タイトル: | 公開特許公報(A)_皮膚外用組成物 |
出願番号: | 2013171874 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 31/045,A61K 45/00,A61P 17/02,A61K 9/06,A61K 47/10,A61K 31/19,A61K 31/4166,A61K 31/195,A61K 31/125 |
三山 啓太 中田 温子 JP 2014065704 公開特許公報(A) 20140417 2013171874 20130822 皮膚外用組成物 ロート製薬株式会社 000115991 三山 啓太 中田 温子 JP 2012185798 20120824 JP 2012194593 20120904 A61K 31/045 20060101AFI20140320BHJP A61K 45/00 20060101ALI20140320BHJP A61P 17/02 20060101ALI20140320BHJP A61K 9/06 20060101ALI20140320BHJP A61K 47/10 20060101ALI20140320BHJP A61K 31/19 20060101ALI20140320BHJP A61K 31/4166 20060101ALI20140320BHJP A61K 31/195 20060101ALI20140320BHJP A61K 31/125 20060101ALI20140320BHJP JPA61K31/045A61K45/00A61P17/02A61K9/06A61K47/10A61K31/19A61K31/4166A61K31/195A61K31/125 9 OL 19 4C076 4C084 4C086 4C206 4C076AA06 4C076BB31 4C076CC04 4C076CC31 4C076DD09 4C076DD34 4C076DD37 4C076DD38 4C076DD45 4C076DD46 4C076EE09 4C076EE11 4C076EE23 4C084AA19 4C084MA02 4C084MA05 4C084MA28 4C084MA63 4C084NA03 4C084NA05 4C084ZA90 4C084ZB11 4C084ZB35 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC38 4C086MA03 4C086MA05 4C086MA28 4C086MA63 4C086NA03 4C086NA05 4C086ZA90 4C086ZB11 4C086ZB35 4C206AA01 4C206AA02 4C206CA03 4C206CB15 4C206DA14 4C206MA03 4C206MA05 4C206MA48 4C206MA83 4C206NA03 4C206NA05 4C206ZA90 4C206ZB11 4C206ZB35 本発明は、皮膚外用組成物に関する。 皮膚には様々なトラブルがつきものである。そして近年では女性のみならず、男性においても、美肌意識の高まりから肌トラブルへの対処が注目されている。 そうした男性に特有の肌トラブルの1つとして、日常の髭剃り後に生じやすい剃刀負けがある。剃刀負けは、尋常性毛瘡とも呼ばれ、あごや鼻の下等の硬いひげの生える部分にできやすい毛包炎及び毛包周囲炎である。この毛包炎及び毛包周囲炎は、黄色ブドウ球菌等の細菌の感染により引き起こされることが報告されている(非特許文献1)。日常の髭剃り行為において、剃刀や電気シェーバーで皮膚を剃る際に少なからず角質層は削り取られて皮膚が傷ついてしまうことが多く、細菌が感染し易い状況になっているため、こうした剃刀負けは健常な人であっても起こりやすい肌トラブルである。 また、黄色ブドウ球菌等の細菌はニキビの原因菌ともされている。そして、ひげの生える部位で細菌が増殖しニキビができると、皮膚に凹凸ができるため、通常毎日行わざるを得ない髭剃りで剃刀や電気シェーバーをあてた際に創傷を生じやすくなり、更に悪循環を招く。 従って、剃刀負け等の肌トラブルを効果的に予防・改善するためには、その大きな原因の1つとなる細菌の増殖を抑えて根本的に予防・治療することが求められている。 これまでにも髭剃り後の肌の感触を整えるものとして、アフターシェーブローション等が知られている。これは、主に髭剃り後の皮膚に塗布することでしっとり感や保湿感を与えることを意図したものである。また、アフターシェーブローションは通常液剤であり、髭剃り行為等の後で傷ついた皮膚に塗布した場合に沁みて刺すような痛みを感じてしまうことがあり、継続的な使用が困難となる場合があった。 そうした傷ついた皮膚に適用した場合に起きやすい、沁みて刺すような痛みを少しでも軽減して使用感の良い製剤とするためには、液剤ではなくクリーム剤とすることが考えられる。しかし一方で、クリーム剤とすると油分を含むことになる為、抗菌力が落ちやすくなるという問題があった(非特許文献2)。また、クリーム剤とした場合には、光といった環境因子により製剤粘度等が不安定化し易くなるという課題も知られている。日野治子、日皮会誌:115(7)、985-994、2005化粧品・外用剤における微生物汚染防止と防腐設計技術、技術情報協会発行、223-229、2001 本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、肌トラブルの原因となる菌の増殖を効果的に抑えることができ、また使用感にも優れた皮膚外用組成物を提供することを目的とする。 本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、(A)クロロブタノールと共に、(B)抗炎症剤及び(C)テルペノイドを組み合わせて配合することにより、肌トラブルの原因となる菌の増殖を顕著に抑制できることを見出した。更に本発明者等は検討を進め、前記(A)〜(C)の三成分を組み合わせて配合することにより、クリーム剤とした場合に問題となりやすい光に対する粘度安定性をも改善できることを見出した。また、前記(A)〜(C)の三成分を組み合わせて配合した皮膚外用組成物は、髭剃り等の後で刺激を感じやすい創傷皮膚に適用した場合でも、使用感に優れた製剤とすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。 従って、本発明は、以下の皮膚外用組成物を提供する。 項1.(A)クロロブタノールと、(B)抗炎症剤と、(C)テルペノイドとを含有する、皮膚外用組成物。 項2.(C)テルペノイドの含有量が、組成物全体に対して、0.1w/w%以上である、項1に記載の皮膚外用組成物。 項3.(B)抗炎症剤が、非ステロイド性抗炎症剤である、項1又は2に記載の皮膚外用組成物。 項4.(B)抗炎症剤が、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、アラントイン、イプシロンアミノカプロン酸、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、インドメタシン、フェルビナク、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ケトプロフェン、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、ベンダザック、ピロキシカム、スプロフェン、ウフェナマート、ヘパリン類似物質、アズレン、グアイアズレン及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種である、項1〜3のいずれかに記載の皮膚外用組成物。 項5.(C)テルペノイドが、モノテルペノイドである、項1〜4のいずれかに記載の皮膚外用組成物。 項6.(C)テルペノイドが、メントール、カンフル、ボルネオール、リモネン、アネトール、オイゲノール、ゲラニオール、ネロール、ミルセノール、リナロール、酢酸リナロール、ラバンジュロール、イソボルネオール、シネオール、ピネン、及びテルピノレンからなる群より選択される少なくとも1種である、項1〜5のいずれかに記載の皮膚外用組成物。 項7.創傷後の皮膚に対して用いられる、項1〜6のいずれかに記載の皮膚外用組成物。 項8.髭剃り後の皮膚に対して用いられる、項1〜7のいずれかに記載の皮膚外用組成物。 項9.クリーム剤である、項1〜8のいずれかに記載の皮膚外用組成物。 本発明により、肌トラブルの原因となる細菌の増殖を効果的に抑えることができる皮膚外用組成物が提供される。また本発明により、クリーム剤等の光に不安定となり易い剤型とした場合にも、光安定性に優れた皮膚外用組成物を提供することができる。更に本発明により、使用感に優れた皮膚外用組成物を提供できる。試験例3(光安定性試験)において、製剤の粘度測定に用いた単一円筒形回転粘度計の概略構成を示した図である。試験例4(使用感評価)の結果を示すグラフである。 以下、本発明について詳細に説明する。 なお、本明細書中で使用される用語は、特に他を言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられている点が理解されるべきである。(1.皮膚外用組成物) 本発明の皮膚外用組成物は、(A)クロロブタノールと、(B)抗炎症剤と、(C)テルペノイドとを含有する。 (A)クロロブタノール 本発明の皮膚外用組成物は、クロロブタノール(以下、(A)成分と表記することもある)を含む。 クロロブタノールは、1,1,1,-トリクロロ-2-メチル-2-プロパノールとも称される公知の化合物であり、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。 本発明の皮膚外用組成物において、(A)成分の含有量については、該皮膚外用組成物の製剤形態等に応じて適宜設定されるが、一例として、皮膚外用組成物全体に対して、(A)成分が0.01〜1.5w/w%、好ましくは0.1〜1.0w/w%、更に好ましくは0.1〜0.5w/w%が例示される。 (B)抗炎症剤 本発明の皮膚外用組成物は、上記(A)成分に加えて、更に抗炎症剤(以下、(B)成分と表記することもある)を含む。 抗炎症剤とは、炎症を抑える作用を有する成分として公知のものである。抗炎症剤は、その基本骨格構造の違いから、ステロイド性抗炎症剤と非ステロイド性抗炎症剤とに区別することができる。本発明の皮膚外用組成物には、その両者のいずれも用いられ得るが、本発明の効果をより確実に高く発揮できるという観点から、本発明には非ステロイド性抗炎症剤を用いるのが好ましい。 非ステロイド性抗炎症剤としては、特に限定されないが、例えば、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、アラントイン、イプシロンアミノカプロン酸、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、インドメタシン、フェルビナク、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ケトプロフェン、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、ベンダザック、ピロキシカム、スプロフェン、ウフェナマート、ヘパリン類似物質、アズレン、グアイアズレン及びこれらの塩等を挙げることができる。また、非ステロイド性抗炎症剤は、グリチルリチン酸等の抗炎症成分を含有するカンゾウエキス、セージエキス、ローズマリーエキス等の植物エキスであってもよい。 また、抗炎症剤の塩の形態としては、生理学的に許容され得る塩であれば特に制限されず、例えば、無機塩基との塩[例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)、アルミニウム等の金属との塩等];有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機アミンとの塩等);無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等);有機酸塩[例えば、モノカルボン酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩等)、多価カルボン酸塩(フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩等)、オキシカルボン酸塩(乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等)、有機スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩等)等]等が挙げられる。これらの塩の中でも、好ましくは無機塩基との塩及び/又は有機塩基との塩、より好ましくは無機塩基との塩、更に好ましくはアルカリ金属塩及び/又はアンモニウム塩、特に好ましくはカリウム塩、ナトリウム塩及び/又はアンモニウム塩が挙げられる。 本発明の皮膚外用組成物には、上記のような抗炎症剤を1種だけ配合してもよく、また2種以上を組み合わせて配合してもよい。 本発明の効果をより一層高く発揮し得るという観点から、本発明の皮膚外用組成物に用いられる抗炎症剤は、好ましくは、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、アラントイン、イプシロンアミノカプロン酸及び/又はそれらの塩であり、より好ましくはグリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、アラントイン及び/又はそれらの塩であり、更に好ましくはグリチルリチン酸、アラントイン、及び/又はそれらの塩であり、特に好ましくはグリチルリチン酸及び/又はその塩(例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸一アンモニウム等)である。 本発明の皮膚外用組成物において、(B)成分の含有量については、該皮膚外用組成物の製剤形態、該(B)成分の種類等に応じて適宜設定されるが、一例として、皮膚外用組成物全体に対して、(B)成分が総量で0.01〜4w/w%、好ましくは0.1〜4w/w%、より好ましくは0.1〜2w/w%が例示される。より具体的には、本発明の皮膚外用組成物全体に対する、各(B)成分の含有量として、以下の範囲が例示される。 (B)成分がグリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル及び/又はその塩の場合:これらが総量で、通常0.01〜2w/w%、好ましくは0.1〜2w/w%、より好ましくは0.1〜1w/w%; (B)成分がアラントイン及び/又はその塩の場合:これらが総量で、通常0.01〜2w/w%、好ましくは0.1〜2w/w%、より好ましくは0.1〜1w/w%; (B)成分がイプシロンアミノカプロン酸及び/又はその塩の場合:これらが総量で、通常0.01〜1w/w%、好ましくは0.1〜1w/w%、より好ましくは0.1〜0.5w/w%。 更に本発明の皮膚外用組成物において、(A)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の比率については、特に制限されないが、より一層効果的に本発明の効果を発揮できるという観点から、一例として、(A)成分の含有量100重量部当たり、(B)成分の含有量が総量で1〜50000重量部、好ましくは10〜40000重量部、より好ましくは20〜4000重量部となる比率が例示される。より具体的には、(A)成分の含有量100重量部当たりの各(B)成分の含有量の比率として、以下の範囲が例示される。 (B)成分がグリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル及び/又はその塩の場合:これらが総量で、通常1〜2000重量部、好ましくは10〜2000重量部、より好ましくは20〜2000重量部; (B)成分がアラントイン及び/又はその塩の場合:これらが総量で、通常1〜2000重量部、好ましくは10〜2000重量部、より好ましくは20〜2000重量部; (B)成分がイプシロンアミノカプロン酸及び/又はその塩の場合:これらが総量で、通常1〜1000重量部、好ましくは10〜1000重量部、より好ましくは20〜1000重量部。 なお、抗炎症剤として、グリチルリチン酸等の抗炎症成分を含有する植物エキスを用いる場合には、配合される植物エキス中の抗炎症成分の含有量が上記範囲内となるように設定される。 (C)テルペノイド 本発明の皮膚外用組成物は、上記(A)及び(B)成分に加えて、更にテルペノイド(以下、(C)成分と表記することもある)を含む。 テルペノイドは、イソプレンユニットを構成単位とする構造を有する公知の化合物であり、d体、l体又はdl体のいずれであってもよい。テルペノイドは、構成するイソプレンユニットの数に応じて、モノテルペノイド、セスキテルペノイド、ジテルペノイド、セスタテルペノイド等と呼ばれて区別される。本発明の皮膚外用組成物には、そのいずれのテルペノイドも用いられ得るが、本発明の効果をより確実に高く発揮できるという観点から、本発明にはモノテルペノイドを用いるのが好ましい。 モノテルペノイドとしては、特に限定されないが、例えば、ゲラニオール、ネロール、ミルセノール、リナロール、酢酸リナロール、ラバンジュロールのような非環式モノテルペン;メントール、リモネン、アネトール、オイゲノール、テルピノレンのような単環式モノテルペン;カンフル、ボルネオール、イソボルネオール、シネオール、ピネンのような二環式モノテルペン等が挙げられる。モノテルペノイドとしては、それを含む精油を用いてもよい。このような精油としては、ハッカ油、ユーカリ油、ペパーミント油、ベルガモット油、スペアミント油、ローズ油などが挙げられるが、これらに限定されない。 本発明の皮膚外用組成物には、上記のようなテルペノイドを1種だけ配合してもよく、また2種以上を組み合わせて配合してもよい。 本発明の効果をより一層高く発揮し得るという観点から、本発明の皮膚外用組成物に用いられるテルペノイドは、好ましくは、単環式モノテルペノイド、及び/又は二環式モノテルペノイドであり、より好ましくはメントール(l-メントール、dl-メントール等)、カンフル(d-カンフル、dl-カンフル等)、ボルネオール(d-ボルネオール、dl-ボルネオール等)であり、更に好ましくはメントール及び/又はカンフルであり、特に好ましくはメントールである。 本発明の皮膚外用組成物において、(C)成分の含有量については、該皮膚外用組成物の製剤形態、該(C)成分の種類等に応じて適宜設定される。しかし、後述の試験例の結果に示されるように、(C)成分の含有量は、0.1w/w%以上とすることによって著しく高く本発明の効果が奏されることが分かっている。従って、特に限定はされないが、皮膚外用組成物全体に対する(C)成分の総量の含有量として、通常0.01〜4w/w%、好ましくは0.1〜4w/w%、より好ましくは0.1〜2w/w%、更に好ましくは0.1〜1w/w%、特に好ましくは0.1〜0.3w/w%が例示される。より具体的には、本発明の皮膚外用組成物全体に対する、各(C)成分の含有量として、以下の範囲が例示される。 (C)成分がメントールの場合:これらが総量で、通常0.01〜2w/w%、好ましくは0.1〜2w/w%、より好ましくは0.1〜1w/w%、更に好ましくは0.1〜0.3w/w%; (C)成分がカンフルの場合:これらが総量で、通常0.01〜2w/w%、好ましくは0.1〜2w/w%、より好ましくは0.1〜1w/w%、更に好ましくは0.1〜0.3w/w%; (C)成分がボルネオールの場合:これらが総量で、通常0.01〜2w/w%、好ましくは0.1〜1w/w%、より好ましくは0.1〜0.5w/w%、更に好ましくは0.1〜0.3w/w%。 更に本発明の皮膚外用組成物において、(A)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の比率については、特に制限されないが、より一層効果的に本発明の効果を発揮できるという観点から、一例として、(A)成分の含有量100重量部当たり、(C)成分の含有量が総量で1〜40000重量部、好ましくは10〜40000重量部、より好ましくは10〜20000重量部、更に好ましくは20〜10000重量部、特に好ましくは20〜600重量部となる比率が例示される。より具体的には、(A)成分の含有量100重量部当たりの各(C)成分の含有量の比率として、以下の範囲が例示される。 (C)成分がメントールの場合:これらが総量で、通常1〜2000重量部、好ましくは10〜2000重量部、より好ましくは10〜1000重量部、更に好ましくは20〜300重量部; (C)成分がカンフルの場合:これらが総量で、通常1〜2000重量部、好ましくは10〜2000重量部、より好ましくは10〜1000重量部、更に好ましくは20〜300重量部; (C)成分がボルネオールの場合:これらが総量で、通常1〜1000重量部、好ましくは10〜1000重量部、より好ましくは10〜500重量部、更に好ましくは20〜300重量部。 なお、テルペノイドとして、メントール等のテルペノイド成分を含有する精油を用いる場合には、配合される精油中のテルペノイド成分の含有量が上記範囲内となるように設定される。 本発明の皮膚外用組成物は、更に保湿剤を含んでもよい。 保湿剤を配合することによって、髭剃り後等の後の皮膚に潤いを与えて肌荒れを改善でき、しっとりとした良好な使用感を増すことができる。 本発明の皮膚外用組成物に配合され得る保湿剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール;アラニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルコサミン、テアニンなどのアミノ酸類;コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン等のペプチド;ソルビトールなどの糖アルコール等が挙げられる。好ましくは、多価アルコールである。 本発明の皮膚外用組成物における上記保湿剤の含有量としては、特に制限されないが、組成物全体に対する総量として、通常0.1〜50w/w%、好ましくは1〜30w/w%程度とするのがよい。 本発明の皮膚外用組成物は、更に油性基剤を含むこともできる。 油性基剤等の油分を含む組成物は一般に、それらを殆ど含まない液剤等の組成物に比べて、抗菌作用を発揮する成分を含んでいてもその抗菌作用が発揮され難いことが知られている。然るに、本発明によれば、上記(A)〜(C)成分を配合することにより、そのような油分を含む組成物となった場合でも、実用上十分に高い抗菌作用を発揮することができる。 本発明の皮膚外用組成物に配合してもよい油性基剤としては、特に限定されないが、例えば、ワセリン(白色ワセリン、黄色ワセリン)、パラフィン、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、オゾケライト、セレシン、ハードファット、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン(合成・植物性)、αーオレフィンオリゴマー、ポリエチレン末等の炭化水素;ステアリルアルコール、セタノール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、デシルテトラデカノール、ミリスチルアルコール等の高級アルコール;パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、トリ2−エチルヘキシル酸グリセリル、中鎖脂肪酸トリグリセリド等のエステル油;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン等の重合型シリコーン;オリーブ油等の植物油等が挙げられる。好ましくは、油性基剤は、炭化水素、高級アルコール及び/又はエステル油である。 本発明の皮膚外用組成物における上記油性基剤の含有量としては、特に制限されないが、組成物全体に対する総量として、通常1〜95w/w%、好ましくは1〜30w/w%程度とするのがよい。 更に、本発明の皮膚外用組成物は、界面活性剤を含むことが好ましい。 界面活性剤を配合することにより、本発明の効果をより発揮させ易くなると共に、製剤的な安定性が高い皮膚外用組成物を得ることができる。 界面活性剤は、特に限定はされないが、親水性-親油性バランス(HLB)値が、通常3〜16程度のもの、好ましくは8〜16程度のものが用いられる。また、界面活性剤は、親水性基のイオン化の違いによって、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤と区別される。本発明の皮膚外用組成物に用いられる界面活性剤は、そのいずれを用いてもよいが、本発明の効果をより確実に高く発揮させ易いという観点から、好ましくは、非イオン性界面活性剤が用いられる。 本発明の皮膚外用組成物に配合され得る非イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸ポリグリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル;セスキオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ステアリン酸ポリオキシル等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ステアリン酸マクロゴール;ラノリンアルコール;レシチン等が挙げられる。好ましくは、界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はグリセリン脂肪酸エステルである。 本発明の皮膚外用組成物における上記界面活性剤の含有量としては、特に制限されないが、組成物全体に対する総量として、通常0.01〜10w/w%、好ましくは0.1〜5w/w%程度とするのがよい。 また、本発明の皮膚外用組成物は、水溶性高分子を含むことが好ましい。水溶性高分子を配合することにより、本発明の効果をより発揮させ易くなると共に、製剤的な安定性が高い皮膚外用組成物を得ることができる。 本発明の皮膚外用組成物に配合され得る水溶性高分子としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルメチルエーテル、N−アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム・ビニルピロリドン共重合体等のビニル系高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルメロースナトリウム、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系高分子;アラビアガム、トラガントガム、ガラクタン、グアーガム、ペクチン、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストラン、プルラン等の微生物系高分子等が挙げられる。好ましくは、水溶性高分子はビニル系高分子である。 本発明の皮膚外用組成物における上記水溶性高分子の含有量としては、特に制限されないが、組成物全体に対する総量として、通常0.1〜20w/w%、好ましくは0.1〜10w/w%程度とするのがよい。 本発明の皮膚外用組成物は更に、局所麻酔剤(リドカイン等)、組織修復成分(酢酸トコフェロール等)、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン等)、鎮痒剤、角質軟化剤、収斂剤、発毛抑制剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、及び/又はビタミン類等の有効成分を含んでいてもよい。また、本発明の皮膚外用組成物は、更なる他の抗菌成分(イソプロピルメチルフェノール等)を含んでいてもよい。このように他の抗菌成分を配合することによって、より一層高い抗菌作用を得ることが可能となる。 本発明の皮膚外用組成物における上記のような他の有効成分の含有量としては、特に制限されないが、組成物全体に対する総量として、通常0.01〜30w/w%、好ましくは0.1〜25w/w%程度とするのがよい。 また本発明の皮膚外用組成物には、必要に応じて、医薬品、医薬部外品、又は化粧品の分野で一般に用いられている添加物を配合してもよい。このような添加物としては、水性基剤(水等を含む)、保存剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、着色剤、分散剤、抗酸化剤、キレート剤及び/又は香料等を挙げることができる。 本発明の皮膚外用組成物における上記のような他の添加物の含有量としては、特に制限されないが、組成物全体に対する総量として、通常0.01〜70w/w%、好ましくは0.1〜30w/w%程度とするのがよい。 本発明の皮膚外用組成物は、常法に従って、種々の形態に調製され得る。皮膚に適用するのに適した形態としては、例えば、クリーム剤、乳液剤、軟膏剤、ムース剤、シート剤(基材担持)、ジェル剤、液剤、エアゾール剤、スプレー剤等を挙げることができる。髭剃り後等の後で刺激に敏感な皮膚に適用することを意図した態様では、刺激感を抑えるために、クリーム剤とすることが好ましい。 また、クリーム剤や乳液剤等の水相と油相とが乳化した形態(乳化組成物)では、水中油(O/W)型、油中水(W/O)型、水中油中水型(W/O/W)型、又は油中水中油型(O/W/O)型等の任意の乳化形態であり得るが、べたつき感を抑えてより良好な使用感が得られるという観点から、好ましくは水中油(O/W)型とするのがよい。 本発明の皮膚外用組成物の粘度(25℃)としては、特に限定されないが、皮膚に適用した場合に、液垂れしにくく、塗り伸ばしやすいという観点から、2000〜1000000mPa・s程度とするのが好ましく、5000〜1000000mPa・s程度とするのがより好ましく、5000〜100000mPa・s程度とするのが更に好ましい。後述の試験例に示されるように、本発明に従う皮膚外用組成物は、粘度変化を生じさせ易い光等の環境因子に曝されても粘度変化を生じにくく、非常に安定であることが分かっている。従って、本発明の皮膚外用組成物では上記のように比較的高粘度の製剤とすることが実用上可能となっている。なお、上記のような粘度(25℃)は、後述の試験例に記載の方法に順じて測定される。 本発明の皮膚外用組成物のpHは、特に限定されないが、皮膚に適用した場合の刺激感を抑えつつ、より高く本発明の効果を発揮できるという観点から、好ましくはpH3〜10程度、より好ましくはpH4〜9程度とするのがよい。 本発明の皮膚外用組成物の皮膚への適用量や適用部位は、特に制限されず、抗菌作用(特に、黄色ブドウ球菌等の細菌に対する増殖抑制作用)を発揮させることが望まれる任意の皮膚の部位に、適量(0.1〜0.5g程度)を塗布、塗擦又は噴霧等して適用すればよい。黄色ブドウ球菌に対する増殖抑制作用を発揮させることが望まれる部位としては、例えば、当該細菌が剃刀負けを引き起こしやすいヒゲの生える部位(口ヒゲ、顎ヒゲ、及び頬ヒゲの生える部位)、当該細菌が腋臭を引き起こしやすい脇の下の部位、当該細菌がニキビや吹き出物を生じさせ易い顔面や胸部、背中等の部位等を挙げることができる。本発明によれば、このような部位において高い抗菌効果(特に、高い黄色ブドウ球菌増殖抑制効果)を発揮できるので、それらの菌に起因する剃刀負けやニキビ、吹き出物等の皮膚の炎症症状(赤み、痛み、ヒリヒリ感、湿疹等)を効果的に予防、改善及び/又は治療することができる。 後述の試験例に示されるように、本発明の皮膚外用組成物は、髭剃り等の後で角質層が薄く削り取られ、或いは剃刀や電気シェーバーで小さな切り傷ができ、少なからず創傷を受けた過敏な状態の皮膚に適用した場合でも、使用感に優れることが明らかとなっている。またこのように創傷を受けた皮膚の部位は、菌による感染を引き起こし易いという点からも、抗菌作用を発揮させることが特に望まれる部位である。このような点を考慮すると、日常的に剃刀等で角質層が削り取られ、創傷を受けやすい、ヒゲの生える部位及び/又は脇の下の部位に本発明の皮膚外用組成物は好適に用いられ、ヒゲの生える部位に特に好適に用いられる。 本発明の皮膚外用組成物を皮膚に適用するタイミングは、特に限定されないが、1日数回(例えば、2〜3回程度)定期的に適用してもよく、又は髭剃り等で剃刀や電気シェーバーを当てた後で赤みや痛み、湿疹が気になるときに又はヒリヒリ感等を感じたときに適用してもよい。(2.方法及び使用の態様) 前述の通り、本発明によれば、(A)〜(C)の三成分を組み合わせて用いることで、高い抗菌作用を発揮でき、光に対する粘度安定性を改善でき、又は皮膚に適用した場合の使用感を改善することができる。 従って、本発明は別の観点から、以下の方法の態様をも提供する。 (A)クロロブタノールと、(B)抗炎症剤と、(C)テルペノイドとを添加して皮膚外用組成物を調製する、該皮膚外用組成物の抗菌作用を増強する方法。 (A)クロロブタノールと、(B)抗炎症剤と、(C)テルペノイドとを添加して皮膚外用組成物を調製する、該皮膚外用組成物の光に対する安定性を改善する方法。 (A)クロロブタノールと、(B)抗炎症剤と、(C)テルペノイドとを添加して皮膚外用組成物を調製する、該皮膚外用組成物の使用感を改善する方法。 本発明は更に別の観点から、以下の使用の態様をも提供する。 抗菌作用の増強された皮膚外用組成物の製造における、(A)クロロブタノールと、(B)抗炎症剤と、(C)テルペノイドとの使用。 光に対する安定性の改善された皮膚外用組成物の製造における、(A)クロロブタノールと、(B)抗炎症剤と、(C)テルペノイドとの使用。 使用感の改善された皮膚外用組成物の製造における、(A)クロロブタノールと、(B)抗炎症剤と、(C)テルペノイドとの使用。 上記のような方法及び使用における各成分の種類、含有量、剤形、粘度、適用部位、適用量等は、前述の皮膚外用組成物と同様である。 以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。 <試験例1:抗菌試験1> 以下の表1に示す各試験製剤について、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus;ATCC6538)に対する増殖抑制作用について評価を行った。 先ず、常法に従い、上記比較例1〜7及び実施例1に示す処方のクリーム剤(O/W型)を無菌状態で調製した。得られた各製剤について、下記に示す手法により抗菌作用について評価を行った。 まず、Staphylococcusaureus(ATCC6538)を、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト斜面培地の表面に接種して、33℃で、24時間培養した。培養菌体を白金耳で無菌的に採取し、適量の滅菌生理食塩水に浮遊させて、約1×106〜7CFU/mLの生菌を含む細菌浮遊液を調製した。浮遊液の生菌数は、別途培養して計測した。次に、25mLコニカルチューブ(PP)に、各試験製剤(比較例1〜7及び実施例1)を10gずつ充填した。各試験製剤に生菌数(最終濃度)が約104〜5CFU/mLとなるよう、Staphylococcusaureus菌液(生理食塩水で懸濁)を接種し、よく攪拌して試料とした。試料を8時間、遮光下25℃で保存した。8時間後に菌を含む試料を計数に適切な濃度となるよう1%ポリソルベート80溶液で調製し、SCDLP寒天培地(レシチン・ポリソルベート80加・ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト・寒天培地)上に播種し、33℃にて一晩培養後、観察されたコロニー数をカウントする事により、生菌数を求めた。 この結果を、上記表1に併せて示す。表1の結果から明らかなように、(A)クロロブタノール、(B)グリチルリチン酸二カリウム、(C)l−メントールをそれぞれ単独で含有する製剤(比較例2、3、5)では、クロロブタノール又はl−メントールを含む場合にはやや抗菌作用が発揮されるものの十分ではない。また、上記各成分をそれぞれ2つずつ組み合わせて含有する製剤(比較例4、6、7)でも、まだ十分な抗菌作用が発揮されているとは言い難い。一方、全く予想外のことに、クロロブタノールとグリチルリチン酸二カリウムとl−メントールとの3成分を組み合わせて配合した実施例1では、相乗効果的に著しく高い抗菌作用が発揮されることが認められた。 なお一般に、油分を含むクリーム剤は、油分をあまり含まない液剤に比べて抗菌作用が劣ることが知られている。本発明によれば、そのような抗菌作用が落ちやすいクリーム剤であっても、著しく高い抗菌作用が発揮されており、実用上極めて有益である。 <試験例2:抗菌試験2> 黄色ブドウ球菌接種後の保存時間を8時間から24時間に変更した以外は、上記試験例1と実質的に同様にして、下記表2に示す各試験製剤について、抗菌作用の評価を行った。その結果を、下記表2に併せて示す。 表2の結果より明らかなように、本試験例においても、(A)クロロブタノールと(B)グリチルリチン酸二カリウムと(C)l−メントールを組み合わせて配合した実施例2では、極めて高い抗菌作用が発揮されることが認められた。また、本試験例により、(C)成分の濃度は、0.1w/w%以上あれば良いことが確認された。 <試験例3:光安定性試験> 下記表3に示すクリーム剤(比較例15〜19及び実施例3〜4)を調製して、光を照射した場合の粘度安定性について評価を行った。 先ず表3に従い、各クリーム剤(O/W型)を常法に従い調製した。得られた各試験製剤を30mL容量ガラス製容器に20mLずつ充填し、後述の粘度測定条件下で25℃における粘度を測定し、初期粘度とした。その後、SUNTEST XLS+(東洋精機製作所)にて150000kJ/m2に相当する光照射を行った。光照射終了後、光照射前と同様にして25℃における粘度を測定した。 粘度測定の具体的方法は以下の通りである。 測定には第十六改正日本薬局方 一般試験法 粘度測定法 第2法回転粘度計法に記載されている「単一円筒形回転粘度計(ブルックフィールド型粘度計)」の試験法に準拠して、TV-10 TVM(東機産業)を用いた。 単一円筒形回転粘度計は、製剤中の円筒を一定角速度で回転させたときのトルクを測定する粘度計である。装置の概略を図1に示す。あらかじめ粘度計校正標準液を用いて実験的にKBを定めることにより、製剤の粘度ηを次式によって算出することができる。 η=KB ×T/ω η:液体の粘度(mPa・s) KB:装置定数(rad/cm3) ω:角速度(rad/s) T:円筒面に作用するトルク(10−7N・m) (粘度測定条件) 測定温度 25℃ 測定値 1分後の粘度を測定値とした。 回転数及びローターNo. 粘度5000mPa・s以上 回転数12rpm、ローターNo.M4 粘度5000mPa・s以下 回転数30rpm、ローターNo.M3 未照射製剤及び照射後製剤のそれぞれの粘度(25℃)を上記条件下で測定し、未照射製剤の粘度を100として、照射後の製剤の粘度を相対粘度で表して、それぞれの製剤における粘度低下率(%)を下式Iのようにして算出した。 粘度低下率(%)=100−{照射後製剤の粘度(25℃)/未照射製剤の粘度(25℃)×100} (式I) 各試験製剤について算出された光照射後の粘度低下率を、上記表3に併せて示す。その結果、(A)〜(C)の3成分を含有する実施例のクリーム剤では、光照射により粘度が著しく低下することも上昇することもなく安定であった。とりわけ、(C)成分の濃度が0.1w/w%以上となった場合には、光照射後の粘度低下率が僅か4.86%にとどまり、約40000mPa・s程度(25℃)の高粘度の製剤でありながら光に曝されても極めて安定なクリーム製剤となることが確認できた。 <試験例4:使用感評価1> 下記表4に示す各試験製剤について、使用感についての官能評価を行った。 先ず男性被験者に剃刀を使って髭を剃らせた後、その髭を剃った皮膚の部位に各試験製剤を適量塗布してもらい、その直後にアンケート形式で各評価項目(被膜感、肌の滑らかさ、清涼感)について、1点(感じない)〜5点(感じる)の5段階評価で点数をつけさせた。次いで、中間点の3点が0となるように、1点(−2)、2点(−1)、3点(0)、4点(+1)、5点(+2)と換算し、各被験者の換算値から総和を算出した。この評価結果を図2に示す。 一般に、液剤よりもクリーム剤の方が、敏感な皮膚(例えば、髭剃り後等の少なからず傷ついて過敏な皮膚)において沁みて刺すような痛みを感じさせにくく、使用感に優れることが知られている。更に、本試験結果から明らかなように、本発明の(A)〜(C)の3成分を含有する製剤は、荒れ肌を覆ってくれるような被膜感や、肌の滑らかさ、清涼感の三点においても総合的に良好な製剤であることが認められた。 <試験例5:抗菌試験3> 下記表5に示す本発明の皮膚外用組成物について、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する抗菌活性の評価を行った。具体的には、上記試験例1と同様の手順に従って細菌浮遊液を調製し、別途常法により調製した実施例6のクリーム剤(O/W型)10gに該菌液を接種し(最終生菌濃度:134500cfu/mL)、よく攪拌後、遮光下25℃で保存した。保存開始から4時間及び8時間後に試験試料を取り出し、上記試験例1と同様の手順で当該試料中に含まれる生菌数を求めた。その結果を下記表5に併せて示す。 表5の結果より明らかなように、菌接種後わずか4時間でもかなりの生菌数減少が認められ、更に8時間後には生菌を確認できないレベルにまで生菌数が減少することが示された。即ち、この試験結果から、(B)抗炎症剤としてアラントインを用いた場合でも、(A)クロロブタノール及び(C)l−メントールと組み合わせることにより、黄色ブドウ球菌に対して高い抗菌作用が発揮されることが分かる。 <試験例6:使用感評価2> 下記表6に示す各クリーム剤(O/W型)を常法に従って調製し、髭剃り後の過敏な状態の肌に使用した場合の使用感について評価を行った。 先ず男性被験者に剃刀を使って髭を剃らせた後、その髭を剃った皮膚の部位に各試験製剤を適量塗布してもらい、その直後にアンケート形式で、ヒリヒリ感の有無について評価をさせた。具体的には、1点(感じない)〜5点(感じる)の5段階評価で点数をつけさせた。このアンケート結果に基づき、ヒリヒリ感を感じないと評価(即ち、評点1)を付けた人数の割合を算出した結果を、上記表6に併せて示す。髭剃り行為により少なからず角質層が削り取られた後に使用する外用組成物として、少しでもヒリヒリとした痛みや刺激を増大させるものは、使用者に負担を感じさせ、継続使用を困難とする場合もある。従って、このような皮膚外用組成物にとって、適用後にヒリヒリ感を軽減させる使用感とすることは非常に重要である。 一般にクリーム剤は液剤よりも沁みて刺すような痛みを軽減させ易いことが知られ、この点は上記表6の結果に示されるようにクリーム基剤のみから構成される比較例23(コントロール)を適用した場合にも約70%程度の被験者が適用後にヒリヒリ感を感じなかったと評価したことからも明らかである。そして、このクリーム基剤に、(A)クロロブタノール、(B)アラントイン、又は(C)l−メントールを各々単独で配合した比較例24〜26のクリーム剤を使用した場合を見ると、基剤のみの場合(比較例23)と殆ど変わらないか、或いは特にl−メントールを単独で配合したクリーム剤(比較例26)の場合にはヒリヒリ感を感じないと評価した人数が半数を大幅に下回る結果となり、(A)〜(C)の各成分はそれぞれ単独ではヒリヒリ感の改善にはあまり寄与しないことが分かる。一方、全く予想外のことに、(A)クロロブタノール、(B)アラントイン及び(C)l−メントールの3成分を含む実施例7のクリーム剤を用いた場合には、ヒリヒリ感を感じないと評価した人数の割合が85%を超えるレベルにまで増大した。この結果から、本発明の(A)〜(C)の3成分を含む皮膚外用組成物は、髭剃り後といった剃刀等で処理した後の敏感な肌に適用するのに望ましい優れた使用感を奏するものであることが認められた。<製剤処方例1> 以下に、本発明の皮膚外用組成物の製剤処方例を示す。なお、処方例1〜3はクリーム剤、処方例4は軟膏剤、処方例5はジェル剤である。<製剤処方例2> 以下に、本発明の皮膚外用組成物の製剤処方例を示す。なお、処方例6〜8は化粧水、処方例9は乳液、処方例10はジェル剤である。 (A)クロロブタノールと、(B)抗炎症剤と、(C)テルペノイドとを含有する、皮膚外用組成物。 (C)テルペノイドの含有量が、組成物全体に対して、0.1w/w%以上である、請求項1に記載の皮膚外用組成物。 (B)抗炎症剤が、非ステロイド性抗炎症剤である、請求項1又は2に記載の皮膚外用組成物。 (B)抗炎症剤が、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、アラントイン、イプシロンアミノカプロン酸、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、インドメタシン、フェルビナク、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ケトプロフェン、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、ベンダザック、ピロキシカム、スプロフェン、ウフェナマート、ヘパリン類似物質、アズレン、グアイアズレン及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚外用組成物。 (C)テルペノイドが、モノテルペノイドである、請求項1〜4のいずれかに記載の皮膚外用組成物。 (C)テルペノイドが、メントール、カンフル、ボルネオール、リモネン、アネトール、オイゲノール、ゲラニオール、ネロール、ミルセノール、リナロール、酢酸リナロール、ラバンジュロール、イソボルネオール、シネオール、ピネン、及びテルピノレンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚外用組成物。 創傷後の皮膚に対して用いられる、請求項1〜6のいずれかに記載の皮膚外用組成物。 髭剃り後の皮膚に対して用いられる、請求項1〜7のいずれかに記載の皮膚外用組成物。 クリーム剤である、請求項1〜8のいずれかに記載の皮膚外用組成物。 【課題】 剃刀負け等の肌トラブルの原因となる菌の増殖を効果的に抑制できる組成物を提供すること。【解決手段】 (A)クロロブタノールと、(B)抗炎症剤と、(C)テルペノイドとを配合して、皮膚外用組成物を調製する。【選択図】なし