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タイトル:公開特許公報(A)_ヘモグロビンの影響を回避した生体試料中の酵素活性測定試薬及び測定方法
出願番号:2013159610
年次:2015
IPC分類:C12Q 1/42,C12Q 1/44,C12Q 1/40,C12Q 1/37,C12Q 1/48,C12N 9/16,C12N 9/26,C12N 9/10,C12N 9/48


特許情報キャッシュ

射場 信之 川崎 幸造 JP 2015029444 公開特許公報(A) 20150216 2013159610 20130731 ヘモグロビンの影響を回避した生体試料中の酵素活性測定試薬及び測定方法 株式会社シノテスト 000131474 射場 信之 川崎 幸造 C12Q 1/42 20060101AFI20150120BHJP C12Q 1/44 20060101ALN20150120BHJP C12Q 1/40 20060101ALN20150120BHJP C12Q 1/37 20060101ALN20150120BHJP C12Q 1/48 20060101ALN20150120BHJP C12N 9/16 20060101ALN20150120BHJP C12N 9/26 20060101ALN20150120BHJP C12N 9/10 20060101ALN20150120BHJP C12N 9/48 20060101ALN20150120BHJP JPC12Q1/42C12Q1/44C12Q1/40C12Q1/37C12Q1/48 AC12Q1/48 ZC12N9/16 BC12N9/16C12N9/26 AC12N9/10C12N9/48 9 OL 17 4B050 4B063 4B050CC07 4B050DD11 4B050KK02 4B050LL03 4B063QA01 4B063QA19 4B063QQ03 4B063QQ26 4B063QQ30 4B063QQ32 4B063QQ33 4B063QQ35 4B063QQ36 4B063QR06 4B063QR10 4B063QR12 4B063QR13 4B063QR15 4B063QR16 4B063QR57 4B063QR72 4B063QS28 4B063QS36 4B063QS40 本発明は、生体試料中の酵素活性を測定するための試薬及び方法に関するものであり、酵素活性の測定におけるヘモグロビンの影響を回避するものである。 本発明は、特に、化学、生命科学、分析化学及び臨床検査等の分野において有用なものである。 血液等の生体試料中の酵素活性を測定し、その変動を見ることは、疾患の診断、治療、早期発見や予防に不可欠であり、広く実施されている。この生体試料中の酵素活性を測定するには、ニトロフェニル基又はニトロアニリン基等を有する基質にこれらの酵素が反応して生ずる4−ニトロフェノール、2−クロロ−4−ニトロフェノール、4−ニトロアニリン又は3−カルボキシ−4−ニトロアニリン等の400〜500nmに吸収極大を持つ物質の波長400〜500nmでの時間経過による吸光度の増加速度を求め、その測定結果から酵素活性を求めるレートアッセイが一般的である。 ところで、このような方法では、溶血作用により生成したヘモグロビンが試料中に含まれていると、測定中にそれが分解して、測定波長域における吸光度の経時的な減少を引き起こし、酵素活性測定の波長域での吸光度の増加速度を低下させてしまい、負の誤差が生じて、正確な測定値が得られないという問題があった。 そこで、溶血作用により生成したヘモグロビンが測定中に分解するのを防止するため、酵素活性測定試薬にチオ尿素を含有させる方法(例えば、特許文献1参照。)や、ピリジン類、イミダゾール類、ヒスタミン類を含有させる方法(例えば、特許文献2参照。)等が提案されているが、必ずしも完全とは言えなかった。特公平6−12998号公報特公平3−56425号公報 前記のように従来の生体試料中の酵素活性測定試薬及び酵素活性測定方法は、溶血した試料中のヘモグロビンの影響を受け、測定値に負誤差を生じてしまうという問題があった。このため、例えば、医療の場における臨床検査において、生体試料中の酵素活性の測定値を診断に利用しようとする場合、疾患等の診断を誤らせる可能性があった。 従って、本発明の課題は、溶血作用により生成したヘモグロビンの影響を回避し、溶血した試料であっても、試料中の酵素活性を正確に測定することが出来る測定試薬及び測定方法を提供することである。 また、本発明の課題は、ヘモグロビンの影響を回避する方法を提供することであり、ヘモグロビンの影響回避剤を提供することである。 本発明者らは、上記の問題点の解決を目指して鋭意検討を行った結果、酵素活性測定試薬中に亜鉛イオンが8〜1200ppbの範囲で存在すると上記課題を解決できることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、以下の発明を提供する。 (1)8〜1200ppbの濃度の亜鉛イオンを含有する生体試料中の酵素活性測定試薬。 (2)酵素活性測定試薬が400〜500nmの波長域の吸光度を測定するものである、前記(1)記載の生体試料中の酵素活性測定試薬。 (3)酵素活性測定試薬が第1試薬及び第2試薬の2試薬より構成されるものであって、亜鉛イオンが少なくとも第1試薬又は第2試薬のいずれかに含有される、前記(1)又は(2)に記載の生体試料中の酵素活性測定試薬。 (4)亜鉛イオンを、ヘモグロビンの影響回避剤として含有させる、前記(1)〜(3)に記載の生体試料中の酵素活性測定試薬。 (5)8〜1200ppbの濃度の亜鉛イオンを含有する酵素活性測定試薬と生体試料を混合し、亜鉛イオンの存在下で酵素反応を行わせ、400〜500nmの波長域の吸光度を測定する、生体試料中の酵素活性測定方法。 (6)酵素活性測定試薬が第1試薬及び第2試薬の2試薬より構成されるものであって、亜鉛イオンが少なくとも第1試薬又は第2試薬のいずれかに含有される、前記(4)又は(5)に記載の生体試料中の酵素活性測定方法。 (7)亜鉛イオンを、ヘモグロビンの影響回避剤として含有させる、前記(5)又は(6)に記載の生体試料中の酵素活性測定方法。 (8)400〜500nmの波長域の吸光度を測定する、生体試料中の酵素活性測定方法において、8〜1200ppbの濃度の亜鉛イオンの存在下で測定を行うことにより、ヘモグロビンの影響を回避する方法。 (9)8〜1200ppbの濃度の亜鉛イオンよりなる、生体試料中の酵素活性測定時のヘモグロビンの影響回避剤。 本発明によれば、生体試料中の酵素活性測定試薬及び測定方法において、酵素活性測定試薬中に8〜1200ppbの濃度の微量の亜鉛イオンを含有させることにより、ヘモグロビンの影響を回避し、測定値に誤差が生じるのを防ぐことができるものである。 すなわち、本発明の生体試料中の酵素活性の測定試薬、測定方法、ヘモグロビンの影響を回避する方法、及びヘモグロビンの影響回避剤においては、溶血作用により生成したヘモグロビンの影響を受けずに、正確な測定値を得ることができるものである。 これにより、本発明の生体試料中の酵素活性測定試薬、測定方法、ヘモグロビンの影響を回避する方法、及びヘモグロビンの影響回避剤は、例えば、医療の場において、診断を誤らせることを防ぐことができるものである。 以下、本発明を詳細に説明するが、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。〔1〕亜鉛イオン 本発明においては、酵素活性測定試薬に亜鉛イオンを含有させる。この測定試薬に含有させる亜鉛イオンとしては、亜鉛イオンであればどのようなものでもよい。例えば、亜鉛イオンを含む化合物を用いることができる。 具体的には、亜鉛イオンと酸基よりなる化合物、亜鉛イオンの水酸化物、亜鉛イオンの塩等を挙げることができる。 より具体的には、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、又は塩化亜鉛等の亜鉛塩等を挙げることができる。 本発明において、溶血した試料における負誤差を回避するために、酵素活性測定試薬に含有させる亜鉛イオンの濃度は、8〜1200ppbであればよく、好ましくは8〜1000ppbであり、より好ましくは8〜800ppbであり、特に好ましくは8〜600ppbである。 また、本発明の酵素活性測定試薬において、測定試薬が1試薬よりなる場合には、測定試薬に含有させる亜鉛イオンの濃度は、上記の範囲のものとすればよく、測定試薬が第1試薬及び第2試薬の2試薬よりなる場合には、この第1試薬及び第2試薬を生体試料中の酵素活性を測定する際の各々の添加量の比で混合した際に、この混合後の測定試薬中の亜鉛イオンの濃度が上記の範囲となるように、亜鉛イオンを第1試薬又は第2試薬のいずれかに含有させればよい。 また、混合後の測定試薬中の亜鉛イオンの濃度が上記濃度範囲に入るのであれば、亜鉛イオンは第1試薬と第2試薬の両方に含有させてもよい。 なお、測定試薬が3試薬以上の試薬から構成される場合も同様である。 本発明において亜鉛イオンを酵素活性測定試薬に存在させる方法であるが、少なくとも生体試料と試薬成分との酵素反応が行われる測定反応時に、亜鉛イオンを存在させることにより、溶血作用により生成したヘモグロビンによる影響を抑制することができる。 従って、本発明の酵素活性測定試薬において、亜鉛イオンは少なくとも第1試薬または第2試薬のうちいずれかに含有させればよく、第1試薬と第2試薬の両方に含有させることもできる。なお、溶血作用により生成したヘモグロビンの影響を抑制するためには、亜鉛イオンが第1試薬に含有されていることが好ましい。 また、本発明の酵素活性測定試薬において、第1試薬と第2試薬を測定時の添加量の比で混合した後の測定試薬中の亜鉛イオンの濃度と第1試薬及び第2試薬に含有させる亜鉛イオンの濃度の関係の式を下記の数式1に示した。 数式1において、CMは混合後の測定試薬中の亜鉛イオンの濃度(ppb)を、C1は第1試薬に含有させる亜鉛イオンの濃度(ppb)を、C2は第2試薬に含有させる亜鉛イオンの濃度(ppb)を、V1は測定時の第1試薬の添加量の比を、V2は測定時の第2試薬の添加量の比をそれぞれ示す。 測定時の第1試薬と第2試薬の添加量の比(V1、V2)が定まっている場合、混合後の測定試薬中の亜鉛イオン濃度(CM)が、8〜1200ppb(好ましくは8〜1000ppb、より好ましくは8〜800ppb、特に好ましくは8〜600ppb)の範囲内の特定の値となるよう数式1に従って、第1試薬及び第2試薬に含有させる亜鉛イオンの濃度を決めればよい。 なお、測定試薬が3試薬以上の試薬から構成される場合も同様である。 ところで、本発明においては、酵素活性測定試薬中の濃度、又は第1試薬、第2試薬等の測定試薬を構成する試薬の混合後の測定試薬中での濃度で、亜鉛イオンの濃度を8〜1200ppb(好ましくは8〜1000ppb、より好ましくは8〜800ppb、特に好ましくは8〜600ppb)と規定しているが、これを酵素活性測定試薬と生体試料の混合後の濃度、又は第1試薬、第2試薬等の測定試薬を構成する試薬と生体試料の混合後の濃度、つまり酵素活性測定反応の最終反応液中の濃度に置き換えても支障はない。 それは、現在行われている生体試料中の酵素活性の測定において、試料の添加量を酵素活性測定試薬の添加量で割った時の比率は、測定試薬の添加量に対する試料の添加量が大変小さいため通常1〜5%の範囲内に収まるものであり、試料の添加量を考慮してもしなくても大差はないからである。〔2〕酵素活性測定時のpH 本発明において、酵素活性測定時のpHは特に限定されないが、酵素活性測定時の反応が進むpH域にあればよい。なお、この測定反応時のpHは、当該反応の至適pH域又はその近辺にあることが好ましい。 例えば、アルカリホスファターゼ(ALP)、ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)、γ−グルタミルトランスフェラーゼ(γ−GT)、コリンエステラーゼ(ChE)等の酵素は、至適pH域がpH7〜14の範囲にあることから、酵素活性測定時のpHをpH7〜14近辺にすることが好ましい。 また、前記のpH範囲となるように使用する緩衝液としては、前記のpH範囲に緩衝能がある従来公知の緩衝液を適宜使用することができる。 このような緩衝液として使用できるものとしては、例えば、リン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、グリシルグリシン、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、N−(2−アセトアミド)イミノジ酢酸(ADA)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、N,N‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)‐2‐アミノエタンスルホン酸(BES)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)−(イミノトリス)−(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−Tris)、1,3−ビストリスヒドロキシメチルメチルアミノプロパン(Bis−Trisプロパン)、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸(CAPSO)、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノエタンスルホン酸(CAPS)、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸(CHES)、3−[N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、2−エチルアミノエタノール(EAE)、2−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕エタンスルホン酸(HEPES)、2−ヒドロキシ−3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]−プロパンスルホン酸モノハイドレート(HEPPSO)、N−メチル−D−グルカミン(MEG)、2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)、3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPSO)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、ピペラジン−1,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−プロパンスルホン酸)デハイドレート(POPSO)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPSO)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、若しくはN−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(Tricine)、又はこれらの塩等の各緩衝剤を挙げることができる。 また、本発明においては、緩衝液が、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸(CHES)、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸(CAPSO)、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノエタンスルホン酸(CAPS)、2−エチルアミノエタノール(EAE)、N−メチル−D−グルカミン(MEG)、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)等のアルカリ性緩衝液であることが好ましい。 また、本発明においては、緩衝液が、特に2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−エチルアミノエタノール(EAE)、N−メチル−D−グルカミン(MEG)、ジエタノールアミン(DEA)等のアルカリホスファターゼ(ALP)の活性測定に用いられる緩衝液であることが好ましい。〔3〕生体試料 本発明において、生体試料とは、生体試料中の酵素活性の測定を行おうとするもののことであり、このようなものであれば特に限定されない。 このような生体試料としては、例えば、ヒト又は動物の血液、血清、血漿、尿、大便、精液、髄液、唾液、汗、涙、腹水、羊水、脳等の臓器、毛髪や皮膚や爪や筋肉若しくは神経等の組織及び細胞等の抽出液等が挙げられる。〔4〕生体試料中の酵素 本発明において、酵素活性の測定を行う酵素とは、400〜500nmの波長域の吸光度を測定することにより酵素活性の測定を行うことができるものである。 つまり、この活性の測定を行おうとする酵素が反応を触媒して生成する物、又はこの生成物より導かれる物質が400〜500nmの波長域に吸収を持つような化合物を、基質とすることができる酵素である。 このような酵素としては、例えば、アルカリホスファターゼ(ALP)、アリルアミダーゼ(AA)、α−アミラーゼ(AMY)、コリンエステラーゼ(ChE)、γ−グルタミルトランスフェラーゼ(γ−GT)、ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)、L−シスチンアミノトランスペプチダーゼ(CAP)等を挙げることができる。 また、本発明においては、酵素活性の測定を行う酵素が、アルカリホスファターゼ(ALP)であることが好ましい。 また、本発明は上記の酵素のアイソザイムの活性測定に用いることもできる。 この場合、例えば特定のアイソザイムを阻害する抗体等の阻害剤を生体試料中の酵素に作用させ、酵素活性を測定することにより行うことができる。〔5〕酵素活性測定試薬 本発明の生体試料中の酵素活性測定試薬は、8〜1200ppbの濃度の亜鉛イオンを含有させることを特徴とするものである。これにより、溶血作用により生成したヘモグロビンの影響を回避し、生体試料中の酵素活性を正確に測定することができる。 なお、本発明の酵素活性測定試薬においては、8〜1200ppbの濃度の微量の亜鉛イオンを含有させること以外は、従来より公知の生体試料中の酵素活性を測定する試薬に従えばよい。 また、この本発明の酵素活性測定試薬は、終点法(エンドポイント法)により測定を行うものであってもよく、又は反応速度法(レート法)により測定を行うものであってもよく、適宜選択すればよい。 また、この本発明の酵素活性測定試薬は、一段階のステップにより測定を行う1ステップ法(1試薬法)のものであってもよく、又は二段階若しくはそれ以上の多段階のステップにより測定を行う多ステップ法(多試薬法)のものであってもよく、適宜選択すればよい。 また、この本発明の酵素活性測定試薬においては、前記した成分の他に、測定反応に使用する成分として、金属イオン若しくはこれを含む金属塩、キレート剤、糖類若しくは高分子化合物などの安定化剤、アジ化ナトリウムなどの防腐剤、界面活性剤、賦形剤又は活性化剤等を必要に応じて適宜使用することができる。 また、この本発明の酵素活性測定試薬において、その測定は、用手法により行うものであってもよく、又は自動分析装置等の装置を用いて行うものであってもよい。 また、この本発明の酵素活性測定試薬は、その構成試薬の全て又は一部が液状試薬であってよい。 また、この本発明の酵素活性測定試薬は、そのもの単独にて、販売し、又は生体試料中の酵素活性の測定に使用することができる。 また、この本発明の酵素活性測定試薬は、前記した測定試薬以外のその他の試薬と組み合わせて、販売し、又は試料中の測定対象物質の測定に使用することもできる。 前記した測定試薬以外のその他の試薬としては、例えば、緩衝液、試料希釈液、試薬希釈液、検量(キャリブレーション)を行うための物質を含有する試薬、又は精度管理を行うための物質を含有する試薬等を挙げることができる。 また、この本発明の酵素活性測定試薬は、第1試薬及び第2試薬、又はその他の試薬等の複数の構成試薬からなる測定試薬キットであってもよい。 また、本発明においては、酵素活性測定試薬がアルカリホスファターゼの活性を測定するためのものであることが好ましい。この場合、測定試薬の構成としては、例えば、第1試薬にアルカリ性緩衝液を含み、第2試薬にアルカリ性緩衝液と4−ニトロフェニルリン酸等の基質を含む構成のもの、第1試薬にアルカリ性緩衝液を含み、第2試薬に4−ニトロフェニルリン酸等の基質を含む構成のもの、又は、第1試薬に4−ニトロフェニルリン酸等の基質を含み、第2試薬にアルカリ性緩衝液を含む構成のもの等を挙げることができる。〔6〕酵素活性測定方法 本発明の生体試料中の酵素活性測定方法においては、8〜1200ppbの濃度の亜鉛イオンを含有する酵素活性測定試薬と生体試料を混合し、微量の亜鉛イオンの存在下で酵素反応を行わせ、400〜500nmの波長域の吸光度を測定すること以外は、従来より公知の酵素活性測定方法に従えばよい。 また、本発明の生体試料中の酵素活性測定方法は、1ステップ法(1試薬系)からなるものでもよく、複数ステップ法(複数試薬系)からなるものであってもよい。 本発明の生体試料中の酵素活性測定方法が2試薬系からなるものである場合、第1試薬と第2試薬を測定時の添加量の比で混合した際にこの混合後の測定試薬中の亜鉛イオンの濃度が8〜1200ppbとなるように亜鉛イオンを第1試薬及び/又は第2試薬に含有する酵素活性測定試薬の第1試薬並びに第2試薬及び生体試料を混合し、微量の亜鉛イオンの存在下で酵素反応を行わせ、酵素が基質と反応して生成する物又はこの生成物より導かれる物質の400〜500nmの波長域の吸光度を測定し、この測定値より生体試料中の酵素活性を算出する。 なお、先に述べたように、試料の添加量を酵素活性測定試薬の添加量で割った時の比率は、通常1〜5%の範囲内に収まるものであり、試料の添加量はほとんど無視できるものであるので、酵素反応を行わせる時の微量の亜鉛イオンの濃度は、8〜1200ppb(好ましくは8〜1000ppb、より好ましくは8〜800ppb、特に好ましくは8〜600ppb)とほぼ同じである。 本発明の生体試料中の酵素活性測定方法は、酵素が基質と反応して生成する物又はこの生成物より導かれる物質の生成速度を400〜500nmの波長域の吸光度の1分間当たりの変化量より算出するか、酵素が基質と反応して生成する物又はこの生成物より導かれる物質の生成量を400〜500nmの波長域の吸光度を測ることにより求める測定原理のものであれば、いかなる方法にも用いることができる。例えば、反応速度法(レート法)又は終点法(エンドポイント法)に適用できる。 このような測定方法において、それ自体公知の方法によって、用手法又は自動分析装置による方法により酵素活性を測定することができる。 例えば、アルカリホスファターゼの測定用基質としては、グリセロリン酸、4−ニトロフェニルリン酸等が用いられ;α−アミラーゼの測定用基質としては、4−ニトロフェニル−α−D−マルトヘプタオシド、4,6−ベンジリデン−4−ニトロフェニル−α−D−マルトヘプタオシド、45−O−β−D−ガラクトピラノシル−4−ニトロフェニル−α−D−マルトペンタオシド、2−クロロ−4−ニトロフェニル−β−D−マルトペンタオシド等が用いられ;コリンエステラーゼの測定用基質としては、ブチリルチオコリン等が用いられ;γ−グルタミルトランスペプチダーゼの測定用基質としては、L−γ−グルタミル−4−ニトロアニリド、L−γ−グルタミル−3−カルボキシ−4−ニトロアニリド等が用いられ;ロイシンアミノペプチダーゼの測定用基質としては、L−ロイシル−4−ニトロアニリド等が用いられ;L−シスチンアミノトランスペプチダーゼの測定用基質としては、S−ベンジル−L−システイン−4−ニトロアニリド等が用いられる。 これらの基質に酵素が作用して遊離してくる4−ニトロフェノール、2−クロロ−4−ニトロフェノール、4−ニトロアニリン若しくは3−カルボキシ−4−ニトロアニリン等の400〜500nmに吸収極大を持つ物質の400〜500nmの波長域の吸光度を経時的に測定して、その吸光度の増加より酵素活性を算出する。 または、これらの基質に酵素が作用して遊離してくるチオコリン等の物質に、SH基と反応して定量的に400〜500nmの波長域の吸光度の変化を生ずるDTNB〔5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)〕等を加えて反応させ、生成してきた400〜500nmに吸収極大を持つ物質の400〜500nmの波長域の吸光度を経時的に測定して、その吸光度の増加より酵素活性を算出する。 この場合、本発明によれば、生体試料中のヘモグロビンの分解により生じる誤差を抑制することができる。〔7〕ヘモグロビンの影響を回避する方法 本発明における、ヘモグロビンの影響を回避する方法は、生体試料中の酵素活性の測定方法において、8〜1200ppbの濃度の亜鉛イオンの存在下で測定を行うことによるものである。 この生体試料中の酵素活性の測定方法において、8〜1200ppbの濃度の亜鉛イオンの存在下で測定を行うことにより、溶血作用によって生体試料中にヘモグロビンが混在している場合であっても、このヘモグロビンによる測定値への誤差が生じることを回避でき、精度が高い酵素活性の測定値を得ることができる。 また、本発明における溶血作用により生成したヘモグロビンの影響を回避する方法を実施する際の試薬の構成成分や生体試料や条件等は、前記した通りである。 以下、実施例により本発明をより具体的に詳述するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。〔実施例1〕(本発明によるヘモグロビンの影響回避効果の確認) 第1試薬及び第2試薬より構成される、日本臨床化学会(JSCC)勧告法に準拠するアルカリホスファターゼ(ALP)活性測定試薬を調製し、この第1試薬に亜鉛イオンを含有させた場合のヘモグロビンによる影響回避効果を確認した。1.試薬の調製(1)ALP第1試薬の調製 下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、2N塩酸でpHを10.1(20℃)に調整して、硫酸亜鉛濃度の異なる12種類のALP第1試薬を調製した。2−エチルアミノエタノール(緩衝液) 1.01M塩化マグネシウム(6水塩) 0.505mM硫酸亜鉛(7水塩) 0ppb、10ppb、50ppb、100ppb、150ppb、200ppb、400ppb、600ppb、800ppb、1000ppb、1200ppb、又は1400ppb(2)ALP第2試薬の調製 下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、2N塩酸でpHを10.2(20℃)に調整して、ALP第2試薬を調製した。2−エチルアミノエタノール(緩衝液) 1.01M4−ニトロフェニルリン酸二ナトリウム塩 75.75mM塩化マグネシウム(6水塩) 0.505mM2.試料の調製 ヒト血清試料の9容と、ヘモグロビンを含まない水溶液、干渉チェックAプラスHb〔シスメックス社製〕又はヒト赤血球を溶血させて調製したヘモグロビン濃度が、5000mg/dLの水溶液の1容をそれぞれ混合して、ヘモグロビン濃度が各々0、100、200、300、400、又は500mg/dLである血清試料を調製した。3.ヒト血清試料中のアルカリホスファターゼ活性の測定 ヒト血清試料中のアルカリホスファターゼ活性の測定は日立製作所社製7180形自動分析装置にて行い、ヒト血清試料2.5μLに第1試薬としてALP第1試薬を160μL加え37℃で5分間反応させた後、第2試薬としてALP第2試薬を40μL添加し混合液(最終反応液)とし、37℃で反応を行わせ、第2試薬添加1分10秒目(21ポイント)から5分目(34ポイント)の主波長405nm及び副波長505nmにおける吸光度の増加速度よりアルカリホスファターゼ活性値の算出を行った。 なお、本発明においては、酵素キャリブレータ(Aalto EC;シノテスト社製)を用いて検量及び校正を行い、アルカリホスファターゼ活性値を算出した。 なお、上記の12種類のALP第1試薬と上記ALP第2試薬とを上記の添加量で混合した後の測定試薬中の硫酸亜鉛の濃度は、各々、下記の様になる。 0ppb、8ppb、40ppb、80ppb、120ppb、160ppb、320ppb、480ppb、640ppb、800ppb、960ppb、又は1120ppb4.測定結果 測定の結果を表1に示す。 なお、表1において、かっこ内の数値は、12種類の各試薬における、ヘモグロビン濃度0mg/dLの血清試料のALP活性測定値を100%とした時のヘモグロビン濃度100mg/dL、200mg/dL、300mg/dL、400mg/dL、又は500mg/dLの血清試料のALP活性測定値を相対比率(%)で表したものである。また、硫酸亜鉛濃度は、混合後の測定試薬中の硫酸亜鉛濃度(ppb)を示す。5.考察 表1から明らかなように、試薬に硫酸亜鉛(亜鉛イオン)を含有させていない場合は、試料中のヘモグロビンの影響を受けて、ALPの活性測定値に負誤差が生じていることが分かる。更に、試料中のヘモグロビン濃度が高くなるにつれて、ALPの活性測定値が下降しており、負誤差の程度が大きくなっていることが分かる。 これに対して、第1試薬に硫酸亜鉛(亜鉛イオン)を含有させた場合は、混合後の測定試薬中の硫酸亜鉛濃度がいずれの場合も、この測定値の負誤差が減少し改善されていることが分かる。すなわち、混合後の測定試薬中の硫酸亜鉛濃度が8ppb以上及び1200ppb以下の各濃度においてヘモグロビンの影響によって生じる誤差を抑制できることが分かる。 これらのことより、生体試料中の酵素活性測定試薬において、8〜1200ppbの微量の亜鉛イオンを含有させることにより、溶血した試料においても、ヘモグロビンによる測定値への誤差が生じることを回避でき、精度が高い酵素活性値を得ることができることが確かめられた。 よって、本発明の酵素活性測定試薬及び測定方法は、溶血した試料においても、誤差を生じずに正確な酵素活性値を得ることができることが確かめられた。〔実施例2〕(本発明によるヘモグロビンの影響回避効果の確認) 第1試薬及び第2試薬より構成される、日本臨床化学会(JSCC)勧告法に準拠するアルカリホスファターゼ(ALP)活性測定試薬を調製し、この第1試薬に亜鉛イオンを含有させた場合のヘモグロビンによる影響回避効果を確認した。1.試薬の調製(1)ALP第1試薬の調製 下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、2N塩酸でpHを10.1(20℃)に調整して、硫酸亜鉛濃度の異なる7種類のALP第1試薬を調製した。2−エチルアミノエタノール(緩衝液) 1.01M塩化マグネシウム(6水塩) 0.505mM硫酸亜鉛(7水塩) 0ppb、100ppb、150ppb、200ppb、400ppb、600ppb、又は800ppb(2)ALP第2試薬の調製 前記実施例1の1の(2)で調製したALP第2試薬を、ALP第2試薬として用いた。2.試料の調製 前記実施例1の2で調製した6種類の試料を、試料として用いた。3.ヒト血清試料中のアルカリホスファターゼ活性の測定 前記2の各試料について、前記1で調製した7種類のALP第1試薬及びALP第2試薬にて実施例1の3と同様にして測定を行い、ヘモグロビンによる影響回避効果を確認した。 なお、上記の7種類のALP第1試薬と上記ALP第2試薬とを上記の添加量で混合した後の測定試薬中の硫酸亜鉛の濃度は、各々、下記の様になる。 0ppb、80ppb、120ppb、160ppb、320ppb、480ppb、又は640ppb4.測定結果 測定の結果を表2に示す。 なお、表2において、かっこ内の数値は、7種類の各試薬における、ヘモグロビン濃度0mg/dLの血清試料のALP活性測定値を100%とした時のヘモグロビン濃度100mg/dL、200mg/dL、300mg/dL、400mg/dL、又は500mg/dLの血清試料のALP活性測定値を相対比率(%)で表したものである。また、硫酸亜鉛濃度は、混合後の測定試薬中の硫酸亜鉛濃度(ppb)を示す。5.考察 表2から明らかなように、試薬に硫酸亜鉛(亜鉛イオン)を含有させていない場合は、試料中のヘモグロビンの影響を受けて、ALPの活性測定値に負誤差が生じていることが分かる。更に、試料中のヘモグロビン濃度が高くなるにつれて、ALPの活性測定値が下降しており、負誤差の程度が大きくなっていることが分かる。 これに対して、第1試薬に硫酸亜鉛(亜鉛イオン)を含有させた場合は、混合後の測定試薬中の硫酸亜鉛濃度がいずれの場合も、この測定値の負誤差が減少し改善されていることが分かる。すなわち、ヘモグロビンの影響によって生じる誤差を抑制できることが分かる。 これらのことより、生体試料中の酵素活性測定試薬において、微量の亜鉛イオンを含有させることにより、溶血した試料においても、ヘモグロビンによる測定値への誤差が生じることを回避でき、精度が高い酵素活性値を得ることができることが確かめられた。 よって、本発明の酵素活性測定試薬及び測定方法は、溶血した試料においても、誤差を生じずに正確な酵素活性値を得ることができることが確かめられた。〔実施例3〕(本発明によるヘモグロビンの影響回避効果の確認) 第1試薬及び第2試薬より構成される、日本臨床化学会(JSCC)勧告法に準拠するアルカリホスファターゼ(ALP)活性測定試薬を調製し、この第1試薬及び第2試薬に亜鉛イオンを含有させた場合のヘモグロビンによる影響回避効果を確認した。1.試薬の調製(1)ALP第1試薬の調製 前記実施例2の1の(1)で調製したALP第1試薬を、ALP第1試薬として用いた。(2)ALP第2試薬aの調製 前記実施例2の1の(2)で調製したALP第2試薬を、第2試薬aとして用いた。(3)ALP第2試薬bの調製 600ppbの硫酸亜鉛(7水塩)を含有すること以外は、前記実施例2の1の(2)で調製したALP第2試薬と成分及び濃度が同じである、ALP第2試薬bを調製した。2.試料の調製 前記実施例1の2で調製した6種類の試料を、試料として用いた。3.ヒト血清試料中のアルカリホスファターゼ活性の測定 前記2の各試料について、前記1で調製した硫酸亜鉛を含有しない(0ppb)ALP第1試薬及びALP第2試薬a、並びに7種類のALP第1試薬及びALP第2試薬bにて前記実施例1の3と同様にして測定を行い、ヘモグロビンによる影響回避効果を確認した。 なお、上記の硫酸亜鉛を含有しない(0ppb)ALP第1試薬及びALP第2試薬aとを上記の添加量で混合した後の測定試薬中の硫酸亜鉛の濃度は、0ppbとなる。 また、上記の7種類のALP第1試薬と上記ALP第2試薬bとを上記の添加量で混合した後の測定試薬中の硫酸亜鉛の濃度は、各々、下記の様になる。 120ppb、200ppb、240ppb、280ppb、440ppb、600ppb、又は760ppb4.測定結果 測定の結果を表3に示す。 なお、この表3に示した数値は、各試薬における、ヘモグロビン濃度0mg/dLの血清試料のALP活性測定値を100%とした時のヘモグロビン濃度100mg/dL、200mg/dL、300mg/dL、400mg/dL、又は500mg/dLの血清試料のALP活性測定値を相対比率(%)で表したものである。また、硫酸亜鉛濃度は、混合後の測定試薬中の硫酸亜鉛濃度(ppb)を示す。5.考察 表3から明らかなように、試薬に硫酸亜鉛(亜鉛イオン)を含有させていない場合は、試料中のヘモグロビンの影響を受けて、ALPの活性測定値に負誤差が生じていることが分かる。更に、試料中のヘモグロビン濃度が高くなるにつれて、ALPの活性測定値が下降しており、負誤差の程度が大きくなっていることが分かる。 これに対して、第1試薬及び第2試薬に硫酸亜鉛(亜鉛イオン)を含有させた場合は、混合後の測定試薬中の硫酸亜鉛濃度がいずれの場合も、この測定値の負誤差が減少し改善されていることが分かる。すなわち、ヘモグロビンの影響によって生じる誤差を抑制できることが分かる。 これらのことより、生体試料中の酵素活性測定試薬において、微量の亜鉛イオンを含有させることにより、溶血した試料においても、ヘモグロビンによる測定値への誤差が生じることを回避でき、精度が高い酵素活性値を得ることができることが確かめられた。 よって、本発明の酵素活性測定試薬及び測定方法は、溶血した試料においても、誤差を生じずに正確な酵素活性値を得ることができることが確かめられた。〔実施例4〕(本発明によるヘモグロビンの影響回避効果の確認) 第1試薬及び第2試薬より構成される、日本臨床化学会(JSCC)勧告法に準拠するアルカリホスファターゼ(ALP)活性測定試薬を調製し、この第2試薬に亜鉛イオンを含有させた場合のヘモグロビンによる影響回避効果を確認した。1.試薬の調製(1)ALP第1試薬の調製 下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、1N塩酸でpHを8.0(20℃)に調整して、ALP第1試薬を調製した。4−ニトロフェニルリン酸二ナトリウム塩 18.94mM塩化マグネシウム(6水塩) 0.505mM(2)ALP第2試薬の調製 下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、2N塩酸でpHを10.2(20℃)に調整して、硫酸亜鉛濃度の異なる7種類のALP第2試薬を調製した。2−エチルアミノエタノール(緩衝液) 5.05mM塩化マグネシウム(6水塩) 0.505mM硫酸亜鉛(7水塩) 0ppb、1000ppb、2000ppb、3000ppb、4000ppb、5000ppb、又は6000ppb2.試料の調製 前記実施例1の2で調製した6種類の試料を、試料として用いた。3.ヒト血清試料中のアルカリホスファターゼ活性の測定 前記2の各試料について、前記1で調製したALP第1試薬及び7種類のALP第2試薬にて実施例1の3と同様にして測定を行い、ヘモグロビンによる影響回避効果を確認した。 なお、上記ALP第1試薬と上記7種類のALP第2試薬とを上記の添加量で混合した後の測定試薬中の硫酸亜鉛の濃度は、各々、下記の様になる。 0ppb、200ppb、400ppb、600ppb、800ppb、1000ppb、又は1200ppb4.測定結果 測定の結果を表4に示す。 なお、この表4に示した数値は、各試薬における、ヘモグロビン濃度0mg/dLの血清試料のALP活性測定値を100%とした時のヘモグロビン濃度100mg/dL、200mg/dL、300mg/dL、400mg/dL、又は500mg/dLの血清試料のALP活性測定値を相対比率(%)で表したものである。また、硫酸亜鉛濃度は、混合後の測定試薬中の硫酸亜鉛濃度(ppb)を示す。5.考察 表4から明らかなように、試薬に硫酸亜鉛(亜鉛イオン)を含有させていない場合は、試料中のヘモグロビンの影響を受けて、ALPの活性測定値に負誤差が生じていることが分かる。更に、試料中のヘモグロビン濃度が高くなるにつれて、ALPの活性測定値が下降しており、負誤差の程度が大きくなっていることが分かる。 これに対して、第2試薬に硫酸亜鉛(亜鉛イオン)を含有させた場合は、混合後の測定試薬中の硫酸亜鉛濃度がいずれの場合も、この測定値の負誤差が減少し改善されていることが分かる。すなわち、ヘモグロビンの影響によって生じる誤差を抑制できることが分かる。 これらのことより、生体試料中の酵素活性測定試薬において、微量の亜鉛イオンを含有させることにより、溶血した試料においても、ヘモグロビンによる測定値への誤差が生じることを回避でき、精度が高い酵素活性値を得ることができることが確かめられた。 よって、本発明の酵素活性測定試薬及び測定方法は、溶血した試料においても、誤差を生じずに正確な酵素活性値を得ることができることが確かめられた。8〜1200ppbの濃度の亜鉛イオンを含有する生体試料中の酵素活性測定試薬。酵素活性測定試薬が400〜500nmの波長域の吸光度を測定するものである、請求項1記載の生体試料中の酵素活性測定試薬。酵素活性測定試薬が第1試薬及び第2試薬の2試薬より構成されるものであって、亜鉛イオンが少なくとも第1試薬又は第2試薬のいずれかに含有される、請求項1又は2に記載の生体試料中の酵素活性測定試薬。亜鉛イオンを、ヘモグロビンの影響回避剤として含有させる、請求項1〜3に記載の生体試料中の酵素活性測定試薬。8〜1200ppbの濃度の亜鉛イオンを含有する酵素活性測定試薬と生体試料を混合し、亜鉛イオンの存在下で酵素反応を行わせ、400〜500nmの波長域の吸光度を測定する、生体試料中の酵素活性測定方法。酵素活性測定試薬が第1試薬及び第2試薬の2試薬より構成されるものであって、亜鉛イオンが少なくとも第1試薬又は第2試薬のいずれかに含有される、請求項4又は5に記載の生体試料中の酵素活性測定方法。亜鉛イオンを、ヘモグロビンの影響回避剤として含有させる、請求項5又は6に記載の生体試料中の酵素活性測定方法。400〜500nmの波長域の吸光度を測定する、生体試料中の酵素活性測定方法において、8〜1200ppbの濃度の亜鉛イオンの存在下で測定を行うことにより、ヘモグロビンの影響を回避する方法。8〜1200ppbの濃度の亜鉛イオンよりなる、生体試料中の酵素活性測定時のヘモグロビンの影響回避剤。 【課題】溶血作用により生成したヘモグロビンの影響を回避し、溶血した試料であっても、試料中の酵素活性を正確に測定することが出来る測定試薬及び測定方法を提供する。【解決手段】酵素活性測定試薬中に8〜1200ppbの範囲の微量の亜鉛イオンを存在させ、亜鉛イオンの存在下で酵素反応を行わせ、酵素活性測定試薬が400〜500nmの波長域の吸光度を測定するものである生体試料中の酵素活性測定方法。該酵素の例がアルカリホスファターゼ、ロイシンアミノペプチダーゼ、γ−グルタミルトランスフェラーゼ、コリンエステラーゼ、アリルアミダーゼ、α−アミラーゼ、L−シスチンアミノトランスペプチダーゼ等である上記測定方法。【選択図】なし


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