タイトル: | 公開特許公報(A)_テルミサルタン含有製剤及びその製造方法 |
出願番号: | 2013215848 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 31/4184,A61P 9/12,A61P 43/00,A61K 47/02 |
前川 茂治 前田 将孝 中川 栄治 星野 良市 JP 2015067608 公開特許公報(A) 20150413 2013215848 20130927 テルミサルタン含有製剤及びその製造方法 キョーリンリメディオ株式会社 307020615 前川 茂治 前田 将孝 中川 栄治 星野 良市 A61K 31/4184 20060101AFI20150317BHJP A61P 9/12 20060101ALI20150317BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150317BHJP A61K 47/02 20060101ALI20150317BHJP JPA61K31/4184A61P9/12A61P43/00 111A61K47/02 6 書面 8 4C076 4C086 4C076AA36 4C076AA51 4C076CC14 4C076DD09 4C076DD25 4C076DD27A 4C076DD27H 4C076DD30 4C076DD38 4C076DD41 4C076DD50 4C076EE16 4C076EE23 4C076EE33 4C076EE38 4C076FF33 4C076GG12 4C076GG13 4C086AA01 4C086BC39 4C086MA02 4C086MA05 4C086MA34 4C086NA02 4C086ZA42 4C086ZC42 本発明は、難溶性薬物であるテルミサルタンの溶解性を向上させた経口投与用固形医薬組成物に関する。 アンジオテンシンII受容体拮抗薬は高血圧治療において広く用いられる有効性の高い薬剤である。テルミサルタンは他のアンジオテンシンII受容体拮抗薬と比較して、血中での半減期が長く、持続的に降圧作用を発揮することを特徴とする薬剤である。 結晶形態のテルミサルタンは水への溶解度が極めて低いため、その有効性を発揮するためには製剤中においてアモルファスの形態で人体に投与する必要がある。これまでにアモルファス形態のテルミサルタンを含有する製剤を調製する方法はいくつか開示されているが、その調製には限られた添加物を使用し、また、高価な噴霧乾燥法を用いるなど製剤製造上の制限も大きい(特許文献1〜3)。したがって、より広範な添加物の使用が可能であり、また、噴霧乾燥法よりも簡便な製造工程により製造可能なテルミサルタン製剤が望まれている。 特表2006−502194特開2008−285501特開2010−530844 本発明の課題は、テルミサルタンの溶解性が改善され、かつ、簡便で効率的な製造が可能な固形医薬組成物を提供するものである。 本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、溶解したテルミサルタンを無機多孔性物質に吸着及び/又は被覆することにより得られる固体分散体を使用することにより、使用する添加物や製剤化における操作上の制限が少なく、流動層造粒法や撹拌造粒法のような一般的な湿式造粒法の適用が可能な、難溶性薬物であるテルミサルタンの溶解性を改善した医薬組成物を製造できることを見出した。 すなわち本発明は、 (1)無機多孔性物質に吸着及び/又は被覆されたテルミサルタンを含有することを特徴とする、固形医薬組成物、 (2)無機多孔性物質がケイ酸カルシウムであることを特徴とする、(1)に記載の固形医薬組成物、 (3)無機多孔性物質の吸油量が400mL/100g〜500mL/100gであることを特徴とする、(1)に記載の固形医薬組成物、 (4)ケイ酸カルシウムの吸油量が400mL/100g〜500mL/100gであることを特徴とする、(2)に記載の固形医薬組成物、 (5)テルミサルタンを無機多孔性物質に吸着及び/又は被覆する工程を含むことを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の固形医薬組成物の製造方法、 (6)テルミサルタンを無機多孔性物質に吸着及び/又は被覆する工程が、テルミサルタンの溶液を用いた流動層造粒法又は撹拌造粒法によることを特徴とする、(5)に記載の固形医薬組成物の製造方法、に関する。 本発明により、高血圧治療において広く用いられる有効性の高いテルミサルタン製剤をより簡便に製造することが可能となった。 本発明は、テルミサルタンを無機多孔性物質に吸着及び/又は被覆した固体分散体を用いることを特徴とする固形医薬組成物、およびその製造方法である。テルミサルタンは結晶形態、アモルファス形態のどちらでも用いることができる。また結晶形態においては、その結晶形の種類を限定されない。 また、本発明において、テルミサルタンの固形医薬組成物中における含有量は特に限定されず、当業者が適宜設定できる。 本実施形態で使用する無機多孔性物質はケイ酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、タルク(含水ケイ酸マグネシウム)、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、含水無晶形酸化ケイ素などのケイ酸もしくはケイ酸の塩が挙げられ、ケイ酸カルシウムが特に好ましい。また、本実施形態における固形医薬組成物を製造するにあたって使用する無機多孔性物質は、吸油量100mL/100g以上であることが好ましく、吸油量250mL/100g以上であることが更に好ましく、吸油量300mL/100g以上であることが特に好ましく、吸油量400mL/100g以上であることが最も好ましい。例えば、無機多孔性物質として、吸油量が400mL/100g〜500mL/100gであるケイ酸カルシウムが好ましい。 本発明における固形医薬組成物を製造するにあたっては、無機多孔性物質に吸着及び/又は被覆するテルミサルタンは溶液とする。溶液を調製するにあたり、溶解補助剤としては塩基性物質または酸性物質を用いることができるが、塩基性物質であることが好ましい。 溶液の調製に用いる塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、メグルミン、塩基性アミノ酸などが挙げられる。なかでも、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、メグルミンであることが好ましく、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、メグルミンであることが更に好ましい。 溶液の調製に用いる酸性物質としては、リン酸、塩酸、酢酸、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。 溶液を調製する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、2−プロパノールまたはこれらの混合溶液などが挙げられ、好ましくは水若しくはエタノールまたはこれらの混合溶液が挙げられ、より好ましくは水が挙げられる。 溶液を調製する際、賦形剤、結合剤、pH調整剤、界面活性剤などの添加剤を溶解または懸濁させて任意に加えることができる。 本発明における固形医薬組成物の形態は、例えば、カプセル剤、散剤、顆粒剤、錠剤、口腔内崩壊剤などが用いられる。なかでも本発明の長所が最大に発揮される形態は、圧縮成形することを特徴とする固形医薬組成物であり、錠剤、口腔内崩壊錠が挙げられる。 本発明における固形医薬組成物を製造するにあたっては、通常用いられる賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤、香料、流動化剤などの添加剤を任意に用いることができる。 本明細書において「賦形剤」とは、乳糖、白糖、果糖、粉末還元麦芽糖水あめ、ブドウ糖、トレハロース、D−マンニトール、キシリトール、エリスリトール、D−ソルビトール、キシリトール、マルチトース、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、デキストリン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、沈降炭酸カルシウム、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。 本明細書において「崩壊剤」とは、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、部分アルファー化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウムなどが挙げられる。 本明細書において「結合剤」とは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン、ポリビニルアルコール部分ケン化物、ポリビニルアルコール完全ケン化物、ポリビニルピロリドン、部分アルファー化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウムなどが挙げられる。 本明細書において「滑沢剤」とは、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、硬化油、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられ、特にステアリン酸マグネシウムが好ましい。 本明細書における「着色剤」の例としては、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用レーキ色素、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄などがあげられる。 本明細書における「pH調整剤」の例としては、塩酸、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸、酒石酸、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、乳酸、メグルミンなどがあげられる。 本明細書における「界面活性剤」の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリソルベート類などがあげられる。 本明細書における「香料」の例としては、メントール、ハッカ油、オレンジ油、レモン油などがあげられる。 本明細書における「流動化剤」の例としては、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などがあげられる。 上記した添加剤は、2種以上を任意の割合で混合して用いても良い。 本実施形態においてテルミサルタンを無機多孔性物質に吸着及び/又は被覆する際には、湿式法によって製造することが好ましい。湿式法とは、製造プロセス中に乾燥工程を含む方法を意味する。本実施形態における湿式法としては、テルミサルタンの溶液を用いた流動層造粒法又は撹拌造粒法が簡便なため特に好ましい。 本実施形態における固形医薬組成物は、適切なコーティング剤によりフィルムコーティングしてもよい。適切なコーティング剤の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、酸化チタン、タルク、カルナウバロウなどが挙げられる。また、コーティング剤に食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用レーキ色素、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄などを添加して着色することもできる。 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。 (実施例1〜3) 流動層造粒法による製造 表1に示す分量で、テルミサルタンを含む溶解液を調製した。無機多孔性物質(フローライトR、富田製薬製)を流動層造粒機(パウレック製:MP−01型)に投入し、溶解液を噴霧乾燥した。得られた顆粒に流動層造粒機を用いて賦形剤を加えた後、その他の成分を混合し、ロータリー式打錠機(畑鐵工所製:HT−EX18型)を用いて圧縮成形した。 (実施例4、5) 撹拌造粒法による製造 表2に示す分量で、テルミサルタンを含む溶解液を調製した。無機多孔性物質(フローライトR、富田製薬製)を高速撹拌造粒機(パウレック製:VG−01型)に投入し、撹拌しながら、溶解液を滴下した。得られた混合物を50℃で送風乾燥した。得られた顆粒にその他の成分を混合し、ロータリー式打錠機(畑鐵工所製:HT−EX18型)を用いて圧縮成形した。 (比較例) 表3に示す分量で、全ての成分を混合し、ロータリー式打錠機(畑鐵工所製:HT−EX18型)を用いて圧縮成形した。 [試験例]<溶出率> 実施例1〜5及び比較例で得られた錠剤につき、日本薬局方一般試験法溶出試験法(パドル法、50rpm)に従い溶出試験を行った。試験液は、日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)を用い、試験開始から30分後の溶出率をHPLC法で測定した。試験結果を表4に示す。無機多孔性物質に吸着及び/又は被覆されたテルミサルタンの固体分散体を用いて製造した錠剤は、比較例により得た錠剤よりも明らかなテルミサルタンの溶出率の向上を示した。したがって、本発明の固形医薬組成物は、噴霧乾燥以外の一般的な造粒法により、テルミサルタンの溶解性が改善した医薬組成物を製造できることが明らかとなった。 無機多孔性物質に吸着及び/又は被覆されたテルミサルタンを用いることで、従来よりも簡便で効率的な製造方法により、テルミサルタンの溶解性が改善された医薬組成物を製造することが可能となった。 無機多孔性物質に吸着及び/又は被覆されたテルミサルタンを含有することを特徴とする、固形医薬組成物。 無機多孔性物質がケイ酸カルシウムであることを特徴とする、請求項1に記載の固形医薬組成物。 無機多孔性物質の吸油量が400mL/100g〜500mL/100gであることを特徴とする、請求項1に記載の固形医薬組成物。 ケイ酸カルシウムの吸油量が400mL/100g〜500mL/100gであることを特徴とする、請求項2に記載の固形医薬組成物。 テルミサルタンを無機多孔性物質に吸着及び/又は被覆する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固形医薬組成物の製造方法。 テルミサルタンを無機多孔性物質に吸着及び/又は被覆する工程が、テルミサルタンの溶液を用いた流動層造粒法又は撹拌造粒法によることを特徴とする、請求項5に記載の固形医薬組成物の製造方法。 【課題】 水に難溶なテルミサルタンを含有しながら溶解性が改善され、かつ、効率的な製造が可能な固形医薬組成物を開発する。【解決手段】 溶液としたテルミサルタンを無機多孔性物質に吸着及び/又は被覆することで得られる固体分散体を含有する、溶解性が改善されたテルミサルタン固形医薬組成物に関する。さらに、当該固体分散体を用いることにより、テルミサルタンの製剤化を簡便にすることを特徴とする。【選択図】なし