生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アルコール飲料及びその製造方法
出願番号:2013155731
年次:2015
IPC分類:C12G 3/04


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堤 有史 JP 2015023835 公開特許公報(A) 20150205 2013155731 20130726 アルコール飲料及びその製造方法 堤 和弘 397042816 橘 哲男 100081455 藤本 正紀 100170966 堤 有史 C12G 3/04 20060101AFI20150109BHJP JPC12G3/04 5 OL 5 4B015 4B015LG02 4B015LH12 4B015LP02 本発明は、アルコール飲料及びその製造方法に関し、特に、樽熟成させることによって得られる風味や色合いを損なうことのないアルコール飲料及びその製造方法に関する。 従来から広く親しまれている酒類の1つに焼酎がある。一般に焼酎は製造方法の違いから、甲類と乙類とに分類される。甲類は連続式蒸留機で製造した高純度のアルコールと水で36度未満に薄めて製造される焼酎である。この甲類焼酎は、無色透明でアルコールの臭味がほとんど感じられず、ほのかな甘みがあり、爽快な味わいを楽しむことができる。 一方、乙類は、単式蒸留機で蒸留したアルコール分45度以下の古くからつくられる伝統的な焼酎であり、芋、米、麦、そば、トウモロコシ、ごま、大豆といったそれぞれの素材本来の多様な風味を生かした焼酎である。最近では、その独特の風味から、こういった乙類の焼酎が密かなブームとなっている。 また、近年、様々な焼酎が販売される中、ウイスキーやブランデーのように蒸留後に樽で熟成させることで樽香を付与したり樽に由来する着色をしたりした「樽熟成焼酎」が販売されている。 しかしながら、この「樽熟成焼酎」の場合、樽熟成することよる樽由来の着色が酒税法上の光量規制に該当するため、規定された着色度まで薄くする必要がある。この着色度は、吸光度の測定によって判定され、その基準とは、430ナノメートル及び480ナノメートルという波長の光を使用して吸光度を測定し、着色度がいずれも0.080以下でなければならないというものである。 従って、「樽熟成焼酎」として販売するためには、例えば、ろ過したり無色透明の蒸留酒等を添加したりして樽由来の着色を薄める必要がある。しかし、そうすると、樽由来の風味や香りも薄れてしまい、樽貯蔵して得られる風味が損なわれてしまう。 そのため、例えば、特許文献1に示されるような色付けせずに樽香を付けた蒸留酒の製造方法が提案されている。特許文献1に記載の蒸留酒の製造方法では、もろみの熟成を、もろみと木質材とを接触させた状態や、木製の容器または内部に木製部材を有する容器で行うことにより、蒸留前のもろみに樽香を付与するこができ、この時に、もろみに木質の色が着色した場合であっても、後の蒸留の際に色を除去することで、色付けせずに樽香を付けた蒸留酒を製造することができる、としている。特開2009−142189号公報 しかしながら、特許文献1で提案されている蒸留酒の製造方法によれば、以下のような問題がある。即ち、上記したように、光量規制により着色度を薄くする必要があるため、本来、樽熟成で得られる風味が損なわれてしまうことや、特許文献1で示すように蒸留によって香りは残し、色のみを除去したとしても、樽熟成で得られる絶妙な味や香を保持することは困難である。 従って、本発明の目的は、樽熟成させることによって得られる本来の樽香や樽色などの風味や色合いを損なうことのないアルコール飲料及びその製造方法を提供することにある。 上記目的を達成するために、本発明は、樽で熟成させた蒸留酒にデキストリンを添加したことを特徴とするアルコール飲料を提供するものである。 また、本発明は、麹を生成する製麹工程と、前記麹に、酵母と水とを混入して発酵させ酒母を生成する一次仕込み工程と、主原料となる材料を洗浄、浸漬、蒸煮する主原料処理工程と、前記主原料に、前記生成した酒母を混入して発酵させ醪を生成する二次仕込み工程と、前記生成した醪を蒸留する蒸留工程と、蒸留して得られた原酒を樽で熟成させる熟成工程と、熟成した原酒に食物繊維を添加する添加工程と、を有することを特徴とするアルコール飲料の製造方法を提供するものである。 以上の構成において、前記食物繊維は、デキストリンであることを特徴とする。また、前記食物繊維は、重量比で0.02g/mlの量を添加することを特徴とする。また、前記樽は、オーク材からなることを特徴とする。 上記したように、本発明のアルコール飲料の製造方法によれば、通常の蒸留酒の製造工程で得られた蒸留酒を樽で熟成させ、熟成した原酒に食物繊維であるデキストリンなどの添加物を添加するようにしたので、酒税法上の光量規制の制限を受けない、樽熟成させることによって得られる本来の樽香や樽由来の着色を損なうことのないアルコール飲料を提供することができる。 次に、本発明の実施形態におけるアルコール飲料の製造方法について説明する。 本実施形態におけるアルコール飲料は、以下の(1)〜(6)の工程を経て生産される。(1)製麹工程:蒸した米に麹菌を加え、麹を生成する。(2)一次仕込み工程:製麹した麹、酵母、水を混合して発酵させ、酒母を生成する。(3)二次仕込み工程:蒸煮した米に酒母を混入し、主原料となる米を加え、発酵させ醪を生成させる。(4)蒸留工程:醪を蒸留し原酒を生成する。(5)貯蔵・熟成工程:蒸留後の原酒を樽に貯蔵し、熟成させる。(6)添加・製品工程:熟成させた原酒に添加物を添加し、酒質やアルコール度数の調整を行い、瓶詰め作業を行う。 以下、これら(1)〜(6)の各工程について詳細に説明していく。<製麹工程> ここで言う麹とは、蒸米に焼酎用の麹菌を植えつけ、繁殖させたものを言い、麹造りとは、焼酎造りに不可欠な麹菌を繁殖させるための下準備の工程である。手順としては、まず、米を水で洗い、水に浸して米に水分を吸収させる。その後水切りして蒸す。そして、蒸し上がった米に麹菌をまぶして麹を作る。この麹を麹棚に移して一日寝かせた後、3日目に麹を取り出し、一次仕込みに移す。<一次仕込み工程> 一次仕込みでは、麹に水と酵母を加えて混ぜる。ここでは、純粋で強健な酵母を大量に増やし、二次もろみに必要な酵素とクエン酸を溶出させ、二次もろみが腐るのを防ぐ。仕込み翌日には、酵母が生育しはじめ、約一週間で熟成は終了し、二次仕込みにまわる。その一週間の間は、もろみの温度が30度以上にならないよう管理する。30度以上になると酵母が弱ってしまい、次の二次仕込みの際に、もろみが腐りやすくなるためである。<二次仕込み工程> 一次仕込みでできた一次もろみに、水洗いして蒸した主原料(芋、麦、黒糖、米など)と水を加えて混ぜる。25度から30度の温度で約8日〜20日間かけて発酵し、芳醇なもろみとなる。もろみの温度が高くなりすぎると酵母によるアルコール発酵が抑えられるため、32度以上にならないようにする。なお、ここで仕込む主原料が芋であれば「芋焼酎」、麦であれば「麦焼酎」、黒糖であれば「黒糖焼酎」、米であれば「米焼酎」となるが、本実施の形態では、主原料として米を用いている。<蒸留工程> 二次仕込みでアルコール発酵が終わったもろみを単式蒸留機に移し替える。もろみの温度が85度から90度に達するとアルコールが出だし、蒸留の初めの頃は約70度のアルコールが溜出される。徐々に溜出するアルコール度数が少なくなり、8〜10度以下になると終了する。蒸留でできた焼酎原酒のアルコール度数は40度前後になる。蒸留したばかりの焼酎原酒は焼酎油のために白濁しており、そのまま放置すると油が酸化して焼酎に油臭がつくので油を分離する。<貯蔵・熟成工程> 蒸留したての原酒は、そのままではガス臭さや焦げ臭さなど蒸留時独特の臭いがあるので、焼酎特有のまろやかな風味を出すために、樽で、ある一定期間(3年〜10年)の貯蔵・熟成を行う。樽で貯蔵すると、木の香りが付いたやや琥珀色の焼酎になる。 樽で貯蔵する際に使用する木材は、オーク材、特に、ホワイトオーク材を用いる。ホワイトオーク材は、特有の芳香、色を形成することができるからである。なお、樽に使用する木材は、このホワイトオーク材に限定することなく、マツやスギ、ヒノキであってもよい。 なお、一定期間(3年〜10年)樽で貯蔵・熟成を行うことにより、不揮発性成分の濃縮、酸類とアルコール類の結合によるエステル化、丸味の増加、木の香りが付いた固有の香味成分の形成、樽成分の抽出による琥珀色の着色などの変化が営まれる。<添加・製品化工程> 一定期間の貯蔵・熟成をした原酒は、味わいが落ち着き、風味が豊かとなり、樽由来の琥珀色が着色される。この熟成された原酒に、添加物であるデキストリンを加える。添加量としては約2度(重量比で0.02g/ml)である。デキストリンは、数個のα‐グルコースがグリコシド結合によって重合した物質の総称で無色透明の食物繊維であり食品素材として利用されている。 そして、このデキストリンを原酒に添加することで、酒税法上、「しょうちゅう」ではなく「リキュール類」として分類することができるため、上記した焼酎の光量規制に該当しなくなる。よって、樽熟成で得られた樽由来の木の香りが付き、樽由来の琥珀色の着色を保持したアルコール飲料、換言すれば、「樽リキュール」を製造することができる。 そして、酒質及びアルコール度数を調整するために原酒をブレンドしたり割り水をしたりした後、瓶詰め作業をし、製品化される。 なお、上記実施例は本発明の工程な実施の一例であり、本発明の実施例は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能となる。例えば、上記の例では、米を主原料とした蒸留酒を樽熟成したものであるが、これに限られず、芋、麦、黒糖、胡麻等を主原料とした蒸留酒を樽熟成したものであっても良い。 樽で熟成させた蒸留酒にデキストリンを添加したことを特徴とするアルコール飲料。 麹を生成する製麹工程と、 前記麹に、酵母と水とを混入して発酵させ酒母を生成する一次仕込み工程と、 主原料となる材料を洗浄、浸漬、蒸煮する主原料処理工程と、 前記主原料に、前記生成した酒母を混入して発酵させ醪を生成する二次仕込み工程と、 前記生成した醪を蒸留する蒸留工程と、 蒸留して得られた原酒を樽で熟成させる熟成工程と、 熟成した原酒に食物繊維を添加する添加工程と、を有することを特徴とするアルコール飲料の製造方法。 前記食物繊維は、デキストリンであることを特徴とする請求項2記載のアルコール飲料の製造方法。 前記食物繊維は、重量比で0.02g/mlの量を添加することを特徴とする請求項2記載のアルコール飲料の製造方法。 前記樽は、オーク材からなることを特徴とする請求項2に記載のアルコール飲料の製造方法。 【課題】 酒税法上の光量規制の制限を受けない、樽熟成することによって得られる本来の樽香や樽色を保持したままのアルコール飲料及びその製造方法を提供すること。【解決手段】 麹を生成し、この麹に、酵母と水とを混入して発酵させ酒母を生成し、主原料となる材料を洗浄、浸漬、蒸煮し、この主原料に、前記の酒母を混入して発酵させ醪を生成させ、その醪を蒸留し、蒸留して得られた原酒を樽で熟成させ、熟成した原酒に食物繊維であるデキストリンなどの添加物を添加する。【選択図】 なし


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特許公報(B2)_樽熟成リキュールの製造方法

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タイトル:特許公報(B2)_樽熟成リキュールの製造方法
出願番号:2013155731
年次:2015
IPC分類:C12G 3/04


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堤 有史 JP 5716061 特許公報(B2) 20150320 2013155731 20130726 樽熟成リキュールの製造方法 堤 和弘 397042816 橘 哲男 100081455 藤本 正紀 100170966 堤 有史 20150513 C12G 3/04 20060101AFI20150423BHJP JPC12G3/04 C12G 3/04、3/12 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特公平04−043624(JP,B2) 特開2001−057879(JP,A) 【澤屋総本店】究極の樽貯蔵・・登場!!(ショップメルマガ), [online], (2013.04), 下町の焼酎屋 サワヤ総本店のつぶやき, [2014.11.18検索], インターネット, <URL:http://shop.plaza.rakuten.co.jp/sawaya/diary/detail/201304200000> 野白喜久雄外編, 「醸造の事典」, 初版, 株式会社朝倉書店, (1988), p.335-351 吉沢淑編, 「シリーズ<食品の科学>酒の科学」, 初版, 株式会社朝倉書店, (1998), p.191-197 樽焼酎の原酒 極上 堤 ごくじょうつつみ 40度 720ml, [online], (2014.11.18), 日本ロイヤルガストロ倶楽部, [2014.11.18検索], インターネット, <URL:http://item.rakuten.co.jp/aionline-japan/tt-05/> 2 2015023835 20150205 5 20130812 柴原 直司 本発明は、アルコール飲料及びその製造方法に関し、特に、樽熟成させることによって得られる風味や色合いを損なうことのないアルコール飲料及びその製造方法に関する。 従来から広く親しまれている酒類の1つに焼酎がある。一般に焼酎は製造方法の違いから、甲類と乙類とに分類される。甲類は連続式蒸留機で製造した高純度のアルコールと水で36度未満に薄めて製造される焼酎である。この甲類焼酎は、無色透明でアルコールの臭味がほとんど感じられず、ほのかな甘みがあり、爽快な味わいを楽しむことができる。 一方、乙類は、単式蒸留機で蒸留したアルコール分45度以下の古くからつくられる伝統的な焼酎であり、芋、米、麦、そば、トウモロコシ、ごま、大豆といったそれぞれの素材本来の多様な風味を生かした焼酎である。最近では、その独特の風味から、こういった乙類の焼酎が密かなブームとなっている。 また、近年、様々な焼酎が販売される中、ウイスキーやブランデーのように蒸留後に樽で熟成させることで樽香を付与したり樽に由来する着色をしたりした「樽熟成焼酎」が販売されている。 しかしながら、この「樽熟成焼酎」の場合、樽熟成することよる樽由来の着色が酒税法上の光量規制に該当するため、規定された着色度まで薄くする必要がある。この着色度は、吸光度の測定によって判定され、その基準とは、430ナノメートル及び480ナノメートルという波長の光を使用して吸光度を測定し、着色度がいずれも0.080以下でなければならないというものである。 従って、「樽熟成焼酎」として販売するためには、例えば、ろ過したり無色透明の蒸留酒等を添加したりして樽由来の着色を薄める必要がある。しかし、そうすると、樽由来の風味や香りも薄れてしまい、樽貯蔵して得られる風味が損なわれてしまう。 そのため、例えば、特許文献1に示されるような色付けせずに樽香を付けた蒸留酒の製造方法が提案されている。特許文献1に記載の蒸留酒の製造方法では、もろみの熟成を、もろみと木質材とを接触させた状態や、木製の容器または内部に木製部材を有する容器で行うことにより、蒸留前のもろみに樽香を付与するこができ、この時に、もろみに木質の色が着色した場合であっても、後の蒸留の際に色を除去することで、色付けせずに樽香を付けた蒸留酒を製造することができる、としている。特開2009−142189号公報 しかしながら、特許文献1で提案されている蒸留酒の製造方法によれば、以下のような問題がある。即ち、上記したように、光量規制により着色度を薄くする必要があるため、本来、樽熟成で得られる風味が損なわれてしまうことや、特許文献1で示すように蒸留によって香りは残し、色のみを除去したとしても、樽熟成で得られる絶妙な味や香を保持することは困難である。 従って、本発明の目的は、樽熟成させることによって得られる本来の樽香や樽色などの風味や色合いを損なうことのないアルコール飲料及びその製造方法を提供することにある。 上記目的を達成するために、本発明は、麹を生成する製麹工程と、前記麹に、酵母と水とを混入して発酵させ酒母を生成する一次仕込み工程と、主原料となる材料を洗浄、浸漬、蒸煮する主原料処理工程と、前記主原料に、前記生成した酒母を混入して発酵させ醪を生成する二次仕込み工程と、前記生成した醪を蒸留する蒸留工程と、 蒸留して得られた原酒を樽で熟成させる熟成工程と、熟成した原酒に重量比で0.02g/mlの量のデキストリンを添加する添加工程と、を有することを特徴とする。 また、前記樽は、オーク材からなることを特徴とする。 上記したように、本発明のアルコール飲料の製造方法によれば、通常の蒸留酒の製造工程で得られた蒸留酒を樽で熟成させ、熟成した原酒に食物繊維であるデキストリンなどの添加物を添加するようにしたので、酒税法上の光量規制の制限を受けない、樽熟成させることによって得られる本来の樽香や樽由来の着色を損なうことのないアルコール飲料を提供することができる。 次に、本発明の実施形態におけるアルコール飲料の製造方法について説明する。 本実施形態におけるアルコール飲料は、以下の(1)〜(6)の工程を経て生産される。(1)製麹工程:蒸した米に麹菌を加え、麹を生成する。(2)一次仕込み工程:製麹した麹、酵母、水を混合して発酵させ、酒母を生成する。(3)二次仕込み工程:蒸煮した米に酒母を混入し、主原料となる米を加え、発酵させ醪を生成させる。(4)蒸留工程:醪を蒸留し原酒を生成する。(5)貯蔵・熟成工程:蒸留後の原酒を樽に貯蔵し、熟成させる。(6)添加・製品工程:熟成させた原酒に添加物を添加し、酒質やアルコール度数の調整を行い、瓶詰め作業を行う。 以下、これら(1)〜(6)の各工程について詳細に説明していく。<製麹工程> ここで言う麹とは、蒸米に焼酎用の麹菌を植えつけ、繁殖させたものを言い、麹造りとは、焼酎造りに不可欠な麹菌を繁殖させるための下準備の工程である。手順としては、まず、米を水で洗い、水に浸して米に水分を吸収させる。その後水切りして蒸す。そして、蒸し上がった米に麹菌をまぶして麹を作る。この麹を麹棚に移して一日寝かせた後、3日目に麹を取り出し、一次仕込みに移す。<一次仕込み工程> 一次仕込みでは、麹に水と酵母を加えて混ぜる。ここでは、純粋で強健な酵母を大量に増やし、二次もろみに必要な酵素とクエン酸を溶出させ、二次もろみが腐るのを防ぐ。仕込み翌日には、酵母が生育しはじめ、約一週間で熟成は終了し、二次仕込みにまわる。その一週間の間は、もろみの温度が30度以上にならないよう管理する。30度以上になると酵母が弱ってしまい、次の二次仕込みの際に、もろみが腐りやすくなるためである。<二次仕込み工程> 一次仕込みでできた一次もろみに、水洗いして蒸した主原料(芋、麦、黒糖、米など)と水を加えて混ぜる。25度から30度の温度で約8日〜20日間かけて発酵し、芳醇なもろみとなる。もろみの温度が高くなりすぎると酵母によるアルコール発酵が抑えられるため、32度以上にならないようにする。なお、ここで仕込む主原料が芋であれば「芋焼酎」、麦であれば「麦焼酎」、黒糖であれば「黒糖焼酎」、米であれば「米焼酎」となるが、本実施の形態では、主原料として米を用いている。<蒸留工程> 二次仕込みでアルコール発酵が終わったもろみを単式蒸留機に移し替える。もろみの温度が85度から90度に達するとアルコールが出だし、蒸留の初めの頃は約70度のアルコールが溜出される。徐々に溜出するアルコール度数が少なくなり、8〜10度以下になると終了する。蒸留でできた焼酎原酒のアルコール度数は40度前後になる。蒸留したばかりの焼酎原酒は焼酎油のために白濁しており、そのまま放置すると油が酸化して焼酎に油臭がつくので油を分離する。<貯蔵・熟成工程> 蒸留したての原酒は、そのままではガス臭さや焦げ臭さなど蒸留時独特の臭いがあるので、焼酎特有のまろやかな風味を出すために、樽で、ある一定期間(3年〜10年)の貯蔵・熟成を行う。樽で貯蔵すると、木の香りが付いたやや琥珀色の焼酎になる。 樽で貯蔵する際に使用する木材は、オーク材、特に、ホワイトオーク材を用いる。ホワイトオーク材は、特有の芳香、色を形成することができるからである。なお、樽に使用する木材は、このホワイトオーク材に限定することなく、マツやスギ、ヒノキであってもよい。 なお、一定期間(3年〜10年)樽で貯蔵・熟成を行うことにより、不揮発性成分の濃縮、酸類とアルコール類の結合によるエステル化、丸味の増加、木の香りが付いた固有の香味成分の形成、樽成分の抽出による琥珀色の着色などの変化が営まれる。<添加・製品化工程> 一定期間の貯蔵・熟成をした原酒は、味わいが落ち着き、風味が豊かとなり、樽由来の琥珀色が着色される。この熟成された原酒に、添加物であるデキストリンを加える。添加量としては約2度(重量比で0.02g/ml)である。デキストリンは、数個のα‐グルコースがグリコシド結合によって重合した物質の総称で無色透明の食物繊維であり食品素材として利用されている。 そして、このデキストリンを原酒に添加することで、酒税法上、「しょうちゅう」ではなく「リキュール類」として分類することができるため、上記した焼酎の光量規制に該当しなくなる。よって、樽熟成で得られた樽由来の木の香りが付き、樽由来の琥珀色の着色を保持したアルコール飲料、換言すれば、「樽リキュール」を製造することができる。 そして、酒質及びアルコール度数を調整するために原酒をブレンドしたり割り水をしたりした後、瓶詰め作業をし、製品化される。 なお、上記実施例は本発明の工程な実施の一例であり、本発明の実施例は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能となる。例えば、上記の例では、米を主原料とした蒸留酒を樽熟成したものであるが、これに限られず、芋、麦、黒糖、胡麻等を主原料とした蒸留酒を樽熟成したものであっても良い。 麹を生成する製麹工程と、 前記麹に、酵母と水とを混入して発酵させ酒母を生成する一次仕込み工程と、 主原料となる材料を洗浄、浸漬、蒸煮する主原料処理工程と、 前記主原料に、前記生成した酒母を混入して発酵させ醪を生成する二次仕込み工程と、 前記生成した醪を蒸留する蒸留工程と、 蒸留して得られた原酒を樽で熟成させる熟成工程と、 熟成した原酒に重量比で0.02g/mlの量のデキストリンを添加する添加工程と、を有することを特徴とする樽熟成リキュールの製造方法。 前記樽は、オーク材からなることを特徴とする請求項1記載の樽熟成リキュールの製造方法。


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