生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_寿司酢及びそれを用いた寿司飯の食感改良方法
出願番号:2013157553
年次:2015
IPC分類:C12J 1/00,A23L 1/10


特許情報キャッシュ

小倉 美奈子 芳仲 幸治 齊藤 剛 JP 2015027263 公開特許公報(A) 20150212 2013157553 20130730 寿司酢及びそれを用いた寿司飯の食感改良方法 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 000175283 小倉 美奈子 芳仲 幸治 齊藤 剛 C12J 1/00 20060101AFI20150116BHJP A23L 1/10 20060101ALI20150116BHJP JPC12J1/00 AA23L1/10 F 6 OL 9 4B023 4B028 4B023LC05 4B023LE16 4B023LG01 4B023LK01 4B023LK08 4B023LK20 4B023LL02 4B023LP10 4B028BC03 4B028BL03 4B028BL27 4B028BL30 4B028BL32 本発明は、寿司酢及びそれを用いた寿司飯の食感改良方法、詳細には、食酢、塩、高甘味度甘味料及び増粘多糖類を含有し、高甘味度甘味料を全甘味料の甘味度の総和に対する甘味度の20〜100%含有する寿司酢、及びそれを炊飯後の米飯に混ぜ合わせる寿司飯の食感改良方法に関する。 寿司飯の製造に使用される寿司酢には、一般的に食酢、塩、及び糖類としてショ糖や異性化糖が使用されている。 しかし、ショ糖や異性化糖は良質な甘味を有するものの、最近の健康志向や低カロリー志向から肥満や虫歯の原因となり、敬遠されるようになってきており、寿司酢においても低カロリーなものが求められるようになっている。 このような要望に応えるショ糖や異性化糖に代わる甘味料として、いわゆる高甘味度甘味料があり、これらはショ糖や異性化糖より強い甘味を有するため、少ない使用量で同等の甘味を付与することができ、従来のものより低カロリーの寿司酢を調製できるという利点を有している。 さらに、高甘味度甘味料を使用する利点として、コスト削減や、過度の酢カドや塩カドをマスキングできることなどが挙げられる。 特許文献1には、食酢、糖類、塩、および高甘味度甘味料を主成分とする合わせ酢、及び当該合わせ酢が米飯に混ぜ合わされている寿司飯が開示されている。 特許文献2には、砂糖などの代替に、スクラロースやステビアなどの高甘味度甘味料を含有する濃厚すし酢が開示されている。 しかしながら、高甘味度甘味料は特有の後味や苦みを感じるものがあり、また、高甘味度甘味料の種類によっては、酸性条件下において時間経過により加水分解などにより甘味の低減が見られるものがある。 さらに、寿司をコンビニエンス・ストアやスーパーマーケットなどで購入し食することも頻繁に行われているが、このような流通段階において寿司を保存する場合、米飯(寿司飯)は時間の経過と共に食感が悪くなる。 これは、保存による米飯の老化と呼ばれ、米飯のα化澱粉がβ化澱粉に移行するためで、パサつきや硬化などを生じる。 流通段階では細菌の繁殖を防ぐ目的上、米飯(寿司飯)の低温保存が行われ、15℃以下の低温領域や、特に約10℃以下のチルド領域では老化速度が速く、冷蔵庫(5℃)で24時間保存した米飯(寿司飯)は硬く、そのまま食するのは困難な状態となる。 特許文献3には、特に低温保存時に食感が変化しにくい米飯食品を製造するために、醸造酢、砂糖などの糖類、及びアラビアガムやプルランなどの増粘剤を含有する米飯の品質改良剤が開示され、低温もしくはチルド領域の温度で保存中、米飯の老化を防ぎ、食感などの品質の劣化を防ぐことが示されている。 当該米飯の品質改良剤は、炊飯時に生米に添加してもよく、あるいは炊飯後の米飯に添加、混合してもよいとされている。 特許文献4には、炊飯した米飯に、還元水飴などの糖アルコールやプルランなどの多糖類と、すし酢とを添加する米飯の製造方法が開示され、このようにして製造された米飯(寿司飯)は、チルド保存により適していて、より長期にわたるチルド保存が行われても老化が防止され、食感、味ともに良好な寿司飯となることが示されている。特開2010−29175号公報特開2011−30524号公報特開2001−17099号公報特開2001−238617号公報 寿司酢において、ショ糖や異性化糖の代替に高甘味度甘味料を使用するメリットとして、上記のようにカロリーの低減やコスト削減、過度な酢カドや塩カドのマスキングなどが挙げられるが、寿司酢中の砂糖や異性化糖を高甘味度甘味料に大幅に替えてしまうと、寿司飯を特に冷蔵で保存した際、パサつきや硬化などを生じて食感を損ねてしまうという問題点があった。 この問題点を克服するために、特許文献1の合わせ酢では、保湿作用に優れているマルトース、トレハロースや水飴をさらに添加しているが、コストアップになってしまう。 本発明者は、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、ショ糖又は異性化糖の一部又は全部を高甘味度甘味料で置き換え、さらに増粘多糖類を添加した寿司酢とすることで、炊飯後の米飯に混ぜ合わせることにより、パサつきや硬化などを抑制し、冷蔵保存しても高甘味度甘味料を使用せずにショ糖又は異性化糖を使用した寿司飯に近い食感が得られることを見出した。 すなわち、本発明は下記に掲げる寿司酢、それを使用した寿司飯、およびそれを使用した寿司飯の食感改良方法に関するものである。項1. 食酢、塩、高甘味度甘味料及び増粘多糖類を含有し、高甘味度甘味料を全甘味料の甘味度の総和に対する甘味度の20〜100%含有することを特徴とする寿司酢。項2.高甘味度甘味料がスクラロース及び/又はアセスルファムカリウムである項1に記載の寿司酢。項3.増粘多糖類が、ペクチン、アラビアガム及びプルランからなる群より選択される1種以上である項1又は2に記載の寿司酢。項4.増粘多糖類が、ペクチンである項3に記載の寿司酢。項5.項1〜4のいずれか1項に記載の寿司酢が、炊飯後の米飯に混ぜ合わされて調製された寿司飯。項6.項1〜4のいずれか1項に記載の寿司酢を、炊飯後の米飯に混ぜ合わせることを特徴とする寿司飯の食感改良方法。 ショ糖又は異性化糖の一部又は全部を高甘味度甘味料で置き換え、さらに増粘多糖類を添加した寿司酢とすることで、炊飯後の米飯に混ぜ合わせることにより、パサつきや硬化などを抑制し、冷蔵保存しても高甘味度甘味料を使用せずにショ糖又は異性化糖を使用した寿司飯に近い食感を得ることができる。 本発明は、食酢、塩、高甘味度甘味料及び増粘多糖類を含有し、高甘味度甘味料を全甘味料の甘味度の総和に対する甘味度の20〜100%含有する寿司酢に関するものである。 本発明に使用される食酢としては、醸造酢、例えば米酢、黒酢、りんご酢、ぶどう酢などが挙げられ、本発明の寿司酢中に、30〜70質量%、好ましくは40〜60質量%含有される。 本発明に使用される塩としては、食塩などが挙げられ、本発明の寿司酢中に、5〜15質量%、好ましくは7〜12質量%含有される。 高甘味度甘味料としては、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ステビア抽出物、ソーマチン、グリチルリチン、ネオテーム、ラカンカ(羅漢果)抽出物、サッカリン、サッカリンナトリウムなどを例示することができるが、スクラロースやアセスルファムカリウムが好ましい。 これらの高甘味度甘味料は、単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。 ステビア抽出物は、南米原産のキク科多年生植物であるステビアレバウディアナ・ベルトニの葉や茎等から、水又は有機溶媒で抽出、精製されたものであり、ステビオサイド及びレバウディオサイドAを、甘味の主成分として含有する。 ステビア抽出物には、α−グルコシルトランスフェラーゼ等を用いて、上記ステビア抽出物にグルコースやフルクトース等の糖を転移した酵素処理ステビアも含まれる。 ラカンカ抽出物は、中国南部の高冷地で栽培されているウリ科の果実の生又は乾燥したものからエタノールなどで抽出されるもので、モグロシドVを甘味の主成分として含有する。 通常寿司酢中には、ショ糖や異性化糖(果糖ブドウ糖液糖など)が20〜60質量%、好ましくは30〜50質量%含有されるが、本発明の寿司酢においては、これらのショ糖や異性化糖を高甘味度甘味料で一部又は全部を置き換え、高甘味度甘味料の全甘味料(ショ糖又は異性化糖、及び高甘味度甘味料)の甘味度の総和に対する甘味度が、20%〜100%、より好ましくは30%〜90%、さらに好ましくは40%〜80%となるように含有する。 甘味度の総和は、各甘味料の甘味度×添加量の和で表せ、例えば、高甘味度甘味料としてスクラロースを使用する場合はショ糖の600倍の甘味度、アセスルファムカリウムではショ糖の200倍の甘味度として算出することができる。 増粘多糖類としては、ゼラチン、ネイティブジェランガム、ジェランガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ガティガム、グルコマンナン、寒天、グアーガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、タマリンドシードガム、タラガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ペクチン、プルラン、CMC、微小繊維状セルロース、ファーセレラン、水溶性大豆ヘミセルロースなどが挙げられ、好ましくは、ペクチン、アラビアガム及びプルランからなる群より選択される少なくとも1種が用いられ、さらに好ましくはペクチンが用いられる。 本発明の寿司酢には、旨味調味料(例えば、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、蛋白加水分解物、酵母エキス、昆布エキス、鰹エキスなど)、その他の糖類(例えば、転化糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、マルチトール、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ラクチトール、パラチニットなど)や、乳化剤、pH調整剤などを適宜添加してもよい。 本発明の寿司酢は、上記の食酢、塩、高甘味度甘味料及び増粘多糖類、さらにショ糖又は異性化糖や適宜旨味調味料やpH調整剤などを、水に添加して撹拌、溶解することで調製することができる。 本発明の寿司飯は、上記の本発明の寿司酢が、炊飯後の米飯に混ぜ合わされて調製されたものである。 寿司飯に使用される生米はうるち米、もち米又はそれらの混合米であってもよいが、うるち米が好ましい。 炊飯時に使用される水の量については、通常生米に対して約1.3倍〜1.8倍の加水量と共に生米を炊飯する。 本発明の寿司酢は、炊飯後の米飯100質量部に対して、5〜20質量部、好ましくは7〜15質量部添加して、寿司飯を調製する。 増粘多糖類を生米に添加して炊飯した場合には、増粘多糖類が水を吸収し、通常よりも多い水の量が必要となり水加減が難しくなるので、本発明の寿司酢(増粘多糖類含有)として、炊飯後の米飯に混ぜ合わすことが好ましい。 それにより、水加減の調整の必要なく、パサつきや硬化などを抑制し、冷蔵保存しても高甘味度甘味料を使用せずにショ糖又は異性化糖を使用した寿司飯に近い食感が得られ、ショ糖又は異性化糖の一部又は全部を高甘味度甘味料で置き換えた寿司飯の食感が改良される。 以下、本発明の内容を以下の実験例及び実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。 なお、以下の記載において、「%」は質量%を、「部」は質量部をそれぞれ示し、「*」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製を、「※」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標をそれぞれ示す。実験例1 表1の処方(数値は部)で調製した寿司酢10mlを、炊いた米100gによく混ぜ合わせ、冷蔵(5℃)にて保存し、調製直後、24時間後、48時間後の状態をそれぞれコントロール(高甘味度甘味料不使用)と比較して、砂糖を高甘味度甘味料にどれくらい代替すれば食感に差が出るかを評価した。 各検体の高甘味度甘味料(スクラロース及びアセスルファムカリウム)は、砂糖の減少による甘味度を補う量添加し、評価結果を表2に示した。 寿司飯を調製した直後はどの検体もコントロールと差はなかったが、砂糖を25%置き換えた検体1では、48時間後でやや粘り気・弾力が減り、砂糖を50〜100%の置き換えた検体2〜4では、24時間後で弾力や粘りが減り、ぼそぼそした食感となり、その程度は砂糖を高甘味度甘味料に置き換える割合が高くなるほど顕著に見られた。実験例2 表3の処方(数値は部)で調製した寿司酢10mlを、炊いた米100gによく混ぜ合わせて、砂糖の50%を高甘味度甘味料で代替した寿司酢を調製し、冷蔵(5℃)にて保存し、調製直後、24時間後、48時間後、72時間後の状態を、それぞれのコントロールと比較して評価した。評価結果を表4に示した。 SM-666:ペクチン100%含有 サンサポート D-100:アラビアガム90%及びプルラン10%含有 実施例1及び2のように、寿司酢に増粘多糖類であるペクチン、アラビアガム、プルランを添加することで、米飯の乾燥を抑制し、食感や弾力、粘り気を付与することができた。 特に、増粘多糖類としてペクチンを使用した実施例1の方は、砂糖の50%を高甘味度甘味料で代替した寿司酢(ブランク)で調製した寿司飯を、砂糖を全く高甘味度甘味料で代替していないコントロールのようなしっとりとした食感に仕上げることができた。実験例3 増粘多糖類を炊飯前に添加するのと、炊飯後に本発明の寿司酢(増粘多糖類含有)として添加するのとでは、どのような差があるか確認するために、表5の処方(数値は部)で増粘多糖類を炊飯前の生米100gに添加して炊飯し、その後寿司酢(増粘多糖類不含有)10mlをよく混ぜ合わせたものと、本発明の寿司酢(増粘多糖類含有)10mlを炊飯後の米飯100gによく混ぜ合わせたものとを評価した。評価結果を表6に示した。 比較例1及び2は、増粘多糖類を炊飯前に添加したものであるが、通常の炊飯時と同量の水加減では、かたくパサついた食感になってしまい、増粘多糖類を炊飯前に添加する場合には、増粘多糖類が水を吸収することを考慮して、水量の調製が必要であった。 実施例3及び4は、本発明の寿司酢(増粘多糖類含有)を炊飯後の米飯に添加したものであるが、特に水加減の調製をすることなしに、ふっくらとした食感の寿司飯を調製することができた。 本発明により、高甘味度甘味料を使用した寿司飯の食感を改良することができるので、食品工業において有用である。食酢、塩、高甘味度甘味料及び増粘多糖類を含有し、高甘味度甘味料を全甘味料の甘味度の総和に対する甘味度の20〜100%含有することを特徴とする寿司酢。高甘味度甘味料がスクラロース及び/又はアセスルファムカリウムである請求項1に記載の寿司酢。増粘多糖類が、ペクチン、アラビアガム及びプルランからなる群より選択される1種以上である請求項1又は2に記載の寿司酢。増粘多糖類が、ペクチンである請求項3に記載の寿司酢。請求項1〜4のいずれか1項に記載の寿司酢が、炊飯後の米飯に混ぜ合わされて調製された寿司飯。請求項1〜4のいずれか1項に記載の寿司酢を、炊飯後の米飯に混ぜ合わせることを特徴とする寿司飯の食感改良方法。 【課題】ショ糖又は異性化糖の一部又は全部を高甘味度甘味料に代替した寿司酢を、米飯に混ぜ合わせて寿司飯とした時に、風味や質感が損なわれないようにする。【解決手段】食酢、塩、高甘味度甘味料及び増粘多糖類を含有し、高甘味度甘味料を全甘味料の甘味度の総和に対する甘味度の20〜100%含有する寿司酢とし、炊飯後の米飯に混ぜ合わせることにより寿司飯の食感を改良する。【選択図】なし


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