タイトル: | 公開特許公報(A)_ラミネート型電気化学デバイスのX線回折測定方法 |
出願番号: | 2013164006 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | G01N 23/207,H01M 2/02,H01M 10/04 |
田村 健博 利根川 利央 香野 大輔 JP 2015031679 公開特許公報(A) 20150216 2013164006 20130807 ラミネート型電気化学デバイスのX線回折測定方法 昭和電工株式会社 000002004 田村 健博 利根川 利央 香野 大輔 G01N 23/207 20060101AFI20150120BHJP H01M 2/02 20060101ALI20150120BHJP H01M 10/04 20060101ALN20150120BHJP JPG01N23/207H01M2/02 KH01M10/04 Z 3 1 OL 5 2G001 5H011 5H028 2G001AA01 2G001BA11 2G001BA18 2G001CA01 2G001GA01 2G001LA05 2G001LA11 2G001NA03 2G001NA17 5H011AA09 5H028BB11 本発明は、電気化学デバイスに使用される電極活物質におけるX線回折の測定方法に関する。例えば、ラミネート型電気化学デバイスの電極活物質におけるX線回折の測定について、ピークの重複や減衰よって解析が困難とされるピークを解析するための測定方法に関する。 近年、非水電解液二次電池の技術動向は携帯電話やパワーツール等の小型電池から、電気自動車や蓄電池といった大型電池にシフトしてきている。特に大型となると使用する期間が長くなるため電池の長寿命化がより一層求められる。そのためには各材料、特に正極、負極といった電池でも重要な役割を担う材料の開発が必要であり、つまりはより高度な分析手法の開発が必須である。 高度な分析手法として、これまでに、Spring−8による硬X線を用いて、表面から深さ方向に対する酸素量の測定や、大気非暴露にてTEM、SEMの観察、さらにAESを用いて被膜の成分分析といった多くの方法が提案されている。特に近年では、in−situにてラマン分光測定が可能になり、また、X線回折測定においても同様にin−situにて測定するといった方法も提案されている。 例えば特許文献1では、温度変化をさせながらX線回折を測定することが提案されている。特開2007−134049公報 上記特許文献に開示されたように、新たな解析や分析手法によって、電気化学デバイス用活物質の特性改善提案がされてきている。 電気化学デバイスのX線回折においては、測定時に正・負極の両極の回析ピークが観測されるため、ピーク分離が困難であり、正極材料由来の回析ピーク強度が強いのため、負極活物質に由来する回折ピークが減衰もしくは消滅してしまい、また、ラミネート型の電池では外装材そのものにAlが含まれているため、十分な解析が困難である。 そこで、本発明の目的は、実際の電池状態においてX線回折を測定する際に、ピークの重複や減衰よって解析が困難とされるピークを解析するための測定方法を提供することにある。 本発明は以下のものを包含する。(1)ラミネート材で外部が包装されている電気化学デバイスのX線回折測定手法であって、樹脂材料を前記ラミネート材に用いるX線回折測定手法。(2) X線回折測定が、透過法である(1)に記載のX線回折測定方法。(3) 電気化学デバイスの負極活物質として、金属リチウムを用いる(1)又は(2)に記載のX線回折測定方法。 本発明の測定方法を用いると、ラミネート型電気化学デバイスにおいて、ピーク強度が弱い結晶構造の活物質についてのX線回析ピークが観測できる。本願発明で使用されるラミネート型リチウムイオン二次電池の概略構成を示す断面図の一例である。実施例1によって測定されたX線回折パターンを示す図である。比較例1によって測定されたX線回折パターンを示す図である。 たとえば、リチウムイオン電池の場合、負極に炭素材料、正極にリチウム酸化物系の材料、集電体にAlを使用すると、正極由来の活物質のX線回折ピークおよびAlのX線回折ピークがX線回折パターンとして検知され、炭素材料のX線回析ピークの減衰や消滅が起こる。 本発明において用いる電気化学デバイスは、一実施例としてリチウムイオン電池を用いた場合、外装材2とそれを覆う外装材1からなる収容ケース内に電極にした評価サンプル3と金属リチウム4をセパレータ5を介して積層させて収容し、外装材を接合して封止される、ラミネート型電池を使用する。(図1参照) 評価用サンプルとしては、特に限定されるものではないが、例えばリチウムイオン電池の場合、炭素材料やSi系合金などを使用する。 外装材として、樹脂材料を使用する。より好ましくはヒートシーラー等で封止可能な材料である。 樹脂材料としては、熱可塑性樹脂フィルムを使用することが可能である。特に限定されるものではないが、より好ましくは未延伸ポリプロピレンフィルム、未延伸酸変性ポリプロピレンフィルム、未延伸ポリエチレンフィルム、未延伸酸変性ポリエチレンフィルム、アイオノマー樹脂フィルム等を使用する。さらに、前記未延伸樹脂フィルムの外装に、延伸樹脂フィルムを使用することがより好ましく、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリエステルフィルム、延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム等を使用する。前記未延伸樹脂フィルムの厚さは20〜100μmであるのが好ましく、延伸樹脂フィルムの厚さは5〜40μmであるのが好ましい。樹脂材料には金属粒子や無機微粒子を含まないことが好ましい。 シール方法は、未延伸樹脂フィルムを接触面として、真空包装機にて減圧下でシールすることが可能である。 電気化学デバイスとしては、二次電池、キャパシタなどであり、特にリチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタにおいて有用である。また、X線回折測定は、in−situ測定においても採用可能である。 以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。a)X線回析装置 本測定はリガク社製のSmartLabX線回折装置を用いて測定した。b)X線回析測定条件 測定範囲(2θ)を10°〜80°、スキャンスピードを10°/minとした。c)ラミネート型電池作製 評価用電極にセパレータ、対極の順に積層し、各電極にタブリードを付け電解液を注入し外装材で封止する。実施例1: 正極に天然黒鉛(中国製)、負極に金属リチウムを用いて、昭和電工パッケージング社製の樹脂製外装材(無延伸ポリプロピレンフィルムとポリエステルフィルムの2層ラミネート。厚みは各40μm)をTOSEI社製真空包装機トスパックを使用して98%の減圧下にて3秒間熱封止し、ラミネート電池を作製した。本電池を専用のアタッチメントに設置し測定を行った。測定結果を図2に示す。比較例1: 正極にNMC系材料、負極に黒鉛を用いて、外装材に昭和電工パッケージング株式会社製のAl入り外装材を実施例1同様に封止したものを用意した。測定結果を図3に示す。 実施例1では、図2に示すように、樹脂製外装材を使用することと、対極に金属リチウムを用いることで、X線回折ピークの減衰や重なりによって消滅していたピークが検出されることがわかる。ここで20°付近の回析ピークは使用した樹脂製外装フィルムのピークに相当する。Alの回析ピークがなくなり、正極活物質由来の回析ピークがなくなることにより、黒鉛由来の回析ピークである004、103面、さらに110、101面を示すピークが確認できるようになった。 1 外装材(延伸フィルム) 2 外装材(未延伸フィルム) 3 負極極板 4 金属リチウム 5 セパレータ ラミネート材で外部が包装されている電気化学デバイスのX線回折測定手法であって、樹脂材料を前記ラミネート材に用いるX線回折測定手法。 X線回折測定が、透過法である請求項1に記載のX線回折測定方法。 電気化学デバイスの負極活物質として、金属リチウムを用いる請求項1又は請求項2に記載のX線回折測定方法。 【課題】ラミネート型電気化学デバイスの電極活物質におけるX線回折の測定について、ピークの重複や減衰よって解析が困難とされるピークを解析するための測定方法を提供する。【解決手段】ラミネート材で外部が包装されている電気化学デバイスのX線回折測定手法であって、樹脂材料を前記ラミネート材に用いるX線回折測定手法を提供する。ラミネート材は好ましくは熱可塑性樹脂フィルムである。【選択図】図1