HA04 4C086HA16 4C086MA03 4C086MA04 4C086NA05 4C086NA14 4C086ZA75 4C087AA01 4C087BB16 4C087CA03 4C087NA15 4C087ZA75 本発明は、シジミ貝殻の焼成品の製造方法、及びそれを有効成分とした肝臓機能障害改善用組成物に関する。 シジミ貝は、古くから滋養強壮の効き目や、化痰去湿、反胃吐食、胃痛呑酸、痰貝喘咳嗽、湿瘡、潰瘍等への薬効があるものとして、広く家庭料理や民間療法において取り入れられている。 既に、その薬効が着目されて、シジミ貝由来の抽出物や生成物の製造方法や、それを有効成分とした組成物にかかる具体的な技術開発が取り組まれてきており(特許文献1の段落0002乃至段落0005参照。)、シジミ貝殻を純粋なカルサイト(calcite)となるまで焼成して、それを肝臓機能障害改善用組成物として供することが公知となっている(例えば、特許文献1参照。)。 特開2001−204433号公報(特許第3475411号) また、さらに進んだ研究の成果として、貝殻の主要構成物のコンキオリン(conchiolin)と総称されるタンパク質を主とする間基質の薬効性も注目され、酸で炭酸カルシウムを溶解したうえでのコンキオリン加水分解物資の肝障害軽減効果(例えば、特許文献2参照。)や脂肪分解促進効果(例えば、特許文献3参照。)が確認されている 特開2003−24008号公報 特開2006−213606号公報 一方で、技術分野は異なるものの、貝殻粉末を工業用材料として使用するために、コンキオリンの分解による臭気を除去するため、貝殻粉末をコンキオリンの熱分解温度(550℃)以上の高温で焼成する技術も公知となっている(例えば、特許文献4の段落0011参照。)。 特開2011−74315 さらにはコンキオリンを消滅し、その間隙を有効物質吸着用の空間として利用するために、非酸化雰囲気で300℃〜500℃、2〜8時間焼成(乾留)のする技術も公知である(例えば、特許文献5の段落0019、段落0025乃至段落0028参照)。 特開2010−41990号公報(特許第4245655号) 上記の公知技術では、目的とする物質を限りなく純物質として生成するために、ある者はシジミ貝殻由来のカルサイトを目的(特許文献1)として、またある者はコンキオリンを目的(特許文献2及び特許文献3)として、その物質の生成方法を特許請求の範囲としている。 また、上記のように目的物質(例えば炭酸カルシウム)を得るために、同じく効果が確認されている物質(例えばコンキオリン)を積極的に消滅・除去することが研究されており(特許文献2、特許文献3及び特許文献5、参照)、それら両物質をともに製造し利用する技術的思想は皆無であった。 特に、前記特許文献1の技術では、その特許請求の範囲をみればカルサイトのみとする製造方法であって、前記特許文献4又は特許文献5の技術的知見によればコンキオリンはほぼ完全に熱分解し、消滅したものとなっている。 公知技術では、シジミ貝殻から目的物質をより純粋に生成するために、より多くの熱エネルギーを必要としたり、廃液を発生させたりすることとなり、シジミ貝殻の利用効率もその一部利用にとどまるものであった。 その一方で、消滅・除去される物質も、本発明者が目的とする肝臓機能障害改善用組成物として有用であるものの、それを同時に利用可能な態様(微紛体混合物)とするとの技術的な思想は、いずれの先行技術においても開示されていないものとなっていた。 本発明者は、前記、公知技術が開示する技術的知見を総合し、鋭意研究を進めることで、シジミ貝殻を原料として肝機能障害改善効果が確認されている炭酸カルシウムとコンキオリンとからなる紛体の組成物を生成することで、その両物質の効果を相乗的に活かすことができるとともに、廃棄物となってしまう可能性のあるシジミ貝殻のさらなる有効利用や、エネルギー消費・製造コストの抑制や、随伴する廃棄物を削減できることを見出した。 また、人が経口摂取したとき、胃酸(塩酸)により炭酸カルシウムは溶解して吸収されるため、単位重量当たりの表面積を向上するべくより微紛体とすることが望ましい一方で、微粉体とすることができれば強アルカリの石灰(ライム)に変化しなければ、アラゴナイト(aragonite)、カルサイトのいずれであっても一定の肝障害改善効果があることも見出した。 さらには、一定の条件により焼成することで、コンキオリンの部分的な熱分解によりコンキオリンとアラゴナイトとの結合を崩壊させて貝殻の堅固な殻体構造を崩壊し易くし、かつアラゴナイトの一部分をカルサイトに変化させて、局所的に結晶が膨張することにより貝殻の炭酸カルシウムの結晶構造を崩壊させ、さらにその焼成貝殻を機械的に微紛体化することで、シジミ貝殻由来の有効成分である炭酸カルシウムとコンキオリンを同時に生成することが可能となることも見出した。 課題を解決する手段 本発明者は、前記の課題に対し、公知技術にはない技術的な思想により、シジミ貝殻を原料として肝機能障害改善効果が確認されている炭酸カルシウムとコンキオリンとからなる紛体の組成物を同時に生成する方法を開発するに至り、本願発明の具体化に成功した。 本願請求項1の発明は、シジミ貝殻を加熱炉で200℃乃至360℃、加熱時間40分乃至120分で焼成し粉砕して、アラゴナイト、カルサイト及びコンキオリンからなる混合物とすることを特徴とするシジミ貝殻焼成品の製造方法である。 本願請求項2の発明は、粉砕機により平均粒径1μm乃至10μmに粉砕してアラゴナイト、カルサイト及びコンキオリンからなる混合粉末体とすることを特徴とする請求項1に記載のシジミ貝殻焼成品の製造方法である。 本願請求項3の発明は、請求項1又は請求項2のシジミ貝殻焼成品を有効成分とする肝臓機能障害改善用組成物である。 なお、同じくコンキオリンを含有する真珠を、120℃乃至450℃の熱風で乾燥させたのち粉砕して0.10μm乃至50μmの粉体として、これを主成分とした滋養強壮剤の製法とその利用方法にかかる技術(特許文献6参照。)が公知であるが、上記の温度条件の目的やその効果にかかる技術開示が不足しており、さらにはコンキオリンに対する技術的思想が全く開示されていないことから、本発明者らが到達した本発明やその技術的思想とは本質的に異なるものである。 特開2001−19642号公報 発明の効果 本発明の方法によれば、シジミ貝殻において、コンキオリンの部分的な熱分解によりコンキオリンとアラゴナイトとの結合を崩壊させて貝殻の堅固な殻体構造を崩壊し易くし、かつアラゴナイトの一部分をカルサイトに変化させて、局所的に結晶が膨張することにより貝殻の炭酸カルシウムの結晶構造を崩壊させ、さらにその焼成貝殻を機械的に微紛体化することで、アラゴナイト、カルサイトの炭酸カルシウムとコンキオリンとからなる混合粉末体を得ることができる。 また、本発明の方法によれば、シジミ貝殻を原料として肝機能障害改善効果が確認されている炭酸カルシウムとコンキオリンとからなる紛体の組成物を生成することで、シジミ貝殻を丸ごとに有効利用してその両物質の効果を相乗的に活かした肝臓機能障害改善用組成物を提供することができる。 本発明を実施の形態を、実施例に基づいて説明する。 本発明の焼成品の原料(出発原料)となるシジミ貝殻は、生のシジミ貝を用意した上、公知の適宜手段によって貝肉を外し、貝殻だけにしたものを採用するようにしてもよいが、各種用途の食材として貝肉だけを取り外し、処理した後の、従前は廃棄物となっていた貝殻を有効活用してもよい。 シジミ貝殻は、加熱処理に先んじて十分な洗浄がなされていなければならず、その後、公知の適宜乾燥手段により乾燥させてから、加熱処理温度が200℃乃至360℃で実施し得るようにした然るべき公知の加熱機を使い、対象となるシジミ貝殻全体ができるだけ均等に、アラゴナイトの一部がカルサイトに変化し、かつアルゴナイトとコンキオリンの結合を一部崩壊するように40分乃至120分程度(貝殻の大きさや厚み、あるいは加熱処理する環境や季節等、所要要件によって配慮する。)加熱する。 なお、本発明の焼成温度の下限200℃は、貝類に付着した腸管出血性大腸菌を死滅させ、生成したベロ毒素の不活性化させるうえで必要かつ十分な温度を確保している。 慎重にコントロールされた加熱処理を実施することにより、対象のシジミ貝殻は、炭酸カルシウムではカルサイトとアラゴナイト、およびコンキオリンの混合状態に変化させることができる。それら焼成済みのシジミ貝殻は、所定場所において自然冷却するか、急激な冷却にならないようにして適宜公知の冷却装置によって常温にまで冷却してから、それら全体を、公知の粉砕手段により平均粒径(積算値50%の粒度)d50が概ね30μmとなるよう粉砕し(請求項1)、さらにはジェットミル等の微粉砕機で平均粒径(積算値50%の粒度)d50が1μm乃至10μmとなるように粉体化・分級処理を施す(請求項2)。 上記の紛体化・分級処理については、ジェットミルで微粉砕すると、粒径が0.1μmから20μmの範囲で粒度分布した粉末体が加工品として得られるが、粉砕機に付着・残存する粉砕物には20μm〜100μm超となる場合がある。本発明は、概ね20μm以下の微紛体を目的とするので、粉砕機の機構による所定のフィルタ、篩又は分離手段により、概ね20μm以上の粉砕物は捕集・除去するものである。 発明人が実施したジェットミルによるでは、d10(積算値10%)が約1μm、d20(同20%)が約1.5μm、d30(同30%)が約2μm、d50(同50%:平均粒径)が約3μm、d90(積算値90%)が約10μmの粒度分布を示す微紛体が得られた。 ヤマトシジミ貝の洗浄済み貝殻を、電気ヒーター式焼成炉により200℃、40分で焼成し、自然放熱で常温まで冷却したのち、ジェットミル微粉砕機で粉砕して焼成粉末体(A)を得た。その時、粒径d90(積算値90%の粒度)=10μmとなるように紛体化・分級処理を行った。 次に、上記同様の原料を、電気ヒーター式焼成炉により360℃、120分で焼成し、自然放熱で常温まで冷却したのち、ジェットミル微粉砕機で粉砕して焼成粉末体(B)を得た。その時、粒径d90(積算値90%の粒度)=10μmとなるように紛体化・分級処理を行った。 未焼成のヤマトシジミ貝殻を、ジェットミル微粉砕機で粉砕して、上記焼成粉末体(A)、(B)と同程度の粒径d90(積算値90%の粒度)=10μmとなるように紛体化・分級処理を行い未焼成粉末体(C)を得た。 さらに、参考例として、電気ヒーター式焼成炉により500℃、120分で焼成し、自然放熱で常温まで冷却したのち、ジェットミル微粉砕機で粉砕して焼成粉末体(参考)を得た。その時、粒径d90(積算値90%の粒度)=10μmとなるように紛体化・分級処理を行った。 前記の焼成粉末体(A)、(B)及び未焼成粉末体(C)、焼成粉末体(参考)について、X線回析(粉末X線回析法定性分析)を行ったところ、炭酸カルシウムのうち、粉末体(C)はアラゴナイト100%であり、粉末体(A)はアラゴナイト>カルサイト、粉末体(B)はアラゴナイト<カルサイト、そして粉末体(参考)はカルサイト100%の構成状態となっていた。 次に、上記の粉末体の真比重(単位:g/cm3)を測定したところ、粉末体(C)が2.83(アラゴナイト理論値2.9)、粉末体(B)は2.66(カルサイト理論値2.7)、粉末体(A)は2.82であった。また、粉末体(参考)は2.56であった。 さらに、上記の各粉末体0.5gを0.1規定酢酸40mlに投入し、30分撹拌したうえで、溶解残渣割合を測定した。残渣には溶解し切れなかった炭酸カルシウムとコンキオリンが含まれているが、残渣割合が粉末体(C)は30.1重量%、粉末体(B)は5.7重量%、粉末体(A)は14.9重量%であった。 以上により、未焼成の粉末体(C)に比して、本発明により生成した粉末体(A)、(B)は、炭酸カルシウムの溶解性が極めて良好であり、シジミ貝殻由来の炭酸カルシウムが、アルゴナイトとカルサイトの混合物となるとともに、さらにアルゴナイトも殻体構造や結晶構造が部分的に崩壊しているため溶解性が向上していることが確認された。 コンキオリンの構成状況の分析は実施されていないが、公知の特許文献(特許文献4、特許文献5)により確認される知見によれば、コンキオリンが熱分解・消滅する温度条件よりもはるかに低い温度帯と加熱時間であるため、コンキオリンの多くが残存した粉末体であることが推定された。 なお、シジミ貝殻由来の炭酸カルシウムの肝機能障害改善効果や、コンキオリンの同様効果は公知の発明において実証的に確認されているとこであるので、本発明により製造される炭酸カルシウムとコンキオリンの混合粉末体の有効性は確証があるものの、その実証的な確認をおって実施することが望ましい。 本発明によれば、公知技術と比較したうえでも、廃棄物ともなるシジミ貝殻のさらに有効な利用を促進することができるとともに、炭酸カルシウムとコンキオリンを有効成分とする肝臓機能障害改善用組成物をシジミ貝殻より好適に製造することができる。 シジミ貝殻を加熱炉で200℃乃至360℃、加熱時間40分乃至120分で焼成し粉砕して、アラゴナイト、カルサイト及びコンキオリンからなる混合物とすることを特徴とするシジミ貝殻焼成品の製造方法。 粉砕機により平均粒径1μm乃至10μmに粉砕してアラゴナイト、カルサイト及びコンキオリンからなる混合粉末体とすることを特徴とする請求項1に記載のシジミ貝殻焼成品の製造方法。 請求項1又は請求項2のシジミ貝殻焼成品を有効成分とする肝臓機能障害改善用組成物。 【課題】 シジミ貝殻を原料として肝機能障害改善効果が確認されている炭酸カルシウムとコンキオリンとからなる紛体の組成物を同時に生成する方法を提供する。【解決手段】 シジミ貝殻を加熱炉で200℃乃至360℃、加熱時間40分乃至120分で焼成し、粉砕機により平均粒径1μm乃至10μmに粉砕して、アラゴナイト、カルサイト及びコンキオリンからなる混合粉末体を得る。【選択図】なし


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