タイトル: | 公開特許公報(A)_オキシアルキレン基を含む置換基を有する複素芳香族化合物及び該化合物からなるポリマー |
出願番号: | 2013144686 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C07D 495/04,H01L 51/42,C08G 61/12 |
澁谷 寛政 森原 靖 稲垣 拓也 三浦 雅典 藤田 明士 JP 2015017052 公開特許公報(A) 20150129 2013144686 20130710 オキシアルキレン基を含む置換基を有する複素芳香族化合物及び該化合物からなるポリマー 株式会社クラレ 000001085 澁谷 寛政 森原 靖 稲垣 拓也 三浦 雅典 藤田 明士 C07D 495/04 20060101AFI20141226BHJP H01L 51/42 20060101ALI20141226BHJP C08G 61/12 20060101ALI20141226BHJP JPC07D495/04 101C07D495/04H01L31/04 DC08G61/12 9 OL 25 4C071 4J032 5F151 4C071AA01 4C071AA08 4C071BB01 4C071CC22 4C071EE13 4C071FF23 4C071HH11 4C071LL07 4J032BA02 4J032BB04 4J032BC03 4J032CG01 5F151AA11 5F151DA03 5F151DA07 本発明は、オキシアルキレン基を含む置換基を有する複素芳香族化合物及び該化合物を重合して得られるポリマーに関するものである。 溶媒に可溶な高分子材料を用いて塗布法により生産できる有機薄膜太陽電池は、現在主流の太陽電池である多結晶シリコン、アモルファスシリコン、化合物半導体などの無機系太陽電池よりも安価に製造できるとされ、注目されている。 有機薄膜太陽電池は、ポリマーと電子受容性材料を混合したバルクヘテロジャンクション構造を光電変換活性層として持つものが主流である。例えば、ポリマーとしてポリ(3−ヘキシルチオフェン)と、電子受容性材料としてフラーレン誘導体([6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM)など)とを混合した光電変換活性層を有する有機薄膜太陽電池が知られている。 ポリ(3−ヘキシルチオフェン)は可視光領域に光吸収を持つが、さらなる長波長領域(近赤外領域)まで吸収を持つポリマー(以下、狭バンドギャップポリマーと略称することがある)が近年、さかんに検討されている。例えば、特許文献1には狭バンドギャップポリマーの例としてドナー分子であるシクロペンタジチオフェンとアクセプター分子であるベンゾチアジアゾールとの交互共重合体が開示されている。しかし、それらを用いて製造した有機太陽電池の変換効率は5%程度に止まっており、さらなる高性能化が求められている。 バルクヘテロジャンクション構造において透明電極から入射した光は電子供与性のポリマーおよび/または電子受容性材料で吸収され、電子とホールの結合した励起子を生成する。生成した励起子がポリマーと電子受容性材料が隣接しているヘテロ接合界面に移動し、ホールと電子とに電荷分離する。ホールおよび電子はそれぞれポリマー相および電子受容性材料相を輸送されて電極より取り出される。従って、有機薄膜太陽電池の光電変換効率を高めるには、光電変換活性層の光吸収量を増大させ、ポリマーと電子受容性材料が相分離して形成するバルクヘテロジャンクション構造のモルフォロジ(相分離形態)を制御することが重要である。 非特許文献1には、モルフォロジを適切にするため、極性基を導入したπ電子共役重合体が提案されている。しかし、十分な変換効率を得られるものではなかった。この原因として、極性が非常に高く、電子受容性材料であるフラーレン誘導体との親和性が小さいため、フラーレン誘導体が光電変換層内で凝集するために、良好なモルフォロジが形成されていないことが考えられる。 特許文献2には、4位及び8位において置換されたベンゾジチオフェン基を含むモノマー及びポリマーが開示されている。しかし、側鎖にオキシアルキレン基を有するものについては一切記載されていない。また、本発明者らが検討した結果、4位及び8位にアルキル基を有するベンゾジチオフェン基を含むモノマーから得られたポリマーは、フラーレン誘導体との親和性が小さく、良好なモルフォロジを形成することができなかった。特開2009−506519号公報特開2005−120379号公報High Performance Polymers,19,684(2007年) 有機薄膜太陽電池の光電変換効率を高めるには、光電変換活性層の光吸収量を増大させ、電子供与性有機半導体となるポリマーと電子受容性材料とが相分離して形成するバルクヘテロジャンクション構造のモルフォロジ(相分離形態)を制御することが重要である。しかしながら、従来の前記ポリマーと電子受容性材料とからなる光電変換活性層においては、バルクヘテロジャンクション構造のモルフォロジ制御が十分ではなかった。 本発明者らが鋭意検討した結果、電子供与性有機半導体となるポリマーに誘導可能であり、フラーレン誘導体等の電子受容性材料と良く混合することができる側鎖を有する複素芳香族化合物及び該化合物をモノマー単位とするポリマーを見出し、本発明を完成させるに至った。 すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、下記式(1) W−[Ar(I)m]−W ・・・ (1)〔式(1)中、Arはチオフェン、フラン及びピロールから選ばれる少なくとも1種の複素環を化学構造の一部に含む縮合複素環基であり、I及びWはArに結合する置換基であり、mは2〜4の数である。Wは、ボロン酸、ボロン酸エステル、−SiY3及び−SnY3(Yはハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基若しくはアリール基である)から選ばれるいずれかの置換基であり、Iは下記式(2) −X−R1−(O−(CH2−)n)p−R2 ・・・ (2)(式(2)中、Xは酸素原子、硫黄原子又はセレン原子であり、R1は炭素数3〜10のアルキレン基であり、R2は水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはヘテロアリール基であり、nは1〜5の数であり、pは1〜5の数である。)で表される置換基である。〕で表される複素芳香族化合物である。同じく請求項2に係る発明は、請求項1に記載の複素芳香族化合物であって、前記Arが、チオフェンを化学構造の一部に含む縮合複素環基であることを特徴とする。 同じく請求項3に係る発明は、請求項1に記載の複素芳香族化合物であって、前記式(1)で表される複素芳香族化合物が、下記式(3)〜(5)(式(3)〜(5)中、I及びWは前記定義のとおりであり、T1は、C(I)2、Si(I)2又はGe(I)2であり、R3は水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはヘテロアリール基である。)で表されるいずれかであることを特徴とする。 同じく請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の複素芳香族化合物であって、前記式(2)で表される置換基Iのnが2である、オキシエチレン基を有することを特徴とする。 同じく請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の複素芳香族化合物であって、R1が炭素数3〜5のアルキレン基であり、R2が炭素数1〜8のアルキル又はアルコキシ基であることを特徴とする。 そして、請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の複素芳香族化合物を重合して得られるポリマーに関するものである。 請求項7に係る発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の複素芳香族化合物と、含窒素縮合複素環骨格又はチエノチオフェン骨格を有する有機基を含む単量体とを共重合して得られるポリマーに関するものである。 請求項8に係る発明は、請求項6又は7に記載のポリマーと、電子受容性材料とを含む有機半導体組成物に関するものである。 請求項9に係る発明は、請求項8に記載の有機半導体組成物からなる層を有する光電変換素子に関するものである。 本発明の複素芳香族化合物は、電子受容性材料、中でもフラーレン誘導体とよく混合するオキシアルキレン基を一部に有する置換基を有し、かつポリマー化した際にも当該置換基が分解することなく存在するため、電子受容性材料とよく混合できるポリマーを製造することができる。また、本発明の複素芳香族化合物を重合して得られるポリマーは、電子供与性の有機半導体となることができ、電子受容性材料と混合して有機半導体組成物とすることもできる。該有機半導体組成物は、有機薄膜に形成することで、例えば、光電変換素子の光電変換活性層等に利用することができ、良好なモルフォロジを形成するため、高い光電変換効率を発現する光電変換素子を得ることができる。実施例2で得たポリマーを含む層を有する光電変換素子の、光電変換層の断面のモルフォロジ画像である。比較例2で得たポリマーを含む層を有する光電変換素子の、光電変換層の断面のモルフォロジ画像である。 以下、本発明を実施するための好ましい形態について詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。 本発明の複素芳香族化合物は、下記式(1)で表される。 W−[Ar(I)m]−W ・・・ (1) 前記式(1)中、Arはチオフェン、フラン及びピロールから選ばれる少なくとも1種の複素環を化学構造の一部に含む単環若しくは多環の縮合複素環基であり、I及びWはArに結合する置換基である。縮合複素環基を構成する環の数は3個以上が好ましい。上限は特に限定されないが、溶解度などの観点から、7個以下が好ましく5個以下がより好ましい。 チオフェンを化学構造の一部に含む縮合複素環基としては、例えば、シクロペンタジチオフェンジイル基、ジチエノピロールジイル基、ジチエノシロールジイル基、ジチエノゲルモールジイル基、ベンゾジチオフェンジイル基、ナフトジチオフェンジイル基、チエノチオフェンジイル基、チエノピロールジオンジイル基及びジケトピロロピロールジイル基などが挙げられる。 フランを化学構造の一部に含む縮合複素環基としては、例えば、ベンゾジフランジイル基などが挙げられる。ピロールを化学構造の一部に含む縮合複素環基としては、例えば、チエノピロールジオンジイル基及びジケトピロロピロールジイル基などが挙げられる。 Arはその化学構造中に、チオフェン、フラン及びピロールを複数種類含んでいてもよく、その他にベンゼン環等の芳香環と縮環していてもよい。例えば、チオフェン環及びベンゼン環を含む縮合ヘテロ環骨格としてはベンゾチオフェン基、ベンゾジチオフェン基、インデノチオフェン基、ベンゾナフトチオフェン基などが挙げられる。 これらの中でも、チオフェンを化学構造の一部に含む縮合複素環基が特に好ましい。また、前記Arは、一つの縮合複素環基のみからなっていてもよく、少なくとも一つの縮合複素環基と他の複素環基又は芳香環基とを結合させた多環型でもよい。例えば、前述のチオフェンを化学構造の一部に含む縮合複素環基に、チオフェン、フラン、ピロール等の他の複素環基が結合していてもよく、また、ベンゼン、置換ベンゼン、ナフタレン等の他の芳香環基が結合していてもよい。 前記式(1)中、Wは、ボロン酸(−B(OH)2)、ボロン酸エステル(−B(ORa)2)、−SiY3及び−SnY3(Yはハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基若しくはアリール基である)から選ばれるいずれかの置換基である。ボロン酸エステル中の2つのRaはアルキレン基を表し、同一でも異なっていてもよく、また、2つの(ORa)は連結して環を形成していてもよい。Raの具体例としては、1,2−エチレン基、1,3-プロピレン基、2,2−テトラメチルー1,2−エチレン基、2,2−ジメチルー1,3−プロピレン基、1,2−フェニレン基などが挙げられる。また、前記Yはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、Yの好ましい具体例としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ブチル基、アルケニル基、置換基を有するフェニル基等が挙げられ、中でもメチル基、イソブチル基、ブチル基又は置換基を有するフェニル基が好適に使用できる。 前記Wは、本発明の複素芳香族化合物を重合反応に供した際に、重合反応性基として機能することができる。例えば、ゼロ価のパラジウム触媒やニッケル錯体などの金属錯体を用いたクロスカップリング反応により重合させる際に、モノマーの連結部として機能することができる。以下、本明細書中において置換基Wを、重合反応性基Wと称することがあるが、前記Wは重合反応に用いられるものでなくても構わない。前記で定義したWの範囲に入るものであれば、本発明の範囲内である。 前記Wは、前記Arで表される縮合複素環基に結合する置換基であり、その結合位置は、特に限定されるものではないが、該縮合複素環基を構成する末端の環に結合しているものが好ましい。また、2つのWは、縮合複素環基に対し対称に結合しているものが好ましい。例えば、Arがベンゾジチオフェン基である場合、Wは2位及び6位に結合しているか、3位及び7位に結合しているものが好ましい。Arがシクロペンタジチオフェン基である場合、Wは2位及び6位に結合しているものが好ましい。 前記式(1)中、Iは、下記式(2)で表される、オキシアルキレン基を一部に有する置換基である。 −X−R1−(O−(CH2−)n)p−R2 ・・・ (2) 前記式(2)中、Xは、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子である。合成上の取り扱いの観点から、Xは酸素原子又は硫黄原子であることが好ましく、硫黄原子であることがより好ましい。 前記式(2)中、R1は炭素数3〜10のアルキレン基である。R1は、隣接するX原子及びO原子の間を3以上の炭素原子で隔てるものであり、当該アルキレン基としては、例えば、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,8−オクチレン基、1,9−ノニレン基、1,10−デシレン基などが挙げられる。これらのアルキレン基は、合計の炭素数が前記範囲内であればアルキル基の分岐を有していてもよい。R1としては特に、炭素数3〜5であるものが好ましく、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基が複素芳香族化合物の取り扱い性及び材料入手性の観点から特に好ましい。 前記式(2)で表されるIに含まれるR1は、合成上の観点から炭素数3〜10のアルキレン基であることが必要であり、炭素数3〜5であることがより好ましい。この理由としては、R1の炭素数が1又は2の場合は、複素芳香族化合物の製造過程で置換基Iが分解するためである。 前記式(2)中、R2は水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはヘテロアリール基である。R2の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜8がより好ましい。 R2のアルキル基としては、直鎖、分岐または脂環式のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。中でも、n−プロピル基、n−ブチル基、2−ペンチル基が複素芳香族化合物の取り扱い性及び材料入手性の観点から好ましい。 R2のアルコキシ基としては、直鎖、分岐または脂環式のいずれであってもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、n−ヘキシル基、シクロヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、などが挙げられる。 アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基などが挙げられる。ヘテロアリール基としては、例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基などが挙げられる。 前記アルキル基、アルコキシ基、アリール基及びヘテロアリール基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の例としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基等のアリール基やヘテロアリール基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、n−ヘキシル基、シクロヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等のアルキルチオ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子などが挙げられる。 前記R2としては、炭素数1〜20のアルキル基又はアルコキシ基がより好ましい。さらに、R1が炭素数3〜5のアルキレン基であり、かつR2が炭素数1〜20のアルキル基又はアルコキシ基である置換基Iが、複素芳香族化合物の溶解性、構造安定性の観点から特に好ましい。 前記式(2)中、nはメチレン基の個数を表す。nは1〜5の範囲内の数であり、取り扱い性の良さ、材料入手性の観点からnは2〜3の範囲内であることが好ましく、特に2が好ましい。 前記式(2)中、pはオキシアルキレン基の繰り返し数を表す。pは1〜5の範囲内の数であり、取り扱いの良さ、材料入手性の観点からpは1〜3の範囲内であることが好ましい。 前記式(1)中、mは置換基Iの個数を表す。mは2〜4の範囲内の数であり、より好ましくは2又は4である。置換基IはAr中のどこに結合していても構わないが、好ましくは、縮合複素環基を構成する環構造の中で、中心を占める環あるいは中心環に隣接する環に結合しているのがよい。例えば、Arがベンゾジチオフェン基である場合、Iは、中心環であるベンゼン環に結合しているのが好ましい。Arがシクロペンタジチオフェン基である場合、Iは、中心環であるシクロペンタジエン環に結合しているのが好ましい。 本発明の複素芳香族化合物は、前記式(2)で表わされる、オキシアルキレン基を一部に有する置換基Iを有することにより、本発明の複素芳香族化合物を重合した際に、電子受容性材料であるフラーレンとより良く混合することができ、当該ポリマー及びフラーレンを有する有機半導体組成物を用いて、良好なモルフォロジを有する有機薄膜を作成することができる。このようにして得られた有機薄膜は、例えば光電変換素子の光電変換活性層などに好適に用いることができ、高い光電変換効率を発現できる。 本発明の前記式(1)で表される複素芳香族化合物の好ましい例としては、例えば、下記式(3)〜(5)で表される化合物が挙げられる。 前記式(3)〜(5)中、I及びWは前記定義のとおりである。T1は、置換基Iを有する炭素(C(I)2)、置換基Iを有するケイ素(Si(I)2)又は置換基Iを有するゲルマニウム(Ge(I)2)である。T1としては、炭素(C(I)2)が特に好ましい。 前記式(3)〜(5)中、R3は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはヘテロアリール基である。R3で用いられるアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはヘテロアリール基の具体例としては、例えばR2で例示したものと同じものが挙げられる。これらの炭化水素基の炭素数は、ポリマーの溶解性の観点から1〜28が好ましく、3〜28であるものがより好ましく、6〜24であるものがさらに好ましい。 前記R3で用いられるアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはヘテロアリール基は、さらに置換基を有していてもよく、かかる置換基の例としては前記R2が有していてもよい置換基として例示した置換基と同じものが挙げられる。そのほかにも、水酸基、アミノ基、チオール基、シリル基などで置換されていてもよい。 アミノ基としては、例えばジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基などの1級または2級のアミノ基が挙げられる。チオール基としては、例えばメルカプト基、アルキルチオ基が挙げられる。シリル基としては、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジメチルtert−ブチルシリル基などが挙げられる。 前記R2及びR3が有していてもよい置換基が炭素原子を含む場合、その数は特に限定されないが、それらの炭素数も含めた合計数がR2又はR3の好ましい炭素数の範囲内に入ればよい。また、前記R2及びR3が有していてもよい置換基の個数は10個以内であることが、溶解性の観点及び原料入手性の観点から好ましい。 R3としては特に、水素原子、2−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチル基、オクチルオキシ基又は5−エチルヘキシルチエニル基であるものが、本発明の複素芳香族化合物及び該複素芳香族化合物からなるポリマーの溶解性の観点及び原料入手性の観点から好ましく用いられる。 本発明の複素芳香族化合物は、下記式(1’)で表される複素芳香族化合物を前駆体として用いることにより製造することができる。 Ar(I)m ・・・ (1’)〔式(1’)中、Ar、I及びmは前記定義のとおりである。〕 本発明において、前記式(1)で表される複素芳香族化合物は、前記式(1’)で表される複素芳香族化合物、塩基性化合物及び置換基Wを形成できる化合物を作用させることにより製造することができる。 本発明の複素芳香族化合物の製造に用いることができる塩基性化合物としては、特に制限されないが、一般的に市販されている塩基性化合物を選択することができる。たとえば、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウムなどのアルキルリチウム塩基、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの無機塩基、メチルグリニャール、エチルグリニャール、プロピルグリニャール、イソプロピルグリニャールなどのグリニャール試薬などが挙げられ、1種類またはそれ以上使用することができる。塩基性化合物の量は、特に制限はされないが、前記式(1’)で表される複素芳香族化合物1モルに対して、1〜100モルの範囲が好ましく、1〜20モルの範囲がより好ましく、1〜5モルの範囲がさらに好ましい。 本発明の複素芳香族化合物の製造に用いることができる置換基Wを形成できる化合物としては、例えば、ボロン酸若しくはボロン酸エステルの無水物やハロゲン化合物、ヘテロ原子やアリール基が置換されたシリル基や、スズ基を有するハロゲン化合物が使用できる。これらは、前記式(1’)で表される複素芳香族化合物と塩基性化合物とを反応させ、置換基Wを与えることができるものであれば特に制限されず、一般的に市販されているものを用いることができる。中でも、置換基Wを有するハロゲン化合物が好ましく、スズ基を有する塩化物が特に好ましい。具体的には、例えば、塩化トリメチルスズや塩化トリブチルスズ等を用いることができる。置換基Wを形成できる化合物の量は、特に制限はされないが、前記式(1’)で表される複素芳香族化合物1モルに対して、1〜100モルの範囲が好ましく、1〜20モルの範囲がより好ましく、1〜5モルの範囲がさらに好ましい。 本発明の複素芳香族化合物の製造に用いることができる溶媒は、一般的に市販されている有機溶媒を選択することができる。例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジフェニルエーテルなどのエーテル系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式飽和炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化アルキル系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族ハロゲン化アリール系溶媒ならびにこれらの混合物などが挙げられる。かかる溶媒の使用量としては、前記式(1’)で表される複素芳香族化合物に対して1〜1000重量倍の範囲であることが好ましく、得られる重合体の溶解度や反応液の攪拌効率の観点からは、10重量倍以上であることが好ましく、反応速度の観点からは100重量倍以下であることが好ましい。 反応温度は特に制限されないが、通常−78〜25℃の範囲である。塩基性化合物と反応させた時に発熱する観点から、−78〜0℃の範囲がより好ましく、−78〜−40℃の範囲がさらに好ましい。 本発明の複素芳香族化合物は、縮合反応を用いてポリマー化することができる。一例として、前記式(1)で表される重合反応性基Wが−SnY3(Yは前記と同義)である場合、2価のパラジウム触媒と酸化剤を用いて、炭素‐炭素結合生成反応を行うことができ、前記式(1)の複素芳香族化合物を単量体単位として含むホモポリマーを得ることができる。 また、本発明の複素芳香族化合物は、例えば、ゼロ価のパラジウム触媒やニッケル錯体などの金属錯体を用いたクロスカップリング反応により重合する方法、FeCl3等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、または適当な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法等により、ホモポリマーあるいは他の単量体とのコポリマーを合成することができる。 他の単量体とのコポリマーとしては、本発明の複素芳香族化合物と、該化合物と比較して電子吸引性の高い骨格を有する単量体とのコポリマーであることが好ましい。そのようなコポリマーとしては、例えば、下記式(A)で表される単量体単位を含むコポリマーが挙げられる。 −(a−b)− ・・・ (A) ここで、式(A)中、aは、前記式(1’)で表されるAr(I)mからなる有機基であり、bは、含窒素縮合複素環骨格、またはチエノチオフェン骨格を有する有機基である。前記aは、前記式(1)で表される本発明の複素芳香族化合物から誘導されるものであり、Ar及びIは前記定義のとおりである。すなわち、前記式(A)で表される単量体単位を含むコポリマーは、前記式(1)で表される本発明の複素芳香族化合物と、含窒素縮合複素環骨格またはチエノチオフェン骨格を有する有機基を含む単量体とを共重合することにより得られる。 前記式(A)で表される単量体単位を有するコポリマーは、狭バンドギャップポリマーであるものが好ましい。狭バンドギャップポリマーとは、最高被占軌道(HOMO)準位と最低空軌道(LUMO)準位とのエネルギー差(バンドギャップ)が小さいポリマーのことであり、太陽光スペクトルのうち、紫外領域から600nm以上の長波長領域に渡る広い波長領域の光を吸収可能である。単量体単位のバンドギャップは、−a−および−b−の組み合わせにより制御することができる。バンドギャップを小さくすることにより、単量体単位の吸収波長がより長くなり、長波長領域まで光吸収帯を持つことができる。前記式(A)において、−a−はドナー性が高い有機基であり、−b−はアクセプター性が高い有機基の組み合せが好ましい。本発明の複素芳香族化合物は主として、ドナー性有機基となりうる。 前記式(A)中のbは、有機基全体としてaに比べアクセプター性が高ければよく、化学構造の一部にドナー性有機基に相当する基を含んでいてもよい。例えば、化学構造の一部にチオフェンを有する多環型の有機基であってもよい。 前記式(A)中のbの具体的な構造としては、例えば、下記式(6)〜(16)で表される有機基が挙げられる。式(6)〜(16)中、T3は、窒素(−NR3−)、酸素原子または硫黄原子を表し、T4は、窒素(−NR3−)、酸素(−O−)または−CR3=CR3−であり、T5は酸素原子または硫黄原子であり、R3は前記定義の通りであり、R4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、または置換されていてもよいアルキル基若しくはアリール基であり、R5は水素原子またはハロゲン原子であり、R6は置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルキルカルボニル基またはアルキルオキシカルボニル基であり、qは0〜3の整数である。 前記式(6)〜(16)中、R4及びR6の、置換されていてもよいアルキル基若しくはアリール基の具体例としては、例えば前記R3で挙げたものと同じものが挙げられる。アルキルカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、フェノキシカルボニル基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。アルキルオキシカルボニル基としては、これらアルキルカルボニル基のアルキル部分がアルコキシ基に置き換わったものが例として挙げられる。R4及びR6は、さらに置換基を有していてもよく、かかる置換基の例としては前記R2が有していてもよい置換基として例示した置換基と同じものが挙げられる。R4及びR6の炭素数は全体で1〜20の範囲内が好ましい。 前記式(6)〜(16)で表されるアクセプター性有機基のうち、特に好ましくは、式(6)及び式(14)〜(16)で表される有機基である。また、前記式(A)で表される単量体単位として、好ましいaとbの組み合わせとしては、例えば、式(3)と式(15)、式(3)と式(16)、式(4)と式(6)、式(4)と式(14)等が挙げられる。 前記式(A)で表される単量体単位の分子量は、高い光電変換効率が得られることから、少なくとも200g/mol以上であることが好ましい。また、本発明の複素芳香族化合物を単量体単位の一部に有するポリマーにおいて、重合度は、少なくとも50以上であることが好ましい。また、該ポリマーの数平均分子量は10,000g/モル以上であることが好ましく、15,000g/モル以上であることがより好ましい。数平均分子量の上限は特に限定されるものではないが、溶解度などの観点から、100万g/モル以下であることが好ましい。 前記ポリマー(本明細書において、「ポリマー」とは「ホモポリマー」及び「コポリマー」の両方を意味する場合がある)は、触媒と溶媒の存在下でカップリング反応を行うことで製造することが可能である。触媒としては、遷移金属の錯体が好ましく、周期表(18族長周期型周期表)の3〜10族、中でも8〜10族に属する遷移金属の錯体が好適に使用できる。具体的には、Ni,Pd,Ti,Zr,V,Cr,Co,Fe等の遷移金属を含む錯体が挙げられる。中でも、Ni錯体やPd錯体がより好ましい。また、使用する錯体の配位子としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィンなどの単座ホスフィン配位子;ジフェニルホスフィノメタン(dppm)、1,2−ジフェニルホスフィノエタン(dppe)、1,3−ジフェニルホスフィノプロパン(dppp)、1,4−ジフェニルホスフノブタン(pddb)、1,3−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン(dcpp)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、2,2−ジメチル−1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン等の二座ホスフィン配位子;テトラメチルエチレンジアミン、ビピリジン、アセトニトリル等の含窒素系配位子などが含有されていることが好ましい。 なお、前記触媒の使用量は製造するポリマーの種類によって異なるが、単量体1モルに対して、0.001〜0.1モルが好ましい。触媒が多すぎると得られる重合体の分子量低下の原因となり、また経済的にも不利である。一方、少なすぎると、反応速度が遅くなり、安定した生産が困難になる。 本発明の複素芳香族化合物を重合して得られるポリマーの製造に用いることができる溶媒は、一般的に市販されている有機溶媒を選択することができ、例えば、本発明の複素芳香族化合物の製造に用いることができる溶媒として前記に例示したものが使用できる。その他に、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、水ならびにこれらの混合物などが挙げられる。かかる有機溶媒の使用量としては製造するポリマーの単量体に対して1〜1000重量倍の範囲であることが好ましく、得られる連結体の溶解度や反応液の攪拌効率の観点からは、10重量倍以上であることが好ましく、反応速度の観点からは100重量倍以下であることが好ましい。 重合温度は特に制限されないが、通常−80℃〜200℃の範囲である。反応系の圧力は、0.1〜10気圧が好ましい。通常1気圧前後で反応を行なう。また、反応時間は、通常20分〜100時間である。 得られるポリマーは、例えば、再沈殿、加熱下での溶媒除去、減圧下での溶媒除去、水蒸気による溶媒の除去(スチームストリッピング)等のような、ポリマーを溶液から単離する際の通常の操作によって、反応混合液及び副生成物から分離、取得することができる。また得られた粗生成物はソックスレー抽出器を用いて一般的に市販されている溶媒を用いて洗浄または抽出することで精製することができる。例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジフェニルエーテルなどのエーテル系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式飽和炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化アルキル系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族ハロゲン化アリール系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、水ならびにこれらの混合物などが挙げられる。 本発明の複素芳香族化合物を重合して得られるポリマーは、自己組織化能力の高い電子供与性材料なので、電子受容性材料と混合することで、有機半導体組成物を得ることができる。この場合において、該ポリマーは一種を単独で用いてもよいし二種以上を併用して用いてもよい。 前記有機半導体組成物を構成する電子受容性材料は、n型半導体特性を示す有機材料であれば特に限定されないが、例えば1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(NTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(PTCDA)、N,N'−ジオクチル−3,4,9,10−ナフチルテトラカルボキシジイミド(NTCDIC8H)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ジ(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサゾール誘導体、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、C60またはC70等のフラーレン誘導体、カーボンナノチューブ(CNT)、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体にシアノ基を導入した誘導体(CN−PPV)などが挙げられる。これらはそれぞれ単体で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、安定且つキャリア移動度に優れるn型半導体という観点からフラーレン誘導体が好ましく用いられる。 前記フラーレン誘導体としては、公知のものを用いることができるが、具体的にはC60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94を始めとする無置換のフラーレン誘導体と、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル(PC61BM)、[5,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドn−ブチルエステル、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドi−ブチルエステル、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドヘキシルエステル、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドドデシルエステル、[6,6]−ジフェニル C62ビス(ブチリックアシッドメチルエステル)(bis−PC62BM)、[6,6]−フェニル C71 ブチリックアシッドメチルエステル(PC71BM)、[6,6]−ジフェニル C72ビス(ブチリックアシッドメチルエステル)(bis−PC72BM)、インデンC60−モノ付加体、インデンC60−ビス付加体をはじめとする置換フラーレン誘導体などが挙げられる。 前記フラーレン誘導体は、単独或いはそれらの混合物として用いることができる。有機溶媒に対する溶解性やキャリア移動度に優れるという観点からは、PC61BM、bis−PC62BM、インデンC60−ビス付加体、PC71BM、bis−PC72BMが好適に用いられる。さらに光吸収の観点からPC71BMがより好適に用いられる。 前記組成物中における電子受容性材料の割合は、ポリマー100重量部に対して10〜1000重量部であることが好ましく、50〜500重量部であることがより好ましい。電子受容性材料の割合が少なすぎる、または多すぎる場合には、キャリアバランスや光吸収量が低下する傾向がある。 前記組成物を調製するのに用いられる溶媒は、ポリマーおよび電子受容性材料を溶解しうるものであれば特に限定されないが、ポリマー、電子受容性材料のそれぞれについて20℃における溶解度が0.5mg/mL以上の溶媒を用いることが好ましい。溶解度が0.5mg/mL以上の溶媒を用いることにより、本発明の組成物を均質な有機薄膜に成形することが可能であり、光電変換素子の光電変換活性層として好適に使用することができる。有機薄膜の膜厚を任意に制御する観点からは、ポリマー、電子受容性材料のそれぞれについて、20℃における溶解度が3mg/mL以上の溶媒を用いることがより好ましい。また、これら溶媒の沸点は、室温から200℃の範囲にあるものが製膜性および後述する製造プロセスの観点より好ましい。 前記の溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,2−ジクロロエタン、シクロヘキサン、クロロホルム、ブロモホルム、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、o−ジクロロベンゼン、アニソール、メトキシベンゼン、トリクロロベンゼン、ピリジンなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても良く、2種類以上混合して用いてもよいが、特にポリマーおよび電子受容性材料の溶解度が高いクロロホルム、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、o−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンおよびこれらの混合物が好ましい。より好ましくはクロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンおよびこれらの混合物が用いられる。 前記組成物を調製するのに際しては、前記の溶媒以外にさらに、沸点が当該溶媒より高い添加物を含んでもよい。このような高沸点添加物を含有させることによって、組成物を有機薄膜に製膜する過程において、ポリマーおよび電子受容性材料の微細且つ連続した相分離構造が形成されるため、光電変換効率に優れる光電変換活性層を得ることが可能となる。添加物としては、例えば溶解溶媒にo−ジクロロベンゼン(沸点:180℃/760mmHg)を用いた場合には、オクタンジチオール(沸点:270℃/760mmHg)、ジブロモオクタン(沸点:272℃/760mmHg)、ジヨードオクタン(沸点:327℃/760mmHg)、ジヨードヘキサン(沸点:142℃/10mmHg)、ジヨードブタン(沸点:125℃/12mmHg)等が例示される。これらの添加物は単独で用いても良く、2種類以上混合して用いてもよいが、特にジヨードオクタン、ジヨードヘキサンおよびこれらの混合物が好ましい。 前記添加物の添加量は、ポリマーおよび電子受容性材料が析出せず、均一な溶液を与えるものであれば特に限定されないが、溶媒に対して体積分率で0.1%〜20%であることが好ましく、より好ましくは0.5%〜10%の範囲である。 前記組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲において、界面活性剤やバインダー樹脂、フィラー、金属微粒子などの他の成分をさらに含んでいてもよい。 前記組成物の溶液を製造するにあたり、ポリマーおよび電子受容性材料や添加物その他を混合する方法については特に限定されないが、所望の比率で上記成分を調製し、加熱、攪拌、超音波照射、マイクロウェーブ照射、またはこれらの組み合わせにより溶解した後、所定の細孔径を有するフィルターでろ過して得ることができる。尚、ろ過工程は必要に応じて行えばよい。 本発明の有機半導体組成物は、式(1)で表される複素芳香族化合物と電子受容性材料、特に前記フラーレン誘導体とが混合しやすいため、有機薄膜に形成した際に良好なモルフォロジを形成することができる。また、式(1)で表される複素芳香族化合物がオキシアルキレン基を一部に有する置換基Iを有することにより、有機溶媒に対する溶解度が向上し、均一な有機薄膜を形成することができる。従って、光電変換素子の光電変換活性層などに好適に用いることができる。このようにして得られる光電変換素子は、光電変換機能、光整流機能などを利用した種々の光電変換デバイスへの応用が可能である。例えば光電池(太陽電池など)、電子素子(光センサ、光スイッチ、フォトトランジスタなど)、光記録材(光メモリなど)などに有用である。 以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。 1H−NMR測定には日本電子(株)製JNM−EX270FT−NMR装置を用いた。特に記載がない限り、測定サンプル10mgをクロロホルム−d1(CDCl3)に溶解させ、上記装置を用いて室温で測定した。 数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、何れもゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による測定に基づき、ポリスチレン換算値で求められたものである。ここでは、GPC装置として、東ソー株式会社製のHLC−8320(品番)を用い、カラムとして、東ソー株式会社製のTSKgel Multipore HZの2本を直列に繋いだものを用いた。 重合体の精製には分取用のGPCカラムを用いて精製を行なった。用いた装置は、Japan Analytical Industry(株)製のRecycling Preparative HPLC LC−908を用いた。なお、カラムの種類は、日本分析工業(株)製のスチレン系ポリマーカラム 2H−40及び2.5H−40を2本直列に接続したものである。また、溶出溶媒はクロロホルムを用いた。 以下の実施例及び比較例において使用される試薬は、特に記載がない場合、同一試薬は同一のものを使用した。また、本文中において使用される略字は、EtHexは2−エチルヘキシル基を意味する。[合成例1](化合物2の合成) 化合物1(チエノ[2,3−f][1]ベンゾジチオフェン−4,8−ジチオール)は、文献「Chem.Commun.,2011,47,10987.」を参考に、ベンゾ[1,2−b:4,5‐b']ジチオフェン−4,8−ジオンより合成した(収量8.6g、収率43%)。化合物1(2.2g、8.7mmol)をDMSO(50ml)に溶解し、炭酸カリウム(3.6g、26.1mmol)を加え、室温で30分攪拌した。次に、3−(2‐メトキシエトキシ)プロピルブロミド(東京化成工業株式会社製:5.1g、26.1mmol)を加え、12時間室温で攪拌した。反応液はジイソプロピルエーテル(和光純薬工業株式会社製 試薬特級:250ml)で抽出した後に、水で有機溶媒を洗浄した。溶媒留去後、ヘキサン及び酢酸エチルを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離生成を行い、化合物2を得た(2.3g、収率54%) 化合物2:1H−NMR(500MHz、CDCl3):δ7.61(d、2H)、7.48(d、2H)、3.63(m、8H)、3.55(m、4H)、3.54(s、6H)、3.02(t、4H)、2.02(m、4H)[合成例2](化合物3の合成) 化合物1(2.2g、8.7mmol)をDMSO(50ml)に溶解し、炭酸カリウム(3.6g、26.1mmol)を加え、室温で30分攪拌した。次に、2−(2‐メトキシエトキシ)エチルブロミド(東京化成工業株式会社製:4.8g、26.1mmol)を加え、12時間室温で攪拌した。反応液はジイソプロピルエーテル(250ml)で抽出後に、水で有機溶媒を洗浄した。溶媒留去後、ヘキサン及び酢酸エチルを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離生成を行い、化合物3を得た(2.4g、収率56%) 化合物3:1H−NMR(270MHz、CDCl3):δ7.61(d、2H)、7.47(d、2H)、3.77(t、4H)、3.66(m、2H)、3.37(m、4H)、3.39(s、6H)、3.12(t、4H)[実施例1](化合物4の合成) 化合物2(4.9g, 10mmol)をTHF(50ml)に溶解させ、窒素雰囲気下で−78℃に冷却し、n‐ブチルリチウム(2.6mol/L,n−ヘキサン溶液)を10ml滴下した。30分間攪拌後、続いて、塩化トリブチルスズ(和光純薬工業株式会社製 試薬一級:1mol/L,THF溶液)を30ml加えて2時間攪拌した。室温にした後、50mlの水でクエンチし、ジイソプロピルエーテル(50ml)で抽出した(3回)。溶媒留去後、イソプロパノールで2回再結晶を行い、薄黄色固体を得た(3.7g、収率35%)。 化合物4:1H−NMR(500MHz、CDCl3):δ7.61(d、2H)、7.48(d、2H)、3.63(m、8H)、3.55(m、4H)、3.54(s、6H)、3.02(t、4H)、2.02(m、4H)1.58(m、12H)、1.35(m、12H)、1.15(t、12H)、0.89(t、18H)[比較例1](化合物5の合成) 化合物3(4.6g, 10mmol)をTHF(50ml)に溶解させ、窒素雰囲気下で−78℃に冷却し、n‐ブチルリチウム(2.6mol/L,n−ヘキサン溶液)を10ml滴下した。30分間攪拌後、一部、溶液をサンプリングし、1H−1H−NMRにより分析したところ、化合物3の2位及び6位のリチオ化率(転化率)が36%であったため、更にN‐ブチルリチウム(2.6mol/L,n−ヘキサン溶液)を10ml追加した。添加後30分後に、同様にサンプリングしてNMRで分析したところ、複雑なシグナルとなったため反応を中止した。反応溶液を室温にした後、ジイソプロピルエーテル(250ml)で抽出し、水で有機溶媒を洗浄した。溶媒留去後、ヘキサン及び酢酸エチルを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。その結果、化合物6(1.5g、収率50%)が得られたものの、目的の化合物5は全く生成していなかった。 なお、前記リチオ化率の測定は、重メタノールを測定溶媒として用いた1H−NMR測定により行った。化合物3のリチオ化率が低い要因としては、置換基中の硫黄のα位がリチオ化される副反応が生じたことが原因のひとつであると考えている。 実施例1及び比較例1の対比により、オキシエチレン基を側鎖に有する化合物の合成において、R1の炭素数が本発明の範囲外であるものを用いた場合、目的とする化合物が得られないことが明らかとなった。[実施例2](ポリマー8の合成) 窒素雰囲気下、50mlのナスフラスコに化合物4(0.80g,0.75mmol)、化合物7(2−エチルヘキシル−4,6−ジブロモ−3−フルオロチエノ[3,4−b]チオフェン−2−カルボキシレート)(Luminescence Technology Corp.製:0.34g,0.75mmol)、DMF(6.2mL)、トルエン(25mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(9.2mg、7.8μmol)を加え、115℃で1時間30分加熱した。反応終了後、反応溶液を濃縮し、メタノール(500mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、得られた固体を減圧乾燥することで粗生成物を得た。粗生成物を、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(200ml)、ヘキサン(200mL)で洗浄した後に、クロロホルム(200mL)で抽出した。有機層を濃縮乾固し、得られた黒紫色の固体を、クロロホルム(30mL)に溶解させ、メタノール(300mL)で再沈殿した。得られた個体を濾取した後に減圧乾燥することで黒紫色の固体としてポリマー8を得た。得られたポリマー8(0.45g,80%)の重量平均分子量(Mw)は250,000、数平均分子量(Mn)は52,000、分散度は4.80であった。1H−NMR (500MHz,CDCl3): δ 7.00‐7.90 (br、 2H)、4.30‐4.40(br、2H)、3.40‐3.80(br、14H)、3.10‐3.20(br、 4H)、1.20‐1.80 (br、 9H)、0.80‐0.90 (br、6H)[比較例2](ポリマー10の合成) 化合物9(2,6−ビス(トリメチルスズ)−4,8−ジドデシルベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン)は、文献「JACS,2009,131,7792.」を参考に、ベンゾ[1,2−b:4,5‐b']ジチオフェン−4,8−ジオンより合成した(収量28.1g、収率33%)。窒素雰囲気下、50mlのナスフラスコに、化合物9(0.88g,0.75mmol)、化合物7(0.34g,0.75mmol)、DMF(6.2mL)、トルエン(25mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(9.2mg、7.8μmol)を加え、115℃で1時間30分加熱した。反応終了後、反応溶液を濃縮し、メタノール(500mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、得られた固体を減圧乾燥することで粗生成物を得た。粗生成物を、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(200ml)、ヘキサン(200mL)で洗浄した後に、クロロホルム(200mL)で抽出した。有機層を濃縮乾固し、得られた黒紫色の固体を、クロロホルム(30mL)に溶解させ、メタノール(300mL)で再沈殿した。得られた個体を濾取した後に減圧乾燥することで黒紫色の固体としてポリマー10を得た。得られたポリマー10(0.51g,77%)の重量平均分子量(Mw)は1,390,000、数平均分子量(Mn)は62,000、分散度は22.4であった。1H−NMR (500MHz,CDCl3): δ 7.90‐7.00 (br、 2H)、420‐4.40(br、2H)、3.30‐3.00(br、 4H)、2.00‐1.10 (br、 49H)、1.00‐0.70 (br、12H)<ポリマーと電子受容性材料との相溶性の評価> 実施例2及び比較例2により得られた各ポリマーを16.0mgと、電子受容性材料としてフラーレン誘導体PCBM(フロンティアカーボン社製E100H)を12.8mgと、溶媒としてクロロベンゼン1mLとを40℃にて6時間かけて混合した。その後、室温にまで冷却し、孔径0.45μmのPTFEフィルターで濾過して、ポリマーとPCBMを含む有機半導体組成物溶液を製造した。 スパッタ法により150nmの厚みでITO膜(抵抗値10Ω/□)を付けたガラス基板を15分間オゾンUV処理して表面処理を行った。基板上に正孔輸送層となるPEDOT:PSS水溶液(H.C.Starck社製:CLEVIOS PH500)をスピンコート法により40nmの厚さに成膜した。ホットプレートにより140℃で20分間加熱乾燥した後、次にスピンコート法により上記のポリマー組成物の溶液を塗布し、光電変換活性層(膜厚約100nm)を得た。3時間真空乾燥し、120℃、30分熱アニールした後、真空蒸着法により,フッ化リチウムを膜厚1nm蒸着し、次いでAlを膜厚100nmで蒸着した。これにより前記ポリマーを含む有機半導体組成物からなる層を有する光電変換素子が得られた。光電変換素子の受光面形状は5×5mmの正四角形であった。 得られた各光電変換素子について、光電変換層の断面のモルフォロジを以下の方法で観察、解析した。光電変換層を有する光電変換素子の断面方向の薄膜切片を液体窒素で−100℃以下に冷却しながらイオンミリング法(日本電子株式会社製;IB−09060CIS)を用いて、アルゴンイオン、1.5〜4.5kVの加速電圧にて作製した。作製した薄膜切片は50〜100nmでの膜厚であった。作製した薄膜切片を、STEM法(日本電子株式会社製;JEM−2100F)を用いて、断面のモルフォロジ画像を得た。STEM法によるモルフォロジ画像の取得は、加速電圧200kVにて実施した。得られたモルフォロジ画像は2pixel/nm以上の解像度を持ち、Image Pro Plus(Media Cybernetics社製)を用いてグレースケールに変換後、モルフォロジのコントラストがわかり易いようにコントラスト及び明るさを調整し2値化した。実施例2のポリマーを用いた結果を図1に、比較例2のポリマーを用いた結果を図2に示す。図1及び図2においては、暗い部分が電子密度の大きいn型半導体リッチ相すなわちフラーレン誘導体を多く含む相であり、明るい部分が電子密度の小さいp型導体リッチ相すなわち実施例2又は比較例2で得られたポリマーを多く含む相である。 各ポリマーとフラーレン誘導体の相溶性を評価するために、前記2値化像から、p型半導体リッチ相の平均ドメインサイズを計算した。平均ドメインサイズは、互いに孤立した白色部ドメインのドメインサイズの平均値として算出した。互いに孤立した白色部ドメインのサイズはImage Pro Plus(Media Cybernetics社製)を用いて以下のように計算した。前記2値化画像の、光電変換層の部分のみをトリミングし(トリミング画像は、基板に水平方向に幅0.3μmの大きさ)、その画像上で互いに孤立した白色部ドメインの個数と、各ドメイン面積を算出した。互いに孤立した白色部ドメインのサイズは、各ドメインが円であると仮定し、ドメイン面積から算出される直径として評価した。その結果を表1に示す。白色部ドメインのドメインサイズ(直径)が小さいほど、p型半導体リッチ相すなわち前記ポリマーを含む相は光電変換層中に均一に分散化しており、良好なモルフォロジを形成できていることを表す。 図1、図2及び表1の結果より、本発明の複素芳香族化合物を重合して得られたポリマーを用いた場合(実施例2)、光電変換活性層において該ポリマーはPCBMと良好なモルフォロジを形成しており、PCBMと非常に良く混合することが明らかとなった。一方、本発明の適用外であるポリマーを用いた場合(比較例2)、光電変換活性層において、該ポリマーとPCBMとは大きく相分離しており、PCBMとの混合性が悪いことが明らかとなった。 以上より、本発明の複素芳香族化合物は、電子受容性材料、中でもフラーレン誘導体とよく混合するオキシアルキレン基を一部に有する置換基Iと、重合反応性基Wとを有し、かつポリマー化した際にも置換基Iが分解することなく存在するため、電子受容性材料とよく混合することができるポリマーを製造することができる。このようにして得られたポリマーは、電子受容性材料と良好なモルフォロジを形成できるため、例えば、光電変換素子の光電変換活性層等に利用した際に、高い光電変換効率を発現することが期待される。 本発明の複素芳香族化合物を重合して得られるポリマーは、自己組織化能力の高い電子供与性材料なので、電子受容性材料と混合することで、有機半導体組成物を得ることができる。該有機半導体組成物は、例えば有機薄膜に形成することにより、光電変換素子の光電変換活性層等に用いることができる。本発明の有機半導体組成物からなる層を有する光電変換素子は、太陽電池をはじめとして各種の光センサとしての用途がある。 下記式(1)で表される複素芳香族化合物。 W−[Ar(I)m]−W ・・・ (1)〔式(1)中、Arはチオフェン、フラン及びピロールから選ばれる少なくとも1種の複素環を化学構造の一部に含む縮合複素環基であり、I及びWはArに結合する置換基であり、mは2〜4の数である。Wは、ボロン酸、ボロン酸エステル、−SiY3及び−SnY3(Yはハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基若しくはアリール基である)から選ばれるいずれかの置換基であり、Iは下記式(2) −X−R1−(O−(CH2−)n)p−R2 ・・・ (2)(式(2)中、Xは酸素原子、硫黄原子又はセレン原子であり、R1は炭素数3〜10のアルキレン基であり、R2は水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはヘテロアリール基であり、nは1〜5の数であり、pは1〜5の数である。)で表される置換基である。〕前記Arが、チオフェンを化学構造の一部に含む縮合複素環基である請求項1に記載の複素芳香族化合物。 前記式(1)で表される複素芳香族化合物が、下記式(3)〜(5)(式(3)〜(5)中、I及びWは前記定義のとおりであり、T1は、C(I)2、Si(I)2又はGe(I)2であり、R3は水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはヘテロアリール基である。)で表されるいずれかである、請求項1に記載の複素芳香族化合物。前記式(2)で表される置換基Iのnが2である請求項1〜3のいずれかに記載の複素芳香族化合物。R1が炭素数3〜5のアルキレン基であり、R2が炭素数1〜8のアルキル基又はアルコキシ基である請求項1〜4のいずれかに記載の複素芳香族化合物。 請求項1〜5のいずれかに記載の複素芳香族化合物を重合して得られるポリマー。 請求項1〜5のいずれかに記載の複素芳香族化合物と、含窒素縮合複素環骨格又はチエノチオフェン骨格を有する有機基を含む単量体とを共重合して得られるポリマー。 請求項6又は7に記載のポリマーと、電子受容性材料とを含む有機半導体組成物。 請求項8に記載の有機半導体組成物からなる層を有する光電変換素子。 【課題】フラーレン誘導体等の電子受容性材料と良く混合することができ、良好なモルフォロジを形成可能な、電子供与性有機半導体となるポリマーになりうるモノマーを提供する。【解決手段】下記式(1)で表される複素芳香族化合物によって、上記課題を解決する。本発明の複素芳香族化合物を重合して得られるポリマーは、例えば、光電変換素子の光電変換層等に用いることができ、電子受容性材料と良好なモルフォロジを形成することができる。 W−[Ar(I)m]−W ・・・ (1)〔式(1)中、Ar、W及びmは明細書記載の通りであり、Iは下記式(2) −X−R1−(O−(CH2−)n)p−R2 ・・・ (2)(式(2)中、X、R1、R2、n及びpは、明細書に記載の通り)で表わされる、オキシアルキレン基を一部に有する置換基である。〕【選択図】 なし