生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_頭皮および頭髪用化粧料組成物
出願番号:2013214565
年次:2015
IPC分類:A61K 8/49,A61Q 5/00,A61K 8/44


特許情報キャッシュ

酒井 良明 森田 詠子 JP 2015078134 公開特許公報(A) 20150423 2013214565 20131015 頭皮および頭髪用化粧料組成物 株式会社プロテックス・ジャパン 502210633 新宅 将人 100152571 吉本 力 100141852 酒井 良明 森田 詠子 A61K 8/49 20060101AFI20150327BHJP A61Q 5/00 20060101ALI20150327BHJP A61K 8/44 20060101ALI20150327BHJP JPA61K8/49A61Q5/00A61K8/44 5 OL 20 4C083 4C083AC422 4C083AC581 4C083AC611 4C083AC612 4C083AC851 4C083BB01 4C083CC37 4C083EE22 本発明は、毛髪成長促進効果を有する頭皮および頭髪用化粧料組成物に関する。 従来より、頭皮や頭髪に生じる疾患の予防や治療を目的とした医薬品、医薬部外品、化粧料等には、様々な有効成分が配合されている。例えば、特許文献1では、6−(1−ピペリニジル)−2,4−ジアミノピリミジン3−オキシド(通称:ミノキシジル)に、育毛、養毛作用があることが記されており、ミノキシジルを配合した育毛剤も広く市販されている。ミノキシジルの発毛促進機構は、未だ解明されていないが、カリウムチャンネル開口効果による血管拡張に起因すると考えられている。 例えば、特許文献2には、ミノキシジルを高濃度で含む育毛組成物を頭皮に塗布することにより、血中のミノキシジル濃度が高められることが報告されている。また、特許文献2では、組成物中に界面活性剤を含有させないことによって、ミノキシジルの皮膚吸収が高められるとともに、使用感が高めることが開示されている。 ミノキシジル以外のピリミジンオキシド誘導体も、ミノキシジルと同様の育毛効果を有することが報告されている。例えば、特許文献3では、6−(1−ピロリジニル)−2,4−ジアミノピリミジン3−オキシド(以下、「PDPO」と略する)が、カリウムチャンネル開口効果を示すこと、および休止期にあるマウスの発毛サイクルの成長期への移行を促進する効果があることが報告されている。米国特許第4,139,619号明細書WO01/076541号国際公開パンフレットWO2007/046577号国際公開パンフレット 上記のように、ピリミジンオキシド誘導体は、高い発毛効果を有することが知られている。しかしながら、化粧料組成物等の水性液体中のピリミジンオキシド誘導体の濃度が高くなると、低温状態に長時間保存した場合に結晶が析出するとの問題がある。また、ミノキシジル等のピリミジンオキシド誘導体は、頭皮の痒み、炎症、湿疹、脂漏性皮膚炎等の副作用を生じうることが知られている。そのため、ピリミジンオキシド誘導体の使用量を低減した場合でも、高い発毛効果を有する化粧料組成物が望まれている。 上記に鑑み、本発明者らが鋭意検討の結果、ピリミジンオキシド誘導体と所定の界面活性剤とを含有する組成物が、高い発毛効果を発揮することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、ピリミジンオキシド誘導体と、アミノ酸系界面活性剤とを含有する、頭皮および頭髪用化粧料組成物に関する。 上記ピリミジンオキシド誘導体としては、下記一般式(I)で表される2,4−ジアミノピリミジン3−オキシド誘導体が好ましい。 上記一般式(I)において、NR5R6は、ピリミジンの5位または6位の置換基である。上記一般式(I)において、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアラルキル基を表し、R1とR2、R3とR4、およびR5とR6のそれぞれは、連結して環構造を形成していてもよい。上記一般式(I)のNR5R6は、置換基を有していてもよい1−ピロリジニル基、または置換基を有していてもよい1−ピペリジニル基であることが好ましい。 アミノ酸系界面活性剤としては、グルタミン酸エステルもしくはグルタミン酸塩、またはピログルタミン酸エステル、もしくはピログルタミン酸塩が好ましい。 本発明の化粧料組成物は、アミノ酸系界面活性剤の含有量が、ピリミジン誘導体の含有量よりも大きいことが好ましい。ピリミジン誘導体の含有量は、例えば0.01〜3重量%程度である。アミノ酸系界面活性剤の含有量は0.8〜8重量%であることが好ましい。 本発明の化粧料組成物は、ピリミジンオキシド誘導体の含有量が小さい場合でも、高い発毛効果を発揮し得る。実験1および実験2における発毛試験結果を表すグラフである。実験3および実験4における発毛試験結果を表すグラフである。実験5における発毛試験結果を表すグラフである。実施例の組成物を用いた発毛試験のマウスの背部の写真である。比較例の組成物を用いた発毛試験のマウスの背部の写真である。 本発明の頭皮および頭髪用化粧料組成物は、ピリミジンオキシド誘導体と界面活性剤とを含有する。[ピリミジンオキシド誘導体] 本発明の化粧料組成物中のピリミジンオキシド誘導体は、好ましくは、下記一般式(I)で表される、2,4−ジアミノピリミジン3−オキシド誘導体である。 上記一般式(I)において、NR5R6は、ピリミジンの5位または6位の置換基である。上記一般式(I)において、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアラルキル基を表し、R1とR2、R3とR4、およびR5とR6のそれぞれは、環構造を形成していてもよい。 R1〜R4は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。好ましくは、R1〜R4のすべてが水素原子である。 R5とR6は、同一であっても、異なっていてもよい。本発明に用いられるピリミジンオキシド誘導体は、好ましくは、下記一般式(II)で表されるように、R5とR6が連結して環構造(ヘテロ環)を形成している。 上記一般式(II)において、ピリミジンオキシドに結合したヘテロ環は、好ましくは、1−ピロリジニル基、または1−ピペリジニル基である。ピロリジン環あるいはピペリジン環上には、任意の置換基を有していてもよい。ヘテロ環は、ピリミジンの6位に結合していることが好ましい。 すなわち、本発明の特に好ましい形態において、化粧料組成物に用いられるピリミジンオキシド誘導体は、下記式(III)で表される6−(1−ピペリジニル)−2,4−ジアミノピリミジン3−オキシド(ミノキシジル)、または下記式(IV)で表される6−(1−ピロリニジル)−2,4−ジアミノピリミジン3−オキシド(PDPO)である。[界面活性剤] 本発明の化粧料組成物中の界面活性剤は、アミノ酸系界面活性剤である。アミノ酸系界面活性剤は、アミノ酸誘導体であり、界面活性剤として作用するものであれば、特に限定されず、例えば、アミノ酸と高級アルコールとがアミド結合したもの等が挙げられる。アミノ酸は、L型、D型のいずれでもよく、天然アミノ酸でも合成アミノ酸でもよい。 アミノ酸系界面活性剤の具体例としては、N‐アシル‐グルタミン酸あるいはその塩、N‐アシルアラニンあるいはその塩、N‐アシルグリシンあるいはその塩、N‐アシルアスパラギン酸あるいはその塩、アルギニン高級アルコールエステルあるいはその塩、ピログルタミン酸エステルあるいはその塩、N‐アシル‐N‐メチル‐βアラニンあるいはその塩(例えば、川崎ファインケミカル製の「アラノンACE」、「アラノンALE」、「アラノンALK」、「アラノンALTA」、「アラノンAME」、「アラノンAMP」、「アラノンACA」、「アラノンALA」、「アラノンAMA」等)、N‐アシル中性アミノ酸エステル(例えば、ミリストイルメチルアミノプロピオン酸ヘキシルデシル(日本エマルジョン製の製品名「アミテル MA−HD」)、N−アシルグルタミン酸エステル(例えば、日本エマルジョン製の製品名「アミテル LG」シリーズ、「アミテル SG」シリーズ、「アミテル LGOD」シリーズ、「アミテル LGS」シリーズ等)等のアミノ酸エステル類や、ピログルタミン酸塩等のアミノ酸塩が用いられる。 上記のN‐アシル‐グルタミン酸あるいはその塩としては、例えば、ヤシ油脂肪酸アシル‐グルタミン酸あるいはその塩(例えば、味の素ヘルシーサプライ製の製品名「アミソフト CT−12」、「アミソフト CT−12S」、「アミソフト CK‐22」、「アミソフト CS−22」、「アミソフト CS−11」、「アミソフト CS−11(F)」、「アミソフト CK−11(F)」、「アミソフト CA」;旭化成ケミカルズ製の製品名「アミノサーファクト ACDS−L」、「アミノサーファクト ACDP−L」、「アミノサーファクト ACMT−L」、「アミノサーファクト CCA」;協和発酵バイオ製の製品名「フォームアップ Douce−GM」、「フォームアップ GA」);ラウロイル‐グルタミン酸あるいはその塩(例えば、味の素ヘルシーサプライ製の製品名「アミソフト LT−12」「アミソフト LK−11(F)」、「アミソフト LS−11(F)」、「アミソフト LA−D」;旭化成ケミカルズ製の製品名「アミノサーファクト ALMS−P1」、「アミノサーファクト ALMS−S1」);ミリストイル‐グルタミン酸あるいはその塩(例えば、味の素ヘルシーサプライ製の製品名「アミソフト MK−11」、「アミソフト MS−11」、「アミソフト MS−11(F)」;旭化成ケミカルズ製の製品名「アミノサーファクト AMMS−P1」、「アミノサーファクト AMMS−S1」」);ステアロイル‐グルタミン酸あるいはその塩(例えば、味の素ヘルシーサプライ製の製品名「アミソフト HS−11P」、「アミソフト HS−11P(F)」、「アミソフト HA−P」);パーム脂肪酸グルタミン酸あるいはその塩(例えば、味の素ヘルシーサプライ製の製品名「アミソフト GS−11P」、「アミソフト GS−11P(F)」、「アミソフト HA−P」;旭化成ケミカルズ製の製品名「アミノサーファクト AEMS−P2」、「アミノサーファクト AEMS−PB」);その他のアシル‐グルタミン酸あるいはその塩)等が挙げられる。 上記のN‐アシルアラニンあるいはその塩としては、例えば、N‐ヤシ油脂肪酸アシル‐アラニンあるいはその塩(例えば、味の素ヘルシーサプライ製の製品名「アミソフト ACT−12」、「アミライトACS−12」)等が挙げられる。 上記のN‐アシルグリシンあるいはその塩としては、例えば、N‐ヤシ油脂肪酸アシル‐グリシンあるいはその塩(例えば、味の素ヘルシーサプライ製の製品名「アミライト GCK−11」、「アミライト GCK−12」、「アミライト GCK−12K」、「アミライト GCS−11」)等が挙げられる。 上記のN‐アシルアルギニンあるいはその塩としては、例えば、N‐ヤシ油脂肪酸アシル‐アルギニンあるいはその塩(例えば、味の素ヘルシーサプライ製の製品名「アミノソープ AR−12」)等が挙げられる。 上記のN‐アシルアスパラギン酸あるいはその塩としては、例えば、ラウロイルアスパラギン酸あるいはその塩(例えば、旭化成ケミカルズ製の製品名「アミノフォーマー FLDS−L」、「アミノフォーマー FLMS−P1」、「アミノフォーマー FLCS−s1」)等が挙げられる。 上記のアルギニン高級アルコールエステルあるいはその塩としては、例えば、N−[3−アルキル(12,14)オキシ−2−ヒドロキシプロピル]−アルギニンあるいはその塩(例えば、味の素ヘルシーサプライ製の製品名「アミセーフ LMA−60」)等が挙げられる。 上記ピログルタミン酸エステルあるいはその塩としては、ピログルタミン酸イソステアリン酸ポリオキシエチレン水添ヒマシ油(例えば、日本エマルジョン製の製品名「ピロテル CPI−30」、「ピロテル CPI−40」、「ピロテル CPI−60」)や、ピログルタミン酸イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(例えば、日本エマルジョン製の製品名「ピロテル GPI−25」)等が挙げられる。 上記ピログルタミン酸塩としては、N−ヤシ油脂肪酸アシル−アルギニンエチル・ピログルタミン酸塩(例えば、味の素ヘルシーサプライ製の製品名「CAE」)等が挙げられる。 上記アミノ酸系界面活性剤の中でも、酸性アミノ酸の塩、または酸性アミノ酸エステルもしくはその塩が好ましく用いられる。酸性アミノ酸の塩としては、例えば、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、ピログルタミン酸塩等が挙げられる。酸性アミノ酸エステルとしては、グルタミン酸エステル、アスパラギン酸エステル、ピログルタミン酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、特にピログルタミン酸塩、あるいはピログルタミン酸エステルもしくはその塩が好ましい。 なお、酸性アミノ酸の塩は、酸性アミノ酸とアミノ酸エステルとの塩であることが好ましい。なお、界面活性剤としての作用を有していないアミノ酸エステルや酸性アミノ酸塩(例えば、ピログルタミン酸ナトリウム等)を配合しても、発毛効果の向上は期待できず、本発明においては、アミノ酸系界面活性剤として作用するものを使用することが必要である。[配合] 本発明の化粧料組成物は、上記のピリミジンオキシド誘導体と界面活性剤とを含有する。化粧料組成物中の上記ピリミジンオキシド誘導体の含有量は、0.01重量%〜3重量%が好ましく、0.1〜2重量%がより好ましく、0.3〜1.5重量%がさらに好ましく、0.6〜1.2重量%が特に好ましい。ピリミジンオキシド誘導体の含有量が過度に小さいと、十分な発毛効果が得られない場合がある。ピリミジンオキシド誘導体の含有量が過度に大きいと、化粧料組成物中にピリミジンオキシド誘導体の結晶が析出する等の不具合を生じたり、頭皮の痒み、炎症等の副作用を生じる場合がある。 本発明の化粧料組成物は、アミノ酸系界面活性剤を含有するため、ピリミジンオキシド誘導体の含有量が3重量%以下でも、高い発毛効果を奏し得る。また、本発明の化粧料組成物において、ピリミジンオキシド誘導体の含有量を1.5重量%より大きくしても、大幅な発毛効果の上昇は見られない。そのため、副作用の低減や、コストの観点からも、ピリミジンオキシド誘導体の含有量は上記範囲であることが好ましい。 なお、本発明の化粧料組成物中では、複数種のピリミジンオキシド誘導体を併用することもできる。例えば、ミノキシジルとPDPOの両方を化粧料中に含有してもよい。複数種のピリミジンオキシド誘導体を用いる場合、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。 化粧料組成物中の上記アミノ酸系界面活性剤の含有量は、0.6〜8重量%が好ましく、0.8〜6重量%がより好ましく、1.0〜5重量%がさらに好ましい。なお、アミノ酸系界面活性剤として、ピログルタミン酸エステルを用いる場合、その含有量は、1.0〜8重量%が好ましく、2〜6重量%がより好ましく、2.5〜5重量%がさらに好ましい。なお、本発明の化粧料組成物中では、アミノ酸系界面活性剤を併用することもできる。アミノ酸系界面活性剤を用いる場合、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。 アミノ酸系界面活性剤の含有量が過度に小さいと、十分な発毛効果が得られない場合がある。一方、アミノ酸系界面活性剤の含有量を過度に大きくしても、発毛効果の向上がみられず、使用時に頭皮への違和感を生じる傾向がある。 本発明の化粧料組成物は、アミノ酸系界面活性剤の含有量が、ピリミジン誘導体の含有量よりも大きいことが好ましい。アミノ酸系界面活性剤の含有量を大きくすることにより、ピリミジン誘導体による発毛効果が促進される傾向がある。アミノ酸系界面活性剤の含有量は、ピリミジン誘導体の含有量の1.2倍以上がより好ましく、1.5倍以上がさらに好ましい。 本発明の化粧料組成物は、上記のピリミジン誘導体とアミノ酸系界面活性剤とを、水、エタノール等のアルコール類、あるいはその混合溶媒中に溶解することによって調製できる。 本発明の化粧料組成物は、本発明の目的および効果を損なわない範囲で、化粧料に使用される各種原料、例えば、上記以外の界面活性剤、育毛促進成分、セルロース類、エステル類、植物油、アルコール類、角質溶解剤、経皮吸収促進剤、紫外線吸収剤、アミノ酸類、抗炎症剤、皮膚機能亢進剤、抗菌剤、清涼剤、水溶性ポリマー、防腐剤、溶解助剤、pH調整剤、粘度調整剤、色剤、香料等を含有してもよい。 上記育毛促進成分は、前述のピリミジン誘導体以外の薬効成分であり、例えば、桑白皮エキス、ユーカリエキス、酵母エキス、黄柏エキス、アロエエキス、唐辛子エキス、ペパーミントエキス、茴香エキス、ワサビエキス、ユズエキス、ビワ葉エキス、茶エキス、柿蒂エキス、ローマカミツレエキス、ローズマリーエキス、褐藻エキス、ヒナギク花エキス、モモ葉エキス、センキュウエキス、タマサキ ツヅラフジ根エキス、マカエキス、マツリカ花エキス、牡丹皮エキス、甘草エキス、人参エキス、黒豆エキス、ヨクイニンエキス、アルガニアスピノサ芽細胞エキス、プラセンタエキス等の植物由来成分や、各種のビタミン類、コラーゲン、ヒアルロン酸、ヘマチン、セファランチン、L−メントール等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらの育毛促進成分は単一成分を配合してもよく、2種以上を組み合わせて配合してもよい。 本発明の化粧料組成物のpHは特に制限されないが、頭皮に対する刺激を低減する観点から、25℃におけるpHが、3.0〜9.0の範囲であることが好ましい。例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ、乳酸、クエン酸等の酸や、これらの塩を用いることで、化粧料組成物のpHを所望の値に調整できる。[用途] 本発明の化粧料組成物は、頭皮あるいは毛髪に塗布することにより、発毛や育毛の促進作用を有し得るため、育毛ローション、育毛スプレー、育毛トニック、育毛ジェル、育毛液、育毛クリーム等の養毛剤や育毛剤として好適に利用できる。 以下に、マウスを用いた発毛試験の実験例を用いて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。[発毛試験および評価方法] 生後7週齢の雄性C3Hマウス1群を5匹(ただし、コントロール試験は4匹)とし、各マウスの背部を電気バリカンおよび電気シェーバーにて除毛した。マウスの除毛した背部に試料組成物(溶液)を1日1回(塗布量:1サンプルにつき0.2mL)、週5日、約2ヶ月間塗布を行い、定期的に目視にて毛の再生状況を観察し、写真撮影を行った。撮影した写真を基に、以下の基準により、発毛の程度を点数化し、各群の平均値を求めた。<評点の基準> 0: 除毛部に全く毛が生えていない状態。 1: 除毛部の0〜20%の面積に発毛がみられる状態。 2: 除毛部の20〜40%の面積に発毛がみられる状態。 3: 除毛部の40〜60%の面積に発毛がみられる状態。 4: 除毛部の60〜80%の面積に発毛がみられる状態。 5: 除毛部の80%以上の面積に発毛がみられる状態。[実験1]<実施例1−1> スカルプローション(生薬を含むエタノール50%水溶液)に、6−(1−ピロリジニル)−2,4−ジアミノピリミジン3−オキシド(PDPO)0.8重量%、およびピログルタミン酸イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル−25(日本エマルジョン株式会社製 製品名「ピロテルGPI‐25」)3.5重量%を添加して、化粧料組成物を調整した。この組成物を用いて、発毛試験を行った。なお、界面活性剤として用いたピロテルGPI‐25は、下記の化学式(a+b+cの平均値≒25)で表されるピログルタミン酸エステルである。<比較例1> PDPO:1.0重量%を含むエタノール水溶液を調製し、この組成物を用いて、発毛試験を行った。<比較例2> PDPO:1.4重量%を含むエタノール水溶液を調製し、この組成物を用いて、発毛試験を行った。なお、比較例2では、発毛試験の時の塗布量を1回につき0.6mL(他の例の3倍)とした。<参考例1> ミノキシジルを5重量%含有する市販の育毛用組成物(大正製薬製 製品名「リアップ X5」)を用いて、発毛試験を行った。<コントロール1> コントロール試験として、エタノール水溶液を用いて発毛試験を行った。[実験2]<実施例1−2> 上記実施例1−1と同一の組成物を用いて発毛試験を行った。<実施例2および実施例3> PDPOの含有量を、1.4重量%に増量(実施例2)あるいは0.4重量%に減量(実施例3)したこと以外は、実施例1−1と同様の組成物を用いて発毛試験を行った。[実験1および実験2の評価] 上記実験1の各実施例、比較例および参考例で用いた化粧料の組成、および発毛試験の結果を表1−1に示す。上記実験2の各実施例で用いた化粧料の組成、および発毛試験の結果を表1−2に示す。また、実験1および実験2の発毛試験の結果を、図1−1に示す。 表1−1および図1−1に示すように、PDPOとアミノ酸系界面活性剤を含有する実施例1−1と、ミノキシジルを5重量%含有する参考例1とは、試験開始後67日後の発毛結果が同等であった。この結果から、アミノ酸系界面活性剤を添加することにより、2,4−ジアミノピリミジン3−オキシド誘導体の含有量が1重量%以下の場合でも、ミノキシジルを5重量%含有する化粧料と同等の高い発毛効果を有することがわかる。 一方、界面活性剤を含有しない比較例1,2は、実施例1−1よりもPDPOの含有量が大きいにもかかわらず、実施例や参考例に比べて発毛効果が小さかった。これらの結果から、2,4−ジアミノピリミジン3−オキシド誘導体であるPDPOにアミノ酸系界面活性剤との組み合わせにより、2,4−ジアミノピリミジン3−オキシド誘導体の発毛効果が向上することがわかる。 表1−2の実施例1−2と実施例2との対比から、アミノ酸系界面活性剤を含有する場合は、PDPOの含有量を0.8重量%から1.4重量%に増量させても、発毛効果に大きな差はみられなかった。一方、PDPOの含有量を0.4重量%まで減少させると、発毛効果が低下する傾向がみられた。[実験3]<実施例1−3> 上記実施例1−1と同一の組成物を用いて発毛試験を行った。<実施例4> ピロテルGPI‐25の含有量を6.0重量%に増量したこと以外は、実施例1−1と同様の組成物を用いて発毛試験を行った。<比較例3> ピロテルGPI‐25を添加しなかったこと以外は、実施例1−1と同様の組成物を用いて発毛試験を行った。<比較例4> ピロテルGPI‐25に代えて、界面活性剤としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(日本エマルジョン株式会社製 製品名「エマレックスHC‐60」)4.0重量%、および界面活性剤の補助的溶剤としてジプロピレングリコール3.0重量%を添加したこと以外は、実施例1−1と同様の組成物を用いて発毛試験を行った。[実験4]<実施例1−4> 上記実施例1−1と同一の組成物を用いて発毛試験を行った。<実施例5> ピロテルGPI‐25の含有量を1.0重量%に減少させたこと以外は、実施例1−1と同様の組成物を用いて発毛試験を行った。[実験3および実験4の評価] 上記実験3の各実施例、および比較例で用いた化粧料の組成、および発毛試験の結果を表2−1に示す。上記実験4の各実施例で用いた化粧料の組成、および発毛試験の結果を表2−2に示す。また、実験3および実験4の発毛試験の結果を、図1−2に示す。 また、実施例1−3、および比較例3の試験開始後32日後および75日後の各マウスの背部の写真を、それぞれ図2および図3に示す。図2(実施例1−3)の32日後のマウスの評点は、上から2,0,1,1,1であり、75日後のマウスの評点は、上から4,5,2,5,5である。図3(比較例3)の32日後のマウスの評点は、上から1,0,0,0,1であり、75日後のマウスの評点は、上から1,5,3,1,1である。 表2−1の実施例1−3と実施例4との対比では、アミノ酸系界面活性剤を増量しても、発毛効果に明確な差はみられなかった(図1−2参照)。一方、表2−2に示す実施例1−4と実施例5との対比から、アミノ酸系界面活性剤の含有量を1重量%に減少させると、発毛効果が低減する傾向がみられた。また、界面活性剤を含有しない比較例3では、発毛効果が大幅に低減していた。PDPOおよび生薬を含有する比較例3において発毛効果が低減していることから、前述の比較例1,2(生薬なし)が、実施例1−1に比して発毛効果が低減したのは、主にアミノ酸系界面活性剤の有無によるものであり、生薬の有無との関連性は低いと考えられる。 非アミノ酸系界面活性剤を用いた比較例4は、各実施例に比べて発毛結果が劣っており、界面活性剤を用いなかった比較例3と同程度であった。これらの結果から、PDPO等の発毛成分とアミノ酸系界面活性剤との組み合わせにより、特異的に発毛効果が増大すると考えられる。[実験5]<実施例1−5> 上記実施例1−1と同一の組成物を用いて発毛試験を行った。<実施例6> ピロテルGPI‐25に代えて、界面活性剤として、ココイルアルギニンエチルピログルタミン酸塩(味の素ヘルシーサプライ株式会社製 製品名「CAE」)1.0重量%を添加したこと以外は、実施例1−1と同様の組成物を用いて発毛試験を行った。なお、界面活性剤として用いたCAEは、下記の化学式(RCO:ヤシ油脂肪酸アシル)で表されるピログルタミン酸塩である。<実施例7> ミノキシジルを5重量%含有する市販の育毛用組成物(大正製薬製 製品名「リアップ x5」)を、エタノール水溶液で希釈して、ミノキシジルの濃度を1重量%とし、ピロテルGPI‐25を、濃度が3.5重量%となるように添加した組成物を用いて発毛試験を行った。<比較例5> ピロテルGPI‐25に代えて、界面活性剤としてエマレックスHC‐60:3.0重量%、および界面活性剤の補助的溶剤としてジプロピレングリコール2.0重量%を添加したこと以外は、実施例1−1と同様の組成物を用いて発毛試験を行った。<比較例6> ピロテルGPI‐25に代えて、界面活性剤としてエマレックスHC‐60:3.0重量%を用い、さらに、ピログルタミン酸(ピロリドンカルボン酸;PCA)0.3重量%を添加したこと以外は、実施例1−1と同様の組成物を用いて発毛試験を行った。<比較例7> ミノキシジルを5重量%含有する市販の育毛用組成物(大正製薬製 製品名「リアップ x5」)を、エタノール水溶液で希釈して、ミノキシジルの濃度を1重量%とした組成物を用いて発毛試験を行った。<コントロール2> コントロール1と同様に、エタノール水溶液を用いて発毛試験を行った。[実験5の評価] 上記実験5の各実施例、および比較例で用いた化粧料の組成、および発毛試験の結果を表3に示す。また、実験5の発毛試験の結果を、図1−3に示す。 アミノ酸系界面活性剤であるCAEを用いた実施例6では、実施例1−5と同様に、高い発毛効果を示した。一方、非アミノ酸系界面活性剤を用いた比較例5,6は、各実施例に比べて発毛効果が劣っていた。比較例6の組成物は、実施例6で用いたCAEと同様にピログルタミン酸を含有しているが、発毛効果が劣っていた(図1−3参照)。この結果から、ピリミジンオキシド誘導体とアミノ酸単体との併用ではでは高い発毛効果が得られず、ピリミジン誘導体とアミノ酸系界面活性剤とを併用することにより、発毛効果が向上することがわかる。 実施例7では、ミノキシジル(6−(1−ピペリニジル)−2,4−ジアミノピリミジン3−オキシド)の1重量%溶液に、アミノ酸系活性剤を添加することにより、比較例7に比して発毛効果が向上していた。この結果から、PDPO以外の2,4−ジアミノピリミジン誘導体に対しても、アミノ酸系界面活性剤を組み合わせることにより、発毛効果が向上することがわかる。 下記一般式(I)で表される2,4−ジアミノピリミジン3−オキシド誘導体と、アミノ酸系界面活性剤とを含有する、頭皮および頭髪用化粧料組成物。 上記一般式(I)において、 NR5R6は、ピリミジンの5位または6位の置換基であり、 R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアラルキル基を表し、 R1とR2、R3とR4、およびR5とR6のそれぞれは、連結して環構造を形成していてもよい。 前記アミノ酸系界面活性剤の含有量が、前記2,4−ジアミノピリミジン3−オキシド誘導体の含有量よりも大きい、請求項1に記載の化粧料組成物。 前記アミノ酸系界面活性剤の含有量が0.6〜8重量%である、請求項1または2に記載の化粧料組成物。 前記アミノ酸系界面活性剤が、グルタミン酸エステルもしくはグルタミン酸塩、またはピログルタミン酸エステル、もしくはピログルタミン酸塩である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧料組成物。 前記2,4−ジアミノピリミジン3−オキシド誘導体は、前記一般式(I)のNR5R6が、置換基を有していてもよい1−ピロリジニル基、または置換基を有していてもよい1−ピペリジニル基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化粧料組成物。 【課題】ピリミジンオキシド誘導体の使用量を低減した場合でも、高い発毛効果を有する化粧料組成物の提供。【解決手段】下記一般式(I)で表されるピリミジンオキシド誘導体とアミノ酸系界面活性剤とを含有する組成物。【選択図】なし


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