タイトル: | 公開特許公報(A)_リボフラビンとセサミン類とを含有する組成物 |
出願番号: | 2013213305 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 31/525,A61K 31/36,A61P 43/00,A61P 3/02,A61K 9/16,A61K 9/48,A61K 9/20,A61K 9/08,A61P 25/04,A23L 1/302,A23L 1/30 |
竹本 大輔 立石 法史 小野 佳子 齋藤 佳世 前田 哲史 JP 2014040463 公開特許公報(A) 20140306 2013213305 20131011 リボフラビンとセサミン類とを含有する組成物 サントリーホールディングス株式会社 309007911 小野 新次郎 100140109 小林 泰 100075270 竹内 茂雄 100101373 山本 修 100118902 小笠原 有紀 100141265 竹本 大輔 立石 法史 小野 佳子 齋藤 佳世 前田 哲史 JP 2006070487 20060315 A61K 31/525 20060101AFI20140207BHJP A61K 31/36 20060101ALI20140207BHJP A61P 43/00 20060101ALI20140207BHJP A61P 3/02 20060101ALI20140207BHJP A61K 9/16 20060101ALI20140207BHJP A61K 9/48 20060101ALI20140207BHJP A61K 9/20 20060101ALI20140207BHJP A61K 9/08 20060101ALI20140207BHJP A61P 25/04 20060101ALI20140207BHJP A23L 1/302 20060101ALI20140207BHJP A23L 1/30 20060101ALI20140207BHJP JPA61K31/525A61K31/36A61P43/00 121A61P3/02A61P3/02 106A61K9/16A61K9/48A61K9/20A61K9/08A61P25/04A61P43/00 107A23L1/302A23L1/30 BA23L1/30 Z 6 4 2008510789 20070315 OL 15 4B018 4C076 4C086 4B018MD08 4B018MD23 4B018ME14 4B018MF02 4C076AA11 4C076AA31 4C076AA36 4C076AA53 4C076BB01 4C076CC01 4C076CC19 4C076CC21 4C076CC22 4C076CC40 4C086AA01 4C086AA02 4C086CA01 4C086CB09 4C086MA02 4C086MA04 4C086NA05 4C086NA14 4C086ZA08 4C086ZA89 4C086ZB22 4C086ZC21 4C086ZC24 4C086ZC75 本発明は、リボフラビンの生理活性を増強しうる組成物で、リボフラビンとセサミン類とを含有する組成物に関し、より詳細には、各種疾患及び外傷に起因する痛みを予防および/または低減させることができる鎮痛作用を有する組成物、あるいは、肉体的および/または精神的疲労を予防および/または軽減させることができる抗疲労作用を有する組成物、およびこれを含有した飲食品に関する。 リボフラビン(Riboflavin)は、ビタミンB2(Vitamin B2)とも呼ばれ、ビタミンの中で水溶性ビタミンに分類される生理活性物質である。このリボフラビンは、白内障を含む多くの眼の疾患の予防や治療に役立ち、眼の充血、乾燥、かゆみ、眼精疲労といった症状を改善することもあるといわれている(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』:インターネットhttp://ja.wikipedia.org/)。また、リボフラビンの生理活性として、リボフラビン系化合物が免疫機能賦活作用を有すること(特許文献1)や、リボフラビン系化合物がトキシンショック予防治療剤として有用であること(特許文献2)が報告されている。 さらに、リボフラビンの生理活性として鎮痛作用についての報告もある。例えば、リボフラビンを高用量で摂取することにより片頭痛の予防に効果があったこと(非特許文献1)や、炎症系の痛みについて腹腔内に3〜100mg/kgの濃度で投与した場合に用量に依存して鎮痛作用を示すが神経性の痛みについては効果がないこと(非特許文献2)、1〜50mg/kgでの濃度で経口投与した場合にはホルマリンテストでの鎮痛効果は25mgで頭打ちになり、75mgまで増やしても効果は伸びなかったこと等が報告されている(非特許文献2,3)。 一方、ビタミンB2を含むビタミンB群の抗疲労作用、すなわちビタミンB群の疲労回復及び疲労予防作用が知られている(特許文献3)。また、疲れた時や肌荒れの場合に摂取するためのビタミンB1とビタミンB2とビタミンB6とを含有するサプリメントやドリンク剤が市販されている。特開平5−201864号公報特開平10-29941号公報特開2005−23008号公報Schoenen,J., NEUROLOGY, 50, 466-470, 1998European Journal of Pharmacology, 421, 157-164, 2001European Journal of Pharmacology, 492, 35-40, 2004 上記のとおり、リボフラビンの生理活性は種々報告されているものの、その効果は必ずしも十分ではなく、リボフラビンは他の化合物の生理活性を補完する目的で配合されるのが主であり、リボフラビン自体の生理活性を増強することは今まで示唆も開示もなされていなかった。また、上記のとおり、ビタミンB群の抗疲労作用が知られているが、具体的にリボフラビン(ビタミンB2)の抗疲労作用については何ら開示されていなかった。 本発明は、ヒトや動物等に対して安全で、したがって、継続摂取が可能であり、かつリボフラビンの生理活性を増強しうる組成物、特に飲食品を提供することを目的とする。 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、驚くべきことに、リボフラビンをセサミン類とともに摂取すると、リボフラビンの生理活性が増強されることを見出した。具体的には、上記のとおり、リボフラビン単独の経口投与による鎮痛作用の効果には上限があるが、セサミン類とともに摂取することによりリボフラビンの効果が増強され、リボフラビン単独摂取では得られない鎮痛効果を奏することを見出した。また、本発明者らは、疲労度を評価するためのモデルとされている水浸負荷モデル動物による遊泳試験を用いて評価した結果、リボフラビンに抗疲労作用があることを見出した。そして、その抗疲労作用がセサミン類を併用することで、リボフラビン単独摂取では得られない作用を奏すること、リボフラビンとセサミン類とが優れた相乗作用を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は下記の通りの飲食物を含む組成物に関するものである。1.リボフラビンと、セサミン類とを含有する組成物。2.リボフラビンの総量1に対して、セサミン類の総量の割合(重量比)が4.5以下である上記1に記載の組成物。3.セサミン類が、セサミン類を1重量%以上含有する、セサミン類濃縮物である上記1または2に記載の組成物。4.セサミン類が、セサミンおよび/またはエピセサミンである上記1〜3のいずれかに記載の組成物。5.リボフラビンが、リン酸リボフラビンナトリウムまたは酪酸リボフラビンのいずれかである上記1〜4のいずれかに記載の組成物。6.経口用である上記1〜5のいずれかに記載の組成物。7.リボフラビンと、セサミン類とを有効成分として含有する鎮痛剤。8.リボフラビンを有効成分として含有する抗疲労剤。9.リボフラビンと、セサミン類とを有効成分として含有する抗疲労剤。10.リボフラビンの生理活性を向上させるための、セサミン類の使用。セサミン類の鎮痛作用に及ぼす影響を示す図である。リボフラビン(ビタミンB2)とセサミン類の組合せによる鎮痛作用を示す図である。リボフラビン(ビタミンB2)とセサミン類の組合せによる鎮痛作用の相乗効果を示す図である。リボフラビンとセサミン類の組合せによる抗疲労作用を示す図である。リボフラビンとセサミン類の組合せによる抗疲労作用を示す図である。発明の実施するための形態 (リボフラビン) 本発明のリボフラビン(本明細書中、「ビタミンB2」と表記することもある)とは、リボフラビン誘導体、またはこれらの薬理学的に許容される塩を含む。ここで、リボフラビン誘導体またはその薬理学的に許容される塩としては、具体的には、フラビンモノヌクレオチド(FMN)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、リボフラビンテトラブチレイト、リン酸リボフラビンナトリウム(ビタミンB2リン酸エステル)、リン酸リボフラビンのモノジエタノールアミン塩、酪酸リボフラビン(ビタミンB2酪酸エステル)、ロイコフラビン、モノハイドロフラビン、ロイコフラビンリン酸エステル、ロイコフラビンモノヌクレオチド、又はロイコフラビンアデニンジヌクレオチド等を挙げることができるが、中でも、吸収性が高いリン酸リボフラビンナトリウムや、安定性の優れた酪酸リボフラビンが好適に用いられる。本発明においては、前記のリボフラビンのうちいずれか単独あるいは複数を用いることができる。また、これらはその製造方法に何ら限定されず、天然抽出品、微生物発酵品、合成品のいずれをも用いることができる。 (セサミン類) 本発明のセサミン類とは、セサミン及びその類縁体を含む。前記のセサミン類縁体としては、エピセサミンの他、例えば特開平4−9331号公報に記載されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体がある。セサミン類の具体例としては、セサミン、セサミノール、エピセサミノール、セサモリン等を例示でき、これらの立体異性体又はラセミ体を単独で、または混合して使用することができるが、本発明においては、セサミン及び/又はエピセサミンを好適に用いることができる。また、セサミン類の代謝体(例えば、特開2001−139579号公報に記載)も、本発明の効果を示す限り、本発明のセサミン類に含まれるセサミン類縁体であり、本発明に使用することができる。 本発明に用いるセサミン類は、その形態や製造方法等によって、何ら制限されるものではない。例えば、セサミン類としてセサミンを選択した場合には、通常、ごま油から公知の方法(例えば、特開平4−9331号公報に記載された方法)によって抽出したセサミン(セサミン抽出物または精製物という)を用いることもできるが、市販のごま油(液状)をそのまま用いることもできる。しかしながら、ごま油を用いた場合には、ごま油特有の風味が官能的に好ましくないと評価されることもあることから、ごま油から抽出された無味無臭であるセサミン抽出物(又はセサミン精製物)を用いることが好ましい。また、ごま油を用いた場合、セサミン含有量が低いため、好ましい量のセサミンを配合しようとすると、処方されるリボフラビン(ビタミンB2)含有組成物の単位投与当りの体積が大きくなり過ぎるため、摂取に不都合を生じることがある。特に、経口投与用に製剤化した場合は、製剤(錠剤、カプセルなど)が大きくなり過ぎて摂取に支障が生じる。したがって、摂取量が少なくてよいという観点からもごま油からのセサミン抽出物(又はセサミン精製物)を用いることが好ましい。 このように、セサミン類としてはセサミン類の濃縮物を用いるのが好ましい。濃縮の度合いは、用いるセサミン類の種類や配合する組成物の形態により適宜設定すればよいが、通常、セサミン類が1重量%以上となるように濃縮されたセサミン類濃縮物を用いるのが好ましい。セサミン類濃縮物中のセサミン類含量は、20重量%以上がより好ましく、さらに50重量%以上が好ましく、さらにまた70重量%以上が好ましく、90重量%以上まで濃縮(精製)されたものが最適である。 本発明で使用するセサミン類は、上記のとおり、従来の食品中より見出した化合物又はその類縁化合物であるので安全性の面からも優れているのは明らかである。これはまた、7週令のICR雄性マウスに対し、セサミン2.14g/day/kgを2週間連投(経口投与)したところ、何ら異常な症状は認められなかったことからも明らかである。 本発明で使用するセサミン類、特にセサミン及び/又はエピセサミンについて、本出願人らによって自律神経調節作用を有することが見出されている(国際公開WO2004/105749)が、本発明の鎮痛作用を増強する作用や抗疲労作用を示すことは何ら知られておらず、リボフラビンの生理活性を増強させることについては開示も示唆もされていなかったものである。 (鎮痛作用及び剤) 本発明は、ヒトや動物、特にヒトの痛みを予防および/または低減させる鎮痛剤として有用なものである。ここで、動物とは、産業動物、ペットおよび実験動物を表し、具体的には、産業動物とは、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ヒツジ等の家畜、ニワトリ、アヒル、ウズラ、七面鳥、ダチョウ等の家禽、ブリ、ハマチ、マダイ、マアジ、コイ、ニジマス、ウナギ等の魚類など産業上飼養することが必要とされている動物をいい、ペットとはイヌ、ネコ、マーモセット、小鳥、ハムスター、金魚などのいわゆる愛玩動物、コンパニオン・アニマルをいい、実験動物とはマウス、ラット、モルモット、ビーグル犬、ミニブタ、アカゲザル、カニクイザルなど医学、生物学、農学、薬学等の分野で研究に供用される動物を表す。 本発明の鎮痛剤は、一過性の軽度の痛みから慢性的で堪え難い程度の激痛までをも対象とする。痛みに対しては、通常、鎮痛剤を用いることにより痛みをコントロールするが、その効果は必ずしも十分ではなく、関節痛、神経痛、腰痛などの慢性的な痛み(疼痛)に対しては、一時的に痛みを治めるに過ぎないばかりか、鎮痛剤の継続的な服用により、胃腸障害、腎臓障害や肝臓障害等の副作用が問題となることも多い。また、この関節痛、神経痛、腰痛などの痛みは、加齢と共に増加する傾向にあることから、近年の急速な高齢化に伴い、単に痛みの改善除去だけでなく、その予防に対する社会的需要も高まっている。 本発明の鎮痛剤は、上記の種々の痛みやこれら痛みを伴う疾患に対して有用なものである。本発明の鎮痛剤は、セサミン類を併用することによりリボフラビンの鎮痛作用を相乗的に増強させたものであり、従来の鎮痛剤と比べて優れた鎮痛作用を発揮する。また、長年飲食品として摂取されてきたリボフラビンとセサミン類とを有効成分とするものであり、副作用がなく、継続摂取可能なものである。したがって、日常的に摂取して慢性的な痛みの低減を図ることができるばかりでなく、痛みを伴う疾患(月経痛など)を予防することもできるものであり、新しいタイプの鎮痛剤である。このことは、痛みの感覚が、感受性の強い人と弱い人とで違いがあり、客観的な尺度がなく、正常であるのか病気であるのか明確に判定できない場合も多く、従来の鎮痛剤のような薬剤投与による治療行為としてではなく、日常的に摂取可能な飲食品の形態が望まれていたという事情を鑑みても有用なものであるといえる。 (抗疲労作用及び剤) 本発明の組成物は、上記の鎮痛作用のほか、ヒトや動物の抗疲労剤としても有用なものである。ここで、動物とは、上記鎮痛剤の対象となる動物をいうが、中でも本発明の抗疲労剤は、疲労を知覚するヒト、産業動物、ペットおよび実験動物に用いられ、特にヒトに対して好適に用いられる。ここで、産業動物とは、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ヒツジ等の家畜や競争馬、猟犬等を、ペットとはイヌ、ネコ等を、実験動物とはマウス、ラット、モルモット、ビーグル犬、ミニブタ、アカゲザル、カニクイザルなど医学、生物学、農学、薬学等の分野で研究に供用される動物を表す。 疲労とは、身体的あるいは精神的負荷を連続して与えたときにみられる一時的な身体的および精神的パフォーマンスの低下現象であり、パフォーマンスの低下は、身体的および精神的作業能力の質的あるいは量的な低下を意味する。また、本発明の「疲労」には、慢性疲労症候群や過労死をも包含するものとする。 本発明の抗疲労剤とは、上記疲労を減弱させる作用や疲労を回復させる作用をいい、具体的には、運動や作用した部位(脳を含む)の働きの持続時間を向上させること、および同じ運動量や作用量での疲労物質の増加を抑制すること(持久力向上・体力増強)、運動や作用した部位が疲労していないにもかかわらず脳や神経などが疲労感知状態になっていることを改善すること、ならびに運動や作用した部位の疲労状態を通常状態に回復することを促進する効果をいう。 また、本発明の抗疲労剤が目的とする慢性疲労症候群とは、日常生活に支障を来すほどの長期的な全身疲労感、倦怠感、微熱、リンパ節腫脹、筋肉痛、関節痛、精神神経症状などの基本的な症状を意味する。本発明の抗疲労剤は、この慢性疲労症候群を処理、すなわち慢性疲労症候群の各症状を緩和し、正常な状態に移行させることができる。さらに、本発明の抗疲労剤が目的とする過労死とは、重度の過労状態にあり、身体的活力を保つことができないにも関わらず、疲労を十分に感じることができなくなり、その結果、脳血管疾患や心疾患を発症して永久的労働不能や死亡に至った状態を意味する。本発明の抗疲労剤は、慢性疲労症候群を処置することができ、それにより過労死を予防しうるものである。 本発明の抗疲労作用、すなわち「抗疲労剤」としての効果は、例えば次の試験により確認することができる。すなわち、水浸断眠試験における遊泳時間の測定である。水浸飼育のように、十分な睡眠や休息姿勢をとることができず、肉体的にも精神的にも休息できない環境で飼育されたマウスを用い、おもりを負荷させた状態で遊泳させ、10秒以上鼻が水没してしまうまでの時間を測定することにより、その疲労度を確認するものである。この動物モデルは肉体的及び精神的疲労モデルであるから、被験物質を投与することにより遊泳時間が延長されれば、肉体的及び精神的疲労やそれに伴う筋肉痛等の苦痛を予防または改善できたこと、体力が増強され疲労困憊に至るまでの時間が延長されたこと、疲労状態のもとで身体的活力が維持されたこと等、疲労に対する抵抗性があることが確認される。 本発明の抗疲労剤は、これを摂取することにより疲れにくくなり、また疲労回復にも効果がある。すなわち、スポーツなどの筋肉運動に際して肉体疲労を感じたとき、計算作業等の連続作業に際して精神疲労を感じたときに摂取して疲労の回復を図ることができることはいうまでもないが、予め摂取してから労働、スポーツなどを行うと疲労を予防することもできる。また、スポーツを行う前や途中で摂取することにより、持久力向上が期待できる。さらに、日常的に摂取することにより、精神的な疲労やそれに伴う疾患をも予防することができる。 (リボフラビンとセサミン類とを含有する組成物) 本発明は、リボフラビンにセサミン類を含有させることにより、リボフラビンの生理活性、例えば鎮痛作用や抗疲労作用を相乗的に増強させるとともに、健康食品として利用することで、それぞれの成分の生理作用により、健康増進を図ることができる。 本発明のリボフラビンとセサミン類とを含有する組成物においては、それぞれの生理作用を期待するのであればその配合量に制限はない。通常、リボフラビンは、厚生労働省の定める日本人の栄養所要量となるように配合するのがよく、具体的には、1日当たり成人男子1.2mg、成人女子1.0mgである。また、リボフラビンは健康障害を引き起こす最大上限に関する報告がないことから、その配合量に上限はないが、通常、成人1日当たり100mg以下、好ましくは50mg以下程度である。また、セサミン類は、通常、成人1日当たり1〜200mg、好ましくは5〜100mg程度となるように配合する。 一方、リボフラビンの生理活性を増強させることを期待して、リボフラビンにセサミン類を配合するのであれば、リボフラビンとして換算(本明細書中、「リボフラビン当量」と表記することもある)した場合に、リボフラビンの総量1に対して、セサミン類の総量の割合を重量比で4.5以下、好ましくは4.0以下、さらに好ましくは3.5以下となるように配合する。配合するセサミン類の割合が多いほどリボフラビンの作用が増強されると予想されるが、上記の割合の範囲内でないと、優れた相乗効果が得られない。配合するセサミン類の下限値は、求める作用、例えば鎮痛作用や抗疲労作用の相乗効果が得られる量であれば制限されず、上記の日用量を参考として配合すればよい。一般的には、リボフラビンとして換算した場合に、リボフラビンの総量1に対して、セサミン類の総量の割合を重量比で0.01以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは1以上である。 リボフラビンの生理活性の一つである鎮痛作用において、リボフラビン当量で30mgのリン酸リボフラビンナトリウムと、50mgまたは100mgのセサミン類とを経口摂取した場合、すなわち重量比でリボフラビン:セサミン=1:1.67または1:3.33の場合において、リン酸リボフラビンナトリウムの鎮痛作用が向上することが確認されている(実施例1、2)。また、本発明者らが確認したリボフラビンの生理活性の一つである抗疲労作用において、リボフラビン当量で25mgまたは50mgのリン酸リボフラビンナトリウムと、50mgのセサミン類とを経口摂取した場合、すなわち重量比でリボフラビン:セサミン類=1:2または1:1の場合において、リン酸リボフラビンナトリウムの抗疲労作用が向上することが、リボフラビン当量で10mgのリン酸リボフラビンナトリウムと、50mgのセサミン類とを経口摂取した場合、すなわち重量比でリボフラビン:セサミン類=1:5の場合には、リン酸リボフラビンナトリウムの抗疲労作用を増強しないことが確認されている(実施例3、4)。 本発明の組成物を医薬組成物として利用する場合、その投与形態は、液剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、ドライシロップ剤、丸剤等の形態で経口投与してもよいし、注射剤等の形態で投与してもよく、その形態は、病態やその進行状況、その他の条件によって適宜選択することができる。また、本発明の有効成分であるリボフラビン(酪酸リボフラビンを除く)は水溶性であり、セサミン類は脂溶性であることから、それぞれを別の形態で摂取しても良い。具体的にはリボフラビンの顆粒を水とともに摂取すると同時に、セサミン類を油脂に溶解させて充填したソフトカプセルを摂取する方法や、それぞれ吸収速度に応じて時間差を設けて摂取する方法等により、鎮痛作用を得ることができる。 また、本発明の組成物の投与量についても、対象、病態やその進行状況、その他投与形態等の条件によって適宜選択すればよいが、ヒト(成人)を対象に鎮痛作用および/または抗疲労作用を得ることを目的として経口投与する場合には、一般に、1〜200mg、好ましくは2〜100mg程度を、1日に1〜3回程度の頻度で連続投与するとよい。 本発明においては、その効果を損なわない限り、リボフラビンとセサミン類との他に、任意の所望成分を配合することができる。例えば、ビタミンE、ビタミンC等のビタミン類、ミネラル類、ホルモン、栄養成分、香料などの生理活性成分のほか、製剤化において配合される乳化剤、緊張化剤(等張化剤)、緩衝剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化剤、抗酸化剤等を適宜配合することができる。本発明の組成物は、上記のとおり、鎮痛剤および/または抗疲労剤として利用可能なものであるが、リボフラビン(ビタミンB2)とセサミン類の持つその他の種々の生理作用が相加的に、または相乗的に発揮され得ると考えられることから、上記の医薬組成物と利用されるばかりでなく、健康食品としても好適に利用できる。 ここでいう健康食品とは、例えばカプセル剤や錠剤のように、本発明のリボフラビンとセサミン類とを含有する組成物そのものを有効成分とする製剤又は食品、ならびに一般の食品に上記本発明組成物を1つの成分として配合して、生体に対する鎮痛作用や抗疲労作用等の種々の機能をその食品に付加してなる機能性食品(特定保健用食品や条件付き特定保健用食品が含まれる)を挙げることができる。さらに、生体の痛を予防ないし低減するために用いられる旨や、生体の疲労を軽減または疲労回復を促進する旨の表示を付してなる、鎮痛作用および/または抗疲労作用を有することを特徴とする食品等も包含するものとする。 リボフラビンとセサミン類とを含有する健康食品としては、その形態を特に制限するものではなく、例えば、粉末状、顆粒状、錠剤状などの固体状;溶液状、乳液状、分散液状等の液状;またはペースト状等の半固体状などの、任意の形態に調製することができる。 以下、試験例および実施例により、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 試験例1.セサミン類の鎮痛作用 セサミン類の鎮痛作用に関する報告はない。そこで、セサミン類の鎮痛作用について検討した。 鎮痛作用試験としては、Moonらの酢酸Writhing試験(Biol. Pharm. Bull. (2005))を一部改変した方法で行った。具体的な試験方法は以下のとおりである。Wistar系雄性ラット(5週齢)を日本クレア社より購入し、1週間試験環境で馴化させた後、順調な発育を示した動物を試験に供した。酢酸Writhing試験3日前にラットを各群6匹からなる3群に分け、対照群にはオリブ油を5ml/kgの用量で、残り2群にはセサミン類(セサミン/エピセサミン混合物;セサミン:エピセサミン(重量比)=5:5)をそれぞれ50、100mg/kgの用量でオリブ油に溶解し、ゾンデを用いて経口投与した。続いて試験2日前にも同様に投与を行い、さらに試験前日には朝、夕方の2回、つまり合計で4回投与を行った。試験当日に、前日夜から一晩絶食させたラットに生理食塩水を5ml/kgで経口投与し、その1時間後に酢酸を1%含む生理食塩水を1ml/170gで腹腔内へ投与して、投与直後から30分間のWrithing回数を計測した。 その結果を図1に示す。セサミン類投与群(Sesamin50mg,Sesamin100mg)では対照群(Olive)に比べ、若干Writhing回数が増加する傾向が見られ、セサミン類は酢酸Writhing試験において鎮痛作用を持たないことが明らかとなった。 実施例1.リボフラビン(ビタミンB2)とセサミン類による鎮痛作用(1) セサミン類によるリボフラビン(ビタミンB2)の鎮痛作用の向上を検証した。Wistar系雄性ラット(7週齢)を日本クレア社より購入し、1週間試験環境で馴化させた後、順調な発育を示した動物を試験に供した。酢酸Writhing試験3日前にラットを各群6匹からなる4群に分け、そのうち2群にはオリブ油を5ml/kgで、残り2群には試験例1と同じセサミン類をそれぞれ50、100mg/kgの用量でオリブ油(5ml/kg)に溶解し、ゾンデを用いて経口投与し、試験例1と同様に合計4回投与を行った。試験当日に、前日夜から一晩絶食させたラットに、対照群には生理食塩水を5ml/kgで、残り3群にはビタミンB2(リン酸リボフラビンナトリウム;ナカライテスク社)をリボフラビン当量として30mg/kgの用量となるよう生理食塩水に溶解して経口投与し、試験例1に準じWrithing回数を計測した。 その結果を図2に示す。対照群(Olive+Saline)のWrithing回数に対し、ビタミンB2単独群(Olive+VB2)では低下する傾向を示し、ビタミンB2による鎮痛作用が確認された。このビタミンB2単独群(Olive+VB2)と比べ、セサミン類とビタミンB2の組合せ群(Sesamin50mg+VB2,Swsamin100mg+VB2)では、セサミン類100mg/kg、50mg/kgのいずれにおいてもWrithing回数が減少した。セサミン類と組み合わせることでビタミンB2の鎮痛作用が増強されることが明らかとなった。 実施例2.リボフラビン(ビタミンB2)とセサミン類による鎮痛作用(2) 実施例1の再現性を確認した。Wistar系雄性ラット(5週齢)を日本クレア社より購入し、1週間試験環境で馴化させた後、順調な発育を示した動物を試験に供した。酢酸Writhing試験3日前にラットを各群10〜18匹からなる3群に分け、そのうち2群(1群、2群)にはオリブ油を5ml/kgで、残り2群(3群、4群)には実施例1と同じセサミン類を100mg/kgの用量でオリブ油に溶解し、ゾンデを用いて経口投与し、実施例1と同様に合計4回投与を行った。試験当日に、前日夜から一晩絶食させたラットに、4群のうち2群(1群、3群)には生理食塩水を5ml/kgで、残り2群(2群、4群)にはビタミンB2(リン酸リボフラビンナトリウム;ナカライテスク社)をリボフラビン当量として30mg/kgの用量となるよう生理食塩水に溶解して経口投与し、試験例1に準じWrithing回数を計測した。 その結果を図3に示す。対照群(Olive+Saline)のWrithing回数に対し、ビタミンB2単独群(Olive+VB2)では減少傾向(抑制率10.5%)が見られたが、セサミン類単独群(Sesamin+Saline)については試験例1と同様に鎮痛作用は確認されなかった。しかし、ビタミンB2とセサミン類との組合せ群(Sesamin+VB2)では大きく減少(抑制率26.6%)しており、ビタミンB2とセサミン類とによる相乗的な鎮痛効果が確認できた(Tukey多重比較検定の結果、ビタミンB2とセサミン類との組合せ群と対照群との間でp<0.05、セサミン類単独群との間でp<0.01であった)。 実施例3.リボフラビンとセサミン類による抗疲労作用(1) 被験物質となるリボフラビンおよびセサミン類は、いずれも実施例1と同様のもの、すなわち、セサミン/エピセサミン混合物(セサミン:エピセサミン(重量比)=5:5)およびリボフラビン(リン酸リボフラビンナトリウム;ナカライテスク社)を用いた。 水浸断眠試験により、疲労に対する効果を評価した。評価は、Tanakaらの方法(Neurosience, Let.352, 159−162, 2003)を一部改変した方法で実施した。すなわち、被検動物として8週齢の雄性Balb/cマウスを用い、平均体重が均等になるように1群9匹で表1のようにマウスを7群に群分けした。表1におけるリボフラビンの値は、用いたリン酸リボフラビンナトリウムをリボフラビンとして換算した値を示している。そのうち、6群は水浸断眠ストレス群として、床敷(ペーパーチップ)のかわりに水温23℃の水道水を水深7mmになるように飼育ケージに入れて飼育することにより、マウスを水浸断眠させた。2日間の水浸断眠中にそれぞれの被検サンプルを1日1回、2日間強制経口投与した。被検サンプルのうち、セサミン類はオリーブオイルに、リボフラビンは蒸留水にそれぞれ溶解した。投与順序はリボフラビンは、セサミン類の順とし、対照として蒸留水、オリーブオイルを強制経口投与した。 水浸飼育2日後、マウスの尾に体重の8%相当の重りをつけて遊泳させ、10秒以上水没するまでの時間を測定した。水浸飼育群(水浸断眠ストレス群)のマウスが通常飼育群のマウスよりも遊泳時間が短縮するが、被検サンプル投与群マウスによって、遊泳時間の短縮をどれだけ抑制できるかにより、疲労に対する効果を判定した。 結果を図4に示す。図より明らかなとおり、水浸飼育対照群の遊泳時間は、通常飼育対照群にくらべて短縮した。一方、セサミンやリボフラビンを投与した群は、それぞれ遊泳時間の短縮が抑制されたが、それらを同時に投与することで相乗的にその効果が増強された。 実施例4.リボフラビンとセサミン類とによる抗疲労作用(2) 表2のように6群にマウスを群分けしたこと以外は、実施例3と同様にして、リボフラビンとセサミン類による抗疲労作用を測定した。表2におけるリボフラビンの値は、用いたリン酸リボフラビンナトリウムをリボフラビンとして換算した値を示している。 結果を図5に示す。図より明らかなとおり、セサミンとリボフラビンにおける相乗効果は、セサミンが50mg/kg、リボフラビンが10mg/kgの場合は、発揮されなかった。相乗効果を期待する場合には、リボフラビンとして換算したリボフラビンの総量を1として、セサミン類の総量が重量比で5.0より小さい必要があることが示唆された。 実施例5.製剤例 (製剤例1)顆粒剤 セサミン 0.01g ビタミンB2 0.01g 酢酸トコフェロール 0.25g 無水ケイ酸 20.5g トウモロコシデンプン 179.0g 以上の粉体を均一に混合した後に10%ハイドロキシプロピルセルロース・エタノール溶液100mlを加え、常法通り練和し、押し出し、乾燥して顆粒剤を得た。 (製剤例2)カプセル剤 ゼラチン 60.0% グリセリン 30.0% パラオキシ安息香酸メチル 0.15% パラオキシ安息香酸プロピル 0.51% 水 適量 上記成分からなるソフトカプセル剤皮の中に、以下に示す組成物を常法により充填し、1粒200mgのソフトカプセルを得た。 セサミン 10.0mg ビタミンB2 1.0mg グリセリン脂肪酸エステル 15.0mg ミツロウ 15.0mg 小麦胚芽油 250mg (製剤例3)錠剤 セサミン 0.01g ビタミンB2 0.1g デンプン 282g ショ糖脂肪酸エステル 9.0g 酸化ケイ素 9.0g これらを混合し、単発式打錠機にて打錠して経9mm、重量300mgの錠剤を製造した。 (製剤例4)ドリンク剤 呈味: DL−酒石酸ナトリウム 0.1g コハク酸 0.009g 甘味: 液糖 800g 酸味: クエン酸 12g ビタミン:ビタミンC 10g セサミン 1g ビタミンB2 3g ビタミンE 3g シクロデキストリン 5g 香料 15ml 塩化カリウム 1g 硫酸マグネシウム 0.5g 上記成分を配合し、水を加えて10リットルとした。このドリンク剤は、1回あたり約100mlを飲用する。 (製剤例5)錠剤 ビタミンB2 0.1g デンプン 280g ヒドロピシプロピルセルロース 2.0g 無水ケイ素 10.0g これらを混合し、単発式打錠機にて打錠して経8mm、重量250mgの錠剤を製造した。 (製剤例6)ドリンク剤 果糖ブドウ糖液糖 1.1kg レモン果汁 40g クエン酸 5g ビタミンB2 0.2g カフェイン 5g シクロデキストリン 5g 香料 5g 上記成分を配合し、水を加えて10リットルとした。このドリンク剤は、1回あたり約100mlを飲用する。 本発明のリボフラビンとセサミン類とを含む組成物は、リボフラビンの持つ生理活性、例えば鎮痛作用や抗疲労作用がセサミン類の併用摂取により相乗的に発揮されるという効果を有するものであり、ヒトや動物等に対して安全で、したがって、本発明は、継続摂取が可能である。 リボフラビンとセサミン類とを含有し、リボフラビンの総量1に対して、セサミン類の総量の割合(重量比)が0.5以上4.5以下である、組成物。 セサミン類が、セサミン類を1重量%以上含有するセサミン類濃縮物である請求項1に記載の組成物。 セサミン類が、セサミンおよび/またはエピセサミンである請求項1または2に記載の組成物。 リボフラビンが、リン酸リボフラビンナトリウムまたは酪酸リボフラビンのいずれかである請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。 経口用である請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。 顆粒剤、カプセル剤、錠剤、又はドリンク剤である請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。 【課題】ヒトや動物等に対して安全で継続摂取が可能な鎮痛作用や抗疲労作用を有する組成物を提供する。【手段】リボフラビンの総量1に対して、セサミン類の総量の割合(重量比)が0.5以上4.5以下の割合(重量比)となるように、リボフラビンとセサミン類とを組み合わせる。【選択図】図4