タイトル: | 公開特許公報(A)_エチレンの製造方法 |
出願番号: | 2013201466 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C07C 1/24,C07C 11/04,B01J 37/08,B01J 29/18,C07B 61/00 |
島田 昌紀 竹本 香織 JP 2015067553 公開特許公報(A) 20150413 2013201466 20130927 エチレンの製造方法 積水化学工業株式会社 000002174 新樹グローバル・アイピー特許業務法人 110000202 島田 昌紀 竹本 香織 C07C 1/24 20060101AFI20150317BHJP C07C 11/04 20060101ALI20150317BHJP B01J 37/08 20060101ALI20150317BHJP B01J 29/18 20060101ALI20150317BHJP C07B 61/00 20060101ALN20150317BHJP JPC07C1/24C07C11/04B01J37/08B01J29/18 ZC07B61/00 300 7 OL 7 4G169 4H006 4H039 4G169AA02 4G169AA08 4G169AA09 4G169BA07A 4G169BA07B 4G169BA45A 4G169BB08C 4G169BB20C 4G169BD01A 4G169BD01C 4G169BD06C 4G169BD12C 4G169CB35 4G169CB63 4G169DA05 4G169FA01 4G169FB04 4G169FB27 4G169FB29 4G169FB31 4G169FC04 4G169ZA06A 4G169ZA06B 4G169ZC01 4G169ZC04 4G169ZD01 4H006AA02 4H006AC13 4H006BA09 4H006BA30 4H006BA33 4H006BA71 4H006BA81 4H006BA85 4H006DA15 4H006DA25 4H006DA30 4H006DA46 4H006DA50 4H039CA20 4H039CG10 本発明は、触媒を用いたエタノールの分子内脱水反応によるエチレンの製造方法に関する。 エチレンは様々な化学品原料を合成する為の出発物質として、有機化学工業において非常に重要な役割を担っている。 従来エチレンは、原油を蒸留分離して得られるナフサの酸触媒を用いた接触熱分解、石油随伴ガスやシェールガスから分離されるエタンの脱水素反応などにより製造されてきた。 他の方法としてはエタノールの分子内脱水素反応から製造することもでき、植物原料から製造されたエタノールを使用した場合は大気中の二酸化炭素を化学製品中に固定化することができ、カーボンストックという観点からも非常に重要な製造プロセスとなる。 エタノールからエチレンを製造する方法としては、アルミナやシリカアルミナなどの固体酸触媒を用い、350〜400℃の高温で反応させる方法が知られている(特許文献1)。また、より低温でも高活性かつ高選択率でエチレンを得る方法として、ゼオライトの一種であるプロトン型モルデナイトを用いた方法も知られている(特許文献2)。特公平4−80015号公報特開2009−215243号公報 しかしながらプロトン型ゼオライトには、空気中の水分と自身の酸性により結晶中のアルミナが結晶骨格から脱離し、ゼオライトの酸点がブレンステッド酸からルイス酸に変化するという問題点があり、230℃以下のより低温においては十分な高活性を得ることができないという問題があった。 本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、230℃以下の低温においてもより高活性を示すエチレンの製造方法を提供することを目的とする。 本発明は、アンモニウム型ゼオライトを不活性ガス中での加熱により脱アンモニア処理した後、そのまま不活性ガス中で温度を下げて水素型ゼオライトとする工程と、この水素型ゼオライトを含む固体酸触媒による脱水反応により、エタノールを脱水してエチレンを製造する工程とを含む、エチレンの製造方法を提供する。 上記アンモニウム型ゼオライトは、アンモニウム塩水溶液、特に塩化アンモニウム水溶液を用いたナトリウム型ゼオライトのイオン交換処理により得られたアンモニウム型ゼオライトであることが好ましい。 上記アンモニウム型ゼオライトは、細孔径が酸素10員環以上であることが好ましい。 上記アンモニウム型ゼオライトは、細孔構造が1次元の直線状であることが好ましい。 上記アンモニウム型ゼオライトは、アンモニウム型モルデナイトであることが好ましい。 上記アンモニウム型ゼオライトのシリカ/アルミナ比は、5以上70未満であることが好ましい。 本発明によれば、230℃以下の低温においても、従来の固体酸触媒を使用したエタノールからのエチレンの製造方法と比較して、より高収率でエチレンを得ることが可能となる。 [エチレンの製造方法] 本発明のエチレンの製造方法では、エタノールを、固体酸触媒による脱水反応を利用して脱水する。 本発明のエチレンの製造方法では、その反応形式は特に限定されず、任意の反応形式で行うことができる。例えば固定床式(例えば、固定床気相流通式、固定床液相流通式)、流動床式(例えば、流動床気相流通式、流動床液相流通式)、移動床式(例えば移動床気相流通式、移動床液相流通式)、懸濁床回分式、懸濁床連続式、攪拌槽式、気泡塔式等が実現し得る設備として挙げられる。なかでも、固定床気相流通式、流動床気相流通式が適している。 <エタノール> この方法で用いるエタノールは、従来公知の任意の方法により製造したもののいずれをも用いることができる。例えば、サトウキビや甜菜などから得られる糖質原料や、トウモロコシや芋類から得られるデンプン質原料、木材や植物などから得られるセルロースなどの多糖類原料を糖化、発酵させて得られるものなどを用いることができる。エタノールの純度は特に限定されないが、エタノールの水との共沸濃度が96%であるため、効率的にエタノールを製造するという観点からは96wt%以下、さらに効率的にエチレンを得るという観点からは70wt%以上ものが挙げられる。 原料として用いるエタノールは、気体又は液体のいずれでもよい。気体で用いる場合、あらかじめ気化器により気化させて用いることが好ましく、希釈せずに用いてもよいし、不活性ガスにより希釈して用いてもよい。希釈に用いる不活性ガスとしては、特に限定されないが、窒素、ヘリウム、アルゴン、等が挙げられ、経済的に製造するという観点から窒素がより好ましい。 エタノールの脱水反応は、常圧下で行ってもよいし、加圧下で行ってもよい。例えば、0.1〜5MPa程度が挙げられる。 エタノールの反応系への供給量又は供給速度は、例えば、触媒の容積、温度、圧力、エタノールの性状等によって適宜調整することができる。例えば、液体及び気体で供給する場合のいずれにおいても、0.1〜10g/時程度が挙げられる。 <固体酸触媒> 固体酸触媒としては、アンモニウム型ゼオライトを不活性ガス中での加熱処理後、そのまま不活性ガス中で温度を下げた水素型ゼオライトを含むものを用いる。アンモニウム型ゼオライトは、この加熱処理により、脱アンモニアされ水素型ゼオライトとなる。固体酸触媒中の上記水素型ゼオライトの含有量は、50〜100wt%が好ましく、80〜100wt%がさらに好ましい。 アンモニウム型ゼオライトの加熱処理(脱アンモニア処理)は不活性ガス中、600℃以下の温度で行うことが好ましい。好ましくは500℃程度(例えば350〜550℃)である。加熱時間は、十分な脱アンモニアを進めるためには長い方が好ましい。 上記加熱処理における不活性ガスとしては、特に限定されないが、窒素、ヘリウム、アルゴン、等が挙げられ、経済的に製造するという観点から窒素がより好ましい。 不活性ガスの流量は、十分な脱アンモニアを進めるためには多い方が好ましいが、流量が多い際には触媒の温度低下を防ぐため、予め不活性ガスを予熱しておくことが望ましい。 また、本反応で用いるアンモニウム型ゼオライトとしては、市販のナトリウム型ゼオライトをアンモニウム塩水溶液、例えば硝酸や硫酸、リン酸、酢酸、塩酸などのアンモニウム塩水溶液により従来公知の方法で処理したものを用いることができる。 イオン交換処理後の残留物の影響や取り扱いの容易さから考え、塩化アンモニウムが好ましい。 ゼオライトとしては、エタノール分子の大きさを考慮すると、酸素10員環以上の細孔径を持つ必要がある。また細孔内部、特に多次元に配向する細孔が交わる所にスーパーケージと呼ばれる反応ガスが滞留できる構造が存在する場合、反応目的物から更に反応が進んでしまう過反応が起こりやすくなるため、細孔構造としては直線状の1次元配向であることが好ましい。このような酸素10員環の1次元細孔をもつゼオライトの結晶構造としては、AEL、EUO、FER、HEU、MEL、MFI、MRE、*MTT、NES、STF、TON、WEI、などが挙げられ、12員環の1次元細孔をもつゼオライトの結晶構造としては、国際ゼオライト学会が定めたアルファベット3文字の構造コードで表すと、AFI、ATO、ATS、CFI、GME、GON、IFR、LTL、MOR、MTW、OFF、SFE、SFH、SFN、SSF、SSY、*STOなどがあり、その中でも入手の容易さからMOR構造を持つモルデナイトが好ましい。 ゼオライトの酸点は骨格中に存在するアルミ部分に発現するため、酸量はシリカアルミナ比として表わすことができる。好ましいゼオライトのシリカアルミナ比としては5以上70未満が挙げられる。シリカアルミナ比が大きくなると酸量が少なくなるため収率が落ちることがあり、シリカアルミナ比が小さくなると酸強度が弱くなるため収率が落ちることがある。より好ましいシリカアルミナ比としては10〜25が挙げられる。 触媒量は反応形式によって異なるが、例えば固定床気相流通式であれば、1分間に反応するエタノール100重量部に対して、10〜1000重量部程度使用することが適しており、さらに50〜500重量部程度用いることが好ましい。 反応に供する水素型ゼオライトは、アンモニウム型ゼオライトを不活性ガス中で加熱処理後、そのまま不活性ガス中で反応温度まで温度を下げた水素型ゼオライトであってもよい。また、アンモニウム型ゼオライトを不活性ガス中で加熱処理後、そのまま不活性ガス中で温度を下げ、例えば常温(20〜30℃程度)で保存しておいた水素型ゼオライトであってもよい。 また、反応温度は副生成物の発生を抑えるため、160℃以上300℃未満が好ましい。本発明の製造方法では、反応温度が230℃以下の低温においても高活性を示すことができる。 反応時間は、固定床式気相流通式であれば触媒との接触時間で0.1〜3秒程度が適しており、好ましくは0.5〜2秒程度である。 反応によって得られたエチレンは、当該分野で公知の方法により回収することができ、さらに精製してもよい。例えば冷却による副生成物の液化分離のような方法などが例示される。 また、回収及び精製することなく、そのまま重合に付してもよい。 以下に本発明のエチレンの製造方法の実施例を説明する。 エタノールの脱水反応は、流通式触媒反応装置を用い、触媒は石英製の直管(内径10mm)に充填したものを用いた。 反応ガスおよび反応液は、ガスクロマトグラフ(島津製作所製、商品名GC−2010)、キャピラリーカラム(Agilent J&W社製、商品名DB−1、30m×0.25m(内径)、膜厚1.0μm)、水素炎イオン化検出器(FID)を用いて定量した。 エタノール転化率及びエチレン選択率を下式で算出した。 ・エタノール転化率(%) =[{供給エタノール量(mol)}−{検出エタノール量(mol)}]/{供給エタノール量(mol)}×100 ・エチレン選択率(%) =エチレン量(mol)/{各生成物量(mol)×炭素数/2}×100 ここで、{各生成物量(mol)×炭素数/2}とは、各生成物において得られる値の和であり、[Σ{各生成物量(mol)×炭素数/2}]と表すこともできる。炭素数は、各生成物分子に含まれている炭素原子の数である。 実施例 シリカ/アルミナ比18のナトリウム型モルデナイト1.5gを室温で3.4mol/Lの塩化アンモニウム水溶液7.5mL中で2時間攪拌した後、純水で2回洗浄を行い、120℃で16時間乾燥させた。以上の操作を計3回行うことにより、ナトリウム型モルデナイトをアンモニウム型へ変換した。調製したアンモニウム型モルデナイト0.6gを内径10mmの石英製反応管に充填し、窒素雰囲気下500℃で2時間加熱処理した。その後窒素を流したまま反応温度180℃まで温度を下げ、気化させたエタノールを流量1.0g/時及び窒素流量2200mL/時で触媒層に通し、圧力0.1MPa、反応温度180℃の条件下にて反応させた。 反応生成物をガスクロマトグラフで分析したところ、反応経過1時間後において、エタノール転化率42.0%、エチレン選択率99.7%であった。 比較例 シリカ/アルミナ比18の水素型モルデナイト0.6gを内径10mmの石英管に充填し、窒素中180℃で45分間処理した。その後は実施例と同様にして反応を行った。反応生成物をガスクロマトグラフで分析したところ、反応経過時間1時間後において、エタノール転化率12.0%、エチレン選択率98.6%であった。 本発明によれば、230℃以下の低温においてもより高活性を示すエチレンの製造方法を提供することができる。アンモニウム型ゼオライトを不活性ガス中での加熱により脱アンモニア処理した後、そのまま不活性ガス中で温度を下げて水素型ゼオライトとする工程と、 該水素型ゼオライトを含む固体酸触媒による触媒反応により、エタノールを脱水してエチレンを製造する工程とを含む、エチレンの製造方法。 前記アンモニウム型ゼオライトがアンモニウム塩水溶液を用いたナトリウム型ゼオライトのイオン交換処理により得られたアンモニウム型ゼオライトである請求項1に記載のエチレンの製造方法。 前記アンモニウム塩水溶液が塩化アンモニウム水溶液である請求項2に記載のエチレンの製造方法。 前記アンモニウム型ゼオライトの細孔径が酸素10員環以上である請求項1から3の何れか1項に記載のエチレンの製造方法。 前記アンモニウム型ゼオライトの細孔構造が1次元の直線状である請求項1から4の何れか1項に記載のエチレンの製造方法。 前記アンモニウム型ゼオライトがアンモニウム型モルデナイトである請求項1から3の何れか1項に記載のエチレンの製造方法。 前記アンモニウム型ゼオライトのシリカ/アルミナ比が5以上70未満である請求項1から6の何れか1項に記載のエチレンの製造方法。 【課題】230℃以下の低温においてもより高活性を示すエチレンの製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】アンモニウム型ゼオライトを不活性ガス中での加熱により脱アンモニア処理した後、そのまま不活性ガス中で温度を下げて水素型ゼオライトとする工程と、上記水素型ゼオライトを含む固体酸触媒による触媒反応により、エタノールを脱水してエチレンを製造する工程とを含む、エチレンの製造方法を提供する。上記アンモニウム型ゼオライトは、アンモニウム塩水溶液を用いたナトリウム型ゼオライトのイオン交換処理により得られたアンモニウム型ゼオライトであることが好ましい。【選択図】なし