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タイトル:公開特許公報(A)_トリアセトンアミン含有反応混合物の製造法及び後処理法
出願番号:2013186512
年次:2014
IPC分類:C07D 211/74,B01J 27/25,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

ヨヘン ニーマイアー マンフレート ノイマン フォルカー ブレーメ ミルコ ミヒェル クリストフ シュヴァーツ JP 2014051493 公開特許公報(A) 20140320 2013186512 20130909 トリアセトンアミン含有反応混合物の製造法及び後処理法 エボニック インダストリーズ アクチエンゲゼルシャフト 512266187 Evonik Industries AG アインゼル・フェリックス=ラインハルト 100114890 久野 琢也 100099483 ヨヘン ニーマイアー マンフレート ノイマン フォルカー ブレーメ ミルコ ミヒェル クリストフ シュヴァーツ DE 10 2012 215 900.2 20120907 C07D 211/74 20060101AFI20140221BHJP B01J 27/25 20060101ALI20140221BHJP C07B 61/00 20060101ALN20140221BHJP JPC07D211/74B01J27/25 ZC07B61/00 300 14 OL 39 4C054 4G169 4H039 4C054AA02 4C054BB03 4C054CC01 4C054DD04 4C054EE01 4C054FF23 4G169AA02 4G169BA43A 4G169BA44A 4G169BB12A 4G169BB12B 4G169BB20A 4G169BB20B 4G169BD01A 4G169BD01B 4G169BD06A 4G169BD06B 4G169BD07A 4G169BD12A 4G169CB25 4G169CB67 4G169CB77 4G169FC08 4H039CA42 本発明は、触媒の存在下でのアセトンとアンモニアの反応、及び該反応に続く得られた反応混合物の後処理を包含する、トリアセトンアミンの製造法に関する。 トリアセトンアミン(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノン;TAA)は、重要な化学中間体であり、これは多数の一連の生成物の合成のために用いられる。ここで、重要な一連の生成物は、例えば光安定剤(ヒンダードアミン系光安定剤[HALS])、酸化剤及び重合調節剤(例えばニトロキシルラジカル)である。 アセトンとアンモニアからのトリアセトンアミンの製造は、種々の方法の形で文書に記録されている。その際、これらの製造法は、まず大まかに、例えばDE2429937、US4536581、JP54088275に又はZeitschrift fuer Naturforschung 1976,328−337及び338−345に記載される、原料からのTAAの直接(単段)合成、並びに、例えばDE2429935又はDE2429936に記載される、アセトニン(2,2,4,4,6−ペンタメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリミジン)を介した、又は、例えばDE2352127に記載される、ホロン(2,6−ジメチル−2,5−ヘプタジエン−4−オン)を介した間接(2段階)合成に区分される。アセトニンを介した2段階のTAA合成の場合、まずアセトンとアンモニアから出発してアセトニンが形成され、そして次いで引き続く工程においてアンモニア当量の脱離下で反応してさらにTAAになり得る。しかしながら、アセトニンを介した合成法の場合、常に両方の種類(TAA及びアセトニン)が同時に形成されるが、ただし、アセトニン形成はTAA形成と比べて反応速度論的に大いに有利である。"単段"TAA合成においては、発生するアセトニンは単に単離されない。 先行技術においては、アセトン若しくはアセトン縮合生成物から出発するTAA合成について語られる。これは、アセトンとアンモニアの反応に際してまず非環式付加生成物及び縮合生成物(例えばジアセトンアルコール[4−ヒドロキシ−4−メチルペンタン−2−オン]、ジアセトンアミン[4−アミノ−4−メチルペンタン−2−オン]、メシチルオキシド[4−メチルペンタ−3−エン−2−オン]、ホロン等)が形成されることによっている。これらの中間生成物は、反応してそれからさらにTAAになり、それゆえ反応の原料として直接、例えばプロセス内の再循環流の意味で用いられることもできる。 TAAの製造は、原則的に、均一系触媒を用いても(たいてい、アンモニウム塩による)、不均一系触媒を用いても(例えば酸性イオン交換体上で)可能である。 先行技術からのたいていの文献は、均一系触媒を用いた反応に関する。その際、最も頻繁に挙げられるのは、塩化カルシウム(例えばChemical Industries 2003,89,559−564;Zeitschrift fuer Naturforschung 1976,328−337及び338−345)、塩化アンモニウム(例えばJP2003−206277;JP2001−031651;JP04154762)及びヒドラジン誘導体(例えばJP54088275;JP54112873A)である。ただし、これらの触媒が用いられる場合、問題が生じる。そのため、例えば塩化カルシウムの使用は反応が非常に緩慢であるという欠点を有する。塩化アンモニウムの場合、反応速度はより高いが、ただし、用いられる塩化物は、鋼材に対して高い腐食性を示す。それに対して、ヒドラジン誘導体は非常に高い毒性を示す。 該製造は、バッチ法(上記文献を参照されたい)でも、連続法(例えばJP02204480;JP02145571)でも記載されている。 一般的に、TAAは、アセトンが大過剰で存在し、かつ反応相手としても、溶媒としても使われるマトリックス中で製造される。それゆえ、反応の終わりに、TAAのほかに、大きな割合のアセトン、並びに反応しなかったアンモニア、縮合によって形成された水、及び均一系触媒法の場合には触媒を含む粗生成物が生じる。そのうえまた、更なる副成分、例えば非環式縮合生成物(例えばジアセトンアルコール、ジアセトンアミン、メシチルオキシド、ホロン等)、環式縮合生成物(例えばアセトニン、TMDH−ピリジン[2,2,4,6−テトラメチル−2,3−ジヒドロピリジン])又はより高分子の縮合生成物("高沸点物")が含まれている。 上述の混合物から純粋なTAAを単離するための最も慣用的な方法は、殊に蒸留による後処理及び晶析である。 蒸留による後処理は、バッチ法(例えばJP2003−206277;JP2001−031651;JP04154763;DE2429937)でも、連続法(例えばJP2003−160561)でも実施することができる。例えばアンモニウム塩の使用下で実施される均一系触媒を用いた方法の場合、酸触媒を蒸留前に塩基の添加によって失活させなければならないことが公知であり、それというのも、さもなければ蒸留に際して生成物の分解が起きるからである(例えばJP04154763)。 晶析の場合、通例、非極性溶媒(例えば炭化水素)中に溶解したTAAの濃縮溶液への水の添加、TAA水和物の沈殿、場合により更なる溶媒による該水和物の洗浄が行われる。この処理工程は、たいていの場合、低沸点物の事前の蒸留分離と組み合わせて行われ、したがって精留に取って代わるものにすぎない(例えばJP04154763)。 先行技術に記載される、均一系触媒を用いたTAAの製造法は、主として、触媒の反応、失活並びにバッチ蒸留による引き続くTAAの単離について詳しく述べている(例えばJP2001−031651、JP04154763、US4536581、JP05140104)。これらの記載された方法は、工業的な製造にはあまり適しておらず、それというのも、該方法は実施に際して問題があるか又は後処理に際して問題が生じるからである。 そのため、触媒として無機塩を使用した合成では、腐食問題を回避するために、特殊かつ費用の掛かる鋼材がプラント組み立て用に使用されなければならなくなる。このことは特に、たくさんの鋼材及びステンレス鋼材の使用を許容しないハロゲン化物含有触媒が使用される場合(例えば、先行技術において最も頻繁に挙げられる触媒、塩化アンモニウム及び塩化カルシウムの場合)に当てはまる。 そのうえまた、均一に溶解した無機触媒の場合は常に、これらの無機触媒が粗生成物の蒸留による後処理に際して蒸留缶出液(Destillationssumpf)中に集積するという問題が生じる。この集積は、殊に工業的な製造に鑑みて技術的な問題を生み、それというのも、蒸留釜内で又は熱交換器上で堆積物が形成し得るからである。先行技術のいくつかの文献(例えばJP2001−031651、JP04154763、US4536581及びJP05140104)は、たしかに塩基の添加及び水相の引き続く分離を記載しているが、しかしながら、これは単に上記必須の触媒失活(例えば触媒としてNH4Clを使用した際のNaOHの添加及びNaCl、水及びアンモニアの形成)に役立てられているだけである。水相の分離後、失活させられた触媒の一部がさらに有機相中に存在し、それは蒸留に際して缶出液中に集積させられる。 失活させられた触媒の完全な除去は、たしかに技術的に可能ではあるが、しかしながら、抽出によって塩部分を除去するための公知の方法も同様にそれ自体問題があり、それというのも、該方法は大量の助剤の使用を要し、これは問題のある大量の廃水をもたらすからである。そのため、複数回にわたって粗生成物へ塩基を逐次的に混合し(交流抽出;例えばSattler,Thermische Trennverfahren,3.Auflage,2001,Wiley−VCH Weinheim,pp.542ff)、そのつど続けて相分離を行うことにより、たしかに完全な脱塩をもたらすが、しかしながら、大量の塩基を使用し、かつ固体の形で添加する必要がある。JP2003−206277は、向流抽出の代替的な手段(最後の抽出工程における新たな抽出剤の一度だけの添加及び先行する抽出工程への抽出物の返送)を記載している。JP2003−206277には、2段階の向流抽出が記載されているが、しかし、それはより多くの段数で行われることもできる。しかしながら、JP2003−206277に記載される方法も、上述の欠点を有する。そのため、十分な脱塩は、大量の塩基の使用によってのみ達成されるが、これは大量の廃棄流の形成をもたらす。 したがって、本発明の課題は、トリアセトンアミンを工業的に製造するための改善された方法を提供することである。その際、この方法は、上述の問題を取り除くべきである。それゆえに、殊に、発生する廃棄物質の量は低減されるべきである。連続的なプロセス操作においても効率良く用いることができる低コストかつ無毒の触媒の使用下で行われるべきである。最後に、この改善された方法は、トリアセトンアミンの単純かつ効率的な後処理も可能にすべきである。DE2429937US4536581JP54088275DE2429935DE2429936DE2352127JP2003−206277JP2001−031651JP04154762JP54112873AJP02204480JP02145571JP04154763JP2003−160561JP05140104Zeitschrift fuer Naturforschung 1976,328−337及び338−345Chemical Industries 2003,89,559−564;Zeitschrift fuer Naturforschung 1976,328−337及び338−345Sattler,Thermische Trennverfahren,3.Auflage,2001,Wiley−VCH Weinheim,pp.542ff ここで、意想外にも、上述の課題は、本発明に従った方法によって解決されることが見出された。 それに従って、本発明の第一の対象は、 1.次の反応工程: a)アセトン当量(ein Acetonaequivalent)を、触媒の存在下で、アンモニアから選択される第一の塩基と反応させ、その際、アセトンを含有する排出混合物(Austragsgemisch)を得る工程; b)工程a)からの排出混合物を、更なる塩基の添加によって失活させ、その際、アセトンを含有するトリアセトンアミン粗生成物を得る工程; c)工程b)からのトリアセトンアミン粗生成物からアセトンを除去し、それによって、アセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物を得る工程; d)工程c)からのアセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物を、助剤の添加によって抽出し、その際、抽出されたトリアセトンアミン粗生成物を得る工程を包含する、トリアセトンアミンの製造法である。 2.本発明の更なる実施形態においては、対象1に従った方法は、更なる工程e)において、工程d)からの抽出されたトリアセトンアミン粗生成物をトリアセトンアミンへと精製することを特徴としている。 本発明による方法は、工程a)において用いられ、かつ工程b)において失活させられた触媒が、工程e)における抽出されたトリアセトンアミン粗生成物の精製(これは、例えば蒸留によって行ってよい)前に除去されるという利点を有する。これは、蒸留缶出液中での失活させられた触媒の集積を妨げる。その際、本発明による方法は、失活させられた触媒分を検出限界値未満まで減らし、かつ、その際に先行技術と比較して明らかにより低い量の助剤を使用し、それによって、発生する廃棄流の量も低減することを可能にする。 3.本発明の更なる実施形態においては、対象1から2の1つ以上に従った方法は、アセトン当量が、アセトン、メシチルオキシド、ジアセトンアルコール、ホロン、ジアセトンアミン及びアセトニンから成る群からの1種以上の化合物であることを特徴としている。 4.本発明の更なる実施形態においては、対象1から3の1つ以上に従った方法は、アセトン当量がアセトンであることを特徴としている。 5.本発明の更なる実施形態においては、対象1から4の1つ以上に従った方法は、工程c)におけるトリアセトンアミン粗生成物からのアセトンの除去が蒸留により行われることを特徴としている。 6.本発明の更なる実施形態においては、対象1から5の1つ以上に従った方法は、工程b)における更なる塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩から成る群から選択されていることを特徴としている。 7.本発明の更なる実施形態においては、対象1から6の1つ以上に従った方法は、工程b)における更なる塩基として、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが用いられることを特徴としている。 8.本発明の更なる実施形態においては、対象1から7の1つ以上に従った方法は、工程b)における更なる塩基として、水酸化ナトリウムが用いられることを特徴としている。 9.本発明の更なる実施形態においては、対象1から8の1つ以上に従った方法は、工程b)における更なる塩基として、水酸化ナトリウムの水溶液が用いられることを特徴としている。 10.本発明の更なる実施形態においては、対象1から9の1つ以上に従った方法は、工程b)における更なる塩基として、NaOH40〜60%(質量%)を含む水酸化ナトリウムの水溶液が用いられることを特徴としている。 11.本発明の更なる実施形態においては、対象1から10の1つ以上に従った方法は、工程b)における更なる塩基として、NaOH45〜55%(質量%)を含む水酸化ナトリウムの水溶液が用いられることを特徴としている。 12.本発明の更なる実施形態においては、対象1から7の1つ以上に従った方法は、工程b)における更なる塩基として、水酸化カリウムが用いられることを特徴としている。 13.本発明の更なる実施形態においては、対象1から7及び12の1つ以上に従った方法は、工程b)における更なる塩基として、水酸化カリウムの水溶液が用いられることを特徴としている。 14.本発明の更なる実施形態においては、対象1から7及び12から13の1つ以上に従った方法は、工程b)における更なる塩基として、KOH40〜60%(質量%)を含む水酸化カリウムの水溶液が用いられることを特徴としている。 15.本発明の更なる実施形態においては、対象1から7及び10から14の1つ以上に従った方法は、工程b)における更なる塩基として、KOH45〜55%(質量%)を含む水酸化カリウムが用いられることを特徴としている。 16.本発明の更なる実施形態においては、対象1から15の1つ以上に従った方法は、工程b)で添加される更なる塩基の量が、工程a)で用いられる触媒の量を基準として1.0〜2.0モル当量の範囲にあることを特徴としている。 17.本発明の更なる実施形態においては、対象1から16の1つ以上に従った方法は、工程b)で添加される更なる塩基の量が、工程a)で用いられる触媒の量を基準として1.0〜1.4モル当量の範囲にあることを特徴としている。 18.本発明の更なる実施形態においては、対象1から17の1つ以上に従った方法は、工程b)で添加される更なる塩基の量が、工程a)で用いられる触媒の量を基準として1.2モル当量の範囲にあることを特徴としている。 19.本発明の更なる実施形態においては、対象1から18の1つ以上に従った方法は、工程d)における助剤として塩基が用いられることを特徴としている。 20.本発明の更なる実施形態においては、対象1から19の1つ以上に従った方法は、工程d)における助剤として、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩から成る群から選択される塩基が用いられることを特徴としている。 21.本発明の更なる実施形態においては、対象1から20の1つ以上に従った方法は、工程d)における助剤として、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから成る群から選択される塩基が用いられることを特徴としている。 22.本発明の更なる実施形態においては、対象1から21の1つ以上に従った方法は、工程d)における助剤として、塩基、すなわち、水酸化ナトリウムが用いられることを特徴としている。 23.本発明の更なる実施形態においては、対象1から22の1つ以上に従った方法は、工程d)における助剤として、塩基、すなわち、水酸化ナトリウムの水溶液が用いられることを特徴としている。 24.本発明の更なる実施形態においては、対象1から23の1つ以上に従った方法は、工程d)における助剤として、塩基、すなわち、NaOH40〜60%(質量%)を含む水酸化ナトリウムの水溶液が用いられることを特徴としている。 25.本発明の更なる実施形態においては、対象1から24の1つ以上に従った方法は、工程d)における助剤として、塩基、すなわち、NaOH45〜55%(質量%)を含む水酸化ナトリウムの水溶液が用いられることを特徴としている。 26.本発明の更なる実施形態においては、対象1から21の1つ以上に従った方法は、工程d)における助剤として、塩基、すなわち、水酸化カリウムが用いられることを特徴としている。 27.本発明の更なる実施形態においては、対象1から21及び26の1つ以上に従った方法は、工程d)における助剤として、塩基、すなわち、水酸化カリウムの水溶液が用いられることを特徴としている。 28.本発明の更なる実施形態においては、対象1から21及び26から27の1つ以上に従った方法は、工程d)における助剤として、塩基、すなわち、KOH40〜60%(質量%)を含む水酸化カリウムの水溶液が用いられることを特徴としている。 29.本発明の更なる実施形態においては、対象1から21及び26から28の1つ以上に従った方法は、工程d)における助剤として、NaOH45〜55%(質量%)を含む水酸化カリウムの水溶液が用いられることを特徴としている 30.本発明の更なる実施形態においては、対象1から29の1つ以上に従った方法は、工程d)で助剤として添加される塩基の量が、工程a)で用いられる触媒の量を基準として1.0〜6.0モル当量の範囲にあることを特徴としている。 31.本発明の更なる実施形態においては、対象1から30の1つ以上に従った方法は、工程d)で助剤として添加される塩基の量が、工程a)で用いられる触媒の量を基準として1.0〜4.0モル当量の範囲にあることを特徴としている。 32.本発明の更なる実施形態においては、対象1から31の1つ以上に従った方法は、工程d)で助剤として添加される塩基の量が、工程a)で用いられる触媒の量を基準として1.0〜2.0モル当量の範囲にあることを特徴としている。 33.本発明の更なる実施形態においては、対象1から32の1つ以上に従った方法は、工程d)で助剤として添加される塩基の量が、工程a)で用いられる触媒の量を基準として1.0〜1.4モル当量の範囲にあることを特徴としている。 34.本発明の更なる実施形態においては、対象1から33の1つ以上に従った方法は、工程d)で助剤として添加される塩基の量が、工程a)で用いられる触媒の量を基準として1.2モル当量の範囲にあることを特徴としている。 35.本発明の更なる実施形態においては、対象1から34の1つ以上に従った方法は、工程b)と工程c)との間で付加的に相分離が行われることを特徴としている。 36.本発明の更なる実施形態においては、対象1から35の1つ以上に従った方法は、工程b)と工程c)との間で付加的に相分離が行われ、かつ工程c)〜d)においてトリアセトンアミン粗生成物の有機相が使用されることを特徴としている。 37.本発明の更なる実施形態においては、対象1から36の1つ以上に従った方法は、工程a)で用いられるアセトン当量がアセトンであり、かつ反応に際して用いられるアセトン対アンモニアの工程a)でのモル比が3:1〜20:1であることを特徴としている。 38.本発明の更なる実施形態においては、対象1から37の1つ以上に従った方法は、工程a)で用いられるアセトン当量がアセトンであり、かつ反応に際して用いられるアセトン対アンモニアの工程a)でのモル比が6:1〜9:1であることを特徴としている。 39.本発明の更なる実施形態においては、対象1から38の1つ以上に従った方法は、工程a)における反応が、20〜80℃の範囲の温度で実施されることを特徴としている。 40.本発明の更なる実施形態においては、対象1から39の1つ以上に従った方法は、工程a)における反応が、40〜80℃の範囲の温度で実施されることを特徴としている。 41.本発明の更なる実施形態においては、対象1から40の1つ以上に従った方法は、工程a)における反応が、60〜70℃の範囲の温度で実施されることを特徴としている。 42.本発明の更なる実施形態においては、対象1から41の1つ以上に従った方法は、工程a)における反応が、1〜16バールの範囲の圧力で実施されることを特徴としている。 43.本発明の更なる実施形態においては、対象1から42の1つ以上に従った方法は、工程a)における反応が、1〜10バールの範囲の圧力で実施されることを特徴としている。 44.本発明の更なる実施形態においては、対象1から43の1つ以上に従った方法は、工程a)における反応が、1〜6バールの範囲の圧力で実施されることを特徴としている。 45.本発明の更なる実施形態においては、対象1から44の1つ以上に従った方法は、工程a)におけるアンモニアが、ガス状又は液体状で添加されることを特徴としている。 46.本発明の更なる実施形態においては、対象2から45の1つ以上に従った方法は、更なる工程e)において、工程d)からの抽出されたトリアセトンアミン粗生成物が蒸留によりトリアセトンアミンへと精製されることを特徴としている。 47.本発明の更なる実施形態においては、対象1から46の1つ以上に従った方法は、工程a)における触媒が、ブレンステッド酸、ブレンステッド酸のアンモニウム塩、ブレンステッド酸のホスホニウム塩及びルイス酸から成る群から選択されていることを特徴としている。 48.本発明の更なる実施形態においては、対象1から47の1つ以上に従った方法は、工程a)における触媒がブレンステッド酸であることを特徴としている。 49.本発明の更なる実施形態においては、対象1から48の1つ以上に従った方法は、工程a)における触媒が、塩酸、硫酸、硝酸、式RCOOHの有機酸、式RSO3Hのスルホン酸から選択されており、その際、Rが、飽和、不飽和、分枝状、非分枝状、環式、非環式脂肪族、芳香族、置換された及び非置換の炭化水素基から成る群から選択されていることを特徴としている。 50.本発明の更なる実施形態においては、対象1から47の1つ以上に従った方法は、工程a)における触媒が、ブレンステッド酸のホスホニウム塩であることを特徴としている。 51.本発明の更なる実施形態においては、対象1から47及び50の1つ以上に従った方法は、工程a)における触媒が、ブレンステッド酸のホスホニウム塩であり、その際、ブレンステッド酸が、塩酸、硫酸、硝酸、式RCOOHの有機酸、式RSO3Hのスルホン酸から選択されており、その際、Rが、飽和、不飽和、分枝状、非分枝状、環式、非環式脂肪族、芳香族、置換された及び非置換の炭化水素基から成る群から選択されていることを特徴としている。 52.本発明の更なる実施形態においては、対象1から47の1つ以上に従った方法は、工程a)における触媒が、ブレンステッド酸のアンモニウム塩であることを特徴としている。 53.本発明の更なる実施形態においては、対象1から47及び52の1つ以上に従った方法は、工程a)における触媒が、ブレンステッド酸のアンモニウム塩であり、その際、ブレンステッド酸が、塩酸、硫酸、硝酸、式RCOOHの有機酸、式RSO3Hのスルホン酸から選択されており、その際、Rが、飽和、不飽和、分枝状、非分枝状、環式、非環式脂肪族、芳香族、置換された及び非置換の炭化水素基から成る群から選択されていることを特徴としている。 54.本発明の更なる実施形態においては、対象1から47及び52から53の1つ以上に従った方法は、工程a)における触媒が、塩化アンモニウム又は硝酸アンモニウムであることを特徴としている。 55.本発明の更なる実施形態においては、対象1から47及び52から54の1つ以上に従った方法は、工程a)における触媒が硝酸アンモニウムであることを特徴としている。 56.本発明の更なる実施形態においては、対象1から47の1つ以上に従った方法は、工程a)における触媒がルイス酸であることを特徴としている。 57.本発明の更なる実施形態においては、対象1から47及び56の1つ以上に従った方法は、工程a)における触媒がルイス酸であり、その際、ルイス酸が、周期律表の第4族の元素の化合物、周期律表の第13族の元素の化合物、アルカリ金属の塩又はアルカリ土類金属の塩から選択されていることを特徴としている。 58.本発明の更なる実施形態においては、対象1から47及び56から57の1つ以上に従った方法は、工程a)における触媒がルイス酸であり、その際、ルイス酸が、周期律表の第4族及び第13族の元素のハロゲン化物、アルコキシド及びアルキル化合物から成る群から選択されていることを特徴としている。 59.本発明の更なる実施形態においては、対象1から47及び56から58の1つ以上に従った方法は、工程a)における触媒がルイス酸であり、その際、ルイス酸が、AlCL3、BF3、TiCl4、Al(OR)3、B(OR)3、Ti(OR)4及びAlR3から成る群から選択されており、その際、Rが、飽和、不飽和、分枝状、非分枝状、環式、非環式脂肪族、芳香族、置換された及び非置換の炭化水素基から成る群から選択されていることを特徴としている。 60.本発明の更なる実施形態においては、対象1から47及び56から57の1つ以上に従った方法は、工程a)における触媒がルイス酸であり、その際、ルイス酸が、アルカリ金属の塩及びアルカリ土類金属の塩から成る群から選択されていることを特徴としている。 61.本発明の更なる実施形態においては、対象1から47及び56から57及び60の1つ以上に従った方法は、工程a)における触媒がルイス酸であり、その際、ルイス酸が、CaCl2、MgCl2及びLiClから成る群から選択されていることを特徴としている。 62.本発明の更なる実施形態においては、対象1から61の1つ以上に従った方法は、アンモニア対触媒の工程a)でのモル比が1:0.8〜1:0.02であることを特徴としている。 63.本発明の更なる実施形態においては、対象1から62の1つ以上に従った方法は、アンモニア対触媒の工程a)でのモル比が1:0.2〜1:0.05であることを特徴としている。 64.本発明の更なる実施形態においては、対象1から63の1つ以上に従った方法は、工程d)において、助剤として塩基が用いられ、かつ工程d)で用いられる塩基及び工程b)で用いられる塩基が化学的に同じであることを特徴としている。 65.本発明の更なる実施形態においては、対象1から64の1つ以上に従った方法は、工程a)における溶媒が、脂肪族溶媒、有利にはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、テトラメチルシラン;芳香族溶媒、有利にはベンゼン、トルエン、キシレン;エーテル化合物、有利にはジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル;ハロゲン化溶媒、有利にはジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン;アルコール、有利にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール;エステル、有利には酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル;アセトンから成る群から選択されていることを特徴としている。 66.本発明の更なる実施形態においては、対象1から65の1つ以上に従った方法は、工程a)における溶媒がアセトンであることを特徴としている。 67.本発明の更なる実施形態においては、対象1から66の1つ以上に従った方法は、工程d)における抽出が20〜80℃の温度で行われることを特徴としている。 68.本発明の更なる実施形態においては、対象1から67の1つ以上に従った方法は、工程d)における抽出が、少なくとも20℃、有利には20〜99℃、特に有利には45〜90℃、極めて有利には45〜80℃の温度で、最も有利には45〜65℃の温度で、理想的には60℃の温度で行われることを特徴としている。 69.本発明の更なる実施形態においては、対象1から68の1つ以上に従った方法は、工程c)で得られた、アセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物が、40%(質量%)未満、殊に20%(質量%)未満、有利には15%(質量%)未満、特に有利には10%(質量%)未満、極めて有利には2.5%(質量%)未満、最も有利には1.5%(質量%)未満、理想的には1%(質量%)未満のアセトン含有率を有することを特徴としている。 70.本発明の更なる実施形態においては、対象1から69の1つ以上に従った方法は、工程d)におけるアセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物の抽出が交流抽出として実施されることを特徴としている。 71.本発明の更なる実施形態においては、対象1から70の1つ以上に従った方法は、工程d)におけるアセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物の抽出が向流抽出として実施されることを特徴としている。 本発明の詳細な説明 本発明による方法は、トリアセトンアミンの製造に適しているが、しかし、抽出されたトリアセトンアミン粗生成物の製造にも適している。本発明による方法の第一の工程[工程a)]では、アセトンが、触媒の存在下で、アンモニアから選択される第一の塩基と反応させられ、その際、アセトンを含有する排出混合物が得られる。反応は、連続的に又はバッチ運転で実施されることができる。バッチ運転の場合には、有利には全ての原料が合一され、次いで反応混合物が加熱される。その際、反応器として、通常用いられる全ての反応器型、例えば撹拌型反応器、ループ型反応器又は内部熱交換器を備えた反応器が考慮に入れられる。 反応は、反応を妨げないすべての溶媒中で行われることができる。殊に可能な溶媒は、脂肪族溶媒、有利にはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、テトラメチルシラン;芳香族溶媒、有利にはベンゼン、トルエン、キシレン;エーテル化合物、有利にはジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル;ハロゲン化溶媒、有利にはジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン;アルコール、有利にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール;エステル、有利には酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル;アセトンである。 特に有利には、反応はアセトン自体で行われる。 連続的な運転では、有利には全ての化学物質が同時に反応温度で計量供給される。連続的な反応の場合、当業者に公知の任意の反応器、例えば連続式流管、連続式撹拌槽、撹拌槽カスケード、並びにこれらの個々のエレメントからの可能な組合せ物が用いられることができる。その際、有利には、内部又は外部循環路を備えた1種以上の反応器の組合せ物と、続けて流管特性を有する後続反応器が用いられる。 バッチ運転における反応時間は、1〜15時間の範囲に、有利には3〜9時間の範囲に、特に有利には5〜7時間の範囲にある。連続的なプロセス操作における反応時間は、反応器中の反応体の全滞留時間によって生じ、それはバッチ運転で挙げた範囲にある。 反応は、好ましくは、高められた温度で、殊に20〜80℃の範囲の温度で、有利には40〜80℃の範囲の温度で、特に有利には60〜70℃の範囲の温度で実施される。 反応は、成分の自生圧又は高められた圧力で実施されることができる。そのため反応は、1〜16バールの範囲で、有利には1〜10バールの範囲で、特に有利には1〜6バールの範囲で実施されることができる。 反応に際しては、アセトン当量が直接アンモニアと反応させられる。本発明の意味における"アセトン当量"との用語は、その際、アセトン自体及びアセトン自体同士の付加生成物若しくは縮合生成物(例えばメシチルオキシド、ジアセトンアルコール及びホロン)並びに/又はアセトンとアンモニアより成る付加生成物若しくは縮合生成物(例えばジアセトンアミン及びアセトニン)と解され、それらは同様に製造によりTAAへと転化させられることができる。殊に、本発明の意味における"アセトン当量"との用語は、メシチルオキシド、ジアセトンアルコール、ホロン、ジアセトンアミン、アセトニン及びアセトンから成る群からの1種以上の化合物を意味する。有利には、本発明の意味における"アセトン当量"との用語はアセトンを意味する。そのうえ、反応混合物中に不活性の又は製造によらない構成成分が存在していることも可能である。 アンモニアは、有利には純物質として、すなわち、ガスとして計量供給され、かつ反応の間にアセトン若しくは反応混合物中に溶解して存在する。 反応は、触媒の存在下で行われる。その際、先行技術の中でこれらの反応型のために記載される全ての触媒、例えばブレンステッド酸、これらの酸の塩又はルイス酸が適している。本発明の意味における"ブレンステッド酸"との用語は、殊に塩酸、硫酸、硝酸、有機酸(RCOOH)又はスルホン酸(RSO3H)を包含し、その際、Rは、飽和、不飽和、分枝状、非分枝状、環式、非環式脂肪族、芳香族、置換された及び非置換の炭化水素基から成る群から選択されている。本発明の意味における置換された炭化水素基とは、ヘテロ原子で置換されている炭化水素基、殊に、1つ以上の−OH、−NH、−CN、アルコキシ基及び/又はハロゲン基で置換されている、有利には1つ以上のハロゲン基で置換されている、特に有利にはF、Cl、Br及び/又はIから選択される1つ以上の基で置換されている、極めて有利にはF及び/又はClから選択される1つ以上の基で置換されている炭化水素基である。本発明の意味における"ブレンステッド酸の塩"とは、殊にアンモニウム塩(すなわち、アンモニア、アミン、ヒドラジン若しくはヒドロキシルアミンとの塩)又はホスホニウム塩(すなわち、ホスファンとの塩)である。本発明の意味におけるルイス酸とは、殊に周期律表の第4族若しくは第13族の化合物、有利にはハロゲン化物(AlCl3、BF3若しくはTiCl4)、アルコキシド[Al(OR)3、B(OR)3若しくはTi(OR)4]又はアルキル化合物(例えばAIR3、その際、Rは、飽和、不飽和、分枝状、非分枝状、環式、非環式脂肪族、芳香族、置換された及び非置換の炭化水素基から成る群から選択されている)である。 本発明の意味におけるルイス酸はまた、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の塩である(例えばCaCl2、MgCl2又はLiCl)。 好ましくは、触媒は、アンモニウム塩の群から、殊にアンモニアと強ブレンステッド酸[例えば、塩酸、硫酸、硝酸、有機酸(RCOOH)又はスルホン酸(RSO3H)を包含し、その際、Rは、飽和、不飽和、分枝状、非分枝状、環式、非環式脂肪族、芳香族、置換された及び非置換の炭化水素基から成る群から選択されている]より成る塩を包含する群から選択されている。 極めて有利には、触媒として硝酸アンモニウムが、工程a)における反応に際して用いられる。硝酸アンモニウムは、適切であり、無毒、ハロゲン化物不含、ひいては比較的腐食性でないという利点を有する。 原料の投入比は、幅広い範囲で選択されることができ、殊にアセトンはアンモニアに対して過剰量で用いられる。有利には、用いられるアセトン対アンモニアのモル比は3:1〜20:1であり、その際、6:1〜9:1の比が有利である。 反応に際して用いられる触媒は、有利には準化学量論量で用いられる。特に有利には、アンモニア対触媒、好ましくは硝酸アンモニウムのモル比は、1:0.8〜1:0.02の範囲にある。極めて有利には、アセトン:アンモニア:硝酸アンモニウムのモル比は、7〜8:0.9〜1.1:0.085〜0.098である。 方法の工程a)で行われる反応の結果として排出混合物が得られ、これは、通例、該排出混合物を基準として、TAA20〜30%(質量%)、アセトン50〜60%(質量%)、水5〜15%(質量%)、有機副成分10〜20%(質量%)及び触媒0.5〜3%(質量%)を含有し、その際、全成分の割合の合計は100%(質量%)になる。 本発明の意味における"排出混合物"との用語は、反応混合物を意味し、これは、本発明による方法の反応[工程a)]が行われた後に得られ、そして続く工程b)において塩基と反応させられる。 方法の工程a)で得られた排出混合物は、後続の工程b)において更なる塩基の添加によって失活させられ、その際、アセトンを含有するトリアセトンアミン粗生成物が得られる。その際、さらに用いられる塩基の量は、方法の工程a)で用いられる触媒の量を基準として少なくとも1モルの当量である。方法の工程a)で用いられる触媒の量を基準とした、さらに用いられる塩基の量は、有利には1.0〜2.0モル当量の範囲に、特に有利には1.0〜1.4モル当量の範囲にあり、かつ最も有利には1.2モル当量である。 工程b)での更なる塩基の添加は、触媒の失活を引き起こし、それによって、工程a)後に得られた排出混合物中に存在するトリアセトンアミンが更なる処理工程において分解することが阻止される。その際、工程b)での更なる塩基の添加は、本発明によれば、失活させられた触媒の有機相からの十分な除去をもたらすのではなく、単に触媒の失活を担うだけである。 ここで、本発明の意味における"失活"との用語は、工程a)で用いられる触媒の触媒活性が止められることを意味する。これは、塩基[M+B-、JP2003−206277;JP2001−031651;JP04154763;US4536581;G.Sosnovsky & M.Konieczny,Synthesis,1976,735−736;JP05140104;Plastic Additives 2006,5(59)、46;A.Formenti & P.Piccinelli,Chimica e l'lndustria,2000,82(5),569−571]によって行われる。この塩基は、工程a)からの相応する酸触媒、例えばアンモニウム塩(AH+X-)と反応して、相応する遊離アミン(A)、共役酸(HB)並びに不活性塩(M+X-)となる。例えばNaOH(M+B+)による塩化アンモニウム(AH+X-)の失活を考えると、アンモニア(A)、水(HB)及び塩化ナトリウム(M+X-)が発生する。 本発明の意味における"更なる塩基"とは、殊に、工程b)で添加される塩基が、アンモニアとは異なる塩基であることを意味する。有利には、工程b)で用いられる更なる塩基は、それがアンモニアより強い塩基であることを特徴とする。"アンモニアより強い塩基"とは、さらに用いられる塩基が、有利には少なくとも5%のアンモニア水溶液のアンモニアより低いpKB値を有するということである。 方法の工程b)における更なる塩基として、一般に、これらの前提条件を満たす、当業者によく知られた全ての塩基を用いてよい。特に有利には、更なる塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ金属炭酸塩から成る群から選択されることができる。これらは単独又は組み合わせて用いられることができる。これらは固体の形で用いてよく、それというのも、有機相は水を含有し、かつ固体塩基が反応水と水相を形成し得るからである。しかし、更なる塩基は、液体の形で用いてもよい。例えば、それらは水溶液として用いてよく、その際、塩基は、有利には40〜60%(質量%)、特に有利には45〜55%(質量%)の濃度で存在する。更なる実施形態においては、塩基は、水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH)、特に有利には水酸化ナトリウムである。 その際、KOH又はNaOH、有利にはNaOHは、固体の形で用いてよい。本発明の更なる好ましい実施形態においては、KOH又はNaOHは、液体の形で、例えば溶媒に溶かして、殊に水溶液として使用される。この実施形態は、連続的なプロセス操作にとって特に好ましい。その際、KOH又はNaOHの水溶液が使用され、その際、KOH又はNaOHの濃度は、有利には40〜60%(質量%)、特に有利には45〜55%(質量%)である。極めて有利には、その際、NaOHの水溶液が使用され、その際、NaOHの濃度は、有利には40〜60%(質量%)、特に有利には45〜55%(質量%)である。 工程a)後に得られた排出混合物と工程b)に従った更なる塩基との反応によって、次いで有機相及び水相を有する溶液("TAA粗生成物")が発生する。その際、有機相はトリアセトンアミンを含有する。水相は粗生成物中にとどめられていてよく、かつ後続の工程c)はこの水相の存在下で実施してよい。 ここで、本発明の意味における"トリアセトンアミン粗生成物"との用語は、工程b)において工程a)からの排出混合物に更なる塩基が混合された時に発生する溶液を示す。この溶液は、水相及び有機相を有する。 本発明の更なる好ましい実施形態においては、この水相を、続く工程c)の実施前に分離し、かつ更なる処理においては有機相("TAA粗生成物の有機相")のみを使用してよい。意想外にも、工程b)に続く水相の分離及び該相分離によって得られたTAA粗生成物の有機相の本発明の方法に従った続く工程c)〜d)における更なる処理にて、TAAの安定性が高められることを突き止めた。付加的に、これは方法の効率が高まることに寄与する。殊にこれは、工程b)において、触媒の失活に必要とされる量より多い量の塩基、すなわち、工程a)で用いられる触媒の量を基準として1モルより多い当量の塩基が使用された場合に好都合である。 この実施形態[この場合、工程b)での更なる塩基の添加後に初めて相分離が行われ、かつ続く工程c)では、TAA粗生成物の得られた有機相のみが使用される]においては、本発明の意味における工程c)での"トリアセトンアミン粗生成物"との用語は、工程b)で得られたトリアセトンアミン粗生成物の有機相と解される。 方法の工程c)において、工程b)からのトリアセトンアミン粗生成物からアセトンの除去が行われ、それによって、アセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物が得られる。それによって、工程d)における抽出は、アセトン含有トリアセトンアミン粗生成物の段階ではなく、トリアセトンアミン粗生成物からのアセトンの除去後に初めて行われる。これと関連して、意想外にも、工程d)における抽出は、アセトンの除去後に明らかに効率良く行われることが見出された。 その際、本発明の意味における"工程b)で得られたトリアセトンアミン粗生成物からのアセトンの除去"とは、トリアセトンアミン粗生成物若しくはトリアセトンアミン粗生成物の有機相からのアセトンの除去を意味し、その結果として生じるアセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物中には、40%(質量%)未満、殊に20%(質量%)未満、有利には15%(質量%)未満、特に有利には10%(質量%)未満、極めて有利には2.5%(質量%)未満、最も有利には1.5%(質量%)未満、理想的には1%(質量%)未満のアセトン含有率が存在する。更なる実施形態においては、アセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物中のアセトン含有率は、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%(%値は、質量%を示す)であり、その際、アセトン含有率は、それが小さければ小さいほど有利である。 トリアセトンアミン粗生成物からのアセトンの除去は、殊に蒸留によって行ってよい。トリアセトンアミン粗生成物からのアセトンの蒸留による除去は、例えば蒸留において常圧で又は減圧下で実施されることができる。その際、当業者に公知の全ての装置、例えば撹拌反応器、流下膜式蒸発器又は薄膜式蒸発器が、そのつど適した蒸留塔又は蒸留に適した他の装置と組み合わせて使用されることができる。蒸留は、不連続的に又は連続的に行われることができ、その際、正確な蒸留条件及び滞留時間は、所望のアセトン含有率が缶出液中で達成され得るように選択されることができる。蒸留に際して使用される圧力は、殊に0.4〜2バールの範囲にある。 ここで、本発明の意味における"アセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物"との用語は、トリアセトンアミン粗生成物からのアセトンの除去が方法の工程c)で行われる場合に工程c)の実施後に発生する溶液を示す。 本発明による方法の固有の特徴は、該方法の工程d)にある。工程d)では、助剤の添加による工程c)からのアセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物の抽出が行われ、その際、抽出されたトリアセトンアミン粗生成物が得られる。"抽出されたトリアセトンアミン粗生成物"との用語は、本発明に意味において、工程d)で得られた、トリアセトンアミンを含有する有機相を示す。使用される助剤は、塩の水溶液であってよく、その際、該塩は、アルカリ金属水酸化物、有利にはNaOH、KOH;アルカリ土類金属水酸化物、有利にはCa(OH)2;アルカリ金属炭酸塩、有利にはNa2CO3、K2CO3;アルカリ土類金属炭酸塩;アルカリ金属ハロゲン化物、有利にはNaCl;アルカリ土類金属ハロゲン化物であってよい。特に有利には、助剤は塩基である。その際、この有利な実施形態において方法の工程d)で用いられる塩基は、極めて有利には、工程b)で用いられる塩基に相当する。"相当する"とは、本発明の意味においては、両工程b)及びd)において化学的に同一の塩基が用いられることを意味する。例えば、両工程b)及びd)において水酸化ナトリウムが用いられる。 本発明による方法形態によって、工程c)で得られるアセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物の段階で抽出が行われ、かつ工程b)で得られ、なおアセトンを含有しているトリアセトンアミン粗生成物の段階では行われない。 意想外にも、アセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物の抽出は、なおアセトンを大部分含有するトリアセトンアミン粗生成物の抽出より明らかに効率良く行われることがわかった。それによって、必要とされる助剤、有利には必要とされる塩基の量は、先行技術と比較して明らかに減少させられることができる。付加的にこれは、発生する水相の有機負荷の軽減を可能にする。更なる利点としてこれは、液体塩基、例えば水性NaOHの使用を、方法の工程d)において、はじめに挙げた利点とともに可能にする。方法の工程a)後に得られた排出混合物からのアセトンの直接的な除去は記載した通り可能ではなく、それというのも、例えば、有利にはアセトンの除去のために行われる活性触媒の存在下での蒸留が少なくとも部分的なトリアセトンアミンの分解をもたらし得るからである。ここで、意想外にも、それにも関わらずトリアセトンアミン粗生成物からのアセトン除去が、トリアセトンアミン粗生成物中で得られた触媒が塩基の添加によって失活させられる場合に可能であることが見出された。方法の工程b)で行われる触媒の失活後に、次いで方法の工程c)において、トリアセトンアミン粗生成物からの、有利には蒸留によるアセトンの除去を行ってよい。方法の工程b)と工程c)との間で相分離が行われ、かつトリアセトンアミン粗生成物の有機相のみが方法の工程c)で使用される本発明の上記実施形態の場合ですら、方法の工程c)後に、それから上記の通り、依然として塩を含みかつ水を含んでいる、アセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物が結果生じる。方法の工程d)においては、それから方法の工程c)後に得られた溶液が、更なる助剤、有利には更なる塩基の添加によって脱塩される。 ここで、本発明の意味における"脱塩"とは、工程b)における触媒の失活に際して生じる塩が、工程c)で得られた溶液から、殊に250ppm未満の値まで、有利には150ppm未満の値まで、特に有利には100ppm未満の値まで、極めて有利には50ppm未満の値まで、最も有利には25ppm未満の値まで、理想的には1ppm未満の値まで除去されることを意味する。 工程d)で添加される助剤、有利には添加される塩基の量は、方法の工程a)で用いられる触媒の量を基準として1.0〜6.0モル当量の範囲に、有利には1.0〜4.0モル当量の範囲に、特に有利には1.0〜2.0モル当量の範囲に、極めて有利には1.0〜1.4モル当量の範囲にある。最も有利には、助剤、殊に塩基は、方法の工程d)において、方法の工程a)で用いられる触媒の量を基準として1.2モル当量の量で用いられる。 助剤として工程d)で塩基が使用される場合、塩基として、当業者によく知られた任意の塩基が用いられることができる。殊に塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩から成る群から選択されることができる。これらは単独又は組み合わせて用いられることができる。これらは固体の形で用いてよい。それらは液体の形で用いてもよい。例えば、それらは水溶液として用いてよく、その際、塩基は、有利には40〜60%(質量%)、特に有利には45〜55%(質量%)の濃度で存在する。 塩基は、水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH)、特に有利には水酸化ナトリウムである。本発明の更なる好ましい実施形態においては、KOH又はNaOHは、液体の形で、例えば溶媒に溶かして、有利には水溶液として使用される。この実施形態は、連続的なプロセス操作にとって特に好ましい。その際、特に有利にはKOH又はNaOHの水溶液が使用され、その際、KOH又はNaOHの濃度は、40〜60%(質量%)、特に有利には45〜55%(質量%)である。極めて有利には、その際、NaOHの水溶液が使用され、その際、NaOHの濃度は、有利には40〜60%(質量%)、特に有利には45〜55%(質量%)である。 工程d)に従った抽出は、両方の相が液体である温度で、殊に少なくとも20℃の温度で、有利には20〜99℃で、特に有利には45〜90℃で、極めて有利には45〜80℃で、最も有利には45〜65℃で、理想的には60℃の温度で行われる。 抽出は基本的に種々の方法で行ってよく、例えば、抽出は不連続的な方法でも連続的な方法でも行ってよい。不連続的な抽出の場合、例えば、工程c)から得られた溶液と助剤、有利には塩基との混合を撹拌槽で、続けて相分離を同じ容器又は第二の容器で行ってよい。連続的な実施形態においては、抽出は、1つ以上のミキサ−セトラ容器又は1つ以上の抽出塔での相分離と一体となった、c)から得られた溶液と助剤、有利には塩基との混合によって行ってよい。 本発明による抽出法は、W.R.A.Vauck,H.A.Mueller,Grundoperationen chemischer Verfahrenstechnik,11.Auflage,pp.787−805に記載されており、ここで、向流抽出は、殊にpp.792−794に記載されており、そして交流抽出は、殊にpp.790−792に記載されている。 交流抽出は、その際、少なくとも1段階で、有利には少なくとも2段階で、特に有利には少なくとも3段階で、極めて有利には少なくとも4段階で実施してよい。ここで、交流抽出の場合、"段階"との用語は、抽出されるべき抽出物質で負荷された分散媒を、新たな抽出剤と分配平衡が生じるまで混合し、その上で沈殿させることによって分離することを意味する。 向流抽出は、その際、少なくとも1段の理論段数で、有利には少なくとも2段の理論段数で、特に有利には少なくとも3段の理論段数で、極めて有利には少なくとも4段の理論段数で実施してよい。向流抽出の場合、"理論段数"との用語は、抽料の移動をともなう2つの液相の混合及び分配平衡に達した後の分離を意味する。 方法の任意の工程e)は、工程c)からの抽出されたトリアセトンアミン粗生成物をトリアセトンアミンへと精製することを特徴としている。精製は、有利には蒸留により行われる。その際、蒸留はバッチ式又は連続式で行ってよい。特に有利なのは、複数の工程での、殊にメシチルオキシド/水の分離、それに続く中沸点物の分離及び最終的なTAA精留を包含する3つの工程での連続的な蒸留である。 更なる説明を抜きにしても、当業者であれば前述の記載内容を極めて広い範囲で利用することができると考えられる。それゆえ、有利な実施形態及び例は、単に説明のためのものに過ぎず、決して本開示内容を何からの形で制限するものではないと理解されるべきである。 以下では、本発明を、例を手がかりにして詳細に説明する。本発明の選択的な実施形態が同じく得られる。 例 1.一般規定 A)アセトンを触媒の存在下でアンモニアと反応させ、その際、排出混合物を得る工程 A1)バッチ法による排出混合物の製造−小規模 2Lの鋼製オートクレーブ内に、室温でアセトン(1000g、17.2モル)並びに硝酸アンモニウム(17.6g、0.220モル)を加える。アンモニア(40.0g、2.35モル)をガスとして計量供給し、65℃に加熱し、そして65℃で6時間撹拌する。室温に冷却後、オートクレーブ内の圧力を下げ、そして粗生成物(1050g)を排出させる。次の組成を有する均一な排出混合物が得られる(第1表): 第1表に記載した排出混合物は、例1〜10で引き続き使用したものである。 A2)バッチ法による排出混合物の製造−大規模 付加的に、排出混合物をより大きい規模で製造する。そのために、90Lの鋼製オートクレーブ内に、室温でアセトン(56.0kg、964モル)並びに硝酸アンモニウム(990g、12.4モル)を加える。アンモニア(2.24kg、132モル)をガスとして計量供給し、65℃に加熱し、そして65℃で6時間撹拌する。室温に冷却後、オートクレーブ内の圧力を下げ、そして粗生成物(59kg)を排出する。次の組成を有する均一な粗生成物が得られる(第2表): A3)連続的な方法に従った排出混合物の製造 連続的な方法のために、アセトン、アンモニア並びに硝酸アンモニウム溶液を連続的に計量供給することができる、加熱可能な連続撹拌槽を使用する。撹拌槽からの排出物を、別個に加熱可能な、流管特性を有する後続反応器(1.6L)に導く。反応の開始時に、撹拌槽に所望量の原料を充填し、かつ撹拌槽並びに後続反応器に所望の温度を調節する。原料の計量供給を開始し、そして後続反応器からの反応排出物を集める。その際、初期充填に際しての原料のモル比は、連続的な計量供給に際しての原料の比に相当する。アセトン:アンモニア=7.33:1及びアンモニア:硝酸アンモニウム=10.6:1の原料比を選択する。正確な反応パラメータ[反応器中での温度、滞留時間(VWZ)]に依存して、第3表に示した排出混合物[5つの試験i)〜v)を実施した]を得た。 B)A)からの排出混合物と更なる塩基とを反応させ、そしてトリアセトンアミン粗生成物を得る工程 A1)からの反応生成物[1000g、硝酸アンモニウム16.7g(0.208モル)、アセトン512g及びTAA250gを含有]に、NaOH(0.250モル;触媒を基準として1.20モル当量のNaOHに相当)の50%(質量%)水溶液20.0gを混ぜる。この混合物を、室温で15分間撹拌する。トリアセトンアミン250gを含有する二相のトリアセトンアミン粗生成物1018gを得る。これは、有機相1001g(硝酸ナトリウム12.6g、アセトン510g及びTAA249gを含有)並びに水相17.0g(硝酸ナトリウム4.9g及び水酸化ナトリウム1.7gを含有)から成る。 C)トリアセトンアミン粗生成物からアセトンを除去し、それによってアセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物を得る工程 C1)B)で得られたトリアセトンアミン粗生成物からのアセトンの除去 B)からの二相混合物を、常圧下で沸騰するまで加熱する。アセトンを蒸留塔(蒸気分流器及び還流冷却器を備えた30cmのガラス塔)により分離する(塔頂温度57〜62℃)。 C2)B)で得られたトリアセトンアミン粗生成物の有機相を使用する有利な実施形態におけるアセトンの除去 B)で得られたトリアセトンアミン粗生成物の有機相を分離する。次いで、これを常圧下で沸騰するまで加熱する。アセトンを蒸留塔(蒸気分流器及び還流冷却器を備えた30cmのガラス塔)により分離する(塔頂温度57〜62℃)。 D)工程C)からのアセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物を助剤の添加によって抽出し、そして抽出されたトリアセトンアミン粗生成物を得る工程 D1)交流抽出の実施に関する一般規定(2段階又は3段階で) 出発生成物は、アセトンが減少させられたC1)又はC2)からの粗生成物である。これは60℃でその2つの相に分離する(1つ目の抽出工程)。有機相に水酸化ナトリウムを混ぜ、この混合物を15分間撹拌し、そしてこの相を分離する(2つ目の抽出工程)。場合により、有機相に水酸化ナトリウムを新たに混ぜ、この混合物を15分間撹拌し、そしてこの相を分離する(3つ目の抽出工程)。 D2)向流抽出の実施に関する一般規定(3段階で) 出発生成物は、アセトンが減少させられたC1)又はC2)からの粗生成物である。これに60℃で2つ目の抽出工程からの水相を加え、この混合物を15分間撹拌し、そしてこの相を分離する(1つ目の抽出工程)。結果生じる有機相に、3つ目の抽出工程からの水相を加え、この混合物を15分間撹拌し、そしてこの相を分離する(2つ目の抽出工程)。結果生じる有機相に水酸化ナトリウムを加え、この混合物を15分間撹拌し、そしてこの相を分離する(3つ目の抽出工程)。 その際、後続の抽出工程からのそのつどの水相の添加は、先に実施した同じ試験から定常的に行う。この3段階の向流抽出[例G9)、G10)に記載]と同じく、2段階以上の向流抽出も実施することができる。 E)比較例:工程B)及びC)の事前の実施をともなわずに排出混合物からの粗生成物から塩を除去する工程 E1)工程B)及びC)の事前の実施をともなわない交流抽出の実施に関する一般規定 出発生成物は、A1)、A2)又はA3)からの排出混合物である。これに室温で水酸化ナトリウムを混ぜ、この混合物を15分間撹拌し、そしてこの相を分離する(1つ目の抽出工程)。有機相に水酸化ナトリウムを2回混ぜ、この混合物を15分間撹拌し、そしてこの相を分離する(2つ目の抽出工程)。場合により、有機相に水酸化ナトリウムを3回混ぜ、この混合物を15分間撹拌し、そしてこの相を分離する(3つ目の抽出工程)。 E2)向流抽出の実施に関する一般規定(3段階で) 出発生成物は、A1)、A2)又はA3)からの排出混合物である。これに室温で2つ目の抽出工程からの水相を加え、この混合物を15分間撹拌し、そしてこの相を分離する(1つ目の抽出工程)。結果生じる有機相に、3つ目の抽出工程からの水相を加え、この混合物を15分間撹拌し、そしてこの相を分離する(2つ目の抽出工程)。結果生じる有機相に水酸化ナトリウムを加え、この混合物を15分間撹拌し、そしてこの相を分離する(3つ目の抽出工程)。 その際、後続の抽出工程からのそのつどの水相の添加は、先に実施した同じ試験から定常的に行う。この3段階の向流抽出[例G3)、G4)及びG5)に記載]と同じく、2段階以上の向流抽出も実施することができる。 F)測定法 F1)硝酸塩含有量の測定 硝酸塩イオンの測定を、イオンクロマトグラフィーによりDIN EN ISO 10304に従って行った。装置として、電気伝導度検出器を備えたメトローム社製イオンクロマトグラフを利用した。使用したカラムは、メトローム社製Metrosep Anion Dual 2であった。溶離液として、NaHCO32.0ミリモル、Na2CO31.3ミリモル及びアセトン2%の水溶液を利用した。10μl若しくは100μl(<20mg/kgの限界値を有する試料について)のインジェクションループを利用した。10μlのループの検量範囲は0.5〜100mg/lであった。100μlのループの検量範囲は0.05〜2.0mg/lであった。 F2)有機成分の含有量の測定 全ての有機成分の含有量の測定を、ガスクロマトグラフHP 5890を用いたガスクロマトグラフィーにより実施した。利用したカラムは、HP−50+、30m×0.25mm×0.25mmであった。キャリアガスとして窒素を利用した。検出器の温度は280℃であり、インジェクターの温度は250℃であった。温度プロファイルは2分で50℃であり、それから5℃/分の割合で260℃(0分)に加熱した。 F3)水の含有量の測定 水分量を、メトラー・トレド社製V20 カール・フィッシャー滴定装置を用いたカール・フィッシャー滴定によって測定した。滴定液として、ハイドラナール−コンポジット5K/ミディアムKを利用した。 G)本発明による例及び比較例 G1)例1(比較例;アセトン除去をともなわない排出混合物からの3回の交流抽出) A1)からの排出混合物1kg[第1表;TAA250g、NH4NO31.67%(質量%)]に、50%(質量%)の水性NaOH20gを室温で混ぜ、15分撹拌し、そしてこの相を分離する(1つ目の抽出工程)。1001gの有機相OP1[TAA249g及びNaNO31.26%(質量%)を含有]及び17gの水相WP1[NaNO328.8%(質量%)を含有]が結果生じる。OP1に、新たに室温で50%(質量%)の水性NaOH20gを混ぜ、15分撹拌し、そしてこの相を分離する(2つ目の抽出工程)。960gの有機相OP2[TAA248g及びNaNO30.53%(質量%)を含有]及び水相WP2[NaNO316.6%(質量%)を含有]が結果生じる。OP2に、次いで室温で50%(質量%)の水性NaOH20gを混ぜ、15分撹拌し、そしてこの相を分離する(3つ目の抽出工程)。932gの有機相OP3[TAA244g及びNaNO31800ppmを含有]及び水相WP3[NaNO37.9%(質量%)を含有]が結果生じる。 OP3中でのTAA含有量を、ガスクロマトグラフィー及びイオンクロマトグラフィーによりTAA244g[A1からの排出混合物中でのTAA含有量を基準として97.6%、ガスクロマトグラフィーにより測定]と測定した。OP3中でのNaNO3の含有量は1800ppmであった(イオンクロマトグラフィーにより測定)。これは、精製されたTAA1kg当たりNaOH123gのNaOH使用、若しくは用いた硝酸アンモニウム触媒を基準として3.61モル当量のNaOH使用に相当する。 例1は、アセトン除去を実施しなかった場合、交流法において、工程A1)で用いた硝酸アンモニウム触媒の量を基準として3.61モル当量の使用が、NaNO3を完全にOP3から除去するのに十分ではないことを示す。 G2)例2(比較例;アセトン除去をともなわない排出混合物からの3回の交流抽出) A1)からの排出混合物1kg[第1表;TAA250g、NH4NO31.67%(質量%)]に、固体NaOH15gを室温で混ぜ、15分撹拌し、そしてこの相を分離する(1つ目の抽出工程)。972gの有機相OP1[TAA250g及びNaNO30.71%(質量%)を含有]及び水相WP1[NaNO325.1%(質量%)を含有]が結果生じる。OP1に、新たに室温で固体NaOH15gを混ぜ、15分撹拌し、そしてこの相を分離する(2つ目の抽出工程)。925gの有機相OP2[TAA248g及びNaNO30.12%(質量%)を含有]及び56.1gの水相WP2[NaNO310.3%(質量%)を含有]が結果生じる。OP2に、次いで室温で固体NaOH15gを3回混ぜ、15分撹拌し、そしてこの相を分離する(3つ目の抽出工程)。895gの有機相OP3[TAA247g、NaNO3の含有量は検出限界値を下回る]及び水相WP3[NaNO32.7%(質量%)を含有]が結果生じる。 OP3中でのTAA含有量をTAA247g[A1からの排出混合物中でのTAA含有量を基準として98.8%、ガスクロマトグラフィーにより測定]と測定した。OP3中でのNaNO3の含有量は<25ppmの検出限界値を下回っていた;イオンクロマトグラフィーにより測定。これは、精製されたTAA1kg当たりNaOH182gのNaOH使用、若しくは用いた硝酸アンモニウム触媒を基準として5.41モル当量のNaOH使用に相当する。 例1と例2とを比較すると、交流抽出の場合、トリアセトンアミン粗生成物中のアセトン含有量を低下させずに検出限界値未満までOP3中でNaNO3を減少させることは、精製されたTAA1kg当たりNaOH182g若しくは5.4モル当量[A1)で用いた硝酸アンモニウム触媒を基準とする]の使用下でのみ可能である。加えて、NaOHは固体の形で存在しなければならない。 G3)例3(比較例;アセトン除去をともなわない排出混合物からの3回の向流抽出) 1つ目の工程:(1. Durchgang) 工程1/1):A1)からの排出混合物1kg{第1表;TAA250g、NH4NO316.7g[0.208モル、1.67%(質量%)]に、第一のシミュレートした水相SWP1を室温で混ぜる。SWP1は、水73.2g、NaNO314.8g及びNaOH20.0gから成っていた。SWP1の添加後、室温で15分撹拌し、そして得られた有機相OP1/1を分離した。得られた水相WP1/1*を除いた。 工程1/2):OP1/1に、次いで第二のシミュレートした水相SWP2を混ぜた。この第二のシミュレートした水相SWP2は、水50.0g、NaNO36.1g及びNaOH20.0gから成っていた。SWP2の添加後、室温で撹拌し、そして得られた有機相OP1/2を水相WP1/2*から分離した。水相WP1/2*を保存した。 工程1/3):OP1/2に、固体NaOH20gを混ぜた。この混合物を室温で15分撹拌し、そして得られた有機相OP1/3を、得られた水相1/3*から分離した。該相WP1/3*を保存した。 工程1/4):OP1/3中でのTAA及びNaNO3の含有量を測定した(第4表には示していない)。 2つ目の工程:(2. Durchgang) 工程2/1):SWP1ではなく、工程1/2からのWP1/2*で抽出した以外は工程1/1を繰り返した。新しい有機相を得た(2/1)。結果生じる水相WP2/1*を除いた。 工程2/2):OP2/1に、次いで工程1/3からのWP1/3*を混ぜ、室温で15分撹拌した。新しい有機相を得た(OP2/2)。結果生じる水相WP2/2*を保存した。 工程2/3):OP1/2の代わりに該相OP2/2を使用した以外は工程1/3を繰り返した。新しい有機相OP2/3を得た。結果生じる水相WP2/3*を保存した。 工程2/4):OP2/3中でのTAA及びNaNO3の含有量を測定した(第4表には示していない)。 3つ目の工程:(3. Durchgang) 工程3/1):SWP1ではなく、工程2/2からのWP2/2*で抽出した以外は工程1/1を繰り返した。新しい有機相を得た(OP3/1)。結果生じる水相WP3/1*を保存した。OP3/1及びWP3/1*中でのNaNO3及びトリアセトンアミンの含有量を測定し、そしてこれを第4表に示している。 工程3/2):OP3/1に、次いで工程2/3からのWP2/3*を混ぜ、室温で15分撹拌した。新しい有機相を得た(OP3/2)。結果生じる水相WP3/2*を保存した。OP3/2及びWP3/2*中でのNaNO3及びトリアセトンアミンの含有量を測定し、そしてこれを第4表に示している。 工程3/3):OP1/2の代わりに該相OP3/2を使用した以外は工程1/3を繰り返した。新しい有機相OP3/3を得た。結果生じる水相WP3/3*を保存した。 工程3/4):OP3/3及びWP3/3*中でのTAA及びNaNO3の含有量を測定した。 有機相OP3/1、OP3/2及びOP3/3中でのNaNO3及びTAAの含有量を測定し、そしてこれらを第4表に示している。同様に、水相WP3/1*、WP3/2*及びWP3/3*中でのNaNO3及びTAAの含有量を測定し、そしてこれらを第4表に示している。 全体的に、例3の3つ目の工程では20gのNaOH(固体;0.500モル)を、1kgの排出混合物中に存在する塩NaNO3(0.208モル)の抽出のために用いた。したがって、排出混合物中に存在するNaNO3(これはまた、用いた硝酸アンモニウム触媒の量から直接生じる)当たり2.40モル当量のNaOHを消費した。排出混合物中に存在するTAAの量を基にすると、用いた水酸化ナトリウムの量は、TAA1kg当たりNaOH80gである。得られた有機相OP3/3中では、依然としてNaNO3800ppmの値が確認された。これは、トリアセトンアミン粗生成物中からのアセトン除去が行われない場合に、この量のNaOHが、向流抽出に際して、NaNO3を検出限界値未満まで有機相から除去するのに十分ではないことを示す。 G4)例4(比較例;アセトン除去をともなわない排出混合物からの3回の向流抽出) 1つ目の工程: 工程1/1):A1)からの排出混合物1kg{第1表;TAA250g、NH4NO316.7g[0.208モル、1.67%(質量%)]に、第一のシミュレートした水相SWP1を室温で混ぜる。SWP1は、水89.3g、NaNO315.2g及びNaOH30.0gから成っていた。SWP1の添加後、室温で15分撹拌し、そして得られた有機相OP1/1を分離した。得られた水相WP1/1*を除いた。 工程1/2):OP1/1に、次いで第二のシミュレートした水相SWP2を混ぜた。この第二のシミュレートした水相SWP2は、水62.5g、NaNO36.3g及びNaOH30.0gから成っていた。SWP2の添加後、室温で撹拌し、そして得られた有機相OP1/2を水相WP1/2*から分離した。水相WP1/2*を保存した。 工程1/3):OP1/2に、固体NaOH30gを混ぜた。この混合物を室温で15分撹拌し、そして得られた有機相OP1/3を、得られた水相1/3*から分離した。該相WP1/3*を保存した。 工程1/4):OP1/3中でのTAA及びNaNO3の含有量を測定した(第4表には示していない)。 2つ目の工程: 工程2/1):SWP1ではなく、工程1/2からのWP1/2*で抽出した以外は工程1/1を繰り返した。新しい有機相を得た(2/1)。結果生じる水相WP2/1*を除いた。 工程2/2):OP2/1に、次いで工程1/3からのWP1/3*を混ぜ、室温で15分撹拌した。新しい有機相を得た(OP2/2)。結果生じる水相WP2/2*を保存した。 工程2/3):OP1/2の代わりに該相OP2/2を使用した以外は工程1/3を繰り返した。新しい有機相OP2/3を得た。結果生じる水相WP2/3*を保存した。 工程2/4):OP2/3中でのTAA及びNaNO3の含有量を測定した(第4表には示していない)。 3つ目の工程: 工程3/1):SWP1ではなく、工程2/2からのWP2/2*で抽出した以外は工程1/1を繰り返した。新しい有機相を得た(OP3/1)。結果生じる水相WP3/1*を保存した。OP3/1及びWP3/1*中でのNaNO3及びTAAの含有量を測定し、そしてこれを第4表に示している。 工程3/2):OP3/1に、次いで工程2/3からのWP2/3*を混ぜ、室温で15分撹拌した。新しい有機相を得た(OP3/2)。結果生じる水相WP3/2*を保存した。OP3/2及びWP3/2*中でのNaNO3及びTAAの含有量を測定し、そしてこれを第4表に示している。 工程3/3):OP1/2の代わりに該相OP3/2を使用した以外は工程1/3を繰り返した。新しい有機相OP3/3を得た。結果生じる水相WP3/3*を保存した。 工程3/4):OP3/3及びWP3/3*中でのTAA及びNaNO3の含有量を測定した。 有機相OP3/1、OP3/2及びOP3/3中でのNaNO3及びTAAの含有量を測定し、そしてこれらを第4表に示している。同様に、水相WP3/1*、WP3/2*及びWP3/3*中でのNaNO3及びTAAの含有量を測定し、そしてこれらを第4表に示している。 全体的に、例4の3つ目の工程では30gのNaOH(固体;0.750モル)を、1kgの排出混合物中に存在する塩NaNO3(0.208モル)の抽出のために用いた。したがって、排出混合物中に存在するNaNO3(これはまた、用いた硝酸アンモニウム触媒の量から直接生じる)当たり3.61モル当量のNaOHを消費した。排出混合物中に存在するTAAの量を基にすると、用いたNaOHの量は、TAA1kg当たりNaOH121gである。得られた有機相OP3/3中では、25ppmの検出限界値を下回るNaNO3の値が確認された。これは、トリアセトンアミン粗生成物中からのアセトン除去が行われない場合に、3.6モル当量のNaOHの量(固体;排出混合物中に存在する硝酸アンモニウム触媒を基準とする)になって初めて、向流抽出に際して、NaNO3を検出限界値未満まで有機相から除去するのに十分であることを示す。 G5)例5(比較例;アセトン除去をともなわない排出混合物からの3回の向流抽出) 1つ目の工程: 工程1/1):A1)からの排出混合物1kg{第1表;TAA250g、NH4NO316.7g[0.208モル、1.67%(質量%)]に、第一のシミュレートした水相SWP1を室温で混ぜる。SWP1は、水166.0g、NaNO38.5g及びNaOH30.0gから成っていた。SWP1の添加後、室温で15分撹拌し、そして得られた有機相OP1/1を分離した。得られた水相WP1/1*を除いた。 工程1/2):OP1/1に、次いで第二のシミュレートした水相SWP2を混ぜた。この第二のシミュレートした水相SWP2は、水76.0g、NaNO31.5g及びNaOH30.0gから成っていた。SWP2の添加後、室温で撹拌し、そして得られた有機相OP1/2を水相WP1/2*から分離した。水相WP1/2*を保存した。 工程1/3):OP1/2に、50%(質量%)のNaOH水溶液60gを混ぜた。この混合物を室温で15分撹拌し、そして得られた有機相OP1/3を、得られた水相1/3*から分離した。該相WP1/3*を保存した。 工程1/4):OP1/3中でのTAA及びNaNO3の含有量を測定した(第4表には示していない)。 2つ目の工程: 工程2/1):SWP1ではなく、工程1/2からのWP1/2*で抽出した以外は工程1/1を繰り返した。新しい有機相を得た(OP2/1)。結果生じる水相WP2/1*を除いた。 工程2/2):OP2/1に、次いで工程1/3からのWP1/3*を混ぜ、室温で15分撹拌した。新しい有機相を得た(OP2/2)。結果生じる水相WP2/2*を保存した。 工程2/3):OP1/2の代わりに該相OP2/2を使用した以外は工程1/3を繰り返した。新しい有機相OP2/3を得た。結果生じる水相WP2/3*を保存した。 工程2/4):OP2/3中でのTAA及びNaNO3の含有量を測定した(第4表には示していない)。 3つ目の工程: 工程3/1):SWP1ではなく、工程2/2からのWP2/2*で抽出した以外は工程1/1を繰り返した。新しい有機相を得た(OP3/1)。結果生じる水相WP3/1*を保存した。OP3/1及びWP3/1*中でのNaNO3及びトリアセトンアミンの含有量を測定し、そしてこれを第4表に示している。 工程3/2):OP3/1に、次いで工程2/3からのWP2/3*を混ぜ、室温で15分撹拌した。新しい有機相を得た(OP3/2)。結果生じる水相WP3/2*を保存した。OP3/2及びWP3/2*中でのNaNO3及びトリアセトンアミンの含有量を測定し、そしてこれを第4表に示している。 工程3/3):OP1/2の代わりに該相OP3/2を使用した以外は工程1/3を繰り返した。新しい有機相OP3/3を得た。結果生じる水相WP3/3*を保存した。 工程3/4):OP3/3中でのTAA及びNaNO3の含有量を測定した。 有機相OP3/1、OP3/2及びOP3/3中でのNaNO3及びTAAの含有量を測定し、そしてこれらを第4表に示している。同様に、水相WP3/1*、WP3/2*及びWP3/3*中でのNaNO3及びTAAの含有量を測定し、そしてこれらを第4表に示している。 全体的に、例5の3つ目の工程では30gのNaOH(固体;0.750モル)を、1kgの排出混合物中に存在する塩NaNO3(0.208モル)の抽出のために用いた。ただし、例4とは対照的に、これは50%(質量%)の水溶液の形で添加した。したがって、これは、排出混合物中に存在する硝酸アンモニウム触媒当たり3.61モル当量のNaOHの比に相当する。排出混合物中に存在するTAAの量を基にすると、用いたNaOHの量は、TAA1kg当たりNaOH121gである。得られた有機相OP3/3中では、600ppmの値のNaNO3が確認された。これは、比較例4において、固体NaOHの3.6モル当量を使用してのみ、有機相中でのNaNO3の含有量を検出限界値未満まで引き下げることに成功したことを示す。 G6)例6(本発明による例;アセトン除去をともなう、アセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物からの3回の交流抽出) A1)からの排出混合物(1kg、硝酸アンモニウム16.7g(0.208モル)、アセトン512g及びTAA250gを含有)に、50%のNaOH水溶液20g(NaOH10g、0.250モル、硝酸アンモニウム触媒を基準として1.2モル当量のNaOH)を混ぜる。この混合物を室温で15分間撹拌し、そしてトリアセトンアミン粗生成物を得る。これをアセトン蒸留にかける。その際、これは、常圧下で沸騰するまで加熱し、そしてアセトンを蒸留塔(蒸気分流器及び還流冷却器を備えた30cmのガラス塔)により分離する(塔頂温度57〜62℃)。 アセトンのほかに微量の水[0.9%(質量%)]及びメシチルオキシド0.05%(質量%)を含有する留出液420gを得る。残留物として、二相混合物578gが得られ、これはアセトン90g及びTAA240gを含有する。アセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物のアセトン含有率は、したがって16%(質量%)である。 該二相混合物を60℃でその2つの相に分離し、そして545gの有機相OP1[TAA240g及びNaNO31.5%(質量%)]及び30.9gの水相WP1[NaNO326.3%(質量%)]を得る。有機相を分離し(1つ目の抽出工程)、そして50%(質量%)の水性NaOH20gを混ぜ、15分撹拌し、そしてこの相を分離する(2つ目の抽出工程)。501gの有機相OP2[TAA237g及びNaNO30.33%(質量%)を含有]並びに57.9gの水相WP2[NaNO316.2%(質量%)を含有]が結果生じる。OP2に、新たに60℃で50%(質量%)の水性NaOH20gを混ぜ、15分撹拌し、そしてこの相を分離する(3つ目の抽出工程)。475gの有機相OP3(TAA237g及びNaNO3500ppm)及び39.7gの水相WP3[NaNO33.2%(質量%)を含有]が結果生じる。 OP3中でのTAA含有量を、ガスクロマトグラフィー及びイオンクロマトグラフィーによりTAA244g[排出混合物A1中でのTAA含有量を基準として98.8%、ガスクロマトグラフィーにより測定]と測定した。OP3中でのNaNO3の含有量は500ppmであった(イオンクロマトグラフィーにより測定)。これは、精製されたTAA1kg当たりNaOH127gのNaOH使用、若しくは用いた硝酸アンモニウム触媒を基準として3.6モル当量のNaOH使用に相当する。この例は、溶液中のNaNO3の含有量にアセトン除去が及ぼす影響を裏付ける。二相の蒸留残留物(Destillationsrueckstand)中のアセトン含有率が16%の場合、抽出後に依然として有機相OP3中にはNaNO3500ppmが残留する。 G7)例7(本発明による例;アセトン除去をともなう、アセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物からの3回の交流抽出) A1)からのTAA製造の排出混合物[1kg、硝酸アンモニウム16.7g(0.208モル)、アセトン512g及びTAA250gを含有]に、50%のNaOH水溶液20g(NaOH10g、0.250モル、硝酸アンモニウム触媒を基準として1.2モル当量のNaOH)を混ぜ、トリアセトンアミン粗生成物が結果生じる。この混合物を室温で15分間撹拌する。得られた混合物をアセトン蒸留にかける。その際、これは、常圧下で沸騰するまで加熱し、そしてアセトンを蒸留塔(蒸気分流器及び還流冷却器を備えた30cmのガラス塔)により分離する(塔頂温度57〜62℃)。 アセトンのほかに微量の水[1.1%(質量%)]及びメシチルオキシド0.3%(質量%)を含有する留出液490gを得る。残留物、すなわち、アセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物として、二相混合物528gが得られ、これはアセトン19g及びTAA235gを含有する。残留物のアセトン含有率は、したがって3.6%(質量%)である。 該二相混合物を60℃でその2つの相に分離し、そして444gの有機相OP1[TAA233g及びNaNO30.30%(質量%)]及び80.4gの水相WP1[NaNO326.3%(質量%)]を得る。有機相を分離し(1つ目の抽出工程)、そして50%(質量%)の水性NaOH20gを混ぜ、15分撹拌し、そしてこの相を分離する(2つ目の抽出工程)。417gの有機相OP2(TAA232g及びNaNO3300ppmを含有)並びに42.3gの水相WP2[NaNO33.3%(質量%)を含有]が結果生じる。OP2に、新たに60℃で50%(質量%)の水性NaOH20gを混ぜ、15分撹拌し、そしてこの相を分離する(3つ目の抽出工程)。399gの有機相OP3(TAA228g及びNaNO3<25ppm)及び31.5gの水相WP3[NaNO30.3%(質量%)を含有]が結果生じる。 OP3中でのTAA含有量を、ガスクロマトグラフィー及びイオンクロマトグラフィーにより測定した。それに従ってOP3はTAA228g[A1からの排出混合物中でのTAA含有量を基準として97.0%、ガスクロマトグラフィーにより測定]を含有していた。OP3中でのNaNO3の含有量は、25ppmの検出限界値を下回っていた(イオンクロマトグラフィーにより測定)。これは、精製されたTAA1kg当たりNaOH132gのNaOH使用、若しくは用いた硝酸アンモニウム触媒を基準として3.61モル当量のNaOH使用に相当する。この例は、溶液中のNaNO3の含有量にアセトン除去が及ぼす影響を裏付ける。二相の蒸留残留物中のアセトン含有率が16%の場合、抽出後に依然として有機相OP3中にはNaNO3500ppmが残留する一方で、アセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物中のアセトン含有率が3.6%(質量%)に下げられた場合、この例のようにその他の点では同じ条件で、該相OP3中でのNaNO3の割合は検出限界値未満まで下がる。 G8)例8(本発明による例;アセトンが減少させられたTAA粗生成物からの2回の交流抽出) A1)からのTAA製造の排出混合物[1kg、硝酸アンモニウム16.7g(0.208モル)、アセトン512g及びTAA250gを含有]に、50%のNaOH水溶液20g(NaOH10g、0.250モル、硝酸アンモニウム触媒を基準として1.2モル当量のNaOH)を混ぜる。この混合物を室温で15分間撹拌する。得られた混合物をアセトン蒸留にかける。その際、これは、常圧下で沸騰するまで加熱し、そしてアセトンを蒸留塔により分離する(塔頂温度57〜62℃)。 アセトンのほかに微量の水[1.1%(質量%)]及びメシチルオキシド0.3%(質量%)を含有する留出液490gを得る。残留物として、二相混合物、すなわち、アセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物528gが得られ、これはアセトン19g及びTAA235gを含有する。残留物のアセトン含有率は、したがって3.6%(質量%)である。 該二相混合物を60℃でその2つの相に分離し、そして441gの有機相OP1[TAA234g及びNaNO30.27%(質量%)]及び81gの水相WP1[NaNO321.7%(質量%)]を得る。有機相を分離し(1つ目の抽出工程)、そして該相に50%(質量%)の水性NaOH40gを混ぜ、15分撹拌し、そしてこれらの相を分離する(2つ目の抽出工程)。405gの有機相OP2(TAA231g及びNaNO3110ppmを含有)並びに69.4gの水相WP2[NaNO31.92%(質量%)を含有]が結果生じる。 OP2中でのTAA含有量を、ガスクロマトグラフィー及びイオンクロマトグラフィーにより測定した。それに従ってOP2はTAA231g[A1からの排出混合物中でのTAA含有量を基準として98.3%、ガスクロマトグラフィーにより測定]を含有していた。OP2中でのNaNO3の含有量は110ppmであった(イオンクロマトグラフィーにより測定)。これは、精製されたTAA1kg当たりNaOH130gのNaOH使用、若しくは用いた硝酸アンモニウム触媒を基準として3.61モル当量のNaOH使用に相当する。この例は、有機相からのNaNO3の完全な除去のために、3段階の交流抽出を実施することが好ましいことを裏付ける。 G9)例9(本発明による例;アセトン除去をともなう、排出混合物からの3回の向流抽出) A1)からの排出混合物(1kg、硝酸アンモニウム16.7g(0.208モル)、アセトン512g及びTAA250gを含有)に、50%のNaOH水溶液20g(NaOH10g、0.250モル、硝酸アンモニウム触媒を基準として1.2モル当量のNaOH)を混ぜる。このトリアセトンアミン粗生成物を室温で15分間撹拌する。この得られた混合物をアセトン蒸留にかける。その際、これは、常圧下で沸騰するまで加熱し、そしてアセトンを蒸留塔により分離する(塔頂温度57〜62℃)。アセトンがもはや留出しなくなったらすぐに蒸留を終了する。アセトンのほかに微量の水[1.1%(質量%)]及びメシチルオキシド0.3%(質量%)を含有する留出液490gを得る。残留物として、二相混合物、すなわち、アセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物528gが得られ、これはアセトン19g及びTAA235gを含有する。残留物のアセトン含有率は、したがって3.6%(質量%)である。次いで該残留物を、60℃で実施する向流抽出にかけ、かつ以下のように処理を行う: 1つ目の工程: 工程1/1):二相混合物528g[TAA235g、NaNO317.7g(0.208モル、3.35質量%)]に、第一のシミュレートした水相SWP1を60℃で混ぜる。SWP1は、水70.0g、NaNO314.0g及びNaOH10.0gから成っていた。SWP1の添加後、15分撹拌し、そして得られた有機相OP1/1を分離した。得られた水相WP1/1*を除いた。 工程1/2):OP1/1に、次いで第二のシミュレートした水相SWP2を混ぜた。この第二のシミュレートした水相SWP2は、水40.0g、NaNO36.0g及びNaOH10.0gから成っていた。SWP2の添加後、60℃で15分撹拌し、そして得られた有機相OP1/2を水相WP1/2*から分離した。水相WP1/2*を保存した。 工程1/3):OP1/2に、50%(質量%)のNaOH水溶液20gを混ぜた。この混合物を60℃で15分撹拌し、そして得られた有機相OP1/3を、得られた水相1/3*から分離した。該相WP1/3*を保存した。 工程1/4):OP1/3中でのTAA及びNaNO3の含有量を測定した(第4表には示していない)。 2つ目の工程: 工程2/1):SWP1ではなく、工程1/2からのWP1/2*で抽出した以外は工程1/1を繰り返した。新しい有機相を得た(2/1)。結果生じる水相WP2/1*を除いた。 工程2/2):OP2/1を、工程1/3からのWP1/3*で抽出した。新しい有機相を得た(OP2/2)。結果生じる水相WP2/2*を保存した。 工程2/3):OP1/2の代わりに該相OP2/2を使用した以外は工程1/3を繰り返した。新しい有機相OP2/3を得た。結果生じる水相WP2/3*を保存した。 工程2/4):OP2/3中でのTAA及びNaNO3の含有量を測定した(第4表には示していない)。 3つ目の工程: 工程3/1):SWP1ではなく、工程2/2からのWP2/2*で抽出した以外は工程1/1を繰り返した。新しい有機相を得た(OP3/1)。結果生じる水相WP3/1*を保存した。OP3/1及びWP3/1*中でのNaNO3及びTAAの含有量を測定し、そしてこれを第4表に示している。 工程3/2):OP3/1に、工程2/3からのWP2/3*で抽出した。新しい有機相を得た(OP3/2)。結果生じる水相WP3/2*を保存した。OP3/2及びWP3/2*中でのNaNO3及びTAAの含有量を測定し、そしてこれを第4表に示している。 工程3/3):OP1/2の代わりに該相OP3/2を使用した以外は工程1/3を繰り返した。新しい有機相OP3/3を得た。結果生じる水相WP3/3*を保存した。 工程3/4):OP3/3中でのTAA及びNaNO3の含有量を測定した。 有機相OP3/1、OP3/2及びOP3/3中でのNaNO3及びTAAの含有量を測定し、そしてこれらを第4表に示している。同様に、水相WP3/1*、WP3/2*及びWP3/3*中でのNaNO3及びTAAの含有量を測定し、そしてこれらを第4表に示している。 全体的に、例9の3つ目の工程では20gのNaOH[50%(質量%)の水溶液の形で;0.500モル]を使用し、その際、失活のためにNaOH10g及び1kgの排出混合物中に存在する塩NH4NO3(0.208モル)の抽出のためにもう一度NaOH10gを用いた。したがってこれは、排出混合物中に存在するNH4NO3当たり2.40モル当量のNaOHの比に相当する。二相の残留物から取得されたTAA(235g)の量を基にすると、用いたNaOHの量は、TAA1kg当たりNaOH87gである。得られた有機相OP3/3中でNaNO3を発見することはできず、値は検出限界値を下回り、すなわち、<25ppmであった。これは、TAA粗生成物からアセトン除去を行い、かつ3.6%(質量%)のアセトン含有率を有するアセトンが減少させられたTAA粗生成物を抽出した場合、排出混合物中に存在するNaNO3の量を基準として2.40当量のNaOHの量が、NaNO3を検出限界値未満まで有機相から除去するのに十分であることを示す。 G10)例10(本発明による例;アセトン除去をともなう、排出混合物からの3回の向流抽出及びトリアセトンアミン粗生成物の有機相の使用) A1)からの排出混合物[1kg、硝酸アンモニウム16.7g(0.208モル)、アセトン512g及びTAA250gを含有]に、50%のNaOH水溶液20g(NaOH10g、0.250モル、硝酸アンモニウム触媒を基準として1.2モル当量のNaOH)を混ぜる。この混合物を室温で15分間撹拌する。有機相1001g(NaNO312.6g、アセトン510g及びTAA249gを含有)並びに水相17.0g(NaNO34.9g及びNaOH1.7gを含有)を得る。トリアセトンアミン粗生成物の有機相を水相から分離し、かつ常圧下で沸騰するまで加熱する。アセトンを蒸留塔により分離する(塔頂温度57〜62℃)。アセトンがもはや留出しなくなったらすぐに蒸留を終了する。アセトンのほかに微量の水[0.9%(質量%)]、メシチルオキシド0.3%(質量%)も含有する留出液488gを得る。残留物として、二相混合物531gが得られ、これはアセトン22g及びTAA247gを含有する。残留物のアセトン含有率は、したがって4.1%(質量%)である。 次いで該残留物を、60℃で実施する向流抽出にかけ、かつ以下のように処理を行う: 1つ目の工程: 工程1/1):二相混合物531g[TAA247g、NaNO317.7g(0.208モル、3.35質量%)]に、第一のシミュレートした水相SWP1を60℃で混ぜる。SWP1は、水60.0g、NaNO34.6g及びNaOH10.0gから成っていた。SWP1の添加後、15分撹拌し、そして得られた有機相OP1/1を分離した。得られた水相WP1/1*を除いた。 工程1/2):OP1/1に、次いで第二のシミュレートした水相SWP2を混ぜた。この第二のシミュレートした水相SWP2は、水30.0g、NaNO30.6g及びNaOH10.0gから成っていた。SWP2の添加後、60℃で15分撹拌し、そして得られた有機相OP1/2を水相WP1/2*から分離した。水相WP1/2*を保存した。 工程1/3):OP1/2に、50%(質量%)のNaOH水溶液20gを混ぜた。この混合物を60℃で15分撹拌し、そして得られた有機相OP1/3を、得られた水相1/3*から分離した。該相WP1/3*を保存した。 工程1/4):OP1/3中でのTAA及びNaNO3の含有量を測定した(第4表には示していない)。 2つ目の工程: 工程2/1):SWP1ではなく、工程1/2からのWP1/2*で抽出した以外は工程1/1を繰り返した。新しい有機相を得た(2/1)。結果生じる水相WP2/1*を除いた。 工程2/2):OP2/1を、工程1/3からのWP1/3*で抽出した。新しい有機相を得た(OP2/2)。結果生じる水相WP2/2*を保存した。 工程2/3):OP1/2の代わりに該相OP2/2を使用した以外は工程1/3を繰り返した。新しい有機相OP2/3を得た。結果生じる水相WP2/3*を保存した。 工程2/4):OP2/3中でのTAA及びNaNO3の含有量を測定した(第4表には示していない)。 3つ目の工程: 工程3/1):SWP1ではなく、工程2/2からのWP2/2*で抽出した以外は工程1/1を繰り返した。新しい有機相を得た(OP3/1)。結果生じる水相WP3/1*を保存した。OP3/1及びWP3/1*中でのNaNO3及びTAAの含有量を測定し、そしてこれを第4表に示している。 工程3/2):OP3/1に、工程2/3からのWP2/3*で抽出した。新しい有機相を得た(OP3/2)。結果生じる水相WP3/2*を保存した。OP3/2及びWP3/2*中でのNaNO3及びTAAの含有量を測定し、そしてこれを第4表に示している。 工程3/3):OP1/2の代わりに該相OP3/2を使用した以外は工程1/3を繰り返した。新しい有機相OP3/3を得た。結果生じる水相WP3/3*を保存した。 工程3/4):OP3/3中でのTAA及びNaNO3の含有量を測定した。 有機相OP3/1、OP3/2及びOP3/3中でのNaNO3及びTAAの含有量を測定し、そしてこれらを第4表に示している。同様に、水相WP3/1*、WP3/2*及びWP3/3*中でのNaNO3及びTAAの含有量を測定し、そしてこれらを第4表に示している。 全体的に、例10の3つ目の工程では20gのNaOH[50%(質量%)の水溶液の形で;0.500モル]を使用し、その際、失活のためにNaOH10g及び1kgの排出混合物中に存在する塩NaNO3(0.208モル)の抽出のためにもう一度10gを用いた。したがってこれは、排出混合物中に存在するNaNO3(これはまた、用いた硝酸アンモニウム触媒の量から直接生じる)当たり2.40モル当量のNaOHのモル比に相当する。二相の残留物から取得されたTAA(235g)の量を基にすると、したがって、用いたNaOHの量は、TAA1kg当たりNaOH82gである。得られた有機相OP3/3中でNaNO3を発見することはできず、値は検出限界値を下回り、すなわち、<25ppmであった。これは、トリアセトンアミン粗生成物の有機相を使用し、かつトリアセトンアミン粗生成物の有機相からアセトン除去し、アセトン含有率を4.1%(質量%)へと低下させた場合、排出混合物中に存在するNaNO3の量を基準として2.40当量のNaOHの量が、NaNO3を検出限界値未満まで有機相OP3から除去するのに十分であることを示す。 加えて、比較例9及び10の比較により、向流抽出前に相分離を行い、かつ有機相のみを向流抽出にかけた場合に、TAA合成からの排出物を基準としたTAA収率が(比較例9及び10それぞれの97.9%と99.2%とを比較して)より高いことが示される。 向流抽出を行った全ての本発明による例(例9及び10)の場合、用いたNaOHの量は、得られたTAAを基準として87g若しくは82g[取得したトリアセトンアミン1kg当たりの用いたNaOHの量]であった。それに対して、JP2003−206277による向流法におけるこの値は169g[TAA1kg当たりのNaOHの量]であった。この方法は第4表に例11として記している。これらの結果は、本発明による方法がJP2003−06277に記載された方法と比較して、意想外にも、有機相からの塩の除去がNaOHの量の半分のみを使用して可能であることを示す。 この意想外の結果は、例1〜5による比較においても明らかになる。例えば、例4による向流抽出の場合、(排出混合物中に存在する硝酸アンモニウム触媒を基準として)2.4モル当量のNaOHを用いてNaNO3を検出限界未満まで有機相OP3から除去することは可能ではない。800ppmの残留物含有量が留まる。それに対して、例9及び10においては、(排出混合物中に存在する硝酸アンモニウム触媒を基準として)2.4モル当量のNaOHを用いて有機相のNaNO3含有量を検出限界値未満まで減らすことが可能である。 これは、アセトン除去をともなわなければ、(排出混合物中に存在する硝酸アンモニウム触媒を基準として)3.61モル当量のNaOHを用いてのみ、それに固体NaOHが用いられる場合にのみ成功する(例4)。(排出混合物中に存在する硝酸アンモニウム触媒を基準として)2.4モル当量のNaOHは十分ではない(例3)。NaOHの水溶液を使用した場合(例5)、排出混合物中に存在する硝酸アンモニウム触媒を基準として3.61モル当量を用いてすら、有機相OP3中でのNaNO3の減少に成功しない。例1〜5による比較例において明らかになるように、本発明による方法によって、そのうえ、[工程A1)で使用した硝酸アンモニウム触媒を基準とした]NaOHの使用量を明らかに下げることが可能である。 例7と例1及び2との比較から、アセトン除去をともなわない交流抽出の場合、排出混合物中に存在する硝酸アンモニウム触媒を基準として、固体NaOHを用いて、5.41モル当量のNaOHを用いてのみ、NaNO3を有機相OP3中で検出限界値未満まで減らすことに成功する(例2)。排出混合物中に存在する硝酸アンモニウム触媒を基準として、水溶液として用いて、3.61モル当量のNaOHを用いた場合、これは成功しない(例1)。 したがって、本発明による方法は、有機相からの塩のより効率的な除去を可能にし、それというのも、これは明らかに減らされた量のNaOHを用いて行われるからである。これは相当の量の材料の節約を可能にし、ひいては本発明の課題を解決する。結果は第4表にまとめている。 H)抽出したトリアセトンアミン粗生成物の精製 例9(第4)からの有機相OP3/3に従った抽出したトリアセトンアミン粗生成物を蒸留により後処理する。これは、分別蒸留において8段の理論段数を有するカラムを使用して行う。蒸留は、まず常圧下で、そして引き続き減圧下で行う。正確な条件及び個々の留分(Fr)の組成は、第5表から読み取ることができる。 なかでもジアセトンアルコール、ジアセトンアミン及びアセトニンが蒸留条件下で安定ではないことを確かめることができる。しかしながら、TAAは蒸留条件下で分解傾向を示さない。蒸留に際してのTAA収率は、94.9%の純度にて93.3%(質量%)である。 蒸留に際して塔底沈殿物の形成は確かめられない。蒸留缶出液の一時的な精製をともなわずに蒸留を繰り返した場合でも、塔底沈殿物の形成及び/又は反応器表面若しくは熱交換器表面での堆積物の形成は確認されない。 トリアセトンアミンの製造法であって、次の反応工程: a)アセトン当量を、触媒の存在下で、アンモニアから選択される第一の塩基と反応させ、その際、アセトンを含有する排出混合物を得る工程; b)工程a)からの排出混合物を、更なる塩基の添加によって失活させ、その際、アセトンを含有するトリアセトンアミン粗生成物を得る工程; c)工程b)からのトリアセトンアミン粗生成物からアセトンを除去し、それによって、アセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物を得る工程; d)工程c)からのアセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物を、助剤の添加によって抽出し、その際、抽出されたトリアセトンアミン粗生成物を得る工程を包含する、トリアセトンアミンの製造法。 更なる工程e)において、工程d)からの抽出された前記トリアセトンアミン粗生成物をトリアセトンアミンへと精製することを特徴とする、請求項1記載の方法。 前記アセトン当量が、アセトン、メシチルオキシド、ジアセトンアルコール、ホロン、ジアセトンアミン及びアセトニンから成る群から選択される1種以上の化合物であることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。 工程b)における更なる塩基を、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩から成る群から選択していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。 工程b)で添加される更なる塩基の量が、工程a)で用いられる触媒の量を基準として1.0〜2.0モル当量の範囲にあることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。 工程d)における助剤として塩基を用いることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。 工程b)と工程c)との間で付加的に相分離を行うことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。 工程a)における前記反応を40〜80℃の範囲の温度で実施することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。 工程c)おける前記トリアセトンアミン粗生成物からのアセトンの除去を蒸留により行うことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。 工程a)における前記触媒が、ブレンステッド酸、ブレンステッド酸のアンモニウム塩、ブレンステッド酸のホスホニウム塩及びルイス酸から成る群から選択されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。 工程a)における前記触媒が、塩化アンモニウム又は硝酸アンモニウムであることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。 アンモニア対触媒の工程a)でのモル比が1:0.8〜1:0.02の範囲にあることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。 工程d)における前記アセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物の抽出を、交流抽出として又は向流抽出として実施することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。 工程e)における前記抽出されたトリアセトンアミン粗生成物を蒸留によりトリアセトンアミンへと精製することを特徴とする、請求項2から13までのいずれか1項記載の方法。 【課題】トリアセトンアミンを工業的に製造するための改善された方法を提供する。【解決手段】次の反応工程:a)アセトン当量を、触媒の存在下で、アンモニアから選択される第一の塩基と反応させ、その際、アセトンを含有する排出混合物を得る工程;b)工程a)からの排出混合物を、更なる塩基の添加によって失活させ、その際、アセトンを含有するトリアセトンアミン粗生成物を得る工程;c)工程b)からのトリアセトンアミン粗生成物からアセトンを除去し、それによって、アセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物を得る工程;d)工程c)からのアセトンが減少させられたトリアセトンアミン粗生成物を、助剤の添加によって抽出し、その際、抽出されたトリアセトンアミン粗生成物を得る工程を包含する、トリアセトンアミンの製造法によって解決される。【選択図】なし


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