タイトル: | 公開特許公報(A)_トリテルペノイド高含有梅エキス組成物およびその製造方法 |
出願番号: | 2013163400 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 36/73,A61K 36/00,A61P 35/00,A23L 1/30 |
我藤 伸樹 大西 由里子 小栗 正博 JP 2015030714 公開特許公報(A) 20150216 2013163400 20130806 トリテルペノイド高含有梅エキス組成物およびその製造方法 中野BC株式会社 591137628 我藤 伸樹 大西 由里子 小栗 正博 A61K 36/73 20060101AFI20150120BHJP A61K 36/00 20060101ALI20150120BHJP A61P 35/00 20060101ALI20150120BHJP A23L 1/30 20060101ALI20150120BHJP JPA61K35/78 HA61K35/78 XA61P35/00A61K35/78 YA23L1/30 B 6 1 OL 9 4B018 4C088 4B018LB10 4B018LE02 4B018MD52 4B018MF01 4B018MF06 4B018MF08 4C088AB51 4C088AC04 4C088BA08 4C088BA23 4C088CA02 4C088MA41 4C088NA05 4C088NA06 4C088ZB26本発明はトリテルペイドを高濃度含有する梅エキス組成物に関するものである。ガンは日本人の死因の1位であり、厚生労働省人口動態統計によると3人に1人はガンで亡くなっていると言われている。高齢化社会の進行に伴いガン患者の数は益々増加することが予想され、その治療方法の確立は重要な課題となっている。ガンの主な治療方法としては外科手術・放射線治療・抗ガン剤治療が挙げられるが、これらの方法ではガンの再発を完全に防ぐことが難しく、また抗ガン剤・放射線治療は吐き気、脱毛、白血球減少等の副作用によって患者の健康状態を悪化させ、クオリティ・オブ・ライフを低下させるといった問題が存在する。このため、副作用が無く人体に安全で、抗ガン作用のある成分を含む食品が求められている。抗ガン作用を有する成分の一つに、トリテルペノイドが挙げられる。トリテルペノイドとは、5個の炭素からなるイソプレン単位が6個結合して30個の炭素原子からなる脂溶性の化合物群を指す。多くが4環あるいは5環の環状構造をつくっており、ステロイドやサポニンなどが挙げられる。五環形トリテルペノイドの中で、特に抗腫瘍作用効果が期待されているものは、ウルソール酸、オレアノール酸、ベツリン酸であり、三大機能性トリテルペンと言われている。ウルソール酸を細胞に与えると、ミトコンドリアに存在するアポトーシス誘導性因子を介した機序でアポトーシスを誘導する。(非特許文献1)また、オレアノール酸は、抗がん剤と同様に増殖抑制作用と同時に正常な線維芽細胞にダメージを与えないことが確認されている。(非特許文献2)Cancer Lett.298(1):128-38. 2010Life Sci. 85(3-4):113-21. 2009天然由来のトリテルペノイド抽出物として、鹿角霊芝からの抽出物が知られている。(特許文献1)また、副作用を解消する目的で天然物を用いた治療剤として白花蛇舌草抽出生成物が知られている。(特許文献2)しかし、これらは天然物を由来としているが有効成分であるウルソール酸及びオレアノール酸に代表されるトリテルペノイド類を抽出するために、有機溶剤を使用しているため、人体に与える悪影響が懸念される。特開2008-138195号公報特開2009-534374号公報 一方、梅の果汁を煮詰めてつくる梅エキスにも、トリテルペノイドが含まれていることが明らかとなっており(非特許文献3)、梅エキスはガン細胞を死滅させることがわかっている。(非特許文献4)Int. J. Food. Prop. 10 (2) 375-385 (2007)Exp Ther Med 1(4): 569-574 , 2010梅エキスは梅の搾り汁を長時間かけて煮詰めてつくるため、非常に酸味が強く、蜂蜜よりも固めのペースト状の食品である。古くは江戸時代より存在したとも言われ、強力な殺菌作用などを有することから伝統的に食べられてきた機能性食品である。これまで副作用などの報告がなく、安全性の高さは長年の食経験によって確かめられている。このような食品で抗ガン作用のある成分を効率よく取り入れることは理想的であるが、既存の梅エキスに含まれるトリテルペノイドの含有量は他のトリテルペノイド含有素材と比較してもそれほど多くないため、梅エキスで多量のトリテルペノイドを摂取しようとすると、当然のことながら摂取量が増加する。その際、梅エキス特有の強烈な酸味とドロドロとした物性故に、非常に食べにくく、大変な苦痛と困難を強いられる状況であった。上記の理由から、トリテルペノイドを高濃度含有する、安全性の高い、梅エキス組成物の創出が強く望まれていた。そこで本発明は、梅エキスに梅由来のトリテルペノイドを高濃度含させる方法を見出し、梅由来のトリテルペノイドを高含有する梅エキス組成物を提供することを目的とする。上記の課題を解決するために、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、梅エキスの原料となる梅果汁を製造する際に得られる梅果肉の乾燥物に、トリテルペノイドが高濃度含まれていることを新たに知見し、梅果汁を煮詰めてムメフラールを含んだ梅エキスペーストをつくる工程と、搾汁時に産出する梅果肉を乾燥粉末化して梅果肉粉末をつくる工程とを備え、これら梅エキスペーストと梅果肉粉末を混合することで、トリテルペノイドを高濃度含有する梅エキス組成物ができることを見出し、本発明を完成するに至った。 上記発明が解決しようとする課題は、下記に示す本発明により一挙に解決される。即ち、本発明は、(1)トリテルペノイドを高含有する梅エキス組成物、(2)トリテルペノイドがウルソール酸及び/又はオレアノール酸である請求項1に記載の組成物、(3) 梅エキス組成物が梅果肉粉末を含むことを特徴とする請求項1〜2に記載の組成物、(4)梅エキス組成物が梅果肉粉末を含んだ固状であることを特徴とする請求項1〜2に記載の組成物、(5)梅果実を搾汁し、得られた梅果汁を煮詰めてムメフラールを含んだ梅エキスペーストをつくる工程と、搾汁時に産出する梅果肉を乾燥粉末化して梅果肉粉末をつくる工程とを備え、これら梅エキスペーストと梅果肉粉末を混合し、粒状加工を行うことを特徴とするトリテルペノイド高含有梅エキス粒状製品、(6)梅果実を搾汁し、得られた梅果汁を煮詰めてムメフラールを含んだ梅エキスペーストをつくる工程と、搾汁時に産出する梅果肉を乾燥粉末化して梅果肉粉末をつくる工程とを備え、これら梅エキスペーストと梅果肉粉末を混合し、粒状加工を行うことを特徴とするトリテルペノイド高含有梅エキス粒状製品の製造方法に関する。本発明によれば、副作用の心配がなく、人体に安全な天然由来成分で、梅由来のトリテルペノイドをこれまでの梅製品より高濃度に含むことを特徴とする梅エキス組成物を提供することができる。製造方法を示したフロー図である。以下、本発明を詳細に説明する。本発明のトリテルペノイド高含有梅エキス組成物は、梅(Prunus mume Sieb.et Zucc)から得ることを特徴とする。梅の品種は特に限定されないが、バラ科サクラ属の梅であって、例えば、南高梅、古城、白加賀、養青、天神、鶯宿、露茜、翠香、甲州小梅、パープルクイーン等が挙げられる。梅の熟度は特に限定されないが、トリテルペノイド含有量が多いことや搾汁加工特性から、より軟化した完熟果実が好ましい。 本発明におけるトリテルペノイドは、梅由来のトリテルペノイドであって、ウルソール酸または、オレアノール酸、あるいはその両方を含んでいればよい。また、ウルソール酸メチル、ウルソール酸エチル、ウルソール酸プロピル、ウルソール酸ブチル、ウルソール酸ベンジル、オレアノール酸メチル、オレアノール酸エチル、オレアノール酸プロピル、オレアノール酸ブチル、オレアノール酸ベンジルなどに代表される誘導体または配糖体などを含んでいてもよい。 トリテルペノイドの分析は特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。梅エキスサンプル1.0gに対して、15mlの90%メタノールを加えて45分間超音波処理(US−205、エスエヌディ社製)し、遠心分離機(CR22G、日立工機社製)で分離(8000rpm、20分間)を3回繰り返して抽出した。その後抽出液は分析範囲に収まるように適宜ロータリーエバポレーターにて濃縮した。得られた濃縮液のウルソール酸とオレアノール酸の含有量を高速液体クロマトグラフ分析装置(HPLC)で測定した。また標準物質としてのウルソール酸とオレアノール酸はそれぞれ和工純薬社製を用いた。HPLCの分析条件を下記に示す。装 置 :Alliance HPLC システム(Waters社製)検 出 器 :フォトダイオードアレイ検 出 波長 :210nmカ ラ ム :Kromasil C18、5μm、4.6×250mm(ケムコプラス社製)カラム温度 :40℃移 動 相 :メタノール:リン酸緩衝液(pH2.3)=89:11流 速 :0.8ml/minサンプル注入量:10μl梅エキスの原料となる梅果汁を搾る方法は特に限定されないが、梅果実原料をクッカーなどで加温し、果実を軟化させた後、パルパーフィニッシャーなどで果実とタネを分離し、ろ布濾過、あるいは遠心分離などで梅果汁と梅果肉を分ける方法が挙げられる。アミグダリン混入の問題から、タネを割らない方法を選択するのが好ましい。あるいは梅果実を冷凍し、解凍時に得られるドリップを回収する方法を選択してもよい。得られた梅果汁はその後酵素処理や、膜処理技術を用いて更に清澄化してもよい。梅エキスの製造方法は限定されないが、例えば、梅果肉の搾り汁をアクなどを取りながら長時間煮詰める方法が挙げられる。また、この梅エキスは、例えば、梅を洗浄し、梅の実と種を分離し(クッカー処理およびパルパー処理)、分離された梅の実から搾り汁を得(クラリファイヤー処理)、この搾り汁を蒸練機を用いて練り上げることにより製造することもできる。 梅エキスを練り上げるときの加熱温度は特に限定されないが、好ましくは40〜130℃、さらに好ましくは60〜125℃、より好ましくは80〜120℃で行う方がよい。40℃以下だと濃縮(水分蒸発)に長時間を要するだけでなく、ムメフラールが生成しない。また130℃以上だと濃縮(水分蒸発)は短時間で行えるが、ムメフラールが分解してしまう。梅エキス仕上がり時の煮詰まった最終段階(Brix80)での品温は、ムメフラール生成の観点から100℃付近を保持することが好ましい ムメフラールの分析方法は特に限定されないが、ムメフラールの吸湿性によって濃度検出が不安定なため、日本食品科学工業会誌第50巻第4号(平成15年4月15日発行)の第188頁〜第192頁に記載された梅エキス中のムメフラールの定量法を用いることが好ましい。別の梅エキスの製造方法としては、例えば、梅干しを漬けた後に製造される梅酢を用いる方法も挙げられる。この梅酢を用いる方法は、具体的には、梅酢を脱塩して梅果汁を得、この梅果汁を蒸練機を用いて練り上げる方法も使うことができる。本発明における梅果肉粉末の製造方法は特に限定されないが、梅果汁を搾ったときに産出される梅果肉を、例えば天日乾燥を行ったり、温風乾燥機、ドラム乾燥機、凍結乾燥機、遠赤外線乾燥機などの水分蒸発機能を備えた機器などを用いて乾燥したあと、粉末化することにより得られる。 本発明における梅果肉の乾燥温度については、特に限定されないが、好ましくは30℃〜100℃、さらに好ましくは40℃〜80℃、より好ましくは50℃〜70℃で行うのがよい。30℃以下だと水分蒸発に時間がかかりすぎ、100℃以上だとトリテルペノイドが減少する恐れがある。本発明における梅果肉粉末は、例えば、梅果肉粉末100gあたり水を0.5〜20g、好ましくは2〜10g、食物繊維を50〜90g、好ましくは60〜80gを含有する。本発明において用いられる梅果肉粉末の粒径は、特に限定されず、どのような粒径であってもよい。前記梅果肉粉末の粒径としては、例えば、30〜120メッシュ、好ましくは50〜110メッシュ、より好ましくは60〜100メッシュである。本発明において、前記梅果肉乾燥粉末の粒径は、1種類であってもよいし、2種類以上を併用してもよい。 ムメフラールを含んだ梅エキスペーストに梅果肉粉末を混合する方法は、特に限定されないが、梅エキスを製造する中間工程、すなわち梅果汁を高温加熱・濃縮する工程に混合しても構わないが、梅エキスペーストのムメフラール量のコントロール、水分コントロール、トリテルペノイドの分解の観点から、梅エキスペーストを作る工程のほぼ最終段階で混合するのが好ましい。混合時の梅エキスペーストの品温はトリテルペノイドの分解の観点から、100℃以下が好ましい。梅エキスペーストと梅果肉粉末を混合し、粒状に加工する方法は、特に限定されないが、例えば、梅エキスペーストと梅果肉粉末を練り合わせ、圧延処理後、製丸機により丸剤加工してもよい。この時の梅エキスペーストの使用量は、全体の80重量部〜20重量部が好ましく、70重量部〜30重量部がより好ましく、60重量部:40重量部がさらに好ましい。梅エキスペーストの使用量が80重量部を超えると粘着性が強すぎて粒状に加工できず、20重量部を下回ると果肉粉末を粒状にまとめることが不可能となる。また、必要に応じて賦形剤などの加工助剤を添加してもよい。本発明において、粒状製品とは、粒の形態をしたものを意図する。その粒の形態としては、特に限定されないが、例えば、丸剤状、錠剤状、チュアブル状、糖衣錠状などが挙げられる。本発明による梅エキス組成物は、食品、飼料、医薬品、医薬部外品に使用でき、その形態または種類は特に限定されず、任意に決定することができる。また、他の成分を含んでもよく、例えば糖類、ビタミン類、コーンスターチ、各種健康機能性素材等が挙げられる。次に本発明の実施例について説明する。[調製例1]梅エキスの製造 和歌山県産の南高梅(1000kg)を洗浄し、搾汁機(クッカー・パルパー処理機、紀比機械社製)を用いて、梅果汁を含んだ梅果肉(890kg)とタネ(95kg)に分離した。得られた梅果汁を含んだ梅果肉を、スクリューデカンタ型遠心分離機処理(IHI社製、2000rpm)により、梅果汁(678kg)と梅果肉(195kg)に分離した。梅果汁678kgを蒸練機(株式会社ヤエス社製、サン二重釜SQPV−800)に投入し、品温90℃〜100℃で練り上げることにより梅エキス(50kg、Brix80)を得た。得られた梅エキスは、一般的に市販されている従来品に相当し、梅エキス100gあたり水を13.5g、タンパク質を6.6g、脂質を0.1g、灰分を6.2g、炭水化物を73.6g、ムメフラールを2.0g含有していた。[調製例2] 梅果肉粉末の製造 和歌山県産の南高梅(1000kg)を洗浄し、搾汁機(クッカー・パルパー処理機、紀比機械社製)を用いて、梅果汁を含んだ梅果肉(890kg)とタネ(95kg)に分離した。得られた梅果汁を含んだ梅果肉を、スクリューデカンタ型遠心分離機処理(IHI社製、2000rpm)により、梅果汁(678kg)と梅果肉(195kg)に分離した。得られた梅果肉を温度50℃〜60℃で20時間の間、遠赤外線乾燥機(株式会社ヴィアノーベ社製、フードドライヤーViVi−9型式V7513)で乾燥した。前記乾燥梅果肉(40kg)をまず、ロールクラッシャー(三庄インダストリー株式会社製)で粗粉砕を行い、その後、微粉砕機アトマイザー(増幸産業株式会社製MKA−10J)を用いて粉末化した。得られた粉末状の乾燥梅果肉を粒径ごとに篩分け、60〜100メッシュの梅果肉粉末(30kg)を得た。[実施例1] ムメフラールを含む梅エキス(調製例1)80重量部と梅果肉粉末(調製例2)20重量部を品温100℃以下で混合し、梅果肉粉末を含んだ梅エキス組成物を得た。当該梅エキス組成物のトリテルペノイド含量を前述した方法により分析を行った結果、梅エキス組成物100g当たりウルソール酸156mg、オレアノール酸13.7mgを含有し、トリテルペノイド総量は170mgであった。[実施例2] ムメフラールを含む梅エキス(調製例1)60重量部と梅果肉粉末(調製例2)40重量部を品温100℃以下で混合し、梅果肉粉末を含んだ梅エキス組成物を得た。当該梅エキス組成物のトリテルペノイド含量を前述した方法により分析を行った結果、梅エキス組成物100g当たりウルソール酸311mg、オレアノール酸27.2mgを含有し、トリテルペノイド総量は338mgであった。[実施例3] ムメフラールを含む梅エキス(調製例1)20重量部と梅果肉粉末(調製例2)80重量部を品温100℃以下で混合し、梅果肉粉末を含んだ梅エキス組成物を得た。当該梅エキス組成物のトリテルペノイド含量を前述した方法により分析を行った結果、梅エキス組成物100g当たりウルソール酸622mg、オレアノール酸54.4mgを含有し、トリテルペノイド総量は676mgであった。[実施例4]ムメフラールを含む梅エキス(調製例1)65重量部と梅果肉粉末(調製例2)35重量部を品温100℃以下で混合し、梅果肉粉末を含んだ梅エキス組成物を得た。次にこの梅エキス組成物を練合機(畑製作所製、HATA−1・WHN−2A)に投入して45℃で24分間混合して練り生地を作製した。 前記練り生地のうち20kgを圧延機(小池製作所製、VSW−165)に投入し、2〜4回、40〜50℃で圧延して、圧延材料を得た。前記圧延機を通過させる回数は、前記練り生地の状態に応じて調整した。具体低には、練り生地の粘着性、キレ、硬さを目視と触感で確認し、適正な硬さになるように圧延機を通過する回数を調整した。 前記圧延材料を製丸機(岩黒製作所製、梅用製丸機)を用いて、200±20mg/粒の重量になるように製剤化して、丸剤(19.2kg)を得た。 得られた丸剤のトリテルペノイドを分析した結果、梅エキス粒状製品100g当たりウルソール酸273mg、オレアノール酸23.8mgを含有し、トリテルペノイド総量は297mgであった。[比較例1] 和歌山県産の南高梅(1000kg)を洗浄し、搾汁機(クッカー・パルパー処理機、紀比機械社製)を用いて、梅果汁を含んだ梅果肉(890kg)とタネ(95kg)に分離した。得られた梅果汁を含んだ梅果肉を、スクリューデカンタ型遠心分離機処理(IHI社製、2000rpm)により、梅果汁(678kg)と梅果肉(195kg)に分離した。前記梅果汁60重量部と前記梅果肉40重量部を、蒸練機(株式会社ヤエス社製、サン二重釜SQPV−800)に投入し、品温90℃〜100℃で練り上げることにより梅エキスの製造を試みたが、品温が70℃付近に達したとき、梅果肉由来のペクチンの硬化がはじまり、ジャム化してしまった。黒褐色ペースト状の梅エキスとは物性が異なるものが得られ、ムメフラール分析に供してもそのピークは確認されなかった。すなわち、梅果汁を煮詰める工程に梅果肉を混合しても、ムメフラールを含む梅エキス組成物は得られなかった。[比較例2] 和歌山県産の南高梅(1000kg)を洗浄し、搾汁機(クッカー・パルパー処理機、紀比機械社製)を用いて、梅果汁を含んだ梅果肉(890kg)とタネ(95kg)に分離した。得られた梅果汁を含んだ梅果肉を、ろ布を備えたプレス搾汁機(ヤブタ産業社製)により、できるだけ果肉分を果汁に移行させる形であら濾し梅果汁(515kg)と梅果肉(330kg)に分離した。得られたあら漉し梅果汁は、濁った状態で梅果肉由来の固形分を20重量%含んでいた。前記あら漉し梅果汁を515kgを蒸練機(株式会社ヤエス社製、サン二重釜SQPV−800)に投入し、品温90℃〜100℃で練り上げることにより梅エキス(38kg、Brix80)を得た。あら漉し梅果汁においても、ペクチンの硬化によるジャム化現象は見られ、蒸練機の底部や側壁にかなりの焦げつきが発生していた。前記梅エキスのムメフラール分析の結果、そのピークが確認され、ムメフラールを含む梅エキスが製造可能であった。一方、トリテルペノイド分析の結果、梅エキス100g当たりウルソール酸4.55mg、オレアノール酸0.26mg、トリテルペノイド総量は4.81mgしか定量されなかった。すなわち、梅果汁を煮詰める工程に、あら漉し果汁という形で、梅エキス製造可能な範囲の梅果肉を存在させても、ムメフラールを含む梅エキスは得られるものの、トリテルペノイドを高含有させることはできなかった。[比較例3] 実施例1〜4で得られた本発明による梅エキス組成物と、調製例1および比較例2についてトリテルペノイド含量を測定した。下記の表1に分析結果を示す。 表1の分析結果から、従来の梅エキス製品である調製例1および、あら漉し梅果汁を用いた比較例2に比べ、本発明による梅エキス組成物のトリテルペノイド含量は桁外れに高含有量であることがわかる。実施例3のトリテルペノイド総量は比較例2の140倍、調製例1の1570倍に相当する。市販されている他社製品についても、調製例1〜比較例2レベルの含有量であることを確認しているので、本発明による梅エキス組成物は、業界初の画期的な製品であることがわかる。 本発明により得られるトリテルペノイド高含有梅エキス組成物は、これまでの梅エキス製品に比べ、はるかに高い濃度のトリテルペノイドを含有させることができるので、当該成分の持つ機能性を十分に体感することができる、安全性の高い、梅エキス組成物を提供することができる。トリテルペノイドを高含有する梅エキス組成物トリテルペノイドがウルソール酸及び/又はオレアノール酸である請求項1に記載の組成物梅エキス組成物が梅果肉粉末を含むことを特徴とする請求項1〜2に記載の組成物梅エキス組成物が梅果肉粉末を含んだ固状であることを特徴とする請求項1〜2に記載の組成物梅果実を搾汁し、得られた梅果汁を煮詰めてムメフラールを含む梅エキスペーストをつくる工程と、搾汁時に産出する梅果肉を乾燥粉末化して梅果肉粉末をつくる工程とを備え、これら梅エキスペーストと梅果肉粉末を混合し、粒状加工を行うことを特徴とするトリテルペノイド高含有梅エキス粒状製品梅果実を搾汁し、得られた梅果汁を煮詰めてムメフラールを含む梅エキスペーストをつくる工程と、搾汁時に産出する梅果肉を乾燥粉末化して梅果肉粉末をつくる工程とを備え、これら梅エキスペーストと梅果肉粉末を混合し、粒状加工を行うことを特徴とするトリテルペノイド高含有梅エキス粒状製品の製造方法 【課題】、梅エキスに梅由来のトリテルペノイドを高濃度含させる方法を見出し、梅由来のトリテルペノイドを高含有する梅エキス組成物を提供することを目的とする。【解決手段】梅エキスの原料となる梅果汁を製造する際に得られる梅果肉の乾燥物に、トリテルペノイドが高濃度含まれていることを新たに知見し、梅果汁を煮詰めてムメフラールを含んだ梅エキスペーストをつくる工程と、搾汁時に産出する梅果肉を乾燥粉末化して梅果肉粉末をつくる工程とを備え、これら梅エキスペーストと梅果肉粉末を混合することで、トリテルペノイドを高濃度含有する梅エキス組成物を完成させた。本発明によれば、副作用の心配がなく、人体に安全な天然由来成分で、梅由来のトリテルペノイドをこれまでの梅製品より高濃度に含むことを特徴とする梅エキス組成物を提供することができる。【選択図】図1