| タイトル: | 特許公報(B1)_アンズ由来酵母液の製造方法およびアンズ由来酵母液 |
| 出願番号: | 2013158584 |
| 年次: | 2014 |
| IPC分類: | C12N 1/16 |
坂本 乃里子 JP 5432406 特許公報(B1) 20131213 2013158584 20130731 アンズ由来酵母液の製造方法およびアンズ由来酵母液 坂本 乃里子 713008670 坂本 乃里子 20140305 C12N 1/16 20060101AFI20140213BHJP JPC12N1/16 A JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) G−Search 特開2008−000042(JP,A) 特開平9−224639(JP,A) sachi,ふわとろオムライスとあんず酵母,2010年 2月 5日,URL,http://yaplog.jp/sachi_mere/archive/138 tomoquita,あんず酵母,2008年 6月28日,URL,http://happymiimie.blog17.fc2.com/blog-entry-94.html nonnonpolka,甘酸っぱい自家製杏酵母ちゃん,2007年 6月13日,URL,http://blogs.yahoo.co.jp/nonnonpx/33854839.html 6 7 20130808 幸田 俊希 本発明は、アンズ由来酵母液の製造方法およびアンズ由来酵母液に関する。 パン等に使用される酵母、いわゆるイースト菌を商業ベースで入手するのは、一般に国内大手の大量生産品や海外からの輸入に頼っていた。 一方、干しアンズおよびその殻に酵母菌が存在することが本発明者の研究により知られている(非特許文献1)。この酵母菌は、分裂酵母に属する菌類子嚢菌の単細胞性の真核生物で、二分裂によって増殖する酵母であり、Schizosaccharomyces japonicus (Hasegawaea japonicus)と呼ばれる菌である。 なお、このような野生種の酵母菌は、アンズの種皮や果肉は勿論アンズ種殻にも存在していることを本発明者は明らかにしている(非特許文献1)。このような野生種の酵母菌を用いて、例えばパンを製造する場合、野生種の酵母菌を培養する必要があるが、既存の方法では、いわゆるハンドメードで培養しているのが現状であり、性状が不安定であり、また工業的に多量に取得することが困難であった。科学研究費助成事業報告書、杏から単離した酵母の有効利用に関する研究(平成24年3月9日)、坂本乃里子 したがって、本発明の課題は、商業ベースで安定した性状のアンズ由来の酵母を製造できるアンズ由来酵母液の製造方法およびアンズ由来の酵母液を提供することである。 本発明は、上記課題に鑑みて創作されたものであり、 アンズ由来酵母のコロニーを果汁により希釈して酵母液を調製する工程と、前記酵母液を35℃±3℃で24〜48時間培養してアンズ由来酵母液とする工程とを含み、好ましくはさらに得られたアンズ由来酵母液の上澄みを除去する工程を含むことを特徴とするアンズ由来酵母液の製造方法に関する。 本発明のアンズ由来酵母液の製造方法において、前記アンズ由来酵母のコロニーを酵母エキス1から3質量%とペプトン2〜3質量%とグルコース 2〜3質量%とを含む培養液を調製し、アンズ由来酵母のコロニーに前記調製した培養液を添加して35℃±3℃で24〜48時間培養して形成させることができる。 本発明のアンズ由来酵母液の製造方法において、前記アンズ由来酵母がアンズの種皮や果肉およびアンズ種子部分から取得したものであることができる。 本発明のアンズ由来酵母液の製造方法において、前記果汁がブドウ果汁、柑橘系果汁、りんご果汁またはこれらの混合物であることができる。 また、上記課題を解決する本発明は、本発明の製造方法により製造されたアンズ由来酵母液に関し、特にパン製造用の酵母液である。 本発明によると、安定した性質(菌数・雑菌の不存在)の酵母液が工業的に多量に製造可能となる。特に、元菌としてアンズ由来酵母がアンズ種子部分から取得した場合、種子部分には多量の菌が存在しており、廃棄物であったアンズ種子を有効利用することが可能となり、特に商品価値が高いある実の部分から酵母を取得する必要がないので経済的観点、廃棄物の有効利用の観点から好ましい。本発明のアンズ由来酵母液の製造工程を示すフローチャート。 以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。 図1に示す通り、本発明のアンズ由来酵母液の製造方法は、アンズ由来酵母のコロニーを果汁により希釈して酵母液を調製する工程と、前記酵母液を35℃±3℃で24〜48時間培養してアンズ由来酵母液とする工程とを含み、所望に応じてアンズ由来のコロニーを形成する工程(前工程)と、濃縮酵母液をさらに濃縮する工程(後工程)を含んでいる。 前工程のアンズ由来酵母コロニーの形成工程は、酵母エキス1から3質量%とペプトン2〜3質量%とグルコース 2〜3質量%とを含む培養液を調製する工程と、調製した培養液をアンズ由来コロニーに添加して培養してアンズ由来酵母のコロニーを形成させる。 この際に使用する培養液は、粉末酵母エキス1〜3質量%、ポリペプトン2〜3質量%とグルコース 2〜3質量%とを蒸留水に添加する。 本発明で使用する酵母エキスは、酵母の有用成分を含むエキスであり、自己消化や酵素、熱水などの処理を行うことにより抽出されたエキスのことである。主成分としてアミノ酸や核酸関連物質、ミネラル、ビタミン類を含んでいる。酵母エキスが1質量%未満の場合、栄養不足で好ましくなく、また3質量%を超えた場合、栄養過多で好ましくない。 ポリペクトンはタンパク質をタンパク分解酵素や酸で分解した製品で、微生物培養用の培地などに利用する。本発明においては、牛乳カゼインの酵素分解物を使用することが好ましい。ポリペプトンの使用量が2質量%未満の場合栄養不足で好ましくなく、逆に3質量%を超えた場合栄養過多で好ましくない。 グルコースは、酵母菌の好気的代謝のために添加され、使用量が2質量%未満の場合栄養不足で好ましくなく、逆に3質量%を超えた場合栄養過多で好ましくない。なお、グルコースの一部をフルクトースに置き換えて培養してもよい。 これらの成分を蒸留水、好ましくは殺菌後の蒸留水を用いて培養液を調製する。このようにして調製した培養液をアンズ由来の酵母(Schizosaccharomyces japonicus (Hasegawaea japonicus))に添加して培養を行う。本発明者の実験によると培養条件は、35℃±3℃で24〜48時間培養であることが好ましい(下記実施例参照)。このようにしてアンズ由来の酵母を培養することにより、以下に説明する酵母液を製造するための酵母が安定して供給可能となる。 本発明においては、このようにして培養したアンズ由来の酵母(あるいてアンズ由来酵母そのもの)を果汁により希釈して、希釈培養液を調製し、希釈培養液を32〜38℃で24〜48時間培養する。このように培養することにより酵母液中、1cc中前記培養と同等の菌数に酵母が増殖していることを見出した。 このようにアンズ由来の酵母を果汁中で培養することにより、大量のアンズ由来酵母液を容易にかつ安定して製造することが可能となる。 なお、本発明で使用可能な果汁として、ブドウ果汁、リンゴ果汁、柑橘系(例えば、オレンジ、グレープフルーツ)などの種々の果汁を挙げることができ、単一果汁であっても複数の果実の混合果汁(いわゆるミックスジュース)であってもよい。また、果汁は、濃縮還元果汁であってもいわゆるストレート果汁であってもよい。 アンズ由来酵母を、発酵に適した液体で培養すると、酵母が液中で拡散せず、速やかに凝集して沈殿することが可能であり、上澄み液を取り除くだけで菌数濃度をあげる事ができるために、濃縮酵母を簡単に採取することが可能である。 本発明のアンズ由来酵母は、一般的な発酵食品に使用されている出芽酵母とは異なる分裂酵母があり、均等分裂による増殖をするために、ヒトに近い特徴を持つ微生物として遺伝学の研究材料として注目されていますが、積極的に食品の製造に用いられていない。 ガスクロマトグラフの定量分析の結果、加えた糖がほぼ全てエタノールに変換されており、その際に二酸化炭素を発生する事から、アンズ由来酵母は発酵作用が検証され、 パン製造に利用できる事が検証できた。有機酸組成試験の結果、ピルビン酸 、リンゴ酸 、コハク酸 、乳酸、酢酸を生成しており、それらの有機酸が、食味や香りに影響を与えていると考えられる。アンズ由来酵母はアンズから単離された野生酵母であり、その香気や発酵成分は他に類がなく、アンズ由来酵母を使用したパンは、独特の風味や食感を持っている。また、アンズ由来酵母は、液体培養によって増殖採集できるので、アンズの収穫時期や収穫量に左右されることなく、通年アンズ由来の特産品開発をすすめる事ができる。酵母にはその有用性から、発酵食品や発酵飲料のみならず、洗剤や化粧品など、地域資源を活かした新産業創出の可能性が期待できる。 以下、本発明を実施例に基づいて説明する。[実施例1:培地培養] 酵母エキス1質量%、ポリペプトン2質量およびグルコース2質量%を121℃で15分間加熱殺菌した蒸留水に加えて培養液を調製した。 調製した培養液5ccに1塊のアンズ由来酵母(コロニー)を添加して、寒天培地上で35℃48時間培養した。 このようにして培養したアンズ由来酵母コロニー1cc中の菌数を菌数計測板を使用して顕微鏡で菌数測定を3回行ったところ、1.3×107個の菌が確認された。[実施例2及び3および比較例1:アンズ由来酵母液の調製] 実施例1で培養した菌1ccを市販のリンゴジュース(Brix 10.2実施例2)、ブドウジュース(Brix 11.5 実施例3)、12質量%上白糖水溶液(Brix 11.8)で100ccに希釈して希釈酵母液を調製し、これらの希釈酵母液を35℃で24時間培養を行った。 このようにして培養した酵母液を実施例1と同様にして菌数を測定した所、リンゴジュースで希釈した酵母液中には1.6×107個の菌が、ブドウジュースで希釈した酵母液中には2.1×107個の菌が、そして上白糖水溶液で希釈した酵母液中には5.3×106個の菌が、各々観察された。 その結果、リンゴジュース(実施例2)、ブドウジュース(実施例3)でアンズ由来酵母を培養した場合、上白糖水溶液(比較例1)でアンズ由来酵母を培養した場合と比較して、1桁多い菌数の酵母を培養できることが分かった。[実施例4:応用例 パンの製造] 実際のパンの製造について以下に記載する。アンズ酵母パンの製造表工程 設備・道具 作業 材料元種混捏 ミキサー 材料計量 小麦・水・砂糖 アレルギー食品↓ 小麦・乳・卵発酵 発酵ボックス ↓ 発酵室本捏 ミキサー 材料計量 小麦粉・牛乳・砂糖・バター↓ 元種・水・グルコース食塩発酵 発酵室・発酵ボックス↓ 分割 作業台・秤・スケッパー 小麦粉↓ バンジュウ成型 食パン型・展板 離型油・アンズジャム・チョコチップ 小麦粉・バター・グランシンカップ↓ 干アンズ・ココア末・卵・スポンジシート アーモンド末・粉糖・バター・杏仁パウ ダー・水あめホイロ 醗酵室↓焼成 オーブン↓冷却 バンジュウ↓カット カッター↓包装 包装紙アンズ由来酵母のコロニーを果汁により希釈して酵母液を調製する工程と、前記酵母液を35℃±3℃で24〜48時間培養してアンズ由来酵母液とする工程とを含むことを特徴とするアンズ由来酵母液の製造方法。さらに得られたアンズ由来酵母液の上澄みを除去する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のアンズ由来酵母液の製造方法。 前記アンズ由来酵母のコロニーを酵母エキス1から3質量%とペプトン2〜3質量%とグルコース 2〜3質量%とを含む培養液を調製し、アンズ由来酵母のコロニーに前記調製した培養液を添加して35℃±3℃で24〜48時間培養して形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンズ由来酵母液の製造方法。前記アンズ由来酵母がアンズの種皮や果肉および種子部分から取得したものである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアンズ由来酵母液の製造方法。前記果汁がブドウ果汁、柑橘系果汁、りんご果汁またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のアンズ由来酵母液の製造方法。請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のアンズ由来酵母液の製造方法により製造されたアンズ由来酵母液。 【課題】 商業ベースで安定した性状のアンズ由来の酵母液を製造できるアンズ由来酵母液の製造方法を提供する。 【解決手段】 アンズ由来酵母のコロニーを果汁により希釈して酵母液を調製する工程と、前記酵母液を35℃±3℃で24〜48時間培養してアンズ由来酵母液とする工程とを含むことを特徴とするアンズ由来酵母液の製造方法、およびアンズ由来酵母のコロニーを酵母エキス1から3質量%とペプトン2〜3質量%とグルコース 2〜3質量%とを含む培養液を調製し、アンズ由来酵母のコロニーに前記調製した培養液を添加して35℃±3℃で24〜48時間培養して形成してなるアンズ由来酵母液であることを特徴とする。 【選択図】 図1