タイトル: | 公開特許公報(A)_線維化剤 |
出願番号: | 2013169747 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 45/06,A61K 35/14,A61K 35/16,A61K 47/02,A61K 47/42,A61K 47/08,A61K 31/734,A61P 11/00,A61P 43/00 |
畑 優 多田 裕一 芥川 礼華 JP 2015038049 公開特許公報(A) 20150226 2013169747 20130819 線維化剤 テルモ株式会社 000109543 八田国際特許業務法人 110000671 畑 優 多田 裕一 芥川 礼華 A61K 45/06 20060101AFI20150130BHJP A61K 35/14 20150101ALI20150130BHJP A61K 35/16 20150101ALI20150130BHJP A61K 47/02 20060101ALI20150130BHJP A61K 47/42 20060101ALI20150130BHJP A61K 47/08 20060101ALI20150130BHJP A61K 31/734 20060101ALI20150130BHJP A61P 11/00 20060101ALI20150130BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150130BHJP JPA61K45/06A61K35/14A61K35/16A61K47/02A61K47/42A61K47/08A61K31/734A61P11/00A61P43/00 121 7 OL 41 4C076 4C084 4C086 4C087 4C076AA09 4C076CC15 4C076DD21 4C076DD40 4C076EE41 4C076FF35 4C084AA20 4C084NA05 4C084NA14 4C084ZA591 4C084ZA592 4C084ZC751 4C084ZC752 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA25 4C086NA05 4C086NA14 4C086ZA59 4C086ZC75 4C087AA01 4C087AA02 4C087BB35 4C087BB38 4C087NA05 4C087NA14 4C087ZA59 4C087ZC75 本発明は、線維化剤に関する。 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、正常な呼吸を妨げる肺疾患の広範な群を意味し、肺が、喘息、肺気腫、および慢性気管支炎から選択される少なくとも1つの疾患の存在により閉塞する疾患である。COPDは、これらの症状が、しばしば同時に存在し、そして個々の症例において、どの疾患が肺の閉塞を引き起こす原因であるかを確認するのが難しい。臨床的には、COPDは、数ヶ月にわたって一定であり、慢性気管支炎の症例では連続2年以上持続する肺からの呼気流量の低下によって診断される。COPDと関連のある2つの最も重篤な状態としては、慢性気管支炎および肺気腫がある。 このうち、肺気腫は、ガス交換の場となる呼吸細気管支や肺胞および肺胞嚢などの肺胞実質と呼ばれる組織に破壊をともなった異常な拡大が生じた状態をいう。正常な肺胞実質は呼息時に収縮するが、気腫化した肺胞実質は呼吸により拡張した後はもとにはもどらない。このため、呼気を十分に行えない。その上、肺胞の有効面積や血管床(肺胞の表面に縦横に走る毛細血管)が減るため、肺全体の換気能力が低下する。加えて、炎症によりエラスチンやコラーゲンなどが破壊されているため、肺の弾力性も低下し、気道を引っ張って広げていることができず、気管支が変形しやすい状態になっている。このため、呼気のときに肺が縮むと、その気管支が空気に満たされた周りの肺胞に圧迫されて狭くなり、肺が過膨脹し、空気が出にくくなる。肺気腫の患者は、空気を吐き出すために、くちびるをすぼめて呼気を行う。 日本では、約5万人がこの疾患により在宅酸素療法を受けているが、軽症な病態を抱えている人を含めると、約300万人が肺気腫の予備人口であるといわれている。肺気腫の治療法は、現在のところ、薬物療法や酸素療法等が主なものである。これらの治療法は、気管支拡張薬により気管支を拡張して呼吸を補助する等の症状の緩和または消失を目的とする対症療法となっており、有効な治療法とはいえない。また、肺気腫の治療法として、肺移植、肺容量減量手術(LVRS)、気管支鏡的減量治療(BVR)等の外科的療法も知られているが、患者への負担が大きいこと、肺移植では必ずしも予後が良好であるとはいえないこと、LVRSでは残存した肺についても気腫化が進行しうること、BVRでは実績が少なく、必ずしも有効性が明らかではないこと等の課題がある。 これに対し、近年、非侵襲的に肺容量を減量させる治療法が試みられている。例えば、特許文献1には、ポリカチオンおよびポリアニオンを含む組成物であって、XとYとの比率が約1より大きく、Xは、ポリカチオンの質量とポリカチオンの質量あたりの電荷の比率の積であり、Yは、ポリアニオンの質量とポリアニオンの質量あたりの電荷の比率の積であることを特徴とする組成物に係る発明が記載されている。特許文献1によれば、当該組成物が、肺の罹患部の限局性線維症を促進することで、肺容量減少(LVR)を達成し、肺気腫(慢性閉塞性肺疾患(COPD))を治療できることが記載されている。特表2009−514860号公報 しかしながら、特許文献1に記載の組成物は、必ずしも十分な線維化が生じているとはいえないことが判明した。その結果、所望の効果、すなわち肺容量減少の効果が得られないことがある。 そこで、本発明は、組織の線維化作用に優れる線維化剤を提供することを目的とする。 本発明者らは鋭意研究を行った結果、線維化を誘発する線維化誘発剤に、線維化を促進する線維化促進剤を併用することにより、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。 本発明により、組織の線維化作用に優れる線維化剤が提供される。実施例1の線維化剤の投与1週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、HE染色)である。実施例1の線維化剤の投与4週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、HE染色)である。実施例1の線維化剤の投与1週後の日本白色ウサギの肺組織の肉芽腫性炎を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、HE染色)である。実施例1の線維化剤の投与4週後の日本白色ウサギの肺組織の肉芽腫性炎を評価するための光学顕微鏡写真(100倍、HE染色)である。実施例2の線維化剤の投与1週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、HE染色)である。実施例2の線維化剤の投与4週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、HE染色)である。実施例2の線維化剤の投与1週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、MT染色)である。実施例2の線維化剤の投与4週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、MT染色)である。実施例2の線維化剤の投与1週後の日本白色ウサギの肺組織の肉芽腫性炎を評価するための光学顕微鏡写真(100倍、HE染色)である。実施例2の線維化剤の投与4週後の日本白色ウサギの肺組織の肉芽腫性炎を評価するための光学顕微鏡写真(100倍、HE染色)である。比較例1の線維化剤の投与1週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、HE染色)である。比較例1の線維化剤の投与4週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、HE染色)である。比較例1の線維化剤の投与1週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、MT染色)である。比較例1の線維化剤の投与1週後の日本白色ウサギの肺組織の肉芽腫性炎を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、HE染色)である。比較例2の線維化剤の投与4週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(40倍、HE染色)である。比較例3の線維化剤の投与1週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(40倍、HE染色)である。比較例4の線維化剤の投与1週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、HE染色)である。比較例4の線維化剤の投与4週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、HE染色)である。比較例4の線維化剤の投与1週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、MT染色)である。比較例4の線維化剤の投与4週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、MT染色)である。比較例4の線維化剤の投与1週後の日本白色ウサギの肺組織の肉芽腫性炎を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、HE染色)である。実施例3の線維化剤の投与1週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、HE染色)である。実施例3の線維化剤の投与4週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、HE染色)である。実施例3の線維化剤の投与1週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、MT染色)である。実施例3の線維化剤の投与1週後の日本白色ウサギの肺組織の肉芽腫性炎を評価するための光学顕微鏡写真(100倍、HE染色)である。実施例3の線維化剤の投与1週後の日本白色ウサギの肺組織の肉芽腫性炎を評価するための光学顕微鏡写真(100倍、HE染色)である。比較例5の線維化剤の投与1週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、HE染色)である。比較例5の線維化剤の投与4週後の日本白色ウサギの肺組織の線維化を評価するための光学顕微鏡写真(200倍、HE染色)である。比較例5の線維化剤の投与1週後の日本白色ウサギの肺組織の肉芽腫性炎を評価するための光学顕微鏡写真(100倍、HE染色)である。 以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。 <線維化剤> 本発明の一形態によれば、線維化誘発剤および線維化促進剤を含む、線維化剤が提供される。 [線維化誘発剤] 線維化誘発剤は、組織の線維化を誘発する機能を有する。この際、前記組織としては、特に制限されないが、気管、肺の組織であることが好ましく、細気管支、呼吸細気管支、肺胞、肺胞嚢であることがより好ましく、肺胞、肺胞嚢であることがさらに好ましい。 前記線維化誘発剤としては、特に制限されないが、ポリカチオン、ポリアニオン、ポリカチオンとポリアニオンとの複合体、生分解性材料、柔軟性重合硬化物、癒着剤、その他の化合物が挙げられる。 前記ポリカチオンとしては、特に制限されないが、アミノ基を有する高分子が挙げられる。ポリカチオンの具体例としては、ポリアミノ酸または合成ポリペプチド、トロンビン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等のポリカチオン性ポリマーキトサン、部分脱アセチル化キチン、アミノ化セルロース等の塩基性多糖類等が挙げられる。 当該ポリアミノ酸または合成ポリペプチドとしては、リジン、アルギニン、ヒスチジン、オルニチン、5−ヒドロキシリジン等の正電荷を有するアミノ酸を有する高分子が挙げられる。具体例としては、ポリ−D−リジン、ポリ−L−リジン、ポリ−DL−リジン、ポリアルギニン、ポリヒスチジン、ポリオルニチン、ポリエチルアミン、ポリ−γ−ベンジル−L−グルタミン酸塩等が挙げられる。当該ポリアミノ酸または合成ポリペプチドのアミノ酸残基は、20〜4000であることが好ましく、50〜3000であることがより好ましく、100〜1000であることがさらに好ましく、200〜750であることが特に好ましい。また、ポリカチオンの分子量は、10〜500kDであることが好ましく、20〜250kDであることがより好ましく、30〜200kDであることがさらに好ましい。なお、上記ポリアミノ酸または合成ポリペプチドは、当業者に既知の方法、例えば、化学的合成または組換法により製造しうる。ここで、分子量は、当該公知の方法、例えば、電気泳動、サイズ排除クロマトグラフィー、多角度レーザー光散乱によって測定できる。 前記ポリアニオンとしては、特に制限されないが、カルボキシ基、スルホ基、フェノール性水酸基を有する高分子が挙げられる。当該ポリアニオンとしては、アルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸エステル、フィブリン、フィブリノゲン、ヘパリン、ヘパラン硫酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、グルロン酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ペントサン硫酸、ケラタン硫酸、ムコポリサッカライドポリサルフェート、ヒアルロン酸、グルタミン酸・アスパラギン酸等の負電荷を有するアミノ酸を有するポリマー(ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸)等が挙げられる。 この際、前記アルギン酸は、β−D−マンヌロン酸(M)およびα−L−グルクロン酸(G)を含むポリマーである。当該MおよびGの含有比率、分子量等により、アルギン酸の性能が異なることが知られている。例えば、Gの含有比率が高い場合、カルシウムイオン等の2価のカチオンと好適に安定な複合体を形成してゲルとなりやすい、硬度が高い、架橋しやすい等の性能を有する。その結果、例えば、ゲルを形成した場合、ゲル強度は高くなりうる。また、架橋点が多くなるため、ゲルが保持しうる水分量が少なくなりうる。一方、Mの含有比率が高い場合には、優れた柔軟性および弾力性を有するゲルとなりうる。また、ゲルが保持しうる水分量が高くなりうる。アルギン酸のβ−D−マンヌロン酸(M)およびα−L−グルクロン酸(G)の含有比率(M/G)は特に制限されず、線維化誘発の目的に合わせ、適切な比率を適宜選択でき、適切な海藻原料を厳密に選択することによって、制御することができる。 また、前記アルギン酸塩としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸鉄、アルギン酸アンモニウム等が挙げられる。 さらに、前記アルギン酸エステルとしては、アルギン酸とC1〜C6のアルコールとのエステルが挙げられる。前記C1〜C6のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のモノアルコール;エチレングルコール、プロピレングリコール等のジオール;グリセリン等のトリオール等が挙げられる。具体的なアルギン酸エステルとしては、アルギン酸プロピレングリコールエステルの他、アルギン酸メチルエステル、アルギン酸エチルエステル、アルギン酸エチレングリコールエステル等が挙げられる。これらのうち、アルギン酸プロピレングリコールエステルであることが好ましい。 また、ポリカチオンと複合体を形成できるポリアニオンとしては、以下に制限されないが、ヘパラン硫酸、ヘパリン/ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ペントサン硫酸、ケラタン硫酸、ケラチン硫酸、ムコポリサッカライドポリサルフェート、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、ヒアルロン酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、カルボキシメチルセルロース、およびランダムに構造化された核酸;ならびにセルロース、キシロース、N−アセチルラクトサミン、グルクロン酸、マンヌロン酸、グルロン酸等の多糖、およびこれらの硫酸化物、カルボキシメチル化物;Asp、Glu、Lys、Orn、Arg、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、およびHisからなる群より選択される複数のアミノ酸を含み、前記アミノ酸の約25%以上はAspおよび/またはGluでありかつ前記アミノ酸の約5%以下がLys、Orn、およびArgからなる群より選択されるポリアミノ酸;式:ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)で表されるポリアミノ酸(ただし、Xは、それぞれ独立して、AspまたはGluであり;Yは、それぞれ独立して、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、CysまたはHisである);などが挙げられる。 生分解性材料としては、トロンビン、ボラート、カルシウム、マグネシウム、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ゼラチンなどのタンパク質、デンプン、コラーゲン、グルコサミノグリカン、アガロース、デキストラン、プルラン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリアスパラギン酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリジオキサノン、プラスターチ材、ゼイン、ポリジオキサン、ポリ乳酸グリコール酸共重合体、多糖、大豆タンパク、リン脂質、コレステロール、リン脂質コレステロール重合体、ポリリンゴ酸、サクラン、ポリヒドロキシブチレート/バリレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリエチレンサクシネート、脂肪族ポリエステル、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、酢酸ビニルアクリル酸メチル共重合体、自己血などの生体由来材料、その他脱架橋による分解など公知の材料などが挙げられる。上記に加えてまたは上記に代えて、特開2000−160034号公報、特開2002−146219号公報等に記載される生分解性材料もまた好適に使用できる。 癒着剤としては、タルク、テトラサイクリン系、ピシバニール(OK432)、抗癌剤、ポビドンヨード、硝酸銀などの胸膜を化学的に刺激し、胸膜炎を惹起する薬剤が挙げられる。タルクは含水珪酸マグネシウム[Mg3Si4O10(OH)2]で、SiO2約60%、MgO約30%と結晶水4.8%が主成分である。ピシバニール(OK432)はストレプトコッカス・ピオゲネス(A群3型)Su株(溶連菌の一種)のペニシリン処理凍結乾燥粉末である。抗癌剤としてはブレオマイシン、シスプラチンなどが挙げられる。 前記その他の化合物としては、ポリビニルアルコール、セルロース、キシロース、N−アセチルラクトサミン、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、ボラート、ボロネート、カルシウム、マグネシウム、グルロン酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、ペントサン硫酸、ケラタン硫酸、ムコポリサッカライドポリサルフェート、ヒドロゲル、アクリルアミド、アガロース、ケラチン、キチン、キトサン、部分脱アセチル化キチン、アミノ化セルロース等の塩基性多糖類、アクリルアミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリエステル、フッ化樹脂、シリカ、シリコーン、ハイドロキシアパタイト、セラミック、骨セメント、ガラス、金属、ケイ素化合物、シロキサン、架橋ポリマー、多孔質体または特開2001−164127号公報に記載の材料などもまた好適に使用できる。 上述の線維化誘発剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 上述の線維化誘発剤のうち、ポリアニオンを含むことが好ましく、アルギン酸、アルギン酸塩、およびアルギン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1つを含むことがより好ましい。 線維化誘発剤は、液体であっても、ゲル状であっても、固体(粒子状等)であってもよい。 前記線維化誘発剤が粒子状の固体である場合、線維化誘発剤の平均粒径は、気腫化した肺胞または肺胞嚢の入口径(直径)の2倍以下であることが好ましく、1倍以下であることがより好ましい。線維化誘発剤の平均粒径が気腫化した肺胞または肺胞嚢の入口径(直径)の2倍以下であると、肺気腫の肺胞または肺胞嚢からの留出(排出)を抑制または防止できることから好ましい。なお、気腫化した肺胞または肺胞嚢の入口径(直径)は、患者の肺気腫の重篤度や体重、部位等によっても異なるが、ヒト肺気腫患者では、通常、1〜2mmである。 また、線維化誘発剤の平均粒径は、正常な肺胞または肺胞嚢の入口径(直径)より大きいことが好ましく、正常な肺胞または肺胞嚢の入口径(直径)の1.1倍以上であることがより好ましい。線維化誘発剤の平均粒径が正常な肺胞または肺胞嚢の入口径(直径)より大きいと、正常な肺胞または肺胞嚢への線維化誘発剤の侵入を防止または抑制し、気腫化した肺胞または肺胞嚢のみに線維化を起こすことができることから好ましい。なお、正常な肺胞または肺胞嚢の入口径(直径)は、患者の体重等によっても異なるが、ヒトの健常者では、通常、200〜300μmである。 具体的な線維化誘発剤の平均粒径としては、200nm〜2000μmであることが好ましく、1〜1000μmであることがより好ましい。線維化誘発剤の平均粒径が200nm以上であると、マクロファージや樹状細胞による貪食を防止または抑制できることから好ましい。一方、線維化誘発剤の平均粒径が2000μm以下であると、表面積が大きくなり、組織との接触面積が向上することから好ましい。なお、本明細書において、「平均粒径」の値は、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)の観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。この際、「粒子の粒子径」とは、粒子の中心を通る輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離を意味するものとする。 また、線維化剤が固体である場合、上述の線維化誘発剤は、表面処理がされていてもよい。当該表面処理としては、プラズマ処理、ポリエチレングリコール付加、アニオン化、カチオン化等が挙げられる。これにより、接着性の向上、線維化機能の向上、マクロファージや樹状細胞による貪食を防止または抑制等の機能が得られうる。 [線維化促進剤] 線維化促進剤とは、上述の線維化誘発剤による組織の線維化作用を向上させる機能を有する。当該線維化促進剤は、通常、それ自体は組織の線維化作用を有さないか、ほとんど有さない。 前記線維化促進剤としては、特に制限されないが、血小板、赤血球、白血球、血清、血漿、多血小板血漿(PRP;Platelet Rich Plasma)、自己血、骨髄液、骨髄由来細胞、間葉系幹細胞、脂肪、脂肪幹細胞、その他幹細胞等の生体由来成分;線維芽細胞成長因子(FGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、血管内皮細胞成長因子(VEGF)、神経成長因子(NGF)、上皮成長因子(EGF)、インスリン様成長因子(IGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、エリスロポエチン(EPO)、トロンボポエチン(TPO)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGFまたはFGF2)、肝細胞増殖因子(HGF)、骨形成タンパク質(BMP)、ニューロトロフィン(神経栄養因子:NGF、BDNF、NT3など)および上記因子のファミリー等の成長因子等が挙げられる。これらのうち、線維化促進剤は、血小板、PRPであることが好ましく、PRPであることがより好ましい。これらの線維化促進剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 前記PRPは、血小板および血漿を含む。また、血液成分、抗凝固剤を含みうる。 血漿は、水;アルブミン、免疫グロブリン等のタンパク質;脂質;糖質;ナトリウムイオン、カリウムイオン、リン酸イオン等の無機塩類等を含む。 前記血液成分としては、白血球、赤血球が挙げられる。 また、前記抗凝固剤としては、クエン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ACD(Acid Citrate Dextrose Solution)、フッ化ナトリウム等のカルシウムキレート剤が挙げられる。その他、ワルファリン、アセノクマロール、フェニンジオン等のビタミンK依存性凝固因子合成阻害薬;ダビガトラン、アルガトロバン等のトロンビン阻害薬;リバーロキサバン、エドキサバン、アピキサバン、フォンダパリヌクス等の第Xa因子阻害薬;ヘパリン、低分子ヘパリン等が挙げられる。これらのうち、カルシウムキレート剤を用いることが好ましく、クエン酸ナトリウムを用いることがより好ましい。なお、前記抗凝固剤は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。 血小板およびPRPは、通常、血液の遠心分離もしくはSmart PReP2(Terumo Harvest社製)などのPRP製造装置を適宜利用して得ることができる。例えば、一般的なPRPの調製においては、採取した血液に、血液の凝固を防ぐため抗凝固剤を添加し、次いで、血液の遠心分離を行う。血液の遠心分離により、赤血球を主に含む血球成分と、血小板および白血球を含むバフィーコート並びに血漿を含む上清と、に分離されうる。このうち、上清が多血小板血漿(PRP)となる。なお、PRPは上清の分取操作によっては赤血球等を含む場合がありうることから、さらに遠心分離することで、赤血球を除去してもよい。具体的には、PRPをさらに遠心分離して、より精製されたバフィーコートと、血小板をほとんど含まない血漿、すなわち貧血小板血漿(PPP:Platelet Poor Plasma)とを分取し、これらを再度混合することで、精製されたPRPを得ることができる。 線維化誘発剤と線維化促進剤との混合比(線維化誘発剤:線維化促進剤)は、1:0.2〜1:10(質量比)であることが好ましく、1:0.5〜1:5(質量比)であることがより好ましい。 このうち、線維化促進剤が、特に血小板またはPRPである場合には、線維化誘発剤と血小板(線維化促進剤がPRPの場合にはPRPに含有される血小板)との比(線維化誘発剤:血小板)が、1:0.2〜1:10(質量比)であることが好ましく、1:0.5〜1:5(質量比)であることがより好ましい。 前記線維化促進剤がPRPである場合、血小板の含有量は、5×104〜1000×104cells/μLであることが好ましく、10×104〜500×104cells/μLであることがより好ましい。なお、PRP中の血小板の含有量は、多項目自動血球計数装置により測定することができる。 また、前記線維化促進剤がPRPである場合、抗凝固剤の種類によっても異なるが、1mLの血液に対し含有量は、0.01〜20mg/mLであることが好ましく、0.01〜10mg/mLであることがより好ましい。 本形態に係る線維化剤は、上述のように線維化を誘発する線維化誘発剤に、例えば血小板から放出される様々な成長因子のような、線維化を促進する線維化促進剤を併用することにより、従来の線維化剤と比較して、組織の線維化作用に優れる。このような線維化作用は、線維化誘発剤と、線維化促進剤の相乗的な作用により達成されるものと考えられる。 一実施形態においては、線維化誘発剤および線維化促進剤の組み合わせとしては、アルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸エステルと、血小板、PRPと、の組み合わせであることが好ましく、アルギン酸塩とPRPとの組み合わせであることがより好ましく、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸鉄と、PRPとの組み合わせであることがさらに好ましく、アルギン酸カルシウムとPRPとの組み合わせであることが特に好ましい。当該組み合わせとなる場合には、上記相乗的な作用が効果的に発揮されうる。 [添加剤] 添加剤としては、特に制限されず、適用される疾患の種類、重篤度等によって適宜選択できる。 添加剤としては、多血小板血漿(PRP)ゲル化剤、溶媒、抗生物質、ステロイド等が挙げられる。また、線維化誘発剤等の形状の安定化や機能の付加のために、脂質や界面活性剤等を添加してもよい。 (多血小板血漿(PRP)ゲル化剤) 多血小板血漿(PRP)ゲル化剤は、PRPをゲル化させる機能を有する。したがって、PRPゲル化剤は、主として、線維化促進剤としてPRPを使用する際に添加されうる。これにより、罹患部における線維化剤の留置性が向上するため、より少ない量で組織の線維化を起こすことができる。 PRPゲル化剤としては、カルシウム、カルシウム塩、フィブリン、フィブリノゲン、トロンビン、ビタミンK、第X因子からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。 前記カルシウム塩としては、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、ギ酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、酒石酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、コハク酸カルシウム、マロン酸カルシウム、グルタル酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、フマル酸カルシウム、グルタコン酸カルシウム、乳酸カルシウム等が挙げられる。 上述のPRPゲル化剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 前記PRPゲル化剤は、PRPの調製時に使用される抗凝固剤に応じて選択することが好ましい。例えば、PRPの調製時に抗凝固剤として上述のカルシウムキレート剤を使用する場合には、PRPゲル化剤としてカルシウム、カルシウム塩を使用することが好ましい。また、PRPの調製時に上述のビタミンK依存性凝固因子合成阻害薬、トロンビン阻害薬、第Xa因子阻害薬、およびヘパリン・低分子ヘパリンを使用する場合には、PRPゲル化剤としてそれぞれビタミンK、トロンビン、第X因子、フィブリンおよびフィブリノゲンを使用することが好ましい。 なお、カルシウム、フィブリン、フィブリノゲン、トロンビンは、線維化誘発剤としても機能しうる。したがって、PRPの調製時に抗凝固剤としてカルシウムキレート剤、トロンビン阻害薬、ヘパリン・低分子ヘパリンをそれぞれ使用した場合、PRPゲル化剤としてのカルシウム、フィブリン、フィブリノゲン、トロンビンは、それぞれ線維化誘発剤およびPRPゲル化剤の機能を併せ持つことがある。 また、PRPゲル化剤のうち、カルシウム塩については、線維化促進剤としてPRPを使用しない場合であっても、線維化誘発剤としてアルギン酸、アルギン酸塩、およびアルギン酸エステルを使用する場合には、好適に添加剤として添加されうる。具体的には、上述のようにアルギン酸は、カルシウム塩と安定な複合体を形成してゲルとなりやすい性質を有する。よって、線維化剤をゲル状の剤形で投与しようとする場合には、アルギン酸のゲル化剤としてカルシウム塩が添加されうるのである。すなわち、カルシウム塩は、アルギン酸およびその誘導体のゲル化剤となりうる。 線維化促進剤とPRPゲル化剤との比(線維化促進剤:PRPゲル化剤)は、1:0.001〜1:10(質量比)であることが好ましく、1:0.003〜1:5(質量比)であることがより好ましい。 このうち、特に線維化促進剤がPRPであり、かつ、PRPが抗凝固剤を含む場合には、抗凝固剤とPRPゲル化剤との比(抗凝固剤:PRPゲル化剤)が、1:0.001〜1:5(質量比)であることが好ましく、1:0.002〜1:1(質量比)であることがより好ましい。 また、線維化誘発剤がアルギン酸またはその誘導体である場合においてPRPゲル化剤がアルギン酸またはその誘導体のゲル化を目的として添加される場合には、アルギン酸またはその誘導体とPRPゲル化剤との比(アルギン酸またはその誘導体:PRPゲル化剤)が、1:0.001〜1:10(質量比)であることが好ましく、1:0.003〜1:5(質量比)であることがより好ましい。 (溶媒) 溶媒は、線維化剤に流動性を付与する機能を有する。当該溶媒は、線維化剤が流動性を有しない場合に好適に添加されうる。 前記溶媒としては、生体に悪影響を及ぼすものでなければ特に制限されないが、水、生理食塩水、リンゲル液、DMSO、DMF、HCl、アルコール、グリセロール、その他水溶液等が挙げられる。その他水溶液は溶媒として水を用いたものを指す。これらの溶媒は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 溶媒の含有量は、線維化剤を投与する剤形によっても異なるが、線維化剤の質量に対して、5〜300質量%であることが好ましく、10〜200質量%であることがより好ましい。 (抗生物質) 抗生物質は、感染等に基づく急性増悪等を防止する機能を有する。 前記抗生物質としては、特に制限されないが、ペニシリン系、セフェム系、オキサセフェム系、ペネム系、カルバペネム系、モノバクタム系のβ−ラクタム系抗生物質;アミノ配糖体系抗生物質;テトラサイクリン系抗生物質;クロラムフェニコール;リンコマイシン系・ストレプトグラミン系抗生物質;ポリペプチド系抗生物質;ポリエン系抗生物質;フルシトシン;アゾール系抗真菌薬;テルビナフィン・ブテナフィン・アモロルフィン;抗ウイルス薬等が挙げられる。 前記β−ラクタム系抗生物質としては、ベンジルペニシリン、メチシリン、クロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、スルベニシリン、セファロリジン、セフォチアム、セフォペラゾン、セフメタゾール、ラタモキセフ、フォロキセモフ、イミペネム、パニペネム、イミペネム−シラスタチン合剤、パニペネム−ベタミプロン合剤、アズトレオナム、ファロペネムナトリウム等が挙げられる。 前記アミノ配糖体系抗生物質としては、ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、シソマイシン、ジベカシン、アミカシン、トプラマイシン、アルベカシン、イセパマイシン等が挙げられる。 前記テトラサイクリン系抗生物質としては、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ミノサイクリン、デメチルクロルテトラサイクリン等が挙げられる。 前記リンコマイシン系・ストレプトグラミン系抗生物質としては、リンコマイシン、クリンダマイシン、キヌプリスチン・ダルホプリスチン合剤等が挙げられる。 前記ポリペプチド系抗生物質としては、コリスチン、ポリミキシンB、バンコマイシン、テイコプラニン等が挙げられる。 前記ポリエン系抗生物質としては、アムホテリシンB、ナイスタチン、トリコマイシン、フルシトシン等が挙げられる。 アゾール系抗真菌薬としては、エコナゾール、ミコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール等が挙げられる。 抗ウイルス薬としては、アシクロビル、ビダラビン、ガンシクロビル、アマンタジン、リマンタジン、ザナミビル、オセルタミビル、ジドブジン、ジダノシン、ラミブジン、インジナビルエタノール付加物、リトナビル、サキナビル、インターフェロン製剤、リバビリン等が挙げられる。 上述の抗生物質は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 抗生物質の含有量は、線維化剤の質量に対して、0.0005〜1質量%であることが好ましい。 抗生物質の投与量としては、5〜1000μg/mLであることが好ましい。 (その他の添加剤) その他の添加剤としては、放射線不透過物質(例えば、メトリザミド、イオパミドール、ヨータラム酸ナトリウム、ヨードミドナトリウム、メグルミン等の水溶性放射線不透過物質、ならびに金、チタン、銀、ステンレス鋼、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の水不溶性放射線不透過物質)、常磁性体、重原子、遷移金属、ランタニド、アクチニド、染料、放射性核種等のコントラスト促進剤;ステロイド;気管支拡張薬;アシルグリセロール、中性脂肪、蝋、セラミド、リン脂質、スフィンゴリン脂質、グリセロリン脂質、糖脂質、スフィンゴ糖脂質、グリセロ糖脂質、リポタンパク質、スルホ脂質、イソプレノイド、脂肪酸、テルペノイド、ステロイド、カロテノイドなどの各種脂質;脂肪酸ナトリウム、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩などのアニオン性界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタインなどの双性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルモノグリセリルエーテルなどのノニオン性界面活性剤などが挙げられる。 これらのその他の添加剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。 また、その他の添加剤の量は、特に制限されず、適用される疾患の種類、重篤度等によって適宜選択できる。好ましくは、その他の添加剤の含有量は、線維化剤に対して、1〜200重量%である。 [剤形] 線維化剤は、特に制限されず、液体、ゲル状、粒子状、カプセル剤等の形態で投与されうる。 この際、前記線維化剤は、標的部位において、所定の剤形となっていればよい。したがって、例えば、線維化剤を構成する線維化誘発剤と、線維化促進剤と、を別途投与し、標的部位で所望の剤形としてもよい。 また、線維化剤は、異なる性状の線維化誘発剤および線維化促進剤が含まれた形態となっていてもよい。例えば、線維化誘発剤が固体であり、線維化促進剤がゲル状である場合には、ゲル状の線維化促進剤に、線維化誘発剤が分散された形態となっていてもよい。また、線維化剤が粒子状、カプセル状である場合には、線維化誘発剤はその内部に含まれていてもよい。 線維化剤の剤形は、患者や罹患部の状態等に応じて決定される好ましい投与形態に基づき選択することが好ましい。例えば、高齢により気管支上皮細胞の弾力性が低下している場合には、液体、粒子状の形態を選択することが好ましい。また、肺の上葉に著しい気腫化が認められる場合には、線維化剤の滞留性を得る観点から、粘性の液体、ゲル状、粒子状の形態を選択することが好ましい。 ここで、線維化剤をゲル状で投与する場合には、粘性が高くなるため標的部位への輸送が困難となる場合がある。そこで、輸送時におけるカテーテルを用いた加圧による輸送促進、線維化剤のゲル化直後の投与による輸送等を行うことにより、好適に線維化剤を標的部位に輸送することができる。また、線維化誘発剤、線維化促進剤を個別に投与した後、PRPゲル化剤を投与し、罹患部でゲル化を生じさせることもできる。なお、線維化剤のゲル化に要する時間は、アルギン酸の構造(例えば、M/G比、分子量等)、PRPゲル化剤の添加量、濃度、抗凝固剤の濃度等を制御することにより調節することができる。 なお、線維化剤として投与されるものでなく、罹患部において線維化剤となる場合には、線維化誘発剤、線維化促進剤、および必要に応じて、PRPゲル化剤、溶媒、抗生物質等を含むキットとして使用されることが好ましい。 [用途] 本形態に係る線維化剤は、好適に組織を線維化することができる。当該線維化剤の適応部位は、特に制限されないが、気管、肺の組織であることが好ましく、細気管支、呼吸細気管支、肺胞、肺胞嚢であることがより好ましく、肺胞、肺胞嚢であることがさらに好ましい。肺気腫の患者等の気腫化した肺組織に線維化を起こすことで、肺容量を減量させることができる。 よって、本発明の一形態によれば、本発明に係る線維化剤は、肺に好適に使用することができ、肺気腫の治療に好適に使用されうる。 肺気腫の治療に使用される場合の線維化剤の投与量は、患者の病態によっても異なるが、0.1〜50mL/kgであることが好ましく、0.3〜10mL/kgであることがより好ましい。 <線維化方法> 本発明の一形態によれば、上述の線維化剤を用いた線維化方法が提供される。 当該線維化方法は、第一の形態によれば、(a)カテーテルを、気道から気管、気管支または細気管支へ挿入し(工程(a));(b)前記カテーテルを介して肺胞または肺胞嚢を含む呼吸域中に線維化剤を投与する(工程(b))ことを有する。 また、第二の形態によれば、線維化方法は、(c)硬性鏡と投与用針筒を胸腔内に挿入し;(d)前記投与用針筒を介して、胸膜下に線維化剤を投与することを有する。 さらに、第三の形態によれば、線維化方法は、(e)開胸し;(f)線維化剤を任意の部位に投与することを有する。 上記線維化方法は、肺胞または肺胞嚢を線維化することが好ましい。また、前記線維化方法は、肺気腫の治療を目的とすることが好ましい。 なお、本明細書中、「呼吸域」とは、気管支樹(respiratory bronchiole)および肺胞域(two alveoli)を含む気管支より末端側の呼吸器官の総称である。具体的には、呼吸域は、気管支、細気管支、終末細気管支、呼吸細気管支、肺胞管(肺胞道)、肺胞、肺胞嚢、肺静脈、肺動脈を含み、呼吸細気管支、肺胞管(肺胞道)、肺胞、肺胞嚢、肺静脈を含むことが好ましい。また、本明細書では、「肺胞または肺胞嚢」は、肺胞および肺胞嚢の少なくとも一方を意図し、一括して「肺胞実質」とも称する。 線維化剤が投与される対象は、特に制限されないが、哺乳動物であることが好ましい。具体的には、投与対象は、ヒト、ペット、家庭動物、農場動物であり、より具体的には、ウサギ、犬、猫、馬、ヒツジ、ヤギ、霊長類、牛、豚、ラット、マウス、または他の動物が挙げられる。これらのうち、投与対象は、ヒト、ウサギ、犬、豚であることが好ましく、ヒトであることがより好ましい。 以下では、上記第一の形態に係る線維化方法について詳細に説明する。 [工程(a)] 本工程では、カテーテルを、気道から気管、気管支または細気管支へ挿入する。ここで、カテーテルは、いずれの部位にまで挿入されてもよいが、カテーテル先端を少なくとも第8分岐にまで挿入(設置)することが好ましい。気腫化した肺胞の開口部は、通常、第8分岐〜第12分岐より先に形成される。このため、カテーテル先端を第8分岐またはその先まで挿入することによって、次工程(b)で、狭い範囲に(所望の罹患部により選択的に)かつより多くの線維化剤を、気腫化した肺胞または肺胞嚢(以下、単に「気腫化した肺胞実質」とも称する)に導入/投与して、より効果的に線維化を誘発/誘導できる。また、カテーテル先端を第8分岐またはその先まで挿入することによって、正常な肺胞または肺胞嚢(以下、単に「正常な肺胞実質」とも称する)に線維化剤が入ることをより有効に抑制/防止する。このため、正常な肺胞または肺胞嚢は維持しつつ、正常な肺胞実質の線維化をより有効に抑制/防止できる。上記点を考慮すると、例えば、ヒト患者を対象とする場合には、カテーテルの外径は、好ましくは1.5〜5mm、より好ましくは2〜4mmである。なお、本明細書では、気管の最初の左右分岐を第1分岐とする。 カテーテルは、特に制限されず、導入する気管支または細気管支の直径(分岐回数)に応じて適宜選択される。具体的には、医療用途に使用される公知の呼吸器系、循環器系、消化器系カテーテル、米国特許出願公開第2006/0283462号明細書に記載の方法などが使用できる。また、カテーテルの構造もまた、特に制限されず、バルーンを有していてもよいし、バルーンをもたないものであってもよいが、気管内への搬送の容易性や線維化剤の投与しやすさなどを考慮すると、バルーンを有していることが好ましい。カテーテルのルーメンの数および内径もまた、特に制限されず、投与される物質(例えば、投与される線維化剤の投与量、物性、形状、添加剤の投与の有無など)、バルーンの有無などによって適宜選択される。 また、気腫化した肺胞実質近傍にカテーテルを挿入する際には、より近位部側に配置されたシースを介してカテーテルを挿入してもよい。前記シースの構造は、特に制限されず、バルーンを有していてもまたはバルーンをもたないものであってもよいが、気管支または細気管支を閉塞可能なバルーンを有していることが好ましい。これにより、シースを気管支または細気管支に固定できるため、カテーテルを安定して所望の位置にまで挿入できる。この際、シースに配置されるバルーンおよびカテーテルに配置されるバルーンの気管支または細気管支内への設置位置は特に制限されない。好ましくは、シースに配置されるバルーンが気管支に、カテーテルに配置されるバルーンがより末端側の気管支に、特に細気管支に設置される。このようにバルーンにより気管支または細気管支を閉塞することで、シースより遠位部側の気密度を高めることが可能となり、カテーテルを介して気腫化した肺胞実質に線維化剤をより効率的に導入/投与できる。また、シースおよびカテーテルのバルーン双方で気管支または細気管支の異なる部位を閉塞することによって、これらのバルーン間(例えば、正常な肺胞実質)の圧力ならびにカテーテルのバルーンより末梢側(例えば、気腫化した肺胞実質)の圧力を、それぞれ容易に調節することができる。 シースのバルーンで気管支または細気管支を閉塞することで、シースのバルーンより近位側においては、呼吸圧を加えて換気を維持することができ、効率的で安全な処置が可能である。ここで、シースのバルーンの拡張・収縮方法は、特に制限されないが、例えば、シースの基端側に設けられた三方活栓を用いて行われうる。 さらに、シース付属のバルーンより遠位部における圧力を一定にすることで、カテーテルより先端側の操作を安定して行うことができる。一例として、シースのバルーンで気管支または細気管支を閉塞し、シースにより遠位部を減圧することで、カテーテルに付属のバルーンへの気管支壁または細気管支壁の密着度を上げ、かつ、カテーテルより遠位部への側副路からの気体流入を防ぐことで、カテーテルより遠位部の減圧を容易にする。また、カテーテルより遠位部に一定圧力で線維化剤を導入/投与する際、前記シースより遠位部の圧力を線維化剤注入圧力よりも小さく、一定に保つことでより効率よく線維化剤を送達できる。ここで、シースより先端(末梢)側やカテーテルより先端(末梢)側の圧力の制御方法は特に制限されない。具体的には、シースの基端側に設けたシール弁体を介して、カテーテルをシース中に挿入する。このようにシール弁体を設けることによって、シースより先端(末梢)側の肺胞実質内を閉鎖系にすることができるため、当該部位の圧力制御を容易に行うことができる。また、シースの基端部に三方活栓を設け、この三方活栓から気体を導入または吸引することによって、シースより先端(末梢)側の肺胞実質内の圧力を制御することができる。カテーテルより先端(末梢)側の圧力の制御方法もまた同様にして行われうる。カテーテルの基端側にシール弁体を設けることによって、カテーテルより先端(末梢)側の肺胞実質内を閉鎖系にすることができるため、当該部位の圧力制御が容易に行うことができる。また、カテーテルの基端側に三方活栓を設け、この三方活栓から気体を導入または吸引することによって、カテーテルより先端(末梢)側の肺胞実質内の圧力を制御することができる。また、カテーテルのバルーンの拡張・収縮方法は、特に制限されないが、カテーテルの基端側に設けられた三方活栓を用いて行われうる。また、カテーテルの所望の位置への挿入をより容易にすることを目的として、カテーテルはガイドワイヤーを導入するためのルーメンを有していてもよい。 例えば、気管支を閉塞するためのカテーテルのバルーンを備えたカテーテルであって、遠位部側と近位部側とに開口部を備えて遠位部側に送液可能なルーメンを備えたカテーテル、心臓血管領域において血管内腔の狭窄治療に用いられるOTW型のPTCAカテーテルが使用される。ここで、カテーテルは、市販品を使用してもよく、例えば、心臓血管領域において血管内腔の狭窄にガイドワイヤーを通過させるために用いられるマイクロカテーテル(例えば、FINECROSS(登録商標)、テルモ株式会社製)、PTCAカテーテル(例えば、Ryujin Plus OTW(登録商標)、テルモ株式会社製)、オクリュージョンマイクロバルーンカテーテル(例えばATTENDANT(登録商標)テルモクリニカルサプライ社製)などが使用される。ここで、上記カテーテルは、気管支鏡のワーキングルーメンから気管支内腔へ挿入されうるが、任意の箇所にカテーテルを配置できるのであれば、気管支鏡を使用することは必須ではない。また、カテーテルもしくはカテーテルのバルーンの拡張時の外径は、特に制限されず、気管支または細気管支の直径に応じて適宜選択される。具体的には、カテーテルのバルーンの拡張時の外径は、挿入されたカテーテル先端に位置する気管支または細気管支の内径よりもやや大きめのサイズとなるものを用いることが好ましい。より好ましくは、カテーテルのバルーンの拡張時の外径[Y(mm)]は、気管支または細気管支の内径[X(mm)]の約1〜2倍である。この場合には、弾性に富む平滑筋によって形成される気管支または細気管支が、過度に損傷を受けることなく、カテーテルもしくはバルーン部に圧着できる。 本工程において、カテーテルのルーメン(例えば、送液用のルーメン)にガイドワイヤーを挿入して、カテーテルを気管支または細気管支に導入してもよい。これにより、カテーテルの先端よりもガイドワイヤーの先端を、より末梢側に配置されるような位置関係に保ちながら操作を行うことが可能である。このため、カテーテル先端部を、気管支または細気管支より末梢側の肺胞嚢(空気嚢)または肺胞の組織近くに誘導できる。ここで、ガイドワイヤーとしては、医療用途に使用される公知の呼吸器系、循環器系、消化器系ガイドワイヤーなどが使用でき、その外径などは使用するカテーテルのルーメンの大きさなどに応じて適宜選択できる。具体的には、心臓血管の治療で用いられるガイドワイヤー、例えば、Runthrough(登録商標)(テルモ株式会社製、外径:0.014インチ)のガイドワイヤーなどが使用できる。 ガイドワイヤーの先端部やカテーテルの先端には、造影性を有する部材が配置されることが好ましい。X線透視下で観察することによって、内視鏡の先端から突出したガイドワイヤーおよびカテーテルの先端位置を把握し、X線透視やCT撮影によって予め特定した気腫化した肺胞または肺胞嚢を含む呼吸域まで誘導することができる。この場合には、X線透視により目的の部位にカテーテルの先端が到達していることを確認した後、ガイドワイヤーを抜去する。また、カテーテルの先端よりもガイドワイヤーの先端がより末梢側に配置されるような位置関係を保ちながら操作を行うことが好ましい。加えて、カテーテル先端が、網目構造または複数の孔を有するなどの、肺胞、肺胞嚢をはじめとする呼吸域内壁に付着するのを抑制・防止できる構造を有することが好ましい。 [工程(b)] 本工程では、上記工程(a)で挿入したカテーテルを介して、肺胞または肺胞嚢を含む呼吸域中に線維化剤を投与する。当該操作によって、線維化剤を効率よく罹患部(気腫化した肺胞実質)内に配置して、当該部位での線維化を誘発・促進して、肺容量を減量する。 上述のように、線維化剤は種々の剤形、形態で投与されうることから、投与方法は特に制限されない。例えば、予め線維化剤を調製し、当該線維化剤を投与する方法;線維化誘発剤および線維化促進剤を投与し、次いで、PRPゲル化剤を投与する方法;線維化促進剤を投与し、次いで、線維化誘発剤およびPRPゲル化剤を投与する方法等が挙げられる。この際、必要に応じて使用される溶媒および抗生物質は、線維化誘発剤、線維化促進剤、PRPゲル化剤に混合して投与してもよいし、別途個別に投与してもよい。 上記の投与方法のうち、線維化誘発剤および線維化誘発剤を投与した後に、多血小板血漿(PRP)のゲル化剤を投与する方法;線維化誘発剤、線維化促進剤、PRPのゲル化剤の混合物を投与する方法が好ましい。 したがって、本工程における「線維化剤を投与」とは、罹患部において線維化剤が投与された状態になっていればよいことから、線維化剤を構成する成分を個別に投与することをも含む。 また、線維化剤の投与の際には、輸送を補助するために、呼吸域をカテーテル等により加圧してもよい。 具体的な線維化剤の投与方法は、公知の技術常識を参酌し、使用される線維化剤の剤形、成分、患者や罹患部の状況等を総合的に考慮して適宜設定されうる。 なお、粒子状の線維化誘発剤を使用する場合には、予め、肺気腫の肺胞または肺胞嚢の入口径(直径)および/または正常な肺胞または肺胞嚢の入口径(直径)を測定し、測定した入口径に基づいて、投与する線維化誘発剤の平均粒径を決定することが好ましい。すなわち、本発明の方法は、工程(b)の前に、肺気腫の肺胞または肺胞嚢の入口径(直径)および/または正常な肺胞または肺胞嚢の入口径(直径)を測定した後、測定値に基づき使用する線維化誘発剤の平均粒径を決定することをさらに有することが好ましい。これにより、肺気腫の肺胞または肺胞嚢からの留出(排出)を抑制または防止でき、または、正常な肺胞または肺胞嚢への線維化誘発剤の侵入を防止または抑制することができる。なお、上記の「予め、肺気腫の肺胞または肺胞嚢の入口径(直径)および/または正常な肺胞または肺胞嚢の入口径(直径)を測定」する工程および「測定した入口径に基づいて、投与する線維化誘発剤の平均粒径を決定する」工程は、連続的に行われてもよいが、間隔をあけて行ってもよい。 前記肺気腫の肺胞または肺胞嚢の入口径(直径)および/または正常な肺胞または肺胞嚢の入口径(直径)の測定方法は、特に制限されないが、内視鏡で観察する方法、入口径が大きい(1mm以上)場合にはCTで観察する方法、造影剤を気管支内に投与し、X線を用いて測定する方法、肺胞または肺胞嚢の入口付近にプローブを挿入し、超音波や赤外線などを用いて視覚化する方法等が挙げられる。なお、測定が困難である等の場合には、測定に代えて、統計的に一般的な肺気腫の肺胞または肺胞嚢の入口径(直径)および正常な肺胞または肺胞嚢の入口径(直径)を代入してもよい。 本形態にかかる線維化剤は効果的に組織の線維化を誘発できることから、工程(b)により線維化剤を呼吸域中に投与することで、組織、具体的には気腫化した肺胞実質の線維化を生じさせることができる。これにより、肺容量を減量することができ、肺気腫や気管支の閉塞により患者を衰弱させる一因である肺の過膨張を緩和・抑制することができる。また、気腫化した肺胞実質の大きさをもとの大きさ以下に小さくすることにより、これらの周りの肺胞実質による周辺の気管支の圧迫や閉塞を抑制・防止できる。さらに、本線維化方法によれば、カテーテルを介して治療を行い、外科的な処置を必要としないため、患者にかかる負担を低減できる。上記に加えて、本線維化方法によると、気腫化した肺胞実質内壁に結合組織(特に、線維芽細胞)を増殖させるため、気腫化した肺胞実質の弾性を回復させるため、肺の過膨張を緩和・抑制することができる。 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 [実施例1] 線維化誘発剤としてアルギン酸ナトリウムを使用し、線維化促進剤として多血小板血漿(PRP)を使用した。 (アルギン酸ナトリウム水溶液の調製) 0.15gのアルギン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を逆浸透水(RO水)30mLに溶解した後、滅菌フィルター(Millipore 0.22μm)を用いてろ過滅菌することで、アルギン酸ナトリウム水溶液(0.5%w/v)を調製した。得られたアルギン酸ナトリウム水溶液は、粘性の液体であった。 (多血小板血漿(PRP)の調製) 抗凝固剤であるACD−A液(クエン酸ブドウ糖液、テルモ株式会社製)1.0mLを予め充填したシリンジ(10mL)を2本用意し、無麻酔下にて、日本白色ウサギ(クリーン、雄、3.0〜3.49kg)の耳介動脈から10mLずつ採血を行った。採血した血液を15mL容量の遠沈管に移し、ゆるやかに転倒混和した。 冷却遠心機(久保田商事株式会社製)を用いて、230×g、20℃の条件で10分間遠心分離し、血液から上清(血漿)を分取した。次いで、分取した上清(血漿)を840×g、20℃の条件で8分間遠心分離することで、沈殿物を得た。 また、残りの血液を1280×g、20℃の条件で10分間遠心分離し、上層の貧血小板血漿(PPP)を分取した。 上記で得た沈殿物を、上記で分取した1mLの貧血小板血漿(PPP)に再浮遊させることで、多血小板血漿(PRP)を調製した。 なお、多項目自動血球計数装置(シスメックス)にて血小板数を計測したところ、100×104〜130×104cells/μLであった。また、得られた多血小板血漿(PRP)は、通常の液体であった。 (線維化剤の製造) アルギン酸水溶液と、多血小板血漿(PRP)とを1:1(体積比)で混合することで、線維化剤を製造した。得られた線維化剤は、粘性の液体であった。 (動物への投与) 動物として、日本白色ウサギ(クリーン、雄、3.0〜3.49kg)を使用した。 まず、キシラジン塩酸塩を生理食塩水で4倍希釈し、5mg/kg(1mL/kg)となる投与量で、麻酔前投薬として日本白色ウサギに筋肉内注射した。 次に、ソムノペンチル(ペントバルビタールナトリウム)を生理食塩水で3.24倍希釈し、20mg/kg(1mL/kg)となる投与量で、麻酔薬として白色ウサギに耳介静脈より静脈内注射した。なお、術中に反射があった場合、10mg/kg(0.5mL/kg)の投与量で追加投与を行い、麻酔深度を維持した。 麻酔後、線維化剤を、カテーテルを用いて日本白色ウサギの気管支に投与した。 具体的には、十分な麻酔深度を確認した後、日本白色ウサギの頸部正中部を切開して、気管を露出させた。切開した気管より、まず0.035インチのガイドワイヤー(テルモ株式会社製)を右肺後葉の第7肋骨部位(3分枝上部)まで挿入した。次にリドカインを塗布した6Frガイディングカテーテル(テルモ株式会社製)のルーメンにガイドワイヤーを通し、カテーテル先端を第7肋骨まで挿入し、ガイドワイヤーを抜去した。 そして、カテーテルを介して、上記で製造した線維化剤0.5mLを2度注入し、空気10mLを注入し、再度線維化剤0.5mLを2度注入し、最後に空気10mLを注入した。なお、線維化剤および空気は吸気にあわせて注入した。 線維化剤を投与後、日本白色ウサギの気管を縫合し、ビクシリン注射用0.5g(アンピシリンナトリウム)を生理食塩水10mLで希釈し、2mL(100mg/head)となる投与量で、日本白色ウサギの傍切開部に筋肉内注射した。 [実施例2] 線維化誘発剤としてアルギン酸ナトリウムを使用し、線維化促進剤として多血小板血漿(PRP)を使用した。また、併せて多血小板血漿(PRP)ゲル化剤として塩化カルシウムを使用した。 (アルギン酸ナトリウム水溶液および多血小板血漿(PRP)の調製) 実施例1と同様の方法でアルギン酸ナトリウム水溶液および多血小板血漿(PRP)を調製した。 (混合液の調製) アルギン酸水溶液と、多血小板血漿(PRP)とを1:1(体積比)で混合して、混合液を調製した。得られた混合液は、粘性の液体であった。 (塩化カルシウム水溶液の調製) 0.222gの塩化カルシウム(和光純薬工業株式会社製)を逆浸透水(RO水)50mLに溶解した後、メスアップすることで、40mMの塩化カルシウム水溶液を調製した。なお、塩化カルシウム水溶液は、121℃で20分間のオートクレーブ滅菌を行った。また、得られた塩化カルシウム水溶液は、通常の液体であった。 (動物への投与) 以下のように混合液および塩化カルシウム水溶液を投与したことを除いては、実施例1と同様の方法で行った。 混合液および塩化カルシウム水溶液の投与 塩化カルシウム水溶液を投与した後、混合液を投与することで投与した。これにより、日本白色ウサギの生体内で、アルギン酸ナトリウム、多血小板血漿(PRP)、および塩化カルシウムを含む線維化剤となる。この際、当該線維化剤は、ゲル状である。 カテーテルを介して、塩化カルシウム水溶液0.5mLを注入した後、混合液を1.0mL注入した。次いで、空気10mLを注入した。さらにこれを繰り返した。すなわち、塩化カルシウム水溶液0.5mL、混合液1.0mL、および空気10mLをこの順でさらに注入した。なお、塩化カルシウム水溶液、混合液、空気は吸気にあわせて注入した。 [比較例1] 線維化誘発剤としてアルギン酸ナトリウムのみを使用した。 (アルギン酸ナトリウム水溶液の調製) 実施例1と同様の方法でアルギン酸ナトリウム水溶液を調製した。 (動物への投与) 以下のようにアルギン酸ナトリウム水溶液を投与したことを除いては、実施例1と同様の方法で行った。 アルギン酸ナトリウム水溶液の投与 カテーテルを介して、アルギン酸ナトリウム水溶液0.5mLを2度注入し、空気10mLを注入し、再度アルギン酸ナトリウム水溶液0.5mLを2度注入し、最後に空気10mLを注入した。なお、アルギン酸ナトリウム水溶液および空気は吸気にあわせて注入した。 [比較例2] 線維化促進剤である多血小板血漿(PRP)のみを使用した。 (多血小板血漿(PRP)の調製) 実施例1と同様の方法で多血小板血漿(PRP)を調製した。 (動物への投与) 以下のように多血小板血漿(PRP)を投与したことを除いては、実施例1と同様の方法で行った。 多血小板血漿(PRP)の投与 カテーテルを介して、多血小板血漿(PRP)0.5mLを2度注入し、空気10mLを注入し、再度多血小板血漿(PRP)0.5mLを2度注入し、最後に空気10mLを注入した。なお、多血小板血漿(PRP)および空気は吸気にあわせて注入した。 [比較例3] 線維化促進剤である多血小板血漿(PRP)および多血小板血漿(PRP)ゲル化剤である塩化カルシウム水溶液のみを使用した。 (多血小板血漿(PRP)および塩化カルシウム水溶液の調製) 実施例1と同様の方法で多血小板血漿(PRP)を調製した。また、実施例2と同様の方法で塩化カルシウム水溶液を調製した。 (混合液の調製) 多血小板血漿(PRP)と、塩化カルシウム水溶液とを9:1(体積比)で混合して、混合液を調製した。得られた混合液は、粘性の液体であった。 (動物への投与) 以下のように混合液を投与したことを除いては、実施例1と同様の方法で行った。 混合液の投与 カテーテルを介して、混合液0.5mLを2度注入し、空気10mLを注入し、再度混合液0.5mLを2度注入し、最後に空気10mLを注入した。なお、混合液および空気は吸気にあわせて注入した。 [比較例4] 線維化誘発剤であるアルギン酸ナトリウムを、多血小板血漿(PRP)ゲル化剤である塩化カルシウムと併用した。 (アルギン酸ナトリウム水溶液および塩化カルシウム水溶液の調製) 実施例1と同様の方法でアルギン酸ナトリウム水溶液を調製した。また、実施例2と同様の方法で塩化カルシウム水溶液を調製した。 (動物への投与) 以下のようにアルギン酸ナトリウム水溶液および塩化カルシウム水溶液を投与したことを除いては、実施例1と同様の方法で行った。 アルギン酸ナトリウム水溶液および塩化カルシウム水溶液の投与 カテーテルを介して、塩化カルシウム水溶液0.5mLを注入した後、アルギン酸ナトリウム水溶液を1.0mL注入した。次いで、空気10mLを注入した。さらにこれを繰り返した。すなわち、塩化カルシウム水溶液0.5mL、アルギン酸ナトリウム水溶液1.0mL、および空気10mLをこの順でさらに注入した。なお、塩化カルシウム水溶液、アルギン酸ナトリウム水溶液、空気は吸気にあわせて注入した。 [実施例3] 線維化誘発剤としてアルギン酸鉄を使用し、線維化促進剤として多血小板血漿(PRP)を使用した。また、併せて多血小板血漿(PRP)ゲル化剤として塩化カルシウムを使用した。 (アルギン酸鉄水分散液の調製) 5.0gの塩化鉄を(和光純薬工業株式会社製)を逆浸透水(RO水)500mLに溶解して、塩化鉄水溶液(1%w/v)を調製した。 また、1.5gのアルギン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を逆浸透水(RO水)150mLに溶解し、アルギン酸ナトリウム水溶液(1%w/v)を調製した。 塩化鉄水溶液を撹拌し、当該塩化鉄水溶液にアルギン酸ナトリウム水溶液を霧状にして添加することで、ビーズ状のアルギン酸鉄を得た。アルギン酸鉄を含む溶液を見開き100μmの篩にかけ、塩化鉄水溶液でよく洗浄して、塩化鉄水溶液中で1晩静置した。その後、上清をアスピレーターで除去し、500×gにて3分間遠心した。70%エタノールで3回洗浄し、上清を捨てた後、ビーズ体積の0.5倍量の蒸留水(大塚製薬社製)に懸濁することで、アルギン酸鉄分散液を調製した。 (多血小板血漿(PRP)および塩化カルシウム水溶液の調製) 実施例1と同様の方法で多血小板血漿(PRP)を調製した。また、実施例2と同様の方法で塩化カルシウム水溶液を調製した。 (線維化剤の製造) アルギン酸鉄水分散液と、多血小板血漿(PRP)とを1:1(体積比)で混合、撹拌し、混合液を得た。次いで、混合液と、塩化カルシウム水溶液とを10:1(体積比)で混合、撹拌することで、線維化剤を製造した。得られた線維化剤は、ゲル状であり、ビーズ状のアルギン酸鉄はゲル中に分散されていた。なお、以下の動物への投与は、塩化カルシウム水溶液の混合後、ゲル化が完全に進行する前に行った。 (動物への投与) 以下のように線維化剤を投与したことを除いては、実施例1と同様の方法で行った。 線維化剤の投与 カテーテルを介して、線維化剤0.6mLを2度注入し、空気10mLを注入し、再度線維化剤0.5mLを2度注入し、最後に空気10mLを注入した。なお、線維化剤および空気は吸気にあわせて注入した。 [比較例5] 線維化誘発剤としてアルギン酸鉄のみを使用した。 (アルギン酸鉄水分散液の調製) 実施例3と同様の方法でアルギン酸鉄水分散液を調製した。 (動物への投与) 以下のようにアルギン酸鉄水分散液を投与したことを除いては、実施例1と同様の方法で行った。 アルギン酸鉄水分散液の投与 カテーテルを介して、アルギン酸鉄水分散液0.5mLを2度注入し、空気10mLを注入し、再度アルギン酸鉄水分散液0.5mLを2度注入し、最後に空気10mLを注入した。なお、アルギン酸鉄水分散液および空気は吸気にあわせて注入した。 [実施例4] 線維化誘発剤としてアルギン酸カルシウムを使用し、線維化促進剤として多血小板血漿(PRP)を使用した。また、併せて多血小板血漿(PRP)ゲル化剤として塩化カルシウムを使用した。 (アルギン酸カルシウム水分散液の調製) 6.0gの塩化カルシウム(和光純薬工業株式会社製)を逆浸透水(RO水)600mLに溶解して、塩化カルシウム水溶液(1%w/v)を調製した。 また、1.5gのアルギン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を逆浸透水(RO水)150mLに溶解し、アルギン酸ナトリウム水溶液(1%w/v)を調製した。 塩化カルシウム水溶液を撹拌し、当該塩化カルシウム水溶液にアルギン酸ナトリウム水溶液を霧状に添加することで、ビーズ状のアルギン酸カルシウムを得た。アルギン酸カルシウムを含む溶液を目開き100μmの網目篩にかけ、塩化カルシウム水溶液でよく洗浄して、塩化カルシウム水溶液中で1晩静置した。その後、上清をアスピレーターで除去し、500×gにて3分間遠心した。70%エタノールで3回洗浄し、上清を捨てた後、ビーズ体積の0.5倍量の蒸留水に懸濁した。これにより、粒径が100μm以下のアルギン酸カルシウム(平均粒径:89μm)の水分散液を調製した。なお、平均粒径はLS粒度分布測定装置(Beckman Coulter)の方法によって求めた。 (多血小板血漿(PRP)および塩化カルシウム水溶液の調製) 実施例1と同様の方法で多血小板血漿(PRP)を調製した。また、実施例2と同様の方法で塩化カルシウム水溶液を調製した。 (線維化剤の製造) アルギン酸カルシウム水分散液と、多血小板血漿(PRP)とを1:1(体積比)で混合、撹拌し、混合液を得た、次いで、混合液と、塩化カルシウム水溶液とを10:1(体積比)で混合、撹拌することで、線維化剤を製造した。得られた線維化剤は、ゲル状であり、ビーズ状のアルギン酸カルシウムはゲル中に分散されていた。なお、以下の動物への投与は、塩化カルシウム水溶液の混合後、ゲル化が完全に進行する前に行った。 (動物への投与) 以下のように線維化剤を投与したことを除いては、実施例1と同様の方法で行った。 線維化剤の投与 カテーテルを介して、線維化剤0.6mLを2度注入し、空気10mLを注入し、再度線維化剤0.5mLを2度注入し、最後に空気10mLを注入した。なお、線維化剤および空気は吸気にあわせて注入した。 実施例1〜4および比較例1〜5の線維化剤を、下記表1にまとめた。 [評価] 実施例1〜4および比較例1〜5において、動物へ投与した線維化剤の効果を評価した。 具体的には、投与1週間後または4週間後に、ソムノペンチル(ペントバルビタールナトリウム)を生理食塩水で2倍希釈し、45mg/kg(1mL/kg)となる投与量で、麻酔薬として白色ウサギに耳介静脈より静脈内注射した。 麻酔下にて日本白色ウサギを仰臥位で開腹し、心臓から生理食塩水の灌流(ヘパリン10単位/mL、100mL/羽)を行った後、腹部大動脈から放血致死させ、肺を摘出した。摘出された肺に10%緩衝ホルマリン(病理組織保存固定液、組成(100mL中);ホルマリン(ホルムアルデヒド35〜38%)10mL、リン酸二水素ナトリウム0.4g、無水リン酸一水素ナトリウム0.65g、精製水)を25cm水中圧で注入し、肺を10%緩衝ホルマリン中で24時間静置することで、浸漬固定を行った。その後、パラフィン包埋し、ヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)標本およびマッソントリクローム染色標本(MT染色)を作製し、光学顕微鏡下で肺組織の線維化および肉芽腫性炎について病理学的観察を行った。なお、実施例1、2、比較例1〜4、実施例3、比較例5については、この順に投与1週後または4週後の光学顕微鏡写真を図1A〜8Cに示す。 (線維化) 線維化は、線維芽細胞の出現または細胞外器質の沈着の有無により判断することができる。当該線維化は、以下の基準によって評価した。 −:標本において、線維化が観察されない ±:標本において、線維化が1箇所である +:標本において、線維化が1箇所以上5箇所未満である ++:標本において、線維化が5箇所以上10箇所未満である +++:標本において、線維化が10箇所以上である。 (肉芽腫性炎) 肉芽腫性炎は、マクロファージ、多核巨細胞、リンパ球、線維組織等の増生による巣状病変の有無により判断することができる。当該肉芽腫性炎は、以下の基準によって評価した。なお、肉芽腫性炎は将来線維化につながるものである。 −:標本において、肉芽腫性炎が観察されない ±:標本において、肉芽腫性炎が1箇所である +:標本において、肉芽腫性炎が2箇所以上5箇所未満である ++:標本において、肉芽腫性炎が5箇所以上10箇所未満である +++:標本において、線維化が10箇所以上である。 上記表2の結果から、実施例1〜4に係る線維化剤は、肺の線維化またはその前段階である肉芽腫性炎を促進していることが分かる。一方、比較例1〜5に係る線維化剤は肺の線維化または肉芽腫性炎を起こしていないか、または起こしていたとしても効果が弱いことが分かる。 具体的には、実施例1においては、線維化はほとんど観察されなかったものの、肉芽腫性炎は1週後および4週後において強く観察された(図1A〜1D)。強い肉芽腫性炎の発生により、さらに期間を設けることで、線維化が起こるものと推察される。なお、1週後および4週後において効果が低下している理由としては、個体差によるものと考えられる。 実施例2には、PRPゲル化剤(塩化カルシウム)を併用することで、実施例1よりも高い効果を示した。具体的には、1週後および4週後において、線維化が強く観察された(図2A〜2D)。また、1週後および4週後において、肉芽腫性炎も実施例1よりも強く観察された(図2EおよびF)。ゲル化剤を添加し、肺内部における流動性を低下させることで、細胞への滞留性が向上したことにより、効果が向上したと考えられる。 一方、比較例1および4の結果から、アルギン酸ナトリウムを使用した場合、線維化はほとんど生じなかった(図3A〜3C)。また、肉芽腫性炎は起こるものの、その効果は低かった(図3D)。また、アルギン酸ナトリウムに多血小板血漿(PRP)ゲル化剤を併用した場合、一定の効果の向上は認められたものの、効果の向上は限定的であった(図6A〜6E)。 また、比較例2および3の結果から、多血小板血漿(PRP)には、線維化誘発作用がないことが確認された(図4および5)。 さらに、実施例3および比較例5の結果から、アルギン酸鉄は線維化誘発作用を有することが分かった。この際、アルギン酸鉄単独で使用した場合には、線維化の効果は低く(図8A〜8C)、多血小板血漿(PRP)および多血小板血漿(PRP)ゲル化剤を併用することで、効果の向上が認められた(図7A〜7E)。 そして、実施例4として、アルギン酸カルシウムを、多血小板血漿(PRP)および多血小板血漿(PRP)ゲル化剤と併用して用いた場合に、極めて高い線維化の発生が自明である。 線維化誘発剤および線維化促進剤を含む、線維化剤。 前記線維化促進剤が、血小板または多血小板血漿(PRP)を含む、請求項1に記載の線維化剤。 前記線維化促進剤が、多血小板血漿(PRP)を含み、 多血小板血漿(PRP)ゲル化剤をさらに含む、請求項2に記載の線維化剤。 前記多血小板血漿(PRP)ゲル化剤が、カルシウム、カルシウム塩、フィブリン、フィブリノゲン、トロンビン、ビタミンK、および第X因子からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項3に記載の線維化剤。 前記線維化誘発剤が、ポリアニオンを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の線維化剤。 前記ポリアニオンが、アルギン酸、アルギン酸塩、およびアルギン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項5に記載の線維化剤。 肺気腫の治療に使用される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の線維化剤。 【課題】組織の線維化作用に優れる線維化剤を提供する。【解決手段】線維化誘発剤および線維化促進剤を含む、線維化剤。【選択図】なし