タイトル: | 公開特許公報(A)_分光器の波長校正方法 |
出願番号: | 2013185593 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | G01J 3/02,G01J 3/18,G01J 3/443,G01N 21/64 |
湊 浩之 JP 2015052531 公開特許公報(A) 20150319 2013185593 20130906 分光器の波長校正方法 株式会社島津製作所 000001993 特許業務法人京都国際特許事務所 110001069 湊 浩之 G01J 3/02 20060101AFI20150220BHJP G01J 3/18 20060101ALI20150220BHJP G01J 3/443 20060101ALN20150220BHJP G01N 21/64 20060101ALN20150220BHJP JPG01J3/02 CG01J3/18G01J3/443G01N21/64 Z 4 2 OL 8 2G020 2G043 2G020AA05 2G020CA01 2G020CB32 2G020CB34 2G020CC02 2G020CD03 2G020CD14 2G020CD24 2G020CD39 2G043AA01 2G043EA01 2G043HA01 2G043HA03 2G043HA09 2G043JA04 2G043KA03 2G043KA05 2G043LA01 2G043MA11 2G043NA13 本発明は、回折格子を有する分光器の波長校正方法、及び、そのような波長校正機能を有する分光光度計に関する。 回折格子(グレーティング)を搭載する分光器は分光光度計やクロマトグラフの検出器などに用いられている(特許文献1参照)。一般的な分光光度計の一例として分光蛍光光度計の概略構成を図1に示す(特許文献2参照)。分光蛍光光度計100は、光源部10、励起分光部20、モニタ部30、試料室40及び蛍光分光部50から構成されている。 光源部10は、光源11(例えば、キセノンランプ)の発する光を集めるための集光鏡12を備えている。集光鏡12により集められた光は、第一のスリット13を通って励起分光部20に入る。 励起分光部20に入った光は反射鏡21により波長分散素子である第一の回折格子22へ向けて反射され、該回折格子22により波長方向に分散される。回折格子22により分散された光の一部は励起光として第二のスリット23を通りモニタ部30へ入る。更に、励起分光部20には、回転軸22aを中心として回折格子22を回転駆動するための格子駆動機構24が備えられている。励起光の波長は、格子駆動機構24で回折格子22を回転させることにより、所定波長範囲内で任意に設定することができる。 モニタ部30における励起光の光路上にはビームスプリッタ31が配置されており、これにより励起光は2方向に分離される。すなわち、励起光の一部はビームスプリッタ31を通過し、第一のレンズ32により集められ、試料室40内に配置された試料セル41に到達する。一方、励起光の他の部分はビームスプリッタ31により反射され、第二のレンズ33により集められ、対照光検出器34(例えばフォトダイオード)により検出される。 試料セル41に励起光が到達すると、その中の試料が蛍光を発する。この蛍光の一部は、第三のレンズ42により集められ、蛍光分光部50へ入る。 蛍光分光部50へ入った蛍光の一部は、第三のスリット51を通って第二の回折格子52に到達し、該回折格子52により波長方向に分散される。こうして分散された光のうち、ある波長を有する一部の光は第四のスリット53を通じて蛍光検出器54(例えば、光電子増倍管)により検出される。更に、蛍光分光部50には、回転軸52aを中心として回折格子52を回転駆動するための格子駆動機構55が備えられている。蛍光検出器54により検出される光の波長は、格子駆動機構55で回折格子52を回転させることにより、所定波長範囲内で任意に設定することができる。 このような分光蛍光光度計を用いて試料の分析を正しく行うためには、第二のスリット23を通過する励起光の波長や第四のスリット53を通過する検出光の波長が正しい値を示さなければならない。そのため、それらの波長を正しい値にするための「校正」と呼ばれる作業が必要となる。 このような分光器の波長校正は、基準となる輝線スペクトル光を発生するナトリウムランプや水銀ランプなどの標準光源を用いて行われる(特許文献3および4参照)。上述の分光蛍光光度計において波長校正を行うときは、まず、光源11を波長校正用の標準光源に交換するか、波長校正用の標準光源を内蔵している場合にはミラーなどで光軸を波長校正用の標準光源側に切り替えることで、分光器に基準となる輝線スペクトル光を入射できるように設定する。その後、分光器の回折格子(第一の回折格子22、第二の回折格子52)を回転させつつ、対照光検出器34や蛍光検出器54等により検出される、回折格子(第一の回折格子22、第二の回折格子52)からの回折光の強度が最大になる回転位置を見つける。こうして、当該最大強度の回転位置を標準光源の波長と対応付けることで波長校正を行っている。 上述の波長校正方法では、回折格子を所定の波長分解能単位で徐々に回転させつつ、各回転位置において分光器の回折光受光部の受光強度を検出し、所定範囲内の回転位置の中で受光強度が最大になる回折格子の回転位置を見つけるという方法がとられる。しかし、波長校正用の標準光源の発光強度に変動があると、各回転位置において検出される受光強度がばらつき、受光強度が最大となる回転位置を正しく検出することができなくなって正確な波長校正が行えない、という問題がある。特開2006-194812号公報特開2009-074877号公報特開2000-074820号公報特開2002-202189号公報 本発明が解決しようとする課題は、波長校正用の標準光源の発光強度に変動がある場合であっても、正確な波長校正を行うことができる波長校正方法を提供することである。 発明者は、波長校正用の標準光源の電源として商用電源を用いた場合、標準光源の発光強度が変動することがあり、これが正確な波長校正を妨げていることを見出した。すなわち、商用交流電源の瞬間電力値は周期Ts(東日本では1/50s、西日本では1/60s)の1/2の周期T(東日本では10ms、西日本では8.3ms)で変動しているため、これを用いた標準光源の発光強度にも周期Tの変動成分が含まれることを見出し、本発明を成すに至った。 そこで、上記課題を解決するために成された本発明に係る分光器の波長校正方法は、発光強度が所定の周期の変化を含む標準光源の光を該分光器の回折格子に照射し、該回折格子により反射された光の強度を測定することにより波長を校正する方法であって、 a)前記標準光源の輝線スペクトル光のピーク波長を含む範囲の各波長に対応する前記回折格子の各回転位置において、前記回折格子で反射した反射光の強度を前記周期の間に少なくとも2回測定し、 b)該回転位置における全測定値に基づき、該回転位置における強度値を決定し、 c)前記強度値が最大となる波長を前記輝線スペクトル光のピーク波長と決定する ことを特徴とする。 また、上記課題を解決するために成された本発明に係る分光光度計は、 a)発光強度が所定の周期の変化を含む、既知の輝線スペクトル光を発する標準光源からの光を受け、分光する回折格子および該回折格子を回転駆動するための格子駆動機構を有する分光器と、 b)前記分光器からの光の強度を測定する測光部と、 c)前記輝線スペクトル光のピーク波長を含む範囲で所定波長毎に前記回折格子を回転するように前記格子駆動機構を制御する分光制御部と、 d)前記回折格子の各回転位置において前記周期の間に少なくとも2回前記分光器からの光の強度を測定し、該回転位置における全測定値に基づき、該回転位置の強度値を決定する発光強度決定部と、 e)前記範囲内において前記強度値が最大となる波長を前記輝線スペクトル光のピーク波長と決定するピーク決定部と を備えることを特徴とする。 前記発光強度決定部は、各回転位置における強度値を、全測定値の中の最大強度あるいは最小強度で決定しても良いし、全測定値の平均値や中央値などの統計量を算出して決定しても良い。いずれにせよ、前記範囲内の各回転位置(波長)において統一した基準で決定すればよい。 分光器からの光の強度の測定は、所定の周期の間に少なくとも2回であれば良いが、標準光源の発光強度の変化を詳細に把握するため、前記周期の間に5回以上行うことが好ましい。 回折格子を波長分解能単位で回転させながら、分光器の回折格子で反射した標準光源の発光強度が最大になる回折格子の回転位置を見つける波長校正方法において、標準光源の発光強度の周期的な変動周期内で、回折格子で反射した反射光強度を少なくとも2回測定し、全測定値に基づき、当該回折格子の回転位置における強度値とすることで、上記標準光源の発光強度の周期的な変動の影響を除去できる。従来の分光蛍光光度計の構成を示す概略図。(a)回折格子の回転位置に対応する波長位置と当該回折格子で反射した周期的な変動を有する標準光源の発光強度との関係を示す概略図。(b)回折格子の各回転位置に対応する各波長位置毎に決定された強度値をプロットした図。本実施例の分光蛍光光度計の構成を示す概略図。 以下、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。 本発明の実施例を図2(a)、図2(b)および図3を参照して説明する。図2(a)は回折格子の回転位置に対応する波長位置と当該回折格子で反射した周期的な変動を有する標準光源の発光強度との関係を示す概略図である。また、図2(b)は回折格子の各回転位置に対応する各波長位置毎に決定された強度値をプロットした図である。図3は本実施例の分光蛍光光度計の構成を示す概略図である。なお、図3の本実施例の分光蛍光光度計は、図1に示した従来の分光蛍光光度計に分光制御部61、発光強度決定部62およびピーク決定部63を有する制御室60が追加されていること以外は、図1に示した従来の分光蛍光光度計と構成は同じであるため、重複する説明を省略する。 図3に示す本実施例の分光蛍光光度計1では、波長校正を行う際に、通常使用時の光源11に代えて、標準光源として輝線スペクトル光のピーク波長253.7nmを有する水銀ランプを用いる。標準光源は、トランスを含む電源回路を介して商用電源から電力が供給される。このため、標準光源の発光強度は、商用交流電源の周期Tsの1/2の周期Tの正弦波状の周期的変動を含んでいる。 校正は標準光源の輝線スペクトル光のピーク波長253.7nm近傍の波長範囲を走査すれば良いため、本実施例では、上記ピーク波長を含む204.0nm〜303.4nmの範囲を波長校正実施範囲とする。 分光蛍光光度計1の分光制御部61が格子駆動機構24、55を制御し、上記波長校正実施範囲の波長に対応する回折格子22、52の回転位置の範囲で、回折格子22、52を所定の波長分解能単位(αnm=0.7nm)で徐々に回転軸22a、52aを中心として回転させる。 回折格子22、52が波長Anmに対応する回転位置になっている場合を図2(a)を参照して説明する。回折格子22、52がこの回転位置で停止している間、回折格子22、52で反射した水銀ランプの発光強度を、対照光検出器34や蛍光検出器54などの測光部で測定する。 測光部での測定は、前記変動周期T(東日本では10ms、西日本では8.3ms)内で少なくとも2回測定すれば良いが、本実施例では、図2(a)のように、周期Tの間に6回測定した場合を説明する。周期T内で少なくとも2回測定するため、測光部での測定は、1回当たり5ms(又は4ms)以内で行う必要がある。測定回数が多くなるほど1回当たりの測定時間は短くする必要があるが、通常の光検出器における測定時間は、高々数十〜数百μsあれば十分である。 図2(a)には波長Anmに対応する回折格子22、52の回転位置で、回折格子22、52で反射した水銀ランプの発光強度を6回測定した結果をプロットしており、6回の測定結果は全て異なる値である。図2(a)の例では、6回の全測定値の中の最大強度を該回折格子22、52の回転位置における強度値とする場合を示しており、発光強度決定部62は、最大強度である2回目の測定結果を、波長Anmに相当する回折格子22、52の回転位置における強度値201と決定する。なお、本実施例では、全測定値の中の最大強度を該回折格子の回転位置における強度値201としたが、発光強度決定部62は、全測定値の中の最小強度で決定しても良いし、全測定値の平均値や中央値などの統計量を算出して決定しても良い。いずれにしても、統一した基準で決定すればよい。 次に、格子駆動機構24、55が回折格子22、52を波長(A+α)nmに対応する回転位置になるように回転させる。そして、この回転位置で停止している間、再び回折格子22、52で反射した水銀ランプの発光強度を、対照光検出器34や蛍光検出器54などの測光部で測定する。この時の6回の全測定結果も図2(a)にプロットしている。波長Anmの場合と同様に、発光強度決定部62は、6回の全測定値の中の最大強度である2回目の測定結果を波長(A+α)nmに対応する回折格子22、52の回転位置における強度値201として決定する。 このような分光器からの光の強度の測定および回折格子22、52の各回転位置における強度値201の決定を、上記波長校正実施範囲について繰り返して行うと、図2(b)に示すような、回折格子22、52の各回転位置に対応する各波長位置毎に決定された強度値201をプロットした図が得られる。 図2(b)にプロットされた各回折格子22、52の回転位置における強度値201の中で、最大の強度値が得られる点202が存在する。前記強度値が最大となる波長を決定するピーク決定部63は、最大の強度値が得られる点202に対応する波長が標準光源である水銀ランプの輝線スペクトル光のピーク波長253.7nmに相当すると決定する。そして、該波長に対応する回折格子22、52の回転位置が、標準光源である水銀ランプの輝線スペクトル光のピーク波長253.7nmに対応することが確認され、分光蛍光光度計1の校正が行われる。 なお、本実施例では、標準光源として輝線スペクトル光のピーク波長253.7nmを有する水銀ランプを用いたが、本発明はこれに限られず、ナトリウムランプなど、所定の輝線スペクトル光のピーク波長を有する任意の光源を用いても良い。また、標準光源が、分光蛍光光度計1の光源11と交換される場合を説明したが、校正時に、ミラーなどで光軸を波長校正用の標準光源側に切り替えることで校正が行えるように、分光蛍光光度計が波長校正用の標準光源を内蔵していても良い。 標準光源の発光強度が商用交流電源の周期Tsの1/2の周期Tで正弦波状に周期的に変動している場合を説明したが、本発明はこれに限られず、三角波状や矩形波状に周期的に変動している場合や、商用電源以外の原因で標準光源の発光強度が周期的に変動する場合でも、適用可能である。回折格子の各回転位置において、標準光源の変動周期内で少なくとも2回、回折格子からの反射光を測定し、全測定値に基づいて、該回折格子の回転位置における強度値を統一した基準で決定するため、標準光源の発光強度の周期的な変動の影響を除去して、標準光源の最大強度となる波長を正しく決定することができる。1、100…分光蛍光光度計10…光源部11…光源12…集光鏡13、23、51、53…スリット20…励起分光部21…反射鏡22、52…回折格子22a、52a…回転軸24、55…格子駆動機構30…モニタ部31…ビームスプリッタ32、33、42…レンズ34…対照光検出器40…試料室41…試料セル50…蛍光分光部54…蛍光検出器60…制御室61…分光制御部62…発光強度決定部63…ピーク決定部 発光強度が所定の周期の変化を含む標準光源の光を分光器の回折格子に照射し、該回折格子により反射された光の強度を測定することにより波長を校正する方法であって、 a)前記標準光源の輝線スペクトル光のピーク波長を含む範囲の各波長に対応する前記回折格子の各回転位置において、前記回折格子で反射した反射光の強度を前記周期の間に少なくとも2回測定し、 b)該回転位置における全測定値に基づき、該回転位置における強度値を決定し、 c)前記強度値が最大となる波長を前記輝線スペクトル光のピーク波長と決定することを特徴とする分光器の波長校正方法。 前記強度値は前記全測定値の中の最大強度である請求項1に記載の分光器の波長校正方法。 a)発光強度が所定の周期の変化を含む、既知の輝線スペクトル光を発する標準光源からの光を受け、分光する回折格子および該回折格子を回転駆動するための格子駆動機構を有する分光器と、 b)前記分光器からの光の強度を測定する測光部と、 c)前記輝線スペクトル光のピーク波長を含む範囲で所定波長毎に前記回折格子を回転するように前記格子駆動機構を制御する分光制御部と、 d)前記回折格子の各回転位置において前記周期の間に少なくとも2回前記分光器からの光の強度を測定し、該回転位置における全測定値に基づき、該回転位置の強度値を決定する発光強度決定部と、 e)前記範囲内において前記強度値が最大となる波長を前記輝線スペクトル光のピーク波長と決定するピーク決定部と を備えることを特徴とする分光光度計。 前記強度値は前記全測定値の中の最大強度である請求項3に記載の分光光度計。 【課題】波長校正用の標準光源の発光強度に周期的な変動がある場合であっても、正確な波長校正を行う波長校正方法を提供する。【解決手段】発光強度が所定の周期の変化を含む標準光源の光を分光器の回折格子に照射し、該回折格子により反射された光の強度を測定することにより波長を校正する方法であって、標準光源の輝線スペクトル光のピーク波長を含む範囲の各波長に対応する回折格子の各回転位置において、回折格子で反射した反射光の強度を該周期の間に少なくとも2回測定し、その回転位置における全測定値に基づき、該回転位置における強度値201を決定し、強度値201が最大となる波長を輝線スペクトル光のピーク波長と決定する波長校正方法。標準光源の発光強度の周期的な変動の影響を除去して、正しいピーク波長を決定することができる。【選択図】図2