タイトル: | 公開特許公報(A)_シェービング用ジェル状組成物 |
出願番号: | 2013170691 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 8/34,A61K 8/44,A61K 8/81,A61Q 9/02 |
森 俊裕 JP 2015040180 公開特許公報(A) 20150302 2013170691 20130820 シェービング用ジェル状組成物 株式会社マンダム 390011442 細田 芳徳 100095832 森 俊裕 A61K 8/34 20060101AFI20150203BHJP A61K 8/44 20060101ALI20150203BHJP A61K 8/81 20060101ALI20150203BHJP A61Q 9/02 20060101ALI20150203BHJP JPA61K8/34A61K8/44A61K8/81A61Q9/02 5 OL 8 4C083 4C083AB032 4C083AC102 4C083AC111 4C083AC112 4C083AC121 4C083AC122 4C083AC432 4C083AC621 4C083AC622 4C083AD041 4C083AD042 4C083AD091 4C083AD092 4C083AD131 4C083AD132 4C083CC21 4C083DD21 4C083DD22 4C083DD27 4C083DD41 4C083EE06 4C083EE07 4C083EE11 本発明は、体毛を剃刀で剃る際に使用するシェービング用ジェル状組成物に関する。 髭等の体毛を剃刀で剃る際には、シェービング用組成物が用いられる。塗布時の肌への密着性を高め、優れた使用感を得る観点から、ジェル状のシェービング組成物が知られている。組成物をジェル状とするためには、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー(アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体)あるいはキサンタンガムといった汎用の増粘剤が用いられている。例えば特許文献1では、増粘剤としてアクリル酸・メタクリル酸アルキルコポリマーが配合されており、特許文献2では、増粘剤としてカルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーが配合されている。 上記の増粘剤の中でも、カルボキシビニルポリマーやアルキル変性カルボキシビニルポリマーは優れた使用感が得られる反面、耐塩性に劣ることから、肌から垂れ落ちやすいという問題や、シェービング組成物の主要成分であるグリチルリチン酸ジカリウム等の抗炎症剤(この成分は塩である。)を配合するとジェル剤形が崩壊し、粘度が低下する(減粘する)という問題があった。 かかる問題を解決すべく、カルボキシビニルポリマーやアルキル変性カルボキシビニルポリマーを大量に配合するという試みが考えられるが、そのような試みでは、1)組成物の粘度が高くなり過ぎ、肌上での剃刀の滑りが悪くなり、その結果、肌をいためてしまう、2)多枚刃の髭剃り具を用いた場合、刃間に組成物の目詰まりが生じてしまい、深剃りができなくなる、という別の問題が生じることとなった。特開2011−026316号公報特開2013−095674号公報 従って、本発明の課題は、塗布時の肌からの垂れ落ちを抑えて密着感に優れるシェービング用ジェル状組成物を提供することにある。さらに本発明の課題は、近年主流の2枚以上の刃(多枚刃)を有する髭剃り具を使用した場合であっても、組成物が髭剃り具に目詰まりすること無く深剃りが可能なシェービング用ジェル状組成物を提供することにある。 即ち、本発明の要旨は、 (A)トラネキサム酸及び/又はその塩、(B)カルボキシビニルポリマー、(C)ポリオール、並びに(D)カチオン性ポリマーを含有するシェービング用ジェル状組成物、に関するものである。 本発明のシェービング用ジェル状組成物の主な効果は、(1)少量の増粘剤の配合でも減粘しないジェル状の組成物とすることができる、(2)塗布時の肌からの垂れ落ちがない、(3)髭剃り具の肌滑り(刃滑り)が良く深剃りが可能である、(4)多枚刃の髭剃り具を用いた場合であっても目詰まりが生じず、深剃りが可能である、(5)髭剃り後の肌の乾燥を防ぐことができる、というものである。 本発明者は、増粘剤としてカルボキシビニルポリマーを選び、さらにポリオール及びカチオン性ポリマーを含有するシェービング用ジェル状組成物において、抗炎症剤として公知のトラネキサム酸及び/又はその塩を配合することによって、意外にも上記の効果を発揮できることを見出し、本発明を完成させた。(A)成分 本明細書における(A)成分は、トラネキサム酸及び/又はその塩である。化粧料の分野ではトラネキサム酸は抗炎症剤として知られているが、本発明者らは、トラネキサム酸及び/又はその塩をジェル状組成物に配合すると、意外にもジェル剤形に悪影響を及ぼさないことを見出した。この知見に基づいて、後述する(B)成分の量を減らすことが可能となり、かかる(A)成分を配合することによって、髭剃り後の感触といった使用感を高めることができるという効果が発揮できた。 トラネキサム酸は、塩として適用することもできる。トラネキサム酸塩としては、例えば、例えばマグネシウム塩、カルシウム塩、カリウム塩等の金属塩類;リン酸塩、塩酸塩、臭化水素塩、硫酸塩等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。 本発明の組成物における(A)成分の含有量は、所望の効果が発揮される限り限定されるものではないが、0.1〜2質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。抗炎症効果を発揮させる観点から、0.1質量%以上が好ましく、使用感の観点から、2質量%以下が好ましい。(B)成分 本明細書における(B)成分はカルボキシビニルポリマーである。カルボキシビニルポリマーとは、カルボキシル基を有する水溶性のビニルポリマーである。具体的には、ルーブリゾール社製のCARBOPOL940、和光純薬工業社製のハイビスワコー104、住友精化社製のAQUPEC HV−505等の市販品を使用することができる。 カルボキシビニルポリマーを増粘剤として使用する場合、一般的には塩基を併用することによって中和して使用する。本明細書においては、塩基を用いて中和しても良く、あるいは、(A)成分を使用することによって塩基を用いなくても増粘剤として使用することができる。本発明においては、(A)成分を使用し、かつ塩基による中和を行わずにジェル状組成物を調製した場合、塩基を用いて中和した場合と比較して、髭剃り後の感触が良好となり、肌がサラサラ・スベスベした状態を高めることができる。このような髭剃り後の感触の向上は、後述の(D)成分を併用することでさらに強調することができる。 中和するために用いる塩基は限定されないが、例えば、アルカノールアミンや塩基性アミノ酸等の有機化合物、水酸化アルカリ金属等の無機化合物が挙げられる。具体的には、アルカノールアミンとして、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等;塩基性アミノ酸として、アルギニン、リジン、ヒスチジン等;水酸化アルカリ金属として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。 本発明の組成物における(B)成分の含有量は、所望の効果が発揮される限り限定されるものではないが、0.1〜1質量%が好ましく、0.3〜1質量%がより好ましい。ジェル状とする観点から、0.1質量%以上が好ましく、組成物の粘度が高くなり過ぎることによる刃滑りの悪化、更には刃間の目詰まりを防止する観点から、1質量%以下が好ましい。(C)成分 本明細書における(C)成分はポリオールである。シェービング用ジェル状組成物に(C)成分を適用することによって、髭剃り時の刃滑りが良好になるとともに、髭剃り後の肌の感触に優れるという効果が発揮される。 ポリオールの種類としては、所望の効果が発揮される限り限定されるものではないが、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン及び25℃で液状のポリエチレングリコールが好ましい例として挙げることができる。25℃で液状のポリエチレングリコールとしては、例えば、PEG200、PEG300、PEG400、PEG600等が例示できる。このような(C)成分は1種又は2種以上を用いることができる。 シェービング用ジェル状組成物中の(C)成分の含有量は、1〜20質量%が好ましく、2〜16質量%がより好ましい。潤いを与える観点及び塗布時に適度な厚み感を付与する観点から1質量%以上が好ましく、過度なべたつきを与えない観点から20質量%以下が好ましい。(D)成分 本明細書における(D)成分とはカチオン性ポリマーである。シェービング用ジェル状組成物に(D)成分を適用することによって、粘度を付与し高級感を与えるだけでなく、主に塗布時に適度な厚み感を付与するという効果が発揮される。 (D)成分の好ましい例としては、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム−39)及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム−7)が挙げられる。これらは一種又は二種以上を適宜選択、又は組み合わせて使用することができる。(D)成分は市販品として容易に入手することができ、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体としては、NALCO(ナルコ)社製のマーコート3330や、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体としては、Calgon(カルゴン)社製のマーコート550が市販されている。 本発明の組成物における(D)成分の含有量は、所望の効果が発揮される限り限定されるものではないが、0.01〜0.3質量%が好ましく、0.05〜0.2質量%がより好ましい。髭剃り時の刃滑り性,肌にうるおいを付与する観点から、0.01質量%以上が好ましく、髭剃り後の洗い流し性の観点から、0.3質量%以下が好ましい。その他の成分 本明細書においては、化粧品に配合でき得る例えば下記の成分を必要に応じて本発明のシェービング用ジェル状組成物に添加することができる。例えば、水、界面活性剤、油脂、炭化水素油、ロウ類、高級脂肪酸、脂肪酸エステル油、高級アルコール、低級アルコール、ステロール類、保湿剤、無機顔料、色素、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ビタミン類、収斂剤、美白剤、動植物抽出物、金属イオン封鎖剤等が挙げられる。上記した成分の他にも、化粧品に通常用いられる成分を適宜任意に配合することができる。 本発明のシェービング用ジェル状組成物における水の量は特に限定されるものではないが、例えば、組成物の70〜98質量%を占めることが好ましく、75〜95質量%を占めることがより好ましい。 本発明のシェービング用ジェル状組成物における(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)としては限定されるものではないが、A/B=1〜5を満たすことが好ましく、1.2〜4を満たすことがより好ましい。ジェルとしての粘性を付与する観点から、A/Bは1以上となることが好ましく、使用後の肌を良好に保つ観点から、A/Bは5以下となることが好ましい。 本発明のシェービング用ジェル状組成物は、常法により製造することができる。例えば、中和用の塩基を用いる場合、該塩基の水溶液が入った容器に、(B)成分を添加し、その後残りの成分を順次添加することによって、本発明品を製造することができる。また、中和用の塩基を用いない場合、(A)成分と(B)成分とを混合して増粘させた後、その後残りの成分を順次添加することによって、本発明品を製造することができる。 本発明のシェービング用ジェル状組成物のpHは特に限定されないが、人体への影響の観点から25℃において例えば4〜8が好ましく5〜8がより好ましい。皮膚用化粧料のpHの調整は、酸又はアルカリを適宜添加することにより実施できる。 本発明のシェービング用ジェル状組成物は、塗布時の肌からの垂れ落ちが抑えられた効果を発揮する。これは、肌等に由来する塩の存在下であっても、本発明の組成物が減粘することなく耐塩性に優れたものであることを意味する。 以下に、本発明を実施例等に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。(1)シェービング用組成物の調製 表1に記した組成に従い、実施例1〜6及び比較例1〜4の各組成物を調製し、下記評価に供した。なお、表中の各成分の量は質量%である。(2)組成物の評価 各実施例及び各比較例で調製されたシェービング用組成物の評価を次のようにして行った。「塗布時の垂れ落ち」、「髭剃り時の刃滑り」、「剃刀の目詰まり」及び「髭剃り後の感触」については、得られた組成物を、普段から剃刀を用いて髭剃りを行っている成人男性パネル20名に実際に使用してもらい、以下の評価基準に従って評価した。なお、剃刀としては市販の3枚刃のタイプのものを採用した。<組成物の性状> 調製されたシェービング用組成物について、手のひらに吐出し、手のひらを約45度に傾けた際の性状を目視で確認した。流動性が低い(直ぐに垂れ落ちない)状態を「ジェル状」、容易に流動する(直ぐに垂れ落ちる)状態を「液状」と判定した。<塗布時の垂れ落ちの評価基準>◎(非常に良好):20名中16名以上が塗布時のシェービング用組成物の垂れ落ちがなく、密着感に優れると回答○(良好):20名中11〜15名が塗布時のシェービング用組成物の垂れ落ちがなく、密着感に優れると回答△(不十分):20名中6〜10名が塗布時のシェービング用組成物の垂れ落ちがなく、密着感に優れると回答×(不良):20名中5名以下が塗布時のシェービング用組成物の垂れ落ちがなく、密着感に優れると回答<髭剃り時の刃滑りの評価基準>◎(非常に良好):20名中16名以上が剃刀の刃滑りが良好で深剃りができると回答○(良好):20名中11〜15名が剃刀の刃滑りが良好で深剃りができると回答△(不十分):20名中6〜10名が剃刀の刃滑りが良好で深剃りができると回答×(不良):20名中5名以下が剃刀の刃滑りが良好で深剃りができると回答<剃刀の目詰まりの評価基準>◎(非常に良好):20名中16名以上がシェービング用組成物の剃刀への目詰まりなく、深剃りができると回答○(良好):20名中11〜15名がシェービング用組成物の剃刀への目詰まりなく、深剃りができると回答△(不十分):20名中6〜10名がシェービング用組成物の剃刀への目詰まりなく、深剃りができると回答×(不良):20名中5名以下がシェービング用組成物の剃刀への目詰まりなく、深剃りができると回答<髭剃り後の感触の評価基準>◎(非常に良好):20名中16名以上が鬱血やヒリヒリ感などの剃刀負けがなく、しっとりとした潤いがあると回答○(良好):20名中11〜15名が鬱血やヒリヒリ感などの剃刀負けがなく、しっとりとした潤いがあると回答△(不十分):20名中6〜10名が鬱血やヒリヒリ感などの剃刀負けがなく、しっとりとした潤いがあると回答×(不良):20名中5名以下が鬱血やヒリヒリ感などの剃刀負けがなく、しっとりとした潤いがあると回答(3)結果と考察 下記表1に結果を示す。 表中の各原料の詳細は次の通りである。カルボキシビニルポリマー(ルーブリゾール社製、商品名:CARBOPOL940)ポリエチレングリコール200(三洋化成工業社製、商品名:PEG−200、数平均分子量:200)ポリエチレングリコール400(三洋化成工業社製、商品名:PEG−400、数平均分子量:400)アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体(NALCO社製、商品名:マーコート3330)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(Calgon社製、商品名:マーコート550、純分8.6%)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(100 E.O.)(日本エマルジョン社製、商品名:EMALEX HC−100) なお、上記のポリエチレングリコール200及びポリエチレングリコール400はいずれも25℃で液状であった。 表1に示された結果から、各実施例で得られたシェービング用組成物はいずれもジェル状であり、塗布時の垂れ落ちの点、髭剃り時の刃滑りの点、剃刀の目詰まりの点及び髭剃り後の感触の点の全ての点において、各比較例で得られたものよりも優れていることが分かった。 本発明のシェービング用ジェル状組成物は、髭剃り時に塗布することによって使用者に良好な使用感を与えることができる組成物として利用することができる。 (A)トラネキサム酸及び/又はその塩、(B)カルボキシビニルポリマー、(C)ポリオール、並びに(D)カチオン性ポリマーを含有するシェービング用ジェル状組成物。 (C)成分が、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン及び25℃で液状のポリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。 (D)成分が、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体及び/又は塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体である、請求項1又は2に記載の組成物。 前記組成物における(A)成分〜(D)成分が下記の含有量を満たす、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物: (A)成分:0.1〜2質量% (B)成分:0.1〜1質量% (C)成分:1〜20質量% (D)成分:0.01〜0.3質量%。 前記組成物に含有される(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)が、A/B=1〜5を満たす、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。 【課題】塗布時の肌からの垂れ落ちを抑えて密着感に優れるシェービング用ジェル状組成物を提供すること、及び多枚刃を有する髭剃り具を使用した場合であっても、組成物が髭剃り具に目詰まりすること無く深剃りが可能なシェービング用ジェル状組成物を提供すること。【解決手段】トラネキサム酸及び/又はその塩、カルボキシビニルポリマー、ポリオール、並びにカチオン性ポリマーを含有するシェービング用ジェル状組成物。【選択図】なし