生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_オピオイドおよび他の薬物に関する乱用抑止性の薬学的組成物
出願番号:2013160233
年次:2013
IPC分類:A61K 31/485,A61K 9/26,A61K 9/48,A61K 47/02,A61K 47/12,A61K 47/24,A61K 47/36,A61K 47/40,A61K 47/42,A61K 47/48,A61P 25/36


特許情報キャッシュ

ジェーン ハーシュ アレクサンダー エム. クリバノブ ティモシー エム. スワガー ステファン エル. ブッチワルド ヘ ヨン ロー アリソン ビー. フレミング ロマン ブイ. ラリー JP 2013216707 公開特許公報(A) 20131024 2013160233 20130801 オピオイドおよび他の薬物に関する乱用抑止性の薬学的組成物 コルジウム ファーマシューティカル, インコーポレイテッド 505008464 山本 秀策 100078282 森下 夏樹 100113413 ジェーン ハーシュ アレクサンダー エム. クリバノブ ティモシー エム. スワガー ステファン エル. ブッチワルド ヘ ヨン ロー アリソン ビー. フレミング ロマン ブイ. ラリー US 60/393,876 20020705 US 60/436,523 20021223 US 60/443,226 20030128 US 60/463,514 20030415 US 60/463,518 20030415 A61K 31/485 20060101AFI20130927BHJP A61K 9/26 20060101ALI20130927BHJP A61K 9/48 20060101ALI20130927BHJP A61K 47/02 20060101ALI20130927BHJP A61K 47/12 20060101ALI20130927BHJP A61K 47/24 20060101ALI20130927BHJP A61K 47/36 20060101ALI20130927BHJP A61K 47/40 20060101ALI20130927BHJP A61K 47/42 20060101ALI20130927BHJP A61K 47/48 20060101ALI20130927BHJP A61P 25/36 20060101ALI20130927BHJP JPA61K31/485A61K9/26A61K9/48A61K47/02A61K47/12A61K47/24A61K47/36A61K47/40A61K47/42A61K47/48A61P25/36 1 2009230021 20030707 OL 21 4C076 4C086 4C076AA41 4C076AA54 4C076AA94 4C076AA95 4C076BB01 4C076CC01 4C076CC41 4C076CC45 4C076CC46 4C076CC47 4C076DD21 4C076DD41 4C076DD63 4C076EE30 4C076EE39 4C076EE41 4C076EE59 4C076FF31 4C076FF33 4C086AA01 4C086AA02 4C086CB23 4C086MA03 4C086MA05 4C086MA35 4C086MA37 4C086MA52 4C086NA05 4C086NA12 4C086ZC39 (発明の背景) 本発明は、概して薬学的組成物の分野にあり、具体的には、乱用に供される薬物の不適当な投与に対する可能性を減少するように設計された組成物に関する。 本出願は、Alexander M.Klibanov、Stephen L.Buchwald、Timothy M.Swager、およびWhe−Yong Loによって2002年7月5日に出願されたU.S.S.N.60/393,876(発明の名称「Abuse−Resistant Formulations of Oxycontin and Other Drugs」);Alison B.Fleming、Roman V.Rariy、Alexander M.Klibanov、Whe−Yong Lo、およびJane Hirshによって2002年12月23日に出願されたU.S.S.N.60/436,523;Jane Hirsh、Alison B.Fleming、Alexander M.Klibanov、およびWhe−Yong Loによって2003年1月28日に出願されたU.S.S.N.60/443,226;Jane C.Hirsh、Alison B.Fleming、Roman V.Rariy、Stephen L.Buchwald、およびTimothy M.Swagerによって2003年4月15日に出願されたU.S.S.N.60/463,514;ならびにJane C.Hirsh、Alison B.FlemingおよびRoman V.Rariyによって2003年4月15日に出願されたU.S.S.N.60/463,518に対する優先権を主張する。 オキシコドン、モルヒネ、および他のオピオイド鎮痛薬は、経口的に投与された場合、例えば、鎮痛剤として首尾良くかつ治療上有用な医薬である。不運にも、これらはまた、気分を変化させる能力および/または多幸感をもたらす能力に起因して、故意の乱用についての深刻な脅威をもたらす。現在利用可能なこのような薬物の徐放性(susutained−release)処方物は、長時間にわたって処方物から放出されるように意図された比較的大量の薬物を含有し、これらは、その処方物を砕く(crushing)かまたは磨り潰す(grinding)ことによってその徐放作用が破壊され得るため、乱用者(abuser)にとって特に魅力的である。生じた物質(すなわち、砕かれた処方物)は、もはや薬物の放出を制御し得ない。その薬物に依存して、乱用者は、その後、(1)その物質を吸い込む、(2)その物質を飲み込む、または(3)その物質を水に溶解させ、続いてそれを静脈内に注射する。従って、処方物中に含まれる薬物の用量は、鼻の粘膜またはGI粘膜を通じてすぐに吸収される(それぞれ、吸い込むことまたは飲み込むことについて)か、あるいは体循環にボーラスで投与される(IV注射について)。これらの乱用方法は、比較的高用量の薬物の急激なバイオアベイラビリティーを生じ、乱用者は「恍惚(high)」となる。比較的単純な方法(砕く、磨り潰す、噛むおよび/または水に溶かす)が、このような処方物を乱用可能な形態に変えるのに使用され得るため、これらは、潜在的な乱用者に対する抑止力を実質的に提供しない。 例えば、FDAは、最近、乱用および流用(diversion)の継続的な報告の理由から、激痛に対する穏やかな処置のために承認された麻薬である、OxyContin(登録商標)(オキシコドンHCl徐放性(controlled−release))錠の表示における警告欄および注意欄を強化した。OxyContin(登録商標)は、モルヒネの嗜癖(addiction)可能性と同様の嗜癖可能性を有するオピオイドアゴニストである、オキシコドンHClを含有する(10mg、20mg、40mgおよび80mgの強度で利用可能)。オピオイドアゴニストは、オピオイドレセプターと呼ばれる特定のタンパク質に結合することによって作用する物質であり、オピオイドレセプターは、脳、脊髄、および胃腸管に見出される。これらの薬物が脳および脊髄における特定のオピオイドレセプターに結合すると、これらは脳への痛覚情報の伝達を効果的にブロックし得る。OxyContin(登録商標)は、徐放性の投薬形態で供給され、激痛の緩和から軽減の12時間まで提供することが意図される。警告は、具体的には、この錠剤がそのままでかつ口からのみ、摂取されなければならないことを言明する。錠剤が噛まれるか砕かれ、そしてその成分が飲み込まれるか、鼻孔に吸い込まれるか、または溶解され、続いて静脈内に注射される場合、徐放機構は破壊され、そして潜在的な致死用量のオキシコドンが生物学的に利用可能になる。 近年、いくつかの州においてオキシコドンの流用および乱用に関する多数の報告が存在している。例えば、DEAの流用管理事務局(Office of Diversion Control)は、2000年1月から2001年6月までの間に700件のOxyContin(登録商標)の窃盗事件を報告した。これらの報告された事例のいくつかは、死亡を含む深刻な結果と関連している。 オキシコドンは、麻薬取締局(Drug Enforcement Administration;DEA)によって管理される規制物質法(Controlled Substance Act;CSA)の一覧表II(Schedule II)における規制物質である。一覧表IIが、承認された製剤についてCSAの下で規制可能な最大量を提供するという事実にもかかわらず、実際には、司法当局(law enforcement agency)にとって、正当な処方薬の流用または悪用(misuse)を規制することは困難である。乱用、悪用、および流用は、オキシコドンを含むすべてのオピオイドについての潜在的な問題であるが、オピオイドは、医師の慎重な監督の下で適切に使用される場合には、痛みの管理について医療用品の非常に重要な役目を果たす。 このような薬物について現在利用可能な処方物は、経口投与用に設計されるが、不適当な投与方法(例えば、噛むこと、注射および吸い込むこと)を予防するかまたは遅延させる機構を含まない。このことは、米国で書かれた多数の正当な処方薬に与えられる深刻な問題を意味する。例えば、米国内のオピオイドの医療用適用は、1996年から2000年までで400%増加した。乱用に伴う問題は重大かつ長年にわたっており、そして新しい乱用抵抗性(abuse−resistant)の処方物または乱用抑止性(abuse−deterrent)の処方物を設計する努力は、大部分が成功していない。米国特許第3,980,766号、同第4,070,494号、および同第6,309,668号は、経口投与を意図された組成物の注射を予防するために設計された処方物を記載する。米国特許第3,980,766号は、摂取可能な固体の組み込みを記載し、この摂取可能な固体は、その水溶液の濃度によって粘性の急激な増加を引き起こす。米国特許第4,070,494号は、薬物に水での抽出に対する抵抗性を与えるのに十分な量での、無毒で水にゲル化可能な物質の組み込みを記載する。米国特許第6,309,668号は、2以上の層を含む経口投与用の錠剤を記載し、この錠剤は、錠剤の別個の層内に1以上の薬物および1以上のゲル化剤を含有する。得られた錠剤は、薬物を溶解させるために必要な容積の水と組み合わされた場合に、ゲルを形成する;従って、この処方物は、錠剤からの薬物の抽出能力を減少させる。これらの組成物は、注射による乱用を防止するが、このアプローチは、処方物を砕きそして飲み込むか吸い込むことによる乱用を予防することは不可能であり、これがOxyContin(登録商標)に関して一般に報告される乱用方法であることが注意されるべきである。 米国特許第3,773,955号および同第3,966,940号は、オピオイドアゴニストとオピオイドアンタゴニストとの組み合わせを含有する処方物を記載し、この処方物において、アンタゴニストはこの混合剤が経口的に投与される場合には治療効果を妨げず、乱用者によって非経口的に投与された場合には、鎮痛、多幸(euphoria)または身体的依存性を生じない。米国特許第4,457,933号は、特定の比較的狭い比でアンタゴニストを含む鎮痛用量の鎮痛剤を混合することによって、強力な鎮痛剤の経口乱用可能性および非経口乱用可能性の両方を減少させるための方法を記載する。米国特許第6,277,384号、同第6,375,957号、および同第6,475,494号は、経口的に送達された場合に、鎮痛的に有効であるが身体的に依存性の被験体には嫌悪的であるような比で、経口的に活性なオピオイドアゴニストと経口的に活性なオピオイドアンタゴニストとの組み合わせを含む経口投薬形態を記載する。このような処方物は、乱用を抑止することにおいて成功し得るが、正当な患者において悪影響を生じる可能性もまた有する。 従って、不適当な投与または薬物の使用についての可能性を有意に減少させるが、指示書通りに投与された場合には治療的有効量が送達され得る薬学的組成物を提供することが、本発明の目的である。 (発明の要旨) 乱用抑止性の薬学的組成物、ならびにその組成物を作製する方法およびその組成物を使用する方法が、開発されている。この組成物は、薬物(特に、オキシコドンのような薬物)の不適当な投与の尤度を減少させるために使用され得る。この技術は、多くの他の薬物について有用であり、ここでは、徐放性経口送達が望まれ、そして薬物用量が経鼻投与、IV投与または経口投与のためにすぐに利用可能に作製される場合に、乱用についての可能性が存在する。好ましい実施形態において、薬物は、化学的に改変されてその親油性が増大される。他の実施形態において、この処方物は、親油性物質または水に不溶の物質を含有するか、あるいは組成物の親油性および/または水への不溶性を増大させるプロセスを使用して作製される。 乱用抑止性の組成物は、たとえその投薬形態の物理学的完全性が(例えば、ナイフで叩き切る(chopping)かまたは砕くことによって)損なわれ、生じた物質が水中に放置されるか、吸い込まれるか、または飲み込まれたとしても、薬物の放出を遅延させる。従って、この組成物は、薬物が処方物から即時的に放出されないため、不適当な投与の一般的な方法(水に溶解させた薬物のIV投与、および砕いた処方物の経鼻投与もしくは経口投与を含む)に対する抑止力を提供する。しかし、指示書通りに処方された場合には、組成物が酵素的分解、胆汁酸の界面活性作用、および機械的侵食の組み合わせによって、GI管内で徐々に分解されるかまたは溶解されるにつれて、薬物が組成物からゆっくりと(代表的には4時間〜18時間の期間にわたって)放出される。 いくつかの実施形態において、個々の薬物含有微粒子または薬物粒子は、1以上の独立したコーティング層でコーティングされる。少なくとも1つのコーティング物質は、水に不溶であり、好ましくは有機溶媒に不溶であるが、酵素的に分解可能である。得られたコーティングされた微粒子の成分は、水、有機溶媒、またはそれらのいずれの組み合わせにも完全には可溶ではなく、その結果、インビトロでの処方物の分解は、1つより多くの工程を要する。従って、この薬物は、このような処方物から従来の化学的手段によって容易には抽出されない。対照的に、嚥下を介して胃腸管に投与された場合には、この薬物は、GI管内でのその後の酵素的分解、胆汁酸の界面活性作用、および機械的侵食によって、コーティングされた微粒子から徐々に放出される。 この薬学的組成物は、経口的に投与された場合、所望の薬物放出プロフィール生じる。このような放出プロフィールは、長時間の間(代表的には6時間〜24時間)に治療効果を提供する。さらなる組成物が提供され、徐放性の薬物に先立つ少ない即時用量を達成する。本明細書中で開示される組成物は、必要に応じて、感知可能なほどの乱用可能性を有さない薬物を含有し得る。本発明は、例えば以下の項目を提供する。(項目1)経口的に投与可能な乱用抑止性の薬学的組成物であって、以下:(a)治療的有効量の乱用傾向性の薬物の親油性誘導体を含有する組成物、および(b)治療的有効量の乱用傾向性の薬物を含有する水に不溶の、好ましくは親油性の処方物、からなる組成物の群より選択される治療的有効量の乱用傾向性の薬物を含有する、組成物。(項目2)1種以上の薬学的に受容可能な賦形剤中に治療的有効量の乱用傾向性の薬物の親油性誘導体を含有する、項目1に記載の組成物。(項目3)項目1に記載の組成物であって、該組成物は、徐放性の薬学的組成物である、組成物。(項目4)項目1に記載の組成物であって、該組成物は、該組成物の物理的完全性が損なわれ、生じた物質が水性媒体に曝される場合に、組み込まれた薬物の実質的部分の即時放出を予防する、組成物。(項目5)項目4に記載の組成物であって、前記即時的に放出される薬物の部分は、処方物中に組み込まれる薬物の総量の80%未満である、組成物。(項目6)項目1に記載の組成物であって、該組成物は、該組成物の物理的完全性が損なわれ、生じた物質が非水性媒体に曝される場合に、組み込まれた薬物の実質的部分の即時放出を予防する、組成物。(項目7)項目6に記載の組成物であって、前記即時的に放出される薬物の部分は、該組成物中に組み込まれる薬物の総量の80%未満である、組成物。(項目8)項目1に記載の組成物であって、前記乱用傾向性の薬物は、1−フェニルシクロヘキシルアミン、1−ピペリジノシクロヘキサンカルボニトリル、アルフェンタニル、アルファセチルメタドール、アルファプロジン、アルプラゾラム、アモバルビタール、アンフェタミン、アニレリジン、アポモルフィン、アプロバルビタール、バルビタール、バルビツール酸誘導体、ベミドン、ベンゾイルエクゴニン、ベンズフェタミン、ベタセチルメタドール、ベタプロジン、ベジトラミド、ブロマゼパム、ブプレノルフィン、ブタバルビタール、ブタルビタール、ブトルファノール、カマゼパム、カチン、クロラール、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼペート、クロチアゼパム、クロキサゾラム、コカイン、コデイン、クロルフェンテルミン、デロラゼパム、デキスフェンフルラミン、デキストロモルアミド、デキストロプロポキシフェン、デゾシン、ジアゼパム、ジエチルプロピオン、ジフェノキシン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、酪酸ジオキサフェンチル、ジパノン、ジフェノキシラート、ジプレノルフィン、エクゴニン、エナドリン、エプタゾシン、エスタゾラム、エトヘプタジン、ロフラゼプ酸エチル、エチルモルヒネ、エトルフィン、フェムプロポネックス、フェンカムファミン、フェンフルラミン、フェンタニール、フルジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、グルテチミド、ハラゼパム、ハロキサゾラム、ヘキサルゴン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、イソメタドン、ヒドロコドン、ケタミン、ケタゾラム、ケトベミドン、レバノン、レボアルファセチルメタドール、レボメタドン、酢酸レボメタジル、レボメトルファン、レボルファノール、ロフェンタニル、ロペラミド、ロプラゾラム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、リセルグ酸、リセルグ酸アミド、マチンドール、メダゼパム、メフェノレックス、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メタンフェタミン、メトヘキシタール、メトトリメプラジン、メチルジヒドロモルフィノン、メチルフェニデート、メチルフェノバルビタール、メトポン、モルヒネ、ナビロン、ナルブフェン、ナルブピン、ナロルフィン、ナルセイン、ネホパム、ニコモルヒネ、ニメタゼパム、ニトラゼパム、ノルジアゼパム、ノルメタドン、ノルモルヒネ、オキサゼパム、オキサゾラム、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、ペントバルビタール、フェナドキソン、フェナゾシン、フェンシクリジン、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェネリジン、ピミノジン、プロジリジン、プロペリジン、プロポキシフェン、ラセメトルファン、ラセモルファン、ラセモラミド、レミフェンタニール、セコバルビタール、サフェンタニル、タルブタール、テバイン、チアミラール、チオペンタール、トラマドール、トリメペリジン、ビンバルビタール、アロバルビトン、アルプラゾラム、アミロバルビトン、アプロバルビタール、バルビタール、バルビトン、ベンズフェタミン、ブラロバルビタール、ブロマゼパム、ブロチゾラム、ブスピロン、ブタルビタール、ブトバルビトン、ブトルファノール、カマゼパム、カプトジアーム、カルブロマル、カルフェンタニール、カルピプラミン、カチン、クロラール、クロラールベタイン、抱水クロラール、クロラロース、クロルジアゼポキシド、クロルヘキサドール、クロルメチアゾールエジシレート、クロルメザノン、シノラゼパム、クロバザム、クロラゼペートカリウム、クロチアゼパム、クロキサゾラム、シクロバルビトン、デロラゼパム、デキスフェンフルラミン、ジアゼパム、ジエチルプロピオン、ジフェバルバメート、ジフェノキシン、エンシプラジン、エスタゾラム、ロフラゼプ酸エチル、エチゾラム、フェバルバメート、フェンカムファミン、フェンフルラミン、フェンプロポレックス、フルアニソン、フルジアゼパム、フルニトラム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、フルトプラゼパム、ジェピロン、グルテチミド、ヘラゼパム、ハロキサゾラム、ヘキソバルビトン、イボマール、イプサピロン、ケタゾラム、ロプラゾラムメシレート、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マチンドール、メブタメート、メダゼパム、メフェノレックス、メフォバルビタール、メプロバメート、メタクラゼパム、メタクワロン、メトヘキシタール、メチルペンチノール、メチルフェノバルビタール、ミダゾラム、ミラゾラム、モルヒネ、ニメタゼパム、ニトラゼパム、ノルジアゼパム、オキサゼパム、オキサゾラム、パラアルデヒド、ペモリン、ペンタバルビトン、ペンタゾシン、ペントバルビタール、フェンシクリジン、フェノバルビタール、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェンプロバメート、フェンテルミン、フェニルアセトン、ピナゼパム、ピプラドール、プラゼパム、プロキシバルバール、クアゼパム、キナルバリトン、セコバルビタール、セコブトバルビトン、シブトラミン、テマゼパム、テトラゼパム、トリアゾラム、トリクロフォス、ザーレパン、ザーレプロン、ゾラゼパム、ゾルピデム、およびゾピクロンからなる群から選択される、組成物。(項目9)項目2に記載の組成物であって、薬物の前記親油性誘導体は、該薬物の遊離塩基または遊離酸である、組成物。(項目10)項目2に記載の組成物であって、薬物の前記親油性誘導体は、イオン化した該薬物および親油性の対イオンを含む塩である、組成物。(項目11)項目2に記載の組成物であって、薬物の前記親油性誘導体は、薬物分子、金属カチオン、および親油性の対イオンからなる群より選択される1以上の成分を含む錯体である、組成物。(項目12)項目2に記載の組成物であって、薬物の前記親油性誘導体は、薬物分子、金属カチオン、およびシクロデキストリン分子からなる群より選択される1以上の成分を含む錯体である、組成物。(項目13)項目2に記載の組成物であって、前記薬物は、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、ビスマス、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される金属カチオンと共に錯化される、組成物。(項目14)項目11に記載の組成物であって、前記薬物はオキシコドンであり、ここで、前記金属カチオンが、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、およびビスマスからなる群より選択され、かつ前記親油性の対イオンが、ステアレート、オレエート、パルミテート、ラウレートおよびリノレエートからなる群より選択される、組成物。(項目15)項目2に記載の組成物であって、薬物の前記親油性誘導体は、該薬物およびシクロデキストリンを含む錯体である、組成物。(項目16)項目2に記載の組成物であって、薬物の前記親油性誘導体は、該薬物と脂肪酸との間で形成されるエステルまたはアミドである、組成物。(項目17)項目1に記載の組成物であって、前記薬物は、水にゆっくりと溶解するかまたは水に不溶のいずれかの物質を含む複数の個々の微粒子中に組み込まれる、組成物。(項目18)項目17に記載の組成物であって、前記微粒子は、ワックスまたはワックス様物質を含む、組成物。(項目19)項目17に記載の組成物であって、前記微粒子は、脂肪または脂肪性物質を含む、組成物。(項目20)項目17に記載の組成物であって、前記微粒子は、天然に水に不溶のタンパク質、天然に水に不溶の多糖類、天然に水に不溶の脂質およびリン脂質、架橋した水溶性タンパク質、架橋した水溶性多糖類、架橋した水溶性シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される物質を含む、組成物。(項目21)項目17に記載の組成物であって、前記個々の微粒子は、1以上の独立した層でコーティングされ、ここで、該層の少なくとも1つが、水に不溶でありかつヒトの胃腸管の酵素によって分解される、組成物。(項目22)項目1に記載の組成物であって、前記薬物は、個々の薬物粒子が1以上の独立した層でコーティングされた形態であり、ここで、該層の少なくとも1つが、水に不溶でありかつヒトの胃腸管の酵素によって分解される、組成物。(項目23)項目21に記載の組成物であって、前記層の少なくとも1つは、水に不溶であり、有機溶媒に不溶であり、そしてヒトの胃腸管に存在する酵素によって分解可能である、組成物。(項目24)物質を含有する項目21に記載の組成物であって、これらの物質の組み合わせが、水、有機溶媒に可溶でもなければ、それらのいずれの組み合わせにも可溶でない、組成物。(項目25)項目21に記載の組成物であって、該組成物は、完全には可溶性ではなく、そして前記薬物は、単一溶媒中でも酵素溶液中でも完全に放出されない、組成物。(項目26)項目21に記載の組成物であって、前記酵素的に分解可能な層は、天然に水に不溶のタンパク質、天然に水に不溶の多糖類、天然に水に不溶の脂質およびリン脂質、架橋したタンパク質、架橋した多糖類、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される物質を含む、組成物。(項目27)項目1に記載の組成物であって、前記乱用傾向性の薬物は、感知可能なほどの乱用可能性を有さない薬物と同時投与される、組成物。(項目28)前記薬物が経口投与において即時的に放出されるように処方される、項目1に記載の組成物。(項目29)項目1に記載の組成物であって、前記乱用傾向性の薬物は、オキシコドンである、組成物。(項目30)乱用抵抗性の薬学的組成物を製造する方法であって、該方法は、治療的有効量の乱用傾向性の薬物を、1以上の薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、および/または添加剤中で均一に分散して、以下:(a)治療的有効量の乱用傾向性の薬物の親油性誘導体を含有する組成物、および(b)項目1〜29のいずれかによって規定されるような、治療的有効量の乱用傾向性の薬物を含有する水に不溶の、好ましくは親油性の処方物、からなる組成物の群より選択される治療的有効量の乱用傾向性の薬物を含有する経口的に投与可能な乱用抑止性の薬学的組成物を形成する工程を包含する、方法。(項目31)前記組成物をカプセルまたは錠剤中に処方する工程をさらに包含する、項目30に記載の方法。(項目32)乱用抵抗性の薬学的組成物を投与する方法であって、該方法は、以下:(a)治療的有効量の乱用傾向性の薬物の親油性誘導体を含有する組成物、および(b)項目1〜29のいずれかによって規定されるような、治療的有効量の乱用傾向性の薬物を含有する水に不溶の、好ましくは親油性の処方物、からなる組成物の群より選択される治療的有効量の乱用傾向性の薬物を含有する乱用抑止性の薬学的組成物を、それらを必要とする患者に経口的に投与する工程を包含する、方法。図1Aは、亜鉛ビス−オキシコドンの構造的概略図である。図1Bは、亜鉛オキシコドンステアレートの構造的概略図である。図1Cは、亜鉛オキシコドンジステアレートの構造的概略図である。 (発明の詳細な説明) 乱用抑止性の薬学的組成物、ならびにその組成物を作製する方法およびその組成物を使用する方法が、本明細書中で開示される。 (1.組成物) 本明細書中で使用される場合、「組成物」とは、患者に投与するための薬物投薬単位をいう。これはまた、単に活性成分、またはその活性成分を含有する処方物に関して使用され得る。 麻酔性鎮痛薬および他の薬物を含有する現在利用可能な徐放性投薬形態は、その投薬形態の機械的な破壊がカプセル化した薬物を露出させ、水性媒体へのその薬物の即時的溶解を可能にするという理由に一部起因して悪用される。この結果をもたらす投薬形態の2つの性質は、(1)薬物が抽出媒体に曝されることに対する容易さ、および(2)薬物塩形態の高い水溶性、である。 本明細書中で開示される組成物において、これらの特性の一方または両方が、乱用抑止性の組成物を達成するために変更される。具体的には、好ましい実施形態において、薬物は、その親油性を増大させるために改変され、さらなる好ましい実施形態において、次いで、水にゆっくりと溶解するかまたは水に可溶でないかのいずれかの物質中に、均一に分散され、その後微粒子中に処方される。薬物は、別個の粒子の形態で存在しても、分子レベルでキャリア物質中に部分的にまたは完全に分散されてもよい。 用語「乱用抑止性の組成物」または「乱用抑止性の処方物」は、本明細書中で互換可能に使用されて、薬物の不適当な投与についての可能性を減少させるが、指示書通りに投与された場合には治療的有効量を送達する組成物をいう。不適当な投与としては、投薬形態に手を加えること、および/または指示された以外の任意の経路によって薬物を投与することが挙げられる。例えば、錠剤またはカプセルについて、投薬形態に手を加える方法としては、割る、砕く、磨り潰す、噛むおよび/または錠剤またはカプセルの中身を溶解することが挙げられるが、これらに限定されない。経口投与について、不適当な投与としては、飲み込むこと以外の任意の経路によって薬物を投与することが挙げられる。 乱用抑止性の組成物は、好ましくは、その親油性を増大させるために改変された薬物を含有する。他の好ましい実施形態において、その薬物は、水にゆっくりと溶解するかまたは水に不溶性のいずれかの物質からなる微粒子中に、均一に分散される。組成物は、その投薬形態が叩き割られるかまたは砕かれ、生じた物質が水中に置かれるか、吸い込むか、または飲み込まれる場合には、薬物のほとんどが微粒子のコア物質の一部と会合するか微粒子のコア物質の一部に取り込まれたままであるため、薬物の放出を減速させる。いくつかの実施形態において、薬物含有微粒子または個々の薬物粒子は、1以上のコーティング層でコーティングされ、ここで、少なくとも1つのコーティングは、水に不溶であり、好ましくは有機溶媒に不溶であるが、酵素的に分解可能である。得られるコーティングされた微粒子の成分は、水、有機溶媒、またはそれらの任意の組み合わせに相互に可溶性ではなく、その結果、いずれの溶媒または酵素溶液も処方物をインビトロで完全に溶解し得ない。処方物からの薬物の抽出は、1つの工程では実行し得ないということである。しかし、指示書通りに投与された場合には、胃腸管の環境内で侵食されるため、薬物は処方物からゆっくりと放出される。 (A.処方されるべき薬物) 本明細書中で記載される組成物を使用して送達することが望ましい、多くの薬物が存在する。1970年の包括的薬物乱用防止及び管理法(Comprehensive Drug Abuse Prevention and Control Act)の第II編である規制物質法(CSA)は、既存の連邦法の下で規制されるすべての物質を、その物質の薬理効果、有害性、および乱用もしくは嗜癖についての可能性に基づいて5つの一覧表のうち1つに配置した。望ましい薬物としては、一覧表II、III、IVおよびVの薬物として分類される薬物が挙げられる。最も望ましい薬物としては、オキシコドンのような、現在は持効性(sustained release)組成物または徐放性組成物として処方される薬物が挙げられ、ここで、薬物放出は、胃腸管を通って長時間にわたって生じることが意図され、例えば吸入または注射による即時放出または突発的放出は望ましくない。本明細書中で使用される場合、乱用傾向性の薬物とは、一覧表II、III、IVおよびVの薬物として指定される規制物質をいう。 用語「薬物」、「活性剤」、および「薬理学的活性剤」は、本明細書中で互換可能に使用されて、所望の薬理効果、生理的効果を誘導する化合物をいう。この用語はまた、本明細書中で具体的に言及されるこれらの活性剤の薬学的に受容可能な誘導体(塩、溶媒和物、水和物、1以上の分子との錯体、プロドラッグ、活性代謝物、アナログなど)を包含する。用語「活性剤」、「薬理学的活性剤」および「薬物」が使用される場合、または特定の薬物(例えば、オキシコドン)が同定される場合、活性剤それ自体、ならびに薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、水和物、1以上の分子との錯体、プロドラッグ、活性代謝物、アナログを含むように理解されるべきである。 好ましい薬物の例としては、1−フェニルシクロヘキシルアミン、1−ピペリジノシクロヘキサンカルボニトリル、アルフェンタニル、アルファセチルメタドール、アルファプロジン、アルプラゾラム、アモバルビタール、アンフェタミン、アニレリジン、アポモルフィン、アプロバルビタール、バルビタール、バルビツール酸誘導体、ベミドン、ベンゾイルエクゴニン、ベンズフェタミン、ベタセチルメタドール、ベタプロジン、ベジトラミド、ブロマゼパム、ブプレノルフィン、ブタバルビタール、ブタルビタール、ブトルファノール、カマゼパム、カチン、クロラール、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼペート、クロチアゼパム、クロキサゾラム、コカイン、コデイン、クロルフェンテルミン、デロラゼパム、デキスフェンフルラミン、デキストロモルアミド、デキストロプロポキシフェン、デゾシン、ジアゼパム、ジエチルプロピオン、ジフェノキシン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、酪酸ジオキサフェンチル、ジパノン、ジフェノキシラート、ジプレノルフィン、エクゴニン、エナドリン、エプタゾシン、エスタゾラム、エトヘプタジン、ロフラゼプ酸エチル、エチルモルヒネ、エトルフィン、フェムプロポネックス、フェンカムファミン、フェンフルラミン、フェンタニール、フルジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、グルテチミド、ハラゼパム、ハロキサゾラム、ヘキサルゴン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、イソメタドン、ヒドロコドン、ケタミン、ケタゾラム、ケトベミドン、レバノン、レボアルファセチルメタドール、レボメタドン、酢酸レボメタジル、レボメトルファン、レボルファノール、ロフェンタニル、ロペラミド、ロプラゾラム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、リセルグ酸、リセルグ酸アミド、マチンドール、メダゼパム、メフェノレックス、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メタンフェタミン、メトヘキシタール、メトトリメプラジン、メチルジヒドロモルフィノン、メチルフェニデート、メチルフェノバルビタール、メトポン、モルヒネ、ナビロン、ナルブフェン、ナルブピン、ナロルフィン、ナルセイン、ネホパム、ニコモルヒネ、ニメタゼパム、ニトラゼパム、ノルジアゼパム、ノルメタドン、ノルモルヒネ、オキサゼパム、オキサゾラム、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、ペントバルビタール、フェナドキソン、フェナゾシン、フェンシクリジン、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェネリジン、ピミノジン、プロジリジン、プロペリジン、プロポキシフェン、ラセメトルファン、ラセモルファン、ラセモラミド、レミフェンタニール、セコバルビタール、サフェンタニル、タルブタール、テバイン、チアミラール、チオペンタール、トラマドール、トリメペリジン、およびビンバルビタールが挙げられる。 上記の化合物に加えて、以下の指定薬物が組成物中に組み込まれ得る;アロバルビトン、アルプラゾラム、アミロバルビトン、アプロバルビタール、バルビタール、バルビトン、ベンズフェタミン、ブラロバルビタール、ブロマゼパム、ブロチゾラム、ブスピロン、ブタルビタール、ブトバルビトン、ブトルファノール、カマゼパム、カプトジアーム、カルブロマル、カルフェンタニール、カルピプラミン、カチン、クロラール、クロラールベタイン、抱水クロラール、クロラロース、クロルジアゼポキシド、クロルヘキサドール、クロルメチアゾールエジシレート、クロルメザノン、シノラゼパム、クロバザム、クロラゼペートカリウム、クロチアゼパム、クロキサゾラム、シクロバルビトン、デロラゼパム、デキスフェンフルラミン、ジアゼパム、ジエチルプロピオン、ジフェバルバメート、ジフェノキシン、エンシプラジン、エスタゾラム、ロフラゼプ酸エチル、エチゾラム、フェバルバメート、フェンカムファミン、フェンフルラミン、フェンプロポレックス、フルアニソン、フルジアゼパム、フルニトラム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、フルトプラゼパム、ジェピロン、グルテチミド、ヘラゼパム、ハロキサゾラム、ヘキソバルビトン、イボマール、イプサピロン、ケタゾラム、ロプラゾラムメシレート、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マチンドール、メブタメート、メダゼパム、メフェノレックス、メフォバルビタール、メプロバメート、メタクラゼパム、メタクワロン、メトヘキシタール、メチルペンチノール、メチルフェノバルビタール、ミダゾラム、ミラゾラム、モルヒネ、ニメタゼパム、ニトラゼパム、ノルジアゼパム、オキサゼパム、オキサゾラム、パラアルデヒド、ペモリン、ペンタバルビトン、ペンタゾシン、ペントバルビタール、フェンシクリジン、フェノバルビタール、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェンプロバメート、フェンテルミン、フェニルアセトン、ピナゼパム、ピプラドール、プラゼパム、プロキシバルバール、クアゼパム、キナルバリトン、セコバルビタール、セコブトバルビトン、シブトラミン、テマゼパム、テトラゼパム、トリアゾラム、トリクロフォス、ザーレパン、ザーレプロン、ゾラゼパム、ゾルピデム、およびゾピクロン。 本明細書中で記載される特定の化合物は、特定の幾何学的形態または立体異性的形態で存在し得る。本明細書中で開示される組成物は、すべてのこのような化合物(シス異性体およびトランス異性体、R−鏡像異性体およびS−鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)−異性体、(L)−異性体、それらのラセミ混合物、様々な空間的高次構造の化合物、ならびにそれらの他の混合物を含む)を、本発明の範囲内に収まることとして企図する。さらなる不斉炭素原子が、置換基(例えば、アルキル基)中に存在し得る。このようなすべての異性体、ならびにそれらの混合物は、本発明中に含まれることが意図される。 本明細書中で使用される場合、「薬学的に受容可能な塩」とは、開示された化合物の誘導体をいい、親化合物はそれらの酸性塩または塩基性塩を作製することによって改変される。薬学的に受容可能な塩としては、塩基性残基(例えば、アミン)の無機塩または有機酸塩;酸性残基(例えば、カルボン酸)のアルカリ塩または有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に受容可能な塩としては、従来の無毒性塩または例えば無毒性の無機酸もしくは有機酸から形成された親化合物の第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、このような従来の無毒性塩としては、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸など)由来の塩、ならびに有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パン酸(pamoic acid)、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、およびイセチオン酸)から調製される塩が挙げられる。 化合物の薬学的に受容可能な塩は、塩基性部分または酸性部分を含む親化合物から、従来の化学的な方法によって合成され得る。一般的には、これらの塩は、これらの化合物の遊離酸形態または遊離塩基形態を、化学量論的な量の適切な塩基または酸と、水中もしくは有機溶媒中で、または2種の混合物(一般的には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水性媒体が望ましい)中で反応させることによって調製され得る。適切な塩の一覧は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第20版、Lippincott Williams & Wilkins、Baltimore、MD、2000、704頁に見出され、その開示は本明細書により参考として援用される。 必要に応じて、本明細書中で記載される組成物は、感知可能なほどの乱用の可能性を有さない薬物をさらに含み得る。 (B.薬物溶解度改変) 好ましい実施形態において、薬物の溶解度特性は、処方物への組み込みの前に変更される。より親油性の誘導体を生成するための薬物の改変は、薬物の水溶性を低下させる役目を果たし、従って、水性抽出率を減少させる。さらに、薬物がより親油性に作製される場合、粒子形態で物理的に分散されるのではなく、融解した脂肪物質またはワックス様混合物中に可溶化され得る。薬物の可溶化は、密接に分散した組成物から薬物を抽出することが困難であるような混合物から処方された微粒子の乱用抑止性特性を増強する。 用語「親油性誘導体」および「親油性薬物誘導体」は、本明細書中で使用される場合、その薬物の最も水に可溶性の塩よりも溶解性の低い薬物の誘導体をいう。この最も可溶性の塩は、薬物のアルカリ金属塩(酸性薬物について)または無機酸を含む薬物の塩(塩基性薬物について)のいずれかから選択される。後者の例としては、ヒドロハレート、硫酸塩、および硝酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。 薬物の親油性を変化させるために使用され得るいくつかの方法が、以下に概説される。2つ以上のアプローチが、所望の溶解度プロフィールを達成するために組み合わされ得ることが理解される。 (親油性を増大させる方法) 1つの実施形態において、薬物は、その薬物分子の全体的な電荷を除去するかまたは減少させることによってより親油性にされる。例えば、塩基性薬物について、水溶性の塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、またはマレイン酸塩)は、当該分野で公知の技術を使用して遊離塩基に変換され得る。同様に、酸性薬物の場合には、水に可溶性の塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩など)は、遊離酸に変換され得る。 別の実施形態において、薬物の親油性は、薬物分子と荷電した親油性化合物との間で塩を形成することによって増大される。この場合、生じる塩の親油性は、対イオンの親油性を変化させることによって操作され得る。一般的には、C5〜C30の間の鎖長を有する親油性酸または親油性アミンが、親油性の対イオン候補物である。いくつかの具体例としては、リノレン酸、オクタン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、パルミチルアミン、リノレイルアミン、およびオレイルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。親薬物化合物と比較して親油性を増大し得、そしてそれゆえに脂溶性を増大し得る他の塩としては、ペクチン酸塩、タンニン酸塩、フィチン酸塩、サリチル酸塩、サッカリネート、アセスルファメート、没食子酸塩、およびテレフタレート塩が挙げられるが、これらに限定されない。 なお別の実施形態において、薬物の親油性は、薬物分子(荷電しているかまたは荷電していないかのいずれか)と金属カチオン(例えば、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ビスマスなど)との間で安定な錯体を形成することによって増大される。この錯体は、1以上の薬物分子、1以上の金属カチオン、および必要に応じて、親油性の荷電種からなり得る。上記の荷電した親油性種は、最終的な錯体の荷電をゼロにし、かつその全体的な親油性を増大する必要がある場合に、錯体中に組み込まれ得る。一般的には、C5〜C30の間の鎖長を有する親油性酸または親油性アミンが、親油性の対イオン候補物である。麻薬オキシコドンについてのこのような錯体の例は、図1に与えられる;親油性の薬物錯体は、1つまたは2つのオキシコドン分子、1つのZn2+カチオン、および1つまたは2つのステアリン酸アニオンで構成され得る。種々の金属カチオンならびに親油性の対イオンが、類似の構造を有する錯体(例えば、オキシモルホン)を形成するために使用され得ることが当業者によって理解される。 なおさらなる実施形態において、薬物親油性は、水に難溶性のシクロデキストリンとの錯化を介して増大される。例えば、エチル化β−シクロデキストリンは、錯化した薬物分子の水溶性を低下させることが示されている。 別の実施形態において、薬物は、共有結合的に改変されて、その親油性が増大される。例えば、親油性化合物は、エステル結合またはアミド結合を介して薬物分子に共有結合される。このような薬物誘導体はインビボで切断され、こうして親化合物が放出される。 (C.薬物含有微粒子) 好ましい実施形態において、薬物は、キャリア物質と共に処方されて、微粒子を形成する。本明細書中で使用される場合、用語「微粒子」は、キャリア物質中に分散された薬物を含有する組成物をいい、そして「コーティングされた微粒子」とは、1以上の物質のコーティング層でコーティングされた薬物含有微粒子または薬物粒子を含有する組成物をいう。微粒子およびコーティングされた微粒子は、直径が10ミクロン〜3000ミクロンのサイズ範囲を有する。 微粒子中で、薬物は、好ましくは、キャリア物質中での良質な粒子の形態で均一に分散される。より好ましくは、薬物は、溶解したキャリア物質中に部分的に可溶化されるか、または微粒子の形成中にキャリア物質と共に相互溶媒(mutual solvent)に部分的に溶解される。最も好ましくは、薬物は、溶解したキャリア物質中に完全に可溶化されるか、微粒子の形成中にキャリア物質と共に共溶媒に完全に溶解される。このことは、物質およびそれらが処理される様式の選択を通して達成される。 薬物含有微粒子の製造に適切なキャリア物質は、水にゆっくりと可溶であるかまたは水に不溶であるが、酵素的分解、胆汁酸の界面活性作用および機械的侵食を含む手段によってGI管中で分解され得る物質である。本明細書中で使用される場合、用語「水にゆっくりと可溶」とは、30分以内に水に溶解されない物質をいう。好ましい例としては、脂肪、脂肪性物質、ワックス、ワックス様物質およびそれらの混合物が挙げられる。適切な脂肪および脂肪性物質としては、脂肪性アルコール(例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、またはセトステアリルアルコール)、脂肪酸および誘導体(脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド(モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリド)が挙げられるが、これらに限定されない)、ならびに硬化脂肪が挙げられる。具体例としては、硬化植物油、硬化綿実油、硬化ヒマシ油、Sterotex(登録商標)の商品名の下で利用可能な硬化油、ステアリン酸、カカオ脂、およびステアリルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。適切なワックスおよびワックス様物質としては、天然のワックスもしくは合成ワックス、炭化水素、および標準的なワックスが挙げられる。ワックスの具体例としては、ビーズワックス、グリコワックス、キャスターワックス、カルナバワックス、パラフィンワックスおよびカンデリラワックスが挙げられる。本明細書中で使用される場合、ワックス様物質は、通常は室温で固体であり、約30℃〜300℃の融点を有する任意の物質として定義される。 いくつかの事例において、疎水性薬物含有微粒子への透水速度を変えることが望ましい。この目的のために、律速(芯)剤が、上記で列挙した脂肪またはワックスと一緒に処方され得る。律速物質の例としては、特定のデンプン誘導体(例えば、ワックス様マルトデキストリンおよびドラム乾燥したトウモロコシデンプン)、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース)、アルギン酸、ラクトースおよび滑石が挙げられる。さらに、薬学的に受容可能な界面活性剤(例えば、レシチン)が、このような微粒子の分解を促進するために添加され得る。 水に不溶なタンパク質(例えば、ゼイン)は、薬物含有微粒子の形成のために好ましいキャリア物質である。さらに、水に可溶なタンパク質、多糖類およびそれらの組み合わせが、薬物と共に微粒子中に処方され得、その後、架橋されて不溶性ネットワークを形成する。例えば、シクロデキストリンは、個々の薬物分子と共に錯化され得、その後架橋され得る。 特定のポリマーもまた、薬物含有微粒子の処方物においてキャリア物質として使用される。適切なポリマーとしては、エチルセルロースおよび他の天然のセルロース誘導体もしくは合成セルロース誘導体が挙げられる。水性環境中でゆっくりと溶解し、ゲルを形成するポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリエチレンオキシド)もまた、薬物含有微粒子のためのキャリア物質として適切であり得る。 薬物含有微粒子を生成するための、薬物のキャリア物質へのカプセル化または組み込みは、公知の薬学的処方技術を通して達成され得る。機械的な破壊(例えば、磨り潰す、噛む、または叩き切る)における曝露から薬物を守る組成物を作製するために、薬物は、キャリア物質内に深く分散される。脂肪、ワックスもしくはワックス様物質中の処方物の場合、このキャリア物質は、融点以上の温度で加熱され、そして薬物が添加されてキャリア物質中に懸濁された薬物分子、キャリア物質中に溶解された薬物、またはそれらの混合物を含む混合物が形成される。微粒子は、その後、いくつかの方法(凝固、押出し、噴霧冷却または水性分散のプロセスが挙げられるが、これらに限定されない)を通して処方され得る。好ましいプロセスにおいて、ワックスはその融点以上の温度で加熱され、薬物が添加され、そして溶解したワックス−薬物混合物は、定常攪拌下で混合物を冷却するにつれて凝固する。あるいは、溶解したワックス−薬物混合物は、押出され得、球状化されてペレットまたはビーズを形成する。これらのプロセスの詳細な説明は、「Remington The science and practice of pharmacy」、第20版、Jennaroら、(Phila、Lippencott、Williams、and Wilkens、2000)に見出され得る。 いくつかのキャリア物質について、薬物含有微粒子を生成するために溶媒蒸発技術を使用することが望ましくあり得る。この場合、薬物およびキャリア物質が、相互溶媒に同時溶解され、その後、微粒子がいくつかの技術(水または他の適切な媒体中で乳濁液を形成すること、噴霧乾燥させることまたは蒸発によってバルク溶液から溶媒を除くこと、そして得られた物質を製粉することが挙げられるが、これらに限定されない)によって生成され得る。 薬物自体の改変に加えて、処理条件を使用して、水に不溶の物質またはゆっくりと水に溶解する物質中での薬物の分散に影響を与え得る。例えば、水に不溶な物質またはゆっくりと可溶な物質が溶解され、そして薬物が攪拌条件下で完全にまたは部分的に溶解される場合、温度、攪拌速度および処理時間が、達成される溶解の程度に影響を与える。より具体的には、より高い温度、より速い攪拌速度およびより長い処理時間を用いて、より均一な分散が達成され得る。超音波もまた、分散の程度および/または薬物の分解速度を増大させるために溶解した混合物に適用され得る。 いくつかの実施形態において、特定の形態の薬物は、水に不溶な物質またはゆっくりと水に溶解する物質中で均一に分散される。組成物中の薬物粒子のサイズを最小限にするために、処方の前に、薬物粉末自体が製粉されて、良質な粒子を生成され得る。製薬分野で公知のジェットミリングのプロセスが、この目的のために使用され得る。いくつかの実施形態において、粒子形態の薬物は、ワックスまたはワックス様物質をそれらの融点以上の温度で加熱し、その混合物を攪拌しながら薬物粒子を添加することによってワックスまたはワックス様物質中に均一に分散される。この場合、薬学的に受容可能な界面活性剤が、薬物粒子の分散を促進するために、その混合物に添加され得る。 (D.コーティング薬物含有微粒子) いくつかの実施形態において、薬物含有微粒子または薬物粒子は、少なくとも1つの水に不溶性の酵素分解可能な物質中にカプセル化される。いくつかの事例において、消化酵素の基質は、天然に水に不溶であり、さらなる処理なしに処方物において利用され得る。リパーゼによって加水分解される脂肪酸の固体エステルは、微粒子または薬物粒子上にスプレーコーティングされ得る。ゼインは、天然に水に不溶のタンパク質の例である。ゼインは、スプレーコーティングまたは湿式造粒技術によって、薬物含有微粒子または薬物粒子上にコーティングされ得る。天然に水に不溶の物質に加えて、消化酵素のいくつかの基質が、架橋手順で処理され得、不溶性ネットワークの形成が生じる。化学的手段および物理的手段の両方によって惹起される架橋タンパク質についての多くの方法が、報告されている。架橋を生じるための最も一般的な方法の1つは、化学的架橋剤の使用である。化学的架橋剤の例としては、アルデヒド(グルテルアルデヒドおよびホルムアルデヒド)、エポキシ化合物、カルボジイミド、およびゲニピン(genipin)が挙げられる。これらの架橋剤に加えて、酸化糖および天然の糖がゼラチンを架橋するために使用されている(Cortesi,R.ら、Biomaterials 19(1998)1641−1649)。架橋はまた、酵素的手段を使用して達成され得る;例えば、トランスグルタミナーゼは、架橋水産物についてのGRAS物質として承認されている。最終的に、架橋は、物理的手段(例えば、熱処理、UV照射およびγ線照射)によって開始され得る。 薬物含有微粒子または薬物粒子を取り囲む架橋したタンパク質のコーティング層を生成するために、水に可溶のタンパク質が微粒子上にスプレーコーティングされ得、その後、上記の方法の1つによって架橋され得る。あるいは、薬物含有微粒子は、コアセルベーション相分離(例えば、塩の添加によって)によってタンパク質中にマイクロカプセル化され得、その後、架橋され得る。この目的のためのいくつかの適切なタンパク質としては、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、およびグルテンが挙げられる。 多糖類もまた、水に不溶なネットワークを形成するために架橋され得る。多くの多糖類について、この架橋は、ポリマー主鎖を架橋するカルシウム塩または多価カチオンとの反応によって達成され得る。ペクチン、アルギネート、デキストラン、アミロースおよびグアールガムが、多価カチオンの存在下で架橋に供される。反対に荷電した多糖類との間の錯体もまた、形成され得る;例えば、ペクチンおよびキトサンが、静電的相互作用を介して錯化され得る。不溶性コーティングは、この様式で粒子上に形成され得る。多くの場合、多糖類は、特に結腸内の細菌によって生成される酵素によって分解されることが注意されるべきである。 いくつかの場合、タンパク質および多糖類の両方を含む、水に不溶だが酵素的に分解可能なコーティングは、その成分が反対に荷電した高分子電解質である場合に生成され得る。適切な温度、pH、および濃度の下で、2つのポリマーはそれらの反対の電荷を通じて相互作用し得、そして水に不溶な錯体を形成し得る。コア粒子が錯体相分離の時点で存在する場合、コア粒子がコーティングされる。例えば、ゼラチンおよびアラビアゴムは、このプロセスを利用して、コア粒子上にコーティングされ得る。必要に応じて、錯体は、その後の化学的手段または物理的手段によって誘導される架橋によって、不可逆的に不溶性にされ得る。 (E.投薬形態) 上記で概説した乱用抑止性の基準を満たす多くの薬物組成物が存在する。1つの実施形態において、薬物は、良質な粒子形態で、水に不溶な物質またはゆっくりと水に溶解する物質中に均一に分散され、そしてその混合物は微粒子中に処方される。別の実施形態において、薬物は、製造プロセス(例えば、キャリア物質の融点以上の温度で混合することによって)中に、水に不溶な物質またはゆっくりと水に溶解する物質中に部分的に溶解され、そしてその混合物は微粒子中に処方される。なお別の実施形態において、薬物は、製造プロセス(例えば、キャリア物質の融点以上の温度で混合することによって)中に、水に不溶な物質またはゆっくりと水に溶解する物質中に完全に溶解され、そしてその混合物は微粒子中に処方される。なおさらなる実施形態において、薬物含有微粒子(ここで、薬物は、粒子形態で均一に分散されるか、あるいは製造プロセス中にキャリア物質中に部分的にもしくは完全に溶解されている)は、1以上のコーティングでコーティングされて、コーティングされた微粒子を形成する。さらなる実施形態において、薬物粒子は、1以上のコーティングで直接コーティングされて、コーティングされた微粒子を形成する。 微粒子、コーティングされた微粒子、またはそれらの混合物は、経口投与用に適切な固形投薬形態に形成される。例えば、微粒子またはコーティングされた微粒子は、硬いカプセル中に組み込まれ得るか、軟らかいゼラチンカプセル中に分散され得るか、または適切な賦形剤と組み合わされ、圧縮によって錠剤化され得る。 いくつかの実施形態において、組成物は、腸溶コーティングでコーティングされる。当該分野で公知の腸溶コーティングは、乱用抑止性の微粒子もしくはコーティングされた微粒子組成物に直接適用されるか、または乱用抑止性の微粒子および/もしくはコーティングされた微粒子組成物を含むカプセルもしくは錠剤の表面に適用される。当該分野で公知の腸溶コーティングとしては、例えば、EUDRAGIT(登録商標)の商品名の下で市販されるアクリルポリマー、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシネート、セルロースアセテートトリメルリエートまたはそれらの混合物が挙げられる。 投薬形態は、1以上の薬物を含み得る。投薬形態が、2以上の薬物を含む場合、これらは指定薬物であり得るか、もしくは指定薬物と非指定薬物との組み合わせであり得る。薬物は、別個の微粒子組成物中に組み込まれ得、ここで、指定薬物は乱用抑止性の微粒子組成物中に組み込まれ、非指定薬物は乱用抑止性の微粒子組成物中か、当該分野で公知の徐放性組成物中か、もしくは当該分野で公知の即時放出性組成物中に組み込まれ得る。異なる薬物を含有する組成物は、経口投与用に適切な単一の固形投薬形態中に処方される。例えば、それらの処方物は、ゼラチンカプセル中に組み込まれ得るか、適切な賦形剤と組み合わされ、錠投薬形態に圧縮され得る。本明細書中に記載される投薬形態に含まれ得る非指定薬物の例としては、アスピリン、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症剤、シクロオキシゲナーゼIIインヒビター、N−メチル−D−アスパラギン酸レセプターアンタゴニスト、グリシンレセプターアンタゴニスト、トリプタン、デキストロメトルファン、プロメタジン、フィオリナール、グアイフェネシン、ブタルビタール、およびカフェインが挙げられるが、これらに限定されない。 即時放出用量は、いくつかの方法で処方物中に組み込まれ得る。即時放出微粒子は、標準的な方法論を利用して作製され得、そして乱用抑止性の微粒子および/またはコーティングされた微粒子組成物と共に適切な経口投薬形態に処方され得る。あるいは、即時放出のために利用可能な薬物を含むコーティングは、乱用抑止性の微粒子および/またはコーティングされた微粒子組成物と適切な賦形剤とを含む錠剤に置かれ得る。さらに、薬物の即時用量は、素早く溶解する賦形剤と共に顆粒化または混合され得、その後、(1)乱用抑止性の微粒子および/またはコーティングされた微粒子組成物が一方の層として圧縮されている二層錠剤の他方の層としてか、あるいは(2)乱用抑止性の微粒子および/またはコーティングされた微粒子組成物が内側のコアとして圧縮されている圧縮コーティングされた錠剤の外側の層としてか、あるいは(3)乱用抑止性の微粒子および/またはコーティングされた微粒子組成物が組み込まれている錠剤中に、圧縮され得る。 いくつかの実施形態において、投薬形態の即時放出部分は、親油性薬物誘導体を含有する。例えば、中性のpHでは不溶性であるが、酸性pHでは解離し、これによって親化合物を放出する塩誘導体または錯体は、胃内での即時放出のために理想的である。オキシコドンの場合、この特性を示し得るいくつかの塩としては、タンニン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、没食子酸塩、ペクチン酸塩、フィチン酸塩、サッカリネート(saccharinate)、アセスルファメート(asesulfamate)およびテレフタル酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の金属イオン、および必要に応じて、1つ以上の親油性対イオンとの、薬物の錯体(例えば、図1を参照のこと)もまた、即時薬物放出のために使用され得る。投薬形態の即時放出部分における、塩または錯体の使用は、その処方物が破砕され、そして(1)吸われる場合、または(2)水中に溶解される場合に、この即時放出用量の乱用の可能性を低下させる。なぜなら、これらの塩は、これらの条件下で難溶性であるからである。このような塩または錯体はまた、徐放性部分なしで、即時放出投薬形態を処方するために使用され得ることが、当業者によって理解される。 乱用の可能性を低下させるためのさらなる機構はまた、錠剤を処方するプロセスの間に組み込まれ得る。例えば、成分が、最終処方物を噛むかまたは吸うことを遅くするために、添加され得る。例えば、強烈に苦い物質は、噛むことを遅くさせ得、一方で、強烈に薬味のきいた成分(例えば、カプサイシン)は、吸うことを遅くし得る。吸った後に、鼻の皮膚および粘膜表面を染色する、有色染料の添加が、その実施を減少させるように働き得る。 乱用抑止性の微粒子またはコーティングされた微粒子を含有する経口投薬形態中に存在する、任意の賦形剤としては、希釈剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、可塑化剤などが挙げられるが、これらに限定されない。希釈剤(「充填剤」ともまた称される)は、代表的に、固体投薬形態の嵩を増加させるために必要であり、これによって、錠剤の圧縮のための粒子サイズが提供される。希釈剤の例としては、セルロース、乾燥デンプン、微結晶性セルロース、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、糖剤の糖、圧縮性糖、デキストレート(dextrate)、デキストリン、ブドウ糖、スクロース、マンニトール、粉末セルロース、ソルビトール、およびラクトースが挙げられる。結合剤は、粉末材料に粘着質を与えるために使用され、そしてデンプン、ゼラチン、糖、天然ゴムおよび合成ゴム、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ワックス、ならびにポリビニルピロリドンのような材料が挙げられ得る。滑沢剤は、錠剤の製造を容易にするために使用される;滑沢剤の例としては、滑石、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、水素化植物油、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ロイシン、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、およびポリエチレングリコールが挙げられる。崩壊剤は、投与後の「解体」または崩壊を容易にするために、薬学的処方物に添加され得る。この目的で使用される材料としては、デンプン、粘土、セルロース、アルギン、ゴム、および架橋ポリマーが挙げられる。安定化剤は、コーティング材料の機械特性を変化させるために、コーティング材料に含まれ得る。可塑化剤の例としては、安息香酸ベンジル、クロロブタノール、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、グリセリン、鉱油、ポリエチレングリコール、ソルビトール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、グリセロールなどが挙げられる。上記添加剤に加えて、着色剤および矯味矯臭剤もまた、組成物に組み込まれ得る。 必要に応じて、本明細書中に開示される組成物は、材料の組み合わせが、水にも、有機溶媒にも、そのいずれの組み合わせにも可溶性ではない材料を含有する。 (II.投与の方法) インタクトな組成物の経口摂取の際に、処方物が、酵素分解、胆汁酸の界面活性剤作用、および機械的侵食の組み合わせによって、GI管内で次第に分解または溶解されるにつれて、薬物が放出されることが仮定される。このことは、ヒトの消化系が、種々の物質を効率的に分解または可溶化する、独特の能力の結果である。食物の消化および栄養分の吸収を生じる、GI管内でのプロセスは、周知である。口内での咀嚼に続いて、食物は胃に入り、ここでこの食物は、消化液と混合される。この液は、タンパク質分解酵素であるペプシンを含有し、この酵素は、胃内での低pHによる活性化に続いて、摂取されたタンパク質をより小さいペプチドフラグメントに切断するプロセスを開始する。次いで、食物は、高分子凝集体の形態で小腸に入りここで、この食物は、吸収されることが可能な形態またはほぼその形態の分子に消化される。この消化は、膵臓内で産生され、そして大腸のより上部(十二指腸)へと流れる種々の酵素の作用によって、達成される。膵臓において合成される酵素としては、プロテアーゼ、アミラーゼおよびリパーゼが挙げられる;これらの酵素は、それぞれ、タンパク質、デンプンおよび脂肪を分解し得る。脂肪の消化は、十二指腸内への胆汁の分泌によってさらに容易にされる。なぜなら、胆汁酸塩(これは、疎水性部分と親水性部分との両方を含む)は、リパーゼによる消化のために利用可能な表面積を増加させるために、脂質を小さい液滴に乳化させ得るからである。小腸の通過後に残る物質は、大腸に入る。小腸では消化されない炭水化物(例えば、セルロース)を分解し得る細菌は、大多数が、消化管のこの領域に存在する。最後に、微生物醗酵に加えて、大腸は、水および電解質を吸収し、そして便を形成し、そしてこれらの便が排泄されるまで、これらの便を貯蔵するように機能する。 乱用/転換の通常の方法を抑止するものを提供することに加えて、この処方物は、長期間にわたる薬物の徐放を提供し得る。これは、本発明の処方物において、薬物が、主として水不溶性の疎水性マトリックスからゆっくりと放出され、次いで、このマトリックスが分解するという事実の、当然の結果である。バリア成分は、例えば、酵素、胆汁酸の界面活性剤作用、および機械的侵食によって、分解される。 いくつかの実施形態において、迅速な治療結果を提供するために、薬物の即時放出が、胃において達成される。 薬学的薬物組成物は、経口投与される。適切な投薬処方物は、この処方物の薬物速度論の計算、次いで、慣用的な技術を使用する、認可された投薬形態に基づく適切な薬物レベルを得るための調節によって得られ得る。任意の適切な量の薬物含有微粒子またはコーティングされた微粒子が、最終処方物に組み込まれ得る。薬物を含有する微粒子の適切な量の選択は、所望の投薬量に依存し、そして当業者によって容易に決定される。 経口投与に加えて、いくつかの実施形態はまた、他の経路(直腸投与および経鼻投与が挙げられるが、これらに限定されない)によって投与され得る。いくつかの実施形態はまた、経口液体としての処方物のために適切であり得る。 本発明の組成物、ならびにこの組成物を作製する方法および使用する方法は、以下の非限定的な実施形態を参照することによって、さらに理解される。 (実施例1:親油性オキシコドン誘導体の調製) (A.オキシコドン遊離塩基) オキシコドンの遊離塩基を、その塩化水素酸塩から、以下の方法によって調製した:オキシコドン塩酸塩を水に溶解し、そして塩酸を中和するために必要な量の炭酸ナトリウムを添加した。形成したオキシコドン遊離塩基を抽出するために、塩化メチレンを添加した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして塩化メチレンを、ロータリーエバポレーターを使用してエバポレートした。得られたオキシコドン遊離塩基を、結晶化によって精製した。 (B.亜鉛−ビス−オキシコドン) 亜鉛ビス−オキシコドンは、無水媒体中で、オキシコドン遊離塩基をZn(Et)2と反応させることによって得られ得る。 (C.オキシコドンステアリン酸亜鉛) オキシコドンステアリン酸亜鉛は、無水媒体中で、オキシコドン遊離塩基をZn(Et)(C18H35O2)と反応させることによって得られ得る。 (D.オキシコドンジステアリン酸亜鉛) オキシコドンジステアリン酸亜鉛は、Zn(C18H35O2)2とオキシコドン遊離塩基とを一緒に融解することによって得られ得る。 (E.テレフタル酸オキシコドン) オキシコドンテレフタル酸は、市販されており、そしてさらに処理することなく使用し得る。 いくつかの代表的なオキシコドン亜鉛錯体の構造を、図1A、1Bおよび1Cに示す。 (実施例2:薬物含有微粒子の調製) 実施例1の遊離塩基、塩および錯体を、融解した水素化植物油に添加し、混合し、押出し、そして球状化して、薬物含有微粒子を形成する。 (実施例3:薬物を含有するコーティングされた微粒子の調製) 実施例2からの薬物含有粒子を、流動床装置において、ゼインでスプレーコーティングする。 (実施例4:経口投与のためのカプセルの調製) 実施例2からの薬物を含有する微粒子、または実施例3からのコーティングされた微粒子を、標準的なゼラチンカプセルに組み込む。 (実施例5:即時放出のための薬物の用量を含有する、経口投与のためのカプセルの調製) 実施例2からの薬物を含有する微粒子、または実施例3からのコーティングされた微粒子を、即時放出薬物粒子と合わせ、そして標準的なゼラチンカプセルに組み込む。本明細書中に記載の発明。 【課題】不適当な投与または薬物の使用についての可能性を有意に減少させるが、指示書通りに投与された場合には治療的有効量が送達され得る薬学的組成物を提供すること。【解決手段】乱用抑止性の薬学的組成物が、薬物(特にオピオイドのような薬物)の不適当な投与の可能性を減少させるように開発された。好ましい実施形態において、薬物は、その親油性を増大させるために改変される。好ましい実施形態において、改変した薬物は、水にゆっくりと溶解するかまたは可溶でないかのいずれかの物質からなる微粒子中で、均一に分散される。いくつかの実施形態において、薬物含有微粒子または薬物粒子は、1以上のコーティング層でコーティングされ、ここで、少なくとも1つのコーティングが水に不溶であり、そして好ましくは有機溶媒に不溶であるが、ヒトの胃腸管に存在する酵素によって分解可能である。【選択図】なし


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