タイトル: | 公開特許公報(A)_サーチュイン誘導剤 |
出願番号: | 2013169550 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 31/728,A61K 31/05,A61P 17/00,A61P 43/00,A61P 9/00,A61P 19/10,A61P 1/04,A61P 25/28,A61P 35/00,A61P 3/04,A61P 11/00,A61P 13/12,A61P 3/10,A61P 19/02,A61P 29/00,A61P 21/00,A61P 25/00,A61P 27/02,A61P 9/12,A61Q 19/08,A61Q 19/00,A61K 8/73,A61K 8/34,A23L 1/30 |
浅利 晃 JP 2015038045 公開特許公報(A) 20150226 2013169550 20130819 サーチュイン誘導剤 株式会社ヒアルロン酸研究所 512044688 松井 茂 100086689 宮尾 武孝 100157772 西田 英世 100182040 浅利 晃 A61K 31/728 20060101AFI20150130BHJP A61K 31/05 20060101ALI20150130BHJP A61P 17/00 20060101ALI20150130BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150130BHJP A61P 9/00 20060101ALI20150130BHJP A61P 19/10 20060101ALI20150130BHJP A61P 1/04 20060101ALI20150130BHJP A61P 25/28 20060101ALI20150130BHJP A61P 35/00 20060101ALI20150130BHJP A61P 3/04 20060101ALI20150130BHJP A61P 11/00 20060101ALI20150130BHJP A61P 13/12 20060101ALI20150130BHJP A61P 3/10 20060101ALI20150130BHJP A61P 19/02 20060101ALI20150130BHJP A61P 29/00 20060101ALI20150130BHJP A61P 21/00 20060101ALI20150130BHJP A61P 25/00 20060101ALI20150130BHJP A61P 27/02 20060101ALI20150130BHJP A61P 9/12 20060101ALI20150130BHJP A61Q 19/08 20060101ALI20150130BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20150130BHJP A61K 8/73 20060101ALI20150130BHJP A61K 8/34 20060101ALI20150130BHJP A23L 1/30 20060101ALI20150130BHJP JPA61K31/728A61K31/05A61P17/00A61P43/00 105A61P9/00A61P19/10A61P1/04A61P25/28A61P35/00A61P3/04A61P11/00A61P13/12A61P3/10A61P19/02A61P29/00 101A61P21/00A61P25/00A61P27/02A61P9/12A61Q19/08A61Q19/00A61K8/73A61K8/34A23L1/30 Z 6 OL 20 4B018 4C083 4C086 4C206 4B018LB10 4B018MD08 4B018MD31 4B018MD33 4B018ME03 4B018ME05 4B018ME10 4B018ME14 4B018MF01 4B018MF12 4C083AC471 4C083AD331 4C083EE12 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA25 4C086MA02 4C086MA04 4C086MA08 4C086MA63 4C086NA05 4C086NA14 4C086ZA01 4C086ZA16 4C086ZA33 4C086ZA36 4C086ZA42 4C086ZA59 4C086ZA66 4C086ZA70 4C086ZA81 4C086ZA89 4C086ZA94 4C086ZA97 4C086ZB15 4C086ZB21 4C086ZB26 4C086ZC35 4C086ZC75 4C206AA01 4C206AA02 4C206CA20 4C206MA02 4C206MA04 4C206MA83 4C206NA05 4C206NA14 4C206ZA01 4C206ZA16 4C206ZA33 4C206ZA36 4C206ZA42 4C206ZA59 4C206ZA66 4C206ZA70 4C206ZA81 4C206ZA89 4C206ZA94 4C206ZA97 4C206ZB15 4C206ZB21 4C206ZB26 4C206ZC35 4C206ZC75 本発明は、ヒアルロン酸オリゴ糖を利用した、サーチュイン誘導剤に関する。 ヒアルロン酸は、関節、皮膚、脳などの細胞外マトリックスを構成する天然高分子として知られ、従来から、医薬品や化粧料に保湿成分として用いられている。 ヒアルロン酸は、D−グルクロン酸とN−アセチル−D−グルコサミンの二糖単位が連結した多糖類であり、その分子量によって、高分子量ヒアルロン酸、低分子量ヒアルロン酸、又はヒアルロン酸オリゴ糖に分類される。高分子量ヒアルロン酸の分子量は一般的に10万から100万程度である。低分子量ヒアルロン酸の分子量は1万から10万程度である。ヒアルロン酸オリゴ糖の分子量は、400から1万程度である(非特許文献1)。そして、ヒアルロン酸は、生体内でも様々な生理活性を有しており、その生理活性は分子量によって大きく異なる(非特許文献2)。Science、 第228巻第1324〜1326頁(1985年)Medical Application of Hyaluronan、Akira Asari.Chapter 21、Chemistry and Biology of Hyaluronan、Elsevier、ed:Garg、HG and Hales CA、457〜473頁(2004年) 特に、ヒアルロン酸オリゴ糖の生理活性は、高分子量のヒアルロン酸や低分子量のヒアルロン酸とは非常に異なると考えられている。しかしながら、その機能や効用などは未だ明らかではなかった。 本発明の目的は、ヒアルロン酸オリゴ糖を利用した、サーチュイン誘導剤を提供することにある。 本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。[1]2糖以上5糖以下のサイズから選択されるヒアルロン酸オリゴ糖の少なくとも1種とポリフェノールとの組合せからなることを特徴とするサーチュイン誘導剤。[2]前記ポリフェノールがレスベラトロールである上記[1]記載のサーチュイン誘導剤。[3]老化抑制のために用いられる上記[1]又は[2]記載のサーチュイン誘導剤。[4]角化細胞バリア機能促進のために用いられる上記[1]又は[2]記載のサーチュイン誘導剤。[5]心臓疾患、動脈硬化、骨粗鬆症、炎症性腸炎、認知症、脳卒中、メタボリックシンドローム、癌、肺疾患、腎疾患、糖尿病、変形性関節症、リウマチ、プロジェリア、放射線障害、筋疾患、脳発達障害、神経疾患、高血圧、又は肥満の治療及び/又は予防のために用いられる上記[1]又は[2]記載のサーチュイン誘導剤。[6]医薬品、機能性食品、又は化粧料の形態で用いられる上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載のサーチュイン誘導剤。 本発明のサーチュイン誘導剤によれば、2糖以上5糖以下のサイズから選択されるヒアルロン酸オリゴ糖の少なくとも1種とポリフェノールとの組合せを有効成分とするので、これによりサーチュイン蛋白質の発現を促進することができる。よって、例えば、心臓疾患、動脈硬化、骨粗鬆症、炎症性腸炎、認知症、脳卒中、メタボリックシンドローム、癌、肺疾患、腎疾患、糖尿病、変形性関節症、リウマチ、プロジェリア、放射線障害、筋疾患、脳発達障害、神経疾患、高血圧、又は肥満の治療及び/又は予防のために用いられる。また、細胞、組織、生物個体等の老化を抑制のために用いられる。そして、生物個体を健康にたもち、その寿命を長くすることができる。細胞、生体組織レベルにおいても、その老化を抑制して、例えば、その活性維持や生存期間の延長を図ることができる。更に、また、角化細胞において、サーチュイン蛋白質とともにフィラグリン蛋白質の発現を促進することができる。よって、例えば、細菌、ウイルスなどに対する感染防御、ハウスダスト、花粉などに対するアレルギー防御、物理的、化学的、又は生物学的要因による創傷の防御、その他の防御、その感染症、アレルギー、創傷などを起こしたときの症状緩和や早期治癒促進のために用いられる。試験例の各試験群についてヒト表皮角化細胞を抗SIRT1抗体で染色した染色像を示す写真である。試験例の各試験群についてヒト表皮角化細胞を抗SIRT1抗体で染色した染色強度の結果を示す図表である。試験例の各試験群についてヒト表皮角化細胞を抗Filaggrin抗体で染色した染色像を示す写真である。試験例の各試験群についてヒト表皮角化細胞を抗Filaggrin抗体で染色した染色強度の結果を示す図表である。 (ヒアルロン酸オリゴ糖) 本発明で使用するヒアルロン酸オリゴ糖は、ヒアルロン酸の構成単位である、D−グルクロン酸とN−アセチル−D−グルコサミンとがグリコシド結合してなる二糖単位を少なくとも含み、2糖以上5糖以下のサイズのものを意味する。具体的には、下記式(1)、式(2)、式(3)又は式(4)で表わされる構造を有するヒアルロン酸オリゴ糖である。GlcA(−GlcNAc−GlcA)n−GlcNAc …(1)(式(1)中、GlcAはグルクロン酸残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、−はグリコシド結合を、nは0〜1の整数を示す。)GlcA(−GlcNAc−GlcA)n …(2)(式(2)中、GlcAはグルクロン酸残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、−はグリコシド結合を、nは1〜2の整数を示す。)GlcNAc(−GlcA−GlcNAc)n−GlcA …(3)(式(3)中、GlcAはグルクロン酸残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、−はグリコシド結合を、nは0〜1の整数を示す。)GlcNAc(−GlcA−GlcNAc)n …(4)(式(4)中、GlcAはグルクロン酸残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、−はグリコシド結合を、nは1〜2の整数を示す。) なお、上記式中のGlcA−GlcNAcにおけるグリコシド結合はβ1→3結合であることが好ましく、GlcNAc−GlcAにおけるグリコシド結合はβ1→4結合であることが好ましい。 本発明で使用するヒアルロン酸オリゴ糖は、上記基本構造を有すればよく、その糖部分が修飾されていることに、特に制限はない。例えば、糖の水酸基の一部またはすべては、エステル化、エーテル化等を受けていてもよい。グルクロン酸のカルボキシル基の一部またはすべては、エステル化、アミド化等を受けていてもよい。非還元末端に位置する糖は、飽和糖(単糖中の炭素・炭素間の結合に二重結合を含まないもの)でも不飽和糖(単糖中の炭素・炭素間の結合に二重結合を含むもの)でもよい。 上記ヒアルロン酸オリゴ糖は、そのサイズが2糖以上5糖以下であるので、組織・細胞内に浸透しやすい。また、低粘度のため効率よく塗布するのにも適している。更に、ポリフェノールとの相乗作用により、サーチュイン蛋白質及びフィラグリン蛋白質の産生を顕著に促進することができる。 本発明においては、ヒアルロン酸オリゴ糖の薬学的に許容される塩を用いることもできる。その塩としては、アルカリ金属塩であるナトリウム塩やカリウム塩などが挙げられる。また、無水塩のみならず含水塩が含まれてもよい。その塩は、原料に由来するものであったり、また、ヒアルロン酸オリゴ糖の調製時に持ち込まれたりする場合もある。これらの塩は、例えば、溶液内や生体内などで電離してヒアルロン酸オリゴ糖と同様に機能する。 本発明においては、ヒアルロン酸オリゴ糖の薬学的に許容される溶媒和物を用いることもできる。溶媒和物としては、水和物が挙げられる。例えば、大気中に放置したり、再結晶することにより、水分を吸収したり、吸着水が付いたりして、水和物となる場合がある。また、ヒアルロン酸オリゴ糖の調製時に持ち込まれる場合もある。これらの溶媒和物は、例えば、溶液内や生体内などで電離してヒアルロン酸オリゴ糖と同様に機能する。 上記ヒアルロン酸オリゴ糖、その薬学的に許容される塩又はその薬学的に許容される溶媒和物は、その1種類のみを用いてもよく、その2種以上の複数を用いてもよい。すなわち、ヒアルロン酸オリゴ糖のサイズや分子構造が単一であってもよく、それらの異なるヒアルロン酸オリゴ糖を併用し、又はそれらの異なるヒアルロン酸オリゴ糖の複数を含有する複合物を用いてもよい。更に、塩や溶媒和物についても、単一種であってもよく、それらの異なる複数種を併用し、又はそれらの異なる複数種を含有する複合物を用いてもよい。 (ヒアルロン酸オリゴ糖の製造方法) 本発明で使用するヒアルロン酸オリゴ糖は、動物等の天然物から抽出されたもの、微生物を培養して得られたものであってよく、また、化学的もしくは酵素的に合成されたものを使用してもよい。好ましくは、例えば鶏冠、臍体、皮膚、関節液などの生体組織から公知の抽出法によって得ることができるヒアルロン酸を酵素分解、酸分解、塩基分解、加熱処理、超音波処理などの分解処理した後、公知の精製法によってヒアルロン酸オリゴ糖を精製することにより製造することができる。また、乳酸菌やストレプトコッカス属の細菌等を用いた発酵法によって生成されるヒアルロン酸を出発原料として同様に製造することができる。更には、市販の高分子量のヒアルロン酸を出発原料としてもよい。 酵素分解の方法によりヒアルロン酸オリゴ糖を製造する場合、国際公開第2002/4471号パンフレットや、Glycobiology、2002年、第12巻、第7号、第421−426頁に開示される方法に準じて製造することができる。高分子量ヒアルロン酸塩を、溶液のpHが5付近になるように緩衝液(例えば、0.1Mリン酸緩衝液)に溶解し、ヒアルロニダーゼを添加して加水分解を行う。加水分解の温度は、37℃付近が好ましく、1〜24時間程度反応させる。反応後、10、000rpm程度で遠心分離して上清を回収し、この上清をイオン交換カラムなどにより分画することにより特定のサイズのヒアルロン酸オリゴ糖を得ることができる。 酸加水分解によりヒアルロン酸オリゴ糖を製造する場合、高分子量ヒアルロン酸塩を、濃塩酸の50%水溶液中において、40℃〜還流温度で1〜5時間程度反応させる。反応後、イオン交換カラムなどにより分画することにより特定のサイズのヒアルロン酸オリゴ糖を得ることができる。また、DMSOの溶媒中に0.05〜1M程度の塩酸を用いて加熱することにより、より緩和な条件下で加水分解を行うこともできる。 一方、Walvoort MT, Volbeda AG, Reintjens NR, van den Elst H, Plante OJ, Overkleeft HS, van der Marel GA, Codee JD「Automated Solid-Phase Synthesis of Hyaluronan Oligosaccharides.」Org. Lett., 2012, 14 (14), p3776-3779には、固相合成法によって、下記のようなヒアルロン酸オリゴ糖を、その糖サイズごとに効率よく製造する方法が開示されているので、そのような方法によって製造することもできる。 なお、上記のうち(a)、(b)、(c)、(d)及び(f)の基本的糖構成を有するヒアルロン酸オリゴ糖は、ヒアルロン酸を出発原料にしてそれを分解処理することによっては、ほとんど得られないか、あるいは非常に収率の悪いヒアルロン酸オリゴ糖である。 (ポリフェノール) 本発明で使用するポリフェノールは、サーチュイン蛋白質産生促進作用を有することが知られるポリフェノールを適宜選択して使用すればよく、上記ヒアルロン酸オリゴ糖との相乗作用により、サーチュイン蛋白質及びフィラグリン蛋白質の産生を顕著に促進することができる。 例えば、特表2007−527418号公報には、サーチュイン蛋白質産生促進作用を有するポリフェノールとして、レスベラトロール、フィセチン、ブテイン、ピセアタンノール、ケルセチンなどが報告されている。 また、特表2007−527418号公報には、サーチュイン蛋白質産生促進作用を有するポリフェノールとして、レスベラトロール、ブテイン、ピセアタンノール、イソリキリチゲニン、フィセチン、ルテオリン、3,6,3',4'−テトラヒドロキシフラボン、ケルセチンなどが報告されている。 また、リンゴ由来ポリフェノールであるフロリジン(phloridzin)が、酵母におけるサーチュインに相当するSir2遺伝子を介する抗老化作用を促進することが報告されている(Xiang L, Sun K, Lu J, Weng Y, Taoka A, Sakagami Y, Qi J「Anti-aging effects of phloridzin, an apple polyphenol, on yeast via the SOD and Sir2 genes. 」Biosci Biotechnol Biochem. 2011;75(5):854-8. Epub 2011 May 20.)。 ポリフェノールとしては、上記ヒアルロン酸オリゴ糖と同様、その薬学的に許容される塩やその薬学的に許容される溶媒和物を用いることもできる。また、上記ポリフェノール、その薬学的に許容される塩又はその薬学的に許容される溶媒和物は、その1種類のみを用いてもよく、その2種以上の複数を用いてもよい。更に、塩や溶媒和物についても、単一種であってもよく、それらの異なる複数種を併用し、又はそれらの異なる複数種を含有する複合物を用いてもよい。 (剤形等) 本発明に係るサーチュイン誘導剤は、上記に説明したヒアルロン酸オリゴ糖、その薬学的に許容される塩又はその薬学的に許容される溶媒和物(以下、単に「ヒアルロン酸オリゴ糖」という。)と、上記に説明したポリフェノール、その薬学的に許容される塩又はその薬学的に許容される溶媒和物(以下、単に「ポリフェノール」という。)とを組み合わせて、その有効成分として使用するものである。 ヒアルロン酸オリゴ糖の含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されるものではないが、サーチュイン誘導剤の総質量に対して、0.0001質量%以上99質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることが最も好ましい。 ポリフェノールの含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されるものではないが、サーチュイン誘導剤の総質量に対して、0.0001質量%以上99質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることが最も好ましい。 また、ヒアルロン酸オリゴ糖とポリフェノールとの含有量比は、質量濃度換算で0.1:10〜10:0.1であることが好ましく、0.5:5〜5:0.5であることがより好ましい。 本発明に係るサーチュイン誘導剤は、例えば、医薬品、機能性食品、又は化粧料の形態で用いることができる。 医薬品の形態としては、例えば、錠剤、液剤、乾燥粉末剤、注射剤、点滴剤、外用剤、貼付剤、気化投与用の液剤、挿入剤などが挙げられる。この場合、1種又は2種以上の薬学的に許容される成分又は担体と組み合わせて調製してもよい。例えば、添加剤、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料などを加えることができる。また、外用の形態で用いる場合には、例えば、ステアリン酸カルシウムや乳化剤といった滑沢剤、イオン交換水などの角質層へ水分を供給するための精製水、グリセリン、PEG、セラミドといった角質層の保湿のための保湿剤、エステル油、植物油といった保湿性や使用感の向上のためのエモリエント剤(水分が蒸発することを防ぐ油成分)、原料成分を可溶化するための可溶化剤、pHを調整するための緩衝剤、微生物を抑制し、腐敗を防止するための防腐剤、着色するための着色剤、紫外線吸収剤といった退色や変色を防止するための退色防止剤、収れん剤、殺菌剤、賦活剤、消炎剤などを加えることができる。 機能性食品の形態としては、例えば、液状食品、錠剤食品、粉末状食品、顆粒状食品などが挙げられる。この場合、食用として許容される1種又は2種以上の成分又は担体と組み合わせて調製してもよい。例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ナイアシン、ビタミンEといったビタミン類、油脂類、増粘剤、防腐剤、着色料、並びに酸化防止剤、調味料、酸味料、甘味料などを加えることができる。 化粧料の形態としては、例えば、点眼剤、ゲル、クリーム、スプレー液剤、噴霧液剤、泡状エアゾール製剤、ゲル状やシート状のフェイスマスクなどが挙げられる。この場合、1種又は2種以上の化粧料製剤的に許容される成分又は担体と組み合わせて調製してもよい。例えば、ステアリン酸カルシウムや乳化剤といった滑沢剤、イオン交換水などの角質層へ水分を供給するための精製水、グリセリン、PEG、セラミドといった角質層の保湿のための保湿剤、エステル油、植物油といった保湿性や使用感の向上のためのエモリエント剤(水分が蒸発することを防ぐ油成分)、原料成分を可溶化するための可溶化剤、pHを調整するための緩衝剤、微生物を抑制し、腐敗を防止するための防腐剤、着色するための着色剤、紫外線吸収剤といった退色や変色を防止するための退色防止剤、収れん剤、殺菌剤、賦活剤、消炎剤などを加えることができる。 本発明に係るサーチュイン誘導剤の投与形態としては、経口的に摂取したり、注射剤や点滴剤の形態にて静脈注射や灌流することにより投与したりすることができる。あるいは皮膚に塗布したり、呼吸器系から吸引したりして吸収させてもよく、それらの局所に適用してもよい。点眼投与であってもよい。いずれにしてもこれらの投与形態に特に制限されるものではない。また、ヒトだけでなく動物にも適用できる。 ヒアルロン酸オリゴ糖及び/又はポリフェノールの1回あたりの投与量、投与間隔等は、投与形態、使用目的、患者の具体的症状、年齢、性別、体重等に応じて個別に決定されるべき事項であり、特に限定されないが、経口摂取する場合には、成人1人1回当り1mg〜7500mgが例示される。また、皮膚に塗布する場合には、単位面積あたり一回およそ0.01μg〜1000μg/cm2の量が例示される。また、点眼投与する場合には、1回当り0.01μg〜1000μgの適用量が例示される。 なお、ヒアルロン酸オリゴ糖は毒性や抗原性がほとんどないことから、副作用のおそれが極めて少ない。 (サーチュイン誘導剤) サーチュイン蛋白質は、SIRT1遺伝子の翻訳産物であり、ヒストンを脱アセチル化する酵素である。サーチュイン蛋白質が発現した細胞では、ヒストンからアセチル基が外れ、DNAがヒストンに巻き付く力が強くなる。DNAがヒストンに強く巻き付いた結果、その領域の遺伝子の発現は低下し、これにより特定の遺伝子や転写因子の発現が調節される。また、DNAの損傷も減少する。サーチュイン蛋白質は、また、ストレス抵抗性、脂肪・グルコース代謝、神経細胞の分化など、さまざまな細胞機能の調節作用を担うことで細胞、組織又は生物個体の寿命の決定に関与している。 例えば、遺伝子操作でサーチュイン発現を高めてやると癌形成が抑制され、逆にサーチュイン遺伝子(SIRT1遺伝子)をノックダウンすると癌形成が促進されることが報告されている(Kabra N, Li Z, Chen L, Li B, Zhang X, Wang C, Yeatman T, Coppola D, Chen J「SirT1 is an inhibitor of proliferation and tumor formation in colon cancer.」J Biol. Chem. 2009 Jul 3;284(27):18210-7.)。 また、サーチュイン誘導により心筋梗塞を治療できるという報告もある(Samuel SM, Thirunavukkarasu M, Penumathsa SV, Paul D, Maulik N「Akt/FOXO3a/SIRT1-mediated cardioprotection by n-tyrosol against ischemic stress in rat in vivo model of myocardial infarction: switching gears toward survival and longevity.」J Agric Food Chem. 2008 Oct 22;56(20):9692-8.)。 また、サーチュイン誘導により、血管内皮細胞の老化を抑制して、動脈硬化を防ぐという報告もある(Ota H, Eto M, Ogawa S, Iijima K, Akishita M, Ouchi Y「SIRT1/eNOS axis as a potential target against vascular senescence, dysfunction and atherosclerosis.」Journal of Atherosclerosis and Thrombosis Vol. 17 (2010) No. 5 p431-435.)。 また、サーチュイン誘導により、動脈狭窄・動脈硬化をもたらす因子であるレジスチン(resistin)が抑制されるという報告もある(Carter S, Miard S, Roy-Bellavance C, Boivin L, Li Z, Pibarot P, Mathieu P, Picard F「Sirt1 inhibits resistin expression in aortic stenosis.」PLoS One. 2012;7(4):e35110.)。 また、サーチュイン誘導により、骨破壊をもたらす破骨細胞におけるNF-kappaB活性化を抑制して、骨粗鬆症を防ぐという報告もある(Shakibaei M, Buhrmann C, Mobasheri A「Resveratrol-mediated SIRT-1 interactions with p300 modulate receptor activator of NF-kappaB ligand (RANKL) activation of NF-kappaB signaling and inhibit osteoclastogenesis in bone-derived cells.」J Biol Chem. 2011 Apr 1;286(13):11492-505.)。 また、サーチュイン誘導により、炎症を増悪させる因子NF-kappaBの抑止し、炎症性腸炎の症状を軽減できるという報告もある(Singh UP, Singh NP, Singh B, Hofseth LJ, Price RL, Nagarkatti M, Nagarkatti PS「Resveratrol (trans-3,5,4'-trihydroxystilbene) induces silent mating type information regulation-1 and down-regulates nuclear transcription factor-kappaB activation to abrogate dextran sulfate sodium-induced colitis.」J Pharmacol Exp Ther. 2010 Mar;332(3):829-39.)。 また、サーチュイン蛋白質は、認知症(アルツハイマー病)の原因となっているアミロイドβ産生を抑制するという報告もある(Donmez G, Wang D, Cohen DE, Guarente L「SIRT1 suppresses beta-amyloid production by activating the alpha-secretase gene ADAM10.」Cell 2010 Jul 23;142(2):320-32.)。 また、種々のアルツハイマー病動物モデルにおいて、サーチュイン誘導により、治療効果が認められたという報告もある(Donmez G「The Effects of SIRT1 on Alzheimer's Disease Models.」Int J Alzheimers Dis. 2012;2012:509529.)。 また、脳卒中(脳虚血)モデルにおいて、ニコチンアミドリボースリン酸転移酵素(Nicotinamide phosphoribosyltransferase)よる脳障害の抑制作用には、サーチュイン蛋白質が関与しているという報告もある(Wang P, Xu TY, Guan YF, Tian WW, Viollet B, Rui YC, Zhai QW, Su DF, Miao CY「Nicotinamide phosphoribosyltransferase protects against ischemic stroke through SIRT1-dependent adenosine monophosphate-activated kinase pathway.」Ann Neurol. 2011 Feb;69(2):360-74.)。 また、サーチュイン蛋白質高発現モデル(遺伝子操作による)において、通常の動物に比べて、メタボリックシンドロームによる障害とそれに関連するがん化が抑制されたという報告もある(Herranz D, Munoz-Martin M, Canamero M, Mulero F, Martinez-Pastor B, Fernandez-Capetillo O, Serrano M「Sirt1 improves healthy ageing and protects from metabolic syndrome-associated cancer.」Nat Commun. 2010 Apr 12;1:3.)。 また、遺伝子操作でサーチュイン蛋白質発現を高めると癌形成が抑制され、逆にサーチュイン蛋白質発現を弱めると癌形成が促進されたという報告もある(Kabra N, Li Z, Chen L, Li B, Zhang X, Wang C, Yeatman T, Coppola D, Chen J「SirT1 is an inhibitor of proliferation and tumor formation in colon cancer.」J Biol Chem. 2009 Jul 3;284(27):18210-7.)。 また、大気微粒子に起因する肺の炎症や血栓に関し、サーチュイン蛋白質がその作用の抑制性因子であるという報告もある(Wu Z, Liu MC, Liang M, Fu J「Sirt1 protects against thrombomodulin down-regulation and lung coagulation after particulate matter exposure.」Blood. 2012 Mar 8;119(10):2422-9.)。 また、喫煙は、サーチュイン蛋白質を介した作用により肺の細胞にオートファジーをもたらし、これがCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の要因であり、サーチュイン誘導により、そのオートファジーが抑制されたという報告もある(Hwang JW, Chung S, Sundar IK, Yao H, Arunachalam G, McBurney MW, Rahman I「Cigarette smoke-induced autophagy is regulated by SIRT1-PARP-1-dependent mechanism: implication in pathogenesis of COPD.」Arch Biochem Biophys. 2010 Aug 15;500(2):203-9.)。 また、腎臓の虚血再還流障害モデルにサーチュイン活性化剤を投与すると、腎臓における細胞死が抑制されて、腎障害が低減化されたという報告もある(Fan H, Yang HC, You L, Wang YY, He WJ, Hao CM「The histone deacetylase, SIRT1, contributes to the resistance of young mice to ischemia/reperfusion-induced acute kidney injury.」Kidney Int. 2013 Jan 9.)。 また、サーチュイン誘導により、シスプラチンが誘導する腎臓の尿細管に対する毒性およびNF-kappaB活性化が低減化されたという報告もある(Jung YJ, Lee JE, Lee AS, Kang KP, Lee S, Park SK, Lee SY, Han MK, Kim DH, Kim W「SIRT1 overexpression decreases cisplatin-induced acetylation of NF-κB p65 subunit and cytotoxicity in renal proximal tubule cells.」Biochem Biophys Res Commun. 2012 Mar 9;419(2):206-10.)。 また、インスリン抵抗性の発生機序には、サーチュイン蛋白質が関与するという報告もある(Chen YR, Lai YL, Lin SD, Li XT, Fu YC, Xu WC「SIRT1 interacts with metabolic transcriptional factors in the pancreas of insulin-resistant and calorie-restricted rats.」Mol Biol Rep. 2013 Jan 6.)。 また、降圧薬テルミサルタンによる、インスリン感受性の向上の作用機序には、サーチュイン蛋白質が関与するという報告もある(Shiota A, Shimabukuro M, Fukuda D, Soeki T, Sato H, Uematsu E, Hirata Y, Kurobe H, Maeda N, Sakaue H, Masuzaki H, Shimomura I, Sata M「Telmisartan ameliorates insulin sensitivity by activating the AMPK/SIRT1 pathway in skeletal muscle of obese db/db mice.」Cardiovasc Diabetol. 2012 Nov 8;11:139.)。 また、サーチュイン蛋白質は、ヒト軟骨細胞においてTNFαが誘導する炎症を制御するという報告もある(Moon MH, Jeong JK, Lee YJ, Seol JW, Jackson CJ, Park SY「SIRT1, a class III histone deacetylase, regulates TNF-α-induced inflammation in human chondrocytes.」Osteoarthritis Cartilage. 2013 Mar;21(3):470-80.)。 また、ヒトの軟骨細胞では、サーチュイン蛋白質を過剰発現させると、IL−1beta処理しても変形性関節因子の発現が抑制されるという報告もある(Matsushita T, Sasaki H, Takayama K, Ishida K, Matsumoto T, Kubo S, Matsuzaki T, Nishida K, Kurosaka M, Kuroda R「The overexpression of SIRT1 inhibited osteoarthritic gene expression changes induced by interleukin-1β in human chondrocytes.」J Orthop Res. 2012 Nov 9.)。 また、サーチュイン蛋白質は、リウマチの増悪因子の作用に関与しているという報告もある。(Kok SH, Lin LD, Hou KL, Hong CY, Chang CC, Hsiao M, Wang JH, Lai EH, Lin SK「Simvastatin inhibits Cyr61 expression in rheumatoid arthritis synovial fibroblasts through the regulation of SIRT1/FoxO3a signaling.」Arthritis Rheum. 2012 Dec 12.)。 また、サーチュイン活性化剤により、プロジェリア(Progeria)モデル動物の疾患改善効果が示されたという報告もある。(Liu B, Ghosh S, Yang X, Zheng H, Liu X, Wang Z, Jin G, Zheng B, Kennedy BK, Suh Y, Kaeberlein M, Tryggvason K, Zhou Z「Resveratrol rescues SIRT1-dependent adult stem cell decline and alleviates progeroid features in laminopathy-based progeria.」Cell Metab. 2012 Dec 5;16(6):738-50.)。 また、放射線障害は、GAPDHの細胞質から核への移行により細胞死が誘導されることによりもたらされ、サーチュイン蛋白質はそのGAPDHの核移行を抑制し、細胞死を抑制したという報告もある。(Joo HY, Woo SR, Shen YN, Yun MY, Shin HJ, Park ER, Kim SH, Park JE, Ju YJ, Hong SH, Hwang SG, Cho MH, Kim J, Lee KH「SIRT1 interacts with and protects glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase (GAPDH) from nuclear translocation: implications for cell survival after irradiation.」Biochem Biophys Res Commun. 2012 Aug 10;424(4):681-6.)。 また、サーチュイン蛋白質には、筋線維を強化するだけでなく、筋肉を種々の疾患から保護する作用があるという報告もある。(Tonkin J, Villarroya F, Puri PL, Vinciguerra M「SIRT1 signaling as potential modulator of skeletal muscle diseases.」Curr Opin Pharmacol. 2012 Jun;12(3):372-6.)。 また、サーチュイン蛋白質を高発現させると海馬神経細胞の樹状突起形成が促進され、逆にサーチュイン阻害剤を作用させると、樹状突起は萎縮し、更に、サーチュイン蛋白質を高発現させると、アミロイドβ処理による樹状突起萎縮も抑制するので、これは、サーチュイン蛋白質が海馬などの脳神経組織の発達および維持をもたらしていることを意味するという報告もある。(Codocedo JF, Allard C, Godoy JA, Varela-Nallar L, Inestrosa NC「SIRT1 regulates dendritic development in hippocampal neurons.」PLoS One. 2012;7(10):e47073.)。 また、サーチュイン蛋白質は、高血圧を誘導する因子であるアンジオテンシンII(angiotensinII)を抑制するという報告もある(Li L, Gao P, Zhang H, Chen H, Zheng W, Lv X, Xu T, Wei Y, Liu D, Liang C「SIRT1 inhibits angiotensin II-induced vascular smooth muscle cell hypertrophy.」Acta Biochim Biophys Sin (Shanghai). 2011 Feb;43(2):103-9.)。 また、サーチュイン誘導により、インシュリン抵抗性や肥満が抑制されるという報告もある(Li H, Xu M, Lee J, He C, Xie Z「Leucine supplementation increases SIRT1 expression and prevents mitochondrial dysfunction and metabolic disorders in high-fat diet-induced obese mice.」Am J Physiol Endocrinol Metab. 2012 Nov 15;303(10):E1234-44.)。 よって、本発明に係るサーチュイン誘導剤は、特に、心臓疾患、動脈硬化、骨粗鬆症、炎症性腸炎、認知症、脳卒中、メタボリックシンドローム、癌、肺疾患、腎疾患、糖尿病、変形性関節症、リウマチ、プロジェリア、放射線障害、筋疾患、脳発達障害、神経疾患、高血圧、又は肥満の治療及び/又は予防のために、好ましく用いられる。 (老化抑制剤) サーチュイン蛋白質は、老化抑制にも関与している。 例えば、サーチュインは老化抑制作用を有することが報告されている(Mousa SA, Gallati C, Simone T, Dier E, Yalcin M, Dyskin E, Thangirala S, Hanko C, Rebbaa A「Dual targeting of the antagonistic pathways mediated by Sirt1 and TXNIP as a putative approach to enhance the efficacy of anti-aging interventions.」Aging (Albany NY). 2009 Mar 31;1(4):412-24.)。 また、サーチュインは老化抑制およびメタボリック症候群を改善することが報告されている(Ghosh HS「The anti-aging, metabolism potential of SIRT1.」Curr Opin Investig Drugs. 2008 Oct;9(10):1095-102. Review.)。 また、サーチュインは組織幹細胞の老化抑制することによりprogeria(早老症のひとつ)改善をする作用を有することが報告されている(Liu B, Ghosh S, Yang X, Zheng H, Liu X, Wang Z, Jin G, Zheng B, Kennedy BK, Suh Y, Kaeberlein M, Tryggvason K, Zhou Z「Resveratrol rescues SIRT1-dependent adult stem cell decline and alleviates progeroid features in laminopathy-based progeria.」Cell Metab. 2012 Dec 5;16(6):738-50.)。 よって、本発明に係るサーチュイン誘導剤は、特に、細胞、組織、生物個体等の老化を抑制するために、好ましく用いられる。そして、生物個体を健康にたもち、その寿命を長くすることができる。また、細胞、生体組織レベルにおいても、その老化を抑制して、例えば、その活性維持や生存期間の延長を図ることができる。 (角化細胞バリア機能促進剤) フィラグリン蛋白質は、Filaggrin遺伝子の翻訳産物であり、表皮の表層に存在して皮膚のバリア機能に欠かすことのできない角質層を形成する。フィラグリンが作られないと角質に異常がおこり、皮膚のバリア機能が低下し、皮膚炎の原因となる。 よって、本発明に係るサーチュイン誘導剤は、後述する実施例で示す、角化細胞におけるサーチュイン及び/又はフィラグリン蛋白質の発現促進によって、皮膚、歯茎、角膜等に存する角化細胞のバリア機能を促進することができる。なお、「バリア機能促進」とは、細菌、ウイルスなどに対する感染防御、ハウスダスト、花粉などに対するアレルギー防御、物理的、化学的、又は生物学的要因による創傷の防御、その他の防御だけでなく、その感染症、アレルギー、創傷などを起こしたときの症状緩和や早期治癒促進をも意味する。 以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。 下記試験例に用いた被検物質をまとめて示す。 (1)HA2 GlcA−GlcNAcの構造を有する、2糖サイズのヒアルロン酸オリゴ糖を、ヒアルロン酸を酵素製剤「コンドロイチナーゼABC」(Sigma−Aldrich社製)にて酵素分解し、精製して調製したものを用いた。 (2)HA4 ヒアルロン酸を酵素分解して精製して得られた、GlcA(−GlcNAc−GlcA)1−GlcNAcの構造を有する、4糖サイズのヒアルロン酸オリゴ糖(商品名「HYA−OLIGO4EF−5」、Hyalose社製)を用いた。 (3)HA5 酵素化学法によって単糖を1 分子ずつ伸長して作製された、(GlcNAc−GlcA−)2−GlcNAcの構造を有する、5糖サイズのヒアルロン酸オリゴ糖(商品名「HYA−NANO5EF−1」、Hyalose社製)を用いた。 (4)HA6 ヒアルロン酸を酵素分解して精製して得られた、GlcA(−GlcNAc−GlcA)2−GlcNAcの構造を有する、6糖サイズのヒアルロン酸オリゴ糖(商品名「HYA−OLIGO6EF−1」、Hyalose社製)を用いた。 (5)HA10 ヒアルロン酸を酵素分解して精製して得られた、GlcA(−GlcNAc−GlcA)4−GlcNAcの構造を有する、10糖サイズのヒアルロン酸オリゴ糖(商品名「HYA−OLIGO10EF−1」、Hyalose社製)を用いた。 (6)HA10kDa キユーピー株式会社社製の、平均分子量10kDaであるヒアルロン酸を用いた。 (7)HA50kDa キユーピー株式会社社製の、平均分子量50kDaであるヒアルロン酸を用いた。 (8)HA900kDa 生化学工業株式会社製の、平均分子量900kDaであるヒアルロン酸を用いた。 (9)Resveratrol (Res) Sigma−Aldrich社製のレスベラトロール(製品番号R5010,純度99%以上)を用いた。 また、試験例の群構成は以下のとおりとした。・無処置・レスベラトロール(最終濃度:5μM、以下同じ)・HA2(最終濃度:10ng/ml、以下同じ)・HA2+レスベラトロール・HA4(最終濃度:10ng/ml、以下同じ)・HA4+レスベラトロール・HA5(最終濃度:10ng/ml、以下同じ)・HA5+レスベラトロール・HA6(最終濃度:10ng/ml、以下同じ)・HA6+レスベラトロール・HA10kDa(最終濃度:10ng/ml、以下同じ)・HA10kDa+レスベラトロール・HA50kDa(最終濃度:10ng/ml、以下同じ)・HA50kDa+レスベラトロール・HA900kDa(最終濃度:10ng/ml、以下同じ)・HA900kDa+レスベラトロール <試験例> ヒト表皮角化細胞(正常ヒト角化細胞(keratinocyte、アジア人女性(27歳)由来))をDMEM培地中に細胞濃度1x105/mlで調製したものを96wellプレートに1well当たり100μLずつ播種し、これに各被検物質を上記群構成で添加して、72時間培養した。 72時間培養後に、各wellの細胞を4%パラフォルムアルデヒドで固定し、抗SIRT1抗体(Santa Cruz Biotechnology社製)と抗Filaggrin抗体(Santa Cruz Biotechnology社製)とで二重染色を行った。各抗体に対する2次抗体は、それぞれ波長の異なる蛍光色素標識抗体を用いた。 蛍光染色像を倒立顕微鏡(Leica社製)で撮影し、ランダムに選択した中央部4視野についての染色強度をJ−Imageにて測定した。[評価1] 図1には、抗SIRT1抗体による染色像の写真を示す。また、図2には、抗SIRT1抗体による染色強度の結果を示す。なお、図2では、4視野についての染色強度の平均値を棒グラフで表わし、標準偏差(SD)をエラーバーで表わしている。また、ヒアルロン酸オリゴ糖又は高分子ヒアルロン酸のみを添加した各試験群に対して、それぞれレスベラトロールを併用したときの結果の有意差について、t検定で有意差があると判定されるものについて、それらの危険率の範囲(p<0.07、p<0.05、又はp<0.01)を示している。更に、無処置に対して、その他の各試験群の有意差、又はレスベラトロールのみを添加した試験群に対して、その他の各試験群の有意差について、Dunnett多重比較検定で有意差があると判定されるものについて、それらの危険率の範囲(p<0.05、又はp<0.01)を示している。 図2に示されるように、本試験条件下では、レスベラトロール、HA2、HA6、HA10kDa、HA50kDa、HA900kDa、HA6+レスベラトロール、HA10kDa+レスベラトロール、HA50kDa+レスベラトロール、HA900kDa+レスベラトロールの各試験群においては、無処置群に比べて有意なサーチュイン蛋白質産生促進の効果は認められなかった。 それに対して、HA4、HA5、HA2+レスベラトロール、HA4+レスベラトロール、HA5+レスベラトロールの各試験群においては、無処置群に比べて有意なサーチュイン蛋白質産生促進の効果が認められた。特に、HA2+レスベラトロール、HA4+レスベラトロール、HA5+レスベラトロールの各試験群では、それぞれHA2、HA4、HA5を単独で添加した試験群に比べて、更に有意なサーチュイン蛋白質産生促進の効果が認められた。[評価2] 図3には、抗Filaggrin抗体による染色像の写真を示す。また、図4には、抗Filaggrin抗体による染色強度の結果を示す。なお、図4では、4視野についての染色強度の平均値を棒グラフで表わし、標準偏差(SD)をエラーバーで表わしている。また、ヒアルロン酸オリゴ糖又は高分子ヒアルロン酸のみを添加した各試験群に対して、それぞれレスベラトロールを併用したときの結果の有意差について、t検定で有意差があると判定されるものについて、それらの危険率の範囲(p<0.05、又はp<0.01)を示している。更に、無処置に対して、その他の各試験群の有意差、又はレスベラトロールのみを添加した試験群に対して、その他の各試験群の有意差について、Dunnett多重比較検定で有意差があると判定されるものについて、それらの危険率の範囲(p<0.05)を示している。 図4に示されるように、本試験条件下では、レスベラトロールを添加した試験群において、無処置群に比べて有意なフィラグリン蛋白質産生促進の効果が認められた。一方で、HA2、HA4、HA5、HA6、HA10kDa、HA50kDa、HA900kDa、HA6+レスベラトロール、HA10kDa+レスベラトロール、HA50kDa+レスベラトロール、HA900kDa+レスベラトロールの各試験群においては、レスベラトロールを添加した試験群に比べて有意なフィラグリン蛋白質産生促進の効果は認められなかった。 それに対して、HA2+レスベラトロール、HA4+レスベラトロール、HA5+レスベラトロールの各試験群においては、レスベラトロールを単独で添加した試験群に比べて、更に有意なフィラグリン蛋白質産生促進の効果が認められた。 2糖以上5糖以下のサイズから選択されるヒアルロン酸オリゴ糖の少なくとも1種とポリフェノールとの組合せからなることを特徴とするサーチュイン誘導剤。 前記ポリフェノールがレスベラトロールである請求項1記載のサーチュイン誘導剤。 老化抑制のために用いられる請求項1又は2記載のサーチュイン誘導剤。 角化細胞バリア機能促進のために用いられる請求項1又は2記載のサーチュイン誘導剤。 心臓疾患、動脈硬化、骨粗鬆症、炎症性腸炎、認知症、脳卒中、メタボリックシンドローム、癌、肺疾患、腎疾患、糖尿病、変形性関節症、リウマチ、プロジェリア、放射線障害、筋疾患、脳発達障害、神経疾患、角膜疾患、老眼、脊髄損傷、抹消神経断裂、高血圧、又は肥満の治療及び/又は予防のために用いられる請求項1又は2記載のサーチュイン誘導剤。 医薬品、機能性食品、又は化粧料の形態で用いられる請求項1〜5のいずれか1つに記載のサーチュイン誘導剤。 【課題】ヒアルロン酸オリゴ糖を利用した、サーチュイン誘導剤を提供する。【解決手段】2糖以上5糖以下のサイズから選択されるヒアルロン酸オリゴ糖の少なくとも1種とポリフェノールとの組合せを、サーチュイン誘導剤の有効成分とする。このサーチュイン誘導剤は老化抑制、角化細胞バリア機能促進のために用いられ、あるいは心臓疾患、動脈硬化、骨粗鬆症、炎症性腸炎、認知症、脳卒中、メタボリックシンドローム、癌、肺疾患、腎疾患、糖尿病、変形性関節症、リウマチ、プロジェリア、放射線障害、筋疾患、脳発達障害、神経疾患、高血圧、又は肥満の治療及び/又は予防のために用いられる。【選択図】なし